音楽でコンサートなアニメ映画ランキング 3

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の音楽でコンサートな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月08日の時点で一番の音楽でコンサートなアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

75.0 1 音楽でコンサートなアニメランキング1位
きみの色(アニメ映画)

2024年8月30日
★★★★★ 4.1 (30)
99人が棚に入れました
高校生のトツ子は、人が「色」で見える。
嬉しい色、楽しい色、穏やかな色。
そして、自分の好きな色。

そんなトツ子は、同じ学校に通っていた美しい色を放つ少女・きみと、
街の片隅にある古書店で出会った
音楽好きの少年・ルイとバンドを組むことに。

学校に行かなくなってしまったことを、家族に打ち明けられていないきみ。
母親に医者になることを期待され、隠れて音楽活動をしているルイ。
トツ子をはじめ、それぞれが誰にも言えない悩みを抱えていた。

バンドの練習場所は離島の古教会。
音楽で心を通わせていく三人のあいだに、友情とほのかな恋のような感情が生まれ始める。 周りに合わせ過ぎたり、ひとりで傷ついたり、自分を偽ったり― やがて訪れる学園祭、そして初めてのライブ。 会場に集まった観客の前で見せた三人の「色」とは。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

大人が意外と分かってくれる温かいバンド作品

ミッション系スクールなどを舞台に、
バンド活動を始めた女子2人、男子1人の葛藤と青春などを描いた、
山田尚子監督のオリジナル劇場アニメ(100分)

【物語 4.0点】
近年の山田監督作品としては優しい世界。

教会系ならではの厳格な校則などで圧迫された若者の鬱屈が、
音楽として噴出して、鑑賞者のハートを突き刺してくる作品なのだろうか?
山田監督ならではの、痛切で叫びたくなるような心情、青春表現等を警戒して、
私はガチガチにガードを固めて挑みましたが、
今回はストレスを除いていくという監督方針で紡がれた本作は、
案外、穏やかで、鑑賞直後は、正直、拍子抜け感すらありましたw


盟友、脚本・吉田 玲子氏とのタッグ作でもありますが、
主人公の一人・日暮トツ子のゆるふわなキャラクターの躍動などを見ていると、
『リズと青い鳥』『平家物語』よりはむしろアニメ『けいおん!』くらいのムードで、
肩に力を抜いて楽しむスタンスで行ったほうが上手く折り合えるのかもしれません。

が、穏やかな中にも、祖母に{netabare} 退学{/netabare} を秘密にしている作永きみだったり、
家業の医者を継ぐという期待に反するように陰で音楽をやってる影平ルイだったり、
大切な人に嘘を付いているという後ろめたさなど、青春アニメとしてちゃんと痛みは取り扱われています。

ただ、多くのささくれだったバンドアニメとは異なるのが、
登場する大人たちの多くが、少年少女が悩んで音楽に走ってしまう気持ちを理解している所。
大人として社会のルールなど筋を通さねばならない建前は取り繕いつつも、
子供の葛藤を罰で押し潰さないよう配慮する。
青少年が呼吸できる余白がこの青春映画にはまだあるので救われます。
特にシスター日吉子の規則破りに対する采配は、迷える子羊たる少女たちの気持ちを汲んでいて絶妙でした。

クライマックスは主役3人のライブシーン。
ここも分かってくれない大人にトゲを刺して思い知らせてやろうという痛快さよりも、
大人だけど、君たちの気持ちは若い頃心当たりがあるから分かりますよという温かい積み重ねの上に歓待される、多幸感が胸を打つ感じ。

ライブ後、{netabare} トツ子が花畑で踊るシーンが印象的ですが、
私はそれ以上に、生徒にバレないように淡々と退場した後に、
踊り始めるシスター日吉子にホッコリさせられます。
(※核心的ネタバレ){netabare} 元ロックバンドGod Almightyメンバーとして、ライブ中ノリノリになるのずっと我慢してたんだなとw{/netabare} {/netabare}


【作画 4.5点】
アニメーション制作・サイエンスSARU

周囲の人間を“色”として認識できるトツ子。
憧れの作永キミの色は青など。でも自分の“色”はまだ分からない。
他人には中々理解してもらえないトツ子から見る世界を、
色を知覚する人体の原理から解きほぐして、
鑑賞者の“ピント調節”をしてくる冒頭映像から、表現に意欲的な作画・背景。

色彩設計の小針 裕子氏。
過去作では、個人的に特に『GREAT PRETENDER』のカラフルな背景、建物の色使いが好み。
本作でもキミのブルーに合わせて、背景を海の青などで合わせてくるなど、
色彩にも統一感がありました。

トツ子の色は何色か?が一つの焦点ですが、
映像見ていれば、あぁやっぱりその色だよねと納得できます。


ライブシーンは手描き重視。
私はどちらかというとライブはCG派ですが、
クールなテクノサウンドで敢えて、奏者の汗が滴る繊細な手描き表現などを見せられると、
まだまだ手描きで表現できるライブの醍醐味はあるぞと唸らされます。


トツ子に作詞のインスピレーションを与えた授業での太陽系の自転・公転運動の資料映像。
座標が固定された太陽の周りを惑星が公転するイメージ映像ではなく、
銀河系の周りを約2億5000万年かけて公転する太陽に追随するように絡んでいく惑星というリアリティ重視の方の映像を私は久しぶりに見ました。
{netabare} 猛進する太陽が、青のキミからトツ子の顔面に投じられたドッジボールとリンクしたトツ子の妄想には吹き出してしまいましたがw{/netabare}


【キャラ 4.0点】
日暮トツ子。ミッションスクールの寄宿生。楽器ド素人なのに憧れの作永きみと親密になりたい欲求から3人でバンドにやろうと言い出す。他人が色として見える共感覚だけじゃない不思議ちゃん。乗り物酔いに弱い。バレエ経験者。

作永きみ。聖歌隊メンバーとして他の生徒からも慕われるも、期待される自分を捨てるようにギターに惹かれていく。{netabare} その末に退学。{/netabare}

影平ルイ。離島の医師の息子。シンセなどの中古楽器をかき集めて、密かに音楽に没頭している。

以上の3人がメインキャラのバンドメンバー。
トツ子からきみへの想いは、ある種の百合含み。
きみとルイの間には恋愛の波動もあり、トライアングルの波乱も予感させますが、
この3人の関係性は恋愛と一言で片付けられない物があり、
私は今も的確な答えを導き出せていません。


【声優 4.0点】
トツ子役の鈴川 紗由さん。きみ役の髙石 あかりさん。ルイ役の木戸 大聖さん。
メインキャストは約1600人の中から若手俳優陣をオーディション選出。
鈴川さんにはアニメ声優願望があり、髙石さんには舞台経験しかも2.5次元舞台でキャラ声での歌唱経験もある。

トツ子はゆるふわ属性のキャラ声での対応が求められ、
きみには歌唱に加えラスト{netabare} 「頑張ってっ~!」{/netabare} の絶叫シーンもありましたが、
3人とも声でキャラを作り、声を張ることができていたと思います。

指名よりはオーディション。舞台など声に力を込められるだけの素地があること。
良好な俳優キャストの条件は揃っている布陣だとは感じました。


が、私はそれでもアニメ声優の経験豊富な方がメインやったらどう良化しただろう?との欲は捨てきれませんでした。
トツ子のルームメイト“森の三姉妹”というモブキャラポジに、
『平家物語』主演の悠木 碧さん、『けいおん!』紬(つむぎ)役の寿 美菜子さん。
山田監督作の出演経験者も配されていただけに、
例えば、この実力者2人がメインだったらとか邪念が入ってしまいます。


【音楽 4.0点】
劇伴担当はこちらも山田監督とは腐れ縁の牛尾 憲輔氏。
シンプルなピアノとストリングスのミニマル・ミュージックでキャラの青春の掛け合いを下支えするお馴染みの仕事ぶり。

一方で、テクノ志向なバンド・しろねこ堂の楽曲群では、
牛尾サウンドのもう一つの特色であるシンセ和音が際立ちます。
さらには、最古の電子楽器テルミンまで登場し、楽曲にアレンジ。
(アンテナに手をかざしてプオォ~ンなどとSFチックなサウンドを発生させるやつ。マニアック過ぎますw)

教会で鳴らすには突飛な曲風でしたが、
シスター日吉子に言わせれば、感情や気持ちが表れていれば、
しろねこ堂のサウンドもまた聖歌なのです。

「水金地火木土天アーメン」
山田監督自らが発したワードから構想されたというこのライブ曲。
私も思わず踊り出したくなる謎の中毒性がありますw


ED主題歌はMr.Childrenが「in the pocket」で、
2009年の劇場版『ONE PIECE~』以来のアニソン提供。
歌詞世界も、牛尾氏参加のアレンジも、まずまず作品に寄せて来てはいましたし、ミスチルは好きなバンドではありますし、
従来の山田作品ファンとは違う層への訴求力もあるのでしょうが……。

私はエンドロール後に{netabare} 「水金地火木土天アーメン」のダンス映像入れる{/netabare} くらいだったら、
最初からEDも、しろねこ堂で良かったのではないか?
とこれまた邪念が入ってしまいました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17
ネタバレ

とまと子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

かさなる光

 
もしかしたらですが、主張や想いを言葉で綴ってぐいぐいと進んでいく物語を期待して観たら、この映画は大きな盛り上がりもないテンプレな青春ものに見えてしまうかもしれないです。
でも、動く絵と流れる音が主役で、さらにそこに言葉が乗って詩になっていく… 光がうたい影がささやき、音がこころを揺さぶってくれる…そういう映画の素晴らしさという意味では、この「きみの色」は他に類をみないほどの宝石のように貴重な傑作だと思います。
もし興味がおありなら、ぜひ劇場でご覧になることをおすすめします!


「リズと青い鳥」でも少し使われていた”重なり合い混じり合う色”の表現が、この映画ではもっと何度も使われています。
トツ子ときみとルイの3人はそれぞれの色を持っていて、ある時はトツ子が先に、ある時はルイやきみが先に、互いの色を出し合い、重ね合わることで、まるで一段づつ階段を作りながら昇っていくように、あたらしい色・あたらしい物語を作っていきます。


映画の冒頭で「色」についてのちょっと科学的な説明がありますけれど、色はものが光を受けて反射して現れるものです。決してもの自体が発しているものではありません。
でも、光はそれだけでは色にはなりません。

この映画では何度も何度もトツ子の瞳が映し出され、この映画自体が、この映画の世界自体がトツ子が見た光と色でできているのだと思わせくれます。
わたしの個人的な推察…というより妄想ですが、山田監督はもしかしたら、神様が七日間で世界をお創りになったのはもちろん「創造」だけれど、でもその世界はわたしたちが受け止めて感じて、初めて完成するものなのだ…という思いがあるのではないでしょうか?
能動的で積極的な何かを作りだそうとすることはもちろん大事だけれど、受動的で消極的に見えるかもしれないけれど、何事も成し遂げていないように見えるかもしれないけれど、この世界を、その色を、光を、美しさを受け止めて、感じ取って、読み解くことがもう半分の大きな「創造」なのだと…この映画を見ていてそういう感じがしてしかたありませんでした。

トツ子は映画の中でずっとくるくると踊りながら動いている印象ですが、ふわふわと漂う指先にはまるで見えない魔法の杖があって周囲に色と光を咲かせ世界をつくり出しているように見えるのです。


色の三原色=青・赤・黄を重ね合わせていくとだんだんと彩度を失って黒に近い色になっていくけれど、光の三原色=青・緑・赤は、重なりあうと白い光となって一番輝きます。
山田尚子監督は「物語を最終的に光に収束させていきたかった」とおっしゃっていて、その想いは間違いなく成功していて、わたしは心のなかに「光」をいっぱいに感じながら劇場をあとにしました。
(…♪どってんあーめん♫って脳内リフレインさせながらw)


いちばんの見所は、やはり3人のバンド=しろねこ堂のライブシーンだと思います。
ゴリゴリの音楽マニアの山田監督と牛尾憲輔さんが作ったこのシーンはかなり攻めていてw 耳を聾する爆音で終わったあとしばらくウワンウワンしちゃうライブハウスを再現しようとしたみたいです。
でもとっても美しくて、とっても楽しい!♫

物語としては、わたしは最後の {netabare} きみの声を枯らしてルイへのエール…これはライブですら声を張ることもなかったきみの熱烈な告白だと思うんですけれど…からの切れてしまっていて最後にはルイの手から離れてしまう紙テープ…という普通なら永遠の別れを象徴するようなシーンが、何本もの「色」が空の光に溶けていって、同じ空を通じてこころがつながるイメージを思い起こさせていく… こういうハッピー{/netabare}エンディングっていいな、と思いました♡


ずっと、とにかく美しい色で映画を作ってこられた山田監督と、音の魔術師・牛尾憲輔さん、言葉の達人・吉田玲子さん…この3ピースはきっとこれからも美しくて楽しい映画を作り続けてくれる、ほんとうのリアルしろねこ堂かも知れません♡

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7
ネタバレ

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

キャラの印象が・・。

・・・薄い・・・?

鑑賞直後に、作品から感じとったイメージです。

でも、それこそが、本作に強みを与えている "一番の理由" と読み取っています。



きみの色。

表向きは、作中のキャラを語るだろうテーマですが、裏返せば、作品を鑑賞する人にむけて射影されていると感じました。

山田監督が描こうとする「きみ」は、鑑賞する「わたし」の想い、「あなた」の気持ちに、なにかのハレーションを起こすような気がします。

そう思うと、キャラが薄いのにも納得できます。

「あなた」自身を、3人の主人公に投影し、そのポジションに立つためのシナリオなのですから。



観ていて感じたのは、ストレスが全くないということでした。

そのあたりは「登場するキャラに、いい人しかいない。」とも言えるのかもしれませんが、私はそれは大事なことのように思います。

今、私たちの社会は混とんとしていて、学校の集団にせよ、進路に向かうにせよ、自分の身の置き所が、とにかく不安定な世の中です。

そんな時代にあって、本当に大事なことは、自分の土台作りなんじゃないかなって思うのです。

本作では、3人のメンバーが、バンドを組み、演奏をするなかで、自分の存在意義だったり、社会との距離感だったりを、お互いに問いかけ、答えを見つけ出そうとするストーリーになっています。

だから、彼らが見つけた何かを、見つけようとした何かを感じ取ることができるなら、それはテーマに触れたことになるんじゃないかなって思います。



お話としては、3人の色がそれぞれに提示されます。

最後に束の間、{netabare} 3人目の色が演出されますが、{/netabare} そのとたん、私はみるみる心がぬくもり、胸に沁みこむものがありました。

思いどおりにできなかった過去も、平凡に流されている毎日であっても、自分が自分らしくあっていいと思える感覚は、思いがけなく尊いものだと思います。

本作が問いかけている「きみの色」は、視聴者自身の色、あなたらしい色のこと。

その色は、年齢とか境遇とかには関係なく、今の自分の深いところに問い返すことのできるものなんだろうと思いました。



小ぶりな作品と言えば、確かにそうなのかもと思います。
でも、私はこうも思います。

山椒は小粒でピリリとからい、と。
真っ白なパレットとキャンバスは、自分の手の中にある、と。

たとえ、世間から埋没し、目立たなくいたとしても、自分の可能性だけは誰にはばかることはない、と。

きみの色は・・・、わたしの色は・・・。

あなたの色に、やわらかなエールを送ってくれる、ステキな作品だったと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 13

72.3 2 音楽でコンサートなアニメランキング2位
THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!(アニメ映画)

2014年1月25日
★★★★★ 4.1 (537)
3109人が棚に入れました
芸能事務所765プロに所属する13人の少女たちが、アリーナライブに向け切磋琢磨する様子を描く。

声優・キャラクター
中村繪里子、長谷川明子、今井麻美、仁後真耶子、浅倉杏美、平田宏美、下田麻美、釘宮理恵、たかはし智秋、原由実、沼倉愛美、若林直美、滝田樹里、赤羽根健治、大塚芳忠
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

春香の「夢」「成長」「未来」

[文量→特盛り・内容→感想系]

【総括】
「THE IDOLM@STER」の続編にあたる劇場版。当たり前ですが、「THE IDOLM@STER」の視聴が前提となり、ここから観てもダメなタイプの劇場版です。

ファンなら必見、ファン以外なら観ても、ん? かな(私はファン♪)。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
冒頭の765プロ総出演の映画ですが、実写であれだけのCGや特殊効果は、リアルだったらムチャクチャ金かかるんじゃ(笑) てゆうか、シンフォギアっぽいし、何より同時上映の紹介までする姿勢には笑ったw

日曜夜のゴールデンに事務所単独でアイドル番組もってるって、全盛期のモー娘。や、AKB48以上やないか~い(カン♪)w

海での合宿、ここから入った視聴者は(ほとんどいないだろうけど)、「なんだ、水着回に温泉回か」なんて思うかもしれないけど、本編から観てきた視聴者は当然、「春香の夢、願い、叶って良かったね!」と、早くも涙腺緩むに違いないのです(断定w)。

アリーナでのライブというか、その前に、皆で向えることが、ね。

研修生との対比で各自の成長を魅せるのは良い演出です。平和な765プロの中に波風立てないために、今さら765プロ内に優劣はつけられないし。

劇中歌「ラムネ色 青春」に乗せ、合宿の様子を伝えるのも良かった(ガーリッシュナンバーの九頭Pなら動画回して売り出すな、とか思ってしまったw)。前から何度か書いてるけど、セリフなしで魅せられるアニメは優秀です。キャラがたってる証拠だしね。

事務所での窓越しの雨のシーン。実写かっ!? というレベルの作画力。ちょっとびっくりしました。でも、可奈と春香がお菓子食べるシーンとか、ミキと春香のトイレでの会話シーンとか、律子が屋上で走り出すシーンとか、なんか人物の動きが奇妙な感じがするシーンがいくつかある気がするんだけど、気のせいかな?

しっかし、提供だろうけどローソン無駄に出過ぎw

バックダンサーにそこまで気を遣うってのは、?

ファンはそこまで観ないし、シホはバックダンサーなのに出過ぎでしょ。イラッとする(笑)

春香は苦労を背負いこむ星の下に生まれてきたんすね、きっと。まあ、でも似合ってるから大丈夫(笑)

ただ、これはちょっと苦言だが、スクールの後輩たちの悩みについて(あまり苦言を述べたくないアニメなので隠しておきますがw){netabare}可奈の逃亡期間、春香にしては対応が遅れた気がする。あの「こうだと決めたら真っ直ぐ突き進む」「良くも悪くも空気読めてない」春香なら、可奈のサボりを聞いて、あるいは辞めたいメールを見たら一目散に駆け出していきそうだけど。あのウジウジは、なんか春香っぽくない。それに、可奈の太ったクダリは、気持ちは分かるけどやはり叱られて然るべき行動だと思う。多少まるくなったとはいえ、千早や伊織あたりはプロ意識高いからイラッとしそうだし、志保に関しては間違いなくキレるはず(バックダンサーのくせに春香に食いつくくらいの活きのいいルーキーですからw)。う~ん、春香を筆頭に皆が熱い気持ちを吐露するアリーナの場面、感動はしたんだけど、やっぱりひとつ突き抜けなかったのは、可奈の我がまま自堕落っぷりに引いてた部分があるかも。みんな可奈をかばってたけど、(一人で自主練習してたとかなら良かったんだけど)あからさまに可奈が単独で悪いだけだから、なんか同情できなかったです。それなのに{/netabare}少し尺をとりすぎたかな、と。

春香が以前経験したような悩みを、今度は先輩という立場で見せたかったのもわかるし、今後の商業的な展開からも新人達も魅せたかったのでしょうが、やはりみんな本編のファンなわけで、しかも多人数ヒロインのアニメ。もっと、少しでもたくさん765プロの面々のストーリーを観たかったのが本音。それこそ、研修生には引き立て役に徹してもらって。

ただ、その中でも、伊織と雪歩の成長はよく描かれていました。プライドが高くて野心家で、ワガママお嬢様だった伊織が周囲に気を使えるようになったり、引っ込み思案で常にみんなの足を引っ張っていた(と少なくとも自分では思っていた)雪歩が、春香と一緒に研修生の食卓についたりと、「大人になったな~」と感動する場面も。研修生や他のメンバーを自宅に招いたがこの2人だったのも驚き。これが(家の広さは別として)千早やあずさだったら驚きはしないのだけれど、「へ~、この2人が副キャプテン的な役割をこなすようになったのか~」と感慨もひとしお。

逆に、千早や美希は本編で準主役級の扱いを受けていたこともあり、少々大人し目でしたね。まっ、要所要所での一言には含蓄があり、やはり他の面々より一歩先に進んでるな~とは思わされましたが。

そして、私が好きな真は今回もほぼ出番なし。贔屓だぁ、不憫だぁ(笑)

終盤、合宿の集合写真をバックに「私もみんなと一緒に変わっていきたいな」と春香が言ったことに驚き。本編で、あれだけみんなとの関係性が変わっていくことに悩み、暴走した春香も、しっかり成長していたんだな~と実感。

ラストを飾るライブに関しては圧巻で何の文句もなし。歌もアイドルっぽくて(まあ、ライブの1曲目に歌う曲じゃないけどw)良いし、なによりカメラワークと作画! 特に、アイドルを手前に置きながらなめるように2階席までうつした時の観客との一体感と、花道をアイドル達が走ってくるのをカメラで迎えたり追いかけたりする所の疾走感は並みじゃない! 気合い入ってるな~と素直に拍手!
{/netabare}
ED含め、THE IDOLM@STERという名作を締めくくるに相応しい劇場版でした。満足!

(蛇足)
{netabare}ラストのライブシーンの直前や最中、ジュピターの面々や音無さんをうつすのは良いんですけど、善澤さんうつす余裕あるなら、千早のお母さんうつそうよ(汗) まさかシンプルに忘れたってことはないだろうけど、あそこで登場させない意味が分からない。それと、横浜アリーナのキャパで、メインのアイドルが12人いて、バックダンサーが7人って少なすぎるんじゃ? (アニメには出せないが)せめて20人くらいほしいって思うけどw{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 25

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

音楽に生かされ、音楽に殺された不遇の迷作か!?

グレンラガンのキャラデザで名を馳せた錦織敦史の初監督、元京アニのネ申演出家である高雄統子を招き入れ、A-1Picturesと名立たる豪華スタッフに支えられて2011年に幕を閉じた『アニマス』
その豪華スタッフが再度集結し今度は劇場版を作ると来たもんです
いやはや、仰天やで・・・っておい!どこにも「待田堂子」の名前が無いぞw
(お察し下さい、待田さんはWUGで忙しかったんです)
もうこの時点で実はちょっとガッカリ気味だったんですわ
「待田×高雄」のタッグが描く『少女像』ってのがあってこそのアイマスだとオイラ思ってたんで










テレビシリーズ26話の後、遂にアリーナでのライブをすることになった765プロダクションのアイドル面々
アリーナライブはアイドルとしての一つの到達点である
またこのライブの後に美希はハリウッドデビュー、千早も海外での本格的な音楽活動を控えていた
そんなアリーナライブでの演出の一環として、765プロオールスターズは初のバックダンサーを従えることとなる
新人育成の意味も込めて、プロデューサーと律子は久々に全員集合した765プロオールスターズと新人ダンサー7人で合宿を取り計らった
しかし現役アイドルとして鍛え抜かれた765プロとの実力の差は激しく、現実に強く打ちのめされる新人達
やがて新人達の間にこのままアイドル志望でいるべきか悩む者が現れ、それをきっかけに軋轢が生じてしまう・・・
プロデューサーから今回のライブのリーダーに抜擢された春香は彼女達をとりまとめようと奮闘するのですが・・・









まず冒頭からテレビシリーズの「生っすか!?回」で荒れまくった(笑)高橋龍也の脚本らしい劇中劇ネタが飛び交います
これはホント素直に面白かったですw
そしてOPには永遠の名曲「THE IDOLM@STER」が流れ、テンションは高まる


本編でとにかく注目したいのは今作でようやく劇場デビューを果たした春香役の中村繪里子さんの熱演ではないでしょうか
自身も「春香に飲まれる(春香しか代表作が無いということ)」を深く気にしつつも、そんな春香というキャラとそのファンに支えられ辿り着いた現在(いま)
「今までの全てがあって現在がある」
劇中の台詞通り、重みを感じる一言です


続いて今作のもう一人の主人公となる新キャラクターの「矢吹可奈」を演じた木戸衣吹ちゃんも素晴らしかったです
今作の一部では木戸ちゃんの歌声も炸裂(笑)しており、今期の『pupa』と『ノブナガ・ザ・フール』じゃ木戸ちゃん成分物足りん!と思っていたオイラには一安心でしたわ


そして、今作には3人目の主人公がいると言っても過言では無いでしょう
それは美希・・・じゃなくて!千早・・・じゃなくて!なんとまぁ【伊織】だったわけです(爆)
一見してワガママに見えても本当のところはメンバー想い
そんな成長した伊織が、かつての自分を見るかのような態度を取る新人、北沢志保に【良き先輩】として指針を示す様は今作のアツいポイントの一つ
オイシイとこ持って行きやがりますホントw


時系列が過去に移ると撮影効果で淡い光に画面全体が包まれる高雄演出のお約束もあり、この辺はマニア泣かせ(?)


ただ、とにかくすんげぇ残念な部分が多いのも事実なんです
『WUG』が7人のキャラクターに上手くスポットを当てつつ上映時間90分で収めたのに対し、こっちは引っ張りに引っ張って120分
長い、長過ぎます


千早の趣味がカメラになったのは何時からだ!?
これはオイラのリサーチ不足かもしれませんけど、伏線まるで張れてませんよ?


765プロの事務所にある箱○とPS3がカットによって色違うし!(←単純に背景ミスですね、これは)


とまあ一回観ただけで気付くポイントが多い


プチシューをとっちらかすカットは何故ロトスコ(?)なのかw
まあ作ヲタ的には笑ったけどw


クライマックスのライブシーンはCG+作画、ですが2次元と3次元の境目がわかっちゃっててそーゆーのはまだ『ラブライブ!』の方が上手いと思います


一番ダメダメなのは音楽ですかね
【劇伴がとにかく五月蝿い】
劇場音響意識したボリュームなのはまだわかるんですが、問題は劇伴の入れ方です
静まり帰ったシリアスな会話に飛び込んでくる耳を劈くようなBGMのイントロ・・・これは酷い、本当に酷い
しかもそれが一回や二回ではないのです
せっかくの声優さんの熱演を掻き消すようなBGMの使い方、こいつぁちょっといただけませんでした


うーん、結局のところテレビシリーズ以上に色々な課題を残してしまった感があります
単純に一本の映画としてはこちらより遥に低予算で仕上げられた『WUG』の方が良く出来ていたと思いますし
まあ、なんにせよファンが観て幻滅するような内容ではないのでギリギリ及第点ってとこだとオイラは思ってます
錦織監督自身が重視しているのもソコだしね

投稿 : 2024/11/02
♥ : 25
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

一人ひとりの想いが伝わってくる、私の考える最良・最愛のアニメ

この作品の魅力を、ひとことで語るのは結構難しいです。
ただ、一点だけ指摘しておきたいのは、鑑賞した回数によって、この作品の見え方が微妙に変わってくるのではないか、ということです。

まず1回目は、誰だってこの作品のストーリーを追いかけます。
鑑賞し終えての感想は、大方は「幾らか波乱はあったけれども、最後は予定調和的に綺麗にまとまって良かった」でしょう。
2時間ちょっとという尺では、やはり少し物足りなく感じる方が多いのではないでしょうか。

※以下は2回目の鑑賞時の感想です。
ストーリーは既に頭の中に入っているので、今度は作品のテーマを読み取ろう、という鑑賞姿勢になっています
→後から読み直すと、強引で一面的な見方をしていて結構恥ずかしい内容ですが当時の率直な感想として。
--------------------------------------
{netabare}
この作品のテーマを一言でいうと、社会人教育の定番中の定番

△ディール・カーネギー『人を動かす』
△スティーヴン・コヴィー『7つの習慣』

の説く「動機づけ型リーダーシップ」の哲学をまんまアニメ化した作品!!!!
に私には見えた!
まず間違いないだろう。バンダイナムコ狙ってたな。

つまり、少しだけ解説すると、リーダーシップというものには実は、

①自分がグイグイ引っ張るタイプのリーダーシップと、
②周囲の人の想いを掬いあげ、メンバーの各々の力を引き出していく動機づけ型リーダーシップ

の2種類があって、普通の人は、①だけがリーダーシップだと思いがちなんだけど、本当に凄いリーダーってのは②ができる人のことなのです(とカーネギーとかコヴィーは言っている)。

で、プロデューサーがなぜ春香をリーダーに任命したのかというと、それは春香が自分では気づいていなくても、②が出来るタイプの人だったから、というのが、このアニメのミソです。(※追記あり)

可奈ちゃんを切り捨てていたら、一時的にはライブは上手くいったかも知れないけれども、それはそれだけの話。
結局は、彼女らは大切な仲間を一人永久に失うはめになってしまいます。

あそこで可奈ちゃんの心を拾うために最大限の努力をしたからこそ、765プロは仲間を誰も失わずに、前よりも高いステージに進むことが出来た(できる)はずで、ビジネスの言葉でいうと、貴重な人材を失うことなく全体の戦力を高められた、ということになるのでしょう。

※追記
一番のビッグ・アイドルの美希が「本当は春香が羨ましい」「春香はプロデューサーが選んだリーダーだから」「美希は自分の出来ることを頑張るの」といって、春香をそれとなく勇気づけるこのアニメのキーシーンがあります。

春香とは対照的な性格の美希は、典型的な①タイプで、その持前のグイグイ引っ張るリーダーシップで、竜宮小町が台風でライブに遅れて765プロが困っているときに、人一倍頑張ってステージを支えて、竜宮小町以外のメンバーも注目を浴びるきっかけを作った功労者(第13話)なのですが、TV版の最後のほうでも、この映画でも、春香の自分とは違った良さをちゃんと認めて、彼女を支える発言をしており、美希もまた春香とは別の個性が光っていてやはり好感度が高いです。
{/netabare}
(終わり)
--------------------------------------

このようにストーリーを把握し、かつ、妥当か否かはともかく作品のテーマを自分なりに推測したあとの3回目から4回目にかけての鑑賞時は、
主人公である春香および本作のキーキャラである可奈の感情推移をじっくり追いかけて推測していくことになります。

さらに、5回目以降の鑑賞になると、春香や可奈に加えて、千早・美希・伊織さらには他のメンバーたちの一瞬毎の行動や発言に対しても、その意図や想いについて推測する余裕が出てきます。

そこまでくると、この作品が、どこまで細やかに一人ひとりのキャラの想いを描き込んでいるのか、ということに気づいて改めて感嘆の気持ちを強く抱くことになると思います。

私はこの作品を劇場で10回近く鑑賞しましたが、それでも飽きない感動がありました。
10月8日のBD/DVDリリースが待ち遠しいです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 59

65.9 3 音楽でコンサートなアニメランキング3位
ピアノの森(アニメ映画)

2007年7月21日
★★★★☆ 3.8 (189)
1221人が棚に入れました
町外れの「ピアノの森」で育った少年カイの物語。はじめは楽譜すら読めないカイが周囲を取り巻く人々によりピアニストとしての才能を開花させていく過程を描いている。
主な登場人物 [編集]

声優・キャラクター
上戸彩、神木隆之介、池脇千鶴、福田麻由子、宮迫博之、田中敦子、松本梨香、田中真弓、天野ひろゆき、ウド鈴木、黒沢かずこ、高田純次
ネタバレ

♡Sallie♡☆彡 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

行こう,森へ。

こちらは漫画が原作のアニメで,原作の方は読んだことがないものの,存在は知っていました。
―というのも,昔天才ピアニストと称された牛田智大くん(だったと思うんだよなぁ。まだ子どもだった)がインタビューでテレビを観ないとか言ってて,有名な芸能人とかも知らないものだからインタビュアーの男性(スタッフ)が漫画は読まないのか聞いていたんですね。
で,そこで唯一だったかうろ覚えですが,あまり漫画を読まない彼が何を読むのか気になったスタッフが「何を読むんですか?」って聞いたときに答えていたのがこちらの原作で,スタッフは漫画さえもピアノ関係のものなのかって感じで絶句していたのが印象的で覚えていました。
アニメ化していたのを知らなかったのですが,テレビでやっていたのでこの機会に古い方(映画の方)から観てみることにしました。

結論からいうととても良かったです★
正直森の中にピアノがあるっていうことしか知らない状態で観始めたので,その幻想的な設定から勝手にファンタジーだと思っていたんですよね。
主人公が小学生というのも知りませんでした。
きっと森の中にあるというピアノに出会えるのはピアノが好きだとか,楽しもうとか,うまくなりたいとかそういうポジティブな気持ちをもっている時だけで,スランプに陥ったり,誰かと自分を比べて妬んだりするようなネガティブな感情のときに森に行ってもピアノには出会えないんだろうなって…。
そういうファンタジックな設定なのかと思っていました。
特に,初め雨宮くんがピアノを弾こうとしても音が出なくて,でも海くんはあっさりと音が出せたから,彼はこの森のピアノと仲良しなんだなって。
でも違いましたね。
{netabare}あのピアノは森に捨てられたもので元は阿字野先生のものだったとは!!
登場人物がストリップがどうとか言っていたのが,(本当の意味での)シュールでした。{/netabare}
ただ,あの森のピアノは雨ざらしだし調律もされてないのになんで壊れてないのはもちろんメロディーを奏でられるの!?ってとこはやっぱファンタジー要素もあるのかな。。
{netabare}ファンタジー要素としてはカイくんにモーツァルトが見えるってとこかな(笑)。
しかも日に日に増えていくんですよね。どこか見覚えのあるモーツァルトが。
あの描写は可愛くて好きでした。
コンサートの最後キンピラバージョンのモーツァルトの靴が学校の上履きになっているのが化けの皮がはがれている感じがして細かいなって(笑)。{/netabare}
ファンタジー好きとしてはちょっと拍子抜けではありましたが,それを差し引いてもとても素敵な物語だと思いました。

キャラクターが良いんですよね。
わたしのお気に入りはやっぱりカイくんです。
ただこの物語の主人公は雨宮くんだと思って観ていたので,エンドクレジットで海くんの名前が1番上だったのに驚きました。
この映画だけが雨宮くんが主人公っぽい描き方をされているだけで原作はそんなことないんでしょうか??
わたしは雨宮くんが主人公の方が良い気がするけどなぁ。。
雨宮くんは小学生らしくない雰囲気を持った子で「(当時の)牛田智大くんっぽいなぁ」と思いました。
髪型オールバックとかおじさんかよ(^-^;
けど,カイくんと雨宮くん,性格も家庭環境も真逆と言っていい2人がピアノという繋がりをもって友達になっていく様が凄く良いなって感じました。
雨宮くんはきっと裕福な家で育ってピアノに関しても英才教育を受けているような子。
対して海くんは森でピアノに出会ってただピアノが好きで弾いているだけの子です。
なのに才能っていうのは時に残酷ですよね。
雨宮くんが弾けない森のピアノを難なく弾いてみせたときの海くんはファンタジーではないのに凄く幻想的に描かれていて見入ってしまいました。
あのとき弾いていたメロディーも神秘的な感じがして,いつもケンカばかりしている粗暴な小学生男子が弾くものとは思えないなと(^▽^;)
雨宮くんも海くんのピアノの才能を知ってか知らずかピアノをきちんと習うことを勧めるところは,「彼も根っこの部分ではピアノがとても好きなんだな」と感じました。
ピアニストとしては将来自分のライバルになってしまうかもしれないって打算的に考えてしまうかもだけど,ピアノを愛する者として,森でピアノを弾く彼の姿を見てしまったらカイくんにもピアノをきちんと習ってほしいって思うのは自然な感情だと思いましたし,そういうところが真面目で良い子だなって思いました。
カイくんは悪ガキって感じではあるんだけど,貧しい家庭環境にありながら,根はとても優しい子なんだなって見ていると分かります。
お母さんがまだ若くてきれいな人だから,彼のこともきっと若くして産んだのだろうなと推察しましたが,シングルマザーで生活も苦しくともカイくんを愛情いっぱいに育てているんだなとも思いました。
あとは阿字野先生ですね。
初め阿字野先生が登場したときはただの小学校の先生だと思っていたので「この先生,小学校の先生向いてないよ。何で先生になったんだ??」って思いました。
けど観ていくうちにこの先生も良いキャラクターだなと。
{netabare}彼の過去はとてもつらいものなのでここで言及するのはやめておきますが,カイくんの扱いをみていると「この人子どもの扱い分かってるなぁ」って(笑)。
ピアノから完全に離れても良かっただろうに,彼が小学校の先生をやっているのが分かった気がしました。{/netabare}

キャラクターデザインはけっこう好きです。
でも如何せん2007年のアニメなので全体的な絵というのか画質というのか―が古い感じはしましたね。
こちらは原作漫画の他にTVアニメも作られているそうで,そちらのキャラデザもちらっと見たのですがわたしはこっちの方が好きだなぁ。

そしてボイスキャストですね。
メインキャラクターは俳優さんたちが演じてますね。
少し前のアニメ映画って俳優さんをメイン起用するのが多かった印象です。
カイくんは上戸彩がやってるんですが,わたしは微妙だと思っちゃいました。
―というのも,思いっきり女性の声なのでわたしは初め彼のことをボーイッシュな女の子だと思っちゃったんですよね。
原作をきちんと読んでいれば…あるいは前情報だけでも入れて観始めれば良かったんですが,彼が女の子だと思っちゃったのでカイくんがクラスメイトに馬乗りになられて殴られているのにはびっくりしてしまいました。
いや。男の子だから良いってものでもないんだけどさ。
少年っぽい声が出せる俳優さんか子役,もしくは本業の女性声優さんは少年の声がデフォルトで出せるみたいなので(笑),そっちの方が良かったんじゃないかな~。
神木隆之介くんはとても良かった♪
某動画共有サービスのコメント欄でアニメは声優さんが演じた方が良いけど,彼だけは例外―みたいなニュアンスのコメントを読んだことがあって「ふむふむ。そうなのか」ってその時は思っただけだったけど,今回確かにそうだなぁと思いました。
阿字野先生は最初棒だなぁと思ったけど,そういうキャラだと思えば気にならなくなりました。
でもエンドクレジット見て「え。そうだったの!?」って驚きました。
こちらはお笑い芸人の方たちがけっこう出ていますね。
ダメじゃないけどさ~。
このアニメに限ったことではないけど,やっぱり基本的にはアニメは声優を本業でやられてる方をメインにした方が良いと思いますね。
アニオタ的な感覚なのかもだけど,主役やメインキャラクターは俳優さんで脇役が声優さん…とかはもやっとする。
職業に貴賤なしっていうじゃん!?!?
ある俳優さんがとある声優さんの演技を「立体感のある演技」って言ってたのが印象的で,俳優さんはやっぱ表情とか身体の動きありきなんですよね。
まぁそこが凄いところでもあるのだけど,アニメとなるとちょっと物足りなくなっちゃう。
TVアニメ版は声優さんが演じているみたいなのでそっちも観てみるつもりです。
ただキャラデザがこっちの方が好きだから,全体的な良さはこちらを超えられない気がしています(;^ω^)

音楽の評価は森でカイくんが弾いたメロディーがとても良かったから★4にしてますが主題歌はピンときませんでした。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5
ネタバレ

Kuzuryujin さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

ピアノの神様に選ばれた10歳の少年の物語

この作品が初公開されて10年以上の歳月を経て
2018年の春クールにNHKでテレビアニメ化されるということで
嬉しくて3年ぶりにレビュー追記します。

この作品がきっかけで原作を読み始めました。

原作は全26巻ですが、完結するまで1998年-2015年の18年間という
長い年月を経て熟成されたヴィンテージワインやギターのような
深い味わいに感動の涙が...。

途中、長期休載、連載誌移籍、不定期連載など波乱万丈な作品でしたが
有終の美できれいにまとめた原作者のプロ根性に頭が下がります。

この映画はそんな物語の序章のようなもの。
しかしその序章だけでも心の琴線に触れるものが多かったのです。
詳しくは以下に。

2015.04.28 16:02に投稿したもの(加筆修正あり)
{netabare}
<大好きな作品のひとつ>

初めて観たのは2008年頃、レンタルDVDで。
某映画ランキングサイトで高評価だったので視聴。

原作未読で内容に関する知識は白紙の状態で観始めました。
天才的なピアノの才能を持つ主人公、一ノ瀬海(いちのせ かい)の魅力で
上映時間100分などあっという間。
物語のテンポが良く、予想外に笑える場面もありすごく面白かった。

ジブリ作品のように役者やタレントさんを多数起用していますが、
不満や違和感のあるキャストは一人もいなく、
エンドロールで初めてキャストを知ってびっくりしたほど。

レビュー書きたくなったのは、
2014年10月-2015年3月放送の「四月は君の嘘」を視聴して、
いろいろ被るものがあるこの作品を思い出し、
また観たくなって再鑑賞したため。

今回は原作既読済みでしたので、
とっても上手く原作の贅肉を削ぎ落としていて、
主人公と生涯のライバルであり親友との出会いと成長が
しっかり描かれた秀作になってるとあらためて実感しました。

<原作は青年漫画『ピアノの森 -The perfect world of KAI-』>

第12回(平成20年度)文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞。
代表作『花田少年史』で知られる一色まこと女史の作品。
掲載誌は当初『ヤングマガジンアッパーズ』(講談社)にて連載。
途中、同誌廃刊のため『モーニング』(講談社)に移籍。

1998年から連載開始。以後、長期休載、不定期連載などもあり
連載スタートから17年後の2015年4月現在、既刊は25巻。
なので、1巻と25巻を見比べると作画の進化を如実に感じられます。

25巻では主人公は17歳。
滞在2か月のポーランド、ショパン・コンクール編に決着がついて一段落。

<この映画は2007年制作>

TVアニメ版『花田少年史』も担当した小島正幸氏が監督。
(2014年4月~7月には『ブラック・ブレット』を監督)
カイの小学校編の途中まで、原作1巻から6巻冒頭の回までを描いています。

<カイと雨宮修平>

生涯の親友でありライバルとの初めての出会い、
修平転校までの3か月間の交流が描かれ、
カイがピアニストとして覚醒し、後に世界を目指すところを暗示して終了。

シンプルな王道サクセスストーリーに引き込まれます。

<阿字野壮介(あじのそうすけ)>

カイの初めてのピアノの師匠になる元天才ピアニストの描き方が
原作よりもスマートにかっこよく描かれています。

阿字野は、交通事故により婚約者を亡くし、
自身もピアニスト人生を奪う生涯治せぬ傷害を
左手に負ってしまい魂の抜け殻状態だった。

しかし彼とカイは、森に捨てられたピアノを介すことで絆が結ばれ、
お互いの人生を変えていくことに。

カイを掃き溜めから救い、ピアニストの才能を伸ばすことで
阿字野自身も魂の抜け殻状態から救われる。

映画ではその序章といったところ。

<日に日に増えるモーツァルト>

弾けないなら楽譜返せと、カイに迫りくる幻影。これには爆笑!!
彼の脱皮と成長と共に消えていく様が何度観返してもいいです。

<ウェンディと便所姫>

カイとコンクール会場で出会う出場者の一人の女の子とのひと時の交流。
ここもかなり笑えます。この映画で一番好きなシーンです。

原作の性描写や児童虐待とかのシーンはかなり省かれているので
子供から大人まで安心して楽しめるのでかなりオススメします。

完結こそしてませんが、2007年時より原作ストックもかなり溜まったので
ぜひテレビシリーズ化を検討して欲しい作品ですね。


と書いた後、2015年12月末に最終第26巻が出版され大団円、大感動で完結。
さらに2018年4月よりNHKでテレビアニメ化されました。
そちらのレビューも投稿する予定です。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17

. さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ピアノに選ばれた少年の物語

全編に美しいピアノの音色が響き渡る、とても素敵な作品です。音楽好きの方ならピアノの音色に心奪われ、そしてそうで無い方もこの音色にはきっと癒される事と思います。


原作は漫画です。本作では主人公である海(カイ)君の小学生時代のエピソードを書いたものになります。この作品をご覧になり、もし気に入っていただけたのでしたら、是非とも原作の漫画も読んでいただく事をお勧めいたします。とても面白い作品ですので^^


自由奔放でやんちゃな性格である主人公の”一ノ瀬 海”君。彼は幼い頃より、近くの森にうち捨てられたピアノに触れて育ちます。毎日ピアノに触り、時にはピアノの上で寝泊まりし、彼の生活にピアノは溶け込んで行きます。そして彼は誰に習うわけでなく、いつしか我流でピアノを弾きこなす。天才・・・。彼は天才。そしてピアノに選ばれた人間。

そんな彼に友達が出来ます。東京から転校してきた”雨宮 修平”君。彼はピアニストの家系に育ち、そして自身もピアニストになる事を目指し、日々厳しい練習に明け暮れる毎日。”雨宮 修平”君は森にうち捨てられたピアノを弾く”一ノ瀬 海”君の演奏を聴き、衝撃を受けます。なるべくしてピアニストを目指す自分に持っていない物を持つ”一ノ瀬 海”君の演奏。聴く物を引きつけ、感動させる演奏・・・。2人はこの日から生涯のライバルとなる事を運命づけられます。


本作品では”一ノ瀬 海”君と”雨宮 修平”君がピアノコンクールで競う場面までが描かれます。ピアニストの家系に生まれ、サラブレッドとして育った”雨宮 修平”君。彼はその環境に満足する事無く、日々厳しい練習でピアニストになると言う夢を掴もうとするいわば”秀才”。
そして全てが我流であるが、ピアノに選ばれた天性の才能を持つ”天才”である”一ノ瀬 海”君。コンクールでは、お互いが全力を出し合い、そしてお互いを認め合いながら静かな戦いがきって落とされます。

本作品の最高の見せ場がこのコンクールのシーン。
自分の本当の演奏を見つけられず、コンクール本番中までも悩み続ける”一ノ瀬 海”君。彼は果たして本当の自分の演奏を見つけ出し、そしてそれを演奏する事が出来るのか?答えは彼のピアノの音色が教えてくれます。


主人公の”一ノ瀬 海”君役には上戸彩さん。ライバルの”雨宮 修平”君役には神木隆之介さん。その他にも池脇千鶴さん、福田麻由子さん等々有名人が声優として出演しています。製作はマッドハウスさんが担当。相当力の入った作品です。これで良い作品が作れない訳がない?

肝心のピアノ演奏及びミュージックアドバイザーには世界の巨匠である”ウラディーミル・アシュケナージ”さんが参加。ピアニストとしてはショパンの演奏で有名な彼ですが、彼の演奏はとにかくテクニックが凄い!音色が凄い!そしてその音色は怖いまでに美しい。彼が演奏するメインテーマである”Forest of the Piano”はクラッシックファンの方にはとにかくお勧め。彼の演奏は天才”一ノ瀬 海”を表現するのにぴったりと言えます。

エンディングテーマは女優であり、そしてピアニストでもある松下奈緒さんが歌う”Moonshine ~月あかり~”。なんとも美しく、切なく優しい、本作にピッタリとマッチした神曲です。

画像も綺麗ですね。特に森の中で佇むピアノの描写が素晴らしい。パッケージ絵となっている、森の中で木々の間からの日差しに照らされるピアノ。とても幻想的で癒されます。


素敵なピアノの音色に包まれ、そして観る物を引きつけるストーリーを持つ本作。疲れた心を癒す清涼剤になってくれる事と思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21
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