ダークヒーローで組織なアニメOVAランキング 2

あにこれの全ユーザーがアニメOVAのダークヒーローで組織な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月05日の時点で一番のダークヒーローで組織なアニメOVAは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

77.2 1 ダークヒーローで組織なアニメランキング1位
HELLSING OVA(OVA)

2006年2月10日
★★★★★ 4.2 (708)
3717人が棚に入れました
反キリスト的モンスターの絶滅を目的とする大英帝国ヘルシング機関の当主インテグラが囲う不死身の吸血鬼アーカードによって、新米吸血鬼となったセラスの運命。
そしてアーカードとバチカンの特務機関イスカリオテに属するアンデルセンの死闘が描かれる。
ネタバレ

やっぱり!!のり塩 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

柔な奴は近寄るな作品★

■評価
テーマ性    :★★★★  4.0
グロアクション度:★★★★★ 5.0
キャラ立ち度  :★★★★☆ 4.5
深いストーリー度:★★★   3.0
おススメ度   :★★★★☆ 4.1

■ストーリー
バンパイア狩りを生業とする英国ヘルシング機関は
最強のバンパイアこと『アーカード』を従え、増殖するバンパイアと
グールの殲滅に手を焼いていた。しかし、一つの事件をきっかけに
英国ヘルシングを狙う謎の組織『ミレニアム』の存在をしる事となる。
そして第三の敵であるバチカンも漁夫の利を得るべく隠した刃を研ぐので
あった。はたしてミレニアムとは何者なのか?この闘争の果てに何が残る
のか?

■感想
この作品・・・ダークファンタジーアクションとして強烈なインパクトを残す。
本作はグロやら宗教やら虐殺やら倫理観すべて無視して禁じ手を
アクション演出に使う気概には圧巻。アニメータの職人芸を見たという
よりも作り手の執念や怨念という様なとんでもないものを拝見してしまった。
{netabare}
この作品の説明として、三組織による三つ巴の闘争から決着までを
描いた非常にシンプルな作品になる。だけど本作のテーマである『渇
望』と『闘争』をベースに練り込んだキャラ達の黒々とした濃さは
他の作品と一線を画す。
ここに登場するキャラ達をみていると人を暴力や闘争に駆り立てているのが
『渇望』である事が良く描かれていると思う。
登場キャラの『渇望』と『闘争』をざっと書くと以下の通り。
※インテグラ:ヘルシング総帥としてバンパイアを殲滅する事を渇望。
※少佐:英国に戦争をしかけアーカードに復讐する事を渇望。
※セラス:バンパイアである事を許容できずも人の血を渇望。
※ウォルター:若き肉体とアーカードとの闘争を渇望
※アンデルセン神父:宿敵アーカードとの闘争を渇望
※マクスウェル:すべての権力を手中に収め周囲に復讐する事を渇望
※ベルナドッド:セラスの心、そして自分の生きる場所を渇望
※ペンウッド卿:臆病な自分に失望しつつも部下や友人達に報いる事を渇望
※アーカード:人間に殺される事?そして強者との闘争を渇望

登場するキャラほぼ全員がなにかしらに渇望し闘争に身を投じている。
特にナチスなども本作で登場し、その残虐性が特筆されているけれど
本質はそこではない気がする。それが何かというと実際のナチスも
経済不況に喘ぎ強いリーダーを求めた国民の渇望の果てにヒトラーが
誕生し成立しえた組織ともいえる。それにヒトラー自身も侵略戦争に
よって軍需産業を盛りたてて経済を立て直し一大帝国を築いて
ゲルマン民族の力を世界に誇示する事を渇望していた・・・。
『その時代の価値観』と『人の渇望』から生み出された闘争がナチスであり
この作品のテーマである『闘争』と『渇望』こそが人の本質でもある・・・
という事を原作者は語りたかったのではないかと思う。
(これが人の全てだとは思ってませんが)

何かに『渇望』する事は悪い事ではないし、この世の誰しもが何かに
渇望している。その渇望が人の闘争や暴力への導火線にもなりうる危険性
もあるし、尊い勇気や愛情なんてものも生み出す事が、この作品でドラマ
ティックに描かれている。このキャラ達がおりなすドラマティックな描写や
セリフが私にとって面白い所!!なんというか渇望している各々キャラが言う
セリフだから成り立つ名シーンが満載です。
登場キャラ達が渇望し闘争の果てに残すものは『虚無』か?『禍根』か?
『希望』か?色々と思うところがある結末もみどころの一つ。

それ以外でもレンタルDVDで5.1chサラウンドで聞かせてくれるのは
感激です。かなりの臨場感を感じ取れる音響設定でどのアクションシーンも
素晴らしかった。特にセラスの飛行船迎撃シーンの超重火器オンパレードは
凄すぎて口あんぐりで、アーノルド・シュワちゃんあたりにお願いした
かったアクションを全てセラスがやってくれている。

ここまで書けば察して頂いている方もいると思いますが、ストーリー自体に
深みは無いし(キャラは除く)、アクションシーンの演出も過度なグロや
残虐さの胸糞の悪さは私の想像よりも上をいく。
だからグロ大丈夫という方も油断は禁物であり、手放しに全てが最高だ!!
皆さん全員におススメです・・・とは褒め称え辛い。はっきり言うと見る人に
よっては悪趣味な作品だと思う。
{/netabare}

最後にこの作品は見たくない人は見なくて良いというスタンスの作品です。
この作品には自身の利や身を案じて争いから引き下がる・・・という様な
柔な奴は存在しない。身の一片まで焼き尽くすまで闘争そして闘争を
繰り返す強者ばかりだ。だから視聴する側もそれなりの覚悟と体力を
要求される作品だと思う。人間の本質の”一部”を覗き見たい方には
おススメしたいです。

ご拝読有り難うございました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

諸君私は戦争が大好きだ!

お気に入りの棚ができたときから未評価のままずっと放り込んでありましたが
ついにようやく☆で評価してやることができます

散々だったTVアニメ版
その不満点をほぼすべて解消したのがこのOVA版です
その辺のくだりはTV版のレビューに記述しておいたので
興味のある方はどうぞhttp://www.anikore.jp/review/464312/

TV版が放送されたのが2001年
OVA版がスタートしたのが2006年
原作の完結が2008年
OVAの完結がようやく去年の暮

原作は月刊誌の連載だったので
そんなに原作の進むペースは速くありませんでした
しかし、それでも一向に縮まらないペースでのOVA製作
公式HPを覘きに行くたび発売延期の文字に落胆させられました
いやまったく、累計何回延期したんだろうね?
これからこの作品を見ようという方は幸せです
ワクワクして開いたサイトに延期の文字を見つけて絶望することも
「○○までには必ず・・・」という謝罪文をみて
そんないい加減なこと言って・・・どうせそこにも間に合わないんだろ!?
などと、軽く人間不信に陥ることもないのですから

まぁしかし、その遅延は作品に対して妥協を許さない姿勢の表れで
身を焦がす思いで待たされ続けたことにも
十分納得がいく仕上がりになっています
1~4巻、5~7巻、8~10巻でそれぞれ制作会社と監督が変更になっており
お蔭でそのつなぎの部分では若干の違和感が拭えないですが
それにしたってそれぞれのスタッフが持てる力を最大限に注いだ結果
それぞれのカラーが出てしまっているだけのこと
どの巻も非常にハイクオリティな映像を提供してくれています
とにかく原作へのリスペクトを強く感じる仕上がりなので
原作ファンならば見て損は無いでしょうね

原作は知らないけれどちょっと気になる
でもOVA購入は敷居が高いという人は
3月3日からWOWOWプライムで一挙放送するみたいなので
それを見てみるといいんじゃないかな?

どういう番組構成になっているかわかりませんが
もしかしたら特典映像のTheDAWNとドリフターズは
一挙放送では見られないかもしれません

TheDAWNはヘルシングの外伝にあたる作品です
第2次大戦下の1944年ワルシャワ
かつてのヘルシング機関とナチスとの邂逅が描かれており
本編の源流となるエピソードだったはずなのですが
連載誌の廃刊によりお蔵入りとなり6話までしか発表されていません
原作者曰くまだあと80ページ分くらいあるんだとか
ファン達は皆、加筆のうえで出版されることを願ってやまないものですが
原作者の素振りからするとちょっと期待薄かもしれません

一方ドリフターズは平野耕太の最新作で
まだしっかりとアニメ化できるほど原作ストックがありません
しかし、こうやってその片鱗を見せてくれるという事は
ゆくゆくはこのOVA版HELLSINGと同等のクオリティで
ドリフターズも映像化してもらえるに違いないと
そう信じるに足る150秒でした

しかし何と言っても圧巻なのは本編映像
TV版では登場すらさせて貰えなかった
少佐率いるミレニアムの連中が
なんとも生き生きと、そう、実に生き生きと死んでゆく様には
まさに感無量でした

特に少佐は漫画史に残る名悪役でしょう
台詞回しに抜群のセンスを見せるこの作品の中でも
一際異彩を放っているのが少佐の含蓄のあるセリフの数々
彼はただの狂人じゃありません
洗練された超一流の狂人です
それを見事に演じきった飛田展男さんに脱帽
特にレビュータイトルにもなっているあの演説
本当にシビレました
あれをアニメで披露してもらえただけで
もう私は大満足です

とにかく全体的なクオリティの高さと原作再現度には太鼓判を押せる内容
前述のとおり原作ファンならば見て損は無い出来栄えですが
そもそも原作ファンならばこんなレビュー読む前に
とっくに見終わっているはずですね

原作漫画はよく知らないという方は
かなり刺激の強い作品なので
肌に合わない可能性があることを
十分に留意したうえでご覧ください
まぁその尖った部分が売りのアニメですから
そこがダメな人はとことんダメだと思いますが
ハマる人はドハマりすること間違いなしですよ

投稿 : 2024/11/02
♥ : 20

いしゆう さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

英国を飲み込む 弱肉強食のモンスターバトル !

あらすじはあにこれを参照ください
発売時期:2006年2月~2012年12月


〇物語
時代は20世紀末 場所は英国
一般の人には知らされていない
吸血鬼 グール 人狼 などのモンスターがいる世界の中
彼らが所属する各組織 その抗争を描いた作品です。 

とってもバイオレンスでダークファンタジー系の世界観なので
戦いは血がドバドバーって流れて 思わず目を伏せるような
刺激が強い表現があります 向き不向きハッキリ分かれる作品かも

物語の展開は割とサクサクしてます 
敵味方は組織ごとで分かれているので とても分かり易かったです

ただ 1話1話がとても凝縮された内容で 
1話観終わると 結構な充実感に包まれました。


〇中二病設定
敵味方の各組織名ですが

・大英帝国王立国教騎士団(通称ヘルシング機関)
・特務機関イスカリオテ
・第九次空中機動十字軍
・ミレニアム
・ワイルドギース

どうですか とても仰々しいでしょ? 
そこにモンスターが加わるんです 
これ系が好きな人には たまらない世界観だと思います♪


〇個人的な見所紹介
冒頭に挙げた モンスター同士のバトル! 
一言でいえば 単純な殺し合いなんですが その内容と規模が凄い!

主人公は最強の吸血鬼で不死身のアーカード 
彼は 文句なしの強キャラですが 対抗するのも負けじと強キャラ
そんな モンスター同士のぶつかり合いは勿論 
そこに人類も参加しての抗争はまさに 荒々しくて非情な弱肉強食の世界!

異能の力と銃などの兵器が乱れ舞う戦場に
首都ロンドンが飲み込まれていく様子は圧巻です。


〇個人的 好きなキャラ
まずは”ベルナドット”
モンスターバトルに参加する傭兵集団”ワイルドギース”の隊長
どんな絶望の中でも 部下の前では決して弱さを見せない
その姿に 感動しました! 時々キャラが崩壊するところも好きです。

そして”セラス”
この作品に彼女がいなければ 
息が詰まって 視聴中断していたかもしれません
彼女は作品唯一の癒しキャラなんです○o。.

それと 作中段々と逞しく成長する彼女は目が離せません
序盤と終盤の彼女の凄い変化! これは必見ですよ!
 

〇観終わって
疲れました 何だろう 文字にすると勘違いさせるような感じですね
計10話なんですが何か大長編を観た後に感じる あの感じ わかります?
文字では表現できませんが ”それ”を 体で感じました。
( 良く分からない感想で ごめんなさい。 )

キャラも内容も全てが濃い!
それと 所々 残酷なシーンがあるため
正直 食事中の視聴はおススメ出来ません。 

ただ 食事しなくても 気になる展開
バラエティ豊かなキャラ達 スパイスの効いた画
ボリューム満点の内容に満腹 これらが好きなら試す価値ありです!


以上最後までお読み下さりありがとうございました。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■■□■□

〇最後に
制作会社

サテライト 1-4話 (2006年)
マッドハウス 5-7話 (2008年)
グラフィニカ 8-10話 (2011年)

三社でバトンを繋ぎ完結って普通に凄いですよね?
物語ってどうしても ラストまで観たいって思います! 
だから本当にうれしい! ありがとうございました♪。 












 

投稿 : 2024/11/02
♥ : 26

73.6 2 ダークヒーローで組織なアニメランキング2位
B: The Beginning[ビーザビギニング](Webアニメ)

2018年3月2日
★★★★☆ 3.8 (242)
1245人が棚に入れました
科学者が宇宙平和のために創造していた"新人類"が、完成を目前にして、独自の企みを持つ悪の集団に誘拐される。近未来を舞台にしたオリジナルアニメシリーズ。

王立警察特殊犯罪捜査課へと戻って来た天才捜査官キース・フリックは、ある事件の犯人を追っていた。凶悪犯罪者ばかりを狙う連続殺人鬼、通称『Killer B』。犯行現場に必ず刻み込まれた『B』の文字は人々の注目を集め憶測を呼んだ。『B』それは彼女のためのメッセージ。『ぼくはここにいる……』その身を異形に変え、黒羽は届かぬ思いを刻み続ける。キースと黒羽、互いに見知らぬ二人の運命は、やがて一つの陰謀へと飲み込まれていく——

Netflixによる限定配信。

声優・キャラクター
平田広明、梶裕貴、瀬戸麻沙美、東地宏樹、稲葉実、小清水亜美、豊永利行、田中進太郎、後藤敦、森川智之、石川界人
ネタバレ

Kuzuryujin さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

5時間の映画

A Netflix Original Seriesの一つ。
2018年3月2日からNetflixにて全話一斉、全世界独占配信中。
企画は2年前から進行していた。

Web配信ゆえ、一般的なAパート、BパートといったCMを考慮した
話の流れを阻害する可能性のある構成に縛られない。

20秒程のタイトルイメージ「B」が
インサートされるのみのオープニング。

その分、エンディングは2~3分でやや長め。
エンディング抜きで1話約23分の全12話。

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原作:中澤一登、Production I.G
監督:中澤一登、山川吉樹
シリーズ構成:石田勝也
総作画監督:中澤一登
キャラクターデザイン:中澤一登
メカニックデザイン:常木志伸
音楽:池頼広
アニメーション制作:Production I.G
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この作品とは別な話ですが、

2017年冬に、初めてNetflix制作の配信コンテンツである
ドラマ版「僕だけがいない街」(全12話)を視聴して
その従来とは違った製作の成果が、
作品にいい感じで滲み出ていて感銘を受けました。

ドラマ「僕街」の監督・下山天氏のインタビュー(ググればネットで読める)によると、

・10年先も色あせずお客さんにも響くものをNetflixは求め、
話、画、音すべてを最高のものにすることに拘る。

・そのため、脚本も全話完成してからNetflix側が事前にジャッジ。

・それは、3話目まではもっと観たいというものになってるかが重要視され、
そこに問題なければ4話目以降は口出ししない。
(企画そのものの結末までのプロットがOKだからでしょうが)

・完成作品は1本の映画と捉え、全話が最後までつながってからの納品。
Netflix側はそこで全話一挙プレビュー。そして、全話一斉配信される。

ということらしいです。
アニメとドラマでは違う部分もあるかもしれませんが
スタンスは共通でしょう。

Netflixは2018年現在、ユーザーが
190ヵ国以上で一億人を突破したようです。

Netflixでは、企画が通った作品の中で、
再生回数や安定した視聴時間が見込める作品に対して
大きな予算が割り当てられるそう。(ニッチな作品はそれなり)

このシステムでは、1つの作品に対して、中核のクリエイター
(本作では、中澤氏)が全責任を負い、全話完成後納品のスタイルなので、
プレッシャーと負担は通常以上に大きいでしょう。

しかし、作品の個別収支ではなく、
有料会員を増やすことによりビジネスを成立させているので
クリエイターは国内の円盤売り上げを全く意識しないで済む。
また、地上波より表現規制も緩いので作品の創作の自由度が広がる。

非常にやりがいがありそうです。


かなり脱線しました。本作のレビューに戻ると...

本作は、作品としてのまとまり感が当に1本の映画よう。

本作を視聴して通常のTVシリーズとの
クオリティの差を明らかに感じました。
{netabare}
本作は、一見冴えなさそうな、対人スキルの乏しい
中年の変人キースをメインの主人公にしていますが
そこはとても大きいポイントだと思います。
(あにこれで使われているキービジュアルでその構図が見えます)

世代的に若者よりも、
人生の経験豊かで有能な年長者をメインに据えることは
話の深みに大きな影響を与えるはず。

もしこれがテレビなら主人公としては一般に受けそうな、
若者の黒羽(コクウ)、リリィ、ユナを物語の中心に据え、
キースはサブキャラクターで終わっていたかもしれません。

個人的に、キースの魅力が輝き始めた4話から面白さが倍増しましたが、
彼のようなキャラが、話数を重ねる内に
尻上がりに格好良くなる醍醐味はなかなかのものです。

対犯罪組織において有能な成人男性キャラの欠如は
大きなマイナスです。

猟奇犯罪を扱うなど、本作と似た部分もある
制作会社が同じのTVシリーズ「PSYCHO-PASS サイコパス」を
一例としてあげると。

サイコパスでは本来、狡噛慎也と常守朱のW主人公でした。

しかしパ-ト1は終わってみると、
年若いヒロインの朱の方がクローズアップされていた感。
それでも狡噛も主人公として輝いていたからまだ見応えあった。

さらに、パート2になると、なんと狡噛は全く出なくなった。
その代わりになる新キャラもいなかった。
話が進むにつれ、自分の中で
どんどん話がつまらなくなっていったことを思い出します。
あにこれでも、パート2の評判はパート1より低いですね。
{/netabare}

「B:The Beginning」
この作品の魅力を簡単にまとめると

・淀みなき話の流れに、ムラも破綻もない統一感がある。

・シリアスの中にも、ふっと和む瞬間があったりと緩急の自在さに、
クリエイターのセンスの良さが光る。

・ダイナミックな見応えあるアクションの魅力。

・全体の作画のトーンは物語にジャストフィット。
さらに色彩の繊細さのレベルが高い。

・キャストの皆さん、全員が一丸となった演技で、
主にベテランの一流声優の競演作品としての魅力。
若手声優は大いに勉強になったであろうと想像に難くない。

といったところでしょうか。

但し、エロ要素はないにせよ、
規制の緩いweb作品でしか描けないような
血生臭い残虐シーンがそれなりにあります。

第1話は開始2分で、思わず目を背け、
「それはやめて」と、つい口に出ちゃいました。

グロ耐性ないときついかもしれませんが、
悪趣味なほど酷くはないので全話終わってみると
意外とそんな嫌な後味は残りませんでした。

物語は既視感あるので若干マイナスの★4.5にしましたが
人間の潜在的に持つ醜さや怖さを上手く描き、
ファンタジー異能要素はあくまで従で、
リアルな犯罪サスペンスドラマとしてとても引き込まれました。

当たり前ながら、視聴中に色々と察する楽しみがあるので、
話のネタバレ情報には事前に触れない方が吉です。

作画は、アクション、背景、人と表情、メカなどすべてにおいて文句なしの★5

声優の★5は、
特に平田広明、東地宏樹、森川智之、瀬戸麻沙美の各氏に捧げます。

他のキャストも、どなたも素晴らしい演技でした。
キャラとの一体感が半端なかった。

未完成な映像でアフレコすることの多いアニメの収録現場と言われますが、
この作品では以上述べたような制作の性格上、
ほぼ完成した映像で全話のアフレコに臨めたらしい。
それは、声優も感情移入が深くなり、演技にさらに磨きがかかる
大きな要因なのではないでしょうか。

さらに声優の演技に合わせ映像を修正することもあったそう。
これではレベルが高いのはむしろ当然です。

キャラの★5は、
絶妙なコンビのキース&リリィに捧げます。
ダークな作品世界にあって、
この二人のやり取りが心のオアシスでした。

音楽の★5は、
物語に見事に嵌ったエンディング曲を用意してくれた
作曲・ギターのマーティー・フリードマン氏、
ハリウッド映画のような重厚なサントラを生み出した池頼広氏に捧げます。

スカッとはせず悲哀感はあれど
最後のシーンは、台風一過の翌日のようで
後味は決して悪くなかった。
さらに、最後の最後で続編を暗示してました。

Bの後のThe Beginningは
第1章もしくは序章の意味なのでしょうか。

パート2を期待します。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

互いに見知らぬ二人の運命は、やがて一つの陰謀へと飲み込まれていく…

この作品はNetflixで独占配信されている作品です。
これまで「DEVILMAN crybaby」、「A.I.C.O. -Incarnation-」を視聴してきたので、本作で3作目になります。
契約形態は3種類あるので、それぞれの環境に合わせた視聴が可能であること、何より字幕が入らず必要に応じてダウンロードして作品を視聴できるのが、私にとって最大限の魅力となっています。

前に視聴した独占配信作品のレビューでも書いた気がしますが、TV放送の様な枠がないのと、段階を追ってしっかり制作できるのがメリットだと思います。
何故なら放送中に万策尽きたり、作画崩壊などという事態が起こり得ないので…

この物語は、「Killer B」事件を機に特殊犯罪捜査課に復帰してきた捜査官「キース」と、バイオリンを修理する工房で働く「黒羽」の2人が主人公になっています。

もともと接点のある二人ではないので、物語の序盤は同時に二つの物語が平行して描かれている感じなのですが、物語の進捗に合わせて二つの物語がこれまでと違う様相を見せるという、とても手の込んだ作りになっています。
この作品…予め色々と見聞きするより、興味を持ったら視聴した方が良い作品だと思います。

なので、キャラ紹介を少しだけ…
キース(CV:平田広明さん):天才的頭脳の持ち主で、親しい友人からはドイツ語で天才を意味する「ゲニー」と呼ばれています。
見た感じ一癖ありそうなキャラですが、彼の洞察力と推理力にはきっと惚れ惚れすると思います。
黒羽(CV:梶裕貴さん):見た感じ10代の少年です。バイオリン奏者としても高いスキルを持っていますが、古いモノを修理して再び使えるようなるプロセスそのものが大好き…
でも彼の顔は、一つじゃありませんでした。

この二人を取り巻いているのが、RISと呼ばれる「王立警察特殊犯罪捜査課」の皆さま方です。
中でも瀬戸麻沙美さん演じる新人捜査官の「星名リリィ」と、小清水亜美さん演じるホワイトハッカーの吉永カエラは要注目キャラだと思います。

カエラのハッカーとしてのスキルも素晴らしいですが、何と言ってもリリィの発想力と行動力はこの作品の魅力の一つになっていると思います。

捜査官と特殊犯罪捜査課の組み合わせ…となると必然的に物語の方向性は見えてくるのですが、この作品の特徴の一つとして、事件は起きるものの動機が不明で、犯人は自白後に不信な死を遂げる…
という特徴があったんです。
だから物語は解決しない事件が連鎖している状態…
こんな膠着が暫く続くのですが、物語は予期しない方向から少しずつ全貌が明らかになっていきます。

正直序盤はあまり面白さを見出すことができませんでした。
きっと数話続く膠着が原因だと思いますが、物語が動き出してからは一気に面白さが加速します。
何故なら接点のないところに突然接点が生まれて、それら接点同士が複雑に絡み合うからです。
だから物語の落としどころ…つまり、この作品のラストは全く予想できないのも、この作品の面白さに拍車をかけていると思います。

タイトルにも書きましたが、もともと一つの陰謀から数々の事件が派生している…
ここまで記載しても全くネタバレになる気がしない程、物語はしっかり練られています。
作品は1クールですが、全てにおいてとても緻密であることを大切にした作品という印象を受けました。
こういう作り手の気合が伝わってくる作品…私は大好きです。

気になる方は是非本編でご確認頂ければと思いますが、完走して私も気になる点が1点…
この作品は続編が制作されるのでしょうか。
それともそういう終わり方を指向した結果なのでしょうか。
普通に考えたら次に繋がってもおかしくない…というところで物語が終幕するんです。
ですが、物語に中途半端感はありません。
一つの物語をしっかり描き切っています。
人気が出たら続編…というパターンなのでしょうか?
でも人気のバロメーターである円盤はNetflix作品でも販売されるのでしょうか?
いずれにしろ、もう少しこの作品をチェックしておく必要がありそうです。

次は「ソードガイ 装刀凱 The Animation」を視聴したいと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 12
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

想定外に挑み続けるメンタル

エログロなんでもアリのフリーダムな姿勢で、
次々と刺激的な展開を繰り出して来る海外ドラマ。
それらが席巻する世界を相手に日本のアニメは何ができるだろうか?

本作はNetflixオリジナルアニメとして得たと思われる予算や環境を、
海外ドラマ級のシナリオ密度という形にして、その問いに答えてみせた野心作。

伝説の敏腕捜査官、サイコパスな猟奇殺人グループ、架空の王国で暗躍するダークファンタジー風のヒーロー。
脚本面でも、作画面でも並の制作体制なら破綻して闇鍋化しかねない水と油な具材を、
一つのアニメーション作品として仕上げた本作は非凡だと感じます。

その情報量の多さには置いてきぼりのリスクが付きまといますが、
私の場合は情報が押し寄せる度に、脳が悦んでいるのが自覚できて幸せでした。

一方で展開、設定等には既視感も覚えたりもしました。
ただ今回の場合は、それも私にとっては助け船でした。
だって、このシナリオ密度で全て未知の要素で物語を構成されたら、
間違いなく付いていけないでしょうw

今の話よく分らなかったけど、もしかして昔見たアニメのあれと似たような物なのだろうか?
とデジャヴも頼りに完走した面も多々あった(苦笑)アニメ鑑賞でした。


ダークヒーローを捜査すると言う無茶にリアリティを与える超展開を眺めていて、
ふと、例えば昭和の人間に、次の時代に最終戦争を妄想したカルト教団が
地下鉄で猛毒をばら撒いて自作自演するテロを起こすから気を付けろ。
と警告しても、誰も本気で聞いてくれないだろうなと言う着想が浮かんで来ました。

夜空を飛翔する魔人の如きイレギュラーなど、常識的に考えれば荒唐無稽ですが、
本作では遺伝子科学の急進や、生命倫理の忘却が重なればあり得る現象として設定され、
天才捜査官は、例え周囲に狂乱した変人と白眼視されようとも、焦点を合わせ続ける。
その飽くなき執念に惹き付けられます。

{netabare}「トラブルってのはプロセスの一つだ。
昔の俺たちは トラブルを事前に対処してきた。
それが間違いだった。だから失敗したんだ。

トラブルやイレギュラーは必然であり要素なんだよ。
排除しちゃいけないんだ。全てに意味がある必ず何かにつながる。」

――キース・フリック{/netabare}


既視感も当てにして高密度の物語を消化する悦びは今作で再認識できたので、
制作が決まっている二期では是非、シナリオ濃度にも慣れたアニメファンに
未知の体験をスパイスして酔わせて欲しい。
今後もよりキモチイイ、攻撃的な姿勢に期待したいオリジナルアニメシリーズです。


余談:本作監督インタビュー(Gigazine 2018年03月02日)にて、
日本とNetflixで異なる規制基準についての言及もあって興味深かったです。
日本では自粛する部分でリミッターを外してフリーダムに表現できる高揚が伝わって来ました。

Netflixがグロに寛容なのを良いことに、
本作は中々の出血多量で耐性のない方には注意が必要なわけですが、
もう一つ警告しておきたいのは画面の点滅について。

何でも日本のアニメ業界では未だに
TVアニメ版『ポケットモンスター』のポリゴン明滅による、てんかん事件が尾を引いていて、
「ポケモンチェック」と呼ばれる画面点滅に関する自主規制が敷かれているとのこと。

今回はそこもフリーダムなのを良いことに、嬉しそうにピカピカしているから危険ですw

特に異形たちの眼。
こやつらポリゴンかwってくらい赤、青に大喜びでパカパカ点滅するからアブナイですw
実際、彼らの瞳のフラッシュは、{netabare}目が合った者の脳を弄くり、記憶を改ざんするデンジャラスな光ですしw{/netabare}

光の刺激に弱い方は視聴の際くれぐれも気を付けましょう。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 22
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