2022年度の総集編アニメ映画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の2022年度の総集編成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年04月18日の時点で一番の2022年度の総集編アニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

66.5 1 2022年度の総集編アニメランキング1位
映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ (アニメ映画)

2022年4月1日
★★★★☆ 3.5 (58)
242人が棚に入れました
偏屈で無口な変わり者・小戸川。個人タクシーの運転手として街を流しながらも、なるべく他人と関わらないように、平凡な日々を過ごしていた。ところが、ある日、思い掛けず、『練馬区女子高生失踪事件』に巻き込まれてしまう。さらに、小戸川の周囲からは、「一人暮らしの部屋から話し声が聞こえた」など、不穏な証言も。事件は、億を超える巨額 の金、目的不明の半グレ集団、売り出し中のアイドル、カリスマ化されていく大学生など、様々な事物が絡み、 収拾不可能なほど混沌としていく。

ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

【評価辛目】公式ファンブックを映像化したような微妙な劇場版総集編

【物語 2.5点】
キャッチコピー"真実は、藪の中。"

この”藪の中”という表現の由来は芥川龍之介の同名短編小説。

※「藪の中」あらすじ概要……ネタバレレビューを読む

TVアニメが想定以上の話題作に。
急遽、劇場版も作りたいが興行成功のためには時間を空けるのは不味い。
よって新録プレスコ(作画の前に収録)も、新規カットも用意するコストと時間が限られる。
それでいて、既存ファンだけでなく新規にも訴求したい。

無茶振り企画をまとめる苦肉の策として「藪の中」の証言集形式を当てはめた。
というのが劇場パンフレットの脚本・此元 和津也氏の”証言”などからの私の推理。

証言集形式も悪くはないが、会話劇としてのTVアニメの良さは消えてしまう。
強引な企画で崩れた劇場版総集編の典型だと感じました。


構成は事件後、警察取調室での、主人公のタクシードライバー・小戸川への事情聴取。
クライマックス前の時点に”調査報告書”を集める謎の集団が
カフェ等で実施した各キャラへのインタビュー。
二つの時点の証言集によるTVアニメ総集編が大半。

あとは終盤にTVアニメラストで勿体ぶられた結末の追加カットによる方向性の示唆と、
さらなる謎の提示が少しだけ。
TVアニメ版のちょっと先を把握することはできるがモヤモヤは残る。

そのためだけに劇場鑑賞料金&2時間の価値はあるのか?は要自問。
私は不満を抱きつつも、元が良かったのと、
何より『オッドタクシー』が好きだったので退屈はしませんでしたが。
感覚としては、気に入ったTVアニメ視聴後に、公式設定資料集等で、
ストーリーやキャラを振り返って余韻に浸るのに近いです。


尚、"初乗り歓迎”と宣伝されていますが、
TVアニメ未視聴者に本劇場版を鑑賞させても、
“田中革命”は尺不足で弾かれる。
など、結局、TVアニメ見なきゃ分からない。
後からTVアニメ見ても、驚きが激減する。
正真正銘の悪(あく)じゃん!と思うので、悪の反対の方は全力で止めましょうw

小戸川交通は個人タクシーなので初乗りできるのはTVアニメ版の一台だけですw


【作画 3.5点】
新規カットはラスト数分と、各キャラの証言シーンくらい。

証言する各人物の挙動にはキャラクター性が現れておりファンならニヤニヤできます。


【キャラ 3.5点】
概ねTVアニメ版の多くのキャラを網羅するが
報告書作成時点で拘束されていたネタバレレビューを読むなど、
あと付けの証言集形式による歪みで取りこぼしたキャラクターもあり。

インタビューにより私が一目置いたのはドブ。
証言者の事情によって、何なら積まれた金額によって証言内容は変わると、
主観的な証言の限界を指摘した上で語り始める知的な言動。
やはりドブはケンカ強いだけの脳筋ヒヒではない懐の深さがある。
アルパカが囚われたのも金と暴力だけじゃないです。


【声優 3.5点】
特徴的なのが聴取に当たった捜査員、報告書作成者のノーキャスト。
あたかも鑑賞者がインタビュアーの一人称視点で証言を集めていくような誘導。
これも「藪の中」及び同小説の映画化作品・黒澤 明監督『羅生門』と同様の構図。

この観点からエンドロール後のネタバレレビューを読む


三矢ユキ役の村上 まなつさん。
冬アニメでは明日ちゃんも演じた方と意識したら乾いた笑いが止まりませんでしたw
田舎娘も色々ですw


【音楽 3.5点】
こちらも主題歌「ODD TAXY」がリミックスされエンドロールで流れる程度で新要素は最低限。

ただ劇場大音響で唐突に鳴り響く
インド映画風?カポエラのリズムは分かっていてもツボにハマりますw


【余談】
公開館を絞り込み、公開週週末・劇場館アベレージ1位を達成した本作。
私が行った平日午前の客入りも上々でした。
数年間、丹精込めて制作した力作が閑古鳥という惨状が続いた
今年前半のアニメ映画の中では、成功した興行だと思います。

小戸川は不器用だけど、スタッフはドブくらいのやり手ですw

投稿 : 2025/04/12
♥ : 16
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

ほとんど総集編

偏屈で無口な変わり者・小戸川。個人タクシーの運転手として街を流しながらも、なるべく他人と関わらないように、平凡な日々を過ごしていた。ところが、ある日、思い掛けず、 『練馬区女子高生失踪事件』に巻き込まれてしまい、小戸川の周囲からは、「一人暮らしの部屋から話し声が聞こえた」など、不穏な証言も。事件は様々な事物が絡み、 収拾不可能なほど混沌としていく。それでも、ある計画の実行をきっかけに、事態は一気に収束。いったんの結末を見た。……かに思われた。事件後、かかわっていた人々が、口々に証言する。見えていた出来事の裏の裏。本当はそこで、何が起きていたのか…を。それらを繋ぎ合わせることで浮かび上がってくる、事件の新たな輪郭。一人のタクシードライバーが体験した、“人生を一変させるような出来事”がカタチを変え、未来へと続く運命の歯車が再び揺さぶられていく。というあらすじ。


登場人物のインタビュー方式で総集編として内容を振り返っていく。
ラスト10分ほどでようやく気になるシーンで終わったアニメ放送以後が描かれている。あえて描かずに想像力を搔き立てたままでも良かったけど、これはこれで描いてくれて安心かな
以下は完全な備忘録ネタバレ
ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/04/12
♥ : 9

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

新訳 オッドタクシー 真の結末 運の強い小戸川しかり

 TV放送の回想を小戸川以外の目線、インタビュー形式で振り返るです。
 実は全てまるで小戸川の見た人の姿は、こうだったです。あのとき救われた小戸川が、いつもの日常に戻り意味ありげな客が乗ってきて、どちらまでだったな終わり方だったです。
 新たな形の今回は、さらに少しプラスして、真のラストを迎えるお話だったです。小戸川どうなったかなぁ?です。

 最初見たとき、誰かがあの関係者とインタビュー?して回想、違う語りで振り返っているしかないようにしか見えなかったです。映画で知っているお話またか?と思ったです。

 終盤で新作カットがでてきて、あの小戸川の一連の行動と並行して進んだ事件の真相が分かりやすくなると思ったです。
 サスペンス要素に本当の終止符が打たれるのです。その結末は一瞬で、あれがどうなるか?私には分からなかったです。
 小戸川が、何事もない平和なラストに進みです。EDでそれがちょこっとわかるけど、具体的に危険をどう回避したか?結局分からなかったです。

 サスペンスな要素が、何だかんだ乗り越えられたことで、ややモヤモヤした感じが晴れたように思えたお話だったようで感じた「オッド・タクシー」です。相変わらず、落ち着いているというのか?不愛想で淡々とした小戸川が、いい感じでしたです。

投稿 : 2025/04/12
♥ : 6

72.1 2 2022年度の総集編アニメランキング2位
劇場版『RE:cycle of the PENGUINDRUM』[前編]君の列車は生存戦略(アニメ映画)

2022年4月29日
★★★★☆ 3.8 (26)
166人が棚に入れました
病気の妹・陽毬の命を救うため、謎のペンギン帽の命令により「ピングドラム」を探す高倉家の双子の兄弟・冠葉と晶馬。自身の運命を信じて日記に書かれた出来事を実現しつづける荻野目苹果。新たな運命を導くため萃果の日記を手に入れようとする夏芽真砂子。大切な運命の人を取り戻すために目的を果たそうとする多蕗桂樹と時籠ゆり。彼らはそれぞれの運命と大切な人の為に「ピングドラム」を追い続けたのだった。あれから10年——
かつて運命を変える列車に乗り込んだ冠葉と晶馬が、運命の至る場所からひととき戻ってきた…。

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

流石イクニ!、俺たちには出来ないことを平然とやってのける!。

 カルトなアニメ監督はもはや絶滅危惧種と言っても過言ではない。しかし、そんな中でもまだまだ活き活きとした可能性を残していらっしゃる鬼才はイクニこと、幾原さんしかおるまいて。こんな偉大な才能を有している方が、充分活躍できる場が用意されてないことこそ日本コンテンツ界の恥である。黒澤が映画を撮れないとかよりも個人的には大きな損失と言いたい。


 そこで本作であるが、私の生涯ベストアニメ候補に必ず食い込む「ピングドラム」と聞いては駆けつけざるをえませんでした(ウテナの方が好きだが)。正直イクニさん的には、総集編なんてお茶を濁した仕事より、もっとクリエイティブを大暴れさせられるウテナの時のような新作映画とかをやりたかっただろうけど、10年前の本作をやってた頃はまだあった体力も包摂力も業界になくなっちゃったのかなぁ…。



 最近某作品の総集編が正直ダメダメだったので少々心配でしたが、やはりイクニは違う。本編からして「ついてこれる奴だけついてこい!」なハイコンテクスト作品だったので、本作も当然本編を何度も当然見てるよね?なスタンスで清々しい。だから総集編だけ見ようなどという、ヘソで茶をわかすような怠惰な輩は最初から入れる気ないです。そんな人はどうせ本編見てもついていけないでしょうし。


 何度も見て彼らの運命の至るところを知ってるからこそ、新規カットのopで彼らの姿と音楽が静かに響き合うのを見てると思わずじ〜んときて目頭が…。


 それにしても、とにかく手取り足取りな優しい世界じゃないとアカンという不安でビクビクなコンテンツ界に広がる病理とハッキリ距離を取っているのがイクニさんの孤高な姿は尊敬に値する。


 しかし、改めて見直してやはりイクニさんの魅力は孤高で難解さを持ちながらも、ちゃんと笑いと涙のまっとうなエンタメに足がついている点こそが私が愛して止まない点である。この両立を達成してる人は、実写も含めて私が浅学なだけかもしれんがあまりいない。


 とにかく、本作を見て改めて本編は勿論、解説動画も全部見直したい!という気持ちが猛烈に掻き立てられました。やはり総集編は総集編で、本編に比べちゃと零れ落ちるものがあまりに多くて勿体ない。というわけで、早速DVDと動画鑑賞に向かいたいと思いすが、イクニさんの才能を活かせるたっぷりとした尺を利用できるのは2つの道しかないような気がします。


 一つはプリキュアやガンダムといった敢えての王道コンテンツ路線。もう一つは、Netflixで分割式にやっていく方向。普通の1クール作品ではもうあまりに冒険できない世界になってきちゃって気がするので。


 (後編も鑑賞後)


 後編のほうがアニメ後半の1クールが無駄がない充実した作りだっただけにエピソードを摘まんじゃってる感が強く出てしまったかな。回想の演出が連続したり、1話でビシッと締めたり次への引きを作る上手い演出が活かせないのも勿体ない。やはりテレビアニメとして良く出来てたんだなぁ…と再認識。

 
 それにしても、やはりイクニさんほど創造的な方には、「ウテナ」の時のように元見てないとわけわからんが、見てる人間には他に並ぶもの無き大傑作な新作をやった方が良かったような。


 まぁ、イクニさんとしては当然そうしたかったと思うのだが、現在のアニメ界の状況では難しいのかなぁ。庵野さんはイクニとは並々ならぬ仲なんだし、カラーが出資してでもイクニに映画や新作アニメを2クールとか撮らせて欲しい。わかってて儲かってる人がお金出してくれない限りチャレンジは難しいよう。

投稿 : 2025/04/12
♥ : 10

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

かえるくん東京を救うと銀河鉄道の夜。違う利他の形ですが…

 ゴジラ-1.0を見て、ちょっと本作のTV版に似てるかもと思い、そう言えば映画どうなったんだっけとアマプラ探したら無料でした。現在前半を見終えて、後半見ていない状態です。

 前後半の前半部分ですので、考察でもないでしょう。少し感じたことです。冒頭だからネタバレではないと思いますが、主人公の2人は「かえるくん、東京を救う」を探します。
 2人がこの作品をその題名で探すのはあるあるですね。私も若かりし頃本屋で同じことをしました。「神の子どもたちはみな踊る」というソフトカバーの中の短編です。今でもしっかり手元に持っています。

 この作品は95年の阪神淡路のあと、村上春樹氏の描いた震災文学の最高傑作です。「すずめの戸締り」はモチーフこそ「海辺のカフカ」ですが、宗像氏の一族あるいは要石はまさにカエルくんでした。ミミズと戦うことすら濁していないので異論はないでしょう。
 運命と自己犠牲。名も知らない大衆を救うという理不尽な役割。カエルくんは自分だって怖いといいます。ただ、主人公のような市井の善良な人がいるからこそ、東京を守りたい。たとえ悪人がいたとしても。だから、是非主人公には自分の戦いを応援してほしいという話です。

 TV版では「銀河鉄道の夜」が主題であることを冒頭では強調していました。「銀河鉄道の夜」は日本的キリスト教的な性善説という感じの利他であり、生命と食のような業も含めていました。
 ただ、思わず河に飛び込んで助けるというのは、どちらかといえば「竜とそばかすの姫」の母ですね。他人を助けるということと、本作TV版の家族愛…それも疑似家族を助けるということとは少しずれていたのも事実だと思います。

 どちらの作品オマージュも、少し本作の主題とズレがあるような無いような、ですね。

「利他」に関する物語が本作をはじめ「すずめの…」「そばかす姫」「ゴジラ-1.0」も含めて、最近増えている気がします。
 ハリウッドでも「インデペンデンスデイ」とか「ハルマゲドン」古くは「ポセイドンアドベンチャー」でも自己犠牲はありますけど、あれは何かの型でした。最近の日本アニメにおける「利他」の描かれ方の深みは半端じゃないです。

 疑似家族ものとしては「岬のマヨイガ」とやはり「ゴジラ‐1.0」とかも震災に絡めてありました。こっちも上げればきりがないでしょう。
「かえるくん…」の中にも主人公の家族問題があって「すずめの戸締り」の環さんはここからとったのかな、と思います。

 2011年で日本の価値観の何かが崩れたとき「そういう時代」に入ったということでしょう。「そういう」を言語化するが現代の文学の最先端であるアニメの役割ということなんだと思います。疑似家族と利他。それはその大きな要素なのでしょう。


 本作はそして最後に不穏なものがありました。冠葉の陽毬に対する男女の愛のようなものが描かれます。これはTVシリーズになかった要素だったと思います。夏芽真砂子も冠葉に執着しているので愛のカタチについての対比になるのでしょうか。

 父母の家族愛についての明確な回想も入っていました。ラッコと河童も同様に親子問題みたいです。
 TV版では明確でなかったトリプルH、ダブルH問題も何か描かれそうですね。
 ペンギン桃果と赤ちゃんペンギンが何を表しているのかも気になります。

「利他」「生命の輪」「家族愛、愛のカタチ」「親の歪み」なによりも「運命」ですね。「かえるくん、東京を救う」を出した以上は、生半可な結末では許されません。是非、期待の上を行く後半でありますように。

 評価は後半見た上で。ベースとしてオール4はあっていいと思います。

 ただ、アニメ作品として見た場合、幾原氏の作家性というのはどうかな、と疑問もあります。考察のための考察になっていないか?という疑問が最近の氏の作品には感じられます。
 最終評価ではエンタメとしての完成度は映画としては求めると思います。よほどの深みがないと、後半見た上で減点する可能性はあります。

投稿 : 2025/04/12
♥ : 5

プラ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

総集編①

夢の世界で、桃果が幼き日の冠葉と晶馬に、彼らのストーリーを見させる形で、内容はアニメ 1 クール目の総集編。

アニメの内容を個々人のストーリーとしてまとめられている。新しい追加内容はない。

後編では新しい要素は追加されるのか?

投稿 : 2025/04/12
♥ : 1
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