Witch さんの感想・評価
3.4
「いい意味で予想を裏切られた!」→最終話で評価ガタ落ちwww
【レビューNo.107】(初回登録:2024/2/11)
ラノベ原作で2023年作品。全12話。
(ストーリー)
主人公は日本人の大学生で、理系のオタク。豚のレバーを加熱せず食べ意識を
失ってしまう。目が覚めると豚小屋にいて、なぜか豚の姿に転生していた。
そんな主人公(豚)を助けてくれたのが、金髪美少女のジェス。
彼女は「イェスマ」と呼ばれる、人の心を読み取れるという種族で、その証と
して銀の首輪をしていた。
彼女の話だと王都にいる(魔法使いの血族である)王様に会えば元の人間に戻
れる可能性があるという。
そして彼女もまた、イェスマの掟(16歳になると仕えている家を出て王都へ身
捧げに旅に出なければならない)に従い、王都に向かう準備をしていた。
こうして2人(?)の王都に向けた旅が始まる。
(評 価)
・「松岡、ちゃんと演技しろ!!」独壇場の第1話
第1話のタイトル「オタクは美少女に豚扱いされると喜ぶ」ということでw
{netabare}主人公(豚)は、松岡禎丞さんが演じていますが、
「俺の豚のような欲望が垂れ流しではないか!!」
のセリフの通り、心が読めるジェスには、豚の心の中の”ブヒブヒ”ゲスい
妄想がダダ洩れ状態になっているという。
ここぞとばかりに「松岡劇場」の開演です。もう松岡君地でやってるやろw
ちゃんと演技しろよwww
この松岡君の暴走に、ジェス役の楠木ともりさんが天使のような返しをして
いくという。
最後に”見せるものもしっかり見せて?!”第1話は2人(?)の会話劇だけで
終わります。いうても松岡君の独壇場って感じですがw{/netabare}
この辺りは「僕ヤバ」でみせた、市川の厨二病全開のヤバめなモノローグに
に通じるものがあり、豚のキャラクターが強烈に印象つけられるって感じで
すね。
・次第に明らかにある世界観
「『松岡劇場』は面白かったが、こんな調子でずっと続くのか?!」
という一抹の不安もよぎりますが、1話の最後に「王都に向かう」という目的
が明かされると、以降はしっかりした物語が展開されていきます。
その中で「イェスマ」を中心としたこの世界観も次第に明かされていきます。
{netabare}・イェスマが差別的な扱いを受けていること
・この旅には「イェスマ狩り」いう危険が伴うこと
(イェスマを襲い、殺すことを目的とする野蛮な集団。銀の首輪は勿論、
イェスマ自体の体も骨などが安くない値段で売れるため、狙われること
が多い。そして王都に近づくにつれ、その危険度は増す。)
出だしとは裏腹に、話が進むほどシリアスな展開になっていくという感じで
すね。
また「豚」という設定も意外と考えられているなと。見た目やキャラのキャ
ッチーさもさることながら、豚には鋭い爪や牙などがないので、この危険な
旅における戦闘力は皆無なんですよね。ではどう戦うのか?
→ 頭脳をフル回転させ知力で勝負!!
この辺りも作品が大味にならず、緊張感を持って視聴できる上手い仕掛けか
なっと。{/netabare}
・全ての謎が明かされる第11話、汚点となった最終話
様々な謎がきちんと解明される点もポイントが高いですね。
{netabare}・主人公は何故豚になって転生したのか
・「イェスマ」を中心としたこの世界の成り立ち
・「暗黒時代」と呼ばれた魔法使いの歴史
・「イェスマ」の正体とその掟に込められた意味{/netabare}
この辺はかなり練られていて実に面白く、後は綺麗に物語を締めるだけだと
思っていたのですが・・・
ここで製作会社:project No.9がやらかします。
「万策尽きた」で、1か月位以上の放送延期!!
で、ようやく最終話が放映されたと思ったら
・回想シーンメインの無駄な尺稼ぎ
・ラストもこれじゃない感
原作も途中ですし2期の予定があるならまあアリですが、2期があるとは思え
ないし、あったとしても2期がこれ位以上面白くなるとは思えないですし。
こんな最終話をみせる位なら第11話拡大とかで、余計なことをせずシンプル
で綺麗に終わらせて欲しかったなと。
最終話で作品の評価がガタ落ちだよ・・・
project No.9ですが、実は第9話でも盛大にやらかしているんだよなw
大手でもないのに今期3作品も引き受けて”そのしわ寄せでは”という話らし
いですが、何を考えているんだか。
最初の「松岡劇場」を観て「やっぱりそういう系の作品か~」で、以降どうした
ものかと思案しかけたのですが、話が進むにつれシリアスさが色濃くなり、第11
話までは面白く視聴できたという感じですね。
「豚」や「イェスマ」という設定もよく練られていて、第1話の会話劇も”ブヒブ
ヒ”だけでなく、何気にレベル高いですし。
原作は、第26回電撃小説大賞《金賞》受賞するなど評価が高いようで、やはりラ
ノベもこのクラスになると、「薄っぺらい『なろう系』とはさすがに格が違う」
というのをしっかり見せつけてくれたかなっと。
それだけに最終話がホント勿体ない。
作画は上述の通り「万策尽きた」でやらかしたもありますが、全体的には”ギリ凌
いだ”でそこまで悪くはなかったかな。
キャラデザは少しクセがありますね。個人的にはジェスをはじめ女の子は、可愛
く描かれていたと思いますが。
OP「私が笑う理由は/ASCA」
作品の食前酒にピッタリって感じで結構好きだったかな。