2015年度のスタジオコロリドおすすめアニメランキング 1

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52.8 1 2015年度のスタジオコロリドアニメランキング1位
台風のノルダ(アニメ映画)

2015年6月5日
★★★☆☆ 3.0 (125)
390人が棚に入れました
スタジオコロリドの作品。


その少女は、台風にのってやって来た。

僕たちに「本当に大切なこと」を教えてくれた、不思議な少女との一夜の物語。

舞台はとある離島、文化祭前日の中学校。

幼いころからずっと続けていた野球をやめたことがきっかけで親友の西条とケンカした東は、突如現れた赤い目をした不思議な少女ノルダと出会う。

「“地の渦”と“空の渦”と“私”が一つに繋がれたとき、この星は生まれ変わる…」。

その頃、観測史上最大級の台風が学校を襲おうしていた──。

声優・キャラクター
野村周平、金子大地、清原果耶
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

ジブリ出身の監督?

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 30分弱のショートムービー。
 「陽なたのアオシグレ」と同時上映だったと聞いて、そこそこ期待して見たんですけど、率直に言ってあまり良くなかったですね。主張が前面に出ているせいもあってか全体的に青臭い感じがするんですけど、それは新人監督ゆえある程度は許容するつもりです。でも、それ以上にストーリー構成が噛み合ってなかったように思えました。


ストーリー:{netabare}
 主人公のアズマと親友のサイジョウが同じトラブルを乗り越えることで仲直りをする、っていうのがこの作品のメインストーリーですね。このトラブルというのが、ノルダの運んできた「この星の再構築」です。

 ノルダは、「送り込まれた」「首輪によって支配されている」「強制的に柱になる」と言っていましたから、ノルダの上位に位置する「何か」がいて、ノルダはその命令に逆らえない状況にあるのだと思います。また、その「何か」が「この星の再構築」をも目論んでいるのでしょう。
 ノルダは「もう止めることは…」と落胆していましたから、この「何か」と同じ目的を共有しているわけではなくて、むしろ反目する(阻止したい)立場にあったんだと思われます。

 最終的には「この星の再構築」の阻止が成功したんですけど、他方で「別の再構築」が行われていました。
 「別の再構築」で最も重要なのが「アズマの性格の再構築」です。アズマは、「この星の再構築」を阻止しようとするノルダの思いや、「少しでもいいから遠くへ逃げて」というノルダの献身性に触れて、「出来ることをやりたいんだ」という前向きな姿勢を取り戻すことができました。ノルダとの出会いがアズマに主体性を取り戻させたのです。
 また、この「アズマの性格の再構築」が、「アズマとサイジョウの関係性の再構築(仲直り)」へとつながりました。
{/netabare}

ストーリーのちぐはぐ感:{netabare}
 この作品のストーリーは二つの軸から構成されています。一つ目がメインストーリーである「アズマとサイジョウの仲直り」で、二つ目がサブストーリーである「アズマとノルダの出会い」ですね。で、この二つのストーリーが有機的に結合されていないな、と感じました。

 サブストーリーの方は比較的まとまっていると思います。「後ろ向きなアズマがいて、ノルダとの出会いによって、前向きなアズマになる」というボーイミーツガールをベースにした三段型の流れは出来ていますよね。アズマ単独の成長譚として見るのなら、こちらの方が重要性は高いです。

 問題なのは、メインストーリーの方です。
 この作品は、野球を辞めたことからケンカに発展する、というところから始まって、仲直りをするところで終わっています。保健の先生も「一生の友達になるかどうか」ということを言っていますし、どう考えてもこのアズマとサイジョウのストーリーがメインのはずです。
 で、アズマとサイジョウが仲直りをするために必要だったのは、後ろ向きなアズマが主体性を取り戻すことだったんですけど、前述の通りこれを成し遂げたのはサイジョウではなく、ノルダです。本来なら、「ケンカ相手のサイジョウがアズマに主体性を取り戻させたから、ノルダを救出できた」となるはずなのに、実際には、「ノルダがアズマに主体性を取り戻させたから、サイジョウと仲直りできた」となってしまっているのです。そのせいで、メインストーリーの解決がたなぼた的な解決になってしまっています。

 簡単に言ってしまうと、アズマが主体性を取り戻すタイミングが早すぎたんです。
 仲直りをメインとするなら、「アズマが野球をやめる」→「ケンカをする」→「ノルダのためにアズマがサイジョウに助けを求める」→「サイジョウのアドバイスと協力によりアズマが主体性を取り戻す」→「ボールを投げる」→「大団円」という流れであるべきだったと思います。この流れなら、仲直りをメインストーリーとして組めていたはずです。
 ですが、アズマが主体性を取り戻すのがサイジョウに助けを求める前に入ってしまっていたために、サイジョウが心情を吐露するシーンが「その影響を受けてアズマが主体性を取り戻せた」ではなくて、「ただ吐露しているだけ」になってしまっています。アズマの成長にとって、サイジョウが何らの寄与も出来ていないのです。このストーリー構成で、仲直りのストーリーだ、と言い切るのはちょっと難しいと思います。

 「再構築」というキーワードをベースに、「この星の再構築」から「アズマの性格の再構築」と「アズマとサイジョウの関係性の再構築」へと転換した事自体は評価に値するものかとも思います。ですが、メインストーリーである「アズマとサイジョウの仲直り」を描くためにはノルダが邪魔になっているし、サブストーリーである「アズマとノルダの出会い」を描くのであればサイジョウの存在に意味はありません。この二つをうまく結合できなかったために、この作品自体にちぐはぐ感が生まれてしまったように思えます。
{/netabare}

作画:{netabare}
 作画も期待したほど良くありませんでした。背景は綺麗でしたが、いまどき背景が綺麗じゃない作品なんてほとんどありませんからね。

 動きで気になったのは、重いものに対する動作の描き方です。身の丈を超える本棚を倒したり、丸太を持ち上げて投げたりするシーンなんかがあるんですけど、全く重そうに見えませんでした。
 ジブリ作品における重いものの動きで思い出されるのは、千と千尋におけるカマジイのもとで千尋が石を運ぶシーンや、ポニョにおけるソウスケがバケツの水を運ぶシーンなんかがあると思います。これらのシーンにおいては、無理している感とか頑張っている感とかが、その「重そうな感じ」からとてもよく出ていました。
 この作品では全然ダメでしたね。重そうに見えないために、頑張っているように見えない。ほんとにジブリ出身のアニメーターなのかと訝しんでしまいました。

 ストーリーもいまひとつ、動きもダメっぽくて、素人声優を採用した意義も見いだせない。
 作品としては駄作だと思いました。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

よくわからないアニメ映画NO1です。追記 わかるところもありました。

 何を言いたいのか、誰向けなのか、まったく理解不能の映画でした。台風に何か寓意があるとすれば、災害とか非日常なんでしょうか?そして、ノルダの意味は何でしょうか。ボーイミーツガールではないです。世界OR少女の世界系ではないです。少女を救う事が世界を救う事になります。

 非日常+女子高生でやっと少年は素直になれる?ということでしょうか。いや、意味わかりません。

 そして、なぜ地球が?という部分がまったく無意味、無思想です。台風と絡めると温暖化を引き起こすような愚かな人類は云々の言い方はできると思いますが、特に銀河帝国が制裁に来たという感じもありません。

 じゃあなぜ宇宙人はJKなんでしょう?制服=征服とかいう洒落?要するにJKを出したかったんでしょうね。普通失敗したら第2陣が来ると思うんですけど、そこに対する予防も無かった気が…あるいは少女を助けるのが何かの試験だったんでしょうか?ここは、正直ポッカーンで何もわかりませんでした。

 それでBLですらないのがすごいですね。構造的には「バブル」を3倍に薄めて時間を短くしたような感じです。あちらはまだアナロジーで言いたい事は散りばめられてましたけど。

 一期一会とかひと夏の冒険のような詩情もないし、不条理でもないし…うーん。キャラの激しい感情と行動で何を感じればいいかがわかりませんでした。

 映画にしては作画に感動するわけでもなく。冒頭の台風の映像だけは期待を持たせてくれますが、しかし何もないなあ。うーん。よくわからない映画NO1かも。


追記 あーちょっと考えると、台風は女性名が付きますから、台風を女性で象徴するのはありかなあ。あとは、文化祭だとすると非日常の典型ですね。台風も同じく学生にとってはワクワクする非日常です(沖縄なら日常かもしれません)。停電や災害ですらアミューズメントに変換できるのは学生の特権でしょう。

 2人きりでバナナを食べさせるのでエロいことを妄想してもいいですけど、それはまあ受け取る側に委ねる部分でしょうね。そもそもはじめ裸だし、濡れたシーンがエロいので爽やかさはあんまり感じません。
 少女と夏に出会えばまあ、いろいろあります。つまり少女と出会って大人になる、ですね。台風少女=大事件のアナロジーなら当然「大人の階段上る」もはいるでしょう。
「アニメは表現したいものしか表現されない」の原則から言えば、考えすぎではないと思います。

 そうそう宇宙船の形は何かを象徴している気がするので、思いついたらまた追記します。

 と考えると、仲直りのきっかけとして、ある夏の非日常の中でこんなことがありました…でもいいかなあ。ストーリーは1.5点は低すぎかな。ただ、3点はつけたくない感じで2.5点ですね。点数いろいろいじってたら2.9点になったのでそれが丁度いいですね。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9

beatle さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

26分縛りでジブリっぽい作品を作った結果

割と面白かったです。

なんか終わりっぽい?ってシークバー見るとマジで26分ぐらいで終わりみたいで焦りました。

いろいろ詰め込んでますけど、これで26分ならまぁまぁ楽しめたのかもしれません。しかしながら、余りにも尺が短過ぎるので、言葉一つ一つに至るまでの過程の描写を端折り過ぎており、感動の安売りという感じが否めません。

が。決して悪くない。設定は悪くないのです。むしろ好みなのであります。(ToHeartネタで分かる一同爆笑)
これを1クールでやったらイリヤの空をライトにしたような感じでとっても良いかもって思いました。

ところどころホモネタに走ったりMAD素材を狙っているのかネタパーツが多いのもご愛嬌。いろいろと詰め込んでますが、アレですね。忙しい人向けのアニメです。つまり社会人が荒んだ心を癒す郷愁を想い起こすサプリメントと考えられます。現代社会に生きる社会人という名の闘士には、たまにはこういう成分も補給しないと病んでしまうのであります。

声優がちょっと目に余るって方もいましたが、僕としてはむしろコレで良かったと思います。こういうのでいいんだよ、こういうので。「諦めるな!」という主人公の声がかなり聞き取りづらかったですが、中学生っぽさが出て逆に良いなって思いました。

ぶっちゃけ声とかどうでもいいからね。萌え豚の僕でも近年の声優豚の鳴き声は目に余ります。声優とかどうでもいいじゃねーかっつーの。しかも近年雑誌に声優の顔写真が出てグラビア飾ったりしてるし。そういうのじゃねーだろうがって思います。裏方なんだから裏方を支えてどうぞ、なのです。声優にビジュアルを求める奴は正直いらっときます。顔の良い女はどんな職業についても大抵どうにかなるんだから、顔の整ってない女にこそ声優をやらせるべきなのだと思うのです。顔の整ってない女の方がもっと良い声出るんじゃないかと思うのです。むしろブスにこそ活躍出来る現場をサブカル界は与えるべき。声とかテキトーでいいんだよ。テキトーで。違いなんてほとんど無いんだから。格好良い声、可愛い声に慣れ過ぎてナチュラルな声の良さを理解しない奴の声のデカさはデカイことこの上無い。
味の濃い食べ物ばっかり食べまくったせいで舌がイカれて素朴な味わいを感じる事ができねーんじゃないかと。

まぁ学園祭の雰囲気も世界観も秋山混じりなのでつまりはそういう事なのでしょうが、良いのです。

もっとこういうのを作って欲しいです。実験作や意欲作だというスタンスを踏まえた上での評価になります。百円レンタルで借りれそうな多忙なサラリーマンにお勧めです。EGFマダーの瑞っ子はこれでも観て正気を保ち続けましょう。

こういうあっさりな作品ってありそうで無かったので新鮮で良かったです。
是非このまま挑み続けて頂きたい。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3
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