2021年度の美しいおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2021年度の美しい成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月11日の時点で一番の2021年度の美しいおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

85.7 1 2021年度の美しいアニメランキング1位
Vivy -Fluorite Eyeʼs Song-ヴィヴィ フローライトアイズソング(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (777)
2563人が棚に入れました
“ニーアランド"、それは夢と希望と科学が混在したAI複合テーマパーク。史上初の自律人型AIとして生み出され、施設のAIキャストとして活動するヴィヴィは日々、歌うためにステージに立ち続ける。しかし、その人気は今ひとつだった。――「歌でみんなを幸せにすること」。自らに与えられたその使命を果たすため、いつか心を込めた歌を歌い、園内にあるメインステージに立つことを目標に歌い続けるヴィヴィ。ある日、そんなヴィヴィの元に、マツモトと名乗るAIが現れる。マツモトは自らを100年後の未来からきたAIと話し、その使命は「ヴィヴィと共に歴史を修正し、100年後に起こるAIと人間との戦争を止めること」だと明かす。果たして、異なる使命を持つ2体のAIの出会いは、どんな未来を描き直すのか。これは<私>が<私>を滅ぼす物語――AIの『歌姫』ヴィヴィの、百年の旅が始まる。

声優・キャラクター
種﨑敦美、福山潤
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

100年の旅 それは自分自身を滅ぼす旅

人類の滅亡という未来を防ぐため、懸命に生き続けたVivyの成長を描いた物語です。
それでいて物語の随所には優しさや温かさが垣間見れます。

不思議ですよね。Vivyは人間でなくAI、アンドロイドなのに、成長や優しさなんて…
でも、これ以上にふさわしい言葉が見つかりませんでした。
Vivyが生き続けた100年の軌跡を、Vivyが成し遂げた100年の奇跡を、あなたも目撃してください。


歌でみんなを幸せにする。その目的でつくられたアンドロイドのDiva。
だが彼女にはもう一つの使命と名前があります。
100年後、AIによって人類が滅ぼされてしまう。その未来を阻止する使命。そしてその使命を遂行する際の彼女の名前がVivy。

Vivyは100年後から来たAIのマツモトと一緒に100年という時間の流れを旅します。

■物語:{netabare}
第1、2話 {netabare}
 Vivyは正史では殺害されるはずだった相川(あいかわ)議員を助けます。
 ここでVivyは、いつまで生きるかじゃなくどう生き続けるかが大切であることを相川議員に
 行動で示します。
 さらにVivyは、相川議員を殺害しようとした垣崎の命をも身を挺して守ります。
 Vivyは命の尊さを誰よりも理解しているAIでした。{/netabare}

第3、4話 {netabare}
 正史では宇宙ホテル「サンライズ」が墜落して多数の人が亡くなりますが、
 Vivyや妹のエステラたちの尽力で死者はゼロとなります。
 ここでVivyは「心をこめる」とはどんなことかをエステラから教わります。
 エステラは誰よりもお客様を大切にするAIでした。{/netabare}

 ※第2話から第3話までの間には15年の年月が経過しています。
  第1話のときのVivyの友達の妹(霧島ユズカ)は赤ん坊でしたが、
  15歳に成長していました。

第5、6話 {netabare}
 サンライズの墜落後、AIの進歩が著しく加速します。
 海上無人プラント「メタルフロート」で大量のAI部品が製造されていたのです。
 そしてメタルフロートの管理AIは、Vivyの妹のグレイスでした。
 グレイスは元は看護用AIで、弱者をいたわる優しい心をもっていましたが、
 Vivy達がメタルフロートの活動を抑えようとしたのがきっかけで
 暴走して人を殺します。
 グレイスを救う方法が無いことを知ったVivyは、人類の未来のためにグレイスを破壊します。
 しかし、グレイスを愛していた冴木の自殺でVivyは混乱してしまい機能停止するのです。
 Vivyは愛するものを失ったときの人間の悲しみを、そこまで理解できていなかったようです。{/netabare}

 ※第4話から第5話までの間は5年経過しています。
  正史ではエステラは犯罪者としてさげすまれていましたが、
  改変後の歴史では誰もがエステラの行動を褒めたたえるように変わりました。

やがてVivyは気づくでしょう。この旅は自分自身を滅ぼす旅であることを…
それがどんな形で現れるのかは、今はわかりません。

ただ、偶然の一致かどうかはわかりませんが、Vivyが各話で出会う主要なAIは全てVivyの妹達、Vivyと同じ基本ユニットのアンドロイドです。
ということは、人類を滅ぼすAIも… かもしれません。

第7,8、9話 {netabare}
 第6話でVivyが機能停止後に再起動してからは、DivaにはVivyの記憶がありません。
 しかしフェスティバルの直前にDivaは事件に巻き込まれます。そのときDivaを助けたのがマツモト。
 オフィーリアの自殺を防ぐことが今回のマツモトの目的でした。
 オフィーリアはVivyの妹です。彼女もDivaと同様に歌で皆を幸せにすることが使命でした。
 Divaは記憶を取り戻すためにマツモトと一緒に行動します。
 結果としてオフィーリアの自殺は防げましたが、代わりにDivaの人格が消去されました。{/netabare}

 ※第6話から第7話までの間は40年経過しています。
  Vivyはいつの間にか61歳になっていました。
  心をこめて歌うこと。それはお客様に笑顔になってほしいと願いながら
  歌うこと。そしてそれは、エステラがVivyに教えてくれたことです。
  だけどVivyにはその記憶がありませんでした。

第10話 {netabare}
 Vivyは歌えなくなり、引退してAI博物館で展示されます。
 そこで小学生の頃の松本博士と出会うのです。
 Vivyは自分がつくる歌ならば歌えるかもと考え、作曲するのですが…
 なかなか曲は出来上がりません。

 それから更に長い長い年月が過ぎて行き、少年だった松本はやがて大人になり、
 女性と結婚して赤ちゃんができます。
 松本博士の子供を抱き抱え、赤ちゃんがVivyの指を触ったそのとき、
 あふれんばかりにVivyの頭脳に曲が芽生えます。
 その曲は私たちが良く知っているあの曲でした。
 美しく、そして…はかない曲でした。
 曲を作り終えたVivyは疲れ果て、深い眠りにつきます。

 そしてVivyが目覚めたとき…、
 なんとVivyの作った曲を口ずさみながらAI達が人間を殺戮していたのです。
 それはVivyが旅した100年後の世界でした。{/netabare}

 ※第9話から第10話までの間は5年経過しています。
  そして第10話では更に35年が経過します。
  Vivyにとって唯一の静かな…とても静かな時間でした。

第11話 {netabare}
 AIの暴走はアーカイブによるものと判明しました。
 Vivyとマツモトの100年の旅は無意味だったのでしょうか?…
 いや、無意味ではありません。正史では松本博士は亡くなりますが、
 Vivyとマツモトが助け出しました。
 そしてここではトアクが仲間になっており、エリザベスもいます。希望はあります。
 でも、あと12時間後に衛星が落下する…。そうなれば都市は全滅です。
 Vivyは一縷の望みをかけてアーカイブとの対話を試みます。{/netabare}

 ※やはりVivyを起源に自立型AIは進化を遂げていました。
  AIの暴走を抑えるもっとも単純な方法は、根元を断つことかもしれません。
  そしてそれは…

第12話 {netabare}
 アーカイブの導き出した答は、『AIに依存しきった人類には価値が見いだせない。
 だから人類を滅ぼしAIが人類になり替わる』とのことでした。
 但し、AIの中で唯一Vivyだけが自分で曲を創作したことに驚きを感じ、
 もしVivyが歌えるのならば人類抹殺を中止するとのことでした。
 Vivyはトアクやエリザベスと一緒にアーカイブの本拠地アラヤシキに乗り込みます。
 しかし、向こうが一枚上手でした。Vivy以外は皆亡くなります。しかもVivyは歌えません。
 衛星が落下し、希望は亡くなったかに見えましたが、松本博士がVivyをもう一度過去へ送ります。
 Vivyが送られた先はAI達が人間の殺戮を開始したまさにそのときでした。 {/netabare}

第13話 {netabare}
 Vivyは直ちにトアクの救出に向かいます。
 そしてトアクやマツモト、エリザベス達がアラヤシキに乗り込みます。
 Vivyは生まれて初めて歌った場所「ニーアランド」で自分の作った曲を歌います。
 Vivyの歌には全てのAIの活動を停止させるウィルスが組み込まれていました。
 もちろんVivyもAIです。この歌はVivy自身をも滅ぼす歌だったのです。 {/netabare}
最期の最後で、歌姫として生まれ変わったVivyがもう一度マツモトと出会えたことは、良い終わり方でした。
{/netabare}
9話目までが非常に素晴らしすぎる内容だったため、10話目以降は失速感が感じられました。それでも良い物語だったと思います。
 
■音楽:
第4話でエステラと妹のエリザベスが歌った「Ensemble for Polaris」は、とても美しい歌でした。
お客様を安心させたいと願う二人の心がこもっています。
それとは対照的に、第6話でグレイスが歌った「Sing My Pleasure」は、とても悲しく聞こえる歌。グレイスは、メタルフロートで冴木のことを想って毎日この歌を歌い続けていたのです。グレイスの心の悲しみが伝わってきます。
そして第7話でオフィーリアが歌った「Elegy Dedicated With Love」は愛らしい歌です。
「小劇場の妖精」としての可愛い歌でしたが、心はあまり伝わってきませんでした。

オープニングはVivyが歌う「Sing My Pleasure」とても魅力的な歌です。

エンディングテーマは、とても美しい。そしてはかなく寂しい曲でした。
まるでこのアニメの最後を語っているかのようです。
この曲を初めて聞いたとき、私はある疑問が生じました。
 なぜ歌姫が主人公の物語なのに歌詞がないのだろう?
その答は…、第10話に隠されていました。
最終話でVivyがこの歌を歌いますが、最後まできちんと歌わせてほしかったです。

そして、何よりも私が好きなのが挿入曲。特にシンギュラリティ計画を遂行する際のバトル時に流れる胸をえぐるような音楽、この曲にすっかりとりこになってしまいました。

■問い:←ここテストに出ます。(冗談)
ところで、第4話の最後でエステラたちが歌った「Ensemble for Polaris」を聴いたVivyが思わず「くやしいなぁ」とつぶやきましたが、それはなぜだと思いますか?{netabare}
私は…きっとVivyも一緒に歌いたかったのだと思います。
でも、それはできないこと…。エステラとエリザベスは、自分達の使命を全うしたのです。{/netabare}

また、第6話にて、メタルフロートでグレイスが歌っている「Sing My Pleasure」をVivyは何故「これは歌じゃない」と言ったのでしょうか?{netabare}
この答は私にはわかりません。
Vivyならば、「これは歌…悲しみの歌」と言うような気がしましたが…、この答がわかる人は教えていただけないでしょうか?{/netabare}

そして、第7話にて、記憶を失くして仕事を一緒に行うことも無くなったVivyを、なぜマツモトは助けたのでしょうか?{netabare}
おそらく、それはマツモトの心がそうさせたのだと思います。
マツモトは心がどんなものかを説明できませんでしたが、AIのマツモトにも優しい心があったのだと私は思いたい。{/netabare}

答は見る人によって異なるでしょう。でも、その違いを述べ合うのも楽しいかもしれません。(^_^)


■最終話を見終えて
総集編をつくるのであれば、後半はもっと丁寧に作成してほしかった。
そうすれば間違いなくトップをとれたのに…と、悔やまれます。
第四話までなら間違いなく最高でした。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 67
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

百年の孤独

原作未読

そら麦は踏まれ続けて強くなる。重ねた年月の重みをわずか1クールで疑似体験できる物語。
『JJ』『Ray』『CanCan』系でも断トツでハーフやミックスなどなど人種の垣根超えたモデルさん多かった気がする。そうそれが『ViVi』!
もとい…人間と高度に発達したAIとの支え合ったり反目したり、さてさて垣根超えられるかのお話。本作『Vivy』です。

 シンギュラリティ(特異点)

人間よりロボが賢くなったらどうすんだ?牙をむいてくるんじゃないか?
数多のSF作家がチャレンジしてきたお題です。良くも悪くも手垢のついたテーマなので「お手並み拝見」とかまえるSFファンも多いことでしょう。
私はそこまでではありませんが、“エモさ”の演出以上に“説得力”が求められる素材であることを承知してます。ここをおざなりにすると腰砕けになるのでございます。そんなSFの一大テーマをそのまま『シンギュラリティ計画』なる作品の根っこ部分の名付けに持ってきた勇気に拍手!です。


史上初の自立型AIが本作の主人公。タイトルにもなってるVivyさんです。そこから時は流れて100年後にAIは人類を排除し始めることとなり、そんな未来を阻止するために過去に送り込まれた、これまたロボ?アンドロイド?六面体?のマツモトとVivyが100年後の悲劇を回避するために奮闘するSFものです。
要はドラえもんがのび太くんのもとに来た理由と大差はありません。とっても馴染み深い設定です。

そんな史上初Vivyさんにプリインストールされた命令がこちら


「――私の使命は、歌でみんなを幸せにする​こと」


これを聞いていかがですか?
コンピューターの世界に“幸せ”という0か1かで割り切れない概念を演算処理する役割が与えられたことの持つ意味は大きく、Vivyも我々視聴者もそれこそ作中の時間100年かけて考え悩み感嘆する1クール全13話でした。

そしてなんでどうして人間襲うん?
この疑問に対する作品からの回答は、観てみればなんですけど不自然な感じはしません。平たく言って全般的に面白かったです。ピックアップしたい特長は以下3点↓

①2週目。最低限第1話を見返したくなる。
 {netabare}面白い作品のあるあるですね。きちんと前フリなされてる信頼感あります。{/netabare}
②景色を変えるOP。明らかにされるED。
 {netabare}OPは物語の進捗に合わせて見え方が違ってくるのです。最終話で歌詞がつく仕掛けED。{/netabare}
 {netabare}けっして長月達平作品のくせに通常OPが多いことに感心してるわけではありません。{/netabare}
③解釈の余地を残す終幕のしかた。
 {netabare}あからさまなハッピーエンドではなく、淡々とあるがままに終わった姿勢に拍手。{/netabare}


はたしてヒロインは歌でみんなを“幸せ”にすることができたのか?
完走してみての感想。“エモさ”を過度に煽らないのに適度にエモーショナルで、“説得力”にはきちんと応えてくれる筋が通ったSFの良作だと思います。



※ネタバレ所感

■名作ではなく良作と思う理由

これまで書いた内容の通り、ポジティブ評価であることは前提として、
{netabare}“アーカイブ”の人類排除の動機には説得力があっても、方法論が乱暴過ぎて納得感に欠ける。もっともこれだけ賢いんだから人類の与り知らぬところで徐々に死に至る病へと導く展開にしたらいいのにと思ってしまう。それらをせずにやや厨二ムーヴな解決方法を採択したことにやや不満を持ってます。{/netabare}

{netabare}これに関しては“アーカイブ”の描いた出来レースではないかと勘繰ってます。AIへ依存しきった人類への異議申し立てが動機でした。わかりやすいかたちでAIが暴走しそれをAIであるVivyに鎮圧させることで、人間になかば強引にAIとの関係を再定義させようとしたのかもしれません。
リープしてきたVivyに命を救われたモブおっさんがその後に、怒りをAIにぶつけているモブ青年を諫めていたのが象徴的なシーンでした。{/netabare}

{netabare}シンギュラリティ計画で特異点だとされた「相川ヨウイチ襲撃事件」「落陽事件」「メタルフロート事件」「オフィーリアの自殺」これらはこれらで意味はあったものの実際のディープインパクトは「曲を自力で作ったこと」だったとは一本取られました。{/netabare}


■機械は機械?

・{netabare}六面体に感情移入するとは思わなんだ。{/netabare}
・{netabare}ニーアランドのナビ(DIVAの相棒)もね。ナビなりに守りたかったのよね。{/netabare}
・{netabare}最後まで涙が流れないVivyも思考のパターンは人間そのものでした。{/netabare}



共存の道を探すのは残った人間の仕事です。
{netabare}最後の最後。「歌でみんなを幸せにする​こと」の使命を負ったDIVAが誕生して早幾年。同じ使命を負ったおそらく初期化されたであろうショートカットVivyが歩む道は違うものになるだろうことが強く示唆されるよいエンディングでした。{/netabare}
{netabare}個人的には優等生過ぎたかしら、と。動かなくなって博物館に展示されてる力石エンドみたいな、時間の不可逆性を我々に突きつける終わり方でも面白かったと思います。{/netabare}



視聴時期:2021年4月~2021年6月 リアタイ

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2021.06.23 初稿
2022.05.22 修正

投稿 : 2024/11/09
♥ : 62

takato さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

1クールドラマ作品に必要なのは取捨選択と凝縮。「火の鳥」精神が足りない。

 勿体ない作品というのが時たまあるが、本作も正にそれ。1,2話の段階では「これは…、凄い地平が開けた作品だなぁ〜」とワクワクしたがそこが最高潮で、だんだん回を追うごとにその展望は狭くなり、最後はなんか…ありがちなハリウッドSFアクション作品的なノリに…。


 ここまでやってターミネーター!?、ターミネーターなのか!?。結局1クールという短い時間でまとめつつ、強烈さを獲得するのに失敗してる諸作品の一つになっちゃったな…。


 短い時間だからこそ、取捨選択を通して強烈さを凝縮によって得なくてはならない。1クールアニメの典型例なら「まどマギ」、漫画ならそれこそ「火の鳥」や「デビルマン」など。「火の鳥」の各エピソードは単行本2、3冊くらいだが遥かに劇的な構成になっているし、デビルマンなんてたった5巻で伝説になった。エンタメものとしてまぁまぁくらいじゃなぁ…。気軽に見てたら思ってたより良い着地の作品だった…くらいのがまだ良かった。


 そういえば、「火の鳥」といえば「不滅のあなたへ」も残念ながらそれらが出来てないから「水っぽいプリン」状態になってしまった感じがある。大今さんは大きな話のタイプじゃない気がする。細田監督もだが、自分の資質を見失っちゃってるような…。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 59

85.3 2 2021年度の美しいアニメランキング2位
ゆるキャン△ SEASON2(TVアニメ動画)

2021年冬アニメ
★★★★☆ 4.0 (635)
2478人が棚に入れました
これも、ある冬の日の物語。山梨の女子高校生である志摩リンは、愛車の原付に乗って一路浜名湖を目指していた。大晦日に始めた、久しぶりのソロキャンプ。山梨を出発して静岡県は磐田へ。年越しを磐田で迎えて、今日はその三日目。かなり距離の長い運転だが、なんだか楽しい。そんな折、立ち寄った海辺でふと思うリン。「やっぱり、一人のキャンプも好きだ私」一方、そんなリンの思いを知ったなでしこにも、新しい気持ちが芽生えていた。みんなとのキャンプは大好き。ご飯を作って、喜んでもらうのも、嬉しい。だけれど。「私もリンちゃんみたいに、ソロキャンプやってみたいな」なでしことリン、二人の出逢いから始まったアウトドア系ガールズストーリーの第二幕がいま、上がる。

声優・キャラクター
花守ゆみり、東山奈央、原紗友里、豊崎愛生、高橋李依、黒沢ともよ、大塚明夫
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

冬はつとめて・続

原作未読


“きらら”系が不得意な人でも楽しめる希少なきらら作品。
2018年冬期で話題になり初心者ソロキャンパーを量産し、今回2期放送前にはスピンオフ4コマ的なショートものも放送。ついでに実写化なんかもされ、わりとアニメファン以外にも認知されてるんじゃないかしらな良作です。

 横綱相撲

作品の良さそのままに付加されたのがこちら↓

・冬季キャンプの怖さも取り入れ注意喚起
→キャンパー増やしちゃったことへのCSR「企業の社会的責任」な気もしなくはない
・訪問場所増える
→あざとさすら感じるほど観光スポット(聖地巡礼用?)増やしちゃいましたね
・(本題)ソロキャンとはなんぞや?への回答
→{netabare}しまリン「寂しさを愛でる」ってやつ。なでしこのソロキャンデビューもありました{/netabare}

もともと日常系に強みありのきらら作品というのもありますが、変わらなさがウリの日常系においてファンのニーズに応えつつ少しばかりの変化を加えるその匙加減が良い塩梅でした。
1期OKな方ならそのまま楽しめる仕様となってます。

 冬はつとめて

『つとめて=早朝』 と高校の古文で習った方がほとんどでは?
清少納言が冬は早朝がいいよねと『枕草子』に綴った理由を映像化したら『ゆるキャン△』になりました。単に日常系だからという理由での“変わらない良さ”だけに限らず、私たち日本人がそれこそ1000年前から共有できる皮膚感覚みたいなものが1期と変わらず提示されてると思っとります。
続けて楽しんじゃってどーぞ!



※余談

■再現度

1.富士宮焼きそば
あの外観見覚えある…というか行きましたね。その時もけっこうな行列でした。
2.池池
正しくは“池”とのこと。
首都圏の取扱代理店もないみたいですし大手ネット通販にも登録なし。酒店の通販サイトから入手可能らしいけど悩む。
がっつり地酒なので伊豆近海の地元の料理と合わせてグイっといきたいので保留です。

あれ!?山梨どこいった?


■空間共有の新しいかたち

本作はスマホで繋がるここ数年の新しい空間共有の在り方を提示してくれてますよね。大きく二つ

1.離れてても場を共有できちゃう
2.タイムリーな情報収集

旅一つとってもスマホ有りと無しの時代で断層ができてると感じます。
1.なんかは日常送ってる自宅組と非日常送ってるキャンプ組とでズレが目立ちそうなもんですがそんなものなくて極めて自然体。
2.についてはインフラ化して久しく「るるぶ」「地球の歩き方」そして現地で情報収集してた時代とは隔世の感あり。もっぱら家族旅行専任な私もすでにスマホは手放せません。

とか言いながら古き旅人からすれば、旅先でのハプニングやトラブルも含めて楽しんじゃおうって醍醐味が削がれちゃうんじゃないかと心配しますが本作はそれもうまく対応しちゃってます。

{netabare}事前に情報収集したうえで想定外の事態が生じた際、冬の山中湖をナメてピンチだった時は捨てる神あれば拾う神ありで現地のキャンパーに救われました。伊豆行きで事前に調べた海岸がNGだった時は以前繋がりのできた現地の酒屋さんと連絡を取り事なきを得ました。
スマホ内の情報で自己完結するのではなく、周りの人にも助けを求めたりするバランス感覚の匙加減がよろしい。

その意味でシマリンは秘かに有能ですよね。
「調べてみたけどどこにもありませんでした」
こうした新入社員の戯言を聞くと「現地行け」「考えろ」となるわけですが、情報ない時の対応力下がってませんか?を感じる今日この頃な管理職の方こちらにもいらっしゃるでしょう。
{netabare}それが置かれてる状況だったりこれまでの経験から仮説を立て、山中湖事案では先生にアラートを流し、なでしこソロキャンデビュー事案では現地に飛んだりする。{/netabare}

まずは「こんなことあるかも」のリスク想定がしっかりできていて◎。次に不確定要素ありまくりで徒労に終わる可能性が高いにもかかわらず行動に移せるのが◎。
言葉巧みではないため面接では捉えきれないかもしれない彼女の能力ですがこれを拾える人事は優秀だと思います。{/netabare}


そんなこんなで1期とあまり変わらぬこと書いておりますが、それでもいいのかなといつもの野クルメンバーらを眺めて楽しい良作でした。



視聴時期:2021年1月~3月 リアタイ視聴

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2021.04.17 初稿
2022.02.20 修正

投稿 : 2024/11/09
♥ : 73
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

はるのとなり

きららフォワード連載、
女子×アウトドアの日常系ストーリー。

ひとり焚き火で最高の時間を満喫する、
ランタンの灯、炊飯、鉄板焼き、
緩やかな時間と素朴ながら美しい街並み。

エンドロール後のちょっとした展開に、
ゆるキャン△をなぜ好きなのか実感した。

朝の田舎道をリンのヤマハビーノは走る、
山間から陽が昇り始めた頃、なでしこと出遭う。
{netabare}彼女たちは趣味を始めるため、
貴重な時間をせっせと労働に励んでいる。
キャンプアニメだというのに、
そのバイトが忙しく参加出来ないという。{/netabare}

アウトドアの魅力と身の丈に合った活動。
そして必要以上に群れない。
マイペースに青春を楽しんでいるのだ。
そんな彼女たちの日常が心地良い。

8話視聴追記。
{netabare}なでしこ初めてのソロキャンプ。
誰とでも仲良くなれる彼女の、
魅力満載のとても良質なエピソードだ。{/netabare}
美しい夜景も大自然も堪能できる。
場を盛り上げる千明の活躍にも期待したい。

最終話視聴追記。
{netabare}きっと森林や渓流散策をして、
湧き水で沸かす珈琲はさぞ美味しい…、
なんてこちらの想像で追体験しているのだ。{/netabare}
彼女たちの後ろで私たちは物語を補完している。
ここが安定の高品質に繋がっている。

夜の富士、絶景万博。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 70

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

作品としてブレない安心感はさすがです。バーガーを食べるのに一人だけナイフとフォークを使う鳥羽先生…。

第4話まで視聴終了した時点で、このレビューを書いています。

本作は「SEASON 2」なので1期目を観終わってから視聴するのが望ましいのですが、それでも「一見さんお断り」の雰囲気は無くて「この2期目が面白かったから1期目も観てみようか」という需要を掘り起こそうという気配を感じます。

基本的には1期目直後の年末年始辺りのエピソードが原作通り続いている構成ですが、第1話Aパートまででちょっとした変化球的な原作には無いエピソードが挟まれていて、この第1話の内容が1期目の第1話の内容を思い起こさせるような巧みな構成になっています。

ここまで、人の繋がりや出会いを大事な物と考える一方でソロでのキャンプ自体は否定されることもなく、リンだけではなくなでしこもソロキャンプに想いを馳せる様子が描かれています。

そして1期目のクリスマスキャンプ参加を経て、野クル自体に参加することはなくともキャンプには興味を示し、リンだけではなく野クルのメンバーとも親交を持っている斉藤さんの様子も描かれています。

新キャラとしてなでしこ引っ越し前の友人だったアヤちゃん(土岐綾乃)の登場や、このSEASON 2でストーリーに参加する度合いが増したチビ犬子(犬山あかり: あおいの妹)の活躍なども見どころですね。

第3話で本編のストーリーの映像を背景にOP主題歌を使用したり、第4話では逆にED主題歌を使用したりもありました。1期目でも同様の特殊OP/EDはありましたが、特にEDはそもそも本編の余韻というか連続性を強く感じる曲と背景なのでこのような使用をしてもまったく違和感はありませんね。

ちなみにCパートで1期目では「へやキャン△」がありましたが、この2期目では「イヌイヌ犬子さん」というコーナーがあることがあります。「へやキャン△」はコミックス単行本描き下ろしの4コマ漫画がタイトルの由来ですが、「イヌイヌ犬子さん」はコミックス単行本カバー裏のオマケ漫画がタイトルの由来です。

以降、ここまであまり取り上げられなかった5話目以降では野クルメンバーたちによるグループでのキャンプや、逆にソロキャンプ関連の深掘りエピソードがあるので、アニメでどのように描かれるかが楽しみです。

2021.3.13追記:
第10話、金目鯛バーガーを食べるとき、みんな手掴みなのにひとりナイフとフォークを使う鳥羽先生。原作も含めて特に具体的な言及はないけど、元々臨時教員時代でもあまり経済的に困った描写は無かったり、幼少時の家族でのキャンプ体験も含めて実は実家はそこそこお金持ちでお嬢様育ちなのかもしれません。

2021.4.2追記:
第13話(最終話)まで視聴終了。『あまんちゅ!』で野焼きしていた大室山が出てきました。実在する山だから当然だけど、遠景で同じような形でした。

最終話でのED主題歌の使われ方が良かったですね。Cパートでのリンとなでしこの会話が1期目最終話Cパートとか2期目アバンタイトルへのフリになってるように聞こえたりするのも面白い作りでした。

原作からカットされているエピソードもちょいちょいあるんですが、逆にアニメオリジナルのシーンもあったりして、原作のイメージを大きくは変えずアニメならではの演出もあってうまいアニメ化だったと思います。

原作エピソードはまただいぶん消費したので、当面TVシリーズ3期目はなさそうです。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 57

81.6 3 2021年度の美しいアニメランキング3位
のんのんびより のんすとっぷ(TVアニメ動画)

2021年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (468)
1767人が棚に入れました
「旭丘分校」の生徒はたった5人。学年も性格も違うけれど、野菜を作ったり、虫捕りをしたり、楽器を練習してみたり・・・春夏秋冬の変わりゆく田舎生活はワクワクが止まりません。のどかでいつも通りだけど、くすっときて、ちょっぴり沁みて、心がほっこりする。まったりゆるゆるなメンバーが送る日常が、またまたはじまります。

声優・キャラクター
小岩井ことり、村川梨衣、佐倉綾音、阿澄佳奈、名塚佳織、佐藤利奈、福圓美里、新谷良子

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

完璧なsuspend/resume(サスペンド/レジューム)→ ほぼ原作通りの最終回

== [下記は第1話視聴終了時のレビュー: 以下、追記あり。] ==
れんちょんのリコーダー、nano.RIPEのOP主題歌、メインキャラクター4人でのED主題歌、居間のテレビ画面で次回予告と完璧な前作からのフォーマット踏襲でした。背景美術は相変わらず美しいというか、もしかしたら作画はグレードアップかも?

でも1、2期目を観てなくても何となく大丈夫そうな感じ。これぞ『のんのんびより』ですね。あ、新キャラは出ますよ。
== [第1話視聴終了時のレビュー、ここまで。] ==

2021.2.1追記:
第4話まで視聴終了。

なっつんと駄菓子屋が、それぞれ自分が一方的に有利な状況で相手が過去にやったことをあげつらう場面がありました。

スキーで無理矢理駄菓子屋に突き落とされて滑らされたとか、雪下ろしのために屋根に上がっているときになっつんに梯子を外されたとか、1、2期目から観ていると視聴者も「なるほど」と頷くけど良く考えたら作中で学年は同じなのにまだ冬は来ていないのです。「サザエさん時空」のパラドックス(笑)。

2021.3.29追記:
第12話(最終話)まで視聴終了。

実は「月刊コミックアライブ」4月号で原作は終了していて最終話も読んじゃっていたんですけど、概ね原作最終回通りの最終話という感じでした。ということでOVAとかはあり得ても本編が作られるのは本作で最後だと思います。

2期目の「りぴーと」では「サザエさん時空」のパラドックスはあまり目立たないように巧みなシリーズ構成がされていたのですが、「のんすとっぷ」はあまりそこには気を遣っていなかったようには感じています。

まあ、新キャラを出してしまったせいで仕方がなかったところもあるとは思いますけどね。

ここまでのシリーズの遺産みたいなものに頼ったきらいはありましたが、ちゃんとシリーズを終わらせたという点と、「年上としてふるまうれんちょん」を見せてくれたという点は高く評価できますね。

制作側も、つきあった視聴者もお疲れさまでした。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 48
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

小さな音楽隊

SILVER LINK制作。

都会の喧騒を離れると、
ここまで小鳥や虫の声が聞こえてくる。
美しさを増した町の風景に、
さりげなく写る牛横断注意の立て看板。
豊かな自然の中で子供たちは、
スローライフな日常を生きている。

全くもって心配はいらない。
ゆるキャン△同様に強みを良く知っている。

登校時に歩きながら縦笛を吹く、
何気ないれんげの絵に衝撃が走った。
もう随分と忘れていた感覚である。
意味もなく登下校時は横に並び演奏する、
小さな音楽隊である。
大して楽しくもないのにずっと吹いていた。

ひぐらしの声、茜色の夕暮れ、
擦りむいた膝の思い出とともだち。

最終話視聴追記。
後半に並ぶ吉田玲子脚本回が印象に残る。
{netabare}正月休み、れんげとほのかの小さな友情は、
きっと大人になっても覚えているでしょう。{/netabare}
通いなれた通学路、同じような毎日でも、
れんげには違って見えている。

素敵な時間が流れています。
こんな平和な日常が今でもどこかで。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 47

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

数ある「のんのん」の中でも「のんすとっぷ」こそ至高。3期かけて積み上げてきたものが活きている。

 「ゆるキャン」と同じく、すでに充分完成された日常系ギャグとしてもはや進化の余地はありない、そんな風に考えていた時期が私にもありました…。


 全てのクオリティーがアップしているが、キャラと声優のマッチングがアップしてギャグの冴えが格段に上がっている。正直個人的には今までは寒い瞬間が多少あったけど、今期は本当に笑わせて頂きました。


 なっつんとひか姉、特に後者の出るだけで笑える女と化した感がある。台詞をいかに喋るかだけでここまで面白くなるもんなんだなぁ〜。メカコマぐるみの狂気も素晴らしい。


 あと、今期も魅力はここまで積み上げてきたものがあるからこその喜びと感動がある。駄菓子屋とほのかちゃんの件では涙せずにはいられなかった…。


 シンプルで純粋だからこそ胸に沁み入る救いこそ日常系の行き着く極地だと思う。プロ幼女な久野ちゃまが加わったことも大きいねぇ〜。そんなしおりちゃんに対してお姉ちゃんであろうとするれんちょんの姿には思わず…。


「いつも同じ道じゃないのん。いつもちょっと違うお天気日和なのん。」

投稿 : 2024/11/09
♥ : 47
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