タイラーオースティン さんの感想・評価
3.6
満州から日本へ引き揚げる人々の苦労を描いた作品
例えば、火垂るの墓だとかはだしのゲンのような壮絶な描写はないのだけれど、満州を舞台に日常生活での慎ましい様子や理不尽な差別等のシーンで反戦以外にも考えさせられるものがありました。
主人公のエッちゃんと仲の良い男の子が苦しい状況の中でも笑顔を絶やさずに生きていたのが印象的でしたが、その男の子が日本への引き揚げ船でようやく帰国を目前にして命を落としてしまうシーンは日本に着いたら、おにぎりを食べたいという願望を口にしていただけに切なかったし、致し方なかったのですが、その亡骸を海へ沈めていたのはショックでしたね。
最後はアニメ的な演出で幽霊?となった男の子がおにぎりを頬張るシーンで終わったのが救いでしたが、当時、本作を劇場で見た自分はショックが大きく、その後、食堂で頼んだカツカレーをゆっくり味わって食べたのを覚えてます。