mikura さんの感想・評価
4.1
衝撃のラスト(へのつっこみと解釈)
まず一番いいたいのは、オープニングの曲がとても良かった。
ステレオポニーの「ツキアカリのミチシルベ」。
曲も最高ですけど、歌詞もモラトリアム世代にとって切なくて苦しく、聴いていると心を抉られて魂を抽出されそうな素晴らしい言葉があふれています。
肝心の本編。
契約者同士のバトルはジョジョのスタンド対決、あるいは甲賀忍法帖の秘術対決のようで、見応えがあって楽しめます。
1話で009ばりの加速能力を持つゴランが、ちんたらと雨粒を降らせたエイプリルの前にあっさり自滅したのには笑いました。
しかし、CIAとかFSBとかMI6とか三号機関とか「組織」とか、誰がどの集団に属していて、それぞれの集団は最終的に何を目的としていて、なぜ敵対しているのかなど、物語の背景がわかりずらいです。
それでもwikipediaで補完しながらなんとかついて行ったのは、「ゲート」をはじめとしたこの世界の秘密がいつかすっきり明かされるのではないかという期待感からでした。
で、最終話まで見たのですけど、以下ネタバレ。
{netabare}
結局今作でも「ゲート」と契約者、そしてドールが誰によって作られ、なぜ現れたのかは分からず。
紫苑(イザナギ)は契約者になってしまった者たちが普通の幸せな暮らしを営む世界を望み、自身の「ものをコピーする能力」を使って地球を丸ごとコピーする計画を立てる。
契約者を自殺させてその魂を集める銀(イザナミ)と協力して、コピーした地球に契約者たちの魂と記憶を送り込み、楽園ともいうべきもうひとつの地球を作ろうとする。
主人公の蘇芳は実は5才の時に死んでおり、現在の13歳の彼女は2年前に紫苑自身のコピーとして作られ、ME技術によって記憶を創造して与えられた存在だった。
性別が違っているのは紫苑のコピーする能力が「本物と一つだけ違う点がある」という性質のため。
なんかもうまさに古事記の序盤で、イザナギとイザナミがオノゴロ島を作った場面ですね。
古事記は過去の神話じゃない、未来の予言書だったんだよ!
しかしまってくれい。
銀って、前作では単なるドールだったじゃん。
人間の時はキルシーって言って、ピアノが好きなかわいい子だったじゃん。
感情を表せないドールになっても、指先で笑顔を作ろうとするけなげな子だったじゃん。
それが「契約者の魂を抽出して集めて、もうひとつの地球に送りだす」なんて巳真兎季子もはるかに凌ぐ能力をいつ授かったのでしょうか。
まあそれはいいとして。
地球を丸ごとコピーするということ。
「あれは月じゃない。もうひとつの…(地球よ)」とオレイユさんは言ってましたけど、万有引力って最近になってなくなったんですか。
コピーして隣に作ったら、すぐ衝突するだろ物理学的に考えて。いや衝突の前に潮汐力で崩壊するな。
それともイスカンダルとガミラスのごとく、二重惑星になるように、二つの地球の中間地点を重心として、ロシュ限界の外側でお互い公転しあうように、もうひとつの地球を作ったのでしょうか。
普通に考えるとそれしかありえない。
でも最後にこのコピーの地球は、本来の地球から離れていくんですよ。
その莫大な推進力はどこから来たんだよぅ。そしてどこにいくんですかい。
コピー地球では蘇芳がパパやママ、そして人間のジュライたちと平凡で幸せそうな生活を送っています。
あれっ?
契約者やドールであった蘇芳やジュライはいいとして、パパやママ、その他一般人の魂までは、銀は集めてなかったんじゃないの?
これはつまり、もとの地球で死んだ契約者たちの魂は意識と記憶、自我とともにコピー地球に行ったが、他の一般人たちは単なるコピーってことですかね。
蘇芳のママは、もとの地球でも死んではいないから、コピー地球の方と合わせて二人同時に存在することになるからね。もちろんコピーされた一般人たちも、それぞれ記憶と自我はあるんでしょうけど、地球のオリジナルの魂が乗り移ったわけではない。
つっこみどころと謎が多すぎますが、すべてを解決する答えはある。
そう、この作品は唯識の世界を描いた作品だったんだよ。
つまりバーチャルリアリティの世界。「13F」みたいな。
だから物理法則を無視して地球のコピーができても、それが動いても何の不思議もないんだ。
これを言っちゃあおしまいだぁ。
結局こんな解釈しかできず申し訳ない。
しかし私はとても面白かったんです。
「世界の秘密が明かされる」系の話は大好きです。
続編はなさそうですが、出たとしても、もう頭がついていけないでしょう。
{/netabare}