関西弁で戦争なアニメ映画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の関西弁で戦争な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月14日の時点で一番の関西弁で戦争なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

80.2 1 関西弁で戦争なアニメランキング1位
火垂るの墓(アニメ映画)

1988年4月16日
★★★★☆ 3.8 (845)
5540人が棚に入れました
1945年(昭和20年)9月21日、清太は省線三ノ宮駅構内で衰弱死した。清太の所持品は錆びたドロップ缶。その中には節子の小さな骨片が入っていた。駅員がドロップ缶を見つけ、無造作に草むらへ放り投げる。地面に落ちた缶からこぼれ落ちた遺骨のまわりに蛍がひとしきり飛び交い、やがて静まる。太平洋戦争末期、兵庫県武庫郡御影町に住んでいた4歳の節子とその兄である14歳の清太は6月5日の神戸大空襲で母も家も失い、父の従兄弟の未亡人である西宮市の親戚の家に身を寄せることになる。当初は共同生活はうまくいっていたが、戦争が進むにつれて諍いが絶えなくなる。そのため2人の兄妹は家を出ることを決心し、近くの池のほとりにある防空壕の中で暮らし始めるが、配給は途切れがちになり、情報や近所付き合いもないために思うように食料が得られず、節子は徐々に栄養失調で弱っていく。

声優・キャラクター
辰巳努、白石綾乃、志乃原良子、山口朱美

◇fumi◆ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

蚊帳の中に蛍を放ち、他に何も心をまぎらわせるもののない妹にせめてもの思いやりだった

1988年公開のアニメ映画 88分

原作 野坂昭如 監督 高畑勲 音楽 間宮芳生
制作 スタジオジブリ

スタジオジブリの第2作目の劇場アニメーション長編

1967年、文壇の風雲児「野坂昭如」は過去の行いを反省して神妙にある小説を発表した。
一般文芸誌「オール讀物」に載った「火垂るの墓」はその年の直木賞を受賞した。
1945年の神戸大空襲を体験した野坂昭如の自伝風小説である。

当時14歳だった野坂昭如は幼い妹と共に防空壕などを逃げ回り、
戦時中に妹は死亡したと言うが、野坂自身は生まれながらの乱暴者で、
餓死した妹への罪滅ぼしとしてこの作品を献呈したということだそう。

アニメ映画は「となりのトトロ」と同時上映。まさに80年代日本的出鱈目である。
 
清太 CV辰巳努(当時16歳) 14歳の少年
節子 CV白石綾乃(当時5歳) 清太の妹 4歳

声優のほとんどは素人です。

焼夷弾によるリアルすぎる空襲の中を走る少年と幼女。
冒頭は戦争で心が死んだ野坂昭如の幽霊による語りだろうか?
作中では清太と節子の幽霊が物語を見守っている。

空襲で全身に大やけどを負いウジ虫が湧いて死んだ二人の母が象徴的な映像である。
高畑監督「反戦アニメなどでは全くない、そのようなメッセージは一切含まれていない」
という発言ですが、そんなわけないだろ、と言うのが感想です。
アニメ史上の名作2本立てでさえヒットさせられなかったジブリの苦しい状況が、
敵を作るわけにいかず、メッセージ性のある作品から離れざるを得なかったというのが真実でしょう。

しかし、野坂の原作を忠実に、ある部分はさらなる迫真を持って描いたこの作品は、
後のジブリ作品とは比べ物にならないような重みを感じます。

この作品は太平洋戦争の1シーンを切り取ったもので、
あらゆる映像作品の中でも最も真実に近いものです。
登場人物は軍人ではありませんので、原因も帰結も知らず流されていくだけです。

この作品を観て泣いた記憶はありませんが、一秒も目が離せなかった88分でした。

アニメーション技術の発展を知るためにも重要な作品の一つでもありますし、
密かに込められたメッセージを個々人の違った想いで受け取るべき必見の作品だと思います。

超有名作ですので、未見の方はいつか観る心構えを作っておいたほうがいいでしょう。

小説のカバー絵にもなったキャラデザは素晴らしい出来だと思います。
個人的にジブリ作品の中で一番好きな作品です。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 34

♪せもぽぬめ♪ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

平和っていいな(* ̄∇ ̄*)

~あらすじ~
言わなくても多分分かるね?

見ているときに、

「やめてくれぇ~」

「話を止めろぉ~」

と言う気持ちになりました; ̄ロ ̄)!!

でも、話が面白くて止められませんでした。

せつなすぎて、心が締め付けられました(ノд-。)クスン

これを見た後、

「戦争ってやだな!」

と思いました。

この作品は、

生きる価値を教えてくれます。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 33

大和撫子 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

全世界の人々に見てもらいたい

戦争の悲惨さを語るのにこれ以上の作品はまず見当たりません。

◆この作品の概要は・・・
戦時中の孤児となった兄妹のとっても切ないお話です。
戦争の影響とは厳しいもので、栄養失調でどんどん弱っていく妹となんとか生きようとする兄の過酷な運命を描いています。

◆キャッチコピーは・・・
「4歳と14歳で生きようと思った」です。
この言葉を聞くだけでも涙が出そうです。

◆とっても泣けます・・・
泣ける映画として、一般的に最初に頭に思い浮かぶのはこの作品ではないでしょうか。
すごく悲しい内容だけに一度見たらもう二度と見たくない・・・「見たくない」ではなく「見れない」。
もちろん決して悪い意味ではありません。
それほど衝撃的で心を打たれた作品です。
節子の「兄ちゃん」と呼ぶ声や、ドロップ缶を振る音やその時の節子の笑顔がいつまでも心に残りました。
ホタルの光が短く儚い光のように、この兄妹の命も短くて儚い。
ホタルの光は儚いけどとても綺麗なように、この兄妹の生きようとする命の光は綺麗に光っていました。

◆ホタル・・・
通常ホタルとは「蛍」と書きますよね。
でもなぜこの作品では「火垂る」と書くのか?
調べたところによると「火垂る」とは当て字らしいですね。
焼夷弾という兵器があり、火のついた焼夷弾は雨のように落下するらしいです。
その落下する姿をこの作品の作者の妹が死に際に「まるでホタルが飛んでいるよう」と言った事からきているらしいです。
このエピソードもとても切ないですね・・・。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 29

72.0 2 関西弁で戦争なアニメランキング2位
千年女優(アニメ映画)

2002年9月14日
★★★★☆ 3.9 (447)
2163人が棚に入れました
芸能界を引退して久しい伝説の大女優・藤原千代子は、自分の所属していた映画会社「銀映」の古い撮影所が老朽化によって取り壊されることについてのインタビューの依頼を承諾し、それまで一切受けなかった取材に30年ぶりに応じた。千代子のファンだった立花源也は、カメラマンの井田恭二と共にインタビュアーとして千代子の家を訪れるが、立花はインタビューの前に千代子に小さな箱を渡す。その中に入っていたのは、古めかしい鍵だった。そして鍵を手に取った千代子は、鍵を見つめながら小声で呟いた。「一番大切なものを開ける鍵…」
少しずつ自分の過去を語りだす千代子。しかし千代子の話が進むにつれて、彼女の半生の記憶と映画の世界が段々と混じりあっていく…。

声優・キャラクター
荘司美代子、小山茉美、折笠富美子、飯塚昭三、津田匠子、鈴置洋孝、京田尚子、徳丸完、片岡富枝、石森達幸、佐藤政道、小野坂昌也、小形満、麻生智久、遊佐浩二、肥後誠、坂口候一、志村知幸、木村亜希子、サエキトモ、野島裕史、浅野るり、大中寛子、園部好德、大黒優美子、山寺宏一、津嘉山正種

takarock さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

女性そのものを描くことへの挑戦

2002年のアニメ映画で監督は故・今敏監督です。

では、簡単なあらすじを。(知っている方は飛ばしてください)

昭和の時代を駆け抜けた銀幕の大女優藤原千代子は
現在では70代になっており静かに暮らしていたが、30年ぶりに取材に応じることになる。
藤原千代子を崇拝しているインタビュアー立花源也(映像制作会社社長)
と井田恭二(カメラマン)は藤原千代子宅に訪問し、取材が始まる。
今まで語られることのなかった藤原千代子の過去が少しづつ語りだされていく。

この藤原千代子はある撮影を機に失踪、そのまま引退して
その後一切表舞台に立つことはなかったという設定なのですが、
なんか原節子さんっぽいなと思っていたら案の定モデルは原節子さんでしたw

藤原千代子は鍵の君(初恋の人)に会いたいが為に女優になり、
本作自体も様々な撮影描写を通して鍵の君を追っていくという作りになっています。
藤原千代子の回想シーンに脇役として立花源也や井田恭二を登場させるという作りや
構図、カメラワーク、そして今敏監督得意のカット割りと
その発想力だったり映像を魅せる技量はこれぞ今敏監督作品!という出来で
素晴らしいのですが、如何せんテーマがものすごく地味です。
だって言ってしまえばただひたすら藤原千代子が鍵の君を追っているだけですからねw
映像を観ているだけでもおもしろいのですが、
大きな事件や謎もあまりないのでエンタメ性は希薄なんですよね。
意外性という面でもオチが読めたという人は多いと思います。
従って全体的な印象としてはすごく地味な作品です。

本作のキャッチコピーは「その愛は狂気にも似ている」。
今敏監督が描きたかったのは恋する女の情念?
いや、私は女性そのものを描きたかったのではと思っています。

これは極めて私的な見解ですが、
私は男性と女性は違う生物だと思っています。
女性には女性にしか分からない感情や心情があり、
それは男性には理解できないものであるなんてことは
もはや古からの言い伝えと言ってもいいでしょうw
ただ、私は分からないからしょうがないで済ますことが出来ない性分なので
何故この場面で泣き出すのか? 怒り?嫉妬?それとも・・・
といった女性の感情や心情を分析・考察し、
なんとか理解そして言語化したいと思っているのですが、
おそらくその謎を解くことは一生できないと思います。
ありふれているのかもしれませんが極めて深遠なるテーマなんです。

さて、ここまで言えば私が何を言わんとしているのかもう分かると思いますが、
今敏監督は男性には理解できないと言われている女性の感情や心情を映像化するということに
挑戦したのではないだろうかと勝手に思っています。
「女は恋をすれば誰だって女優になる」
ならばその女優を描き切ることができればそれは女性そのものを描くことができたと言えるでしょう。

もし私が今敏監督の立場だったら本作のレビューを読みたいと思うのは、
それこそ酸いも甘いも噛み分けた成熟した女性のレビューですね。
そういう方が「この作品は女を描けていた」なんて評価をしてくれたら
きっと私はそっとほくそ笑むことでしょうw

投稿 : 2024/11/09
♥ : 50
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

今敏監督による、斬新なアニメーション・トリックアート

今敏監督作品。2002年。

映画スタジオの社長とカメラマンが、大御所の映画女優、藤原千代子(ふじわらちよこ)にインタビューを申し込む。
そこで、ドキュメンタリーとして彼女の回想を聞くことになるのだが……。


言うなればアニメーション・トリックアート。
インタビューの中で千代子の過去を回想していくのですが、その見せ方が特殊です。

普通、回想シーンというのは、中心となるキャラクター視点でエピソードが進み、回想が終われば元のシーンに戻ってきます。
しかし、この作品の場合は、回想シーンにインタビュアーとカメラマンがそのまま登場し、回想シーンを撮影するという、非常に特殊な表現方法がとられています。

しかも、千代子は映画女優。
つまり、「過去に映画を撮影しているシーン」を、また別の映画で撮るという摩訶不思議な見せ方をしています。

その結果、どこが回想シーンで、どこが映画のシーンで、どこが現実なのか、まったく分からなくなるという奇妙な感覚を味わえます。

唯一の救いは、カメラマンのツッコミ。
「あれ、映画撮影シーンをとってたんじゃなかったんかい」など、道案内をしてくれなければ、本当に迷子になります。
このツッコミが鋭くて笑えるのですが、それはまた別の話。

そうして、伝説の女優、藤原千代子の半生が描かれていくのですが、それで終わらないのがこの作品のもう一つの魅力。
単純な引っかけを、もう一段昇華したオチが待っています。

この映画のテーマとはいったい何なのか、女性の純真な恋心なのだろうか……それとも?

そんな疑問を最後の最後に視聴者に投げかけてきます。
ここまで徹底的に騙される作品には初めて出会いました。

そのほかにも、

・シャフト協力による演出
・シームレスな画面切り換え
・表情豊かな登場キャラクター
・平沢進氏による独特なBGM

など、見所はたくさんあります。

物語そのものを楽しむと言うより、その極めてユニークな見せ方を楽しむ作品です。

もう、ジャンル特定不能な映画ですね。
87分と短いですし、一度は観ていただきたいです。
そして、見終わったら、冒頭の数分をもう一度確認してみてください。
そこである事実に気づけば……。

{netabare}
千代子がいまわの際の回想で、あらゆる映画の中を走り回り、最後にロケットに乗って、「だって私、あの人を追いかけてる私が好きなんだもの」というシーン。
声こそありませんが、よくよく見ると、冒頭シーンのビデオフィルムに、このシーンを逆再生した映像が収められています。

また、ときどき出てくる睡蓮の花。
花言葉の「純真」は、鍵の君への想いを表しているように見えますが、おそらくミスリードです。
むしろ、この花が仏教における「輪廻転生=繰り返し」の象徴であることに注目。

すなわち、「今までやってきたインタビューすら、すべて別の映画の一部だった」のではないか?
視聴者は、ドキュメンタリーを作っているシーンを見ているのではなく、すでに完成したドキュメンタリー映画を見ているだけではないのか?
そんな、入れ子構造になっている可能性を示すオチなワケですね。
{/netabare}

「へぇ! こんな作品の作り方・見せ方もあるんだ!」と、新鮮な気分になること請け合いですよ。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 45

お茶 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

千年を納得させる女優の回廊

今敏監督作。

本作は大女優千代子に、取材を行い談笑しながら物語が進まれる。名女優ゆえ、めったに取材に応じないが、何かを開ける鍵を渡すため訪れた取材陣。ただ話はソファーに座りながら、その一女優の出演作を時代と合わせ、女優の年齢の順に流されていく。

本作の面白い所は、何の前触れもなくその映画の世界に入り込ませ、そんな中、取材者2人も同じ世界に入り込み取材を行うという疑似パラレルな展開。それを現代の取材時間(ソファーでの取材)と、疑似パラレルの取材時間(映画の中)を唐突に移り変えて、時間の感覚をずらしてきやがる所。

最初の出演作で女優になる決意をした彼女と同じように、見てる側にも映画(本作)を見る価値ある、風な演出ほどこし、彼女は恋人を探して疑似パラレルの幾つもの世界を渡り歩くことになる。

出てくる疑似パラレルは、関東大震災、満州、戦時中の投獄等々。時代劇からSF風までの彷徨う時の回廊。ここが社会派アニメ的にも魅せられ、深みみたいなものを感じるし、勘ぐって社会派としても見ちゃった回廊。

疑似パラレルの変化を通して様々な役をこなしながら幾つもの物語を魅せてくるし、取材野郎も役者としても噛んでいたりして、一癖あるドキュメンタリーなのか、ロマンティックな恋なのか、社会派アニメなのか、鍵という伏線によるサスペンスなのか、と、いうフェイクらしいものを入れてくる。

「現在の取材による時間」「様々な疑似パラレルによる時間」
「疑似パラレルの中で経過する役と年齢」「演出のフェイクによる感情変化」
そんな側面を持ちながら、一つ芯を通した鍵と恋。だがその芯にも癖演出。

千年を感じさせる為に用意された幾つもの疑似パラレルやメッセージ的フェイクは、重みと不思議な軽さを伴った、心が安堵したような悲しい心地よさに包まれた。私ごときが、ことの顛末まで書くのは野暮ですなこりゃw視聴して頂きたい一作。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 37
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