101匹足利尊氏 さんの感想・評価
3.6
【辛口コメント】「壁」の掌の上でどこまで踊ることができるのか
秋元 康氏プロデュースのデジタル声優アイドルグループ
「22/7(ナナブンノニジュウニ)」(ナナニジ)
メディアミックス展開の一翼を担うアニメ化作品。
【物語 3.5点】
センター及びグループの始動・覚醒→(8人のメンバーの個別回)→グループの危機
アイドル物としては無難なシリーズ構成で骨組みは安定。
ただ本作はアイドルのキラキラ感や萌えよりも、
秋元系アイドルに投げ掛けられる種々の疑問に対して、
運営等に矛盾はあるかもしれないが、
個々のメンバーの人生に寄与した側面もある。
という弁明が繰り返されるAKBグループのドキュメンタリー
の如きパターンが組み込まれるため、
そこに折り合えるかどうかがポイントになる。
【作画 3.5点】
各メンバーごとに人気絵師、アニメーター等を当てる豪華なキャラデザ陣。
これらを統括するメインキャラクターデザインは堀口 悠紀子氏。
京都アニメーションとも関わりが深い氏のデザインが再現されたライブシーンでは、
京アニのキャラがCG化して踊っているという感想を抱くかも。
3DCGは適宜、各モデルの動きを散らす等、不気味にならない工夫は見受けられるが、
ライブは手描き勢を沈黙させるほどではない。
私のベストシーンもネタバレレビューを読む で手描きの場面。
(単に推しが藤間桜なだけという説もありw)
【キャラ 4.0点】
ナナニジの現在のメンバー数は8人ではなく11人(経緯は公式等参照)
本作放送前年の4thシングル「何もしてあげられない」からは
歌唱もアニメMVも“11人”揃って行われている。
声優11人+キャラ11人=22人。思い入れもあったはずだが、
アニメでは敢えて8人のナナニジで通して、
1クールで個別回も全消化し、キャラを掘り下げた決断を評価。
但し、ネタバレレビューを読む
【声優 3.0点】
ナナニジメンバー声優の熟練度、成長度はまちまち……。
終始、順調だったのは他作品でアフレコ経験もあった
藤間桜役の天城 サリーさんくらい。
特に初回、声を上手く当てられないメンバーが多く、掛け合いもぎこちない。
特に感情希薄系を中心に苦しい演技があった印象ですが、
センター・滝川 みう役の西條 和さんは、
演技力云々より根暗な性格を表現したクセのあるボイスに
視聴者が馴染むか否かという慣れの問題だと思います。
私が苦しいなと感じたのは斎藤 ニコル役の河瀬 詩さん。
メンバーで一番経験豊富な出来るアイドルという設定の割に……と傷口が広がった感じ。
ただ彼女は放送直前に卒業した前メンバー声優の後任であり高望みをするのは酷でしょうか。
但し彼女もニコル回ではネタバレレビューを読む を演じる等、可能性は感じさせてくれました。
【音楽 4.0点】
劇伴はピアノやストリングスが場面を彩る上品な楽曲構成。
過去のナナニジの楽曲のシーンに合わせたアレンジ挿入も〇。
OPはナナニジ8人歌唱の5thシングル「ムズい」
ポエトリーも交えて、大人の支配下に置かれ喪失しかけている
自己の存在意義を模索する、アイドルアニメOPらしからぬ
苦~い青春ソング。ムズいよ。
EDは個別キャラ回がメンバー各々のキャラソン。
5thカップリング「空のエメラルド」もED起用された佳境にマッチした良バラード。
その他、過去のシングル曲も挿入。
私のお気に入りは3rdシングル「理解者」
【感想】
初回、懸念したよりは、無難に個別キャラ回で話数消化し、
変な方向には行かなかった印象。
ただ「壁」の指令=秋元 康氏の鶴の一声。
という見方をどうしてもしてしまう私にとっては、
日頃、秋元系アイドルに対して抱いている疑念も再燃し、
苦しさも感じるアニメ視聴となりました。
「壁に質問することは許されない」などと疑問も持たず従う事務所スタッフたち……。
チョット怖いです。
例えば、ネタバレレビューを読む
「壁」が人間だったら、軽くハラスメントや犯罪なのでは?と私は感じてしまいました。
最後の、ネタバレレビューを読む
業界に問題は色々あるけど、試練を乗り越えてこそ得られる物もある。
という筋書きは私の好物であるはずですが、
本作みたいに「壁」の指令として露骨に表現されると、
別にそれアイドルじゃなくても得られますよね?
だからと言ってアイドル業界の諸問題を放置していい訳じゃない。
などと天邪鬼が発動してしまいます。
そんなこんなでゾワゾワした感覚も抱いた本作ですが、
私にとっては妙に気になるアイドルアニメではありました。
【1話感想※毒舌注意】秋元グループのある種の悪趣味にとことん付き合える方だけ観て下さい。
長~い愚痴なので折りたたみw
ネタバレレビューを読む