てぶくろ さんの感想・評価
2.7
日曜劇場みたいなことがやりたかったんだけどなぁ…
キャラに魅力がない、世界観にワクワクしない、フィクションとリアルが上手に混ざり合っているわけでもない、毎話毎話 不愉快な展開が多い……こんなのがやりたかった事なのか?
どうしてこうも主人公は自ら嫌われようとしているんでしょうね。
ただでさえ、現状6話に来てもまだアル美さんや経理のハゲ相手に空回っているのに、高学歴研修生とも衝突するんだもんなぁ。
明るいバカ ってだけなら親しみも持てるのに、学歴コンプレックスを持っていて隠そうともしないですし。
会社のしがらみとか金の問題も、ただただ面倒くさいだけでプラスに働いていない。
ここを面白く描けないなら、この作品をやる意味って何だろうと 考えてしまいます。
第10話まで視聴しました。
{netabare} とりあえず、第7話から第10話まで視聴して抱いた感想は、「あぁ、日曜劇場みたいなことがやりたかったのね」です。
大企業相手に零細企業が頑張るぞ、的なやつですか、ですが残念ながらそれを目指すには話の厚みが欠けてしまっているように感じます。
まず、第7話ですが これまでさんざん擦ってきたアル美さんの犬の話に決着がつきました。
ケリがついたことに安堵しつつも、ここまで擦るような内容だったかなと首を捻りたくもなります。
アル美さん、犬笛を頼りに単騎特攻って蛮勇が過ぎるぜ…。
ていうか、あの研究所のおっさんはどういう扱いにしたいんでしょうね。
携帯を拾おうとして、ネットにかかるってくだり必要でしたでしょうか? 別にあの巨獣が引きちぎるとかでもよくないか?
鉛くんの正論パンチや四角四面すぎる行動に対して、主人公や武藤さんの肩を持ちたくもなりますが、正直この二人の心証が悪いので何とも言えない気持ちになります。
で、その鉛くんはというと、1人で島民にアンケートとったりクラウドファンディングの準備をしていたようです。
うん…まぁいいと思いますけど、資金繰りとかが大きいテーマとしてあるこの作品で、7話まできて今さらクラファンをドヤ顔で出されてもなという気がします。
島民アンケートも、今まで守秘義務が諸々のネックだったのにアンケートとったら実は良かったですであっさり流してしまうのも釈然としません。
研究所で巨獣から逃げるときのカット割りはすごい迫力があって良かったと思います。
第8話は、冒頭の鉛くんの巨獣駆除の手腕や業務改善をくらった主人公が、そのモヤモヤを武藤さんを扱き下ろすことで発散しようとしています。
マジでコイツなんなんだ…。
オリジナルアニメは度々なんの魅力もない主人公が登場したりしてしまいますが、コイツはその中でもなかなか抜きん出ていますね。
その後、武藤さんは武藤さんで粗暴な言動をしながら、巨獣駆除を脳筋的無茶をすることで視聴者からさらに嫌われに行きます。
脳筋というだけならまだ好印象を持てるかもしれませんが、重役がいるとわかったら取り繕うとする卑しさも見せてしまったのが致命的ですね。
しかもトドメとばかりにその後、酔って若者に絡むという姿も見せてくれます。
ここでしっかりと嫌われると後に活躍したところで、マイナスが0になるだけなんですけどね。
第9話は会社が塩田に吸収されることになり、その際武藤さんが現場を退けなければいけないことが分かります。
このとき、なんか武藤さんが被害者みたいになっていますが、前話のことを踏まえると塩田の考えに納得しかありません。
その後、塩田が不穏な動きを匂わせていることがわかります。
ですが、この辺り主人公が、ロボは俺のモンだ とかいう訳のわからん視点の話を持ってきてギャーギャー騒ぎそれを鉛さんにド正論で返されたりしているので非常にブレます。
巨獣の発生理由にしても、社外秘だから取り戻せって言われたデータを興味深い内容だからみんなで見てみましょう、となったのには驚きました。いや見んなよ。
主人公から被害妄想のバイアスがかかった考えでスパイ扱いされる鉛くんやまともな事を言っているのに邪魔者扱いされる専務が不憫でなりません。
この作品はまともな人がひたすら可哀想なアニメですね。
第10話はこの作品の大きな転換点であり、また私個人としては大きく道を外してしまったような話だと思っています。
今話で社長は現状を世間に公表することで支援や公的な機関の協力について言及していましたが、正直この考えは視聴者からすると第1話の頃からずっと感じていたことです。
何故そうしないのかは守秘義務があるからとのことでしたが、鉛くんのアンケートで実はそんなことなかったですとあっさり解決してしまいましたしね。
しかも、事態が好転するかは賭けです、とか言われてはなんとも締まりません。
一方、社員たちは業務を配信することで、塩田の闇を暴露し世論を味方にして収益化しようという、暴露系youtuberみたいな事をするそうです。
クラファンとか配信とか、大学生が考えそうな企業改善案で非常に素敵ですね。
先ほども書きましたが、ドヤ顔で出すようなもんじゃないでしょ。
不条理に対して、時にルールを破る方法でもって現状を打破するというのは、漫画・アニメにおいて様式美だとは思うんですが、この作品では絶対にとってはいけなかった手段だと思います。
この作品はイントロダクションや放映時の煽り文句でも、「現実」というものに言及し注力しているのがわかります。
これまでも人件費や弾代などのコストの話、船舶免許を持っているかや会社のしがらみなどを描いてきました。
現状、悪役である塩田は現実的な手法で波止を封殺してこようとしています。
それを主人公陣営が、『こんなルールやら規則なんか関係あるかい!バーンっと世間に公表したったらええねや!もう10万人見とるわ!今さら止められるかい!巨獣ぶっ殺したるわヒャッハー!』という行き当たりばったりな手法をとってしまっては、もう理想と現実という根本のテーマからも逸脱してしまったように思います。
さらに何とも残念な点とすれば、この作品はノリと勢いが重要視されているわけではなく、キチンと鉛くんのようなキャラがいたのにも関わらずこのような手法がとられたことです。
基本的にド正論やマジレスに対しての返しが弱すぎるんだよなこの作品。
残りの話数で挽回できるのか期待です。
{/netabare}
第11話視聴しました。
{netabare} うーん…なんというか、順当に残念な方向へと向かっていますね。
打ち切り漫画の最後のまとめ方というか、敗戦処理をしているというか…。
序盤、湖の調査をしていたら巨獣が出て、取り敢えずな感じでアル美さんが怪我をしました。
なんかもう最終話にてアル美さんが駆けつけるっていう感動を演出するためだけにこうしましたよね? 安いんだよなぁ…。
その後病院にて自分たちの動画が炎上していることを知ります。
うん、まぁ 塩田のやり方の汚さを演出したり、アンチコメ等に対する脚本の言いたいこととかはわかるんですが、これをそのまんま事務員の子に言わせてるのがなんだかなぁ…。
それだけ炎上について詳しいなら、今回の件がどういうことになるか事前に想像つきそうなもんですけどね。
後半は、豪気な関西弁のおじさんがハゲネタを引っさげてビジネスの話をしに来てくれました。
島の固有種のウミキノコには新発見の発毛成分があるんですって。
研究所の人がやってきて、巨獣の新情報をくれます。巨獣には未知の神経伝達物質があるんですって。
物語の最終盤になってから、こうして未知のなんたらとか言い出しているのを見ると、話の収拾のつけ方がもうどうにもならないんだな、としみじみと思い至ります。
それでも最後はどう締めるのか楽しみです。
{/netabare}
最終話視聴しました。
{netabare} 最終回ということもあって、画面が中々派手で盛り上がってる感じが演出できていて良かったと思います。
ただ、まぁ内容についてはこれまで感じていた不安な部分をそのまま内包したまま、とりあえずなんとか気合いと熱血で誤魔化し乗り切った、そんな印象です。
巨獣との戦闘は、良く言えば「テンポが良い」ですが、印象としてはピンチを演出した割にやけにサックリといった感じです。
あの大型巨獣をがっつり終盤のメインに据えても良かったんじゃ?と思います。
沖野くんの気合いのシーンは、ヒーローという単語から序盤との繋がりを感じられるものでしたが、沖野くん…後半はめちゃくちゃ空気でしたよね笑
アル美さんについても、まだ犬のこと擦っていて笑いました。
社長の熱い啖呵も良かったのですが、その後の典型的な「俺たた」endのことを考えると、波止を見くびるな!波止をナメるな!と言われても熱さしか残りません。
まとめ
こういう作品の作風、テーマで面白いもの良いものを作ろうとするならば、最も重要なのは事前段階で どれだけ設定を深堀れているか、どれだけ話を練れているかにかかっていると思います。
本作品は「重機的なロボットが活躍する」というコンセプトの方が先に立ってしまい、ストーリーやテーマが疎かになってしまいました。
この作品においてロボットとはあくまで表現方法のはずです。
よく、オリジナルアニメではもっと尺があればな と思うことがありますが、この作品に限って言えば例え2クールあったところでたいしてオチは変わらなかったように思います。
これは個人的妄想なんですが、鉛くんの登場は第1話からで良かったのではないかと思います。
第1話の頃から沖野くんと鉛くんの関係性を深めれていれば、「理想」と「現実」の対比をもっと見応えのあるものにできたり、会社の人間関係も深めることができたのではと考えてしまいます。
{/netabare}