ほのぼのでファンタジーなアニメ映画ランキング 2

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早速見ていきましょう!

73.0 1 ほのぼのでファンタジーなアニメランキング1位
劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~(アニメ映画)

2018年9月29日
★★★★☆ 3.8 (138)
792人が棚に入れました
小さい頃から、他の人には見えない妖(あやかし)を目に映すことができた夏目貴志。 亡き祖母レイコが勝負をしかけ、負かした妖に名前を書かせた契約書の束「友人帳」を継いで以来、 自称用心棒・ニャンコ先生とともに、妖たちに名を返す日々――。

声優・キャラクター
神谷浩史、井上和彦、小林沙苗、伊藤美紀、伊藤栄次、石田彰、堀江一眞、佐藤利奈、木村良平、菅沼久義、沢城みゆき、ゆきのさつき、岡村明美、黒田崇矢、チョー、松山鷹志、下崎紘史、知桐京子、高良健吾、島本須美、村瀬歩
ネタバレ

四畳半愛好家 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

良くも悪くも平常どおりの夏目友人帳

映画館にて鑑賞。

劇場版だからといって、激しい戦闘があったり、劇的な展開があるわけでもなく、いつもどおりほっこりできる、優しい作品でした。
原作にあっても違和感のない、夏目らしい脚本で、原作をリスペクトした劇場版だったと言えそうです。

逆に、劇場版の”特別感”を期待してる人には、少し肩透かしな作品かもしれません。
何を隠そう、私自身もう少し”特別感”のある作品を期待しておりました…。

とはいえ、基本平常運転でも、そこは劇場版。
主要キャラは、ほぼ全員出てきました。{netabare}
(欲を言えば、的場さんや、的場一門の七瀬とかも出してほしかったところはあります…。)
{/netabare}

また、ニャンコ先生の可愛さが爆発してたところは、ある意味特別だったかも。これだけでも観た甲斐がありました。(タキに劣らぬニャンコ先生の大ファンなので!)

逆に悪かったのは、キャスト面。
劇場版あるあるのゲスト声優起用は完全に裏目に…。
お笑い芸人の2人(ネタは好きな人たちですが)も、イケメン俳優も違和感だらけの演技。
前知識なしで観たんですが、すぐに「声優じゃないな」と看破できるぐらいには下手です。
そもそも、この手の作品に、芸能人を起用したところで、宣伝になるのか甚だ疑問です…。なんのメリットがあるのやら…。
アニメ好きが観る映画なら、豪華声優がゲストで出てくれる方が、集客力ありそうですが…。

作画に関しても平常運転だったかなぁ…。崩れるところは、崩れていますし、テレビ版とそこまで差異を感じられませんでした。失礼ながら。

何はともあれ、夏目ファンなら観れば良いでしょう!肩透かし感はあるかもしれませんが、ニャンコ先生の可愛さの爆発や、優しい物語は、ファンが愛している夏目友人帳の姿そのものだったかと思います!!


最後に、ネタバレ付き、物語に関して思ったこと(単なるクレーム)(雑記){netabare}

●主の亡くなった、式の解放について
 主が死してなお命令に従い続けている式の解放。この劇場版の裏テーマの一つだと思います。それゆえに、式を解放するシーンで、名取の式たちの気持ちを匂わせる描写がもう少し欲しかった…。
 夏目組の妖達の魅力は言うまでもないですが、名取の式たちもまた、愛しいキャラです。
 瓜姫・笹後・柊(ひいらぎ)は、誰よりも名取を大事に思っています。
(アニメでも丁寧に式になる経緯が描かれた柊は勿論ですが、瓜姫・笹後も非常に魅力的です。名取の最初の式となった瓜姫については、とっっても美しい出会いの話が原作21巻にありますので、是非。以来瓜姫ファンでもあります。笹後についても後々語られるのでしょう。)
 ニャンコ先生が名取を小突いたときに一斉に反応するさまに、名取愛が感じられて、可愛いかったです。

 そんな名取命な彼女らにとって、主の死は無視できない問題です。夏目組もそうですが、妖にとって人間の死はあまりに短い。夏目と斑にも必ず別れが来ますし、名取が式を解放するときもきっとくるでしょう…。
 なので式の解放の場面では、感じるものがあったはずですが…演出が少し不足してたような気がします。
 わがままでしょうか…。

●的場が出なかったことについて
 出てほしかったのが本音ですが、出せなかった部分もあるかと思います。
 なにせ、彼はとても複雑な人物であり、強力な式を手に入れようとする悪役として単純に登場させるべき人物でもないからです。原作でもまだまだ謎の多い人物であり、下手なキャラ付けを避けるため、緑川先生に配慮しての判断だったろうと思います。(名取はある程度固まってきているキャラなので、幾分か自由に動かせるのでしょう。)

●夏目組・犬の会について
 先ず紅峰(べにお)がいないじゃんかぁ…(泣)
 あと、劇場版なんだから、子狐とか出てくれたら、なおよかった。(欲張り)
 斑と同格レベルと思われる三篠(みすず)の活躍シーンとかもたまには観たい!(ただのクレーム)
                    以上 雑記了
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

優しく、哀しい、嘘をついた

この作品は、2018年の9月29日に公開されたそうですが、2018年9月29日、30日の公開初週2日間で観客動員数、興行収入、満足度において国内ランキング第1位を獲得。10月21日までに観客動員50万人を突破した記念に、鏡開きが行われたんだそうです(wikiより)。

どれほどこの作品を…この作品の持つ世界観を楽しみにしていた人が居たのだろう…
数値が、結果を如実に表していると思います。
そして実際に作品を視聴してみて、数値に嘘は無いことを確信しました。

公式HPも作成されていますが、あらすじはネタバレ要素が満載なので、この作品をじっくり堪能したい方は、前情報無しでの視聴をお勧めします。


人と妖の間で忙しい毎日を送る夏目は、偶然昔の同級生・勇気と再会したことで、妖にまつわる苦い記憶を思い出す。
そんな頃、夏目は、名前を返した妖の記憶に出てきた女性・津村容莉枝と知り合う。
レイコのことを知る彼女は、いまは一人息子の椋雄とともに穏やかに暮らしていた。
彼らとの交流に心が和む夏目。
だが、親子の住む町には謎の妖が潜んでいるらしかった。


公式HPのあらすじの中からネタバレ要素以外を抜粋しました。
謎の妖を巡り物語が動いていくのですが、今回も夏目の視点は秀逸です。
夏目のこれまでの境遇は、皆さんご存知の通り決して幸せとは言えない時間を過ごしてきました。
祖母である夏目レイコから受け継いだ「妖を見る力」に翻弄されたこともありましたが、多くの理由は夏目自身には無かったと思います。

夏目は物事を推し量る際、自分の過去の体験とオーバーラップさせるんです。
そんな彼の出す答えが人に…妖にとって優しくない筈がありません。
それは夏目自身の魅力でもあるので、夏目の周りにはいつも友達がいっぱい…
しかも物珍しさなんかではなく、居心地が良いから一緒に居るのが感じられる…
夏目に変化に一番ビックリしたのは、偶然出会った同級生なのかもしれません。

この作品のタイトルである「うつせみに結ぶ」は、物語の完走により意味を理解することができます。
物語を何故「うつせみ」に帰結させる必要があったのか…
作り手の様々な思いを乗せた一言なのでしょう…しっかりと切なさが伝わってくる構成だったと思います。
でも、公式HPのトップページに記載された「優しく、哀しい、嘘をついた」を見たのは、本編完走後だったからでしょうか…やたら胸に刺さった一言でした。

「優しく、哀しい、嘘」って誰がどんな嘘をつくんでしょう…
「嘘」をつくのは良い事ではありません。
そんなのは幼稚園児でも知っている世の中の常識…

でも、世の中そんな簡単じゃないんですよね…
そう、世の中には「正しい嘘」が存在するんだと思います。
縋る術がそれしかなかったり、偶然の奇跡を現実にするための必然性からなど、きっかけや理由は色々あると思います。

でも根底にあるのは「目の前の人を悲しませたくないから」なのではないでしょうか。
正義の鉄槌を振りかざすだけが万能じゃない…
「1+1⁼2」以外の事態に直面しても対処するため人の心は揺れ動けるように出来ているのではないでしょうか。
そんな事をこの作品を視聴して感じました。

上映時間104分の作品です。
昔から馴染のキャラはちゃんと登場しますし、今回もニャンコ先生は大活躍です。
出来の良さは数値が示しているので、この作品の世界観が好きならお勧めできる作品だと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 16

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

「出会いがもたらした変化は、小さなさざ波となって広がっていく。その小さなさざ波の端に、俺もいるんだ。」

2018年公開の劇場版。

時系列は重要でないので、夏目友人帳シリーズを全て視聴済みの方も、
まだ見ている途中だという方も、大丈夫。

また、設定等も丁寧に説明されているので、
まだ夏目友人帳シリーズを見たことがないという方も大丈夫だと思います。

今回も、人と人、人と妖との絆の温かさに癒されました(*´ω`*)

100分ほどの作品です。


● ストーリー
妖が見える少年・夏目貴志(なつめ たかし。)

祖母・夏目レイコの遺品の中にあった“友人帳(ゆうじんちょう)”には、
レイコが勝負で負かして子分にした妖の名が集められており、

名前を返してもらおうと訪れる妖、
友人帳の強い力を狙う妖、
そんな妖から夏目を守る用心棒・ニャンコ先生など、

友人帳をきっかけに、
夏目は様々な妖たちと関わることになる。


この劇場版にもちゃんと夏目友人帳らしさが詰まっています。

夏目(cv.神谷浩史)を聴くだけでスイッチ入ります。笑

1話完結の話が多いこの作品としては
100分は普段より長めの時間。

シリーズ初の長編オリジナルエピソードということで、
どんな感じになるのかなーとドキドキだったのですが、
観終わってみると、いつも通りの雰囲気に満足でした♪

寄り道に思える話もちゃんと伏線として取り込んでいて、
夏目に関わる主要なキャラはみんな登場してくれたのも嬉しい^^

妖にもいろんなやつらがいますが、
今回の主役となる妖は、人を想う優しいタイプの子。

その優しさや守ろうとした絆に、心がきゅっと切なく、温かく。
そんな夏目色に染まりました。

この作品の心地良さは、
夏目のそばにいる人たちの温かさが源。

一人じゃないから、
一緒に過ごす時間を大事にしたいと思える人たちだから、
夏目の物語はこんなにも温かい。


ちょいちょい声優が気になるのは、
ゲスト声優として芸人さんや俳優さんが演じられているからですね。

ぶち壊しと思うほど悪くはなかったけど、
微妙な違和感はありました^^;

容莉枝(よりえ)さんの声が素敵だなーと思ってたら、
しょくぱんまんの島本須美さんだったのですね。

全然わからなかったです( ゚Д゚)


主要のキャラクターたちは安定して大好きです。

今回の目玉はやはり、
分裂してしまったミニニャンコ先生ではないでしょうか?笑

うーん、でも私はやっぱり、
普段のぼてぼてのニャンコ先生の方が好きかな。

ものすごく体重ありそうだけど、
軽々と肩に乗せる夏目を見ていると、いつも不思議に思いますw


● 音楽
【 主題歌「remember」/ Uru 】

あーいい曲です。

感動的な主題歌がこれほど心地よく染みるのは、
良い作品&良い映画だという証拠だなと思います。

劇場版観てからずっと繰り返し聴いてます^^


● まとめ
大好きな夏目友人帳。

その印象も、ずっと味わっていたいと思う雰囲気も、
この劇場版で揺らぐことはありませんでした。

期待を裏切らない劇場版ですよ^^

そして!嬉しいことに!
2021年1月16日には劇場版2作目の上映も決定しています!!

この劇場版の余韻に浸りつつ、
新作公開を心待ちにしたいと思います♪

投稿 : 2024/11/02
♥ : 15

64.4 2 ほのぼのでファンタジーなアニメランキング2位
ももへの手紙(アニメ映画)

2012年4月1日
★★★★☆ 3.7 (278)
1312人が棚に入れました
「お父さん、ほんとうはなんて書きたかったの?」 いちばんそばにある愛が、いちばん見えにくい愛かもしれない。父が遺した書きかけの手紙。そこには、ただ、「ももへ」という一言があるだけだった。「何を伝えたかったんだろう」 心ない言葉をぶつけ、仲直りしないまま父を亡くしたももは、11歳の夏、その想いを抱えたまま、母と、瀬戸内の島に移り住む。そこで待っていたのは、おかしくも、不思議な出会いだった。豊かな自然と、やさしい人々が生きる小さな島を舞台に、いま、いちばん大切にしたい、家族の愛の物語が生まれる。

声優・キャラクター
美山加恋、優香、西田敏行、坂口芳貞、谷育子、山寺宏一、チョー
ネタバレ

ユニバーサルスタイル さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

今、生きている人へ。

亡くなったお父さんの遺した手紙。そこには「ももへ」の一文しか書かれていませんでした。
父亡き後、お母さんの実家の島へ引っ越ししてきたももちゃん。
お父さんの言いたかった言葉を考えながら、島での不思議な生活が始まります・・・。


島に着いたばかりの頃は無愛想で笑顔も見せないももちゃん。
能面みたいなその顔に最初は怖ささえ覚えました。
でも、仕方ないですよね。お父さんが亡くなった直後に家を離れて田舎暮らしなんて、心の整理が追い付かないと思います。

一方のお母さんは元気いっぱいで「さあ働くぞー!」と張り切っていました。
まだまだ健在に見えますが、笑った時の皺とか時折苦しそうに咳をするところなんかを見て少し悲しくなったり。

お父さんはあんまり出ないけどやっぱり家族を支える柱ですよね。一番存在感が強いのはお父さんだと思いました。



雰囲気としては子供向けアニメらしく、陽気で軽快な感じで動いていくので子供は楽しく見られるでしょう。
子供に今人気な妖怪も出てきますし(笑) 可愛くてほのぼのします。


でも親御さんくらいの年齢の方が見るとまた違った見え方があるんじゃないかな、と思います。
冒頭からお父さんの死が描かれる辺りから、身近な生き死にを意識させられます。
残された家族の想い、これからの暮らし・・・。失った分、より強く支え合って生きていかなきゃならない。
ファンタジーな世界に包まれているけど、このアニメが見せているのは極めて現実的なテーマでした。


正直見ていてちょっと苦しかったんですよね。こんなに可愛い絵なのに、生々しすぎて。

ようやく最後まで見て、「手紙」で伝えたかった意味を理解したときやっと楽になれました。
ああ、厳しい現実を突きつけるだけじゃなくて、そういうことが言いたかったのか、って思いました。


子供向け、って親御さんも一緒に見て考えて、お互いにそれを思い出に残すことに意味があるんじゃないかって思います。
「ただ子供に見せるだけじゃなくてお母さんなりお父さんなり、隣に座って一緒に見て下さい!」って言葉が聞こえてくるような映画でした。
主題歌もとっても元気がもらえる曲だと思うので是非聴いてください。



ここからはネタバレありの、感想です。
{netabare}
見終わって最初は、「お父さんはなんでお母さんにも手紙を残してあげなかったんだろう?」と思いました。
幼いももちゃんより、長年付き添ってきた妻の方が深く悲しみを背負っていることはお父さんも分かっていたはずなのに。
お母さんが見返している思い出のアルバムも、お父さんと付き合っている頃の写真から結婚式の写真。二人の思い出がいっぱいです。
大人だから大丈夫、なんて有り得ません。だって子供が生まれる前から一緒にいるんですもの。どれほど辛いことか。
所詮ももちゃんが主人公だから、お母さんはどうでもいいのかな・・・。なんて思ったりもしました。

でも、違ったんですよね。お父さんは誰よりも妻が悲しんでいるだろうことは分かっていた。だからお母さんを支える役目をももちゃんに託したんです。
ももちゃんへの手紙は、ももちゃんを元気づけることが目的じゃなくてこれからはお前がお母さんを支えていってくれよ、というメッセージだった。
亡くなってしまえば、死者が生者にしてあげられることなんて何もありません。生きている人間だけで支え合っていかなくてはならない。
でも幼いももちゃんにはまだそれが理解できなかった。
お母さんの危機に際して全力で頑張って、お父さんからの手紙を読んで。やっと、私が頑張らなきゃいけないんだ。って思えるようになったんだと思います。

これは生と死を軽々しく扱った作品では決してないと思います。
むしろ生きている人間への愛に満ちている。頑張れ!って言われた気がします。
特に年齢こそ違えど僕も同じような環境なので、より一層胸に突き刺さりました。
家族は、支え合って生きていかなきゃいけませんね。
{/netabare}



蛇足です。
{netabare}
そういえば、ももちゃんがお父さんが死ぬ前にキツい言葉を浴びせてしまったことを後悔する描写がありました。
ももちゃんはツーンとして部屋から出ていき、お父さんは悲しそうな顔をして……そんな回想でした。

あそこはももちゃんとお父さん、両方の立場に共感してしまったんです。
ちょっと自分語り入っちゃいますが勘弁してください。

小さい頃、自分の思い通りにならないと駄々をこねたり怒ったりしました。
あの頃は本当に自分のことしか考えられずに、親が何を思ってるかなんて全く意識になかったんです。
言いたい放題言って、その時に母や父が浮かべる愛想笑いもただの誤魔化しなんだって憤慨して。
「親なんだから、私との約束くらい守ってよ!」みたいな、いつでも自分を最優先するのが当然ってな感覚ですよね。
大事な子供との約束なら、そりゃ親だって一番に優先したい。けど、どうしても守れないときもある。
そんなとき、子供も悲しいけど親も同じくらい悲しいですよね。
ももちゃんはお父さんが死んだ後そこまで気付けたのでしょうか……だったら凄いと思います。


死んでから親の有り難みが分かるなんて言いますが、本当にその通りです。
自分のためにどれだけ愛情を注いでくれていたか、亡くなってからでないと当たり前すぎて気付けないことです。
今思うと、あの時の言動や行動はそういう意図があったのか。なんて思い返したりします。(ある日突然濡れ場のある成人漫画を買ってきてくれた父の考え、当時は理解できませんでしたが今ならそうだったのかと分かります。本屋で真剣に悩む父の姿を想像して自分の親ながら少し萌えました。)

本当はね、普段から「ありがとう」とか「愛してる」とか想いを表した方がいいと思うんですよね。アメリカ人みたいに。
ただやっぱり毎日顔を合わせる相手にそういうことをするのはどこか恥ずかしいみたいな所はありました。僕の父もそうだったようです。
ももちゃんもお父さんのことは大好きなのに、言葉にできない・素直になれない感じがあって、それはお父さんも同じ。

ももちゃんのお父さんの場合は思春期の娘だからもっと大変だったんじゃないかなって思います。
近すぎるとウザいと言われ、距離を取ると愛されてないと言われ、年頃の女の子ってかなり複雑ではないですか。
そんな中でお父さんなりに、頑張って接しようとしてるんですよね。
短いやり取りしかありませんでしたが、そんなお父さんの想いがひしひしと感じられました。

ももちゃんみたいにお父さんの死後言葉を伝えることができたら……なんて、ちょっと考えちゃいます。
現実では死んだ後じゃ遅い。生きてる人間にしか言葉は届きませんから。
このアニメ、10~20代の人は見ないだろうなあ。そういう年頃の人にこそ、見てほしいもんですよ。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

気がつけば、私、ひとりじゃなかった。

この作品は、まだ、あにこれのチャット部屋が賑わっていた頃、キャッチしている方からお勧めされた作品でした。
中々視聴する機会がありませんでしたが、この度ようやく視聴することができました。


”ももへ”とだけ書かれた手紙を遺し、お父さんは天国に旅立ってしまった。
「ほんとうはなんて書きたかったの?」

心ない言葉をぶつけ、仲直りしないまま父を亡くしたももは、その想いを抱えたまま、
母いく子と瀬戸内の島に移り住む。

慣れない生活に戸惑うももだったが、不思議な妖怪”見守り組”のイワ、カワ、マメと出会う。
食いしん坊でわがまま、でも愛嬌たっぷりの彼らには、実は大切な使命があった・・・・・・。
もものために明るく振舞いながら忙しくする母いく子。

そんな中、ちょっとのすれ違いからももといく子はケンカをしてしまい、さらにいく子は病に倒れてしまう。
母が自分の為に無理をしていたこと、母の想いに気づいたももは、
”大切な想いを伝える”奇跡を起こしていく――。


公式HPのSTORYを引用させて頂きました。

2012年に公開された作品なので、もう8年以上前になりますが、公式サイトが残っていてくれるのは、本編とは違った角度から見ることができるのでありがたい限りです。

物語の舞台は、「汐島」という瀬戸内海に浮かぶ小島で、広島県呉市の大崎下島がモデルになっているのだそうです(wikiより)。
島の景色、街並みや佇まいが物語のあちこちに散りばめられているので、聖地感が半端ないんです。
今はコロナ禍なので遠出はできませんが、フラっと訪ねてみるのも悪くないかも…
気の向くまま、足の向くままの散策…山の頂上からの景色は格別らしいので。

例え道に迷ったとしても大丈夫…
「道に迷ったら海を目指せ」
この島の外周は道路が一周しているのだそうです。
だから外周の道路に出られれば、方向を見誤ることはありません。
こんな風に思えるのも、作品の中でこの島の美しさが謳われているからなんでしょうけど…

作風にはちょっぴりジブリ感を感じましたが、その理由も公式サイトのINTRODUCTIONをみて納得。
アニメーション制作のProduction I.Gさんに加え、「もののけ姫「「千と千尋の神隠し」を手掛けられたスタッフが集結していたそうなんです。

声優陣は、声優業に特化した方が少ない印象でした。
主人公のもも役を演じたのは美山加恋さん。
アニメより女優としての活躍の方が幅広の方で、アニメもプリキュアやアイカツシリーズなどの出演が多いので、個人的には馴染みが薄いのですが、最近では「ハイキュー!! TO THE TOP」にも出演しているとか…
他には優香さん、西田敏行さん、山寺宏一さん、チョーさんなどなど…

一方、物語は「家族の在り方」がテーマになっていました。
勢いに任せて口にしてしまった一言が取り消せなくなってしまった…
相手はどう思っているかは分からないけど、少なくても自分の心にはトゲとして残り続け、時折思い出してはチクチクと胸が痛む…
きっと誰にでもこういう経験はあると思います。

本当はこんな展開なんてこれっぽっちも望んでいなかった…
ただサプライズをあげたかっただけなのに…
良かれと思ってやった筈なのに優しさが空回り…
それが子供ならなおのこと心の持ちようが分からないと思います。

加えて東京の都会から瀬戸内海の離島という天地ほど環境差のある場所も、色々と受け入れられない原因の一つだったのではないでしょうか。

そんな四面楚歌のももに起こる奇跡とは…!?
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

主題歌は原由子さんの「ウルワシマホロバ 〜美しき場所〜」
メロディが綺麗…さすが原さんと納得できる楽曲だったと思います。

上映時間2時間の作品でした。
私にとって涙なしでは見れない作品でした。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 13

しゅりー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

不思議な清涼感に包まれたひと夏の物語

2012年4月公開。Production I.G制作。
沖浦啓之監督が家族の愛をテーマに描く劇場公開作品です。

父、カズオと交わした約束が果たせずに喧嘩になってしまった少女、もも。
仲直りを出来ないままに亡くなってしまった父の部屋には
「ももへ」とだけ書かれた手紙が残されていました。
父の死を受け入れられないままのももが、母のいく子が小さい頃に
住んでいた瀬戸内海のある島へ母とともに移り住むところから物語が始まります。


イワ、カワ、マメという3人?の愛嬌ある妖怪が登場することから
何だか妙なイメージを視聴前は持っていまいしたが、フタを開けてみると
とても夏らしい清涼感のある人間ドラマになっていました。

ももが島に移り住んだのは夏休み中とのことで、学校の存在は
あまり示唆されず、舞台は島の人々が暮らす風景の中に限定されています。
夏の太陽光の強さ、写真から切り取ったような懐かしさのある路地や
山の蜜柑畑の清々しさ、静かな温かみのある町の港など島の風景が
とても印象的に描かれているように感じます。

そんな風景も良いですが、本作は登場人物の表情や仕草に独特な魅力があり、
それが作品の雰囲気作りに最も役立っているように感じます。
登場人物の驚く表情や呆れた表情などで出てくるシワからは何とも言えない
愛嬌を感じますし、畳の上に仰向けに寝転がりながら足を使って
ズイズイ動いたりするももの仕草に等身大の少女らしさが見て取れたりします。
(この動作、文字で表現しづらいですが、肩に当たる畳の感触が気持ちよさそうです。)

あと、これは個人的な実感なのですが、ももという少女の描かれ方を見ていると
多少はっきりしない受け答えと少し遅れがちな反応が気になる部分が大きいです。
アニメやドラマのキャラクターはけっこう模範的というか型にハマった
感情表現を求められることが多いと感じているのですが、普通に生活している
人間がそんなにドラマチックな受け答えを出来ることは少ない訳で…。
そうしたところで、本作のもものちょっと戸惑ったり、事態を把握するのに
時間を使ってから何かしらリアクションをするような様は返って自然に感じました。

他にも島の少年、陽太の思春期らしい反応や郵便屋の幸市おじさんが
状況について行けずに表す戸惑いなど、登場人物の様々な反応に
ちょっと他のアニメでは感じないような親近感が湧くことがありました。
ただ、そこにいくとイワ、カワ、マメのコミカルな反応は他のキャラクターと
対照的に非常にアニメらしく見えて、変なところで妖怪らしさを感じます。
上記の印象は子供達の声優さんの素気ない素朴さを感じる演技と
妖怪役の声優さんの情感たっぷりな演技によるところもあるかもしれないです。

劇中のBGMはカレイドスターなどで音楽を手掛けられた窪田ミナさんとのことです。
原由子さんのEDテーマ「ウルワシマホロバ ~美しき場所~」と合わせて
舞台の穏やかなイメージに沿った音楽だったように思います。


物語の顛末については映画本編を観ていただくしかないですが、
終始、手紙の存在感を意識させられるということは言っておきます。

誰かに手紙を書くという事は、口に出して伝えるよりもよっぽど難しい。
書く側は想いをどう書き起こしても、その想いの何割も文字で表現出来ないし、
読む側だって書かれた内容から書き手の意図とは別の想いを抱くかもしれない。
そんな人の不器用さにジレンマを感じながらも、伝えたい想いの純粋さに
心を解きほぐされるような、そんな不思議な印象のあるアニメでした。

清涼感があると言うと裏返せばさっぱりしすぎているともとれますし、
お話の好みなどもあるかと思いますが、もしお時間が許すなら
観てみてはいかがでしょうか、とオススメします。

投稿 : 2024/11/02
♥ :
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