ぺー さんの感想・評価
3.7
そういえばエルフでした
シリーズは異世界アニメランキング堂々の一位だそうです。その劇場公開もしてるOVAが本作。
しょせん異世界ものなんて! とか
ヒロイン見た目が萌え萌えしてね? とか
そんな苦手意識を軽く飛び越えてくる作品との評価がわりと一般的でして私もそう思ってる一人。
それはまるで長らくおっさんらが独占していた焼酎。タカラ『缶チューハイ』でも越えられなかった壁を乗り越えたあの金字塔を彷彿とさせます。というわけでサブタイトル↓
{netabare}『氷結の絆』{/netabare}
…すみません本題に戻ります。
ちょうど1stシリーズの前日談に該当し、森に住まうエミリアとパックとの関係性に焦点をあてた内容。
その後を知ってますのでエミリアが森を出ようと決意するまでの話と聞いても驚きはないでしょう。
観なくても本編視聴に支障はないが、本編を観てないと理解し難いTHEサブストーリーになってます。
また本編の主要キャストはほとんど登場せず、です。
『死に戻り』『レム』のキラーコンテンツがないためわりと地味め。というか多かれ少なかれ『リゼロ』で視聴者が想定しているネタがないので肩透かしはあるでしょう。
ここはもう好き好きで、むしろ劇場版らしい閉鎖空間といいますかエミリアとパックの二人に集中できたかな、と私は好意的に受け取ってます。
たまたまの地上波放送のきっかけがなければ視聴に至ってなかったでしょう。正直ラッキーでした。
{netabare}“こんな想いで彼女は森を出たのね”{/netabare}
知ってはいたけど肉付けされてました。
{netabare}“だから仲間たちにはこういう言動をするのね”{/netabare}
むしろこの裏付けがとれたことが自分には収穫でした。
※ネタバレ所感
■エルフという生き物
架空の生物なんですけどイメージってありますよね。自分は以下の通り。皆さんはいかがでしょうか?
① 長命(あくまでイメージ)
② 森に居住(これまたイメージ)
③ 耳長で細身で美形(むしろ願望)
⓸ プライド高い(経験則)
出会ってきた作品によって誤差はありましょうがだいたいこんなで合ってます?
エミリアって⓸がない分イメージ像から微妙に外れていて、そのことでうっかり“ハーフエルフ”って設定を忘れがちな私です。
ただ今回は②スタートでとってもエルフらしい。やや悠長に構えてる感じも①が影響してると思われしっくりくるのでした。
{netabare}ただし一点の違和感。森から出る動機についてです。
古くは『ロードス島戦記』ディードリットも近年では『ゴブリンスレイヤー』妖精弓手なんかもそうですが、長命がゆえに感じる停滞感に身を委ねるのを良しとせず、種族にしては珍しく好奇心が勝って飛び出しちゃったみたいな理由。
他だと里を外敵に滅ぼされちゃったのでやむなく出ざるを得なかったケースが一般的です。
自分の意志→ポジティブな理由でこれから始まる冒険に期待
意志ではない→ネガティブな理由で明日をも知れぬ運命に翻弄さる
エミリアの場合、ポジティブさの欠片もない理由なんですけど自分の意志で森を出るんですよね。それが違和感の正体。
という事情があるから自分の意志で出た分、自分の選択を肯定したいのと自信がないのとがごっちゃになった場面は本編でもいたるところで出てたんだと思います。
きちんとトラウマが反映されたコミュニケーションの取り方をしてますもんね。{/netabare}
『死に戻り』という設定の妙
『スバル』『レム』という突出したキャラ
作品の魅力となってる主要成分それはそれとして、例えばこんなとこでもエルフをネタに半歩ずらしを加えてきてたりと抜け目ないなぁとも思った劇場版でした。
そもそも森出ないと物語が始まりませんもんね。
エミリアたんが百年の孤独を気取ったりしなくて良かったです。
視聴時期:2021年1月
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2021.03.17 初稿
2021.10.26 修正
2022.01.26 修正