アメリカでファンタジーなおすすめアニメランキング 13

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのアメリカでファンタジーな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月05日の時点で一番のアメリカでファンタジーなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

66.5 1 アメリカでファンタジーなアニメランキング1位
ベイマックス(アニメ映画)

2014年12月20日
★★★★☆ 3.8 (207)
1180人が棚に入れました
ヒロは、幼いころに両親を亡くし、兄タダシと2人きりの生活を送っていたが、ある日、謎の事故により兄タダシは帰らぬ人となる。
ひとりぼっちになり深く心を閉ざしたヒロの前に現れたのは、つぶらな瞳と空気で膨らんだ白くて大きな体を持つ"ベイマックス"。彼は、亡き兄タダシが、人々の心と体の健康を守るために開発したケア・ロボットだった。
「どのくらい痛いですか?」「泣きたい時は泣いていいのですよ」と優しく寄り添う"ベイマックス"のおかげで、ヒロは少しずつ元気になる。
そして、兄の死に疑問をいただいて謎を追うと、世界の脅威となる巨悪の存在を知り、兄のために戦う決意をする。ヒロの味方は、戦闘能力・戦闘意欲のない優しすぎるベイマックスのみ。果たして彼は世界を救うことができるのか、そして、兄タダシがベイマックスに託した驚きの使命とは。

takarock さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ジョン・ラセター(ピクサー&ディズニー)と宮崎駿(スタジオジブリ) -中編-

2014年公開のディズニー作品。
監督はドン・ホール氏とクリス・ウィリアムズ氏。
製作総指揮はジョン・ラセター氏です。

あるブログで本作のレビューをされている方がいて、
「初めてアイフォンに触れた時のことを思い出した」という風に表現されていました。
すなわち、本作のクオリティに衝撃を受け、
こんな作品を出されちゃ邦画は太刀打ちできないという趣旨だったのですが、
私としては邦画にも素晴らしいクオリティの作品は存在すると思っていますし、
そこまで言い切るつもりはないですw
ただ、このアイフォンというのは、
本作を端的に紹介するのに非常に優れた表現だと思います。
高品質、高性能、欠点らしい欠点がない、
これらがアイフォンの特徴だと思いますが、そのまま本作にも当てはまります。

本作の舞台は東京とサンフランシスコを合体させた架空の未来都市
「サンフランソウキョウ」なのですが、
その作り込み具合を見ただけで本作の完成度の高さは窺えます。
特にアニメーションにおいて「舞台」設計は非常に重要な要素で、
ジブリやファイナルファンタジーシリーズなんかもそうですが、
「うわ~なんかこの景色(世界観)すげー好き、画面の向こうに行きたい~」と
ワクワクさせることによってすんなりと作品の世界に誘導できる効果があると思いますが、
そのような舞台を作り出す為には妥協なき徹底した作り込みが必要です。
そんなサンフランソウキョウの舞台を
主人公のヒロがベイマックスに乗ってビュンビュンと飛び回る。
これはもう映像的快楽ですよw
「ファインディング・ニモ」のレビューで、
海の中をジェットコースターで駆け巡るような爽快感、まさに極上のアトラクションと
表現しましたが、本作のアトラクションも超気持ちいいですw
「これがディズニーのアトラクションのクオリティだ!」と言われているみたいでしたw

シナリオも本当に隙がない作りになっていて、
対比と反復の使い方がいちいち上手い。
対比については、いろいろな対比法がありますけど、ここで言う対比は、
前後に同じような状況を設置して、
その状況下におけるキャラの言動を比較させるという演出手法です。
分かりやすい例でいうと、あの時は手を振り払ってしまったけど、
成長した後に同じような状況に遭遇して今度はしっかりと手を握るとかですかね。
一方で反復というのは、通常パートの何気ない言動を
重要なシーンで文字通り反復させることによって
そこに深い意味を持たせるというような演出手法です。
もうすべての言動が伏線になっているんじゃないかと思わせるくらい
きっちりかっちり作られていますw
本作は前半はヒロとベイマックスのハートフルストーリーですが、
後半はヒーローアクションとかなり性格を違えています。
しかし、キャラの動機づけ、成長過程の描かれ方もきっちりかっちり作り込まれているので、
その移行も非常にスムーズですし、違和感はほとんど感じませんでした。

「ファインディング・ニモ」では
どこか宮崎駿ジブリ作品との通底性を感じましたなんて書きましたけど、
本作に至ってはそれはほとんど感じませんでしたw
それよりもこれまでジョン・ラセター氏が手がけてきた作品のイズムが
しっかりと継承されている、そんな印象です。
10年の月日によるものなのか、あるいはディズニーブランドを背負っているからなのかは
分かりませんが、「ファインディング・ニモ」よりきっちりかっちり作られています。

アイフォンのように高品質、高性能、欠点らしい欠点がない本作ですが、
敢えて欠点を挙げるならば、完成度が高すぎて面白みがないということですかね。
ほとんど褒め言葉ですけどねw
これは本作をはじめてするジョン・ラセターが手掛けるピクサー&ディズニー作品に
共通して言えることなのかもしれません(まだ未視聴の作品はたくさんありますが)。

そしてこれに対をなすのは、別にアンドロイドという訳ではないですけど、
「後期宮崎駿ジブリ作品(ここでは「もののけ姫」以降の作品とします)」が
そうなのではないかと私は思っています。
「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」は、
宮崎駿ジブリ作品の中でも1位、2位を争ってもおかしくないくらいの大ヒット作品ですし、
海外での評価もすこぶる高いです。
ですが、私は「もののけ姫」以降の宮崎駿のジブリ作品(後期宮崎駿ジブリ作品)は、
作家性が全面的に押し出されていて、誰もが楽しめる安定性をやや欠いているようにも思えます。
素晴らしい世界観、印象に残るキャラやシーン、そうしたものは充分に楽しめるのですが、
些か話が難しい・・・。
それまでの宮崎駿ジブリ作品が子供も大人も楽しめる童話だとしたら、
そこに芸術作品を鑑賞するような余所余所しさが目立つようになってきたという印象です。
多分に考察の余地は残されてるのですが、
それらを自ら咀嚼していくのはかなりハードルが高いです。
つまり説明書が必要なんです。
「となりのトトロ」や「魔女の宅急便」等の作品は子供の頃から何度も視聴していて
説明書がなくてもすんなり消化できていたんですけどね。
これらの宮崎駿ジブリ作品は、本作のように説明書がなくとも楽しめる作りなんだと思います。
エンターテインメントとしての安定性と
狂気を孕んだ宮崎駿監督の作家性とのバランスが絶妙だったということでしょう。
本作は、後期宮崎駿ジブリ作品にやや欠けているエンターテインメントとしての安定性を
これでもかと言うくらい感じます。
ディズニーブランドを背負っている以上、
安定性を欠いて、作り手独自の作家性を全面に押し出した作品を、
世に送り出すことはできないということかもしれませんね。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 20

田中タイキック さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

ディズニー・ピクサー作品を見るのはインクレディブル以来だけど

2014年12月20日公開(日本版) 上映時間102分
ウォルト・ディズニー第54作目の長編アニメーション映画


タイトルの通りディズニー・ピクサー作品を見たのはMr.インクレディブル以来だったんだけど映像美は流石だった
髪の毛の質感だったり背景の繊密さだったり
相変わらずバービー人形みたいな造形してて人間キャラはあまり好きじゃないけど
(いつまでトイ・ストーリーのトラウマ引きずってんだよって話だが)

加えてアクションシーンも迫力満点
冒頭のロボットバトルはロボティクス・ノーツ難民救済必至だし
ジャパニーズ・カラテを下地にしたアクションシーンや
パニック映画ばりのカーチェイスシーンも見所
きっとあの車は日本製だね

日本製といえば本作の舞台になってるサンフランソーキョーも魅力的
名前の通り東京+サンフランシスコな世界なんだけども
アメリカらしいフリーウェイや西海岸の街並み、ゴールデンゲートブリッジだってしっかりあると思えば
漢字やカタカナで表記された看板、神社や五重の塔が存在し、墓の前には線香を立てる文化だってある
それらが違和感なく融合しロボット工学の発展した近未来な世界と
ディズニーらしいファンタジーを崩さない高次元のデフォルメセンスがやばい
おそらく徹底的なリサーチしたんでしょうな
スタッフの"日本愛"をひしひしと感じる世界観でした


ストーリーは飛び級で高校を卒業した超天才の主人公ヒロ・ハマダが
その才能を非合法なロボットバトルでの小銭稼ぎにしか費やしていなく
それに見かねた兄のタダシが自分の通う大学のラボにヒロを連れて行き
ラボメンたちの手がけた数々の発明品、タダシの作ったケアロボット「ベイマックス」に刺激を受け
ヒロ自身も大学でロボット工学を追求したいと願うところから始まる

そんな中、兄のタダシは不幸な事故で亡くなってしまう
兄の残したベイマックスと共に哀しみから立ち上がり
強く成長していくというとても分かりやすいテーマ

テンポ厨が歓喜の涙を流すほど物語は小気味良く進んでいき
変に取り繕った演出や無駄な表現を一切省きながらも
主題となるヒロの成長物語は決して見失わない脚本・構成が見事
タダシの残した「まずは物の見方を変えてみる」という言葉が随所で効果的なキーワードになっていたり
ギャグシーンの挿入で物語に緩急をつけて見やすくしていたりと
割とかなり結構ガチでマジで隙の無い脚本に驚いちゃった

しかしテンポが早過ぎるせいか主人公ヒロの心の動きも早過ぎる
即断即決はいいことだけど14歳という年齢設定を考えるとどうしてもメンタル出来すぎだよなぁと思ってしまう
深い悲しみや心の葛藤などの心理描写はほんの数分で終わってしまって
どうしても薄味な感じは否めなかったです
まぁディズニーにウジウジ悩むシンジ系男子なんて誰も求めてないし
制作側もはっきり意識して排除した要素だとは思うんですけどね


あと最後の展開にもちょっと引っかかった
兄貴の願いとやらがなんか曲解されてねぇ?って思っちゃったんだけどエンディングの絵を見て納得
これアメコミ原作だったんだ!!なんだ早く言ってよー
ってことはこの先ヒロがダークサイドに堕ちたり
死んだはずの両親が実は…な展開もあったりってことですか!?
ディズニーは絶対作らないと思うけど「ベイマックス ビギンズ」なストーリー妄想しちゃうよねー


【総評】
老若男女、おはようからおやすみまで
誰が見ても一定の楽しさは保証できる映画ですよ
日本リスペクトな世界観がとにかく素敵だったのでそれだけでも楽しめると思います
私みたいにディズニー・ピクサー作品からしばらく離れていて
なおかつアナ雪ブームに完全に乗り遅れた人にオススメかな(笑)

見たあとな~んか違和感あるなぁって思って考えたんだけど
随分前に日本版の予告を見ていたことに気がついた!
改めて予告だけ観直したんだけどこれ全然印象違って見えますね
予告詐欺とまでは言わないけどこれから見る人は予告はスルーするのが無難かもですね


洋画全般に言えることだけど日本のどっかズレたプロモーションって何なんだろうね

投稿 : 2024/11/02
♥ : 19
ネタバレ

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

「私はベイマックス。あなたの健康を守ります。」

2014年公開。
ディズニーの長編アニメ映画54作目。
(前作:アナ雪、次作:ズートピア)

感動作だと聞いていましたが、
確かに感動しました(´;ω;`)

と同時に、ベイマックスのマイペースなキャラに笑い、
近未来な発明品たちにワクワクできて…。

1つの作品で多様な楽しみ方ができました^^

100分ほどの作品です。


● ストーリー
14歳で高校を飛び級で卒業したヒロ・ハマダ。

科学に対する天才的な頭脳を持ちながらも目標がなく、
非合法のロボット・ファイトに熱中していた。

そんな彼を見かねた兄・タダシは、
自分の大学の研究室へヒロを連れて行く。

科学オタクたちの発明品や、
タダシの発明品『ベイマックス』、
そして憧れの教授に出会ったことで、

ヒロは大学入学を目指して研究を始めた。


この作品で鍵となるのは、
“ベイマックス”というキャラクターです。

ベイマックスは、
タダシが発明した心と体を癒すケア・ロボット。

人の健康状態や体の傷をスキャンして、
適切な処置をしてくれます。

さらにボディは、
思わず抱きしめたくなるようにできているという完璧さw

ちょっと体は大きいけれど、
一家に一体いれば、心も体も健康的に過ごせそうです^^


≪ ベイマックスというキャラの使い方 ≫

このベイマックスというキャラの使い方が、
とても上手です。

ヒロは天才的な科学の知識を用いて、
様々な発明品を作ります。

他にも、タダシの友だちが研究しているような、
近い未来に実現するかも…というような発明品がたくさん。

そんな彼らの活躍は、
とても勢いがあってワクワクします。

それに対して、
ケアに特化したベイマックスはとてもおっとりさん。

緊急事態にもマイペースで対処w

そんなベイマックスのキャラを生かすことで、
作品に“緩急”が生まれます。

ベイマックスの緩さは笑える場面でもあり、
よりキャラクターに愛着が湧いてきます^^


≪ 感動。だけどオチは… ≫

物語は100分があっという間に過ぎてしまうほど、
とても引き込まれて楽しめました。

近未来な発明品たちにワクワク。
ベイマックスの緩さに笑う。
そして感度的なシーンも。

私は視聴中に2回泣かされました(´;ω;`)
({netabare} 1回目はタダシの研究途中の様子が録画されたものを見た時、
 2回目はベイマックスとの別れのシーン。 {/netabare})

ディズニー映画の最後は、
「クスッ」と笑える小さなギャグで終わる事が多いように思いますが、

今回も同じように笑えるシーンで最後は締めくくられました。
が、この笑いがとてつもなく微妙で…。

「今までの感動を返して!」と
作品を台無しにされた気分になりました。

これなら無理して笑いで締めくくろうとせずに、
感動的な余韻で終わってくれた方がよかったです。

アメコミヒーローな後日談もいらないと思ったけど、
原題が「Big Hero 6」なので仕方がないのか…。


● 作画
舞台は「サンフランソウキョウ」という、
東京とサンフランシスコを混ぜた架空の都市です。

作中にも東京の街並みが取り入れられていたり、
ベイマックスの頭部は神社の鈴がモチーフにされていたりと、
日本的な要素も多いです。

さすがディズニー、
作画がすごいと感じるところはたくさんありました。

特にベイマックスが街を飛び回るところが印象的です♪
…ケア・ロボットに空飛ぶ機能が必要なのか疑問だという意見には同意ですw


● まとめ
ヒロの頭脳とその発明品もすごいけれど、
それを見せる演出はもっとすごい。

ベイマックスのキャラは緩いけれど、
その緩さは愛されるキャラとして十分な魅力。

私もベイマックスに日々の疲れを癒してもらいたいわ…。笑

ストレス社会なんて言われる現代にこそ、
ベイマックスというキャラは必要とされる存在ですね。

人々のために、という願いを込めて、
懸命にベイマックスを開発したタダシ。
実は一番好きなキャラです。

ベイマックスのプログラムは、
彼の優しい心をしっかり受け継いでいますね^^

投稿 : 2024/11/02
♥ : 29

74.2 2 アメリカでファンタジーなアニメランキング2位
トイ・ストーリー(アニメ映画)

1996年3月1日
★★★★☆ 3.9 (187)
1700人が棚に入れました
いずれは出現すると思われていた全編フルCGの長編アニメは、やはりディズニーからやって来た。CG工房として有名なピクサー社が、ディズニーのバックアップを受けて、オモチャを主人公に勇気と友情と笑いと感動の小品を作り上げたのだ。 カウボーイ人形のウッディ(声:T・ハンクス)はアンディ少年の大のお気に入り。だがそれも誕生日プレゼントでアクション人形バズ・ライトイヤー(声:T・アレン)を手にするまでの事だった。NO.1の座を奪われたウッディは何とかバズをこらしめようとするが、バズはバズで自分が本物のスペース・レンジャーだと思い込んでいる有り様。そんな二人がふとしたいざこざから外の世界に飛び出してしまう。なんとか我が家へ帰還しようとする二人だが、なんとアンディの隣に住む悪ガキのシドに捕まってしまった……。 ひょんな事で子供部屋から飛び出した二人のオモチャの奮闘が実に愉快に描かれているが、自分がオモチャだという事に気づき愕然とするバズや、シドの部屋に住むいびつな人形たち(まるでフリークス)など、子供向けとは割り切れない描写が多々あり、大人でも、いや大人だからこそ存分に楽しめる作品と言っていいだろう。フルCGアニメという技巧に溺れることなくしっかりとシナリオが練られているのが何より良い。もちろん、その技巧の部分も実に驚異的で、特に屋外の雰囲気など実写と見紛うようなクォリティだ。何度でも見たくなるような作品というのが、この映画の最大の褒め言葉のような気がする。尚、劇場にもかかった日本語吹替版ではウッディを唐沢寿明、バズを所ジョージがアフレコしており、想像以上に良い効果をあげている。

声優・キャラクター
ティム・アレン、トム・ハンクス、ドン・リックルズ、ジム・ヴァーニー、ウォーレス・ショーン、ジョン・ラッツェンバーガー、アニー・ポッツ、ジョン・モリス、所ジョージ、唐沢寿明、名古屋章、永井一郎、三ツ矢雄二、大塚周夫、戸田恵子、市村浩佑

takarock さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

名作の宝庫ピクサー映画の入門としてお勧め

日本では1996年公開のディズニーのフルCG映画です。
一言で言うとおもちゃの大冒険です。

もし自分の知らない間におもちゃたちが勝手に動いていたらという
多くの人が1度は思ったことがあることがこの作品制作の出発点だと思います。

例えばあなたが全長30センチくらいのおもちゃの人形になったとします。
あなたの部屋はたちまち巨大なアスレチック施設に変貌するでしょう。
犬や猫なんて虎のように恐ろしい凶暴な動物になるでしょうし、
おもちゃを乱暴に扱う子供なんてもはや悪魔です。
母親はさながら自分の運命を握っている神様のようなもので
「汚いから捨ててらっしゃい」なんて言われた日にはこの世の終わりです。

アメリカの中流家庭が舞台になっているのですが、
大きな家に大きな庭、
バースデーパーティーには綺麗にラッピングされた大きな箱のプレゼントの数々、
大きなテーブルに並ぶご馳走と
なんというか羨ましくなるような豊かさですねw

私も小学生の頃2週間程アメリカに行ったことがありますけど、
子供にとっては本当に刺激的で楽しい国なんですよねw
たくさんのおもちゃに囲まれ、アミューズメントパークも刺激的です。
ピザやハンバーガーといった子供にとっては大喜びの食べ物。
広大な公園でバーベキューパーティー。
肉が焼けるまでの間にフリスビーを投げながら公園内を駆けずり回ったり、
人もあまりいないので大声で叫んだりしても迷惑にならないですしねw

本作からはそういった如何にもなアメリカらしい豊かさとか楽しさとかを
端々から感じましたw 

ストーリー自体は結構単調なものなのですが、
キャラの大仰なしゃべりだったり、流石のアクションシーンだったり、
ただ観ているだけですげーおもしろいです。

子供向きの作品なのかもしれませんが大人も充分楽しめます。
というか私はこういう言い方はあまり好きじゃないです。
本当におもしろいものは子供も大人も関係なくおもしろいんです。
そりゃ理解の差はあるでしょうけど、
それでも名作というのは子供ながらになんか凄いって感じるものがあると思います。
大人が子供騙しだと思っているものは実は子供も騙せていないものが多いんじゃないですかね。

ちょっと話が逸れてしまいましたが、
「トイ・ストーリー」は1よりも2が、2よりも3の方がおもしろいと言われている作品です。
ピクサー映画は名作の宝庫と言われており、
それこそワクワクするようなおもちゃ(作品)がたくさん詰まった宝箱のようなものかもしれませんね。
もしあなたがピクサー映画に触れたことがないというのであれば、
その宝箱から最初に取り出すおもちゃに私は「トイ・ストーリー」を勧めたいと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 39

タイラーオースティン さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

全てはここから始まった

おもちゃに対する愛情と、おもちゃを愛してくれる子ども達に対する愛情に溢れた作品。
おもちゃが動き回るという夢のような世界が展開されており、このような気持ちはいつまでも忘れてはいけないと感じさせてくれる。
また、そういえば自分が遊んだおもちゃ達はどこに行ってしまったのだろうとどこか切ない気持ちにもさせてくれる。
さらに、冒頭のアンディがおもちゃと遊ぶシーンは、アメリカの子どもも日本の子どもも変わらず、万国共通なのだろうか、どこか懐かしい感じにもさせてくれる作品だ。
おもちゃとともに遊び、おもちゃとともに成長していくのは普遍的といえそうだ。
ストーリー自体は、隣家からの脱出と引越の車への到着という取るに足らないものなのだけれども、他のアドベンチャー作品にヒケをとらない“激しい冒険”を堪能できるというのも不思議な仕掛けだ。
悪ガキの日光による攻撃や、飛ぶことのできない翼などを事前に描いておいて、それをきちんとオチとして回収するのは心地よく感じる。
1本のマッチを使って、ロケットを発火するのだろうと思わせておいて、一旦観客をドキドキさせるようなテクニックも見事といえる。
また、ウッディとバズというまさに正反対の性格の“二人”が繰り広げる見事なバディムービーだ。
自分の居場所を奪われたと思う者と、自分をヒーローと思う者という組み合わせは過去に例がないであろうほどの新鮮な面白みを与えてくれるとともに、自信やアイデンティティを失ったバズを救ったのは、ウィディであり、アンディの愛情(足裏に書いた名前)であったことはどことなく感動的でもあった。
他のキャラクターもただのお飾りではなくて、高い個性を感じられる。
ピクサーの製作陣が一つずつにきちんと愛情を込めたのだろう。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

初めて好きになったディズニーアニメ

1996年日本公開の劇場アニメーション。
有名な作品なので長々と書くのは避けますが、1から3までどれも面白くて、たまに見たくなります。
最初に見たのは地上波放送だった記憶が。

ストーリーとしては王道でシンプルで、キャラクターの個性が状況を動かして行くところが好きです。ウッディにもバズにも葛藤や挫折があって、どちらにも感情移入しやすいです。

アメリカの生活感がしっかり描かれていたり、子どもの充実した楽しそうな姿が見ていて楽しいです。
子ども達はおもちゃを丁寧に扱っているわけじゃないですが、ある程度は当たり前のことだとおもちゃたちも受け入れているのが凄く良いです。私は見ててヒヤヒヤしちゃうんですけど、それは当たり前のことなんだよなあ、と。

だからシドは見ていてもっと怖い!w
懲らしめ方は確かに反則なんですが、はっきり怖い思いをして、「もう少し思いやりを持ってよ」と言われないとああいう子は理解しない気もする。視聴者の子ども達へのメッセージも強く含まれている感じですよね。


今はそんな事もないんですが、子どもの頃はディズニーあまり好きじゃなかったんですよ。
日本のリミテッドアニメが肌に染み付きすぎていて、海外のフルコマのぬるぬるした動きがどうも苦手でした。全体的に娯楽性に特化しているのも、子どもの頃は好きになれなかった理由だと思います。
製作がピクサーでフル3DCGだったからかもしれませんが、トイ・ストーリーって雰囲気がそれまでに見たディズニーアニメと違っていて印象に残りました。
おかげでディズニーに抵抗が無くなった気がします。
私としてはちょっとした記念みたいな作品かもしれません。(2016.3)

ティン・トイの感想を移動しました。(2018.3.15)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 20

65.0 3 アメリカでファンタジーなアニメランキング3位
クロノクルセイド(TVアニメ動画)

2003年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (176)
1240人が棚に入れました
第一次世界大戦終結後の1920年代。それはまだ現代よりも夜の闇が濃かった時代。
アメリカ合衆国は大戦による軍需景気に湧き、同国に生きる人間たちはその繁栄を謳歌しながら、自らの持つ「心の闇」に捕らわれていた。好景気と投資によるにわか成金。マフィア・カジノ・禁酒法…。その光と闇に狭間に乗じて、ヒトの心の弱さを突き、暗躍する者たちがいた。悪魔と呼ばれる人外たちである。
マグダラ修道会ニューヨーク支部に在籍する、悪魔祓い専門のシスターロゼット・クリストファは、かつて悪魔アイオーンによって連れ去られた弟ヨシュア・クリストファを取り戻す為、相棒であるクロノと共に激動と繁栄と闇に満ちた米国を駆け巡る。


声優・キャラクター
川上とも子、石田彰、千葉紗子、榊原良子、速水奨、皆川純子、桑谷夏子、井上和彦
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

修道女&悪魔少年コンビの魔術バトルものだが・・・かなり意外な結末に

「ゴンゾの奇跡」で有名なアニメ制作会社GONZOが2000年代前半から中頃にかけて制作したアニメ作品
「カレイドスター(2003年)」、「Solty Rei(2005年)」
を以前視聴してみたところ、序盤・中盤は少しグズついた展開で忍耐が必要だったものの、そこを何とか切り抜けてからの終盤、特にラスト近くの展開に、それぞれ非常に大きな感動を受けた経験があるので、同社の同時期の制作である本作にも手を伸ばしてみました。

【ジャンル】 修道女・修道士と悪魔入り乱れての魔術バトルもの
【放送期間】 2003年11月~2004年6月


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に大きな疑問を感じた失敗回

{netabare}
1 シスターロゼット / Pilot ☆
2 契約者 / The Covenant ☆
3 御使い / Apostles ★
4 罪人 / The Sinners ★
5 修道騎士 / Militia ☆
6 宝石の魔女 / jewelsummoner ☆
7 悪魔 / The Devil ☆
8 傀儡 / Falling rain ☆
9 ヨシュア / Joshua ☆
10 尖角 / Horn ★
11 けだもの / Gabriel Hound ☆
12 聖夜 / Holy night ☆
13 姉 / Marionette train ☆
14 祈り / Invocation ☆
15 追手 / The Pursuers ★
16 信仰者 / Believer ☆
17 共犯者たち / Accomplices ★ 
18 四人 / Photograph ☆
19 首 / Atonement ★
20 毒 / Temptation ★★
21 マグダレーナ / Mary Magdalene ★
22 さよなら / Sayonara ☆
23 ノイズ / The Noise ☆
24 クロノ / Chrno ☆
{/netabare}

◆総評

上記の通り、

(1) 序盤・中盤はさほど大きな動きがなく退屈気味の展開でしたが、そこはGONZO作品の常かと思って我慢して視聴を続けたところ、
(2) 終盤(第17話以降)に入って意外な展開が続いて、特に★★(星2つ)とした第20話では本作もこれでなかなか面白いのではないか、という期待を持ちましたが、
(3) ラスト3話の展開が、確かに引き続き意外ではあったもののの、結構淡白(ないし地味)で、第21話までの期待をはぐらかされてしまったような微妙な感想になってしまいました。

また、魔術バトルもの、という本作のジャンル上、どうしても以前に視聴した「灼眼のシャナ(2005年、2006年、2011年)」と比較しつつ観ていたので、余計に本作のバトルシーンの迫力不足や、個々のキャラクターの描き出し方や作品世界の作り込みの甘さを感じてしまったのかも知れません。

なお、本作の世界観やストーリー展開自体は、
(1) 「灼眼のシャナ」に匹敵するくらいのスケールの大きさを感じましたし、
(2) シャナにはなかった現実の歴史に起こった(とされる)出来事(例えば、{netabare}第一次世界大戦中のポルトガルで起こったとされる「ファティマの聖母出現と予言」や、一級の聖者に現われるとされる聖痕(stigma)や、迫りくる第二次世界大戦の足音{/netabare})の作品中への取り込みもあって、
その点に少し興味を惹かれもしたのですが、それも結局は中途半端に終わってしまっているように感じました。

最後に、本作の結末部分について、{netabare}主人公ないし重要登場人物が哀しい最期を迎えてしまい、周囲の人々がそれを悲しむ{/netabare}、という形で完結に向かう展開は、ギャグ多めの本作からはやはり意外で、ここで感動を受ける方々はきっと多いのだろう・・・と私も推測します。

ただし私自身は、例えば「CLANNAD」、「四月は君の嘘」といった、あにこれでも評判の非常に高い作品の結末についてさえイマイチ感動できなかった人であり、要するに本作のような結末のタイプからは感動のポイントがズレている人なので、その点で、同じGONZO制作アニメでも、前記の「カレイドスター」や「Solty Rei」(この2作は{netabare}ハッピーエンドです{/netabare})並の感動を受けることは、残念ながら今回は叶いませんでした。

従って、本作の個人的評価は、この「カレイドスター」(個人評価では総合4.2を付けています)や、翌年に放送が始まった同じ魔術バトルものの名作「灼眼のシャナ」(こちらも個人評価では総合4.2を付けています)との釣り合いを考慮して、さほど高い点数を付けることは出来ませんでしたが、それでも2000年代前半の同ジャンルの人気作として、やはりexperienceとしての視聴価値の十分あった作品と結論づけたいと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 33

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ダレがないガッツリ作り込まれたアニメ。結末が有名かな?

 2000年代中盤くらいにレンタルDVDでアニメを結構見ていた時代の作品の中ではかなり印象深いものです。数年の時間をおいて2回見ていると思いますので、話はまあまあ記憶に残っており、今更全話を見返すつもりもないですが、今回レビューにあたりポチポチと確認しました。

 まず驚くのは、作画がいいですねえ。画面全体が非常に丁寧な造りです。キャラデザは当時のラノベ的な感じがしますが、実際はコミックスです。原作と違いがあるということでコミックスの一部を確認しましたが、アニメ以上に綺麗な絵(特にロゼットとアズマリア)で驚いた記憶があります。

 で、本作が印象に残っている一番大きい理由は結末ですが、その他のキャラたちのエピソードも結構救いがなかったと思います。

 宗教的なギミックが散りばめられいますが、宗教を深掘りするわけではありあません。修道女設定も雰囲気や設定にはマッチしますが、テーマは生み出していません。
 キリスト教の教義の堅苦しさに対する人間性としての欲望を求めるような、善悪の相対化を狙っているとは思いますがそこが成功しているかどうかはちょっと不明です。ただ、宗教が人の不幸を救ってくれないような世界の歴史の理不尽さについては感じることはできました。

 宗教的なテーマが機能しない理由は、登場キャラがいろんなマイナス要素を背負わされて、そのマイナスをどうして行くのかにストーリーの大半を取られているからです。そこにあるのが宗教的な理不尽さではなく運命論的なもので、主に兄弟姉妹の因縁が中心でした。

 同様に、アストラルラインとかパンデモニウムとかいろいろあり、物語としては奇麗に機能していますが、テーマ性やアナロジーとしてはあまり機能していなかった気がします。

 ただ、それが面白くないという意味ではありません。多少の遊び回はあるし、1クール12話の現在に比べれば緩いテンポの回もあるものの、結構無駄なく2クールでストーリーが進みます。
 先ほど言った通り、キャラの背景が説明されているので、次にどうなるかという興味が持続します。

 惜しいのが、ちょっと因縁というかストーリーの作り込みに力が入りすぎて、キャラが記号化した気もします。例えばロゼットの好物は?何が苦手?得意なのは?それはなぜ?みたいな作り込みが甘い気もしました。クロノとアイオーンも要するにロゼットの奪い合いでした。2人の思想的な葛藤が過去回想からもうちょっと描けてれば、と思います。

 そして、何といっても結末です。クロノの力を発揮するための代償として、ヒロインの命の時間という非情な設定が物語全体を貫いて、それがどうなるのか?という問題が一番大きいです。聖痕=マリアで非人間的な存在としてそれを上手く処理するのかなあ、などと思っていたら、そうきますか!!という最後で、かなりの衝撃を受けた記憶があります。

 ということで、エンタメとしてはガッツリと面白いし、かなり見ごたえがあるアニメだと思います。2クールですがダレはないと思います。ストーリーキャラはもちろんですが、作画が丁寧で色合いも良く「アニメを見た」という満足感が高いです。
 声優・音楽は今見るとそこそこですが当時のスタンダード以上だとは思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 4

coldikaros さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

これは・・・^^;

あれ?原作完結後のアニメだった気がするんだけどな・・・
原作のラストでは泣いた記憶があります。
このアニメ版のラストは、後味悪いの極みですね^^;
これは元々ですが、設定自体が結構えげつなく、初めからあまりハッピーなラストを想像できません。
敵方の策略や行動も尋常じゃなくえげつないものがありますので、心が抉られます。
バットエンドや絶望にこそ心ときめくって人にのみ一応おすすめできます。
ですが原作に比べると、どうしてもラストの演出の弱さが目立ち、これなら原作の漫画を見たほうが満足感を得られると思います。
うーん。本当にどうしてこのような方針になったのか、アニメ側にも原作側にも利益はないと思うのですが。
ラストが全体の評価を大きく下げてしまった残念な作品ですね。正直まったくおすすめできません^^;

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3

72.1 4 アメリカでファンタジーなアニメランキング4位
ズートピア(アニメ映画)

2016年4月23日
★★★★☆ 4.0 (189)
1100人が棚に入れました
体の大小や、肉食か草食かに関わらず、動物たちが平和に共存する大都会ズートピアを舞台に、夢を信じる新米警官のウサギ・ジュディが、夢を忘れた詐欺師のキツネ・ニックと共に、ズートピアに隠された驚くべき事件に挑んでいく姿が描かれる。

声優・キャラクター
上戸彩、森川智之、三宅健太、玄田哲章、竹内順子、高橋茂雄
ネタバレ

Dkn さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

ディズニー映画? どうせお涙頂戴なんだろ? ってな人にオススメ出来る映画

2016年でもTOPクラスに有名な、アニー賞とアカデミー賞をとった傑作。

アメリカ合衆国が自国で抱える問題や、人類の歴史の中で何度も起こる避けられない問題などを題材にして、それを動物に置き換え描写する映画。面倒で重苦しく聞こえる題材を見事に痛快な娯楽作へと昇華させています。このアニメはどんな見方をしても面白いんじゃないかな?

特に私のように捻くれている人間はドンピシャでハマリました。

作中で出てくる問題。動物達が共存する為のルールは、私たちの社会や倫理観にも関係してくる。

娯楽作として出来がいいので親子で観ても全然感想は違うけれど、両方楽しめるでしょう。

思考を巡らせ、映像を楽しみ、シャープで、さらにスピード感のある展開で飽きさせない。


このアニメが欠片でも面白く感じないなら、私はお手上げかもしれないです(笑)

【↓ネタバレ(雑記)見なくても問題なしw】
{netabare}
夢見るロマンチストの主人公と、リアリストの相棒の対比が素敵でした。

スゴイなと思ったのが2人の性格をあまりクドくしない事。真逆に掘り下げて行くのかと思いきや、2人ともお互いの話に耳を傾け柔軟な発想をしていくんですよね。視聴者側のストレスになる寸前でサラリと進む感覚があって、絶妙だなと関心。

序盤の細かいところで、動物の大小によって列車のドアが別々に分かれている部分。

これだけ見ても種族としての強い弱いではなく、個々が尊重される社会を形成しはじめている事がわかります。常識や倫理観が徐々に整えられようとしている段階。数年もすれば全体の意識が大きく改革される時期なのでしょうか。それとも根付いた常識とは別に、歪んだ考え方が今だに払拭できない停滞期を続けているのか・・。田舎と都会の意識の違いも上手く描かれていましたね。

象徴的なシーンで、「サハラ・スクエア」「ツンドラ・タウン」「レインフォレスト地区」を列車で抜けるシーンでは、まるでテーマパークのような広大さと、これから始まる新しい生活を表していました。動物が共存するためにエリアを分けて、その為の“施設”を視聴者に紹介する場面でもあります。(熱帯雨林の環境を作り出すために人工樹木を植え、スプリンクラーで雨を降らし湿地を再現する等)

この映画は何重にも仕掛けられた映像的な魅力が込められているので、何度観ても楽しい。

肉食獣と草食獣。そして様々な動物が共存に成功した街「ズートピア」

このトンネルを抜ける度、全く違う景色が広がる線路の配置は大都会であるズートピアがどんな街なのかを、一発で見せることの出来る宣伝効果を狙った場所なのでしょうね。外からの客に見せるための広告。ここから既に“共存”を目指した街の本質が見え隠れしています。

ただ人種差別だけをテーマにしてるだけじゃなく、この作品では権力の浅ましさや欺瞞という現実社会で常に存在する問題をも作中で扱っています。ここから来る問題提起に対して主人公や相棒が立ち向かい解決していく姿でカタルシスを生み出しているのですけど、これもまた絶妙なのです。ディズニー作品でCG技術や音楽などの豪奢さ絢爛さに圧されない脚本を感じたのは久々・・いや、ここまでの物は初かもしれません。


ここからはクスッと笑った場所を少しだけピックアップ。

捜査で向かう『THE MISTIC SPRING OASIS』という場所。これは笑いましたねww

ヌーディズム(ネイチャリズム)を表現し、服を着て羞恥心を持って生活しているはずの彼ら動物たちが生まれたままの姿で行動している。よく変態性を追求した通好みの映画でこういう描写を見ます。けれど動物がやると全く意味合いが違ってくる。完全にギャグにしてしまっていますがエッジの効いた部分でもあって、この映画の面白い要素の一つ。

様々な動物が共存出来ているように見えるが、一度問題が起きて仕舞えば取り返しがつかない。例えばネズミ達の全てのスケールが小さいエリア。ここでサイズが普通の動物が大捕り物をやれば大惨事になる可能性もある。街が常に危険性をはらんでいる事がわかるシーンでもあります。真面目に考えなければミニチュアでの特撮の感覚で、街のバラエティーに富んでる部分で好きですね。

皮肉を交えたジョークが魅力の本作なんですが、海賊版のバイヤーを作中で出すのは笑いました。

【↓自社タイトルをもじった物】
ブーマックス、塔の上のヒヒンツェル 、ツノーラッシュ、モアニャ〜、ジャックとキリンの木、ラッコと海の女王…等(笑)ベイマックス、塔の上のラプンツェル、シュガー・ラッシュ、モアナ、ジャックと豆の木、アナと雪の女王。。。ですねwチョイスはSTAFFが関わってるものが多いかな?

ライオンの市長が肉食のライオンであることや、羊の副市長で女性であること。仕事を副市長に任せ、秘書的な扱いであること。(ライオンは自身で狩りを行わずメスに狩りをさせる)

先を予想させる場所とミスリードを誘うバランスも上手い。

例)肉食獣が凶暴になる→市長 羊のバイヤー兼スナイパー→羊市長

これらの一目瞭然の推理させる場所と、ミスリードを誘う部分の散りばめ方が丁寧でしたね。

マイナスポイントなんて少しも無いんですけど、ケチをつけるなら悪役キャラクターにそこまで魅力がなかったかな?街の住人はすごく魅力がありました(笑)最高です。これはメインの2人を掘り下げて行くためでもありますが、次作を予想させるものでもある。変わらず登場するであろう住人は魅力的に。退場させるキャラクターはあっさりと。考え違いかもしれませんが続編があれば生きてくると思われます。

記憶にあるものをいくつか抜粋しましたが、この他にも沢山面白ポイントがありました。

総評としては・・・色々凝っていて面白い映画だった。続きが見たいですね(^^♪
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 18

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

これが本当の《意識高い系・社会派アニメ》。やるなディズニー!

本作については、一時あにこれの2016年春シーズン作品ランキング1位になっていたことから、個人的に結構気になっていたのですが、わざわざ映画館に足を運んで鑑賞するに至らないまま、いつの間にか上映期間が終わってしまいました。

それが先日、たまたま視聴する機会があり、これが私の事前の期待を遥かに超えて興味深い内容だったので、これは早速、紹介レビュー書かなくちゃな、と思った次第です。

さすがのディズニー作品・・・というよりも、むしろこれ、アメリカじゃないと到底、発想が生まれないし企画も制作も通らない種類の作品だったんですね。

幾ら金が掛かっているのか分からないフル CG技術は勿論秀逸だと思いますが、それよりも本作の場合は、シナリオが実に見事で、見ていて何回も「う~ん、そう来たか」と唸ってしまいました。

だいたい、CG技術だけなら『アナと雪の女王』で既に同等なものを見ていますし、私の場合は、以前書いたレビューのとおりアナ雪のシナリオは実は大して評価していません(・・・というより字幕版と日本語吹替版の2回も鑑賞したにも係わらず、アナ雪は私の頭の中ではとっくの昔に風化した作品になってしまっています)。

だけど本作は、たった一回視聴しただけなのに、かなり鮮明というか、今後もきっと長く忘れられないだろうな・・・と今から確信できる程の強い印象が残りました。

それは、アナ雪に代表される「安心できるけど詰まらない」印象(私だけ?)のディズニー作品というよりは、アメリカという国と社会が現実に地上に存在し、そしてそこへの“問題意識“と、しかしそれでも、それを努力して乗り越えようとする制作者側の“希望”とが滲み出ているようなコンセプチュアルな作品、“日本という国と社会”があってこそ生まれる見事なアニメ作品(*1)があるのとパラレル(平行)な関係で、現代の“アメリカという国と社会”があってこそ生み出された作品・・・という風に私には見えたわけで、そういう意味で、本作こそ正真正銘の《一見の価値がある作品》と個人的に捉えたいわけです。


◆「被害者ビジネス」「弱者利権」「ポリティカル・コレクトネス」「ソーシャル・ジャスティス」

要は、こういう言葉に少しばかり関心がある人にとって、見応えのある作品ではないか、と私には思えたわけです。

そういう意味で本作は、日本のアニメ作品の中でも《社会派アニメ》とか《意識高い系》と一部で評されており、私も実は以前に少しばかりの期待をもって視聴してみたものの、結局「何だコレ?こんな浅い内容で終わっちゃうの?ガッカリだなあ・・」という感想にしかならなかった作品群(あえて具体名は出しませんが)とは、完全に一線を画す作品に個人的には見えたわけです。

ちょっと解説すると、「被害者ビジネス」とか「弱者利権」というのは、読んで字の如くですが、“自分が被害者だ・弱者だ”ということを(それが事実かどうかはともかく)殊更に強調し感情的に捲くし立てることによって、相手側のまっとうな理屈に基づく異論反論までをも遮断して、自分の都合を押し通すタイプの問題行為であり、とくにアメリカでは、1960-70年代のいわゆる「それまで差別され抑圧されていた人々」の「解放の時代」が一段落したあと、1980年代に入って以降に、今度はそのやり過ぎの反動として顕在化してきた問題で、政治的あるいは社会的に「ポリティカル・コレクトネス(政治的適正さ)」とか「ソーシャル・ジャスティス(社会的正義)」とは何か?ということを巡って、長々と真剣な議論が続けられ、司法的ないし政治的な判断が時に示されたり、双方の部分的な合意がこれまで積み重ねられ続けている重要かつセンシティブな事柄です。

そういう点で、アメリカとは国や社会の成り立ちや在り方に違いのある我が国の場合は、問題意識そのものが、アメリカに比べるとどうしても浅く甘い感じになってしまい、問題の片方の側だけ(つまり自称「弱者」の側の主張だけ)をやたらに扇情的に強調するだけのタイプの作品がこれまで目立っていた(今も目立っている)ような印象が個人的にはあり、前述のような《社会派アニメ》とか《意識高い系》とされる作品について、これまで視聴済みだけれども特に評価すべきほどの感想も持てず、かといって別に酷評するほどの感想もないので、そのまま放置してきた作品が幾つかあるわけです。

その点、本作は、私にとってほぼ初めて、肯定的な意味で《社会派アニメ》として高く評価したい作品となったわけで、そういう意味では、自分がこれまで高評価を付けてきた、自分が何度も見たくなる《大好きな作品》というわけではないので、個人的な評価点数をそうした種類の作品の限界と決めている4.4としました。

公式サイトによれば、8/24にBD/DVDがリリースされるそうで、それを機会に、より多くの方に視聴していただきたい個人的な《お勧め作品》となりました。

(*1)日本ならではの作品・・・それは主に、世界基準だと異常なくらいに“感情描写が繊細な”作品群と個人的には考えています

投稿 : 2024/11/02
♥ : 37
ネタバレ

NANA さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

楽しい映画。でもハードル上げ過ぎたかも…

評判が良くて気になっていたのですが、ようやく視聴しました。
これぞディズニー、愉快なキャラクターや近未来都市の世界観、テンポの良いアクションとストーリー、子供から大人まで楽しめる映画ですね。
キャラ造形はクオリティが高いし、街も細部まで作り込まれていて見る人を飽きさせません。あと、背景のCGっぽさを抑えた色合いが綺麗でした。(井上直久さんの絵を思い浮かべました。)

ストーリーはわかりやすいけど、少し説教臭く感じました。最近のディズニーはインサイドヘッドと言い、教育的要素が前面に出ている作品が目に付きますね。
まあ、でも楽しむには十分な出来。
それよりも、わかりやすいストーリーでありながら表面的な部分しか伝わらず、深く考えさせられるまでは至らなかったのが残念。
差別問題を扱っているのはわかるけど、結局この映画で何が言いたいのか分からなかった。悪者捕まえてめでたしめでたし。偏見は良くないね。夢を諦めずに頑張ろうね。仲間っていいね。自分の感性が鈍いのかもしれませんが、それ以上のものが伝わらないと言うか、全体的に薄っぺらく感じてしまいました。

唯一リアリティを感じたのは、ジュディが悪意なくニックを傷付けた時。自分では差別を否定しておきながら、無意識のうちに差別している。差別の根底にあるのってそういうところだよね。綺麗事言ったって直せない部分は誰にでもある。それを描いておいて、結局有耶無耶に終わってしまった気がする。まあ最後はハッピーエンドにするしかないのだけど。

監督談では、当初はニックが主人公の予定だったらしい。でも、それだとネガティブで映画のイメージが暗くなってしまうから変えたんだよね。要するに万人受けする方向に転換したと言うわけ。でも、そのせいでテーマがぶれた気がする。

と言うか、自分がアニメに求めるものが間違っているのかも…。楽しくて面白ければ良し。映像も完璧。
でも、何か物足りない。ハードル上げ過ぎたのかな?

アニメではないし差別問題を扱っているわけではないですが、一緒に借りたロバート・ゼメキス監督の『ザ・ウォーク』の方が夢や仲間や師弟愛まで感じられて満足度高かったです。他人が認めてくれることだけが夢じゃないんですよね。


2016.12.1 追記
解せなかったので、再度視聴しました。
映像は文句なし、ストーリーもそつがなく設定も細かいし、アクションシーンや小ネタも満載。とにかく、細部まで手が混んでいて贅沢な映画だなと。(お金あるなー)

なのに何かが足りない。心に訴え掛けてくるものがないんです。アナ雪やドリーで感じた鳥肌が立つような胸が熱くなるような、ぐいぐい引き込まれていく感覚がない。
前評判でハードルを上げすぎたせいもありますが、自分の場合感動の度合いが大きく評価に影響するようです。完璧に近いストーリーでもあまり惹かれないのはそのせいかも。
以下、完璧に近い映画にさらに注文を付けるという我が儘な意見です。ご了承下さい。

{netabare}
当初の主人公はニックの予定だったということで、意識的にニック視点で見てみました。
確かにその方がわかりやすいかも。ニックから見たら現実を知らず希望でいっぱいのジュディは考えが甘いと思っていたことでしょう。でも、夢を諦めず頑張るジュディに、夢を見ていた頃の自分を重ね、やがて自分を変えていく…そんな感じの王道ストーリーですね。
変化するのはニックの方です。ジュディの存在がニックを変える。
でも、転機となるエピソードがよくわかりませんでした。ニックが過去を語るシーンはありましたが、その前の心変わりするシーンが見当たらなかったのが残念。二人で協力して捜索している間にいつの間にか…ということなのでしょう。

あと、ラストの展開についても結果オーライというか、ニックとジュディの絆が実感として伝わりませんでした。ジュディがニックを傷付けた後、二人には乗り越えるべき課題があったわけです。台詞で謝ったり、問題を解決することでニックの汚名を晴らし償うという描き方でしたが、本質的な部分は乗り越えてないような?これ、見せ場にもなり得る気がするのですが…
あくまでも個人的な感想ですが、アナ雪では姉妹の絆が、ドリーでは親子の絆が真実として実感出来たのです。この映画にはそれがなかった。

例えば、ニックが撃たれた時の銃が本物で、ニックがジュディに襲い掛かる。でも、ジュディはニックを信じて逃げずにいる。ニックはジュディを傷付けないために自分を傷付ける…とか。ベタですかね?(そう言えば好きなアニメでそんなシーンがありました。)
でも、それくらいやってくれたら二人の絆で差別の壁を乗り越えたと実感出来たのですが。(もちろん、社会にはびこる差別が解消されたと言うわけではないですが、少なくとも二人の間の垣根はなくなったと実感出来たはず。)

何でもかんでもお涙頂戴を入れれば良いといういう訳ではないですが、一番大事な部分が疎かになってしまった気はします。
でもまあ、かなりハイレベルな要求ですので。(^^;;
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17

62.9 5 アメリカでファンタジーなアニメランキング5位
牙-KIBA-(TVアニメ動画)

2006年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (87)
645人が棚に入れました
無機質で閉鎖的な世界「カーム」に住む少年、ゼッドは、「扉や門を壊せば違う世界に行ける気がする」という思いにとらわれて街を破壊して回り、学校や警察から追われていた。親友のノアは彼を心配するが、彼の事情を知っているだけに何も言えない。ゼッドの母であるサラは精神を病んでおり、病室で日々を過ごしていた。そんなとき、ゼッドを追って来た教師が突如豹変し、狂人となってゼッドに襲い掛かる。それに呼応するように廃人だったはずのサラは正気を取り戻し、得体の知れない力を使って教師と戦う、何が何だか解らないまま、必死で警察から逃げ回るゼッド。追い詰められたとき、彼のもとに現れたのは、巨大な光の渦だった。無我夢中で渦の中に飛び込むゼッド。やがてたどり着いたのは、「シャード」の力を使う能力者「シャードキャスター」が戦う、戦乱の異世界だった……。

声優・キャラクター
吉野裕行、堀江一眞、水樹奈々、大木民夫、三木眞一郎、山口勝平、井上喜久子、家中宏、井上麻里奈
ネタバレ

windnaut さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

完成されたヒーローズジャーニー

ファンタジーの中でも大好きな一作。中学の時、高校の時、大学に入ってからも、何度も思い出しては見返してた。

アニメというより文学に近い作品。

ズべコべ言わず周りのキャラが闇落ち、破滅していく中でただただ世界を救える強さを求めて旅して流されても戦って成長していく主人公は本当にかっこよかった。

薦めづらいけど自分の中では指五つに入るアニメです。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

Tip:
この作品はもともとアメリカのTCGが原作で 物語はアメリカの英語教育リトリチャーの一環でで出てくるHero’s Journey系の物語です

ヒーロズジャー二ー系の物語は
1.Calling(天命)
2.Commitment(旅の始まり)
3.Threshold(境界線)
4.Guardians(メンター)
5.Demon(悪魔/逆境)
6.Transformation(変容)
7.Complete the task(課題完了)
8.Return home(故郷へ帰る)
って流れが決まっていて 大人が子供に言い聞かせ伝承していくテンプレの元作られてるので あんまり深く考えず「次どうなるの?」って感じでわくわくしながら主人公の旅を楽しんだら見やすいと思います

放送時次主人公にどんな試練が待ち受けてるのかわくわくしながら毎週楽しみでした。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

隠れた名作に選んだ理由:

{netabare}
「物語」:
主人公ゼットの旅:
1.カームを飛び出したいゼット
2.左手にシャードキャスターの特徴が浮かび上がる
3.風の導きで殺風景のカームからのどかなテンプラーへ
4.老師ジーコとの出会い 無理やりジーモットへ
5.ノアの変貌 ジャウスト レベッカの悲劇 ロイヤの変貌 絶望の地タスク カルブフーでの闘争 キースピリットをめぐっての争い *****陥落 サラ登場 再びタスクへ 最終決戦
6.(ゼットが)シャードを使いこなせるようになった ランボスゲット アミルガウルを呼び出せるように アミルガウル開眼、ゼットを認める。
7.タスカー撃退
8.アミルガウルと旅へ

たった51話にこれだけの試練を盛り込めたシナリオスタッフに関心、息抜き回なども入ってたからもっと大変だったはず。

それも一つ一つがゼットの戦技/心の在り方に変化をもたらすために設計されてるので、それをもたらすにはどうしようかと逆方向にシナリオを描いてるスタッフさんが見えた気がする。

だから物語一つ一つが丁寧に設計されていて、見ててもだるくならない。しかもそれを主人公がどうかではなく周りのキャラを立たせて主人公を流して苦しめさせる手法が巧妙、その一方で主人公がひょうひょうとしていて視聴者にそれを感じさせない。そのバランスのとり方が上手であのカオスの中ハラハラドキドキワクワクの微妙な空気をさりげなく醸し出した。そのさりげなさが美しいと私は思います。

素晴らしいお話なのに何故か視聴者が評価をあげられない矛盾はシナリオスタッフが優秀だったからだと私は思います。

それが私はこの作品をアニメより文学に近いと思う理由です。

ダークで皆に薦めづらいが私は大満足だったので4.5点にしました。


「声優/キャラ」

すべてのキャラはゼットのために存在していて上で述べた手法を使ってるのでキャラの個性、魅力がものすごく引き立てられています。ついついよく見かけるキャラを殺すための殺害がなく、ゼットのためにほぼすべてのキャラがゼットのための死、闇落ち、変化などの結末が設計されています。「この作品のキャラたちは制作陣にすごく愛されてるのだなー」とモニター越しに感じました。

そしてそのキャラ達を引き立てる声優陣も素晴らしかったです、キャラクターたちに命が吹き込まれたようでした。

でもやっぱり薦める上では押してたキャラが突然死、闇落ちなどは嫌だよね。4.5点

「作画」
まだ手書きメインの時代、長編で作画崩壊が起きるのは普通だと思うので別に騒ぐことだと思いません。4:3のスクリーンが懐かしい。それでも壊滅的な作画崩壊は印象に残ってないのでいい方だと思います。

いまどきの作品とくらべて画面が落ちているのと、たまにある作画の問題で3.5点。極稀に非常に作りこまれた戦闘シーンが出たりする(主にシャード抜きの戦闘)

「音楽」
BGMの使い方が非常にうまい。どういうシーンでどの音楽が使われるのがほぼ決まっていて気を払ていれば後半大体どの音楽が来るのか当てられるようになります。作曲者は目的をもって音楽を作ってるはずなんですが。どこにどの音楽を使うかは監督が決めること。BGMも一曲一曲複雑ではなく同じようなメロディーが流れていくタイプが多く派手さはありませんがそのシーンを物語に付き添う形で盛り上げてくれます、それが本来BGMの在り方ではないでしょうか。

すべては物語のため。牙らしいです。

{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 1

ワドルディ隊員 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

明らかに子供向けではない「日曜朝の爽やかアニメ」

この作品は、トレーディングカードゲーム『牙』を原作とした
TVアニメである。タイアップものではあるものの、アニメ本編に
カードが登場することは全くと言っていいほどないため、別もの
として考えたほうが良いだろう。
前番組が「ゾイドジェネシス」、後番組が「天元突破グレンラガン」
だったことも相まって、非常に知名度の低い作品でもある。

作品のジャンルとしては、異世界物の一種だが、想像以上に暗く
重々しいストーリー展開になっている。
「そこらへんにころがってる異世界物と大して変わらんだろ」
と高を括ると、痛い思いをするだろう。

なぜなら、この世界においては、人間同士の闘争、反逆が頻繁に
起こるからだ。人が殺し合いをする回が圧倒的に多く、
常に鬱展開のような状態。
その上、愛憎劇の要素も含むので、油断ならない。

声優ですら「今日は誰が死ぬんだろう」と話していた位だ。
現場の雰囲気もすごかったに違いない。ここまで読むと
最後の最後まで救いのない話のように思えるが、バッドエンド
で終わることはないためその点は安心していい(?)
鬱展開への耐性がない人は視聴しないほうが賢明だ。

主人公ゼッドとその親友であるノアに焦点が当てられているが、
感情移入がしやすいのは、葛藤する場面が少ない上に劇中屈指の
強靭なメンタルを持つゼッドよりも、序盤から立て続けに
悲惨な目にあうノアの方だった。

冒頭では優等生であったノアが惨劇やカタストロフィを通じ、徐々
に変貌していく様に胸が痛くなった。方向性の違いからゼッドと
対立していくので尚の事。途中からゼッドよりもノアの方に
意識を割いていた自分がいた。

最初の頃は、「ノアを主人公にした方がいいんじゃないのか?」と
思っていたのだが、今思い返すと、主人公は精神状態が安定
しているゼッドで問題はなかったように思う。

敵味方、男女問わず思い入れのあるキャラクターが多く、
選び出すとキリがないのでここでは二人に絞りたい。

一人目は、強さこそ至上を信念としている国、ジーモット3幹部の一人
ヒュー 。ゼットの宿敵として立ちはだかる悪役だ。
腕が立つだけに留まらず、狡知な野心家としての顔ものぞかせる。

残虐な性格の持ち主で、ネオトピア侵攻編ではそれが顕著
に表れる。その時の光景を目にしたとき、私は余りの外道っぷり
に舌を巻いてしまった。人によっては目を瞑りたくなるだろう。
ちなみに、このヒューを演じたのは山口勝平。
当時でもかなり珍しかったようで話題になっていた程。

二人目は、劇中屈指の被害者でもあるゼッドの母親、サラ。
向こうの都合によって強引に巻き込まれてしまった非常に
可哀想な人物である。それによりアミル・ガウルと呼ばれる
強力なスピリット(いわゆるペルソナの様な物)の魔に
憑りつかれてしまった悲しい過去を背負っている。

ここで、少しアミル・ガウルについて触れておきたい。
アミル・ガウルとは、スピリットの中でも非常に強力な
キースピリットの一種であり、劇中最強クラスの強さを誇る
スピリットだ。

ただし、アミル・ガウルには拒絶反応があり、それによって
人が発狂し挙句の果てには死亡してしまうこともある
とても恐ろしいものだ。
無論、サラもアミル・ガウルの拒絶反応があり、本来は
苦しいはずなのに彼女にとっては必要不可欠なものと
して捉えられている。

なんと、サラの場合は拒絶反応と同時に中毒症状が起きており、
一種の薬物依存症の様な状態に陥っているのだ。そんな状況なので
正常な判断ができるわけもなく、終盤は目的のためならば手段
を選ばない外道と化してしまっている。

本来の所有者であるゼットから、とある方法でアミル・ガウル
を手に入れようとするシーンは冷や汗をかきそうになるレベル。
それを見た瞬間、牙本編の中でもBEST3に入る程非常に
インパクトのあるシーンだと私は確信した。そのシーンを
抜粋した動画もあるようなので気になる人はどうぞ。

鬱展開で進んでいく異世界物を求めたい方
にはオススメ。但し、これでもかといわんばかりの鬱要素が
詰まっているのでそこだけ注意して欲しい。

個人的には、名作の域に入っても不思議ではないと感じるほど
とても面白かった。 間違いなく良作だと思う。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9

奈悠 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

結構硬派なバトルアニメ

かなり前に視聴した作品。

当時は、元がカードゲームとは知らずに視聴していました。
むしろそういった内容は微塵も感じません。
子供向け枠にて放送されていたが、けっして子供が見るような内容じゃないくらいにかなり濃厚な物語になっています。
また要所要所の効果音がかなり印象的でした。
全51話と長いですが、バトル物が好きであれば楽しめる作品です。


こんなお話
カームの街に暮らす15歳の少年・ゼッドは、日々やり場のない苛立ちを持て余していた。
もっと自分を生かせる場所が、どこかにある気がする―。

ある日ゼッドは、不思議な風に誘われ、時空の裂け目へ飛び込む。
その先にあるかも知れない、「答え」を求めて。

風に乗って彼が舞い降りたのは、
《シャード》と呼ばれる魔力の結晶体を操る《シャードキャスター》たちがしのぎを削り、
対立する領域同士が終わりの見えない戦争を繰り広げる異世界だった。

シャードの力で魔術や《スピリット》と呼ばれるモンスターを自在に扱うシャードキャスター。
その力に魅了されたゼッドは、自らもシャードキャスターを目指す。
だがゼッドはまだ知らなかった。
この世界の行く末を左右する力をもった強大なスピリット「アミル・ガウル」が彼自身に宿っていることを―。

時間、空間、全てを超越した世界を舞台に描かれる、
壮大なファンタジック・アドベンチャーが、今、幕を開ける!
(公式より引用)

OP
「Sanctuary」(第1話 - 第26話) 玉置成実(12th Single)
「儚く強く」(第27話 - 第51話) ユンナ(9th Single)

ED
「Very Very」(第1話 - 第13話) アフロマニア(1st Single)
「solar wind」(第14話 - 第26話) シュノーケル(Indies 1st Single)
「STAY GOLD」(第27話 - 第39話) ライムライト(3rd Single)
「世界の果てまで」(第40話 - 第51話) 高田梢枝(3rd Single)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3

70.1 6 アメリカでファンタジーなアニメランキング6位
Mr.インクレディブル(アニメ映画)

2004年12月4日
★★★★☆ 3.9 (57)
462人が棚に入れました
「トイ・ストーリー」「モンスターズ・インク」「ファイディング・ニモ」など数々のメガ・ヒット作を世に送り出してきたピクサー&ディズニー共同による長編フルCGアニメの第6弾。ピクサー初の人間キャラクターを主人公に据え、引退したスーパー・ヒーローとその愛する家族が世界の命運をかけて立ち上がる姿をユーモラスかつハートフルに描く。監督は「アイアン・ジャイアント」のブラッド・バード。 かつては世界の危機をいくつも救ってきたスーパー・ヒーローたちだったが、15年前にその桁外れの破壊力が問題視されて以来、スーパー・ヒーローとして活動することを禁じられていた。いまでは正体を隠し一般市民として暮らし、その大きな身体を持て余し気味のMr.インクレディブルもそんな元スーパー・ヒーローの一人。そして彼の愛する妻と3人の子どももスーパー・パワーの持ち主。彼らは普通の生活を送りながらも、それぞれに不満や悩みを抱えていた。一方その頃、巷では元ヒーローたちが次々と行方不明になる不穏な事件が続発していた。そんな中、インクレディブル一家にも陰謀の影が迫っていた…。

声優・キャラクター
クレイグ・T・ネルソン、ホリー・ハンター、サラ・ヴァウエル、スペンサー・フォックス、ジェイソン・リー、サミュエル・L・ジャクソン、ブラッド・バード、ウォーレス・ショーン、エリザベス・ペーニャ
ネタバレ

takarock さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

スピーディーで爽快なアクションの実現。そしてエンタメの真髄とは。

2004年公開、ピクサー制作のフルCGアニメーション映画です。
ピクサー長編アニメーション6作目であり、人間が主人公となる初の作品です。

例えばウルトラマンが怪獣をやっつけても
戦闘中に街を破壊して、怪我人も出してしまったという場合、
その損害賠償額を誰に請求するのかというと
ウルトラマンということになってしまうのかもしれません。
今の世の中はスーパーヒーローが活躍するには
あまり窮屈過ぎるということなのでしょうか。
本作の主人公Mr.インクレディブルことボブ・パーもそのような憂れき目にあってしまい、
さらには、政府の政策によってすべてのヒーローは引退に追い込まれてしまいます。
世間には正体を隠すことを余儀なくされた生活を送り15年・・・
ボブ・パーは保険会社に勤務、かつては同じくスーパーヒーローだった妻と
人並み外れたスーパーヒーローの能力を持つ長女と長男、そしてまだ赤ん坊の次男、
一家五人はなんとか普通の生活に馴染もうとしていました。

主人公のボブ・パーはかつての栄光が忘れられず燻っているというのに対して
その妻のヘレン・パーは非常に現実的で今の暮らしの安定に執着しています。
ロマンチストな男とリアリストな女と
この辺りは日本もアメリカも大差ないのかもしれませんねw

やがてこのスーパーヒーロー一家は事件に巻き込まれていくのですが、
家族一丸となって悪と戦うというのは、「劇場版クレヨンしんちゃん」っぽいですね。
日本の家族とアメリカの家族の違いという視点で観てみるのもおもしろいと思いますよ。

本作を観て私が感じたのは「やはり母は強し」ってことですかねw
常に我が子の安全を第一に考え行動する
ヘレン・パーは頼もしいとしか言い様がありませんでした。

さて、私は本作のストーリーについて深く言及していこうとは思ってはいません。
なぜなら、本作は実に単純明快な痛快アクションアニメ映画だからです。
仮にもレビューを書いているレビュアーとしてあまり言いたくない台詞なんですけど、
実際に観てもらった方が早いと思いますw

ただ、このアクションシーンが鮮烈なんですよね。
単純に凄い!爽快感が半端ない!!(まさに小並感)

一応どう凄いのか、その辺りを他のポイントと共に
ネタバレなしで語っていきたいと思います。


「不気味の谷現象」

{netabare}私は最近3DCGアニメーションに関心があり、
ちょこちょこと色々調べたりしているのですが、
その過程で知ったのが「不気味の谷現象」です。

これは元はロボット工学上の概念なのですが、
人間のロボットに対する感情的反応について、
ロボットがその外観や動作において、より人間らしく作られるようになるにつれ、
より好感的、共感的になっていくが、ある時点で突然強い嫌悪感に変わる。
人間の外観や動作と見分けがつかなくなると再びより強い好感に転じ、
人間と同じような親近感を覚えるようになる(wiki参照)。

この概念はアニメや映画でも用いられています。
3DCGアニメを観て「なんかキャラが気持ち悪い」って思ったことはありませんか?
単純な3DCGのポリゴンキャラなら「なんか人間っぽい!」と好反応を示すも、
徐々に人間に類似していった時にある境目を越えると
「マネキンみたいで気持ち悪い」というような拒絶反応に変わるというのが、
「不気味の谷現象」です。
「近親憎悪」に近い感情的反応だと思います。
私は「あるある!!」ともの凄く納得してしまいましたw

本作では人間が主人公ですが、デフォルメ化されており、
この「不気味の谷現象」を回避しているのですが、
ピクサーも不気味の谷を避ける試みであったと述べているようです。{/netabare}


「アクションシーンについて」

{netabare}本作のアクションシーンは、ヤムチャなら「目で追うのがやっとだ・・」と言うくらい
スピーディー且つ爽快なんですよね。

その素晴らしさについてここでは漫画のアクションシーンを引き合いに出して
語りたいと思います。

漫画のアクションシーンで特に重要なことは、
「誰と誰が」 「どこで」 「どのような」アクションをしているのか
ということになってくると思いますが、
例えば人気が出て安定期に入った作品によく見受けられるのが、
引き伸ばしの為か必要のない無駄なコマがやたらと多いというのがあります。
逆にコマをカットし過ぎても「何をやっているのかよく分からない」という
状況に陥ってしまうわけです。
その場合は何度か読み返してしまったりしますねw

過不足ないコマ割りで、どのような構図を取るのか
これが漫画におけるアクションシーンの肝と言えるでしょう。
そして、これが抜群に優れているのが鳥山明先生の「ドラゴンボール」です。
無駄のない必要最低限のコマ数で読者を迷わせることなく、
さらにコマ数以上のアクションを読者の頭の中で想像できるような構図取りと
言うなれば一切の無駄のない洗練された型と表現できるのかもしれません。

本作はキャラが画面上を縦横無尽に動き回るダイナミックさがあり、
細かいカット割りによって目で追うのがやっとというスピーディーな動きを実現し、
その上、「何をやっているのかなんとか分かる」という
視聴者を置いてけぼりにさせないようなアクションを実現していると思います。

アクションの流れの始点と終点(カットできない箇所)をしっかりと定め、
逆に、カットできるところはカットして作り出された
スピーディー且つ爽快なアクションは、
まさに「ドラゴンボール(漫画)」のような洗練されたアクションだと
思った次第であります。{/netabare}


最後に、とにかく視聴者はただ黙って観ていれば爽快さを感じるというのが本作の、
いや、ピクサー作品の凄さだと思いました。
分かりやすいフラグとなるシーンを提示して自然と次の展開を視聴者に予測させるよう
上手く誘導しているんですよね。
(例えば、岩にひびが入る→落石するだろうと視聴者に予測させるとかです)
だからごちゃごちゃと余計なことを考える必要なんてないんです。
作品に身を委ねてただ観ていればおもしろい。 
この辺は非常にハリウッド的な作りですねw

このような素晴らしいピクサー作品のあにこれにおける知名度の低さは
少し悲しくなってきます。

・単純明快なストーリー(テーマはどちらかと言えば大人向きです)。
・スピーディーで爽快なアクション。
・視聴者はただ観ていれば楽しめるということを実現させるきめ細やかな演出。

他にもキャラクターの魅力なんてことも挙げられますが、
これらは別に本作に限った話でなく、エンターテインメントの基本にして真髄なんです。
あとはそのクオリティをどれだけ高められるかなのですが、
そこに必要なのは、作り手たちの妥協なき姿勢、つまり灼熱の太陽の如き情熱です。
本作の放熱量は凄まじいですよ。そしてその熱に是非触れてみてください。
エンタメ王国アメリカから見習う点はまだまだ多いと強く感じた、ピクサー会心の1作です。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 31
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

これからもどうかスーパーヒーローたちが活躍できる社会であって欲しい。

2004年公開、ピクサー6作目の長編映画は超人的能力を身に付けた一家が主役のヒーロー映画。

しかし社会の異端者でもあるスーパーヒーローの世界観と
何かに付けて訴訟ばかり乱発する、かの国の現実社会との
衝突への着目から入っていく本作は、なかなかに世知辛いムードw


驚異的な対物理防御、怪力が自慢。一家の大黒柱である夫。

四肢がどこまでも伸びたり、膨らんだり。その他、飛行機操縦など多彩なスキルを持つ。伸縮自在な妻。

見えなさ過ぎて自ら自信喪失する程の透過能力や、絶対不可侵のバリア能力を誇る長女。

F1カークラスの超快足が自慢の長男。


表舞台に出れば世界新記録連発も間違いなしの超人一家も、
ヒーロー活動による損害賠償請求の激化からの、
スーパーヒーローを禁止する法律の成立により、
“普通”の家族であることを強いられ燻る日々……。
張り合いがないのか、パパもややメタボ気味w

けれど、やはりヒーローはリミッターなしのフルパワーで悪をとっちめてこそ。
その過程で、ちょっと?被害が出たくらいで、ガミガミとツマラナイことを言うもんじゃありませんw
お堅い現実とぶつかる中で、スーパーヒーローが再誕し、市民権を取り戻していく。
パパを始めとした家族のみんなも自分らしさと威厳を取り戻していく。
夢の再興に嬉しくなる良作CGアニメ映画。


そのCG技術が遺憾なく発揮されているな。と感じるのは、長男の全力疾走シーン。
カッチリと描かれた現実の風景や小物等が、
アニメキャラの干渉を受けることで、あり得ない形にヘコんだり、弾んだり……。
リアルからコミカルゾーンへ突入していく、
古のディズニー以来、連綿と受け継がれて来た米アニメーション作品ならではの躍動感。

それらの表現が、トップスピードに達して、
加速度的にエンターテイメント性が極まっていく。
ピクサーの実力の一端が窺えるワンシーンです。


……おっと、そう言えば、このヒーロー一家には、もう一人、末っ子がいたのでした。
まだ赤ん坊ですけどね……。
ただ、{netabare} 赤ん坊はある種のモンスター。こういう話って大抵、末っ子が一番侮れないもの。
家族の留守中、この子を世話するベビーシッターも決死の覚悟が必要です。
でも大丈夫。モーツァルトでも聴かせて落ち着かせておけば、きっと大人しくなりますよw{/netabare}


ヒーロー一家が現実の壁を突き破り覚醒してからも、
{netabare} 巻き込まれ事故のリスクが伴うマント付コスチュームは断固拒否する {/netabare}など、
シュールなリアリティを決して忘れないw

現代社会にチクリと一刺し二刺しするスパイスも効いている。イカしたヒーロー映画です♪

投稿 : 2024/11/02
♥ : 12

褐色の猪 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

ヒロイックファンタジーへの問い掛け

ヒーローは必要か?


ちなみにヒーロー≒ヒロイックファンタジーとするならば

高畑勲氏は監督第一作目「太陽の王子ホルスの大冒険」が(根底ではヒーローを否定してはいるが)唯一のヒロイックファンタジーで以後封印、
宮崎駿氏は「ホルス」後も作製していて「紅の豚」完成時になって漸く「この作品は作るべきでなかった」と後悔したそうですが、、
片渕須直氏は大学在学中既に「ヒーローは必要か」を考察されていて、職赴いてのち自身の作品としてヒロイックファンタジーは手掛けていない(と記憶)

他、アニメーターのみならず多くの小説家、漫画家等も一度は熟考した事があるかもしれません。
そして
この作品はディズニー自身への問い掛けになるのでしょうが、

「居てもいいんじゃない」と締め括るのがディズニーらしい。

まぁ余り気にせず(否定の先となるのは所謂ジュブナイルですから)、
認識ある大人が幼い子供達と一緒に観る娯楽映画として充分充実、
痛快アクションをたっぷり堪能しましょう。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 14

59.6 7 アメリカでファンタジーなアニメランキング7位
リーンの翼(TVアニメ動画)

2005年秋アニメ
★★★★☆ 3.4 (62)
427人が棚に入れました
現代の山口県岩国市、友人が起こしたテロ行為によって追われていたエイサップ・鈴木は海より現れた戦艦に乗っていた少女リュクス・サコミズがもたらしたリーンの翼の沓によって異世界バイストン・ウェルへと召喚されてしまう。
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

世代論から読み解く《富野監督作品》への違和感とその理由

※ロボット/メカ/軍事SF系アニメの視聴もそろそろ飽きてきたので、打ち止め的に(※長文注意)。

◆「桜花」操縦士サコミズ「聖戦士」となり現代の東京上空に出現。

昭和20年春の沖縄戦の初期、大挙して押し寄せた米軍艦隊が沖縄本島に向けて連日猛烈な艦砲射撃を行い、住民たちは命からがら丘陵地に避難する日が続いた。
ところが、そうした避難中に、ふと砲撃が途切れる時があり、住民たちが米艦の様子を確かめようと恐る恐る見晴らしのよい高台に登ったところ、眼前の海原に浮かぶ米艦群に向かって、神風特別攻撃隊が次々と特攻を仕掛けている様子が目に飛び込んできたという。
住民たちは思わず膝をついて、両手を重ね合わせて、神風特攻隊を拝んだ。
・・・そういう先の戦争でのエピソードを、どこかで聞いたことがあります。

{netabare}文金高島田(ぶんきんたかしまだ)の特攻人形がコックピットを舞う中で、70年前の自身の出撃を見送った女学生達の「・・・生き神様でした」という涙声を思い出したサコミズ・シンジロウは、ギリギリのところで自らの初心(※人々を守りたいという気持ち)を思い出して、東京への核爆弾直撃を阻止し、愛機オーラバトラー・オウカオーと共に消滅する、{/netabare}

・・・という本作終盤の展開は、そうした伝聞にヒントを得てシナリオ化されたもののように思えました。

本作の当て馬・ダミー主人公(日米ハーフの大学生・エイサップ鈴木)や、在日米軍基地や東京市街地へのテロ行為に及ぶ彼のルームメート達(うち一人は在日三世、もうひとりは在日米軍基地勤務者の息子)、怪しく蠢く米軍艦隊司令官、異世界(バイストン・ウェル)の面妖な妖精の女王・・・といった設定&シナリオには色々と難癖をつけたくなりますが、本作の真主人公(特攻機「桜花」元搭乗員サコミズ・シンジロウ)の《心情劇》として見れば、本作には一定以上の見どころがあり、結果的に3周もしてしまいました。

・・・ただし、そうは言っても、本作の内容に関して、個人的な引っ掛かりも多かったので、以下にまず短めの感想&総評を記すとともに、本レビューの末尾にその引っ掛かりの原因について少しばかり考察します。


◆本作への率直な感想と総評

昭和20年(1945年)夏、特攻機「桜花」で出撃中に異世界バイストン・ウェルに召喚され、同地でリーンの翼の力を得て「聖戦士」となった迫水真次郎は、{netabare}その後も米軍の行った東京大空襲・広島長崎への原爆投下・沖縄戦の悲惨な経験を一刻も忘れず、逆に自らバイストン・ウェルに建てた「ホウジョウ国」の王として同地のオーラ力を収奪して建造した軍艦(オーラシップ)&ロボトミー化昆虫型生物兵器(オーラバトラー)を束ねて地上界に帰還し、憎きアメリカを粉砕{/netabare}しようと、壮大な執念をたぎらせていた。

・・・ということで、「焼け跡世代」(※後述)であり1960年の安保闘争当時に学生時代を過ごした「安保闘争世代」でもある富野氏は、このサコミズ王に《自らの信条/心情を託した》のか?

・先の大戦で米軍に酷い目に遭わされた
    ↓
・だから絶対にアメリカは許せない!いつかきっと復讐してやる!

(※どうやらコレが富野氏の世代の共通意識なのか?)

・・・でも、それって、まさにビスマルクがいったという「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」という有名な警句にある、「愚者が(自らの直接的な)経験に囚われて(判断を誤ってしまう)」ってコトそのものじゃないでしょうか?
そうした「条件反射」的な反応ではなく、もう少し長期スパンで「歴史から学ぶ」ことは出来かったのか?

結局、本作は

<1> 「特攻隊員」のモチーフを巧みに利用しながらも、
<2> 富野氏が自身の所属する世代(焼け跡世代)の意識を、その上の世代(大正/昭和一桁世代)の意識の中に混入させてしまった“半可通”(中途半端)な作品であり、
<3> また、富野氏の世代の意識の“限界”を図らずも晒してしまった迷作

・・・という印象を個人的には強く受けました。
(※本作の各話はまずまず楽しめたものの、個人評点を余り高く付けなかった理由)。

《まとめ》
本作は全6話と短く、かつ、最終盤にある種の不意打ちが用意されている点から「ロボット/メカ/軍事SFもの」あるいは「戦史もの」が好きな人には、まず見ておいて損はない作品と思います。
とくに、富野監督の『ガンダム』『イデオン』などを色々視聴してきた方には、そうした一般向けに企画された作品では希釈されている同監督の「過去~現代の日本」への基本的な意識を、(※それを肯定的に捉えるか批判的に捉えるかは別として)少しばかり垣間見ることが出来る作品として意外と貴重かも知れません。


◆視聴メモ
{netabare}
・第1話視聴終了時点
ラスト近く(オーラロード開通時)の安直に子供を使った演出はイマイチ×。
・第2話視聴終了時点
地下世界バイストン・ウェルで地上から持ち込んだ携帯電話同士で通話ができる・・・というのは流石に設定が甘く白ける。
・第6話(最終話)視聴終了時点
文金高島田の特攻人形のシーンは予想外で、色々と引っかかる点はあるものの視聴して良かった作品と思った(唯一の★★(優秀回))。{/netabare}


◆制作情報
{netabare}
原作小説        富野由悠季(雑誌『野生時代』1983-86年連載)
総監督         富野由悠季
脚本           高山治郎、富野由悠季
キャラクターデザイン 工藤昌史
メカニックデザイン   篠原保、沙倉拓実
音楽           樋口康雄
アニメーション制作  サンライズ{/netabare}


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

=============== リーンの翼 (2005年12月-2006年8月) =============
{netabare}
第1話 招かれざるもの ★ 在日米軍岩国基地の騒乱(基地への学生テロ、オーラシップ(バイストン・ウェル軍艦)出現、エイサップ鈴木&リュクス姫の出遭い、リーンの翼出現、米軍艦載機の攻撃、オーラロード開かれる) 
第2話 ホウジョウの王 ★ バイストン・ウェルへ、フェラリオ達との接触、サコミズ王(迫水真次郎)との対面、コモン界の状況(ホウジョウ国・サコミズ王と叛乱軍指揮者アマルガンの対立)、サコミズ王の宿願(打倒アメリカ)、聖戦士の資格
第3話 地上人のオーラ力 ★ サコミズ王の日本侵攻計画、桜花と紙人形、聖戦士サコミズの事跡、地上人3人の初出撃(オーラバトラー同士の交戦、アマルガン&リュクス姫拿捕)
第4話 王の奸計 ☆ 叛乱軍への投降勧告・騙し討ち(怨念のオーラ・エナジーの利用)、ジャコバ・アオンの怒り、リーンの翼発動(サコミズ王&エイサップ鈴木)
第5話 東京湾 ★ 両軍オーラシップ艦隊地上へ、マキャベル(米軍パブッシュ艦隊司令)&コドール女王(サコミズ後妻)の同盟、学生テロリスト2人組狂喜(東京タワー破壊)、翼の見せる幻影(東京大空襲、広島原爆投下、エイサップ両親の過去、沖縄戦)、オーラバトラー・オウカオー&ナナジン現代の東京へ
第6話 桜花嵐(おうかあらし) ★★ 錯綜する思惑、戦況混沌、サコミズ王聖戦士化、学生テロリストの水爆強奪・起爆装置作動、マキャベル司令拘束、オウカオー・ハイパー化、サコミズ王翻意・核爆発吸収、後日譚(迫水家墓参){/netabare}
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★★★(神回)0、★★(優秀回)1、★(良回)4、☆(並回)1、×(疑問回)0 ※個人評価 ☆ 3.9

主題歌 「MY FATE」


※以下、富野監督作品を読み解く事前準備として日本の世代論を概括します。

◆日本の世代区分  ※通俗的な世代論に私見を加味
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(0) 明治アンカー世代(1898-1911(明治31-44)年生まれ){netabare}
 ・日露戦争(1904-05年)の勝利後に学校教育を受けた世代であり、若年期に第一次世界大戦(1914-18年)による好況と文化繚乱を経験。
 ・その分思想面で緩く育ち、1920年代にロシア革命とマルクス主義に傾倒する「マルクスボーイ」を多く生んだ軽薄世代でもある。
 ・1930年代の世界経済の危機と日ソ冷戦の進行に伴う国内世論の右傾化により思想弾圧を受け、過激な国粋論者に転向する者も多く出た。
 ・先の戦争の敗戦に続くGHQ占領期に今度は、その占領政策に迎合して戦前の日本を一方的に糾弾し下の世代に強い影響を及ぼした者も多い。{/netabare}
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(1) 大正世代(1912-1925(大正元-14)年生まれ){netabare}
 ・終戦時(1945年8月)に既に成人に達しており、戦後の価値観の紊乱にも「忍び難きを忍んで」耐え、復興に尽くした世代。
 ・先の戦争で兵員として最も死傷者を出した世代であるが、それを愚痴ることなく、頑固一徹、節を貫き通した人が多い。{/netabare}
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(2) 昭和一桁世代(1926-1934(昭和元-9)年生まれ){netabare}
 ・終戦時に10代を迎えており、上の世代ほどではないが、既に身についた戦前・戦中の価値観を戦後も堅持し続けた人が、実際には多い世代。
 ・逆に、この世代に該当しながら戦前の価値観を必要以上に強く否定する人は、戦後に後付けで特定の価値観に傾倒した「確信者」「転向者」。{/netabare}
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(3) 焼け跡世代(1935-1941(昭和10-16)年生まれ){netabare}
 ・GHQの指令と物資不足により、学校で「墨塗り教科書」を使った世代であり、価値観の混乱が全世代中最も甚だしい。
 ・にも拘わらず、そうした自分の中の価値観の混乱・不整合を「だからどうした」と開き直る図太さを持ち合わせた世代でもある。{/netabare}
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(4) 戦中生まれ世代(1942-1945(昭和17-20)年生){netabare}
 ・(3)までの世代と違って実際には戦争の記憶はないが、戦後の食糧不足・物資不足の記憶とそれに起因する被害者意識が最も強い世代。
 ・(3)~(4)には、1960年の安保闘争の時にデモ隊に参加ないし共感を持った人が多く含まれ、「安保闘争世代」「60年安保世代」ともいう。{/netabare}
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(5) 団塊世代(1946-1949(昭和21-24)年生まれ){netabare}
 ・戦後のベビーブーム期に大量に生まれた世代(第一次ベビーブーマー)で、自身の成長とともに高度経済成長期を謳歌。{/netabare}
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(6) ポスト団塊世代(1950-1954(昭和25-29)年生まれ){netabare}
 ・団塊世代に次いで人口が多く、ともに1960年代~70年代初めの高度経済成長期を謳歌した世代。
 ・ただし集団志向の強い団塊世代に対して、「個性」を強調して画一化を嫌うので「断層の世代」ともいう。
 ・(5)~(6)には、1970年の安保闘争の時にデモ隊に参加ないし共感を持った人が多く含まれ、「全共闘世代」「ベトナム戦争世代」ともいう。{/netabare}
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(7) しらけ世代(1955-1964(昭和30-39)年生まれ){netabare}
 ・安保闘争10-20周年にあたる1980年にデモを起こさず平静を決め込んだ学生層を含み、以前の世代に比べて政治的関心が低いとされる。
 ・第一次/第二次オイルショック(1974/80年)を挟む1975-85年の安定経済成長期に就職期を迎え、何事にも安定志向が強い世代。{/netabare}
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(8) バブル世代(1965-1969(昭和40-44)年生まれ){netabare}
 ・政治どころか社会活動にも余り興味を示さず、個人の趣味に走る傾向があり「オタク世代」「新人類世代」ともいう。
 ・1986-90年のバブル経済期に学生期~就職期を迎えたラッキー世代だが、その分社会に出た後は「仕事の出来ない世代」扱いされがち。{/netabare}
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(9) 団塊ジュニア世代(1970-1974(昭和45-49)年生まれ){netabare}
 ・団塊世代の子供の世代で、前後の世代に比べて人口が多い(第二次ベビーブーマー)。
 ・学生期にバブル景気を経験したが、1992-98年のバブル崩壊不況期に就職期を迎え「氷河期世代」「失われた世代」と呼ばれた。{/netabare}
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(10) ポスト団塊ジュニア世代(1975-1979(昭和50-54)年生まれ){netabare}
 ・ポスト団塊世代の子供の世代で、親の世代に似て「個性」を重視する傾向。好景気を経験しないまま、引き続き「就職氷河期」に直面。{/netabare}
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(11) しらけジュニア世代(1980-1988(昭和55-63)年生まれ){netabare}
 ・2000年代中頃の経済持ち直し期(小泉政権期)に就職期を迎えた世代。親の世代に似て安定志向が強く保守的。「2ちゃんねる世代」。{/netabare}
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(12) 平成一桁世代(1989-1997(平成元-9)年生まれ){netabare}
 ・2002-10年実施の「ゆとり教育」の直撃を受けたので「ゆとり世代」ともいう。前の世代に比べ基礎学力が低下。「SNS/Twitter世代」。{/netabare}
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(13) 世紀末・ミレニアム世代(1998-2001(平成10-13)年生まれ){netabare}
 ・2011年以降実施の「脱ゆとり教育」で挽回するも、依然「ゆとり教育」の影響が残る過渡期の世代。{/netabare}
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(14) 脱ゆとり世代(2002-(平成16-)年以降の生まれ){netabare}
 ・現時点で高校生以下の世代。{/netabare}
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※上記の世代論のうち、(1) 大正世代~以下の記述内容は、おおむね私たちの常識の範囲だと思います。
※ただし、一番上の (0) 明治アンカー世代 の記述内容は、最近20年程で実証的な研究が進んで今では幾つもの研究書が出版されてきているものの、戦後教育の影響で「戦前の日本は言論や政治活動の自由のない非民主的な暗黒国家だった」と頭から思い込んでいる人(※そういう人が現時点でどの程度いるのか知りませんが笑)には、「え?」と戸惑ってしまうものかも知れません。
※具体的には、宮沢俊義(憲法学者、1899生)、羽仁五郎(歴史学者、1901生)、美濃部亮吉(経済学者・元東京都知事、1904生)という今でも高名な(*注1)学者達がこの世代に該当し、彼らにやや遅れて (1) 大正世代の初めに該当する丸山眞男(政治思想学者、1914生)を含めた人々が、GHQの公職追放/教職追放によって戦前の教育を担った世代が追い出された後の戦後の学界をそれぞれ仕切り、 (3) 焼け跡世代~以下の人々に教育を施し、その過程で「戦前・戦中の日本は暗黒の非民主主義(ファシズム)国家だった」などと一方的に糾弾する、実際には根拠のない言説(※はっきり言えば“偽善的な虚偽の言説”)が戦後日本に長く流布してしまう原因になりました。

・・・いずれにせよ、本作の富野監督の属する (3) 焼け跡世代から、『攻殻機動隊』で有名な押井守監督の属する (6) ポスト団塊世代 あたりまでは、 (0) 明治アンカー世代が中心となって行った上記の「戦後教育」の影響が極めて大きく、それに、彼等が在学中に盛んだった安保反対運動/反米運動の影響も加わって、アニメ作品といえども(※あるいはアニメという若年層に影響の大きい媒体だからこそ?)、彼らの意識と価値観を反映した作品が多く生み出され、また彼等と同期の批評家たちによって実際の面白さや人気・作品価値以上にそれらの作品や制作者達が高く評価され続けてきたのではないか?

・・・本サイトでも非常に目立つのですが、これまで、アニメ雑誌などのその手の批評を鵜呑みにしてきた方は、一度そういう視点から、考察を広げていくと、また面白いかも知れません。

(*注1)戦後の論壇を長く仕切ってきた、いわゆる「朝日文化人・岩波文化人」の間で“高名だった”という意味であり、サンフランシスコ講和条約&日米安保条約の締結に奔走した吉田茂元首相に言わせれば「曲学阿世の徒(学問を捻じ曲げ時流におもねる者たち)」でしかありませんでした。←戦後の日本の歩みを振り返れば、結局どちらが正しかったのか?は、最早明白だと思います。

※以下、本作および富野監督作品に限定した考察。


◆世代論から読み解く『リーンの翼』と、富野監督作品への違和感の理由

本作の原作者であり監督の富野由悠季氏は、1941年(昭和17年)生まれということで、日本の通俗的な世代区分論によると、「焼け跡世代」に該当するのだとか。
なるほど、同監督の代表作『機動戦士ガンダム』(1979年)、『伝説巨神イデオン』(1980年)等を観ていた時は、そこまでハッキリとは思いませんでしたが、本作を観たあとだと、確かに“富野氏の属する世代”の思考・行動の傾向が、本作の真・主人公(サコミズ・シンジロウ)の混乱した言動の描出を通して、くっきりと浮かび上がってくる気がしました。

そういえば、しばらく前に視聴した富野氏の初期の監督作品『無敵巨神ザンボット3』(1976年)も「自分がそれまで信じ込んできた価値観」が最後の最後でひっくり返そうになって主人公が動揺してしまう所が、ほぼ唯一の見どころだった気がしますし(※シナリオ稚拙なので私の個人評点は × 2.9 と低めですが)、同じく富野氏の最初期の監督作品『海のトリトン』(1972年、原作者は手塚治虫氏)も、同様の構造のシナリオとなっているそうです(※ただし未視聴)。

※要約すると、

▲先の大戦で米軍は、東京大空襲/広島原爆投下/沖縄戦・・・と次々と残虐行為を行った。
▲だから、絶対にアメリカは許せない、いつかきっと復讐してやる!
▲アメリカに迎合し、その手下に成り下がっている今の日本政府も同罪だ!
▲今の日本政府を認容している腑抜けた日本国民は愚民だ!若者はもっと意識を高く持て!

・・・どうやらコレが本作の原作者兼監督・富野氏の世代(※1941~45年生まれの「焼け跡世代」)の共通の意識なのか?

そして、そうした意識は、彼らが学生時代を過ごした1960年当時に巻き起こった日米安保闘争(*注2)によってさらに強化され、その後、社会に出て行った彼ら(※いわゆる「安保闘争世代」)は、あるいは政界・官界に自ら入り込み内側からそれらを掌握することにより、あるいは新聞・TV報道さらには小説・マンガ・アニメといったマス媒体を通して民衆を「啓蒙」することにより、安保闘争当時には実現できなかった彼らの「革命」(“保守・反動的”な既存の日本政府の転覆と“世界平和の敵”アメリカへの鉄槌)をいつの日にか実現してやろう!という(※今の私たちから見て些か誇大妄想的な)「悲願」を胸に抱いたまま、今に至っている(らしい)。

(*注2) 60年安保ともいう。1952年4月28日のサンフランシスコ講和条約発効(日本の主権回復)と同時に発効した日米安全保障条約(※米軍の日本駐留と有事における日本の安全保障を確約した攻守同盟条約)の改訂に反対し破棄を求訴えて発生した大規模な学生デモ。

・・・そうした「焼け跡世代」「安保闘争世代」特有の意識が、富野氏の監督作品には常に溢れ出ていて、そのために同監督の作品は、代表作『機動戦士ガンダム』、『伝説巨神イデオン』がそうであったように、放送当時の本来の視聴ターゲットである子供たちには、実は全然受けずに放送短縮(ガンダムの場合)・打ち切り(イデオンの場合)の憂き目に遭ってしまう一方で、富野氏と同世代あるいは少し下の世代のアニメ批評家・制作者たちからは「自分たちの心情を代弁する監督」として絶賛を受けることになり、しかもその過熱ぶりは「富野監督作品を貶すことは一切許さない・認めない」とするほどに一方的に偏ったものであったがゆえに、ネットなど多種多様な批評媒体の存在しなかった当時、一般の視聴者ですら、「そこまで絶賛されている作品を面白いと思えない自分は間違っているのかも知れない・・・」と思い込ませてしまうほどだったと推測します。


◆(参考)1980年代前半の長編ロボット/メカ/軍事SF系アニメの実際の人気度
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(1)『機動戦士ガンダム』(富野由悠季監督、1979年):本来4クールで企画されたところ、不人気により3クール半に短縮(※その後、劇場版3部作でマニア受けに成功?)。
(2)『伝説巨神イデオン』(富野由悠季監督、1980年):本来4クールで企画されたところ、3クールで打ち切り(※その後、劇場版で補完し完結・マニアに好評?)。
(3)『太陽の牙ダグラム』(高橋良輔監督、1981年):本来4クールで企画されたところ、人気が高く6クールに延長して完結。
(4)『装甲騎兵ボトムズ』(高橋良輔監督、1983年):4クールで企画され、一般視聴者の人気を維持したまま無事完結。
(5)『超時空要塞マクロス』(石黒昇監督、1983年):2クールで企画されたところ、人気沸騰で3クールに延長して完結(※劇場版も大人気)。
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※このように実際に一般層に人気が出て放送延長が決まったのは『ダグラム』『マクロス』で、とくに『マクロス』は人気沸騰ぶりが凄まじく、最初は無視していたアニメ雑誌も後追いで特集を組んで人気に便乗する方針に切り替えるほどだった。

※一方、『ガンダム』『イデオン』はTV放送当時は短縮・打ち切りとなるほど不人気だったが、アニメ雑誌の批評などに強い影響を受けて、これらをエンタメ性の高い『マクロス』『ボトムズ』等よりも「内容が深い」等と思い込んだ当時の「意識高い系」の人たち(マニア層)の支持が徐々に広がって、1985年の『Zガンダム』以降の『ガンダム』シリーズ化につながっていった。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11
ネタバレ

ひげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

お禿げ様の愛を描き出すには予算がたらない!!もっとよこせw

意味がわからないと評判の本作。
とにかく富野監督の溢れる異世界バイストンウェル愛がおさまりきってない。

ふっるーい同名の小説版を既読だとわかるんですけど。
迫水が死なないで生き延びた場合のお話。
ifワールドですね。
ダンバインのバイストンも関係ないでしょう。


とても悲しい問題点

二次大戦時に特攻機桜花からバイストンに迷い込んでから真の聖戦士になった迫水王が現代日本情勢にからんでくる。
そのくだりがまず絶対にわからない。
いろいろ描写が足らないんです。
迫水のキャラクター、心理。キの字にしかみえません。そこがテーマでもあるのですが。
完全に尺やお金の問題。
ハイテンポなんです。すごくいい作品なのに。
大御所さまなので、なんとかやってはいるんだけど、たぶん小説よんでない、ダンバイン知らないひとはまったく?だと思うんです。

あんた誰?なんでアンタは攻めてくるのって。
日本人が異世界の王になっているということ自体がよくわからない。世界観を知っていればいいのですけども。

そこへ主人公のエイサップが迷い込み、異世界同士の戦争ものでありながらお約束で迫水の娘とのロマンスやらなんやらが語られる。

で、活躍しようがエイサップ君はどやっても傍観者でしかない。
結局主人公は先代の聖戦士である迫水王なのだ。



わけが分からないと思うのでまとめます。

{netabare}
2次大戦中バイストンウェルを平定し救世主となり人生一周回ってしまった、すごろくでいったらあがりになってしまった。
そんな旧主人公は祖国を思い何を考えるのかと。


テーマとして私は迫水が言うような反体制が問題じゃないとおもうんです。
ある物語でヒーローになった人間がその後どうなるのか、というのを描きたかったんだと思います。
そういった意味では逆襲のシャア的でもあります。

1つの世界を統一しちゃったわけですよ、この迫水さん。
トンでもない人です。
そこまでデキた人が、今の日本をみてどう思うのかってことなんです。稀代の英雄も覇業が終われば祖国のことを忘れられないんです。
命を捨てて守ろうとしたのに、原爆は落とされる、安保はある・・ビルはすごい・・なんじゃこりゃああ!!
日本はもっと美しい国じゃい!!オレはこんな国のために命を捨ててねえ!っと
横井庄一さんとはぜんぜん違うわけです。異世界の英雄をやっているだけに。
でも・・結局は日本を愛していました・・。

現代の日本に対しての批判、問題提起をしつつ去っていく。。。ただそこまでパンチがないというか相変わら極端なことは言わない。そこらへんが富野さんらしいなぁと。むかしからですよね。あんまり説教くさくない。特にアニメに関しては社会に対しての自分の意見も出さない。愚痴はいってもね。


伝説の聖戦士の生き様、それを見届ける新たな聖戦士。
彼が言うように現在の日本に至る情報を知ってるのかと?
これらを観ておまえもちょっとは考えろよっていう、そんな気のするお話です。
{/netabare}


オーラーバトラーの動きとかめちゃくちゃかっこいい。
見蕩れてるとあまりにお話が怒涛のようにすすむのでなにがおこったのかわからないままおわる可能性もあり。
起承転結のキャラの掘り下げと転部分、結のボリュームが圧倒的に足らない。監督の手腕だと尺と予算にしかみえない。バトルの見せ場もなくおわってしまう。
おしい・・実に・・・相変わらずキャラクターは立ちまくり、やっぱり監督は天才だと思う。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9

Anna さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

争う虚しさを描いた、富野監督渾身の王道ファンタジー!

富野由悠季監督がライフワークとして製作している、“バイストン・ウェル・シリーズ”の完結作品!1話30分、全6話のロボットアクションファンタジーです。

山口県の岩国市、テロの容疑で米軍と山口県警に追われていた主人公"エイサップ鈴木"とその友達は、"リーンの翼"と呼ばれる靴をはいた少女"リュクス"と、彼女の率いる羽の生えた軍艦の群れに遭遇する。
リュクス達はリーンの翼の力を使って、異世界である"バイストン・ウェル"からやってきたのだった。
リュクスと共に、バイストン・ウェルのホウジョウ国へと帰還したエイサップ達。
彼らは、王である"サコミズ・シンジロウ"が、強大な艦隊と戦闘メカ"オーラバトラー"を駆使し日本を配下にしようと企んでいることを知り、それを阻止しようと戦うのだった…。

まず、透明感のある鮮やかな色彩の映像がとても美しいです。多様されている七色の光や、オーケストラの迫力ある音楽が印象的でした。
虫型の形をしたオーラバトラーや戦艦の美しいデザイン、江戸時代のような衣装がとても凝っていて面白いです。
前シリーズ作品は見ていませんが、それでも十分に楽しめました。
心に響く、感動のラスト!!
過去の米軍とのむごい戦争を描きながら、王道ファンタジーの魅力も備えた、とても不思議な作品!

アニメファンなら、一度は見ていただきたい一作です!

投稿 : 2024/11/02
♥ : 4

62.2 8 アメリカでファンタジーなアニメランキング8位
カーズ(アニメ映画)

2006年7月1日
★★★★☆ 3.7 (47)
303人が棚に入れました
「ファインディング・ニモ」「Mr.インクレディブル」のピクサー社がクルマの世界を舞台に描く冒険ファンタジー。監督は「トイ・ストーリー2」以来6年ぶりとなるジョン・ラセター。主人公ライトニング・マックィーンの声はオーウェン・ウィルソンが担当、またハリウッドでも指折りのクルマ好きで知られるポール・ニューマンもメインキャラクターの一人、ドック・ハドソン役で登場。 そこは、クルマたちが人間と同じように生活している<クルマの世界>。ピストン・カップの若き天才レーサー、ライトニング・マックイーン。自己中心的な性格が玉にキズの彼は、レース会場への移動中にふとした事故から小さな田舎町“ラジエーター・スプリングス"に迷い込んでしまう。いまや地図からも消えてしまったその町には、オンボロ・レッカー車のメーターをはじめ、見るからに風変わりな住民たちばかり。思いがけずこの町に足止めをくらってしまい、早くレース会場に戻らねばと焦るマックイーン。しかし、のんびりとした時間が流れるこの町で、奇妙なクルマたちと一緒に過ごすうち、マックイーンの心にも少しずつ変化が見え始める。

声優・キャラクター
ラリー・ザ・ケーブル・ガイ、ボニー・ハント、トニー・シャルーブ、パンツェッタ・ジローラモ、ボブ・コスタス、ダレル・ウォルトリップ、オーウェン・ウィルソン、チーチ・マリン、グイド・カローニ、デニーロ・デ・ジローラモ、ポール・ニューマン、山口智充、戸田恵子、赤坂泰彦、福澤朗、土田大、樋浦勉、浦山迅

Dkn さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ジョン・ラセターがセクハラ問題でDisney /Pixarを辞めた件

2018年6月8日にあがったニュースで、PixarAnimationStudioを牽引してきたアニメ監督ジョン・ラセターが
2018年いっぱいで退社すると発表されました。2019年6月21日に封切り予定である「トイ・ストーリー4」の
監督から降板された事を「D23 EXPO 2017」で発表された時も会場はざわつきました。その後休職を経て退職
退職発表のコメントでは活躍の場を変え何かをやるとだけ発言。ファンとしては再び新作が観られることを
期待できるようなコメントにも聞こえます。ジョン・ラセターの動向をこれからも注目していきたいですね。

宮﨑駿を崇拝するラセターは、世界も認める偉大な功績を持つアニメーターとして業界を牽引して来ました
状況は違うものの日本の代表的なアニメ監督、宮﨑駿が指揮を取らなくなったスタジオジブリのことを考え、
今回の出来事に重ねると多少の不安もある。今回の事は不祥事で退職なのが痛いが、世代交代は世の常で、
もしかするとラセターが居なくなり後続の才能が頭角を現すのだろうか? Pixarなので人材は豊富ですからね
彼がいなくなった後のDisney/Pixarが心配でもあり、新しい風の到来を待つ時期とポジティブに考えたい。

監督交代となった「トイ・ストーリー4」が初めてラセターが製作総指揮を取らない作品となっています。
ここが見極めのポイントかもしれません。

そんなラセターの作った世界で子供達に大人気の「カーズ(Cars)」第一作目です\(^^)/(どんな導入だ)
カーズは関係が悪化してきたPixarとディズニーが共同制作をしてきた歴史にピリオドを打つはずの作品であり、
ディズニー側の買収により完全子会社として安定的に制作を継続できたタイミングのタイトルでした。


『子供向け作品の定義』

舞台のモデルは「ルート66」

アメリカ、イリノイ州シカゴとカリフォルニア州サンタモニカを結んでいた国道で、現在は国道としては廃道
それを元にした架空の舞台、ハイウェイ沿いにある寂れ忘れ去られた街の名は“ラジエーター・スプリングス”
優勝決定戦を一週間後に控えた期待の大型新人“マックィーン”と、忘れ去られた街の住人たちの偶然の出会い
興奮しすぎてオイルの油圧が上がっちゃう~!なんて台詞があるすべてが車基準の擬人化世界に詰まっている、
夢。恋。友情。バランス良く様々なドラマが詰まった、Pixar作品の中でも人気のあるタイトルですね。

ドラマの作りは丁寧でノスタルジーな後味が秀逸で心を掴まれます。扱った題材や込められたメッセージが
懐かしき青春映画を想起させる分、擬人化を用いたポップなキャラクターで子供が楽しめるようになっている。
一方で子供向け作品に内包した大人向けなテーマの“全年齢”を論理的に構築した作りが引っかかります。

本作品をべた褒めする評論家等はとても多く、プロにカテゴライズされる批評が知識として参考になるでしょう
踏まえた上で個人の意見は“家族が映画館に観に来た時に平均70点をとれる映画”を目指した作品だった。

「技術革新がめざましい」「名作映画を想起させる」「大人も子供も楽しめる」なんて評は上辺にしか過ぎず、
観た時に“面白い”か“面白くない”か?ただそれだけが作品の評価であってそれ以上でもそれ以下でもない。
世間の意見はそれに尽きます。大人からするとマニアックに掘り下げたり複雑な感情の絡み合いや毒気が欲しい
シーンもあるし、ご都合主義で冷めてしまうものもある。子供は懐かしい雰囲気や旧車の知識なんてわからない
子供向けアニメをいくつか観てきた中、カーズに対する腑に落ちなさが何なのかを解決できないままでした。

無理やり答えを出せば、融合ではなく乖離した面白さを目指したこと。前述の大人も子供も楽しめるアニメに
成功したものは子供向けのテーマに大人が感動するもので、あくまでも子供が主体の作品でなければならない。
大人の感動は当たり前で、それは大人が作っているからです。“子供だまし”である事と“子供向け”なのは
全く意味が違ってきます。わかりやすく言えば「はじめてのおつかい」は子供に密着して主人公として撮る番組。
製作するのも子供が頑張る姿や親に感情移入し泣いたり感動するのも子供ではなく大人である。そんな感じw

ここまで言ってなんですが平均70点取るってとんでもない事ですし、大ヒットしてるのでこれは好みの問題。
トイ・ストーリーやモンスターズインクに続く玩具の展開をし易いコンテンツをつくろうとし成功したのでした。

子供向けの根底にあるであろう大人に向けたアプローチを摘んで拾っていくハードルで観ていただけるのなら、
太鼓判を押してオススメできます。それすら洒落臭えんだと、己の業を自覚してる方は合わないと思います。


映画に限ったことじゃないですが琴線に触れるものって難しいですね。万人受けなんて言葉は無いんだな。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 13

2010sw さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

ルート66!

クルマの動画の参考にしよーと何気に観てみたんだが・・
面白かった!

クルマしか出てこないってどうなん??って想ってたけど
自分はいろいろ見たよww

なにが見えたって、かつてアメリカ大陸を横断していた
国道66号、その周辺に栄えた街と、高速道路が出来た
ため人が来なくなったことによる衰退。でもそこで頑張
っている人達。 

人・・っていうのは、制作時にスタッフが旧道66号沿線を
取材してるから。(特典映像にはいってた)

たしかに、道が切り替わっただけでも旧道沿線の生活はガラっと
替わってしまうのをたくさん見ている。

廃業したガソリンスタンドのクモの巣だらけのガラス・・
閑古鳥の鳴く食堂の文字の欠け落ちた看板・・
雑草に覆われたパチンコ屋の広い駐車場・・

人々の生活は便利になったんだが、失われたものも
あるんだなと。

自分のクルマはデンキ自動車で、航続距離が100キロしかない。
だから遠出をするときは各駅停車だ。充電器に困ることは
ないが時間はかかる。だからお茶を飲みのみって感じになる。
しかしそれはかつて、ルート66を家族で、行く先々の街で
食事をしたり観光をしたりしたクルマでの旅行と似ていると思った。

速く移動するだけでなく、移動の過程を楽しむんだ。
今後クルマはデンキになるだろう。エンジン付きのクルマは
売っちゃダメって世界的になってきているから。
最新式のは航続距離は長いけど、スピードを出すとそれは激減する。

だからもしかしたら、かつてのルート66の旅行みたいな
やりかたが復活するかもしれないな。ほんとうにもしか
だけど。そこには人々のリアルな出会いや交流があって、
旅行が楽しくならないかな・・って期待したりする。

アメリカではルート66は廃道になったのだけど、名前を変えて
州道66として残ったり、歴史遺産的な扱いで観光地化している
らしい。そこにはきっと、マックを優しく受け入れてくれたような
クルマ・・いや人々が生きているに違いない。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 0

スカルダ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

いつも甥っ子と見るやつ

いつも6歳の甥っ子と見るやつ

真っ黒な画面から始まるオープニングのセリフ。
"Sigh...OK, here we go, focus, speed, I am speed.
1 winner, 42 losers. I eat losers for breakfast."
エースコンバット顔負けの無駄に中二病なマックイーンが大好きだ。

そしてギターを掻き毟りながらの、
シェリル・クロウのReal Goneは神曲。
アメリカンな雰囲気に一気に連れ込んでくれるオープニングは何度見ても神だ。

オープニングを過ぎると、何とも単調な場面が続いてしまう。
甥っ子と車種当てクイズをしているうちに、
二人で寝てしまう。

オープニングは何度も見ているのに最後まで見たことはない。
レースシーンが少なすぎて子供は途中で飽きちゃうんだよね。
子供には絶対見せられないが、TAXiやWild Speedの方が断然好き。
アニメだとサイバーフォーミュラとか(古

いつになったらカーズ2を見る日がやってくるのだろうか・・・
さ、シェリル・クロウ聞こうw

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3

69.0 9 アメリカでファンタジーなアニメランキング9位
RWBY Volume2(日本語版)(OVA)

2016年10月26日
★★★★★ 4.1 (37)
287人が棚に入れました
物語は科学技術と魔法が同居する世界『レムナント』が舞台。コンピューター管理されるシステムやロボットやタブレット端末のよう先進的で科学的なアイテムが登場する一方で、自然界の力の結晶『ダスト』や生命の魂が持つ力『オーラ』などのファンタジックなガジェットが存在する世界。この世界には人類や動物のほかに、獣の器官を持った獣人『ファウヌス』のような種族も存在する。そして『グリム』と呼ばれるモンスターが存在し、人類はグリムによって永い間暮らしを脅かされ続けているが、現在はダストの発明やグリムの討伐や治安の維持を行う『ハンター』の活躍により、平和な生活が守られていた。物語はハンターを目指す1人の少女『ルビー・ローズ』が、ひょんなことからハンター養成学校『ビーコン・アカデミー』に入学するところから始まり、仲間たちとともに成長してゆく姿を描く。

声優・キャラクター
早見沙織、日笠陽子、嶋村侑、小清水亜美、下野紘、洲崎綾、豊口めぐみ、斉藤壮馬、前野智昭、中島ヨシキ、伊藤静、潘めぐみ、三木眞一郎、甲斐田裕子、井上麻里奈、緑川光、井上和彦、浅野真澄、てらそままさき、中村悠一、木村昴、井上喜久子

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

「Time To Say Goodbye」Monty Oumよ、永遠なれ!バトル、恋愛、青春の全てが詰まった米国発の傑作アニメ第2期!!!

2014年夏頃に公開されたアメリカのRooster Teeth社の3DCGwebアニメ『RWBY Volume2』の日本語吹替版です
英語版の『Vol2』自体は現在でもYoutube等で無料で視聴することが出来ます


10月1日より2週間限定で全12話をひとつなぎに上映する形のイベントが開催中
新宿、池袋、川崎、名古屋、なんば、博多にて劇場公開され、劇場限定BDも発売
吹替版パッケージの一般発売は10月26日


今作で注目して欲しいのはRT社そのものの資金力や技術力が前作から底上げされたことで、より映像クオリティが上がった点
特にモブキャラが前作ではのほどシルエットのみだったのが一人ひとりモデリングされている点や場面転換が多く背景となるフィールドが広大かつ多彩になってる点はみどころです
また、日本のCGアニメからの影響か、輪郭線を強調する効果で所謂「嘘パース」も取り入れてきてます


それとシリーズの産みの親であるMonty Oum監督の、惜しくも遺作であることも忘れたくないです
Monty監督は今作完成後に予期せぬ体調不良とアレルギー性発作で急逝されました・・・
フリーの動画職人時代から一貫してスピーディーなCGアクションを手掛けてきたMonty監督
今作では特に彼のアクション映画ヲタクという一面が垣間見られ、『ウルヴァリン』『トランスフォーマー』『マトリックス』『ファイナルファンタジー』『スターウォーズ』などのオマージュが散見されます


そしてRomanとチームRWBYの決戦はそれらMontyアクションのひとつの到達点とも言うべき完成度でしょう
克目してご覧いただきたいです
ストーリーもバトル、恋愛、将来への不安、と青春ドラマとしての構成も非常に良く出来ていて、現時点でのまさに最高傑作と呼ぶに相応しいかと思います


ちなみにチームRWBYが二人組のコンビネーション攻撃行う際にRubyが叫ぶ「フリーザーバーン」や「チェックメイト」
これは元々英語圏のファンが二次創作でのカップリングを呼称する為に作った言葉の一部を公式が取り入れたものなのです
日本人ならYangとWeissで“ヤンワイ”とか言ったりしますがコレが英語圏では“ Freezerburn”になるという訳ですよ
Monty監督やRT社がファン参加型で作品制作を心がけていることがよくわかる一面です


ああ、ボードゲームのシークエンスの元ネタはもちろん『遊戯王』ですね
アメリカでの『遊戯王』人気が伺えるオマージュです
ツヴァイという犬が登場しますがこれは『カウボーイビバップ』のアインにあやかっています
そしてこれは全くの偶然ですが『一人乃下』でも早見沙織が演じる宝宝がハイヒールのせいで苦戦してましたねw
早見沙織とハイヒールの相性は悪い?ようです(笑)


視聴の前に『Volume1』をおさらいしていただくのは当然として、もし未視聴の方がいらしたら『Vol1』よりさらに1年前に公開された4つの“Trailer”を必ずチェックして欲しいです
『vol1』の特典映像として付属していますが動画自体は現在も無料公開されています
『Vol2』では“Trailer”で張り巡らされた伏線が回収されていくので“Trailer”を観てるか否かで面白さが俄然変わってきますよ!
また、パッケージの特典映像には『World of Remnant』という世界観解説動画が付いてきますので併せてご覧頂くとより理解を深めてもらえます
もちろんこの『WoR』も無料公開され続けておりますが、パッケージではナレーションを吹替に切り替えることも出来ます
無料公開され続けている作品に付加価値を足してパッケージにする商法、ホントかっこいいですねb


最後になりましたが今作でも打越領一音響監督が率いる【超豪華声優陣】の名演を楽しんでいただきたいです
今作が日本の声優の実力の高さを改めて教えてくれた、洋画吹替の魅力を再認識させてくれました
長いことアニメを観続け、『RWBY』という作品自体も繰り返し観てきたにも関わらず、オイラの中の価値観はこの日本語版シリーズをキッカケに大きく変わったのです
大変感謝しています


ああ、エンドロールの後の衝撃的な“最後の一人の声優”はお聞き逃しなくw
もはやキャスティングに驚かされることもないだろう、と思っていたのに劇場で変な声が漏れるほど驚きましたw


Ruby Rose(ルビー・ローズ)早見沙織
Weiss Schnee(ワイス・シュニー)日笠陽子
Blake Belladonna(ブレイク・ベラドンナ)嶋村侑
Yang Xiao Long(ヤン・シャオロン)小清水亜美
Jaune Arc(ジョーン・アーク)下野紘
Nora Valkyrie(ノーラ・ヴァルキリー)洲崎綾
Pyrrha Nikos(ピュラ・ニコス)豊口めぐみ
Lie Ren(ライ・レン)斉藤壮馬
Ozpin(オズピン)井上和彦
Glynda Goodwitch(グリンダ・グッドウィッチ)浅野真澄
Cardin Winchester(カーディン・ウィンチェスター)木村昴
Sun Wukong(サン・ウーコン)前野智昭
Penny Polendina(ペニー・ポレンディーナ)潘めぐみ
Roman Torchiwick(ローマン・トーチウィック)三木眞一郎
Cinder Fall(シンダー・フォール)甲斐田裕子


↓『Volume2』からの新キャラと吹替キャスト↓
Neptune Vasilias(ネプチューン・ヴァシリアス)中島ヨシキ
Emerald Sustrai(エメラルド・サストライ)井上麻里奈
Mercury Black(マーキュリー・ブラック)緑川光
Coco Adel(ココ・アデル)伊藤静
James Ironwood(ジェームズ・アイアンウッド)てらそままさき
Adam Taurus(アダム・トーラス)中村悠一
???(???)???

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10

しゅりー さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

吹き替えにより感情移入しやすいVol.2

アメリカ発、日本アニメーションとの親和性の高い3DCGアニメ、RWBYのVol.2
Vol.1の話は世界観とキャラクターの描写がメインだったと感じますが
Vol.2からは物語が大きく動き出します。
随所に躍動感のある派手な戦闘シーンとさまざまな伏線が貼られており
150分越えの映像ですがVol.1を楽しめた諸兄なら飽きることなくご覧いただけるはず。
私としては特に前半でチームRWBY全員で戦うシーンの連携が
何度でも観たいお気に入りのシーンです。

さて今回は日本語吹き替え版を観る前、今年の冬頃に原語版を視聴したことが
あったので、原語版を観た時のイメージと比較してみました。
そこで最も感じたのはチームRWBYとチームJNPRのメンバーの絆が深まっていくドラマが
日本の豪華声優陣に演じていただくことでより感情移入しやすくなっていると感じます。
また原語版でわかりづらく感じた言い回しもとてもわかりやすく、
テンポ良く翻訳されているので視聴しやすいです。
ただ、先ほどあげたチームRWBYの戦闘シーンで連携時に二つほど
わざわざ日本語訳しなくても良かったのにと感じられる用語がありましたが・・・

また、新キャラクターでは中島ヨシキさんが日本語吹き替えを担当されている
ネプチューンというキャラクターの演技が日本ならではと感じられて興味深いです。
ネプチューンは一見二枚目でふたをあけると三枚目という印象のあるキャラクターなのですが、
三枚目としての演技が原語と日本語ではだいぶ印象が変わって見えた点が好ましいです。
やはり海外の方が演じられるとどうしてもダンディな声に聴こえてしまい
ひょうきんなキャラクターでもニヒルに感じられる日本人的なフィルターが私にはあります。
そこが中島ヨシキさんの名演により日本のアニメらしくローカライズされていることが
諸手を挙げて賞賛したい部分だと考えています。
その他のキャラクターについてもさまざまな有名声優さんの名演が光っていますので
何度でも観て聴いてみたいところです。

2か月後にはVol.3日本語吹き替え版公開を控え、今月中に
オリジナルはVol.4も公開されるということで、色々と熱い時期を迎えているRWBY。

Vol.2の劇場公開は上映館数が少ないながら約2週間ありますし、
10/26(水)にはVol.2のBD/DVDが発売されます。
Vol.1を観て気になられた方は是非ご覧いただければと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ここまでする?迫力ある超人的バトルアクション

 RWBY、前回見た今回一年後に続き、上映されたです。上映劇場も限られている中で、前回と気分変えるため、近くの地方で見てきたです。前回は売りきれか?なかったか?のパンフは今回、前回のを含め手に入ったです。

 新キャラ登場から始まったです。ただならぬ展開の予感が、したです。
 学食でなんだかんだ騒ぎを起こすアクションは、このアニメならではでしたです。{netabare}「正義とは甘く、時には辛く、コクがあって癖になる~」、言葉の意味がよくわからんが、とにかくすごい自信だ!です。{/netabare}悪ふざけなのか?喧嘩なのか?ずいぶん大それた食べ物を粗末にした騒ぎだったです。

 物語として、ハンター目指すルビー達4人が、前回最初から出てきている杖と帽子のキザ男と指揮するホワイトファングを追って、所々にバトル勃発する展開ですねです。

 人間離れした、超人的な身体能力と武器の扱いに相変わらず迫力あったです。ロボットとのバトルで、これも凄いけど、あの攻撃で操縦しているキザ男が、生きていることにそれもそれで凄いと思ったです。

 敵の潜入アリ、やや恋ばなアリもあって、どこか謎アリで、前回とはやや違う印象もあったです。{netabare}パーティでドレスを着た男が、女戦士たちと踊るシーンが面白かったです。ルビーの犬が、郵便物で詰められてやってくるし、ちゃっかり戦いに参戦している所が、ルビーの犬らしいと思ったです。

 最後の方で列車バトル展開から、グリムという怪物たちが街に出てきて{/netabare}かなりの激戦になるのもこのアニメならではだと思ったです。

 次作のいろいろと、このアニメの全容の見えるような意味ありげな終わり方が、気になってしまったです。{netabare}ルビーのお姉さんヤンを助けた謎の戦士は一体?{/netabare}今回も声優さん達の演技が、光ってたです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

69.7 10 アメリカでファンタジーなアニメランキング10位
RWBY Volume3(日本語版)(OVA)

2016年12月21日
★★★★☆ 4.0 (30)
286人が棚に入れました
人類は元来持っているその強さと賢さによってダストという力を発見する。ダストによってグリムという脅威である存在を退けることに成功した人類は、ついに訪れた平和な時間を謳歌していた…。15歳の少女ルビー・ローズ(Ruby Rose)はグリムを退治する存在であるハンターに憧れ、ハンター養成所であるビーコン・アカデミーへと入学を果たす。ビーコンにてチームRWBY(ルビー)のリーダーとなった彼女に様々な苦難が襲い掛かるが、そんな苦難を仲間と乗り越えていくとともに徐々に成長していく。

声優・キャラクター
早見沙織、日笠陽子、嶋村侑、小清水亜美、下野紘、伊藤静、洲崎綾、斉藤壮馬、前野智昭、中島ヨシキ、潘めぐみ、川澄綾子、甲斐田裕子、三木眞一郎、井上麻里奈、緑川光、中村悠一、井上和彦、浅野真澄、てらそままさき、平田広明、堀内賢雄、井上喜久子

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

When! It!! Faaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaalls!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

2015年秋~2016年冬に掛けてyoutube他web上にて公開された米国Rooster Teeth社の3DCGアニメ『RWBY』の第3シーズン全12話
(現在も無料公開されています)
『vol2』に引き続き日本語版が制作されました
ちなみに前作までのあらすじとか無いので『trailer』『vol1』『vol2』までの視聴は最低でも必須です


2015年1月、我々『RWBY』ファンを深い悲しみが襲いました・・・
シリーズの産みの親であるMonty Oum監督が急逝されたのです
当然、製作現場では混乱があったようで、一時期は『vol3』の完成も危ぶまれました
しかしMonty監督の意志を受け継いだRT社スタッフの尽力によって『vol3』は日の目を向かえることが出来たのです


まず、勘違いの無きように留めておいてほしいのですが、Monty監督夭折の前に全体のシナリオ構想は既に完成していたようです
監督が亡くなったことでストーリーが迷走する、といったことは無いようですのでご安心を


しかし今作、アクションシーンのモーションに関してはやはり試行錯誤が見受けられます
『RWBY』のアクションシーンは、Monty監督のセンスの賜物によるものだったことが改めて思い知らされるわけです
具体的にはエピソード毎でアクションシーンの演出がだいぶ異なってくるのがこの『vol3』です
物語は『vol1』の時から散々言われていたヴァイタルフェスティバルのトーナメントに突入し、ほぼ毎話に戦闘シーンがあります
その演出や動きのテンポ感が話数によってだいぶ違うのです
どうも複数の制作班が同時並行式に制作しているようですね


ですがご安心を
物語の終盤に差し掛かる頃にはMonty監督をも凌駕せんというアクションをRT社のスタッフ達は見事にモノにしてきます
さらに技術的な向上もありエフェクトやカメラワークの類に至っては『vol1』や『vol2』を上回る完成度です
キャラクターは一気に倍に増え、モブや背景のディティールも作り込みもさらに細かくなっていく
(ちなみに動く必要の無いモブがモデリングではなく作画なのは『アルペジオ』でもやってましたね)


また、既に本国版BDを購入したファンの報告にはあったのですが、WEB版からBD版へのマスタリング時に施されたリテイクがかなり大量にあります
主にアクションシーンでのブラーの掛け方などのエフェクト類が綺麗に掛かっており、WEB版でイマヒトツかな?と思っていたシーンも迫力やスピード感が増していてほとんど別モノと言っていいです
オイラはCrow vs Winter戦やRWBY VS FNKI戦の印象がだいぶ変わりましたよ
楽曲の差し替えというか、少しアレンジとマスタリングとタイミングを変えたのも良かった
正直WEBで無料で観られるからいいや、で済ますのはもったいなさ過ぎます


ああ、ちなみに公式発表されてませんがチームFNKIの一人でローラーブレードとサイリウムヌンチャク(笑)で戦うNyan Cat(というYouTubeで謎の世界的ヒットを記録したボカロ曲)を擬人化したNeonタソの吹替声優は『響け!ユーフォニアム』で夏紀先輩を演じた藤村鼓乃美さんなので注目して欲しいところです


あとこれはvol1、vol2のページに書き忘れたのですが、この日本語吹替版は現在視聴可能な世界中全てのWEB版、米国公式BDパッケージ含めたどのどのバージョンの『RWBY』よりも高画質に収録されております
音声に至っては5.1ch化されており、吹替版はさらにリマスタリングされています
原語ver派もこの日本語吹替版BDは入手の価値あるわけです


お話も大きく動き、起承転結で言えば転、序破急で言えば破、『スターウォーズ』で言えば『シスの復讐』です
劇場でオイラは後半1時間涙が止まりませんでした;;
散々名前だけが語れていたCrowおじさん、Winterお姉さま、Taiyangパパも遂に登場します
そして、前作でビーコンにまんまと潜入したCinder一味がいよいよその悪しき計画を実行に移します
前作にも増してエピックでスペクタクルな展開にご期待下さい


ちなみに原語版は10/22よりいよいよ『vol4』の公開がスタートします
この機に『vol3』までチェックしていただければ、この『RWBY』というビッグウェーブに乗ることが出来るのです
乗るしかねぇ!この波にぃっ!!!


Ruby Rose(ルビー・ローズ)早見沙織
Weiss Schnee(ワイス・シュニー)日笠陽子
Blake Belladonna(ブレイク・ベラドンナ)嶋村侑
Yang Xiao Long(ヤン・シャオロン)小清水亜美
Jaune Arc(ジョーン・アーク)下野紘
Nora Valkyrie(ノーラ・ヴァルキリー)洲崎綾
Pyrrha Nikos(ピュラ・ニコス)豊口めぐみ産休の為→代役 伊藤静
Lie Ren(ライ・レン)斉藤壮馬
Ozpin(オズピン)井上和彦
Glynda Goodwitch(グリンダ・グッドウィッチ)浅野真澄
Sun Wukong(サン・ウーコン)前野智昭
Penny Polendina(ペニー・ポレンディーナ)潘めぐみ
Roman Torchiwick(ローマン・トーチウィック)三木眞一郎
Cinder Fall(シンダー・フォール)甲斐田裕子
Neptune Vasilias(ネプチューン・ヴァシリアス)中島ヨシキ
Emerald Sustrai(エメラルド・サストライ)井上麻里奈
Mercury Black(マーキュリー・ブラック)緑川光
Coco Adel(ココ・アデル)伊藤静
James Ironwood(ジェームズ・アイアンウッド)てらそままさき
Adam Taurus(アダム・トーラス)中村悠一


↓『vol3』からの新キャラ&吹替キャスト↓
Winter Schnee(ウィンター・シュニー)川澄綾子
Qrow Branwen(クロウ・ブランウェン)平田広明
Taiyang Xiao Long(タイヤン・シャオロン)堀内賢雄
Salem(セイラム)井上喜久子


ちなみにオイラのイチオシはココ姐さん、それとちゃんニオことニオポリタンです^^b

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9
ネタバレ

lll1 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

ここまでが序章

 「Volume1」と「Volume2」は視聴済みです。
  ()内の文は、別に読まなくても構いません。

 この「Volume3」はRWBYにおける転機です。アカデミーでわいわいやっていただけでしたが、ようやく物語が大きく動き出します。1と2観てハマらなかった人も3までは観て欲しいなと思います。

 一番伝えたいことがネタバレになってしまうので、最後に書きます。

 日本風のアニメーションを作ろうということで始まった今作。影響を受けている描写は随所にみられる。RWBYの好きなところをいくつか紹介します。

 まずは、キャラクターです。非常に魅力的です。個性がそれぞれにしっかりあるし、心理描写も"心の声"を使わずにしっかりと表現できています。
 (けっこう色々なレビューで言ってると思うけど、"心の声"大嫌いなんですよ。例外もあるけど、登場人物の考え・思いを説明する必要なんてない。登場人物の心理は人物の行動だったり、仕草、セリフ、表情なんかから、視聴者が読み取っていくべきもの。漫画はそれが制約されてるから、頻繁に使われるけど、映像は別。動きや声があるんだから、それで表現するべき。わざわざ入れてテンポ崩したり、説明的にするのは好きじゃありません。)
 登場人物の数は多いけど、視点はしぼってるから、割とまとまりはとれてます。覚えるべき重要人物の数はさほど多くないです。男性キャラクターも多くて、そしてまた、大人も多いのがとても良い。

 次にアクション。良かったです。けど、私自身が飽きてきたのかな。1や2程の驚きを感じなかった。でも、良かったです。

 そして、日本のアニメの真似をしてほしくなかったところが一つだけあります。盛り上がるシーンでボーカル付きの音楽をかなり流すところです。あんまり好きじゃない。重要なセリフとかは言ってないシーンだから良いんだけどね。(日本のアニメ、セリフとボーカル被せるから・・・)

 音楽は、そこまでかな、聞いてて良いなって思えるのは特にない。まぁ音楽は、完全に個人の好みだと思ってます。音楽の評価をマイナスにするときは相当な理由があったときだけです。

 声優は英語か吹き替えどちらを評価していいのか、わからないので、意見を述べるだけで。英語版はね、監督や脚本家、プロデューサーなんかがやってるから、あまりよろしくない。向こうの声優さんもやたら声作ってて気持ち悪いし。
 吹き替え版は良いと思います。早見沙織とか、似たような役しかやらないから、ルビーの演技は普段と違ってて好きです。日笠陽子は、今作では似たような役ですね。どれ観ても日笠陽子はワイスみたいな役やってるから、最近ちょっと嫌になってきた笑。

 最後にネタバレ。ストーリーについてです。
 {netabare}
 単刀直入に言うと、死人がでます。今まで、RWBYを観てても、「どうせ生き残るんだろうな」とか「なんやかんやで敵逃げるんだろうな」とか思ってて、緊張感が無かった。
 しかし、今作ではそれが生まれました。素晴らしい。

 ストーリーは、まぁまぁって感じです。スタッフ曰くまだ序章なんでね、登場人物死んで、ようやく、主人公側も敵側も本格的に動き出すよってところです。
 これからに期待。
 {/netabare}

 最終評価は 6 / 10点です。

 DVD借りてもらうと、特典結構あるので、興味があったらどうぞ。ただ、本編最後まで観てから、特典観てね。めっちゃネタバレしてるから。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3
ネタバレ

しゅりー さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

衝撃のVol.3

アメリカ発の3DCGアニメ、RWBYのVol.3
2016/12/3(土)より2週間のイベント上映とのことで、
レビューの投稿が遅くなりイベント上映は今日入れて3日残すのみという
こんなタイミングで言うのも申し訳ありませんが、もし可能であるならば
劇場での観賞をおススメしたいアニメです。
なぜならこのボリュームのアニメを劇場で観賞する機会など
そうそうないからです。

前作Vol.2でも150分を超えていた上映時間ですが
Vol.3は180分に届かんとする内容になっています。
予告の時間など含めれば確実に3時間以上劇場の席に座っているという状況は
アニメ映画としては珍しいのではと思います。
その分、お手洗いなどは万全に済ませて視聴したいですね。
ちなみにVol.2では声優さんの台本が他のアニメに比べてやたらと厚いという
エピソードがありましたが、Vol.3はさらに内容が多いために台本が2冊になったのだとか。


物語としてはVol.1から話に出ていた
ヴァイタル・フェスティバル・トーナメントという
ハンターを目指す学生たちのトーナメントと
その裏で暗躍していたシンダー達の起こす大事件がメイン。
トーナメントのお祭り騒ぎとその裏にある陰謀というのが
何とも80年代以降に少年ジャンプで連載されたバトル物の漫画らしい感じです。


本作Vol.3はその完成前にRWBYのクリエイター、モンティ・オウム監督が亡くなられるという
悲しい出来事があったと伺っていますが、それを乗り越えて
このような大作を制作されたRT社制作陣の皆様には心より敬意を表します。
モンティ・オウム監督の不在によりVol.1、Vol.2とは
戦闘シーンの描写にだいぶ変化があり、本国のWEB公開時の
トーナメントにおける戦闘シーンはちょっと物足りないものがあったとは感じています。
ただ、WEB公開時でも本編後半の戦闘シーンは十分な迫力があったと感じられましたし、
今回の日本語吹き替え版にあたり、全体の戦闘シーンがかなり修正されているようですので
そこは余裕があれば一度見比べてみたいと思っています。


吹き替えについては主人公ルビーの叔父、クロウを演じる平田広明さんの
おじさんっぷりがとても聴きごたえがあり好印象です。
個人的に吹き替えで一番好きな台詞は前野智昭さん演じるサンの台詞
「もう、いい加減にしてちょうだい」なのですが...
もちろん全体を通して声優陣の名演が光る内容となっており
吹き替えの日本語演出をされた打越領一さんのセンスには度胆をぬかれます。
本作は個人的に劇中音楽がVol.1~Vol.3で一番聴きごたえのある
シリーズだと思っていますので、吹き替えと合わせて耳が幸せな気分です。
{netabare}ただ、サウンドトラックで音楽を聴かれる方がいらっしゃいましたら
先ほどのサンの台詞直前の戦闘時に流れる「I May Fall」という曲は
なぜか「Vol.1」のサウンドトラックに収録されていますので
気に入った方は気を付けていただければ。{/netabare}


Vol.3のストーリーによってRWBYの序章は終わり、Vol.4からは
また新しいストーリーが描かれていきます。
Vol.3の後半はそんな序章の終わりに相応しい衝撃を持っていますので
ご興味ある方は是非ご覧ください。
そしてVol.4以降も日本語吹き替え版で視聴できるよう期待しましょう。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

71.5 11 アメリカでファンタジーなアニメランキング11位
ファンタジア(アニメ映画)

1955年9月23日
★★★★☆ 4.0 (23)
123人が棚に入れました
8つの異なる時代を8つの古典音楽にのせて描く、ファンタスティックなアニメーションによるバレエ劇。ミッキー・マウスが指揮者兼時の魔術師として登場。当時としては斬新な立体音響を採用した。収録曲はバッハの『トッカータとフーガ』、チャイコフスキーの『くるみ割り人形』、デュカスの『魔法使いの弟子』、ストラビンスキーの『春の祭典』、ベートーベンの『交響曲/田園』、ポンキエルリの『時の踊り』、ムソルグスキーの『はげ山の一夜』、シューベルトの『アベ・マリア』。
ネタバレ

前田定満 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

クラシック音楽を聴くきっかけに!

□「ファンタジア」とは
 ディズニー長編アニメ3作目の作品です。このアニメは一般的なアニメではありません。普通のアニメと違う所はセリフが無く、「音楽(サントラ)が主役」な点です。普通のアニメでは、アニメーションとその内容を盛り上げるために音楽(サントラ)を付けます。しかし「ファンタジア」はそれが逆で、元からあるクラシック音楽にアニメーションを付けています。


製作:ウォルト・ディズニー
総監督:ベン・シャープスティン
編曲.オーケストレーション
 レオポルド・ストコフスキー
キャスト
 オーケストラ指揮:レオポルド・ストコフスキー
 オーケストラ:フィラデルフィア管弦楽団
 ミッキーマウス:ウォルト・ディズニー
 ナレーター:デームズ・テイラー
制作会社:ウォルト・ディズニー・プロダクション
公開日:1940年11月13日(USA)、1955年9月23日(日本)
上映時間:115分



□各作品内容
{netabare} 「ファンタジア」というタイトルの中で8つの作品に分かれており、作品と作品の間には説明のナレーションが入ります。大きく分けると第一部に4作品と第二部に4作品となります。一部と二部の間には休憩として、楽器の紹介とちょっとしたコーナーが設けられております。


~第1作:「トッカータとフーガ ニ短調」~
作曲:ヨハン・セバスティアン・バッハ
{netabare} 1作目「トッカータとフーガ」はファンタジアの他の曲とは違い、ストーリー性がなく情景を表さない「絶対音楽」という音楽です。なので画も音をアニメーションに表したような抽象的なものです。
 実写のオーケストラの映像から始まり、途中からヴァイオリンの弦が動くアニメーションになり、徐々にアニメーションが増えて、最終的に壮大なアニメーションになっていきます。アニメーションと実写の融合作品。まさに芸術作品という感じです。{/netabare}


~第2作:「くるみ割り人形」~
作曲:ピョートル・チャイコフスキー
{netabare} 第2作以降は「絶対音楽」とは真逆のストーリー性や情景を表す「標題音楽」になります。2作目の曲はバレエ組曲です。原曲との大きな違いは曲順です。
・原曲曲順
「第1曲:序曲」、「第2曲:行進曲」
「第3曲:金平糖の踊り」、「第4曲:ロシアの踊り」
「第5曲:アラビアの踊り」、「第6曲:中国の踊り」
「第7曲:葦笛の踊り」、「第8曲:花のワルツ」
・ファンタジア曲順
「第1曲:金平糖の踊り」、「第2曲:中国の踊り」
「第3曲:葦笛の踊り」、「第4曲:アラビアの踊り」
「第5曲:ロシアの踊り」、「第6曲:花のワルツ」
 ※ファンタジアでは「序曲」と「行進曲」はありません。

 この作品にはくるみ割り人形は登場しません。ファンタジアでは妖精や花やキノコや金魚が踊りを披露します。特に「アラビアの踊り」の金魚は色っぽいです。「花のワルツ」のストコフスキーの曲の締め方に注目です。{/netabare}


~第3作:「魔法使いの弟子」~
作曲:ポール・デュカス
{netabare} これはファンタジアの看板作品です。魔法を覚えたばかりの弟子が解き方も知らずに魔法を使い、最終的に魔法が暴走してしまうという物語です。ファンタジアの作品の中で
はこの作品が実際の音楽のストーリーに最も忠実です。弟子役はミッキーが勤めます。魔法をかけうかれた弟子がうたた寝して夢を見るシーンは有名なシーンです。{/netabare}


~第4作:「春の祭典」~
作曲:イーゴリ・ストラヴィンスキー
{netabare} 元々はロシアのバレエ団のために作曲されたバレエ曲です。しかしながらファンタジアでは別の解釈をして「地球の歴史」をテーマに描かれています。

[一部]
 地球誕生からマグマオーシャンを経て地球に海が現れるまでを描いています。時代でいうと先カンブリア時代の冥王代の約46億年前から始生代の始め約40億年前までが描かれています。溶岩が流れる画や海底火山の画は素晴らしく、約80年前の作品とは思えない素晴らしい技術です。
[二部]
 生命誕生から恐竜絶滅までを描いています。時代でいうと先カンブリアの真ん中の約35億年前から始生代、原生代、古生代と来て、やっと中生代の恐竜時代です。
 恐竜時代の見所はT-REXがステゴサウルスを狩るシーン。恐竜の他にも海の最強爬虫類モササウルスも登場します。しかしその後恐竜は「干ばつ」により絶滅します。現在は「隕石の衝突」とそれによる「環境の変化」が絶滅の要因とされていますが、上映された1940年のあたりでは「干ばつ」が絶滅の要因と考えられていました。恐竜が絶滅したあと再び時代が変わり海が帰ってくるところでお話は終わります。{/netabare}


~幕間~
 ここで少々休憩タイムです。この休憩タイムでは楽器紹介を兼ねた、ちょっとしたアニメーションがあります。笑える演出も用意されています。


~第5作:「田園交響曲」~
作曲:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
{netabare} ファンタジアの曲の中で最も好きな曲が、この「田園交響曲」です。タイトル通り田舎の風景を描いた曲です。

・各楽章タイトル
「1楽章:田舎に着いたときの愉快な感情のめざめ」
「2楽章:小川のほとりの光景」
「3楽章:田舎の人々の楽しいつどい」
「4楽章:雷雨、嵐」
「5楽章:牧人の歌 嵐の後の喜びと感謝の感情」

 映画のストーリーは曲のストーリーに近いですが、ファンタジアではこれにギリシャ神話を加えています。なのでキャラクターもペガサス、ケンタウルス、ユニコーン、ゼウスなどが登場します。{/netabare}


~第6作:「時の踊り」~
作曲:アミルカレ・ポンキエッリ
{netabare} 大変楽しい曲です。特に終盤付近から始まるメロディーはノリが良いです。ここではいろいろな動物が登場してバレエを披露します。ダチョウ、カバ、ゾウ。しかしみんな女役。この3種類が可愛く色っぽく見えるのは不思議です。これぞディズニーマジック!中盤以降から男役のワニを交えて盛大に踊りは終わります。{/netabare}



※第7作と第8作は繋がっています。

~第7作:「禿山の一夜」
作曲:モデスト・ムソルグスキー
{netabare} 第7作はホラー作品です。悪霊たちの夜の祭りを描いています。お墓などから出てきた悪霊達が夜の世界で踊り狂います。
 しかし悪霊たちの楽しい祭りも終わりを迎えます。朝を迎えるのです。教会の音と共にラストの8作目に続きます。{/netabare}


~第8作「アヴェ・マリア」~
作詞:ウェルター・スコット
作曲:フランツ・シューベルト
ソプラノソロ:ジュリエッタ・ノービス
{netabare} 第8作は第7作で踊り狂った悪霊たちの魂を巡礼者達がロウソクの光でしずめていくという演出です。小さいときに観たときはつまらなかったですが、大人になってみると非常に美しいなと思います。そして太陽の光と共に全ての作品が終了します。{/netabare}



 全曲について、映像と合わせるために編曲されているので、まんまではありません。カットされている部分があったりなど。
 またこの映画の見方として、全作品を通して観ようとするのはやめた方がいいです。作品ごとに分けて観ることをオススメします。{/netabare}



□こんな人にオススメ!
{netabare} まずこの映画の魅力として、芸術性が非常に高いということです。「アニメーションの質の高さ」。まず一つ目の魅力です。アニメーションを楽しみたい方にまずオススメです。約80年前も昔の作品とは思わない映像技術、作画技術をぜひ一度はご覧になるべきだと思います。
 クラシック音楽が好きな方にはもちろんですが、クラシック音楽を聴いたことがない人にオススメです。ファンタジアは音楽をアニメーションによって面白くした映画なので、観たあとに「この曲印象に残ったな」と思ったら、ぜひ原曲を聴いてみていただくといいと思います。{/netabare}



□音楽の解釈
{netabare} 私は音楽を専門にやっているわけではありませんが、(聴き手側として)一つ思うことがあります。聴き手側として大切なことは「聴いてどう感じたか」ということだと思います。「悲しい曲だなあ」とか「楽しい曲だなあ」とか「聴いてて、こんな情景が浮かんだ」などなど。思い描く風景、抱く感情は人それぞれだと思うわけです。もちろんプロの演奏家が意識してるのは「作曲家の心境」を考えて演奏するわけですが。
 この映画を観る前にファンタジアの音楽を聴いた人にとって、自分の思ってた風景と違うと思う方がいるかもしれません。「春の祭典」は違いすぎますが…。あるいは専門家からみたら実際の作曲家のイメージじゃないと思われるかもしれません。(特に第4作は…)。それにより不快感を持つ方もいらっしゃると思います。(ストラヴィンスキーは怒ったようです…)。それでも是非、広い心で「こんな解釈もあるのか!」と観ていただければと思います。事実、映画の冒頭でナレーターがこの映画について「専門家の解釈ではないところが良い。」と言っています。
 私はファンタジアに倣ってクラシックのコンサートに行くと、帰り道によくその曲から感じる風景をスケッチブックに描いて楽しんでいます。もちろん風景を想像しやすいようにある程度予習しますが。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9

スカルダ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

史上初のステレオ音声作品。ヘッドホン必須。

1940年制作。パブリックドメインです。
史上初のステレオ(マルチチャンネル)音声作品。

バレエのような芸術をアニメの中に持ち込もうとした意欲作。
はっきり言って眠いが、多大なる影響を与えた歴史的作品。
半世紀前に見たかったなぁ。

2時間の映像を見るのに3日かかった(汗

トッカータとフーガ ニ短調
 鼻から牛乳でお馴染み(オッサンです)の曲。
 映像と音でおぉぉぉ・・・ステレオだぁ〜と感じる。
 映像とリンクしてまるで3Dサウンドのようにも聞こえる。

くるみ割り人形より印象的な曲が2曲。
たまにバレエ音楽に関わる仕事するので、くるみ割り人形について調べてたら、ファンタジアに出会ったという訳です。バレエ音楽は聴きやすい曲が多いのでクラシック入門にも最適だと思います。
金平糖の精の踊り
 ディズニー曲だと思ってた時期がありました。チェレスタの印象的な曲。
 他、〜の踊り系の曲もかなり有名。
花のワルツ
 全ての曲が有名過ぎるほど有名ですが、くるみ割り人形といえばこの曲。
 思わずつま先がツン!と上がってしまいます。
 バレリーナにも羽があればいいのに。

魔法使いの弟子
 ミッキーの世にも奇妙な物語。人生の謎が2つ解けた。
 魔法使いの青の帽子と、手足のある箒。
 原作はゲーテ。ゲーテのファウストは手塚治で読んだが、全く記憶にないな。
 作曲はデュカス。あまりよくわかんない。
 箒の大群が怖いが、ディズニーマニア的には必見だろうな。

春の祭典
 ストラヴィンスキー作曲。バレエ音楽だが、かなり異様な作品。
 ディズニーの作画凄いなぁ。戦中の作品とは思えない。

田園
 打って変わって明るい曲。ベートーヴェン作曲の田園。
 ベートーヴェンの印象的なテーマと物語的な展開は、ディズニーに合ってると思う。演奏がディズニーっぽくヌルっとしててちょっと気持ち悪い。色々聞いてみたら田園と言っても指揮者によって10人10色。楽譜の解釈って人によって全然違うんだなぁ。
 ペガサスが泳いでるのには驚いた。馬だから泳ぐっちゃ泳ぐだろうけど・・・

時の踊り
 バレエ見たくなった。

はげ山の一夜
 THEビランズ!!という曲。
 特撮映画とかに出てきそうな曲だが、ファンテリュージョンを思い出してしまった自分はオッサン。また謎が解けた。

アヴェ・マリア
 ピアノで弾きたい。10年後くらいに・・・

録音の世界も日進月歩なんですね・・・
現代の録音と比べると圧倒的に見劣りしてしまう。
特にフルオーケストラだと差が目立ってしまうのが残念。

クラシック好きとしては曲のイメージとはかけ離れた映像とアレンジで戸惑った。
ディズニーマニア的には、魔法使いの弟子と、はげ山の一夜は必見だと思う。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5

ポロム さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ディズニー製作 クラシック音楽とオムニバス

11月18日、『蒸気船ウィリー』が公開された日として
ミッキーの誕生日特集でディズニーチャンネルで放送してくれました。

ディズニー長編映画は殆ど観ましたが、
(およそ50作品中、他はボルトと1946年公開のメイク・マイン・ミュージックだけは観ていない)
ファンタジアは映像とクラシック音楽とオムニバスと聞き
ディズニーアニメ(特にアニメのハウスオブマウス)でもパロディされていましたが
中々観る機会がありませんでした。

Wikiによると、公開の部分が
アメリカ 1940年11月13日
日本   1955年9月23日
と、15年程空いており1940年当初は日米関係が悪化していたので一般公開がされずに
第二次世界大戦の終戦からおよそ10年後の1955年になってようやく公開されたそうです。

オムニバス×クラシック音楽×1940年のハイクオリティな映像美を考えると
当時には相当斬新な発想でディズニーの本気だと思った。
しかし、人に勧められるか・・?と言うと微妙。考えてしまう。

早速録画して本編を観るといきなり解説役のダンディなおじさまが出てきて
(アニメではなく実際の人物 調べてもよくわからなかったから指揮者かもしれない)
曲の解説などをしてくれて眠気・・いや、癒しを与えてくれます。

ちょうど観た時が夜勤明けで眠気がひどくて
すみません・・前半クラシック音楽の美しい音色が子守唄となってしまいました。
辛うじて起きて観た、ミッキーマウスが主人公の「魔法使いの弟子」と
ケンタウロスの可愛らしいカップル達やペガサス、全知全能の神ゼウスが出てくるギリシャ神話的な「田園交響曲」はお気に入りです。
「ハウスオブマウス」やディズニーアニメにパロディにされる
「はげ山の一夜」は魔王が怖い(なんかホラー的なものを召喚してくる)ので
お子様が泣いたりトラウマになる危険があるので一緒に鑑賞の際は飛ばしたほうが良いです。

「ファンタジア」を観るということは、
アニメを観ているというより、アートを見ている感覚です。
面白いとか起承転結のストーリーとはまた違うように感じます。

美術館に訪れて美しい絵画を見て見惚れるのと
「バレエ」を鑑賞するのと少し似ている気がしました。
眠れない夜に観るのも良いかもしれません。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 33

67.3 12 アメリカでファンタジーなアニメランキング12位
ポカホンタス(アニメ映画)

1995年7月1日
★★★★☆ 3.8 (15)
111人が棚に入れました
1607年、英国から黄金を求めてラトクリフ総督率いる開拓隊を乗せたスーザン・コンスタント号が新大陸へと出港した。一行の中には仲間のためには危険をも顧みない勇敢なキャプテン・ジョン・スミス(声:ギブソン)もいた。目的地のヴァージニア植民地には、先住民のパウアタン族が平和に暮らしていた。首長の娘、活発なポカホンタス(声:ベダード)は最近立て続けに見る回る矢の夢が、新しい運命が待つという予言のような気がしていた。森の精霊、グランドマザー・ウイロー(声:ハント)に相談した彼女は、風が教えてくれるという言葉に促されてウイローの梢に登り、折しも入港せんとする船を見る。一番乗りで上陸したジョンの跡をつけたポカホンタスだが、気付かれ消えられてしまう。彼を捜すポカホンタスの前に、銃を構えたジョンが現れる。駆け出すポカホンタスだが“逃げないで"というジョンの言葉に敵意は感じられず、彼の差し出す手に触れる。通じるはずのない言葉を心で理解し名乗り合う。運命の出逢いに一瞬にして恋に落ちる二人だったが、互いが敵同士となる戦いがに迫っていた。大感動のディズニーの長編アニメ第33作。史実に基づいた、米国では有名な建国神話で、ヴァージニア州では平和の象徴として彼女の銅像がある。91年の「美女と野獣」から使われ出したCGが今回も効果的に用いられている。例によってメンケンの感動的なスコアはお見事。特に劇中とエンドクレジットで流れる“Colors of the Wind"は、自然の素晴らしさと大切さを歌い上げるエコロジカルなナンバー(スティーヴン・シュワルツ作詞)で心に残る。ギブソンの声は彼でしかない(つくってない)ので顔が浮かぶが、キャラクターが演じてきた役に近いので気にならない。残念ながら日本では、華やかさに欠ける事や、あまり響きの良くないタイトルがマイナスに働いたと言えよう。

声優・キャラクター
アイリーン・ベダード、ジュディ・キューン、メル・ギブソン、リンダ・ハント、デイヴィッド・オグデン・ステイアーズ、クリスチャン・ベイル、ラッセル・ミーンズ
ネタバレ

ポロム さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

隠れたディズニープリンセス

実話をもとにしたフィクションで、歴史の事実とは異なる。
ディズニーには珍しい
{netabare} ハッピーエンド・・ではない{/netabare}作品
一部では批判もされているけど、
異人種間の恋愛を扱っていて
自然あふれる映像と美しい音楽とストーリーがたまらない

~あらすじ~
旺盛な好奇心と豊かな知性に恵まれ、自然を愛し
大自然の中を自由に駆け回って暮らしていた。

親からも結婚を勧められるが、自由なポカホンタスは、
縛られることが予想される結婚自体気が進まなかった。
ある日遠くから見たこともない大きな船がやってきて
その船には植民地化をしようとイギリス人がたくさん乗っていた。
そして、その中のジョンスミスという一人の男性と出会い
交流し・・恋に落ちるストーリー

再度見直したら、感情移入ししまい、
ラストのシーンで涙が出た・・。

作画は口の動き、髪の靡かせ方
大自然の美しさがとても良く出ている。さすがディズニー
音楽面ではColours Of The Windと
If I Never Knew You が特にオススメ。

2つめのIf I Never Knew You は
ポカホンタスで未公開シーンとなってしまった。
理由は「物語をスムーズに進めるため」と
「小さい子供がプレミア中寝てしまったため」
カットされました。泣(寝るなよ・・いいシーンなんだぜ)
・・・寝た子ども出てこい!!おこだよ!
おかげでカットされちまったじゃないか(´・ω・`)

幻の「If I Never Knew You」
二人のデュエットのハーモニーがとても良いです。
歌詞一部↓
{netabare}If I never knew you
If I never felt this love
I would have no inkling of
How precious life can be
もし君と 出会えなかったら
愛を知ること なく生きるだろう
もし君を 抱きしめなかったら
大事なことに 気付けなかっただろう {/netabare}

胸キュンポイント ネタバレ有り
{netabare}考えのすれ違いで誤ってポカホンタスの許嫁を殺してしまい
明日処刑されてしまうのを待つジョンがポカホンタスに囁いた言葉。

「明日殺される方がマシだ
君を知らずに100年生きるよりも」

この言葉にジョンのポカホンタスへの想いすべてが
詰まっていると思います。
このシーンでこんなこと言われたら泣いちゃうよ・・。{/netabare}

ジョンスミスが殆ど不在でストーリーが進む
衝撃的な続編ポカホンタス2はなかったことにしよう・・(笑)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 33

タイラーオースティン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

物足りない

史劇なのでディズニー映画らしいファンタジー性は当然ないのだけれど、そつなくまとめあげているところは流石である。

それでもやはり、ディズニーのエンターテイメント性を期待している者にとってはいささかの拍子抜けは拭えないところだろう。

極めてシリアスに描いているというわけでもないので、逆に気軽に観るくらいが丁度良い。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3

kuroko85 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

歌って踊るのが、心の子供をあんなに掴むとは、、

アメリカ原住民の娘ポカホンタスに開拓軍の将校が恋をする
話です。
ただ、それだけの話ですが、、、
ちゃんと魅せてくれますよ。
個人的にあの歌って踊るのが、心の子供をあんなに
掴むとは思ってもいませんでした。
魅入っている子供がいるので、私も黙ってみているしかありません。

それだけでしっかりディズニー偉大です。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2

計測不能 13 アメリカでファンタジーなアニメランキング13位
グリンチ(アニメ映画)

2018年12月14日
★★★★☆ 3.8 (8)
25人が棚に入れました
 この子の名前はグリンチ。友達も家族もいないからいつもひとりぼっち。グリンチは、ずっとさびしい毎日をすごしていた。
 オトナになったグリンチは、他人の幸せがだいきらい。村はずれの洞窟で誰とも会わずに暮らしハートの大きさは普通の人よりずっとずっと小さくなった。
 そんなグリンチが、なかでも一番きらいなもの。それは・・・村中が幸せな気分に包まれるクリスマス!!しかも今年のクリスマスはとっても豪華になるらしい・・・
 もう我慢できないグリンチは、あるとんでもない作戦を思いつく。そうだ。村からクリスマスを・・・盗んじゃえ!!
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

フーの村の素敵なクリスマス +++

 吹替版、字幕版、見たです。クリスマスまでに見ると良いかもしれないです。

 ひねくれ自己中、クリスマス嫌いのグリンチが、フーの村の人達を困らせようと行動をしたです。けれど、心に変化が起き自分が、何を求めていたのかに気づいた展開だったです。

 雪景色、村の風景、展開なかなかだったです。自分的には、字幕版の方が、言葉はわかんなかったけど、良い感じに思えたです。音楽、歌がやはり違うです。吹替版とで、グリンチ周辺の文字の違いにも、注目です。

 性格の悪い平和なものが嫌い、ひねくれグリンチな展開に見えたです。愛犬マックスに対する態度、出会ったトナカイ、本人は覚えてないようだったけど再び出会ったシンディー・ルーと話したとき、絶望するはずだった村人の行動を見たときのグリンチは、根っからの悪人にはとても見えなかったです。

 働いているわけでもないのに、大量の食糧を買うことができ、いろいろな発明品を作ったり、衣装を作りいろいろな作業具を持つグリンチは不思議だったです。
 ソリのように盗みを繰り返していたのでしょうか?です。

 いろいろな発明品は、非常に面白かったし、魅力的だったです。人間でないのは明らかだけど、何の生き物なのでしょうか?です。

 トナカイのフレッドや特に愛犬マックスとの友情を描いた場面は、良かったです。

 グリンチが、クリスマスを盗むということはどういうことなのか?です。それをした時グリンチは、幸せになったのか?、そこが最大の注目点だったです。
 グリンチがシンディー・ルーや村人のやさしさに触れた時、自分の求めていることに気付いたシーン、行動が良かったです。
{netabare} そんなグリンチを受け入れ、向かい入れたシンディー・ルーたちの大団円は、HAPPY ENDだったです。{/netabare}これでいいのだです。
 

投稿 : 2024/11/02
♥ : 1

ゆい さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5

子供向け

子供しか楽しめないんじゃ、、。
つまらなかった。子供がつくったような物語だったなぁ
グリンチの過去を掘り下げるならともかく、何もないし。孤児院なのにひとりぼっちで誰もいないのは意味がわからなかったし、、

投稿 : 2024/11/02
♥ : 0
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