自主制作で未来なおすすめアニメランキング 2

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの自主制作で未来な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月14日の時点で一番の自主制作で未来なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

68.0 1 自主制作で未来なアニメランキング1位
ほしのこえThe voice of a distant star(OVA)

2002年2月2日
★★★★☆ 3.4 (588)
2977人が棚に入れました
『ほしのこえ -The voices of a distant star-』 は、新海誠 監督 が制作し2002年に公開されたアニメーション映画。
2039年、人類の調査隊は火星のタルシス台地で異文明の遺跡を発見したが、突然現れた異生命体によって全滅させられてしまう。その異生命体はタルシアンと名づけられ、その脅威に対抗すべく国連宇宙軍が組織された。
2046年、中学三年生の長峰美加子は、国連宇宙軍のロボットのパイロットの選抜メンバーとなり、翌年にはタルシアンの追跡調査のため編成されたリシテア艦隊の一員として、同艦隊旗艦〔リシテア〕に乗艦、地球を発つ。ほのかな恋心を抱く友人寺尾昇を残して。調査艦隊がタルシアンの痕跡を追って、地球から離れてゆくにつれ、ミカコとノボルの距離も光年単位で離れ、二人の携帯電話メールのやりとりにかかる時間も次第に長くなってしまう。
ついにはミカコは地球から8.7光年の距離に位置する惑星アガルタに降り立つ。そこでミカコは、地球に届くのに8年もかかるメールを ノボルに送信する。

takumi@ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

時間と距離を越えて繋がるふたり

新海誠氏が制作し2002年に公開され、数々の賞を受賞されたアニメーション映画。
監督・脚本・演出・作画・美術・編集をほとんど新海氏ひとりでこなされただけでなく、
オリジナル版では主人公 寺尾昇の声も担当されたとか。

主な登場人物は、国連宇宙軍の選抜メンバーとなり
やがては生還の保障のない遠征調査に旅立ち、
謎の異生命体と対峙する15歳の少女美加子と、
地球に残り、彼女からの携帯メールを受信している同級生の昇。
何光年先の宇宙と地球という、はるか遠く離れた距離の二人の間で、
ずれていく時間とふたりの想いを描いた作品。

携帯電話の機種がまた懐かしい形状なのだけれど、
あの当時の携帯で宇宙と交信できるかどうかのツッコミはしない方向で^^;

でも、地球に届くのに8年もかかるメールなんて、なかなかロマンがあるよね。
そして、それだけの月日の流れを待たせ、待たされるという
時間のズレと孤独感、そうしている間にも大人になってしまう二人の
心のズレを思うと、とてもせつない。

それから、これは宇宙ロボットが登場するからと言っても
バトルシーンがあるような作品ではなく、宇宙的な時間の中で育まれる恋愛モノ。
宇宙ロボットのコックピットで学校の制服を着ているっていうことも、
きっと意味のある見せ方なのだろうし、リアリティを追求するんじゃなく、
あくまでもふたりの男女の心模様に焦点を当てて観ていけば、
深いメッセージに気づくことができるはず。

自転車を押しながら下校する帰り道のふたり。
踏み切り、コンビ二、飛行機やロケットが飛んでいく青空、
そして、空から舞い降りる雪。

「秒速5センチメートル」をご覧になって感動した方ならきっと、
「あ・・このシーン、この風景・・」って場面に思わず顔がほころぶかもです。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 60
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

「秒速5センチメートル」で有名な新海誠監督による、心の距離感を描いた作品。「対比」がうまく生きている

「秒速5センチメートル」で有名な新海誠監督が、ほぼ一人で手がけた、いわば自主制作に近い作品。
背景グラフィックやCG描写はとても綺麗ですが、人物画には特徴があるので、キャラクターの見た目で作品を判断する人には向いていません。
ただ、監督の描きたい「心の距離感」がどういうものか知るには絶好のアニメだと思います。


時代は、宇宙開発が進んだ近未来。
ノボルとミカコという二人の登場人物の心の距離に焦点を当てたお話です。

25分という短い劇中に何度も現れる「対比」がポイント。
近未来でありながら、寂れたバス停や石炭ストーブなど、レトロさを感じさせる日常風景と、ロボットや宇宙生命体など明らかな未来をイメージさせる描写。
ノボルをクラシックな日常に、ミカコを未来的な非日常に置き、両者を繰り返し描写することで、「時間のずれや重み」を強く感じさせてくれます。

そして、実質的に二人を繋ぐのは「メール」というこれも古典的な手段。
メールはどんなに急いでも、光の速さを超えることはできません。
地球上ではタイムラグはほぼありませんが、月にいけば往復に3秒かかり、火星にいけば往復8~40分ほどかかります。
このように距離が離れれば離れるほど、たった一言のメッセージをやりとりするのに、どんどん時間がかかっていきます。

遠ざかっていく二人の物理的な距離と声。
「心の距離」もそうやって離れていくものなのか、そこがポイントです。
{netabare}
どんなにメッセージのやりとりに時間がかかるようになっても、ウラシマ効果によって別の時間軸を生きるようになっても、届くものがある。
クライマックスに向けて、2人の心の声はどんどん近づいていく。
時空を超えて届く想い、それが『ここにいるよ』の一言。
{/netabare}

切ない余韻が残りますが、
{netabare}
・「見えてきた超光速通信の実用化」という雑誌の見出し
・「帰還の可能性はリシテア号一隻か」という新聞記事
{/netabare}
と、細かいところで希望を残してくれています。

ある程度SFの知識があった方がわかりやすいですが、テーマになっている「心の距離感」は誰でも感じ取れると思います。
「秒速5センチメートル」の雰囲気が気にいった方は、原点を知る意味でも、一度観てみるのもいいかもしれません。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 48
ネタバレ

disaruto さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

2000年代を代表するセカイ系とのこと

新海誠監督作品です。
ジャンルはSF・恋愛・セカイ系です。
音楽(天門が担当)以外のほぼすべてを担当したということで、やはりものすごい才能ですね。


長峰美加子は国立宇宙軍のオペレーターとして選ばれ、地球を離れることになる。
寺尾昇とはお互いに両想いだったものの、思いを伝えないまま二人は離れ離れになる。
絶望的なほど遠い距離を隔てる二人の唯一の連絡手段はメールであった…


風景・メカ作画に関しては今後の片鱗が見られる素晴らしいものがありました。
ただ人物がね…、まあしょうがないです。
一人でやってここまでのクオリティなのですから称賛に値するでしょう。


美加子と昇の時間・距離感がだんだんと遠くなってくることを表すメール。
ラスト付近のシーンを見てもわかるとおり、時間のずれで{netabare}美加子は成長していません。{/netabare}
宇宙空間にいる美加子の周囲の風景、地球にいる昇の周囲の風景。
明らかに違う風景を対比して、二人の距離の遠さを引き立てています。

新海監督は心の距離感からくる切なさを描くのが本当にうまい。
それを効果的に表すために必ず何か比喩するものを持ってきています。(雨、ロケット、塔、メールなど)
正直ストーリーはどの作品も目新しいものはないのですが、この比喩とチョイスが良いのでしょう。
本作は時間的に丁寧な心理描写をそこまでしているわけではないですが、二人の距離が遠くなっていくことが痛いくらいに伝わってきます。


総括して、新海監督の作品がどれかしら好きならば見て損はないでしょう。
原点が詰まっているように感じました。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 43

61.0 2 自主制作で未来なアニメランキング2位
ペイル・コクーン(OVA)

2006年1月18日
★★★★☆ 3.5 (187)
838人が棚に入れました
アニメーション監督吉浦康裕の個人制作作品。舞台は遙か未来の地球で、世界は姿を大きく変えていた。どこまでも続く廃墟の世界。海や大地はすでになく、風景は廃墟から発掘される記録の中で見られるだけだった。それら記録を発掘・復元し、過去の世界を分析する""記録発掘局""。そこで働く主人公のウラはあるとき奇妙な映像記録を復元するのだった……。個人制作のレベルを超えたクオリティ、SF的な世界観などよく作り込まれている。膨大な記録をブラウジングするインターフェイスなど、見るべきところはストーリー以外にも豊富。また、背景を手書きと3DCGの混合で行うおもしろい手法から生まれた独特のタッチにも吉浦康裕の味が出ている。

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

「イヴの時間」の吉浦監督が手がけた切ないミライ

「イヴの時間」でおなじみの吉浦康裕監督、脚本、制作。
2005年に公開された約23分のアニメーション作品。

歴史という名の記憶が、どこかで途絶えた・・
そんな言葉から始まるこの作品。
舞台は今現在よりずっとずっと遥か未来で。

色合いは限りなくモノクロに近い、極力彩度を抑えたセピア調。
エコノミー症候群になりそうな窮屈さを感じさせる仕事場で、
主人公がみつめているのは、2000年の頃の地球上の風景。
周囲の色彩が沈んでいるせいもあり、その風景の色は眩しく、哀しいほどに鮮やか。

記録発掘局 復元課。
これらの画像から復元するのが彼の仕事。
記録の残骸、過去をさかのぼる唯一の手がかり。
そこにあるのは、太陽光がまださえぎられていない頃の記録。

記憶や記録を探りつつ下層へと行く彼の姿や
最下層には海と呼ばれ多くの人間達がしがみついているエリアが
あるということに、海と人間との因果を感じずにはいられない。

変わらないで欲しいと思うから記録を残すのだとしたら、
変わってしまった今、それはあまりにむなしくて。
たとえそれが遥か太古の風景だったとしても、
写し撮った時の、人の想いは真実そのもの。

緑色の世界があったこと。 青い地球があったこと。
それを壊してしまった人間の愚かさを、これ以上見たくない。

そんなむなしさに、復元課の人間がどんどん減ったという事実。
その事実は、今現在の人間である自分からすると嬉しくもあり、
そんな未来がこの先あるとしたら・・なんて考えると
やはり彼らと同じように虚しくて。

後半で流れる歌 『蒼い繭』(あおいたまご)
とても穏やかで素敵なメロディなのだけれど、
蒼い地球を詠ったその歌詞は、とてもせつなかった。
もし、地球が繭になるようなことがあったら、
ぜひいつかまた、再生して欲しいものだ。

余韻の残るラストも、とても考えさせられ、
きっと何度か繰り返し観ると、さらにいろんなことに気づけそうな作品です

投稿 : 2024/11/09
♥ : 48
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

セピアと色彩

吉浦康裕監督作品。

AD2218、
人口増加による環境資源への悪影響は、
悪化の一途を辿っている。
海や大地が姿を消した巨大な廃墟の世界で、
古いデータベースを復元分析する主人公ウラとリコ。

復元分析することによって過去を知るのだ。
{netabare}ある時、ウラは奇妙な映像を復元する。
セピア調の暗い画面と対比する復元された記録の色彩。{/netabare}

監督はサカサマのパテマ・イヴの時間と、
素晴らしい上記2タイトルがありますが、
こちらの作品もぜひ視聴して頂きたい。

私としては彼の短編最高傑作に推したい。
この無情なる世界観、わずか23分の短編。

世界はこんなにも色彩で溢れている。
遠い未来の私たちに期待している。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 37
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

皆さんはなぜレビューを書いていますか?

23分ほどのショートアニメです。

…歴史が途絶えるほどの未来。
人間は機械に囲まれた無機質で寂しげな世界に住んでいた。

漫画家の弐瓶勉を彷彿とさせる世界観ですね。
こういう超未来的な雰囲気は大好きです。

CGで作られた美麗なグラフィックや、人の目線を通したようなカメラワークが光ります。


ストーリー展開も素晴らしい。

記録発掘局に所属する主人公の「ウラ」
過去の記録を解析するのが仕事。
しかし、わかるのは、歴史の断片のみ。

昔は、多くの人が過去の記録を解析しようとしていたが、今ではほとんどいなくなっていた。
それでも記録の分析にこだわり続けるウラ。

人はなぜ記録を取るのか、人はなぜ記録を見ようとするのか…。
{netabare}「"人は、変わらないで欲しいって思うことがあるから、それを記録に残す"んだって」{/netabare}

果たしてそうなのか?
今こうして、「レビューという記録」を書いている自分に対しても問いかけたくなりました。

そして、ウラがたどり着いた真実とは…。
タイトルにこめられた意味が明かされたときには、鳥肌が立ちました。
{netabare}
同僚が言った「場所なんてどうでもいいんじゃないか?」というセリフから、とっくにストーリーは動き出していたんですね。
{/netabare}
視聴者を一気に引き込む世界観。
美しいグラフィックや、意味のある演出。
考え出すと止まらなくなる、哲学的なテーマ性。
伏線やミスリードもしっかり盛り込んだ、無駄のないストーリー。

私の好みにジャストミートです。
本当に充実した23分間でした。

さて、「皆さんはなぜレビューを書いていますか?」

投稿 : 2024/11/09
♥ : 31
ページの先頭へ