記憶で高校生なおすすめアニメランキング 9

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの記憶で高校生な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年09月25日の時点で一番の記憶で高校生なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

95.0 1 記憶で高校生なアニメランキング1位
青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない(TVアニメ動画)

2018年秋アニメ
★★★★☆ 4.0 (1838)
7777人が棚に入れました
思春期症候群―― 多感で不安定な思春期だけに起こると噂される、不思議な現象。 たとえばそれは、 梓川咲太の目の前に現れた野生のバニーガール。 彼女の正体は、高校の上級生にして活動休止中の女優、桜島麻衣先輩だった。 魅惑的な彼女の姿は、何故か周囲の人間の目には映らない。 謎の解決に乗り出した咲太は、 麻衣と過ごす時間の中で、彼女の秘める想いを知って...... 次々と咲太の周囲に現れる、“思春期症候群”を抱えたヒロインたち。 空と海が輝く町で、心揺れる不思議な物語が始まる。


声優・キャラクター
石川界人、瀬戸麻沙美、東山奈央、種﨑敦美、内田真礼、久保ユリカ、水瀬いのり

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

なるほど、酷評をする人はコレがパクリに見えるわけですね、その価値観を変えるのは出来んのでしょうが、コレがゼロ年代ヲタク文学への愛のあるアンサーであることは明白!

『さくら荘のペットな彼女』を手掛けた鴨志田一先生と溝口ケージ先生が再タッグを組んだライトノベルが原作の全13話のSF、略称は『青ブタ』
『さくら荘』が学園青春ラブコメだったのに対し、長く続いた『さくら荘』でファンの年齢層も上がったことだろうということで、お二人は担当編集の反対意見を押し切り(笑)意図的にターゲット年齢層高めのSF作品にすることで切り返しを計っています
制作はA-1高円寺ことCloverWorks
監督は増井壮一で構成と脚本は横谷昌宏ということで奇しくも“さくら”繋がりの『サクラクエスト』コンビが手掛けました


梓川咲太(あずさがわさくた)はニヒルな高校2年生
梓川サービスエリアの梓川に、花咲く太郎の咲太で梓川咲太
彼はある日の休日、野生のバニーガールに遭遇する
その正体はかつて国民的人気を誇った芸能人で今は休業中の同じ高校に通う3年生、桜島麻衣(さくらじままい)
彼女は有名人でありながら他人から存在を全く認知されなくなった“思春期症候群”と言われる不可思議な都市伝説に巻き込まれているという
思春期症候群に遭遇した経験を持つ咲太は麻衣先輩から「忘れなさい」と忠告を受けるも麻衣先輩が美女であることを含め放っておけず、思春期症候群の世界に首を突っ込み始める
やがて咲太のざっくばらんな性格や隠されていた誠実さに麻衣先輩も心を開き始める…
主人公の咲太を取り巻く6人の美少女と彼女達の身に起きる不可思議現象を紐解いていく青春SFストーリー


今作、正直2018年のテレビアニメの【最高傑作】と言って過言では無いでしょう
放送当時、あまりにも仕事が忙しくて視聴をかまけていたのですが、ラジオ番組でライターの前田久さんが紹介されてるのを機に、完結篇になる劇場版ももうじき公開されることだし、ってことで一念発起して半年遅れでイッキ観してみました


いや、本当に面白い
なんでもっと早く教えてくれなかったんだよ!w
何話が面白いとかじゃなく、全話捨てるとこ無し!
そもそもよく原作をここまで短く纏めることが出来たと思います
横谷さんの一人脚本すっご


あにこれでも2019年4月現在、放送時期ランキングでアレほど話題を集めた『SSSS.GRIDMAN』や『ゾンビランドサガ』や『若おかみは小学生』を抑えてベスト1に輝いています
こーゆー名作をちゃんと評価する辺りが、オイラがあにこれの皆さんを信頼する理由ですねぇ
しかもその内訳が「大絶賛」してる人と「大酷評」してる人に真っ二つに別れているwww
その上での1位って王道中の王道じゃないですかw
『エヴァンゲリオン』かってのw


まずアニメやラノベに詳しい人ほどこの作品に漂う既視感に絶えられないという批評が多いようです
が、その認識は間違っていないと思います
鴨志田先生はハッキリとお答えになったわけではありませんが、この作品は鴨志田先生の青春であり、我々の青春でもあるゼロ年代(2000年~2009年)のヲタク文学への鴨志田先生なりの愛とリスペクト、そしてアンサーが詰まった作品に仕上がっているんですよ
具体的に言うなれば『AIR』『Kanon』『涼宮ハルヒの憂鬱』『化物語』といった作品群へのオマージュが満載なのです
これらの「パクリだ」と声を荒げるのは簡単なのですが、SFなんだけども既存SFファンからは白い目で見られていたこれらゼロ年代ヲタク文学作品達に、愛と敬意と科学的根拠を用いた解答を提示したのが今作なんですね
つまり『青ブタ』とはゼロ年代ヲタク文学の総決算だということです!


例えば有名人であるが故に周囲に溶け込もうと周りとの関係を断ち、周囲も無視を決め込んでいた末に他人から存在を認知されなくなった桜島麻衣先輩の症状
これは観測する事で存在が確定する“シュレディンガーの猫”で説明が出来、誰にも観測されなくなった麻衣先輩は存在が消滅するのだという展開に広がるのです


これSFかー?って批判もある事でしょうw
でもそれまんま『涼宮ハルヒ』の頃に世間で錯綜していた批評感なんですよねw
歴史は繰り返すw


田村里美さんのキャラデザや高田晃さんの作監もあって画面クオリティは凄く高いです
高田晃さんの顔の内側にまつげを描くと『青ブタ』のキャラっぽくなる、という発見は流石のお仕事ですb
2~3話に一度クライマックスを迎える構成なので結構泣くシーンが頻繁に登場して画面からは目が離せない
6話で何度も通り雨を印象付けた上で泣くシーンに合わせて雨降って→雨上がる、って構成と演出もズルいですねぇ、素晴らしいですねぇ


画面が良く出来ているので音響面の演出は抑え目にしてリアリティを追求した、と岩浪良和監督は仰ってました
会話劇なのでセリフを聴かせようということですね
劇伴なんかも控えめです


例えばパク音と言われる咀嚼音がありますが、キャラが飯を食う時に声優に「はむっ」って言ってもらうアレです
今作では食事シーンが多く出てくるのでリアリティ追求の為にあえてパク音はやらなくていいよ、と岩浪監督は指示したそうです
「はむっ」とか言いながら飯を食う人間は現実にはいませんからね
ところがよく聞くと梓川かえでというキャラだけはこのパク音、わざらしく言ってるんですねーw






























いやー、伏線は張られていたー!
怖い怖いw
そもそも久保ユリカさんがシリアスな芝居をしている時点で察しが着きそうですw
あの久保ユリカの説得力の無い声(笑)でシリアスな役を演っているんですよ!?
つまりソコには意味があるわけです
いやはや恐れ入った;


9話と10話で麻衣先輩とは全くの別人を演じ分ける瀬戸麻沙美さんも凄い
岩浪監督曰く、瀬戸さんと石川界人さんは特に指示しなくてもなんでもこなせて若いのに凄いらしいです


あとは双葉理央の孤独感を出す為にアフレコ現場では種崎敦美さんにわざと声を掛けず、孤立するように仕向けたって話も好きですw
種崎さんが可哀想w


そして妙にしっとりとした劇伴
最初に観始めた時にオシャレだけどなんか引っ掛かるなーというか違和感というか異化効果を感じていました
そしてあのEDテーマ…


裏拍を打っている…!コレはジャズか…!


ってなって背筋ゾクってなりましたわ
fox capture planといえばドラマの劇伴なんかで最近よく目にするようになりましたがアニメを手掛けるのは恐らく今作が初
いやまた凄い人達を連れて来ましたね
個人的に増井監督作品はしっとりとしたEDが多い印象です
『すてプリ』とか『サクラクエスト』とか


さて、完結篇となる6月の新作劇場版が今から楽しみで仕方ない
最近『グリザイア:ファントムトリガー』のクリスとムラサキを足して割ったようなキャラがもしいたら最高なんだけどな~、って思った矢先に観始めた『青ブタ』で双葉理央を発見してしまったので好きが止まりませんw
以上、双葉理央の作ったカレーを食べたいけみかけでしたー


「流石けみかけ、ブタ野郎だね」

投稿 : 2024/09/21
♥ : 41
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

「もてあましてるフラストレーション」の具象化 

2019.01.05記


原作未読


You've got an easy day …と直ぐ脳裏に浮かんだ方は立派な“かつての青少年”です。

前評判の高さが視聴動機。
ラノベってもう少しタイトルなんとかなりません?家族共有HDDに2018年秋期に並んだタイトル…
「青春ブタ野郎・・・」
「エロマンガ先生(地上波再放送)」
「幼女戦記(同じく地上波再放送)」
言い訳するのがたいへんなのです。


峰ヶ原高校に通う2年生、梓川咲太(CV石川界人)が目を覚まし、自分では見覚えのない一冊のノートに目を向けると、そこには信じられない事が記されていた――。
「5月6日、野生のバニーガールに出会った。」

で始まる本編。思春期特有の不安定な精神状態が引き起こす不思議な現象“思春期症候群”が引き起こすトラブルを巡り繰り広げられる青春ドラマです。
『思春期症候群』もちろん架空の現象です。クラスメイトや家族など人間関係のひび割れ、本人の内なる心の葛藤、確かに思春期にぶつかりそうな問題を引用してヘンテコな現象を仕立てあげてます。その理論的支柱役を咲太の同級生リケジョ双葉理央(CV種崎敦美)が担います。支柱といってもTHE中二感を出すための柱。「人と話すのが嫌い。性格も暗いし、中学の頃は友達もできなくて、一人でずっといた」ような子ですが、彼女の口から「ブタ野郎」と言われるとご褒美以外のなにものでもないですね。
そして先述の野生のバニーガールが本作のヒロイン桜島麻衣(CV瀬戸麻沙美)さん。「桜島麻衣の桜島に、桜島麻衣の麻衣」と自己紹介するくらい自分に自信をもってますが、けっこうな頻度で咲太に赤面したり恥じらったりする典型的!?ツンデレさん。年不相応・年相応な振る舞い、両面性ある魅力的な女子です。なにより咲太をすごい好きなのが良い。

鴨志田一原作で手堅く、数話ひとまとまりのオムニバスで進むストーリーはテンポもよく見易いです。原作1巻につき数話を使い、、、こんな感じ↓

{netabare}1-3話  第1巻「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」
4-6話  第2巻「青春ブタ野郎はプチデビル後輩の夢を見ない」
7-8話  第3巻「青春ブタ野郎はロジカルウィッチの夢を見ない」
9-10話  第4巻「青春ブタ野郎はシスコンアイドルの夢を見ない」
11-13話 第5巻「青春ブタ野郎はおるすばん妹の夢を見ない」{/netabare}

各エピソード毎に別のヒロインを立てる仕様となっており各々これがまた魅力的です。手堅い作風はなにかしら既視感を生むようですが、ベタなものとはそんなもんでしょう。
どのエピソードも、当番ヒロインの魅力とほどよくエモい脚本で飽きません。むしろいい話ばかりなり。ED「不可思議のカルテ」を当番ヒロインが務めたりとこのへんも鉄板でありベタな演出です。
ベタについて、その昔『くりぃむ○ちゅーのたりらリラ~ン』という番組で“クイズよくあるパターン ベタの世界”という名物コーナーがありました。アンケートに基づいて作られたベタなドラマを観ながら次の展開を予想するクイズコーナーです。
そのドラマの完成度がこれまた高くて、ベタとはわかりつつ涙腺が緩む回答者多数。TVの向こう側のこちらも似たようなものでした。私の既視感を挙げるとしたらこんな感じです。


本作が好感なのは、野生のバニーガールが物語の進行上必然性があって“タイトル詐欺”になってないこと。それに咲太と麻衣のカップリングの柱に揺るぎがなく安易なハーレムになってないこと。当番ヒロインに流れることなく作太は麻衣さんが好きで、麻衣さんも埋没せずに要所で顔を出してきます。
ベタな中にも筋を通していることで、数多の類似作品より頭一つ抜けてる感がします。変態的なタイトルは置いといて、サクッと観ることができる良作です。
なんやかんやで桜島麻衣のヒロイン力の高さを満喫した全13話でした。


■余談
{netabare}お前とこのグラウンドで高校生が大声で叫ぶアニメだぞ、とモデルとなった七里ヶ浜高校出身の知人に{/netabare}

{netabare}お前とこが毎度破壊されるアニメだぞ、とグリッドマンでのモデルとなった都立井草高校出身の知人に{/netabare}

このクールは知人の出身高が相次いで登場しました。ウチの母校もそのうち出ないかしら。敷地の広さと雰囲気なら「やがて君になる」の舞台とそう変わらないと自負しとります。



視聴時期:2018年10月~12月 リアタイ視聴

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2020.03.27
《配点を修正》+0.1 麻衣先輩が最強だから(リピート視聴後修正)

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2020.09.22追記
劇場版視聴済み。TV版を気に入った方はわりと必見だと思われる。


2019.01.05 初稿
2020.03.27 配点修正
2020.09.22 追記

投稿 : 2024/09/21
♥ : 118

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

何でこんな避けられそうなタイトルにしたかと思っていましたが…。(「おるすばん妹」の破壊力、原作既読でもヤバい…。劇場版も楽しみです!)

原作がシリーズを重ねていくうちに「まあ、これで良かったのかも」と思えてくる、そんなタイトルですよね。

OP主題歌で、いくつかの原作タイトルに使用されている文字の組み合わせがランダムっぽくチカチカと入れ替わって表示された上で最終的にアニメとしてのタイトル『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』となります。

ということで、ここでタイトルの使われた原作は全部アニメ化されるのかもしれません。
(↑え、マジで…!?)

アニメでは、「バニーガール先輩」以外のシリーズのヒロインも早めにわりと多く画面には出していく感じに見えます。

……と、2話まで観たところでこの後は2話くらい放送時には観られない予定なので取り急ぎ書いておきます。このアニメ化には期待しています!

2018.10.26追記:
第3話目まで視聴完了。原作でいうと1巻目の終わりだったのと話数から考えると、原作1巻に対して3話のペースで1クール=原作4巻分のアニメ化でしょうか。

劇場版『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』のアナウンスもありましたね。こちらも楽しみです。

2018.10.29追記:
劇場版のタイトルと円盤の収録話数も踏まえて、おそらく下記のようなシリーズ構成になるっぽいです。

※話数が進んだので対応する原作の全タイトルをを記載
青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない: 1~3話(先輩:桜島麻衣)
青春ブタ野郎はプチデビル後輩の夢を見ない: 4~6話(後輩:古賀朋絵)
青春ブタ野郎はロジカルウィッチの夢を見ない: 7~8話(ウィッチ:双葉理央)
青春ブタ野郎はシスコンアイドルの夢を見ない: 9~10話
青春ブタ野郎はおるすばん妹の夢を見ない: 11~13話

なお、劇場版『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』は原作シリーズ6、7作目の内容になることは公式にアナウンスされていますね。原作は以降も続いていますが内容的にもここでひと区切りという感じなので、シリーズ構成的には妥当だと思います。

2018.12.10追記:
第9、10話でシスコンアイドル編終了。づっきー(広川卯月(ひろかわ うづき))役に雨宮天さんがキャスティングされてました。

公開予定の劇場版以降がさらにアニメ化された場合、そこそこ重要なサブキャラになるはずなのであんまりいい加減なキャスティングはできないとは思いましたが、天ちゃんでしたか…。

残る「おるすばん妹」編は原作でもかなり好きなエピソードなので、楽しみです!

2018.12.23追記:
原作既読であの展開を知っていてももヤバかった、12話ラストのシーン。視聴者(読者)も、ここまで時を積み重ねてあのキャラクターへの愛着が生まれていますからね。

思春期症候群的なエピソードは抑え気味でも、原作の『青春ブタ野郎はおるすばん妹の夢を見ない』は、読んでて終盤はけっこう泣きそうになってました。

…ということで、最終回を待て(笑)!

2018.12.30追記:
第13話(最終回)まで視聴終了。これまた本編からシームレスに劇場版の予告があったのですが、この作品については劇場版まで込みのシリーズ構成だったと思うので、まあこれもアリだな。モハメド・アリだ。(邪神ちゃん並感)

咲太くんは高校生としてはかなり大人で良い人なんですけど、その咲太くんも麻衣さんの助け、支えがないと誰も救えないんですよ。そして翔子さんも…。

原作通りなら劇場版で翔子さんの正体について衝撃の事実が明らかになりますので、こちらについても乞う、ご期待!

しかし、1クールで良くここまでアニメ化しましたね。

投稿 : 2024/09/21
♥ : 100

91.1 2 記憶で高校生なアニメランキング2位
君の名は。(アニメ映画)

2016年8月26日
★★★★★ 4.1 (2511)
11482人が棚に入れました
新海誠監督による長編アニメーション。

千年ぶりとなる彗星の来訪を一ヶ月後に控えた日本。
山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は憂鬱な毎日を過ごしていた。
町長である父の選挙運動に、家系の神社の古き風習。
小さく狭い街で、周囲の目が余計に気になる年頃だけに、都会へのあこがれを強くするばかり。

「来世は東京のイケメン男子にしてくださーい!!!」

そんなある日、自分が男の子になる夢を見る。
見覚えのない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の町並み。
念願だった都会での生活を思いっきり満喫する三葉。

一方、東京で暮らす男子高校生、瀧も奇妙な夢を見た。
言ったこともない山奥の町で、自分が女子高校生になっているのだ。

繰り返される不思議な夢。そして、明らかに抜け落ちている、記憶と時間。
二人は気付く。

「私/俺たち、入れ替わってる!?」

いく度も入れ替わる身体とその生活に戸惑いながらも、現実を少しずつ受け止める瀧と三葉。
残されたお互いのメモを通して、時にケンカし、時に相手の人生を楽しみながら、状況を乗り切っていく。
しかし、気持ちが打ち解けてきた矢先、突然入れ替わりが途切れてしまう。
入れ替わりながら、同時に自分たちが特別に繋がっていたことに気付いた瀧は、三葉に会いに行こうと決心する。

「まだ会ったことのない君を、これから俺は探しに行く。」

辿り着いた先には、意外な真実が待ち受けていた…。

出会うことのない二人の出逢い。
運命の歯車が、いま動き出す

声優・キャラクター
神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ、市原悦子、悠木碧、島﨑信長、石川界人、成田凌、谷花音
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

世界はきっと美しい

新海誠監督作品。

希望が持てないとき、漠然と不安なとき、
繰り返し見たくなる前向きで素敵な物語だ。

売上や動員数ばかり話題になりますが、
映像クリエイターからすれば、
思春期というものは創作の大きな源泉です。
初々しくも華やかな青春を、
美麗な風景とともにまとめ上げた手腕は、
評価に値すると思います。
多くの大人達もどこか自分に合わせ、
追体験できたのが大きかったのでしょう。

少年少女は生きる上で、
きっと喜怒哀楽の純度が高い。
強く生きること深く愛すること。
その一瞬をフィルムに収める。
少女の全力疾走はいつだって感動しますね。

糸守町の歴史と組み紐の教え。
宮水神社に伝わる伝統儀礼と御神体。
{netabare}夢の中で入れ替わった2人は、
不思議な体験を通じ心の距離を近づける。{/netabare}
古来より継承されてきたものが引力となる。
素敵な出逢いが訪れますよう願おう。

留めておくのが難しい、
儚くて透明なその美しい一瞬を、
まだ美しいと感じれる自分がいて良かった。

投稿 : 2024/09/21
♥ : 168
ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

夢の儚さを越えて二人は繋がる。

見終わった後、私は夢から覚めて、まどろんだ時ようなな気持ちになりました。

あのシーンの背景が良かったとか、あそこのスピード感が最高だったとか。
でも、その記憶は、強く「覚えていよう」と思い、まるでこれは面白い夢から覚めた時と同じじゃないかと。

でも、人の記憶は曖昧で、全ての良いシーンを覚えておこうと思っても、次第にディテールが失われていきます。
やがて夢の記憶は、「面白い夢をみた」に代わり、そして夢をみた事をも忘れていく。

時間に対して夢の中の記憶はあまりにも儚い。

この作品はそんな弱い繋がりで繋がった瀧君と三葉の物語です。



感想
{netabare}

【演出】
二人の入れ替わり生活が始まるときに曲が入り場面の切り替わりのスピード感は新海監督らしい演出。

二人の入れ替わり生活とは別に強く印象に残っているのは
時間が100倍速になった感じで都会の光や信号が光を放つシーン。
これは時間の経過を示しているのでしょうが
その綺麗さが強烈に印象付けられました。

また、夢の中の出来事という作品の設定のように
幻想的な美しさが視聴者を夢と現実の境界線に引き込んでくれます。

三葉の人生が瀧に見えたときのシーンもグッと来ました。何でだろう?
人の生き死にに涙もろいのかな。
あのシーンは母親との直接的な繋がり(へその緒)や親との別れ、家族の濃い「人と人の繋がり」を感じてしまったからでしょうかね。

【展開】
「瀧君、覚えてない…?」という三葉のシーンは本当に胸が痛くなりました。
3年後の瀧君にとってはずっと前から繋がっていた。三葉にとってはようやく繋がった。
だけど瀧君はこのときはまだ知らない、三葉は不審そうにこちらを警戒する瀧君に思いを伝えられない。
「二人が会えた」「繋がった」という嬉しさと同時に
勇気がでずに思いを伝えられない三葉の姿に自分を重ねてしまいました。



【キャラ考察】
瀧君がクレーターの上で君の名は!と涙ながらに叫んだ気持ちがわかってしまう。
大切な人に会いたいと、思いが募ると、苦しくて、吐き出したいなにかが心のなかにたまってきて、自然と涙が出てくるんですね。

三葉の境遇について
母親を幼い頃に亡くしていて、それをきっかけに父親が神職をやめて離ればなれとなっています。
離れて暮らしながらも、政治というなにかと目立つ仕事をしている父親のせいで
学校で本人の意思とは関係なく少し浮いてしまう三葉。
そんな狭い村社会に嫌気が差してどこかに逃げたい気持ちでいる時に起こる入れ替わり。
三葉にとって入れ替わりは逃避になり得た(まさに夢に逃げる)のですが
突然終わる入れ替わりは、夢の終わりであり、それは自分の逃げ場所がなくなったともいえます。
夢の続きが見たくて。そういう気持ち(逃避)、わかります。
東京にいるはずの瀧君に会いに行き、あの日々の続きがみたい。
でも、せっかく会いに行ったのに瀧君は三葉のことを知らなくて、繋がりの喪失を感じてしまった。
(ですか、ここで過去と未来を繋ぐ糸を渡したシーンの懸命さや、その糸が忘れかけた瀧君と三葉を繋げてくれた意味を持つアイテムであることの重要性が「繋がった!」と嬉しさを感じさせます)

その後の三葉の行為は、瀧君への思いをたちきりたくての髪を切る行為だったのでは。(切るということは思いや繋がりをたちきりたいための行為?)(夢の終わりが夏祭りの近くの日、つまり、一般的には夏の終わり近くです。夏の終わりの儚さと夢の終わりの儚さをかけているのではないでしょうか)

また、三葉が夏祭り前に暗い部屋で涙を流すシーンには、喪失感を感じ、失恋等のなにかを失う出来事を思わせました。


その後の彗星の衝突により、三葉は現実の問題と向き合い乗り越えることができました。
瀧君の残した「すきだ」が現実と向きあう最後の勇気をくれたのかもしれません。

そして、瀧くんにとっては、一生忘れられない体験であり
忘れられない繋がりだったのではないでしょうか。
それが記憶がなくなっても四年後も繋がりを求めていた理由かもしれません。
忘れたくないと思っても忘れてしまう、だけどどこかでおぼえているその繋がりのことを。
だから、これはなくなってほしくないという、繋がりの肯定なのではないかな。
【美術】
新海監督の作品は見たり見なかったりなのですが、背景の綺麗さは今作もすばらしかったです。
田舎のゆったりとした風景にはそこに溶け込めそうな気分にさせてくれました。まるで、その場所が自分の帰る場所のような。

都会の朝の風景はどこか孤独だけどエネルギーを感じます。
夕方の忙しそうな風景には少し寂しさがあって、早く帰りたいな、そんな気持ちにさせてくれます。

季節感も夏に始まり、春に終わるという、季節ごとの綺麗な風景を描いてましたね。

最後に桜さく路地の階段で二人が出会うシーンも、優しさと暖かさをリアルに感じてとてもよかったです。


【記憶が失われる設定について】
多くの人がここについて指摘してきました。
ですが、私はレビューの最初に書きました通り、夢だから、でストンと納得しています。
作中で夢をフォローしているシーンがあるのは覚えていますか?
三葉の祖母が三葉(瀧くん)に「三葉、お前、今夢を見ているな」と言う印象的なシーンです。
また、三葉も「夢の中で見たあの人の名前が思い出せない」と言い、友人を困惑させます。
それはそうでしょう。普通のひとはそんなことを非常時でも平常時でも口に出したりしません。
共通認識として「夢の中の内容は忘れやすい」ということがあるからです。
ですので、スマートフォンの中の日記が消えていくあの表現や、
二人が御神体のクレーターで出会うシーンが、
夢と現実の境界線が曖昧な時間や場所を表現していて
見た人間も、夢と現実の境界線にいるようなそういう作品だと思っています。

【朝、目が覚めるとなぜか泣いている】
印象的な導入のセリフです。
二人の繋がりを失ってしまったことを自分の中のどこかが泣いている。
そして、それにとりつかれているようになってしまっている。
私はそうやってどこかに繋がりを探すような感情を現す言葉は知りませんが
自分のどこかに、よく似た感情があると確信があります。
それが、私の心にズキズキとした胸騒ぎを起こしてくれます。

【総評】
色々書きましたが、瀧君と三葉のような10代の気持ちや考え方を上手く描いています。
君の名は。でとめていますが、これは相手への問ですよね。
相手の名前を知らないからこそ尋ねる(訪ねる)。
そして相手の事を知りたいからこそたずねる。
相手の事を知りたいという感情をエネルギーにして伝えてくる作品でした。

また、人と人の繋がりを感じる、もしくは、心の中のどこかにあるつながりを求める感情を肯定する物語だったとまとめさせていただきます。

【蛇足】
三年前の瀧君と三葉が東京でであったとき、二人の糸はどう繋がったのか、一瞬はまりかけました。
二人の糸は絡みあって大きなわっかを作った。そんな思いです。でも始まりはどこかよりも、今と未来の彼らが気になって(笑)

キービジュアルの瀧と三葉が東京の坂で振り返って見つめる絵って
ラストの5年後の二人を、であった頃の高校生の姿に置き換えているのかも?
これが「出会い」の絵なのか「再会」の絵なのかちょっと気になって面白い。

幻想的で儚さのある二人の奇跡の繋がりと、現実の繋がり。
ラストで二人の繋がりを現実の繋がりにすることで生まれる嬉しさ。
なぜだろうか?多分、二人が求めていたその繋がりは、人間が奇跡を信じたい気持ちの肯定だからでしょうか?

{/netabare}

ストーリー考察?(繋がりを軸にストーリーを考えてみました。)
{netabare}
三葉の祖母が、糸に例えて人と人の繋がりを話しました。繋がって、絡みあって、離れて、近づいて、また繋がっていく。その繋がることを結びという。

瀧と三葉の関係もまたそうでした。夢で繋がって、入れ替わりを繰り返して二人の糸は絡みあう。
入れ替わりは突然になくなる。突然糸が切れたように。
三葉のいる場所は時間を越えて遠く離れた場所だった。
真実を目にした時、三葉との思い出は一瞬で消えていき、崖から突き落とされたようなスピードで二人の距離は離れていく。(二人の距離が明確に離れていくことに儚さや悲しさを感じました)
でも、瀧は「そこにいかなくちゃいけない」という自分でもわからない使命感に押され御神体のある場所へ
三葉のいるかもしれない場所へ近づいて行く。(確信のない行動です。しかし、そこには記憶という曖昧な繋がりよりも、もっと深いところでの繋がりを感じます)

そしてまた入れ替わり、二人はお互いを自分の体で出会う。
今まで顔を合わせて話したかったことをいいあって、笑う。(ようやく、もがいてもがいた結果、出会えたという喜びを感じます)

互いの姿が見えなくなって、名前を忘れた瀧は叫ぶ。
「君の名前は!」忘れちゃいけない大切な人を思い出せない苦しさで一杯になる。(本気で相手の事を求めるシーン、記憶がなくなっても、もっと深いところからの欲求です)

名前は思い出せない。でも誰かが大切なことは覚えてて
誰かが思ってくれていることが「すきだ」という言葉からわかる。だから三葉はやりとおせた。

そして時が流れ、あの時間の記憶もなく、あるのはかすかな心残り。
どこかに大切な繋がりがあるような。

冬が終わり春が来る。
二人はまた近づく、自分の中の心残りの先にある繋がりを探して。
そして出会い、ずっと探し続けてきた繋がりだと信じて問いかける。「君の名前は」。
(最初のシーンと繋がる。どこかに特別な繋がりがあるという不思議な感覚。ラストはなんとなくわかるという感情の肯定が、とても心地いい)
{/netabare}


2018年1月3日 地上波放送を見て。
{netabare}
本当は追記する予定はありませんでした。
でも、見たら、自分の中に生まれた何かを書きたい衝動を抑えられなくて、
書こうと思いました。

今回の再視聴で感じたのは、
繋がりが消えることの悲しさでしょうか。
どこか身近に感じていた、繋がりの断絶。
私が繋がりの断絶を感じたのは、福島なんですが、
レビューを社会派にする気はないので詳細は伏せます。

それは、人間の営みの断絶であったり、人の関係の断絶。
繋がりが消えてしまうことへの悲しさ、つらさ。
そういったものが多分糸守町の消滅、三葉と瀧の入れ替わりの終わり、
そういった作品世界の出来事から、私はいつも感じていたこと、
繋がりの断絶を感じていました。

繋がりの断絶と同時に、繋がりを求める声も同時に感じました。

三葉が瀧に会いに東京に出た時も、瀧が三葉の名前を忘れて叫んだ時も、
繋がりを求めるその行動、その思いが、私には、
無くした繋がりを取り戻したい気持ちを感じて、
どうしようもなく、泣いてしまいました。
(すこし安っぽい表現ですが、実際少し泣いてます。
多分泣いた理由は、登場人物達と同じ理由で、
繋がりを求めたから、でしょうかね。
多分これが、共感何でしょうね。初めて実感出来たかも)

こんな瀧君のセリフがありました。
「今はもうない街の風景に、何故ここまで胸を締め付けられるのだろう」
心のどこかで糸守に繋がりを感じている瀧君。
私も、どこかで知らない街の知らない人の営みに、
繋がりは感じないまでも、営みの中にある繋がりを見て、
親近感を感じたりするのです。
それは人と人の繋がり、人と土地の繋がり、繋がりの中で生まれた営み、
そういったものを、私は求めているのだろうし、
大切にしたいし、失いたくないと思うのです。

だから、この作品を再視聴して、このレビューは、
完全に私の感想であるのですが、
私が求めていた繋がりを描いてくれているし、
私が恐れている繋がりの断絶も描いてくれている。

だから、私は、この作品が好きなんでしょうね。



{/netabare}

投稿 : 2024/09/21
♥ : 134

scandalsho さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

作画はきれいだった。もの凄く!だけど・・・、

物語としては、『見終わった後に何も残らない作品』という印象。
個人的には『この世界の片隅に』、『聲の形』の圧勝だな~。やっぱり。

様々なSF要素の詰め合わせは、アニメ初心者には斬新に見えるでしょう。
だけど、私には目新しさよりむしろ、矛盾とご都合主義が気になってしまう。

普段アニメをあまり見ない人たちがこぞって見に行った結果が、空前の大ヒットなんでしょう・・・。
まあ、私のようなアニオタがこぞって見に行ったくらいでは、あそこまでの大ヒットにはならない。
『素人をいかに取り込むか!』
この部分に特化した作品ということなのでしょう。

最後に。
やっぱり声優はプロの声優さんに任せるべきだと思うんですよ!
誰とは言わないけど、ひどい人がいた!

投稿 : 2024/09/21
♥ : 115

74.7 3 記憶で高校生なアニメランキング3位
神様になった日(TVアニメ動画)

2020年秋アニメ
★★★★☆ 3.4 (753)
2225人が棚に入れました
高校最後の夏休み、大学受験を控えた日々を送る成神 陽太の目の前に、ある日突然「全知の神」を自称する少女・ひなが現れる。「30日後にこの世界は終わる」そう告げるひなに困惑する陽太だったが、神のような予知能力を目の当たりにし、その力が本物だと確信する。超常的な力とは裏腹に天真爛漫であどけないひなは、なぜか陽太の家に居候することが決まり、2人は共同生活を送ることになる。「世界の終わり」に向けて、騒がしいひと夏が始まる。

声優・キャラクター
佐倉綾音、花江夏樹、石川由依、木村良平、桑原由気
ネタバレ

素塔 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

神様の変容

酷評されてはいるが、一般人の感覚では十分楽しめる作品だったと思う。

聞くところによると、本作では「原点回帰」が目指されていたとか。
ゲームをしない自分は、Keyも麻枝准もよくは知らず、
アニメも「Charlotte」「Rewrite」くらいしか観ていないので
「原点」の意味するところは分からないのだが、素人の想像を逞しくすると
あるいは初心に帰って、シンプルで明快なテーマ性をもった人間ドラマを作ってみる、
そんな意図だったのかとも思う。本作には時間を生きる人間の自然な姿が描かれていて
幸福とは何かという、重要なテーマへのシンプルな答えも織り込まれている。

「麻枝准=泣かせ」といった予断を一旦クリアして
ごくありふれた、平凡なヒューマンドラマとして本作を観た場合、
一貫したテーマとして追求されているものが何であるかを考えてみた。


{netabare}ひな、陽太、伊座並さん。
この三人による恋愛コメディが展開される前半パートは
第五話の伊座並さん回で締め括られ、それに続く後半パートでは
ひなと陽太の二人に焦点が絞られるが、テーマ的な次元では前半部と連続している。

キーワードはおそらく、「変化」である。

前半部のひなは無闇矢鱈に周囲に変化をあおる存在だ。
世界の終わりが目前に迫っていることが直接の理由だが、
彼女自身、生まれて初めて普通の生活を手に入れることができた
その限られた時間を謳歌するためには立ち止まっていられないのだ。

ストーリーの軸となる恋愛では、子供時代からの固定した関係を変化させるに至らず、
実は陽太自身もそれほど強くは変化を望んでいなかったふしもある。
むしろそこから派生的に生じたエピソードに「変化」というテーマが濃厚に表れてくる。
ラーメン回などもこのギャグバージョンとして観られそうだ。
勿論、テーマが凝縮されているのは伊座並家をめぐる変化と再生の物語であって、
この第五話は後半への布石と見なすことができる。それは、この回で追求されたテーマが
後半部の陽太とひなの関係の中で再現されているからだ。
そのテーマとは、「苦しみながら変化を受け容れる」というものである。


後半、陽太は変わり果てたひなと再会する。

ひなを連れ帰るために自分たちのことを思い出させようとする彼の懸命の努力は
ひたすら空回りする。この部分のかなり誇張気味の描写が意図するものはおそらく、
まさに神レベルとも言える、ひなのドラスティックな変化を受け容れることができず、
逆に強引に元の関係を受け容れさせようとする陽太の苦悩の表出ではないだろうか。
本来の彼は高い受容性をもっている。それが時間の制限による焦りに加え、
ひなへの感情がすでに恋愛のそれに変わっていることから来る切実な想いが
この醜態を招いてしまっているように思う。


そして、陽太が強制的に退去させられる問題の場面。

ひなの記憶が戻るのはおかしいという点について自分はこう考える。

記憶が戻ったというのとは多分違うのだろう。
レビュアーさんの一人がいみじくも書いておられるように、
脳ではなく心に刻まれている感覚のようなものを想定してみたい。
記憶を失った人でも、特定の恐怖心などで以前の反応を示す場合があるように、
精神ではなく身体的な次元に残存する何かがあるはずだ。

このシーンが第九話の(反転した)再現であることに注意したい。
連れ去られようとしているひなを陽太が必死に追いかけようとした
あの時と同じく、陽太と引き離されて二度と会えなくなる不安をひなは感じていて
その時の恐怖と悲しみの感情がとっさに甦ったと考えられるのではないか。
だから、その同じ瞬間に陽太に対して抱いていた気持ちが同時に反復されて
「ようたすき。」という言葉がこぼれ落ちたのではないか。

「残ってたんだ、あの時の気持ちが。僕たちは今も想いあっているんだ。
 そんな気持ちもわからずに、そんな想いも僕は気づかずに・・・」

彼の自責の念は要するに、ひながとっくに彼を受け容れていたにもかかわらず
自分の方がそれに気づかずにいたということだ。だがそれも無理はない。
ひなにはもはや持続的な自我はなく、断片的な反応を示しているだけなのだから。
それでも、一個の人格の統合性は精神のみではなく、存在全体に関わるものである。
ひなは確かに、自分の存在のすべてを傾けて陽太を受容した。


記憶は失われても想いだけは消えずに残っていてほしい。
それはひなの最後の願いでもあった。
連れ去られる直前にひなはこう言い残していた。

「貴様と過ごしたこの夏は消えてなくなるが、今感じているこの気持ち、
 せめてそれだけは残っていてほしい。そう願うわしがおる。」

ここでさらにもう一つ、重要な要素がテーマに加えられる。
変化を受容すること。それが出来るのは、変わらないものがあるからなのだ。
そして、変わらないものを心に保つことは、さらに変わってゆくためでもある。
伊座並さん父娘にとってのお母さん、それから鈴木少年の束の間の学校生活。
それぞれがかけがえのない思い出を抱きながら変わっていこうとしている。
ひなにもまた、永遠に変わらない宝箱のような奇跡の夏の思い出がある。
作品冒頭で出会ったのは、それらの日々を回想しながら永遠の幸福感に包まれている
心象の中の現在のひななのだろうか。


人生の本質的な相貌である、「変化」の肯定。
これがヒューマンドラマとしての本作が内包するメッセージだろう。

無事帰宅したひなの変化を周囲は自然に受け容れる。
そもそも友人たちのほぼ全員が、直近に変化を経験している点がポイントだ。
陽太はさらに、ひなの変化をまるごと自分の人生に受け容れる決意によって
自分が変わるきっかけをつかむ。

だが、これは決して感動的な結末ではないように思う。
「奇跡は一瞬だから強く光り輝いて見える」とひなの父も言った。
神様ではなくなったひなには、この先の変化はもはや望めない。
陽太はその奇跡をもう一度起こすために自分の人生のすべてを賭ける決意をする。
これはある意味、ひなの父の予言が的中した事態とも言えるのではないか?
二人で夜景を眺めながら陽太がひなにかけた言葉は、ほぼ完全に
プロポーズになっていることに気づいてはっとした。そして見方によってはこれが
慄然とするような残酷なエンドであることを改めて理解したのだ。

終末の風景の中にただ二人だけがいて、荒涼とした世界と向かい合っている、
映画のこのエンディングは、二人の未来を暗示しているようにも思える。
あるいはゲーム原作者らしく、二つのルートのエンドを並置してきたのだろうか。
だとすればこれがこの作品の本当のエンドだと言っていいのかも知れない。
{/netabare}

(初投稿:20021.1.8)

投稿 : 2024/09/21
♥ : 21

御宅忍者 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

何をしたかったのだろうか

この作品はあまりにも物語が逸脱しすぎていて、何がしたかったのか皆目見当がつかなかった。突然にして分かる主人公とヒロインの恋愛関係であったり、伏線臭を漂わせていた発言などは一切回収せず、「ヒロインは何者なのか」といったところがおざなりになっていた。また、キービジュアルにも使い重要人物臭を出しておいたハッカーがシリアス回の駒役というありさま。

ギャグ、シリアスの両方ともに中途半端。

麻枝さんの脚本はもう厳しいと思います。10年前から言われているように、麻枝さんに関しては曲だけ制作していてほしい。曲だけは本当に素晴らしいです。

キャスト陣も役柄に合っていないような感じがしました。

投稿 : 2024/09/21
♥ : 18
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

君には期待してない

ある夏の日。突然「30日後に世界は終わる」と告げる一人の少女が現れてのすったもんだ。
こういったへんてこなツカミは大歓迎。多少アニメを観てる層にはおなじみの『KEY×P.A.WORKS』のゴールデンコンビ。独特なクセの強さにハマるとこのコンビが翼くんと岬くんに見えてくるわりと業界でも成功しているカップリングでございます。
当然のように2020年秋期を牽引することを期待されてた作品だったといえましょう。


さっそくの結論。感想は“つまらない”であり、端的にその理由を述べると主人公がダメ。
その前提で以下長々と失礼します。


keyはわりとプロトコルがきっちりしていて前半のドタバタとおおむね3分の2終わったあたり(8話近辺)での超展開。救いなさげなネタを投じてからのやや前向きな内容で終幕。音楽は独自性ありで映像は綺麗。演出面で秀でてるなと感じるところ。
今回も手順は同様でした。悪い意味ではなく、笑点をマンネリだと眉を上げないのと一緒です。

そのため過去の自身の立ち位置が参考になります。これまでの評価は以下

 クラナド3.9
 アフター4.6
 kanon 3.9
 Air 4.2
 AB 4・0
 シャーロット3.9

面白い/普通の分水嶺を4.0に置いており多くがボーダーライン上なのです。アフターストーリーが突出してプラス。見方を変えればムラがないともいえる実績。
完走し良いほうに転ぶと前半のドタバタ劇は「あの時は平和だったよね」となり、パッケージ全体で落ち着くところに落ち着くのですが今回はそうはいきませんでした。
高い要求レベルを求めるとそもそもクールで一つはある4.3点以上の評価に届かないKey作品群。

 共通する弱みはなにか?

尺不足だと考えます。閉じてない群像スタイルの合う作風でキャラの増加は妥当。超展開を支える骨子の説明に時間を割くのも妥当。
そうするとどうしてもキャラの深掘りはできず説明不足に陥ります。ただしこれは構成上やむを得ない二律背反。超展開止めたらそれこそブーイングの嵐でしょう。工夫は見てとれ、尺を使うキャラの“心情掘り下げ”よりも、キャラの持つ“クセの強さ”でのインパクト狙いにやや軸足置いてますよね。

充分すぎる尺をとった『CLANNAD』や1クールなら登場人物を絞り気味だった『AIR』の評価が高いためより一層そう思ってるところがある私です。


 キャラの心情描写に期待してない
 1クールでそこそこまとめてくるだろう


そんな高すぎない私の期待値すら下回ったのは、ひとえに主人公陽太くんのキャラクター性に負うところが大きい。これは好みではないかと。
私が嫌いなタイプ

 {netabare}やる気のある無能{/netabare}

そのまんまでした。花江さんこういうのやらせるとほんとに上手ですよね。さらにさらに、好き嫌いはしょうがなくても作品評価に直結してしまったのには別の理由があります。

それは大黒柱の性格。好き嫌いじゃないですよ。これまではいくらメイン/サブ問わず歴代ヒロインがぶっ飛んでいても、♂は堅実に狂言回しするタイプを配置してたんだと思います。

【歴代♂】
 岡崎朋也(CV中村悠一)
 国崎往人(CV緑川光)
 相沢祐一(CV杉田智和)
 音無結弦(CV神谷浩史)
 乙坂有宇(CV内山昂輝)

下衆いの一人{netabare}(乙坂くん){/netabare}混ざってますがそんな彼すら当時それほど気にならなかったのは、みんな一歩退いてたり、やや皮肉屋だったりどこか冷めてるところが共通していて既視感があったから。
それが本作では前に出てくるタイプへと変貌を遂げて、バランス崩壊の決定打となりました。

いくら「そう来るか!」のびっくり要素がきても
終盤の泣き要素をかぶせてきても


※ネタバレ
{netabare}ひと夏の恋で廃人の人生を背負うと決意し行動するのが意味不明。{/netabare}
{netabare}ひな父のスタンスが至極真っ当できちんとそういった人も描けているのにどうしちゃったんだろう?{/netabare}


茶番劇にしか見えなかった此度のKEY×P.A.WORKSでした。
プロトコル変にいじっちゃって途端につまらなくなっちゃった例になるのかしら。
おそらく大喜利の特番なんかで座布団運びを山田たかおじゃないアイドルにやらせちゃったことで感じる「コレジャナイ」感に近しいもの。
なんだかんだいつもながらの壮大なマンネリを強く期待してたのは私だったのかもしれません。



※ネタバレ所感

■強く擁護する

腹を抱えて笑いました。牛乳飲んでる途中でなくてほんとよかった。

{netabare}第4話麻雀回。
「二色同順」「ドラ隣」「途中まで通貫」「喰い七対子」で腰を抜かす。
アガられるか?のピンチでスキップとリバース。UNOかよ!
やってることは無茶苦茶でルールを無視したゲームは成り立たないのは承知の上で、「二色同順ドラ隣ドラ隣(2300点)」でドヤられたのが心地よかった第4話でした。{/netabare}


■絆(余談)

10年前に感じた嫌悪感。覚悟無き善意の押しつけと言ったら妥当だろうか。

{netabare}奪還するために施設に乗り込むのは構わないんですけど、普通なら施設で療養を続けるべき事案です。
そんなのを超越する情が芽生えるにはひと夏の恋で説明するには強引と思うのは既述のとおり。
後日譚が描かれることはありませんしできません。単独での介護は不可能で必ず家族を巻き込む未来が見えてます。仕事の選択も限られるし仕事中誰が面倒みるの?とかそもそも高校生は養うための収入がありません。子犬を拾ってきてもおかんに「誰が世話するの?」となるわけだし、おかんに怒られるかもと拾う時に迷うものですが、そんなの描いてたら成立しない物語となってます。

リアリティはないし、ファンタジー路線ですら寓話にもならないんですよね。
キャラクターの弱みがもろに出てました。繰り返しますが“やる気のある無能”なんです。10歳満たない子供が同情心から衝動的に捨て犬を拾うことはあるかもしらんし、「毎日僕(私)が散歩に連れてく!」くらいの言い訳は用意するだろうに、それすら微塵も感じさせない高校生というのが自分には致命的でした。しかも犬ではなく人間だもの。

これは覚悟無き善意の押しつけです。
覚悟の定義にもよりますが、気合だけで思慮のない浅い行動をとることを覚悟とは言いませんよね。考えた形跡がなくヒロイックな気分に浸って酔ってるようにしか見えませんでした。{/netabare}


さらに10年前ということで刃をあなたにも突きつける。


{netabare}「絆」「私たちにできること」という機運が生じた10年前。
震災がれきの受け入れを拒否した人少なくなかったですよね。測定して数値がほぼゼロだったと言おうががれき撤去が進まず復興が進まないと言おうが、測定値が信じられないとか漠たる不安とかやらない理由をあげつらった善意の市民。
当時の東京都知事石原慎太郎が四の五の言わず「受け入れる」と決定したのに反感をもった方々もまあ同じ穴のナントカでしょう。文句言うだけの楽な商売です。某体操選手が言ったように「どうやったらできるかを考えてほしい」の数段前にいながらこういうのに限って似非ヒューマニズムをまき散らす。非を認めず他に責を求める。ついでに感謝の意を示さないと怒る。なんで被災した身ながらお前らの感動ポルノに配慮しなきゃいかんのよと思いましたね。
いまさら掘り返して怒る気もないし、日本全国動揺しまくってた時期だとの情状酌量もあるので「当時私はそう強く思ってた」というそれ以上でも以下でもないです。{/netabare}


同情が欲しいわけではなく関心寄せるなら適切な行動を取ってくれという事案。
身近なものなのに身近なものとして捉えることを拒否したアニメ作品と身近なものになった途端逃走した現実の出来事。
災難だったり不幸を目の前にして当事者意識がないのは一緒なのですよ。


プロトコルの変更(主人公♂)で生じたメッセージ(善意の押しつけ)への非共感で沈んだ一品です。



視聴時期:2020年10月~12月 リアタイ   

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2021.01.31 初稿
2021.09.28 修正

投稿 : 2024/09/21
♥ : 57

84.4 4 記憶で高校生なアニメランキング4位
ReLIFE(TVアニメ動画)

2016年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (1366)
6957人が棚に入れました
海崎新太(27歳)は、新卒として入社した会社を3ヶ月で退職。
その後の就活もうまく行かず、親からの仕送りも打ち切られ田舎に戻ることを迫られる。
悩みを打ち明けられる友達も彼女もいない……
途方に暮れる海崎の前に謎の人物・夜明了が現れる。
夜明は海崎にニートを対象にした社会復帰プログラム「リライフ」への参加をもちかける。
その内容は、謎の秘薬で見た目だけ若返り、1年間高校生として高校に通うことだった――。

声優・キャラクター
小野賢章、茅野愛衣、木村良平、戸松遥、内田雄馬、上田麗奈
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

僕らの自由を 僕らの青春を(^^♪

人生つまずきまくりの主人公、
海崎新太27歳の2度目の青春奮闘記。

これは面白いですね。
原作未読ですが、先が気になる。
{netabare}ReLIFE更生実験により、
後々「記憶の消去」が発生するなら、{/netabare}
何とも切ない話ですね。
人生そう上手くいかないものだ。

よく出来ているのは、
青春につまずく高校生を通じて、
新太は自分自身を知り、
友達の才能に嫉妬する女の子を励ましながら、
みんなが嫉妬で、
他人を追い越すことばかり考えてた、
社会人時代の自分に重ねる。
成長するとはそういうものかも知れない。
{netabare}余韻を残すラスト、続きが気になりますね。{/netabare}

甘酸っぱい青春、疲れ果てたサラリーマン。
みんな些細なことで悩む、
みんな些細な何かと戦っているのだ。

名曲をテープに吹き込んで、
あの向こうの、もっと向こうへ。
僕らの自由を 僕らの青春を(^^♪
イ―ジュ-★ライダーが心に染みるのです。

投稿 : 2024/09/21
♥ : 70
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

青春のやり直し、この物語は青春ものの名作と思います

2016夏期アニメ流行のやり直し、変えたい系のひとつです。原作等知らないので真っさらな状態で見れました。
作画もまずまずで期待大でした。何より…1話のEDが民生だったのが良い!!しかもイージューライダーじゃないか!! これだけで完走決定しましたた。

1話…始まり始まり
{netabare}就活してもニート扱い。ニートの定義は分からん。3ヶ月リタイアに対する現実突きつけているようだが、現実はどうなんだろう。にしても、27で仕送り打ちきり、当たり前と思ってしまう自分は年取ってる?
タバコに酒、そういや、高校ではダメなの当たり前だった…戸惑うのも無理はない。けっこう現実を見るような感じで考える作品かな。リライフの本当の目的とか、面白そうです。{/netabare}

2話…携帯の持ち込みは禁止
{netabare}いや待て、俺の時は携帯なんて無いし、ポケベルすら無いから…
ちょい大人と高校生の会話、良くできてます。そうだ、27のころに高校の問題解いたことあったが、まさに…何で大学まで行けたんだろうか?全くもって不思議。
海崎と千鶴の大人の会話、最後はみんなと別れるのでしょうけど、この二人の関係が気になっていています。{/netabare}

3話…27歳で体力落ちたとか言ってたらさ…
{netabare}俺はどうなるんだよ…と思った方、けっこういるのでは? はい、自分はその通りです!
体力測定をして、海崎がおのれの年齢を認識しするという回。肩が回らない、足がもつれる…あるよね~(泣)。1か月で高校生活に馴染んで、サンプルとしては上々のようです。
人間関係を構築してくなかで、合わないような人同士がどうなっていくのかというのも物語で面白い部分です。狩生と千鶴がどうなっていくのか見ものです。千鶴が狩生のこと分からなくなっているのは№001の伏線なのでしょうね。にしても、面白い。大笑いというより、くすくす笑えるところがいいです。大人のアニメという感じですね。{/netabare}

4話…その階段落ちで入れ替わったら…
{netabare}「転校生」だよね。あ、小林聡美と尾美としのりの方です、世代的に…。
千鶴の不可思議な笑顔が不幸を招くとは…。若い者の悩みは若い者同士で解決しないとね。自分は説教したら敗けだと思っている、普段から。アドバイスはいくらでもするけどね。狩生の闇なんて、闇じゃないんだけど、その世代だと、深いんですよね。スゴく理解できましたし、そこがうまく表現できていたと思います。{/netabare}

5話…友達になろう
{netabare}階段落ちした二人は保健室へ。海崎は狩生に説教。説教しながらも海崎はそれまでの現実に葛藤。
狩生は千鶴と正面から向き合うことに。狩生と千鶴は互いに思っていることを語り合う。そこで初めて千鶴の本当を知る。他人に全く興味がないこと、変えようとしてること、不器用なこと。そして友情の握手。
海崎は夜明と酒飲みながら語り合う(姿は高校生だった気が…)で終了。

狩生への説教は完全に大人目線だよね。悩んでいる若者見ると言いたくなるのはよく分かる気がする。でも、説教ではないです。アドバイスだと思う。けど、高校生にはオッサンの説教にしか聞こえないかもね。狩生の反発も高校生らしくて良いです。
千鶴の他人に全く興味がないまま生きてきたという設定も良いです。被験者1番が彼女なのが分かるように誘導してます。千鶴が海崎に意識し始めた描写があったので、千鶴の変化が今後の見処ですね。

3頭身転換の流れ、場面の作り方、心理描写、本当に上手です。{/netabare}

6話…メガネ女子がメガネを外すとき
{netabare}可愛いのがアニメである。これは譲れない(何が?)
大神と杏がのんびり休みを過ごしている海崎の家に押し掛けて勉強会。海崎はビール缶とタバコを隠して…。大神は良いヤツ過ぎだけど、鈍い。海崎と杏の大人のツッコミにも動じない。狩生の思いは届くのだろうか…。
杏は夜明の後輩でした。Jkでないのは分かりきっていたけどね。海崎に気があるのは間違いないんだろう。海崎と千鶴が良い感じになったらどうなるのか見ものです。
千鶴も海崎も互いに意識してきているのですが、互いに被験者と気づいたらどうなるかも見ものです。{/netabare}

7話…研究所も組織にかわりはない
{netabare}今回は海崎が被験者になる前の夜明の話です。被験者001がうまくいかなくて、夜明の立場がないような状態。上司からは詰められ、悩む夜明。そんな時に被験者候補の海崎をチェックして…。杏と夜明の関係とか、見ごたえある回でした。
そうか、研究所とはいえ、1組織にしかすぎませんね。嫌な上司もいるだろうし、うまくいかず悩むことだって有ります。海崎だけでなく、夜明の方まで描くとは思わなかった。心情が読み取れて面白いです。夜明も杏も意外とリライフを楽しんでいるのかもしれません。
しかし…フリーザ様と貝木が上司にいた気がする…。これが上司って、想像しただけで嫌だ…{/netabare}

8話…狩生が不憫すぎる…
{netabare}海崎はまたもや赤点いっぱいの追試モード…。本当に院まで進んだ人なんだろうか…。
そしてタマがやっぱり赤点追試。まさかのスポーツ推薦入学とは思ってなかった。無理してはダメです。その結果が狩生のケガに…。狩生を追い詰めるアニメだな…。タマはタマで、トラウマ抱えてた。言われたくない一言を親友に言われたら辛いよね。幼馴染みがなんとかせねば。でも3人の関係も微妙そう。青春ものだなと思う。
肝心の海崎と千鶴は、なんか良さげ。最近、千鶴の存在が薄いのでちょっと寂しい…。メインヒロインだよね?
良い感じで話が進んでいるけど、どう見ても夏で終るよね。早くも二期を期待してます。
にしても、モブ女子高生に水瀬さんの名前があったのは驚いた。先週の上司といい、隠れキャラみたいな感じで面白いです。
{/netabare}

9話…千鶴養分たっぷり
{netabare}狩生のケガはけっこうな重症。優しくする大神、話すことができないタマ、自分が嫌になる狩生…狩生の闇は深くなるばかり。
さすがの千鶴も雰囲気に気付いて相談しに海崎の家に(大胆なのか、鈍いのか)。二人の会話聞く杏と夜明。海崎はすこし前のできごとを思い出して…。

千鶴たっぷり。この子が先を考えているようです。{/netabare}

10話…先生…バス…バレーがしたいです…
{netabare}千鶴に告白した「試合がしたい…」はまさにあの有名なシーンのオマージュじゃなかったかと。

たまちゃんの思いにアドバイスする千鶴と海崎。そのなかで千鶴にの過去が明らかに。小学生の時は普通だったのに…。コミュ障害だったとは思えないくらい、きちんと話して、自然な笑顔で対応できてるじゃないか。何気に背中を押す海崎も男前。

話し聞いていた狩生、本当にめんどくさい。試合がしたいけど、行けない。最後に押したのはやはり千鶴。結局試合は負けたけど、たまちゃんと狩生が得たものは大きかったようで。二人の笑顔がその証拠。にしても、めんどくさい女子を演じたら戸松さんに敵う人いないんじゃないかな? 本当にめんどくさいんだもん。

やはり千鶴が被験者001なんでしょう。発言が大人だし、夜明の嬉しそうな感じで分かります。今回は青春ものの極みみたいな話で面白かったです。千鶴も大活躍だったし。{/netabare}

11話…大人になれ…ってどういう事よ?
{netabare}いまだに良くわかりません。我慢? それは違うと思う。ただただ人生積み重ねていくだけの事ではないかな。

重い回でした。海崎の人生を変えたであろう、会社の出来事が回想されました。面倒を見てくれた教育係の先輩は出来すぎな人で、周りからやっかみにあい、陰湿な嫌がらせを受けます。我慢できない海崎の気持ちが爆発、その結果、嫌がらせは加速、そして自殺…発見したのは海崎。社長は会社で自殺したのは会社愛があったからだと言い、反抗した海崎は会社を退職…で、今に至ると。
海崎が墓参りに訪れと見知らぬ若者が。聞けば海崎の後輩だという。海崎は後輩から伝説の社員と崇められているというところで次回へ。

なぜ海崎がリライフに至ったのかという核心の話でしたが、2~3話くらい使ってもいいような内容だったと思います。が、これでは短い。先輩の自殺が本当はなんだったのかは実はよくわかりません。また、腐っている会社の中身も分からないし、社員もこんな連中だけではないだろうし…って、それやったら実写ドラマになってしまうか。

この話し、夜明も自らリライフしているんですよね。自分の置かれている立場が海崎の過去と重なるようになって、会社やめた海崎を実は尊敬している節が見受けられます。

にしても、このアニメ、本当におもしろいな。もう終わりになるのか…もっともっと見たいです。{/netabare}

12話…君がいた夏は遠い夢の中♪…JITTERIN'JINNでしょ?
{netabare}えぇっ!!Whiteberry?…て、時代的にそうだよね~
長期休みのありがたさは卒業して初めて分かります…でも海崎には補習という変わらない日常が待っているわけで。
制服でビールかい、しかも経費でだと?なんて贅沢な。う、羨ましくなんか…羨ましい…。
にぶちん大神がとうとう気持ちもに気づいた。これを見守ったり、冷やかしたりするアラサーの面々。大神は告白を決意して、そして次週、最終回へ。
って、来週最終回かい!!面白いのに、なんて半端な…。{/netabare}

最終話…告白って、いろんなパターンあったんだよなぁ…
{netabare}夏祭りは心も盛り上がるよね~そうだったな~懐かしいなぁ~
とうとう大神が狩生に告白、狩生は狩生で告白を決意していたとは。ピュアだわ…見てる方が恥ずかしいわい。うまくいったね、当たり前だけどさ。
でも本当の主役は海崎と千鶴でした。千鶴が被験者だったことが回想されました。分かっていたけど、最終回で持ってきたね。二人とも同じ感情を持ってしまって、気持ちあるのに、忘れてしまうことが怖くて、言い出せない。切なくて、切なくて、それでも辛くしないのがこのアニメのいいところ。二期に繋げる終わり方でした。それにしても千鶴は可愛かった。{/netabare}

おもいっきり青春ものというところと、大人目線で見た青春、これにやり直しという設定も加わり、さらには社会の重さまで重なるという、ちょっと間違えたらグタグタになりそうなところをうまくまとめて、本当に面白い作品でした。
海崎、千鶴、夜明、杏の大人組、狩生、たま、大神の現役組、キャラも良くて、展開もすいすい進むし、ちょっと考えるところもあれど、難しくはありません。そこが良いのだと思いました。

作画はまずまず、デフォルメのシーンも無駄なものではなく話に溶け込んでかえって良かったなと思います。OPのボタンは今期一番好きな曲でした。EDはすべて歌ってました。久々にカラオケにも行きましたし。

二期あることを信じたいです。卒業は多分、泣くな…。来年4月にイベントあるということは…二期の発表で逢ってほしいです。

投稿 : 2024/09/21
♥ : 60
ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

「Re」物は満腹と思って未視聴の方におすすめ

世界観:6
ストーリー:8
リアリティ:5
キャラクター:8
情感:7
合計:34

<あらすじ>
海崎新太は、新卒で入社した会社を三カ月で退社。その後の就活もうまく行かず、田舎に戻ることを迫られる。途方に暮れる海崎の前に、夜明了と名乗る謎の男が現われ、ニートを対象にした社会復帰プログラム「リライフ」への参加を持ちかける。内容は謎の秘薬で見た目だけ若返り、一年間高校生として高校に通うことだった。
(公式サイトより)

社会人が高校生活を送りなおすという現実味のない設定で、あにこれ評価点は確か中の上くらいというのは記憶していましたが、私も今の生活から逃避したい欲求があったのか今回、選択してみることにしました。

冒頭では、やはり設定の緩さが気になりました。{netabare}見た目を若返らせられる薬を開発できるのであれば、それを売るだけで営利企業として十分であり、何でニートを更生させるなんて回りくどいことするのかと。しかも、被験者の生活保障までしてあげて。もし、割を合わせるとしたら、就職できた暁には100万単位の成功報酬をもらう契約じゃないと現実味ないです。1日中被験者をストーキングするとか、どんだけの人件費かけるんだという話。
夜明さんにかかるコスト、時給1200円として1日12時間(くらい拘束してるでしょ)、1年365日で525万円。小野屋もいる。このコストに見合う利益の源泉は何なのか。

研究が裏世界的なもので、実は若返りや老化に大きな副作用やリスクがあるとか? でも夜明さんも薬普通に飲んでいるし、夜明けさんも会社に使いつぶされているだけという可能性はあるかな。この薬が一般的に使用できるようになれば、これくらいのコストは元取れそうだし。なら、主人公が定期的に検査を受けるシーンを入れておけばOKという感じか(ないけど)。もしくは、お金持ちのマッドサイエンティストの道楽か?

しかし、戸籍などの関係から、高校生として入学させるのは結構大変なんじゃないか。更に、高校生活を送った人たちから記憶が消えるという。1人の記憶から、特定の人物の記憶を消す技術自体も超高度なものだが、それを、高校生や教師全体に行うって、どうやって? まあ、このあたりまで考えて、設定は気にしてはいけないタイプの作品なんだろうなと見切りをつけました笑(中盤には元の見た目に戻る薬も出てきて、簡単に変化できるし、佐伯さんの墓参りのエピソードで海崎のマークを去年からやっていたことも判明しますしね)。{/netabare}

しかし、視聴を続けていくと、ガバガバな設定の割に、登場人物たちの高校生らしい日常風景をコミカルに描きつつ、心理描写は意外と丁寧で面白い。{netabare}まずは、千円の畳み方(ターバン英世)に爆笑。ネットで検索したらほんとにあるし。日代の愛想笑いのシーンも笑えました。感情に訴えてくるシーンも複数あります。

被験者001がクラスにいるのだろうなというのは早めから気づきましたが、それが誰なのかというのもミステリー的に楽しめました(最初、小野屋が怪しく思いましたがスタッフだったということで、残った候補が最終話でそうですよねという結果に)。

あと、EDは奥田民生のイージュー・ライダーで渋い選曲と思いましたが、2話目でT.M.レボリューションが流れた拍子に笑いがw。毎回どんな懐メロが流れるか楽しみになりました。90年代後半頃を中心に、当時流行ったけど今は忘れられているような絶妙な選曲です。主人公は独身にする必要があり、かつ視聴者のターゲットを学生にもおいていることを踏まえて27歳に設定されていますが、大人になってから学生時代を想って視聴することができるという面で真のターゲットは30、40代かなと思いました。{/netabare}

今の学生のリアルとはズレがあるのかもしれないし、むしろ人間関係が煩わしく、早く大人になりたいと思っている学生もいるんでしょうけど、戻りたくとも戻れない社会人から伝えたい内容が随所に詰まっています。

勉強も大切ですけど、出会いと別れが繰り返される中で集団生活を送り、人間関係を築くという面のほうが、学生生活には重要というだということ、貴重な時間だったということが痛感されます。当時の自分には、大人へのレールに乗っているだけで主体的な取り組みをしようという自覚はなかったので。

当初設定でのツッコミ所はプラメモ以上ですが、最後には作品を愛せて、続きが楽しみになった作品です。放映の頃、Reゼロや僕だけがいない街を視聴していた上、設定が単純かつ同じシーズンのorangeに失敗した影響(rewriteもやっていた)等あって、「Re」物は満腹と思って視聴しなかったのですが、もっと早く見ておけば良かったと思いました。未視聴者(特にアラサー(後半)~アラフォー世代と、まだやり直しがきく中・高生)におすすめします。

<2019.1.25追記>
キャラクターの配点が高かったこと、相対的な評価も考慮して調整しました。未視聴の方におすすめします。

(参考評価推移:3話3.7→4話3.8→5話3.9→10話4.1→13話4.2→調整4.1)
(2018.1視聴、2019.1調整)

投稿 : 2024/09/21
♥ : 56

66.0 5 記憶で高校生なアニメランキング5位
探偵はもう、死んでいる。(TVアニメ動画)

2021年夏アニメ
★★★★☆ 3.1 (389)
1134人が棚に入れました
「君、私の助手になってよ」巻き込まれ体質の少年・君塚君彦は、上空一万メートルを飛ぶ飛行機の中、探偵を名乗る天使のように美しい少女・シエスタの助手となった。二人は世界の敵と戦うため、三年にもわたって世界中を飛び回り、目も眩むような冒険劇を繰り広げ――やがて死に別れた。激動の日々から一年。高校三年生になった君塚は日常という名のぬるま湯にとっぷり浸かり、ごく普通の学生生活を送っていた。そんな君塚の元に一人の依頼人が現れる。「あんたが名探偵?」同級生の少女、夏凪渚との出会いをきっかけに、過去と現在を繋ぐ壮大な物語が再び始まろうとしていた――。

声優・キャラクター
長井新、宮下早紀、竹達彩奈、高尾奏音、白砂沙帆、松岡禎丞、子安武人

御宅忍者 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.8

物語はもう、死んでいる。

「探偵はもう、死んでいる。」タイトルに惹かれ、尚且つ推理ものということで期待して1,2話を視聴。だが唐突に始まり、唐突に化物が登場。終始脳裏には???マークしかなかった。1話の時点で中学生なのにもかかわらず、あの冷静っぷり。あまりにも設定とキャラが噛み合ってなさすぎる。何故学園モノにしようと思ったのか。

そして2話も驚きを隠せない急展開。お涙シーン(一切泣かないが)なのにもかかわらず、そこのBGMとの噛み合わなさが異常。BGMが本当に酷い。フリー素材と言われても疑わないレベル。このポンコツbgmを毎話使うという地獄。またセリフの掛け合いも気持ちの悪いものばかり。

呼吸確認、気道確保せずに心臓マッサージをするカットなど、制作陣も適当。

唯一の救いが作画という声が多いが、作画も特に秀でてる部分もあまりなく、至って普通の印象。

キャストの組み合わせもあっていない。多分、最近きてる新人声優をとりあえず添えとこうという感じ。これオーディションしたのか?声優さんが悪いのではなく、キャスティングがおかしい。3話に限ってはど素人のvtuberを使用。opもedもvtuberで最悪の最悪。

世界観を追求しない安直なカット、設定。

原作を批判する権利を持ち合わせてはいないが、中学生向けの作品だし、まぁこんなもんかという印象。

どう転ぶか良くも悪くも期待。

投稿 : 2024/09/21
♥ : 8
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

祝? 2期決定??? いや本当に気にはなっていました。

2期決まりましたね。この作品は結論あってこその作品だと思います。そう思い、まだWIKIも原作も見ていません。

 本作の初回レビューでもいいましたが、シエスタちゃんが復活か再生かわかりませんが、絶対に最後は生き返るはずです。伏線の種まきから言って、それ以外はないだろうと思います。それがあっての作品の価値があると思います。

 どこまでやるかわかりませんが、本作は結末までやって欲しいなあ、と思っていたのでうれしいです。

 決して1期が褒められたできではないですが、1話の作画で1クールやり切って、演出と脚本と構成を工夫してくれれば…全部か。でもポテンシャルは感じます。ずっと気になっている作品でした。祝…ですね。




追記しました。若干本作を擁護します。なぜこうなったのか。

追記 若干本作を擁護します。本作がつまらないという意見に異論はありません。ただ、それは脚本が面白くないのであって、設定は非常にチャレンジングで好感がもてました。

 本作1話で生物兵器的クリーチャー的な敵が出てきて、2話で探偵が死んで、探偵の心臓を持った女子が現れ気持ちを受け継いでるという話でした。あえて「絶対」といいますが、最後は探偵は「絶対」復活するはずです。作劇法というかストーリー論から言ってこれ以外の結末なら逆に見てみたいです。題名の付け方もそれを裏付けています。

 この設定は結構感心します。ただ、原作が良くないのか本作の脚本が良くないのかわかりませんが、伏線の張り方や一つ一つのエピソードが下手なために結果的につまらなくなっています。が、SF的な目でみると結構興味がもてる内容だったと思います。

 シエスタ可愛いで、本作を評価するのもいいですが、私は、異世界転生ものかハーレムラブコメに浸食されたラノベ、アニメ界でこの作品をやろうとした原作者、アニメ制作者の心意気を私は評価したいと思います。

 ただ、原作者の文書やストーリーが稚拙だと思えば編集者はなにをなってたんでしょうか。なろうじゃなくてラノベなんですよね?また、脚本家と監督はストーリーを練ったのでしょうか。そういうシステムのところ、つまりラノベ・アニメ業界の作品を作る仕組みの腐敗が本作のつまらなさにつながったのではないかと思います。作画にしても同じことが言えます。

 ですので「探偵は死んでいる」というコンセプトで作品を作ろうとした人々にはエールを送りたい。ただ、この作品のコンセプトを活かしきれなかったラノベ、アニメ業界には猛省を望みたいと思います。

 ちなみに推理小説で第1作目が「翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件」という作品とそのシリーズがありました。ネタバレはしませんが、ちょっと思い出しました。全然話は違って普通の推理小説ですが。



以下 視聴時の感想です。

11話で、へーとなって、結局全部見てしまいました。え、スペースの能力をつかって、はいシエスタ復活じゃないんですね。種で人作れるんだから、なんとかできそうですが、そうするとナツナギが死んじゃいますか。
 または主人公が左目をアイドルちゃんから引き継いだらシエスタが脳内に、みたいな。

 まあ、原作があるみたいなので、今後の話でしょうか。改めてみたらやっぱりスペースという宇宙人の描き方が適当なのと、ロボットとか兵器の扱いを何とかしろよというのと、あのアイドルちゃんがどういう意味なのかの結論がないことがつまらない原因でしたが、アリシア→ヘル→ナツナギ→シエスタのつなぎは良かったのでは? 微妙にリボンとかの伏線があったのも、なんとか気が付きましたし。

 面白くないかと言われると、実はちょっと面白いかもと思わなくもない気もします。シエスタ可愛いし。声もいいし。
 作画もひどいときはひどいですが、女の子は可愛いのでまあいいです。ただ、主人公の男の年齢をもうちょっとわかりやすく表現してあると、物語を考察する気になれるのですが。

 皆さん指摘していますが1話の作画クオリティーで、脚本と構成をやり直すのと、もうちょっと丁寧に作ってくれれば、なろうじゃないラノベ原作は結構新鮮でした。意気込みは買います。まあ、これに懲りずにがんばってください。


以下 11話までです。

 ちょっと気になって11話見たら、はーん、という展開なのでちょっと遡って見てみました。

 なるほど。 {netabare}アリシアとヘルが2重人格でイコール。でアリシア=ヘルはシエスタの心臓を持っている。結果11話でシエスタの人格が復活。ナツナギの心臓はシエスタの心臓を移植されていると言っていたので、結果、このアリシア、ヘル、ナツナギが同一でそしてシエスタの人格を持っているということですね。シエスタの心臓がヘルに奪われた場面は、主人公が記憶がなかったから忘れてたと。{/netabare} 私の勘違い?なのでしょうか。でも多分そうですよね。あとは左目のあの子がどうなるかですか。ちょっと面白いかも。内容は。

 小説で読んだら面白いという意見は、分かる気がします。ストーリーを見れば探偵が死んでいるという伏線回収になっていますし。

 ただ、決定的にアニメづくりが下手すぎます。別に絵はいいんですけど、脚本・構成、そしてスペース側のなんと安っぽいこと。キャラもデザインも設定の説明不足もひどいです。だから、つまらないのでしょう。

 それにしてもシエスタは本当に地球人ですか?実はスペース側?という能力でした。

追記 シエスタっていう言葉は「午睡」という意味がありますね。フランス語だと思います(追記 スペイン語でした)。だからシエスタは最後に目覚めるということでしょうか。


以下 5話までのレビュー
{netabare}
 シエスタ、色っぽくねー、可愛くねー、作画ひでー、顔だけはいいですけど。水着回なので見てみましたが、せめてここは何とかしろよ、という感じです。これだけの美少女がビキニ姿でまったく感動が無いとか、かえってすごいです。

 あと、話について行く自信がなくなりました。厨二ですらない、小児?やっぱり休みます。

 
 4話まで視聴。アイドルの女の子の目について、本人は「サファイヤ色」の義眼と言って、主人公は「サファイヤ」と言っているのが気になります。色がシエスタの瞳と同じ色なのは関係ある?ひょっとして、シエスタにまつわる身体のパーツを持つ女の子が集まって、ハーレムになる感じでしょうか。さらに、あの耳の化け物の組織の技術でシエスタがよみがえるとか?

 それにしても、謎解きにも人の言動にも無理がありすぎて辛い。片目で不自由なく動いてたからって透けて見えてるって…。うーん。実際に殺されかけたことをアイドルちゃんはどう思ってるんでしょう?それを救った主人公がいるのに…。
 
 一旦休んで、皆さんのネタバレレビューを読んで、面白そうなら見ましょうかね。


 3話まで視聴。2話目以降は流し見です。
 探偵はなぜ主人公を助手に選んだのかというのが最終話までに語られるか。2話で出てきたヒロインらしき女の子に探偵は自分を託して何がしたいのか。この2つの謎が最終的にカタルシスとともに謎解きされるなら、名作になる可能性はあるでしょう。
 そしてストーリーが「探偵は、もう死んでいる」という題名の伏線を回収する感じで、様々な事件を解決するたびに、探偵の痕跡があってそれが主人公へのメッセ―ジになっていて、最後、主人公に伝えたい内容がわかる、みたいな構成になっているなら、もっといいでしょう。
 さらに、倒置法で最後になぜ飛行機に主人公が乗ることになったのかにつながれば、かなりいいでしょう。

 最悪なのは、変な事件の解決するエピソードが延々と続くことです。で、あのヒロインの女の子が、探偵の残留思念というかゴーストみたいなもののメッセージを受け取る、的な話なら目も当てられないでしょう。

 今のところはなんだこれは?ですが、探偵の死をめぐる謎を追ってゆく奥の深い話の可能性がありますので、構成やストーリーの分かりづらさは今のところ批評すべきではないでしょう。

 羊たちの沈黙のハンニバルレクターのマネが出てました。まあ、日本のクリエーターは彼の事が大好きらしくて、様々なドラマ、映画、アニメ、マンガでマネされていますが、恥を知りましょう。うんざりです。

 アニメに関しては、あの航空機や空港、車両等々のデザイン、というより全般的にデザインが悪すぎます。唯一、探偵のデザインはものすごく可愛いのになあ、という感じです。登場人物のプロフィールや状況、設定の説明の下手さもあって、ものすごく見づらいです。

 中学生が一人でアパートに住んでいる問題とか、セリフや演出が寒すぎてちょっと見てられない問題があって、正直そのあたりがノイズになって、視聴するのが辛いです。そのハードルが一番高いです。

 もし、構成や時系列を使った凝った謎を作るなら、それなりのレベルのアニメを作らないと、単なるわかりづらいだけの出来の悪いアニメになってしまいます。本作はどうなんでしょう。数話流し見してから、ポテンシャルを感じたら最初から見直してみます。{/netabare}

投稿 : 2024/09/21
♥ : 17

@jin_i183 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.9

タイトルからは感動アニメの匂いがするが…

今現在特に涙頂戴もなし。評価できる点はシエスタが全アニメの中でも1位2位を争う美貌な点
正直作画は目立った特徴もなく微妙
何か味が欲しい所だ。
【5話終了時(8/2)評価】
本当に微妙。特徴なし。ENGIって微妙な作品しか作らんよな
【6話終了時(8/9)評価】
手抜きが始まった。戦闘中断して敵と話すか?普通
間が酷すぎるし戦闘シーンも不自然すぎる。挿入曲のチョイスも意味不明 アニメ化は失敗だな 話切りはしないけど期待はもうしない
【7話終了時(8/16)評価】
少しマシになった?今回の話は内容が濃くて少し面白かった。
相変わらず酷いBGMと歯切れの悪い話展開だけどシエスタが可愛かったから許す
【8話終了時(8/23)評価】
ははっwww やっぱ無理だわ。何も感動出来ねぇ感情移入も出来ねぇ 会話のリズムとセリフがお芝居みたい

投稿 : 2024/09/21
♥ : 2

69.5 6 記憶で高校生なアニメランキング6位
ましろのおと(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (193)
610人が棚に入れました
「俺の、音――」伝説的な腕を持つ、津軽三味線の奏者・澤村松吾郎。彼を祖父に持つ少年・澤村 雪は、祖父の死をきっかけに、三味線を弾けなくなった……。"好きな音"を失い、アテもなく上京する雪。キャバクラで働く女性「立樹ユナ」に助けられた雪は、ライブの前座として津軽三味線の演奏を披露することになる。雪は、様々な出会いを、想いを三味線の音色にのせて弾く。自分の音を、自分の想いを探しつづけて――

声優・キャラクター
島﨑信長、細谷佳正、本田貴子、麻生智久、宮本侑芽、近藤玲奈、岡本信彦、鈴木達央、梅原裕一郎、畠中祐、三上枝織、梶裕貴、落合福嗣、谷口夢奈、高柳知葉、木村匡也、逢田梨香子、柿原徹也
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

津軽三味線の演奏に引き込まれます♫

[2021.6.19]
最終話を見終わりました。
中盤以降は三味線甲子園の話になって、この音とまれみたいだなーって思いながら見てて、悪くはないんだけど、このまま優勝とかして終わりはつまらないなぁって思ったり。。
で、最終話なんですが・・すごーく良かったです!ビター展開好きの私も満足でした♪
この物語は雪くんが自分の音を探し求める旅なんだなーって。
雪くんの音は澄んだ綺麗な静かな音。色に例えると白。だから真っ白な音=ましろのおと。
大会の結果は・・{netabare}そして勝ちたいと悔しがり、嗚咽を漏らしながら泣く雪くん。
梅子にとっては残念な結果だったかもだけど、この甲子園は雪くんにとってとても大きなものを得られたんだと思います。{/netabare}
すごく続きが気になるところで終わりましたけど、2期あるのかな?
原作読んじゃおうかな・・27巻もあるけどw
※12話の感想も下にちょっとだけ書きました。

[2021.4.18初投稿]
原作は月刊マガジン連載みたいですが未読です。
作者の羅川真里茂さんは青森出身のようです。

春アニメの視聴作品を物色してた時は、サムネの男の子が暗そうだし、津軽三味線のお話?って感じであまり期待しないで見た作品でした。

澤村雪(さらむらせつ)は弘前の高校生。
津軽三味線の名人で憧れだった祖父の澤村松吾郎(さわむらまつごろう)が亡くなり、自分の音を探すために東京へ行くけど・・

絵は綺麗でいいですね!
舞台は弘前と東京。弘前といえば、ふらいんぐういっちを思い出します。
結構津軽弁でしゃべってるけど大丈夫かな、と思っちゃいましたけどそれも含めてなかなかいい雰囲気です。
キャラデザもクセがなくて好きですね。

なんといっても良かったのは津軽三味線の演奏シーン!!
演奏を聴いていると、なんだかどんどん引き込まれていく感じです。

お話自体もとても面白いし、これは今期の中でもおすすめしたい作品です☆
ちょっと原作読みたくなっちゃいました。

[2021.4.20追記]
原作コミックを2巻まで軽く読んでみました。
演奏ももちろんですが演出がいい意味で渋い感じに変わっててアニメのほうが好きかも。
2話の時点でコミック2巻ちょっとと、カットされたシーンも多く進行ペースもわりと早いんですが、うまく編集し直して良い作品になっていると感じました。

以下、各話の感想です♫

【第一話-寂寞】
{netabare} 雪のシーンが綺麗。
ユナさん親切すぎ。というか強すぎ。
自分をきちんと持ってる子みたいだしやりたいことが見つかればいいよね。
雪くんの津軽三味線すごく良かった♫
配信で見てた子はあとで登場するのかな。
ラストはちょっとギャグっぽくて浮いてたようなwって誰?{/netabare}

【第二話-林檎の花】
{netabare} 個性的な女性は梅子さんといって雪くんの母親なんですね。
梅子に促されて、雪くん演奏と梅子さん唄の競演が始まる。
うわ!唄も本格的っぽくてすごい!
そのおかげで下宿先が見つかって良かった♪
東京の高校に転入した雪くん。
同じクラスの前田朱利(まえだしゅり)が1人で津軽三味線愛好会をやってて。
雪くんの兄の若菜が東京に。
兄弟の距離感がなんかいいな。優しいお兄さんだね。
兄弟で競演した演奏がこれまた素晴らしいです♫
ED見てわかったんですが、この作品オリジナル曲みたいで題名が「アレ」だそうですw{/netabare}

【第三話-驟雨】
{netabare} 朱利さんと一緒にいる子って1話で配信見てた子?
朱利さんが聴いてた祖母が口ずさむ曲を聞いた雪くんは松吾郎の曲に似てると感じて。
祖母の前で演奏して欲しいと頼むけど、雪くんに弾けないといわれて。
青森から来た津軽三味線の神木清流(かみきせいりゅう)のライブ演奏を聞く雪くん。
雪くんに興味を持った神木から、何か弾くように言われて弾くけど、どういう音を聞かせればいいか分からなくて。
雪くんって芸術家肌というか、繊細なんだね。難しいな。
でも、とても大切なことでやらなきゃ後悔するんだったらやります、と朱利さんに言われて松五郎の曲を演奏したいと思う雪くん。{/netabare}

【第四話-春の暁】
{netabare} 青森から送ってもらった松吾郎の「春暁」のカセットテープ。
朱利さんたちと一緒にいた矢口海人(やぐちかいと)にテープの再生をお願いして、矢口宅で聴く雪くん。
でも松五郎のように弾きたいと練習するけどなかなかうまくいかなくて。
永森雷(ながもりらい)に言われた「シンプルであることの良さ」をヒントに、松五郎の音をひとつひとつそぎ落としてシンプルな自分の春暁にしようと思う。
雪くんは朱利さんの祖母の前で春暁の演奏をはじめる。
昔疎開先で聞いた若い頃の松五郎のことを思い出すおばあちゃん。
必死に生きるために津軽三味線を弾いていた松五郎。
松五郎の優くて生きる勇気をくれた音色と同じようなものを雪くんに感じて。
松五郎の魂はしっかりと雪くんに受け継がれているんだと。
なんだか見ててちょっとうるっとしちゃいました。
津軽三味線愛好会を朱利さん、雪くん、山里結(やまざとゆい)さん、矢口くんの4人で活動することになりそう。
それを聞いた雪くんの母親の梅子が津軽三味線甲子園を企画するみたいだけど、青森の雪くんをライバルと思ってる女の子とかも絡んできそうで今後の展開が楽しみです♫{/netabare}

【第五話-合奏】
{netabare} 初心者ばかりの津軽三味線同好会。
雪くんの演奏に感動して少しでもそれに近づきたいと話す朱利さんの言葉。
それは雪くんが松五郎に抱く気持ちと同じような気がして。
顧問が連れてきた神木清流と雪くんの合奏・・・今回もすごく良かったです♫ {/netabare}

【第六話-原郷】
{netabare} OP変わりました・・けど前の曲のほうが三味線入ってたし合ってたような。。
青森に合宿に来た雪くんたち。
聴いてくれる人の反応がなによりの教え、人に聴かせなければ自分の音は見つからない。
松五郎が語った話を聞いて個人戦に出る気になり雪くん。
朱利さんや矢口くんの話も盛り込みながら、全員最後まで合わせて弾けるようになるお話の流れは良かったです♪
ちなみに青森市のは「ねぶた」、弘前市のは「ねぷた」です。{/netabare}

【第七話-風】
{netabare} いよいよ始まった津軽三味線甲子園!
青森の人って独特のイントネーションあるから、なんとなくわかるんだよね。
雪くんって自分の気持ちを表に出さないから矢口くんのイライラもわかる。
でも優勝したいって気持ちは同じなんだって分かってよかった。
けど自分中心なとこは相変わらずなのね(-.-)
団体戦やって個人戦も、となるとそれだけで1クール終わっちゃうかも。{/netabare}

【第八話-音叉】
{netabare} 青森のマイマイのチームの演奏、さすがって感じ。
すごーく雪くんを意識しちゃってるとこも面白いです。
いいキャラしてますね♪
梅園学園が優勝しておしまいって展開はちょっとつまらないので、もうひとひねりの展開を期待します。{/netabare}

【第九話-風花】
{netabare} 梅園学園の演奏、とても良かった!
雪くんがスタンドプレーすることなく、みんなの音を大切にしながら演奏してたのも。
そして結果発表。
うん。物語の展開としては良い結果だと思いました。特別賞もらったし。
メンバーみんながすごく悔しい思いをしてる姿にじんわりきました。
それだけ頑張ってやりきったという思いがあるということだから。{/netabare}

【第十話-山嵐】
{netabare} 青森の赤飯って甘いんですね♪ちょっと食べてみたいかも。
雪くんの父親ってあの人だったなんてちょっとびっくり。
だからマイマイはあんなにライバル視してたのかな。{/netabare}

【第十二話-ましろのおと】
OP、前のに戻りましたね♫やっぱりこっちのほうがいいな。
雪くんの演奏をスマホで見てるユナさんが一瞬写って元気そうで良かった。
感想は上のほうにだいたい書いちゃったので。。
今回みたいな苦味のあるビターな展開は物語に深みが出ていいと思います。
雪くんの今後の成長がとても楽しみに感じたところで1期は幕を閉じましたね。
できれば2期やってほしいけど、津軽三味線という地味な題材だけに厳しいかもですねー。

投稿 : 2024/09/21
♥ : 27
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

北東北最後のとりで

注) 読み返してみたら内容にあまり触れてないのに気づく。どうかご容赦をば…
原作未読


「僕らが冬の曲書くとなぜか“乗り越えて”“克服するぞ”って色が強くなってしまう(笑)」

『My Desire~冬を越えて』リリース直後にラジオでそう答えてたSLTの佐藤竹善氏は青森の出身。
お隣岩手県民の自分も妙に納得したのを覚えてます。思い浮かぶは厳しい冬が似合う土地柄。雪中行軍といえば八甲田ですし、やはり上野発の夜行列車をおりたら雪の中だったり北へ帰る人の群れはみんな無口でいてほしかったりする私です。

そして三味線。幼少期に近所を回っていた石焼き芋やさんは松村和子「帰って来いよ」がBGMでした。私の冬の記憶。
似たような構造で同じ三本線でも津軽の三味線と沖縄・奄美の三線では見える海の景色が全く違うんですよね。見た目や材質が違うとかさほど問題ではありません。背景となる風土が違うのです。
たぶん三線での『津軽じょんがら節』、三味線での『安里屋ユンタ』に違和感を感じることでしょう。その流れで三味線は津軽の人、三線は島人に演ってもらいたかったりする気持ちわかります?
その地方のエトスが詰まっている楽器がアニメ作品の中でどう扱われているかは見所だったりします。

結論↓

 津軽海峡の波しぶきが見えるアニメ

私にとってはこれだけで充分かしら。原作者の方は八戸出身らしいですね。なんか納得しました。
正直演者の津軽弁は微妙に違和感あったけど、イギリス英語/アメリカ英語ほどではないというかケンタッキーとテネシーの違いくらいの範疇には収まってるので気にせず。皆さんお疲れさまでした。

音と合わせて登場人物。特に青森に所縁のあるキャラたちに共通する

 強情っぱり加減

がいちいち頷ける感覚。そのまま“ごうじょっぱり”と読むわけでしてその字面でお察しください。揃いも揃ってこんなん不器用なのばっかりしかいないのも好印象でした。


音を取り扱うアニメはぱっと思い浮かぶ限り良作ばかりです。アプローチも種類豊富。
作るほうも大変でしょうが本作なりの創意工夫をあえて指摘するなら“風土”です。だいたいここまで述べてきた通り。
和太鼓・和琴など冠に日本がついてるのはいくつかあれど“津軽”みたいに一地方を指してる楽器はそうそうないでしょう。そりゃ濃ゆいわけです。特定エリアに絞られるわけですから。濃ゆい題材を濃ゆいまま表舞台に出した感じ。
OPにもEDにも三味線の音が組み込まれてますし、EDの加藤ミリヤさんなんて歌唱中にそこはかとなく濁音いれてませんでした?

とことんエスニックを楽しんだ良作でした。


{netabare}実は三味線より第2話梅子が唄う『津軽小原節』に最もびっくらこいた記憶がある。{/netabare}



※余談

■青森県民よスマン!

ちょい偏見はいるけど青森新幹線開通はたかだか10年ちょっと前ですよ。
都会からの往来がないので手つかずの東北が残ってるイメージ。いやバイアス?もとい偏見!?

例えばTHEヨーロッパ的な景色がフランスやドイツの旧西側よりもチェコやハンガリーのほうに色濃く残っているように津軽地方には北東北の濃ゆいものが残ってる気がするのでした。
今は夜行列車に乗らずとも新幹線一本で行けちゃいますのでぜひぜひお越しくださいな。


■日本のラテン語

以前、秋田弁がフランス語に似てる~って検証してる番組を見たことがある。
それを受けての以下体験談だが、、、

ヨーロッパをぶらり一人旅してた時、イタリアはヴェニスの水上ゴンドラで青森出身の子と同席したことがある。
目的地一緒で話が弾み、そのうち調子に乗ってずうずう弁でのやりとりに発展し盛り上がってたら途中乗車してきた日本人に

 「Could you take my picture?」

と英語で話しかけられた。

 「Sure」

と快諾し、「はいチーズ」でパチリ。今思いだしてもだいぶシュールですね。



視聴時期:2021年4月~2021年6月 リアタイ

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2021.06.20 初稿
2022.05.20 修正

投稿 : 2024/09/21
♥ : 40

Kuzuryujin さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

Japanese Blues

原作単行本愛読中。2010年5月より少年マガジンで連載され、2021年4月現在、既刊27巻で累計発行部数450万部の人気作品。

レビュータイトルは原作で、ある外国人が主人公の演奏に対して呟いた言葉。

本作の日本語タイトルもいいが、英語タイトル "Those Snow White Notes" も深い味わいがあって好き。

作者の羅川真里茂(らがわまりも)氏は、青森県八戸市出身の女性。本作の連載は今年6月で12年目に突入。本作前にも少女漫画『しゃにむにGO』を11年も続けたそうで、長期連載が得意な方のようだ。青森県人の特性とされる芯の強さの現れか?

作者ご本人も、腕前は知らないが三味線を弾かれるよう。2012年に6巻が発売される頃に購入した3棹目は、清水の舞台から飛び降りるほどの高価で"マリリン3号"と名付けたそう。女性らしい、かわいいネーミングセンスが微笑ましい。

津軽三味線の世界と言えば、三味線ではなく、寺内タケシとブルージーンズの、じょんがら節のギターバンド編曲演奏のテレビ放映が、個人的な初めての邂逅。その時、荒々しくもソウルフルな世界に魅了された。そのことは何十年経っても忘れられない。

1話のライブハウスで鳥肌が立った。2話のアパートでは自然と涙が溢れた。4話の介護施設では現実から離れトリップしたようだった。

この作品の音源は、胸にひしひしと迫り、染み渡る。やっぱり自分も日本人なんだと...切なくも熱くなる。津軽三味線の素晴らしさに触れられて幸せだ。

本作のアニメの色調は、白が強く、霞がかかったようだが、そこから東北地方の冬の厳しさと、芸道の冷厳かつ高貴なる世界が伝わる。津軽三味線の音色とのハーモニーが素晴らしい。演奏シーンの作画も、特に手元アップに説得力がある。

アニメは1クール全12話。このペースなら少なくとも単行本8巻最後まで描かれそう。

青春だ。芸能の道を極める覚悟が定まるまで、誰のために? 何のために? 今は迷いながらも前に進むだけでいいんだ。

私は中学生の頃からずっと、欧米のロックやブルース、そして成人してからはジャズやクラシック音楽を含んだ西洋音楽が一番と思って来た。

JポップやJロックは別として、邦楽は演歌が大嫌いで、歌謡曲やフォークもあまり興味がなく、ましてや日本の和楽器による古典芸能、民謡など全く縁がないものだと思っていた。

ブルージーンズとの出逢いがきっかけで邦楽を見直し、今では幅広く雅楽や琵琶、琴、和太鼓などの演奏も好きになった。本作で民謡の素晴らしさにも触れられた。が、遅すぎる。貴重な青春時代にもっと邦楽の素晴らしさを知るべきだった。過去の自分に、思い切り蹴りを入れたい気分だ。

『ちはやふる』でかるたファンを外国で多く生んだように、このアニメで、三味線を、日本を、深く愛してくれる外国人が増えてくれたら嬉しい。

投稿 : 2024/09/21
♥ : 8

68.8 7 記憶で高校生なアニメランキング7位
Rewrite 2nd Season(TVアニメ動画)

2017年冬アニメ
★★★★☆ 3.4 (347)
1759人が棚に入れました
「Kanon」「AIR」「CLANNAD」といったPCゲームで知られるKey/ビジュアルアーツが2011年に発売したPCゲームを原作とするアニメ。身の回りで不可解な出来事が起こり始めた主人公・天王寺瑚太朗が、オカルト研究会や知り合いを巻き込んで謎の調査へ乗り出す様子を描いている。7月から9月にかけて1stシーズンが放送された。監督・シリーズ構成が原作ゲームのOPアニメを手がけた天衝さん。構成・脚本協力は原作ゲームのシナリオライター・田中ロミオさんと「CLANNAD」のシナリオを担当した魁さん(ビジュアルアーツ)の2人で、キャラクターデザインは「グリザイアの果実」でメインアニメーターを務めた野中正幸さん、アニメーション制作はエイトビットが担当している。

声優・キャラクター
森田成一、斎藤千和、篠宮沙弥、喜多村英梨、すずきけいこ、朝樹りさ、花澤香菜

郷音 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

……やり直すんだ。そして、次はうまくやる。

PC用恋愛アドベンチャーゲームのアニメ2期。

1期は前半日常で後半飛び飛びだったため、不評だった。

その悪評を覆すかと思ったが、今回もかなりテンポが早かった・・・

原作組曰く、カットしてるシーンに大事な場面が数多くあり、

それがあればラストも感動するらしいが、アニメ組の俺にはさっぱりでした・・・

元々サイキックラバーがこれの曲を歌っていて、それを聞くのを期待していたが、結局一回しか流れず・・・

まともに話として面白かったのはヤスミン初登場回くらいでした・・・

この回はアニメ組の俺でも結構グッときました

もう少し出来がよければじゃあゲームもやってみようってなったけどこれだとなぁ・・・

ただゲームはほんとに感動作らしいのでみなさん是非やってみてください。

投稿 : 2024/09/21
♥ : 2
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

篝火が導くたった一筋の道を歩む男の物語…世界観が壮大なだけにもったないと感じるアニメ

【二期開始前に】
この正月、一期の集中放送があり、改めてこの作品を視聴しました。思ったことは、この作品は一気見した方が圧倒的に面白いということでした。特に後半は展開が早くて、一週待たされるごとに先週の記憶は薄れ、ついていけなくなることがあったように思います。
一気見だとストレスなく視聴でき、ストーリーや相関関係が分かりやすくなっています。ただ、一気見だと謎もさらに多くなったように感じます。瑚太郎の能力、瑚太郎と小鳥の本当の繋がり、胡太郎に残る篝の記憶、瑚太郎の過去を知っていそうなガーディアンの連中、サクヤとは何者なのか、篝の存在理由、月とおぼしき場所の篝等々キリがありません。これらを解決することなく終わったのが一期で、二期に全部持ち越しです。最初から二期ありきの作りだったのでしょう。
一期で評価を落として、二期をスルーした人が多かったというリトバスと同じ流れになっている気がします。リトバスは二期の方が断然面白いのですが、一期見て二期を積極的に見たいと思う人はkeyが好きだという人に限られてしまったように思います。Rewriteもたぶん二期の方が圧倒的に面白いと思いますが、一期でついてこれなくなった視聴者を呼び戻すことができるのでしょうか?

ただ心配なことが…これをまた1クールでまとめるというのでしょうか。かなり複雑で、世界観が大きいから心配です。好きな内容なだけになおさらです。

1話…ヒーコーの威力を再認識
{netabare}いきなり小鳥が篝を撃とうとする場面から始まります。それを阻止しようとする瑚太郎。静流が篝を撃ち場面が転換します。今度は静流と瑚太郎が別れる場面。二人は恋人っぽい。場面がまた変わり今度はちはやと恋人っぽい。その後も瑚太郎が経験した世界が語られる。その途中では別の世界にいる篝に殺されまくる瑚太郎。
瑚太郎は様々な世界線を生きては篝のそばに来ることを繰り返していたのだ。篝に近づこうとする瑚太郎。拒む(というより興味がなさそう)篝。多くの世界を見てきた胡太郎は核心に近づく。そしてコーヒー飲まないか?と誘う瑚太郎。興味を示した篝はコーヒーを飲む。それも三杯も。そして壁は取り払われ、篝と接触に成功。篝の紡いでいた場所へ入るのだった。

原作を理解していないとかなり難しい展開だと思います。一期で謎だった瑚太郎の記憶の一部が分かりました。つまり一期はいろんな世界線の一部だったということだったんですね。二期初回で見たルートはゲームで確認してね、という感じです。
どうなんんだろう、これに至るまで一期は必要だったのか?と思います。正直、この1話の方が一期全話以上に面白いです。とはいえ、一期がなければ登場人物や全体の構成が分からないので必要性はあったのでしょうけど…
moonからterra、物語の本筋がようやく始まりました。{/netabare}

2話…瑚太郎の決断
{netabare}瑚太郎の一人語りが始まる。篝の存在、篝の行っていること、この世界とは、自らの存在が自問しながら、確認しながら明らかにされていく。途中で魔物化して篝に刺されるが、以前とは違い、篝も瑚太郎の存在が近いものになっている。瑚太郎が篝を守るべき存在と認めたとき、魔物が襲う。聞いたことのある声、加島桜だった。加島は人間そのものが忌むべき存在と考え、この世界の篝も消そうとしていたのだ。胡太郎は戦いながら気づく。自分も本来は篝を消すために生まれてきた存在だったと。しかし、今は守り、篝を消そうとする存在と戦うこと決断した。
瑚太郎一人では戦えない。瑚太郎は思う、みんなが必要だと。部屋のドアが開く。そこには小鳥が立っていた。促されるように外へ出た胡太郎のもとに吉野たち、そしてオカ研メンバーがいた。ここから真のルートがスタートする。

原作知っていないと本当に理解しがたい物語です。特に加島桜と瑚太郎は一期で全く絡んでいないのでアニメだけだと?になっただろうと思います。一見さんお断りでよく通したと思って…。圧倒的に二期の方が面白いんだけど、深すぎて原作知っていても難しい内容ですし。感覚で楽しむのが一番ではないかと思います。
小鳥たちが現れた時、不覚にも泣きそうになりました。Keyのズルい作り方は相変わらずです。物語の後半に一人語りや重い話を展開させて、大事な人や仲間をポンと登場させるやり方、実に泣かせ上手。しかも、ずっと見ている人に効果絶大な手法です。kanon、CLANNAD、リトバス、Cherltte等々、同じ手法なのに泣ける。これぞKeyというしかありません。{/netabare}

3話…そして舞台は次のステージへ
{netabare}オカ研メンバーが揃い、篝の研究について話し合う。しかし、どれも結果は救済や破滅に向かい、なかなか道筋が見えない。瑚太郎がこれまでのルートを再確認していると、ふと空白の時間に気づく。それは瑚太郎が篝にやられそうになり小鳥に救ってもらった時間、10年という期間だった。
やがて篝のボードから弱弱しい線が消える。瑚太郎が何気にメッセージを書き記すと、そこから一本の道筋が現れる。これまでとはまったく違うものだった。これがひとつの機転となり、篝の研究に決着がつきそうになる。そこへ加島が総攻撃を仕掛けてきた。
瑚太郎たちオカ研メンバーと吉野が迎え撃つ。次々力尽きるメンバーと仲間、そこへサクヤが現れる。瑚太郎とサクヤは邂逅する。サクヤがすべてを込めて攻撃を仕掛ける、サクヤのもうひとつの姿となって。瑚太郎もなりふり構わず振り払う。そして救済(というより篝の回答が出て別の場所に向かうといったほうがよい)が始まる。瑚太郎と篝が別れの話しをする。瑚太郎が消える瞬間、今まで居たのが月で、地球の運命にこれから向かうことを悟る。

オカ研メンバー+吉野、サクヤまで現れて消えていく。とても切ない話が詰まった回でした。篝との話が決着したことで月編は終了です。次回から最後の話に向けて動いていきますね。詰め込んで見えますが、一期の終わりに比べたら内容も濃いし、十分に楽しめました。
ただ、話の中で「淘汰される」という言葉が何回か出てきましたが、このアニメ自体、視聴者がどんどん淘汰されていっている気がしますね…。{/netabare}

4話…そしてまた新たなアニメが始まった
{netabare}砂漠を走る車両の列。その中に瑚太郎がいた。狙われる車列、何だか戦闘に巻き込まれているいる感じだ。
場面は変わって瑚太郎の生い立ちが表現される。高校生になった瑚太郎は心が荒んでいた。わけのわからない心境に怒りをどこへぶつけていいのか分からない、思春期のそれのようだ。地球防衛と称して異物を殺しまくる瑚太郎だったが、森のなかで恐竜っぽい生物に襲われる胡太郎。そこを救ったのは若き頃の江坂たちだった。互いに本当のことを言わない瑚太郎と江坂。メル友になった。
瑚太郎の隣に住む神戸家の子供、小鳥。頭はいいのに無愛想で可愛くない性格。当然、瑚太郎とは合わない。それでも繋がっていく瑚太郎と小鳥だった。

いよいよ始まったテラ編。これまでの流れとはがらりと変わり、瑚太郎は心が荒んだ少年に描かれています。オカ研のメンバーは小鳥も朱音も子供、吉野も子供、今宮は高校生に、江坂も若いし、つまり、この段階はムーンで見た空白前のこと。時間軸の戻りではなく、新たに始まった物語と考えた方がいいでしょうね。
今宮が一期で「まっとうな高校生やってんだ」がここに繋がってたんですね。瑚太郎と小鳥の両親が出てきて、一期で分からなかった二人の関係も分かるし、どんどん繋がっていく感じです。瑚太郎の能力も次第に明らかになるでしょうし、ガイヤとガーディアンのことも分かってくるでしょう。見てきてモヤモヤしていた部分、きっちり回収させてもらいます。{/netabare}

5話…key作品なのに足りないものがあった
{netabare}瑚太郎はマーテルを抜けたいと考えていた。そんなとき、マーテルの重要人物である加島桜と面会する。加島の質問をうまくかわし、その後、江坂と会う。江坂からガーディアンへの誘いを受け、瑚太郎はマーテルを抜けてガーディアンに入ることを決断した。家を出るとき小鳥と会う。小鳥は家族と出かけるところだった。その時、突然頭の中で選択肢が現れる。出かけるのを止めるべきという選択肢が選ばれたが、止めることはできなかった。小鳥と祭りを一緒にまわる約束をして瑚太郎は別れた。
ガーディアンの戦士になるための半年間の訓練に臨む瑚太郎。そこに集まっていたのは同世代の能力の持ち主たち。瑚太郎と同じように力の持って行き方を分からずにいて、ガーディアンにスカウトされたもの達だった。知った顔もいた。中学時代の同級生の今宮だ。そこで訓練を受け、力のランク付けがなされた。瑚太郎は22人中の最下位、最高成績は三国(cv緑川光)だった。グループ分けされ、瑚太郎含む下位の四人が組むことになり、今宮、西九条、長居と一緒になった。その後、訓練期間は終了したが、長居は辞めていた。

今宮、西九条ときて、長居はツチノコ追いかけてて朱音のもとにいた津久野ですね。一期で謎だった今宮が胡太郎を知っている風だったのはそういう訳でした。一期の時は瑚太郎の記憶失っていて、今宮も西九条のことも覚えていないからあんな状況になったたと。一期での人間関係がよく分からなかった部分がどんどん明らかになっていきます。
瑚太郎に現れた選択肢は導かれているということなんだろうと解釈しました。小鳥はこのあと事故に遭い、大きく人生が変わっていきます。これを止めれば大きく流れが変わりますし。このあとも大きな選択肢が導いていくのでしょう。

key作品なのに足りないものがあった。それは「緑川光」。ここできたかという感じです。今回は斎藤ではなかったね。{/netabare}

6話…ここで分岐した
{netabare}訓練から風祭に戻った瑚太郎、スパイとして仮名「鈴木凡人」と名乗ることになった。今宮、西九条とともに森周辺の見張りと「鍵」を見つける指令が与えられ、任務に当たることに。今宮と西九条は這い上がりたい思いがあり、隣のグループのピンチを知り、行ってしまう。瑚太郎は脳内選択に従い、追いかけるが、途中、朱音の名札を見つける。慌てる瑚太郎だったが、三国たちが地竜と戦っているところに遭遇する。三国たちは地竜になす統べなくやられて死んだ。
瑚太郎は朱音を見つけるが、怪物が現れる。退治して朱音を救った瑚太郎は不思議な光の柱を見つけて寄っていく。そこには篝がいた、いわゆる鍵だ。ガーディアンにとって鍵は消さなくてはならない相手。しかし、瑚太郎は見逃した。江坂のもとに戻った瑚太郎は銃の扱いを覚えたいと訴え、本人いわく、逃げるように外国へ旅立った。

この回が本当の「鍵」でしたね。これまではここで瑚太郎は篝にやられて瀕死になり、小鳥に救われて10年間眠り、個別ルートに突入だったのですが、見逃した(篝に救われた?)ことで、これまでにはない展開へと移っていったということになります。実際に、篝と遭遇した時に小鳥がうろちょろしてましたしね。これでtella編の初回に繋がっていきます。{/netabare}

7話…見つけた居場所は
{netabare}傭兵として外国に行った瑚太郎。ガーディアンの組織内であったが、そこは差別があり、新入りで、しかも能力が劣る瑚太郎には厳しかった。初めて人を殺した瑚太郎はPTSDに陥ったが、親友となったルイスや地元の子供たちと心を通わすうちに救われていた。
ある日、魔物が現れ、魔物使いを退治する命が下り、瑚太郎も参加することに。敵を追い詰め、踏み込む瑚太郎とルイスの前に現れたのはヤスミンたち、瑚太郎が面倒を見ていた子供たちだった。愕然とする二人だったが、ヤスミンは生きていくために魔物使いになっていたと語る。瑚太郎たちは生き残った子供たちを救おうと逃げる。途中、部隊の相当作戦が行われ、逃げ切れる感じではなくなった。そこでルイスが槍を使って足止めを行う。ルイスは過去の過ちを語り、もう足を止めるのはやめることを決意したと瑚太郎に語りながら、消えていった。
ヤスミンたちを救った瑚太郎は成長した。ヤスミンたちを援助しながら、新たに魔物使い、能力者関係なく子供たちを救った。救った子供たちが元気に遊ぶ姿を見て、瑚太郎は新たな可能性を見ていた。そして江坂から連絡を受け帰国、ヤスミンに別れを告げた。

一期ではミドウの過去にちらっとだけ登場したヤスミンが登場です。もう完全なヒロインでしたね。瑚太郎に気を向く少女はツンデレが当たり前…。これでミドウの残酷な過去も無くなったということかな?
ルイスは大きな存在でした。ヤスミンとルイスは瑚太郎の人生に大きな影響を与えたということでしょうね。今回の話は泣きそうになりました。これから更に泣けそうな感じの話がありそうですけど…やっぱり泣きゲーの基本は変えないということかな?{/netabare}

8話…篝がまともにしゃべっている!
{netabare}帰国した瑚太郎は江坂と会う。鍵探索のために人手不足だったらしい。そのために呼び戻されたとのこと。
瑚太郎はヤスミンと鍵の実態を調べていた。そして、鍵と会う。鍵=篝は瑚太郎に地球の事情を話し、瑚太郎に地球が滅ぶことを止めるため「良い記憶」を残すように半ば命令した。その一つのとしてガイアとガーディアンの争いを止めるように勧める。
さっそく瑚太郎は実行に移した。今宮、西九条から自分達の役割を聞き、その役目が緩いことを知るとガイアに潜入し、魔物を使うまでになっていた。そして篝と再び会う。篝は焦っていた。ガイアの殲滅とガーディアンの壊滅を望むが、瑚太郎にたしなめられる。
瑚太郎はガイアの内部抗争を利用しようと考え、加島桜と対立する須崎に近づいた。その事を話そうと篝のもとに行くが、いない。篝を探すと、篝は歩き回っていた。篝を叱る瑚太郎に篝は驚きを隠せなかった。その夜、ヤスミンと情報を交換し、ヤスミンに更なる探索をお願いする。
篝のもとを訪ねると小鳥がいた。小鳥は事故で両親を失い、両親の蘇り(ゾンビ化)と引き換えにドルドイとなって篝を守っていたのだ。しかし、瑚太郎は小鳥を責める、死んだものは蘇らないのだと。小鳥は泣いた、優しくしてくれる人がいないと…。

重い、重いけど、篝と瑚太郎の会話にはクスッとするような話しも交えていました。篝と瑚太郎の関係はmoon編での流れを汲んでいるので分かりやすいです。
小鳥に冷たく当たったのは戦場での出来事があったからなのでしょうね。ルイスの死に、ヤスミンたちを巻き込んでしまった後悔。小鳥が巻き込まれるのを黙ってみていられなかったのだと解釈しました。
tella編、重い話が続きますが、本当に面白いです。ただし、流れが早い気がしないでもありません。また最後混沌にならないか心配なんですが、一期のようにはならないと思います。一本の道筋があるので、流れが急でも大丈夫だろうと思います。{/netabare}

9話…騙し、悟られ、さらに騙し、篝にはよしよし
{netabare}篝に同調してガイアとガーディアンの二重スパイとなった瑚太郎。とうとうガイアの中心人物、加島桜と対面する。その会話について篝に報告すると、篝は不満そう。自分が何とかするような話しぶりに、瑚太郎は篝の頭をなでるのだった。
そんなとき、朱音が森に現れる。なんでも昆虫採集(中身は魔物)で迷ったらしい。朱音を届けると、そこにいたのは長居だった。長居はガーディアンのことを覚えておらず、津久野と名乗っていた。朱音には友達(ちはやだ~)ができていた。
州崎のところへ行くと、加島と会っていたことを問い詰められる。瑚太郎は会話の録音を聞かせ、その場をしのぐ。そして、鍵のことを聞き出し、州崎が行おうとしていることを知る。州崎は滅びから人を救い出し、その者たちと生きていく、ノアの箱舟のような計画を実行しようとしていた。
江坂が海外へ行くことになり、江坂の店は瑚太郎が代理店長になることになった。瑚太郎は州崎と加島を争うような仕掛けを考えていた。
州崎は加島が朱音を聖女にすること、ガーディアンだった津久野を抱えた情報を手に入れ、加島を追い落し、さらに、朱音をさらってしまって、亡き者にしようと考えた。そこで、朱音の連れ去りを瑚太郎に依頼する。
ガイアの会議では、加島が先手を取った。朱音のこと、津久野のことを話し、出席者の同意を取り付けたのだ。瑚太郎の動向を探っていた加島の勝利だったが、瑚太郎はわざとそのように仕向けたのだった。瑚太郎には朱音を亡き者にすることができなかったのだ。
一連の出来事を篝に話すと、篝は感情が爆発した。人の行動が理解できなかったのだ。感情がないはずの篝が感情を爆発させる、それをとめる手段はなく、瑚太郎は篝にキスをした。動揺する篝、感情の爆発は抑えられ、その場を離れた。

「スーパータンク篝ちゃん」重くなるばかりかと思ったら、篝が篝であることで軽くなった感じです。それにしてもこの瑚太郎、小鳥といい、篝といい、一期の小太郎ならうまく立ち回れたと思うけど、この瑚太郎はこれまでにはない瑚太郎ということなのか?
瑚太郎の篝への気持ちは何故かはわからないと答えていたけど、月編での「再び会いたい」という愛情にも似た感情が受け継がれているんだろうなと思います。
う~ん、話が大きくなっているけど、後数話でうまくまとめられるのか?{/netabare}

10話…良い記憶とは何なのか?
{netabare}瑚太郎が動く。森に近づくガイアの魔物使いを抹殺、さらに篝を捜索するガーディアンの連中にも容赦ない。
餌かが帰国し、ガイアの要人である須崎を捉え、瑚太郎が抹殺。これによってガイアとガーディアンの全面対決は不可避となった。加島桜は滅ぼしの儀式を始め、篝がおかしくなり始める。
瑚太郎は全ての準備を整え、最後の戦いに挑むことを決めた。ヤスミンには感謝をし、小鳥にはツラくあたり分かれた。
ガーディアンは空から篝を探索、そして発見。瑚太郎はリライトしてルイスの技でヘリを撃墜。その行為に江坂が動き、瑚太郎の前に現れる。江坂と瑚太郎の対決は江坂が追い詰めたところで瑚太郎の血が槍状になって江坂を串刺しに、そしてとどめを刺す。瑚太郎は江坂に感謝と謝罪を伝え、江坂は瑚太郎の行動を後押しするのだった。

かなり飛ばした感じです。一気に核心どころか、クライマックスになってしまいました。結局、良い記憶とは何なのか、そこです。最終回で明らかになるのでしょうけど、どうも鬱っぽい最後になりそうです。
小鳥への冷たい態度は瑚太郎なりの愛情なんだろうね。巻き込みたくなかったのと、小鳥は自ら不幸な方向へいってしまいそうだったから、瑚太郎が歯止めになったと。
原作ではちはやとルチアの少女時代は出てこなかったらしいのですが、ファンサービスみたいなものなんでしょう。
いよいよ最後か…。最終回終えたら、もう一度moon編から見直して見ようと思います。多分、見過ごしてきたような大事な部分が多そうなので。{/netabare}

11話…その結末は「残された明日」
{netabare}加島による「地球救済」が始まる。そこに向かう瑚太郎に今宮と西九条が襲う。そこをかわして先へ進むとガーディアンがやってくる。再び今宮と西九条と対峙するが、瑚太郎は二人に未来を託し進んでいく。
加島の化身とも言うべき地竜が瑚太郎を待っていた。上書きを重ねて退治する瑚太郎はすでに人の形を保てなくなっていた。
救済は進み、このままではひとつの道筋さえも失いかねない展開で、瑚太郎の前に成長した姿の篝が現れる。瑚太郎をねぎらい、そして告げる「最後の仕事を果たしなさい」と瑚太郎は篝を刺した。これが残された可能性だったのだ。救済は止まり、瑚太郎は人ではなくなった…
救済から免れた人々は元気に生きているのだった。数年後、朱音、小鳥、ルチア、静流、ちはやの五人は巨大な木の前に立っていた。使い魔を呼び出すためだ。出てきた使い魔は五人の言うことを聞かない。しかし、何でもできると言う。五人を連れて月に向かう使い魔。月に到着すると使い魔は高校生姿の瑚太郎になっていた。そこにはたった一人で待っていた篝が立っていた。「また会いたい」その約束を果たしたのだった。

そうまとめたかという感じでした。またも最後は飛ばしましたが、きちんと伏線を回収していったので、まずは悪くない感じです。月での約束を果たすなんて、けっこうきれいに締めたなと思います。最後までみてみると、結局この作品は「篝ルート」といるのかもしれません。原作にはない展開になっていた1期後半の作り、ムーンとテラ、最後は5人のヒロイン揃った中で篝とキスですからね。嫌いじゃないですよ、この話。{/netabare}

個人的に高い評価になりました。

1期に比べ、物語性の強い内容と展開になった感じです。特にテラ編は瑚太郎がこれまでの瑚太郎とはまったくの別人格のような感じで進行したせいで、ぜんぜん違う作品にさえ感じたほどです。ともあれ、まとまってよかったなと思います。

この作品見て、やっぱりKeyの作品は好きなんだと感じました。どの作品もそうなんだけど、綺麗にまとめるんですよね、途中がどうであれ。かなりごまかされているのかもしれませんけど…。この作品もまた、なんだかんだ言いながら、綺麗に終わっています。
ただ残念なのが、やっぱり話数が少なすぎです。壮大なだけに、もうちょっと丁寧に描かないと、ついていけません。最後まで残ったのはKey好き、原作好き、一部視聴者のみだったように思います。テラ編なんて、あと5話くらいあったら、もっと評価が上がった気がします。それくらい内容自体は面白いものでした。

万人受けする作品ではありまえんでしたが、それなりに楽しめる作品だと思います、特にKeyが好きな人には。あえて言うなら、シャーロットが面白かったと思った人にはお勧めできると思います。

投稿 : 2024/09/21
♥ : 39
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

さあ、翻弄されろw

[文量→特盛り・内容→考察系]

【総括】
レビュータイトル、偉そうですいません(笑) ただ、「翻弄」→「全てが繋がった時の快感」が半端ないアニメだったので♪

「Rewrite」の2期目にあたり、前作を観ていないと「更に」難しいと思います(前作を観てたって意味fume、ゲフン、難解なんだからw)

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
今までそういうアニメの見方はしたことなかったんですが、序盤(14~16話)は1話視聴する度にまとめサイト等を覗き、補完しながらの視聴でした(置いていかれ過ぎ、考察どころか、このままでは流石に作品を楽しめないと判断したため)。(なので本レビューは、100%私の発想、というわけではありません。テラ編はかなり自力ですが、ムーン編はほぼ他力です)。

1期からを時系列にまとめると(原作未プレイだから、自信はないですが)、

①地球滅亡(アニメには描かれない、1期のずっと前に前回の救済、地球の資源がガチで尽きかける)。

→②篝はアウロラ(生命エネルギーの塊のようなもの)を持って月に逃れ、生命が地球で生き延びる可能性を探り始める(アニメには描かれない、2期の前)

→③篝はアウロラを用いて、人類が滅びる前の状況を月に再現し、人類が滅びない可能性(色々な攻略ルート)を試す(1期の内容→「通称 枝世界編」。つまり、1期の内容は全て月の仮想現実で行われていた篝による実験だった)

→④瑚太郎のヒント(もう一度会いたい)により、篝が、人類が滅びない可能性を発見する(2期の序盤14~16話「通称 MOON編」)

→⑤アウロラを地球に返し、その可能性を、実際に地球で試す(2期の40億年程前であり、我々の生きる世界・文明・生命の始まり)(ただし、ぶっつけ本番でやり直しがきかない)

→⑥人類は順調に進化していき、現代に至る。瑚太郎はじめ、ヒロインズ誕生(2期4話目以降「通称 TERRA編」)。

→⑦瑚太郎は、「マーテル(ガイア)」を脱会し、「ガーディアン」に入隊する。

→⑧風祭市の作戦で、篝に遭遇。ここで篝を確保、あるいは殺害しようとすると、逆にやられ(1期冒頭)、小鳥が瑚太郎を助け、瑚太郎にアウロラが入り込んでしまい、10年間の昏睡の後に目覚め、オカケンを設立(枝世界編突入→どのルートを選んでも、世界は滅ぶ)。しかし、篝を見逃した(MOON編で篝が見つけた新たな可能性を実行した)ため、1期の枝世界編とは別のルートに突入する。

→⑨中東に行き、「ヤスミン」や「ミドウ」達を助ける。ここで瑚太郎が、「魔物使い(ガイア)と超人(ガーディアン)が協力し合う組織」を作る。

→⑩日本に帰り、篝と再会。ガイアとガーディアンの二重スパイになる。

→⑪ガーディアンVSガイアの死闘(ここで、瑚太郎の暗躍により、双方に壊滅的なダメージを与える)。

→⑫ガイア(加島桜)による、滅びの計画が発動。

→⑬篝に「良い記憶」を、見せることには成功するが、時すでに遅し。世界の崩壊(救済)が始まる。

→⑭瑚太郎は、篝を殺すことで、世界の崩壊を先に引き伸ばす。瑚太郎はリライト能力の使いすぎにより、人間をやめ、大樹となる。

→⑮(瑚太郎の計画通り)ヤスミンにより、ガイアのもつ「魔獣」とガーディアンのもつ「超人」の知識(ノウハウ)が全世界の人類に公開される。

→⑯人類は、自らの生命を資源として、「魔獣」や「超人」の力を駆使し、なんとか生き残っていく。

→⑰3年が経過し、成長した「オカ研」メンバーが、「大樹」を用いて人型の魔獣(瑚太郎)を生み出す。

→⑱瑚太郎は「オカ研」メンバーを引き連れ、月にいき、「MOON編」で別れた篝と再開する。

→⑰作品には描かれていないが、おそらく人類は魔獣瑚太郎の力で、惑星間移民を行う(2期の後の話)。


複雑なのは、1期の扱い。時系列的には2期の前なんだけど、視聴者の感覚的には2期の後という時間の捻れ。この辺が作品を難解にすると同時に、作品に深みを与えていると思います。

最終話、「良い記憶」とは何か? ということに対して、篝本人から解説がありました。篝曰く「未来を切り開くための意思と力。たとえ母星を食い潰してでも人類は広がっていかなければならない」というものです。

思えば、ガイアもガーディアンも、根本的には未来を切り開く「意思」がありませんでした。ガイアの基本理念は、「地球(資源)のために、人類は死すべし」(加島派)と「地球(資源)が滅んだ後、限られた人類だけが石の街で生き残れば良い」(洲崎派)ですし、ガーディアンにしても「救済(人類のリセット)を行う鍵(篝)やガイアを殺し、限られた資源を大切に使いながら、現在の人類が出来るだけ長生きする」ことを考えています。極論を言えば、ガイアは「一気に滅べ」。ガーディアンは、「ゆるやかに滅べ」。一見対立する主張に見えますが、「根本的に」人類を救おう(未来を切り開こう)としていないという点では共通していたのですね。

だから、篝は両者を認めなかったわけです(22話?で朱音らを助けた瑚太郎に篝がキレたのも、「人間は今が良ければそれで良く、未来を切り開くためにベストを尽くしてない」という内容でしたし)。

そんな時、第3の選択肢を示したのが瑚太郎でした。瑚太郎の計画とは、①ガイアとガーディアンを倒す。②人類を全員、超人か魔獣使いにする。③そんな新人類の力により、惑星間移民を実現させる。

というものだったのでしょう。②は恐らく、他の惑星に行った時に、そこを開墾し、生き残っていくだけの「力」を全人類に与えたかったのだと思います。ただし瑚太郎は、本当は①の段階で、未来を切り開こうとする自らの「意思」を(地球の)篝に見せ、それが良い記憶となり、篝含め、皆が生きている状況で、②、③に進みたかったものと思います。しかし、間に合わなかったので、次善の作である「篝を殺し、救済を先送りにし、その間に②や③はオカ研メンバー(や、西九条達)に任せる」という選択をしたのが、最終話の(地球の)篝を殺したシーンだと思います。

でも実はこれ、多分、(月の)篝の狙った通りの展開なんですよね。

2期の最初(moon編)では、瑚太郎の「もう一度、君(篝)に会いたい」から、(月の)篝が発想を得て、一気にアウロラの選択肢(枝)が広がりました。あれは多分、「瑚太郎がもう一度自分に会うためには、瑚太郎が月に来る、つまり惑星間移動の能力を身に付ける必要がある=人類が惑星間移民により、生き残る可能性がある」ということなんだと思います。だから、瑚太郎がrewrite能力を使いまくり、人間の限界を超えて大樹となり、その間に瑚太郎が広げた可能性(オカ研メンバーやヤスミンら)により、魔獣として復活、惑星間移動能力を持って会いにくるまでが、(月の)篝の計画だったのでしょう。

いや、計画と言っては印象が悪いですね。「可能性に賭けた」というところでしょうか。

そう考えていくと、全てが1本の筋に繋がります。

そして、そんなことを抜きにしても、ラストシーンは、40億年ぶりに、月で再び出会う恋人同士、という非常にロマンチックなシーンに感動することができます。

難解どころか、多分、アニメだけで内容を把握することは不可能なアニメでしたが、充分に見応えのある、考察しがいのあるアニメだったと思います(ただし、アニメだけでは正解に辿り着けないので、5はつけられません)。

2期を前提した1期というのはよくあるけど、そういうのとはまた違う、「2期を前提とした1期」だったのだと実感しました。今作を観たことで、もう一度1期を観直してみたくなりました。そういうアニメは稀有だと思います。

というよりも、2期を観た後に1期を観た方が楽しめるのでは? とすら思いました(それが、1期の「原作組はしっかり楽しめた」という感想の要因かと)。それって、あにこれにいる私達のように、何百とアニメ観てる人にとっては新しくて良いけど、そうではない視聴者にとっては著しく不親切だよな、と思ったり(汗)

今作ですが、はっきり言って序盤(14,15,16話)は、1期から通しても一番は難解な話で、多くの視聴者が振り落とされていくと思います(私も一度折れかけました)。

そこは、雰囲気だけつかめれば良いので、理解できない人は(というか、2期から入った人で、アニメしか観てない人で理解できる人間なんて絶対いないw)我慢して下さい(笑) 最悪、飛ばしてもなんとかなります。中盤、17話からは、別の話と言っても過言ではない展開で、グッと観やすく、面白くなります。

中盤以降は、「グリザイアの果実」とか好きなら、合うと思いますよ♪

正直、そこだけでも平均点以上のアニメだと思います。

ただ、やはり深みを感じるためには、1期から全部観ていかないとね(正直、しんどい時もあるけどw)

オススメの視聴順は、1期→2期→1期→2期序盤 です。何周観させんねん!って感じですが、そのくらい、「噛めば噛むほど味わいが増していくアニメ」です♪

(1期のレビュータイトルを「隠れ家的名店のようなアニメなのか?」としていましたが、正にそんなアニメでした。流石はKeyって感じです♪)
{/netabare}

【視聴終了(要約バージョン小盛りレビュー)】
{netabare}
時系列を掴むのが難しいがようは、2期序盤→1期→2期中盤以降 という流れ。実は箒の本体は月で40億年も瑚太郎を待っていて、ラストは魔獣となった瑚太郎が惑星間移動の能力を身に付けて、地球人を他の惑星に移住させるというもの。1期は、そこに辿り着けなかった失敗の歴史(ルート)。2期中盤以降は、全て、惑星間移動を成功させるために必要だったこと。そういうストーリー。

良い記憶、とは、生きる意志。なんとしてでも生きたいていう瑚太郎の強い気持ちが、奇跡を起こした話。
{/netabare}

【各話感想】
{netabare}
14話目
ん? 一期の続きじゃないの? 別の世界線? いきなり意味不明なんだが(笑) 各ヒロインとの結末は、各ルートのおさらいってこと? う~ん、やはり意味不明w

15話目
なんだか、哲学? ただ、結論を用意しない哲学的な問いは、単なる雰囲気作りですよ。なるほで、つまり篝は、「ムリゲーを攻略するためのバグを探しているプレイヤー」なわけですねw

16話目
なんだかよく分からないけど、面白い!、、、ような気がするw まだ3話なのに、なんだこの、ラスト1話前感w

17話目
おい、観るアニメ間違えたかと思って、タイトルに戻ってしまったじゃないか(笑) 剣道部が防具つけて外走るたと? あり得んw なるほど、瑚太郎の過去編か。

18話目
なんか、超グリザイアしてるんだが(笑)

19話目
今回、凄く重要な回でしたね。ここからが、ある意味では本編かな。

20話目
すごい密度。あっという間の30分。感動的な回でした。分かりやすい死亡フラグ&それを覆したキャラも○。

21話目
時系列的にはmoon編の(45億年w)後だから、少しは記憶があるのかな? シリアス内のギャグ、笑えるw 二重スパイやるんですね。

22話目
GPSか、何かの布石かな。世界を救うのは、個人の愛情、というのは定番ですな。

23話目
二重スパイの特性をうまく使っているね。だんだんヒロインが退化していく感じは、KANONと似ている。原作をショートカットでやりつつ、それでも全部見せないっつ感じ? 会話の間とか適当すぎ。無理しすぎ。「卑劣なことは弱者でもできる。勝つことは強者しかできない」。真理だね。

24話目
う~ん、最後の最後で尺不足? なんか場面が色々とすっ飛んだ気がする(加島桜との最終バトルとか、朱音とのやりとりだとか)。ただ、パワープレイではあるが、感動はした。
{/netabare}

投稿 : 2024/09/21
♥ : 30

70.0 8 記憶で高校生なアニメランキング8位
RE-MAIN(TVアニメ動画)

2021年夏アニメ
★★★★☆ 3.5 (122)
345人が棚に入れました
知らない自分に、僕らは出会う
総監督・脚本 西田征史(「TIGER & BUNNY」) × アニメーション制作 MAPPA(「呪術廻戦」)の初タッグで水球に挑む!
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

ワイも不時着

オリジナルアニメ


岡山舞台の水球アニメ。中学で全国制覇した主人公が不慮の事故で記憶(だけ)を亡くし浦島太郎状態で高校生活をスタートするというとこから。競技の記憶もごっそり抜けてることもあって全国制覇メンバーのお友達も寂しそうなんだけど本人はどうにも反応しづらい。
この記憶の欠落した時点を境に前後の自分はまるで別物。ある意味で生まれ変わったようなものですがいかんせん同一人物なんでね。徐々に記憶を取り戻したリなんだりでビフォアアフターが混じったり反目したりと単なる水球アニメになるところへコショウ一振りスパイスつけてる感じです。

 創部(または再建)→なんかしらの結果出す

これを1クール尺で頑張るので区切りのいいところまでになりますがどこで一服つかせるかは腕の見せ所。評判良かったら続編も…を念頭に置いてるかもしれません。

 夏・プール・男の裸

とリアタイ視聴期の季節感にも合い納涼一服気分で楽しみました。
男だらけアニメにたまに見られる“男同士の変な距離感”はありませんでした。一方でプールだけに『Free!』みたいなスイミー作画を期待したところこちらもさほどでもないです。作画はよくわかりませんが目立ってスゲー!みたいなのはありません。
私としては特に刺さらず可もなく不可もないという評価です。後述ネタバレのどうでもいい理由が気になってたのと、よくよく考えたらオリパラ開催期間中で未知なるスポーツにワクワクするのもドキドキするのもアニメ外で充足できてたのでお腹いっぱいだったかも。
夏場の清涼剤くらいの感覚で臨まれてはいかがでしょうか。。。



※雑感

■『forget me not』

水球で有名な人だと吉川晃司さんを思い浮かべる人も多いでしょう。たしか広島ご出身だったから岡山の隣県ですわな。その飲み友達だった故尾崎豊の代表曲一つと同名タイトルがOPに使用されてます。もちろん尾崎のとは全く違う楽曲ですよ。
めっちゃ爽やかで夏やプールや男の裸が映えるチューンでした。K-POPみたいですね。「煌めく日差しが♪」が「煌めくぅひじゃしが」に聞こえてたのであーなるほどでした。
で、めっちゃ爽やかなのはいいとしてたぶん私がバカ耳だからだと思うんですけど
{netabare}サビ部分がユーミン『守ってあげたい』のソレと被るんですよこれが。ユードンハフトゥウォーオリ♪のとこ。以来脳内にカチッとセットされてしまい最後までユーミンの顔がチラつき邪魔をしました。{/netabare}

{netabare}気になりだすとユーミンだろうがKーPOPだろうが脳内比率のうちOPを占める割合が高くなってきます。こじれると、、、
K繋がりで韓流ドラマあるあるの一つ“とりあえず記憶喪失!”と本作の基本設定の相性が良いじゃーんとかどうでもいいことを考えるに至ります。
そしたら関連してもっとすごいのぶっ込んできましたね。“記憶喪失してる期間のスライド”という力技。今度は一部思いだしたけど別の期間の記憶が抜けちゃうという脳医学臨床の最先端をゆく症例でございます。なにか糸が切れた瞬間でした。{/netabare}

王道スポーツものではなく韓流ドラマという魔解釈から抜けきれないため本レビューは参考にしないでくださいませ。


■韓流おかわり

悪ノリ続きです。ここまで来たらどんどんいったれーっ!とそれっぽい違和感が残った3点を追加

1.{netabare}曙学館(しょがくかん)の備前監督(CV緑川光){/netabare}
 {netabare}高校の学校スポーツは教育の一環です。仮に建前でもですよ。なので中学優勝時の記憶が戻った主人公に対する大人の態度としてあれはないかな、と。体調やメンタルなどみなと君その人個人への気遣いはなし。かつての教え子に大きな変化が生じているのにです。「大丈夫か?どうだ?」くらい声かけてあげりゃいいのに、あくまで競技者視点でのうんぬんかんぬんのみ。全国クラスならなおさらメンタルケアなんて大事だろうに。どうにも違和感しかない監督さんの対応でした。アニメ的にも大人は魅力的に描かないとだめよね。{/netabare}

2.{netabare}川窪ちぬ(CV Lynn){/netabare}
 {netabare}つまり記憶無くなる前のオラオラみなとくんが気になってたということね。KISSも意味不明で「ズキュゥゥン」な唐突さでした。同じオラオラでも適宜適切ワードをぶち込んでキュン死させるのが日本の少女漫画。オラオラなまま性格どんなでも結果出しちゃうあなたがどうにも気になるわの韓流ドラマ。ちぬちゃんは後者っすね。好きな人は好きなんでしょう。{/netabare}

3.{netabare}曙学館手前の試合{/netabare}
 {netabare}試合展開、心理描写、軒並み稚拙なんだけど試合には勝利。プロセスより結果重視。順位序列が上であることを優先。なんだかなぁ{/netabare}
 {netabare}最終回。曙学館に1点取るとこも上手いことやったった感醸し出してたけど自身の競技力低下には見ぬふりで、だまくらかしただけでドヤられてもなぁ{/netabare}

歌と記憶喪失設定だけではないと魔解釈をさらにこじらせてるためやっぱり本レビューを参考にしてはいけません。



視聴時期:2021年7月~9月 リアタイ   

------


2021.10.03 初稿

投稿 : 2024/09/21
♥ : 21
ネタバレ

Takaさん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

水球やろうぜっ!(伏兵だった)

1話見た感じだと、女性専門家枠かぁと思っていたら、
まさかの主人公が雑誌を見ていて「いいな」といっていた、
水泳選手?(女子)にキスされるとは!?

『TIGER & BUNNY』に関わっていた人が携わっているから、
女性専門家枠に落ち着きそうな気もしないでもない・・・

{netabare}
しかし、記憶喪失で3年分の記憶を失い、実質小学6年生の状態から、
1年で高校合格とか凄い。

8話で、記憶を取り戻し、9話で、ミナトが、元々優しい性格だったのに、
監督の『エースはエゴイストたれ』で、実力を兼ね備えた、俺様ワガママに
変わっていったようなので、性格変貌の現況は監督…
(記憶が戻った時用に映像を残していた、小6の記憶までしかないミナトは優秀)

ヒロインと思われたキャラも、先輩の復讐がしたかっただけだったので、
県大会、1勝できるかが、見どころになるのかな。

県大会で1勝はできた。
曙学館には勝てなかったけど、
ミナトが人間的に変わる試合だったと思った(他人を思いやれる)

いい意味で伏兵アニメだった。
{/netabare}

投稿 : 2024/09/21
♥ : 3
ネタバレ

olmo さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

まさかの今期覇権候補アニメ‼︎

岡山の県立高校を舞台に男子高校生たちが水球部で全国を目指す王道スポ根ストーリー。
見る前まではいつものBL物だろと思っていたところ、第一話から{netabare}主人公の記憶喪失の流れや、一話から二話にかけてのちぬさんとの約束など、{/netabare}まさかここまで王道のストーリーだとは…
良い意味で期待を裏切ってくれました。(脚本)

四話まではまだ対外試合などといったシナリオを入れないのでしょうが、この二話でかなり対外試合時のストーリーの流れが楽しみになりました。
またこのクオリティの二話は今期他の作品を見たところないと思いましたのでこのタイトルとなりました。

とにかくこれから毎週が楽しみです。

3話まで視聴済追記(2021/07/26)
{netabare}流れが完璧すぎる…
特に新入部員候補 網浜秀吾との水泳対決の持って行き方やその合間のババヤロの過去描写の挟み方が良いタイミングだったと同時に次の回にストーリーの山を持っていく流れが最高過ぎました。

ここからも下準備をしっかりとした完成度の高いストーリーを楽しみにしています。
{/netabare}

5話まで視聴済追記(2021/08/13)
{netabare}隣の六花学園との絡みからのジュニアチームとの対外試合。
そこからの大敗による英太郎の退部未遂事件。
どれをとってもここまで王道的なストーリーを不自然無く進めてきたという点でとっても満足してみることができました。
特に英太郎のみなとと何故山南高校で一緒に水球をやりたいかという理由もあの年代らしいもので、とてもリアリティがありました。

次回も楽しみです。
{/netabare}

最終話までの視聴済追記(2022/01/11)
リアタイで見終わったあと仕事が忙しく、最終話までの感想をこの日まで書けませんでした。遅くなりましたが、感想を書こうと思います。

{netabare}
まずは夏休み定番の合宿回がなかなか見れないウシジマ君の心情を写しとる上でかなり印象的でした。この回がなければ最終話でのウシジマシャウトが全然感動できないものとなっていたに違いないでしょう。
次は部活ジャージ回なのですが、ここではジャージ作成にあたり網浜とキャプテンの過去を同時に掘り下げたのはお見事!と感じました。そこからのキャプテンのジャージ作成ミスの流れも王道過ぎてこの令和時代でなかなかお目にかかれないものを見れました。

9、10話もある程度王道っちゃ王道ですが、流石にミナト2度目の記憶喪失させる必要があったのかなと感じました。
つまり記憶が戻るのであれば、わざわざ戻るまでの記憶を消さずともその後のストーリー展開を一緒にすることは可能で、最終話にかけての試合時間をもう少し増やせたのでは?ということです。

最後に六花学園、曙學園との試合回ですが、どちらともプレーのシーン(特にパス回し等)が少な過ぎると感じましたが、キャラクター心情や成長過程といった描き方は誰が見ても分かりやすくできていました。

曙學園には敗北しましたが、それによって次があるっていう青春独特の空気感をMAXに感じれたのも自分的にはツボでした。

ここから2期があるとすれば是非24話で放送してほしいです!
{/netabare}

投稿 : 2024/09/21
♥ : 4

81.5 9 記憶で高校生なアニメランキング9位
響け!ユーフォニアム3(TVアニメ動画)

2024年春アニメ
★★★★★ 4.2 (268)
743人が棚に入れました
高校3年生になり、部員90人超となった北宇治高校吹奏楽部の部長に就任した、黄前久美子。久美子たち3年生にとっては最後となる吹奏楽コンクールを控え、練習にも熱が入る。悲願の「全国大会金賞」は達成できるのか? 部長として踏み出した久美子、高校生活最後の熱い青春を描く!

声優・キャラクター
黄前久美子:黒沢ともよ
加藤葉月:朝井彩加
川島緑輝:豊田萌絵
高坂麗奈:安済知佳
黒江真由:戸松遥
塚本秀一:石谷春貴
釜屋つばめ:大橋彩香
久石奏:雨宮天
鈴木美玲:七瀬彩夏
鈴木さつき:久野美咲
月永求:土屋神葉
剣崎梨々花:杉浦しおり
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

【第13回感想&総括レビュー】未来の僕らは知ってるよ

【第13回(最終回)感想】
初回冒頭。「ディスコ・キッド」が流れるシーン。
久美子の夢の中で展開される、北宇治吹奏楽部の春は見知った光景のようで少しずつ違っていて。
視聴者も何処か違和感を覚える内に、久美子は夢から醒めて現実の北宇治へ向かうという不思議な幕開け。

最終回(※核心的ネタバレ){netabare} ラストで、あの夢は吹奏楽部副顧問の教師として北宇治に戻ってきた久美子の未来のビジョンだった、{/netabare} という答え合わせがされる。
シナリオ自体は原作準拠ですが、初回の久美子が夢であの場面を見るというのはアニオリの脚本、演出。

原作組の私は初回冒頭観て、同じ花田 十輝氏脚本の劇場版『ラブライブ!The School Idol Movie』を思い出し、また仕掛けて来たなとニヤニヤが止まりませんでした。
あの劇場版『ラブライブ!』。{netabare} 主人公の高坂穂乃果は、解散が決まっているスクールアイドル・μ's(ミューズ)の最後に何をすべきか煮詰まっている。
が、答えは穂乃果自身の潜在意識の中に既にあって、
障害を暗示する水たまりの飛び方だって幼い頃に知っていたはずで素質も有している。

悩める穂乃果の前に現れる謎の女性シンガー。
神出鬼没な彼女は穂乃果の未来の姿も思わせ、
穂乃果が持っていた物を引き出し、導く役回りを演じる。
自分のあり方を思い出した穂乃果は、まるで未来の自分に引っ張られるように、
潜在意識の中で水たまりを軽快に飛び越え、μ's最後のパフォーマンスへ進んでいく。{/netabare}

進路は、過去、現在の延長線というだけではなく、
未来の自分から導かれる物だという、ちょっとスピリチュアルな筋書き。

変化球でしたが「青春の価値」とは?という本シリーズのテーマとも合致する好演出でした。
久美子が吹奏楽を通じて出会った人々との関わりを通じて、
久美子自身が潜在意識の中に元々持っていた素養が導き出されていく。


そう言えば、先日、言及した、みどりの石原監督にこのセリフが本作のテーマですと言われたという制作エピソード。
答えはやはり青春は未来への種蒔きという件でした。

青春を生きる者にとっては悲痛な挫折に感じるあの瞬間も、
後々振り返れば糧になっていたりもする。

私は、今回のレビュータイトルに『ラブライブ!』の曲名を引用させて頂きました。
“未来の僕たちはきっと答えを持っているはずだから ホンキで駆け抜けて”
但し、あの曲はμ'sではなく『~サンシャイン』2期OPのAqours(アクア)ですがw

未来に導かれ、懸命にあがく若人は、どこまでも輝かしい。
だから「年を取るとな、若者が頑張っているだけで涙腺が緩むもんなんだ」(by“軍曹”松本先生)

『ユーフォ』が音楽アニメとしてだけではなく、青春アニメとしても味わい深い作品であることを再認識させられた3期でした。



以下、総括レビュー

【物語 5.0点】
単なる3期目というだけでなく、シリーズ全体を締めくくる集大成。
青春の傷みと価値を視聴者にも思い知らせる鬼脚本。


北宇治は実力主義だから、麗奈は特別だから。
熱病に憑かれて立ち回って来た久美子が、
今度は部長として、また逆の立場に立たされて、後輩の頃とは違う気持ちを知り、
人間として成長して、進路を見出していく痛切だが価値ある青春ドラマ。

例えば久美子1年時の麗奈VS香織の公開オーディション。
特別じゃないけど足掻いて納得したかった香織先輩や、
そんな香織を応援し続けた“デカリボン先輩”
正直、私も状況は理解できるけど、何であんなエゴ丸出しで号泣する程、思い入れるのか心情までは共有しきれなかった。
が、3期で先輩と似たような立場を経験するとその痛みが分かる。

3期にはこうした、1期以来の過去シーンと対になるような場面が数多く登場します。
それらの場面はシリーズの思い出に浸るオマージュに留まらず、
3期でアニメ『ユーフォ』全体を総括して大団円を迎えるよう、
逆算して緻密に配置されている。

最終話。(※核心的ネタバレ){netabare} 麗奈が「悔しくて死にそう」で幕を開けた本シリーズが、ラスト「嬉しくて死にそう」{/netabare} で幕が引かれるシリーズ構成も綺麗でした。


衝撃のアニオリ回となった第12回。
私も最初は驚きましたが、振り返って、シリーズ全体の中で位置づけてみると、
{netabare} 特別にならない道を選んだ久美子と、特別であり続けたかった麗奈。
それ故の麗奈の究極の二者択一。{/netabare}
という風に、悔しいけど凄く納得できる、あまりにも“正しすぎる”構成、脚本。

展開については今後も賛否は分かれ続けるでしょうが、内容の濃密さについては、あの第12回は間違いなくアニメ史に残る名回。
視聴者の皆が同意でき心地よくなれるシナリオが必ずしも良いとは限らない。
むしろ視聴者の間で色々と異論も出ること自体が青春のリアルを象徴している。
原作は原作、アニメはアニメ。小説、漫画はアニメの台本ではない。
最後まで原作とアニメが刺激し合い、高め合って来た『ユーフォ』
アニメ作品のありかたにも一石を投じた本作は、物語5.0点に値すると私は確信しています。


シリーズ全体を締めくくるという意図を第12回までで思い知った上で迎える最終回最後のコンクール。
私は、演奏中から結果発表まで泣き通しでしたが、
一番泣いたのは{netabare} 結果発表を受け号泣する“デカリボン先輩”こと優子。{/netabare}
全ての登場人物の心情を再認識し、救済、昇華して迎える大団円。
救われなかったのは強いて言えば{netabare} 久美子との再告白シーンをカットされ、ヘアピンで濁された秀一{/netabare} くらい?w
9年シリーズを追って来た私も感無量でした。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・京都アニメーション

人間ドラマ重視の構成、脚本方針により、作中の合奏シーンが飛ばされて来た3期。
最後のコンクール自由曲もフル尺演奏ではあったのですが、
特盛された、久美子の3年間の回想シーンによるシリーズ総括が優先されましたし。
結局、京アニがフルパワーで合奏シーンを構築できる程、復活できたのかについては疑念が残りました。


人物作画による心情描写については、特に8話以降は圧巻。
泣き顔の大技から、瞳に映る動揺などの小技まで、
原作の小説媒体では拾い切れなかった心理が容赦なく描き込まれており、
こちらは京アニの本領発揮。

人物を描ける兵力は整ったが、楽器を光らせる特殊技能兵はまだ揃っていないということなのか。
相変わらず吹奏楽部員を全員分キャラデザしてくる辺り決して戦力不足ではないと思うのですが。
答え合わせのための劇場版総集編。あっても良いと思います。


放送中YouTube公式にて、毎週各話の制作メイキング映像も配信していた京アニ。
近年のアニメーション制作は手描きの技術だけでなく、
CGや撮影なども重要度を増していると再認識。
大吉山を聖域たらしめているのは、撮影処理で加えられた自然界には存在しない謎の光による心情演出です。


【キャラ 5.0点】
新登場の吹奏楽強豪校からの転校生・黒江真由。
原作購読中、私が“裏ボス”だと認識していた真由。
“裏ボス”というのは換言すれば要するに、原作の真由は本編に組み込まれてない感じがあった。
久美子たちの集大成の当て馬にされた感を抱いたという私の本音の現れでもありまして。

アニメ3期は、その真由をも北宇治の一員として救済してしまったのが白眉。
{netabare} 仲間としてちゃんと泣けた黒江真由。美しかったです。{/netabare}
自分の中で、アニメの真由は“裏ボス”から“真ボス”くらいにはなれたかな?と好感しました。
但し自分にとって、“ラスボス”はやっぱり今回も、{netabare} 自分のわがままを認めよ{/netabare} というアドバイスが容赦なかった、あすか先輩だけですが。


3年になり部長となった主人公・黄前久美子。
北宇治の三年間、三人の部長。
実は私は、原作完結段階で、最強だったのは久美子2年時の“優子政権”だと思っていまして。
“黄前政権”は優子政権の遺産で成り立っていたとの印象を抱いていました。
部長の負担を副部長とドラムメジャーに分散する組閣しかり。
3年生卒業による音の厚みの低下を補うアンコン参加しかり。
優子部長は{netabare} 大会で敗退して陰で涙しながらも直後に来年に向けて{/netabare} 部員に名演説で発破をかける気丈さも持ち合わせていましたし。

ですがアニメにて{netabare} 自らの落選も顧みず「これが今の北宇治のベストメンバーです!」{/netabare} などと部員を鼓舞する久美子の勇姿を見て、
私は、この部長最強だわと脱帽しました。
この点でも第12回の原作改変は計算し尽くされた鬼の一手だったと思います。


そんな久美子を慕い続ける久石奏もまた原作以上の後輩キャラとして期待通り魅せてくれました。
加えて、アニメ3期では釜屋つばめも効いていました。
黄前部長のポジションを取らないでと白眼視される感じで孤立する真由を支え続けてくれた親友つばめ。
3期に先立って、つばめをピックアップしたアンコン編を公開したのは、
単なる準備運動ではなく、意図して組み込んだシリーズ構成だったのだと思います。


【声優 5.0点】
転校生・黒江 真由役には戸松 遥さん。
“ラスボス”あすか先輩役が寿 美菜子さんだったので、
真由は同じスフィアの、豊崎 愛生さん辺りかな?と私は妄想していましたが、
とまっちゃんでした。

その戸松さん。アフレコでは通常、各話ごとに台本を渡される。
“北宇治カルテット”などメインキャストに至っては原作閲覧禁止令まで出される中(※1)、
戸松さんだけには、敢えて結末までシナリオを読ませた上で収録に挑ませる鬼方針(※2)
(俺にはアフレコはもちろん、ネタバレ厳禁のプレッシャーにも耐えられないでしょうw)

真由はセリフ自体は穏やかなのに、どこか引っかかる不穏なムードが醸されている。
真由のあの独特な異物感は、先々のシナリオまで織り込んだ戸松さんの繊細な演技と、素材を引き出すディレクションがあってこそ。


そんな真由の危険性に警戒心を隠さない久石奏役の雨宮 天さん。
今回は語尾の発声をコントロールすることで各キャラとの距離感を表現したとのことで。
穏やかな口調で釘を刺す奏ちゃんの真由先輩への毒舌。胃が痛かったですw

戸松さんに、雨宮さん。
言わずもがなな、黄前 久美子役の黒沢 ともよさん、高坂 麗奈役の安済 知佳さん。
この四者の熱演が交錯する第12回はクドいですが、脚本、作画、演技が極まったクライマックスでした。


新一年生役の新キャスト陣。
アニメのネームドキャラは初担当となる上石 弥生役の松田彩音さんらが、
“三馬鹿”トリオでボケとツッコミを繰り広げ、
緊張感が続くドラマの中で貴重な息抜きスポットを提供する。

その松田さんは『ユーフォ』は中学時代に観ていた大好きな作品だったのでとオーディション合格の喜びを語っており。
ここでもアニメシリーズ展開9年という月日の長さを実感します。


【音楽 4.5点】
OP主題歌はTRUEが「ReCoda」で『リズと青い鳥』を除くシリーズ全作完投。
ブラスバンドの音圧に押し負けない声量パワーと、
作品の細かい要素まで取り込む歌詞でシリーズを支え続けたTRUEさん。
「ReCoda」もまた終盤になるにつれ“後悔も喜びも全部歌に”する意義を噛みしめることができる作品解像度の高い良曲でした。
OPアニメも、卒業した先輩も含めて勢揃いしていく構成が素晴らしいです。

ED主題歌も北宇治カルテットが「音色の彼方」でTVアニメ全3期完走。
1期、2期では楽しげなメロディで和ませてくれた同カルテットですが、
3期では中学テニス部時代の葉月など貴重な過去カット等と共に、
過去と未来を繋ぐ感動系青春バラードを合唱。
こちらも余韻が残る良作なのですが、本編で負ったダメージを楽しさで上書きするタイプではないのも事実。
ここは、{netabare} ソリだけにソリを滑って覇を競うw{/netabare} など何があってもボケ倒すエンドカードに丸投げの方向でw


劇伴担当もシリーズお馴染みの松田 彬人氏。
作中演奏シーンこそ少なかったですが、
神経をざわつかせるような松田氏の心情曲群にはゾクゾクさせられました。

松田氏は、作中コンクール自由曲「一年の詩~吹奏楽のための」も戸川ヒデアキ名義で作曲。
春夏秋冬を多彩なメロディで表現する構成は、久美子の北宇治3年間の回想劇にマッチ。
作中やPV等で流れていたあのメロディも「一年の詩」だったのかとの驚きも、
最後の演奏シーンの集大成感を出す一助に。

ラスト結果発表時に、久美子1年時からの歴代コンクール自由曲や「響け!ユーフォニアム」のフレーズを散りばめていく演出も粋でした。

ただ、今回、私はサントラCDは購入しないと思います。
『ユーフォ』サントラもサブスク配信される時代になり、
「一年の詩」も放送翌日に即配信開始されているというのもありますが。
何より今回のサントラには(※核心的ネタバレ){netabare} 久美子&麗奈ソリver.のifも府大会ver.も補完されないからです。
(1期サントラでは香織先輩ソロバーションの「三日月の舞」という救済策もあったのに)
単に収録してないだけの可能性もありますが、各種コラボ、キャンペーンと商魂たくましい最近の京アニを見るに、
天邪鬼な私は、久美子&麗奈ソリを後々の商品展開の切り札に温存しているのではと穿った見方をしてしまいましてw{/netabare}

邪念もあって今回は4.5点止まりということでご容赦下さい。


【付記】
3期も色々と波乱もありましたが、初回から本気モードで視聴するに値する名作でした。
3期連続お気に入り棚直行の作品で、シリーズを締めくくって頂き、
スタッフ・キャスト陣には心から感謝致します。

初回放送の高揚感に居ても立ってもいられず、
この春、私は花見も兼ねて4年半ぶりに宇治へ聖地巡礼にも行って参りました。
久々に見る宇治は変わらぬ所もあり、変わっている所もあり。

アニメ3期もまた、例えばラスト、{netabare} 片付けられたコロナ対策用の?アクリル板{/netabare} など、
移り変わる時代を切り取った“記録映像”としての価値も有した作品でした。
数年後、未来には無くなっているであろう青春の情景を思い出しながら懐かしむのもまた一興。

『響け!ユーフォニアム』
私にとっても特別で何時までも色褪せない名シリーズです。


【参考文献】(※1)「月刊Newtype」2024年7月号
(※2)Febri「『 響け!ユーフォニアム3』 戸松遥に聞いた黒江真由との向き合いかた」


以下、過去話感想。長くなるのでタグに折りたたみ。

【第12回感想】一生忘れられない恐るべきアニオリ回
{netabare}
今月10日発売された「月刊Newtype」7月号。
特集は『響け!ユーフォニアム3』
表紙を飾った“くみれい”の付録ポスターを壁に貼って、悶えながら拝読したスタッフ、キャストインタビュー。

総じてスタッフたちは、久美子は1年生編にて、親友の麗奈と香織先輩がソロを争った際、上手い麗奈が吹くべきだと主張した。
その久美子が今度は部長として、実力が拮抗した真由と、麗奈と吹くソリの座を巡って、似たような立場に置かれる。
このことを想像以上に意識されているなと感じました。
香織を応援していた“リボン先輩”と対になるとスタッフが捉えている
奏は3期でこそ面白いと再認識もしました。

よって、今回、久美子と真由のソロオーディションを深堀りしたアニオリ回自体は想定した構成でしたし、楽しみでもありました。
ですが、内容は私の想像を遥かに越える衝撃回でした。

正直、久美子3年生編原作では、1期、2期ほどの名場面は生まれないと高をくくっていましたが、
ここに来て、響き過ぎて、感情の整理が追い付かないほどの物をぶっこまれました。
脚本・花田 十輝氏、恐るべしです。
{netabare}
甲乙付け難い久美子と真由を部員の前で再オーディションし多数決でソロを選出する。
ここまでなら、麗奈VS香織の再現。
ですが今回えげつなかったのは、久美子部長から滝先生への提案により、
オーディション時、幕で奏者の顔を隠し、音の優劣のみで選択を迫ったこと。
しかも、それを部員たちだけではなく、視聴者にも強いるのが徹底的でした。

ここまで、私も毎回胃が痛い~wとか感想を述べて来ましたが、
言うて、所詮、視聴者は部外者。青春劇を高みから見物するお気楽な立場でした。
ですが、今回の顔隠しオーディション体験により、視聴者も当事者目線に引きずり込まれ、
防具なしで青春の痛みの直撃を受けることとなりました。

そのオーディション、私も全集中で聞き入りました。
親友の麗奈には遠く及びませんが、私もシリーズサントラを聴き込んで来たからなのか、どちらが久美子の音かは、すぐに分かりました。

真由は指揮者の要求や相手のリズムを掴むのが上手いが、悪く言えば冷淡さも感じる、コンクールで点数が取れそうな奏者。
久美子は優柔不断かもしれないが優しく心が温まる音色。

もっとも、そんなユーフォ聞き分けの無駄スキルが無くとも、
どちらの音が良いか挙手した部員の顔ぶれでヒントは十分ですが。

で、結局、
(※核心的ネタバレ){netabare} 部員の票が割れ、最後の一票を託されたドラムメジャー麗奈が、
久美子の音だと分かった上で、より上手いと思った真由を選び、
原作と異なる、まさかの久美子敗北で決着。
その夜、麗奈は久美子を大吉山に呼び出し謝罪。
麗奈は正しいと強がっていた久美子も、最後は死ぬほど悔しいと号泣する。

多くの視聴者もどうせ最後は久美子と麗奈がソリで思い出作って大団円なんでしょ?と予想していたでしょうし、
原作組の私としても、進路選びの整理が付いた久美子が、晴れやかな顔でソリを吹くと信じて疑いませんでした。

ですが、リアリティを突き詰めれば、音楽に関しては音大に進学せず、奏者としてはここまでにしておこうとした程度の久美子が、
気持ちの整理くらいで、常勝・清良女子のコンクールメンバーの真由に簡単に勝てるわけがない。
実力主義を謳う久美子部長の姿勢を支持しながら、久美子がソリ吹かないなんてあってはならないと思ってしまう読者心理と、それに応えた原作プロットってまあまあ矛盾していまして。

こうした原作に残った、私が嫌いでレビューでは基本NGワードにしている言葉を敢えて使えば“ご都合主義”を徹底排除して、
久美子が見てみぬふりしていた真由の心理同様、読者が見てみぬふりしてきた諸々をえぐり出して、
青春の痛切で視聴者を張り倒したのが、今回のアニオリだったのだと思います。

私も、骨太シナリオに、殴り倒された後、整理して振り返ると、
今回の顛末に向けた伏線も着実に仕込まれていましたし、実に“正しい”プロット。
好きか嫌いかは別として、率直に言うと私は悔しいけど、かなり好きって感じですが、
このエピソードで3期も間違いなく名作に昇華したと感じました。
ラスト1回。お気に入り棚空けて待っています。{/netabare} {/netabare}


これ以上、放心状態で書き連ねてもまとまらないので、今回はこの辺で勘弁して下さい。{/netabare}

【第11回感想】窓は間もなく開け放たれるであろう
{netabare}
ネット、SNS上のユーフォ界隈には“くみれいの日”という#(ハッシュタグ)があります。
9月30日に語呂を合わせて、久美子&麗奈のイラストやらを投稿して、カップリングの尊さを称えようという現象なのですが。
今回のエピソードは、{netabare} 大好きのハグするは、別々の道に進むなら今ここで終わりにしてと麗奈が“乙女心”を爆発させるは。
余談ですが、前回、冗談交じりに麗奈の海外留学言い当てた、あすか先輩怖すぎですw{/netabare}
例年より3ヶ月早く“くみれいの日”が来たんじゃないか?ってくらい、くみれいモリモリで、どうもごちそうさまでしたという心境です。


私も、くみれいに悶えるのもいい加減にしてwそろそろ本題を。
{netabare}
第7回の盆休みシーン。アニメスタッフが原作から敢えて削った、
3日目、音大進学した、みぞれの演奏会。
スタッフは、やはり、この久美子が進路を見出していく重要局面で、スライドして使って来ました。

私が、みぞれ登場を確信していたのは、
3期に先立ち公開された『アンコン編』
みぞれが久美子に「窓開けるのが上手で嬉しかった」と謎の言動を残すシーンを、妙に詳細に映像化していたから。

窓を開けるのが上手いとは、換言すれば、他人の心を開くのが上手いということだと解釈できます。
表面上は、久美子が何を言われているのか意味不明な、
みぞれの不思議ちゃんな生態が強調されるあのシーン。
私は、みぞれが久美子自身も気がついていない良さに気がついていることを示唆する重要シーンとして、
3期で必ず伏線回収してくると、脳裏に焼き付けていました。

今回の音大演奏会後、アニオリで久美子が、みぞれ先輩と同じ音大に入ったらどう思うか?と尋ね、
みぞれに、そんな姿、想像できないとキッパリ言われる件。
このやりとりが『アンコン編』の、みぞれと久美子の会話と対になっていると思われ。

要は久美子は楽器吹くより、人の心の窓を開ける道に進みなさいと、みじょれ氏はおっしゃっているのではないでしょうか。


今回は、みどり氏からも「今の毎日は種蒔きみたいなもので、まだ知らない未来の楽しみをいっぱい色んな所に埋めているようなものなんじゃないかな?」との金言も賜りました。
私は、これがもしかして、先日触れた、石原監督に、みどりの、このセリフが本作のテーマですと明かされたというひと言なのではないか?と思えるくらい青春の核心を突いていたと感銘を受けました。{/netabare}


周囲の人々の忠言にも恵まれ、難航していた久美子の進路選びにも道筋が見えて来ました。
久美子が本当の意味で音楽を奏でるクライマックスへ向けて抜群の手応えで、物語は最終盤を迎えます。

窓は間もなく開け放たれるであろう。{/netabare}

【第10回感想】やっぱり『ユーフォ』の“ラスボス”はあすか先輩しかいません
{netabare}
次の大会を前にギスギスが極まる北宇治。
万策尽きた久美子は、2年生編『~誓いのフィナーレ』にて、
あすか先輩から受け取ったひまわりの絵葉書“魔法のチケット”を行使して助言を求めに行く。

ここに来て、原作からの改変も大きくなってきている3期。
“魔法のチケット”も、そして{netabare} 久美子部長の演説{/netabare} も、原作よりタイミングを前倒して、内容も変更しての展開。

尺の都合?と戸惑う向きもあるようですが、
私は原作者・武田 綾乃氏がアニオリの脚本、構成を“誘っている”部分も大きいと捉えています。
小説家として、自作のアニメ化には刺激は受けるけど、アニメ化の台本なんて断じて書かない。
素材は提供するけど、映像作品として料理するのはあくまでアニメスタッフでしょう。

そう言わんばかりに、この先の原作部分は、そのままアニメ化するには、ますます流用し辛い構成になっていて、
それでいて、アニオリで掘り下げたくなるような要素が盛られています。

今回、決意を固めた久美子は1期12話アニオリ回の如く、再び走り出しましたが、
これはあたかも、原作者が投げかけた素材を、オリジナルも交えた全力のアニメ化で打ち返してやるとの、
スタッフの宣戦布告にも思えました。
今後の原作改変、私は結構ワクワクしています。


で、あすか先輩について。
{netabare} 要は久美子はもっとワガママに自分の思う所を語れば良いとの忠言でしたが、
そこへ導く過程で、久美子の良い子の皮を容赦なくペリペリ剥がして行くあたりが、流石のラスボスぶり。

2年生編の奏は“中ボス”くらいで、3期の真由は“裏ボス”といった感じですが、
やっぱり『ユーフォ』のラスボスはあすか先輩しかいないと再認識。

あすか先輩は2期10話で久美子に自分の心に上がり込まれて、あれだけ言われたことを、
根に持っているのとも、恩に感じているとも違う、“響かされた”ことをずっと覚えていて。
“魔法のチケット”渡したのは、後輩への助け舟というだけでなく、
いつか響き返してやるとの執念にも思えました。
ラスボスはただでは倒されません。

それ以上に原作未読組には衝撃と思われるのが、
香織先輩とあすか先輩のルームシェア。

香織は、あすかのことを特別と思っていますが、
あすかは、かつて、香織のソロオーディション前にも駆けつけなかった。
むしろ、とかく悪役になってしまう、あすかとは反対に、
周囲にナチュラルに良い子と捉えられてしまう香織の天使ぶりに対して、
あすかは、含むところがあるそぶりすら見せてきた。

あすか先輩にズケズケと論評され蜂の巣になる久美子に対して、
香織は響き合っていて「羨ましい」とこぼしますが、
ルームシェア後も相変わらず、香織とあすかは付かず離れずの距離感なのでしょう。

そんな二人がどうして同居を?
気になる方は、原作シリーズの短編集『~北宇治高校吹奏楽部のホントの話』「だけど、あのとき」に、
事の仔細が記されているので、おさらいして悶えましょう。{/netabare} {/netabare}

【第9回感想】空気読解力高過ぎな久石奏の独自目線
{netabare}
いよいよ本格的なギスギスモードに突入した北宇治。
顧問・滝先生への疑念が広がる中、
ドラムメジャー・麗奈はついに“滝先生パトロール”まで始め、
副部長・秀一は“元カノ”久美子の苦境を前に、後輩が困惑する位ふて腐れる。
間に挟まれた部長・久美子は自分の気持ちすら整理できずいっぱいっぱい。

各々、自分は正しいつもりでも、自愛や他愛が瞳を曇らせているとは言い切れない難局。
そして、ついに訪れた{netabare} 麗奈の“部長失格”口撃による、くみれいの破局。{/netabare}
ここまで、アニメでも、くみれい描写が凝っていただけに、
私は原作で分かっていてガード固めていたにも関わらず、痛みに悶絶しました。


初回感想にて、私が注目キャラの一人として挙げた久石奏。
ここまでは求くんに対する月永くん口撃が不発に終わり狼狽えるテンプレなどネタも目立っていた印象w
(因みにネット、SNSのユーフォ界隈には、奏と求の恋仲を妄想して同人誌まで出すクラスターが実在しており、
3期はかなりの燃料投下となったと思われますw)

ですが、部の波乱に呼応して、そろそろ奏も本領発揮。
奏は中学時代、部の空気に傷つけられた過去から、
空気を読み解いてポジション取りすることに細心の注意を払って来た娘。
今回の事態に対しても奏は、{netabare} 自らもオーディション落選しながら、{/netabare} 客観的にあり得た話と、広い視野で状況を俯瞰。

久美子部長に見えていない物が奏には見えていますし、
久美子が親友・麗奈や“元カレ”秀一にも言えないことを奏の毒舌の前では言えている。
2年生編の奏は、小悪魔系“中ボス”位の印象でしたが、
3年生編の奏は、鬼の空気読解力を誇る良キャラに化けた、私の中で評価が一番上った人物。

空気読んで色々我慢して立ち回っている奏にとっては、
空気など我関せず振る舞う存在とは相性が悪く、つい毒づいてしまいがち。
求に月永呼びで、ちょっかいを出して来たのも、そのためでしょう。

そんな奏にとっては真由は天敵。
ここまで奏は真由に対しても“ジャブ”口撃を仕掛けていますが、
対・真由への毒舌は、じゃれ合いレベルの?求くんに対するからかいとは比較にならない、
本気の警戒心から来る物。

この先、アニメでも、奏の真由に対する見解が明かされると思われますが、
私にとっては、そう捉えるのか!?と衝撃を受けたシーンだったので、
映像化の時を震えて待ちたいです。


ところで、来る6月27日。
原作小説シリーズ、久々の新刊として、
久美子3年生編の一年のエピソードを描いた短編集『~北宇治高校吹奏楽部のみんなの話』が発売されます。
ファンとしてはそそる要素ばかりの商品紹介文が踊る中、
私が一番惹き付けられるのが“久美子を慕う奏の視点で一年を描いた物語”の一文。

アニメでも小説でも奏ビジョンには要注目です。{/netabare}

【第8回感想】見えてなかった見たくなかった物に直面する痛みと共に修羅の門が開く
{netabare}
『ユーフォ』3期で特徴的なのは、敢えて深堀りしないで放置しておいた事が、
不意に問題として沸いて出て来てドラマが展開すること。
言い方は妙ですが伏線を張らないことが伏線になっているような脚本、演出なのだと思います。

合宿回となった8話では、久美子がもしかしたら真由に演奏で負けるかもしれないという見たくない現実を、
真由に無邪気に突きつけられて久美子が苛立つ。
久美子は大丈夫なのか?と指摘して来る麗奈や奏を通じて、
集中して音楽に向き合えていない久美子の危ない部分を見える化して空気を重量化していく。

知らなくて良い事もあると蓋をしようとして後になって事態が悪化するのは、
後輩集団欠席回となった3話でも示唆された“黄前政権”の負の傾向。
今回はその短所がいよいよメインストーリーの波乱として噴出する入り口になると思われます。
胃痛に苦しむユーフォ民の皆様。ここからがいよいよ本当の地獄でありますw


ここまでまともな合奏シーンがほとんどない点も3期の特徴。
いや、もっと言えば、先立って公開されたOVA『アンコン編』から、
本格的な合奏がお預けになっていている状況。

これまで、その原因について私は『アンコン編』レビューでも、
復興途上の京アニの制作体制が整っていないのでは?などと述べて来ましたが、
今回見て、これは合奏シーンをクライマックスのコンクール一発のカタルシスに賭ける全体構成なのだろうと予感しています。

久美子が音楽に、今後、音楽とどう付き合っていくのかという将来の問題を直視しない限り、久美子が本当の意味で演奏することはできないし、
みんなの心がバラバラなままでは真の合奏はできない。

この難局を久美子部長がどう打開していくのかが終盤の注目点です。


ところで、先日の、みどりの日にかこつけて配信された『ユーフォ 』「みどりの日ですぅ~生放送」動画にて、
川島緑輝役の豊田 萌絵さんが収録終了後に石原 立也監督から、
みどりの、とある作中セリフの言葉が本作のテーマですと告げられたというエピソードが私はとても気になっていまして。
豊田さんも、だいぶ先のセリフのため、後で答え合わせしたいとのことですが、
この話聞いて以来、私はみどりへのマークを強化しています。

部員を動物に例える独特の観察眼で本質の一端を示唆してきたみどり。
8話でも“仔犬”をおもんばかる、みどりの背中を凝視して一言一言噛み締める私なのでした。{/netabare}

【第7回感想】音に出そうな久美子の進路の迷い
{netabare}
お盆休み回。

夏休みも練習漬けの北宇治高校吹奏楽部が唯一休める三日間となると、
プールも交えた息抜き水着回との印象を受けますが、私にとっては原作組として結構重要な回になると目していたので、気合を入れて視聴しました。

で、今回、アニメでは原作から大きな改変がありました。
ですが私は不快感はなく、むしろこの先どう仕掛けて来るかがますます楽しみになりました。


この盆休みで久美子の心中を占める進路未定の悩みが深まっていく。
そこはアニメでも原作同様。
違うのは三連休なのに描かれたのが二日間だったということ。
描かれなかった三日目というのが、{netabare} 進むべき道を歩む例の先輩の勇姿を拝む、{/netabare}
進路についても吹っ切れた事例を見せる場面。
ほっと一息付ける三日目を抜いたことで、アニメでは進路を巡る久美子の混迷がより色濃くなっている形。
さらには久美子の過去を映す、写し鏡としての真由も真価を発揮し、
より息が抜けない盆休みが描写された印象。


思えば本シリーズは、原作と京アニが互いに刺激を与えながら高め合って来たコンテンツ。
例えば1期第十二回で“上手くなりたい”気持ちを知る久美子アニオリ回を京アニが投げかければ、
原作者が続編で“上手くなりたい”を後輩に伝える久美子を描写して応える。
そのアニメ化では、京アニがそこをさらに深堀りする。
原作に忠実である以上に、理想的な原作とアニメの特別な関係を構築しているのが『ユーフォ』なのだと私は思っています。

今回観ていてボディーブローのように効いたのが、
第4回、久美子が、過去を引きずる求に、気持ちは演奏に出るよと警告した件。
かく言う久美子。進路の悩みと部長の役割に忙殺される中、
今の久美子は“上手くなりたい”ことに集中できているのでしょうか。

1クールに押し込むため求問題解決を第4回に前倒しただけのように見えて、
換骨奪胎して、より焦点絞って心情を描いていく京アニ版『ユーフォ』。
今回幻となった盆休み三日目の内容。
このスタッフたちなら後々、より効果的な場面で使ってくるのかどうなのか?

原作からの変化も刺激に感じながら、後半戦に挑みたいと思います。
{/netabare}

【第6回感想】“後藤夫妻”の穴をどう埋めるか問題
{netabare}
私見では、吹奏楽は最凶の男女無差別級競技だと思います。
体格的に女子より男子の方が肺活量が大きく、出せる音量の差は明らかなのに、
どの高校もA部門コンクールメンバー枠は55名以内。
あっちは男子校で、こっちは女子多いから枠を増やしてというわけにはいきません。
久美子2年生編にて、{netabare} 関西大会で北宇治が男子校の龍聖に敗れたのはリズムを合わせる技術面よりもパワーの差による所が大きいと私は解釈しています。{/netabare}

編成枠が限られる中で、音の厚みをどうやって確保していくのか?
難題クリアこそが北宇治悲願の全国大会金賞達成の絶対条件であり、
この音量確保の点から大変悩ましいのが、昨年まで在籍していた後藤卓也&長瀬梨子。
特に久美子1年生時には2人で北宇治の低音を支える程の技術とパワーを誇った、
チューバ奏者の穴をどう埋めるかという課題になります。
原作では滝先生が、職員室での幹部との会話の中でこの問題に言及したりもしています。

明確に経験豊富で上手いと言えるチューバが鈴木美玲のみという現状で、
技術ド返しで、取り敢えず大きな音を出せるチューバを突っ込むのか。
単純に他の楽器を減らしてでもチューバの人数を補強するのか。
いずれにせよ、後藤先輩らがいた頃の厚みを再現するのは至難。

この観点から、府大会オーディションの顛末や、今回や今後も含めた滝先生の采配を考察していけば、
方針をあまり説明しない滝先生と一部部員との間に吹き始めた隙間風も含めて、
『ユーフォ』3期がより楽しく、胃痛が伴うw人間ドラマに昇華すると思われます。

今回、驚きのコンクールメンバー起用となった{netabare} 釜屋すずめ。
序盤登場時の元・バスケ部アピールは元気娘キャラを強調するネタというだけではなく、
チューバの穴修復“突貫工事”に必須な肺活量の大きさを示唆する伏線でした。{/netabare}
その他、シリーズ通じて丹念に描かれて来た、チューバ初心者・加藤葉月の成長度はどうかなど、
言葉以外も含めた伏線にもアンテナを張って、滝先生の意図の察知に努めていきたいものです。


【付記】3期は佐々木梓の出番が意外にあって嬉しいのですが、これは六華高校編アニメ化の伏線なのか、『ユーフォ』は3期で完全完結なので、外伝は作りませんという免罪符としての佐々木部長のカット多用なのか。
“立ア会”構成員として、何とも胸がざわつく今日この頃ですw{/netabare}

【第5回感想】私も松本先生に進路を相談してみたかった
{netabare}
あがた祭り回。恐らく3期で一番平和になると思われるエピソードでしょうか(これでw)

そんな中でも、{netabare} 久美子部長ら幹部たちは大会ごとのオーディション導入を決断。
黒江“ママ”先輩は、自撮り困難な旧式フィルムカメラで自分だけが映らない写真を撮り始め、
常に主語が“みんな”であることを強調。
(黒江真由は清良女子の時は“みんな”が喜んでくれるから大会ごとオーディション頑張ったと言いますが、
これって要は“みんな”が喜ばなきゃ受けたくないと言ってるようなもので、だいぶ不穏。)
くみれいは、全国大会で自由曲のユーフォ&トランペットのソリを一緒に吹きたいと、ハイリスクな契を交わす。{/netabare}
などなど地雷埋め込みは着々と進み、私の胃痛が収まることはありませんがw

初回感想にて私の注目キャラの一人に“軍曹”松本美知恵先生を挙げましたが、
個人的に3期で密かに楽しみにしていた先生と久美子の進路相談も始まりました。

松本先生には大会では決まって号泣するため、箱ティッシュを持参しているという原作設定がありますが、
この教師、そこまで思い入れるだけあって、生徒たちのことを本当によく見ています。
彼女に3年連続担任された久美子に至っては、
ある部分では、久美子自身よりも久美子のことを知っているのが松本先生と言っても過言じゃないでしょう。

これは私の勝手な持論かつ、かつての恩師たちの顔に泥を塗るようで申し訳ないですが、
世の高校の進路相談など、高ランク大学合格者実績作りのノルマをこなすための発破をかける営業でしかないと思うのですよ。
少なくとも私のいた凋落一途の進学校はそうでした。

面談だけでなく、集会やホームルームで受験戦争を勝ち抜くための激を飛ばせば飛ばすほど、
生徒のモチベーションは落ち、私より優秀だったはずの同級生がどんどん腐っていく。
挙げ句、進路相談室で、大学パンフめくって志望校選びに悩み続ける生徒たちに、そんなことしていても、勉強せねば点数は上がらないとか言い出す。
何でいつまでも進路決めないのか?って言われても、先生方は営業ばかりで進路の相談なんてしてないでしょ?
と内心腸が煮えくり返る思いでした。

愚痴が長くなりましたが、こうした体験を経た私にとっては、
松本先生の生徒の人生に指針を与えようとする親身な進路相談はとても心に染みるのです。

今回も「迷いを怠けの言い訳にするな」などと警告しつつ、
人生など大抵設計図通り行かないから「考えすぎも良くないぞ」と忠言もする懐の深さ。
何より模試の判定ランクで脅しをかけないのが素晴らしいw

原作通りなら、あと1回以上は示唆に富んだ松本先生の二者面談もあるはずで、
1期から久美子が、周りや果てはサボテンと問答するなどw
シリーズ通じて伏線を張った末に導き出される久美子の進路には感動も覚えるはず。

本シリーズの裏テーマ・久美子の進路、松本先生には今後も要注目です。{/netabare}

【第4回感想】求くん問題一挙解決回の是非
{netabare}
求くん深堀り回。
月永求が龍聖学園との間に抱えた問題及び、
“師匠”緑先輩との関係などに焦点を当てる。

3期では1話分に集中的に描写してきた求くん問題ですが、
原作では、作品内時間をじっくりかけて徐々に氷塊していくお話。
原作未読組の方の中には(※核心的ネタバレ){netabare} 求の姉の死{/netabare} という思いがけない重たい話にビックリされた方もいるかもしれません。
原作では、さらに求くんが{netabare} 滝先生に自らの境遇を重ねた{/netabare} 故の北宇治進学など、
もう少し込み入った経緯もあったりします。
(※核心的ネタバレ){netabare} 緑先輩が求の死んだ姉と似ている{/netabare} などの事情についての緑の理解度についても、原作とアニメでは現状異なります。

原作組の方の中には、求くんのエピソードを1話で一気にというのはやや乱暴に感じられる方もいるかもしれません。
因みに、今回、冒頭から盆でもないのに墓参りシーンから始まるのは、
二学期まで求くん問題を引きずる原作より展開を前倒した影響ですw

ですが私は求くん解決編を前半に持ってきたアニメ3期の全体構成はまずまずの良手だと思います。
これから起こる久美子たちの問題と並行して、後輩の問題まで取り扱うのは、
小説という媒体では繊細な群像劇を堪能できて良いのですが、
毎週放送する1クールアニメでとなると、1週間お預けになる要素が多すぎて、焦点が定まらない懸念もありましたから。

特殊ED{netabare} 「愛の挨拶」コンバスのエチュード。{/netabare}
真っ直ぐに音楽を楽しむ緑を見て、今日も良い回だったなと思えた自分がいましたし。

何より、“立ア会”(立華高校マーチングバンドへようこそのアニメ化を待ち望む市民の会)の一員として、部長となった梓の勇姿も拝めて感無量でしたし。


【付記】第4回放送に先立って、NHKラジオFM「吹奏楽の響き」にて『響け!ユーフォニアム』が特集というより50分丸々『ユーフォ』のお話でした。

長年、本シリーズの吹奏楽演奏を提供してきた洗足学園音楽大学教授・大和田先生はお馴染みとして、
ユーフォニアム奏者担当すなわち久美子の奏者としての“中の人”丸山 奈央さんのお話も聞けたのも貴重でした。

芸術文化番組を数多く抱えるNHKならではの番組を横断する『ユーフォ』アピール。
フル尺の楽曲紹介もあるので、
聴き逃し配信。作業用BGMなどにいかがでしょうか。{/netabare}

【第3回感想】強豪校に変貌しつつある北宇治が得る物と失われていく物……。
{netabare}
原作『最終楽章』は前後編。3話でその前編中盤のヤマ場に到達。
{netabare} 1年生たち4人の集団欠席{/netabare} を通じて、
全国金賞に向けて突き進む北宇治から失われていく、
楽しく部活する空気にスポットライトを当てて、
痛みと共に北宇治が着実に強くなっていることを噛み締める良エピソード。

私は、ここを3期の試金石と目していましたが、
部内の異変を察知した久美子部長の動揺を、
松田 彬人氏による劇伴の変調と、傾くアングルも駆使して好表現。

原作消化も1クールで収まる順調なペース。
ここまで飛ばした場面もありつつも、終盤クライマックスでは掘り下げるだけの尺を確保しながら、
ヒタヒタと伏線も仕込まれており、爆発したらどうなることか戦々恐々ですw


視聴者の中には麗奈の“鬼軍曹”ぶりが行き過ぎと感じた方もいるかもしれないので、麗奈推しとして多少の擁護を。

顧問の滝先生が就任した際、述べた方針は、生徒の自主性を重んじる。
振り返れば、久美子1年生時、マーチング練習で激を飛ばしていたのは“軍曹先生”松本であり、
滝先生自らも技術不足を指弾して部員を泣かせたりしていました。

それが今や生徒たち自身が指導役までこなして、北宇治は自主的に上手くなる組織へと進化しつつあります。
今回の部内のヒリヒリした空気も、吹奏楽強豪校の伝統の萌芽とポジティブに捉えることもできると思います。

ですが北宇治の伝統確立はまだ道半ば。
原作シリーズには久美子中学時代の同級生・佐々木梓を主役に、
マーチング強豪校・立華高校(※アニメでは六華)の青春を描いた
『立華高校マーチングバンドへようこそ』がありますが、
そこで描かれる確立された伝統校のスパルタぶりは麗奈なんてもんじゃない鬼っぷり。
練習中泣き出した子に対して麗奈は{netabare}一旦、列から外れるように指示しましたが、{/netabare}
立華は、{netabare} 泣いたら上手くなるわけ?とさらに追い打ちをかけますw{/netabare}

誰も見捨てたくない久美子も、麗奈だってまだまだ成長途上。
何より大人になりたい、なりたいかどうかもイメージしきれていない子供が、
部の幹部として人間にぶつかれば着実にダメージは蓄積していく。

その積み重ねから来る手応えが怖い位ヒシヒシと感じる序盤戦です。{/netabare}

【第2回感想】“ダーク久美子”黒江真由
{netabare}
原作者・武田 綾乃氏は対(ペア)としてキャラを造形する。
冷静で冷めた久美子に、熱く意識が高すぎる麗奈をぶつけて“特別”を意識させる。
適当で面倒臭がりな久美子をカバーする“便利屋”秀一。お似合いの夫婦?
といった具合に各キャラの属性が被らないように“パラメーター”調整しつつ、
凸凹なキャラ同士を人間関係の魔境?w吹奏楽部の中で共鳴させて物語を紡いでいく(※1)

そのため、くみれい、のぞみぞ、なかよし川と、
本シリーズのカップリングは尊さが凄まじいレベルに達するわけですが。

3期より登場する黒江真由は武田 綾乃氏が“ダーク久美子”と“公称”する新キャラ。
久美子が北宇治の吹部で“特別”とも出会わず、上手くなりたいという熱病にも憑かれず。
常に一歩引いた場所で、“良い子”でなぁなぁなまま、楽しく平和ならそれで良いと高校生活を過ごしてきた、もうひとりの久美子が黒江真由(※2)

無邪気に嫌味なく本音をこぼす真由は、うっかり失言メーカー・久美子とはまた違ったタイプの失言王。
鏡面みたいに相手自身の見たくない過去やら自分やらを映し出すピュアな難敵。

そんな真由の片鱗が遺憾なく表現された第2回。
久美子をサポートする幹部、副部長・秀一とドラムメジャー・麗奈もまた、これまで対(ペア)として、
久美子の世界を広げつつも、時に心をざわつかせてきた存在。
幹部トリオの凸凹化学反応の導火線も伏線として着々と張られて黄前政権は波乱ムード?

久美子部長も俺も胃が痛いよw

【参考文献】※1『響け!ユーフォニアム 北宇治高校の吹奏楽部日誌』
※2『劇場版 響け!ユーフォニアム 誓いのフィナーレ 公式ファンブック』
{/netabare}

【初回感想】3期の注目キャラ。久石奏、滝昇、松本美智恵……
{netabare}
原作シリーズ全巻購読済。

初回から特殊OP&EDでシリーズの有終の美を飾りたいという、
スタッフの本気、熱意、悲願が存分に感じられる上々の滑り出しでした。

主人公の久美子部長や、私の推しの麗奈の鬼ドラムメジャーぶりへの期待が膨らむのは当たり前のこととして、
レビュタイにはその他に個人的に原作で良かったので、アニメでも注目したい登場人物を3人挙げさせて頂きました。

個々の注目ポイントについては、おいおい言及するとして、
この観点から初回冒頭、最初に登場するネームドキャラが{netabare} 松本先生{/netabare} という時点で、
私にとっては先頭打者ホームラン級の手応え。

京アニ並びにスタッフたちは、このアニメが何者なのか何者でありたいのかきちんと考えておられます。

正直、先の『アンコン編』位の出来だったら、
まだ京アニもリハビリ途上なので、多少遠慮して観た方が良いのかな?
とも考えていましたが杞憂でした。

これなら序盤からガチ視聴モードで行けそうです。
私も本気で行きます。{/netabare}

投稿 : 2024/09/21
♥ : 47
ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

制作サイドが鬼だと思っても真由のことは嫌いにならないでください(笑)

武田綾乃による原作小説は、宝島社文庫(宝島社)で刊行中(既刊11巻、原作未読)。
アニメ3期は、全13話(2024年)。監督は、『日常』、『中二病でも恋がしたい!』などの石原立也。制作は、『氷菓』、『けいおん!』シリーズなどの京都アニメーション。
(2024.7.5投稿 7.28一部加筆修正)

人気作しかも続きものの3期ということで、今更紹介する必要もないと思うので、観た前提で感想のみ書いていこうと思います。

観てない方は、是非1期から観てください!


【制作サイドが鬼だと思っても真由のことは嫌いにならないでください(笑)(※ネタバレ有りの感想)】
{netabare}3期のポイントは、なんといっても3年春に吹奏楽の強豪校・清良女子から転校してきた黒江真由(CV.戸松遥)の存在でしょう。

主人公・黄前久美子(CV.黒沢ともよ)と同じユーフォニアム担当、最後のコンクールとなる同じ3年生、圧倒的な才能を感じさせる印象的な初登場シーン、久美子の金色と違う色である銀色のユーフォニアム。

最終的な結末が全国金賞になることは、ある意味『ONEPIECE』でルフィが最後にワンピースを見つけるのと同じ予定調和でしょうから、もう一つの焦点であるトランペット担当で親友の高坂麗奈(CV.安済知佳)とのソロを久美子が一緒にできるか、そこに強烈なライバルの登場です。

この真由という存在、すごく難しい。キャラ本人も終始気にしていましたが、他の部員にも嫌われますが、本作のファンで久美子が嫌いな人はいないでしょうから、視聴者にも嫌われる(笑)

しかも、私はあなたが望むならソロをいつでも辞退するという発言は、作中で久石奏(CV.雨宮天)が突っ込んでましたが、自分の方が実力は上だという自負からくる言葉でもあるので、本心から久美子を気遣っての言葉だとは思うのですが、基本的に上から目線なんですよね(笑)

もっとも、真由は、本作の結末に向けた予定調和をぶち壊すだけではなく、本作の一つのテーマであった「実力主義とそれがもたらす悪い雰囲気との葛藤」と、「久美子の進路」に対して説得力を付与する重要なキャラクターだったと思いました。


【実力主義とそれがもたらす悪い雰囲気との葛藤】
「上手い人が吹くべきだ」というのは、久美子や麗奈が下級生のときからずっと思ってきたことです。でも、それが最上級生になって、最後のコンクールでポッと出の転校生に今まで部内でコツコツ築いてきた立場をいきなり奪われたとしても貫けるのか。

ある意味、視聴者は、そんな展開望んでない。でも、彼女たちの信念は自分たちがコンクールに出るための建前なんかじゃなくて本気だったことを示すための試金石、それが真由という存在だった。
だから、そんな久美子たちの覚悟(あすか先輩のいう“わがまま”)を試すようなキャラをあえて出してきた制作サイドが鬼だと思っても、真由のことは嫌いにならないであげてください(笑)

また、12話のオーディション結果を受けて、久美子が「これが今の北宇治のベストメンバーです」と言ったことにも説得力が増します。


そして、私は、真由という存在をあえて登場させたのであれば、最終的に久美子を勝たせて、彼女を引き立てる役で真由を終わらせるべきではないと思うのです。

『響け!ユーフォニアム』が久美子と麗奈の話であるなら、真由は「引き立て役」なのが正解だと思います。
しかし、本作は、彼女たちだけの話ではなくて、北宇治の吹奏楽部に関わってきた3年間の部員たちのそれぞれにスポットを当てた、それぞれが主人公の群像劇だと私は捉えています。だから、緑とか奏とか各キャラに生き生きとした魅力があった。
そうだとすれば、真由自身も誰かの存在を前提とした存在(脇役)ではなくて、一人の等身大の高校生(主人公)であるべき、そう思うからです。

もっとも、そう描いた方が「お話としてきれい」、一貫性がある、筋が通るというだけの話であって、そうじゃなきゃアカンとまでは思いません。


【久美子の進路】
さて、最後のユーフォニアムのソロオーディションのシーン。私、3回聴き直しましたが(笑)、1回目の方がトランペットとうまく調和していると感じました(耳に全く自信はありませんが、相手の感性に合わせられるのは、同じような感性がないと出来ないので才能だと思います。)

あのシーン、麗奈も言ってましたが、聴く人が聴けば誰が吹いているのかわかると思うんです。現に久美子の方がいいといっていた塚本や奏は揃って2回目に手を挙げていましたから。
そうすると、どちらが吹いていたか分かっていた麗奈も私情を捨てて1回目の方がいいと判断していたくらいなので、投票結果は僅差になってましたが、実際は、「真由の方が実力は上だった」のだと思います。

これが久美子が音大に行かず、高校教員に進路を決める決定打というか、そういうストーリー展開にした説得力にもなっていると思うんですよ。
(※この辺が色々と忖度した結果なのかオブラートにくるみすぎで、すごくわかり難くなっている。
わかりやすくするためにあえて単純にいうなら、久美子は、突然入ってきた転校生に努力では越えられない才能の壁を見せつけられて、薄々感じていた自分の才能の限界に気づいてしまった。
これを裏付けるかのように、音大に通っている才能のあった高校の先輩に「あなたと一緒に演奏するところは想像できない」といわれて、一瞬残念そうな反応をした後に、久美子は「そうですよね」と受け入れています。また、「死ぬほど悔しい」のなら、ソロオーディションの前に死ぬほど練習すればよかったと思うわけですが、そういう描写がなぜないのか。どっちも引き下がっている。
それは真由の方が才能があったと考えると色々としっくりくる。視聴者が観たいものを観せず、リアルを突きつけてくるわけですから、残酷だとは思いますし、だから、わかりづらくしているとも思います。)

久美子自身を特別な才能を持った存在として描きたいなら、特別な才能を持つ麗奈とソロを一緒にやって、音大にも行くという流れになるのでしょう。しかし、アニメでは、そうしなかった(※原作では第12話のソロオーディションの結果がアニメと逆のようです。)。

だから、アニメ製作者サイドは、久美子を特別な才能を持たない、あくまで視聴者に寄り添う、等身大の「普通の人」として描きたかったんだろうなと。
つまり、久美子は特別な存在なんかじゃないんだから、あなたも久美子みたいに一生懸命に何かに打ち込めば、きっと久美子みたいな素敵な青春を送れるよ!という視聴者を激励するメッセージがそこに込められていると思うわけです(私の青春はもう既に終わっていますが(笑))。

「普通の人」の話(実際にそうかどうかは置いておきます)で、あれだけの感動作なのですから、本当にすごい作品だと思います。


※賛否あるところについて、私は、仮に真由を登場させなかったのなら、久美子と麗奈がソロをして全国金賞をとる世界線で良かったと思いますし、それが視聴者が最も望んでいた結末だとも思います。
しかし、真由を登場させてしまった以上は、「ファンの立場を抜きにすれば」、真由が久美子に勝つ世界線の方が物語として全体的に筋が通ると思っています。
おかしな話と思うかもしれませんが、私は、ある意味、今まで書いてきた理由でアニメは原作以上に原作に忠実であったとすら思うので、京アニの選択を尊重したいと思います。{/netabare}


【黒江真由について思うこと(※2024.7.7追記)】
{netabare}個人的には、つかみどころがなくて真由の存在にすごい違和感がありました。

その一番の理由は、真由が久美子に対して執拗にソロを辞退すると言うところ。
真由が本当にみんなと楽しく演奏したいと「だけ」思っていたのであれば、久美子本人に直接それを言って久美子とギクシャクする必要がない。例えば、真由が滝先生に直接事情を説明して、オーディションは受けるけどソロに選ばないでくださいと言ってスマートに身を引けば済む話。
だから、真由が「物語の都合でわざわざ波風立てるように敢えてソロを譲ろうかと久美子に言っているわけではないという理由が必要」なんです。これがないと、ただの嫌味なやつに見えてしまう。でも、12話のエピソードから考えれば、真由はそういう悪女ではないし、自分の演奏にも相当のプライドをもっている
まあ、途中で転校してきて、いきなり本音で語り合えるような仲にはなれないでしょうから、お互いに向き合うのが遅すぎたというエクスキューズはできますが、もうちょっと真由の内心を小出しにしても良かったんじゃないかなあと。もっとも、真由がずっと意味ありげな行動をしているので(特にカメラの件)、早急に答えを求めず答え合わせをする感じで見直すとジワっと来そうではあります。

あと、久美子と真由の実力は、本当に紙一重の差だったんでしょうか。少なくとも真由が久美子より実力が上でないと、ソロを譲る譲らないという話自体が成立しない(お互いに確信まではなくても、そうなのかもしれないというくらいの共通認識がないと成立しない話だと思うのです。)。だから、本当に紙一重なのか疑問が生じる。現にアニメだと麗奈は、はっきりと二人の実力差を感じている。
だから、滝先生が二人の実力差を感じていないのに、麗奈がそこまで実力差を感じた理由も本来は必要になる。しかも、全国金を取るため、滝先生を信じると麗奈が言っていたにも関わらずなんですよね。

なので、個人的には、物語としての真由の存在理由は理解できても、どうしても久美子のライバルとして用意された感じがしたので、キャラの描き方として完成度が高いと思えなかった。私は、オーディションの結果は、上で書いたように本作のより大きなテーマにリンクするのでアニメの結果でいいと思っています。が、原作小説の結果を変えるなら、余計に3期を通じて、もう少し真由の内面に光を当てるべきだったと思うんですよ(真由に対する風当たりがより強まるわけなので、視聴者を納得させるためにも、そこに対してもっと配慮が必要だったんじゃないかなと。)。

その辺が、私が本作を物語、キャラ、声優で満点としなかった理由です。キャラの描き方の完成度の問題なので、本作が名作であるという私の評価に変わりはありません。
ただ、真由のキャラクターの描き方の完成度がもっと高ければ、真由の存在がここまで物議を醸すこともなかったと思います。{/netabare}

投稿 : 2024/09/21
♥ : 19
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

良くも悪くも「女子(JC・JK)」という生き物を生々しく描いている

【レビューNo.134】(初回登録:2024/7/14)
小説原作で2024年作品。全13話。
個人的にはそこまで好きな作品ではなかったのですが、ここで交流あるレビュ
アーさんは本作ファンの方が多く、またレビューを書き始めて価値観が変化し
たこともあり、今一度きちんと視聴してみようかと。

(ストーリー)
黄前久美子が入学した京都府立北宇治高校は、10年ほど前まで吹奏楽の強豪校
だったが、現在はすっかり落ちぶれていた。
そんな吹奏楽部に久美子は級友たちの誘いを断りきれず入部する。
新しい顧問の滝昇の元、全国大会出場を目指す選択をした吹奏楽部は紆余曲折
を経て力をつけていく。
そして久美子も3年生に進級、同部の部長にもなり「全国・金」を目指す最終
楽章が始まるのだった。

(評 価)
・良くも悪くも「女子(JC・JK)」という生き物を生々しく描いている
 {netabare}例えば『この音とまれ!』と比べても「女子社会」が前面に描かれている感
 があり、この辺りがあまり好きになれない理由なんですよね。
 でもそこに嫌悪感を覚えるということは、それだけ「女子」という生き物を
 生々しく描いているという一種の誉め言葉でもあるわけで・・・

 例えば今作だと細かいところですが、水着回で久美子と麗奈が水着の一部を
 交換してる描写があるのですが、個人的には微笑ましいというよりキモイと
 いうのが率直な感想です。
 でも”そういうところで連帯感を深めたい”という男性には謎ですが、
 「『女子』とはそういう生き物だぞ!」
 と言われると妙に説得力があるんですよね。
 (よく言われる「トイレに一緒に行こう」的なw
  この「女子(JC・JK)」という年代がまた絶妙なんですよね)

 本編でも今作から転校生・黒江真由が登場しますが、これも表面上の言動だ
 けを追いかけていると
 「地雷を踏まずにはいられないサイコパスか?!」
 という酷いキャラ造形ですが、彼女がそういう言動に至る背景が見えてくる
 と、「女子社会での処世術」みたいなものが巧みに織り込まれており
 「これだから女子の世界は!」
 と思わず唸ってしまうんですよね。
 しかも今回真由は同じユーフォの久美子や奏への刺客的な役割も担っており、
 真由の存在によりこの2人が割を食うという・・・
 2人にとってはある意味
 「1,2年越しに”特大ブーメラン”が返ってきた」
 ともいうべき展開で、これには思わず
 「ここまでの壮大な伏線とは・・・この原作者天才かよ!!」
 いやーこれは見事な仕掛けでした。
 (絶対にどこかで爆発させてやろうと狙ってたよねw)
 また1期冒頭で麗奈が味わった「死ぬほど悔しい!」をここで久美子に回収さ
 せたのもホント上手かったなあっと。{/netabare}

・意外とあっさりと終わった最終話
 {netabare}個人的には卒業に対し、もっと何らかの描写があるものと思っていたので、
 最終話の拡大放送や全国大会もお預けで「続きは劇場版で!」みたいな展開
 も予想していたのですが、意外とあっさり終わったなっと。
 ただ「久美子2連敗」というアニオリ改変がなされたということで
 「全国大会での”久美子&麗奈のソリ共演”という見せ場がなくなった」
 ことも影響しているのかも。
 勿体ぶってスカスカの劇場版を上映するよりは、ここで完結させたのはいい
 判断だったのでは。
 きちんと久美子の進路まで描いてくれたしね。
 これは予想通り、一番収まるべきところに収まったという感じでしたね。
 まあ回想が多かったのは(本当の最後という)ご愛敬ですかねw
 (単に作画カロリーを減らしたかったのか・・・){/netabare}

・塚本副部長はツライよ他
 {netabare}個人的には塚本副部長の(作中の)雑な扱いを含め、「女子優位の部活の実
 態」っぽく結構楽しんでみてましたね。
 本作では女子幹部の尻に敷かれる展開ばかりで、麗奈からは「仏の副部長」
 を責められる描写も・・・
 「イヤイヤ、お前が『正論モンスター』で部員を抑え込もうとするから」
 組織運営上塚本副部長はそういう立ち回わりをせざるを得ないよね。
 本作ではあまり描かれていないですが、見えないところでは頑張っていたに
 違いないと私だけは褒めてあげようかとw

 細かいところでは久美子の演説が関西大会直前だったのは、ちょっと納得で
 きなかったかな。
 ・オーディション結果等、部員の不満は最高潮
  (このままでは関西大会前に部は空中分解するかも)
 ・大会の数日前にあすか先輩に相談 → 気付きを得る
 ・場面は関西大会直前へワープ、久美子さん演説を始める
  → ええ―――っ、この問題を放置したまま関西大会は乗り切れないみた
    いな描写はなんだったのか?!
    (この数日、部の雰囲気はどういう状態だったの?)
 あすか先輩の登場等ここまでの緻密な積み上げが完璧だっただけに、「何故
 このタイミング?!」という違和感が凄かったですね。
 (相談の翌日に早急に演説、数日で部のムードを立て直し、関西大会へ挑む
  が自然な流れだろうっと。)
 その後の展開で更なる本丸が用意されていたので、ここで尺を取る訳にはい
 かなかったのかなあっと、構成都合と割り切ることにしましたが・・・

 あと滝先生は音楽家としては優秀かもしれないですが、教育者としてはどう
 なんだと。
 生徒の自主性を重んじると言えば聞こえがいいが、(部の空気が悪いことに
 は気づいているだろうが)口を開けば「手を止めてる時間がないですよ!」
 とか原因の一端はあなたでしょうにw 
 それに再オーデションで部員による投票とか、(見映えはいいが)顧問とし
 ての責任はどうなんだと。
 ただこの辺は尺の都合というより、ある意味女性作家らしい割り切り方かな
 っと感じましたね。
 (男性作家だと教育者の責任とかを考慮して、先生にそれなりの役割を与え
  てしまい、こうはドライに描けないだろうなっと){/netabare}
    
そんな感じで私の価値観も大分変わったところもあり、今作はかなり楽しめた
感がありますね。
過去作も今見直してみると違った形で見えるんだろうなっと。
「女子」という生き物をここまで生々しく描いている作品はそうそうないと思
うので、なかなか見応えのある作品じゃないでしょうか。
男性作家が描く”青春モノ”とは差別化できており、女性作家らしい感性が随所
にみられる点がなかなかに興味深いですね。

最後に交流あるレビュアーさんからの刺激がなければ、価値観が変わらなかっ
たと思いますので、皆様には感謝ですね。
アザ━━━(*゚∀゚*)ゞ━━━ス!!

投稿 : 2024/09/21
♥ : 26
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