スタジオコロリドで友情なアニメ映画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがアニメ映画のスタジオコロリドで友情な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月05日の時点で一番のスタジオコロリドで友情なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

52.8 1 スタジオコロリドで友情なアニメランキング1位
台風のノルダ(アニメ映画)

2015年6月5日
★★★☆☆ 3.0 (125)
390人が棚に入れました
スタジオコロリドの作品。


その少女は、台風にのってやって来た。

僕たちに「本当に大切なこと」を教えてくれた、不思議な少女との一夜の物語。

舞台はとある離島、文化祭前日の中学校。

幼いころからずっと続けていた野球をやめたことがきっかけで親友の西条とケンカした東は、突如現れた赤い目をした不思議な少女ノルダと出会う。

「“地の渦”と“空の渦”と“私”が一つに繋がれたとき、この星は生まれ変わる…」。

その頃、観測史上最大級の台風が学校を襲おうしていた──。

声優・キャラクター
野村周平、金子大地、清原果耶
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

ジブリ出身の監督?

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 30分弱のショートムービー。
 「陽なたのアオシグレ」と同時上映だったと聞いて、そこそこ期待して見たんですけど、率直に言ってあまり良くなかったですね。主張が前面に出ているせいもあってか全体的に青臭い感じがするんですけど、それは新人監督ゆえある程度は許容するつもりです。でも、それ以上にストーリー構成が噛み合ってなかったように思えました。


ストーリー:{netabare}
 主人公のアズマと親友のサイジョウが同じトラブルを乗り越えることで仲直りをする、っていうのがこの作品のメインストーリーですね。このトラブルというのが、ノルダの運んできた「この星の再構築」です。

 ノルダは、「送り込まれた」「首輪によって支配されている」「強制的に柱になる」と言っていましたから、ノルダの上位に位置する「何か」がいて、ノルダはその命令に逆らえない状況にあるのだと思います。また、その「何か」が「この星の再構築」をも目論んでいるのでしょう。
 ノルダは「もう止めることは…」と落胆していましたから、この「何か」と同じ目的を共有しているわけではなくて、むしろ反目する(阻止したい)立場にあったんだと思われます。

 最終的には「この星の再構築」の阻止が成功したんですけど、他方で「別の再構築」が行われていました。
 「別の再構築」で最も重要なのが「アズマの性格の再構築」です。アズマは、「この星の再構築」を阻止しようとするノルダの思いや、「少しでもいいから遠くへ逃げて」というノルダの献身性に触れて、「出来ることをやりたいんだ」という前向きな姿勢を取り戻すことができました。ノルダとの出会いがアズマに主体性を取り戻させたのです。
 また、この「アズマの性格の再構築」が、「アズマとサイジョウの関係性の再構築(仲直り)」へとつながりました。
{/netabare}

ストーリーのちぐはぐ感:{netabare}
 この作品のストーリーは二つの軸から構成されています。一つ目がメインストーリーである「アズマとサイジョウの仲直り」で、二つ目がサブストーリーである「アズマとノルダの出会い」ですね。で、この二つのストーリーが有機的に結合されていないな、と感じました。

 サブストーリーの方は比較的まとまっていると思います。「後ろ向きなアズマがいて、ノルダとの出会いによって、前向きなアズマになる」というボーイミーツガールをベースにした三段型の流れは出来ていますよね。アズマ単独の成長譚として見るのなら、こちらの方が重要性は高いです。

 問題なのは、メインストーリーの方です。
 この作品は、野球を辞めたことからケンカに発展する、というところから始まって、仲直りをするところで終わっています。保健の先生も「一生の友達になるかどうか」ということを言っていますし、どう考えてもこのアズマとサイジョウのストーリーがメインのはずです。
 で、アズマとサイジョウが仲直りをするために必要だったのは、後ろ向きなアズマが主体性を取り戻すことだったんですけど、前述の通りこれを成し遂げたのはサイジョウではなく、ノルダです。本来なら、「ケンカ相手のサイジョウがアズマに主体性を取り戻させたから、ノルダを救出できた」となるはずなのに、実際には、「ノルダがアズマに主体性を取り戻させたから、サイジョウと仲直りできた」となってしまっているのです。そのせいで、メインストーリーの解決がたなぼた的な解決になってしまっています。

 簡単に言ってしまうと、アズマが主体性を取り戻すタイミングが早すぎたんです。
 仲直りをメインとするなら、「アズマが野球をやめる」→「ケンカをする」→「ノルダのためにアズマがサイジョウに助けを求める」→「サイジョウのアドバイスと協力によりアズマが主体性を取り戻す」→「ボールを投げる」→「大団円」という流れであるべきだったと思います。この流れなら、仲直りをメインストーリーとして組めていたはずです。
 ですが、アズマが主体性を取り戻すのがサイジョウに助けを求める前に入ってしまっていたために、サイジョウが心情を吐露するシーンが「その影響を受けてアズマが主体性を取り戻せた」ではなくて、「ただ吐露しているだけ」になってしまっています。アズマの成長にとって、サイジョウが何らの寄与も出来ていないのです。このストーリー構成で、仲直りのストーリーだ、と言い切るのはちょっと難しいと思います。

 「再構築」というキーワードをベースに、「この星の再構築」から「アズマの性格の再構築」と「アズマとサイジョウの関係性の再構築」へと転換した事自体は評価に値するものかとも思います。ですが、メインストーリーである「アズマとサイジョウの仲直り」を描くためにはノルダが邪魔になっているし、サブストーリーである「アズマとノルダの出会い」を描くのであればサイジョウの存在に意味はありません。この二つをうまく結合できなかったために、この作品自体にちぐはぐ感が生まれてしまったように思えます。
{/netabare}

作画:{netabare}
 作画も期待したほど良くありませんでした。背景は綺麗でしたが、いまどき背景が綺麗じゃない作品なんてほとんどありませんからね。

 動きで気になったのは、重いものに対する動作の描き方です。身の丈を超える本棚を倒したり、丸太を持ち上げて投げたりするシーンなんかがあるんですけど、全く重そうに見えませんでした。
 ジブリ作品における重いものの動きで思い出されるのは、千と千尋におけるカマジイのもとで千尋が石を運ぶシーンや、ポニョにおけるソウスケがバケツの水を運ぶシーンなんかがあると思います。これらのシーンにおいては、無理している感とか頑張っている感とかが、その「重そうな感じ」からとてもよく出ていました。
 この作品では全然ダメでしたね。重そうに見えないために、頑張っているように見えない。ほんとにジブリ出身のアニメーターなのかと訝しんでしまいました。

 ストーリーもいまひとつ、動きもダメっぽくて、素人声優を採用した意義も見いだせない。
 作品としては駄作だと思いました。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

よくわからないアニメ映画NO1です。追記 わかるところもありました。

 何を言いたいのか、誰向けなのか、まったく理解不能の映画でした。台風に何か寓意があるとすれば、災害とか非日常なんでしょうか?そして、ノルダの意味は何でしょうか。ボーイミーツガールではないです。世界OR少女の世界系ではないです。少女を救う事が世界を救う事になります。

 非日常+女子高生でやっと少年は素直になれる?ということでしょうか。いや、意味わかりません。

 そして、なぜ地球が?という部分がまったく無意味、無思想です。台風と絡めると温暖化を引き起こすような愚かな人類は云々の言い方はできると思いますが、特に銀河帝国が制裁に来たという感じもありません。

 じゃあなぜ宇宙人はJKなんでしょう?制服=征服とかいう洒落?要するにJKを出したかったんでしょうね。普通失敗したら第2陣が来ると思うんですけど、そこに対する予防も無かった気が…あるいは少女を助けるのが何かの試験だったんでしょうか?ここは、正直ポッカーンで何もわかりませんでした。

 それでBLですらないのがすごいですね。構造的には「バブル」を3倍に薄めて時間を短くしたような感じです。あちらはまだアナロジーで言いたい事は散りばめられてましたけど。

 一期一会とかひと夏の冒険のような詩情もないし、不条理でもないし…うーん。キャラの激しい感情と行動で何を感じればいいかがわかりませんでした。

 映画にしては作画に感動するわけでもなく。冒頭の台風の映像だけは期待を持たせてくれますが、しかし何もないなあ。うーん。よくわからない映画NO1かも。


追記 あーちょっと考えると、台風は女性名が付きますから、台風を女性で象徴するのはありかなあ。あとは、文化祭だとすると非日常の典型ですね。台風も同じく学生にとってはワクワクする非日常です(沖縄なら日常かもしれません)。停電や災害ですらアミューズメントに変換できるのは学生の特権でしょう。

 2人きりでバナナを食べさせるのでエロいことを妄想してもいいですけど、それはまあ受け取る側に委ねる部分でしょうね。そもそもはじめ裸だし、濡れたシーンがエロいので爽やかさはあんまり感じません。
 少女と夏に出会えばまあ、いろいろあります。つまり少女と出会って大人になる、ですね。台風少女=大事件のアナロジーなら当然「大人の階段上る」もはいるでしょう。
「アニメは表現したいものしか表現されない」の原則から言えば、考えすぎではないと思います。

 そうそう宇宙船の形は何かを象徴している気がするので、思いついたらまた追記します。

 と考えると、仲直りのきっかけとして、ある夏の非日常の中でこんなことがありました…でもいいかなあ。ストーリーは1.5点は低すぎかな。ただ、3点はつけたくない感じで2.5点ですね。点数いろいろいじってたら2.9点になったのでそれが丁度いいですね。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9

beatle さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

26分縛りでジブリっぽい作品を作った結果

割と面白かったです。

なんか終わりっぽい?ってシークバー見るとマジで26分ぐらいで終わりみたいで焦りました。

いろいろ詰め込んでますけど、これで26分ならまぁまぁ楽しめたのかもしれません。しかしながら、余りにも尺が短過ぎるので、言葉一つ一つに至るまでの過程の描写を端折り過ぎており、感動の安売りという感じが否めません。

が。決して悪くない。設定は悪くないのです。むしろ好みなのであります。(ToHeartネタで分かる一同爆笑)
これを1クールでやったらイリヤの空をライトにしたような感じでとっても良いかもって思いました。

ところどころホモネタに走ったりMAD素材を狙っているのかネタパーツが多いのもご愛嬌。いろいろと詰め込んでますが、アレですね。忙しい人向けのアニメです。つまり社会人が荒んだ心を癒す郷愁を想い起こすサプリメントと考えられます。現代社会に生きる社会人という名の闘士には、たまにはこういう成分も補給しないと病んでしまうのであります。

声優がちょっと目に余るって方もいましたが、僕としてはむしろコレで良かったと思います。こういうのでいいんだよ、こういうので。「諦めるな!」という主人公の声がかなり聞き取りづらかったですが、中学生っぽさが出て逆に良いなって思いました。

ぶっちゃけ声とかどうでもいいからね。萌え豚の僕でも近年の声優豚の鳴き声は目に余ります。声優とかどうでもいいじゃねーかっつーの。しかも近年雑誌に声優の顔写真が出てグラビア飾ったりしてるし。そういうのじゃねーだろうがって思います。裏方なんだから裏方を支えてどうぞ、なのです。声優にビジュアルを求める奴は正直いらっときます。顔の良い女はどんな職業についても大抵どうにかなるんだから、顔の整ってない女にこそ声優をやらせるべきなのだと思うのです。顔の整ってない女の方がもっと良い声出るんじゃないかと思うのです。むしろブスにこそ活躍出来る現場をサブカル界は与えるべき。声とかテキトーでいいんだよ。テキトーで。違いなんてほとんど無いんだから。格好良い声、可愛い声に慣れ過ぎてナチュラルな声の良さを理解しない奴の声のデカさはデカイことこの上無い。
味の濃い食べ物ばっかり食べまくったせいで舌がイカれて素朴な味わいを感じる事ができねーんじゃないかと。

まぁ学園祭の雰囲気も世界観も秋山混じりなのでつまりはそういう事なのでしょうが、良いのです。

もっとこういうのを作って欲しいです。実験作や意欲作だというスタンスを踏まえた上での評価になります。百円レンタルで借りれそうな多忙なサラリーマンにお勧めです。EGFマダーの瑞っ子はこれでも観て正気を保ち続けましょう。

こういうあっさりな作品ってありそうで無かったので新鮮で良かったです。
是非このまま挑み続けて頂きたい。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3

71.2 2 スタジオコロリドで友情なアニメランキング2位
雨を告げる漂流団地(アニメ映画)

2022年9月16日
★★★★☆ 3.8 (55)
246人が棚に入れました
まるで姉弟のように育った幼なじみの航祐と夏芽。
小学6年生になった二人は、航祐の祖父・安次の他界をきっかけにギクシャクしはじめた。
夏休みのある日、航祐はクラスメイトとともに
取り壊しの進む「おばけ団地」に忍び込む。
その団地は、航祐と夏芽が育った思い出の家。
航祐はそこで思いがけず夏芽と遭遇し、謎の少年・のっぽの存在について聞かされる。
すると、突然不思議な現象に巻き込まれ――
気づくとそこは、あたり一面の大海原。
航祐たちを乗せ、団地は謎の海を漂流する。
はじめてのサバイバル生活。力を合わせる子どもたち。

泣いたりケンカしたり、仲直りしたり?
果たして元の世界へ戻れるのか?
ひと夏の別れの旅がはじまる―
ネタバレ

テナ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

巣立ち〜大切な場所から羽ばたく物語〜

取り壊しが決まっている団地
別名、幽霊団地に忍び込んだ小学生6人が団地ごと別世界に飛ばされて帰る方法を探すってお話です。

実は、この団地は主人公の船祐とヒロイン夏芽が住んでいました。
夏芽には母が居ますが一時期訳ありで、船祐と船祐のおじいちゃんと暮らしてます。

しかし、おじいちゃんも亡くなり今は別々になり元の家にくらしていました。
夏芽は当時{netabare} 家庭環境に悩まされていて…船祐達と暮らす中で、こちらが本当の家族みたいに感じて居て…… {/netabare}

でも、船祐は彼女を{netabare} 居候{/netabare}としてしか思っていなくて……今も昔も
なんか寂しいよね。
{netabare} 自分は家族の様に思っているのに認めて貰えないとか感じて貰えないのはさ…… {/netabare}

昔は多分…悪気はなかった。
{netabare} 病院で船祐の「お前のおじいちゃんじゃないのに」ってセリフがショックで病院を飛び出す夏芽を「追いかけろ!」と船祐を叱りつけるおじいちゃん。 {/netabare}

船祐は多分単純に解らなかった…夏芽が飛び出した理由もおじいちゃんが怒った理由も。

けど、今は多分解っている、、、
でもそれを認められないのは、もしかしたら船祐は……
恥ずかしかっただけかな?
なんか照れくさがったり、少し意地を貼ってみたり?
中々素直になれないお年頃?
相手が女の子だと余計に見えを張っちゃったり……

{netabare} サッカーでも点数を取れるのは夏芽らしいし、その事も気にしていたのかな?

夏芽は2人でツートップって言っていたのにね。 {/netabare}
多分、本当に思う事が色々あって認められなかった。
それが今……でも、漂流する事で夏芽の{netabare} 家族への想い{/netabare}を知って成長します。


謎の少年ノッポ

彼の正体は知りません(´・ω・`)
{netabare} 謎のままで終わりました。{/netabare}

なので、私なりの推測を立てました。
彼の正体は多分、付喪神かな?
誰かに大切にされた物や場所に宿る存在。
またはそうした気持ちから生まれる精霊。

彼はずっと団地の住人を見てきたと言います。
{netabare} 中でも船祐と夏芽の笑った顔が好きだった。
きっと、ノッポはそんな2人だから、夏芽の目の前に現れた。{/netabare}

でも、船祐と夏芽は喧嘩を始める。
{netabare} それはノッポが好きだった2人じゃないし、喧嘩をする2人の怒りと泣きそうな顔が辛かったでしょうね。
しかも、夏芽が足を滑らせ屋上から転落……
漂流したのもその瞬間でした。 {/netabare}

多分、無意識にノッポが{netabare} と助けようとしたのかな? {/netabare}
だから、ノッポは{netabare} と 「君たちを連れてきたのはボクかもしれない」と{/netabare}話した。

あんなに幸せそうな2人の笑顔で1杯の団地の思い出が悲しい思い出になる……それが悲しかったからあのタイミングでの漂流……

あの世界がなんなのかもわかりませんが。
もしかしたら、大切な物や場所が行きつく場所……人で言う天国や地獄……あの世的な世界だったのかな?と思いました。

あの観覧車もそうです。
{netabare} 令依菜の大好きな観覧車…… {/netabare}
彼女も大好きだった場所……あの観覧車が作品のMVPだった気もしますね。
観覧車の{netabare} お姉さん {/netabare}凄く頑張ってましたからね。

{netabare} 沈んでしまいそうな団地を全員で助け出すシーンは{/netabare}素敵でしたね。
皆さん、超怪力です。
{netabare} 1本のワイヤーに沈みかけの団地をすくい上げる訳ですからね {/netabare}
最近の小学生は力がありますね。

さて、ノッポも夏芽も多分1番大好きな物が詰まったいた団地…… {netabare} だから帰ることよりも団地にいる事を選ぼうとする。 {/netabare}

大好きな場所に居たい。
ここから出たくない……そう思える場所ってあると思う。
でも、そこに囚われていてはいけないのです。
船祐が言う通り出て行かなくてはいけないのです。

その場所が無くなっても……思い出や気持ちは消える事はなくて……その場所があったから私は今ここを進んで行けるんだって胸を張って思えるように。

帰ってきた夏芽は母に聞きます。
{netabare} 「甘えていいの?」と……母の答えは…… {/netabare}

結局、夏芽にとってあの団地での生活は本当に素敵な家族との日々だったのだと思います。
でも、今はその家族の形はなくて……帰らないで団地に引きこもっていても多分いつかは孤独に押しつぶされていたと思うし、何より……本当に娘を大切にしているお母さんとの大切な家族の形を失っていたと思います。

夏芽にとってこれからがスタート。
本当の家族としての……

さて、物語自体は普通かな?
まっ、物語自体が基本団地の中だけで展開されていくので飽きる人は飽きそうですね。

後は、少しメッセージ性が弱いかな?
感情移入出来なくはないけど伝わりにくくは感じます。
謎が多すぎてスッキリって感じもないですね。

私的には謎は残さないで欲しかったかもw
ミステリーならともかくミステリーではないので……

時間があるし見てみようかな?感覚で見る方が楽しめる作品かもしれません。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 16
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

団地は思い出を巡る方舟

石田 祐康監督のオリジナル青春アニメ映画及びNetflix配信作品({netabare}120{/netabare}分)
(劇場版を鑑賞)

【物語 3.5点】
小6最後の夏休み。少年少女たちの団地での“漂流記”を描く。
物語の柱は、団地育ちの航祐、夏芽二人。あとは団地に棲む謎の少年・のっぽ君。
特に取り壊しが決まった団地への未練が捨てきれないヒロイン・夏芽の抱えた物を、
漂流中の不思議なサバイバル体験、それに伴う子供同士の衝突などにより解き明かし、
ひと夏の成長を促すジュブナイルの王道。

よって種が明かされない漂流団地の仕組みについて説明を求めるよりも、
夏芽の心情周辺に焦点を当てた方が、迷わず航海できると思われます。
この視点から見れば、ここで起こしたトラブルで夏芽の何を掘り起こそうとしているのか、
明確な脚本意図が伝わると思います。
何より思春期一歩手前の小6の背伸び感たっぷりの人間模様は瑞々しく、
ロリショタは歓喜できると思いますw

惜しむらくは、団地アニメとしての個性がもっと欲しかった所。
築60年、様々な人生を見守ってきた団地。
とありますが、メインシナリオから共有できるのは航祐、夏芽の6年くらい。
歴史を感じる団地の描写や、団地伝統の夏祭りを示唆するカットなどで、雰囲気は味わえますが、
そこは団地建築当時の住民の営みなど、エピソードとして頂きたかったです。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・スタジオコロリド

同スタジオの真骨頂である、ゲリラ豪雨などの圧巻の天候描写。
加えて“団地監修”を迎えて、描き込んだ漂流団地ほか建物、廃墟も出色の出来。

躍動する人物描写により再現された小6のワチャワチャ感も上々。
ちょっと目を離すと何しでかすか分からないガキンチョの危なっかしさが、
子供たちだけの漂流で解放されるドキドキの冒険要素。
終盤だけでなく、頭ぶつけたりするシーンも結構あったりして。
一歩間違えれば一人二回ずつくらい死んでます。


【キャラ 3.5点】
主人公格の航祐と夏芽。ツートップのキャラ解像度、団地への愛着度は良好。
“やすじい”に関するわだかまりと掘り下げは感動的。
夏芽は居場所を見失い漂流しがちな現代っ子の縮図です。

が、ここも団地と縁が深いのがこの二人とのっぽ君くらいというのが……。
七人で漂流するなら、過半数は団地関連の子供で固めて団地への愛を叫んでもらった方が、
クライマックスの共感度もアップしたと思うのですが……。
結局、団地以外のキャラの家族愛は隅に追いやられがちでしたし。
パワー担当で、{netabare}母ちゃんのコロッケ{/netabare}くらいしか愛を叫べなかった譲(ゆずる)君が不憫でなりませんw

ただし、団地を知らない子供たちの中でも、
令依奈は高飛車な憎まれ口で、シナリオの転換点として機能していました。
男子を原始人呼ばわりしつつ、航祐の前では赤面する。
ロリのツンデレは最高の遊園地アトラクションですw


【声優 4.5点】
主役の航祐役には田村 睦心さんの少年ボイスを、ヒロイン・夏芽役には瀬戸 麻沙美さんを、オーディションで選出。

他にはおっとり眼鏡枠の珠理役に花澤 香菜さんを指名し、
令依奈役の水瀬 いのりさんの喧嘩腰をなだめて見守る構図。

のっぽ役には声変わり前の少年も巧みに演じる村瀬 歩さん。
一人で場を賑やかにする大志役の小林 由美子さんのワンパク少年ボイス。

などなどキャストは声優陣で固める。

音響は、同じセリフを雰囲気を変えて複数収録し選りすぐる手法をしばしば用いる。
これは高確率でOKを連発できる実力を有した声優でないと難しい方法。
人気声優の名前じゃなく、技術を求めて、それを作品に生かせていると好感します。

ジーンとくる場面も多々ありましたが、
私にとっては物語以上に声優さんの演技にグッときた面が大きいです。

総じてロリショタ大歓喜ということで(←クドいw)


【音楽 4.0点】
劇伴担当は石田監督とは『ペンギン・ハイウェイ』でも組んだ阿部 海太郎氏。
ストリングスを押し出した感動系だけでなく、
“お化け団地”要素もフォローしたコミカルなホラー系も提供しエンタメ性を付加。
店内放送風のBGMで、思い出のトリガーとなる演出も、ノスタルジーを醸し出す。

効果音も、実際に団地で生音を拾うなど、多彩な音源を駆使して、
団地が漂流する超常の中でも、地に足が付いた実在感で、あの夏が夢じゃなかったことを示す。

主題歌は、ずっと真夜中でいいのに。「消えてしまいそうです」
他に挿入歌「夏枯れ」も提供。
小6にしてはチョット背伸びし過ぎな感はあるものの、
詩的な歌詞で夏の思い出を噛み締めることができる佳作サマーソング。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 27
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

哀しみの感情、包み込む幸せ

アニメーション制作:スタジオコロリド
監督:石田祐康、脚本:森ハヤシ、石田祐康
キャラクターデザイン:永江彰浩、
演出:渡辺葉、間﨑渓、竹内雅人、木村拓、増田惇人、
作画監督:近岡直、西村幸恵、黄捷、加藤万由子、
荻野美希、三浦菜奈、薮本和彦、水野良亮、坂口歌菜子、
渡辺暁子、平井琴乃、櫻井哲也、宇佐美皓一、篠田貴臣、斎藤暖

海上を漂流している、
SOSの文字の描かれた団地。
屋上には人の姿。
石田祐康監督が映画制作に取りかかる前に描いた
1枚のイメージボードだ。

その絵から生まれ出たのは、
それぞれの心のなかで、
ひっそりと留まって固まっていた残滓が
海上を漂う物語だった。

主人公は小学6年生の熊谷航祐と兎内夏芽。
幼馴染の男の子と女の子。
ふたりは、夏芽の両親の離婚と母の仕事の事情から、
同じ団地で姉弟のように育ったが、
航祐の祖父である安次の死がきっかけで、
関係性が変化してしまう。
そのふたりに加えて、航祐のことが気になる
羽馬令依菜と令依菜の長年の友人である安藤珠理、
航祐の親友である橘譲と小祝太志、
謎の少年・のっぽという登場人物たちが
不思議な漂流生活を送ることになる。

どちらかというとイメージ先行の作品だが、
それが好ましいものなので、安心して観られる。
昔は絶妙なコンビだった航祐と夏芽。
今でもお互いのことを大切に考えているが、
安次の死によって負った傷があまりにも大きすぎて、
なかなか修復できない。
ふたりにとって、大切な思い出は、
取り壊しが決まった団地での暮らしだった。

幸せな時間は住んでいた場所に残り続けるのか。
大切な思い出は建物がずっと覚えていてくれるのか。
暮らしていた団地や場所が、
人に対して何か影響を与えることがあるのか。
{netabare}簡単に言うと「付喪神」と呼ぶのかもしれないが、
この作品に限っては、団地自体が
色々な人々の想いを受けて持つことになった
「心」と言ったほうが正しいと思う。{/netabare}

映画を観て思い出したのは、
重松清のニュータウンを題材にした一連の小説だった。
日本で一時期流行った、東京や大阪郊外の大型マンション群。
夢見て購入した自分たちの未来が次第に変容し、
思い描いた夢と大きくずれていくさまを
ユーモアとシリアスを交えて情感たっぷりに
描いた作品で、多くの共感を呼んだ。
そこにあるのは、心の底から求めた願いの形。
人々が傷つきながらも、大切なものを渇望する物語の流れに
どこか似た香りを感じたのかもしれない。

ただ、この作品で思うのは、
細部におけるキャラクターへの寄り添い方や
心情の描き方が物足りないということだった。
中心は航祐と夏芽なのだから、
このふたりの心情をもう少し丁寧に描いて欲しかった。
イメージとしては、とてもよく分かるのだが、
例えば夏芽と母親の関係性や
航祐と夏芽の大切な思い出を
もっと丁寧に描き、現在につなげても良かったと思う。
{netabare}正直なところ、令依菜絡みの話は、
ほとんど必要がなかったと思うし、
珠理との話ももっと短縮できたのではないだろうか。
そもそも遊園地の部分の話が長すぎるし、
個人的には枝葉に時間をかけ過ぎているように思えた。{/netabare}
これは構成と脚本の問題が大きい。
もっと時間を短縮できただろうし、
その分、航祐と夏芽のつながりが強固になる部分を
膨らませて欲しかった。

とは言え、絵的なイメージやキャラクターの感情表現などは
目を瞠る箇所がたくさんあった。
子どもたちと一緒にひと夏の冒険譚を楽しませてもらった。

誰にでも大切な思い出が心のなかに必ずある。
そして、昔の想いを自分のなかで
昇華させながら成長する。
マイナスの感情もプラスの感情も併せて、
心のなかで何かを生み出す。

そうやって、私たちは大人になっていくのだ。
(2022年9月24日初投稿)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 29
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