コンプレックスで女子高生なアニメ映画ランキング 1

あにこれの全ユーザーがアニメ映画のコンプレックスで女子高生な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月06日の時点で一番のコンプレックスで女子高生なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

69.1 1 コンプレックスで女子高生なアニメランキング1位
フラグタイム(アニメ映画)

2019年11月22日
★★★★☆ 3.6 (105)
378人が棚に入れました
誰とも関わりたくない、関われない。人付き合いが苦手な森谷美鈴は、3分間だけ時間を止められる高校生。ある日彼女は、時間が停止している間に、クラスいちの美少女・村上遥のスカートの中を覗いてみたが、なぜか村上には時間停止の力が効かず、秘密がバレてしまう。お詫びとして森谷は、村上の願いを何でも聞くと約束するが…

声優・キャラクター
伊藤美来、宮本侑芽、安済知佳、島袋美由利、拝師みほ、梅原裕一郎、田所あずさ、高橋未奈美、佐倉綾音

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

それは刹那の夢だが、二人にとって確かに実在した時間…

この作品の原作は未読ですが、「あさがおと加瀬さん。」を手掛けられたスタッフによる作品であること、そして伊藤美来さん、宮本侑芽さん、知佳ちゃんたちが出演されていると知って視聴を楽しみにしていた作品でした。

公式HPやwikiでも主な登場人物として紹介されているのは上記3人だけですが、物語には島袋美由利さん、田所あずささん、高橋未奈美さんやあやねるも出演されています。
公式HPではこの作品に対するコメントも寄せられているので、気になる方は要チェックです^^


"3分間だけ、あなたのことを好きにさせて。"

誰とも関わりたくない、関われない。
人付き合いが苦手な森谷美鈴(CV:伊藤美来さん)は、
1日3分間だけ時間を止められる高校生。

ある日彼女は、時間が停止している間に、
クラスいちの美少女・村上遥(CV:宮本侑芽さん)のスカートの中を
覗いてみたが、なぜか村上には時間停止の力が
効かず、秘密がバレてしまう。

お詫びとして森谷は、村上の願いを
何でも聞くと約束するが…


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

ほんの出来心…すら無かったのかもしれません。
今回時間を止めたのは急にクラスメイトから声を掛けられたから…
そして、きっとこれは彼女にとって初犯では無かった…

これまで時間を止めている間に彼女が何をしていたかは分かりません。
今回はたまたま足の赴いた先に、クラスいちの美少女である村上遥が存在していただけのこと…

村上遥は美少女というだけではありません。
勉強もできるし、何よりいつも彼女の周りは友達で溢れているんです…
自分とは真逆なんだけど、とても森谷にとってとても気になる存在だった…

きっとスカートの中を覗く動機なんてこの位しか無かったのではないでしょうか。
でもこの一歩を森谷が踏み出さなかったら、村上遥との接点は永遠に無かったでしょう。
踏み出すことの大切さを痛感する場面です。

一方、物語の方はまるで薄氷の上を彷徨っているみたいな感じ…
不安定で、何度も同じところをループして…
でも仕方無かったのかな。
頭の中で何度シミュレーションを繰り返しても導き出される答えは禁則事項だけなんですから…
「言わなきゃ本音は伝わらない…」
そんなの頭で分かっていても、身体が動かせない時だってありますからね。

だからこの作品は残酷で優しい…
自らが動かないと本当に欲しいモノは手に入らないと突き放すのに、一歩踏み出した相手の気持ちの受け止め方がとてもしっくりくるんです。
一番欲しい時に一番欲しい場所に手が差し伸べられるみたいな…

無限にある選択肢の中で「たったひとつ本当の自分」を見つけ、保ちつづけるのは簡単なことじゃない。
誰かをがっかりさせたくなくて、皆に求められる自分を演じ、
少しずつ積もっていく息苦しさに気付かない振りをし続けるうちに、
いつのまにか自分が判らなくなっていく——。

佐藤卓哉監督のコメントの一部を抜粋させて頂きました。
出会った頃の森谷と村上の関係性が確かにこうだったかもしれない…
けれど、お互いがお互いの「気付き」に昇華し、これまでの自分と決別するために踏み出した一歩は、甘酸っぱさを通り越し、相応の熱量すら感じられました。
相手のこと、そして自分のことをちゃんと見ているからこそ紡がれる言動の数々…
きっとこれが青春なんでしょうね^^
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

主題歌は、森谷美鈴(伊藤美来さん)、村上遥(宮本侑芽さん)による「fragile」
元々はEvery Little Thingさんの楽曲ですが、お二人が奏でるハーモニーは心底綺麗だと思います。

上映時間が約1時間程度の作品でした。
割と短めですが、物語は濃厚なのでしっかり堪能できる作品だと思いました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 14

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

淡い百合映画を観に行ったつもりがガチの青春SF大作で我らアニヲタ同盟から絶賛の嵐です!!!

2013年から2014年にかけて秋田書店の女性向け漫画雑誌とWEB誌で連載された、さと先生の青春ガールズラブコミックを『あさがおと加瀬さん。』の佐藤卓哉監督率いるスタッフと元A-1Picturesから独立したティアスタジオが制作した59分の中篇映画


森谷美鈴はコミュニケーションが苦手な女学生
何故かは自分にも解らないが3分間だけ周囲の時間を止めて自由に動ける能力を有しており、バツの悪い事が起こるとすぐ時間を止めてしまう逃げ癖があった
ある日、時間を止めた世界でふとした気の迷いから優等生で人気者として有名な村上遙のスカートの中をこっそり覗いてしまう
しかし止まっているものだと思っていた村上は実は停止した時間の中でも動く事が出来た
森谷を「変態」とからかった村上は秘密を共有する仲となった森谷と彼女の時間停止能力に興味を示しだす…


『あさがお』のヒットで味を占めたぽにきゃんが同じ様に60分で出来る百合モノを模索していた中、何故か5年も前に完結したマイナーなマンガを原作に持ってきた
まず一番に驚いたのは何よりも原作者のさと先生本人でしょう
「何故?今アニメ化?」と
60分で纏めるにはちゃんとした起承転結のドラマが必要でしょうし、わざわざ劇場に足を運んで貰う為にもキャッチーな導入が欲しかったというのがプロデューサーの寺田さんの思惑
佐藤監督と『あさがお』スタッフで組む事が前提だったので、監督は初め難色を示しつつも、ご自身が得意とするSF路線でドラマチックに仕上げる方向で脚本をお書きになられ、それを勝手知ったる『あさがお』スタッフが丁寧に丹念に映像化したという印象です


今作には青春SFとしての主軸が存在します
具体的に申し上げますと“時間停止能力”と“停止時間の中で動ける能力 ”が彼女らに発現した理由が明白に描かれている事
そしてそれが思春期の少女特有の悩みや葛藤から発現に繋がるモノである事です
ここからは仮に停止時間を「フラグタイム」と呼称させて頂きますね


何が言いたいのかお判りいだだけますでしょうかw
つまりこの作品のフラグタイムって『青ブタ』の思春期症候群と同じと言って良いはずなんです


原作と同じニュアンスなのかは原作未読の為、よく分からないのですが、少なくともアニメではフラグタイムの中で動けるのが村上だけである理由と、物語後半で森谷のフラグタイム能力が薄れ消えゆく理由、がハッキリとしていますし、その原因が彼女達の内面にある事も描かれているのです


『あさがお』の様に百合を丁寧な【恋愛感情】として描いた作品もアリですが、今作は【思春期の少女達の繊細な感情と傷の舐め合い】を、百合というシチュエーションで描いているというワケです


だから『あさがお』の多幸感を求めて劇場に足を運んだ方は後半の鬱屈とした展開に期待を裏切られる事でしょう
逆に僕の周りのSFファンからは大絶賛されております


特に『あさがお』と同じレベルの映像美やrionosのしっとりとした劇伴に加え、森谷を演じた伊藤美来と、村上を演じた宮本侑芽の耳触りが良くて等身大の少女を感じる芝居が載った状態は素晴らしい


今作のシナリオ、別に百合じゃなくて普通に男女カップルやBLでも成立しますし、なんなら『初恋ロスタイム』ともシナリオが似ているので実写でやってのける事も普通に可能で、特に偏って描かれてはいない普遍的なテーマ性を感じます
ですが【あえてソレをアニメで百合にした】という所に美しさを感じます
そういった意味で『あさがお』と同等かソレ以上に上品な作品であると評したいと思います


佐藤監督とぽにきゃんは来年初夏には遂に志村貴子作品の劇場アニメ化に着手した様で、こちらにも俄然期待が湧きますね

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

フラグタイムの意味は?

視聴理由 特になし

視聴前 百合かな

視聴後 う、うmm-?

この話は3分間だけ時間が止められる少女の話
ジャンルは百合・学園
ええとこれはイチャイチャする百合ではなく、マジなほうです。そしてちょくちょく男子が出てきます。あまり百合については分からないのですが、完全に女子のみじゃないと受け付けないという人もいるらしいので一応言っときます
内容です。全体的なことを言うならば「惜しい」という感じです。
テーマは良く、終盤になりにつれシリアスになってきます。さすがに戦闘はおきませんが、考えさせられるようなシーンがちょくちょくでてきます。百合というのは比較的にシリアスシーンになる傾向がありますが、時代が立つにつれてジェンダーうんたらかんたらでそういったシリアスシーンもなくなってくるんでしょうか。
しかし、テーマが良いとは言ったもののあまりすっきりしません。なんか曖昧なまま終わってしまいます。まぁ百合作品の特徴の一つでもありますが、終わりをぼかすことで先の展開を視聴者に想像させる、という手法を使っています。
この手法はラストではなく作中に言いたいことがちりばめられていることが多いです。なので最後に期待するのではなく、作中の会話一つ一つに注意の目を向け、ラストの曖昧さに対応するのがこの手法の楽しみ方です。この手法を否定するつもりは無いのですが「好きじゃない」という方の意見もわからないこともないかなぁという感じはします。個人的には割と好きですよ
さて話がずれてしまいましたがラストが曖昧だと何が起こるかというと「全く何が言いたかったのかわからなかった」か「中盤が一番盛り上がった」の二択になってしまいます。かけですね。制作側もかけですが、視聴者サイドもそれ相応の覚悟も必要です。さらには内容のシリアスさも加わり、胸が痛くなるような作品となっています

タイトルを英語表記するとfrag time 直訳すると「いやな上司を殺す時間」絶対違う。しかしfragというとそのような意味しか...
もしかしたら「脆い」という意味のfragileかな。fragile time略してfrag time。
もしくは「破片」という意味のfragment.fragmet time略してfrag time的な?まぁ両方かけているんでしょうかね。脆くも断片的な面でしか時間という概念を感じることができない、ということならば内容にもあいますし、そういうことにしときましょう。ありがとうgoogle先生

監督・脚本は佐藤卓哉さん。stay night(スタジオディーン)のシリーズ構成を担当した方ですね
キャラクターデザインは須藤智子さん。今作が初のキャラデザだそうです
劇伴はrionosさん。私の好きな「さよ朝」の主題歌を作編曲・歌唱した方ですね。
制作はティアスタジオさん。なんここを制作したところですが、今逆に話題ですよねwまさかの従業員に給与未払いの「夜逃げ」をして今叩かれてますよねw

作画は普通でした。トンズラしたのは(今はもう死語なのかな)社長だけなので直接かかわったアニメーターさんの安定した作画を楽しんで下さい
持田香織さん作詞、菊池一仁さん作曲m谷口尚久さん編曲、森谷美鈴さん(伊藤美来)、村上遥さん(宮本侑芽)歌唱の「fragile」
まさかのEvery Little Thingがくるとは...忘れたころにやってくる名曲。
声優さんは良く、演技に力が入っていたと思います

総評 夜逃げ制作の百合作品。見る際は覚悟をともに

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7
ページの先頭へ