おなべ さんの感想・評価
2.1
超スピードッッッ!で第1話 完 【追記】
まず、原作のカニバリズムを疑わせるあらすじからして、地上波放送にはキツイ。数十年前だったら普通に放送出来たかもしれませんが、暴力規制がシビアな今宵では多少なんらかの修正が加えられる事は仕方ないといえます。
そんな規制の中でも、衝撃な物語をどう料理してくれるのか、放送前はワクワク☆していました。
そして蓋を開けたら、まさかの四分アニメで誰もが予想しない急斜め上の自体になってしまった、今期のとてもガッカリアニメ「pupa」でございます。原作は未読ですけど、原作ファンの逆鱗に触れただろうことは容易に想像出来ます。
規制に引っ掛かってでもやる意気込みはいいのですが、その割にはお粗末な背景描写。紙芝居並に動きがありません。チープさが漂っていて、恐怖、重圧感がないです。Flashアニメじゃないんだから、ショートアニメだろうが何だろうが、それなりの作画クオリティを求めたいもんです。二話に出て来た救急車はチョロQかと思ったぜ。
話題のグロ描写は規制されているので、真っ黒に塗り潰しされています。そのグロも、「うわあ…」というモツ的なR-15レベルのそれではなく、血がブシャーッな軽さでも徹底的に見えなくなっています。規制し過ぎで、状況が全くわからないです。グロ目当てで見る方にも拍子抜けでしょう(いるかわからんけど)。
しかし脚本は四分にしては、手堅くまとまっています。原作のダイジェストだと思えば、悪くはない。それでも説明不足のまま突っ切ってしまい、ばっさりカットして話を繋ぎ合わせているので、かなり無理が生じてしまってます。伏線とは言い辛い。
トホホ感が酷かったのは1話、{netabare} 妹が謎の女マリアに「赤い蝶を見る前に帰りなさい」と警告されたにも関わらず、次の場面では公園で赤い蝶を見て「うわー綺麗」とか何とか言ってる場面。お前は話を聞いてなかったのか!変な事言われたんだから多少は躊躇しろよ!
4分でまとめるのには無理があるのだから、原作通りやらなくても、つじつまを合わせる為に多少改変してもよかったのではないでしょうか。公園を通って蛍光灯に「あれは赤い蝶?」と見て呟くみたいな感じでどーだろう。妹が怪物に突如化身する衝撃の1話のはずなのに、全く魅了されませんでした。{/netabare}
人物関係も四分間に全て会話で説明させようとしていて、忙しいです。
30分、せめて15分だったら、もっと濃厚に描写出来そうだったのに、見てると本当に勿体無くて、じれったいです。
それでも作風に重さが無いせいか、世界覧と台詞が上手いこと噛み合っていない。これはじれったい。
そもそも企画段階で慎重に考慮するべきだったのではないでしょうか。テレビシリーズで無理に放送させようとしなくても、OVAで出しても何らおかしくないです。劇場版として公開するのも一つの手だったのかもしれません。
作品を見るのに、物語やキャラのことではなく、裏方の制作事情を知りたくなって来るようで、作品として如何なものか。大人の事情を感じてしまうのは残念なことです。
要するに、四分アニメはいくらなんでも短過ぎるよ。DVD無修正云々より、本編の収録時間をどうか増やして下さい。
【追記】
最後の12話は番外編で、実質物語の最終話は11話だそうです。何となく気になって全話見た印象としては、設定がいいのに生かし切れてなかったなあと…。
化け物になった妹と治癒能力と持った兄等キャラクターの立ち位置が謎めいていて、その中で「兄妹愛」を軸に置いた物語はぶつ切りでしたが、悲哀も感じられて面白かったです。
ただ、シリーズ構成が本当に製作者達が打ち合わせして決めたのか疑問に持つほど放り投げ感が凄かったもので、終始物語のチグハク具合が否めませんでした。「ショートアニメだから、無理ある展開でも仕方ないやん…?」なんて同情を誘うような声が聞こえて来そうでした。もう!ショートだろうが何だろうが、作品として出すならキチンと完成させなきゃダメでしょうが!それでもプロですか貴方達!
所々良かった場面もあります。
{netabare} 兄が妹を虐めた頭おかしそうな奴に反撃する場面では、父親と同じような暴力性を秘めているのを示唆させていました。目潰しするアクションも淡々としていいて思わず怖くなりました。
マリアは結局どうなったのか…多分続きは原作読んでね☆てことでしょうが、部下と当たり障りのない会話はクスリときました。 {/netabare}
放送前期待していただけに残念です。今後はこのような事例がないと願いたいです。