四畳半愛好家 さんの感想・評価
3.9
目暮警部や阿笠博士を筆頭に…各キャラに見せ場がある記念すべき劇場版10作目
登場キャラは、コナン、蘭、毛利小五郎、平次、和葉、園子、阿笠博士、灰原哀、歩美、光彦、元太、目暮警部、白鳥警部、佐藤刑事、高木刑事、千葉刑事、妃英理、遠山銀司郎、大滝悟郎、横溝重悟、中森銀三、白馬、怪盗キッド…etc.
記念すべき劇場版10作目ということで、本当に多くのキャラクターを登場させています。結果、内容はやや薄味になってしまっているのですが、各キャラクターに見せ場をできるだけ多く作ってあげようという努力が感じられて、個人的にはお気に入りの作品です。
やっぱり平次&和葉やキッドが出るとテンション上がりますし、私の大好きな石田彰が声を担当する白馬の出演もうれしい…。メインのゲストキャラの声が古谷徹と平野文とか…豪華ですし、やっぱり演技が巧くて安心して観てられるゲスト声優の方が良いですね。
内容としましても、犯人の目的が不明で、謎が謎を呼ぶ展開…最近のコナン映画と比べると地味なのは否定できませんが、こういう推理していくコナンが好きな私には大満足です。
推理するコナン映画がまた観たいなぁ…。
以下、ネタバレ付き感想。
{netabare}
先ず、小五郎も妙に格好良かった気がします…弱気になるところも、さりげなく状況を目暮警部に伝えるところも…。(またキッドが化けてるわけではないかとやや疑いました。)
また、平次やキッドの主役級の活躍。ファンとして嬉しいです。
でも個人的にこの映画で最も格好いいと思ったのは、阿笠博士と目暮警部だったりします…。
少年探偵団が爆弾によって最後を迎えるかもしれない瞬間に迷いもせず「子供達だけにしとくわけにはいきませんからな」っていう阿笠博士に「そうだな」と答える目暮警部…渋すぎる…泣きそうになりました。黒幕だなんて噂もあった博士ですが、子供たちへの愛は間違いなく本物ですね…。
実際、時間が残りわずかになってから、二人は他の若者たちを追っ払って子供たちのところに向かいます。明るく「今日は楽しかったかい?」と子供たちに聞く阿笠博士…渋すぎる…。他に唯一事情を知っている白鳥警部も指示に逆らって子供たちの元へ…出世したのも納得の彼の人情の厚さを感じさせます。ここら辺のシーンが特に好きだったなぁ…。
ただ、肝心の事件については、コナン・平次・白馬(キッド)という豪華三人組が解くには簡単すぎるもので、事実警察が既に見当を付けていた「探偵のいらない事件」でした。麗子が西尾を殺したという警察の見解が愛する麗子を死に追いやったと考えた伊東は、無能と感じる警察にではなく、優秀な探偵達に自分が西尾を殺したことを証明してもらおうと考えました。
結果的には警察の見解である「西尾殺しは麗子によるもの」という判断が正しかったという皮肉なオチです。
こういうオチとかは大好きなんですが、伊東の最愛の人が自分であるというのは正直違和感が…。こんなに手間をかけて調べさせてることから、「麗子への強い執着」ってものをヒシヒシと感じられるのに…それを上回る自己愛の持ち主だったとは…。確かに自分の計画が崩れただけで仲間を殺そうとしたんだしなぁ…。古谷徹の好演もあってなかなか面白い犯人だった気がします。
最後に、白馬がキッドだと終盤まで気付かなくて、そこも面白かったです。園子がIDを無くしていたのがフラグだったとは…。白馬が付けていたIDは爆弾のついていない園子の普通のIDだったのですね!(ペンキで気づいた。)なかなかうまくできてる作品だと思います。
B'zの曲も良いですし、あまり良い評判ではない気もしますが、個人的にはコナン映画で屈指の力作の一つだと思っています!観ていない方は是非阿笠博士の渋さを目当てにでも観てみてください!
{/netabare}