ヒューマンドラマで友情なTVアニメ動画ランキング 10

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画のヒューマンドラマで友情な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月06日の時点で一番のヒューマンドラマで友情なTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

77.9 1 ヒューマンドラマで友情なアニメランキング1位
ZEGAPAIN ゼーガペイン(TVアニメ動画)

2006年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (1102)
6615人が棚に入れました
未来的にデザインされた街・舞浜市に住み、近郊の高校に通う普通の学生、キョウ。たった1人で水泳部を切り盛りする彼は、中学以来の因縁を持ち難癖をつけてくる宿敵達とのいざこざも意に介せず、練習と水泳部への勧誘の為、学校の室内プールへと向かう毎日。
ある日、幼なじみのリョーコに頼まれ、映画研究部作品の撮影中、やる気の無いキョウはNGを出し撮影は中断。ふと、窓の外を見るとそこで彼は飛び込み台の最上段に立つ、1人の見知らぬ美少女・シズノを見つける。
水泳部入部希望者と察したキョウは、慌ててプールへと急ぐが、シズノは声にならない謎の言葉を残し、華麗な飛び込みを見せ忽然と姿を消す。シズノの事が忘れられないキョウだったが、程無くして彼女はキョウの自室に瞬間移動したかの如く唐突に現れる。
シズノはキョウに「ゲーム」の始まりを宣言。彼女の導きのままにキョウは異空間へ転送され、美しい光の装甲をまとった巨大ロボット「ゼーガペイン・アルティール」に乗り込み、敵と目されるキャラクターをシズノと共に倒していく。
だがしばらくして、キョウは様々な疑問に対峙していく事になる…。

声優・キャラクター
浅沼晋太郎、花澤香菜、川澄綾子、朴璐美、牧野由依、渡辺明乃、坪井智浩、井上麻里奈、吉野裕行、加藤将之、神谷浩史、ゆかな、家中宏、久川綾
ネタバレ

sekimayori さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

ありとあらゆるもの 【96点】

「生」の在り方と「存在」の本質を問う、青春ロボットSF。
過酷な戦いと瑞々しい青春グラフィティが共存し、情緒的でありながら「存在」の哲学的考察にまで冷静に踏み込んだ、大好きな作品です。

惜しむらくは知名度が微妙に低い点。
これほど夏、殊に夜更けと朝焼けにマッチする作品もないと思うので、ぜひこの時期に。
SF>青春>>>ロボットな感じなので、ロボが苦手な方でも大丈夫なはず。
ネタバレを避けて、とにかく6話まで我慢強く観ていただきたく。

軽く感想を。

【○良い点】 4つ
①「幽霊」の立場から問う、「生」と「自己」
②貫かれた情緒的SF
③インテリだけど感性的なキョウと、本作のカラーを決めたカミナギ
④OP/ED:ここまで作品の内容・雰囲気とリンクした主題歌を他に知りません。
 特に、電子音の浮遊感に切ない歌詞を乗せたEDは、類稀な美しさ。
毎話のEDへの入りも素晴らしく、何度鳥肌が立ったことか(6、13話は白眉)。

【△少し残念な点】 2つ
①スロースターター: 他人に勧める際には、「6話まで観て」と付言せざるをえない。
②敵の描写:せっかく敵サイドも変化してゆくのに描写が薄く、黒幕も存在感が無い。
 だから、キョウの思想的な対立軸を、身内から出さざるを得なくなったわけで……。
 ここでもっとテーマを語ることができたはずで、すごく惜しい。

【×悪い点】 2つ
①ロボットバトル:CGの拙さ、使い回しももちろんですが、SEが安っぽい。
②ルーシェンのアレ:( ゜Д゜)ポカーン  憧れの発露、にしては行動が過激……。


こっから長々語ります、ほんと長いです、まとめろよ自分……。

■「幽霊」の立場から問う、「生」と「自己」
{netabare}
以下、本作の示す「生」と「自己」の在り方が個人的にドンピシャで大好きだというだけのお話です。

量子コンピュータ内でシミュレートされる波動関数に過ぎない自分たちは、はたして生きていると言えるのか?
そもそも、「自分」なんてものが存在しているのか?
肉体を持つ敵に対し、生命の残滓である自分たちは「幽霊」でしかないのではないか?
本作を貫くのが、この「生」「自己」に対する悲痛な疑問と、それに答えようとする(内面・外面双方において)絶望的な戦いです。

実は本作は、「生」とは何かというテーマに、作品としては明確には答えていません。
データである幻体も、人造生命である復元者も、もちろん肉体を得たキョウも生きている。
煮え切らないっちゃあ煮え切らないけど、丁寧に描かれた舞浜サーバーの幻体たちを生きていないと断ずることは、視聴者心理的にも難しい。
現実でも、倫理学からはクローン人間を否定することはできなくなっていると聞きます。
データと生命の差異という主題は、生命工学の発展により生命の定義が曖昧になった現代においては、より答えが出しづらくなったテーマなのかもしれません。

しかし一方でゼーガペインは、生命の定義が拡散するなかでの「自己」とは何かについては、一つのロールモデルを示しています。
幽霊としての永遠の命も悪くない。
そう言い切ったうえで、それでもキョウは、肉体を伴う「生」を選び取ります。
だって、ありとあらゆるものとガチンコで語り合いたいから。

この理由、(設定で多く取り入れられた)量子力学の「存在とは他者に観測されることによってはじめて確定しうる」というドグマに通じるものが。
また、作中で言及のあった「色即是空、空即是色」にも、「すべてのものが網み目のようにお互いに関係しあって存在していて、単独で存在するものはない」という意味が含まれるようです。
参考:http://www.bukkyo-kikaku.com/no_89_11.htm(※仏教系のページです)
共通するのは、自己が存在しうるのは他者との営みの中においてのみである、という意識。

生命の身体性に疑問符が付きつけられ、肉体に宿るはずの自己の確証も希薄化する時代。
その中にあって、本作は、自己のよりどころを他者に求めます。
個人的な話で恐縮だけど、一人黙々とキーボードでレビューを打ち込んでると、自分の意見に「自分」ってのがあるのか、不安になったりすることも。
でもレビューを読んでいただいたりサンキューいただいたり、その上メッセージまでいただけたりすると、とりあえず他人と同じ/違う意見を持つ自分がいるんだな、と少し実感できたりします。
そういった交流を通じて意見が変わったりもするけれど、そういう変化も「自己」の一部なんですよね。
(そんなことでしか自己承認欲求満たせないネット弁慶乙、とか言わないよーに。
リアルが寂しいんだからしかたねーのです。
空から突然女の子降ってこないかな……)
ということで、揺らぐ実存を他人のまなざしによって補完しあうという「自己」の捉え方は、少なくとも私にはとても好ましいものでした。
「自分探し」の終着点が他者を拒絶して内面に引きこもることだったエヴァから、時は進んだんだなぁとも思えます。

同時に、あえて「肉体」を重視する結論を出したのも、個人的にすごく好み。
また私事になるけど、散歩とか旅行とか好きなので、時々ネットでちょこちょこ調べた場所にふらっと出かけます。
実際に訪ねてみると、得てた情報よりすごかったりしょぼかったり色々なんですが、少なくとも絶対に想像と同じではなくて、それがすごく楽しい。
ネット社会ゆえに、実物を見た時の衝撃というか感触って、一層かけがえのないものになっているようにも思えたり。
そういう感触を味わうには、やはり肉体あってこそ。
森羅万象に素手で触れあえるというのは、決してなくならない身体の強みでしょう。

ただ、この結論がめちゃくちゃ青臭いことは否定できません。
このテーマに沿って観た方でも賛否両論好き嫌いは生じるだろう、とは思います。
いきなり飛び火するけど、まどかを「自己」確立と同時に枠組みとして世界から疎外し、それによって冷徹なまでの最大多数の最大幸福を実現したまどマギは、ほんと効率的で容赦ないなーと感心せざるを得ない。 {/netabare}


■貫かれた情緒的SF
{netabare}
テーマについて長く書きすぎたけど、ゼーガペインのストーリーは純粋に美しく、それだけで楽しめます。
絶望的な展開に青春グラフィティの透明感が強調されるのはもちろん、残酷なSF部分自体もすごく扇情的で心に残る。

これたぶん、本作が設定上ハードSFでありながら、ハードさにこだわっていないからこそだと思います。
「量子論」とか「光」とか、グッとくる単語を魔法の箱として使用することで、ガチガチな論理に支配されることなく、キャラの思いに対応する物語の展開を作り出せる。
整合性を重視した海外のハードSFとは毛色が違ってくるけど、想いが論理を超越する情緒的なストーリーは王道で大好物なわけで、日本独特の情緒的SFと言ってよいと思います。

それを支えるのが、ゼーガの屋台骨たる演出。
また、ご都合主義も疑問も、意外な力技と細かな伏線回収・セリフ回しでフォローしてくれます。
特にセリフ回し、「世界は光でいっぱいだよ」という一言で物語後を明るく暗示しつつまとめるセンスの良さには感服。
そしてやっぱりEDへの入り方が良いアニメは名作。

あと個人的には、幽霊が実存を語る、というテーマの語り方にすごく惹きつけられます。
SF、というか物語の機能の一つは、現実を超えたものを通じて現実を問う、というもの。
この点で、ゼーガは務めて正統派の、「SFしてる」SFだと言えるはず。 {/netabare}


■インテリだけど感性的なキョウと、本作のカラーを決めたカミナギ
{netabare}
AIやオリジナルシマとの問答から伺えるように、キョウって本当はかなりのインテリとして造形されています。
一方メンタリティは一見熱血バカのそれで、実際そう揶揄されてるのを見かけたことが。

でも個人的な見立てでは、それは違うよ、と。
キョウの熱血は、知性を備えた人間が考え悩んでそれでも答えが出ないときに、最後によって立つところの感性を言葉にしたもの。
それが発露するのは想いが理屈を超えた瞬間であり、だからこそ視聴者としては「舞浜シャイニングオーシャンパンチ」なんてクソダサなネーミングにすら笑みと涙がこぼれるわけで。
同時に、自己の思考のみで扱える理論・知識ではなく、他者との交流で育まなければならない感性を大事にする姿は、先に書いた「生」の在り方を謳いあげるのにとてもよくマッチしていました。
善意解釈しすぎかもしれないけれど。
ということで、キョウはスマートさと人間的な熱を同時に感じさせる、非常に魅力的な主人公だというのが私の中での結論です。

あと、絶望的な展開ばかりのゼーガが爽やかな作品として成立しえたのは、ひとえにカミナギのおかげ。
シズノ先輩には悪いけどこれだけは確定事項。
もともとの清涼感溢れる幼馴染キャラに、花澤さんの初々しい演技が合わさって、尋常じゃない瑞々しさとほんの少しの健全なエロスを醸し出していました。

おまけ。
偏見と劣情にまみれたカミナギ名台詞BEST3
1.舌足らずな「キョウちゃん」全般
2.(パイロットスーツを見たキョウの「なんかエロいな」に対し)「ありがとっ」
3.「一緒にいちゃ、やだ?」 {/netabare}


私にとって他に代えがたい作品なので、冷静さを欠いた部分もあるけれど、とりあえずギリギリ今日エンタングル(レビュー投稿)できてよかった。
1年後まで更新したくないから、誤字とかあったら死ねる……。


【個人的指標】 96点

投稿 : 2024/11/02
♥ : 15

マスルール♪ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

【ネタバレ有】「“生きる”ことの、本当の意味を教えてくれる名作―!!」

 
 サンライズ製作のロボットアニメ作品―。


 タイトルの「ゼーガペイン」は、キャッチコピーである、
 ―「消されるな、この想い 忘れるな、我が痛み」―
から取られた、“是我が痛み(これ わが いたみ)”から来ている―(是我の音読みでゼーガ、痛みは英語でpain(ペイン))。



 ロボットアニメ作品というと、それだけで毛嫌いする人がいるが(実は自分もそうである…)、この作品のメインはロボットアクションではない―。


 それが、良い様にも悪い様にも出ているのだが―、この作品の軸は、ロボットアクションではなく、登場人物たちが、悩み…、苦しみ…、それを乗り越え成長する“ヒューマンドラマ”にある。

 にもかかわらず、この作品が放送されたのは、平日の夕方((木)18:00~18:30)で、この時間帯の視聴者層と言えば、まず間違いなく“子供”である。その子供たちが、ロボットアニメに期待しているのは、ヒューマンドラマな訳もなく、当然、“ロボットアクション”一択だろう(夕飯前に“命”について考え、涙している子供の姿など想像できない…いやしたくもない…)。


 (残念ながら)、作る側と世に出す側の考えが“一致”していない…。それが、この作品が日の目を見なかった一番の要因となったのではないだろうか―。



 前述、この作品の本質は“ヒューマンドラマ”と言ったが、具体的には2つのテーマを、(キャラだけでなく)視聴者に問いかけている。それは、
 ―「生きるとは何なのか―」
 ―「幸せとは何なのか―」
ということ…。


 最初に釘を刺しておくが、この2つの問いに“答え”はない―。
 それは人によって、考える時期によっても異なり、製作者側も、何もこの問いの答えを見つけてもらおうなどとは思っていない。

 しかし改めて、こうして全てを観終わった後に、この問いについて考えてみると、(この作品にハマった人なら間違いなく)、この2つの問いの“本質”…、“本当の深さ”を感じることが出来ると思う―。


 作中では、肉体の有無…、命の限り…、生きる目的…、命を懸ける理由…。様々なことを主人公の“キョウ”たちに問いかけ、それぞれが、自分の意志で考え行動することに意味を持たせている―。


 死ぬまで分からないかもしれない答えを考えるのは、結局のところ、「何のためになら行動できるか…」ということに尽きるのではないだろうか…。

 その何かを考えたとき、“誰かの顔”が浮かぶ人もいれば、やりたいこと…なりたい“夢の姿”が浮かぶ人もいるだろう。
 そうして前へと進む気になったのなら、それが、自分にとっての、この2つの問いの“答え”である―(偉そうに言っているが、自分も言葉に出来る答えはないです、すいません…(汗))。



 この作品を語る上で、もう一つ言及しておかなければならないのが、“最終話のラストシーン”である。あのシーンには間違いなく、製作者側の“想い”が込められており、(シマの置き土産ではないが…)視聴者への“最後のメッセージ”が込められている―。

 (最初に言っておくが、公式に発表された答えは無い。なので、各シーンごとに映された物や風景から、(それぞれが勝手に)、“読み解く”しかないのである。)


 では実際に、各シーンごとに見ていくと―、

 まず最初に“砂浜に埋もれているラジオ”がある。これは、キョウが一人で“リザレクションシステム”を製作していたラボにあったそれであり、そのボロボロさが“時間の経過”を表し、天気予報が放送されていることで、“人類が地球上に復活したこと”を暗示している―。


 次に、EDを挟んで、“古びた灯台”と、ベンチに座って“水を飲む一人の女性”が映される。この灯台は、(ラジオと同じように)、キョウが一人でいた頃は原形を留めていることから、同じく“時間の経過”を表している。


 水を飲む女性だが、これこそが、皆の意見を二分、三分する最大の理由である―。

 彼女は妊娠しており、どこかヒロインの“リョーコ”にも見て取れる(声優が同じなのは問題ではない)。

 ここで可能性として挙げられるのは、①リョーコ説、②リョーコ(とキョウ)の子孫説、③(抽象的な)未来を生きる人類説…である。

 灯台のさびれ具合などから、何十年かの時間経過があったとして、①の場合も十分に可能ではある。しかし、(基本的にハッピーエンドで終わるように作られているこの作品において)、あえて“一人のリョーコ”を映すということに意味を感じない(キョウは病気や寿命で、先に死んだという人もいるが、そうする必要性が全くない)。

 となると、②か③となるが、自分は③の説を押したいと思う。あの女性をリョーコの娘や孫と捉えるよりも―、
 もっと抽象的に、「その後の地球では、また以前のように人類が生活し、次の世代にも彼らの意思が受け継がれようとしていることを暗に示している…」…と考える方が、よりキョウやリョーコたちの“願い”(=また人類が、本物の世界で限りある命を生きること…)に近付いている気がする―。


 (ちなみにだが、この女性が飲んでいた水(コップ)には草が入っている。これは、アラスカ地方に伝わる、「“イェル”という創造神が、神々から光を盗み出す際に、葉に化けて、水を飲もうとする主神(しゅしん)の娘の体内に入り込んでその子として生まれ、神の孫として、そして神々の一人として生まれ、神々の中に潜入した―」という神話を、モチーフにしていると思われる―。

 この作品内においては、イェルとは“シズノ”のことで、実体を持たない彼女が、現実世界で人になるための手段が、女性の胎内に入り生まれることだったのではないか…、という意見が多くある。

 確かにこの作品は、(“ガルズオルム”や“オケアノス”など)神話から引用している部分が多くあり、この“草の葉のくだり”もおそらくそうだろう。しかし自分としては、そこまで完全に神話通りだと考える必要はなく―、シズノが人間になる方法も、具体的に描写する必要はないと思う。

 このシーンは、もっと漠然とした、“新しい生命の誕生を表現している…”ということでいいのではないだろうか―。)



 この作品は、わざわざ分かりやすく説明などしてくれない。自ら深く掘り下げないと、その“深さ”に気付かない―。

 この作品を“良い印象”で観終わった人たちの多くが、もっと評価されてもいいのではないかと思っていることだろう。この作品は、こうしてレビューを書いていたり、他の人達の感想や考察を見ていたりしてようやく、その深さに気付いていく(噛めば噛むほど味が出る…まるでスルメのような作品…って!下手っ…!!…(反省)…)。


 確かにこの作品は、良い言い方をすれば、テンポが良く…、悪い言い方をすれば、深く掘り下げない…。そこが、人によっては“爽快感”を感じたり、説明不足からくる“浅さ”に繋がったりするのだろう―。


 他にも、作画は2006年のロボットアニメということもあって、いかにもなCGに、上手いのか下手なのか分からないレベルの作画力―。

 タグにもあるが、声優はストレートとも棒読みとも取れる演技力で―、世界観も、キョウという“光源”のおかげで明るく見えるが、実際は“重い”設定である。(EDは最高♪)


 そういったものが表裏一体となっているのがこの作品であり、それが、この作品に対して感じる“完璧ではない傑作感”なのではないだろうか―。


 観終わった瞬間、「うわ…、最高だった…」と感動するのではなく、観終わった後、「うん、良かった…、良かったよ…」と、徐々にその良さを実感していく(まるでスルメのような…(反省)…)、そんな作品である―。



 最後に―、“命”をテーマにした作品は数多くある。その中で名作と呼ばれる作品もたくさんある。しかしこの作品は、今までのそんな作品とはまた一味違う、“命を扱う名作”である―。


 この作品はまず、命とは…生きるとは何なのかを問いかける。そして、何度も生きることの苦難を与え、死ぬことのない“永遠の命”がどれほど素晴らしいかを説く―。

 (観ていて思ったのだが、“クロシオ先輩”は実に良いアクセントになったなと思う。「虚構でもいいから死ぬことのない世界で生きたい…」…彼の考えは実に“普通”な考え方で、命を身近に感じてきた者ほど、その不安のない虚構の世界は、実に“楽な”世界に見えていただろう…)。


 現実の世界には文字通り何もなく、得ることが出来るのは“寿命”である。誰よりも生きることを望んだ者が、代価として得られるのが、“限りある命…”…まるでどっかの禅問答だ―。

 それでもキョウや他の人達はその道を選び、その方が良いと感じる自分もいる―。


 現実でもそうだろう―。限りがあるからこそ命を大切にするのと同じように、苦労するからこそ余計に幸せに感じる―。

 “痛み”なく手にしたものに本当の価値は見出せない―。そんな、当たり前だが皆が忘れていることを、改めて気付かせてくれる素晴らしい作品であった―。


 (終)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5
ネタバレ

takarock さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ゼーガペイン放送から10週年を迎えて

2006年4月から放送されたサンライズのSFロボットアニメ(全26話)。

私的に2006年というのは、
日本アニメ界において非常に重大な節目となる年だったと思っています。
本作と同時期に放送された「涼宮ハルヒの憂鬱」は、
アニメ好きだけでなく、普段アニメに興味を示さない層の耳目を集めていましたし、
同年10月に放送開始した同じサンライズの作品
「コードギアス」については、もはや説明不要でしょう。
手軽に消費できる娯楽としてアニメが注目され始めた、そんな年だったと思います。
あくまで私感ですけどw
そういう大きな変革期の中で埋没してしまったのが本作「ゼーガペイン」でしょうw
「隠れた名作」、「知る人ぞ知る名作」というような表現がよくされる本作ですが、
一部の間では根強い人気を誇っており、2010年には受注限定でBD-BOXが販売。
そして、放送10週年となる今年(2016年)にはBD-BOXの一般販売が決定。
10月には、新カットも追加した劇場版が公開予定のようです。

ここからはネタバレありで語ります。未視聴の方は読まないでください。
これだけ良く出来ている作品です。
視聴前からネタバレ食らうのは損するどころの話ではないので。


{netabare}まず、ざっとですが本作を振り返ると(只のあらすじなので面倒だったら飛ばしてください)
主人公十凍京(ソゴルキョウ)たちが学園生活を送っていた舞浜市は、
実は虚構の世界(量子コンピューターサーバーに管理されている仮想世界)であり、
ゲームの世界だと思っていた荒廃した世界こそが現実世界であった。
人類はすべて滅亡しており、キョウたちも「幻体」と呼ばれる人格記憶体であり、
コンピューターに保存されたデータだったのである。

そのすべての元凶は超天才科学者のナーガである。
ナーガはかねてより時間の加速した量子サーバー内で人間を進化させる
「無限進化」を提唱しており、それを実現させる為に
致死率98%の「オルム・ウィルス」をばら撒き、人類を強制的に量子サーバー内に押し込む。
その後、ナーガはガルズオルムを組織し、
I.A.L.社のロボットを使い、環境実験空間「デフテラ領域」を世界中に作り始めた。
しかし、ループを観測しサーバーコントロールから離れた存在である
「セレブラント」達は対抗組織「セレブラム」を設立。
彼らはシマが開発した「ゼーガペイン」を始めとする光装甲を纏った「ホロニックアーマー」に乗り、
荒廃した現実世界でガルズオルムと戦い続けていた。(wikipedia「ゼーガペイン」参照、抜粋)


なんでwikiに載っていることを、わざわざここに記載したのかというと、
何故にこんな世界が形成されたのか?
敵は誰で、何の為に戦うのか?
これらの問いに対して、明確に言葉で説明できる素晴らしさを声を大にして言いたいからです。
明確に言葉で説明できるということは、
プロットの段階から設定やシナリオを相当練ってきている証左であると思います。

本作の構成要素を個別に分解していくと、
「どこか(他の作品)で見たことあるような」という、ある意味紋切り型なのかもしれません。
例えば、量子コンピューターの処理能力には限界がある為、
8月31日の午後0時になると4月5日までリセットされてしまう訳ですが、
これは、所謂ループものに内包される事象なのかもしれません。
ですが、本作をループものと言い切ってしまうのは些か乱暴だと思います。
ループものというのは、真の解決に向けてキャラが何度も同じ時間を繰り返すというものですが、
本作はそれを主とする作品ではありません。
ループすることが主ではなく、あくまでループという要素を取り扱っているに過ぎないのです。
そして、ループする原因を明確に言葉で説明できるというのが、
物語に説得力と厚みを持たせています。
こうした明確に言葉で説明できる個別の構成要素をいくつも積み重ねていくことによって、
全体で見ると、他の作品にはない本作独自の世界観が形成されているのだと思います。
例えるならば、誰もが知っている食材を使っているのですが、
それが上手く調理されているので、
出来上がった料理は今までありそうでなかった新しい美味だったと言ったところでしょうか。

本作の楽しみ方やその秘密について、さらに考えていきたいと思います。
通常、我々視聴者は作中の主人公よりも高次元の視点から、
観測者として物語を俯瞰することができます。
本作では、衝撃の事実(物語上の仕掛け)を主人公キョウに提示するのと同じタイミングで
視聴者に提示してきます。
我々視聴者は、衝撃の事実を突きつけられたキョウたちの狼狽、葛藤、
そして、どのように対峙していくのかとキョウたちと同目線で楽しむと同時に、
物語の観測者として、
さらなる仕掛けや物語の結末を予想して楽しむという二重の楽しみ方をしているのですが、
ここでも重要になってくるのが、その仕掛けを明確に言葉で説明できるということなのです。
どの作品がとは言いませんけど、
シーンありきでシナリオを作ったのだろうなという作品は多々存在するのですが、
そのほとんどすべてが設定やシナリオの脆弱性を露呈しています。
視聴者に解釈を委ねていると言えば聞こえはいいんですけどね。
突飛な展開で視聴者置いてけぼり、
真面目に予想していたのがアホらしくなってしまうことが多いんですよ。
それらの作品は、設定や起こった現象に対して
明確に言葉で説明できるということが欠如しているということなんですけど、
その有無は、作品の印象を大きく違えてしまう程重要なのだと思います。

では、これ程の作品が何故に埋もれてしまったのか?
単純に「華」がないからでしょうねw
萌えなど皆無な上、主人公十凍京(ソゴルキョウ)もイケメンという訳ではないしw
中の人と言っても、肝心の主人公十凍京(ソゴルキョウ)役の
浅沼晋太郎さんは、本作がテレビアニメ初出演。
ヒロインの守凪了子(カミナギ・リョーコ)役は当時ド新人のざーさんですからねw
あまりの棒演技に台詞の度にゲラゲラ笑ってしまった程ですw
また、戦闘シーンも迫力不足というのは正直否めません。
ただ、アクションが分かりやすかったというのはよかったと思います。
最近は3DCGの技術が著しく進化していて、迫力も段違いなのですが、
何をやっているのかいまいちよく分からないと感じることがしばしあるので。
あとは、序盤の地味過ぎる展開ですかねw
ファンの間で本作の公然の薦め文句は「取り敢えず6話まで観て」だそうですw
ほぼ同時期の同じサンライズ作品「コードギアス」と比べてしまうと、
圧倒的な華のなさですw {/netabare}


さて、私は冒頭で本作が放送開始された2006年は、
手軽に消費できる娯楽としてアニメが注目され始めた年と言いました。
宮崎駿監督の言葉を借りれば、
ポリポリとポテトチップを食べるように消費されているということなのでしょうけど、
2006年から今日に至るまでに、こういった傾向はより顕在化しているように思えます。
2000年~2011年の期間では、深夜アニメの放送本数は2006年の93本をピークに、
そこから2011年までは減少傾向にあったのですが、
2012年は106本、13年は128本、14年は159本、15年は170本と再び凄まじい勢いで
増加していっています。
もはやすべての作品を網羅することなど不可能と言ってもいいでしょう。
従って、「つまらないから何話で切った」、「よく分からないから何話で切った」
という声が増えていくのは至極当然のことなのかもしれません。

私はこのレビューで明確に言葉で説明できる、
すなわち、練りに練られた作品設定やシナリオの素晴らしさを説いてきたわけですけど、
このような状況下で、それがどれだけの重要性を持つのか、正直言って甚だ疑問です。
論理的な骨子、重厚なバックボーン、
そんなものよりも、たとえ唐突であろうとも、ご都合主義であろうとも、
まるで感動シーンを切り売りしたような、
視聴者にとって口当たりのよい、分かりやすいものの方が歓迎されるのではないでしょうか。
そんな風に思ってしまいます。

偏屈な私の知人はこんなことを言っていました。
「アニメは2000年代前半までだね。
それ以降のは一部を除いて視聴者に媚びているようなものばっかで視聴する価値がない」

こういう意見も分からなくはないですけど、
ただ、私はたとえ萌え豚御用達と揶揄されるような作品でも
素晴らしい作品はいくらでもあると思っています。
視聴者に媚びている作品=くだらない作品だとは露ほども思っていません。
どんな作品にも良い箇所はあるという考えです。
キャラが可愛いだけのアニメ? 
それの何が悪いんですか?

その一方で、本作のような骨太な作品がもっともっと評価されてほしいとも思っています。
そのような土壌の形成を心から望んでいます。
ゼーガペイン放送から10週年を迎えて、
我々アニメ視聴者を取り巻く環境は大きく変容しましたけど、
こんな時代だからこそ、より真摯にアニメ作品と向き合っていきたいとも思えます。
まぁ言っても娯楽なので、気楽に楽しむというのは大前提なんですけどねw

投稿 : 2024/11/02
♥ : 37

88.4 2 ヒューマンドラマで友情なアニメランキング2位
カレイドスター(TVアニメ動画)

2003年春アニメ
★★★★★ 4.1 (1550)
8225人が棚に入れました
アメリカに、サーカスとミュージカル、マジックを組み合わせたようなエンターテイメントを提供する集団があった。その名を「カレイドステージ」という。
幼い頃に見たカレイドステージに憧れ、単身日本からやってきた苗木野そら(なえぎのそら)は、選ばれたものにしか見えないステージの精霊であるフールが見えるが、新体操しかやったことが無く、演技については完全な素人。しかもオーディションに遅刻して来た上にカロスが特別扱いする為、レイラから完全に敵視されることに…。
しかし、さまざまな試練に遭遇しながらも、持ち前の前向きさと身体能力、そして根性でそれらを乗り越え、やがてカレイドステージの花形、カレイドスターへと変身していく…。

声優・キャラクター
広橋涼、大原さやか、西村ちなみ、渡辺明乃、水橋かおり、櫻井孝宏、中原麻衣、折笠富美子、小桜エツコ、子安武人、下野紘、藤原啓治、久川綾、大森玲子、あびる優
ネタバレ

フーカム さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

スポ魂のようでスポ魂でない傑作!

スポ魂が好きな人にオススメです←タイトルに反するけど許してw見ればわかると思います

幼い頃に家族と見たステージに憧れカレイドステージ(サーカス団)に入団した少女の成長を描いた物語

作品が古いことや全51話ととても長いことからなかなか視聴するのにためらっていたのですが見てよかったと思いました
また、作画も思ったほど古臭さは感じませんでしたし、何より全ての話がまんべんなく面白いためあっという間に見終わってしまいました

彼女のまっすぐさとひたむきな努力に心が動かされ応援したくなり感動させられてしまいました(>_<)
よく見る誰かが死んだり出会えたり別れたりといったものでは無い本当の感動ってこんな感じなのかなって思いました

またOVAも作品のメッセージが伝わるもので物語の補完も出来ていて凄く良かったのでぜひ見てほしい

自分なりの考察感想
{netabare}
この作品のメッセージは前半と後半に1つずつあると感じました
その2つを終番でうまくまとめてくれたように感じます

1つ目は     【夢は信じる者の前に現れる】

これはフール(英語で愚か者の意)を用いてうまく演出している

ここに相当する話が前半では

・マーメイドの主役のチャンスを得た空がリハーサルに失敗し、そのトラウマから飛べなくなってしまいフールも見えなくなってしまった話

・幻の大技に挑む話

であり、空は自分がミスしたことにより、「やって出来ないことはない!」と自信家だったのが死の恐怖から自分を信じられなくなってしまいフールが見えなくなる

そして幻の大技は「死を恐れない」と答えるのではなく「絶対に死なない」と答えたことからフールに資格を認められた
この回答の前者と後者の違いは
前者では死の可能性を認めそれが怖くないと考えているのに対し
後者では死の可能性は絶対にないと自信を持っているのである

またレイラさんに空が質問した内容からも


「もし昨日フールが私たちの資格を認めてくれなかったらどうしようと思ってたんですか?」

レイラ
「考えてなかったわ。当然フールに認められるものとばかり、でも確かに普通は考えるわよね?空は?」


「実は私も…(二人で笑い合う)」

ここからも二人の自信が伺える

そして "フール"とは"幻"であり"夢"そのものの象徴
また "資格"とは"資質","才能","可能性"といった夢を阻むものの象徴でありそれらを信じ切れるかというものであったと考えられる

つまりステージの精であるフールはステージに上がる者の中で有り得ない幻のような夢でも自分を信じ抜ける愚か者にしか見えないのだと思う

最終話では


「レイラさんは正しい。
 争うことがない世の中なんてありえないって私も本当はそう思ってる。
 でもせめてステージの上くらい争いがなくてもいいのにともまだちょっと思ってる」

フール
「挑戦者、冒険者、開拓者。そういった名で呼ばれる者たちは全て愚か者だ。
            誰も目指さぬ夢を追った愚か者を待つのは嘲りか喝采か。」

という流れからも

"絶対に無理だ、危険すぎる、有り得ないなどといった幻のような夢を信じて追う者の前にこそ夢は実現されるのだ"

ということを言いたいんじゃないかな?とおもいました

レイラさんにフールが見えなくなったのは真のカレイドスターの誕生という夢が叶ったからじゃないかなぁ
最後の二人の会話


「私はこれからもレイラさんの夢って思っていていいですか?」

レイラ
「いいえ、あなたはもう私の夢じゃないわ。あなたは私の誇りよ。」

そしてロゼッタにフールが見えるようになりましたが、このとき空にはもうフールがみえなくなったんじゃないかなぁ
↓更新 
カレイドスター 新たなる翼EXTRA STAGE「笑わない すごい お姫様」OVAネタバレ
{netabare}
OVA見てみたらその後も空にはフールが見えていましたね
でも最終話でユーリが「これが夢のゴールか」
それに対してカロスが「夢の始まりだ」といっていることから
空の夢はまだ続いているためフールは見えるという解釈でもいいかなとおもいました、いやむしろ見えていて欲しかった
夢が叶ったら終わりじゃさびしいもんね
だからレイラさんもまた新しい夢を追っているんでしょう

また主役に自信を失ったロゼッタにフールが見えなくなったことからも私の思ってるフールの存在の象徴は合っているのかなぁと感じました
{/netabare}

結局カレイドスター(カロス=美しい、エイドス=形)とは一体何だったのかというと私は

         "誰もが探している夢"

のことなんだと思います
スター(夢)は空やレイラさんのように誰かから受け取り、自らがスターとなり(夢を叶え)ロゼッタやケンのようにまた他の誰かに宿していく。そしてそのロゼッタやケンも誰かにとってのスターになるのだと思いました



二つ目は    【物事(特に争い)の二面性】

これは天使と悪魔、愛と憎しみ、、盲導犬、争いなどを使ってうまく表現している

 まず一番分かりやすい提示として利用された盲導犬の話から

ドナーウォーカー
「この子(盲導犬)たちにとっては相手を喜ばすことが最高に嬉しいことなの
まわりを幸せにするただそのことだけを願っている存在、それがこのこたちを天使だと思う理由
あの頃の私にはみんなの嫌な面しか見えなかったけど、この子たちに会ってから
あーそうじゃなかったんだぁって思うようになったの
ステージに立つものならお客さんを楽しませたい!みんなを幸せにしたいっていう天使の心は
誰もがもっているはずだもの。ただ自分方がもっとうまくやれるという想いが天使の心を憎しみに変える
きっと空はステージを見ながらみんなの天使の心を受け取ったのね。その時の私には見えなかったものだけど」


「そっかぁフェスティバルのときは私にも見えていなかったんだ
ミュートさんたちが仲間たちと夢を語っていたその目に嘘は無かった
他の人たちにはみんな夢があってお客さんを楽しませたいっていう天使の心は皆がもっていて
憎しみも争いもその裏返し…憎しみも愛ってそうゆうこと?それなら!!
天使の技は天使になるための技じゃなくて、みんなの中の天使の心を呼び覚ますための技なのかもしれない
ううん、きっとそうだ!
私は私の中の天使を信じる!皆の中の天使を信じる!天使の技を信じる!」

ここで初めて水上丸太の練習がうまくいく

 続いて天使と悪魔、愛と憎しみについて
これは人物を用いて巧みに表現されていました

・ユーリは危険のないステージを作るという愛が強すぎて他者を蹴落とす悪魔として
・レオンはソフィーへの愛からパートナーを潰す悪魔として

最終話のユーリとレオンの会話
ユーリ
「天使の技は基本的には1人でも演じられる技だ、俺たちはまさにおまけだな。
彼女たちは強い。1人でどこまでも走っていける。
ただ、ときどきほんの少しだけ寄りかかりたくなるときがある。
俺たちはそのときだけ支えてやればいい。それが俺たちの役目だ。」

悪魔とは天使を支える存在ということ

・メイは悪魔から天使になろうとするオディールとして

メイ
「オデットを憎むことでしか愛を表現できないオディール。
ならオデットを滅ぼしたら愛を表現することができなくなるわけよね。
空がステージを降りたせいで気合いが入らなくなった私みたい…
オディールは私…オディールにとっての王子とは私にとってのステージ
オデットに勝とうとする限り王子の愛は得られないオディール…
オディールとオデットの違い…」

ミア
「それはですね、オディールは自分の愛が最も大切なのに対し、
オデットは自分自身よりも王子を大切に思ってるってとこです」

メイ
「自分自身よりステージを大切に思っている空。空に勝とうとする限り私は勝てない」

メイが天使の技習得に苦戦する空を見て

メイ
「自分よりもステージか…もしかして!空あんた…」

ここでメイは空が幻の大技を成功させたときを思い浮かべたのであろうと予想される
そのとき空にとっての王子はレイラさんであり自身よりもレイラさんのことを考えていた
そしてレイラさんの力を借りて導いてもらっていたのだと気が付いたと考えられる

ロゼッタの元へいき共演の提案を持ちかけるメイ

メイ
「あたしクライマックスの技をね、二人技にしようと思うのよ。
何ぼーっとしてるのよ!分かったら練習練習!」

ロゼッタ
「あーちょっと、私出ないっていってるでしょ?」

メイ
「あんたほんとにそれでいいの?空の覚悟は半端ないわ。
例えこの講演を最後に二度とステージに上がれないようなことになったとしてもやり抜くでしょうね。
あたしがカレイドステージに入った時にはもうレイラさんは居なかった…どんなに悔しかったか。
私が今考えている技は1人じゃできない!だからあんたに声掛けてんのよ!
あんたが断れば別の人を探すけど…どうする?」

ロゼッタが承諾し練習に入る

メイ
「あんたの役はオディールを憎しみの迷いの道から導き出す妖精なのよ。
私が表現しなくちゃならないのわ憎しみじゃない…
自分の憎しみに勝とうとするオディール…強い力で導く、誰かの力を借りてでもね…」

ここでメイが思い出したのはレイラさんという王子への愛を
空に勝とうとすることでしか表現できない自分であったと思われる
そんな自分にも導いてもらう力が必要だと考えた
そこで自分の境遇と同じ道を辿るかもしれないロゼッタを共演役に選び
ロゼッタのことを想うと共に力を借りて導いてもらおうと考えたのではないだろうか?


「幻の大技の時も苦しくて苦しくて逃げ出したくなった…
あのとき私が頑張れたのはレイラさんが引っ張ってくれたおかげ!
だけどレイラさんは自分だけの力で頑張り抜いたんだ!誰の力も借りずに!」

ここで初めて空が天使の技を成功させる、つまり自立できた(本物の天使になれた)ことを意味するのだと思う

・レイラさんは天使と悪魔を両方宿す中立のものとして
↓更新
カレイドスター Legend of phoenix 〜レイラ・ハミルトン物語〜 OVA ネタバレ
{netabare}
ここでは新たに "誰かを頼ること" の二面性について描かれていました

【 悪魔 ← 甘え、弱い = 頼る = 信頼、助け合い → 天使 】

このOVAを見てちょっと勘違いしていたことに気づきました
レイラは天使と悪魔を両方宿す中立な者として描きたかったのでは無くて悪魔を一切受け付けようとせず天使であろうとするレイラが悪魔を認めていくというメイとは反対方向の者を描こうとしていたんですね
{/netabare}

空が自分を追い抜くことを望む天使の心と
空を討ち負かし勝ちたいと望む悪魔の心を持ち空と争う

しかしこれらの悪魔は最終的に空という天使によって天使の心を呼び覚まさせられるのだ

そして争うこととは悪い面と良い面の二つの顔がある

【 悪魔 ← 蹴落とす、討ち負かす = 争う = 高みを目指す、守る → 天使 】

争いを象徴するものと言えば戦争だ
だから上記した空の争いのないステージへの最終的な想いや願いは

 "戦争無くして平和は無いのかもしれない
     でも現実では有り得ない幻のようなことだとしても
   せめて夢の中だけではと信じ続ければ
       そんな世界が訪れるのかもしれない"

ってことを言いたいのかなぁと思いました
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 34
ネタバレ

watawata さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

カレイドスターを楽しむにあたって・・・・ (注)カレイドスターの再レビューです。

皆さんご存知『ARIA』を手掛けた佐藤順一監督によるオリジナル作品、出世作の一つでもあります。私事ですが、当然の如くサトジュン作品であるが故、期待値を高めに設定をしてしまい、これが面白く無いはずは無いっ‼︎と意気込んで最初に視聴したのが、はや2年前・・・・。述懐すると様々な要因で一度挫折しているのです。正確に言うと1クール手前で中断したまま2年間放置・・・・記憶の彼方から消え去りそうな時、(おい、お前、あの恥ずかしい思いをしてまでレンタルした作品をこのままにして良いのか?完走せねば報われないぞ)との心の声が脳裏に響き渡り、再度1話から視聴を決断した訳です。

え〜さて、本題に入ります。
舞台はサーカス、今まであまり取り上げられた事があまり無いちょいと毛色が一風変わったアニメ、ヒロインが様々な苦労、困難を乗り越えてスターへの階段を駆け上がる際の【成長】と【自立】を描く、王道中の王道のサクセスストーリー。放映されていた時間帯が朝9時台及び夕方17時台と低年齢層を対象にしている為、基本1話から2話完結で起承転結が明解です。

①試練が課される。問題発生。(トラブルオキュアー)
②試行錯誤する。(トラブルシュート)
③特訓実施。問題解決の行動実施。(エンフォース) (極端な訓練、行動に突っ込みを入れる事が出来ます)
④試練を乗り越える。問題解決。(ハッピーエンド)

変則回も多少有りますが、延々と上記の繰り返しです。そこそこボリュームのある内容(テーマ)を無理矢理、単話完結に詰め込んでいる為、単調になり強引な展開が否めません、又弊害として、止め絵及び同じシーンを多用せざるを得ないのも構成上理解は出来るのですが、最初に視聴した際は辟易としてしまい一旦断念・・・。
そして2年経過・・・完走を決意し視聴再開、すると不思議なもので、同じ所にズドンズドンと重いパンチを打ち続けられると、此方も次第に弱り倒れてしまう訳で・・・もうこの展開結末でしか納得出来なくなる、言わば・・・

『ええ~い、控えぃ控えおろう!この紋所が目に入らぬか!先の副将軍水戸光圀様なるぞ!頭が高い、頭が高いぃぃ。』
『はっ、あの三つ葉葵の印籠は・・・へへぇ〜参りました。許して下さいませ〜』

っとまあ、一種の水戸黄門状態に陥るのです。勿論、物語の骨格がガッチリしている事が大前提ですがね。後は製作者側の思惑どうり、作品にのめり込んで行くしかないのです。(自分は1クール必要でしたが・・・^^;)

物語は2部構成、
1部はヒロインが{netabare} 幻の大技 {/netabare} をサブヒロインと共に{netabare}修得し成功し『成長』する迄の過程{/netabare} のお話。どうでも良い事なのですが {netabare} 幻の大技、幻の大技 {/netabare} と連呼し煽るだけ煽るのですが、最後まで 何故か技名は不明でした。w 意図的な作為をひしひしと感じましたが・・・残念ながら大真面目に言っているのか、笑いを狙ったものなのかは、汲み取ることが出来ませんでした。
っと、話が脱線しました。
ここでは仕事に対する基本的な姿勢と成長が描かれています、新入社員レベルですが・・・、言わんとすることは至極当然な事ばかりです。(あくまで理想像です、現実の社会ではあまり通用しません)青臭いセリフが延々と並べ立てられますが、視線を落とすとストンと胸に入り、ヒロインの愚直な、前向き前のめりの姿勢を己に重ね、仕事に疲れ、嫌気が差し初心を振り返る際は、共感出来るかと思います。

そして2部、{netabare} 天使の技 {/netabare} を演じる事を通して、{netabare} サブヒロインへの精神的依存からの脱却、自分の進む道(理想像)を{/netabare} 見い出す『自立』までが描かれています、まあ管理職手前レベル手前迄です。
ヒロインの抱く理想像{netabare} 競争競技では無く、観客視点であくまでも楽しめるサーカス{/netabare} に対してヒール、ライバル達がアンチテーゼ{netabare} (先ずは個人の演技、満足ありき、その為には競争競技としてサーカスを肯定する認識、観客視点の優先順位は低い){/netabare} を唱えて来ます。以下自分の意見の押し付けです。何方とも正論です、間違ってはいません。仕事を始めて2〜3年目に誰もが通過する課題でもあり、悩むポイントです。但し長期間それなりのクォリティを維持するには、後者が自分には受け入れ易い正論ですね。先ずは自分有りきで仕事のクォリティを高め、継続維持の結果成果が付いて来るのかなっと、この点は作品のメッセージは言わば絵に描いた餅、安直であると考えます。あくまで個人的価値観ですので・・・。

人物の相関関係は明確で、キャラクターデザインを一目見るだけで理解出来ます。
但しこの作品でのポイントは極端なヒールが存在せず、ヒールに対しても行動に対し、納得出来る裏付けが描かれており、尚且つ嫌な役回りを、ちょい役に分散し、ギスギスとした雰囲気を避け、作品全体の暖かい雰囲気を醸し出す工夫もなされています。そして、メインマスコットキャラが語り部、コミカル部、クライマックスでの盛り上げと、何役もこなしており、作品の鍵となります、ただ可愛く無いのでサブマスコットキャラ(オットセイ)が多分後付けで追加動員されたと思いますがw

個人的に重要に感じたのですが、解り易い物語を、さらに解り易くする為に、メインマスコットキャラが、解説及びタロットカード(1部)星座占い(2部)による今後の内容示唆をしてくれます。(タロットカードから星座占いへの変更はやはり、前者が馴染みにくかったのかな?)オマケにアイキャッチでヒロインがサーカスの演技をし、その成功の是非がストーリーにそのまま直結する丁寧さには、作り手のターゲット層(低年齢層)に対する配慮なんでしょうね、細かい点ですが好感が持てます。

総括です。4クールと非常に長いのですが、あらゆる箇所が丁寧に練り込まれれおり(そうでない箇所もありますが)作り手の愛を感じます。ヒロインに自分を重複させて見るのも良し、逆にヒール及びライバルに共感するのも良し、物語の根本を斜め下から穿った見方をするのも良し、純粋に明るく暖かい雰囲気を楽しむのも良し、と骨格がしっかりし、その上に肉付けがなされている作品であるからこそ可能なのだと思います。そして、各部のクライマックスシーンは長い道程を乗り越えた者だけに与えられる、【何か】(人それぞれ)があります、これから視聴予定のみなさん、完走をお祈りしております。


最後に
みんな〜カレイドスターが始まるよ〜。
カレイドスターを見る時には以下の事に注意すると、より楽しめるよ〜。

さてさてさて、

①時々、作画が崩れるけれど10年以上前の作品だから仕方が無い、無い、無い!
暖かく心の眼で綺麗に脳内修正してね。

②絵がよく止まってしまうけれど、大人の事情なので許して欲しい、かな、かな、
かな! これも暖かく心の眼でヌルヌルと脳内で動かしてね。

③同じシーンを何度も使っちゃうけれど、大切な事をみんなに知って欲しいからなん、だな、だな、だな!
決して手抜きじゃないから理解して下さいね。

④強引にお話が進んじゃうけれどもこれは、みんなにいっぱい、いろんなメッセージを伝えたいからなんだ よね、よね、よね!
少し我慢すると慣れるから最低1クールは頑張って見てよね。
・・・・それでも頑張って見ることが出来ないこともある、よね、よね、よね!
そんな時は続けて見ないで、1日おきで見ると、強引なお話の粗が想像で補完されて見やすくなるよ。

⑤やたら画面が眩しく見にくい時があるけれども、サーカスの光の演出上どうしても譲れないことなん、だな、だな、だな!
本当に部屋を明るくして見てね。守らないとポケモンショック(光線過敏発作)が発症しちゃうよ。

⑥カレイドスターは小さいお友達の為に作られたお話なんだ、よね、よね、よね!
大きいお友達が見る時には視線を思いっきり下げて見ると楽しめるよ。

でわでわ


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以下、前レビューになります。こんなレビューですがサンキューして頂いた方々もおられますので、消してしまうのは失礼かと思い、一応貼り付けておきますね。

2012.03.14 03:41 watawataの評価 | 今観てる | 101人が閲覧 | [編集] [削除]
3.7 評価対象: カレイドスター(テレビアニメ)
物語 : 4.0  作画 : 3.5  声優 : 3.5  音楽 : 3.5  キャラ : 4.0

久々に借りるのに勇気のいる作品でした^^
皆さんのレビューが高いので思いきって視聴することに…

いざレンタルしようとGEO(名前を出さないほうがいいのかな?)に行くも見つからず…なくなく店員に所在を聞いた所キッズ少女向けコーナーに陳列しているのを発見…
えっ(少女向けコーナー??!!)

これは……勇気がいる…

今までたいていのタイトルはノンストレスで借りることができたのですが少女向けコーナーとは…
それも、いい歳のおっさんがこのコーナーに向かい立ち止まるにはさすがに抵抗がある。
以前友達に、クラナドを勧めた時にも同じような返答がありました「おいお前、これを見るには少し無理があるぞ、このパッケージものを借りるのなら、エロビデをを借りたほうがましだ。」・・・・・ちなみに友達も勿論結構なおっさんです。

そんなに言わなくてもいいのにと、思っていたのですが少し気持ちがわかるような気がしてきました。
これぞ【ジェネレーションギャップ】とてつもなくおおきな壁でした。(笑)

それでも自分は少し犯罪者なのか?と、訳の解らない自問自答をしながら勇気を出して借りることに…3巻だけですが。

さて10話までの感想です。監督はARIAでおなじみの
佐藤順一監督。キャラクターの練りこみ方は秀逸です。
が、ここまで視聴した感想はどのお話もワンパターンで少し残念な評価です。
ストーリー構成としては1話完結で

①主人公に問題が発生

②問題を克服しようと努力する(その間同僚から執拗な嫌がらせにあう)

③完全なハッピーエンドとはいかないとしてもそれなりの成果をあげて一段落の繰り返し(同僚もそらの努力をそれなりに認める。)
以上の繰り返してす。
これは少女ものの、王道なのかな?
非常に丁寧に作らせているのですが1話完結なので話の展開が早すぎる。
感情移入がしづらい。
2話で前後編位が良かったのでは?
まだ10話も見ていないので、ここまで書いてはいけないと思いますが、現時点の感想です。


また最終話を見終えたら追記しますね^^
でわでわ

投稿 : 2024/11/02
♥ : 28
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

真のスターの輝き、そして、競うことの意味、を問う作品

10年以上前の作品ですが、あにこれでも熱いファンの多い名作アニメ。
全51話と長かったけれど、第39話まで頑張って視聴した結果、見て良かったと思える作品になりました。
特にラスト手前の第50話でかなりの感動を経験。

《内容》
{netabare}
(1)主人公の少女(そら)がカレイドスターになる夢に向かって懸命に努力して羽ばたいていく話(ただし彼女の「真の夢」とは何か、が一歩踏み込んで問われることになる)、であると同時に、

(2)彼女の憧れであるもう一人の主人公(レイラ)が自身のカレイドスターとしてのキャリアを完全燃焼し、後輩の少女(そら)にバトンを託す話でもある。
{/netabare}

放送期間 2003年4月3日 - 9月25日(第1期) 
     2003年10月4日 - 2004年3月27日(第2期)

話数 全51話(但し総集編が2話あるので実質49話) + OVA全3話
(第1期:全26話、第2期:全25話)

表向きの主人公 苗木野そら(16歳)
裏の主人公   レイラ・ハミルトン     

原作 佐藤順一
監督 佐藤順一(第1期) 
   平池芳正(第2期)
シリーズ構成 吉田玲子

※以下は各回の評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×が付いている話は脚本に大きな疑問を感じた回
===============================================================
カレイドスター(第1期)
===============================================================
{netabare}
1 初めての! すごい! ステージ ★ カレード・ステージに出演・合格する話
2 孤独な すごい チャレンジ ★ ゴールデン・フェニックの特訓をする話
3 遠い すごい ステージ ★ ステージを脇から支えるクラウンになる話
4 がんばれば すごい チャンス ☆ 3人娘でシンデレラ公演の魔女を演技する話
5 いつも すごい 遠い家族 ☆ そらの父親が公演を見に来る話
6 小さくて すごい オットセイ ☆
7 笑わない すごい 少女 ☆ ディアボロの天才ロゼッタ登場回
8 つらくても すごい スター ☆ 公演のスター・レイラの誕生日と父親の話
9 主役への すごい 挑戦 × 人魚姫のオーディション。そらが怪我に怯える話
10 主役への すごい 壁 ☆ レイラとは違う人魚姫を演じる話。初めて主役を務める苦しみ。
11 アンナの すごくない お父さん ☆ アンナのサイド・ストーリー
12 熱い すごい 新作 ★★ レイラと新作の競演をするための試練
13 嵐を呼ぶ すごい 競演 ★ パイレーツをレイラと競演する話
---------------- OP/ED 変更 -----------------------------
14 怪しい すごい サーカス ☆ 他劇団での経験。ケンの決意
15 歌姫の すごい 愛 ☆ サラ&カロス回
16 黒い すごい 噂 ☆ 親友まなみ登場。引き抜きによる劇団の危機
17 燃えろ! すごい ミア ☆ ユーリの復讐
18 ユーリの すごい 罠 ☆ 最後の公演。フールが見えなくなる。
19 家族の すごい 絆 ☆ そらの両親の訪米。妹が誕生する話
20 ゼロからの すごい スタート ☆
21 謎の すごい 仮面スター ★ 仮面スターとの競演
22 仮面の下の すごい 覚悟 ★★ 演技コンテスト。急展開。フールが見える
23 幻の すごい 大技 ☆ レイラとの競演が決定。グランド・キャニオンで特訓
24 まだ続く すごい 特訓 ☆
25 ふたりの すごい 絆 ☆
26 傷だらけの すごい 復活 ★ 「幻の大技」。「貴方は私の夢」。第1期完結{/netabare}
----------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)2、★(良回)6、☆(並回)17、×(疑問回)1 ※個人評価 ☆ 3.8

《幸福な西海岸~掴みはさすがに上手い》

第1話の初めに、{netabare}カレイドステージの入団テストを受けるためにアメリカに到着した主人公そらの様子が描かれますが{/netabare}、いかにも陽気で明るい南カリフォルニアの雰囲気がよく描かれていて、すんなりストーリーに入り込めました。
第2話・第3話も、ドラマチックな展開を織り込みつつ上手に話しをまとめていて納得の出来栄えでした。

《面白いけど違和感も強かった第1期》

その後ストーリーは紆余曲折を経ながらも、主人公そらと彼女の憧れのスター・レイラさんが{netabare}様々な妨害や困難を乗り越えて、「幻の大技」の競演に向けて厳しい特訓を繰り返し、ついにこれを完成させる{/netabare}というスポ根的な王道展開を見せます。
確かに面白かったのだけれど、上の各話評価のとおり、この第1期は★★(星2つ)が僅か2回という、個人的には余り納得できない出来と感じてしまいました。
しかし名作という評判を信じて、我慢して第2期へ。

===============================================================
カレイドスター 新たなる翼(第2期)
===============================================================
{netabare}
---------------- OP/ED 変更 -----------------------------
27 スターへの すごい プロローグ(前編) (前半総集編1)☆
28 スターへの すごい プロローグ(後編) (前半総集編2)☆

29 新しい すごい ライバル × レオン&メイ登場回。展開がかなり強引
30 もう一人の すごい 新人 ☆ ロゼッタ回
31 情熱の すごい ライバル ★ 「レイラさんに謝れ!」回
32 氷の上の すごい 対決  ★★ メイとドラキュラ公演のヒロインを争う話。そらの弱点とは?
33 汗と涙の すごい ロゼッタ ☆ ロゼッタの特訓を手伝う話
34 やっぱり すごい レイラさん ☆ レイラを追いかけるのではなく、そら自身の夢を持つ必要を指摘される
35 マリオンの すごい デビュー ☆ キッズ・ステージを作る話。マリオンのデビュー
36 レオンとの すごい 特訓 × サーカス・フェスティバルの特訓。レオンの行動が異常
37 二人の すごい 悪魔 ★ メイの本気が見られる回。「デーモン・スパイラル」
38 天使の すごい 反撃 ★ そらの本気が見られる回。「天使の技」初出
39 惨酷な すごい 祭典 ★★★ フェスティバルの意外な結末
40 絶望の すごい 帰国 ★★ そらの夢がようやく固まる
41 再出発の すごい 決意 ★★ かなり意外な展開。ソフィーとは誰?
42 屈辱の すごい 共演 ★★ 意外な展開の続き
43 ポリスの すごい プロポーズ ★★ そらの演技がもたらすもの
44 笑顔の すごい 発進! ★★ メイの目から見たそら。笑顔の重み
45 レオンの すごい 過去 ☆ 「天使の技」の秘密1
46 宿命の すごい 決斗 × 「天使の技」の秘密2。ソフィーとの約束
47 舞い降りた すごい 天使 ★ みんなの天使の心を呼び覚ます技
48 傷ついた すごい 白鳥 ☆ 争いのないステージ
49 ひとりひとりの すごい 未来(あした) ☆ 最後の試練
50 避けられない ものすごい 一騎討ち ★★★ 競うことの意味
51 約束の すごい 場所へ ★ 最高の喝采。「貴方は私の誇り」。第2期完結{/netabare}
----------------------------------------------------------------
★★★(神回)2、★★(優秀回)6、★(良回)5、☆(並回)9、×(疑問回)3 ※個人評価 ★ 4.4


《第1期の違和感の原因がはっきりした第39話以降の展開》

ネタバラシはしませんが、頑張って視聴し続けて良かったと感じた第39話(★★★(3つ星評価))
そして、続く第40話から第44話まで、この作品の本当のテーマ(のひとつ)が次第に明らかにされていきます。

《裏の主人公レイラの望み》

ラスト手前の第50話(★★★(3つ星評価))ではこの作品のもうひとつのテーマが明かされます。
ここが本当の圧巻(クライマックス)。
最終話の第51話が霞んでしまうくらいの出来でした。
素直にこの作品を視聴できて良かったと思いました。

※以下、ファンサービスの後日談等(OVA)

===============================================================
カレイドスター 新たなる翼 -EXTRA STAGE-『笑わない すごい お姫様』
===============================================================
{netabare}
52 次のスター候補ロゼッタと妖精フールの話 ☆
{/netabare}

===============================================================
カレイドスター Legend of phoenix 〜レイラ・ハミルトン物語〜
===============================================================
{netabare}
53 - 2話分(約51分)。後日談+レイラ視点での物語 ☆
{/netabare}

===============================================================
カレイドスター ぐっどだよ! ぐぅーっど!
===============================================================
{netabare}
54 - 2話(約24分×2回)。 (本編のパロディ) ☆
{/netabare}

《総評》

2003~4年制作の作品なので、作画・演出のレベルはどうしても低く、脚本も色々と粗(あら)が目に付いてしまうので、他作品との兼ね合いでそれ程高い点数は付けられませんでしたが、実際に視聴すれば、点数以上の感動がある作品だと思います。
また、作品テーマという面でも、近年の人気アニメ(かつ名作アニメ)である

①アイドルマスター (スターの輝き、リーダーシップとは何か)
②ガールズ&パンツァー (競うことの意味、その最良の結末)

に、それぞれつながるものがある(※なお吉田玲子氏は②ガルパンのシナリオ構成も担当)と個人的には考えており、その点でも experience としての視聴価値の高い名作アニメであると思います。

《後記》  ※(2015.3.10追記)

上記の①アイドルマスター(2011年)、②ガールズ&パンツァー(2012年)は、カレイドスターで描かれた作品テーマが、それぞれより深化し洗練された形で描かれた作品といえると思います(※なお、両作品にはそれぞれ固有のテーマもあります)。

カレイドスターが、

(1)全4クール51話という冗長な部分も多い大作であり、
(2)作画・演出とも現代の目から見ると古臭さが否めないこと

を考慮すると、もしこれから、こうしたテーマの作品を視聴したいと考える方がおられれば、視聴の優先順位としては、①アイマス、②ガルパン、を先とした方がより効率的かも知れません。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 55

80.6 3 ヒューマンドラマで友情なアニメランキング3位
NHKにようこそ!/N・H・Kにようこそ!(TVアニメ動画)

2006年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (1539)
7908人が棚に入れました
大学を中退して4年目の佐藤達広は、ひきこもりとなっていた。佐藤は、自分が大学を辞め、無職でひきこもりであることなど全てが、謎の巨大組織の陰謀であると妄想する。その組織の名はNHK(日本ひきこもり協会)。そんな折、中原岬と名乗る謎の美少女が佐藤の前に現れる。佐藤をひきこもりから脱却させるべく、岬は「プロジェクト」の遂行を宣言。その「プロジェクト」の目的が不明のまま、岬による佐藤のカウンセリングが始まる。

声優・キャラクター
小泉豊、牧野由依、阪口大助、小林沙苗、早水リサ
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

ヒキコモリ君の妄想話とナメていたら、意外と確りとした《BMG/青春もの》でした!

※レビュータイトルでネタバレ防止のため、変な略語になってますが、BMG={netabare}Boy Meets Girl{/netabare}のことです。
もっとも、18歳のヒロインはともかく、主人公の方は22歳の青年なので、この表現にはちょっと語弊があると思いますが、一応、物語のスタイルとしては、そう要約するのが一番適当なのではないかと。

◆「もどかしい世界の上で」が流れ出す第13話が転換点なので、初見者はそこまで我慢してね!!

歌手で声優の牧野由依さんのアルバム『天球の音楽』(2006年12月リリース)には、『ARIA』で使われた「ウンディーネ」「ユーフォリア」「シンフォニー」、それから『ツバサ・クロニクル』で使われた「アムリタ」「ジャスミン」「夢のツバサ」といった私の好きな曲が沢山収められているので、そのCDを流しっぱなしにして度々ドライブをしていた時期が以前ありました。

そしてそのアルバムの4番目の曲は、最初は馴染みがなかったのでSKIPすることが多かったのですが、慣れてくると何だかこれも良い曲だなぁ・・・と思い始めて、そのうちその曲がくるとそこだけリピートすることが屡々ありました。

・・・そうやって、別段曲名を調べることもなく何となく曲調と歌詞はだいたい覚え込んでいたのですが、たまたま本作の第13話を見ていたら、そのエンディングに突然、この馴染みのある曲が流れてきて、驚いてようやく曲名を調べたら、これが本作2クール目ED「もどかしい世界の上で」だったんですね。

本作自体も、その第13話が、丁度全24話の折り返し点でありシナリオの転換点になっていて、それまで本作のことを、「情けないヒキコモリ君の妄想まみれの下らないコメディだろう・・・」とナメていた私の心が、第13話での意外な展開と、そこでEDとして初めて流れた本曲によって、一気に揺さぶられてしまい、あとは最終回までガッツリ作品世界に惹き込まれてしまいました。

ラスト2話では、それまで謎だった{netabare}ヒロインの真意と目的{/netabare}が過不足なくきっちり開示され、それに対する{netabare}主人公のリアクションと変化{/netabare}も中途半端ではなく納得できる結末まで確りと描き出され、視聴前には思ってもみなかった《感動》まで味わうことが出来、その直後から1周目の時は早々に「ながら見」になってしまっていた序盤からもう一度確り見直そう、という気持ちになりました。


◆本作は、ヒロインの《ulterior motive(アルテリア・モウティヴ 隠された動機)》に見どころがある優秀作

私がこれまで視聴した作品で、同系列(隠された動機系)の名作/優秀作/人気作としては

(1) 『アイドル・マスター』 (2011年)(25話+劇場版) ※個人評価 ★★ 4.7
(2) 『俺の妹がこんなに可愛いはずがない』 (2009,13年)(31話) ※個人評価 ★★ 4.6
(3) 『四月は君の嘘』 (2014年)(24話) ※個人評価 ☆ 3.9

・・・の3本が挙げられると思います。
要するに、この手の作品は、

<1> 1周目では、我々視聴者は、「視点人物」たる「仮・主人公」の少年(ないし青年(*1))のモノの見え方や心情に沿って、謎めいたヒロインの行動動機や心情を訝(いぶか)しがりながら物語を追っていくしかないのですが、
<2> それらが開示されたあとの2周目では、今度は「真・主人公」たる「ヒロイン」の心情が、各々のシーンでどのように描き出されているのか?を読み取り/確認しながら、物語を再度追いかけていく、

・・・という二重の楽しみ方を出来ることになります。

(*1)『アイマス』の場合は、プロデューサーの視点。

一応、ここで私の意見を率直に述べると、上記の3作品の中で本サイトの総合評点が一番高い『四月は君の嘘』の場合は、該当レビューの方にも少し書きましたが、2周目視聴時点で気づくヒロインの描かれ方が、やはりどこかいい加減で中途半端(※肝心のシーンで急にギャグ調の作画に切り替わって何だか胡麻化された気分になってしまう点が特に・・・)であり、“泣ける”作品としては非常に需要にマッチして良く出来ているのだろう、とは思うけれども、私などが好む“心情描写系”作品としては、いまいち粗雑な出来なのでは?と思ってしまいます(※そのため私の個人評点もそこそこに留まる)。

一方、本作の場合は、いざ2周してみると存外にヒロインの側の《心情描写》が確りしている、というか、気合を入れて見ていなかった1周目では見過ごしてしまっていた彼女の心の動きが、実に細かくキチンと描き出されていることを、あちこちのシーンで確認できて、視聴時の満足度が跳ね上がってしまいました。

⇒ということで、本作の個人評価を、『君嘘』よりはだいぶ高いけど、『俺妹』よりはやや低い、★ 4.4 とします。

※ヒロインには大きく感情移入できたけど、ヒキコモリの主人公の方は色々とマイナス点が多くて、『俺妹』ほどには評価が高くなりませんでした(←それでも最後は{netabare}主人公も頑張ってくれた{/netabare}ので、完走後の後味は悪くないはず)。

《まとめ》
本作は、序盤の主人公のネガティブさに閉口してしまう方が多いと思いますが、そこを何とか我慢して切り抜ければ、中盤過ぎから急に面白くなり、最後は感動も出来てしまって、さらにもう一周したくなる、1粒で2度美味しい《感情描写系》の優秀作と思います。
とくに、『俺妹』や『アイマス』を、途中で飽きてきて断念したくなりながらも、頑張って視聴を続けたところ、途中から急に楽しくなって最後は確り感動できた人には、割と同様の視聴経験が出来る作品として、お薦めしたくなりました。


◆視聴メモ(2周目)

※上記のとおり本作の1周目の半ばまで、「ながら視聴」して視聴メモは全く取っていませんでした(従って以下のメモは2周目時点のものです)。
{netabare}
・第1話視聴終了時点
冒頭のシーンだけでも色々と気づくことが多くて・・・2周目に色々と発見がある作品はやはり名作なのかも?
そして、Aパートの終わりで早くもヒロイン登場←今考えると、本作ってこの第1話から最終話まで《引きこもり青年×動機を秘めた少女》の初対面からの《感情推移》を描いた作品として、実は全然ブレてなかったんだね(1周目視聴時は全然そうゆう展開になるとは想像できませんでした)。
・・・とゆーか、N・H・Kの陰謀って「Nihon・Hikikomori・Kyokai(日本ひきこもり協会)」ではなくて「Naka・Hara・misaKi(中原岬)」の陰謀だよね笑。
1周目は専ら主人公(※正確には視点人物)の側から、そして2周目になるとヒロイン目線をプラスしてより重層的に物語を追える作品と確定!
やっぱりそういう2度美味しい作品は良い!!!
・第2話視聴終了時点
引きこもりがよくSOHOなんて単語知っているな笑。
・第5話視聴終了時点
岬のカウンセリング第1回・・・八百万の神やフロイトの夢分析について岬より詳しい佐藤(←大学中退の22歳と18歳だとそうなるな普通。)
・第6-12話視聴終了時点
何気ないエピソードが淡々と続くが、後から考えると第13話までつなげていくこの一連の展開はなかなか良く出来ていると思う。
・第13話視聴終了時点
岬の意外な本心が噴出してしまう注目回であり、初めて流れる2番目ED「もどかしい世界の上で」も◎(初の★★(優秀回))。
・第15-19話視聴終了時点時点
佐藤がネトゲとマルチ商法に巻き込まれる話。
ここはシナリオの本筋には余りないマンネリ気味の展開で、ちょっと残念(個々のエピソード自体は面白いけど)。
・第23話視聴終了時点
特殊EDは多分ここだけ。流石にドラマチックな展開で2度目の★★。
・第24(最終)話視聴終了時点
佐藤がオカリンに見える!・・・というか、こっちの方が早かったんだね。
第1話冒頭の主人公の夢落ちと重なる内容は◎、ラストはあっさり展開でここも好感を持てました(3回目の★★)。
{/netabare}


◆制作情報
{netabare}
原作小説        滝本竜彦(WEBサイト「Boiled Eggs Online」2001年1-4月連載)
監督           山本裕介
シリーズ構成・脚本  西園悟
キャラクターデザイン 右湊具央、吉田隆彦
音楽           パール兄弟
アニメーション制作  GONZO{/netabare}


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

================== N・H・Kにようこそ! (2006年7-12月) ================

 - - - - - - - - OP「パズル」、ED「踊る赤ちゃん人間」 - - - - - - - - -
{netabare}
第1話 プロジェクトにようこそ! ★ 佐藤達広(22歳、大学中退ニート、ヒキコモリ歴まもなく4年)、N・H・K(日本ひきこもり協会)の陰謀?、中原岬(18歳)との出遭い、公園呼出し(岬のプロジェクト開始)
第2話 クリエイターにようこそ! ★ ヒキコモリ脱出サポート契約の提案、隣人アニヲタ(山崎薫、高校時代の文芸部の1年後輩)、岬との約束(制作ゲームを見せる)
第3話 美少女にようこそ! ★ ギャルゲー事始め、校門前取材(盗撮未遂と岬の意味不明な態度)
第4話 新世界にようこそ! ☆ 山崎との聖地・秋葉原巡礼(ヒロインのキャラ作り取材)、柏先輩との再会
第5話 カウンセリングにようこそ! ★ 続き、中原との契約成立、引きこもり脱出講義開始、ゲームシナリオ作り
第6話 クラスルームにようこそ! ★ 続き、山崎の彼女疑惑、伐々木デザイナー学院見学
第7話 モラトリアムにようこそ! ★ 母親からの上京連絡、岬の恋人役引き受け、初デート
第8話 中華街にようこそ! ★ 母親上京、3人のお食事会(横浜中華街)、芝居からのはみだしデート
第9話 夏の日にようこそ! ★ ゲーム作りの期限、山崎の初恋の思い出、夏祭り(岬との花火鑑賞)
第10話 ダークサイドにようこそ! ★ 岬に惹かれる気持ちと募る疑念、岬尾行、岬への捨てゼリフ(カウンセリング放棄)
第11話 陰謀にようこそ! ★ 柏先輩からの連絡・突然の来訪、先輩との思い出、「天国に一番近い島」オフ会へ
第12話 オフ会にようこそ! ★ 陰気な集団との無人島行き、オフ会の目的判明{/netabare}

 - - - OP「パズル -extra hot mix-」、ED「もどかしい世界の上で」 - - -
{netabare}
第13話 天国にようこそ! ★★ 山崎の岬問い詰め、集団自殺一歩手前、岬の引き留め(本心吐露)
第14話 現実(リアル)にようこそ! ★ 城ケ崎のオフ会メンバー暑海温泉招待、岬の置き手紙、カウンセリング再開、夏コミ失敗、母親からの電話
第15話 ファンタジーにようこそ! ☆ 仕送り半額に、RMT(リアルマネートレード)参戦(ミアとの出遭い)、カウンセリングすっぽかし
第16話 ゲームオーバーにようこそ! ☆ 岬の佐藤リアル引き戻し作戦、ミアの正体・ネトゲの現実(山崎の忠告)、高校の同級生(小林)からの電話
第17話 はぴねすにようこそ! ☆ マルチ商法(ねずみ講)サークル、小林のなき脅し
第18話 ノーフューチャーにようこそ! ☆ クーリングオフ交渉大失敗、委員長宅訪問(トロトロの中の人)
第19話 青い鳥にようこそ! ★ 小林の兄・友一(トロトロ)との決別会話、岬の手料理、マウスロード強制捜査、友一のヒキコモリ脱出
第20話 冬の日にようこそ! ★ 冬コミ間近の追い込み、山崎の個人事情(帰郷決定、七菜子との決別)
第21話 リセットにようこそ! ★ ギャルゲー完成(冬コミ)、山崎との別れ(北海道帰郷)、カウンセリング年末試験(初詣デート、岬とはぐれて)
第22話 神様にようこそ! ★ 続き(柏先輩との別れ、岬の誤解と動揺)、猫の埋葬、意地悪な神様、岬のプロジェクト進行
第23話 岬にようこそ! ★★ 岬のトラウマ、カウンセリング卒業試験合格、新しい契約拒否、仕送り途絶・警備員バイト開始、岬のリストカット・、岬の家庭事情、遺書と失踪
第24話 N・H・Kにようこそ! ★★ 雪の石濱岬の一幕、岬の生家(廃屋)、後日譚(桜の季節){/netabare}
------------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)3、★(良回)15、☆(並回)6、×(疑問回)0 ※個人評価 ★ 4.4


最後に一言。
本作には、確率1%の「N・H・Kの陰謀」が確実に存在する!
そう、それは「{netabare}N(aka)・H(ara)・(misa)K(i){/netabare}の陰謀」なのだ!!!
←この陰謀はアリだと思った(※『俺妹』の桐乃よりもずっとリアリティありそう)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 25
ネタバレ

buon さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ああ、売れないわけだ。超怒級ドM専用の名作

これ、痛みを一つも覚えず完走できるヤツはアニオタにいないだろうな。
1話見て「3チャンにしては過激だなぁ」とか思ってたら、民放やんw
これ怒られんかなww
元ネタとして使われているローマ字のとこの風刺とか、なんか込められてるでしょ。
最初は「NHKのお仕事現場をアニメにしました」ってドキュメントっぽい
『働くって素晴らしい♪』って感じのお仕事紹介アニメだと思ってた。
ええ、ある意味、ビシバシ刺激を受けて労働意欲増進、食欲旺盛になりましたとも。

◇小説原作!?、2クール、全24話、一冊だから買っちゃった♪

誰でもこれ観たら何かしらドコかしら痛いだろうな。
四畳半を観たときに感じたものに近い感覚があるが、破壊力が30倍増し。


さて、アニメ業界の購買層のシェアはどんなもんなんだろう?
廃人(引き籠って、資金源が自分以外にある)、
お得意様(働いたお金をほぼ全額アニメ業界につぎ込んでくれる人)、
この層が厚いと売れないだろうね。

魔法使い、童貞、最近じゃセカンド童貞という言葉もあるらしい、
そこら辺の層もどうなんだろう。
ぶっちゃけダメ人間の素養がある人間の方が購買力あると思う。

リア充、あるいはどん底から完全に立ち直った人間に購買力があるとは思えない。
・・・って言うか、完全に立ち直るとか、真人間とかいないけど。
リア充と呼ばれている人もお花畑をフルタイムで漫喫してるわけなじゃいけど。
むむむ、オレは一体何を言っているんだ?? w

要するにダメ人間が買いたくなくなるような作品。


☆あらすじ☆
ニートの佐藤くんが新興宗教チックな女神の岬ちゃんに救済の手を差し伸べられる話。
★そんだけ★じゃないよーw

こういうのを「アニオタへのアンチテーゼ」「現代アニメのアンチテーゼ」とかいうのかな。
ってアンチテーゼってなんだよwググった、命題の反対って、数学か!弁証法って久しぶりだよ!!
使用例はなんか見たことあるからなんとなく分かるが。

思考に支障を来す様な作品だった。
内容は↑に書いてある分の感想を見たらなんとなく分かるっしょ。

ドMにオススメ、あとは岬ちゃんに惚れたら観た方がイイ・・・のかなぁ。
とりあえず、一回観てみな。

ちょっと残念なのが1~5話までエロゲとか変態チックな話がメインなことかな。
それが取っ付きにくさとなってるかも。
あと作画がひどい回が2,3回ある。一応、女の子の出番が少ない回とか選んでそうだから、
オレとしてはあんまり気にならん。ネタと思ってる。

この作品でも言ってたが、挙げられていたのはエロゲだけど、
「消費者は現実なんか求めていないんだよ!」って方にはオススメしない。

それにしても、山崎イイヤツ過ぎるな。なんだかんだで佐藤くんもイイヤツだな。
でも佐藤は完全にニート貴族。タバコに酒に、それだけで少なくとも毎月2万円超えてるだろw


そう言えば友人が言ってたが、
今の社会は「イイヤツが上に登りづらい」って。
オレは「イイヤツは上にいない」って思う。下にもね。ドコでも誰でも住みづらい世の中だよ。


OPすげー好き☆☆☆☆☆ 何、この溢れる名作臭w
EDも好き★★★★★ 虐めたいの? ええ、虐めてください♪
2クール目のEDは牧野さんの歌、こっちもええ♪♪
・・・あの赤ちゃん人間の絵、どこで見たっけなぁ~

ああ、1つだけ言っておかないとな。
{netabare}「ニートになっても、何年待っても、岬ちゅぁんは来ちゃくれないんだよぉぁー!!!」


※完走した人用の感想 → {netabare}

岬ちゃん役の牧野さんて、{netabare}シーキューブのユラ公だったのか(T_T)
・・・イイ声なのに、めぐり合わせで仕事も変わりそうだな。{/netabare}


※※以下、断定口調で述べますが語尾に「気がする」を付けて読んでね♪


この作品の裏を読むと面白いことが三つある。

一つは、誰も死んでないこと。
引き籠りもその素質があるヤツも「死にたい」とか簡単に口にするけど、
こういう人間って大抵は犯罪するようなこともないし、自殺することもない。
よく「自殺する勇気がない」とかいう言葉を耳にするが、
「~する勇気」って、あれ、勇気じゃないから。
本当に死んでしまう人は、悩むことや勇気とか、そういうの通り越して何も考えてないし、
考えられない。
だから考えられる人間は引き籠る余裕がある。

もう一つは、ラスト2話の前に引き籠りを脱出する例が2つあったこと。
1つは、見栄のために働こうとしたこと。
「かわいい女の子に引き籠りと思われたくない」
もう1つは委員長の兄ちゃんがアルバイトしてたこと。
「飯を食わせてくれれば何でもする」
兄ちゃんのが一番強い理由になる。
女の子にカッコ悪く思われたくない、とかの理由もイイ。
「空腹」「カッコ悪い」とかこういうマイナスの方向の動機は実に行動しやすい。
とりあえず佐藤くんは、
バイト先に岬ちゃんがいなかったらあの時点で引き籠り、ニートでなくなったかも。
あの動機付けで続くかは知らん。
ちなみに「岬ちゃんと付き合いたい」とかあまりにも明確な動機だと、長続きしない。
動機は単純で切実な方が、脱する力は強い。

最後は、実は周りの支えが引き籠りを脱するのを阻害していたこと。
単純に山崎や岬ちゃんがいなければもっと早く引き籠りを脱してたかも。
あの天使のような岬ちゃんが佐藤くんの自立を阻害してたかも、
という事実がなんか悲しい。
佐藤くんに関してだけ言えば、
彼自身はダメ人間だがどちらかというとイイ人間。
母さんに罪悪感を感じ、自分の状況をある程度理解していた。
しかも、妙な見栄があって餓死しそうになっても北海道に帰らなかった。
(帰るという選択肢がなかったから、交通費を残すなんてことを考えなかった。)
となると働くしかない、という状況は遠からず来ていた。
岬ちゃんや山崎が食糧支援してたから、飯の点だけでも、窮地からは遠のいた。

こういう見方をすると恐ろしいなw
もっとも、怪しい自殺のお誘い、マルチ商法地獄エンドから逃れられたのも、
あの2人の支えがあったから、という物語としての事実がある。
それに人間的な成長に大きく貢献していた。


この作品は物語として極端ではあるが、引き籠り・ニートについてよく表していた。

引き籠りの脱し方は最終話まで観ても、一話の結論から少しも変わっていない。

最後は岬ちゃんと恋人エンドっぽいけど、結局チューすらしてないし、
幸せなのか、幸せになれるのかもわからない。

ダメ人間同士が傷を舐め合っているだけにも見えるが、
それでも生きている、それで死なないなら御の字じゃん。

何でもいいから働いて生きろ、って単純なメッセージを私は勝手に受け取りました。
曲解して「かわいい女の子と楽しい時間を過ごしたいなら働け」ともw
あ~、オレもかわええ女の子とイチャイチャして~www



小説のプチ感想 {netabare}
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
小説だと山崎も佐藤くんもかなり末期だなw

アニメの元ネタは1クール分ぐらいしかなくて、
大筋の流れは同じでも、その過程が大分異なるので、アニメと小説で2度楽しめる。
岬ちゃんについて詳しく書かれているから、感情の入り方が変わった。

どっちにしても、凹む内容だwwwww

アニメは、カッコいい山崎とアクティブにダメな佐藤くん、可愛く献身的な岬ちゃん、
2クールでちょっとダラダラだが、エンターテイメント性の富んだ作品。
小説は、末期な佐藤くんとかなりダメな山崎、淡白な岬ちゃん、
1冊だけをサクッと読めて、より無情感を楽しめる作品。時間的にはこっち。

それにしてもアニメの脚本家?さんスゲーな。
よく小説を消化して昇華させたもんだ。
オリジナル要素てんこ盛りなのに、本質的には変わっていない。

小説は挿絵ないし、アニメ観た方が情景が思い浮かべやすいので、
岬ちゃんの可愛さを漫喫したかったら先にアニメを。
先に小説を読むと、きっと主人公と自分、他の登場人物も知り合いに入れ替わるから、
ドM日本代表は先に小説を。

どっちから入っても楽しめると思う★ ヒッヒッヒ

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21
ネタバレ

とまときんぎょ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

「じゃ、また夜に、公園で。」

2話でヤマザキ君がちゃんと出て来るまで
「ひょっとして…この隣人は孤独死していて、ついに主人公は発見してしまうのではないか。夏場だし死体の腐敗もきっとひどい。引きこもりの末路を見た彼は、部屋から出る決心をするのでは…」
という展開を妄想して、ヒヤヒヤしていました。
いや、壁の向こうで同じ曲がループ…というのがそう思わせたのでした。
みさきちゃんも、「本当に存在するのだろうか…彼にしか見えなかったら…」とか。
身構えて見てたのですが、何やら物騒なことを見せそうな雰囲気がビンビン漂っていたのですよ。

内容は、痛い。序盤は特に痛い迷走ですね。
考えたくない事から目を逸らすのに必死になってエネルギーを注ぐ事で、また目を逸らしたい事実を作ってしまう。
横道でも、邪道でも、真剣に楽しめれば、楽しませられれば、それが突破口になることもある!?
目指せ、わらしべ長者。でも、求めることはすぐに等価交換はでき無くて…。

人間万事塞翁が馬、いいと思った事、ダメと思った事も、ゆくゆくはひっくり返ったりもするような話なのかな…?と思いつつ視聴。

序盤。ヤマザキの切れやすさと主人公とのやりとりが、コメディとして楽しいです。
他の方のレビューにもあったれど、仲間の出来方が確かに急かもしれない。こんなに仲間が居るじゃないですか、主人公…。

7話まで
岬ちゃんのプロフィールを知ろうとしないのが不思議だった。どうして相手が自分に興味を持ったのか、気にならないのかな。
{netabare} 「親についた"恋人"という嘘がバレるから知っとかねば」ということで、ちょっと詮索してみるのだけど、岬ちゃんの現実に踏み込みたい訳ではない。
…高校時代の先輩とも、そうだったんだろうね。
ガードが固いんだかユルユルなんだか分からない主人公だなあ。{/netabare}

10話くらいでやっと岬ちゃんのバックボーンが気になり出して、 {netabare}しかし同時に身を引いちゃうのか…。
うーむ。。
主人公が「自分の子供時代のかわいい純真な姿」を思い返すのがなんとも切ないんですが…それは記憶補正もあるかもよー。

岬ちゃんのルートをおいて置いて、先輩へという感じですが、先輩も何か暗いですよ。 {/netabare}
ひょっとして、このアニメの展開は、
「どの選択肢を選んでも他人に委ねる限りはうまくいかない」…っていう話なのだろうか。

12〜13話
どんな暗い話になるのかと思いきや、サスペンス調でドラマチック。そうくるか!てとこが多くて、面白かった。
{netabare}自殺幇助、ダメ絶対の話。お金持ちだけど全てを失ったオジさんの身の上話、もっと聞きたかったけどな。やっぱりそこで「聞いちゃいけなかった…」て引いちゃうのが、サトー君なんだな。

主人公が1人で元気いっぱい空回りする自身の姿に、昔の懸命な学級委員長を思い起こして重ね、その頃からの無関心で怠惰な自分の事を後悔するとか、素直でグッときた…。
しかし、大活躍のお株は、自殺を考え直した眼鏡の医大中退に持ってかれる。そうですよ。遺されたお母さんや子供は、一時ではなくその後ずっと辛いですよ。{/netabare}

16、17話
ああー、やっぱり、「他人に委ねる限りはうまくいかない」流れが来た。{netabare}マルチ商法。

そしてサトーのネトゲー部屋をせっせとお掃除して、オムライス作って待ってる、岬ちゃんの健気さが凄い。おしかけ女房の鑑です。QEEN OF OSHIKAKE。
ネズミ印の商品を大袋に抱えて、満面の笑みでアパートへ帰ってきたサトー君を、待ち構えた二人。
ヤマザキ御奉行の眼鏡が光る。
切っておしまいなさい…!{/netabare}

18話
クーリングオフ大作戦。
{netabare}本当に、ヤマザキと岬ちゃんが居てくれてよかった!!
と思ったのも 束の間…

ヤマザキお奉行の背中の桜が、ネズミに散った…。わぁーん‼{/netabare}

19話
でもやっぱり仲間がいてよかったよ…。
{netabare}
委員長の兄さん、そう来たか…って意外な脱出劇を見せてくれました。
地方へ行けば結構若人は貴重がられますが、先日まで引きこもってた目と鼻の先で頑張ってる姿がミソですね。
(地方での健闘はヤマザキが担うことに…。)

高校時代の委員長の熱心さを思い起こせたことが、自殺幇助の際に主人公の身を助けた一因になっていたと思うんですが、委員長は知らないままでしたね。
{/netabare}
生命維持のための焦りと、
受け入れて見守ってくれる周囲の支えが、自立の支えになるという話。
他人の間で必要とされたいという本人の切実さ、も大事かなあと感じます。

21話{netabare}
マリッジブルーをチラつかせてサトー君を誘う「先輩」、ダメな人だなあ…。良い悪いで見たくないですが、ダメです。
サトー君の深入りしたがらない性分と、これまでで懲りた事もあってか、「不倫してみる?」のお誘いはすぐに断れて真っ当でした。
先輩は、どうあっても心の充足感を得にくい性分なんでしょうか。
難儀だと思う、それは。
しかも妊娠してるって。すぐにおめでとうを言えたサトー君は、やはり真っ当でした。

ヤマザキの家出と怒りっぽさは、保険に自らの人生と値段を決められていた所に起因していたのか…。
ヤマザキの「田舎の人間関係は、酒が呑めればやってけるぜぇ〜!」という報告に、まさか、このままアルコール依存症の流れまでこないだろうな…と心配に。もはや人生の落し穴を探せ!状態です。{/netabare}

23話あたりからは
岬ちゃんとサトー君との間がいよいよ佳境に。
やっと岬ちゃんの故郷について、ふと聞いてみるサトー君ですが、さびしいからそばに居て‼という岬ちゃんの切実な告白に、
やっぱりまた身を引いてしまう。まだまだ心の中のさびしさの実が熟さないんでしょうか。
でもちょっと男の子らしいと思えた。

ここからのラブストーリーはとても丁寧で、終わった時には岬ちゃんとサトー君のカップルが何だか好きになっていました。

ひきこもりがテーマの、回りくどいラブストーリーだったのかもしれない。
同じようなひきこもり・卑屈脱却を描いた四畳半神話大系と比べても、とてもリアルな描写が多くて重い部分もありましたが、コメディの効いたドラマチックな面も多くて見応えがありました。

とても読みづらいレビューになってしまいました。御一読ありがとうございます。でも何か、色々語りたくなってしまう作品ですね。
他の方たちのレビューも面白く拝見できた不思議な作品でした。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 28

81.2 4 ヒューマンドラマで友情なアニメランキング4位
昭和元禄落語心中(TVアニメ動画)

2016年冬アニメ
★★★★☆ 4.0 (904)
4160人が棚に入れました
昭和の落語界を舞台にした噺家の愛おしき素顔と業を描いた作品

師匠と交わした約束を 胸にしまって芸を磨き ついに与太郎、真打に。 射止めた名跡は三代目助六。 八雲師匠の為め、助六の血を継ぐ小夏の為め、 焦がれて手にしたはずなのに、 おのれの落語が揺るぎだす――。 八雲と小夏、二人の中の助六を変える為めの 与太郎の落語とは――!?

声優・キャラクター
関智一、石田彰、山寺宏一、小林ゆう、林原めぐみ、家中宏、牛山茂、山口勝平、加瀬康之、須藤翔、茶風林、遊佐浩二、林家しん平
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

芸道修行と愛憎トライアングル - BLコミック出身作家、畏(おそ)るべし -

「落語」「人情噺」「ホモ/BL(※因みにこれは誤情報です)」といったタグがついている本作を視聴する予定は、元々全くなかったのですが、2016年放送・上映アニメの個人的BEST10を作ろうとして、同年の本サイト作品ランキングを確認したところ、本作が第14位(2017/1/31時点)に入っており、かつ、総合 4.0 (物語も 4.0)という高い評価を取っていたので、これを見ないでBEST10を作るのは拙(まず)いだろう・・・と考え直して、さらっと流すつもりで視聴を始めました。

そうしたら、これが第1話(※実質2話分のスペシャル回)から退屈する暇なしの面白さで、ラスト手前(第12話)の山場+謎の回収もピッタリ決まり、最終第13話は投げっぱなしだった第1話ラストに確り話を繋げて、かつ今後の新展開をも期待させる上手い締めくくり方で、見終わった直後から「これはもう一回、最初から確り見直さなければ・・・」という思いに駆られて、そのまま2周目に突入してしまいました。

そうやって、

(1) 1周目は、全体シナリオの整合性が確り保たれている作品なのか?にとくに留意して完走し(=シナリオ・チェック型視聴)、
(2) 2周目は、今度はシナリオは頭に入っているので、それを踏まえて個々の登場キャラクターが、各々のシーンでどのような心の動きをしているのか?そして、そうした心情が果たして映像として過不足なく描き出されている作品なのか?を見極めることに留意して完走し(=感情描写チェック型視聴)、
(3) さらに念を入れての3周目は、OP/EDや、作品中に登場する小ネタ(落語の演目内容や登場キャラクターたちがふと口にする言葉など)に、何か隠された/見落としている含意がないか?等を慎重に見極めつつ、もう一度、シナリオ&感情描写の両方を総合的に確認していく気持ちで完走して(=総まとめ的視聴)、

・・・結局、見始める前は考えもしなかった3周完走となってしまいました。
こうした3周コンプは、2016年放送のTVアニメでは、『Re:ゼロから始める異世界生活』(※個人評価 ★★ 4.6)、『響け!ユーフォニアム2』(※個人評価 ★★ 4.8)に続いて3作品目で、本作に関しては、

①全体シナリオの整合性が確り取れており、
②個々の登場キャラクターの感情描写も的確で、
③なおかつ、OP/EDや個々の会話に秘められた謎解き・含意も楽しめる、

・・・三拍子揃った《優秀作》と認定して、個人評価を『Re:ゼロ』と同点の ★★ 4.6 とすることにしました。


◆作品内容

本作の原作者(雲田はるこ氏)はBLコミック作家として商業デビューした方とのことですが、本作自体は、決して《ホモ/BL作品》ではありません。

本作の内容を強(し)いて挙げるなら、
{netabare}
①同日に落語名人の師匠に弟子入りし、兄弟分として育った落語家の青年同士の、厳しい《芸道修行》と、
②師匠の妾(めかけ)として彼らに出会った年上女性と彼らとの間に生じる《恋情と執着》の進行過程、
③そして迎える《悲劇的な結末》、を描き切った《濃密トライアングル愛憎劇》
{/netabare}
・・・といったところでしょう。


◆制作スタッフ
{netabare}
原作コミック     雲田はるこ
監督         畠山守
シリーズ構成     熊谷純
キャラクターデザイン 細居美恵子
音楽         澁江夏奈
アニメーション制作  スタジオディーン{/netabare}


◆各作品タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

============ 昭和元禄落語心中 (2016年1-3月) ============

- - - - - - 与太郎放浪篇 (昭和50年代) - - - - - -
{netabare}
第1話 ★★ 強次の出所、弟子入り、寄席(出来心、初天神)、失態、八雲師匠の長話 ※約48分(2話分){/netabare}

- - - - 八雲と助六篇 (昭和初期~30年代) - - - -
{netabare}
第2話 ★★ 坊(ぼん)と信さんの弟子入り、初高座(菊比古、初太郎)、二人の実力差
第3話 ☆ お千代との逢瀬、満州皇軍慰問と疎開、終戦、寄席の復活、師匠・信さん帰国、二つ目昇格、みよ吉登場 
第4話 ★ 信さん助六に改名、菊と助六の共同生活、菊とみよ吉の馴れ初め(踊り・小唄の稽古)
第5話 ★★ 助六・菊それぞれの嫉妬、菊とみよ吉の逢瀬、美鈴座(鹿芝居、女形(弁天小僧))
第6話 ★★ 何のための落語、菊の開眼(艶笑噺(えんしょうばなし)・廓噺(くるわばなし)・・・品川心中)
第7話 ★ 助六人気と増長・反感、師匠の巡業同行要請、菊・みよ吉の心のすれ違い
第8話 ★★ 上方巡業、鬼灯(ほおずき)市の宵(助六の懸想、菊・みよ吉破局)、落語の将来、先代助六、名跡の重み
第9話 ★★ 真打昇進披露、別れ話と恨み、助六破門、傷心同士の同棲・転落、助六の本心吐露
第10話 ★★ 入門志願(樋口少年)、師匠の過去話(初代助六との因縁)・葬儀、祖谷(いや)温泉(小夏との出遭い)
第11話 ★★ 助六との再会、芸の肥やし、助六の借金返済、子夏の髪切り・野ざらし
第12話 ★ 有楽亭二人会、助六の人情もの(芝浜)、みよ吉との再会、違え心中 ※脚本は良いが演出が残念×
第13話 ★ 小夏引き取り、八雲襲名・落語心中の断、因果、与太郎の真打昇進内定、三代目助六 ※後半は昭和末期~平成初期{/netabare}
--------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)8、★(良回)6、☆(並回)1、×(疑問回)0 個人評価 ★★ 4.6

OP 「薄ら氷心中」(第3-8話、10話、13話) ※第1話のみEDとして使用(背景は文字のみ)
ED 「かは、たれどき」(第2-9話、11話、13話)


※本作(アニメ第1期)は、原作マンガの第1巻~第5巻途中までの内容を収録。
※2017年1月より放送が始まっている続編(アニメ第2期)は、原作マンガの続き~最終第10巻までの内容を、おそらく幾分改変しつつ収録するものと考えます。


◆視聴メモ

{netabare}・昭和16年(1941年)の時点で、信さん・菊比古とも18歳(1923年頃の生まれ)、そして、みよ吉はその5歳年上なので23歳(1918年頃の生まれ)
・第9話で、みよ吉が、まもなく「赤線(※売春防止法施行以前に公娼認可のあった区画)」が廃止されるので置屋(※芸者を置いていた店)から出なくてはいけない、と言っているので、この時点で昭和32年(1957年)頃(→助六&菊比古34歳、みよ吉39歳)
・第10-11話で登場する小夏は、かなりの才覚があるにも関わらず未だ小学校に通っていない様子なので、この時点での彼女の年齢を6歳と仮定すると、昭和38年(1963年)頃(→助六&菊比古40歳、みよ吉45歳)
・第1話で、助六没後20周年特集の落語雑誌が出て来るので、この時点で昭和58年(1983年)頃(→八代目八雲師匠(=もと菊比古)60歳、小夏26歳、与太郎21歳くらいか?)
・第13話後半は、第1話からさらに10年近く経った後の話なので、平成5年(1993年)頃(→八代目八雲師匠70歳、小夏36歳、与太郎31歳くらいか?)
{/netabare}


◆本作のモチーフ考察 : 歌舞伎の《助六心中》の落語家バージョンを狙った?

落語家といえば、《滑稽噺(こっけいばなし)》を次から次へと繰り出して、ひたすら寄席の客を爆笑させる人、という楽しいイメージが強くて、たまにシンミリとする《人情噺》や、冷やっとする《怪談噺》を語りだすことがあっても、さほど深刻な内容にはならずに適当なところで切り上げてしまうもの、という先入観があって、本作についても、見始めたばかりの頃は、《落語》を題材にした作品ということで、幾らかシリアスな展開があるとしても一定の限度があるのだろう、とばかり思ってました。

ところが、第3話で初めて映像付きで流されるOP「薄ら氷心中(うすらひしんじゅう)」を見て、その曲調や歌詞の醸し出す雰囲気が、自分のそれまで持っていた本作のイメージと大きくズレていて、ことにその映像中の女性の描かれ方が、「心中」を示唆する歌詞とともに半端ない違和感を喚起して、本作の主要キャラクターの一人が、「助六」という落語よりは歌舞伎由来の名前であることと併せて、視聴を進めながら不穏な気持ちになってしまいました。

そして、物語に大きな動き({netabare}※助六が師匠から破門され、みよ吉は菊さんから捨てられてしまう{/netabare})があった第9話の真ん中ほどで、{netabare}失意のまま桜咲く河原を一人歩く助六に、同じく傷心のみよ吉が初めて自分から声をかけるシーン{/netabare}が来て・・・

{netabare}「ねえ、お花見は花川戸に限るわね。・・・・花川戸の助六さんね。」
「あたし、菊さんに振られちゃった。」
「何かあったの?話、聞いてあげる。」{/netabare}

ここにでてくる「花川戸(はなかわど)」は東京都台東区の浅草寺境内と隅田川の間に今もある地名で、とくに花川戸公園は桜のちょっとした名所になっているそうです。
だけど、ここで注目すべきは、{netabare}みよ吉が、わざわざ「花川戸の助六さん」と声をかけたこと{/netabare}で、引用が長くなりますが・・・

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◎助六(wikipedia)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%A9%E5%85%AD

『助六』(すけろく)は、歌舞伎の演目の一つの通称。
本外題は主役の助六を務める役者によって変わる。
江戸の古典歌舞伎を代表する演目のひとつ。
「粋」を具現化した洗練された江戸文化の極致として後々まで日本文化に決定的な影響を与えた。
歌舞伎宗家市川團十郎家のお家芸である歌舞伎十八番の一つで、その中でも特に上演回数が多く、また上演すれば必ず大入りになるという人気演目である。
(※以下、省略)

◎すけろく【助六】(旺文社古語辞典)

〔人名〕「助六劇」の主人公。
江戸中期、京都で男伊達(おとこだて)万屋(よろずや)助六と島原の遊女揚巻(あげまき)が心中した事件は、上方(かみがた)では「京介六心中」「助六心中紙子(かみこ)姿」など、歌舞伎(かぶき)・浄瑠璃(じょうるり)の「助六心中物」に仕立てられた。
これが江戸に移され「助六所縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)」などの「助六劇」として定着した。
江戸では主人公は花川戸助六という侠客(きょうかく)(実は曾我五郎(そがごろう))とされ、江戸っ子の代表として理想化された。

◎すけろく-しんじゅう【助六心中】(精選版日本国語大辞典)

(1) 宝永年間(1704-11)初年に大阪であった万屋助六と島原の遊女揚巻との心中事件。
(2) (1)を脚色した浄瑠璃「紙子仕立両面鑑(かみこじたてりょうめんかがみ)」、歌舞伎脚本「助六心中紙子姿」、一中節(※浄瑠璃節の一流派)「万屋助六道行」などの通称。

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・・・ここまで来て、ようやくOP「薄ら氷心中」のおどろおどろしい曲調・歌詞・映像に合点がいきました。
この後、{netabare}傷心の二人は同棲を始めて、もろともに転落していく{/netabare}のですが、その結末は既にここで暗示されていますね。

以上から、本作は《落語家》の世界を作品舞台としながらも、実際には、《落語》の「滑稽噺」「人情噺」「怪談噺」ではなく、《歌舞伎》の「心中もの」をモチーフとするストーリーを展開させている、という構成になっており、それによって、

(1) 表面上は、「滑稽さ」「人情噺っぽさ」を上手く醸し出しつつも、
(2) その基底部分に、どうにも逃れられない「悲劇性」を潜ませる。

という、両様の魅力を作品に与えることに成功しているように私には感じられました。


現在放送中の第2期にも大いに期待したいと思います。

※2018.8.22 第2期のレビュー投稿。
事前に期待していたほどの出来ではなかったけど、第1期の後日譚としてまずまず楽しめる内容でした(個人評価 ★ 4.1)。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 36

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

大人が酔える本物の味わい深さ

第17回「文化庁メディア芸術祭」マンガ部門優­秀賞受賞。
第38回「講談社漫画賞」一般部門受賞。

と、原作漫画が高く評価されているアニメ化作品だが、
これはアニメ化大成功、と言える素晴らしい作品になったと思う。

どうしても、漫画では落語そのものの臨場感や空気感を伝えるのには限界があると思われるが、
(読み手の想像力次第で悪い方向へは行かないと思う)
アニメ化して中途半端なものを作ってしまうと、世界観をぶっ壊してしまう恐れもあるなか、
製作陣の気合いの入りよう、原作へのリスペクトが伝わってくる見事な仕上がりで、
大人だからこそ楽しめる、このような作品が世に出てきたことは非常に喜ばしい。

物語が楽しめるかどうかは、観る人間の年齢や好みによって異なるかもしれないが、
純粋にアニメとしてのクオリティは、全ての要素が高い次元で纏まっているし、
また全13話、1話たりとも退屈しなかった。
これは年に何本もある秀作レベルではなく、素直に傑作と言ってしまっても差し支えない作品だと思う。

自分はこの作品を40代や50代の一般人にも自信を持って薦めることができるが、
大人が観て本当に満足できる「質」と「深み」「味わい」を備えた作品は、
ここ数年の「深夜アニメ」では「蟲師」(続章)以来かも知れないと感じた。
2期で物語が完結するだろうということを考慮すると早計かもしれないが、
いずれにせよ、恐らく原作同様「文化庁メディア芸術祭」のアニメ部門でも認められるだろうと確信している。


☆物語☆

タイトル通り、内容は「落語」そのものも見どころの一つだが、
たとえ落語に興味が無くても(正直自分は落語そのものには大して興味はない)
登場人物たちの深い人間ドラマには非常に引き込まれる。

尺を拡大して放送された1話は現在を描いているものの、
(1話の掴みは今期の作品の中でもベストだと思うし、最終話観てからまた観直すとより感動的)
終盤まで主に八雲の過去の回想がメインに描かれている。

菊比古(八雲)と助六、みよ吉との関係は一言では語れない、様々な感情が渦巻いており、
3人共に人間らしい過ちを犯していて、またそれぞれに同情も出来るものであり、
本当に深く絡み合った人間模様が描かれていると思う。

また一方で、八雲と小夏の間にある因縁、八雲(師匠)と助六、
八雲と与太郎の数奇な運命の巡り合わせ、とは...
これは是非本編をご覧頂きたい。

また、各キャラがここぞという場面で、
非常に含蓄のある言葉を語っているので、そこにも注目して貰いたい。

この作品に関しては、あまりネタバレで、あーだこーだと書いてしまうと無粋な気がするので、
(最初は色々書いてたんだけど)
とにかく登場人物達と落語を巡る「想い」「運命」「宿命」「因縁」を観て、
それぞれの立場と心情を慮ってもらいたいと思う。

物語が完結してないし、点数は4.75、ってのがあると良いんだけど、
まぁそんなに出し惜しみしてもしゃぁないし、物語の作り方、設定にはほぼ不満がないので、5点。


☆声優☆

MBSで放送していた「アニマゲ」の中で、この作品を特集していたのを観たが、
一風変わったオーディションで選ばれた声優さんたちは、結果的に落語に造詣のある面々で、
声優としての実力も折り紙つきの精鋭が揃っていて、演技自体も当然素晴らしい。
そして、驚くべきことに、落語の部分も通常のアフレコで録ってるらしい。。

正直ここまで純粋に声優陣の「技量そのもの」が試された作品というのは、
近年でも、というか、アニメ史上でも稀なんじゃないだろうか。
「質」を求めるアニメファンなら声優陣の演技だけでも、
この作品を観る価値は充分にあると思う。

1話の与太郎、後半10話の菊比古、11話の菊比古と助六のコラボ、
12話の助六の想いの込もった熱演には感銘を受けた。
また、2週目繰り返して観てみると、弟子入りした当初のパッとしない落語から、
上達し味が出てくる落語の変化も巧みに演じ分けられていることに気付く。

初見ではあまり何とも思わなかった回の落語も、2回目の視聴では惹きこまれて観ることが出来た、
というのも不思議な感覚だった。。
落語の部分の演技ばかりに注目しがちだが、5話の芝居の場面の演技も実に艶があり見事。

また、みよ吉演じる林原めぐみさんの、円熟味を感じさせる「女」の演技も実に巧い。
これは声のトーンや表現力も含めて、若手の声優には到底演じれない役回りでしょうね。

一聴して判る小林ゆうさんの低音ハスキーボイスは幼女役でも炸裂しており、
正直こんな声の子供居るかよ笑、と思いつつも実に可愛らしく演じられていた。

脇役的な役どころの八雲(師匠)と松田さんの演技も、実に渋く味わいがある。

点数は文句なしに5点、というか今後なかなか5点を付けにくくなった。。


☆キャラ☆

各キャラクターの心情が非常に丁寧かつ繊細に描かれていて引き込まれる。

八雲(菊比古)と助六の対照的な落語への動機、性格が印象的で、
2人の関係性など、きめ細やかな描かれ方は女性作家ならではだなと感じた。
(BL臭が全くしないと言えば嘘になるが、腐女子を引き込むほどのものではないだろう)

最初に出てきた小夏の出番が少なくもの足りないなと思っていたら、
後半に幼女で登場、これが何とも愛らしい。

また、みよ吉のようなキャラは昨今のアニメでは極めて珍しいが、
ラノベ作家なんかが描くリアリティの欠片もない女性キャラとは違い、
(それはそれで良い面もあるんだが)
女性作家だからこそ描ける、「生身の女性らしさ」、愛憎渦巻く内面が非常に良く伝わってくる。

一見すればどうしようもないアバズレだが、
彼女の置かれた境遇、あの時代の女性の立場を考えると、
過ちを犯していることや性格に問題があるとはいえ、自分は彼女にも同情することが出来る。

また八雲(師匠)の背負った名跡の重圧、助六を巡る因縁や後悔、
昔気質な性格も非常に上手く描かれていると思う。

全てのキャラに言えることだが、やはり声優の演技あってのキャラ、
と言うのはこのアニメに限ったことではないが、本作を観て改めて思い知らされた感がある。

点数は5点。自分はキャラの性格が好きか嫌いか、は点数の判断基準には無くて、
そのキャラの掘り下げ具合、心理面がどれだけきっちりと描かれているか、を見ている。
本作でのキャラの描かれ方は非常に丁寧で、観ているこちら側にまで伝わってくる。


☆作画☆

最近の作品は技術の進歩もあり、
デジタルでも非常に凝った手描きのような質感を持った背景描写のものが増えてきた感があるが、
本作でも昭和の空気感や雰囲気をよく伝えるものとなっており、趣があり味わい深い。

またキャラに関しては、落語を演じている場面や、それ以外でも細やかな表情の変化やしぐさなど、
かなり丁寧に描かれていて、作画力があるからこそ、キャラの内面や落語の魅力が伝わってくるのが実感できる。

派手な動きやCGなどは殆ど無く、純粋な作画枚数的にはそこまで多くはないと思うが、
キャラが全話通して巧く描かれているので、自分は全く不満は感じない。

普段付けてる点数から言うと4.25くらいにしたいところだけど、無いのでおまけで4.5。

※やっぱり付けすぎかな、と思ったので4点に直しました。


☆音楽☆

椎名林檎作編曲、林原めぐみが歌うOPは本作の大人な雰囲気にピッタリで、
ハイセンスで個性溢れる楽曲はいかにも「らしさ」がよく出ていて、改めて凄い才能だなと実感した。。

また、歌詞に着目すると、これはみよ吉の菊比古を想う心の内をこれ以上ない、
と言うほど見事に表現しており(もはや狂気を感じる、女の怖さや情念に心を打たれる)、
これは単なるタイアップ曲を越えたアニソンとして、非常に高く評価されるべきものだろう。

それに対するEDはノスタルジーとロマンを感じる、
まるで映画一本観終わった後のような、味わい深さと余韻に浸れる見事なインスト曲でこちらも絶品。

作中BGMは「生音」への拘りが半端なく感じられ、楽器そのものの魅力が存分に伝わってくるもので、
バリエーション自体も非常に多彩で、クオリティの高さに疑いの余地はない。
これは通常のTVアニメと比べると、かなりの予算が掛かっているだろう。

点数は文句なしに5点。


最終話は回想から時間が現在に戻り(1話より時間は進んでいるが)、
終わり方がちょっとこれで終わるには勿体無いな、と思ったところ、
本編後の最後に2期制作決定が明らかになり、既に続編を作り始めているように見受けられたので、
今後には大いに期待したいと思うし、楽しみが増えた。
(予め2期、というか分割はある程度は既定路線だったのかもしれない)

本作はアニメーター自身が観て楽しめる、
本当に自分達が純粋に作りたいものを作った、そんな情熱と新たな挑戦、拘りが実感できる作品だと思うが、
このような作風のものは、今の時代そうそう売れるものじゃない。

商業的な理由で特定の円盤購入層に受けるような、似たようなアニメばかりが量産される昨今、
敢えて大人が観て楽しめる、この作品を「深夜枠」でアニメ化したスタジオディーンには本当に感謝したいと思う。
(NHK辺りが率先して予算を出し制作してもおかしくない内容だと思う)

同時期にディーン制作の「霊剣山」「このすば」と比較すると、どれに力を入れて作っているか、
は火を見るよりも明らかだが、「霊剣山」が中国でのネット配信権で利益をもたらし、
「このすば」が低予算で円盤売上好調、結果的には本作が円盤売れなくても制作費回収できて2期決定、
という流れだとすれば、これは大いに歓迎すべきことではあるが、
同時にかなりの皮肉だといえるかもしれない。。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21
ネタバレ

アレク さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

落語って、笑いって

時は昭和50年頃八代目有楽亭八雲に弟子入り志願のムショ上がり与太郎から物語は始まり落語とそれに関わる
人達が織りなす漫画原作作品。

一時期寝る前に落語を聞くことが習慣になってたくらいで(飽きてすぐやめちゃいましたが)
落語の知識はほとんど、いや全くないんですがそんなまっさらな状態だからこそ
落語の魅力というのが変な先入観なしで見れたような気がして無知が逆に功を奏することもあるようですね(^^;)

それに加えてこのアニメからは抽象的物言いで恐縮ですが日本的、和的良さというか価値観が
全編から漂ってくる感じで同じ日本人の自分としても見ている間心地いい時間でした。

{netabare}
落語は舞台で座布団に座りながら務めるため所作が限定される、そのうえ漫才のように掛け合いで
空白の時間をつぶすこともできない、しかしそんな制約が逆に工夫する余地となり扇子や手の動き
果ては目つきに至るまで様々な人物を自分に憑依させ掛け合いができない不利も「間」として有効活用し
一幕の劇を創り上げる、そんな自分なりに感じた落語の魅力というものが落語の演目の最中に
登場人物ごとに変わるカット割りやBGMなどの演出的工夫から感じたし
さらに演目を何度も練習していく中でにじみ出るその人独自の芸
同じ演目でもやる人によって独自の魅力が醸し出される再現芸術の醍醐味みたいなのが
何気ない会話に織り込まれていてうなずきながら共感しながら
1話からガッツリ引き込まれていきました。

そんな1話で一番印象に残ったのは与太郎の落語のシーン、題目は「出来心」
さっき書いた演出に加えて舞台前の緊張が、首筋に流れる汗が
無意識に身を乗り出す与太郎の懸命さがノリノリの演出と合わさって
そんな細工って落語好きの方から言わせると邪道なのかもですが
落語ってこんな面白いんだぜといわんばかりの演出は見ていてとても楽しかったです。
さらにそんな与太郎の噺を何度も稽古する姿を見たであろう小夏が気が気でなく見守る様子
下らねぇなんてて軽蔑していたが思わず笑っちまう兄貴
同じ演目でも見る人によって感じ方が違う
与太郎に関わりがある2人ならなおさらですが
観る人の心境によっても同じ演目でも感じ方に個人差がある
ここでも再現芸術の面白み、不思議さが出ていてそれをちょっとした
言動に織り込まれ匂わせてくれる演出の粋さ
このアニメの世界観、好きだなぁ。

そこから話は変わり菊比古の回想になるわけですが
辛苦をなめた満州の慰問を経て他人のために落語をやると決めた助六、
おまえはどうなんだと菊比古に問うが
彼は演目の最中自分のために落語をやっていたと自覚する。

お客とともに盛り上がりライブ感を前面に押し出す助六と完成された領域に客を招き
酔わせる菊との芸の違いがそのまま二人の生き方を分ける、稽古を重ね演目を
自家薬籠中していく過程でその人の個性と不可分に結びつきその人だけの芸となる
ここでも落語というか再現芸術全般の面白さがさりげなく描写されてますが
それよりも強く感じたのは2人の道の分け方が実に自然といいますかどちらを
肯定するわけでも否定するわけでもなく共存している、そんな曖昧さというか自然さを素直に
抵抗なく受け入れてる自分も日本人なんだなぁとしみじみ自覚してしまうわけで・・・

そしてそんなことを思わせてくれる押しつけがましくないが
さりげない言い回しや行動で感じる義理人情の世界観を演出するスタッフの手腕
いやはや脱帽です。ただ舞台が戦前、戦後で落語が主題だから、道具や食べ物が和風のものだから
日本的に感じるというわけでなくそれもあるが古き良き義理人情、白黒つけない曖昧さが美徳の
価値観がこのアニメ全篇から感じられるようでそんなところから和的麗しさを感じるわけで。

師匠の愛人をやっておきながら弟子に色目を使うみよ吉の身勝手さもこの作品にかかれば
この上なく洒脱で粋、普通こういった恋の駆け引きって自分はこざかしさを感じてしまうんですが
声優さんの演技に裏打ちされた嬌態たっぷりに科を作る姿態は何とも妖艶。

特に印象に残ったのは別れ話のシーン
黄昏時、秋風が吹きみよ吉に気付いていながら
素通りしようとする菊比古から始まり互いに決定的な言葉は口にしないが
察しておくれといわんばかりの菊、いやよとみよ吉、
本人たちにとってはそれどころじゃないと思うし物見遊山気分で恐縮ですが
散り際に感じる日本的美意識が魅せる一瞬の抒情は例えようもなく婉美。


菊比古の心理をひるがえって考えればいよいよ師匠にも認められてこれからだというとき
結局色恋より仕事、芸を取ったという事で
森鴎外の小説にありそうな結構ドライな話なんですがこのアニメのフィルターを通すと
ため息が出るほど耽美的、その後のみよ吉が助六に愚痴る身の上話から顔を覗かせる
一抹の寂寥感、これも恋愛ゲームの駆け引きの一部なのか、いや、それすら心地いい
日本古来の萌たっぷり堪能させていただきましたm(__)m

しかしそんな曖昧さ、粋さを美徳とする世界でも必ずしもいいところばかりではなく
みよ吉や助六さらには幼少期の菊比古もそんなしがらみや暗黙の了解に割を食った代表であるわけで
みよ吉や助六は自業自得な部分がないわけではないが思わず同情しちまうのがこのアニメの世界観
声優の演技力に圧巻の助六決意の芝浜もみよ吉には届かず
2人の事故にも似た心中(いや逆か)で回想は幕を閉じるんですが見終わった後は
与太郎の言葉を借りると只々いい気分だったんですが冷静に振り返ると
いい出来事ばかりではなかったし結末もハッピーエンドとは行かなかったと思います。

ですが見終わった後の気分は不思議と心地いい、その理由を自分なり考えてみると
このアニメを見終わった後興味が出ていくつか古典落語を
ググってみたりしたわけでそんなことをやってたりこのアニメの作中で披露される演目を
振り返ってみて気付いたんですが登場人物が全員善人というわけでは
決してなくむしろあさましい欲望とかちょっとした出来心から
端を発しそこから展開する話が多く人間には善人の部分と悪人の部分がある
そんな清濁併せ持つしょうがない性分を持ち寄りながらなんとか日々寄り添いながら生きていく
そんな日々の生活を面白おかしく描写できた深い観察眼と心意気、それが人々の心を打ち
共感を呼び落語は時代を超え愛され続け今日まで伝統として残ってきたのかなーと
そしてそんな人々が織りなす人間模様がこの作品からもまざまざと感じられて
自分がこの作品に引き込まれた理由もそこら辺にあるのかなーと
思えば最初のほうは義理人情が前面に押し出されすぎ
与太郎がすぐ口座に上がれたりちょっと甘いんじゃないの、と思ったりしたのですが
弟子の雑務や辛いところをあえて映さない武士は食わねど高楊枝の精神だったのかもですね。
笑いの中に哀しみがある、いや哀しみを笑いに変える
チャップリンや松本人志さんを引き合いに出すまでもなく笑いの本質って案外そこら辺にあるのかなぁ
なんて自分がどや顔で指摘するまでもなく落語好き、お笑い好きの方にとっては
自明の理かもしれませんが、とにかくそんな自分にとって新しい発見をさせてくれるほどに
夢中になり引き込まれそして心地いい
作品でした。

最後に助六の名を継ぎたいと申し出た与太郎に見せた菊比古の狼狽の表情は
日陰に追いやられた3代にわたる怨念が過去から有楽亭八雲である自分に
追いついてきた恐怖かそれとも・・・

それでもそんな思いすら飲み込みながら今日も人の歴史は紡がれていく
ってこんなところで終わられちゃ続きが気になるに決まってるでしょう!
全然御後よろしくないよっ!ってことで二期はよ(/・ω・)/
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 43

68.8 5 ヒューマンドラマで友情なアニメランキング5位
宇宙のステルヴィア(TVアニメ動画)

2003年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (306)
1673人が棚に入れました
西暦2167年、地球はみずへび座ベータ星の超新星爆発によって引き起こされた強力な電磁パルスと放射線によって壊滅的な打撃を受けた。だが人類はそこから見違えるほどの復興を遂げた。そして、かつての災厄より189年後に訪れるとわかっていた第2の災厄、すなわち超新星よりの衝撃波の到来に対し、全人類を挙げての防御体制を築き上げていったのである。
そして2356年。遂に衝撃波セカンドウェーブが太陽系に到達しようとしていたその年、人類の生活圏を守る大計画グレート・ミッションのため作られたファウンデーション(宇宙ステーション)の1つ「ステルヴィア」内の宇宙学園に主人公たちが入学するところから本作は始まる。


声優・キャラクター
野中藍、水島大宙、松岡由貴、折笠富美子、田中理恵、斎賀みつき、うえだゆうじ、陶山章央、広橋涼、豊口めぐみ、岸尾だいすけ、檜山修之、進藤尚美、藤原啓治、堀勝之祐、田中正彦、根谷美智子、屋良有作、小杉十郎太、笠原留美、朴璐美

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

心地よい余韻に浸れるアニメ…

はっきりとした色使いのアニメだなぁ…この作品の第1印象はこんな感じでした。
作画もキャラデザも嫌いじゃなかったこの作品の視聴を後押ししてくれたのが野中藍さんの初主演作品だった事です。
野中さんの愛称である「あいぽん」もこの作品の主人公である「しーぽん」が由来になっている事からもお互いに結びつきを強く感じます。

この作品の物語の舞台は西暦2356年…約189年前に地球はみずへび座ベータ星の超新星爆発によって壊滅的な打撃を受けました。
そしてその超新星爆発から189年後の今年…セカンドウェーブと呼ばれる衝撃波が太陽系に向かって到達しており、全人類は総出で未曾有の危機に対処を進めていたのです。

人類はセカンドウェーブに対処すべく宇宙ステーションの一つであるファウンデーションを建設していたのですが、この物語はそのファウンデーションの一つであるステルヴィアにある宇宙学園に新入学制が入学してくるところから始まります。

ここで入学してきた新入生の一人が片瀬志麻…通称しーぽんと呼ばれる女の子…
彼女は宇宙パイロットを夢見てこの学校に入学してきたのですが、最初のうちの成績はほぼ底辺…
それでも色んな人々との触れ合いの中から学び…知って…そして成長していく様が描かれています。

この作品…兎にも角にもしーぽんが輝いている作品だと思います。
顔は可愛らしいですが、スタイルは人並み…口数は多くないのですが時折テコでも自分の考えを曲げない頑固親父の様な一面を持っていて…
人に相談する事は決してなく口を開く時にはもう自分の中で決定している事を告げるだけ…
何より人に対して素直になれない意地っ張り…

こんな風に彼女の性格だけを列記すると、あまり良いところが見当たりません。
それでも彼女は輝いているんです…

それじゃ何が彼女をそんなに輝かせるのか…
それはいつも一生懸命頑張っているから…

必死で考えて…誰よりもたくさん計算して…
負けた時には悔しいといってポロポロ泣いて…
大切な人と同じ目線で物事を見るために歯を食いしばって頑張って…
有事の時には自分の事など厭わず身を挺する事のできる彼女…
そんな彼女の一生懸命に何度も胸を打たれて…何度も涙で前が見えなりました。

間違いなくしーぽんは良い子だと思います。
でもこの作品の良い子はしーぽんだけではありません。
しーぽんを取り巻く同じ予科生の仲間たち…
みんなの立ち位置が抜群なんです。

同じ予科生…という事は仲間であると同時にライバルでもある訳です。
特にこのステルヴィアでは成績の優秀な人とそうでない人との格差がどんどん開いていくんです。
優秀な人は学生であるにも関わらず大切なミッションに参加させて貰えるのですが、そんな選ばれる人間はほんの一握りだけ…
難しい授業にも厳しい訓練にも耐えられるのはそのほんの一握りになりたいから…

でも人って気付いてしまうんですよね…
どうしても越えられない壁がある事に…
どんなに頑張っても絶対追いつけない人がいるって事に…
もう心の中はグチャグチャです…

確かに予科生の仲間同士…全てが順風満帆ではありませんでした。
でもここで彼らはまた気付く事になるのです…
仲間の存在が何より大切である事に…

この作品で繰り返し使われた台詞も印象的でした。
「自分にできる事をやるだけ…」
「ここを次に世代に残すのは我々大人の役目…」
しっかりと見据えるべき物事が眼中に入った台詞だと思います。

この作品は2003年に放送されたものなので、もう14年も前の作品ですがそんな古さを微塵も感じさせない作品だたと思います。
SFというジャンルの好きな方…或いは好みの声優さんが出演されているなら是非チェックして頂きたい作品だと思います。

オープニングテーマは、「明日へのbrilliant road」
エンディングテーマは、「綺麗な夜空」「The end of the world」「Dear my best friend」
全てangelaさんが歌っています。
この作品のオープニングを始めて聴いた時、恰好良すぎて鳥肌が立っちゃいました。
挿入歌としても使用されているのですが、この曲が流れた途端テンションも上がりまくりでした。
絶対に覚えたい曲です。

2クール26話の作品でした。
物語としては綺麗に纏まっていたと思いますが続編があってもおかしくない
展開だったと思います。
この作品もしっかり堪能させて頂きました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 15
ネタバレ

ガムンダ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

リトル アストロ アカデミア

22世紀半ば過ぎた頃、人類は太陽系に進出し、予測された超新星爆発による宇宙風に備える為「ファウンデーション」と呼ばれる宇宙ステーションを多数運用していた。
ファンデーションにはそこで働く職員を養成する為の学校があり、その予科生に進学した主人公と仲間たちのお話。
SF(風)設定の、学園もの、恋愛もの、成長もの、と言ったところです。
尚、戦争ものではありません。


結論から書くと、惜しい!
SF考証が甘い。学園ものとしても甘い。シナリオが甘ーい!!
企画として良かったのに詰め切れなかった印象です。

【SFとして】
「ファウンデーション」とかもろアシモフだし、全体にハインラインの「宇宙の戦士」にも似てますし、作者はSF好きなのかな?
にしては宇宙で起こる現象が全然リアリティがありません。
{netabare} まずおよそ200年前(丁度現代ごろ)超新星爆発による宇宙線で地球は壊滅的な影響を受けたんだそうで、そこから予測された第2波に備えるのが前半の話なんですが、第2波は宇宙線のみならず、物理的に隕石も多数飛来するそうです。
まず超新星爆発したのがどの星なのか言及ありませんが、太陽に最も近い恒星アルファ・ケンタウリですら、近いと言っても4光年離れています。
そこから何かが放射されてこの密度で降り注ぐって…有り得ないですよね。

第2波処理の「グレートミッション」を概ね計画通り成功させたファウンデーションですが、今度は土星付近に謎の脅威が現れこれが後半のストーリーとなりますが、これが科学考証が全っ然で、対処として一体何をやっているのかが全く分からないので入り込めないんです。

クラークの名著「宇宙の旅」シリーズは科学現象としての宇宙航海と、未知の脅威への対処を楽しむ作品ですが、それは科学的に合理的だから読んでいて楽しいんです。

「ステルヴィア」はそこの所全然及びません。
結局謎の宇宙蝉の正体も不明なままですし、
子供騙しのオカルト現象を描いているだけです。 {/netabare}

まあシンプルに「SFビッグ3」に迫る力量あるアニメ作家などそうそう居ないって事なんでしょうね。残念ながら。


【学園ものとして】
前半はまぁまぁ良かったが全体としてまず凡庸。
それからミッションに私情を持ち込むな!(笑)
{netabare}後半は酷いもんです。
主人公女子と彼氏くんに人類の存亡がかかりますが、そんなストーリーにしなくても良かったと思うんです。
正直地球人類のトップ2がコレかよ!と嘆きたくなります。
2人とも個人の悩みで任務に支障を来しています。
結果的に乗り越えたし、そういう成長ものなんでしょうが、高校生と言うより小学生みたいでした。
話し合おうとするたんびに「もうほっといて!」とか言いながら走り去るの何回やるねん。
ガンダムもそうですが、お子様に人類の命運背負わすのやめて欲しい。
{/netabare}

キャラ評価4にしましたが、これは実際居そうな深みのあるキャラを多数配置してくれた事への評価で、正直ウザキャラが多めでした。


訓練生が成り行きで活躍しちゃう似たストーリーに「ストラトス4」がありますが、そちらの方が成り行きに説得力がありますし、活躍の度合いや任務に注ぐ情熱の点で見応えがあります。
キャラもサバサバしてて魅力的ですし、ビジュアルも迫力ありました。
まだでしたらコレより先にそちらをお勧めします。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3

ぽぽたん さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

旧作の魅力を話したい(長文)

野中藍さんの出世作
舌足らずな独特な声は幼さのなかに芯がありますよね
あいぽん演じる片瀬志麻とその仲間たちが、助け合いときにぶつかって
宇宙規模の災害にむかっていく壮大なストーリーでした

今後視聴される方のために
舞台設定についてかみくだいて記します

地球圏からはるか遠くで星が爆発。
その爆発衝撃波が地球に到達して過去に壊滅的被害をもたらします
しかしこの災害はおわっておらず
爆発の第2波がくることが観測されており
対策として地球圏にバリアを建設しております
そのバリアのメンテナンスや、バリア通過した隕石の回収をする人材育成施設が
ファウンデーションと呼ばれる宇宙ステーションにあるんです

ステルヴィアとは第2ファウンデーションのなまえです。
西暦2356年のお話なのですが途方もない未来というより
生活の描写からごくごく先の未来の物語の印象をうけます。

では見所について語ります
まずはキャラクターの魅力
脇役が光る作品です。名作とされる条件は脇役が個性的であること
脇役の心理描写がしっかりなされていることが必須かなって考えております

主人公志麻の親友4にん
志麻の理解者であり、ステルヴィア入所から一緒のアリサ
ほんわかした人柄ながらくらい影のあるやよい
ツンデレ担当優等生ながら努力の人晶

ふだんは仲良くたわむれているんですが心に秘める
「嫉妬」「焦り」「不安」「孤独感」などがしっかり描写されています
高まった感情をぶつけあって喧嘩に発展することもありますが
罵りあえる仲間こそ本物の仲間であろうし
そして彼女たちのわだかまりが解消されて
真のともだちになって行く姿に感動を覚えます

学生を見守る側である教官のおとなたちも味があります
大人が重要な役どころである点はポイント高いです
やるときはやるって大人らしい姿にしびれます
子供しかでないアニメだとどうしても出せない味ってありますよね

ストーリーの魅力
登場人物が同じ目的にむかっていますので
一本道なシナリオで破綻がないんです
主題としてあるのが少女達の成長を描くことでありますので
別の方向をみていた子たちの心が一つになってく過程が
ストーリーをなぞりながら伝わってきます
結末をうやむやに終わらせず納得のできる〆かたにしたのも
気持ちよいですね

ものたりない点
①キャラデザは正直太いな・・・って肉感的ともいえるのでしょうか
丸顔で首もふとい。萌え絵の部類ですが
SFアニメなので、求めるところが違うんでしょうか

②最大の見せ場で迫力に欠ける
史上最悪の災害に立ち向かう過程の描きかたは手にあせにぎるんです
確実性にかける高出力レーザーに最後をたくして
それを発射。
まっすぐ飛んでいって
命中。消滅

こういうシーンって一回回想いれたり
お願いって祈ったりしてたりするメインキャラのカットとか普通
いれませんか?
だらだらひっぱるのもどうかと思いますが
あっけないのもさみしいのです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

58.5 6 ヒューマンドラマで友情なアニメランキング6位
少年ハリウッド(TVアニメ動画)

2014年夏アニメ
★★★★☆ 3.3 (177)
869人が棚に入れました
かつてアイドルになることを夢見ていた32歳の桜木広司は、ある日アイドルグループ「少年ハリウッド」の新メンバーにスカウトされる。広司は柊剛人(ひいらぎ つよと)と名を変え、年齢を17歳と偽ってアイドルになることを決意する。原宿にある架空の劇場「ハリウッド東京」を舞台に、「少年ハリウッド」の少年たちの夢と成長を描く。
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

10話を観たら、評価を変えざるを得ない

5話で断念しました。
いろんなところに目をつぶって、きっと面白くなるだろうと頑張っていたのですが、5話くらいで「もう、いっか。」と諦めがついてしまって、それでバッサリ区切りをつけたつもりだったのですが・・・

しばらくして10話を観(させられ)て、今までまとわりついていた違和感も仕方ないよなと受け入れられるようになりました。10話の感想は後回しにして、まずは10話を観る前の感想から書きます。

①まずキャラデザは割と好みでした。
リアル系で真面目な絵柄は、うたプリと違って、人間ドラマがしっかりとした物語になっていくのかなと期待しました。
顔の見分けがつかないのは面倒だけど、リアル系ならしょうがないと思っていた。登場人物の年齢を聞くまでは・・・
14歳・・・15歳・・・とんで17歳・・・18歳・・・
え・・・どう見ても20台のお兄さん達でしょ・・・
ま、まあ、テニプリだって中学生には見えないもんね。そう言い聞かせて他の部分に期待しました。

②次に気になったのは、声です。
棒読みとは言わないまでも、喋りに覇気がない。つまり、若々しさとか、夢追い人っぽさが無いのです。
ここ辺りから、おや、大丈夫かな?という疑念が生まれてきます。

③そして、設定。自己紹介や舞台の役設定が怪しすぎる。
電波キャラで売り出しているアイドルはいるが、それは大抵が女性で、男性は見たことがありません。
異様すぎて、キャラ作りだと分かっていても持ち悪さを感じてしまう。
それは名乗りのアイドルだけではなく、プロデューサーであるシャチョウに対しても気持ち悪さを感じた。

④・・・といっても、別に切るほど物語がつまらなくはありません。作画自体は安定しており、話はギャグには走らず真面目に進んでいくので、変な設定を気にしなければ、むしろ好感度が高いです。
ですが、やはり変な設定が気になってしまって・・・5話までみてみたのですが、話も面白くなる気配もないし、ここで断念してしまいました。

⑤音楽・主題歌のインパクトは割と強いです。
いえ、音楽だけでなく、物語のインパクトも強いです。
なぜなら、この感想を書いたのは、視聴してから1年ほど経ってからのことだからです。そう考えると秀作なのかもしれません。


そして10話「ときめきミュージックルーム」を観て
観せてくれた方の受け売りですが、”このタイトル、原作の方がアニメ化に当たって原作者が一番やりたかったこと”らしいです。つまりは、30分アニメ丸々1話を使った音楽番組、これが今回の内容です。

ときめきミュージックルームという架空の番組を作り上げ、
歌手を揃え、
歌と踊り+歌手と司会者の雑談を披露するだけのお話です。

曲目は

1ミス・モノクローム「私だけの物語」
まさかのスターチャイルドつながりコラボレーション!!!!
やってくれますねえ・・・

2高杉ちえり「チェリーチャンス」
原宿ガール初のソロデビュー。アイドルとは思えない落ち着いた彼女。キュートなダンスと抜群の歌唱力に注目です。
{netabare}高杉ちえりの名前は同原作者の小説「原宿ガール」の主人公杉浦弥代子(32)のアイドルとしての名前。それにしても、声を当てているのは誰・・・{/netabare}

3少年ハリウッド「永遠 never ever」
テレビ初出演の彼ら、コメント力はまだまだ未熟だけど、今後も応援したいです。息の合ったダンスに注目です。

~CM~

4柿田川大介「三嶋限界線」
名前のモデルは演歌歌手の北川大介さんかな?

5大咲香「ENDLESS STRIPE」
初代少年ハリウッドの一人。大物感漂う風体だが、最近出演した映画の役どころは、ワンシーンに登場するラジオのDJww
自分に酔ってる感じが面白いです。


さて、曲目だけでもかなり濃い内容となっていますが、それだけじゃありませんよ!!テレビ番組ですからね、動かなければ面白くない!!!
そんなわけで、どのように踊りを描いているかというと・・・これがまさかの手書き・・・!!!

少ハリを制作している会社はZEXCS。悪の華を制作した会社なんですが、あんな感じでぬるぬる動きます。

特に高杉ちえりさんのところなど、それだけで昨今のテレビアニメで神回と呼ばれるようなレベルです。
アニポケのセレナもびっくりするレベル。

まあ実際に、かなり話題になっていたみたいですが。
少ハリの曲の時など、5人を描くわけですからね・・・多少作画が崩れても仕方ないです。続いてのBパートはもう息絶え絶えという感じでしたがそれでもがんばって動かしていましたね。
もう、お疲れ様でした。としか言いようがありません。

これだけのものがシリーズの中にあるなら、他の所は目をつぶろうじゃありませんか。最初にここが気に入らないとか言ってごめんなさい。
少ハリは良いアニメです。

皆さんも10話を是非見てみてください。
きっとこの作品の評価が変わりますよ。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11
ネタバレ

沙祈 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

新生少年ハリウッド

新生少年ハリウッドとしてデビューする5人のアイドルの物語。
顔のキャラデザが微妙。ただミミズクのキャットだけはかわいい。だけどキャラデザで切ってる人はもったいないと思います。

女の子は主人公達の家族かモブでしか出ない。10話はコラボとしてトップアイドルを目指す某コンビニ店員{netabare}モノクローム{/netabare}が登場!

アイドルの声優みんな歌がうまい。OP凄く気にいった。
旧少年ハリウッドと現少年ハリウッド同士のメンバーの会話も見所の1つ。
5話の舞台回、10話のミュージック番組がお気に入り。12話最後のみんなのダンスが{netabare}揃うところも{/netabare}好き。

EDが毎話変わる。

各話感想↓
1話 僕たちの自意識
{netabare}ジャージがダサイ。ミミズク可愛い。
1分で覚えられる恥ずかしい自己紹介。公開処刑。
読めない当て字。ポーズが何だか恥ずかしい。
ノリで決まったセンター。
世にも恥ずかしいアイドルになった。
EDの人形可愛い。{/netabare}

2話 嘘が輝く時
{netabare}いきなりの客室乗務員。5人同時に喋るのなんだか心地良い。
シャチョウも靴買ってた。シャチョウの台詞がカッコいい。
友達2人お揃い…。言えないカケルくん。{/netabare}

3話 彼らの未来
{netabare}ミミズクに喋らせるの無理な気がする。
再会するダブルトミー。引き継ぎ。
てっしーまったく変わらない。
危ない花火。
シャチョウはゴッドだった。
EDかっこいい。{/netabare}

4話 人は死ぬ。いつか死ぬ。でも
{netabare}子役って大変そう。
32歳が17歳に間違われる…。
チラシ配り。
ファミレスで死についての会話。
反抗期で喜ぶ母親。
10日ないのに脚本変更!?
御の字がゲシュタルト崩壊。{/netabare}

5話 エアボーイズ
{netabare}エアボーイズ舞台回。
キラの台詞ほんとに少ない。
台詞が出なくなったマッキー…。焦る。
地上がジャックされる…!?
夢の上書き!
いい舞台だった。{/netabare}

6話 雨の日の居場所
{netabare}子供っぽいキラ。
すりつぶしやがれー。
ポケットに虫いれてるテッシー…。
不良グループの意味のない苦労。マッキーかっこいい。
キラ苦労してたんだな。
スパイシーフローラルフルーティ体育館の匂い。
みんな楽しそうでよかった。{/netabare}

7話 人生に人生はかけられない
{netabare}いきなりの演歌。
痛ましい歌声のアイドル。
録音して歌うカケル。辛辣な妹。
カケルを励ます時の歌、アドリブなのか。凄いな。
外出ちゃった。なんか恥ずかしい。
見世物になってる。歌いながら自己紹介。
肩にミミズク乗せてるてっしー。{/netabare}

8話 永遠の花火
{netabare}テッシー半目だった。
みんな大の字。
モテたい男子の妄想。謙虚な気持ちを忘れない!
キャットどことまってるの。
みんなの秘密。かわいいマッキー。
寝起きドッキリ。みんな起きてた。
バーベキュー。危ない花火。{/netabare}

9話 みっともない輝き
{netabare}TVに出るみんな。
オーディションに出るシュン。合格しちゃった。
深夜放送・体力もぎもぎパラダイス。
カッコいい初代の先輩。変な自己紹介。
ふっきれたシュン。{/netabare}

10話 ときめきミュージックルーム
{netabare}モノクロームさんだ!マネオマネージャーほんと有能。
チェリーちゃん。喋らないのかな?リアルな等身。歌は歌う。
マッキー話すの早い。
少年ハリウッドの歌かっこいい!
演歌だ。
コウさんの甘い歌声いいな。{/netabare}

11話 望まれない僕たち
{netabare}ささくれって痛いよね。
勝手にファンレター見ちゃうカケル。
ギスギスしてるみんな。
一人で踊るシュン。
ドアノブがぬめぬめしてる…!?どんな夢。
練習、3人だけ…。
EDのフェルト人形可愛い。
無言予告。{/netabare}

12話 ハロー世界
{netabare}ライブ予告!
キャットがシュンにとまる。爪痛そう。幸運の守り神。
マッキーかわいい。
ばらばらマッキー、カケル。
スーハ―マスター。
全員バラバラ。
揃ったけど物足りない。
最後の最後で揃う!!{/netabare}

13話 僕たちは、永遠に生まれなおせる
{netabare}MCの練習。
椅子が動く!?収納される!?ハイテク。
成長したキラ。
歌舞伎顔マッキー。つられ笑いしてしまった。
ファンサってファンサービスかな?
サプライズ!名演技。テッシーの咳払い。
ゴッドは永遠の17歳。
新生・少年ハリウッド誕生日。
客席埋まってる。
ライブないのか…。EDだけでも映像少し欲しかった。ちょっと残念。だけど面白かった。{/netabare}

2015/8/25 1~7話ニコ生上映会視聴
とても良かった:93.7%/まぁまぁ良かった:3.8%/ふつうだった:0.6%/あまり良くなかった:0.4%/良くなかった:1.5%

2015/08/25 8~13話ニコ生上映会視聴
とても良かった:96.8%/まぁまぁ良かった:1.4%/ふつうだった:0.7%/あまり良くなかった:0.0%/良くなかった:1.1%

投稿 : 2024/11/02
♥ : 1

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

気が付いたら完走していました^^;

この作品の原作は未読・・・だったのですが、レビューを書く時にwikiを見て知りました・・・
ストーリーはオリジナルだったようです^^;
・・・というくらい、この作品に関しては事前情報無しで視聴に臨みました。

15年前・・・一世を風靡したアイドル集団の「少年ハリウッド」。
でも、時は過ぎ・・・少年ハリウッドも開催し、現在残っているのは全盛期に使用していた「ハリウッド東京」という劇場のみ・・・
そんな状況から社長は「新生少年ハリウッド」の立ち上げを目論むのです・・・
こうして5人の少年達が集められ・・・物語が動いていきます。

タイトルで気付くべきだったのですが・・・この作品の華は14〜18歳までの美形男子・・・
振り返ってみると、5人のうちの一人の母親が少し出演した程度で、女性が殆ど登場しなかったと思います・・・
ここまで徹底的に女性を排除するスタイルに潔さを感じてしまいました^^

それと、サブタイトルに-HOLLY STAGE FOR 49-とありますが、この意味は最後まで分かりませんでしたね^^;
特に「49」の数字の意味が分からず・・・思い切り気になってしまいました^^;
5人の年齢を足した数字かとも思いましたが、それじゃ小学生軍団になってしまいますし・・・
この作品は、既に2期が15年の冬アニメで放送されることが決まっているのですが、そのサブタイトルは-HOLLY STAGE FOR 50-。数字が49→50と1つだけ増えているのですが、これで益々分からなくなってしまいました^^;

タイトルは謎に包まれていますが、物語は5人がアイドルになるまでの軌跡を描いた内容なので、極めてシンプルで分かりやすいです^^
アイドルは見る人に夢を与える仕事・・・
頭では分かっていても、実戦するのはとても難しい事です。
それに思春期の葛藤が交錯して・・・社長の無茶ブリする壁に何度も躓きます・・・

それに、もともとみんなはアイドルを目指していたわけではありません。
でも、アイドルになるということは自分の夢を諦めること・・・これに対する不安もあり、時には練習に身が入らないことも・・・
アイドルという職業柄・・・皆んなの気持ちを一つにするのは難しいんでしょうね^^;
そんな血気盛んな10代の彼らは、壁だけじゃなくお互いとも何度も衝突していましたが・・・
結果的にお互いを理解し合う近道だったのかもしれません^^;

1クール13話の作品です。徹底的に女性を排除せいた設定に潔さは感じましたが、もう少し違った意味での華が欲しかったのは本音です^^;
15年の冬アニメで続編が放送されますが、続編もその設定が健在なんでしょうか・・・^^;?

そもそもどんな展開になるのでしょうね・・・?
少年ハリウッドの前に立ちはだかる現役トップアイドルチームの数々との激しいバトルなら色んな華を見ることができるのでしょうし、少○隊などの男性チームとの頂上争い・・・
のような展開になるなら今回の設定がそのまま引き継がれるのでしょうし・・・う〜ん、気になります^^
でも、あれこれ言っても結果的にはしっかり続編も視聴すると思いますけれど・・・^^;

投稿 : 2024/11/02
♥ : 15

65.1 7 ヒューマンドラマで友情なアニメランキング7位
ギャラリーフェイク(TVアニメ動画)

2005年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (104)
617人が棚に入れました
表向きは贋作・レプリカ専門のアートギャラリー『ギャラリーフェイク』を舞台に、オーナー藤田玲司が、様々な登場人物と絡みながら、時に世界を駆け巡りながら、絵画、彫刻などを通じて「アートとは何か?」を問いかける。主人公の魅力は、単なる守銭奴ではなく、アートへの奉仕者として清濁併せ呑む点にあるほか、美術・芸術・骨董の多方面に渡る薀蓄的描写も、読者の好奇心をそそる。助手サラ・ハリファとのほのかな恋の行方も気になるところであるほか、脇役・レギュラーキャラクターも多い。

また芸術に絡んで社会問題にも言及するなどしており、物語は美術方面の商業的な話題から推理サスペンス、コミカルな人間模様、陰惨な事件、時に憎み合い時に愛し合う人々の交流、文化財保護にまつわる制度面の問題など、多岐にわたる。

声優・キャラクター
森川智之、川澄綾子、ゆきのさつき、石坂浩二
ネタバレ

青陽 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

神の左手悪魔の右手

ハンターのヨークシン編が好きな人、その中でも
クラピカ絡みの話よりゼパイルさんの目利き話やオークションが好きだった人
…そして特に旅団のコルトピファンなら観て損はない作品。


私は昔からお宝鑑定団の視聴者でしたので、この作品も非常に楽しめました。
ナレーションに石坂浩二氏が特別出演されていたのも合点がいきますね。


主人公、深田の画廊
「ギャラリーフェイク」
表向きは贋作を取り扱う専門店だが、裏では闇に出回る訳あり品やら真作を取引している。
まさにギャラリーフェイクなのです。
藤田は美術界の闇と深く繋がりながらも、なにより美術品の価値を尊重していますね。彼の美術に関する幅広い(広すぎるくらいの)知識と絵画の修復技術の巧みさ、なによりその審美眼は目を見張るものがあります。
彼の仕事ぶりを見れば
かの中島鑑定士も思わず「いい仕事してますねえ〜」と感嘆することでしょう。

この作品をわかりやすく例えると美味しんぼの美術品ver.といったところでしょうか。こっちの主人公のほうが断然かっこいいし、テーマとしても好きだけど。
毎回、テーマとして扱われる美術品とその持ち主の人生が描かれておりドラマ性が高いです。
トレジャーハンターの話はちょっと作品の色と違うだろ…と思ったけど、まあ うん…スパイスにはなっていたかな。
個人的にはトレジャーハンターみさえのほうがry


以下は特に好きだった話の感想

{netabare}

Myセレクション

1話
物語の説明を兼ねたオークション話。今回出品された
モネの「積みわら」
モネが長期に渡って描いた連作であり、季節や時の経過による
空気や光の変化が緻密に描かれていて高い評価を受けた作品。ギャラリーフェイクの世界でも他の作品は無事に保管されていることを願います。


7話 光と影
光の魔術師 レンブラントの作品にまつわる回。
もっとも有名な作品は「夜警」だろう。夜の暗がりを進む自警団が描かれている中で、まるでスポットライトが当たっているかのように光さす少女が印象的な絵画。依頼主は自分たちより謎の少女のほうが目立っていることに少しおこだったらしいけど(笑)

画家というと
生前は貧窮極まり、死後にその作品が高く評価されるというイメージをお持ちの方もいらっしゃるでしょうが
レンブラントは当代一の人気画家として名を博した。
一大ブームとなり、彼の工房も盛んに
→多くの弟子とともにたくさんの作品を世に送る。

しかし、技術が精巧に受け継がれたことや、作品の仕上げをレンブラントが行ったことなどから
作品の一群が真作かどうか。
作品を描いたのは本人か弟子か
非常にわかりづらいものとなり、それを調査するための組織まで設立された。

今回ある作品を調査しに訪れたレンブラント委員会。
委員会の博士は細かな部分に気を取られて弟子による作品と判断したが、藤田はその鑑定を覆し真作であることを証明する。

真作か贋作か?
それより大切なことがある
世間の風潮、常識や凝り固まった価値観に縛られない審美眼

美術は正誤ではない
本人の力量に勝るとも劣らないほどの美しい作品が世に多く存在している。それは素晴らしいことではないか。
と主張する藤田

ギャラリーフェイクを経営している真意が垣間見られるような発言だ。
本物か偽物か、有名か無名か。重要に思えるがそれは二次的なもの。


11話
ベトナムに向かった藤田と助手のサラ。
ベトナム戦争時に有名だった戦場カメラマン川口の愛用していたカメラを入手したという情報があったからだ。しかも、それを戦場で死んだはずの本人から譲り受けたというのだ…

長きに渡り 悲惨な戦場を見てきて心が疲弊してしまった川口は
カメラとカメラマンだった自分を捨て、新たな地で牧歌的な生活をしていた。
惨劇交じりの回想シーンを見ても彼がそうなってしまったのは無理ないと思えた。
写真を撮ることが苦痛になった彼が藤田たちと知り合い
一悶着起きたものの
最後には
かつてベトナム現地で見たような美しい瞬間に出会い
ハッとし、フィルターを構え、写真を撮る。気づけば彼の頬を伝う涙。
彼の日々は辛いことばかりではない、たしかに美しい時も存在していたのだ…!


13話 監獄のミケランジェロ
藤田の若き日の思い出。
かつて藤田が美大生だったころ、修行の一環として
刑務所に天井画を描くアシストをしたときの話。
青野武さん演じる監獄のミケランジェロ たつが良い味だしてる!
亡くなってしまった偉大な演者とこうやって思いもよらぬ再会ができるのは
映画やアニメを観ていて嬉しいことのひとつです。


14話パサージュを抜けて
パリを舞台に粋な話。
観たい作品のひとつであるクロワーゼもたしか舞台はパサージュだったはず。
耳すまを思い出すような
人形にまつわる淡い恋の話。
最後のあの演出は粋すぎる。



19 知念、危機一髪
国宝を発見し保護する「国宝Gメン」と呼ばれる文化庁の人間 知念。あるとき彼は東北の寺で見つけた仏像を愛ですぎて破損させてしまう。なんとか自分のミスを誤魔化そうと、尻ぬぐいの修復を頼まれた藤田。
仏像を積んだトラックが目的地に着くまでの間にこっそり忍び込み、仏像の修復を済ませねばならない、というHARDなミッション。
今までとテイストが違ってはらはらしたし、面白かった話。オーシャンズ11を思い出した。
トレジャーハンターが出てくるより、これくらいのアクションがちょうどいいと思う。



33話 絵金
藤田は脇役。美術品もほぼ脇役。だが、悪くない!ヤクザな男とそんな男に惚れた女のドラマ
遠き日の思い出もまたかけがえのない芸術である。

{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 6

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

「美術と蘊蓄」「ピカレスク」「一話完結」おすすめです

<2022/2/9 初投稿>
原作は1990年代にビッグコミックスピリッツで連載されてて、当時たぶん一通り読んでます
・・・と、ウィキ調べたら2016年からまた連載再開されてる!
マジですか?
読みたい!
というかあらためて全巻揃えたい!

作者の細野不二彦さんは「さすがの猿飛」「Gu-Guガンモ」などで1980年代から活躍する漫画家さん。
さらにいえば、美樹本晴彦、河野雅治、大野木寛といったマクロス組?と若い頃から仲良しグループだったのだそう。
そのグループの中でも画力の高さは際立っていたそうで、確かにこなれた絵柄は見やすく、かつ躍動感、存在感に溢れたものでした。
そういえば漫画版「クラッシャージョウ」もこの人だったような。

今回、CSでアニメ版の一挙放送やってたの見つけて、懐かしくて毎日一話ずつ、楽しみにしながら視聴しました。

本作は一話完結型の「美術と蘊蓄のピカレスク」

主人公・藤田玲司は表向きは贋作専門、裏では盗品なども扱うと言われる画廊「ギャラリーフェイク」を営む美術商。
実は元メトロポリタン美術館(MET)のキュレーター(学芸員)であり、
その美術品全般に渡る深い知識と正確な鑑定眼、そして極めて高い美術品の修復技術からMET時代は「プロフェッサー」の異名で呼ばれた伝説の存在。
とある事情でMETを追われてから「ギャラリーフェイク」を開き、その知識・スキルと幅広いコネクションで「怪しい商売」を営んでいます。
でも美術に対する熱い心は失ってないよ。
仕事では億単位の取引をしてるくせに、その素顔はボロアパートに住む、蟹好きで腰痛持ち運動不足の三十代後半のオールバックのおっさんである。
名前の元ネタはフランスで活躍した日本人画家・藤田嗣治なのだそう。
声は無職転生のルディのパパというイケボ

サラ・ハリファは藤田の助手兼ヒロイン。
アラブ系の超お金持ちで元王族。
とある件から藤田に惚れて、ギャラリーフェイクに「押しかけ助手」。
よくわかりやすくヤキモチを焼く。
ティーンのため藤田からは子供扱いされるも、なんだかんだで藤田に大切にされている。
美術品を見る眼は肥えていて、助手としても有能なんじゃないかと思うけどどうなんだろう?
声はセイバーとかのだめの人なので拗ねると可愛い

三田村小夜子館長はもう一人のヒロイン兼藤田のライバル役。
日本の私立美術館の館長でやはり海外の美術館でキュレーターの経験あり。
なので美術品の知識や鑑定眼はハイレベル。
真面目で勝ち気な美人さん。
藤田さんをたまにデレデレさせる役割も担う。
つまりサラからは恋敵に見える立ち位置。
でも本人が藤田のことをどう思ってるかは謎。
声はプラネテスの田名部愛とかフルメタのかなめの人。

レギュラーキャラは以上です。

一話完結で、毎話ゲストキャラも登場します。
お話はバリエーションに富んでいて。
渋みのあるものから、
ニヤッとするもの、
ニヤニヤするもの、
温かくなるもの、
ハラハラドキドキするもの、
日常っぽいものまでなんでもアリな感じ。

今回見た中で特に印象深いのは
13話「監獄のミケランジェロ」
16話「楊貴妃の香」
31話「孤高の青」
33話「神々の宝石」
37話「メトロポリタンの一夜」

毎話出てくる美術品の蘊蓄も楽しみでした。
本作始まった頃ってまだネットもなかったはずだけど、作者の細野先生と編集さんはよく調べるよなぁ。


藤田は極めて高い専門性を持ち、物語の中の立ち位置としては決して評論家に収まるのではなく「研究者」とか「職人」といった風情。
そう言ったところ含め本作には「マスターキートン」に近いものを感じてしまいます。

ちょっと外連味ありますが、大人が楽しめる楽しい作品。
美術の世界に少しでも興味あるならならおすすめできる。
隠れた良作だと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 23

セメント さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

美を知る者は孤独なり

徒党を組めばやがて馴れ合い腐りゆくまで。


<物語>
主人公の藤田玲司は元メトロポリタン美術館の学芸員、自身の審美眼や、他の美術館の学芸員、ブラックマーケットの人脈を駆使して有利に商売を進める画商です。
ということで、美術品に関する豆知識が得られるというのもこの作品の優れた点ですね。
元学芸員という主人公の遍歴も新しいですし、発想の勝利と言わざるを得ない。
話も基本的に一話完結で没頭してしまいます、絵画や彫刻だけに留まらず、ミステリークロックやからくり人形、植物標本など扱う品も多岐に渡り、時に善良なオーナー、時に悪徳美術商、特に冒険家と瞬時にスタンスを変える藤田から目を離せません。
中でも私個人としては、バーを舞台にしたミステリー回(25話)と佐伯祐三の顔のない自画像の回(28話)とウジェーヌ・ドラクロワのアートキャンサーの回(35話)が面白かったですね。

<作画>
原作は"ビックコミックスピリッツ"連載の細野不二彦さんの漫画、「美味しんぼ」とコラボなんかをしてたりします。
現在のトムス・エンタテインメントの前身である東京ムービーがアニメを制作していますね。
テレ東系列ということで結構広く放送していたはずなんですが、何故か放送時期は存在感を発揮してませんでしたね。
それこそ深夜ではなく夕方に放送した方が良かったかもしれません。

<声優>
藤田役の森川智之さん良い!すごく良い!
胡散臭さがぷんぷんしていてこれ以上に無いベストキャスティングです。
サラ役の川澄綾子さんも良いですね、褐色娘良い。
ライバル的立ち位置の三田村館長には雪野五月さん、予告の声も兼ねていて、そのどれもが楽しそうに思える語り口は見事でした。

<音楽>
EDの「だから、私は歌う」は良い曲ですね、ナチュラルハイの。
お洒落でセンスのある曲なんですけど、ナチュラルハイと検索するとアダルトメーカーが引っ掛かるのが玉に瑕です。

<キャラ>
藤田の言葉遣いや主要人物の構成は「ブラック・ジャック」に似ていて、細野さんも意識していると認めていますね。
比べるまでもないですが、どちらも分野に精通しているのが見て取れて、面白いですよね。
手塚さんが阪大医学部卒の経緯を創作に活かしてるのは伝わりますが、その点紺野さんは慶応経済学部卒ですから、趣味の範疇なのでしょうかね。
聞くところによれば、どこかしらの図書館で専門書として本作が扱われているようで、紺野さんの博識ぶりが伺えます。
さて、気になるのは藤田の年齢ですが、メットの学芸員であれば少なくとも大学院は出ていますよね。
プロフェッサー時代とアートディレクター時代合わせて40歳は超えているだろうと考えられますが、30代後半くらいの印象です。
それにしても、異色の経歴の主人公です。
他にも珍妙な肩書を持った魅力的なキャラクターが沢山出てきます。


こういった特定の分野に特化した作品は学ぶ点も多くて大好きです。
初めて本作に触れる人なら、知らない土地で隠れた名店を見つけた時のような感動が味わえると思います。
お勧めのアニメです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

67.3 8 ヒューマンドラマで友情なアニメランキング8位
ヒートガイジェイ(TVアニメ動画)

2002年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (76)
509人が棚に入れました
ジュドの都市安全管理局中央司令部本部長シュン・アウローラは、新たに特務課を設置し、弟のダイスケ・アウローラをそこの準職員に任命した。シュンはアンドロイドのジェイをダイスケの相棒とするが、実はジュドではアンドロイドは禁止されていた。しかし、激増する犯罪に対処するため、シュンは特例としてジェイの製造を命じたのだった。父をアンドロイドに殺された過去を持つダイスケは、ジェイになかなか心を開くことが出来なかったが、数々の難事件を解明するうち、次第にジェイをかけがえない相棒と認識するようになる。
やがて、父の暗殺の背景に、ジュドの実質的な支配者であるセルジュ・エチゴの存在があることを知ったダイスケは、謎に包まれたエチゴの正体を探るべく、その身辺を調査し始める。

声優・キャラクター
松風雅也、菅生隆之、千葉紗子、阪口大助、三木眞一郎、小林沙苗、藤原啓治、清水愛、三宅健太

しんばくん さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ジェイ「漢はヒートガイジェイを観なければならない。」 高品質作品 

物語:4.2 作画:4.3 声優:3.8 音楽:4.2 キャラ:3.8 【平均:4.1】                           (69.0)

ジャンル        :ハードボイルド、ヒューマンドラマ、アクション
話数          :全26話
原作          :赤根和樹、サテライト
アニメーション製作 :サテライト
監督・シリーズ構成 :赤根和樹
キャラデザイン    :結城信輝
メカニックデザイン :竹谷隆之
音楽          :TRY FORCE
主人公声優      :松風雅也
OP           :「FACE」作詞・作曲・編曲・歌 - TRY FORCE
ED           :「心の隙間」作詞・作曲 - 拓磨 / 編曲・歌 - wyse
             :「ひかり」作詞・作曲・編曲 - 梶浦由記 / 歌 - 千葉紗子

参照元         :Wikipedia「ヒートガイジェイ」
公式ページ      :https://www.bandaivisual.co.jp/hgj/main.html

【あらすじ】
 都市安全管理局特務課の準職員ダイスケ・アウローラは頻発する犯罪を未然に防ため、ジュド唯一の正規登録アンドロイド“ジェイ”と共に日々の公務に当たっていた。ダイスケとジェイは混沌とした社会の秩序を保つべく、漢の熱き正義で闇の世界に殴り込みをかける。

【特徴】
①刑事もの
②ヒューマンドラマ
③凝った映像演出(3DCG、線画、魚眼レンズ)
④アクション
⑤BGMの種類が豊富

【特徴の補足】
①主人公であるダイスケは街の犯罪を未然に防ぐ保安官の仕事をしている。そのため主要な内容はダイスケとジェイの捜査となる。因みに警察はダイスケの所属する課とは別に設置されており、ケンという刑事も登場する。
②各回毎に捜査の対象となるキャラクターが登場する。尚、一期一会の出会いとなるキャラクターも居れば再び登場するキャラクターも居る。各回毎のストーリー構成は序盤で伏線を張って最後に回収するタイプもあれば、順を追って締めるタイプもある。また、1話完結の話もあれば、次回へ続く場合もある。
③本作最大の特徴は話の繋ぎ目で3DCGを積極的に使用していることである。話の繋ぎ目のためセリフが無く、3DCG映像のみに集中できるようになっている。3DCGの演出意外では、勢いを表現するシーンでは線画にしたり、変哲の無い会話シーンでは魚眼レンズ調の作画にしたりなど視覚に訴える演出が多い。尚、唯一の難点は使い回しが多いこと。
④アクションシーンに拘っており細やかな動作が魅力。此方も③と同様に凝った映像演出のうちの1つ。
⑤BGMはアジアの民族音楽であり、コーラスの入った曲が多い。

【総括】
 物語の舞台であるジュドの街に関する設定と街を統率する組織や勢力などの設定がしっかり設けてあり、壮大な世界観だけでも見応えがある。また、本筋は様々なキャラクターの思惑が交錯する中、ダイスケとジェイが街の暗部を暴くというシナリオであり、暴くまでの過程はジェイやその他のキャラクターと出会い、様々な事柄を解決して行くといった構成のヒューマンドラマである。長所は凝った映像演出と多数用意されたBGM。またストーリーの粗も無く全体的に高品質であることが伺える作品であった。


【思った事・蛇足】

視聴開始直後は『カウボーイビバップ』の影響を強く受けていると感じたが
最終話視聴後には一部影響を受けているかなと思える程度だった。


強く受けていると思った理由は4つ。
ハードボイルドを謳っていること。
一期一会系のサブストーリーが多数あること。
アクションシーンが多いこと。
BGMの種類が豊富であること。


しかし最終話まで観ると
アクションが派手なこととBGMの種類が豊富なこと以外は独自性を感じた。
特に物語の後ろ半分はイメージと異なる展開となりました。


それから3DCGについて1つだけ言及すると
2002年時点では十分な水準にあることです。
当然現在の水準と比べるとちゃちに感じると思いますが
私は正直なところ13年近くも前の作品がココまで作り込んでいることに驚きました。


ストーリーのみ面白い作品もありますがヒートガイジェイは
「やはりアニメはアニメーションなんだから映像的に面白い方が良いに決まっている」と
そう思わせてくれる作品でした。


●赤根和樹監督
私が知っているところでは
『ノエイン もうひとりの君へ』
『鉄腕バーディー DECODE』の2作ですが
どちらも勢いのあるタッチで描かれた作画が印象的でした。
本作は上記2作より前の作品ですが勢いのある作画は健在です。


●声優
有名な声優が多数出演しています。
気になった方は上部記載の公式ページ「Staff&Cast」を参照して下さい。


●ダイスケ・アウローラ 声:松風雅也
シュン・アウローラはダイスケの兄であり都市安全管理局中央司令部本部長。
ダイスケはシュンによって特務課の準職員に命じられジェイと共に事件の真相を探る。
性格は楽天的でマイペース。
かつて武闘派マフィアのボスだった将軍に育てられ武術は達者。

性格のためかハードボイルドものと感じさせないが
あまり表に出さない正義感に漢らしさを感じる。


●ジェイ 声:菅生隆之
サムネイル画像の紳士。
身長230cmもあるアンドロイド(作中ではマシーン)。
そして主人公であるダイスケの相棒。
「漢は~なければならない。」が口癖。
彼には「漢の覚書」プログラムがインストールされている。(適当)
尚、彼の個性は開発主任のアントニアによって形成された。
基本的に硬派で渋いが女性には優しい紳士。
お茶目な一面もある。
イメージは洋画『ターミネーター』でシュワちゃんが演じたT-800。

声を担当した菅生隆之さんですが
その声は馴染みのある声だと思います。
人によっては洋画の渋い俳優の顔が思い浮かぶかもしれませんが
私は缶コーヒーが頭に浮かびました。


●グラフ[物語の転機が分かってしまう可能性あり※ネタバレ注意]
http://shinbakuns.blog.fc2.com/blog-entry-42.html

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10

こたろう さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

漢は評価されていない事を他人のせいにしてはいけない

素敵です。
ハードボイルドの世界にターミネーター2のような設定を持ち込んだ快作。
飄々として腕の立つ主人公と、イカツい最強アンドロイドの相棒とが織り成すアクション活劇&ヒューマンドラマ。
もうね、”漢”と書いてオトコ、GUY っす。

ハードボイルドといえば、ルパン三世やカウボーイビバップが有名ですが、正直、話の淡白さが気に食わないので、個人的にはこっちの方が私は好きです。

本作は舞台が都市に固定されています。(主人公も公僕です)
話は基本的に1話完結ですが、舞台が動かないため使い捨てキャラが少ない。
主人公の周りに居る街の人やライバル、悪役、お助けキャラなどなど、2度3度と登場するので断然愛着と思い入れが育ちます。
また、父親の仇を探すという本筋ストーリーがあるため後半になる程引き込まれる面白さがあります。
終盤で、今まで絡んでた人が集まってくる展開もすごく好み。


ただし、個人的には大好きですが、この作品があまり評価されていないのは納得。
客観的にみて払拭し難い欠陥があるのは否めません。

濃いキャラデザイン。
男も女も超濃厚ソース顔(古いw)です。おっさんはこれでいいんですが、若い女性とか子供とかは・・・・キツい。
好みの問題ではありますが、これだけ特徴的だと作画崩壊も目立ちます。

声優がヘタクソ。
主人公とヒロインの声優さん・・・最初、どこの素人アイドルを連れて来たのかと思いました。(一応本業の方なんですね)
脇を固める声優陣が上手いだけに、拙さが余計目立ちます。棒読み口調で粋なセリフ吐かれても・・・ねぇ?


でもね、こういうのは1クールも我慢すれば馴れるんですよw
ハードボイルド好きな貴方! 細けぇこたぁ気にしないで最後まで是非見続けてください。

ジェイならきっと、こう言います。
「漢は少しぐらい気に入らないからといって途中で投げ出すものではない」

投稿 : 2024/11/02
♥ : 14
ネタバレ

Britannia さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

漢-HEAT GUYS-

~story~
近未来都市国家ジュドを舞台に、都市安全管理局所属
ダイスケ・アウローラ(主人公)とジェイ(アンドロイド)との友情を主軸とし
様々な熱い男達のドラマを織り交ぜ展開するハードボイルド物。

数々の事件を解決しながらメインストーリーに入って行くのだが各話、楽しませてくれる
商品先物取引・美女カード事件・マフィアの跡目争い等、刺激があります。
{netabare}メインストーリー終盤、仲間が集い同じ目的に向かう様はシビれます。 {/netabare}

~voice actress~
千葉紗子さん
撲殺天使ドクロちゃん歌ってる人とは思えないw
ED曲も演技も素敵です。

松風雅也さん
主人公に合ってるナイス、イケメンボイス♪

~character~
敵も味方も町の住人すら魅力的

~drawing~
12年前の作品なので作画は今のクオリティーと比べると当然落ちますが
シナリオが色褪せないので充分。

~music~
OP・ED・主題歌が良く、Jの世界観に合ってます。


久しぶりに視聴したが変わらず面白かった
ビバップのスパイクとは違った男が見ても惚れる主人公
今の若い世代、女性にも見てもらいたいアニメです。

また、忘れた頃に・・・

Let's meet again nice guy

投稿 : 2024/11/02
♥ : 15

63.5 9 ヒューマンドラマで友情なアニメランキング9位
魔導具師ダリヤはうつむかない(TVアニメ動画)

2024年夏アニメ
★★★★☆ 3.1 (114)
270人が棚に入れました
彼女が最後に見た光景は資料が雑然と散らかるデスクだった。徹夜続きで働き、突然心臓が止まってしまったのだ。やりたいことがたくさんあったはずなのに、机に突っ伏して最期を迎えるなんて…。彼女は二度目の人生を魔法の存在する世界で送ることになった。名前はダリヤ・ロセッティ。彼女が暮らすこの世界には、人々の生活を便利にする「魔導具」がある。普段の生活はだらしないが魔導具師としては尊敬できる父のカルロ。ダリヤはカルロの作る魔導具に憧れ、自分も魔導具師になろうと決意する。これは彼女が魔導具師として前をむき、花開いていく物語。
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

6話 右肩下がり。イチャイチャいらない。3話までの面白さがあればなあ…

1話 テーマを絞れている作品に良作多し。女性原作者?

{netabare} 道具を扱った作品には良作が多い気がするので、何となく見始めました。そして本作は良作の匂いがしなくはないです。1本話のテーマがあるとそれだけで、奥行きもキャラ描写も一段と良くなりますから、道具を中心においているのは期待ができます。それと「現存する道具」よりも「不便を解消する道具」を作るところに意味を持たせようとしたところは視点がいいと思います。

 心配なところは、現世の職業などから道具への興味のきっかけに繋がっていけば、もっと説得力があるんでしょうけど、そこの点は惜しい感じですが今後描かれるのでしょうか?落書きを見ていると記憶は残ってそうですよね。
 それと稚い少女がなかなか良いキャラだっただけに、あのメガネ少女になってちょっとアレ?とはなりました。

 原作者の方なんですけど男性名ですが、作品を見ると女性原作者の雰囲気があります。主人公の前世が女性で過労死していること、ドライヤーに視点が言ったこと、チートではなさそうなところ、苦労や失敗を描いているところ、理屈があまり精緻ではないところ、ファザコンなところ…などですね。あとキービジュアルを見ると、ヒロイン以外のカップルもいて、それも女性原作者かなと思う要素です。

 女性主人公の転生ものは「本好き」「聖女の力は…」「はめふら」など女性原作者に結構面白い印象があるので、もし本作が女性原作者なら期待が持てそうです。

 作画の水準は中の上くらいかなと思いますが、構図やカット、人物の配置、演出、背景美術などは結構高い水準かなと思います。好みでした。

 ということで、本作もノーチェックの作品でしたが面白そうです。ちょっと今期は見るべき作品が多くなりすぎて困りますが、一方で異世界ものも作品によっては面白そうなのが増えてきた感じで喜ばしい限りです。{/netabare}


2話 まだ導入…展開は次回以降でしょう。トビアスが分かりやすい負けキャラ。

{netabare} あれ、なんか普通…オタク少女がすごい発明して金儲けして…と思ったらそう来ましたか。なんとなく、トビアスの表情にコンプレックスというか何かが浮かんでいたので不穏な感じはありました。

 なるほどねえ…どう考えても婚約破棄の流れでしょう。わかりやすい言動でした。やっぱり女性原作者だろうなあ、という流れですね。

 アニメのEDのクレジットだとトビアスって3番目ですけど、サブスクの作品紹介だと8番目だし2番目にまだ登場していない他の男がいるし…という見方は邪道ですがそういうことだと思います。(そもそもキービジュアルがそうか)

 3話で新しい出会いで、新展開かな?権利を残して商会を去るかトビアスを追い出すか。まあ4話以降でしょう。なお、ダリアが不遇の時代が長くてもいいですけどね。その方がカタルシスも大きいでしょうから。

 作画は…まあ、ちょっとなあ、という感じになってきました?{/netabare}


3話 婚約破棄手続きの描写がすごい。これは一見の価値があります。

{netabare} 婚約解消手続きを丁寧に描きすぎだろう、と思わなくはないですが、面白い視点でした。荷物の持ち出しまで描くとか…それだけでいろいろ感じることができるいいエピソードだと思います。

 手続きの多さにため息をつきながら淡々とこなすのも内面の未整理な精神を表すいい演出でした。そしてそのあと美容院ですよね。これがまた女性的な感覚です。これで気持ちの整理を一応はつけよう、という内面描写なのでしょうか。そこに昔の発明品のドライヤーが置いてあるのもいい演出です。

 ベッドの件はちょっと絵だけでは読み取れませんが、やった痕跡がある…ということ?貴族の女性がそんなとこを見せるのかなあ?と思いましたが、わざと浮気相手の女が忘れ物をする、というのはよくある話ですので、女性の悪意の描き方も上手いなあと思いました。

 正直、異世界もののアニメでは今までにない描写で、感心してみました。ひょっとしたら、原作者の経験談?と思うくらい、ちょっと迫真の話でした。


 ただ、婚約解消ですが私は商会の権利に欲が出たトビアスの思惑とか、モラハラとか、そういうのをダリヤから断ち切るのかと思っていました。そこは父親の遺志を優先という気持ちだったんですね。そうすると2話のトビアスの態度の描写がちょっと活きてこないなあとは思いましたが。

 で、そのあとの出会い方とかは、まあ、ご都合主義だよなあ、と思います。「遅刻食パン」「雨の捨て猫」などと一緒の展開ですよね。それで血だらけはいいですけど、いくらなんでも血だらけすぎるだろう、というのも婚約破棄描写のリアリティとのギャップにちょっとずっこけました。

 そして何より「ポーションあるんかい」と思いました。

 そうそう、いろんな花が出てきますが、花言葉等はまだ調べてませんが、何か関係ありそうなら調べてみます。花が分かれば、ですけど。{/netabare}


4話 魔法付与と魔石の扱い方にちょっと混乱します。トビアスの話が面白いです。

{netabare} やはり権利関係でのもめごとが来ましたね。今のところダリヤが優勢っぽいですがトビアスの婚約者の女性が貴族ということで、ゴリ押しがあるのでしょうか。副ギルド長が子爵夫人ということですが、伯爵とか侯爵とかなんでしょう。
 で、あの黒髪の騎士様が公爵でした…みたいなオチでしょうか。あるいは公務員?的な立場なので司法に対して公正な判断をさせるとか。

 で、魔法付与の話は確かにレインコートのところでもあったので設定なんでしょうけど、魔石を組み合わせて云々と技術体系が違うように感じるのですがどうなんでしょうね?そっちの組み合わせの妙みたいな工夫が面白そうだったのに、魔法付与とか言われてしまうと…そもそも、どういうファンタジー的な設定なのかちょっと混乱があります。

 それにしても、もめごとの描写はものすごく上手ですよね。トビアス回りの。そして妙に生々しい手続きの話も。ですが、恋愛パートのところは言っては悪いですが、昭和の少女漫画みたいなレベルです。というより、血まみれ騎士様の描写がイマイチなのかなあ。そのギャップがすごいですね。

 すでに作画がメタメタになってきたので頑張ってください。トビアスがらみの話は面白いです。{/netabare}


5話 魔導具あるいはトビアスの話が見たいです。ちょっと「聖女の力」を思い出します。

{netabare} 冷風機があるのにドライヤーの発想がなかったのかなあ?という疑問はありますが、それより盗聴防止かあ。魔法付与とかも考えるとなんか「聖女の力は万能です」+「本好きの下剋上」という感じがしなくはないです。どちらかと言えば「聖女の力」ですね。両作とも転生女性の話としては秀作ですので、当然参考にはしているのでしょう。

 それはいいとして、1話まるまるデート回と父の思い出でしたね。やっぱりホーク様とセイの初デートを思い出してしまいます。プレゼントも含めて。
 今回はトビアスの活躍がちょっとしかなくて残念です。あの貴族令嬢的な婚約者のダークサイドも早く見たいです。

 何より導具あるいは商会にまつわる話の方向性が見えないのがちょっとダラダラ感になっています。特の魔導具に関しては設定すらまだ見えません。騎士との出会いイベントが終わったらもう6話です。まとまりがある筋が通った話はあるのでしょうか。それがトビアスがらみだといいですが。

 正直1話~3話の期待感からしてちょっと4・5話が弱いなあという気がします。6話での持ち直しに期待します。

 そうそうOPの主旋律はそうでもないですが、後ろのストリングスがいいんですよね。ちょっと「ユーレイデコ」のOPに似た感じで。郷愁を誘う感じがいいです。{/netabare}


6話 右肩下がり。イチャイチャいらない。3話までの面白さがあればなあ…

 右肩下がりだなあ、という印象です。特に魔導具開発が情緒的なものになってしまい、その点はとてもがっかりです。2人のイチャイチャに妙に理屈がくっつくのもおもろさに繋がっていません。

 5・6話で一気につまらなくなりました。3話まではメチャメチャ面白かったのに。
 魔導具のエピソードで感心するでもなく、コメディでもなく、ラブストーリもすでに既定路線です。ヒューマンドラマも弱いです。トビアス関係で期待したのですが、今回でいろいろ言葉で説明があって反省しちゃうし。もちろん、そこからの闇落ちもあるでしょうけど…

 ドライヤーと婚約破棄・引っ越しの話のレベルに戻れば面白いと思うのですが。中間だし、一回中断しましょうかね?トビアスが闇落ちしたら見たいですので、あらすじだけ確認すると思いますがステータスは撤退です。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8

鬼戦車 t89 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

魔導具と工業製品が錯綜する歪な世界!もう少し世界観を整理せよ!

 最終話(12話)まで観ました。2024.09.25

 水虫はこうして治療するんじゃ〜!ゴイスー!細菌の知識が無くても、ある程度は経験で知ってるだろ?異世界人アホ過ぎ…。治癒魔法とかあるのに、カビには勝てないのね…。

 まぁ、そこはさておき、最終話まで何となく淡々と物語が進んでいきます。そして、ダリヤは父の墓前で魔導具師としてさらに研鑽することを誓うのであった!父よ…あなたは偉大であった!

 ダリヤさん…。あなた転生者ですよね…。違ったら感動的なシーンなんですが、前世の記憶がある人間がやってもねぇ…。
 
 魔導具や転生設定、婚約破棄等が上滑りしたままワンクール終了してしまいました。スパダリとの関係も友情から進展しないし、盛り上がりに欠けたかなぁ。なんか微妙なアニメでした。

 結局、ダリヤ以外のキャラは、転生者でも無いのに婚約者以外は良い人しかおらず、現代人的な意味での紳士、淑女キャラで、個性が全体的に薄いのが良く無いのかなぁとは思います。

 転生者設定とは、そもそも現代チートと、過去の人間や異世界人みたいに偏見と因習に支配されていない、視聴者目線を持っているキャラを担保するもののはずです。

 スパダリ騎士のヴォルフにしても、淑女を慈しむ騎士道の持ち主ではありません。これでは現代的な理解ある彼氏です。異世界人の意味がありません。

 騎士道精神に則り、淑女の定義から外れる下層階級や労働者、職人の女など、そもそも人間では無いので、戯れに興味を持って、ちょっと妾か性奴隷の恩典を与えてやる位の態度で良いと思います。キャラも立ってますよ!

 異世界ほんわか日常ものにするなら、転生者設定は余分だった様です。
………………………………………………………………………
 10話まで観ました。2024.09.11

 唐変木ですがダリヤは嫌味では無く、過去の技術系俺スゲエエエエエなろうとの差別化を図ろうとしているのは良く分かります。

 前世の知識があっても、技術力や社会的な条件が異なる異世界で前世の製品が作れるかと言うと、絶対に無理です。

 なろうではマヨネーズを良く作ったりしますが、生で食べられる衛生状態の卵を技術力の低い世界で大量に買えるのか?現代でも国や地域によっては無理ですよ?

 反射炉とかも知識があれば作れるけど、良質な石炭を得られるの?韮山反射炉では、最後まで良い石炭を得られず、大量生産出来ませんでしたよ?常磐炭では駄目でした…。

 なので、前世の便利製品を異世界の技術である魔法を絡めて製作する魔導具師と言うのは、良いアイデアだと思います。

 さらに、特許やら工房との交渉、商売のライバルとの競争とかで主人公が奮闘するというのも、物語を面白く出来そうです。

 ただ、やっぱりなろうなんですよね。日本ゴイスー!を出さないと気が済まない様です。で、9話の泡ポンプボトルかぁ…。これは魔導具なの?

 こういったものは、特許とノウハウの塊なんですが、何となく完成させたダリヤさん、量産のために交渉をした工房のフェルモさんに、正論を吐かれます。

 敬意と金を払われるべきなのは、オリジナルを作った人間であるべきだ!

 おお!作品を否定しかねない痛烈な皮肉をダリヤさん、理解出来ない感じです。作者もか?

 技術力にリスペクトが無い作品では、やはり物語に芯が通っていません。大人しく、水虫のスパダリとイチャイチャしていれば良いのです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2

大重 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

女性向けで好みとは違うとはいえ… いまいち? ずっと水虫の話をしていた印象が

1話感想 3.5 女性向けですが描写は丁寧で悪くなさそう
なろうで総合ポイント順に並べた時、総合5位。
女性向け=異世界恋愛で総合Pt1位が本作品ですね。

では、女性向けには一番気合を入れて作るべき作品ということなので、しっかりアニメ化するべきでしょう。

見た感じ出来はなかなか良さそう。
作画は悪くなく描写も丁寧でした。

ただ、大人から天才した割には、子供の頃が子供っぽすぎる。
これは前世の記憶がちゃんとあるわけではなく、なんとなく記憶に残っていて地球の知識を利用できるだけ、という設定なんですかね?

本題はあくまで彼が登場し恋愛が始まってからなのだと思いますが、普通に見られそうに思いました。

ものづくりの楽しさがあったとこは男性にも面白かったのでは。

別に全てが好みってわけではないでしょうけれど、面白い部分もあるし、女性向けで1位なら見ておいて損は無いかな? とも思います。
本数次第ですが可能なら見たいですね。

全話感想
うーん、まあ、確かに女性向けで好みが違うのは仕方ないのですが…。
なんか微妙でした。そもそもアニメの出来が微妙かなぁ。

影のつけかた、変な直線の影を全編にわたって引いているんですよね。
あれは一体何。
屋内なら窓から差し込む光なのかと思いましたが屋外でもずっとあるし…。
一度気になるとずーっと気になってしまいました。普通に変。

他にはまあ内容も、全体的になんか煮えきらないというか。
恋愛方面でも活躍方面でもそれなりに進んでいるのでしょうけれどなんかね。
ヴォルフレードは好意はあるのでしょうがあくまで友人って態度が煮えきらないと感じました。
その割には全体的に媚びている感じがするのがなんかなー。
はっきりしなくて微妙なのですが…。

てか水虫の話がくどい。発明品をバンバン作るわけでもなく、一つ一つをくどくど語っているので、防水布もドライヤーもくどいのですが、特に水虫の話がくどく感じました。

というわけで、全体的にイマイチで何が良くて、なろうの女子向けNo.1なのでしょうね。

No.2の聖女の魔力は万能ですの方が男が普通に格好良いので女子ウケは良さそうに思いましたが。

まあ追放ざまぁ系とか婚約破棄とか、複数の人気要素が絡み合って高評価ってことでしょうか。
このアニメで評価するのではなく、原作読んだほうが良いかな。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2

64.1 10 ヒューマンドラマで友情なアニメランキング10位
ゲキドル ACTIDOL SCHOOL(TVアニメ動画)

2021年冬アニメ
★★★★☆ 3.2 (103)
262人が棚に入れました
謎の災害・世界同時都市消失から5年世界は混乱の中にありながらも、少しずつ復興を遂げようとしていたそんな世界で3Dホログラムを用いた「シアトリカルマテリアルシステム」を使った演劇に魅せられ光り輝くステージを目指す少女たちがいたそれぞれの思いを胸に今、ステージの幕が上がる

声優・キャラクター
赤尾ひかる、持田千妃来、諏訪彩花、花澤香菜、M・A・O、山本希望、髙野麻美、秋吉あや、佐藤亜美菜、鳥海浩輔、八島さらら、水橋かおり

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

だって私には、君がいるから

この作品はオリジナルアニメだったみたいですね。
正月早々、「ゲキドル」の第1話と劇中劇「アリスインデッドリースクール」が放送されるなど、話題性の高い作品だと思っていました。

また、完走後にwikiを見て知ったのですが、主役である守野せりあ役を演じた「ぴ」ちゃん、こと赤尾ひかるさんが2015年に事務所に所属してからの初アフレコ作品だったんだそうです。

ぴちゃんと言えば、「アサルトリリィ BOUQUET」の一柳梨璃を始め、「えんどろ〜!」のユーシャ、「こみっくがーるず」のかおすなど、色々な作品に出演しています。
だから、これが初アフレコ作品と言われると時系列がズレているような気がしてなりません。
それとも、世に輩出するまで5~6年を要する作品だったということなんでしょうか?

個人的には、ぴちゃんの原点を知ることができたのは嬉しかったですけれど^^


―――謎の災害・世界同時都市消失から5年

世界は混乱の中にありながらも、少しずつ復興を遂げようとしていた

そんな世界で
3Dホログラムを用いた「シアトリカルマテリアルシステム」を使った
演劇に魅せられ、光り輝くステージを目指す少女たちがいた

それぞれの思いを胸に
今、ステージの幕が上がる


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

完走して思ったこと…
すご~く難しい作品だったような気がします。

まず、第1話と連動して放送された「アリスインデッドリースクール」ですが、本編とは何の関係も無かった…と思っています。
確かに、本編の出演されている声優さんが演じている、と言う点での共通点はあると思いますが、それ以外の接点は残念ながら見い出せませんでした。

そもそも「アリスインデッドリースクール」は、これまで無印、オルタナティブ、ビヨンドなどと形を変えて何度も演じられてきた舞台作品なんです。
寧ろ、舞台作品としての「アリスインデッドリースクール」がアニメ化されたと考えた方がしっくりするのではないでしょうか。

さて、このゲキドルですが劇場版アイドル作品、或いはアイドル要素を舞台に織り込んだ作品などと考えていると、どんでん返しを食らうことになります。
もちろん、wikiのジャンルも「演劇、アイドル」と記載されていますし、上記の様な要素が無い訳ではありませんが、物語の内容は予想の遥か斜め上をぶっ飛んでいた気がします。

まず、この作品の劇中劇ですが殆どがアリスインプロジェクトで実際に行われた演劇が基になっています。
ですが断片的過ぎて正直良く分かりませんでした。
劇中劇としてハッキリ認識できたのは、「アリスインデッドリースクール」と、物語最後の演目となった「クロノゲイザー」です。

アリスインデッドリースクールは物語の結末まで描かれていませんでしたが、クロノゲイザーは一部ゲキドルのオリジナル要素を含みながら終幕まで描かれていました。
次から次へと明らかになる物語の超設定の連続にビックリ…

劇中劇の設定にビックリしたのではありませんよ。
ビックリしたのはこの作品の物語自体にです。
まるで「STEINS;GATE」を彷彿させるかのような…
あ、同じ香菜ちゃん繋がりだからといって、まゆしーの「とぅっとぅるー」を彷彿した訳じゃありませんからね^^;

個人的には劇中劇クロノゲイザーの顛末は劇中劇以外の部分との構成・バランス共に素晴らしく良かったと思っています。
これで色々持ち直した感がありましたから…
でも少し詰め込みすぎだったかも。
もう少し演者の心情にスポットを当てても良かったような気がします。

オープニングテーマは、「ゲキドル!」と「時の翼 Chrono Geizer」
エンディングテーマは、「キズナ」、「制服DOLL」、「トーキョーロンリーガール」、「ダンデライオンガール」
それぞれアリスインシアターのメンバーが歌っています。
「時の翼 Chrono Geizer」が私のお気に入りです。

1クール全12話の物語でした。
すご~く難しい作品で、キャラデザも似通っていて区別しずらい面もありました。
私としては、ぴちゃんの活躍を堪能できたので満足しましたけれど…^^

投稿 : 2024/11/02
♥ : 15
ネタバレ

kabaj31 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ひっそりと期待。。。

■完走後の感想

回を重ねるごとに面白くなっていくアニメでした。

{netabare}第5話でドールが赤い目になって覚醒した辺りから、
このアニメはいったいどこに向かっているんだ? と、とまどいつつも、
目が離せないアニメになっていきました。
SF要素が濃くなり始めてから終盤の11話になっても、そこからの着地点が見えず、
最終話の12話まで、ダレることなく見れました。
最終話のサブタイトルが「終わりよければすべてよし」なのは笑いました。

個人的に、過去改変モノについて、過去は変えられないから過去であり、
過去が変えられないからこそ、今大切なモノを大切にしようというエンドしか
無いものだと思っていましたが、こういうやり方で変えることも出来たのかと、
少し感心しました。
ゲキドルが過去改変モノに入るかどうかはわかりませんが。

OP、EDについては、前半のOPはアイドルものっぽい歌で、
あ、これ見なくていいやつだ、って感じのOPでしたが、
EDで、あ、これは見なくちゃいけないと思いました。
後半のOPが、じわじわ、妙にかっこよく思えたりもしました。

音に関しては、BGMや効果音、環境音や、ザワザワとした周りの声など
基本を押さえていて、非常に良かったと思います。

声に関しては、あいりの他にあれ? と思う人が何人かいましたが、
劇のシーンでは、せりあ、あいり、ともに気合いの入った演技で
すごかったと思います。
終盤のかをるやドールの声もすばらしかったと思います。

キャラに関しては、
ストーリーが濃い分、後半から終盤にかけて、キャラの魅力は薄くなっていったように思いました。
その点については、もっと、劇パートをたくさん見てみたかったなぁという気がします。

最後に、
人を選ぶ内容ですが、
SF好きならオススメしたいと思うアニメでした。{/netabare}


■第2話までの感想

第2話まで視聴。

「ここは、どこですか?」
「太陽系第三惑星、地球。その直径は約一万三千キロ。
一つの衛星を持ち、炭素型生物の生存に適した大気組成と‥」
「わかります。いえっ、わかりません! 地球のどこですか?」

舞台演劇を題材にしたアニメでしょうか。
元々、劇中劇のHOTDの様なゾンビモノに興味があったのですが、
こちらの本編の方が、ストーリーがしっかりしている気がします。

一部の都市が消滅していたり、近未来的な舞台装置とかが出てくるようですが、
今後、それらがどのような方向でストーリーに絡んで行くのか今のところ不明です。
ただ、登場キャラの紹介や、それぞれのキャラにちなんだエピソードで話が進ん
で行くタイプのストーリーではないような気がします。
なにか大きな柱のあるストーリーであることを期待しています。

もしかすると魂がこもった作品になるのか、ならないのか、
化けるのか、化けないのか、注目してみたいと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

天ぷら盛り合わせと焼肉定食、あ、ご飯は炒飯、味噌汁はコーンポタージュに変更で(笑)

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
アイドルと演劇を両方こなす、演「ゲキ」アイ「ドル」を描いた、SF作品。

題材がトリッキーな上、演出も味濃くて、しかもずっとシリアスなんで、ちょっと胃もたれしました。

変わった作品であることは間違いないので、色んなアニメに見飽きたら、つまんでみるのも良いかもしれませんが、気合いは必要です。

《以下ネタバレ》

【視聴断念(6話まで)】
{netabare}
薄ら怖いな~という印象。全体として、名作の雰囲気はしてて、好きな人がいるのは全然分かるが、ちょっと自分には合わなかったかな?って感じ。私は、(特にリアル多忙期は)結構薄っぺらいアニメが好きなのでw

ゲキドル、という題材自体は興味深く、そのまま普通に青春・成長路線で行けば、普通には面白くなったな~とは思いました。もちろん、これをカッチリまとめきれれば、名作になる爆発力は秘めていたとは思います、が、、、

う~ん、SF要素、必要か?

ゲキドル、ガチ百合、池袋ロスト、アリス(ドール)、など、単品でお腹一杯になりそうな要素を盛り合わせにするから、胸焼けがする。

あと、セリアの演技を叱るアイリが、セリアよりもやや棒くさいというか、演技過多な感じがどうも。監督の要求なのか、日常パートでまで全キャラが演技がかっているので、エロゲ感があるというか。

まあ、その「嘘くささ」が、「うすら怖さ」に繋がっているから、狙いならば成功しているのでしょうが。個人的には、観ていて疲れる要因になりました。

まあ、この複数要素をどうまとめていくのか、確かに先は気になりますよ?

でも、、、これはシリアス系の作品全てで大事だと思っていますが、「疲れてしんどいけど、先を観たくてたまらなくなる」という「途中の面白さ」が本作には足りなく、ここで視聴断念とします。

ラスト(伏線回収)は、皆さんのレビューで補完しますので、頑張って完走して下さいね(笑)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
また池袋。SF×アイドル×役者、うまくいくかな?

2話目 ☆2
なんか、アイドルになったな。

3話目 ☆3
確かに、その売り方はな。良く分からんが、ジュニアアイドルに脱がしたら犯罪では?

4話目 ☆3
なんか、意外と中身が深まってきたな。棒は直らないけど。

5話目 ☆2
なんか、いつの間にかドールが主役に。

6話目 ☆2
百合だな~。

7話目 ☆


8話目 ☆


9話目 ☆


10話目 ☆


11話目 ☆


12話目 ☆

{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17
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