ようす さんの感想・評価
3.7
「これは、運命の扉の向こう側を旅した女の子のお話。」
「おジャ魔女シリーズ」や「プリキュアシリーズ」が有名な東堂いづみ原作の作品。
東堂いづみさんという人がいるのかと思っていたら、
東映アニメーションが用いる共同ペンネームだったんですね。
この作品を観ているときに調べてみて、
初めて知りました。
日曜の朝8時30分のアニメとしては視聴率過去最低を記録してしまったようですが、
内容はよくできている名作なんだよね。
子ども向けとしてはちょっと難しかった?
舞台が20世紀初頭のヨーロッパだし、
貴族やら平民やらのお話だし。
「おジャ魔女」と比べると、
ぱっと心をつかむ要素が足りなかったのかもしれません。
自分自身に投影できる部分も少ないですし。
全50話です。
● ストーリー
アップルフィールド孤児院で育ったナージャはもうすぐ13歳。
ナージャの持つブローチを狙う男たちのせいで孤児院が火事になり、
ナージャは孤児院を自ら離れることにする。
旅芸人一座・ダンデライオンの踊り子として旅をしながら、
死んだと思っていた母親を探す。
旅芸人の一員としてヨーロッパ周辺を旅しながら、
いろんな人と出会い、
母親へとつながるヒントを探す。
明るくて元気いっぱい、前向きなナージャだけど、
まだまだ子ども。
周りの人たちは突っ走るナージャに助けられることも多いけれど、
ナージャが前向きに考えるような簡単な話じゃないこともあったり、
そのあたりの大人(現実)との対比も、
大人目線だとよく理解できて面白い。
また、ナージャが旅するヨーロッパの国々は貴族と平民という身分の違いがはっきりしている社会であり、
ナージャが所属する旅芸人は、
芸をしてお金を稼がないと暮らしていけない。
さらに、ナージャが出会う人たちの中には、
お金がないことによって苦しむ人も多くいた。
その一方で貴族たちは夜な夜なパーティーをし、
贅沢な暮らし。
だけどお金があるだけで、
自由はないという悩みが貴族にはある。
そんな、平民と貴族の対比もうまく描かれていました。
ナージャが想いを寄せる“星の瞳のナイト”フランシスも、
貴族としての悩みや苦しみを表現するキャラでした。
50話という長い話でしたが、
その分たっぷり丁寧に描かれたことで、
ナージャとキャラたちの絆もしっかり感じられ、
ゴールにはじーんとくるものがありました。
毎週1話ずつだらだら見ていると、
途中で飽きたかもしれませんが^^;
● キャラクター
ナージャ、ダンデライオン一座、
そしてナージャが出会う人たち。
いい人が多いけれど、
そうじゃない人もいるのがポイント。
どのキャラでもエピソードを作れそうなほど、
一人ひとりのキャラがしっかりしていますね。
ナージャのようなまっすぐな女の子も好きですが
(周りのことを顧みなさすぎるところもありますが)
なんだかんだ、私は新聞記者のハービーが一番好きだったかもしれません。
ポンコツ新聞記者のような印象からスタートだったのが、
最後の方で彼の本当の信念が明らかになり、
「なんだこの胸アツな展開は!!」とワクワクしました^^
終始ナージャの力になろうとしてくれるところも、
優しい大人でしたね。
● 音楽
【 OP「明日のナージャ」/ 本田美奈子 】
これは名曲。
明るいだけじゃない、
人生にはつらいこともあるけど強く乗り越えていこうと、
そんな芯の強さを感じる要素がこの作品によく合っています。
【 ED「けせら・せら」/ 小清水亜美(作中ではナージャ役) 】
この曲も特徴的ですが、
歌詞が意味不明w
個人的にはそんなに好みではないけど、どうも嫌いにはなれないし、不思議な魅力のある曲です。笑
● まとめ
50話という長編ですが、いつか観たいと思っていた作品だったので、
完走することができて満足です♪
当時は人気が出なくて残念だった作品ですが、
時間帯や狙いとした層がよくなかったのかな。
でも良い作品なのは間違いないと思います。
自分の境遇に負けない、運命に立ち向かっていく女の子が好きなら、きっと好みに合うと思います^^