イシカワ(辻斬り) さんの感想・評価
4.5
幸せな子供の夢・輝く未来日記
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ストーリー
草原で寝っ転がっている魔女の少女は、ラジオで天気予報を聞きながら青空に流れていく雲を見ていた。
魔女の子は十三歳になったら、一年間は外に出て修行をする習わしがある。その大事な決断は、明日も明後日も天気が良いでしょうという、天気予報の放送からあっさり決められた。
そんな話を聞いていなかった父親は、娘とキャンプするための道具を車に積んで自宅に帰ってきたというのに、もう決めたから、の一言で努力がフイになってしまう。
会話からわかるのだが、どうも一ヶ月も予定より早く出発する気になったらしいのだ。
かといって父親は労力が無駄になったことを別段怒るでもなく、なにやら古めかしい電話で、これからうちのキキが旅立つことになったので、とあちこちにかけている様子。
母親と老婆が話しているシーンでも情報提供がある。魔女の人口は減り続けている。母親から魔女の薬の作り方も学ばないキキは自前で空を飛ぶこと以外、何も覚えていないらしいのだ。
魔女としての訓練などからっきしだというのに、夜中に見送りに集まってきた人たちも、両親も心配などまったくしていない。田舎の人たちの暖かさがある。
元気に送り出すのに、
「GO!GO!キキ!」
と一斉に応援エールで送り出す。
箒にまたがって飛び上がったキキは、どうやら空を飛ぶことも決してうまくはない様子である。あちこちの樹にぶつかりながら、どうにか飛んで、見送る人々の視界から消えていった。
さて、どうなることやら。
純真で元気の良い田舎娘の魔女の子が、都会の華やかさに憧れる。都会で自立しようとしている多くの少女たちと同じく、十三歳という若さで大きな街に一人住まいをしながら、仕事をみつけて自活するのである。キキは覚悟の甘さや認識の浅さから挫折するが、それを様々な人々の出会いによって乗り越えていく。
この物語は経済的な自立ではなく、精神的な自立や成長がテーマだと思ってよいだろう。
よくある魔法少女ものは、苦もなく願望を現実にしてしまう手立てとして魔法を用いるが、駿監督はそのような便利な力として設定していない。
誰でも何かしらある才能の一種としての魔法があるだけだ。そう考えると、一見して突拍子もない空を飛ぶ才能も、等身大の少女像としての才能ではないだろうか。
キキという少女は、ナウシカのようにみんなを幸せにしたいヒロインではない。まず第一に自分が幸せになりたいと願う極普通の考えの持ち主だ。これもまた、過去のヒロインのように品の良いお嬢様であったり、トイレに行くシーンなど想像できないような、男性の理想像としてのヒロインではなく、やはり等身大の少女像として描かれている。
ファンタジーとうまく結合させて見せつつも、行き過ぎた力を持った、いわばオーバーパワーを見せ所とする少年少女ものとは一線を画する作りとなっているのが特徴だ。
ファンタジーをもちいる理由が、人々の願望を描いてみせて注目を浴びるという目的ではなく、等身大の少女の一部としての扱う形になっている。
それでも、十分なヒット作にできる思想の表れが見どころといえるだろう。
かなり蛇足的な個人の感想
(別段読まなくても問題ない上に、多少ネタバレしている)
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追記
レビューに記載された言論を規制したい人は、個人の意見を以てするのではなく、あにこれの法的論拠に基づいて規約に記載する必要がある。
運営諸氏に連絡し、説得し、規制を規約に付け加えてもらうこと。