Witch さんの感想・評価
1.0
NHKの目利きが一番の戦犯?!個人的には今年ワースト2かな/2023/11/23追記
【レビューNo.89】(初回登録:2023/10/9)
コミック原作で2023年作品。全24話。
「クソアニメのレビューを書く」という体験を1回しましたが、負のエネルギー
が体を突き動かすというか・・・
個人的にはクソアニメのレビューを書くのは、時間のムダだし腰を上げるのにそ
こそこエネルギーがいるので、基本「レビュー止めとこ」ってなるわけですが、
それでもレビューを書きたいと思うのは、相当なクソアニメってことなのかw
(ストーリー)
かつてはヴァイオリンのコンクールで数々の成績を収めていた少年・青野一。
しかし著名なヴァイオリニストの父親は不倫から家族を捨て離婚。そのため一
は父親を憎み、ヴァイオリンを止めていた。
しかし中学3年時、担任の武田先生の依頼から秋音律子にヴァイオリンを教える
ことになり、自身も自分と向き合い再び弾き始めることになる。
そして武田先生が指し示したのは、オーケストラ部の名門「海幕高校」へ入り、
音楽を続ける道だった。
秋音とともに海幕高校に進学した青野は、そこでコンクールでトップの成績を収
めていた佐伯直と出会い、ヴァイオリンの腕を競うことになる。
(評 価)
音楽モノってあんまり観ないのですが(特にバンドモノとか)それでも「のだめ」
をはじめ、「この音止まれ!」「ユーフォニアム」など「音楽モノに外れなし」
というのが今までの私の認識だったのですが、それを見事に覆してくれましたねw
・絶望的に魅力のない主人公
・陰キャっぽいビジュアルの悪さもあるんですが、なんか主人公に絶望的に魅
力がないんですよね。
一番の原因が、何をやりたいのかが分からず共感できない点ですね。
まあ「メジャー:茂野吾郎」のようにギラギラしてればいいのかということ
でもないのですが、まず最初の「海幕高校」もオーケストラ部入部も動機が
曖昧なんですよね。
「漠然とヴァイオリンが上手くなりたく、なんか流れのままに」
って感じで。
・その後佐伯や先輩との出会いにより
・もっとヴァイオリンが上手くなたいという強い思い
・オーケストラ部のコンマスを目指すという大きな目標etc
輪郭は強化されるのですが、見せ方が悪いのかこちらに熱く伝わるものがなく
「ストーリー都合だけで、青野が本当にそういう思いを抱いているの?!」
という感じで、何故か共感できないんですよ。
ざっくりいうと、結局
「青野一という『人間』をどう描きたいのか」
をしっかり定めず、「設定」だけで見切り発車してるなっていう印象ですね。
・あと何かにつけ「(不幸自慢の)親父が悪い」的な後ろ向きな点も。
(この部分は、終盤で「自分の音楽の源流には父親がいる」と感じる描写が
増え「原作者がやりたかったのはこれなんかなあ」って感じる部分はあり、
改善の見込みはありそうですが)
・上っ面をなぞったようなストーリー
・ストーリーもなんというか、音楽モノや青春モノの外れのないテンプレ的な
レールを集めてきて、その線路上で物語を走らせているという感じで、
「『青のオーケストラ』という作品を観てワクワクする」
といった満足感が皆無なんですよね。
(以前レビューした「僕ヤバ」とは真逆だなっとw)
王道展開というより、上っ面をなぞったようなストーリー展開って感じ?!
・あとストーリー構成のチグハグさも。
主人公をろくに描いていないのに、高校入学早々秋音と(もう一人のヒロイ
ン?)小桜ハルの中学時代の重いエピソードが展開され、そっちのキャラの
深掘りが始まっちゃうので、なんじゃそりゃ?Iって感じで。
それでいて青野の方は「いつ魅力的になるんや」って期待してたら、上述の
通りでアニメ終わっちゃったよとw
そして秋音の方も中学時代は魅力的なキャラに映ったのに、高校に入り上述
エピソードが終わると、なんとなく埋没しちゃったなっと。
・それに「名門:海幕高校」という設定も、まるで活かせていないのも致命的。
原田や羽鳥がもっと魅力的に描かれていれば作品の見え方も違っただろうに、
この辺も描写が甘く「ただのいい先輩やん」って。
また顧問の鮎川先生も厳しく怖いらしいが、作品を観る限りいうほどかと?
部の方針なのか分からんが、「ユーフォニアム」と比べてもなんか緊張感が
足りず緩くないかと。空気にメリハリ感がなく、作品的には「名門校たる所
以はどこにあるのか」よくわからんレベルだなっと。
(時々それっぽいセリフや描写は入るが、作品としての一貫性が確立されて
いないから「点」で終わり、そもそもアニメとしての演出も出来が悪いの
で説得力がないんだよね。)
高校では部活のシーンが大きなウエイトを占めるのに、ここに独自の面白さ
がないとか、一体どういうことやねんとw
・最大の隠し玉も不発?!
・この作品最大の隠し玉は(以下重要ネタバレ)
{netabare}「佐伯は青野の父親の不倫相手の子供だった!!」
たしかにネタとしてはセンセーショナルなのですが、作品を観る限りなんか
これも不発に終わったなっと。
それによりどんでん返しがあった訳でもなく、作品の面白さに大きく貢献し
た訳でもなく、「一体何だったんだ?!」って感じでwww
(一応2人が完全に分かり合えたとか、青野が一皮むけた扱いになってるが、
その辺の描写もアニメとしては・・・って出来なんだよなw)
これなら、この設定がなくても大局には支障なかったのでは?
(まあ原作者的には、最大のオリジナリティだから「なし」にはできないで
しょうが。穿った見方をすれば、原作者もこの設定を思いついたところで
満足してしまい、そこで思考停止しちゃったのかなっと。){/netabare}
・この作品も全体的にイベント頼みで、それに沿って人物を動かしてるだけで、
結局「人間」をしっかり描いていないんですよね。
個人的に魅力的だったのは、中学時代の秋音だけでしたね。
(あとは武田先生位で、思えば中学時代がこの作品のピークだったかなっとw)
総評としては
・音楽モノをやってる割には、そこに特筆すべきエッジがある訳でもなく
・では青春群像的なものを見せたいのかといえば、「人間」をしっかり描いてい
ないから、主人公以下主要キャラが魅力的に見えず
「『青のオーケストラ』という作品は何をやりたいのかよく分からない」
まま終わってしまったという印象ですね。
そもそも「著名なヴァイオリニストの父親」以外は「音楽モノ」である必要性が
あったのかという、根幹から疑いたくなるレベルで
「『音楽モノ』の作品として、『音楽』とどう向き合っていくのか」
という観点を軽視しすぎでは、という印象を受けました。
(それっぽい曲の解釈を入れたから、『音楽』と真摯に向き合った作品というの
はちょっと違うだろうっと。それじゃこちらに響くものがない訳で、この辺り
も『主人公の魅力のなさ』に大きく影響してるように感じる)
それに全般的にアニメとしての演出も弱く、センスが感じられなかったかな。
NHKで放送する作品って、どこか1本芯が通っていて「さすが」って感じが強かっ
たのですが、この原作のどこが琴線に触れたのか?
単純に出来の悪さなら「なろう系の量産型異世界モノ」など下はいくらでもある
でしょうが、この辺とはそもそも予算をはじめ土俵が違いますからね。
NHKがバックでこの出来とか正直救いようがねーなとw
そういう意味では、個人的には今年ワースト2の作品だといえるかも。
個人的な見解ですが、一番の戦犯は
「NHK、なんでこんな作品選んじゃったの?!」
目利きが曇ったのか、こんな上っ面だけの作品に騙されるんじゃねーよと。
(クラシック音楽という題材と「小学館漫画賞」少年向け部門受賞という看板だ
けで選んだんじゃねーのかと)
2期決定らしいですが、なんだかなあって感じですね。
それよりも「アオアシ2期」をさっさと制作しようよとw
(訂 正)
・今年ワーストワン → ワースト2
「Buddy Daddies」が今年のアニメってことが抜け落ちてました。
個人的にはこの作品が断トツのワーストワンですね。
でもそれに次ぐ印象の悪い作品かなっとw
(2023/11/23追記)
{netabare}個人的には「101匹足利尊さん」の「青臭い心の振動が響いてくる」というレビュー
が興味深く「なるほど、そういう見方もあるのか」と。
ただ個人的には「やっぱり評価できない作品かな」っていう点は変わらずで、その
辺を補足。
>一番の原因が、何をやりたいのかが分からず共感できない点ですね。
レビューを書いている時に感じたのは、逆に、
「自分がまだ未成熟で何者かわからないから、それを探していく物語」
として進めていく路線もアリじゃないかと。
でも本編をみる限りでは、そういうのをメインに置くわけでもなく
・父親の離婚という不幸自慢
・オーケストラ部の名門校
・佐伯の衝撃告白 etc
原作者は「青野という人間をどう描くか」よりも、いろいろキャッチ―なパーツは
集めたもののそこに深みはなく「どうストーリーが見映えするか」という表面的な
描写にご執心なのかなっと。
>「人間」をしっかり描いていないから、主人公以下主要キャラが魅力的に見えず
結局この原作者がやってることは「人物描写」ではなく、「彼はこういうタイプの
人間です」という「レッテル張り」レベルにしか見えなかったんですよね。
>オーケストラ部の名門校
> 原田や羽鳥がもっと魅力的に描かれていれば作品の見え方も違っただろうに、
ここも追加で書くと
・ずっとヴァイオリンを続けていた佐伯より、ブランクのあった青野の方が評価が上
(一応青野の努力している描写もあるが、表面的でなんか軽い)
・2年のトップがダンス部と兼部のチャラい羽鳥(しかも1年に簡単に負ける)
で、名門校の威厳や演奏家の厳しさがまるで感じられないんですよね。
そして原田も凄いコンマスらしいのですが、人物描写が甘いので説明セリフメイン
で無理やり持ち上げている感じで、コンマスなんて知らなった私に一発でコンマス
の価値を理解させた「のだめ:カイ・ドゥーン」の描写とは雲泥の差だったなと。
それにストーリー構成のチグハグさも追記すると、通常2クールアニメなら
・1クール目は丁寧な下準備をして
・2クール目に入った辺りからメインテーマを解放して一気に面白くみせていく
という感じなのですが、
・1クール目で下準備ができていない
→ 中学編の導入部はよかったが、それ以降は秋音と小桜の掘り下げが始まった
り(それが後の展開の面白さに繋がるなら理解できるが単発で終わった感じ)
上述の通りいろいろサボってるって感じで、漠然と部活の様を見せられてい
るだけ
・2クール目のここからというところで
→ 青野のお母さんが倒れた
→ 佐伯の衝撃の告白
で、話の腰を折るという・・・
しかも、佐伯の衝撃の告白はかなり重い話で、もっとここで深堀してもいいとこ
ろだが、結局中途半端で終わり。
これなら「部活の方針等で大喧嘩して本音をぶつけ合って分かり合えた」という
展開とどう違うのって感じなんですよね。
せっかく意味深な爆弾ぶち込んだなら、それをしっかりと活かせよと。
なので、大事なタイミングでこんな話をぶち込んでくるから「この作品は一体何
をやりたいんだ?」という評価になっちゃうんですよね。
・で、こんなことをしているから、物語的には「定期演奏会」までしか進まず
→ 定期演奏会前に長い原田らの思い出語り
これで演奏会は演奏に集中するのかと思いきや
演奏中にも更に思い出のフラッシュバックって、感動の押し売り演出がウザい
しかもここに原田→羽鳥への厳しい言葉とか、ホンマ意味分からん。
これどのタイミングで言ってたんや?!それにより物語の整合性が・・・
>上っ面をなぞったようなストーリー
こんな感じで個人的には褒められる部分がほとんどないって感じなんですよね。
しかも2クール使ってこれだと弁解の余地はないかなっと。
(エピソードは進むも、こちらに積み上がってくるものがないという・・・)
唯一評価できるとしたら
>終盤で「自分の音楽の源流には父親がいる」と感じる描写が増え
「人間としては最低だが、音楽家としては認めることができる」という流れが2期に
みられれば、青野の成長として本作の意義も少しは出てくるのかなっと。
それ以外は「『青のオーケストラ』という作品を観てワクワクする」が皆無って感じ
で、私には全く合わない作品だったかなっと。{/netabare}