神社で高校生なおすすめアニメランキング 15

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早速見ていきましょう!

91.2 1 神社で高校生なアニメランキング1位
君の名は。(アニメ映画)

2016年8月26日
★★★★★ 4.1 (2517)
11530人が棚に入れました
新海誠監督による長編アニメーション。

千年ぶりとなる彗星の来訪を一ヶ月後に控えた日本。
山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は憂鬱な毎日を過ごしていた。
町長である父の選挙運動に、家系の神社の古き風習。
小さく狭い街で、周囲の目が余計に気になる年頃だけに、都会へのあこがれを強くするばかり。

「来世は東京のイケメン男子にしてくださーい!!!」

そんなある日、自分が男の子になる夢を見る。
見覚えのない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の町並み。
念願だった都会での生活を思いっきり満喫する三葉。

一方、東京で暮らす男子高校生、瀧も奇妙な夢を見た。
言ったこともない山奥の町で、自分が女子高校生になっているのだ。

繰り返される不思議な夢。そして、明らかに抜け落ちている、記憶と時間。
二人は気付く。

「私/俺たち、入れ替わってる!?」

いく度も入れ替わる身体とその生活に戸惑いながらも、現実を少しずつ受け止める瀧と三葉。
残されたお互いのメモを通して、時にケンカし、時に相手の人生を楽しみながら、状況を乗り切っていく。
しかし、気持ちが打ち解けてきた矢先、突然入れ替わりが途切れてしまう。
入れ替わりながら、同時に自分たちが特別に繋がっていたことに気付いた瀧は、三葉に会いに行こうと決心する。

「まだ会ったことのない君を、これから俺は探しに行く。」

辿り着いた先には、意外な真実が待ち受けていた…。

出会うことのない二人の出逢い。
運命の歯車が、いま動き出す

声優・キャラクター
神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ、市原悦子、悠木碧、島﨑信長、石川界人、成田凌、谷花音

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

奥寺という女の重要性。なぜ前半の主役2人は嫌な描き方なのか?

24年8月再視聴。毎夏に視聴する映画です。評価としては日本アニメ史上1つの到達点を作った歴史的作品だと思っています。面白く、含意が深く、意味のある感動があり、映像表現が素晴らしい映画です。

 この作品の主人公、瀧が「気持ち悪い」という意見が多いそうですね。これは当然で、そう描いているから当たり前としか言いようがないです。

 奥寺をなぜあれだけ重要なポジションに置いたかと言えば、瀧と三葉の変化を描くためです。
 特に瀧ですけど、奥寺のようなモテる大人の女性から見ると、当初の瀧は童貞丸出しの女を過剰に意識したガキでしかないように描いています。だから、三葉が中にインストールされると、その細やかな気遣いや女に対する自然な態度で、奥寺はなかなかいいと思ったわけです。

 結果として奥寺ねらいの藤井司がいますが、彼は女に物おじせずぐいぐい来るタイプですね。これがもう一つの瀧の対比です。奥寺はこの時の藤井司はガキですから相手にしていませんが、かといって普通に友人あるいは恋人候補の様に接しています。これも瀧=気持ち悪いの補強材料です。

 三葉は都会にあこがれる、田舎を馬鹿にした少女です。その態度が皆と壁を作っていたのでしょう。そのコミュニティに参加しようとしません。三葉を馬鹿にしているギャルたちも、悪いように描かれますが一方で三葉にも壁があります。テッシーとさやかの3人は浮いているように見えます。

 そして、その瀧が入れ替わって三葉になったとき、その童貞くさい正義漢が学校では受けて三葉は見直され、たぶん一生懸命バスケットボールに参加し、コミュニティに参加したのでしょう。その結果、モテる様になります。

 ですから、前半の瀧と三葉は気持ち悪い、自分の周囲を見ない人物として描かれています。奥寺=都会=あこがれとなっています。

 結果として、なぜ2人が惹かれあったかという答えがここにあると思います。単なる「あこがれ」を目指していた2人が、入れかわることで相互の理解を深めた結果、いつの間にか相手に感情移入したということでしょう。おかれた立場による苦労を知ることができました。
 また、近い存在でいながら会えないという状況が、お互いの興味を産んだのでしょう。そして、奥寺という女子を通じて2人ともあこがれと恋愛の違いを自覚することになります。その結果、お互いに恋愛感情が芽生えるということです。

 ですから、奥寺にあこがれている瀧は気持ちわるいし、都会にあこがれている三葉は地元では浮いた存在なのでしょう。都会における奥寺を中心においたのはここを描写するためだと思います。

 その奥寺が岐阜に向かうときのダサくて自分勝手な姿。ここも意味があると思います。前半はキラキラした都会の女なのに、その本質はめんどくさい我儘さをもった女性ということです。この時、瀧も三葉ももうお互いを思っていて奥寺のキラキラが消えているという意味だと思います。それを受け入れられる司こそ、奥寺にふさわしいのでしょう。

 瀧が気持ち悪いという意見を聞いて、この辺の構造が言語化されました。たしか女性の意見だったと思うので、正しいとしか言いようがないですね。ただ、そこで気持ち悪くてやめた、はもったいない気がしますけど。

 それとこの映画、2人が名乗らないほうが良かったという意見も結構目にします。私もあそこですれ違う2人を想像します。それはそれで一つの結論です。日頃の自分の中にある寂しさにつながり、現実の我々にクロスオーバーしてくるかも、とは思います。

 ですが、それは今の時代安易な感動ポルノに堕す可能性の方が高い気もします。そして震災文学である以上は、いつ死別するかわからない時代だからこそ、お互い名前を呼びあおう、コミュニケーションをとろう、気持ちを伝えよう、後悔の無い生き方をしようという意味で格段に良かったと思います。

 災害で亡くなった人の分までしっかり運命の人を探そう、恋愛しようという話になったと思います。



以下 23年7月レビュー

何回見たかわからないです。日本のアニメ史に残る名作でしょう。

 夏といえば「君の名は。」本作です。アニメ映画の中でもっとも回数を見た映画で、20回じゃあきかないでしょう。季節問わず見ています。
 過去のレビューをまとめているものの、言いたい事が多くて支離滅裂です。現バージョンは23年7月に書いています。とにかく私が好きなアニメ映画ナンバー1の一つです。


 まず、本作の凄いところは、やはり美しい情景描写が感動を深めるということが筆頭でしょう。2010年代に入って他の作品も、背景美術のレベルはどんどん上がっていました。が、本作のスケールの大きさやカルデラ湖と村の見せ方、彗星の光など圧倒的な美しさの他に、視覚的な新しさがあったと思います。宮水神社や都会ももちろん、この美しい絵が後のアニメにどれだけ影響を与えたかは計り知れません。

 ハッピーエンド…とされていますが、果たしてそうでしょうか。外の視線である我々からは、2人が出会えたカタルシスはもちろんありますが、冷静に考えると2名はお互いを知りません。ただ、朝起きたときの寂しさを埋めてくれる相手を見つけただけです。ここにテーマ性が見えないでしょうか。

 震災を意識した作品です。つまり災害により人はいつ死ぬか分かりません。寂しく孤独な時代です。後悔しないために、運命を感じたりあるいは寂しい人は名乗り合おうよ、という事だと思います。

 ここでもし二人が名乗らないですれ違うのが新海らしさかと言えば、そうではないと思います。というのは「ほしのこえ」を考察して行くと、どう考えても2名はまた会う事ができます。つまり、デビュー作からして、一回時間と空間に隔てられた2名は再会するという話も初期の新海誠は描いていました。

 本作は、へその緒が断ち切られる=一人で生きる痛み、髪を切る=失恋の痛み、そして彗星の落下による死別。そういったことが丁寧に描かれていました。
 そうなると私たちが日ごろ感じている寂しさって、都会で生きていると、赤い糸の存在を忘れてしまっているのでは?だから、出会うチャンスがあればちゃんと声をかけて名乗って見ようよ、好きだと言おうよ、という風にも取れます。
 つまり「秒速5センチメートル」のアンチテーゼですね。


 それと瀧と三葉がいつ好き合ったかです。恋愛とは相互理解、コミュニケーション量です。そして2人は秘密を共有しています。瀧は三葉がクラスで陰口をたたかれているような苦労を知っていますし、三葉は瀧が奥寺先輩が好きな事も知っているし、奥寺に憧れる瀧の事を考えていたのだと思います。
 そこまで濃密な交流を重ねる男女がお互い惹かれ合うのは自然なことだと思います。

 あと三葉の描写ですが、田舎の因習に嫌気がさし特に家族関係で苦労しているからこそ、都会に憧れるという心理が上手く描かれていたと思います。伝統というものに対する拒絶とそれを律儀に守るアンビバレントな性格が、三葉の人間性を深いものにしました。この都会への憧れが瀧への思慕へと変わる焦点にいたのが奥寺先輩です。

 この作品、奥寺がキーパースンでした。彼女がいたからお互い好きになったのかも、というくらいです。

 瀧については、正義感とか短気なところ…要するになぜ奥寺にモテないか、を考えるといいでしょう。要するに女性に気を使いすぎるので、本来いい男なのにその遠慮が奥寺にとっては、居心地が悪いのでしょう。女子になって同性として接する=壁がなくなるとモテるようになったという描写も瀧の性格をしる一助となります。

 そして、三葉って中盤のシーンで一回死んでますよね。初めて髪を切った三葉が出るシーンです。そこまで描写はされませんがそこは読み取れます。この時の三葉の心情ってどうだったんだろうって、思いますよね。このシーンがあるからこそ、本作の内容も感動も深まるのだと思います。

 奥寺と瀧のデートを想像して自分の気持ちに気が付いたのでしょう。わざわざ瀧に会いに行った。瀧と出会って何とかつながりは残したけど気持ちを伝えられなかった。髪を切るというのは明らかに失恋を意味しています。

 その落ち込んだ気持ちのとき落下してくる彗星を見て三葉はどう思ったか。やっぱり後悔だと思うんです。せっかく会えた瀧に気持ちを伝えたかった。でも紐を渡しただけ。相手は覚えていない。ここが本当に胸に来ます。

 もちろん最終的に三葉は東京で暮らすことになるわけですけど、ここで死んだ三葉というのは確かにどこかのIFの中に存在したわけです。タイムリープ作品ではこの感受性が大事だと思います。いくら結果が良くても絶望で死んだ人間は存在したことを忘れると、安易な死にもどりの物語になります。この作品はその部分を見事にすくい上げています。この作品はバッドエンドのIFもちゃんと提示されていることを読み取るべきでしょう。

 そして、この瞬間があるのでその後のカルデラでの出会いと奮闘に意味がでてきます。この作品の最大のポイントはこの途中で死んだ三葉がいる、ということです。生きたい、名乗りたい、告白したい。だから、ラストが活きてくるわけです。

 一方瀧です。片割れ時に出会ってマジックで手の平に「好き」と書いた理由ですね。名前よりも気持ちを伝えるのを優先したんだと思います。それはなぜか。東日本大震災で沢山の人が亡くなりました。それは誰の身にもいつ起こるかわからないという衝撃的な事実を、クリエータに突き付けたわけです。パラダイムシフトですよね。だからこそ、つながりを大事にして「告白」しようよ、と。 

 気持ちを伝えられた。名前も出来事も記憶から無くなってゆく。でも喪失感だけある。この切なさも相当なものだと思います。この痛みがあるからこそ2人はまた出会えた。ひょっとしたら瀧が好きだと書かなければ2人の胸に痛みがなかった。そうしたら再会することはなかったのかもしれません。ここは完全な私の妄想ですが、名前がテーマなのになぜ名前を書かないかという点は少し考えたいところです。


 三葉と言うより宮水神社については、彗星の意思なのか人間の防衛本能からかわかりませんが、宮水神社の女たちに運命が与えられた。それが、組みひもであり、口噛み酒であり、へその緒であり、髪であり、運命の赤い糸でした。その辺は中盤の瀧君が口噛み酒を飲むところからちゃんとわかるようなイメージシーンがあります。


 構成ですが、初めのおっぱい揉むシーンがあるので、相互に視点が動いているようで、実は最初の25分くらいずっと三葉視点、そのご瀧視点としばらく視点が固定されます。
 その後、突然ショートヘアになった三葉が出てきて、そして、瀧が旅行にいって…がという構成です。ここで話が大きく動くことになります。
 この構造が非常に良くて、一瞬たりとも目が離せないドキドキ感がありました。

 全体として新海作品は言葉足らずな部分があるのも事実です。ただ、説明不足と言葉足らずは違って、本作は見て感じれば行間が読めます。というより、言葉足らずだから、見た人の個人の体験と重ね合わせて奥行がでるとも言えます。

 
 新海誠氏の作品を並べて見ても、この3作はアニメ作品として格段に出来がいいと思います。「秒速5センチ」「言の葉の庭」などいい作品ではありますが、正直文学などで代替できますし、エンタメとしての完成度を含めて考えればやっぱり最近の3作は全然レベルが違います。
 唯一「ほしのこえ」のスケール感と切なさ、純愛が私はSF恋愛作品として大好きなので、これがこの3作と同じくらい好きです。

 とにかく、新海誠氏の最近の3作品は、エンタメとしての面白さ、壮大さ、純愛、テーマ性、アニメーション表現などの点で格別だと思います。その中でも「君の名は。」は最高かなあ、やっぱり。


 本作を見て感動するのは馬鹿だというコメントを残したマンガ家がいます。新海は大衆に迎合したという評論家もいます。まあ、頭がいい人たちの意見だから、確かに私は馬鹿で大衆マインドなのかもしれません。
 私は馬鹿を自覚していますので、いくら馬鹿にされても結構です。それでも、本作は見て感動した気持ちは素晴らしかったと思います。ですので名作だと断言したいですね。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 31
ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

夢の儚さを越えて二人は繋がる。

見終わった後、私は夢から覚めて、まどろんだ時ようなな気持ちになりました。

あのシーンの背景が良かったとか、あそこのスピード感が最高だったとか。
でも、その記憶は、強く「覚えていよう」と思い、まるでこれは面白い夢から覚めた時と同じじゃないかと。

でも、人の記憶は曖昧で、全ての良いシーンを覚えておこうと思っても、次第にディテールが失われていきます。
やがて夢の記憶は、「面白い夢をみた」に代わり、そして夢をみた事をも忘れていく。

時間に対して夢の中の記憶はあまりにも儚い。

この作品はそんな弱い繋がりで繋がった瀧君と三葉の物語です。



感想
{netabare}

【演出】
二人の入れ替わり生活が始まるときに曲が入り場面の切り替わりのスピード感は新海監督らしい演出。

二人の入れ替わり生活とは別に強く印象に残っているのは
時間が100倍速になった感じで都会の光や信号が光を放つシーン。
これは時間の経過を示しているのでしょうが
その綺麗さが強烈に印象付けられました。

また、夢の中の出来事という作品の設定のように
幻想的な美しさが視聴者を夢と現実の境界線に引き込んでくれます。

三葉の人生が瀧に見えたときのシーンもグッと来ました。何でだろう?
人の生き死にに涙もろいのかな。
あのシーンは母親との直接的な繋がり(へその緒)や親との別れ、家族の濃い「人と人の繋がり」を感じてしまったからでしょうかね。

【展開】
「瀧君、覚えてない…?」という三葉のシーンは本当に胸が痛くなりました。
3年後の瀧君にとってはずっと前から繋がっていた。三葉にとってはようやく繋がった。
だけど瀧君はこのときはまだ知らない、三葉は不審そうにこちらを警戒する瀧君に思いを伝えられない。
「二人が会えた」「繋がった」という嬉しさと同時に
勇気がでずに思いを伝えられない三葉の姿に自分を重ねてしまいました。



【キャラ考察】
瀧君がクレーターの上で君の名は!と涙ながらに叫んだ気持ちがわかってしまう。
大切な人に会いたいと、思いが募ると、苦しくて、吐き出したいなにかが心のなかにたまってきて、自然と涙が出てくるんですね。

三葉の境遇について
母親を幼い頃に亡くしていて、それをきっかけに父親が神職をやめて離ればなれとなっています。
離れて暮らしながらも、政治というなにかと目立つ仕事をしている父親のせいで
学校で本人の意思とは関係なく少し浮いてしまう三葉。
そんな狭い村社会に嫌気が差してどこかに逃げたい気持ちでいる時に起こる入れ替わり。
三葉にとって入れ替わりは逃避になり得た(まさに夢に逃げる)のですが
突然終わる入れ替わりは、夢の終わりであり、それは自分の逃げ場所がなくなったともいえます。
夢の続きが見たくて。そういう気持ち(逃避)、わかります。
東京にいるはずの瀧君に会いに行き、あの日々の続きがみたい。
でも、せっかく会いに行ったのに瀧君は三葉のことを知らなくて、繋がりの喪失を感じてしまった。
(ですか、ここで過去と未来を繋ぐ糸を渡したシーンの懸命さや、その糸が忘れかけた瀧君と三葉を繋げてくれた意味を持つアイテムであることの重要性が「繋がった!」と嬉しさを感じさせます)

その後の三葉の行為は、瀧君への思いをたちきりたくての髪を切る行為だったのでは。(切るということは思いや繋がりをたちきりたいための行為?)(夢の終わりが夏祭りの近くの日、つまり、一般的には夏の終わり近くです。夏の終わりの儚さと夢の終わりの儚さをかけているのではないでしょうか)

また、三葉が夏祭り前に暗い部屋で涙を流すシーンには、喪失感を感じ、失恋等のなにかを失う出来事を思わせました。


その後の彗星の衝突により、三葉は現実の問題と向き合い乗り越えることができました。
瀧君の残した「すきだ」が現実と向きあう最後の勇気をくれたのかもしれません。

そして、瀧くんにとっては、一生忘れられない体験であり
忘れられない繋がりだったのではないでしょうか。
それが記憶がなくなっても四年後も繋がりを求めていた理由かもしれません。
忘れたくないと思っても忘れてしまう、だけどどこかでおぼえているその繋がりのことを。
だから、これはなくなってほしくないという、繋がりの肯定なのではないかな。
【美術】
新海監督の作品は見たり見なかったりなのですが、背景の綺麗さは今作もすばらしかったです。
田舎のゆったりとした風景にはそこに溶け込めそうな気分にさせてくれました。まるで、その場所が自分の帰る場所のような。

都会の朝の風景はどこか孤独だけどエネルギーを感じます。
夕方の忙しそうな風景には少し寂しさがあって、早く帰りたいな、そんな気持ちにさせてくれます。

季節感も夏に始まり、春に終わるという、季節ごとの綺麗な風景を描いてましたね。

最後に桜さく路地の階段で二人が出会うシーンも、優しさと暖かさをリアルに感じてとてもよかったです。


【記憶が失われる設定について】
多くの人がここについて指摘してきました。
ですが、私はレビューの最初に書きました通り、夢だから、でストンと納得しています。
作中で夢をフォローしているシーンがあるのは覚えていますか?
三葉の祖母が三葉(瀧くん)に「三葉、お前、今夢を見ているな」と言う印象的なシーンです。
また、三葉も「夢の中で見たあの人の名前が思い出せない」と言い、友人を困惑させます。
それはそうでしょう。普通のひとはそんなことを非常時でも平常時でも口に出したりしません。
共通認識として「夢の中の内容は忘れやすい」ということがあるからです。
ですので、スマートフォンの中の日記が消えていくあの表現や、
二人が御神体のクレーターで出会うシーンが、
夢と現実の境界線が曖昧な時間や場所を表現していて
見た人間も、夢と現実の境界線にいるようなそういう作品だと思っています。

【朝、目が覚めるとなぜか泣いている】
印象的な導入のセリフです。
二人の繋がりを失ってしまったことを自分の中のどこかが泣いている。
そして、それにとりつかれているようになってしまっている。
私はそうやってどこかに繋がりを探すような感情を現す言葉は知りませんが
自分のどこかに、よく似た感情があると確信があります。
それが、私の心にズキズキとした胸騒ぎを起こしてくれます。

【総評】
色々書きましたが、瀧君と三葉のような10代の気持ちや考え方を上手く描いています。
君の名は。でとめていますが、これは相手への問ですよね。
相手の名前を知らないからこそ尋ねる(訪ねる)。
そして相手の事を知りたいからこそたずねる。
相手の事を知りたいという感情をエネルギーにして伝えてくる作品でした。

また、人と人の繋がりを感じる、もしくは、心の中のどこかにあるつながりを求める感情を肯定する物語だったとまとめさせていただきます。

【蛇足】
三年前の瀧君と三葉が東京でであったとき、二人の糸はどう繋がったのか、一瞬はまりかけました。
二人の糸は絡みあって大きなわっかを作った。そんな思いです。でも始まりはどこかよりも、今と未来の彼らが気になって(笑)

キービジュアルの瀧と三葉が東京の坂で振り返って見つめる絵って
ラストの5年後の二人を、であった頃の高校生の姿に置き換えているのかも?
これが「出会い」の絵なのか「再会」の絵なのかちょっと気になって面白い。

幻想的で儚さのある二人の奇跡の繋がりと、現実の繋がり。
ラストで二人の繋がりを現実の繋がりにすることで生まれる嬉しさ。
なぜだろうか?多分、二人が求めていたその繋がりは、人間が奇跡を信じたい気持ちの肯定だからでしょうか?

{/netabare}

ストーリー考察?(繋がりを軸にストーリーを考えてみました。)
{netabare}
三葉の祖母が、糸に例えて人と人の繋がりを話しました。繋がって、絡みあって、離れて、近づいて、また繋がっていく。その繋がることを結びという。

瀧と三葉の関係もまたそうでした。夢で繋がって、入れ替わりを繰り返して二人の糸は絡みあう。
入れ替わりは突然になくなる。突然糸が切れたように。
三葉のいる場所は時間を越えて遠く離れた場所だった。
真実を目にした時、三葉との思い出は一瞬で消えていき、崖から突き落とされたようなスピードで二人の距離は離れていく。(二人の距離が明確に離れていくことに儚さや悲しさを感じました)
でも、瀧は「そこにいかなくちゃいけない」という自分でもわからない使命感に押され御神体のある場所へ
三葉のいるかもしれない場所へ近づいて行く。(確信のない行動です。しかし、そこには記憶という曖昧な繋がりよりも、もっと深いところでの繋がりを感じます)

そしてまた入れ替わり、二人はお互いを自分の体で出会う。
今まで顔を合わせて話したかったことをいいあって、笑う。(ようやく、もがいてもがいた結果、出会えたという喜びを感じます)

互いの姿が見えなくなって、名前を忘れた瀧は叫ぶ。
「君の名前は!」忘れちゃいけない大切な人を思い出せない苦しさで一杯になる。(本気で相手の事を求めるシーン、記憶がなくなっても、もっと深いところからの欲求です)

名前は思い出せない。でも誰かが大切なことは覚えてて
誰かが思ってくれていることが「すきだ」という言葉からわかる。だから三葉はやりとおせた。

そして時が流れ、あの時間の記憶もなく、あるのはかすかな心残り。
どこかに大切な繋がりがあるような。

冬が終わり春が来る。
二人はまた近づく、自分の中の心残りの先にある繋がりを探して。
そして出会い、ずっと探し続けてきた繋がりだと信じて問いかける。「君の名前は」。
(最初のシーンと繋がる。どこかに特別な繋がりがあるという不思議な感覚。ラストはなんとなくわかるという感情の肯定が、とても心地いい)
{/netabare}


2018年1月3日 地上波放送を見て。
{netabare}
本当は追記する予定はありませんでした。
でも、見たら、自分の中に生まれた何かを書きたい衝動を抑えられなくて、
書こうと思いました。

今回の再視聴で感じたのは、
繋がりが消えることの悲しさでしょうか。
どこか身近に感じていた、繋がりの断絶。
私が繋がりの断絶を感じたのは、福島なんですが、
レビューを社会派にする気はないので詳細は伏せます。

それは、人間の営みの断絶であったり、人の関係の断絶。
繋がりが消えてしまうことへの悲しさ、つらさ。
そういったものが多分糸守町の消滅、三葉と瀧の入れ替わりの終わり、
そういった作品世界の出来事から、私はいつも感じていたこと、
繋がりの断絶を感じていました。

繋がりの断絶と同時に、繋がりを求める声も同時に感じました。

三葉が瀧に会いに東京に出た時も、瀧が三葉の名前を忘れて叫んだ時も、
繋がりを求めるその行動、その思いが、私には、
無くした繋がりを取り戻したい気持ちを感じて、
どうしようもなく、泣いてしまいました。
(すこし安っぽい表現ですが、実際少し泣いてます。
多分泣いた理由は、登場人物達と同じ理由で、
繋がりを求めたから、でしょうかね。
多分これが、共感何でしょうね。初めて実感出来たかも)

こんな瀧君のセリフがありました。
「今はもうない街の風景に、何故ここまで胸を締め付けられるのだろう」
心のどこかで糸守に繋がりを感じている瀧君。
私も、どこかで知らない街の知らない人の営みに、
繋がりは感じないまでも、営みの中にある繋がりを見て、
親近感を感じたりするのです。
それは人と人の繋がり、人と土地の繋がり、繋がりの中で生まれた営み、
そういったものを、私は求めているのだろうし、
大切にしたいし、失いたくないと思うのです。

だから、この作品を再視聴して、このレビューは、
完全に私の感想であるのですが、
私が求めていた繋がりを描いてくれているし、
私が恐れている繋がりの断絶も描いてくれている。

だから、私は、この作品が好きなんでしょうね。



{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 134
ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

アニメを伝道する好機

世界観:8
ストーリー:8
リアリティ:8
キャラクター:7
情感:7
合計:38

1,000年に1度のすい星来訪が、1か月後に迫る日本。山々に囲まれた田舎町に住む女子高生の三葉は、町長である父の選挙運動や、家系の神社の風習などに鬱屈(うっくつ)していた。それゆえに都会への憧れを強く持っていたが、ある日彼女は自分が都会に暮らしている少年になった夢を見る。夢では東京での生活を楽しみながらも、その不思議な感覚に困惑する三葉。一方、東京在住の男子高校生・瀧も自分が田舎町に生活する少女になった夢を見る。やがて、その奇妙な夢を通じて彼らは引き合うようになっていくが……。
(シネマトゥデイより)

最近話題として何回か出てきたので、折角なので劇場に足を運ぶことに。そう決めてから、京アニの「聲の形」も上映中であることに気付いて、1日2本の豪華スケジュールを組みました。映画は、昔はよく観に行っていましたが、1日2本観たことは初めてのことです。

「君の名は。」は、午前中の回が満席だったので、「聲の形」→「君の名は。」の順で視聴しました。新海誠監督作品は「秒速~」と「言の葉の庭」を視聴済ですが、どちらも良作となる4点にぎりぎり届かない程度の評価をしてきたところ今回は評判が良く、京アニは「けいおん!!(二期)」で評価を上げたところでしたので、この2作は接戦になるかなと思っていましたが、本作は期待をさらに上回りました(劇場版の尺では過去最高点です)。

作画と楽曲はこれまでの作品の通り素晴らしい上で、映画の尺に合うだけの充実した設定とストーリーになっています。
入れ替わりネタはココロコネクトで経験済ですが、前半に和みの要素としてよいエピソードでした。やはり男は悪いと思っても揉みますね(笑)
入れ替わりが終わってからが本編という感じ。物語の展開がどうなっていくか、最後まで集中して視聴できました。

良作アニメは「時間」を効果的に利用しているものが多いです。タイムリープする必要があるわけではないですが、経年による物語の厚みは基本です。人間は、時間を遡ることができず、過去を振り返ったり後悔したり、そして遅かれ早かれ死ぬ、はかない存在であることの裏返しなのでしょうね。{netabare}この作品でも3年のズレが良い味を出していました。瀧が三葉に出会う前に、三葉が瀧に会いに行くシーンがありましたが、ああいう伏線は好きです(最初どのように描かれていたかは1周だけではよく思い出せないのですが)。

この作品ではさらに、入れ替わりが「夢」であって、その記憶がなくなっていく、という表現をしていたのも特徴的でした。夢を思い出したいのに思い出せない、あの感覚を、大事な人の記憶と結びつけたのはとても切なくて巧みでした。携帯の日記の消え方はちょっと変でしたけどね。{/netabare}

そうそう、リアリティ面では、細かいことを言えば上記のようなものがいくつかあったと思いますが、{netabare}名前の記憶が消えていくように{/netabare}終わる頃にはほとんど忘れてしまいました。それくらい浸れる作品ということかと思います。

興行成績でも今後どれくらいの数字を出せるかも期待大ですが、新海誠監督の代表作と言えるものになったことは間違いないでしょう。

{netabare}最後の二人が出会えるのかというところは「秒速」が繰り返されないかとヒヤヒヤしました。私は心の中で思い切り「よくやった!」と叫びました(笑)。ハッピーエンドが、良い余韻を呼んでいます。{/netabare}

そのほか、「言の葉の庭」の先生が登場していたり、彗星(星)を扱ったところなどにも、過去作品とのつながりも感じられ、新海誠監督の集大成になったのではないかと思います。もちろん、今後も今作を超える作品を目指していただきたいですね。

ヒロインの三葉の名前は、凪のあすから2クールED「三つ葉の結びめ」の影響もあったようです(前向きになれる、自分もとても好きな曲です)。
色々なところでつながっていると感じられることも自分のアニメ道の進歩ですね。

この作品でアニメに興味を持つ方も多いと思います。クールジャパンの代名詞のひとつがアニメだということは多くの方が知っているでしょうが、他にも「君の名は。」クラスの作品があることを、機会があれば伝えていきたいですし、あにこれの方々もそうしたら良いんじゃないかと思いました。(自分が初心者だという方には、私の棚でも見ていってください)

もう1回くらい劇場で観たいと思える作品です。劇場で観ておくことをおすすめしたいアニメ映画です。

(2016.9劇場で鑑賞)

追記(2016.9.20)
{netabare}余韻に浸り、あれこれ考えています。設定について補足したいと思います。まずは、入れ替わりが本人たちにとっては「夢」として感じるものであること(遠くにいる男女が出会う物語を考えつつ、古今和歌集の小野小町の和歌から着想を得たというのもイイですね)。朝起きて自分の人格に戻っていて、相手側の人格に入った記憶は消えているので、当初は訳が分からなくなり、周囲の言動などから、現実として入れ替わっていることを認めざるをえなくなるという流れでした。結果的には素晴らしく機能しているのですが、観客としては、別人格の2人がしっかり自分の意思を持って行動しているのを見ているので、忘れてしまうことに違和感を覚えます。ここを、注意深く見ていくには、1周では心もとないですかね(私も序盤は見落としがある気がします)。

それから、時間描写に特殊性のある作品でもあるかと思います。携帯電話の日記が消えてしまう部分はマイナスとして取り上げさせてもらいましたが、過去改変の可能性を示唆した表現でもあるのかなと思いました。つまり、我々が1本だと思っている時間軸は実は1本ではなく、交差することもあるけれども、その時は我々の記憶や記録物までもが改変されていて、我々に認識できないだけなのではないか、ということです。

また、通常、時間軸は1本であり、パラレルワールドを扱った作品は世界線が平行に並んでいるというもので、別の世界線に移動しても同じ時間というのが一般的ですが、この作品では別の世界線(と言ってよいのかも確信を持てませんが、多分そうかと)が3年ずれています。これは斬新ですよね。光速に近づくほど時間の流れは遅くなるという相対性理論もありますし、時間の経過は常に一定ではないとすれば、時間の流れが世界線ごとに異なっているというのもありじゃないかと思いました。{/netabare}

追記(2016.9.21)
{netabare}RADの主題歌を購入。その中の夢灯篭に「5次元にからかわれて」という歌詞があるのを見て、個人的にはパラレルワールドを描いた作品であると認識してみる。

(参考)私的次元の数え方
0次元…大きさのない点
1次元…太さのない線
2次元…厚みのない平面
3次元…静止した空間(これを0次元に戻して以降を想像する)
4次元…時間軸のある空間(1次元的な線としての時空=我々の認識する世界)
5次元…複数の時間軸のある空間(2次元的な平面としての時空=パラレルワールド)
{/netabare}

追記(2016.9.23)
{netabare}上記から、私は本作はタイムリープものではなく、時間の経過がズレたパラレルワールドの交錯した世界の物語と考えてみました。

①瀧のいる世界線と、三葉のいる世界線(瀧の世界線の3年前)がムスビの力によって重なってしまい、互いに心と体の入れ替わりが生じた。

②しかし、三葉のいる世界線において三葉が死に、入れ替わりは終わった。ムスビの力がなくなり、存在しないはずの三葉とのやりとりは過去改変により消失する。このため瀧の携帯電話の日記も消えた。

③三葉の「半分」である口噛み酒を飲むことでムスビの力が復活。三葉のまだ生きている世界線とつながり、再度入れ替わりが生じた。

④危機回避の努力の結果、三葉たちが助かり、その世界線と繋がった影響で瀧のいる世界線の過去が改変され、三葉が生きている世界になった。
という感じでしょうか。

小説版は1日で読み終わりまして、文章で読むと正直そんなに凄い作品とは思えなかったのですよね(本当に、映画の内容をそのまま文章にしたという感じのものですが、情感の起伏があまり湧かないのです)。
最高峰の作画と、疾走感や情感の溢れるRADの楽曲と、綺麗にはまった声優と、後半超展開となるストーリーと、感情をストレートに紡いだ心情描写と、夢のはかなさを活かした設定とが高度に融合した、アニメがベストの作品なのだと思います。

本日、9月22日までの28日間で興行収入100億円突破とのニュースがありました。祝!
もう一度見たくなってしまう、高揚感の余韻が強い作品です。
{/netabare}

追記(2016.10.10)
{netabare}最近週末まで多忙となり2回目をまだ観に行けていませんが、多数のレビューを見ていた中で一番良かったものをご紹介。
http://blog.kanjutsu.net/entry/2016/09/09/115947

作家性を捨ててエンタメに振れた、プロデュースの力によるもの、斜に構えた意見も多々見受けられますが、表面的な受けも狙いつつも底辺の深みに魅力がある作品だからこそ、何度も足を運ぶ方がいるのだと思います。
{/netabare}

<2019.1追記>
世界観の配点を1点減点しました(作画によるボーナス点を与えていましたが、他作品との平仄の観点から削除しました)。

(2017.2、2018.4、2019.1評価調整)

投稿 : 2025/01/04
♥ : 102

81.1 2 神社で高校生なアニメランキング2位
憑物語(TVアニメ動画)

2015年冬アニメ
★★★★☆ 4.0 (1571)
10576人が棚に入れました
貝木泥舟の暗躍で、千石撫子の一件が解決した2月。

受験勉強に追い込みをかける阿良々木暦の体には“見過ごすことのできない"変化が現れ始めていた。

これまでの報いとも言える、その変化とは! ?


青春に、別れの言葉はつきものだ。

声優・キャラクター
神谷浩史、早見沙織
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

ご、ごめんなさい。。。

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 初見でした。100分くらいかな?
 原作は未読ですし、他の物語シリーズもちゃんと見たことがあるとは口が裂けても言えません。キャラの名前すらググらないと分からないレベルのダメ視聴者です。
 前置きで語れることは大してありませんから、さっそく本題に入りたいと思います。


オープニング(シノブ):{netabare}
 オープニングのシノブの語りは、非常に重要なものでした。彼女は、ヨツギという人を模した怪異を例にして、「怪異とは何か」についての説明をしていました。

 人を模した怪異というは、「人であるためでも、人になるためでも」なく、「人といるため」に人の姿を採っているのだそうです。なぜ非現実の怪異が、人や動物などの現実の姿かたちを採っているのかについては、「人がいてこその怪異」であるからだとされていました。

 ここで言っているのは、怪異は、「怪異だから怪異である」というのではなくて、「人が怪異と認識するから怪異である」ということですね。人という観測者がいなければ、怪異という被観測者は認識されないのです。
 怪異が例え独自に存在していたとしても、人に認識されなければいないも同然なわけです。人の認識の中から生まれてくるために、人が知る現実の姿かたちを採っているのです。
 人を模した怪異で例えるならば、そもそも人の形であったのではなく、人がその怪異を人として見たいから人の形を採っている、ということです。その人とコミュニケーションを取るため、すなわち、「人といるため」に人の形を模しているのです。


 人が観測しなければ、怪異は認識されないわけですから、「語られない怪異は怪異足り得ない」のです。したがって、怪異の話はより多く人に語られることが望ましく、そのためにはより「怪しい談」でなければなりません。
 そして、怪異自体を生むのは「思い入れ」です。この「思い入れ」によって生まれた怪異の話、その中でもより「怪しい談」を紡いだものが「物語」ということなのでしょうね。

 重要なのは、人という観測者と怪異という被観測者の密接した関係性ですね。
 怪異は、人の「思い入れ」により生じます。そして、「怪しい談」となって人に語り継がれます。それゆえに、人に「認識」され、何らかの姿かたちを得ます。常に人が絡むのが怪異なのです。

 この辺は、カントの認識論ぽいのかな。認識が対象に従うのではなくって、対象が認識に従うんだよ、と言っているわけですからね。別に、カントを題材にしたと言いたいわけではないですよ。原作を読んでいないので断言はできませんが、作者の中から自然発生した結論のように感じました。こういうタイプの作品は結構ありますよね。「自分は自分なんだ」ではなくて、「他人がいるから自分なんだ」って結論付けるやつですね。
{/netabare}

エンディング(ガハラさん):{netabare}
 オープニングのシノブの話は、ヨツギを語るためのもの、というだけではありません。むしろ、アララギくんを語るためのものであったと言えます。

 アララギくんは、人から怪異になってしまいました。怪異は「怪異だから怪異である」と言えずに、「人が怪異と認識するから怪異である」とされている以上、彼は自分で自分のことを認識することはできません。また、「自分は人である」というアララギくんの認識は崩れ、自己喪失に陥りました。誰かに認識してもらわない限り、消えてしまうも同然な危うい立場になってしまったわけです。
 この辺を集約したものが「鏡に映らない人の姿」というわけですね。

 そして、アララギくんは、自分の姿が鏡に映らないことをガハラさんに告白しました。この前後のガハラさんとのエンディングで行われていたのは、怪異であるアララギくんをつなぎとめるための「思い入れ」と「認識」です。

 彼女は、「思い」の入ったチョコレートをアララギくんに食べさせました。そして、アララギくんが鏡に映らないことなんかどうでも良くて、「ずっと私の瞳に映り続ける」のだから問題ないと言っていました。
 つまり、ガハラさんの「思い入れ」によりアララギくんの存在が許されたのと同時に、ガハラさんが観測者となることで、アララギくんという被観測者を「認識」した、ということです。

 この「人が怪異を認識する作業」、具体的には誰かの目にアララギくんが映ることですが、おそらくこのガハラさんのシーン以外ではないのではないでしょうか。確認していないので断言はしませんけどね。もしかしたら、ガハラさん無くしてアララギくんは存在しえない、というレベルにまで至っているのかもしれません。

 このあとのガハラさんの髪結いからの一連のシーンは、この主題をリフレインさせたものでしょうね。このシーンは、鏡の前で髪を結うガハラさん→アララギくんを呼び寄せる→押し倒し、と流れます。

 ガハラさんは髪を結う時に自分の姿を鏡に映しているわけですが、そんなことはどうでも良くて、互いに見つめ合うことが大事なんだ、と描写されているわけです。
 つまり、鏡に映らないアララギくんも、鏡に映るガハラさんも、自己認識をする必要なんてないんです。互いの瞳に映し映されること、すなわち、相互に観測者であり被観測者であることが、二人の存在を確たるものにできるんだ、と説明されていたようです。

 で、このシーンなんですけど、ガハラさんと対比させるために、アララギくんが鏡に映らない様子をもう一度描くと読みやすいんですが、そうは描かれていませんでした。でも、描写をミスった感じは全然ありませんでしたよね。
 アララギくんが鏡に到達する前に、つまり、鏡に映らないように押し倒した、と私には見えました。ガハラさんの優しさという「思い入れ」がここでも表現されていたのかな。

 オープニングのシノブの話は、「人を模した怪異」から始まり、「思い入れ」で終わります。怪異の発生順序から言えば、「思い入れ」から始まり、「人を模した怪異」に帰着する、ですね。アララギくんという怪異に関しては、この最初と最後の部分の両方をガハラさん一人で達成してしまったわけです。アララギくんは、ガハラさんに始まりガハラさんに終わる、ということですかね。
{/netabare}

オープニング(アララギ):{netabare}
 もう一度話をオープニングに戻します。今度はシノブの語りのあとのアララギくんの語りです。

 「怪異譚は世界中で語られる。人間によって…語られる」と、人が語り部であることを強調していました。また、今までのヒロインの怪異譚を、自身が語ってきたことを述べています。
 そして、語りすぎるとその特徴が平準化されてしまうために、より「怪しい談」であることが難しくなってしまうというようなことにも触れていました。
 さらには、「いつまでもこの日常が続くわけがないことを知るべき」で「どんな物語にもエンドマークが打たれる」のだとまで言い、この人形の物語でそれを知ったと結論付けていました。それは、「アララギコヨミという人間が終わり始まる」物語なのでそうです。
 このアララギくんの語りでは、何を言おうとしていたのでしょうか。

 重ねて言いますが、オープニングというのはヨツギの殻をかぶせたアララギくんのための話です。
 物語というのは、観測者である人が語るもので、被観測者である怪異は語られるものです。人が語り部であることを強調していたのは、アララギくんが人という語り部でなくなったことを言いたかったのです。今までの彼は人であったために、ヒロインの怪異譚を語ることができていました。

 しかし、彼は怪異となってしまいました。これは、アララギくんが語る側から語られる側へと変化したことを意味します。つまり、彼は物語を紡ぐ側から、物語自体に落とし込まれてしまったのです。

 アララギくんが物語を語れなくなってしまったわけですから、彼が語り部である物語には、「エンドマーク」が打たれてしまったわけです。そして、アララギくん自身の怪異譚が始まりを告げました。これが「アララギコヨミという人間が終わり始まる」物語です。

 この物語は、まだ始まったばかりですから、この作品で結論が出ているわけではありません。しかし、その方向性を示唆している人物がいました。それがタダツグです。
{/netabare}

エンディング(タダツグ):{netabare}
 アララギくんが人から怪異になってしまったことというのは、観測者の立場から被観測者の立場へと変わってしまったことを意味しています。怪異に必要な「思い入れ」「怪しい談」「認識」のうち、「思い入れ」と「認識」に関してはガハラさんが担保してくれたわけですけど、アララギくん自身の「怪しい談」の部分は全うできていないわけです。この「怪しい談」の部分が次回作以降の話になるんだと思います。

 で、タダツグなんですけど、アララギくん退治に至って、唐突にメタフィクションを始めましたよね。「キャスティング」とか「役割」とか言っていました。そして、最終的には「オシノを探せ」と言い残して散りました。
 なぜ彼は、メタフィクションを始めたのでしょうか。

 その答えというのは単純なことで、アララギくんが被観測者になったからです。
 今までのアララギくんは人であったために、周囲の怪異を語る側だったんです。つまり、私たち視聴者と同じポジションにいて、個々のヒロインの「怪しい談」を語っていれば良かったのです。作品の中にいながら、一歩引いた存在でありました。

 しかし、アララギくん自身が怪異となったことで、彼は語る側から語られる側に落ちました。つまり、物語を語る人という立場から、物語の住人である怪異になってしまったんです。自由奔放な語り部という視聴者に近い立場から、物語上の役割を持ったキャラクターに転落したわけです。

 ちょっと言い換えてみます。
 今までは、視聴者である私たちは、「怪異譚を読んでいるアララギくん」を見ていたのです。アララギくんは、私たちに「こんな怪異譚だよ」と語っていたのです。
 これからは違います。アララギくん自身が怪異譚の登場人物になったのです。彼は「キャスティング」され、明確な「役割」を持って振る舞う必要があるのです。そして、視聴者である私たちは「アララギくんを題材とした怪異譚」を直接見ることになります。
 つまり、アララギくんが私たちに、「僕の怪異譚を語ってくれ」と言い始めるのです。彼が語り部である物語シリーズが終わり、彼が語られる物語シリーズが始まったのです。この構造の転換こそがメタフィクションですね。この事実にまだ彼は気付いていません。


 で、今後の展開なんですが、私は三つのパターンを想定しています。
 この作品だけ判明するキーマンは三人いて、アララギくんとオシノと視聴者。メタフィクションに気付きつつあるタダツグが、アララギくんに「オシノを探せ」と言っている以上、オシノが人(語り部)である可能性は極めて高いです。

 さすがに、想定している三パターンをここで具体的に挙げるのは控えますが、オシノがどの立ち位置に立つか、オシノがアララギくんをどうするか、オシノやアララギくんが視聴者をどう扱うか、というのを中心に大きく三つに分岐する、とだけ述べておきます。私は、オシノが{netabare}作者自身である{/netabare}とにらんでいます。
{/netabare}

雑記:{netabare}
 日常が続くとか続かないって話もオープニングとエンディングであったんですけど、結構長文になっちゃったからこれ以上は書きません。次作以降のフラグになっているのかもしれませんけどね。ここも含めてメタフィクションの方向性が強くなっていきそうな感じはあります。

 で、このレビューでは、オープニングとエンディングについてしか書きませんでした。まぁ、物語の骨子しか書かないのはいつも通りのことなんですけど、もう一つ大きな理由があるんです。
 それは、最初の20分ちょっとと最後の15分しか見ていないから…。
 お風呂のシーンで結構辟易してたんですけど、鏡に映らないとこでオープニングとのつながりが見えたんで、「飛ばしちゃえ!」となりました。飛んだ先にいきなりタダツルがいたんで「だ、誰?」とはなりましたけど、その先は上に描いた感じですね。

 本来ならレビュー書かない方が良いのかもしれないですけど、全部見ててもOPとEDしか触れなかっただろうから、「まぁいいかな」と。ガハラさん以外の目にアララギくんが描かれていたのかどうかだけが気になるかな…。
 評判良さそうなら再チャレンジしますけどね。私の思いは、レビューのタイトルにしたためました。
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 6
ネタバレ

ほったっる さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ファイナルシーズンに突入してバランスを取り戻した物語

原作未読

大晦日に一挙放送された大人気物語シリーズの1つ。
本作品からシリーズの終盤を描く、ファイナルシーズンに突入するとのこと。

千石撫子の件が片付き、受験勉強に専念していた阿良々木暦の身に起きた変化によって、自身の怪異への関わり方を認識する。その認識をベースに一種の怪異である斧乃木ちゃんとの関わり方が、ある事件をきっかけに変化していくというストーリー。

表題の通りですが、偽物語以降、ウロチョロと作品の方向性をちらばせていた最近の物語シリーズで、今までの作品の特徴をバランスよく取り入れた作品だったなという印象です。
それは偽物語で見られたエロ、猫黒で描いた詳細な心情描写、セカンドシーズンで見られた伏線をちらつかせるような演出、花物語で見られたシリアスな展開など。
そういった要素がバランスよく組み合った作品だったなという感じです。
(しかしエロ要素については、今回に限って羞恥心がない子が多すぎて、これがKENZENなのだと勘違いしただけかもしれません、本当は都条例スレスレなのかも)
それに加え、セカンドシーズンから久しく離れていた阿良々木くんの落ち着いた語り口調が頭に入ってきやすいのも本作品の魅力でした。

敢えて注文をつけるとするのなら、大筋としての言いたいことは一貫していてわかりやすいのですが、物語として実際に起きていることが二転三転しているような気がして、これをまとめてよつぎドールとすることに若干の違和感を覚えたような気がします。

まぁそんな細けぇ話はどうでもいいんです。
そう。この作品は斧乃木ちゃんの斧乃木ちゃんによる斧乃木ちゃんのための物語なのですから。

もうね。斧乃木ちゃんファンの人にとってこれほど嬉しい作品はないですよ。ほんと。(まぁ当方羽川推しですが、豚しゃんにそんなの関係ありません
紙芝居だと揶揄されるような静止画を素早く変えていく物語シリーズ独特の演出で繰り広げられる斧乃木ちゃん祭りが「ぱないのう」です。
もう本当、斧乃木ちゃんがUFOキャッチャーに置いてあるのなら、そこのゲーセンに課金の嵐が吹き荒れますよ。

さて、いささか取り乱してしまいましたが、本作品で重要になる登場人物は斧乃木ちゃんのほかに、阿良々木くんがいます。よつぎドールではありますが、彼がほぼ主人公にあたると言っても過言ではないでしょう。
{netabare}まるでヒーローのように今まで何でも解決してきた阿良々木くんが、千石撫子の件以降、自身の非力さを嘆く場面が多くなってきたことが特徴的ではないかと。
彼はどんな自己犠牲を払ってでも、他人を助けたがる。しかしながら助けられる側やその周辺は、必ずしもそれを快く思っているものではない。
結局のところ、彼は誰よりも他人を思いやっているようで、実のところ自分のワガママを通しているだけなのでしょう。
そのワガママは子どもっぽさであり、斧乃木ちゃんはそれを理解しているからこそ、最後にあのような行動をとったのだなという感慨深いエピソードでした。
この経験を元に、阿良々木くんも少しは周りが自分のことを心配しているということを自覚すべきですね。ほんと。{/netabare}

作画については、いつも綺麗だと思って物語シリーズを見ているので問題ないです。
ただ今作品から演出の仕方が少し変わっており、赤や青、白、緑などの背景画面に文字をびっしり(あるいは少し)表示するというシリーズ独特の演出が、紙を切り裂くような演出に少し変化していることに違和感を覚えました。
まぁそっちの方が目に優しそうで、健全な視力をもつ私としては助かります。(さりげなく自慢)

音楽は歌唱力に定評のある早見さんが歌ってますが、いかんせんキャラに合わせたのか若干棒読み気味。EDのクラリスは良くも悪くもいつも通りという感じでした。

斧乃木ちゃんに「うわーお」っていっぱい言わせたいだけの人生だった。
いえーい、ぴーすぴーす(V)o¥o(V)

【閲覧注意】一介の豚畜生が無菌豚になるまでブタルシスされていく様子
特に女性の方はご遠慮ください。当畜生は閲覧によって気分を害されたなどのクレームを一切承っておりませんので、あくまで自己責任でご覧ください。

※ブタルシス(英語 butharsis)は、豚畜生における精神の「浄化」を意味する。ほったっるが著書『萌え豚に生まれいづる悩み』中の二次元論に、「二次元が豚の心に萌えの感情を呼び起こすことで精神を浄化する効果」として書き著して以降、使われるようになったような、なってないような気がするが、ほったっる自身は自己満足として使った。

{netabare} 【主に前半の阿良々木くんの語りにて】
うわああああああああああ、いきなり真宵ちゃんコスの斧乃木ちゃんコスきたあぁああ!
ああ^~育てたい。かしづきたい。光源氏が幼い若紫をかしづいて、嫁にしたように、かしづきたい。
な・・・ぬ・・・?今度はメイドコスだとぉおお!?あんな愛想がない斧乃木ちゃんにメイドをやらせるなんて無理に決まって・・・ん?違う!これは無愛想な斧乃木ちゃんが愛想のあるメイドをやることでアウフへーベンをその身で体現しているのだ!
ああ^~。もはや哲学的存在。生きているのに死んでいるとかわけわからん中二設定がそもそもアンビバレントなのに。
え?なにこれ、斧乃木ちゃんとデートできるの。うそ。遊園地・・・カラオケ・・・?どうしたらそんなことできるの?探偵ナイトス○ープにお願いしたらできるの?ねぇ教えて?ねぇねぇねぇ!というかそもそも三次元を一次元だけ減らす技術を誰か開発して!アインシュタインさーん!!

【月火との入浴シーンにて】
ああ^~。月火ちゃんの発展途上ボディ素晴らしいんじゃ^~。
は?洗いっこ?おい!どこでいくら払えばこんなサービスしてくれるんだ!?こんな店とこんな子がいたら消費者金融で金借りて破産してでも入れ込むぞゴルァ!!
ま、都条例にはスルー。厳しい世界で生き残っていかなければならない豚さんはそんなホイホイには毒があるってわかってます。(なおさっきまでの様子)
て・・・オイオイ!洗う方もできるわけ!?なにそれ!?
ああ^~。お胸さまが神々しい。阿良々木くんがお胸さまを洗ったときの動きを流体力学で解明したい。神々しいお胸さまを科学の力で解明しようとするなんてまさにバベルの塔建設の所業。ガリレオ裁判にかけられることも辞さない。
え?お湯をかけられて、「もっとやって」・・・だと?ならおれの(自粛

【斧乃木ちゃんUFOキャッチャーにて】
は?斧乃木ちゃんをUFOキャッチャーでとれる・・・だと?おい!さっさと金を持って来い!あ・・・消費者金融で金借りて、もうないんだった。
おや?なんだこの電柱広告?審査なし、断られた方でもお金が借りれます?
ひゃっほー!!救い主は電柱に住んでいたんだね。ヤッター!!!!!

【忍ちゃんが余弦さんに馬鹿にされてすがってくるとこにて】
「だってぇ!」ってオイオイ。どこの世界にこんな金髪ロリ美少女がいるんだよ。ほんと。
あれ・・・違う。忍ちゃんの年齢はもはやロリでは・・・ない?つまり合法ロリ・・・?
つまちつまり(あ、興奮して噛んだ)、エロゲで「私、ハルカ!小学5年生!」とセリフでほざいていても、注意書きに「ゲームの登場人物はすべて18歳以上です」というような合法ロリの存在なのかぁ!?
という論理で考えれば、真宵もほんとは21歳。なるほど、ひらめいた。
{/netabare}

はぁ・・・はぁ・・・。
き・・今日はこんなところで勘弁してやる(震え声

関係者各位、こんなんで満足していただけましたでしょうか?

最後に一つ。
「不満足な人間であるよりも満足した豚でいたい」(ほったっる)

投稿 : 2025/01/04
♥ : 15
ネタバレ

ココ吉 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

「終」に向けてのストーリーと心を鷲掴みにする様な萌えとの融合★

原作既読◆4話編成◆


◆前置き◆

千石撫子の事件が解決して間もない2月のある日
大学受験を控えた阿良々木暦はふと自分の体に異変が
起こっている事に気づく。

その異変を解消しようする暦と影縫余弦の式神童女,
斧乃木余接との物語。そしてついに終わりの始まりの
物語でもある『よつぎドール』


◆感想◆

{netabare}
まず最初に、今回の憑物語の原作を読まれた方なら
「月火ちゃんとのお風呂シーンをどう映像化するの?」
と、一度は思ったはずです。

はい、僕も他に漏れず考えていましたw

その問題のお風呂シーン
とても見事な再現度だったと思います。
終始一貫して暦の変態紳士っぷりには
感謝と尊敬の念を抱かざるをえないですw

今回は特にお色気シーンや萌えに特化した
サービスシーンも多めでストーリーの進み具合は
ソコソコと言った所。


この辺りをどう捉えるかによって評価が変わりそうな
回ではありますが、次回作(終物語)に向けての伏線が
きっちりと張られた重要な回でもあります。

ラスボスの存在をさらに匂わす展開に加えて,誰でも
助けてしまう暦にこれ以上吸血鬼化してはならないと
制約をかす事により,自分が目の前にいて助けられない
人間を見せたという点においても重要な回だったかと。


個人的には花物語の様に少しシリアスで真面目な回も
好きですが憑物語の様にサービスシーン多めにお笑い
要素を取り入れた回も好きです。


総じて僕は。。。

物語シリーズが大、大、大好きです!!!
(小並感な結論でどうもすいませんww)


今回も物語シリーズ十八番の言葉遊びを用いた
会話劇は健在でファンなら楽しめる事受け合いです。

また,映像もシャフト独自の手法を凝らした作画は
もちろんの事,特に目を惹いたのが会話と関係ない動き
(カット割り)や音の演出が更に凝っていたりと楽しい
映像に仕上がっていました。


期間をあける事により物語シリーズファンの
空腹は最高のスパイス的要素はもちろんあるとは
思いますが,シャフトは人気制作会社だけにやはり
「期間を少し空けた方が良い仕事をするのでは?」と
花物語の頃から脳裏によぎってましたが,憑物語の
演出の素晴らしさを目の当たりにして改めて思いました。


願わくはこの調子で。。。

最高のデキに仕上がった終物語を...
最高にお腹を空かせた状態で...
最高に美味しく召し上がりたいものです(*´ω`*)♪



【ここからは余談】

本編内容もさることながら,西尾維新氏が物語の
前に付ける文字は,何かしら意味があったりプラスαの
メッセージが見え隠れしていたりとシンプルながらも
面白い趣向を凝らしているなと感じていました。

例えば、物語シリーズ全18巻の中で「化物語」「傾物語」
「囮物語」「花物語」の4作品は漢字の中に「化」が入って
いたりします。

加えて今回の憑物語の登場人物で言うと憑喪神の
斧乃木ちゃんや胎児の時から怪異(不死鳥・フェニックス)に憑かれた【憑く→憑き→月火ちゃん】が少し関係していたりと単純なものから少々「おっ♪」と思うものまであったりして物語シリーズの新刊が出る度に巻名(~物語)とタイトル名,それと本編の内容と照らし合わせて謎を紐解いていくのが楽しみの一つでもありました。



◆今回のお気に入りシーン◆

プライドの高い忍ちゃんが影縫余弦に自分の
頭上に立たれて拗ねてしまった所を影縫から
さらなる皮肉と言う名の攻撃(口撃)を受けて
たじろぐ彼女を見かねた暦が助けようとして
両者の間に入るくだり。

忍ちゃんをいさめようと声をかける暦に対して
『だ、だって!』と彼の袖をそっとつまみながら
涙目で上目遣いをするシーン。

↑↑うん、本当にもう……ぱないの!

ヤバイぐらいにぐぅカワの一言です(*/ω\*)♪
 (ぐぅの音も出ない程に可愛いの略)

この心を鷲掴みされる様な可愛さは原作では
出す事ができないアニメならではの良さが詰まった
シーンでありました!

萌えに全く興味がない方からすれば何て事ない鼻で
笑われてしまうかもしれないシーンかと思われますが
個人的にはストーリーと同じくらいに重要視してしまう
案件なのですw


シャフト様、本当にありがとうございます!!
(THE・土下座をしても良い気分ですww)


やっぱり忍ちゃんは可愛いですねぇ♪
このシーンだけ30回程、リピートしてしまったのは
ナイショの話(物語シリーズだけにw)

2014年は色々な作品の可愛いヒロイン達に癒されて
きた僕ではありますが、まさか今年最後の大晦日に
自分の中の「今年イチ可愛いヒロイン」が彼女によって
書き換えられるとは思ってもみませんでした。


忍変換とは正にこの事です(*´ω`*)♪
↑(パチスロ化物語ネタですいませんw)


月火ちゃんのお風呂場での「都条例♡」のギャグや
暦の為にバレンタインチョコを作ったガハラさんの
壁ドン&床ドンも好きなシーンではありますが,
今回は忍ちゃんの可愛さが一歩リードしていました。
{/netabare}



◆OP曲 『オレンジミント』
 歌:斧乃木余接 cv.早見沙織

まさに斧乃木ちゃんのキャラソンOP曲。
彼女のキャラ特性を上手く掴んだ歌詞を
はやみんボイスで歌い上げています。
OP画も作り込まれていて目を惹きました。


◆ED曲 『border』
 歌:ClariS

新メンバーのカレンを迎えた新制ClariSの第1弾。
個人的に旧ClariS(クララとアリス)の歌声が
とても好きだったので今回の曲に少し違和感を
感じてしまいましたが,これからに期待したいです。




◆最後に一言◆


もしも,現実でゲームセンターの
UFOキャッチャーの中に斧乃木ちゃんが
入っている現場に出くわしたとしたら…



さぁさぁ♪


皆さんだったらどうしますか?



ん!?


そう言うお前様はどうするのかって?



僕だったら…
そうですねぇ。。。




例え何万円…ううん、一部財産を使ってでも
必ずGETして家にお持ち帰りします( ・`д・´)キリッ★



そして、時には斧乃木ちゃんに…


例外の方が多い規則(アンリミテッド・ルールブック)で
お仕置きされたいw

↑もちろん威力を最小限に抑えてもらってね♪



そんなご褒美…
もとい、お仕置きを喰らった後での
僕と斧乃木ちゃんのセリフはもちろん。。。

{netabare}
いぇ~い、ぴーすぴーす☆⌒(*^∇゜)v
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 94

75.3 3 神社で高校生なアニメランキング3位
空の青さを知る人よ(アニメ映画)

2019年10月11日
★★★★☆ 3.8 (240)
1102人が棚に入れました
山に囲まれた町に住む、17歳の高校二年生・相生あおい。将来の進路を決める大事な時期なのに、受験勉強もせず、暇さえあれば大好きなベースを弾いて音楽漬けの毎日。そんなあおいが心配でしょうがない姉・あかね。2人は、13年前に事故で両親を失った。当時高校三年生だったあかねは恋人との上京を断念して、地元で就職。それ以来、あおいの親代わりになり、2人きりで暮らしてきたのだ。あおいは自分を育てるために、恋愛もせず色んなことをあきらめて生きてきた姉に、負い目を感じていた。姉の人生から自由を奪ってしまったと…。そんなある日。町で開催される音楽祭のゲストに、大物歌手・新渡戸団吉が決定。そのバックミュージシャンとして金室慎之介の名があがる。あかねのかつての恋人であり、高校卒業後、東京に出て行ったきり音信不通になっていた慎之介が町に帰ってくる…。時を同じくして、あおいの前に、突然“彼"が現れた。“彼"は、しんの。まだあかねと別れる前の、高校時代の姿のままで、13年前の過去から時間を超えてやって来た18歳の金室慎之介。思わぬ再会をきっかけに、次第に、しんのに恋心を抱いていくあおい。一方、13年ぶりに再会を果たすあかねと慎之介。せつなくてふしぎな四角関係…過去と現在をつなぐ、「二度目の初恋」が始まる。

声優・キャラクター
吉沢亮、吉岡里帆、若山詩音、松平健、落合福嗣、大地葉、種﨑敦美
ネタバレ

素塔 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

魂と時間

秩父三部作と通称される長編アニメシリーズの完結編。
先行する「あの花」「ここさけ」で描かれた鮮烈な青春群像劇を受けて、
青春の「その先」にあるもの、選択と迷い、行き詰まりや停滞など、
より広汎な人生の諸相を包括した物語となっている。

東京での成功を夢見る高校生のあおい。かつての輝きを失って帰郷した慎之介。
二人が歌うそれぞれの「ガンダーラ」に込められた、対照的な「夢」の姿。
自分の可能性を信じるあおいのアグレッシブな歌いっぷりと、
ギターを爪弾きながら慎之介が絞り出す、うらぶれたひとり歌。
青春ドラマに人生の苦みを足し加えた、独特の渋さが本作の個性である。

少し前に投稿したレビューを今回、ほぼ全面的に書き直した。
自分の関心は相変わらず、しんのというキャラクターの本質、そして、
三部作を一貫する主題の探求にあるのだが、前二作との比較をより鮮明にしつつ、
主題の一貫性を内在的な発展過程として捉える、思い切った試みをした。
それによって、出発点の素朴な疑問、しんのとは本当は何者なのか?
という問いをめぐる解釈に、多少の説得力が加わったか、どうか…。

(プロローグ)
{netabare}
物語の出発点を要約する導入部は、
短いカットやシーンをモンタージュ風につなげた凝った趣向で、
まずは主要なキャラクターを登場させ、さらにはその前史をも先取りする。

その中に断片的に挿入される、薄暗い、不明瞭なカット。
押し入れから何かを取り出しているらしい、無精髭を生やした男。
取り出されたものは、ガムテープで封印されたギターケース。

この部屋とは別にもう一つ、納戸のような場所も映し出される。
これらの場所が意味するものは物語の進行とともに徐々に明らかになる。
一方は、慎之介が現在暮らしている都会の一室。
もう一つは彼の故郷の、お堂と呼ばれている神社の拝殿の中。
そこには今も一本のギターが残されたままになっている。

暗示めいたこの冒頭の一連のカットには、わざと目立たないように
最も重要なメタファーが潜められている、というのが自分の推測である。
つまり、観ている者が後から気づくことになる決定的な事態とは、
これこそが「しんの」がお堂の中で目覚めた瞬間だったこと、
さらに、その目覚めとギターケースの封印が解かれるのが同時であったこと。

このメタファーの意味は踏み込んで考えるまでもなく、至って明解なものだ。
一方には空っぽのケース。そして、遠くに残されてきた本体のギター。
この両者が、しんのと慎之介との関係、即ちしんのの正体を説明している。
空虚な抜け殻になってしまっている現在の慎之介。
それはまさしく、中身の入っていない空っぽのギターケースだ。
だとすれば、周囲からは生霊とか地縛霊とか言われ、
慎之介の方が「本体」扱いされているのとは逆に、実はお堂にいるしんのの方が
置き去りにされた中身であり本体、いわば慎之介の「魂」と呼べるものなのだ。

ギターケースの中には、当時の記念の品々と、一枚の写真がしまわれている。
空っぽの心の中に過去の思い出だけを抱える現在の慎之介を象徴するようだ。
だから、これから始まろうとするものは、過去に残してきた自らの本体、
真実の自分、すなわちおのれの「魂」と再会するための旅であり、これは
しんの=魂という視点によって、物語の全体を読み解いてゆく試みである。
{/netabare}

Ⅰ 魂の顕現
{netabare}
「封印された過去」。これがしんのの一応の設定である。
岡田作品通有のモチーフであり、とりわけ「あの花」との関連は明らかだろう。
トラウマとして封印された過去の記憶の中から突如、実体となって現れる懐かしい異人。
めんまはそんな存在であり、しんのもまたその分身のように見える。
つまり本作の基本設定は「あの花」の延長線上にあると言ってよいだろう。

目覚めたしんのは、お堂に閉じ込められたまま一歩も外に出ることができない。
一切の活動を奪われた彼の状態は、文字通りの「封印」である。
その結果、外界から隔絶された閉鎖空間の中で
自分の存在をずっと自問自答する苦行を課せられることになる。

 なあ、俺どうしてここにいるんかな?・・・どうして、か・・・

封印された過去が自意識を所有して、自らの存在理由を問い続けている。
例えばめんまも自分の正体がわからず、その追求のプロセスが周囲を巻き込み、
やがて一人一人を自分の内面と向かい合わせる契機となった。
それが結果的に周囲の人々を苦悩から解放し、自らの救済にまでつながった。

しんのの場合も同じように、彼と関わる人々の心に徐々に変化をもたらしてゆく。
その変化のメカニズムを、物語の水面下で持続しているはずの彼の自省と関連させてみたい。
すなわち、あおいやツグに向けられる彼の率直な、全面的な肯定は
自身が完全に無力であるという苦い認識の裏返しなのではないか。
自らへのネガティブな反省が、他者へのポジティブな肯定に反転する。
ネガティブなものがポジティブな作用を及ぼすことは常識的には逆説に見える。
だが、魂の背理な力は常識の眼には、一個の逆説と映るものなのである。
自分はこれを魂の作用、働きかけと捉えたい。

ストーリーの軸となる、しんのとあおいとの関係をこの視点から見た時、
本当の力点は恋愛とは別のところにあるように思われる。
しんのへの想いを本物の恋愛と呼ぶには、あおいの心はあまりにも未熟に感じられる。
例えば、やさぐれた慎之介に失望し、さらに周囲の大人への反発が重なって
衝動的にあかねの生き方を全否定してしまうような幼さ。
しんのは、そんな突っ張ったり背伸びしたりする部分も含めて
等身大の、ありのままの自分を受け容れてくれる、心の支えのような存在である。

しんのへの淡い恋心は、あおいの内部に葛藤を生じさせる。
あかねの幸せを願う気持ちと、しんのが消えてしまうことを恐れる気持ち。
あかねへの愛情ゆえに揺れ動く、そのアンビバレントな感情の縺れは
心の奥底にある、最も素直な感情に立ち還ることによって解きほぐされる。
その役割を担ったのがしんのの存在であったように思われる。

ヒロインのあおいと主人公の慎之介は共に、心に抱えた屈折を
しんのの働きかけによって解消される。そこには本来の純粋な自分への復帰、
いわば「魂への回帰」が生じている。これが本作の固有のテーマではないだろうか。
本作が危機からの救済をめぐる「魂の劇」であるという事実を
「魂」そのものの顕示によって明らかにするものではないだろうか。
{/netabare}

Ⅱ 時間の肯定
{netabare}
秩父三部作を巨視的に通観する時、全作品に共通する
危機の救済のプロセスが、純化されていく方向性が認められるように思う。
つまり、前二作に潜在していた本質的なものが明確に顕現した結果、
「あの花」の心理ドラマが本作において「魂の劇」に昇華したと自分は捉える。
その過程で転回点になったのが、中間に位置する「ここさけ」の
あの極度に張り詰めた対話劇だったのではないか。そんな仮説が思い浮かぶ。

以前書いたレビューの中で指摘したことだが、「ここさけ」の終盤、
順と拓実が「本当の言葉」をぶつけ合う対話の場面には
相互の働きかけによる同時的な救済が実現している。
ここにおそらく、岡田作品に特有の救済の位相が認められると思われ、
漠然とだが、そこには魂への省察が予感されていたような気がするのだ。

本作にも山場となる二つの対話がある。
まずはしんのと慎之介。自分と自分、過去と現在とのドラマチックな対決。
もう一つはラストの、しんのとあかねとの再会の場面である。

しんのと慎之介の間では、否定と肯定が弁証法のように交錯する。
しんのは当然、現在の慎之介を非難するが、それが否定ではないことに注意したい。
しんのの否定は自らに向かっている。その否定の中に実は、
慎之介を肯定する契機が内在しているのだ。それはおそらく「時間」である。
具体的には、慎之介が耐えてきた13年という重たい歳月。
停まったままの自分には持ちえなかった時間。
それが、今も所在なく無為に存在している自分の現実と鋭く対比される。

この場所に留まってしまったしんのと、歯を食いしばって踏み出した慎之介。
尖鋭に向かい合う二人の姿に「いま」が顕現し、「時間」が可視化される。
そして今、過去を回収し、決着をつけてふたたび前に進むためにこの場所に来た
慎之介の覚悟は、しんのによって自分が存在した理由として理解された。

 俺さ、あの写真見ていろいろわかっちまった。
 あいつはさ、あん時、閉じ込めることでしか前に進めなかったもんに
 もっかい向き合おうとしたんだ、って。
 俺の中にもあるこの想いを、後悔になんてしないように、
 だから俺はあそこにいたんだ、って・・・

しんのとは、慎之介が向き合うべき「過去」の具現化だった。
そのような自分と向き合うために来た13年後の自分。その決意が彼に救いをもたらす。
しんのの方からの肯定によって、慎之介もまた過去の呪縛から解放される。
救済は一方通行ではなく、双方向的・相互的に成就する。
これが、三部作を通じて深められてきたテーマの真髄ではないだろうか。

そして、完結編となる本作ではさらに多方向的な展開を見せる。
クライマックスとなる、しんのとあかねが再会して交わす対話の中では
あおいを中心として、次々に肯定の連鎖が生じていく。

真っ直ぐに成長したあおい。その彼女のために地元に残ったあかね。
あかねの選択をしんのは今、心から肯定することができた。
そしてその肯定は、あかねを愛した彼自身にも及んでいく。
13年前のあかねの選択をしんのが肯定し、それによって自らを肯定する。
あかねへの断ち切れない想いが実体化した、凝固してしまった時間の象徴である
ネガティブな存在が肯定され、彼は安らかに消えていく。

そしてここでも、肯定されるものは「時間」である。
それはあおいと共に生きることを選んだあかねにとっての時間であり、
物理的な時間とは異なる、一人一人によって「生きられた時間」である。
成長した今のあおいはその結晶、具現化だと言ってよい。
ここに込められた本作のメッセージを自分は以下のように読み取った。

時間とは残酷なものだが、それが救いをもたらす場合もある。
本作はその両面を描きつつ、後の一面を支持していることは言うまでもない。
過去の意味は一概に判断できるものでなく、時間をかけて明らかになる真実もある。
「生きられた時間」を持てなかったしんのが結果的には
周囲の人々が新たな一歩を踏み出すための契機となったように
人生に無意味な時間というものは実は存在しないのではないだろうか。
「無用の用」という奥深い逆説的真理を体現したしんのの存在の奥に、
魂というものの本質が潜んでいるように感じられるのは自分だけだろうか…。
{/netabare}

Ⅲ 魂への回帰
{netabare}
過去の自分、現在の自分、未来の自分。
それらを貫いているものとは一体何だろうか―?

私たちはそれぞれに自前の判断基準=「ものさし」を持っている。
いつかは消え去る多くの夢、偶然の事柄に左右される日々の生活。
それら曖昧で不確かなものに基づいて私たちは往々、自らの現実を評価していないだろうか。
だが、もっと確かな、定点となるべき固有の実体が存在するはずだ。
それがその人の「魂」と呼ばれるものなのではないか。
過酷な現実の中で魂と折り合いをつけながら進むこと。魂を保って生きること。
そのような魂の所在こそが人生の本質的な課題となるのではないか。

その尺度に照らした時、夢とか現実とかいう区分は解消されるだろう。
魂にとってはただ為すべきことだけがあり、その進行の経過が現実というものだからだ。
だから当然、挫折などというものもない。
慎之介があかねに語ったように、すべてはまだ実現の途上でしかない。

 俺さあ、俺、ちゃんと前に進んでんだと。
 けど、まだ全部途中なんだ。途中だったって思い出した。
 だから、あきらめたくねえんだ、俺も・・・。

「思い出した」という表現が特に意味深く感じられる。
それは単に、忘れていた初心に帰るといったこととは違うだろう。
停滞とは多分、虚像にとらわれて本当の現実を見失ってしまうことだ。だからこれは
見失われていた自分の魂との再会による、本当の自分の回復を言い表すものであって、
魂を尺度として生きる人生への転換を意味する言葉なのだ。

——そして、慎之介の時間が再び流れはじめる。傍らのあかねと共に。


魂への回帰——。

それは個々人の人生の転換点において生じる事態である一方で、
人間の生存の条件をめぐる根本問題としての広大な射程をも有している。
本作の主題も実は、その地平にまで及んでいるのではないだろうか。

封印からついに解き放たれたしんのがあおいを連れて、広大な空を駆け回る、
全編のクライマックスとなる「魂の解放」を描いた場面。
魂の自由な躍動をヴィジュアルに描き切ったこのシーンは決して
単なる派手な映像的見せ場などではなく、ここまでの省察を踏まえれば
その内包するメッセージ性に気づかされるのである。

しんの=魂に導かれて、初めてあおいは、この空の本当の青さを発見する。

 空、青いね。・・・
 出たい出たいって思ってたけど、こんなにきれいだったんだね。

自分が今生きている「場所」の再発見、そしてその肯定を表明する言葉である。
「魂への回帰」とは、人が真に根差すべき場所をあらためて確認することなのだ。
しんのに抱かれたあおいがまるで、あやされる赤ん坊のように描かれるシーンがあるが、
ここにもおそらく、それぞれの固有の風土に抱かれて育まれる
人間存在の本来の在り方への暗示が含まれていると自分は解釈する。

この空の青さが魂の宿りだからこそ、どこまでも高く高く、跳ぼうとする。
この場所が魂の故郷だからこそ、どこまでも遠く遠く、駆け巡ろうとする。
このシーンは秩父への、そしてすべての「魂の故郷」に捧げられたオマージュである、
そのように捉えていいのではないだろうか。

デラシネ=故郷喪失。かつてアクチュアルな思想課題として熱く論じられた
あのテーマが、今再びここに喚び起こされているのだろうか——。
アニメ史に残るであろう記念碑的な連作・秩父三部作を締めくくるものは、
魂の「根差し(enracinement)」をめぐる新たな思索の可能性への
いまだかすかな予感なのかも知れない。
{/netabare}

(エピローグ)
{netabare}
エンディングに織り込まれた趣向は、エピローグと呼ぶのが相応しいものだ。
あおいたちのその後の歩みが、何枚かの写真によって伝えられる。その中の、
華やいだ記念写真に混じって、部屋の中だけを写した異質な一枚が注意を引く。

おそらく、ひとり暮らしを始めたあおいの部屋の中なのだろう。
愛用のベースの隣にはあの「あかねスペシャル」が仲良く並べられている。
慎之介とあかねが結ばれた後も、魂のしんのはずっとあおいと共にいる・・・
あおいのエア彼氏として(笑)。どうやらそんな感じの結末のようだ。
{/netabare}

総評:(主に前二作との比較を、旧レビューから再掲。)
{netabare}
「あの花」「ここさけ」に見られた求心性と緊迫感は
物語の固有の磁場を形成する、オリジナルな原初の「事件」に由来する。
原罪とも呼び得るトラウマからの解放に向け、極限的な感情と言葉とがぶつかり合い、
それらが思春期の心の揺らぎと共振し、作品は独特の屈折と陰翳を帯びる。
そうした内発的な展開の契機が、今作ではいわば外部化されている。
両親の死亡によるあかねの東京行の断念は、一般的な人生の有為転変に属しており、
そこにはあの私小説風の、特異で尖鋭な端緒が見られなくなっている。

また、説明的な描写、外的要因に頼る展開などに、一種の省エネ志向が認められる。
例えば、慎之介とあかねが会場の裏手で偶然出会う重要なシーン。
ここは再会した二人の心の揺らぎをもっとじっくり描くべき所ではないか?
目撃したあおいが姉の知らない一面を再認識し、一方でしんのの消滅を恐れて
板挟みの苦悩を深めるという方向につなげるのは、確かに無駄がなく効率的だが、
その分、キャラクターの心情への共感的な没入が妨げられる。
予期せぬ偶発事の発生で急転直下、物語に決着がつく終盤も展開本位だ。
視聴者は作品の中に入り込むよりも、外から筋の流れを追っていく感じになり、
映画的な感興がそがれ、テレビドラマ風な平板な印象が残ってしまう結果になった。

発展と見なせるのは、過去に関わる葛藤の乗り越えを描くのに際して、
思春期の心の「成長」から、人生の「成熟」へと視野が拡大し、さらに
それを促す要件としての「魂」の存在が、暗示的に主題化された点だろうか。

視点を多重化した本作の試みは功罪両面で評価できそうだ。
複層化に対応した構成は、前二作よりも明らかに緊密になっているが、
それにもかかわらず、逆に弛緩したような印象を受けることは上記の通りであり、
作品としての感銘度では、前二作には及ばないというのが自分の結論である。

蛇足になるが「井の中の蛙~空の青さを知る」というこの格言を
「魂」の方向に徹底させた言葉があるので、引用しておきたい。
沖縄学の父と呼ばれる伊波普猷が座右の銘とした、ニーチェの言だそうである。
曰く、
   ― 汝の足元を掘れ。そこに泉はある。 {/netabare}


(初投稿 : 2021/06/01)

投稿 : 2025/01/04
♥ : 22
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

タイトルなし

かの高名な超平和バスターズということで長井龍雪監督作品。
岡田磨里は青春作品を作るの上手だなと思ってしまう。多感な思春期の感情描写とかね。
ただ、前の作品のほうが僕にはインパクトが強くて、爽快な感じは良いのだが少々あっさり系に感じた。見ていたときの年齢も関係ありそうだが。

最初は高校生の姉とその彼氏しんのと妹あおいとのやり取り。
あおいが当時の姉と同じ歳になったとき元彼であるしんのが当時の年齢で生霊として現れる。
若さ故の尖った感じや矛盾した気持ちとか10年以上の経過で性格が様変わりしてしまった大人の諸行無常な感じと見せかけて本質自体は全然変わっていない様子とか描かれている。
キャッチコピーの通り、これは、せつなくてふしぎな、二度目の初恋の物語。


ゴダイゴのガンダーラかあ。若者というかバンドマンはそれを求めてるということだろうか?東京をガンダーラに見立てているのかな。選曲理由知りたい。

井の中の蛙大海を知らずされど空の深さ(青さ)を知る
後になって「されど空の深さを知る」という続きが作られたらしい。狭い世界で一つのことを突き詰めたからこそ、世界の深いところまで知ることができたということらしい。ガンダーラじゃなくても幸せはある。
お姉さんは十分幸せなんです。

{netabare}最後は結婚してるんすね。幸せになって良かった。{/netabare}


主題歌
空の青さを知る人よ あいみょん
葵 あいみょん
売れっ子あいみょんを起用するとは中々。


wikiに凄まじいネタバレがあった。備忘録として載せておく。
{netabare}
高校二年生の相生あおいは、秩父市の山あいに31歳の姉のあかねと二人暮らし。二人の両親は13年前に交通事故でそろって他界した。当時高校三年生だったあかねは、同じ高校でバンドのギター担当だった金室慎之介と交際していたが、一緒に東京に出るという約束を断念して地元の市役所に就職し、あおいを育てる傍ら独身を貫いていた。あおいは高校を卒業したら東京に出て働きながらバンドをすると決めており、放課後は一人でベースの練習に明け暮れる日常だった。

相生姉妹の住む地区で大物演歌歌手の新渡戸団吉を呼んで音楽祭が開く話が持ち上がる。仕掛け人は、あかねと幼馴染で同じ市役所に務める中村正道。正道は慎之介のバンド仲間でドラム担当でもあった。離婚歴のある正道はあかねに気があり、あおいにもそれをほのめかしていた。正道は、別の部署にいるあかねを「ヘルプ」として音楽祭の要員に加えてしまう。

月曜日、あおいが近所のお堂でベースの練習をしていると、13年前のしんののような高校生が突然現れる。あおいは幼い頃、このお堂でしんののバンドの練習を姉と眺めた記憶があった。あおいが驚いて姉のいる自宅に帰ったところに正道が訪れ、姉妹は団吉の到着を歓迎する手伝いをさせられる。団吉は西武秩父駅前にステージトラックで歌いながら現れ、そのバックバンドでは31歳の慎之介がギターを弾いていた。先に帰宅したあおいは、正道の息子・正嗣とともに再度お堂に向かう。高校生は13年前、あかねに東京に行かないと言われてそのままお堂にとどまり目覚めたしんのだと話す。なぜかしんのはお堂から外に出ることができなかった。正嗣はこのしんのは慎之介の「生霊」ではないかという。今の状況をあおいから聞いたしんのは、あかねと今の慎之介がくっつけば生霊の自分は慎之介の中に戻るから、二人を一緒にしてやりたいとあおいに頼む。一方、慎之介は歓迎会で酔いつぶれ、あかねにホテルまで送られる。飲みなおそうと絡む慎之介をあかねはいなし、「がっかりさせないで」と言い残して帰宅した。

翌日、あおいが高校の図書室であかねや慎之介の卒業アルバムを見ると、あかねは「井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さを知る」と寄せ書きに記していた。団吉のバックバンドではドラムとベースが火を通さずに食べた鹿肉が原因で食中毒に倒れ入院。あかねの提案で正道とあおいが代役を務めることになるが、慎之介は「遊びと一緒にされたくない」と不快感を示し、あおいは意地になり演奏を披露。周囲は好評だったが、慎之介だけは厳しい表情をする。

次の日、練習で正道とあおいの演奏に慎之介は容赦なく厳しい言葉を浴びせ、高校生の頃の優しい姿との違いにあおいは怒りを覚える。そこへキャバクラ嬢がバンドメンバーを誘いに訪れ、練習は解散。その模様をあおいが貸したスマホを通じてしんのは目にした。未来の「自分」の姿にしんのは憤るも、プロのギタリストになっていたことには素直に感動し、戻ってきたあおいを励まして練習に付き合った。

翌日、慎之介は素人と練習すると腕が鈍るという理由で練習に来なかった。夜、お堂であおいは、自分は卒業後に東京に出てバンドをやるとしんのに打ち明けた。自分の意志を継ぐ者がいたと喜ぶしんのに、あおいはあかねに自由に生きてもらいたいから自分が地元を離れるという邪な理由だと話す。それでもあおいをほめるしんのにあおいはデコピンをねだり、逃げるように自宅に戻った。

金曜日、同級生の大滝千佳が前夜慎之介と一緒にいたと知ったあおいは、帰宅したあかねに「一緒についていけば慎之介はクズにならなかった」「自分はあかねのようになりたくない」となじる言葉を投げつけ、正嗣の家に行ってしまう。正道に、あかねと結婚してもいいと話すあおいだったが、正道が団吉を呼んだ真意が慎之介をあかねに引き合わせるためだったと知って、大人は汚いと非難した。

土曜日、新渡戸団吉一座とあおいやあかね、千佳は音楽祭の準備のためにホールに集まる。千佳は慎之介は真面目で何もなかったとあおいに話す。ホールの裏で一人ギターを爪弾く慎之介のもとにあかねが現れ、慎之介の唯一のソロ曲をねだった。慎之介はいろんな声帯模写を織り交ぜて歌い、あかねは笑い転げる。その場面をあおいは遠くから目撃し、高校生の頃と同じだと気づく。慎之介がその場を去ったあと、あかねが一人静かに泣いているのをあおいは目にした。帰宅後、偶然あおいは、あかねが高校生の時自分の養育のための工夫をつづったノートを見つけ、涙をこぼした。あおいは雨の中お堂に向かい、しんのが好きだがあかねも同じくらい好きであることをしんのに打ち明けた。

翌日、ホールでのリハの前に団吉が肌身離さずつけているペンダントがないと言い出した。スマホの写真から割り出された紛失場所(トンネル)に、あかねは自分の車で探しに出かけた。しばらくして弱い地震があり、あかねの向かった方面で土砂崩れが起きたという知らせが入る。あかねのスマホが不通で不安に駆られたあおいはお堂へと足を向けた。お堂では先に来た慎之介が、しんのと対面していた。しんのはあかねを探しに行こうとしない慎之介を罵倒する言葉をぶつけ、自分と違って外に出たのだから将来お前になってもいいと思わせてくれと叫ぶ。しんのは見えない壁を押し始め、それを見たあおいも全力でしんのの手を引くと、しんのはお堂から外に出ることができた。しんのはあおいの手を引いて飛び跳ね、二人は空高く舞い上がり、あかねのいる場所に向かった。一方慎之介はタクシーであかねのいる場所をめざし、通行止めの場所からは歩いて現場のトンネルに駆け付ける。トンネルの入口は土砂崩れで埋まり、あおいが先に来ていた。

そのころ、トンネルの中でペンダントを見つけたあかねは、反対の入口にいたしんのに出会う。しんのは、あおいという妹を大切にできるあかねを好きになれてよかったと話す。しんのはあかねを救出してあおいと慎之介に合流した。あおいは「3人で行って」とあかねの車に乗らなかった。しんのが眠る車中で、慎之介はあかねへの思いを口にし、あかねがそれに応じると、しんのは姿を消した。一人残ったあおいは田舎道を走り、急に立ち止まって涙をこぼしてから「あー、空、クッソ青い」とつぶやくのだった。
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 9

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.2

柳の下のどじょう狙い丸出し。「空の青さ」が描けてない。

 正直いって題名と連動したテーマ性が見えない話でした。

「空の青さを知る」は「井の中の蛙大海を知らず」につながるフレーズです。盆地を強調していましたので、秩父盆地の田舎の暮らしの閉塞感を表していることだと思います。その中でどんな「空の青さ」つまり「深さ」を知るのかというのが題名から読み取れるテーマです。

「スーパーカブ」の準ヒロインのレイと同じマインドだし「進撃の巨人」のマインドにも通じます。そこは良いでしょう。現代日本のアナロジーにもなるし、秩父という土地の特徴でもあります。

「ガンダーラ」という古の曲が使われましたが、この曲の歌詞を確認すると、夢がかなうと言われれている土地で、それは到達不可能なほどはるかな土地という意味にとれます。つまり夢がかなう土地は幻で、何のために生きるかが重要ということだと思います。

 でまあ、そこまでは分かりますが、ツナマヨと昆布のアナロジーはかなり分かりやすく慎之介とあおいの対比という感じで描かれていました。そうなると、肝心の空の青さを知る人=あかねのやりたい事は子育てだということ?
 ですが、親が死ぬ前から昆布しか握らなかったと思いますので、それでは矛盾があります。妹が好きすぎる?が理由なら作品として「空の青さ」の意味不明です。新しいものと古いものの対比とも取れますが、ツナマヨが新しい?都会?のアナロジーはさすがに無理があります。

 演歌歌手を出してきたので、その新旧という点で何か言いたい事があるのかもしれませんが、読み取れません。そもそもあの大御所キャラが全く役に立っていません。

 となると「空の青さ」の深さ=子育てとなります。これは良く分かりません。東京では駄目なんでしょうか?途中あかねはここ=秩父でやりたい事があるようなセリフを言いましたが、それが子育てということ?だとすれば慎之介への愛情がかなり浅くないでしょうか。ミュージシャンとして独り立ちしたこともあかねは知っていなすたし。
 地元の市役所の町おこしの仕事の手伝いも結構イヤイヤでしたよね?あかねって、地元愛が深いように見えないんですよね。

 しかも、ラスト…EDの様子を見ると結局あかねに秩父の地で成し遂げたい何かがあるのかわかりません。慎之介が夢をかなえて迎えにくるのを待っていた、では成立しない気がします。
 それは「空の青さを知る人」という言葉と合っていないからです。要するに苦労してあかねを育てた、立派だねという話にしか見えないです。

「すずめの戸締り」を見た人はわかると思いますが、その数歩先まで描けていた環さんと比較すると何とも言えない綺麗ごとの気がします。

 で肝心の慎之介の幽霊ですけど、彼は何のために出てきたかイマイチはっきりしません。残留思念なんでしょうけど…そして、あかねとの恋愛は何がしたかったんでしょう?

 あのビッチっぽい子とやったやらないの辺りも良く分かりませんでした。あのやったかどうかがこのビッチキャラを配した理由?あかねは襲って、あの子には手を出さないということでピュア性を言っていた?うーん。31歳のミュージシャンが?それにそもそも秩父に戻ってきたのも偶然だしなあ。

 そう…キャラの背景が薄いんでしょうよね。どうしてそういう行動をしたのか、というキャラの作り込みが薄いです。緻密さが感じられません。

 それとアニメですが、ご当地ものですから写真をそのままアニメ化したい気持ちはわかりますが、だったら実写でやればいいじゃん、と思います。人物が浮いてしまい、画面がメタ視点になってしまいます。アニメ作品なんだから人物ありきじゃないと駄目でしょう。

 あと肝心な「空の青さを知る人よ」の歌詞内容ですけど、歌詞を何度確認しても映画のテーマ性と重なってきません。あおい=青、あかね=赤で、歌詞と重なるかどうか何度もチェックしましたが、分かりません。
 映画の内容を理解して作った曲ではないでしょう?それがメインテーマで使われているので、非常にノイジーです。これは音楽をモチーフにした作品なのに最悪でしょう。

 全体的に話の構造は分かりやすいし、エモい話に仕立ててますが、夢、生き方、恋愛、秩父という閉塞した土地で暮らすということ…つまり「空の青さ」のどれもが全く描けていなかったと思います。

 私にはまったく評価できない映画でした。柳の下のどじょうはやはり作品の質を低下させると思います。作家性として描きたい内容、連作全体で何かが見えてくるような構想がないシリーズ化はやめた方がいいでしょう。


追記)今回、これが本当に「あの花」と同じスタッフが作ったのか?という出来だったので、自分の見落としがないか皆さんのレビューを少し多目にじっくり読ませていただきました。

 皆さん、点数も高いし、コメントもいいコメントが多いですが、気が付くのは、泣けなかった、後もう少しこうしていれば、あそこがなあ、キャラが余計だった、みたいなコメントがかなりの頻度でありました。

 まあ、私は悪いところ中心に拾ってしまって過小評価なのかもしれませんが、微妙で中途半端な印象がある映画なのは確かな気がします。



再追記)例えば、慎之介にとっても、あおいにとっても、井戸とは「東京に出てやりたい音楽をやる」という意味だとしたら、どうかなあとも考えます。つまり視野が狭い=井戸ということです。そうなるとあおいのキャラと成人した慎之介のキャラが頑ななことは説明が付きます。目の中の星の設定も、目が同じ特徴がある=同じ見方・同じ視点を持っているとも読めます。

 どこでやっても音楽は音楽で、夢を追うのは理想の環境・外形だけじゃない、とも解釈はできます。そうなれば演歌のバックバンドである意味は理解できます。
 残留思念の慎之介が「閉じ込められる」状態から、青い空を飛ぶところにカタルシスがあるとは思います。思いますけど、それが「空の青さ」を知るということ?

 どうでしょう?行間を解釈すれば整合性は取れてきますが…強引な気がします。映画を見ているときには、キャラが上滑してここまで到達できませんでしたし、それだと、肝心な「閉鎖した環境で自分を知る=自分の理解」という部分があおいにも慎之介にも見えてきません。

 なんとなくですが、テーマ性というか題名に引っ張られて脚本がよれている気がします。といいますか、キャラの不自然さとか、感動の薄さがやっぱり気になります。

 少し深掘りすると評価点が低い気がしなくもないですが、今のところ第一印象通りの点にしておきます。気分の問題かもしれないので機会があれば再評価するかもしれません。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 12

77.9 4 神社で高校生なアニメランキング4位
神様はじめました(TVアニメ動画)

2012年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (1409)
7012人が棚に入れました
父親が家出して、若い身空でホームレスとなってしまった女子高生・桃園奈々生。
困っている奈々生の前に「私の家を譲りましょう」という怪しい男が現れる。男の正体は、土地神ミカゲ。
奈々生は家(=廃神社)と引き換えに神様の仕事を任されてしまい・・・!?
しかも社には、性格最悪で凶暴な妖狐・巴衛が神使として居座っていた。
社の精である鬼切と虎徹に励まされながら社の仕事をこなす奈々生に、巴衛はいつも悪口ばかり。
ある日奈々生は鬼切から「神使の契約を結べば、巴衛が絶対服従する」という話を聞く。
喜びいさんで契約方法をきくと「口づけ」だって・・・?
「冗談じゃない! 巴衛とキスするぐらいなら出て行ってやる!!」
奈々生の明日は果たして!?

声優・キャラクター
三森すずこ、立花慎之介、岸尾だいすけ、岡本信彦、石田彰、佐藤聡美、浪川大輔、堀江由衣、高橋広樹、大久保ちか、新子夏代、森嶋秀太、山﨑バニラ
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

いきなり神様になった女子高生の《プチ逆ハーレム》で平和な日々

先に見終えた『かみちゅ!』のヒロイン(一条ゆかり)は中学生(中2)だったけど、こっちは女子高生なんですね(桃園奈々生、高2)。

それもあってか、本作のヒロインは『かみちゅ!』ほど子供子供してなくて、驚愕するような出来事に出くわしても、割と確りアッサリ適応出来ちゃってる模様。

ここ日本では、女子高生や女子中学生/小学生がある日突然、魔法少女になったり神様に任命されたりするのは割とありふれた現象なので(?)、女の子の側も高校生くらいになってたら肝(きも)が据わっていて「神様?ま、良いっかな」くらいの感覚なのかも知れませんね。

シナリオ自体は『かみちゅ!』に輪をかけて予定調和的で平和な展開。
それでも第1期は、作品の雰囲気の良さに惹かれて ★ 4.1 と高めの個人評価になりましたが、さすがに第2期はマンネリ気味の展開に飽きがきて ☆ 3.7 とやや評価を落としてしまいました(トータルでは ☆ 3.9 と『かみちゅ!』と同点)。

この手の作品の定番?ツンデレ・イケメン霊狐君その他のイケメン妖(あやかし)・イケメン神様?も色々登場するので、そういう作品で癒されたい方には特にお薦めです。

過去編(OVA)というのもあるそうなので、いつか視聴してみたいです。


◆期別評価

第1期 ★ 4.1
第2期 ☆ 3.7
---------------
総合  ☆ 3.9


◆制作情報
{netabare}
原作マンガ      鈴木ジュリエッタ(『花とゆめ』2008年6号-2016年20号連載)
監督         大地丙太郎
脚本         大地丙太郎、横手美智子
キャラクターデザイン 山中純子
音楽         増田俊郎
アニメーション制作  トムス・エンタテインメント{/netabare}


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

============= 神様はじめました (第1期) (2012年10-12月) ===========
{netabare}
第1話 奈々生、神様になる ★ ミカゲ社の新しい神様(宇治上高校2年) ※イケメンのツンデレ霊狐か笑
第2話 神様、ねらわれる ★ 人気アイドル・クラマ(烏天狗)
第3話 神様、縁をむすぶ ★ イサラ沼の姫美子の来訪、姫美子の願い
第4話 神様、拐(かどわ)かされる ★★ 白蛇のお手付き、水神の神使ミズキ
第5話 神様、家をうしなう ★ 雷神鳴神姫の御印奪取騒動、チビ巴衛介抱、神使の再契約
第6話 神様、風邪をひく ★ 巴衛の身代わり登校、ミズキ来訪、巴衛の過去? ※ED「翼☆バサ☆ハザード」
第7話 神様、デートに誘う ★ 奈々生の恋心自覚、失恋
第8話 神様、海へいく ★ 海水浴、竜王の襲撃、ミズキの手引き(500年前へ)
第9話 神様、竜宮城にいく ★ 竜王の右眼(雪路の治療)、磯姫との取引、ミズキとの契約 ※逆ハーレム化笑
第10話 巴衛、神使になる/神様、合コンにいく ☆ 数百年前のミカゲと巴衛の契約 ※ED「神様お願い」堕天使☆Mix
第11話 神使、街にでかける ☆ ミズキの東京見学、髪飾り(巴衛のプレゼント)、雪路への嫉妬
第12話 奈々生、神様をやめる ★ 祭りの準備(神輿修理、舞の練習)、瘴気、奈々生の通力消失・逃亡
第13話 神様はじめました ★ 土蜘蛛の瘴気、奈々生の神楽舞、心からの神使契約の接吻{/netabare} 
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)1、★(良回)10、☆(並回)2、×(疑問回)0 ※個人評価 ★ 4.1

OP 「神様はじめました」
ED 「神様おねがい」


============= 神様はじめました◎ (第2期) (2015年1-3月) ===========
{netabare}
第1話 神様またはじめました ☆ 悪羅王の憑依(霧仁)、風神の出雲神諮り案内、式神(護君)誕生、退魔成功
第2話 神様、出雲へいく ☆ 神堕ちとの遭遇、神無月(10月)の出雲行き、八百万の神々
第3話 神様、黄泉におちる ★ 神諮り主宰(大国主)の依頼、黄泉の国へ(霧仁&奈々生)
第4話 神様、黄泉をかける ★ イザナミの招き、霧仁救出・黄泉からの逃避行、巴衛と悪羅王の再会
第5話 神様、二度目の告白をする ★ 巴衛の心情変化、縁結びバイト、ミクモとの再会、人と妖の恋の禁忌
第6話 神様、小天狗にあう ★ 沼の姫美子のアドバイス、ヤトリの霧仁接近、小天狗(牡丹丸)の真寿郎(クラマ)捜し
第7話 神様、鞍馬山へいく ☆ 天狗の里の三代目頭領を廻る騒動
第8話 神様、潜入する ☆ 続き
第9話 神様、ふいうちをくらう ☆ 続き(石化した僧正坊、黒幕(八鳥)、奈々生の退魔結界)
第10話 神様、告白される ☆ 続き
第11話 神様、こどもにもどる ☆ 年神様への願い、12年前の奈々生
第12話 神様、求婚される ★ 巴衛の知らない奈々生、神様として迎える初めての年末{/netabare} 
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)5、☆(並回)7、×(疑問回)0 ※個人評価 ☆ 3.7

OP 「神様の神様」
ED 「おとといおいで」


====== 神様はじめました〜過去編〜 (OVA) (2015年8月-2016年8月) ======
{netabare}
第1話 神様、過去に飛ぶ
第2話 狐、恋に落ちる
第3話 神様、花嫁になる
第4話 神様、迎えにいく
第5話 神様、幸せになる{/netabare}
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)0、☆(並回)0、×(疑問回)0 ※個人評価 ※未視聴

ED 「桜ミコトバ」

投稿 : 2025/01/04
♥ : 22
ネタバレ

小歌 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

ちょっと期待と違ったかも…

 ※全13話 原作未読
ある日突然神様になっちゃった女の子と、その子に仕える神使のラブコメ。
異種間恋愛も主従設定も大好物なんだけど、
この作品は私にはあまり合わなかったな。
演出とか演技とかテンポとか色々と。
せめてもう少し神様業に精を出してくれてたら、
頑張るヒロインを応援できたのだけど…。
タイトルと設定に先入観を持ちすぎたのかも。
原作読んだら印象もまた違うのかな。
でも他の脇を固める個々のキャラは魅力があって見てて楽しかったです。
あとは山崎バニラさんのナレーションやOP・EDの音楽など、
和風レトロなカラーが作品に合っていて良かった。

 * * *

第1話 奈々生、神様になる
 {netabare} 父親失踪、家は差し押さえで行く宛てのない桃園奈々生(ななみ)。偶然出会った謎の男・ミカゲに「家を譲る」と言われ、着いた先は寂れた神社。そこに棲む元野狐(やこ)の神使・巴衛(ともえ)と鬼切(おにきり)・虎徹から、奈々生は“土地神”の位を譲られたのだと聞かされ…。山崎バニラのナレーションって和風ラブコメと合うね。楽しい。 {/netabare}

第2話 神様、ねらわれる
 {netabare} 奈々生のクラスに人気アイドル・鞍馬が転校してくる。実は彼の正体は鞍馬山の烏天狗で、土地神の地位を狙っていた。キャラクター達にあんまり個性とか意外性を感じぬ。奈々生ちゃんのヒロイン気質とか、都合良すぎて逆に萎える。まぁキャラに愛着湧けばベタでも楽しめるだろうから、それまで我慢か…。 {/netabare}

第3話 神様、縁をむすぶ
 {netabare} 土地神として通力を高める必要がある奈々生。そんな彼女のもとに沼皇女(ぬまのひめみこ)が訪ねてくる。ひと目惚れした人間との縁結びを頼みたいという沼皇女だが、妖怪と人間の恋は禁忌。巴衛は反対するが、奈々生はそれを押し切って少年を探しにゆく。言霊縛りの巴衛の姿が犬夜叉と被る。拘束力はおすわり以上だけど。 {/netabare}

第4話 神様、拐かされる
 {netabare} 白蛇を助けた奈々生は腕に“蛇のお手つき”という婚約の印を残される。巴衛は人間に化けクラスメイトとして彼女の傍につき守ろうとするが、ヨノモリ社の神使・瑞希によって奈々生は攫われてしまう。瑞希の花嫁になるよう迫られた奈々生だが…。ラストが異種間恋愛ならではの切なさを醸してて良かった。 {/netabare}

第5話 神様、家をうしなう
 {netabare} 人間が土地神になったと聞きつけ現れた雷神・鳴神姫によって、奈々生は土地神の印を奪われ、巴衛は打ち出の小槌で身体を幼児化されてしまう。奈々生と巴衛は一旦鞍馬の家で世話になるが、耐えかねた巴衛は鳴神のもとへ赴き…。ちび巴衛やばいカワイイ。再契約のキスからの終わり方が良い感じだった。 {/netabare}

第6話 神様、風邪をひく
 {netabare} 高熱を出して学校を休む奈々生の代わりに、彼女に化けて登校した巴衛。思いのほか授業に苦戦し、巴衛と気付かない鞍馬の手助けを受ける羽目になり納得がいかない。一方の奈々生は、訪ねて来た瑞希に巴衛の過去の一端を見せてもらうのだが…。同級生のあみちゃん可愛い。雪路と巴衛の関係が気になる~。 {/netabare}

第7話 神様、デートに誘う
 {netabare} 奈々生は下級生から巴衛との縁を取り持ってほしいと頼まれ安請け合いをするが、そこで彼への恋心を自覚する。一方、鞍馬から思春期の女の子との接し方について注意を受けた巴衛。奈々生に誘われ放課後デートに付き合うが…。恋する女の子の暴走凄まじい。とにかく演出微妙すぎて素直にときめけません。 {/netabare}

第8話 神様、海へいく
 {netabare} 巴衛にフラれて傷心中の奈々生は友人と海水浴へ。巴衛と瑞希もお供するが、巴衛は海に入ったことで彼に因縁のある龍王・宿離(すくな)に見つかり攫われてしまう。巴衛に奪われた右目を返せば命は助けると言われた奈々生は、“時廻の香炉”で瑞希と共に過去へ飛ぶ。ミカゲとその友人の神様がイロモノすぎて吹く。 {/netabare}

第9話 神様、竜宮城にいく
 {netabare} 巴衛が龍王の右目を奪ったのは、病に伏せる雪路のためだった。不老長寿の薬である目をその場で奪うことを諦めた奈々生は現代に戻り、磯姫に自身の体内にある龍王の目を取り出してもらう。こうして竜宮城へ向かうが…。瑞希が奈々生の神使に。奈々生を避けて殻に閉じこもる巴衛と恐妻家の宿離に笑った。 {/netabare}

第10話 巴衛、神使になる/神様、合コンにいく
 {netabare} 巴衛がミカゲ社の神使になった当時の回想話と、奈々生があいたちと合コンへ行く話の2本立て。巴衛が奈々生に脈アリなのは分かるけど、この流れだとミカゲに置いてけぼりにされたトラウマを引きずってるが故の執着に見えるし…雪路と奈々生も他人じゃなさそうだし…。うーん、なんかムズムズするー。 {/netabare}

第11話 神使、街にでかける
 {netabare} 人間に慣れるため下界に下りた瑞希の話と、奈々生と巴衛が2人きりで遊園地へ行く話。小動物みたいにオロオロする瑞希が可愛かったし、相変わらず面倒見のいい鞍馬に和む。皆コンクリートジャングルで逞しく生きてるんですよ。しかしそうか、巴衛はミカゲのまじない(?)で雪路のこと忘れてるのか…。 {/netabare}

第12話 奈々生、神様をやめる
 {netabare} 人々にお化け神社と噂され避けられていることを知った奈々生は、参拝者を増やすために祭事を催すことを提案。そこで神楽を舞うことになり巴衛から指導を受けるが、上手く覚えられない。さらに、奈々生の土地神としての適性を試す乙比古によって社に瘴気をまかれ…。えええそこで逃げちゃうの奈々生…! {/netabare}

第13話(最終話) 神様はじめました
 {netabare} 秋祭りを楽しみにしている人々のため、自分の家を守るために社へ戻った奈々生。土蜘蛛の封印が解けたことで瘴気が濃くなるなか神楽を舞い、見事浄化することに成功。祭事も沼皇女達の協力もあって大盛況で幕を閉じたその夜、奈々生は巴衛に心からの神使の契約の口づけをうける。今一歩合わなかったな。 {/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 2
ネタバレ

まるべり さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

危うい。 そんな生き物が 俺の拠り所なのだ。

●ジャンル:少女漫画、コメディ
●原作:漫画(作・鈴木ジュリエッタ)

トムス・エンタテインメント制作のTVアニメ。全13話。


■感想■
{netabare}※原作は未読です。

既に過去に1回観終えているのですが、第2期が放送開始ということで観返しました^^

父親の借金で家を無くし、1人置き去りにされた高校2年生の女の子・桃園奈々生。
途方に暮れていたところ 土地神の男・ミカゲに土地神の資格と廃神社を譲り受けたことにより、
「ミカゲ社」の新たな土地神として神使の巴衛、精霊の鬼切/虎徹とのドタバタ共同生活が始まります。

内容は"少女漫画の王道ラブコメ+ファンタジー"といった感じ。
少々逆ハーレムっぽい図式になってますが奈々生ちゃんの相手は主に巴衛なので、そこまでハーレム要素はないかな。
少女漫画だけどコメディ色が強めなので男性でも観やすいと思います。

1話1話の密度が濃く、テンポがかなり良いですw
シリアス描写でも間に程よく自然なギャグを挟んでいるので、ストレスを感じることなく気軽に観られる作りになってますね。
また、山崎バニラさんの独特な語り口による軽快なナレーションも 観やすい要素のもう一つとしてあげられるかな。

ノリの良さととっつきやすさは「こどものおもちゃ」や私の大好きな「フルーツバスケット」などを担当された
大地丙太郎監督ならではの演出がかなり生かされているなぁと思いました^^

そしてとにかく主人公の奈々生ちゃんが好感持てるキャラなのが良いですね。
巴衛への恋心を自覚してからの奈々生ちゃんはさらに健気で乙女で可愛くて、
2人の微妙な距離間でのやりとりはかなりキュンキュンしました^^

他キャラもそれぞれ魅力的で、1話限りのキャラ(最終話のお祭りで一応再登場しますが)も大勢いたわりに
1人1人がちゃんとキャラ立ちしていたように思います^^心理描写も丁寧でした。

個人的に好きなエピソードとしては
第3話で奈々生ちゃんが通力を使って沼皇女(ぬまのひめみこ)と 彼女が恋した少年・浦島小太郎の縁結びをするお話。
禁忌と分かっていながらも、妖怪が人間に純粋な恋心を寄せる話は「夏目友人帳」を思わせてとてもじんわりきました。

他にも白蛇の聖神使・瑞希が元主・ヨノモリ様亡き後も梅の木を守り続け、ずっと一途に神使として仕えていた4話、
そしてそんな瑞希が11話で人間の強さを知る話も好きかな^^

最終話も綺麗に纏まっていたと思いますが、
気になった点として奈々生ちゃんの通力がどれ程なのかがちょっと分かりにくかったかな。
それまでは札で木を分身にしたり空気になれる程度かなと思いきや、
最終話の神楽の舞でミカゲですら封印するしか出来なかった土蜘蛛を一気に祓いのけてしまったし…。

恋愛がメインに寄りすぎていて、通力を極める描写などが全体的に不足していた気がしました。
そこが少しだけ心残りですが、その辺は2期で描かれることを期待したいと思います^^

【主題歌】
OP:「神様はじめました」/ハナエ
ED:「神様お願い」/ハナエ

最初は不思議な曲だなぁと思ったのですが、この作品の和風テイストな世界観にかなりマッチしてました^^
OP最後の歌詞の『神様はじめました』とタイトルロゴがリンクするのも良いですね。
EDの入りも癖になりますw

そして10話特別EDの「神様お願い 堕天使☆Mix」は爆笑でしたww
鞍馬だけでも笑えるのに、ハナエさんのコーラスも入っていてもう…それまでの10話の内容全部吹っ飛びましたw

【お気に入りキャラ】
▼桃園 奈々生
明るくて真っ直ぐで、それでいて芯の強いところが好きです。
アクションや表情が豊かで見ていて飽きないし、
神様なんだけど良い意味で神様らしくない「普通の女の子」という面も良かったなぁ。
2期でのさらなる成長、そして巴衛との関係の進展も楽しみです。

▼巴衛
口は悪いけど心配性で世話焼きなところが良いなと思います。
そして彼も過去に人間の女性・雪路を愛していたことから、
奈々生と同じく一途なのかなぁと(神堕ちと契約してまで雪路と生きたかったみたいですし)
ミカゲの忘却の術によって今は過去の事、雪路のことも忘れてるみたいですが、この先思い出すことはあるのかな?
その辺も含め2期期待です^^

▼鞍馬
登場時のBGMでいつも笑ってしまいますw『ダテン ダテン ダテン ダテン ダテン♪』ww
ネタキャラっぽい扱いですが、人間社会で長く過ごしていることもあってか常識人で、
困った時にわりと頼りになる良い奴なところが好きですw
ここまで出てきたメインキャラで唯一過去編が無かったので、2期は是非観たいです。{/netabare}


■まとめ■
{netabare}ベタなお話ではあるけど、少女漫画らしくキュンとできて程よく笑いもあり、そしてホッコリも出来て非常にいい作品でした。
ひと昔前なら朝や夕方にやっててもおかしくないですね^^
改めて観ても安定して楽しめました。

正直『もっと観たかった』と思ってたので、2期が決定してくれて良かったです。

ミカゲが社を去った理由や目的、巴衛のさらなる過去、雪路と奈々生は子孫関係にあるのか?など気になる点もまだまだたくさんあるし、
新キャラも続々登場するようなので2期も楽しみに視聴したいと思います。{/netabare}


■オマケ■
{netabare}アニメ視聴後、ドラマCDを1枚視聴しました。(もう1枚あったんですが、2期に関わりそうな話だったので今回は聴いてません)
10話の巴衛とミカゲの過去編がさらに掘り下げられた内容になってました。アニメ本編よりじゃっかんシリアスかな?
雪路を失って神堕ちの呪いに蝕まれた巴衛がミカゲに救われて神使になるまでの話です。

これを聴いてミカゲがどのような人物なのかが少し分かった気がします。
若かりし頃の未熟な巴衛も見られて、さらに巴衛に愛着が沸きました^^{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 10

74.1 5 神社で高校生なアニメランキング5位
アオハライド(TVアニメ動画)

2014年夏アニメ
★★★★☆ 3.6 (1207)
6583人が棚に入れました
中学生時代のとき、男子が苦手な双葉だったが「田中くん」だけ特別で大丈夫だった。夏休み中に田中くんは転校してしまい、自分の気持ちを伝えることができなかった。その後、男子にモテる双葉は女子からハブられてしまい、辛い中学生時代を過ごした。高校では女子に嫌われないようにと、わざとがさつに振舞う双葉は、想いを伝えることさえできなかった中学時代の淡い初恋の相手「田中くん」と高校で再会する。しかし、田中くんは中学生の時の性格と変わっていた。

声優・キャラクター
内田真礼、梶裕貴、茅野愛衣、小松未可子、KENN、平川大輔、松岡禎丞
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

胸の中を駆け抜ける、嵐みたいな青春の風

2014年7月放送。
全12話。


【前置き】

少女漫画原作のアニメは、他と比べても俄然キャラクターの心理描写が上手い作品が多く、個人的には内容に没入しやすい傾向にありました。
本作「アオハライド」も、まさにその類でしたね。

正直なところ当初はあまり期待をしていなかったのですが、数ある少女漫画原作の名作アニメ「ハチミツとクローバー」「君に届け」「ちはやふる」「夏目友人帳」等にも決して引けを取らない良さが、本作にもあったように私は思います。

…なんか遠回しな言い方ですね……、ストレートに申し上げます。
私は本作が大好きになりました。

ちなみに、タイトルの『アオハライド』とは、「アオハル(青春)+ライド(ride)」からくる作者の造語だそうで、「青春に一生懸命乗っていく」という意味合いだとか。
……ごめんなさい、説明を聞いてもあまりピンと来ませんでした。
ただ、作品を見終わった今となっては、作品を総括したピッタリなタイトルだと思っています。



【あらすじ】

見た目は良いけどそれ故に女子から反感を買わないようにと、わざとガサツに振舞う女子高生『吉岡 双葉(よしおか ふたば)』。

彼女は高校1年生の終わり、運命の再会を果たします。
その相手は、中学時代に転校し忽然と姿を消してしまっていた初恋の人『田中 洸(たなか こう)』。
しかし、洸の苗字は「馬渕」に変わり、昔見せた無邪気な笑顔も一切見せない…冷淡な人柄になっていたのです。

徐々に明らかになっていく、双葉の知らない洸の空白の3年間。
止まっていた2人の恋は、関係性が変わりつつも…再び動き始めるのでした…。



【語ってみる】
{netabare}
さてさて、本作の主人公は女子高生です。
私はナウでヤングな男の子なので、終始女の子のリアルな目線で話が進む点に関しては、少々共感し辛いことは否めません。

加えて現段階までのシナリオを総括すると、ハッキリ言って斬新な発想や展開にはあまり感じられませんでした。
実際、本作を試聴する前にあらすじを見た時は、全くピンと来ず見ようか迷ってしまいました。
(決して、辻褄のつかない話とかでないですが。)

しかし、それでも実際に見てグイグイのめり込めたのは、個々のキャラクターの人間味のある描かれ方や、思わずドキリとさせられた台詞の一つ一つ、そしてそんな各シーンをアニメとして魅せる手法も、とても秀逸だったからのように思いましたね。
日常系等のコメディ作品を除き、どんな作品もシナリオの出来は評価に大きく影響すると思うのですが、本作を見るとちょっと考えを改めちゃいましたね。


初めて本作に魅力を感じたシーンは、第2話。
後に親友となる『槙田 悠里(まきた ゆうり)』と双葉との初交流での一幕でしたね。

双葉が、異性の目を引くことで同性から嫌われないように、あえてガサツに振る舞っていた反面、同じく可愛いが故に同性から煙たがられながらも自分の素を貫いていた悠里。
このような件に限らずとも、学校というコミュニティーで何年も過ごすことを想定した時に、友人を作る為に双葉のように打算的な考えを持って過ごしていた方って、結構多かったんじゃないでしょうか。
(まぁ…双葉は極端ですけどね。)

悠里は、異性に好かれることに嫉妬したクラスメイトから、「ズルイ!」と陰口をたたかれていたわけですが、双葉は一人でお弁当を食べる悠里と話したことをキッカケに、彼女が昔の自分と重なり…ふいに「友達ごっこ」の殻を破って胆を発してしまうのです。

「ズルイっていうことは…、自分達も本当は男子に可愛いって思われたいってことじゃん。

 だったら、ブチブチ言ってないで自分達もブリッ子すりゃいいじゃん。」

そんなコトをしてまで男子に好かれたいと思っていない…、ただああいう女は嫌いなだけ…、と反論されても、

「じゃあ、ほっとけばいいのに!! ほっとけないぐらい嫉妬してるんだよ。

 相手のことを悪く言えば、自分が高みに立ってる気分になるのかもしれないけど、それ全然違うからっ!!」

と、まさにドストレートな言い返しをしてしまうのです。
思っていても、中々口に出すのは躊躇ってしまうような台詞ですね…、相手のプライドの逆撫で加減も半端ではありませんし。
実際に双葉も、言い終わった後に「しまった~~!!」ってなってましたね…。

ただ、それを聞いていた悠里は、その彼女の一言から勇気を貰い、陰口を叩く彼女らに


『私のこと嫌いってことはさ、貴方達の関心の内側に私がいるってことだよね。

 ざまあみろ♪』(←超笑顔)


なんて台詞をブツケちゃうのでした。
いやぁ、ここはとても気持ちが良かったですね。

これを機に、当たり障りなく過ごす為の手段であった双葉の「友達ごっこ」は、このクラスでは終わってしまいました。
ですが、それで得た友達は、「ごっこ」なぞでは終わらない関係を築けたのでしたね。

後の2人は共に同じ人を好きになるのですが、それでも2人は

「なんでウチら、同じ人なんか好きになっちゃったんだろうね。

 もうヤダ!!! でも悠里、大好きだからね!!」

なんて言って、お互い抱き合える清々しい友情関係でした。
正々堂々と勝負しようと言い合った、この2人の恋模様。
アニメ内でその結末が描かれることはありませんでしたが、同じく本当の友達になった『村尾さん』の言うように

「結果、どっちもフラれるかもしれないし。」

って結末でないことを祈りたいですね。
作品としては想定しにくいですが、現実なら大いにありえる展開ですしね。
2人と同様に思わず「ごもっとも…。」と思っちゃいました。


本作はフィクションではあるのですが全体を通して、こう現実的にありえそうなシーンが数多く出てきましたね。
現実でなら、二の足を踏んでしまうような状況も沢山ありました。
それでも、勇気の一歩を踏み出していく…双葉を始めとしたキャラクター達。
そんなところに共感と魅力が集まり、人気を得た作品のように思いましたね。
恋愛模様もそうですが、何より『いかにも実際にいそう』『実際にいたらいいな』っていうキャラクターを描くのが、上手いんでしょうね。


ただ、ヒロイン達が恋を抱く『馬渕 洸』だけは少々イケメンぶりが過剰に光ってはおりましたけど。
ですが、それでも好感が湧いてしまうのは、彼の人間味とバックボーンをキッチリ描かれていたからでしょうね。
たまにデザインがデフォルメされ、しっかり潰れた顔もこなしてくれる辺り、そのツンケンした性格にも良い意味で少々隙があって、昔の『田中 洸』を思い出させてくれますしね。
同じく人気の少女漫画「君に届け」の風早君よりは、まだ現実にいそうだと思いましたよ。

彼は、双葉の言う空白の3年間で、母親を亡くした境遇により、今のような冷めた性格を変わってしまっていました。
いや…変わったというよりは、以前の自分に戻れなくなったという方が正しいかな…。

同高校の先生でもある洸の兄『田中先生』は、当時は新任教師になったばかりで仕事に追われ、長崎にいる母親の看病も満足に出来ず…洸のフォローもままならなかった自分を責めておりました。

「会う度痩せてく母親を見るのは、本当に辛くて…病室に入るのがいつも怖かった。

 あんな思いを…、アイツは毎日たった一人で…。」

双葉との帰り道でそう言った田中先生は、洸について…こう続けました。


「洸は本当は優しくいい子なんだ、だから…『『『 知ってます!!! 』』』」


涙を流しながら言葉を重ねた、この時の双葉が最高でしたね。

「そうでしょ…、アイツ……いい子なんだ…。

 ありがとう……。」

同じく涙ぐみながら続けた田中先生とのこの一連のシーンは、涙腺をちょっぴり崩壊させられちゃいました。
決して斬新で虚をつかれたシナリオではないのですが、台詞と演出にしてやられましたね…。

この後、そんな洸の今現在の殻を、ムリヤリに…そして勢い良くブチ壊した双葉。
それを機に、久しぶりに兄とお父さんとで夕食を食べる洸の姿は、お兄ちゃんと同じくまた泣けてきちゃいました…。
お兄ちゃんも良いけど、お父さんの台詞もまた意外と良かったので…もぅね…。。。

これまでも、いくら適当ぶったりぶっきら棒に振る舞っても、最後には絶対優しかった洸。
彼が、昔の素直な『田中 洸』に戻るのは、そんなに先の話じゃないのかな?
今のツンケンも、それはそれで魅力的な気もするのですけど。
{/netabare}



【とても魅力的な、3曲の主題歌】
{netabare}
さて、本作を語る上で外せない魅力だったのが、こちらの3曲。

オープニングテーマ「世界は恋に落ちている」歌 - CHiCO with HoneyWorks

エンディングテーマ「ブルー」歌 - フジファブリック

挿入歌「I will」 歌 - Chelsy

深夜帯のアニソンと呼ぶには少々爽やか過ぎる節もあるのですが、曲のクオリティは勿論のこと作品ともマッチしていて、作品が好きになればなるほど曲も好きになっていきました。


当初は、爽やかで映像ともマッチしたオープニング曲にハマりました。
「聞・か・せ・て♪」って歌詞に、口を合わせて双葉が洸に耳打ちするシーンが魅力的ですね。
あと、冒頭のビュンビュンと突風がなびく中で、双葉の髪や服装が揺れ動くシーンの作画も綺麗でしたし。
何故かスカートは終始鉄壁を保っておりましたが、「まぁ良し!」としてしまう魅力がありましたよ。
そうそう、これはなんの風?と思っていたら、劇中最後の双葉の「青春…青い春…。その胸の中を駆け抜ける、嵐みたいな風に乗って。」という独白に、この風の意味が凝縮されていた気がしましたね。


中盤前辺り、作品が好きになるにつれて、エンディング曲もドンドン好きになっていきました。
ヒキを強くした作品ではないのですが、その分終わった後はスッキリした気分に浸れることが多かったので、優しいピアノから入る伴奏がまた聴き心地が良くて良くて…。
仲良し5人組で、トコトコと歩く絵も微笑ましかったですし。
映像の静止画の中では、後頭部を手で抑え少しバツが悪そうに笑う『小湊君』のシーンが一番好きでしたね。
彼は作中では今現在、まだあまり恵まれたシーンには巡りあえていなかった気がしますね。
最終話では、そんな彼のあるシーンから絶妙な具合でエンディングがフルで流れ始めるのですが、活躍すれば絶対一番好きになりそうなキャラクターなだけに、早く続きが見たいですね。


さて、そんな曲の中でも作中で流れる挿入歌「I will」は、劇中を盛り上げる演出として「ここぞ!」という時に思いっきり使ってくるので、最終的に一番記憶に残って好きになりましたね。
特にこの曲が、演出として最高の盛り上げを果たしてくれたと思ったのは第6話、双葉と洸が電車に乗ろうとする時のワンシーン。
双葉は洸が電車に乗った時、咄嗟に忘れ物をしたと嘘をつき、洸が電車を降りるかどうか内心でカケをしたんですね。

「もしこのまま洸が降りなかったら…、好きをやめる。」

悠里と同じ人を好きなってはいけないという葛藤からでしたね。
目をつぶり、「降りたら…やめる……、降りなかったらやめない…」と頭の中でグルグルと同じ台詞を繰り返す双葉。
ただ、電車の扉が閉まる瞬間、双葉は本音で「降りて!!」と願うのでした。

そんな中でこの挿入歌は、まさに電車が過ぎ去ったところで歌詞を絶妙にマッチさせて

「この恋を遮るように、電車は過ぎ去った。」

って流してくるんですよね。
歌詞の全てが作中のこのシーンを表現したものではないですが、憎い演出でしたね。
思わずドキッしちゃいましたよ。

そしてまた、しっかり電車を降りて目の前に立ってくれていた洸が

「何? 忘れもんって学校? じゃあ戻るか…。」

と言う場面で、綺麗にサビを持って最高にシーンを盛り上げてくれるのです。
(余談ですが、ここで双葉から「ごめん、忘れ物無かったよ」って言われた時の、洸の「ガボーン!」って感じの顔は面白かったですね。ドンマイ!)

そして、シーン最後の台詞


『悩んでるフリして、本当はどうしたいか決まってたんじゃん。

 それに…こういう時、洸なら降りるって思ってた…。

 悠里…ゴメン…、私も…私も…、洸が好き。』


という場面で、綺麗にこの曲も終わります。
まさに劇中歌に合わせて、シーンを繋ぎ合わせたことが窺える一幕でしたね。
それまでは、良い曲だなぁというぐらいでしかこの挿入歌を聴いてなかったのですが、このシーン以降は流れ始めた時には、もぅ「キタキタキタ!」って気持ちで聴いてましたね。
毎話ペースで流れるので少し希少価値感は薄れちゃってますが、それでも作品の盛り上がりには絶対に欠かせない一曲だと思いましたよ。

こちらの挿入歌とオープニングを歌うアーティストさんは、本作がデビュー曲だそうで。
次回も期待したいですね、出来ればまたアニソンを歌って作品を大いに盛り上げてほしいです。
{/netabare}



【総評】

恋愛作品ではあるですが、それ以上にリアリティのある高校生の人間模様を描いた作品だと感じました。
ストーリーにしても、あらすじだけでは伝わらない魅力に満ちておりましたし。
ストーリーやキャラクターの骨組みが上手く整っており、それを表現する台詞や演出も抜群に光り、結果的に全体を通して非常に出来の良い作品へと仕上がっていた印象を持ちましたよ。

キャラクターをベースに、恋愛模様を描くのか。
それとも恋愛模様をベースに、キャラクターを描くのか。
本作は多分、後者のような気がしましすね。
ただただ恋愛模様を描くことに重視した作品ではなく、キャラクターそれぞれの青春を描いた物語。
この「アオハライド」というタイトルも、そんな本作にピッタリだったワケですね。

このキャラクター達を好きになれるかによって評価は大きく分かれそうですが、私は皆好きでした。
まぁ今のところ実際メインは良い奴ばっかりでしたしね、恋愛作品としては面白味が無いとも言えるかもしれませんが。
キャラに関し唯一難点を上げるとすれば、主人公である双葉の声が「内田真礼さん」なので、どーしても中二病の六花ちゃんが頭から抜けなかったことや、声色が可愛過ぎて少々シリアスには不向きに感じ、違和感が生じる場面がしばしば見られたところですね。


さて、本作の2期の予定は今のところありませんが、後にメインで活躍するであろう新キャラクターがチラリと登場してたりもするので、是非期待したいです。
その時は、イマイチ2枚目半的な役割だった小湊君の活躍するシーンも見たいですね。
そうそう、OP後の提供映像での、話数ごとにドンドン増えていくニャンコの演出も地味に楽しみでしたので、次作ではどんなニャンコの魅せ方…そしてオチになるかも期待しています。

ではでは、読んでいただきありがとうございました。


◆一番好きなキャラクター◆
『田中 陽一(田中先生)』声 - 平川大輔さん


◇一番可愛いキャラクター◇
『槙田 悠里』声 - 茅野愛衣さん

投稿 : 2025/01/04
♥ : 56
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

LET'S アオハライディング!

原作未読


 AO(青)-HARU(春)-RIDE


企画構想段階でこのタイトルと決まれば、思いっきり青春of青春の物語にしたろ、と思います。
そんな事情があったかは露知らず、少女漫画原作らしさが色濃いこれでもかの青春+恋愛+友情ものでした。加入ケーブルテレビの再放送で見つけたのがきっかけ。
原作漫画が評判で2014年夏期に1クールアニメ化。その年の年末には実写劇場版が公開。観客の7割が10代の女性だったらしく(wiki)、今の20代女性には認知度の高い作品だったりするのかもしれません。

ターゲットである10代女性の夢が詰まったお話と仮定すれば、
・頑張るあたし!なヒロイン
・頭のてっぺんから足のつま先までイケメンなあいつ
・親友の好きな人をあたしも好きになっちゃった
組み合わせは外せません。そして本作ならではの味付けを少々。
私はヒロイン吉岡双葉(CV内田真礼)のめんどくさい感じけっこう好きです。


看板に偽りなし、の絵に描いたような“青春”の光部分をルーペで拡大した焼けこげそうなくらいまぶしいお話です。


観終わった方はどんな感想を持たれたでしょうか?


青春の光にあてられるとどう転んでも自分の青春ここまでじゃねーなーと思っちゃいます。


ここで吉岡双葉について閑話休題

「イケメンすぎてつらい…」
「キラキラで溶けそう…」
「俺の青春とは別物の並行世界…」

青春ものに触れコンプレックスを感じ悶えとく。ヲタコミュニケーションでの最適解といえましょう(適当)。
そんな中でですよ。

「女の子と楽しくやってたよ」
「学校行事も積極参加して楽しかったな」
「強豪野球部で白球追いかけ充実した青春」

でも満足はしていない。恋は上手くいかなかったし甲子園の夢だって叶わなかった。リア充高校生だなんてとてもとても。もっとやれることがあったんじゃないか?
青春に未練が無いとは言えないさ(遠い目)。

・・・なんてうっかり口走って敵認定されるのはご免こうむる。
そもそも田舎か時代か、陽キャ陰キャの概念もなく帰宅部連中ともワリと仲良くやってたので、“俺の青春灰色だよん”から生じるルサンチマンを肌感覚で理解できなかったり。

「知るかバーカ!しょぼいのは自業自得だボケ」

なーんていい大人になった今となっては言葉に出さないのがマナーです。

そんなビビリヲタ♂の境遇を女子に置き換えてみます。そして同調圧力に屈してたこれまでの日々にさようなら、と
“事実なんだろうけどそれ言っちゃうと角が立つよね”
“スカッとするかもしれないけど言い方ってあるよね”
を難なくやってのけちゃうしびあこJKがヒロイン双葉だったりしました。



心情描写の繊細さやリアリティが良いことは前提。1クールと短めなのにその点は丁寧に拾ってます。
そこに、ホントはこんなの出来たらいいのにな、の実現を織り交ぜているのが優れものだと私が思うところだったりします。
また、これくらいの年代女子の面倒くさいところ、そして心の揺れそしてかわいいところがヒロイン以外の女性陣、槙田悠里(CV茅野愛衣)、村尾修子(CV小松未可子)にも表れていたりとなかなか面白い作品でした。


■面倒くさいところ!?
だって、双葉は馬渕洸(CV梶裕貴)を見てるようで見てないじゃないですか。
・自分がどうキュンと感じたかが大事
・相手が今どう思ってるか?は「わからないよ、でも」で自分がどう思ったかが最優先
・マイルール?{netabare}“電車降りたら好きのままでいる”“言えなかったら丸刈り”{/netabare}は相手の事情お構いなし
脳内どんだけ恋愛で占められてるんだの視野狭窄っぷりだと思いません?
この青春真っ盛り感を懐かしく思います。

一方で、馬淵か田中かの洸くんはといえば、ヒロインが望む適切なタイミングでヒロインにとって適切な言動をしてくれる王子様です。これやれって言われても無理だから。
リアルではこの男女間における不公平を嘆くのではなく、適切なタイミングで適切な言動をできるように日々自分を磨いておきたいところです。


■願望の実現!?
良くも悪くも毎日顔を合わせる学校で、思春期女子には絶対できない、でもできたらカッコイイことをやって好転するシーンがいくつか。

1.{netabare}明日美(CV井上麻里奈)、チエ(白石涼子)に一言物申す
ハブられた反動で同調圧力の権化と化した経験を持つヒロインです。そんな彼女が次の居場所が確定してない中で関係を切るって基本できないことだと思ってます。
腐れ縁を切ってほどなく仲良し五人組ができるなんて結果オーライでしょう。{/netabare}

2.{netabare}悠里に自分も洸が好きだと伝える
奇しくも悠里が「あたし不利だ」と言った通り、先行している双葉だったら水面下で動いて付き合ってからごめんね、になると思ってます。
友情も愛情も壊さないなんてこれも結果オーライでしょう。そして100%もめる案件だと断言してもよい。{/netabare}
{netabare}そもそもまずは悠里からのメールで勘ぐった上、「あの子先手を打ってこっちの動きを封じようとしてきた」「こっちが好きなのわかってんのにありえなくね?」って展開が目に浮かびます。{/netabare}


この1.2.のような感じでリアルでも物事が上手くいけばいいのに、が描写されてるので「えぇなあ」となるのだと思います。
性格にもよりますが、実際できちゃう女性は男前ですね。惚れます。


それともう一点、“素直な自分”への肯定がこれでもかと。
仲良し五人組(男2:女3)の女子三人とも素直でいい娘さんです。しかし考え方捉え方に各々差異があるのも良いですね。

 素直になりたい子
 そのまんま素直な子
 素直を知らない子

その他、喧嘩別れしたような明日美もそこまで険悪なキャラとして処理しませんでした。悪い人が出てきません。本作の優しさの部分です。


以上が私の思う女性視点ならたぶんこんな感じでは?の私見です。女性ではないのでホントのところはよくわかりませんがね。
それほどキラキラした少女漫画っぷりにあてられたってことなんでしょう。
数多くの男性向けアニメに隠れて、女性視点でのこうした物語は貴重。新鮮な気持ちで堪能いたしました。


最終話がなんとも中途半端なのと目に見えて作画が怪しいところもあって、総じて評点高めにつけられないのですが、たまにはこういったTHE少女漫画の風にあたってみるのはいかがでしょうか?
思春期女子の現実と理想を垣間見せてくれる佳作です。甘酸っぱいやりとりにうっかりキュンキュンできたらもうけものなのです。


OP「世界は恋に落ちている」。映像含めキラキラし過ぎていて軽く死ねます。『色づく世界の明日から』みたいに走っている画も好きですが、風に吹かれて髪がぐちゃぐちゃになるのも激動の青春時代を表わしているようで素敵でした。チコハニは『恋は雨上がりのように』で知りましたが青春ものに合いますね。
フジファブリック担当のED「ブルー」。そして挿入歌の「I will」も良曲でした。



■(オマケ)聖地!?
双葉と洸ら最寄り駅のロケハンは東急田園都市線市が尾駅。繁華街は小田急線/横浜線町田駅らしいです。
どちらもわりと所縁のある駅だったりして、ちょっとお得な気分でした。



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視聴時期:2019年4月~6月 地上波再放送 



2019.06.16初稿
2019.07.14修正

投稿 : 2025/01/04
♥ : 47
ネタバレ

青陽 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

囚われた自分を変えていく、あの青春に乗って

野崎くんが描いてると思って観るとまた違う面白さが!
マミコたちの世界は夏休みスキップしてたけど、こっちは夏休み入る前に終わっちゃったよ
でも、そんな短い期間でもそれぞれに変化があって…

コウとふたば
お互いの存在のおかげで価値観が大きく変わった

ゆうりとしゅうちゃん
友達ができて居場所ができた。

小湊くん
…えっと、学力が上がったかな。

こういうおちゃらけた感じのキャラは少女漫画だと鉄板みたいだ。さしずめ日常アニメにおける金持ちお嬢様キャラのような。作品に必要不可欠なポジションなのだろう。しかし、その活躍は今後のお楽しみ!って感じ

いつの日かの2期も待ってます。夏休みスキップすんなよ?


以下、視聴時の感想もろもろ

{netabare}
ああ、あの日々よ
性別は違っても吉岡さんに共感した。
学生時代はどうしても狭い教室内、40人にも満たない中で友だち作ってそれなりに生活しなきゃいけないわけで。
もし、そこで変な風に注目されると出る杭は打たれる的な感じで周りから変な圧力かかって…。
騒がれても嬉しくないし、迷惑だってのはよくわかる。
自分も目立たないように眼鏡かけて髪はなるだけ短髪にして過ごしてたっけ。カバンをぐちゃぐちゃにしたりはしなかったけど。
吉岡さんも、がさつキャラ作る前に見た目を地味に変えればよかったんじゃないかな
いや、どう足掻いても可愛さ隠せなそうだけど



リーダーズ研修とかあるなら、そりゃ普通の学校以上に学級委員やりたくないだろうな〜
この御時世にテスト結果を掲示板で貼り出してるし、いろいろ変わった学校なのかも

しかし
あんな風に助けてもらったらね、そりゃ惚れるよ!
しかもあのイケボで耳もとで囁かれたらね
ゆうりに刺激を受けて
ようやく自分もコウを好きだと自覚した主人公なわけだけど
なんか三角関係が新鮮に感じる!純粋な三角関係だなー、この先どうなるのかなー
ただOP映像的にも今までの話的にもゆうりの勝利が見えないよね…

難点を挙げるとしたら 間淵くんは
風早くんと違ってクール系イケメンだからボソボソ喋りで何て言ってるか聞き辛いとこがあった。
イヤホンしてたのに。難聴じゃないのに!
駅での台詞
「シャンプーか、何それ。萌えるな」
なんてググってやっとセリフ解ったくらいで。
萌えのイントネーションって燃えと一緒?なのか?
だからわかりづらかったんだな
「シャンプーか。何それ、燃えるの?」
って聞こえたし
何で急にシャンプーの引火性について問うんだ?しかも、なぜそれ言われて照れる?なんで変態??
って疑問だらけで戻して何度も聞き直して。でもわからなくて結局ググった。
リアルタイムで観てたら
んん?って混乱してその後アニメに集中できなかっただろうなぁ

他のアニメでもこれくらい聞き取りづらければ
えっ、何だって?と主人公に返されても
まあ仕方ないわなと思えるんだけど。
女の子の場合、ボソボソ言っても声が高いから聞き取りやすいんですよね、聞こえてるはずなんですよね自称平凡な高校生男子の聴力なr

……そんなことより印象的だったのは単にラブコメばかりでなく、家族の問題も描かれていたこと。
コウが心を閉ざしていたのは
両親が離婚
母と二人暮らしに
別れるとき兄ちゃんに母さんを任せた言われる
その後母が末期ガンだと発覚
将来母に楽させるために必死で勉強してた
いっしょに過ごす時間を減らして
もう戻らないかけがえのない時間を減らして…
間違えたとコウは思う、間違っていた、でももうどうしようもない
母のことを頼まれたのに…

母が亡くなり勉強する目的が、将来の目標が無くなってしまった
でも、だから
新しく目的ができるのは過去に対する裏切りのようで辛く、楽しむことも許されないと思っていた
でも本当はずっと許されたかった
その欲しかった言葉をどんぴしゃで掛けてあげられた吉岡はすごい!コウにとって前よりさらに特別な存在になっただろう。

…うん、やっぱ男だったら泣き顔は見られたくないよな。完全に心許してたとしてもそこは変わんないはず!



田中家族の仲が修復された食事シーンは良かった
父ちゃんセリフ少なかったけど全部名言だった。すごい良い人そうだったなあ、なんで離婚になったんだっけ…?

そんな感動的なシーンで気になったのは…
兄ちゃん、豆腐めんたるってどんな自虐Tシャツだよ!どこで、なぜ買った?それとも友達にネタでプレゼントされたのか?
あの場面で泣いちゃったのは全然おかしくないよ?豆腐めんたるじゃないよ?
OPのときの服も変だし、兄弟間でこの服のセンス差は…
料理センスはいいのにね

{/netabare}

『世界は恋に落ちている』
OPいいですね!今期はOP曲が良作ぞろいです!!
少女漫画らしい明るく爽やかな曲調で、歌詞の内容も
コウのこと知りたいっていうふたばの心を表していてよかった。
ひと昔前と違い、作品を大事にした曲が多くて嬉しいです。いや、そばかすもいい曲ではあるんですけどね。
「お、し、え、て♪」や「聞、か、せ、て♪」のトコ、歌詞とキャラの口の動きが一致している映像表現かなり好きです!
今期だと他にはハナヤマタの「つぶやいてみた♫」とか。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 17

65.8 6 神社で高校生なアニメランキング6位
グラスリップ(TVアニメ動画)

2014年夏アニメ
★★★★☆ 3.2 (1166)
5339人が棚に入れました
ガラス工房を営む一家の娘・深水透子は、友人の家にあるカフェ「カゼミチ」を友人たちとの憩いの場所にしている。高校3年の夏休み、彼女たちの前に現れた転校生の少年・沖倉 駆は、透子に、自分には未来の声が聴こえると語りかける。もし、あらかじめ未来を知ることができるのなら、自分は何を望むのだろう? 感じたことのない動揺を覚えながらも、透子は胸の中に、放っておけない感情が生まれていることに気が付く...。

声優・キャラクター
深川芹亜、早見沙織、種田梨沙、逢坂良太、島﨑信長、山下大輝、東山奈央、茅野愛衣
ネタバレ

アガパンサス さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

グラスリップ解説最新版・分かりました

ネット上では「分からない」としか言われていない本作品。
いくつかの話をピックアップして見ていこう。ただし最終回の伏線になっているところは途中でも解説してしまうので、一通り観てからこのレビューを読んでくださいです・・・

1話のポイント
{netabare}
1話は最終話への伏線が沢山あるので重要。
・ヤナが「先のことは分からない」と言うが、透子は「ずっと友達でいたい」と言う。
→ヤナの「不吉な」セリフが、話数の進行に伴い、従来の友達関係が壊れていくことの伏線になっている。
・透子は「何があっても全部未来の自分が解決してくれますように」と言う。
→このとき、目をつぶって手を合わせている点に注目。最終話で同じセリフが言われるが、その時は手を合わせないし目をつぶることもない。より前向きになっていることが分かる。つまり、1話の時点で、透子は未来を他人任せというか「なんとなく」しか意識していなかったが、最終話で「はっきりと」意識して「自分で切り開く」ことを決心したのだと言えるだろう。
・ジョナサンが浮いている。残りの名前にフッサールとか出てくる
→間違いなく、「浮いている」ジョナサンとカケルが対応している。
→最終話でユキが「ジョナサンは冒険者だが、残りの名前はみんな哲学者だよな」と言うのに注目。
・透子は「放し飼いがいい」と言うが、カケルは「猫に襲われるだろ」と言う
→自由がいいか、守られているけれど不自由なのがいいか?とも解釈できる。カケルが自分自身の殻にこもっている証拠ともいえる。これを補足するものとして、透子の家でジョナサンが暴れまわるが、これは自由への欲求とも受け取れる。
{/netabare}
2話のポイント
{netabare}
・カケルは透子と会って、初めて映像と声の両方が合わさった欠片を見た。
→カケルは音の欠片を聞き、透子は映像の欠片を見ている
・透子が4人の友達から離れて電車がドン!な欠片
→これは、4人が死ぬという意味ではない。この時点でも想像はできるが、12話で透子が「私がみんなと過ごした忘れられない場所をもっていない」と言うことによって、はっきりと伏線が回収される。つまり透子は4人と親しい友達でいるつもりだったが、それは表面的なもので、実は透子自身は浮いた存在であり、次第にそれが明らかになっていく、ということ。今後の話で、まさにこの映像のようなストーリー展開がなされていく。
・ユキとヤナの恋愛感情が露呈して、5人の友達関係が崩れていく
→カケルは5人にとって「部外者」。しかし部外者の登場によって5人の表面的な関係が崩れていくのである。
{/netabare}
3~6話は、あまり重要ではない。未来の欠片をめぐって視聴者はじらされる。その中で、次第に5人の中の恋愛感情が育っていく回だとみておけば、大きな間違いではないだろう。一応5、6話だけ少し。
5話のポイント
{netabare}
・ヒロの恋愛感情がサチに向いている
・ヤナがユキに棒読みな告白をする
→これで5人の友達関係は完全に崩れてしまった。5人の人間関係はヤナが1話で予言したように「変わって」しまったのである。
{/netabare}
6話のポイント
血なまぐさいケンカがあるが、それ自体はあまり重要ではない
{netabare}
・透子がカケルとのキスシーンの欠片を見る
・カケルが「透子に味方してほしかったのかな」と言う
→透子とダビデの心理的な距離は近づきつつある
{/netabare}
7話のポイント
未来の欠片の正体が判明したり、カケルの今までの人生がどういうものだったかが明確になる非常に重要な回である。
{netabare}
・3人のカケル
→カケルは常に自分を冷めた目、つまり第三者的な目で見ている。これはすべてのことについてもそうである。
・テント暮らしの象徴するもの
→カケルは常に世界の「外」にいる。透子達5人に対しても、輪に入ることはなく「外側」にいようとする。
・透子が「高いところに登っちゃダメ」と言うが、カケルは「少しでも落ちる可能性のある所には登れない」と言う
→カケルは「挫折に対する恐怖」を感じている。だから何事も夢中になることがなく、冷めた目で外から見つめている。このことが、1話で透子に「そんなのお前の価値観でしかないだろ」というセリフにつながる。つまりカケルにとって「価値観」はすべて相対化されており、「カケル自身が何をしたいのか」という部分が気持ちの中に全くないのである。
・最後の砂浜でのシーン。ヤナの後ろ姿から鳥(後にトビと判明する)が沢山飛び出してきて「お似合いカップル」と憎らしくつぶやく「映像と声があわさった欠片」を透子が見る
→「未来の欠片」は、タイムマシン的なイメージで捉えた未来の予測ではなく、その人が抱えていたり自分が遭遇している現実に隠された「本質的なもの」と考えられる。これは最終話で透子が「未来ではなく、まだ起こっていない、でもきっとこれからおきること」という言い方もしている。「未来の欠片をみる力」というのは、「現実に表面的に存在しているわけではないが、そこに潜む本物をみる」能力と言ってもよい。「本当の想いや本音、隠しているもの、隠されているものを見る力」と言ってもよい。少なくとも、「ふつうの意味での未来」とは別の意味が「未来」に隠されていると考えないと、このアニメのストーリーが意味不明になってしまう。透子とカケルは未来予知能力者では全くない。
・9話の伏線として、サチが透子への好意をヒロに打ち明けるシーンがある。その打ち明け方がドロドロしているためか、ヒロはサチと一定の心理的な距離を置くようになった。これを、「ヒロはサチの友達でしかないと悟った」と解釈する人がいる。そうも読めるが、後で二人は登山デートをして、ついにヒロがサチを背負うところまで仲が発展していくのだから、「単なる友達」ではない。10話でヒロがサチへ読書感想をメールで伝えるというシーンからも、やはり二人の関係は特別なものになっているのである。ヒロがサチから一度心理的な距離を置いて冷静になったからこそ逆に本物の愛につながっていくのではないか。
{/netabare}
8話のポイント
カケルと透子の関係が重要な段階に入る。
{netabare}
・透子の欠片:二人の女性の会話中に窓ガラスが割れる→表面的な二人の関係を見破ったということではないのか。
・雪が透子の欠片の中で降り始める
→欠片の中に透子とカケルがキスをするシーンがあり、「やはり二人は両想いであることがはっきりしていくのかな?」と予想することは簡単である。では、雪の正体とはいったい何だろうか?これは、12話で透子が見るカケルの「唐突な当たり前の孤独」のシーンにつながる。つまり、キスをするだけでなく、カケルが抱える本当に重大な問題を透子が理解することによって、二人の関係は単なる肉体関係としての恋愛ではなく「本物の関係」になるのである。
{/netabare}
9話のポイント
{netabare}
・サチが透子とヒロの二人に告白する。
・透子がスケッチに描いた鳥を消している→これがトビの姿なので、7話でヤナから飛び出した鳥はカラスではなくトビではないかと思われる。あまり本質的ではないが・・・
・サチの言う重要なセリフ:「明日のために」→最終話への伏線。明日のために今日を一生懸命生きよう、ということ。
{/netabare}
10話
{netabare}
・ヒロが読書感想メールをサチへ送る。ようやく気持ちが通じ合ったかなと言う感じがする。
・カケルが欠片を見ることができなくなった
→次第に自分自身の「外」から「内側」へカケルの気持ちが移ってきていることの証。平たく言えば、カケルの「自分自身」が「覚悟を持って生きる」決心がつき始めている、ということ。
・「唐突な当たり前の孤独」
→「自分に友達が出来ても、自分が引っ越しなどでいなくなったらその友達は自分のことを忘れてしまう」経験のこと
{/netabare}
11話
{netabare}
・透子とカケルが一夜を過ごすが、カケルは「一緒にいるのが怖い」と言う。カケルは転校しようとしていたが、母に「一緒に世界を回らないか?」と誘われてしまう。だから、せっかく透子と仲良くなったのにまた別れる羽目になってしまい、やがて透子に自分が忘れられてしまうのではないか。また唐突な当たり前の孤独を味わってしまうのではないか。だったらやっぱり透子との仲は無かったことにしよう・・・というカケルの気持ちが読み取れる。
・サチがヒロに「また山に歩いて登りたい」と言う
→そういえば3話では車で登っただけだった。より二人の仲は親密になっている。
・サチが「近くにいるのに相手が見えないって不思議じゃない?」とヒロに言う
→二人の仲はまだ本物になっていないことを想起させる。雪はその象徴であると考えれば、透子の欠片がどういう意味かも説明できる。つまり、カケルがこの孤独についての問題を解消できない限りは、カケルと透子が本物の関係になることはできない、ということ。ただしカケルと透子は二人で花火の欠片を見ることができているので、二人の世界を共有し始めているのは確かであり、本物の関係になっていくと期待できる。もしかしたら、サチも「唐突な当たり前の孤独」を感じていたのかもしれない。病弱で学校にあまり行かないから友達が出来なくて・・・そうした中で透子は大切な存在だったと・・・
・カケルの母のピアノ演奏が始まり、カケルと透子は手をつないで聴き始める。
{/netabare}
12話のポイント
2話の重要な伏線が回収される回である。
{netabare}
これは並行世界でも未来の世界でもない。カケルの感じていた「唐突な当たり前の孤独」を透子が感じるシーンが大半を占めている。透子が「私がみんなと一緒に過ごした忘れられない場所をもっていない」と言うことで、2話の欠片についての説明がなされ、伏線が回収される。最後に、透子は現実の世界に引き戻される。

※補足
「これは単純に透子が友達を失う苦しみじゃないか」という意見がある。そうではない。冒頭のシーンで透子は4人に喫茶店で会っている。でも4人はいまひとつ透子のことを見てくれていないし、花火大会で挨拶しても「覚えていない」。たぶん、カケルもこういう感覚を味わっていたのだろうなと想像できるのだ。さらに、前述したように、このシーンは透子と4人の関係が露呈するという二重の意味もある。失うのではなく、「元々本当は」友達ではないのだ。

※補足2
したがってこれは透子が4人に対して感じた疎外感でもある。その中でカケルだけは「本物」だった。カケルが透子にとって本当に大切な人になった瞬間である。

{/netabare}
13話のポイント
この回ですべての重要な伏線が回収されると言ってよい。
{netabare}
・4人が喫茶店に集まる。ヤナが「偶然5人集まること、前はよくあったよね。」と言う
→やはり2話で透子が見た欠片につながっている。やはり5人の関係は変わってしまい、透子は4人から離れてしまった。これは見方を変えれば、5人の仲は「本当は友達ではなかった」と露呈したともいえる。残る4人の関係も変化しているためヒロが言うように「何かキンチョーする感じ」である。
・カケルが山歩きをしていたのは父の影響と判明する
・透子の母も欠片を見ていたと判明。しかし「思いもしなかったことばかり起きた」と言う
→「未来の欠片」は、やはり普通の意味での未来ではないことは明らか。母は「今、精いっぱいやらないと」とも言う。これが、このアニメで最も重要なテーマと言ってもよい。
・流星には「星に願いを」と言うように、「願い事」の意味が隠されていると言える。将来への希望である。
・「ジョナサンは強いて言えば冒険者」とユキが言う
→カケルは「放浪」ではなく「冒険」を始めた、と読み取れる。前向きに生き始めた、ということ。
・透子は「何があっても全部未来の自分が解決してくれますように」と言う。
→1話の花火大会で言った時よりもかなり前向きな言い方になっていることに注目。すでに解説済み。
・テントはもうない。だからカケルはもういない。しかし一人で登校する透子には「透子」と呼びかけるカケルの声が聞こえる。
→カケルと透子は別れてしまった。二度と二人が会うことはないのかもしれない。しかしカケルのことを透子は覚えているし、二人の想いは通じ合っているのである。だから、「友達ができても自分はやがて忘れられる」ということはもうない。カケルは「唐突な当たり前の孤独」を感じて苦しむことはもうなく、人生の意味を見出して前向きに進み始めているのである。そして、二人をつなげているのが、山で投げたビー玉?のうち、拾い忘れた一粒(最後に出てくる青い玉)、ということになっている。さらに、この山が二人にとっての「一緒に過ごした忘れられない場所」なのだ。また、透子は4人から離れて一人になってしまった(やがて4人からは忘れ去られるかもしれない)が、それは「唐突な当たり前の孤独」ではなくもっと力強い孤独である、という意味も込められている。
{/netabare}
<まとめ>
グラスリップは、要約すれば「カケルが透子と出会うことによって人生の意味を見出した」アニメと言えるだろう。
<感想>
ここまでメモを取りながら「読む」アニメは初めてだった。何度一時停止をしたか分からない。でも「分かった」時の感動はすごいものがある。いやー感動しますよ。TARITARIをはるかに超える、爽やかな美しい感動ですよ。

<補足>
OPで少し幼い透子たちが描かれている意味
→この時点でヒロがサチに好意を抱いている。つまりこのころから5人の関係は変わり始めていたが、表面的には今まで通りのつもりだった・・・と解釈できる。ちなみに、サチと透子が親しかったらしいこともわかる。
ジョナサンがカケルならニワトリが5羽しかいないのは何故?
→ジョナサンはカケルだけでなく透子も象徴しているのではないか?二人とも最後は唐突な当たり前の孤独を共有し、最後はそれを振り切って前へ進んでいくという共通点がある・・・トビはもちろん、カケルのように「世界を外から見る冷めた視点」のようなものを表している。
「グラスリップ」の意味
→グラスとトリップ(旅)と西山監督が言っている。個人的にはこちらの方が好みですね。透子がガラスのようにキラキラしたものの向こうに「未来の欠片」を見る。これを「未来へ飛ぶ=トリップ」と捉えたイメージ。しかしそれではスペルがGlassripにならなければならない。
→Glass+slipで「ガラスが滑る」という意味もある。ガラスが滑ると割れる=5人の人間関係が壊れる、ということ

<日本アニメの終焉について>
 こういう難解なアニメが受けなかったということは、もう日本のアニメは終わりに来たのかなと思えてくる。
 ざっくりと日本のアニメ史を分けるとするならば、昭和世代と平成世代に分けることができるだろう。昭和時代の作品は「何かが起きて」物語の進行とともに大きな山「クライマックス」ができる、という素直で爽快な「格好いい」ストーリー性があった。
 しかしこうしたストーリー性のネタが次第に切れてきた。それが平成時代である。ここで登場したのが「何ですかこれ」的な作品である。それは例えばセーラームーン(ただしTV版、原作は根本的にテーマが異なる)のようなパロディ性のあるものであったり、エヴァンゲリオンや少女革命ウテナのようにストーリーの軸を視聴者の予想を「あえて」裏切る形で完結させようとする作品であった。これは、ネタ自体の新しさを追求するのに限界が生じたために、その構成の仕方について新しい手法を提案したためである。これは、ストーリーにいくつかの解釈の可能性をもたせるものであるため、「考察厨」の間で論争が起き、「話題」になることによって作品が売れる、というビジネスモデルであった。しかし視聴者はすぐにこのモデルに順応してしまい「慣れて」しまった。こういう作品を苦労して作っても、「要するにいろいろな解釈をすればいいのだな」「考えるのではなく感じろ」という風に「冷静な」感想しか出てこない。
 視聴者にインパクトを与えるにはどうしたらいいのか?昨今のマンガ作品は「どれも似たようなもの」や「既に観たことがあるもの」になってしまっている。萌えに走るとただのエロアニメとして批判され、ギャグはネタが古いorひねりすぎとして批判される。SFは既に科学の世界で実現しつつあるものか、既に実現したもののデフォルメでしかない。「技術」に走ってグラスリップのような作品を作ると、「どう解釈することもできない」意味不明な作品と受け取られてしまう。だから、新しいものを作っても新しさが今一つだし、ウケないのだ。
 どこの世界でも、最近「イノベーションの重要性」が叫ばれつつあるが、これはイノベーションが困難になってきている証拠だと思われる。
 ホント、これからのアニメ界、どうしたらいいのでしょうね。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 57
ネタバレ

ユニバーサルスタイル さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

ガラスを透かして見た世界の向こうは、あやふやなれど美しい

この作品、皆さんの評判がすごく悪かったので逆に見てみたくなりました。
いえただ単に評判が悪いだけならスルーするところなのですが、皆口をそろえて「意味が分からない」との感想ばかりで。
何がそんなに意味不明なのだろうと見始めたのが経緯です。


結果として、確かにむず痒い感覚の残る作品でした(笑)

でも悪い作品かというと個人的にはそう思いません。
グラスリップを見ている間は色んなことが頭の中に浮かんでは消え、浮かんでは消え・・・意味は全て理解できなくとも心を満たしてくれました。

こういう作品なので、たまには足りない頭を絞って少し考えてみたいと思います。
一応本編及び『true tears』のネタバレを含むことをご承知の上でお読みください。



ものすごく長い{netabare}
この作品を語るときしばしば西村監督の前作『true tears』の話が出てきますが、比較すべきは恋愛要素ではないと思います。(厳密には前作ではありませんが同制作会社の同監督作としてよく比較されるため)

多分true tearsといえば‘主人公の眞一郎はどのヒロインとくっ付くのか?’という部分が最も面白くて作品の肝になっていると考えている方多いと思います。

自分も昔はそう考えていたんですが、グラスリップを見てみた結果監督の最も見せたかった部分はそこではないんじゃないかと思い直しました。

肝心なのは、眞一郎が誰と付き合うかではなくこの先どう生きていくか。

恋愛の中で彼の選び取った未来、その結果として誰がパートナーとしてふさわしいか。そんなストーリー。

岡田麿里さんが絡んだことで恋愛要素がマシマシになり、そちらばかり注目されますが、監督のやりたかったことはもっと素朴でいて広いテーマだったのかなと・・・。
(岡田さんのシナリオのおかげで面白さが増して現在の高い評価があることは異論の余地もないです)

今もう一度true tearsを見ると評価も変わってくる気がします。



ですから、おそらくtrue tearsからグラスリップのテーマ自体は一貫して『未来』だったと思います。

今回は監督色が強まった分恋愛色は薄まり、それぞれのキャラクターの行く末に目が向けられています。

恋愛アニメとして期待して見ると、消化不良でもの足りなさを感じます。

告白シーンの淡泊さ、その後の経過のあっさりさ。


恋愛モノで面白いところといえば、「誰と誰がくっ付くか」「いつくっ付くか」そして「共感できる心情なり台詞」にあると思います。

ところがこの作品はそのどれもイマイチ当てはまっていません。

誰と誰がくっ付く、の面白さは既に六人の中でカップリングがほぼ出来上がっているのでドキドキはあまりありません。

いつくっ付く、の面白さも序盤で告白を済ませて関係に破たんも見られないため特に高揚感も無し。

そして視聴者の共感、ですね。これが上手く行かなかった要因は、やはり透子と駆の複雑な心情描写に限ります。

複雑なことそれ自体が問題とは思いません。
true tearsでは乃絵の複雑な感情表現を、眞一郎が視聴者の声を代弁する形で問答し乃絵の真意を引き出していたため、全くもって理解不能とはなりませんでした。

グラスリップではその代弁者や仲介役が存在せず、二人の意味深な会話が視聴者にダイレクトに伝わる形でした。

視聴者の「どういうこと?」の疑問に応えてくれるキャラは強いて言えば透子の母である真理ということになるでしょうが、それでも分かりづらかったですね。そういえば、名前がそのままですね(笑)



まあそういうわけで、恋愛アニメとして見るべきではないと解釈したのです。

主軸となるのは「なんだか分からない、不確定なもの」。

これは前述の「未来」であったり、はたまた自身の「居場所」であったり。

それぞれが分からないなりに求めているものを見つけていく物語。


‘未来が読める=超能力者’や‘光の欠片=ファンタジー要素’との見方もあるみたいですが、思春期の不安を目に見える形で表した心象風景と言うやつであると思います。
駆くんが三人に分裂するのも、実際に彼が特殊な能力を有しているとかではなく彼の中で意思が分裂しているだけ。「現在・過去・未来」だったり?

まあ説明不足というか描写不足は否めません。
オカルトめいたお話に見えてしまってもそれは視聴者に非があるのではなく、制作者の力量不足ということでしょう。


未来が見えている駆が求めているのは居場所で、居場所のある透子は未来を見たがっています。

透子が11話「ピアノ」で駆に向かって‘ここがきっと私の場所なの’と呟いたのは美術準備室でした。
準備室というのは、その意味の通り不確定なものを表していると分かりますね。

六人の中で透子と駆だけが異質なのはEDの映像からも明らかで、駆を除いた五人は一緒に居て透子だけが駆のことを気に掛けている。

これは、やなぎ・幸・雪哉・祐の四人が見据えているのは今(現在)で、駆と透子だけが未来を見たがっているということでしょうか。

そうです、多分四人はきちんと未来が見えていて、自身の居場所もちゃんと見つけているようです。
未来が見えているというよりかは、大切な人がいることで不安を感じることがなくなった感じかな?


駆と透子が求めているものは異なっているようで、実は似たようなものであったのかも。

12話「花火(再び)」で二人の関係がちょうど逆転する形となったとき、透子は実は四人との居場所は自分の居場所ではなかったことを自覚してしまいます。

逆に居場所のなかったはずの駆はあっさりとその輪に入っていきます。

これってつまり、二人に欠けているもの・求めているものは「よく見えない、分からない」だけで同じようなものなのかなーと。
言い換えれば両方とも「未来の欠片」だと思います。


13話「流星」で流れて行った星々は二人の未来の欠片、あのとき初めて二人の想いが共有されて唐突な当たり前の孤独から解放された、のでしょうね。



正直僕もちゃんと理解はしてません(笑)
細かい所(例えば幸ちゃんの読んでる書物の意味とか)までカバーしきれませんし、12話での冬景色もイマイチ分からないんですよねー・・・。

あと、やなぎ達は哲学者が由来の鶏、透子は冒険者を由来とした鶏(ジョナサン)、翔はどうやら鷹?鳶?がそれぞれ比喩的に用いられているようです。
が、それらの表す真意は果たして。。。?

そこら辺は賢い方にお任せします(笑)
{/netabare}



あと、当たり障りない印象として
{netabare}
舞台を彩る夏景色が大変美しかったです。
青春を描くとき一番映えるのはやはり夏だと実感。


それからこの作品は音楽が素晴らしい!!

BGMって「視聴者の気分を盛り上げるため」と「登場人物の心情を表すため」と二通りの使い方があると思うのですが、この作品は全て後者でした。

本当に音楽の果たす役割が大きいですね。明るい音楽は前向きな、暗い音楽は後ろ向きな感情を表していました。

クラシックがメインで、個人的に好きなのは‘Nocturne In E Flat Major, Op.9 No.2(ショパン)’。
クラシックに関しては無知ながら、これは昔から好きで聴いていました。
これが流れるときはキャラも穏やかな気分でいる日常シーンです。

主題歌、OP「夏の日と君の声」が気に入りました。Chouchoさんの曲で一番好きです。
イントロから爽やかな雰囲気で夏らしく、これだけは本当リアルタイムで聴いておけばよかったと後悔・・・。

ED「透明な世界」は歌詞がグラスリップのことを見事に表現していると思います。
透明なガラスの向こう、カタチのない世界、透かして見えた景色、世界が生まれる。。。
印象的な歌詞ばかりです。これを聴いてから物語に入ると没入感が違うかもしれません。(あえて、EDです)


好きなキャラクター。これは断然で駆(ダビデ)くんです!
皆が恋愛に恋い焦がれている中で一人別の方向を向いていて、孤高の男という雰囲気が好きです。
それでいて哲学的な感性が素敵です。アダ名も気に入ってます。
彼を演じた逢坂良太さんも凄いですね。どこまでもブレずに淡々としゃべり続ける姿に惚れました。

ヒロインだと幸(さち)ちゃんです。文学少女+眼鏡娘萌え!って感じです。
眼鏡だから地味なキャラかと思いきやパンチの利いた一面もあり、そこも好きです。
{netabare}
最初は透子ちゃんに片思いしていたという、まさかの百合少女!
それでいて幸なのに薄幸扱いされる不憫さ。
色々美味しすぎます。
{/netabare}


最後に、グラスリップの意味について。
グラス+スリップで欠片を表すみたいです。
他にもグラス+タイムスリップやグラス+トリップで「旅」を表すという解釈もあるみたいなので、どれが正解か分かりませんが、自分は上のグラス+スリップ説を推します。
{/netabare}



いや~~・・長い。長すぎる。
グラスリップとこのレビュー、どっちが分かりづらいか良い勝負ですね(笑)

考察を要する作品が必ずしも良い作品となるとは限りません。
でも僕はこうやってグラスリップについて考えて想いを馳せている時間がとても楽しかったです。

もちろん皆さんのレビューを見た上で、ある程度の覚悟と知識をもって臨んだから今の感想があるのだと思ってます。

だから、どんな酷評でも全員のレビューにサンキューを付けたいほど感謝しています。

ありがとうございました。

僕から言えることは、恋愛に囚われず広い目線で物語を眺めて下さいということです。

あ、ネタバレ部分の解釈は全部自己流の解釈なのであまり参考にはならないかもしれません。ごめんなさい(笑)

投稿 : 2025/01/04
♥ : 36

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

惜しい感じがする

福井県坂井市が舞台だったかな。
ガラスを通して不思議な感情だったり、未来予知だったりを主人公の深水透子が経験して不思議な体験をするお話だったような。

ラブストーリーな展開もあるのかなと思ったけど、もう終わり?という感想だった。もうちょっと掘り下げてほしかったかな。
早見沙織さん演じる高山やなぎは良かったンゴ。
キャラソンも

キャラクターが魅力的で主題歌もガールズアンドパンツァーや氷菓などで波の乗っていた?ChouChoと花咲くいろは絡みもあるnano.RIPEでよいし、P.A,WORKSだけあって作画もよかったのですが、物語の内容が惜しかったと感じました。2クールやれば、面白くなったかも。

OP
夏の日と君の声 ChouCho
ED透明な世界 nano.RIPE
イメージソング
ルーセントアイズ ChouCho


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
ガラス工房を営む一家の娘・深水透子は、友人の家にあるカフェ「カゼミチ」を友人たちとの憩いの場所にしている。高校3年の夏休み、彼女たちの前に現れた転校生の少年・沖倉 駆は、透子に、自分には未来の声が聴こえると語りかける。もし、あらかじめ未来を知ることができるのなら、自分は何を望むのだろう? 感じたことのない動揺を覚えながらも、透子は胸の中に、放っておけない感情が生まれていることに気が付く...。

1. 花火
大勢の人で賑わう花火大会会場。深水透子と高山やなぎは、やなぎが輪投げで手に入れた不思議メガネをかけてはしゃいでいた。透子がメガネをかけると、ぼんやりとした風景とともに「やっと見つけた」という声が聴こえてくる。一瞬戸惑ったものの、親友幸へのプレゼントにぴったりなノアベルを見つけたこと、また井美雪哉と白崎祐が屋台で大量に買ってきた食べ物の前に、その出来事は忘れてしまう……。後日、学校でにわとりのジョナサンをモデルにしてクロッキーをする透子に、ひとりの男子生徒が声をかけてくる。その優しい声音はどこか聞き覚えがあった。

2. ベンチ
いつものように祐の祖父が経営するカフェ「カゼミチ」に集まった透子たち。そこに現れた沖倉 駆は「俺はあの日、君と同じものを見た」と透子に告げる。いきなり来て馴れ馴れしく話す駆を警戒する雪哉たちだったが、駆は気にせず透子に待ち合わせ場所と時間を伝え立ち去ってしまう。微妙な空気が残る中、幸は戸惑う透子を見て彼女に同行することを決める。翌日、駆は幸がいることに特別驚く様子もなく、「透子には何かきっかけがあると、幻覚のようなものが見えるんじゃない?」と、彼女たちしか知らないはずの事実を口にするのだった。

3. ポリタンク
駆と一緒にいる時、きっかけがあれば“未来の欠片”がはっきり見えること。そして、やなぎのことを好きだと思っていた雪哉からの突然の告白。今までの日常が大きく変わろうとしていることへの不安と、親友たちが離れ離れにならずにすむ方法を考えた末、透子は駆に頼み“やなぎと雪哉の未来を見る”ことを決意する。自宅に隣接する工房でガラスを吹きながら駆を待つ透子は、おぼろげな“欠片”を見はじめる。そして突如それは鮮明になり、やなぎの泣き顔が映し出される……。一方、祐もある想いを胸に秘め、明日行われる登山に備えていた。

4. 坂道
登山の帰り、幸が入院しているイメージを見た透子は、彼女からの着信に慌てて出るも、予想とは違い、やなぎがレッスン中に右足を怪我したと聞かされる。急いで病院に向かった透子だが、右足に包帯が巻き松葉杖を使うやなぎと、肩を貸す雪哉の姿を見て、微笑みながらそっとロビーを後にするのだった。一方、ケガもなく無事に帰宅した幸は、登山の時に祐と交わした会話、「俺、幸って名前……好きだな」という言葉を思い出していた。そんな時、借りた本を返しに祐が幸の家を訪れる。玄関先でいつもより緊張している祐に対して、幸は「あがる?」と声をかける。

5. 日乃出橋
怪我から復帰して初めての記録会に向かう雪哉と、それに付き添うやなぎ。雪哉は緊張はしていないつもりだったが、やなぎが持つ動画用のビデオカメラからは自然と視線を外していた。一方、カフェ「カゼミチ」をひとり訪れた透子は、祐の祖父から祐は今日デートで店にはいないと聞かされる。思わず携帯で幸の番号を呼び出そうとして思いとどまるが、その足は自然と幸の家に向かっていた。透子の訪問に慌てた祐は見つからないよう幸の部屋から脱出。だが幸は、付き合っているわけではないが、つい先ほどまで祐が部屋にいたことを透子に伝える。

6. パンチ
まだ薄暗い早朝から工房に入りガラスを吹く透子。同じく朝早くから目覚め“未来の欠片”によって透子の声を聞いてしまう駆。“未来の欠片”のせいで駆を意識してしまう透子は、駆から電話があってもろくに話さず切ってしまう。午後、祐からの電話でカフェ「カゼミチ」にいつもより早く呼び出された透子は、幸とのことを打ち明けられ、また後から来たやなぎからは、雪哉に告白したことを聞かされる。これまでの関係が徐々に変わり始めるなか、祐から幸へのサプライズ花火大会が提案される。

7. 自転車
自宅前の海岸でやなぎと話す透子。雪哉と駆の勝負にやなぎが平手打ちで割って入ったこと、幸と祐の関係、そして幸の検査入院について話していると、波のきらめきをきっかけにして“未来の欠片”が見えてしまう。それは病室で横になっている幸の笑顔、そして傍らには祐の姿があった。嬉しくなった透子は思わず「やっぱり幸、大丈夫」と口にしてしまい、いぶかるやなぎに対して、慌ててごまかすのだった。一方、幸の病室を訪れた祐は、初めて幸の母親に出会う。緊張する祐だが、幸に「ボーイフレンド」と紹介され、さらに身体を強張らせるのだった。

8. 雪
夕暮れの波打ち際で見た“未来の欠片”は、透子が倒れ込むほど強烈なものだった。駆は「きっちり説明してもらうから」というやなぎの台詞を聞きながら、彼女に連れ帰られる透子を見守ることしかできなかった。後日、幸のお見舞いに訪れたやなぎは、雪哉が自分に黙って陸上部の夏合宿に行ったこと、幸と祐のこと、海での出来事と透子と駆の関係を彼女に話す。そして透子と駆の間に何か秘密があるのではないか? もし知っているなら教えてほしいと頼むが、幸は、どこか悲しそうな表情を浮かべながら「特別な関係なのかも……」と答えるのだった。

9. 月
雪……そしてキス。そんな駆との“未来の欠片”を見た透子。いつもなら聞こえてくるはずの“未来の欠片”が聞こえない駆。合宿に行った雪哉にメールを送るやなぎ。メールの送信者を見て朝練に向かう雪哉。祐に「夢十夜」というメールを送る幸。幸からのメールの内容が夏目漱石の小説だと知る祐。お互いどこかギクシャクしているものの、それぞれの未来が少しずつ動き始めていた。そんな中、透子は幸から「約束の場所に行きたい」と連絡を受ける。少しとまどいつつ待ち合わせの時間と場所を決めるのだが、その後祐にも、幸から、同じ時間と場所のメールが届く。

10. ジョナサン
麒麟館の展望台。“約束の場所”で透子と祐に告白した幸。驚く2人を見てどこか吹っ切れた様子の幸は、3人で月を見上げていることに嬉しさを感じる。その夜、自宅で妹の陽菜から、やなぎが“新しい自分になる”と言っていたと聞かされた透子は、自分も前に進むべく駆との関係をあらためて考えることに。翌日、駆の家を訪れた透子は、駆の母から、ピアニストとしての母の仕事の関係で転校を繰り返してきたこと、そのことによって感じる孤独を、駆が「唐突な当たり前の孤独」と呼んでいたことについて聞かされる。

11. ピアノ
美術準備室の壁に寄りかかり静かに座る透子と駆。以前見た未来の欠片が現実となったことに困惑しながらも嬉しく思う透子だったが、「駆君、私のこと本当に好きなのかな?」「私たち何もわかり合ってない」と心に引っ掛かっていた思いを口にする。自分の気持ちを見透かされた気がした駆は、自分が未来の欠片を見るきっかけでもあった母が弾くピアノを聴きに来てほしいと、透子に伝えるのだった。一方、幸は祐に、また山に登りたいと告げ、雪哉は初めてやなぎのレッスンを見学しに行くことを決める。それぞれがそれぞれの明日のために動き出した。

12. 花火(再び)
父がガラス工房を持つことになり、東京を離れ家族で引っ越してきた深水透子は、慣れない土地でうまくやっていけるか不安を感じていた。そんな時、駅で偶然出会った沖倉 駆。彼に連れられカフェ「カゼミチ」を訪れた透子は、井美雪哉、高山やなぎ、永宮 幸、白崎 祐たちと出会う。小学校の時からずっと一緒だという彼らに誘われて、透子は花火大会を見に行くことに。雪哉とやなぎ、祐と幸、そして駆と透子。それぞれが楽しそうに花火を見上げている風景。それはもしかしたらあり得たかもしれない、透子の未来の欠片が紡ぐ世界だった――。

13. 流星
透子が見た世界。彼女にとってその衝撃は大きく、駆の母のピアノ演奏が終わると同時に気を失ってしまう。透子が目を覚ますと、そこには心配そうに彼女を見つめる駆の姿があった。自分のせいで危険な目にあわせてしまったと感じた駆は自らを責めるのだが、透子はもう少し駆の家にいたいと言う。心配する家族を帰してひとり残った透子は、もう一度ピアノが聴きたいと駆の母に願いでる。そして曲を聴きながら透子は駆が居なくなると感じるのだった。その頃「カゼミチ」には雪哉、やなぎ、祐、幸が偶然集まっていた。長く短い夏がもうすぐ終わりを迎える。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 5

84.2 7 神社で高校生なアニメランキング7位
天気の子(アニメ映画)

2019年7月19日
★★★★☆ 3.9 (716)
3119人が棚に入れました
「あの光の中に、行ってみたかった」高1の夏。離島から家出し、東京にやってきた帆高。しかし生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。彼のこれからを示唆するかのように、連日降り続ける雨。そんな中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は一人の少女に出会う。ある事情を抱え、弟とふたりで明るくたくましく暮らす少女・陽菜。彼女には、不思議な能力があった。「ねぇ、今から晴れるよ」少しずつ雨が止み、美しく光り出す街並み。それは祈るだけで、空を晴れに出来る力だった――

声優・キャラクター
醍醐虎汰朗、森七菜、本田翼、吉柳咲良、平泉成、梶裕貴、倍賞千恵子、小栗旬
ネタバレ

こすみどる さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

【追記】この作品は絶対2回以上観るべき

【2回目の視聴】

【物語:4.5】
1回目の視聴じゃ見逃した(気付かなかった)ところに新たな発見が多々あり、すごく面白かったし、初見の時は一切泣かなかったのに、ボロボロ泣いてしまった。
前回のレビューから変わらない疑問点はあれど、根幹に触れて気にならなくなった。いや、そこにもまだ見逃している伏線があるのかもしれない。気になるからまた観てみよう。
【声優:4.5】
変わらず。ただ、後半の本田翼の声は、慣れたのではなく良かったんだと思い直した。
【キャラ:4.5】
見逃していた、須賀さんのキャラの重要性に気付いた。
【作画:5.0】
変わらず最高。
【音楽:5.0】
変わらず最高。
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1回目の視聴ではかなり辛口なことばかり書いていて、実際にそう思っていたが、新海誠作品大好きな自分としてはどうしても納得がいかない部分があったため、再度映画館へ。

観終わった時には、1度目には流せなかった涙がボロボロ流れていた。

映像美が凄すぎるあまり視覚的な情報量が多いから、つい見落としがちな細部も2回目とあってしっかり確認でき、それでいてストーリーに没入できたことで、1回目とは全く違ったメッセージを受け取ることができた。


以下、ネタバレ含むため隠します。
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{netabare}

須賀さんが思いの外、重要な役割を担っていたことに気付いた。
というか、観る人にとっては帆高よりも主役だと思う。

須賀と帆高の対比が物語の根幹だったのか…。
全く、些末なことにばかり着目して考察していた。

1回目の視聴時、須賀があまりに違和感のない「普通の大人」に見えてしまったものだから、むしろクライマックスシーンに違和感があって、なぜ必要以上に帆高を止めようとするのか?と、彼に苛立ちすら感じていたんだ。

だけど、廃ビルで帆高を無理矢理止めようとするあのシーンこそ、それまでの伏線を一気に回収して、メッセージをギュッと詰め込んだシーンだったんだと2回目の視聴でようやく気付いた。

ここから須賀の心情を考察する。

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須賀にとって帆高は、過去の自分だった。

希望を持って上京し、失敗もたくさんあったろうがガムシャラに前向きに働いて、
最愛の人と出逢って恋をし、愛の結晶である子をもうけて、
きっと彼にとってこれ以上ない幸せのさなかに、最愛の人を事故で奪われた。

どうしようもない絶望。
止めることのできない悲しみ。

それでも自分は生きていて、愛する子どもがいて、
悲しみに暮れ立ち止まったこともあったろうが、立ち止まり続けることは許されなかった。
唯一生きる希望だった娘さえも義理の母に取られて、自分は何のために生きるのか?と自問自答しながら。

受け入れられなくても、受け入れたくなくても、受け入れるしかない現実。
彼は妻を失い、子を取られて以来ずっと、きっと「何か」を諦め、生きる気力も希望も曖昧なまま、ただ目の前に広がる現実を受け入れて生きてきたんだろうと思う。
振り返るたび固く、強く、ギュッと心に蓋をして…。

そんな折に出会った帆高。
助けたのは偶然でも、恐らく出会った瞬間から須賀は帆高を自分と重ねて見ていたのだろうと思う。

眩しさと、どこか懐かしさを感じながら。
目の前の苦難を切り拓いて突き進む帆高に、少しずつ希望を見出していた。

でも、自分と同じように帆高も大切な人を失うかもしれない。
そういう予感みたいなものが彼の中で生まれた時、須賀は帆高を突き放した。

きっと、帆高には自分を同じ道を歩んで欲しくなかったんだと思う。
家から追い出し、実家に帰れるくらいのお金を渡して、
「自分にとってできることはやりきった」と、自分を無理矢理納得させた。

それなのに、
帆高は実家に帰るどころか警察に捕まり、そして逃げた。

その時の天候は、真夏らしい晴天。
須賀の予感は的中してしまい、陽菜がこの世を去ったことを察しただろう。

その時にベテラン刑事から聞いた話で、須賀が蓋をしていた心にヒビが入る。
それは、警察という抗いようのない強大なものから逃げ出してでも、自分の大切なものを必死に追い求める帆高の姿。
そして、自分はずっと蓋をしていた亡き妻への深い愛情と心の叫び。

最後、廃ビルに須賀がいた理由は、決して帆高の邪魔をしたかったからじゃない。
大切な人、最愛の人を失い、まだ現実を受け入れられない帆高の気持ちを痛いほど理解できてしまうからこそ、助けに行ったんだ。

「大人」になってしまった須賀にとって帆高は、現実に向き合おうとせず駄々をこねているように見えただろう。
でも、帆高はただただ陽菜を案じ、信じていた。決して諦めようとしなかった。

須賀が妻を亡くした後、そして帆高を突き放した時に捨てた「希望」を、もう一度信じてみたくなった。
「仕方ない」なんかじゃない。
自分が自分よりも大切なものを失いたくないという純粋な心の叫び。
須賀が過去に失い、信じられなくなったものが、帆高によって呼び起こされた。

---

1回目の視聴時には納得できなかったものが、
ストーリーの端々で描かれていた、須賀がこれまで歩んできた人生をきちんと結んでみるとすごくしっくりときて、胸が熱くなった。

絶望と希望
現実と理想
失ってしまったものと、失いたくなかったもの

その対比が、ストーリーの根幹なんだと思う。

ここまで書いて、新海誠作品にはいずれも共通するテーマなんだなぁなんて思いつつ、
やはり今回も、自分が見失っていた想いを呼び起こしてくれるような名作だった。

本作は前作同様ハッピーエンドだったが、前作になかったものが付け加えられている。
それは、「対価」

色々と書いたが、今回の視聴でストーリーの根幹と、メッセージを受け取れたように思う。

最後に、自分が思う本作のメッセージ。

---

「希望」や「理想」を追い求めれば、誰でもハッピーエンドを迎えられる。なんて、そんなわけはない。
選択には常にリスクがあり、選び取ったことで、同時に捨てなければならないものもある。
それが現実だとしても、
大切なものを見失わず、「それでも」と言い続けられる人生を、
「仕方ない」という諦めや悔いの残らない人生を歩もう。

-あなたの、絶対失いたくない大切なものはなんですか?-

---


{/netabare}


1回目の視聴とは差がありすぎて、残しておくのも恥ずかしい限りだけど、自分の振り返り用に残しておく。


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【1回目の視聴】

【物語:3.5】
ネタバレ部に記載してるが、メッセージ性や問いかけを感じることができた一方で、納得いかない点が多い。
【声優:4.5】
タレントとしては大好きな本田翼の声だけが少し違和感。それ以外は文句なし。本田翼の声も後半は慣れるが、きっともっと合う声優さんいたと思う。
【キャラ:4.0】
主人公だけが残念。
それ以外は細かいことを言えば刑事も違和感があるが、まぁ問題ない範囲なのかなと思う。
【作画:5.0】
言わずもがな。
【音楽:5.0】
言わずもがな。
---

公開初日に1回目の視聴行ってきた。
新海誠作品大好き!な自分にとっては、これは今までの新海作品を彷彿とさせる作品で、どこか懐かしさを感じた。

が、
しかし…
良かったのか?
名作だったのか?
他人に薦められるか?
また観たいか?

と自問自答すると、1回目の視聴では悩ましいところ…。
いや、また近いうちに観るけども。
正直今の感想じゃ自分が納得できない。

とりあえず、1回目の視聴の感想として後々のために記載。批判的な感想多め。

なんだか、本作は色々と投げっぱなしの要素が多い気がしていて、「観た人の解釈次第で~」っていう新海監督の想いは納得するにしても、さすがに投げっぱなし感が強くて、シンプルなメッセージに対して、解釈の余地がありすぎる反面、考察の余地がなさすぎるように感じた。

あ、過去作品を観た人は楽しめるシーンがいくつかある。
笑いもありで、劇場で観るのは観客との一体感を楽しめると思う。

あと、2019年は梅雨らしい雨が毎日のように続く天候だったため、物語を身近に感じられたというのはあると思う。
そこは、新海監督持ってるなぁと思った。


以下、壮大なネタバレ含むため隠します。
---
{netabare}
【メッセージ性が意外なほどシンプル】

視聴を繰り返すごとに解釈が変わるだろうか…。
従来の新海誠作品では、見方によって様々な解釈ができ、捉え方や感じ方が全く異なるように作られていたように思う。
それが今作では、まだ1度の視聴のみの感想だが、
「当たり前で身近な大切なものをいかに感じ、見つけることができるか」
そして、
「決断に迫られたとき、本当に大切なものと世界のどちらを選ぶのか」
といったメッセージだったように思う。

多種多様な生き方が認められつつある現代で、画一的なものではなく、自分だけの大切なものをいかにして見つけ、手にするのか。

うーん。
メッセージ自体はすごく受け止めやすく、納得できるのだが…。
なんというか、そこまでの道のり、アプローチが従来に比べると単純というか弱いというか、なんというか…直線的すぎると感じた。

今までの作品は登場キャラクターが「些細な事ながらも本人にとっては重大な決断」を繰り返して、物語が紡がれていたように思うのだが、本作に関しては、年相応と言えばそうなのかもしれないと理解しつつも、苦悩や決断をするシーンの描写が少なく、多くの行動が衝動的すぎるように感じた。

一時の感情や状況に流されて後先考えずに行動した結果、取り返しがつかなくなってからようやく気付くが、時すでに遅しで、選択肢は生きるか死ぬかの2択(例)くらいしかなくて、そりゃ生きる方を選ぶよね。みたいな。

欲を言えば、もっと繋がりが見たかった。見落としてただけかなぁ?

帆高が家出した理由とか、天気の巫女のもう少し詳細な歴史とか、鳥居の謎とか、空との繋がりに関する描写とか、使命とか、運命とか、、、挙げればキリがないが、それぞれ繋がりそうな要素はあるのに細切れになっていて、結局最後は幼い子どもの本気モードでどうにかなっちゃった感じ。


【ファンタジー要素に関しての説明が足りない。足りなすぎる。あれをよしとしてしまうと全てがなんでもありになってしまい、個人的には悪い意味で無限大の解釈ができてしまうように感じた】

前作の「君の名は。」でもファンタジー要素は多分にあったが、あの作品では丁寧な歴史描写や韻を踏むように繰り返された過去の描写があったから、ファンタジー要素を受け入れやすかったと思うし、物語を上手に紡いでいた。

それが今回は、ファンタジー要素が物語の根幹であるにも関わらず、謎が多すぎて作中で言及されることがほとんどなかった。

そもそもなんで雨が降り続けるような異常気象になったのか?
物語の中で、「今のこの形になったのはつい最近で、それが昔に戻っただけ」といった表現はあったが、それにしてもそこに至るまでの経緯の描写が一切なく、現実味がなさすぎる。

陽菜のお母さんが天気の巫女だったのか?と思ったりしたが、亡くなる以前より異常気象が続いていたなら無関係だろう。

元々陽菜に素質があったような描写があるわけでもなく、天気の巫女になったのも「また母と晴天の下で一緒に歩きたい」という少女の願望でしかなく、陽菜である必要性、必然性が感じられなかった。

陽菜が最初に鳥居をくぐる際、廃墟ビルに備えられたばかりのナスやキュウリがあったが、誰かがお供えしたものなのかな。そこの伏線も結局回収されていなかったように思う。


【主人公が従来の新海作品の主人公に比べてとても幼稚に感じた】

終盤で明らかになるが、帆高の家出理由には特に深い理由があるわけではなかった。
自転車で雲の切れ間を追っている際に顔に傷があったことから、イジメや虐待にでも遭っているのか?と思ったが、島に戻って以降の描写を見るにそうではなかったようだ。

キッカケは些細なもの?そうかもしれない。
ただ、前半で「絶対に東京にいなきゃいけない/帰りたくない」と本人が言っていた理由がわからなかった。

男が一度決めたことだからとか、そりゃ解釈しようと思えばいくらでも理由は見つかるんだがどれも決め手に欠け、思い込みが強い少年というイメージが拭えない。

前半で陽菜に会う以前の悲惨な出来事を踏まえ、家族に連絡をするなり、心が折れそうになり帰ろうかと思い悩む描写がもう少しあればまた見方が変わってくるがそうでもなく、一体何が彼をそこまで東京の、しかも歌舞伎町という街に縛り付けたのか。これも理由が分からず感情移入と理解ができなかった。


【魚と空中の水たまりの謎】

陽菜が力を使うたびに登場する、魚と空中の水たまり。
水たまりは帆高が東京に来る途中のフェリーでも登場していたが、関連性が見えない。

異常気象がなく、ただ雨を止ませたことによる弊害や条件なら理解できなくない。また、空とつながった陽菜が力を使ったことで一時的に空と現実が繋がって、空で起こる現象が現実でも起こるということなら、分からなくないのだが…、既に異常気象。陽菜が力を手に入れたことが原因でもなく、元から原因不明の異常気象。
1度の視聴では、そこの原因や関連性が全くわからなかった。


【なぜ陽菜が救われたのか】

透明になる理由も謎だが、それはなんとなく解釈できる。
晴れの力には知られざる条件があり、力を使うことで空へと還る。もしくは空の世界と同化する。みたいな感じかなぁと思った。

ただ、完全に空の世界に引きずり込まれた陽菜が、なぜ現実に帰ってこられたのか?
帆高もまた空の世界に入り込んだわけだが、彼は晴れの力を得ることもなく(得たが使わなかった?)、ただ陽菜を連れて帰った。そしてその後の陽菜は透明になることもなく、日常生活を送っているようだった。

なぜ帰ってこられた?
ここは「観客の解釈に任せる」という部分だと思うが、もう少し解釈するための前提条件が欲しい。

答えは一つじゃないと思うし、正解は人によって様々。それは良いと思うが、
観たものを観たまま捉える人にとっては「???」で、深く考察したい人にとっても解釈が無限大すぎて「???」になってしまう。

なんだか、新海作品の魅力である問いかけと、成功を収めた「君の名は。」のハッピーエンドを、めっちゃバランス悪く、中途半端に融合してしまった感…!

2時間じゃ尺に限界があるのは分かるが、刑事のくだりとか、削ろうと思えば削れそうなところがあるんだから、もう少し丁寧な心理描写が欲しかった。

{/netabare}
---

何はともあれ、
相変わらず背景は写真と見間違うかのごとく綺麗かつ繊細だし、RADWIMPSは今回も期待以上の良い曲作るし、OPやEDの編集は最高だし、観て損したかというと全くそんなことはなく、観てよかったと思う。

なんだか、自分なりの解釈やイメージを求めすぎたのかも。
なるべく先入観や個人的な感情抜きに、また観てみよー。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 13

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

子供たちを守れない文明=東京など滅びてしまえばいい。

24年は8月に再視聴しています。

 この作品への感想として、環境問題が描けていない、東京の水没の描写がおかしいなどが多いかもしれません。あるいは、ホダカの行動はリアリティがないという意見も見ました。それと、考察と称して裏設定を探すような重箱の隅をつつくようなものが多いのも特徴だと思います。

 この作品では環境問題は誰の責任だ?どこにその影響が出ているんだ?ということを考えたいです。責任があるのは文明=既得権益であり、資本家、企業、大人たちです。特にバブル期にいろいろいい目を見た人たちです。そこが本作においては環境環境騒いでいることへのアンチテーゼになっています。

 環境の落とし前をつけるのは、こういう資本主義で利益を得ている人々がやる話です。子供に対して「お前ら環境のために何かしろ」と言う責任転嫁やおためごかし、偽善を描いているんだと思います。本当に二酸化炭素を止めたいなら自動車工場を全部とめてしまえばいい話です。エネルギー消費を減らせばすぐに解決します。それをやらないで経済優先で子供に負担を強いる文明は本当に正しいのか。

 もちろん、雨=環境問題は直接な表現ですが、雨=貧困の苦しみという意味の方が強いと思います。都市文明とは、直接・間接で子供を苦しめる装置であり、その歪みを特にヒナさんを通じて描いています。

 だったら一回文明などリセットしてしまえばいい。つまり、東京は水没してしまえという話です。

 二酸化炭素が原因云々といいますが、この作品では龍が原因でした。不思議な魚のようなものが降ってきます。つまり、水害のメカニズムなど人知の及ばない何かであって、安易な決めつけで分かった気になるなという風にもとれます。
 龍=神=自然の理で、自然に逆らった末路ともとれますが、その犠牲はまともな世界にしたいと願う子供に降りかかります。個々人ではみんな晴れてほしいと願っているのですが、その願いが勝手なために歪みが子供に集中するともとれます。
 
 晴れを願う子供たちの犠牲の上に今の文明は成り立っているんだという意味にも取れます。ヒナさんは中学生で年齢を偽りアルバイトをし、挙句の果てにいかがわしい店で働く決心をします。

 願えば晴れる。そこの意味ですよね。なぜひなさんが風俗的なところに行こうとする場面が冒頭にあったか。マック=まともなバイトでは暮らせない。つまり、性風俗に闇落ちしないと子供は暮らせない。ヒナさんの身体は醜悪なゼリーのような何かになるのはなぜか?病気や精神を侵食されている状態に見えます。「晴れ」=あぶく銭は余計子供を苦しめるとも取れます。
 あるいはヒナさんが子供の象徴だとすると、資本主義的な価値観で育てられて人間ではない何かになっていく様子にも見えます。

 そうそう、性風俗的なものとかラブホが気持ち悪いという意見も見かけましたが、それはこういうところに視点が向いていないからでしょう。

 つまり、雨が降り続く=資本主義のネガティブな影響は子供に向かっているんだと読み取れます。ただ純粋に晴れを願う子供が犠牲になってしまいます。小さなアパートで弟と暮らしたいというささやかな願いすらかないません。

 警察や制度が役に立たないことも描かれていました。子供を守るのは誰なんでしょうか?

 また、ホダカの反抗は島においても無力で、飛び出すしかありませんでした。田舎だろうが都会だろうが楽園ではありません。銃を持っても結局は役に立ちません。ヒナさんを助けようとしても、最後まで彼は無力です。ただ、連れ戻そうという彼の意思が大事です。子供の衝動はときに、理屈を超えてきます。

 結局、懸命に生きようとするヒナさんとホダカは雪に降られ、行き場所を失っても、バカ高いホテル代をぼられます。それでも一緒にいたいという気持ちすら引き裂かれました。

 要するに見るところは、本作の設定とか整合性ではありません。地球の環境を壊した、既得権益=資本主義の犠牲となった子供たちを描いているんです。中高生はこの作品に共感したとの話も聞きます。大人の仕組みに染まってない故にその辺のところが読みとれるんだと思います。資本主義的な大人だと「環境の描写が」とか「整合性」という言葉が出てくるし「裏設定」を探すことが考察することだと思うのでしょう。そういうところじゃなくて、大きなものを見たい映画でした。

 そして、24年現在、この作品が公開された2019年より状況はこの作品に近づいている気がします。




23年7月のレビューです。

 お前等はどうせ何もできないから、せめて子供が生きる邪魔をするな、でしょうか。

 7月になると見たい映画の一つです。23年7月、再視聴しました。多分10回目くらいです。追記追記でごちゃごちゃしてたのを整理しました。

 この作品、映画作品としては新海誠の災害の3部作の中で一番ストーリーがますっぐで立体感はありません。なので、エンタメとしては他の2作より劣るとは思います。

 ただ、内容的に一番共感というかリアルに感じるのは本作なんですよね。視点が実生活に近い分、読み取れるテーマ性が非常に深かったと思います。
 さらに、時代が進むにつれ意味性・テーマ性がリアルになってきた気がします。


 本作を見て天気に目を向けるのはやむを得ないでしょう。なので環境問題的な視点から評論したくなるかもしれません。題名からしてそういう話ですから。ただ、私はそれは舞台設定でしかない、あるいは優先順位としては高くないと思います。
 本作で一番胸に刺さるのは「今の社会は、子供たちを一番大事に考えているか?」じゃないでしょうか。

 本作のテーマは大きくは2つ。「社会はクズなんだからせめてがんばっている子を放っておいてくれ」と「社会は助けてくれないから自分のために突っ走れ」ですね。


 二酸化炭素云々の環境問題を議論する前に、街にいる貧困の子供たちをなんとかしろよ、と思ってしまうと同時に、何もしていない自分への罪悪感が突き刺さります。
 そう考えると「雨」が象徴しているのはわかりますよね。今の日本の都市の暮らしにはいつも「雨」が降っているということです。

 「社会はクズなんだからせめて放っておいてくれ」というのは、彼らが懸命にアパートで寄り添っている生活すら潰してしまう世の中の仕組みってなんなんだろうということです。就職活動して背広を着てビルで働くしか行き場はないんでしょうか。
 年齢を誤魔化して懸命にがんばっているヒナさんは、天気を良くしようと口だけで言う世間の都合の犠牲になったような気がします。

 実際社会に晴れをもたらすのは、ヒナさんのような子供の祈りです。ヒナさんは他人のために祈ります。でも、そのしっぺ返しは、更に強い雨。そして、真冬の情景でした。その真冬は、子供たちのせめて一緒にいたいという気持ちすら踏みにじり、生命まで脅かします。結果としてヒナさんは消えるしかないということでした。

 ヒナさんは切羽詰まって、風俗のようなところに行くことになっても、弟を支えようと頑張ります。アパートで自分で育てたネギを食べるところは、貧しさの中で工夫をして喜びを見つける良いシーンですが、逆に言えば胸が痛くなります。そこまでしないと暮らせないのか、と。

 天気よりも我々が守るべきは子供だ。二酸化炭素の問題って、結局「子供を守れない出来損ないの文明」を守るということです。それだったら、既存の仕組みなど壊れて、子供が再び幸せにくらせる社会にするしかない。
 天気天気というけど何百年という歴史から見れば大した問題じゃない。子どもを社会で大切に育てろ、そう言う風に見えます。



 そして、もう一つ。閉塞感ですね。子供が未来を感じられない世の中です。だけどホダカは島を捨て自分で何とかしようともがきます。そして、反社や警察などからヒナさんを救うために走り回ります。

 彼は本当は何もできないですけど、もう進むしかない。それしか打破できないという推進する力が見えます。拳銃という我々の社会では最強の武器も役に立ちません。それが現実です。でも、彼は徒手空拳でがんばった。

 世間の事を考える前に、目の前の娘を救えといいます。それは世界系と捉えていましたが、考えてみれば大人があてにならないから、お前が救うしかないんだという風にも見えます。そして最後は…という感じです。
 昔の内面的な世界系とは違い、もう今の時代を生き残るためには「好きな少女のために」=「自分のために突っ走れ」という生存戦略的な世界系に見えます。

 言い換えるとホダカは「少年の日の衝動」だと思います。「怖くないわけはないけど止まらない」です。あの主題歌グランドエスケープはホダカの気分を表した素晴らしい内容でした。



 須賀兄妹(姪)については、やっぱり大人側ですけど、半地下にいる=社会に半分だけ足を突っ込んでいる。だからホダカの味方に半分だけなれるんでしょう。
 須賀は別に主人公を追い出したわけではありません。金を渡して大人の対応ができるようにちゃんと説明します。須賀(姪)は就職活動をしていて大人と子供の境目なので、主人公たちに寄り添えますが結局力にはなれていません。

 婆と孫もやたらでてきました。2人の婆の対比は冒険したかどうかの差?そして孫たちはこれからこいつらは冒険するだろうか、という世代による結果と可能性を見せている気がします。

 婆から孫の描写をあえていれているのも、お金よりも子供を産み育てることを優先する社会がくれば、温暖化問題など解決している、という風にも見えます。


 なお、最後のヒナさんが祈っているシーンですが、私は穂高に会えますようにと祈っているに決まっていると思っていましたが、天気が良くなるように祈っていたと解説している方がいました。
 初めは違うんじゃね?と思いましたが、なるほど穂高の雨に対する罪悪感を考えると、ヒナさんもそこを思い悩んでいるなら無くはないですね。穂高の最期の言葉は、雨とか罪悪感とか、もう忘れて2人でいようとその場で吹っ切れたと考えてもいい気がします。どうでしょうか?

 見せ場についてはいろいろあったし、絵の美しさは君の名は。以上だったと思います。花火のために祈るシーンと雲から落ちるシーンは最高でした。
 映像の派手さというかインパクトでは「君の」に負けていましたけど、エモさでは本作でしょう。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 28
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

作品<商品の視点はそれなりに重要

オリジナルアニメ劇場版 114分


興収250億円。日本歴代4位の記録を打ち立てた『君の名は。』から3年。新海誠監督2019年の新作。
良くも悪くも『君の名は。』以前と以後で語られてしまうのはしかたないでしょう。
立ち位置もこの大作を起点にして、

 1.変わらず好き
 2.以前よりもっと好き
 3.昔のほうが良かった
 4.これを機に新海誠を知った
 5.一貫してネガティブ評価

ニワカな私は4.です。『君の名は。』で知って、『秒速…』や『言の葉…』に流れていった人。
余計なお世話は承知の上で放言しますけど、3.のスタンスの方、ヲタ村から一歩出た実社会では注意が必要です。メガヒット作品だと普段アニメを観ない一般国民の関心が低くありません。しかも好意的に作品を捉えたケースが当然ながら多い。それを事情を聞かずぶった切ってる方の多いこと多いこと。私はドトールで実際に遭遇しました。本人の狙いはともかく地下アイドル好きのキモオタ扱いされ撃沈するのが関の山です。5.も似たようなもんですが「一貫してるのね」と傷は少ない。
『けもフレ』の前と後がどうだ!とか、○○(制作会社)の新作があーだこーだとかは一般人にはどうでもいいことなんで彼らも他人事として聞いてられるのですがこのテの作品はその一般人のテリトリーに入ってることを十分意識しておきましょう。

声優を例にすると分かりやすいかもしれません。先日、民放ゴールデンタイムでの『聾の形』放送に際し、知り合いの非ヲタ一般人に出演声優を説明するにあたってはこうでした。

 主役→『千と千尋』のアシタカ役
 永束→ハリーポッターの中の人
 妹→『君の名は。』のさやちん役

彼らがイメージ湧くのはここまで。ヒロイン役の早見さんは残念ながら「誰?知らん」です。興行収入の多さと一般認知度は比例します。ハリポタは違いますが基本的にはディズニーかジブリ強し!という勢力図の中に割って入ってきた新海さんは凄いと思いますよ。

一般人と共有できるアニメ作品は貴重であると思うので、いつも以上に盛大に脱線しました。
作品単品での評価も気になりますが、マーケティング視点も少しばかり導入しつつ興収含めた一般社会での受け入れられ方も気になるそんな作品という前提で以下。

メガヒットの次に何をもってくるか?

『CROSS ROAD』でミリオン達成。シーンに認知されたMr.Childrenは次に年間チャート1位となる『innocent world』、その次にバンド史上最も売れた『Tomorrow never knows』をリリースしました。答えは簡単。名曲を出し続ければ良いという結論です。もちろんおいそれと真似は出来ません。
次にやらかしがちなパターン、特にここ最近顕著なのがヒットしたものをそのままなぞらえた模倣品を作ること。短期間に消費されること前提であり飽きられるのも早いのでクリエイターには不評。こればかりは会社だったりプロデュース側の方針に依ります。
というわけで最後。目先を変えてくパターン。すなわち王道な売り方。成功事例だとX JAPANが分かりやすい。『紅』でシーンに躍り出てからの次回作が『Endless rain』。前曲の激しい曲から一転してピアノのイントロが美しいバラードです。振り幅で勝負!人気を定着させました。
なお現在の音楽シーンはメディアミックスが複雑すぎて音楽単体評価が難しく該当事例ナシです。


そしてやっとこ作品そのものについての言及になるわけですが、
本作はだいぶ模倣品リリースに傾いてたと思われます。パッと見た感じは「模倣品」。中身は「異物」なんですけどおおむねパッと見た感じで判断しますもんね。別に「俺たちの新海戻っておいで」でもいいのですがせっかくドがつくほどのメジャーに踊り出たんでしばらくは居座っていて欲しいです。、
私は『秒速…』以降しか知りませんが、少なくとも全てボーイミーツガールです。お家芸となってる過去作品のキャラ登壇は本作に限らず伝統芸能といって差し支えないでしょう。実写より美しいともされる作画やモノローグを多用する心情描写は作家の色なので模倣品とまで言うのは酷ですが既視感あることは致し方なし。RADWIMPSの再起用はやり過ぎな感もあり。といったところでしょうか。

『ナウシカ』『ラビュタ』と連発。『未来少年コナン』以降の監督の得意分野である冒険活劇あるいはファンタジーを2本続けてから第3弾では2本立てにトライ。『火垂るの墓』で原作有り&別監督と目先を変えてきたジブリを無条件に賛美する意図はありませんが、早くチームか会社設立しちゃったほうが良い気がします。需要に対しての供給力が足りてないというか今のままでは監督への負担が大きいのではないかと思われます。
ボーイミーツガールの完成系を目指して試行錯誤しているクリエイター!? 技術的には積み重ねを感じる。例えば『言の葉の庭』で培った雨の表現をトレースしてたり違うものを見せたりと。そんな持ち味を楽しみにしているファンも大勢いるためガラッと変えるのは実際難しいところなんでしょうね。


して映画の肝心の中身は?

良いです。ボーイミーツガールは好物だしこの監督の演出する男女の営みも自分には合います。
特にツボにハマったのが新宿の繁華街の裏通りの雰囲気。終電逃してさあこれからって空気や、朝を迎えた時点での気だるさを感じさせるあの雰囲気がよく出ています。

これが家出少年の目にはどう映ったか?

宿無しの不安とおそらく束縛からの解放がないまぜになった心理状態。そんな者すら受け入れる街。“ここではないどこかへ”来た感がこれでもかと出ております。
ウチの中学生の倅が劇場で鑑賞し「面白かった」と感想を言ってましたが、メインストーリーとは別にこのちょっとした淫靡な空気に吸い寄せられたのかもしれないなぁ、と実際の作品を観て思いました。朝オープンしたてのカフェに昨晩オールした若もんがぐったりしてるでしょう?そういうところです。

そして不穏な街には不穏な物語が良く似合う。
当人たちの問題がそのまま世界の危機に直結する“セカイ系”に分類されそうな物語でした。


 “ボーイミーツガール”

 “怪しい街新宿”

 “セカイの危機”


難点はキャラの行動原理がわかりづらいところ。その点はけっこう狙っていたらしく、例えば主人公穂高の家出理由はわざとぼかしているとのこと。自分はあまり好きではないです。
総じて“良い”と感じてますが、行動原理に納得感がないからか主人公らがやや低年齢だったからかは定かではありませんが、結局キュンキュンしなかったので評価爆上がりには至らずでした。

マーケ視点としては合格。メガヒットの次という超絶難易度をクリアしてます。「あー結局アノ作品だけの監督だったんじゃん?」という声がない。充分でしょう。
これで次回作も一般人巻き込んでみんなで楽しめますね。ぜひデートの誘いに新海映画を!
ボーイミーツガールは不滅です。



※閑話休題

■人身御供

ちょいちょい日本文化のわりとコアな部分を突っついてくる作風は今回も。
本質的には巫女さんの役割のお話なんだと思います。

{netabare}現代版の卑弥呼{/netabare}

僕らの血肉に息づいてる感覚をモチーフにしているので賛否はともかくイメージはしやすい。
{netabare}※自然の怒りを収めるための人身御供という概念のことです。
相方が人身御供となることを良しとするか否とするか?本作での結論は観ての通りでしたがあの結論はアリだと思います。{/netabare}

↓ネタバレ
{netabare}今のこの時代に社会正義を捨ててヒロインを取ったる!とやったのは痛快でした。
公の精神は大切です。ただしポリコレ棒をぶん回しての昨今コロナ禍での自粛警察みたいなのとは似て非なるもの。{/netabare}



■東京

{netabare}「街の風景を自分の手で・・・」
「東京だっていつ消えてしまうかわからないと思うんです」{/netabare}

建設会社希望の某就活生の志望動機をふと思い出しました。
もしやこの伏線回収か!?と思いきやところがどっこい消えずにたくましく東京の人達は生きている。
むしろ「埋め立てる前はもともと海だったしね」のセリフにお台場はもちろん江東区あたりもイメージしてそりゃそうだと膝を打ちました。

{netabare}「東京だっていつ新しいものが生まれてくるかわからないと思うんです」にバージョンアップ{/netabare}

自然災害を無視できない風土。だからこそ生まれた“もののあはれ”なる概念。そんな諦観だけに留まらず対となる進取の気性との両輪でここまで続いてきた国なのにどうやら後者の気概が最近弱まっている模様。もう一度取り戻して前を向いて歩いてく。
なんだかんだそんな前向きさを感じるのはエンタメの良い部分が出てるのかもしれません。



視聴時期:2020年7月

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2020.08.22 初稿
2020.10.25 タイトル修正
2021.05.30 修正

投稿 : 2025/01/04
♥ : 64

60.9 8 神社で高校生なアニメランキング8位
レーカン!(TVアニメ動画)

2015年春アニメ
★★★★☆ 3.3 (483)
2400人が棚に入れました
――わたし、視(み)えるんです。
誰もいない放課後の教室。黄昏時の元殺人事件現場。
ないはずの視線が気になる夜のお風呂場。
漆黒の艶髪をなびかせて。そう、霊的スポットにいつもいる。
気になるあの子は霊感少女――
霊感が強く常に幽霊に囲まれている主人公・『天海響』が様々な幽霊と交流しつつ、
クラスメートと仲良くなっていく『ほのぼのと感動』そして『怖くない』ホラーアニメ。

声優・キャラクター
木戸衣吹、伊藤美来、飯田里穂、M・A・O、山崎エリイ、山谷祥生、川原慶久、くじら、内田彩、井澤美香子、松井恵理子、木野双葉、羽多野渉、皆口裕子
ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

ハートフルな幽霊ファンタジー+日常系。地味さや粗もあるけど、かなり好きです

芳文社の4コマ漫画原作の日常系+幽霊ファンタジー。
清楚なお嬢様系の霊感少女と、彼女の霊感知りつつも楽しく傍にいてくれる友達、そして愉快な幽霊たちが、和気あいあいと過ごしていく。
全般にほのぼのした呑気な雰囲気と、少しハートフルなエピソードが持ち味。
(賑やかしの男子一人居るが)基本的に芳文社のガールミーツガール系。
地味な作風ではあるが、とても優しい作品です。

キャラ萌えやコメディー面での地味さ、ノリの古さ故か、イマイチ不人気な不遇作。
エンタメ的に見ると仕方がない面もありますが、決してク○アニメではない!
2015年春アニメの中でも地味に好きでした。(地味だけど…)

{netabare}『物語』
まず見所は、霊感持ちの天然不思議系お嬢様な天海響(あまみ・ひびき)と、幽霊ニガテなツンデレ井上成美(井上さん)との、ガールミーツガール。
井上さんが怖がりながらも響と仲良くなっていく過程に、若干の百合萌えあり。
2話にしてハートフル路線の、ちょっとイイ話が来るので、ここで幽霊否定派の井上さんの心境の変化も見所。
怖がりつつも響ラブな井上さんの百合萌えオイシイです♪
…仲良し女子グループに一人だけ男子居ますが、ラブコメ要素は皆無。
完全に賑やかし要員であり、山田騒ぐ→女子に制裁される流れが一種のお約束になっている感じ。

他の級友たちも気の良い仲間たちで、ごく自然に響の霊感体質にまつわるトラブルや、幽霊たちと交流していく。
この自然さが本作の持ち味で、人間と幽霊(死者)の境界が曖昧な世界観で、少し優しくハートフルな雰囲気が良いです。
コメディー面では、幽霊が日常的に学園生活にまざる事でのシュールな状況が面白い。
ギャグも文字通りの意味で「命」を張った幽霊ギャグは笑えましたw

中盤以降、かなりハートフル路線に。
コギャル霊と、彼女の母親…との絆を響が繋いでいく話は、親子の愛情を感じさせて良かった。
8話がベタだがかなり泣かせてくれる。
※「あの花」彷彿とさせる感動エピソードでした。1話完結の感動話としては完璧です。
8話ではアホの山田見直しました。
…2話の井上さんとおばあちゃんなど、全編を通して

「生者と死者を問わず、大切な人(家族)との絆」

を優しいタッチで描いた良エピソード多し。
本作はファンタジーであり、現実ではあり得ないけれど、(あったらいいな)と思えるステキなお話です。
感動一辺倒ではなく、基本は呑気なコメディーなのも良い。
代返侍とかコギャル霊とかが喧しく日常に絡んで来たら…ちっとも寂しくは無いですね。

終盤の展開は唐突感ありますが、響がいかに愛されているのか、親と子の絆を見せてくれました。
これまでの個別エピソード(井上さんと亡き祖母の思い出の卵焼き、幸せになった先生、コギャル霊など)が、しっかりと結実していく全体構成も上手いです。
ラスト手前で最終回でもおかしくない感動系、更に+1話で楽しい日常続きます的な締めも文句無し。
素直に温かい気持ちになれる、ステキな霊感ファンタジーでした。


個人的に大好きな作品だったのですが、ここからいくつか難点も。
コメディーはややノリが古い面があり、序盤はまだ友人たちのキャラ分からない事もあり、悪い意味でグダグダ感が否めない。
ここら辺は4コマ原作アニメとしての構成が若干上手くなかったのかな?
ギャグは「命」以外では特に笑える部分が乏しい。
井上さんの幽霊怖がりと山田が制裁される二大ネタを、お約束のノリとして楽しめるか否か…?
山田が邪魔?
ガールミーツガール系の中で、彼がウザかった。
(8話で彼の存在意義見直しましたが)
…個人的には、これらも致命的では無かったのですが、前半地味過ぎて切られる恐れはあると思った。
逆に後半は素晴らしい。幽霊含めキャラ増えてくる中盤以降、尻上がりに面白くなります。
ラスト手前の説明不足も全然気にならないです。


『作画』
響ちゃんのキャラデザがかなり好み。清楚系お嬢様かわいい。
井上さんのツンデレな表情など、キャラデザ面では非常に好きです。
気になるのは、目を髪で隠しつつも透けて見せる表現。
正直若干の違和感あり(古いタイプの表現か?)
構図の取り方や場面転換の演出面でも難あり、特に前半コメディー面でのテンポに影響した模様。
…とはいえ、個人的には、特に致命的とは思わんです。
響ちゃん可愛いじゃん。井上さんかわいいじゃん。花子さんかわいいじゃん。

『声優』
木戸ちゃんこと木戸衣吹さんが清楚系天然お嬢様を好演。
良いじゃないですか!木戸ちゃんのお嬢様系アリですな♪
伊藤美来さんのベタで些か不器用なツンデレも中々。
演技の上手さはともかく…ベタだけど可愛いから良いじゃないですか!
※私の中では伊藤美来さんすっかり「ろこどるのなにゃこちゃんの人」で定着してしまってますw
ろこどるではゆかりさんに百合萌えされ、本作では響ちゃんに百合ツンデレ…

皆口裕子さんと井上喜久子さんの、娘を想う母親役も非常に良かったです。
エロ猫のくじらさん、見事にくじらさんでしたw
代返侍の川原慶久さんの好演も光った。

『音楽』
OP「カラフルストーリー」は明るく楽しげ、ED「ケサランパサラン」含めて本作雰囲気に合ってます。
後半の感動系の余韻を、良い意味で壊してくれる。

『キャラ』
響ちゃん、清楚で天然なお嬢様で可愛い。奥ゆかしく、慈愛に溢れ、友達にも霊にも好かれる、良い子です。
萌え的にはありがちなキャラに見えるが、その掛け値無しの優しさは天使!

井上さんはベタで古典的すぎるツンデレであったが、対象が百合というのが芳文社4コマらしい。
井上さんはガチ。
霊感持ちに百合萌えなのに幽霊には滅法弱いギャップも萌える。
やはり非常に思いやりのある優しい子なのも好印象。

幽霊たちが個性派揃いで、またゲストも印象的でキャラ層は厚い。
代返侍とコギャル霊はユニークかつ良いキャラでした。
花子さんメリーさんかわいい。
地縛霊が(姿は見えないか)イケメンだったり。

アホの山田は存在が邪魔だったのではないか?
とも思えたが、8話で値千金の心憎い気配りを見せた事で、評価急上昇しました。
本作のコメディーにおいて欠かせない存在ですし。

他友人たちは前半キャラが薄めなのが難。
メシアさんやスマホ心霊写真の子はそこそこキャラ立ってましたが…
最後まで視聴するとどのキャラにも愛着湧きますが、4コマの萌えアニメとしては、華のあるスター性のある萌えキャラが不在かもしれない。
…個人的には、響ちゃん×井上さんで十分満足ですけれど。


『追記』非常に好みの作品です。
個人的に、数値以上に贔屓したくなる好きなアニメです。
微妙な部分も含めて、本作の空気感が愛おしい。
あにこれでも他でも評価伸びない理由が何となく分かってしまうのは、我ながらアニメに慣れ過ぎてしまっている…
初心に返って、こういうアニメを絶賛してみたいなぁ…。

『追記2』ハロー!!きんいろモザイクが手強すぎた…
他レビュアーさんも何人かご指摘されてますが、同時期に同輩の芳文社のエース「きんモザ2期」とカチ合ってしまった。
個人的にはレーカンにも良さがあると思いますけど…
きんモザとレーカン両方好きなんじゃ^~!{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 37
ネタバレ

ゆ~ま さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

最終話まで視聴済。採点内にて感想を少し追記。総評も少し。

原作未読。
雑誌の表紙でアニメ化を知りました。

採点について-----
●物語●
{netabare}
ギャグ・コメディパートとシリアスパートと、
バランスの良い配分だと思います。
振り幅的な面でのバランスになりますか。
大笑いはさせないけど、ドン底に落とされることもない。

それでいて
何処か「泣かせてやろう」という意図の見える展開も。
まぁ見事に思惑通りになって、泣いていたわけですがw

同時期の『きんモザ2期』とは真逆で、
季節の移り変わりの早いことw
12話で1年半・・・。
{/netabare}
●声優●
{netabare}
正直この項目は評価し辛い。
メイン5人(山田込みで6人でも可)のキャストさんの演技そのものを、
他で聴き馴染んでいない面もあるとは思いますが・・・。
例えば・・・6話での「コギャル霊の母親」と比べると、
やはり『慣れ』『演技』『声質』などで差を感じてしまいます。
本当にすみません、偉そうなこと書いてしまって・・・。
{/netabare}
●キャラ●
{netabare}
メインの5人も悪くないのですが、
『猫』やら『代返侍』やら『コギャル霊』やら、
霊やお化けの方がキャラクターの濃いのが多いように感じるw

ツンデレの井上さんは輝いてると思いますw
{/netabare}
●作画●
{netabare}
12話通して安定していたと思います。
大荒れすることもなく。
1話がやたら綺麗だった印象はありますが、
見直してみても不満なところは無いです。

人物より背景や物の方が凝ってる印象があります。
{/netabare}
●音楽●
{netabare}
OPもEDも悪くないのですが、どちらかで(敢えて書くならEDかな)
ノリやテンションの抑えた曲が欲しかったかな?と。
意外と泣かせにくるお話が多いようなので、
EDは静かな曲でもマッチしていたような気がします。
あとは・・・「両方とも同じユニット」というのも無理矢理感が。
番組用のユニットなら仕方がないですが・・・。
{/netabare}
●総評●
{netabare}
ここ数年はきらら系以外の4コマ誌を購入していなかったので、
完全にノーマークからの視聴になりました。
強いて言うなれば「4コマ原作だから観てみるか~」くらいの動機。

だからなのか、存外に楽しんで観ていられたように思います。
飛びぬけた何かを持っている作品では無かったとも思います。
素人さんにオススメできる点を挙げるように言われても、
正直できるか怪しいですね。
それでも、何かがあったのだとは思っています。
ガッツリ霊感物でも無く。
霊は出てきても怖い部分はほとんど無い。
どちらかといえば、ゆったりまったりほんわか。
そして随所に散りばめられた「泣かせる」ポイント。

途中からキャラが増える度に、
足があるか確認しながら視聴するという
変な習慣ができましたw
{/netabare}


6話まで視聴後-----
{netabare}
敢えてネタバレタグを使う内容で無いのですが。
書きたいことは「採点」内に記せたと思います。

「声優」「音楽」の二項目は厳しめに書いてますが、
総じてはかなり楽しめてるのが正直なところです。
溜めることもせずに、毎週キチンと消化してます。

『きんモザ2期』が同じクールでなければ、
日常枠として評価が高めになっているのでしょうが・・・
相対的に低くなってしまうのが勿体無い。
掲載誌面は違えど、何故に競合させたのか・・・。
{/netabare}
3話まで視聴後-----
{netabare}
4コマ原作としては、今のところ可も無く不可も無く。
どちらかといえば良い印象ですが・・・。

この比較に意味は無いのかもしれませんが、
対抗馬(きんモザ2期)が強力すぎる。
扱う題材も作風も絵柄も掲載されてる雑誌も
全く違いますが・・・。
そういう意味で勿体無いといいますか。
同じ出版社だし、時期ずらせなかったのか?と思えてなりません。

1話、3話で予想外にホロリとさせられました。
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 8

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

次々に起こる心霊現象・・・でも、あったかいんです^^

この作品の原作は未読ですが、原作は月刊誌の4コマ漫画みたいですね^^
この作品の事前情報は黒髪ロングの女子高生が登場することと、主人公を演じるのが木戸衣吹さん、という事くらいでしたが、キャラデザも好みだったので視聴を決定した作品です。

この物語の主人公は、他校から転校してきた天海 響ちゃん。黒髪ロングな美人さんで清楚で物腰が穏やか・・・まるで、どこぞのお嬢様のようです。
そんな彼女ですが、生まれつき強い霊感の持ち主なので頻繁に霊が見えるそうです^^
この作品では、霊感の強い女の子と彼女を取り巻く友達との日常を描いたモノになっています。

私は霊感が全く無いので、霊を見たことはありません。
もし、見えたら・・・きっと怖いと感じると思います。
考えてみると人間の視覚に反応しないモノって他にもあるんですよね。
力や電気は見えないし、紫外線や赤外線だって直接見ることはできません。
でも、これらが怖いか・・・と問われると、誤った使用方法や過度な摂取は危険を伴いますが、怖いという感覚はありません。
だから、霊は見えないから怖いのではなく、思念を持った存在でその思念を伝達する手段が無いから恐怖を感じるのだと思います。

なので、響ちゃんの傍にいたら間違いなくクラスメイトの井上 成美ちゃんと同じ言動を取っていると思います^^;
でも、もしその霊と意志の疎通ができて、霊の願いを叶えてあげられるなら・・・全ての霊が怖い存在とはならないのでしょう・・・
響ちゃんの仲良しクラスメイトは、これまで未知の世界だった霊との接触を体験しつつ・・・物語が動いていきます。

霊の中には、悪意を持つ霊もいるようですが、全ての霊がそうではありません。
物理現象に介入できないから人間に代わりをお願いしたかったり、生きている間に伝えられなかった一言を伝えたかったり・・・元は同じ人間だったと考えると霊たちの要求する気持ちも分かるような気がします。
自分のお墓を直してもらったり、食べ物を分けて貰った事に恩を感じ、響を守護する代返侍・・・
母に謝りたい・・・そんな気持ちで成仏できずにいるコギャル霊など、基本的に気持ちの温かい霊が殆どなので、安心して見る事ができます。

むしろ、本来であれば輪廻転生の輪に身を投じるべきところで、その流れに逆らいこの世に留まり続ける・・・という事は本来進むべきレールから外れているので、霊にとって大変な事なのかもしれません。
それでも留まり続けるって・・・意志の強さの成せる業? それとも優しさ?

だからかな・・・この作品を見ていると心が温かくなるんですよね^^
こういうココロがホッコリする作品も良いものです^^

物語の終盤・・・響きちゃんは願ってしまいます・・・
どうしても会いたかったから・・・
触れた記憶が欲しかったから・・・
これまでずっと我慢してきたから・・・
彼女の想いは届くのでしょうか・・・気になる方は是非本編をご覧下さい^^

オープニングテーマ「カラフルストーリー」
エンディングテーマ「ケサランパサラン」
どちらの曲もevery♥ing!さんが歌っています。

1クール13話の作品でした。心がホッコリ温かくなる作品が多く、きんモザとはまた違った癒しを与えて貰った作品でした。
そして物語は普通に・・・何の前触れも無く終わったように思いましたが、続編があるのでしょうか^^?
4コマ漫画だからストックに時間がかかるのかもしれませんが、もし次期があるなら是非視聴したいと思います♪

投稿 : 2025/01/04
♥ : 27

76.1 9 神社で高校生なアニメランキング9位
続・終物語(アニメ映画)

2018年11月10日
★★★★☆ 3.8 (344)
1917人が棚に入れました
高校の卒業式の翌朝。顔を洗おうと洗面台の鏡に向かい合った暦は、そこに映った自分自身に見つめられている感覚に陥る。思わず鏡に手を触れると、そのまま指先が沈み込んでいき……。気がついたとき、暦はあらゆることが反転した世界にいた。

2018/11/10より全国劇場にてイベント上映開始!

声優・キャラクター
神谷浩史、斎藤千和、加藤英美里、沢城みゆき、花澤香菜、堀江由衣、喜多村英梨、井口裕香、早見沙織、井上麻里奈
ネタバレ

♡Sallie♡☆彡 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

僕達と,育ち続ける物語。

こちらは「こよみリバース」。
高校の卒業式の翌朝から始まる物語です。
終わりの,続きの物語ということらしいです。
今回もあらすじに沿ってレビューしていきたいと思います。

阿良々木くんが朝,顔を洗って洗面台の鏡を見ると,鏡の中の阿良々木くんが動いていないことに気付きます。
鏡に手をのばすと彼は鏡に引きずられるように入っていってしまったのでした。
{netabare}気がつくと,そこは洗面所でした。
鏡の中の反転した世界です。
そこに現れたのはお風呂から上がった背の低い火憐ちゃん。
いや。お兄ちゃんの前で裸で平気ってなんなのこの妹。いつものことだけど…。
女としては地味にブラの着け方が気になる。。
これじゃ綾波レイの二の舞じゃないか!!
それより気になったのはパンツよりブラの方を先に着けるの!?
まぁ,火憐ちゃんの好きだけどさ。
「って言うか兄ちゃん,出てけよ。妹が下着姿なんだよ。」って。
あのぉ。裸は良いのに下着姿はダメなのですか??
なにそのダブルスタンダード。
その後月火ちゃんに会うのだけど,彼女の浴衣が左前になってることに阿良々木くんは気付きます。
そして斧乃木ちゃんにも会います。
いつも無表情な彼女がいつもと違う。
そしていつものひらひらスカートじゃなくてパンツスタイル。
八九寺に会おうと北白蛇神社まで来た阿良々木くんはお賽銭を投げて八九寺を召喚しようとします。
ここで内心「オリジナリティーあふれるアイディアが出てくるかどうかがあいつと僕を分ける壁だと言えよう。」とか言って貝木をディスってるけど,恋物語観た視聴者さんはみんな「(o-∀-)σオマエ…」ってなってるよね(笑)。
投げ入れる金額も違い過ぎるし。。
なんとか八九寺は現れます。でも21歳の八九寺お姉さん!!
「阿良々木くふぅん♡」って(笑)。
それで八九寺お姉さんに相談にのってもらいます。
そして阿良々木くんは思いつきます。
暦物語「こよみウォーター」での出来事を思い出したんですね。
神原の家のお風呂が元の世界との通話口になるのではないかと。
でもそこでレイニー・デヴィルに出会ってしまうのです。
「憎い」を連呼して追いかけてくるレイニー・デヴィルだったけど,ブラック羽川に救われます。
羽川の乳房の左右差まで把握してたとか,変態すぎるんだけど阿良々木くん!!
確かに右胸の方が大きいのは珍しいけど!!
家に帰ると,女の子が居ました。
どうやらこの世界の阿良々木くんは老倉育と一緒に暮らしてるらしい。
この世界の老倉さんは幸せそうだなぁ。
現実がこうだったら良いのにな。
真宵お姉さんが召喚したのは先代神様のクチナワさんこと千石でした。
口調がクチナワの兄貴っぽくなってる(;´・ω・)
千石との会話の中で阿良々木くんは鏡は左右逆に反転するのではなく裏返っているのだと気付くのです。
そして,元の世界に代わりに行った阿良々木くんは扇ちゃんではないかと考えるのでした。
寝ようとした阿良々木くんのところに斧乃木ちゃんが来ます。
いつもの無表情の斧乃木ちゃんです。
うん。こっちの方が落ち着くなぁ。
「深淵を覗く者は,また深淵からも覗かれている」
有名なニーチェの言葉ですね。
阿良々木くんが斧乃木ちゃんのパンツを脱がさずに去ったことを訝しんでの行動だったようです(笑)。
“パンツ”がパンティーの方のパンツなのかトラウザーズの方のパンツなのか聞く阿良々木くんだったけど,「さあね。自分の胸に聞いてみたら?」って教えてくれない斧乃木ちゃん…好きです。
それに加えて「僕の胸を使ってやるいつものやつ」とかいうパワーワードまで飛び出します。
大事なことなので2回訊ねる阿良々木くんだったけど,それは華麗にスルーされます。
斧乃木ちゃんはブラック羽川に阿良々木くんを助けるように依頼した人が居ると考えます。
そして,学習塾跡に向かいます。
でもそこにあったのは廃ビルではなく豪華絢爛なお城でした。
そして,そのお城に住んでいたのは人間のキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードだったのです。
姫様に謁見している阿良々木くんは,その余りの高貴さに自然と自殺したくなってきてしまいます。なにその謎設定(笑)。
阿良々木くんはこの世界に長く居続けちゃいけないらしい。
翌朝,月火ちゃんに顔を洗われます。
その水が流れていく瞬間,その水に映ったのはにやりと笑う阿良々木くんの顔でした。
自分とは違うその表情に驚く阿良々木くん。
どうでも良いけど,阿良々木くんの妹たちは何でいっつも裸で登場するのよ!?
神原の家に向かう阿良々木くんと斧乃木ちゃん。
レイニー・デヴィルは斧乃木ちゃんが何とかしてくれるらしい。
結局,お風呂につかる阿良々木くん。
そこに現れたのは神原駿河のお母さん,臥煙遠江でした。
何故か一緒にお風呂に入って話します。
いや。どんだけ裸の女が登場するの!?このアニメ。
臥煙遠江は何でも知っちゃう人らしい。
彼女から背中にスティグマという名のヒントをもらう阿良々木くん。
そのヒント通りに直江津高校に行くことにしました。
制服を着て行こうとしたけど,制服が男子用から女子用になっていました。
女子用の制服を着て高校に向かう阿良々木くん。
いくら鏡の中の世界だからってメンタル強すぎるよ,阿良々木くん。
扇ちゃんが北白蛇神社に行くと真宵お姉さんと千石と羽川が酒盛りをしていました。
羽川は幼女バージョン。
羽川は何でも知っているなぁ。
阿良々木くんが直江津高校のかつての一年三組の教室に向かうとそこに待ち受けていたのは扇ちゃんでした。
洗面台に見えた顔が笑ったように見せたのは扇ちゃんでした。
扇ちゃんは鏡の世界の住人ではなく,阿良々木くんの扇ちゃんらしい。
扇ちゃんは阿良々木くんに,阿良々木くんが鏡の世界に来たのではなく,鏡の世界には削られているはずの20%を引っ張ってきたと教えます。
ん~。何だか分かったようで分からない。。
斧乃木ちゃんは懐から吸収率100%の鏡を取り出します。
それを北白蛇神社に奉納すればいいのだそう。
そうすれば残りの2割を吸収してくれるらしい。
結局,阿良々木くんの心残りが今回の事件を引き起こしたってことらしいです。
元通りになった世界に現れたのはピッグテールの戦場ヶ原さん。
阿良々木くんは今回の事件について彼女に話します。
心残りは何だったのか彼自身にも分からないらしい。
最後は戦場ヶ原さんといちゃいちゃして終わり☆{/netabare}

全体的になんか退屈でした。
今までのヒロイン達総動員だったし,会話で面白いと思った所はもちろんあったけど,相変わらず無意味な会話やだらだらとした説明がとにかく長くて,途中で観るのがしんどくなっちゃいました。
こちらはテレビアニメとして6話に分割して放送されたらしいので,それならまぁ観れるかなと思うけど,一気見は集中力がもちません。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 5

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

僕達と、育ち続ける物語。

この作品の原作は未読です。
化物語から始まる一連の「物語シリーズ」ですが、物語の難易度が段々上がっている気がするのは私だけでしょうか?

元々は、私立直江津高校三年生の阿良々木 暦が春休みに吸血鬼であるキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードと出会て吸血鬼の眷属となります。
そして、暦の周囲の友達や家族に取り憑いた「怪異」に纏わる物語でした。
この頃は話が分かりやすかったんですけどね…
個人的には「終物語」くらいから、物語の構成や登場人物の設定が複雑で難しくなった感があります。

だから恥ずかしながら本作では怪異は微塵も登場しなかったと思っていました。
高校を卒業したから…?
それとも暦の周囲の怪異は出尽くしちゃったからとか…?
などと考えていましたが、結論から言うと私が忘れていただけでしっかり怪異は登場していたんです。
でも、その怪異に関しては全てがシークレットなんでしょう。
重要なキーパーソンである筈なのに、公式HPのどこにも見当たらないのですから…
もちろん、ストーリーには出てきますけれど…
つまり物語が放送されるまで、そのキーパーソンに関する情報が皆無だったんです。


阿良々木暦の物語は終わった。
地獄のような春休みから始まり、
いくつものめぐり合わせを経て、
阿良々木暦の高校生活最後の一年間は終わった
…かに思えた。

だが卒業式を終えた翌朝、思いがけない事態が起こる。
暦は、鏡の世界に迷い込んでしまっていた。

これは、高校生でもない、大学生でもない、
そんな時期に阿良々木暦が体験した
終わりの、続きの物語。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

「阿良々木暦の物語は終わった」と書かれていますが、見た時にどうしてなんだろうと率直に思いました。
何故なら、原作ではまだ阿良々木暦のの物語は大学生編として続いているから…

確かに高校生としての阿良々木暦の物語は終わったかもしれません。
ですが、阿良々木暦自身の物語は終わっていませんので…
でも、物語を完走して理解しました。
この物語を成立させるには、ここで一旦を終わらせる必要があったんです。

でもこの伏線は正直分り辛いです。
最後の最後までチンプンカンプンでしたから…

でも、難しいながらも視聴を進めていくと、この鏡の世界の設定は実に面白いです。
特に化物語から欠かさず視聴してきたファンの方には堪らなかったのではないでしょうか。
かく言う私もその一人ですけど…

この鏡の中の世界…文字は裏返り右と左が逆になるんですが、これは見た目の話だけで本質ではありません。
この世界の面白さの本質は、設定そのものが裏返ることなんです。
設定が裏返ることの面白さは、登場人物のこれまで見れなかった一面が見れることに尽きると思います。

例えば八九寺 真宵は永遠の小学5年という設定でした。
ですが本作では「傾物語 第閑話 まよいキョンシー」でお目見えした真宵お姉さんになっていたり…
この設定で色々持っていかれたのは、やっぱり余接ちゃんで決まりでしょう。
普段無表情の余接ちゃんが裏返ると…気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

人生には進学、就職、結婚など様々な節目がありますが、節目を迎える時にはこれまでを振り返る大切さを、この作品に教えて貰った様な気がします。
今回暦も高校を卒業するという節目を迎えた訳ですが、節目を迎えた人ならではの物語だったのではないでしょうか。
だから物語を終わらせて節目を迎える必要があったんです。

きっと優れた人は節目を迎える前に自分自身を振り返るんでしょうね。
だから第2、第3の暦になる可能性は格段に低いのでしょう。
まぁ、それが出来たら苦労しないんですけどね^^;

物語はちょっぴり切なくて…やっぱり戦場ヶ原ひたぎは可愛くて…
〈物語〉シリーズ・ファイナルシーズン最終巻をアニメ化したこの作品…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、阿良々木暦の「07734」
エンディングテーマは、TrySailさんの「azure」
オープニングは不思議な感じの曲でした。
TrySailさんの「azure」は安定感抜群の曲だったと思います。

0.5クール全6話の物語でした。
多少、難しさを感じましたが気合いと根性で乗り切りました。
もちろん堪能させて貰いましたし、視聴して良かったと思っています。

でも、この〈物語〉シリーズの終着点ってどこになるんでしょうね。
終わらない作品は決してありませんが、この作品にはまだまだ広がりを見せて欲しいと思います。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 18
ネタバレ

ninin さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

不思議な世界

原作未読 上映時間 約150分

テレビアニメ放送(未定)に先駆けて6話分を劇場版としてひとつに纏めて公開した作品です。

阿良々木 暦が私立直江津高校を卒業して、大学入試の合格発表前の出来事を描いています。朝、洗面所の鏡に映る自分を不思議に思ったあと、その鏡の中に引き込まれたお話です。

キャラデザは、テレビアニメ版と同じなので違和感なく観れました。

いつもの阿良々木暦の一人語りがメインで、色々なキャラとの会話劇もたくさんありましたね。{netabare}(まさか神原 遠江(臥煙)さんまで出てくるとは思いませんでしたw){/netabare}

女性キャラがほぼ登場しますが、いつもと違った面が観れました。
{netabare}
成人になった八九寺真宵、レイニー・デヴィル姿の神原駿河、クチナワ口調の千石撫子、ブラック羽川や少女姿の羽川翼、背が低くなった阿良々木火憐、人間の時の忍野忍、ツインテールの戦場ヶ原ひたぎ、表情や仕草が豊かな斧乃木余接、学ランを着た(男性?)忍野扇、そして老倉育さんだけは最初誰だか分からないくらい容姿や性格が変わっていましたねw
阿良々木暦の女子制服姿で真剣に語っているところは、ちょっと笑ってしまいました。
{/netabare}
PG12作品ということで、やたらと下着姿や裸のシーンが多かったですw

化物語の世界を満喫しました。この作品の特徴として、アクションシーンが少なく会話する時間が長く、150分もあるので退屈するかもしれませんね。

テレビ放送はいつになるのでしょうか? 早く観たい方で、化物語シリーズが好きな方は観てもいいのではないかと思います。

ED TrySailさんが歌っています。

最後に、原作の物語シリーズはまだ続いているにゃ~。またTVアニメか劇場で続きを観たいシャシャシャ~。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 28

60.7 10 神社で高校生なアニメランキング10位
レンタルマギカ(TVアニメ動画)

2007年秋アニメ
★★★★☆ 3.4 (221)
1698人が棚に入れました
人が思うより、少しだけ世界には魔法が多い人が思うより、少しだけ世界には神秘が多い。臆病で弱気な高校生・伊庭いつきが父の失踪を機に継ぐこととなった魔法使い派遣会社「アストラル」。慣れない社長業に悪戦苦闘するいつきが、個性的な社員たちと共に迫りくる敵と戦う異種魔法戦闘ファンタジー。

声優・キャラクター
福山潤、植田佳奈、高橋美佳子、諏訪部順一、釘宮理恵、伊藤静、小野大輔
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

10年近く愛し続けている作品です

放送が2007年でしたから、もう10年近く経ちます。

レンマギと出会ったのは、私が深夜アニメに手を出し始めた頃でした。
それまではキッズ向けや少年誌原作のアニメばかり観ていたのでラノベ原作のアニメというのがとても新鮮に感じたのを憶えています。

特に私の心をつかんだのは古今東西の魔術・魔法が協力しあって、問題解決をするという設定でした。
槍を使うものもあれば、魔獣を操っているものもあるし、玉串(神社にあるアレ)を振るだけのものもある。装いも違えば攻撃方法も術式もバラバラでどんなバトルが繰り広げられるのかとわくわくしました。
陰陽師・巫女・魔女・魔眼・眼帯・オッドアイというとっつきやすい要素が序盤から登場していたことも胸ときめかせた要因の一つでした。

要するに、厨二病心をくすぐられてしまったわけです。

ところが、専門用語や時系列の多いレンマギでは、知らない間に話が進んでしまって置いてけぼりな状態に・・・

「猫屋敷さんを見続ける為にもなんとかせねば…」
そう考えた私は、原作の購入を検討することにしました。

(アニメに関係がないので折りたたんでおきます)
{netabare}まず目を惹いたのは美しい表紙。UN-GOのキャラクター原案やFateGOの織田信長のデザインを手掛けるpakoさんの絵柄はまさに私の好みにドストライクでした。
しかし、その時点で原作は10巻程度出ており、今考えても小説にしては多い巻数・・・1巻買うと全部揃えるまで気のすまないたちでしたので結構悩みました。
家に帰って1巻を読み始めるとこれがまた読みづらいw一応徐々に読みやすくなっていましたが、8巻くらいまではかなり格闘しました。{/netabare}

原作を読んでアニメと見比べて分かったのは、話の順序が想像よりもバラバラになっているということ。長編ストーリーの大部分が削られていること、そして三輪先生という人物についてです。

まず、物語の順序から突っ込んでいきます。原作は長編・長編・短編集…というペースで結構短編集が出ているため、アニメでも短編を1話とする構成になっているのですが、アニメの物語はわざわざ原作の刊行順に関係なく、バラバラに組み込んであるのです。何故入れ替えたのか、物語の流れからは想像もつきません。
アニメが置いてけぼりになった一員はここにありとみました。

次にストーリーカットについてです。
前述のとおり、レンマギには短編集が多くあり、短編については基本的に1話で制作する為、しっかりと味付けされた物語が味わえるのですが、問題は長編の方です。
原作的に丸々1巻分を使った長編は、物語の進行に欠かせない重要な部分になるのですが、長編の1エピソードがアニメになると、2〜3話にしかならないんです!!
し か も、その中には上下巻を1エピソードとした物語がたった2話になってしまったものも!さて、物語の方はどうなったかと言うと…
以外と纏まってはいたのですが、アニオリとしか呼べない別物になっておりました。
これでは原作ファンは怒っても仕方が無い。
2クールもあるんだからもうちょっとどうにかならなかったのかなと思いました。

さて、もう一点の三輪先生という存在についてです。
アニメの最後の魔術解説コーナーに登場しており、ずっと原作者なのかなと考えていたのですが、原作に魔術考証で携わっている三輪清宗さんという方だそうです。
シュタインズゲートの小説を書いていたり、カバネリやヴヴヴなどのSF考証だったり、がっこうぐらしの脚本などをされている方ですね。

SF考証が入っているだけあって、緻密な魔術描写とそれを最大限活かされた世界観は飽和しているラノベ界においても今なおトップレベルに君臨するんじゃないかと思います。

そんな偉大な原作をもったアニメですから、話の面白さで言えば、断然原作の方が面白いと思えます。
しかし、ちょっとでも原作の片鱗をみせるアニメが、つまらないなんて事は、まずありえないですし、アニメにはアニメのいい所があるので、その点について、物語以外の評価で触れていきます。

声優の評価
メインキャストの声優陣がとにかく豪華です!
福山潤・植田佳奈・高橋美佳子・諏訪部順一・釘宮理恵・伊藤静・名塚佳織・小西克幸・安元洋貴・甲斐田裕子・藤原啓治・小野大輔・櫻井孝宏・宮野真守と当時でも錚々たる顔ぶれ。
回ごとのゲストキャラの声優もすごいですよ~
このままガンダムも出来てしまいそうです。

キャラの評価
短編メインだったためか、キャラ一人一人にスポットのあたっていたのが良かったです。キャラを楽しむことが目的なら良いアニメなのかな・・・
特に18話ソロモンの絆の隻蓮さんとダフネさんのやり取りは良かったなあ~
準レギュラーポジションの二人の大人の恋の始まりがちょっとベタに終わりは爽やかに描かれているのが良いです。
アニメを観て以来この二人が大好きになりました。
ちなみに、一番好きなキャラは猫屋敷蓮です。

作画の評価
キャラデザが原作とかけ離れているのはやや残念ですが、安定した作画に、雰囲気のある色使いが魅力的でした。

音楽の評価
主題歌
OP コミネリサ「宇宙に咲く」
ED 吉田旬吾「歩いていこう。」
OPは英語と日本語の2バージョンが入れ替わりで使われています。シリアスな魔導バトルものにふさわしいかっこいいOPです。
タイトルロゴになぞらえた十字に歌詞を流しとてもかっこいい演出になっています。
EDは声優が歌っているアストラルvarsionがあり、こちらも入れ替わりで使われています。安らぎのEDです。黒羽まなみちゃんがとっても可愛いです。


総評
原作ファンとしては、絵柄、ストーリー構成的に納得のいかない部分もあるのですが、見返してみるとアニメはアニメで良いところがあるということに気づかされました。
原作も終了し、アニメも特報が無いままもうすぐ10周年を迎えようとしています。もう世間的にはオワコンなんでしょうか。しかし、それでもかまわないと私は思います。いつまでも私の心の拠り所として大切にしていきたい、そんな作品です。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 11

霧枝 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

アディリシアさんだけは★5!! 異論はみとめ(ry

アディリシアさん好きです! 結婚して下さい!

作業用BGMを聞いたら”Faith”(コミネリサ)がかかったよ。
なのでレンタルマギカのレビューを書こうと思います。

金髪縦ロールに緑のslanted eyes! 魔術結社”ゲーティア”の首
領にして、名門貴族Mathers家のお嬢様! 
アディリシア・レン・メイザースさんは未だに私の憧れの存在。

痛友に誘われて、アディリシアさんのコスをしてしまった過去は未
来永劫封印するとして、未だにアディリシアさんのフィギュアは大
事に飾ってたりするとかなんとか・・・。もはや家宝!

さて痛いお話は終わりにして、以下アニメの内容。

簡単に言うと、お父さんの失踪により魔法使い派遣会社アストラル
の跡継ぎを任せられた伊庭 いつき君が、個性的なアストラルの社
員(魔法使い)と共に数々の(魔法的な)事件を解決していくと言うス
トーリー。
魔法バトルあり、ヒロインとのラブストーリーありってとこかしら。

メインヒロインはアストラルの社員である穂波・高瀬・アンブラー
さんと、魔術結社ゲーティア首領であるアディリシア・レン・メイ
ザースさんの2人かな。
穂波さんは神戸弁で眼鏡っ娘と言う個性的なキャラ。アディリシア
さんに関しては前述の通りの正統派ツンデレヒロイン。
アストラルには、他に幽霊の黒羽 まなみさん、葛城 みかんちゃん
と言うサブヒロインも居ます。

黒羽さんは”WHITE ALBUM”(ホワイトアルバム)の森川 由綺さんを
彷彿させる黒髪美少女。
みかんちゃんは、くるくると可愛らしいロリロリキャラ。声優さん
は業界に疎い霧枝さえも存じ上げている釘宮理恵さんが担当してい
るんだって・・・。

伊庭 いつき君は妖精眼(glamsight)って言う特殊な眼の持ち主。
普段は眼帯で眼を封印しているんだけど、いざって言う時にはこの
眼帯を外し、妖精眼の力で活躍しちゃう・・・って言う設定なんだ
けど、なんかあんまり格好良く無いかも。
それは妖精眼の設定が、あくまでも”魔物の全てを見抜けるって”
事だけで、妖精眼の力で魔物を直接やっつけるとか、相手の魔術師
を倒しちゃうって事は出来ないから。

なので、アストラルの社員に相手の攻撃予測や、こちらからの攻撃
場所などを指示するだけって立場です。
うん、なんだか微妙だね・・・。

本作ですが、原作を読んだ方からは酷評されているみたいですね。
曰く、時系列をシャッフルしてしまっており、視聴者に混乱を来す。

残念ですけど、もっともかと思います。
私は原作を読んでいませんが、1話冒頭からいきなりフルメンバーが
揃っていて、説明は登場人物の設定やお話の背景の説明が後回しに
なっている事には違和感を感じました。
但し、最後まで不親切かと言うとそう言う訳ではなく、後日のお話
の中でキチンと説明がされます。
また、舞台設定となっている魔術の用語などについても、主人公の
いつき君に説明すると言う設定で親切丁寧に教えてくれます。

なので不親切であるとか、解りづらいと言う事では無いのですが、
問題は観る側の興味を引きつけておけるかどうかだと思います。
そう言う意味で、冒頭で時系列をシャッフルしてしまったのは登場
人物に興味を持つ機会を削いでしまったし、原作を知っている人に
対しては混乱を招いてしまったと思います。

あ、後は主人公であるいつき君が、ともかく優柔不断で頼りない事。
にも関わらずヒロインからは熱愛の対象ってのも違和感あり。
確かに底抜けに純粋でやさしいんだけど、それだけで恋愛の対象に
なるのかな~~なんて冷めた目で見ちゃう自分に自己嫌悪・・・。

お話のエンディングも正直不満。
言いたいこと、伝えたい事は解るけど、当事者が行動を起こそう
と思う原因が余りにも稚拙。そこを納得させないと、誰も感情移
入なんか出来ないと思うな。

後、アディリシアさんと主人公との関係をちゃんと最後まで描いて
よ!! このままじゃすんごく不完全燃焼!!

・・・・・・・・。

ちょっと辛口に書いちゃいましたけど、霧枝は嫌いじゃないです。
この作品。
全24話と長い作品ではありますが、たいていのお話は1話完結で気
軽に観られる点、舞台設定が緻密でキチンと作り込みされている点、
お話のテーマとなる事件が毎回趣向が凝らされており飽きない点、
等がさすがにベストセラー小説である原作のエッセンスがつぎ込ま
れているのかな~?(読んで無いから解らず)と感じるからです。

個性的なキャラも好きです。
キャラ絵も大好きです。(特にアディリシアさん!!)
音楽も好きです。
OPはコミネリサさんの”宇宙に咲く”。
回により歌詞が英語となった”Faith”に変わります。
ともかくコミネリサさんの歌唱力に驚かされる名曲かと思います。

あ、スペシャルアルバム(CD)”THE 縁起物?聴くと幸せになれる
(かも)”に収録されている「紅の伝説」は超お勧め!!
この曲もコミネリサさんで、宇宙に咲くと並ぶ名曲かと思います。
まぁCDの内容自体はどうしょうも無く、正直聞いていると痛いん
ですけどね・・・・。


みなさまからの評判はあまりよろしく無いこの作品ですけど、ア
ディリシアさん好きの霧枝としては、是非次回作をお願いしたい
です。
素材はすごく良いと思うので、もう少し構成を練り込んで貰えれ
ば、きっと化ける作品になると思います。

(最後にひとこと)
レビューを書き終えた後にWikiを見ました。アディリシアさんの
原作でのその後の活躍?が解り、すごく嬉しかったです!!
あっでも本編未視聴の方は絶対Wiki見ちゃ駄目よ。つまんなくな
るから。

アディリシアさんが気になるから、やっぱり原作読んでみようか
な~。

おしまい・・・。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 4

月夜の猫 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

視ろ!見ろ!

オカルティックファンタジーアクション?全24話。

人が思うより、少しだけ世界には魔法が多い。
人が思うより、少しだけ世界には神秘が多い。

ケルト魔術・ソロモン王の魔術・錬金術・陰陽道・神道
神楽・祓魔式・死霊術・ルーン魔術・密教・禁呪等様々。

其処に所謂「魔眼(妖精眼)」を持つ主人公を軸に展開する。

如何にも和洋折衷で方程式的魔法や神話的なものや伝承
のような曖昧なものも含めたオカルト風の魔法ものです。

主人公他メイン登場人物が高校生位の年齢ということで
学園ラブコメ要素も可也強く盛り込まれている。

序盤は謎展開の伏線張り以外はドタバタなギャグ展開も
あったり、友情や仲間意識やライバルとしての確執など
人間関係中心のエピソードや個々の掘り下げ回想も多い。

メインキャストがひと通り掘り下げられる頃には大きな
伏線が陰謀として露呈して、其々の想いに信念を持って
精一杯立ち向かうという解りやすいストーリー。

其処までのエピソードが結構面白かった。
正直馬鹿にしてた魔眼(眼帯もの含む)で初めて楽しめた。

福山さんが開眼する時の「ルル」と被る台詞の言い回しで
この後逆にルルを視ることになったのだけど・・笑った♪
諏訪部順一さんも掴み所のない雰囲気が良い感じでした。
猫いっぱい纏わりついてて可愛いしw
釘宮さんはどの作品も釘宮病全開ですねw
伊藤静さん・・何でも熟すね・・
植田佳奈は大阪出身か・・

その他の声優も結構良かったです♪
OP/ED他音に関しては可也好みでした。
キャラデザも男女平均のデフォで見易かった。

眼が・・眼が・・の呪力テンプレネタは結構好き。
時々啀み合いの仲裁に使うとかw結構知能犯w


臆病で弱気な高校生・伊庭いつきが父の失踪を機に継ぐ
事となった魔法使い派遣会社「アストラル」。
慣れない社長業に悪戦苦闘するいつきが、個性的な社員
たちと共に迫りくる敵と戦う異種魔法戦闘ファンタジー。


伊庭 いつき(福山潤/大浦冬華※幼少時)
呪力を見る事が可能な魔眼「妖精眼(グラムサイト)」を持つ。
「アストラル」2代目社長。勇花という義妹が居る。
異常なほど恐がり。特徴は右目にある大きな眼帯。

穂波・高瀬・アンブラー(植田佳奈)社長秘書兼教育係
「アストラル」ケルト魔術・魔女術課正社員であり魔法使い。
眼鏡をかけ関西弁(神戸弁)を話す。古びた箒で空を舞う。
大きな帽子に闇色のマント、片手には樫の木の杖。

Adilisia=lenn=Mathers(高橋美佳子)
魔術結社「ゲーティア」首領。名門貴族メイザース家の娘。
ソロモン王の魔術によりソロモン72柱の魔神を行使できる。
胸には五芒星のペンダントを下げた少女。典型的なお嬢様。

猫屋敷 蓮(諏訪部順一)猫をこよなく愛する陰陽術師。
「アストラル」専務取締役兼陰陽道課課長。情報収集が得意。
4匹の猫の使い魔(式神)は青龍、白虎、朱雀、玄武。

葛城 みかん(釘宮理恵)神道系魔術結社本家直系の生まれ。
「アストラル」神道課契約社員。血族から落ちこぼれ扱い。
千早に紅袴という巫女装束に身を包むツーテールの少女。

黒羽 まなみ(伊藤静)事務所の掃除やお茶くみをする見習。
「アストラル」幽霊課契約社員。魔法使い以外には見えない。
自我認識により、ポルターガイストを念動力のように使う。

隻蓮(小西克幸)布留部市にある竜蓮寺の住職で放浪癖。
「アストラル」真言密教課契約社員。武術と武具の手練れ。
常に虚無僧の格好をしており、10代で密教を修めている。

影崎(小野大輔)「協会」における「アストラル」担当者。
中肉中背であまりにも普通すぎる顔他特徴がないのが特徴。
禁忌を犯した魔法使いを裁く「魔法使いを罰する魔法使い」

オズワルド・レン・メイザース(中村秀利)
アディリシアの父で「ゲーティア」先代首領。

ダフネ(甲斐田裕子)「ゲーティア」の徒弟。
石動 圭(櫻井孝宏)「協会」の監査員
ラピス(名塚佳織)12歳くらいに見える謎の少女
フィン・クルーダ(宮野真守)チェンジリング。
城 桔梗(田中理恵)‎鈴香の娘であり、香、みかんの母親

投稿 : 2025/01/04
♥ : 5

68.8 11 神社で高校生なアニメランキング11位
ミイラの飼い方(TVアニメ動画)

2018年冬アニメ
★★★★☆ 3.5 (222)
839人が棚に入れました
ごく普通の生活を送る男子高校生・柏木空はある日、旅先のエジプトにいる自称"冒険家"の父から突然、ミイラを送りつけられる。「面白いミイラを見つけたからお前に預けることにした!」と書かれた父の手紙におののく空。だが、送られてきた大きな棺から現れたのは、全長12cm!?なんと手のひらサイズのミイラだった・・・。小さい上に、臆病で、泣き虫、でも何ともいえない可愛さのミイラにミーくんと名づけ面倒を見ることになる空。一つ屋根の下、一緒に暮らし始める空とミーくんの共同生活とは・・・・。

声優・キャラクター
田村睦心、河本啓佑、茜屋日海夏、茅野愛衣、山下誠一郎
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

ミイラに似たなにか

5話までの感想{netabare}
5話まで見て…おや?これ結構切り込んでく系?と思い始めました。

どうしても序盤…3話までの間「何故ミイラ?」というのがやっぱり気になってしまい、正直キツかった。
カッパやドラゴンなんかの想像上の生き物ではなく、ミイラってのはちゃんと実在してて(動きはしないが)、博物館なんかに置いてあって、その正体は人間(人間以外もあるか、とりあえず動物)の死骸が中に詰まってて。
そんなことを考えてしまうと作中のミイラに違和感しかなく…。
要はミイラは「人が作り出したもの」であって「まだ人類に発見(認知)されてないだけで、居てもおかしくはない」っていう妖怪なんかとは一線を隔してるだろう、と。
それとも妖怪に作られたってことなんだろうか?
また、ミイラに限らず想像上の生き物でも、その名前を聞いてパっと思い付く共通認識から大きく外れたモノを持ってきて「どう?驚いたでしょ?」っていう一発ネタにしか思えないというか。
更にはその…OPがなーんか物悲しい感じがするせいもあるのかな?
あんなサイズのミイラが実際に存在するとしたら──死産した赤ん坊を嘆く両親が復活を願ってミイラ化した?な~~んてことまで考えてしまったり。
ってか単純に、生態もワカラン生き物をペットにしようとしないでくれ(切実)、ってかそのために調べようと思うのは当然だし、それをしようとした神谷を止める柏木には狂気を感じた。
ドッグフードだってカブトムシにスイカ与えてるようなもんなのかも知れんぞ?

──と辛口になってしまったけど、文章として書き起こしたらそうなってしまったってだけで、別に目くじら立てて怒る程でもないし、そのままダラーっと見続けてたのですが…。
今まで謎だった世界設定が4話にして明らかに。
ああいう不思議生物はそこら辺に居て、けど人に見付かると迫害されるから普段は隠れてて、主人公の柏木はそんな差別しないで助けてくれるからよく集まって来る、って世界らしい。
それでもミイラのミーくんは別格に不思議な存在ってことっぽい。
あっそうなん?
今まで抱えてた違和感が氷解した気分。
…。
1話で説明せーや!
同じ4話内だけど、その説明がされる以前の神谷と妹の小鬼に対する態度は、もはやホラーだったぞ。
まぁ無いよりは良いんだけど…というより、これって原作がマンガなんだっけ?
もしかして原作でも自分が思ってたようなツッコミは多く寄せられて、途中から弁解がてらの設定紹介をしたとかだったりして?
果たしてそれをアニメでまるっきり再現しちゃうのもどうかとは思うけど…その場合は自分が思ってた違和感はそんなに特別じゃないってことにもなるワケで、3話までの間に切っちゃった人も多いんじゃなかろうか。
なんか勿体ないな。

そして5話。
この回では更に切り込んで、「ミーくんが故郷に帰ろうと思わないのは何でだろう?」と柏木が不思議がることに。
お、マジか、この問題掘り下げてくれる?
もししっかりと掘り下げてくれたら、そこらの異世界転生モノより上行けるんじゃなかろうか。
掘り下げてくれるかどうかはまだ不明だけどねー、俄然今後が楽しみになってきました。

とはいえ…エンジンかかるのおっそいッスね、今期そういうアニメが妙に多い気がする。{/netabare}

8話までの感想{netabare}
↑で書いた推察、もしかして正解?
要は、後先考えずに思い付きネタでマンガを始めた…のはいいけど、あれこれツッコミ(ミイラである必要性やどういう世界なのかの説明や掘り下げ等)をされて「確かにそれ描写しなきゃアカンかも?」と思って後付けながら世界設定等を追加して行ってる?
原作者自身が新人なのかな?見切り発車もどうかと思うが4話から世界観の説明が始まりそれ以降も掘り下げが続いてて、なんつーか…謎の小動物を眺めてほっこりするよりも、作者の成長を見てほっこりする楽しみ方をしてる自分が居ることに気付きました。

具体的には──
6話
「人間に害成す不思議生物は居ないの?」→「マンドレイクご用意致しました」
7話
「新たにバク出すのは構わんけど理由無きゃダメだよ」→「立秋はバクを引き付ける悪夢を見ます、何故そんな悪夢を見るのかは伏線張っときました(首筋のアザ)」
8話
「不思議生物は人目を避けてるだけでそこら中に居るんだよね?ならそこらで生活もしてるよね」→「生活ぶりを描きました」
また、地蔵に「おや?」と言わせて立秋の伏線の継続にも余念がない

とりあえず何も考えずに不思議生物をホイホイ出してるのとは違うっぽい、途中から。
あ、立秋の首筋のアザが本当に伏線かどうかは分かりません、けど「これ関係あるんじゃない?」と思わせるだけでも“引き”にはなるワケで。
8話はつぐももか?と思わせる位の豹変ぶりでやり過ぎな感もあるけど、どうにかして違和感の払拭(世界観のすり合わせ)をしようと頑張ってる様に見える。
また、地蔵や神様が居るのなら1話の段階で「ミイラって何を食べるんだろう?」と狼狽えたりせず聞きに行きゃあいいハズで、やっぱり後付けだと思います。


上記の文章はあくまで推測ですけどねー、原作の掲載方式すら知らんし。
で、もしそれが正解だとすると不思議なのは、なんでアニメでその順番通りにしちゃったかなぁ、と。
4話を1話に持ってくれば視聴切りした人の数は減らせたんじゃないかと…ってのは前回の感想でも書きましたね。
作者の成長ぶりを楽しむって視点はめっちゃ上級者向け(自分がそうだとは言わない、自分も3話まで辛かったし)だと思うんだが…。

推測ついでに今後の予想。
立秋の悪夢の原因を解除→もう悪夢見ないのでバクが居なくなる?と大騒ぎ→去らずに留まってくれることになってメデタシメデタシ
当たるも八卦当たらぬも八卦。
それプラスミーくんの謎(エジプトへ帰りたがらない理由など)に迫ってくれると良いんだけどなー、どうかなー。{/netabare}

最終回まで見て{netabare}
↑で書いた予想外れちゃいました、タハハ。
本編はそれ以上に急展開で、人の理とは別の妖怪の世界が存在してて──それだけなら今までも描写はあったが──そいつらが一同に会してモノケダンスやるとは思わんかった。
もっと個体数少なくて点在してるものだと思ってたました。
ってか祭には招待状が無いとエラい目に遭うって…神隠しにでもあうんだろうか。
うっかり迷い込んで帰ってこれなくなった人とか結構居るんじゃないの?
この作品ってそんな怖い話だったのか…。
そして「すっかり鬼太郎みたいな世界になったなー」と思ってたら“コレクター”(=密猟者)が出てきて今度はジャングル大帝チックに。
…。

迷走しとらんか?

迷走といえば妖怪のお祭りエピソード前にあったアヌビスの件。
あくまで本物のアヌビス神(ミイラの神)ではなく置物が付喪神化したって設定で、その口からミーくんを「これはミイラではない」と語ります。
本物のアヌビス神じゃないからそれが事実なのかどうかちょっと断言できない、って感じで煙に巻いた形(本当にミイラかどうか疑わしい、けど確証はないって状態)になるけど、やっぱり読者から「これ全然ミイラじゃねーじゃん」って突っ込みは多数寄せられてたんじゃないか?
どうにか誤魔化すためにアヌビス登場させたって気がしてならない、ってかそれ以外に登場させた理由が存在しないし(他の方も指摘されてますが登場エピソ-ド以降は空気)。
とりあえず自分はミーくんはミイラではなく“ミイラモドキ”だと思ってるし、ミイラの定義をwikiったらそもそも包帯グルグル巻きはミイラの条件ではないし(包帯巻いてないミイラも存在する。包帯グルグル巻きをミイラ呼びするのは「そういうミイラもある」ことからの比喩に過ぎない)、それこそミイラを模した人形が付喪神化しただけかも知れない。
作者は思い付きで始めたものの後になって頭抱えてるんじゃなかろうか。
伏線(ミーくんがエジプトへ帰りたがらない理由、立秋の首のアザ)投げっ放しで終わっちゃったけど、もうどうでもいいや。

あとこれは「アニメなんだし別にいいじゃん」って範疇になるけど、海外の“土”は輸入できません。
なんでエジプトの土って言っちゃったかな…砂だったらギリギリセーフなのに。{/netabare}

総評
これから見ようかなと思ってる方は4話から見た方が良いかも?
「4話までガマンしよう」ではなく「4話から」。
もしくは8話から、または11話から。
最初に無茶な設定デッチ上げてしまったのでその言い訳に後付け設定が次から次へと追加されたとしか思えない作りですので(何でアニメがその順番通りに再現してしまったのかは謎)。
なので順番通りに見てくと「あれ、そんな設定なの?」「そんな世界だったの?」と戸惑うことが多数。
まぁなにより「それミイラじゃねーよ」と1話にして戸惑うのが大半だと思いますが…これに関してはミイラではなくミイラモドキだと思えば違和感は緩和されるかと。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 7
ネタバレ

ヱルリラ☆ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

誰でも安心して楽しめるほのぼの日常コメディ

「ミイラの飼い方」は原作の方がcomicoの方で連載されており、
私は原作から入ったのでアニメ化をとても楽しみにしていました~ヽ(*>∇<)ノ
アニメで興味を持たれた方は、ぜひぜひこちらもチェックしてみてくださいね!

~最新話までの全体の感想~
ミイラという本来はホラー要因になりそうなキャラを、
逆にいかに可愛らしく見せるかがこの話のキーポイントですね!
アニメとなると、漫画では表現の難しいミーくんのちょっとした仕草とか、
歩くたびにちっちゃく効果音が鳴るところが可愛すぎる!!
特に、小鬼のコニーがグッd(^_^o)ってする時の音が好きです笑
「ミイラの飼い方」はミーくんを初めとしたアニマル(?)達との
日常系ストーリーなので、基本ほっこり見れるお話です
基本的には、、、。第4話くらいから少しずつ、
重い部分が見えてきますけどね汗
ともかく、作者さんのこのお話に対するモットーが
「恋愛なし、エログロなし、悪口なし」(←確か!また確認します)
ということですので、万人が楽しめる作品には間違いありません!

ただ、少し残念だったのが主人公空くんの声かなぁ(・-・`*
想像していたよりも、というかかなり女性寄りの声になってましたね。
確かに、典型的イケメンボイスのイメージでないのは確かですが、
なんだか違和感が、、、。少年声ではあるけれどすこし憂いを帯びた印象
(たとえば花江さんとか)を期待していました。他月、モギ(茂木朝)ちゃんの
声はぴったりでした!

それから、原作ファンとしてはもう少し原作に沿った進行にして貰いたかったかも。
ある意味の見せ場がカットですからね-。ちょっと盛り上がりに欠けた感が。
ともあれ、今後も楽しみにしています( ˘͈ ᵕ ˘͈ )♡
(更新日:2月3日)

以下、各話ごとネタバレありありの感想になります


第1話 しろくてまるくてちいさくてとてもなきむしだけどがんばる
{netabare} 始まりました!ミイラの飼い方!
いやもうオープニングから可愛すぎるでしょ!!
あんなミイラがいたら私でもペットにしたいですね笑笑 
みーくんとぽちのわんわん合戦も楽しかったです。
一時、ミー君が番犬みたいな鳴き声だったらどうしよって
考えていた時もあったんですけど、まぁそんな筈もなく、、、安心した笑 
最初の方の話を振り返るのは久しぶりなので、アニメでもキレキレな
空くんのツッコミに初視聴者のごとく笑わせて貰いました。
みーくんの心の声も、漫画っぽさを残したコマで表現してくれていたので、
よかったかな。次回は、ミー君が来てから初の大きめな事件が起こるので、
楽しみにしたいと思います(✿´ ꒳ ` ) {/netabare}


第2話 いじわるされたりおいかけられたり小さいということはとてもたいへん
{netabare} 今回はもぎちゃん(茂木朝)の出てくる回でしたね!
もぎちゃんはさばさばっとしたタイプの女の子なので、
あんまり甘すぎる声じゃいやだなぁ~と思っていたのですが、
だいぶイメージに近い声で安心しました!

ただ、この回は空くんの見せ場でもあったので、
原作と少し違っていたのが結構残念でした。
もしかすると、ちょっとアニメとして放送するにはグレーな部分であったのと、
尺の関係かもしれないんですが、、、。
私としては、この話でぐっとストーリーに引き込まれた印象があるので、
できればカットしてほしくなかったかな。
盛り上がりに欠けちゃったような気がします。

まぁ、でもこれはこれで、出てきたキャラが皆いい人で終わったので
めでたしなのかな、、、。あと、今回大地くんがちょこっとだけ登場しましたね。
原作では、彼が出てくるまで結構話数を踏んでいるので、
やはりかなり詰め詰めでの進行なんだろうな( ̄▽ ̄)
できることなら、急がずクールを分けるなどして展開してほしいと思いました。{/netabare}


第3話 たいせつなひとが風をひいたらとてもしんぱい
{netabare} たいせつなひと=みーくんにとっての空くんですね!
今回は、空くんのおばさんであるカエデさんがしっかりと登場した回でした。
カエデさんはメガネをかけると性格が豹変してしまうという、
一気にコメディ感が増すキャラです笑 ホントは空くんや他月、
みーくんたちにいたるまで、すごく気にかけてくれる
優しいお姉さんなんですけどね、、、。

さて、今回も少し展開が早く、もう「風邪回」がきてしまいました。
いちいちみーくんが可愛すぎて、風邪なんか引いている暇ありませんね。
それにしても、冷えピタの代わりになるとは、なんとも斬新なミイラの活用法、、、
いや、なんでもありません笑 今後の展開にどう絡ませてくるかは、
アニメで何処までやるかによりますが、所々に伏線がちりばめられていたなぁと。
みーくんの謎はさらに深まりましたね。まさかあんな方法で風邪を治すとは!
そしてそして、最後のアレは何なのか!?
次回、アレと他月の関わりを楽しみにしたいと思います♪{/netabare}


第4話 おにごっこはひとりではできないしいっしょは楽しい

{netabare}
さて、前回の最後に登場した子鬼が、いかにして空達の仲間になるかのお話でした。
コニーはまたみーくんとは対照的な、マイペースで素直じゃない(他月にそっくり)
なキャラですね。この話は、それぞれの人物の元にくるキャラが、
飼い主とどんな絡みを見せてくれるかというのも魅力の一つだと思います。
さて、今回ちょこっとだけ他月の闇のような部分が見えてきましたね。
公園で発見したドラゴンを助けることができなかったという他月。
詳しい出来事はまだ触れられてないですが、どうやらそれが他月がコニーとの仲を
深めることに躊躇してしまう大本の原因みたいです。このあたりから、
どうやらこの物語は単なるほのぼの系だけではない、という部分が
見え隠れしてきましたね。
来週はOPに登場したり、4話でもちらりと触れられていたドラゴンが出てくる模様。
楽しみです♪{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 9

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

もちもちぷにぷに! 手のひらサイズの不思議な生き物!

この物語の原作は未読です。
この作品も何の事前情報も無しで視聴を始めた作品でした。
ただ、ミイラという単語からイメージされる「おどろおどろしい何か」の様な先入観を持っていましたが、1話であっさり払拭されました。

この物語の主人公は、高校2年生の柏木空。
父親が世界を飛び回る冒険家…旅先で面白いモノを見つけては息子の空に色々と送っていました。
そして今回も父親から荷物が届いたのですが、届いたのは今にもドラキュラが出てきそうな棺桶と、大量の書類…
その書類を読み進めて分かったのは、棺桶の中に入っているのはドラキュラではなくミイラであること…
そして次の瞬間、棺桶がガタガタと動き出したと思ったら「ギィーッ…」と蓋がスライドしてミイラが出てきたのですが、ビックリだったのはミイラが思っていた以上に小さいこと…
そしてミイラという単語から凡そ思いつかない程可愛らしかったこと…

そのミイラ…可愛いだけじゃなく、役に立とうと一生懸命頑張ろうとするんです。
もちろん、手のひらサイズですから出来ることには限りがあります。
それでも一生懸命なんです…
その理由は、空と一緒に居たいから…それがひしひしと伝わってくるんです。
「ミー君」と名付けられたミイラと空との生活が始まり…物語が動いていきます。

いくら可愛いとはいえ、ミイラとの生活…全ては手探り状態です。
そんな五里霧中の状態の空をそっと励ますのが、保育園からの幼馴染である神谷他月…
空は性格と人当たりが一緒で優しさが滲み出ているような直球だとすると、他月は外見はクールだけど中味のあったかい変化球系…
でもとても良いコンビであるのが、二人のやり取りを見ていると伝わってきます。

この物語はミイラが登場する時点でファンタジーなのですが、ファンタジー要素はミイラだけではありません。
何て言ったら良いんだろう…物語が進むごとに、ファンタジー要素が「大盛り」「メガ盛り」「テンコ盛り」とバージョンアップしていく感じなんです。

でも増えていくのはファンタジー要素だけではありません。
人との繋がりも同じように強く固い絆が広がっていくんです。
勿論、ファンタジー要素と人間関係は等しい訳じゃないのでタイムラグもありますし紆余曲折だってあります。
でも、空の周りに集まってくる人たちって…結局みんな友達思いであったかい心の持ち主なんです。

この作品の心地良い部分でもあると思います。
自分が自分で居られる場所…
飾らない素のままの自分を、ありのまま受け止めて貰える場所…
こういう場所って大切ですよね。

そしてみんなが大切だと思える場所だから、みんなの大切を共有する…
困ったときには助け合うのが当たり前…
優先順位の一番は決して自分じゃない…
みんなが笑っていることが、自分の居場所の心地良さに還ってくることをみんな知っているから…
優しさが身に染みる作品…そう言っても過言ではないと思います。

私はどちらかというと殺伐とした環境で暮らしてきたので、そういう場所には憧れを感じます。
別に好きで殺伐とした環境に身を置いた訳じゃ無いんですけれどね。
でも学生時代ならではのしがらみに縛られていましたから仕方無いんですけれど…

完走してwikiをチラ見しました。
そこにはこれまで抱いていた謎の答えが記されていました。
でも謎のままで良かったかも…謎のままの方が良かったかも…
私個人的には結構衝撃的…でも知って「成る程」と思えたのも事実です。
ここでは伏せておきますね。

この作品ならではの優しさ…気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、つりビットさんの「不思議な旅はつづくのさ」
エンディングテーマは、イケてるハーツさんの「ロゼッタ・ストーン」
エンディングの楽曲提供者は志倉千代丸さんです。
志倉さん、と言われなければ絶対に気付かない曲調だったのでちょっとビックリでした。

1クール12話の物語でした。
ミー君の可愛らしさと居場所の優しさ…
日常生活でそういう成分が不足した際、しっかりと気持ちが充電できる作品だと思います。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 10

67.5 12 神社で高校生なアニメランキング12位
踏切時間(TVアニメ動画)

2018年春アニメ
★★★★☆ 3.4 (178)
690人が棚に入れました
踏切で足止めされている間に繰り広げられる、女子学生を中心とした人々のやりとりを切り取った日常系オムニバス作品。

声優・キャラクター
千本木彩花、小倉唯、駒形友梨、松永一輝、木下鈴奈、市来光弘、綾瀬有、本多真梨子、間宮康弘、若本規夫、田村ゆかり、成田剣

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

視点をくれる哲学的な120点アニメ。再追記 むしろ純文学の元かも

 非常に面白いし内容があったと思います。生きて行く上で考える視点、つまり人生について考えるヒントをくれる稀に見る素晴らしいアニメでした。哲学の初歩は日常と繋がっているのか、という内容でした。

 短い中で、それぞれのキャラ造形が描けており、それぞれの人生がどういう感じなのか想像できるレベルで描かれていました。それでいて、アニメの構成が素晴らしくて、何か爽やかな気持ちになれるカタルシスが、最後の方にありました。これだけ登場人物がいるのに。

 短い時間に端的なメッセージが組み込まれた、ショートアニメの秀作でしょう。いや名作と言ってもいいかもしれません。エピソード自体が面白いです。
 加えてこの深さ。ショートアニメをこれだけ行きつ戻りつ見たのは初めてです。そして、この時この人は何を考えていたんだろう、どんな感情でいたんだろう、などと想像しながら楽しむことができました。

 もちろんショートアニメなので作画とかそういうアニメとしての部分は、ほどほどですが、しかし作画はとても丁寧だしキャラデザは個性がちゃんと出ていました。内容だけなら95点。アニメ的評価で75点なので、トータル85点ですが、気分的には120点です。


追記 そう、踏切時間という時間の切り取り方ですね。このセンスが素晴らしい。踏切というのは、人と人が大量に交錯するのに、孤独な空間です。リズムがずれた音と光で催眠術にかかったかのような、変性意識状態に陥った状態。護摩をたき読経が伽藍に響く宗教儀式にも通じます。

 また、道を道が横切るということでオカルティックでもあります。都市伝説が踏切にまつわるのも事故の現場ということもあるでしょうが、六道の辻的な特別な道、あるいはY字路(人生の分岐・選択)、橋(何かを超える・つながる)の要素もある気がします。
 つまり、踏切というのは、異空間なわけです。なにか深層心理の普段見えないものが浮かび上がってくるような感覚。その意味でいえばやはり境目である夕日の場面が無かったのが不思議ですね。

 また、進みたいのに遮断される。ちょっと立ち止まって考えてみようよ、という意味も感じられます。無駄な時間にするのか、有益に使うのかという実利もあるでしょう。

 そういう踏切待ちという短いですけど、不思議で特別な時間をクローズアップしたのは素晴らしいと思います。



22年10月 再追記 原作読みました。キンドルの読み放題に8巻まで入っていたので、読んでしまいました。面白いですね。最高です。原作ではオカルト的な視点もちゃんと入ってましたね。

 後まで面白いですが、この2巻までの部分は本当に秀逸だと思います。1回目のレビューで哲学と書きました。たしかに哲学もできますが、視点と心の動きですから、どちらかと言えば純文学の元ですね。

 元というのは、視点と素直に自分の心を見つめる内省ですね。純文学作家が赤裸々に自分の経験を語っているような雰囲気です。

 原作を見ると、長いコミックは満足度はありますが、どうしても連載の欠点で引き延ばしもあるので薄まりますし、エンタメ側要素が強くなります。
 こういう短くてエッセンスが詰まった作品は面白いですね。ただ、本作も8巻までありますので、初めの2巻ほど濃いかと言われるとやはり、若干薄まる気もします。

 ただ、原作も非常に絵の出来がいいのですが、本作についてはアニメで実時間で見せてもらうとまた、心に染み込んできますので、是非2期以降も作っていただきたい。

 本当に隠れた名作だと思います。人気はでないでしょうけどね。点数もっと上げたいですけど、これ以上はさすがに無理があるかな。


 


以下 私が抽出した各話の考えるポイントのメモです。拙いですが。私にもうちょっと教養があればもっと深い部分がみえるかもしれません。
(随時 考えついたことを追記していきます)


1話 踏切の時間がもったいないという視点、身近にある同性愛 不意打ちで意外な人物からの行為に気が付いたとき。言葉による関係性の変化の不可逆性。

追記 黒髪の子は言葉に出したからこそ、気持ちが固まったように見えます。モヤモヤはあっても継続した親友というレッテルで、関係性は保たれていました。それは「恋愛感情的」ではあっても、完全に「恋愛感情」ではなかった。ただ、一緒にいられるというニーズは満たされていた。だけど、曖昧だった恋愛感情が「言葉」が相手に伝わったことによって外部的に自分の内心が固まったような感じです。


2話 人の属性はみんなの言葉による合意により外部的に形成される。つまりエロいという性質は、本人が持つ属性ではないのに、外部から言葉により意味付けされる。その言葉に翻弄される。リア充は意外に優しくて、距離感が近い。

追記 当初彼はエロいという肯定的な価値観ですが、ビッチとか貶める定義で彼女を低くみていました。酸っぱい葡萄あるいはニーチェ的なルサンチマンです。
 ただ、彼は自分の醜い考えに気が付きました。しかし、その後、彼は持って生まれたものに対する責任に転嫁していました。釣り合わない言い訳を一生懸命に探しています。

 それは持てるものから見ると、まったくの的外れな認識で、対等の関係性を認識する彼女は、逆にいえば彼には恋愛的な無関心なのかもしれません。


3話 人間社会におけるコミュニケーションのルール。人間関係を円滑にするための挨拶が人間を不自由にする。緊張時における可笑しさ…笑いとは何か。


4話 新世紀の意思疎通はサイレントコミュニケーションになるのか?時間と空間の概念を覆す。ラインとスマホの組み合わせは新種の新しい言語の形なのかもしれない。

5話 役に立たないアクセサリーの対価。自己認識と自己肯定感、そして、他人の目との差。

追記 アイデンティティの外部依存。ペルソナ。


6話 通りすがりの見知らぬ人間を助けるということ。いやいやでも助けてしまう限定的な性善説。
 そして、他人からもらう食べ物はいつから気持ち悪くなったのか。人が信用できない共同体の崩壊。

追記 助けられる側の属性で、行動が変わる。

7話 芸術の自己満足とその滑稽さ。自由連想の発想の豊かさ。(5・7・5の四捨五入は笑った)。芸術的な時間と醒める瞬間。

8話 4話の続き。関係性によって変わる人間のコミュニケーション。SNSだからこそそれがデフォルメされる、相手との関係性。素直にコミュニケーションを取れない家族関係と愛情。

9話 思春期の思い込みと行動力は恥ずかしい。が、その思い出はかけがえがなく、郷愁は美しい。

10話 9話の続き。姿かたちに惚れるのは駄目なのか?そして、一つの行動が人間の人生を豊かにする。素晴らしい話でした。ちょっと秒速5センチメートルと対比してしまいました。

11話 2話の続き、人の思考、内面、感情、性格は外から想像するしかないが、ことごとく本質を外している。そして中2病的美学は、エロの前には脆い。

12話 1話の続き、いきおいで告白すると関係性が壊れることもある。だけど、想いが伝わるのは伝えたからである。恋愛は面倒だしストレスだがそれは喜びだし、美しくもある。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 17
ネタバレ

四文字屋 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

東京都内、踏切探訪。23区の小さなたび?

第1話のキャストは、アイ先輩とトモの二人だけ。
これはユリではなく、恋のものがたり。
エロではなく、ラブのはなし。
でも基本ギャグ(笑)
舞台は西武池袋線の踏切。
(背景の掲示板等に「としまく」と、くどい位出てるので、新宿線ではないと確定)

決してアニメ向きじゃない、最小登場人数にして、1場面固定設定。
これで第1話はしっかり楽しませて貰いました。

描かれるふたりの関係は、
{netabare}♀←♀の恋の行方なんだけど、
ラッキースケベやお風呂やらで描かれる「ユリもの」ではなく、
けっこう真剣な同性愛。
ただ、これを当事者目線で重く描くんじゃなくて、
あくまでも会話劇として、
二人の会話の間合いの良さと掛け合い漫才のごときやり取りで、
おもしろ可笑しく展開してくれるので、
気楽に楽しんで見ていられる。
そして二人の温度差が、ああ「愛」と「友」なのね、と微笑ましくなる。
{/netabare}

私は普段は基本的に、公式さえ見ないのだが、
{netabare}「オムニバスで、いろんな人が登場するらしい」と聞いて、
気になって公式覗いて、たしかに登場人物がたくさんいると確認してしまった。
そうだよね、この二人でワンクールというのは、いくらなんでも大変すぎる。
この先は、
boy⇔girlの恋の話とか、
恋の話ですらないエピソードとかもあっていい。
{/netabare}

5分×ワンクールの、極小の青春ワールド。
オススメですw


*****************************************************
第2話。
よく見ると踏切が違う!
走っている電車も。
オフホワイト地にエンジ色のライン・・・これは東武東上線だ!
登場人物も当然、第1話の二人とは、学校も別な男女高校生。
男子はからかわれ上手そうなウブっ子坊主君、女子は・・・
エロ系女子!
メーターが感応しまくる、二次元系色気たっぷり子ちゃん来た!でも
「真島さんはエロいけど時間には正確だ」←おい!


そして第3話。
先生と女子高生。2話もそうだったけど、
もはやラブとか全然関係なし。
そしてこれは懐かしい、山手線の駒込駅からちょっと北上したところの踏切!
むかし、この踏切のそばに住んでたんだよ。。。
ゴルフ用品メーカー、ライト株式会社の巨大ゴルフボールのオブジェがちゃんと出た!
踏切周りの道路や町並みは随分アレンジされて実際とは違ってるけど。
山手線に踏切があるなんて、みんな知るまい。私も近所に住むようになるまで知らなかった。
しかもこのすぐそばには、人間のみ渡航可能な踏切まである。
(今は使用不可だけど)
なんか中身はどうでもよくなってきた。
(実際内容もかなりパワーダウンorz)
聖地巡礼ww


いろんな鉄道マニアがいるけど、踏切マニアっているんだろうか?
そういうのも楽しい、かな?




(1~3話で判定)
予想完視聴確率:85%
クール内BEST10到達予測:40%
予想涙腺刺激度数:1.1%
平均エロチックメーター指数:20%
 ※真島さんGJ!

投稿 : 2025/01/04
♥ : 23

蒼い✨️ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

好みの問題。

【概要】

アニメーション制作:EKACHI EPILKA
2018年4月 - 6月に放映された全12話のTVアニメであり、1話あたり3分30秒のショートアニメ。
原作は、『月刊アクション』にて連載中の里好・作の漫画作品。
監督は、鈴木吉男。

【あらすじ】

これは、踏切待ちの数分間で起こる日常会話のお話。
オムニバス形式の登場人物をその都度変えながら展開するショートストーリーです。

【感想】

少し前に数十年ぶりに『トムとジェリー』を観て、
コミカルでなめらかなアニメーションに感銘を受けた身としては、
やはりアニメの面白さの基本は作画による表現に集約されると結論づけた自分。

日本では最近十年で業界全体に日常芝居の演出の平均値の向上が見られて、
台詞が無くても、キャラが何をしているのか?やら一定の感情の動きやらが理解できる。

その対極に位置するのが説明台詞の羅列。説明台詞は楽ですよね。
尺を取らずに、前回までのあらすじやら込み入った状況を視聴者にわからせるには便利ですもの。

この『踏切時間』なんか特にそれ。ショートアニメで尺がないとわかっているのですが、
キャラの感情や画面内の状況を全部ぎゅうぎゅう詰めに台詞で解説してる作り。
に比してアニメの動きは少なくて、映像美もなく演出も凡庸で面白くはない。
それは作中の恋愛感情なども表情などでキャラを魅力付けること無くドライに過ぎて、
いくら言葉を並べてもキャラ同士の関係性に“尊い”を感じ取ることが出来ない。

このあたりは、桜井のりお先生の『僕の心のヤバイやつ』にて、
感情の流れが表現されている山田杏奈と市川京太郎の人間関係を参照すれば、
こちらにはキャラを魅力づける要素に何が足りてないかがわかりやすいと思います。

何故こうなったかというと『東京大学物語』ばりに原作マンガが長台詞の連続で構成されていて、
それを忠実にアニメ化していった結果。もうこれ映像要らないじゃん!ラジオドラマでいいじゃん!
キャラどうの以前にマイクスタンドを前に若手芸人コンビがする漫談の台本じゃん?てなことで、

百合系、シモ系、ブラコン系など様々なエピソードをネタとして楽しむのが良いかな?
と思いつつダラダラと見てたのですが、単純に話自体もそれほど面白いとは思えず。
コメディと言うジャンルは賞味期限が短く受け手の感性にフィットしないと面白くもなんとも無い。
単に自分には、『踏切時間』のギャグがツボらなかったということで、

アニメーションはこうでなくてはいけない!という、思い込みや押しつけを抜きにしても、
“イマイチ”という評価に落ち着いてしまいました。


適当な内容ですが、これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 36

69.0 13 神社で高校生なアニメランキング13位
君のことが大大大大大好きな100人の彼女(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (177)
555人が棚に入れました
中学で失恋100回を達成した愛城恋太郎は、高校でこそ彼女を!と願い訪れた神社で、現れた恋の神様から「高校で出会う運命の人は100人いる」と告げられる。 しかし神様いわく、運命の人と出会った人間は、その相手と愛し合って幸せになれなければ死んでしまうという……。 次々に待ち受ける運命の人との出会いーーどうする恋太郎? どうなる100人の彼女!?
ネタバレ

こま さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

3期部分まで読んだけどボーボボ感は無し。マンガ31話以降も読んでみるかな。

2023年7月時点で単行本の累計発行部数が140万部を突破している大人気作品。

どこ見てもボーボボ、「ラブコメはもういいかな」とか言ってるのに対してもコレはラブコメ版ボーボボだから観てみてとコメントが。
ただ、その中に1期じゃボーボボは観れないだろうから2期やって欲しいのコメもいくつかあった。
アニメを観て漫画を読んだがカットはされていない。アニメ1話はマンガ1話分だった。
「ボーボボは2期から」は分からなくはない。
個人的に少なくとも1期ではそれを感じられなかったのは確か。

1話感想。
{netabare}ボーボボに似ているとか言われている作品。
出会った瞬間から好感度MAXはかなり微妙。
毎回言うが徐々にが個人的には良い。

物語前半部分は笑ったw1部微妙なとこはあったけど。

誠実に2人と付き合うって一夫多妻が認められた世界なら良いが、リアルと同じ感じならただの二股。どっちか選んで!とか言ってるとこ見ると…。
コレが最終的に100股になるって言うのもなぁ。
死ぬって事を考えるとしょうがないとは言え、女の子はその事を知らないし言ったところで信じるわけもないので言えないのがまた…。
そして誰か1人もしくはそれ以上と女の子と関係を持ってしまった場合、どこかの誠みたいになるんだが大丈夫かコレ。
果たして男の本能に抗えるのか?
ただ、ボーボボって言われてるくらいだから流石に無いか?

東京グールのくだりもラピュタも分かりずらいんだが…。
あんなんで分かるか!
ラピュタはギリギリ、初めてバルスを見ての100点は見終わってから気付いた。東京グールは何が?まったく分からないんだけど。
ちょっと調べてみた。
とりあえず東京グールのくだりは分かった…。
運命の人→うんめぇ人→美味しい人(肉的な意味で)→グール…。
ちょっと何言ってるのか分からない()

マンガの他作品の似たようなの読んだ事あるけど、1話だけ読んでやめたからこれ系は抵抗ある。
ただボーボボだからなぁ。観てみたいが2話が結構ハードル高そうなのでマンガを読んでみた。マンガなら読み飛ばせるから楽。

マンガ読んだ感想なのでかなりネタバレ含みます。無料分14話までの感想。
追記。マンガ1話分がアニメ1話分なので1クール分くらいの量です。

{netabare}まずボーボボでは無かった。
あの作品は読んだ事がある人なら分かると思うが、かなりカオスなので少なくとも14話まではボーボボ感は無い。
個人的には異世界ハーレムものと大差が無い。
最近ならスマホに似ているが分かりやすいか。

それとマンガ2話以降はクラスメイトに何か言われるとかのシーンが無かったので見やすいとは思った。

4人目でちょっと思った。運命と言っているがアレ見ると、たぶん洗脳に近いと言えなくもない。
強制的に恋愛状態にさせてる感がある。
全員がどんな事されても受け入れるよ!みたいな事になっている。

ギスギス感は最初だけ。
次々と彼女が増えていくが次第に彼女達はしょうがないと諦めはじめる、むしろ好きな人がモテるのは良いとさえ思ってる節が。
新しく入った子もこの人達は何!?とかも無く、すんなり受け入れてるの違和感凄いんだけどね。これも見やすいと言える部分ではある。

付き合っているんだからもちろんこれはある。
キスをする、してくる、体をくっ付ける、胸を触らせる、揉ませる、人工呼吸をしようとするがただのキスになっているなどなど。
キスは主人公からもあったがそれ以外は女の子からしかしてない。

訂正。主人公からのキスも抱きしめるもあったよそう言えば。
とにかくキスが多い。
確かに誠実…うーんコレ誠実か?
いくつかコレ誠実な主人公的にどうなんだろう?的なセリフがあった気がする。
ちなみに男女では無いが舌入れベロチューがある。
個人的にアレはネギまが近いか?

主人公に関して。
主人公の頭というか考え方は大分おかしいw
主人公の頭のネジは外れてる気がする。

個人的に1番気になっていた部分。
14話現在邪魔をしてきたのは1組だけ。
邪魔をしてくるキャラは水着回まで出て来ない上に「二の腕の柔らかさは胸と同じと言われている」とモノローグが入って触ろうとしてくる時点で察した。
主人公に2人がキスしたシーンでもハレンチ女とか捨て台詞を吐いて逃げるが最初のセリフとのギャップが凄い。
そう言えば水着回はエロいのが確定しているのでオススメw

他だとギャグがとにかく分かりにくい。
ああそう言う事か!にちょっと時間がいるのが多過ぎる。
まったく分からないのもあったのがまた…。

他の人の感想みると彼女達は頭のネジが外れているとか言われてた。
彼女になるキャラは頭がおかしいと言えなくもないが、恋愛で頭がおかしくなってるようにも見える。明らかに頭がおかしいのが1人はいるがw {/netabare}

マンガ15話〜30話までの個人的に気になったネタバレ含む感想。
{netabare}個人的にカオスな感じが出てくるのは15話から。
ここからがこの作品のやばい片鱗が見えて来る。コレなんかおかしい…?とか思ったw

この回で母親が正論を言い放つ。「〇股する男に娘はやれない。」それはそうw
家に閉じ込められているヒロインを助ける為に家に侵入するが…。
主人公のヤバさがここで発揮される!
そして彼女が増えた…!?ちなみに30話までにもう2人追加される。

ここから個人的に気になったやつ。
1前々前世回、2薬で赤ちゃん回、3メイドさん開眼回。
1は大体の人が知ってそう。2はそのまま。
3は輪廻眼。メイドさんのは個人的にアニメで観てみたい(多分3期辺り)

30話まで読んだ感じ、確かにカオスではあるんだけどまだボーボボでは無かった。
「20話近く読んだけどボーボボ感は無かった」とコメを書いた事があったが「まだ先だよ?」とか言われた。

そしてこの話数以降でも個人的に水着回と同じく、濡れスケワイシャツ?でアレが透けてるエロいシーンがあったw気になる方はヤンジャンアプリで無料で一気読み出来るのでオススメ。{/netabare}

最後に。
個人的にはこれも何処かで見たようなラブコメにしか見えなかったが、マンガ15話以降はかなり笑えたし、ボーボボと言われてなければ普通にカオスなラブコメとして楽しめる作品だと思った。
少なくとも1期では見れないけど2期があればボーボボ見れるからで良かったと思う。

無料分の最後まで読んだらまた更新します。
果たしてボーボボ回はあるのか?

投稿 : 2025/01/04
♥ : 1

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

振り切ったラブコメ・・・ギャグ・・・かなぁ。

作品レビュー中に他の作品の名前を出すという悪癖をまたもや披露してしまいますが・・・。

最近は、こういったタイプ(新しい・・・と言っていいのだろうか)のラブコメが流行っているんでしょうかw無理くり視点を変えた結果がこうなのでしょうかw。

似て非なる作品に「カノジョも彼女」があると思うのですが・・・。
いや、全体的なシチュエーションは違うのですが、「振り切れ具合は似ている・・・」と言っても過言ではないでしょうw。

あちらは、まだ競争原理が見え隠れするのですが、こちらは何せ神様がからんでいるので、ビビットきたら両想いw。
複数のカノジョたちも主人公の恋太郎を中心に共存、いや共生しているというw。

これまた、合わない人には強烈に拒絶されそうな設定ではありますわな。

まぁ、ビビッしトた瞬間に強力な両想いになっているという事なので、女子'sもライバル?仲間?が増えても「私を嫌いにならないでくれてありがとう」的な落としどころに落ち着いていくというカオスっぷり。

なのでラブに関するジレンマやあれやこれやをコメディというよりは、ほとんどこのシチュエーションの中で起こるドタバタを楽しむギャグ寄りになっているのではないかと思う。

ん-でもやっぱり、拒絶反応が出る人も多いだろうなぁ。
これは、女性からも、男性からも出るポイントはあるんだろうなぁ。


ただ、個人的にはギスギス感がほぼ無いので、「カノジョも~」よりもスッキリ見られたような気が・・・。
作画も割ときれいでしたし、キャラデザも丁寧でカッチリまとまり感があって好きでした。
隙が無いと言うか、雑なところが無いと言うか。

声優さんも特に違和感もなく、賑やかで楽しかったという印象です。


振り返りにHP見に行ったら、最終盤にチラチラ意味ありげにチラ見していたキャラクタ達もキャラ紹介に乗っていますな。
どうやら2025年1月に2期が放送されるとの事。
その時に登場するキャラクタ達なんでしょうかねぇ。

多分、本当に100人までいくことは無く、それからの困難や展開を予想する形で物語は終わるのではないかと推察するのですが、とりあえず、あと4名は増えるんですかねw総勢10名か・・・。
サプライズでまだ追加もありそうだけど、どうなる事やら。

とりあえず、面白みはあったので、2期も見れたら観たいと思うような作品ではありました。

今登場している6名の中では・・・

院田唐音:正統派なツンデレが面白い、あと元気、楽しい。

花園羽香里:唐音と対になる形で、いいツートップだと思う。

花園羽々里:かーちゃんキャラだけど、振り切れっぷりが好み。のぞきに行こうとするバカっぷりも面白い。何歳設定なのかなw。

栄逢凪乃:融通の利かない合理主義なところが少し苦手、もう少し感情面が見れたら面白そう。

薬膳楠莉:ひと癖あるが変身キャラで、多彩。

好本 静:スマホしゃべりがウザくて少し苦手、もう少し能動的に動いてくれたら楽しいかも。

ってなランキングかな。

まぁ、ツートップがやっぱり楽しいんだけどね。


さて、今後このランキングがどう変わる事やら・・・。








・・・どーでも、いいっすなぁwww。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 13
ネタバレ

レオン博士 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

大大大大大嫌いなシナリオだけど、いいところは多い

ギャグはたまに面白いけど、この作品は嫌い
本当は1点にしたいけど、アニメの出来はいいので・・・
男向けの暴走ハーレムギャグアニメ

嫌いだけど良いところは多い
ギャグがどんどん過激になっていき、振り切れてブレーキの壊れた暴走列車のような狂気と遠慮のないツッコミのキレが鋭く、面白い
ギャグに勢いがあるしテンポが良くて会話のキレがあるのでギャグのセンスが合う人には良さそう

【このアニメが嫌いな理由】 {netabare}
「運命の人」と言いながら強制的に恋太郎のことしか見えない恋愛脳に変えられる、洗脳か呪いのたぐいです
女子高生の人生を何だと思っているんですかね?(女子高生じゃない人も餌食になりますが)
彼女たちは何股されても幸せそうなので、洗脳でも幸せならそれでいいじゃんって思えるならいいのかな? 私はそうは思わないけど

高校生の女子100人、半分くらいは彼氏いるでしょうし、好きな人もいるでしょう
好きな人いるのに勝手に気持ちを改変するのだったら絶対許せないけど
でも今のところヒロイン達に好きな人も彼氏もいなさそうで、そんな都合いいことないでしょ

恋太郎と幸せになれなかった女子は死んでしまうから救いたいっていう主人公の姿勢は、ちゃんと主人公していて素晴らしいと思うけど
恋太郎は中学で100回告白して100回フラれたイケてない男子、人から嫌われる何かがあるとおもう
たった3年で100人好きになって告白するのも軽すぎてふざけてます
そんな男を神様の手違いで「運命の人」にされて、強制的に好きにさせられる人権侵害が酷い

女の子達は可愛いけど運命の人補正で脳が狂っているので恋太郎のハーレムに都合がいい思考に少しずつ変わっていって、恋は盲目を体現したようなキモい女に・・・
元から残念な女だった可能性もあるけど、まるで怪しい宗教みたいに正気を失った女達がすごく気持ち悪い
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 17

70.8 14 神社で高校生なアニメランキング14位
ツルネ ―つながりの一射―(TVアニメ動画)

2023年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (83)
345人が棚に入れました
“自分”を探し続ける 弓の道

そこには 彼らの物語がある

想えば想うほど 憎しみに染まる心

求めれば求めるほど 喪われてゆく色

“自分”であり続けるために もがきながら進む

好きを見つめ続ける日々を 疑い 信じながら


さぁ 歩いて行こう

この道は

いつかの“自分”へ つながっている
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

よりいっそう道を極める弓道アニメ

1期劇場版に引き続き原作未読で視聴したTVアニメ版2期目。

【物語 4.0点】
桐先高校に続く新たなライバルとして、「斜面打ち起こし」の射形を貫く二階堂 永亮が率いる辻峰高校が登場。

「美しい射が当たるとは限らない。が、正しい射は大概美しい。」
いや、弓道は競技なんだし、当たれば良いんでしょ?ぶっ潰してやるよ。

団体戦の息合い、5人のリズムが掴めないと苦闘する風舞高校。
そんなもん、各々が自由奔放に射れば良いだけでしょう?

弓道とは“道”と言うが果たしてそうなのか?
二階堂や辻峰高校を続編展開のためのヒール役としてだけではなく、
前作で構築した弓道論に対する反証材料として有効活用し、
道としての弓道描写の探究を極めていく。

最終回、{netabare} 神事{/netabare} で締めくくるというのも本作らしいです。


ただ広義の美少年アニメ枠ということもあってか、
二階堂も、胸襟を開いてみれば、湊や愁への執着も純心から。
少年たちがピュア過ぎて、きれい過ぎると言いましょうか。
加えて神聖さすら感じる弓道の高尚さ。

毒沼恋しき捻くれ者の私にとっては、触れても浄化されて消滅しないように、
毎回視聴するタイミング、心理状態を選んで観る作品でした。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・京都アニメーション

前作で弓道描写を突き詰めて、まだやり足りないことがあった求道者・京アニ。
2期では回り込み撮影による、アングル開拓で弓道の静と動をさらに探究。(※1)
私は特に静の描写にグッと来ました。

日常シーンでは作画カロリーをセーブして一休みするカットもある本作。
ですが弓道の場面では人物が静止している場面ですら、その佇(たたず)まいから
少年たちが積み重ねて来た想いやら半生やらを感じて、心が動かされます。

背景では、登場人物の内心を暗示したかのような絵画群も芸術点が高いです。
個人的には辻峰の不破が二階堂のバイト先で、心に踏み込もうとする際に映る、
銀狼を手懐ける絵画などが、二人の関係性を示唆しているようで興味深いです。

スタッフ陣には画壇でも勝負できそうな猛者が揃っているようで。
動画でも静止画でも、アート性は頭ひとつ抜けてる印象です。


【キャラ 4.0点】
『~つながりの一射』ということもあってか登場人物間の様々な絡みが展開。
湊が風舞高校の5人と息合いの歯車が噛み合わなくなると、
その内に{netabare} 七緒と海斗{/netabare} がギクシャクしだす辺りに団体戦の難しさ、少年たちの繊細さが垣間見えます。

中盤以降キャラのつながりの輪は学校の枠を越えて拡大。
7話で{netabare} 愁と遼平{/netabare} が急接近したのは意外な組み合わせでした。
いつの間にか名前読みになっている二人に嫉妬する菅原兄弟が可愛らしいですw

新ライバル・辻峰高校・二階堂の核心に踏み込むに当って、
競技としての弓道の極みも体験し、道としての弓道も悟りつつあるマサさんと絡めていくのも上手かったです。
ただマサさんも良い事言うんですが素直に受け入れられない間で言葉を投げかけるのが何ともw
終盤、{netabare} 二階堂と風舞の静弥 が、マサさん嫌いで一致するの{/netabare} が面白いですw


ピュアな美少年たちを横目に風舞の女子部員3人は相変わらず豪胆。
今回は市民大会で団体戦もやったりと見せ場もありました。
特に妹尾梨可(せおりか)は異性にも同性にもモテモテですね。
{netabare} 辻峰の男・大田黒のアタック&玉砕。清々しかったですw{/netabare}


【声優 4.0点】
辻峰の二階堂役の福山 潤さん。
私怨含みの挑発的な口調で湊や愁に突っかかりシナリオを動かすヒール役を務めるが、完全にヘイトされる領域には踏み込まない感じ。
やがて可愛い一面も表現し、美少年アニメ枠の的は外さない巧みなコントロール。


藤原愁の妹・紗絵を演じた若山 詩音さん。
天然?と思うほどのマイペースを通してしまう気品を好表現。
東条役の森田 順平さんの落ち着いた執事の演技と合わせて、貴種っているんだなぁ~と溜息が出る。
自宅に弓道場があっても、アナログレコード回っていても違和感がない藤原家の上流ムードを演出。


【音楽 4.5点】
劇伴担当は横山 克氏。
1期劇場版レビューにて私は2期はTVアニメ1期の富貴 晴美氏の方が良いんじゃないか?
と捻くれた願望を記しました。

近年の横山氏。パワーがあって良いBGMだけど、
動、動、動と感動を煽る感じになって、静と動が上手く切り替わらないのでは?との一抹の不安があったからなのですが、終わってみれば全くの杞憂でした。

メインテーマ「Tsurune-The Linking shot」から、
静寂のピアノに、ストリングスを重ねて躍動させていく、緩急で魅せてくれます。

思えば横山氏も昔『四月は君の嘘』劇伴でも緩急自在だったお方。
おみそれ致しました。


OP主題歌はラックライフが「℃」で続投。
バンドサウンドを重ねて、僕らのつながりを表現した爽やか青春ソング。

ED主題歌は丁「ヒトミナカ」
心情も情景も美しい、このバラードの歌詞で、毎回作品を綺麗に締めることができるのは、
瞳に映る景色まで描き切る作画による説得力があってこそ。


完全屋内施設となった全国大会。
グラウンドの端に立て掛けた畳に向かって射撃練習する辻峰高校弓道部。
多彩になったシチュエーションに合わせ“弦音”の素材も新規に収集、作成したとのことで。(※2)
音響もまた前作で極めた表現のさらに先を行っています。

「弓を引くその人の気持ちが音になる」
その音は確かに私の心を射抜いていきました。


【参考文献】
※1 Febri 特集 作りたかったのは「背中を押してくれる作品」『ツルネ -つながりの一射-』山村卓也監督インタビュー
※2 Febri 特集『ツルネ -つながりの一射-』 音響効果・倉橋裕宗が作る「その瞬間にふさわしい音」

投稿 : 2025/01/04
♥ : 19
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

十人十音

[文量→中盛り・内容→考察系]

【総括】
青春弓道アニメの2期。「流石、京アニ」という、安定したクオリティですね。

基本は、男子高校生の爽やかな青春と友情といった感じですが、同じく武道をやっている身からすると、武道としての要素もしっかりと描かれていて、充分に楽しめました。

三期も期待ですね!

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
特に感動したのは、4話目。

地方大会を機に、自らの射形を見失ってしまった湊が、自分と向き合い、乗り越えようと努力する話。

ゴム弓を命じられた後のカット。本来、必要とは思えない、野球部のノック。その打撃音がやけにリアルだった。

そこで、「ハッ」と思い、以降、音に注目しながら、作品を観ることにした。

すると、本作には様々な素晴らしい音があることに、後ればせながら気付いた。

ゴム弓の軋む音、スマホのマナーモードの音、雨粒が地面を叩く音、自販機から落ちる缶コーヒーの音、踏み切りの警告音、掃除機やタイピングの音、カップがひっくり返る音。

本作のタイトルは「弦音」だから、弓道に関わる音はこれまでも注目してきた。選手一人一人の「弦音」は全員違うし、的に当たる音も、一射ごとに変えていた。それは気付いていたけれど、ここまで、色んな音にこだわって作っていたとは気付かず、聞き流してきた自分を恥じた。

弓道は、武道の中では珍しく、対人競技ではない(他は、空手の型くらいかな?)。

だからこそ、「自分の型(射形)」を追求する武道であり、その「型」は、十人十色で良い。

弓道は、求道。自分の射を、どこまでも求め、己を高めていく個人的な武道。

と同時に、「息合い」。孤独になりがち競技だからこそ、他者と高め合ってい、世界を広げていくことが重視されていた。

息合いは、「生き合い」でもあるのだろう。音楽は、全く同じ音をいくつ重ねても、美しさは生まれない。異なる音同士が重なり、調和するからこそ美しいハーモニーが生まれる。

古来、「殺人」を目指してきた武道は、どの競技においても、「活人」に変わってきた歴史がある。弓道における「活人」の理想形を見られた気がする。

本作のテーマと、弓道の競技性、京アニの技術。

全てが調和し、美しいアニメを生み出していた。

本作のシナリオには、正直、特段の独創性や、天才的な展開があるわけではないと思う。わりと普遍的な(王道の)話を、弓道という珍しいテーマでやっているだけだと言われれば、そうかもしれない。

同じく京アニの「Free」と見比べれば、似てない要素を探す方が難しいとも言える。

ただし、京アニが、「Free」で一番こだわっていたのは、水中の作画シーンだと思う。「音」にこだわる本作とは、演出の方向性が違う。

私が思う京アニの凄さは、「原作の良さ(魅力)を見抜く目」にある。

例えるならば、モデルのスカウトが、「将来どんな顔に成長するか」や「化粧映えするか」「どんな服を着せたら似合うか」を見抜いた上で、事務所に所属させる、みたいな。

この原作の、どこを磨けば、どう光るのかを見抜く目が確実で、それをやりきるだけの技術力があるから、ハズレの作品が極めて少ない。

「けいおん」「ユーフォ」「小林さん」「エヴァガ」と、全て、方向性が違うが、全て名作である。

私はP.A.WORKSも大好きなのだが、あそこは逆に、得意なジャンルや作風が特化していて、そこにハマる原作やアニオリだとめっちゃ面白いけど、ハマらない時は、なかなかフルスイングで空振るからね(笑) まあ、それも含めて、私の二大好きな制作会社なんですがね(笑)

京アニには、これから先も、素晴らしい原作を見抜き、素晴らしい作品を創り続けてほしいと思います♪
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 15

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

その歩みが“君”になる。

この作品の原作は未読ですが、TVアニメ第1期は視聴済です。
第1期は全13話かと思っていましたが、wikiをググってみるとOVAで第14話が制作されていたとの事でした。
配信はされていないようなので、OVAを視聴するには円盤を購入するかレンタルするしか方法が無さそうです。

OVAの物語は第1期の続きらしいですが、京アニさんとして放送せずとも内容は繋がっていると判断されたのでしょう。
もちろん、機会があったら是非視聴したいですけれど…


“自分”を探し続ける 弓の道
そこには 彼らの物語がある

想えば想うほど 憎しみに染まる心
求めれば求めるほど 喪われてゆく色

“自分”であり続けるために 
好きを見つめ続ける日々を 疑い 信じながら


さぁ 歩いて行こう
この道は
いつかの“自分”へ つながっている


弓道における“勝ち”“負け”とは何か。
“あたる”と“あてる”の違いは何か。
数だけでは計れない問いに向き合う弓引きがいた。

風舞高校弓道部の鳴宮湊は県大会優勝を果たし、
日々の情熱を弓道だけに注いでいた。

ああ、やっぱり弓道が好きだ。
もっと引きたい。一本でも多く。


同じ頃、これまで無名だった辻峰高校弓道部が地方大会へ進出。
湊達の前に不敵な笑顔で立ちふさがったのは、
辻峰の実権を握る二階堂永亮。

俺はお前らを潰すために
弓道を続けてるんだ、みくびるなよ。

彼らの想いは射となって放たれる。
それぞれの射がぶつかる時、
まだ誰も知らない、答えが生まれる。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

流石京アニさんブランドといったところでしょうか…
京アニさんと言えば、あの事故の事がどうしても頭をよぎってしまいます。
きっとそれは京アニさんで働くスタッフの方々も一緒だと思います。
傷だって全然癒えていないし、あの日の事を忘れたことはきっと一日だって無いと思います。

でも、ずっとそこで蹲っていては前に進めません。
だから私たちは全部背負って前に進もう…

凛とした佇まいや所作と、京アニさんらしさ溢れる緻密な仕草…
あくまで個人的な見解ですが、そんな気持ちをこの作品の中で見た気がします。

一方、物語の方は全国大会までと全国大会での活躍の様がキッチリ描かれていました。
もちろん、メッチャ見応えありましたよ。
私もジャンルは異なりますが、学生時代に団体戦で大会に出場したことがあります。
もうだいぶ経つと言うのに、あの時の緊張や感動はまだ身体が覚えているんですね。

弓道なので、キャラが画面所狭しと動き回る作品では無く、基本的に静です。
この静と静を打ち破る動の描き方は流石京アニさんとしか言い様がありません。
こういう作品を本当に「良い作品」と言うんでしょうね。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、ラックライフさんによる「℃」
エンディングテーマは、丁さんによる「ヒトミナカ」

1クール全13話の物語でした。
しっかり堪能させて頂きました。
次の京アニさんの作品の視聴を楽しみにしています!

投稿 : 2025/01/04
♥ : 8

56.5 15 神社で高校生なアニメランキング15位
鋼鉄神ジーグ(TVアニメ動画)

2007年春アニメ
★★★★☆ 3.3 (22)
128人が棚に入れました
『鋼鉄ジーグ』から50年後の2025年。九州全域は50年前に発生した謎のゾーンに覆われたままになっている。その九州に近い下関にハニワ幻神が再び出現した。学生ながらバイクのチャンピオンで柔道・剣道・空手・合気道などの武道にも長ける草薙剣児は鋼鉄神ジーグとなって邪魔大王国に戦いを挑む。

声優・キャラクター
小野大輔、植田佳奈、千葉進歩、兵藤まこ、上田燿司、野田順子、森夏姫、岡村明美、諏訪部順一、木村亜希子、石上裕一、松岡大介、こぶしのぶゆき
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

熱血の中にも巧みさがあり、とにかく楽しめる!

2007年春アニメ。全12話。
本作はバトルと人間ドラマのバランスが良く、全13話と短いながらも世界観、設定、キャラクターのどれもが丁寧に作られており、かつ明確に熱血ロボットものを描いた気持ちの良い作品です。
アニメ版ではなく漫画版鋼鉄ジーグの続編で、本作から入っても良い作りになっています。

西暦2025年、舞台は九州。
50年前に鋼鉄ジーグこと司馬宙が邪魔大王国と死闘を繰り広げた九州は、それ以来ゾーンと呼ばれる謎の空間に閉ざされています。
トップレーサーとしても活躍する高校生・草薙剣児は、ゾーンの活性化と同時に自分の住む町に出現したハニワ幻神と、なし崩しに新しい鋼鉄ジーグに搭乗して戦い、辛くも勝利します。
剣児はそのまま、幼馴染である珠城つばき、親友である美角鏡と共に、新ビルドベースに所属し邪魔大王国と戦うことに。
そして邪魔大王国との戦いの中で、ジーグのエネルギーコアである銅鐸をはじめとした様々な謎が明かされて行きます。

展開としては王道ですね。
全体的にテンポよく丁寧にストーリー展開し、描写、伏線を積み重ねていて、毎回飽きることなく見られます。

{netabare}
換装パーツを駆使した戦闘、破瑠覇(バルバ…白い虎のような姿をした古代の生物)との戦闘と共闘、さらわれたつばきの救出、剣児とつばきの絆、50年という歳月に引き裂かれた家族や恋人のドラマ、新旧主人公揃い踏み。
安定した演出と勢いのある作画を駆使して、王道の強さをこれでもかと見せてくれます。
そして終盤では銅鐸は人の思いを増幅するものと明かされ、特別な力を持つつばきと彼女を護る剣児がキーとなり、主人公側の「想い」と邪魔大王国側の「呪い」のぶつかり合いとなっていきます。

ただ、注意深く見ていくと明かされなかった謎もいくつかあり、話数的な問題であえて語らなかった部分はある様子。
勢いに任せて細かい説明がなかったりもするので、そういう所が許容出来ないと辛いかもしれません。
最初からある程度の展開は決めてあったとは感じるのですが、DVDのブックレットには「テーマは決まっていたけど細かい描き方などは作りながら決めていった」とあり、そのためかラスト12~13話が詰め込み気味になっている印象でかなり残念でした。それでも最終回のラストで、余韻は味わえるよう演出やモノローグで工夫はされています。
また、伏線の張り方や情報の出し方がちょっとわかり難く、謎が明かされる回はセリフでの説明が多いせいもあって超展開と感じる人もいるかもしれません。
敵である邪魔大王国には救いが無く、そこが引っかかるという人もいるようです。共存を模索したが叶わなかったという台詞はあり、またそれ以上に妃魅禍は戦いを快楽と考えており、互いに平行線であった事は想像できます。
「現代的なリアルな設定でストーリーに影を落としたくない」「熱血ロボットものを貫きたい」という考えが製作側にあったとシリーズ構成のインタビューにはあり、それが影響しているのでしょう。

BGMはクラシック調で素晴らしく、私はかなり好きです。平野義久さんの楽曲に出会ったのはこの作品でした。
ただ音楽の使い方は効果的だと思う部分もあれば、せわしなく感じる所もありました。挿入歌も全体的に多すぎて、もっとポイントを絞って使って欲しかったなあ。(マッハドリル回はあれが良いんですけどw)
キャスティングはとても好きですね。老婆である美和や敵ボスの妃魅禍に高めの声というのが意外なのに嵌っていて楽しいです。


キャラクターも王道ですが、本作特有の工夫もありました。
特に剣児と鏡は個人的にとても好きなキャラです。

剣児はつばきを守るとなると全力です(まあいつも猪突猛進ですが)。
馬鹿で助平でしょうのない所もあり、第6話のマッハドリル特訓回ではそれが思いっきり押し出されてます。そしてビルドベースの人間関係では最底辺で、とにかくいじられまくるw
しかし正義感も強く、人命第一の姿勢が一貫していて、第一話ではつばきとつばきの祖母・美和を助けようとしたり、第八話で「人間の心配より銅鐸の心配ばっかりじゃねえか!皆どうかしてるぜ」と周囲を非難したり、良いヤツで好きですね。
人への気遣いや思いやりもかなり見られました。

鏡はライバルポジションかと思いきや実は古代地球に移住してきた異星人で、剣児にとっては叔父にあたります。
ちょっとわかりにくいですが伏線は張ってあり、剣児に対して叔父らしい振る舞いも結構見られて面白いですね。剣児とつばきを見守る姿に和みます。
そりゃあ姉の忘れ形見の甥っ子がああも元気に良いヤツに育っていれば嬉しくもなりますよw
初見で千葉進歩さんの演技に落ち着きと、少しだけ渋さを感じたのはこのキャラクター設定だったからかも。

旧主人公の宙は鏡の退場後うまく兄貴ポジションにはまり、落ち着いたキャラクターで剣児をフォローし、自身と家族や美和とのドラマを展開。12話までジーグへの変身を遅らせる事で剣児を食うこともなく、絶妙な位置に収まりました。
このあたりはファンからも概ね好評のようです。監督は旧主人公の「強さ」をよく理解していて、このバランスにはかなり気を使っています。

ちなみに、DVDのブックレットによると美和は神社を守るために姓を変えたもので、つばきとは血縁関係はないとのこと。製作側が人目につくところで公表していないのか、勘違いしてる人が多いようです;


個人的にとても評価しているのが、ストーリー上無駄な回はひとつもなかったこと。息抜き回でも次の話に繋がる要素を必ず入れています。
その中で私の印象に強く残っているのが第5話「無我夢中? 恐るべし、邪魔大王国の罠」。
ストーリー上のキーポイントになる話で、脚本はシリーズ構成の早川正さん、演出は川越淳監督、作画監督はキャラデザの菊池晃さん(忙しさからかバトルパートのみですが)というまさしく最重要回の顔ぶれ。この組み合わせ、他には第1話しかありませんでした。
前半ではシーサーか狛犬のようなハニワ幻神・罵玖羅(バクラ)の特殊な能力で皆の記憶が混じりあった世界に入ってしまうのですが、ここで重要な伏線を張ったり、各キャラの過去を知ることができたりと後半のストーリーに影響する情報も入れつつ、他の回にはないトリッキーさが面白い。そして剣児の記憶の中のある人物の言葉が、この話のラストに余韻をのこします。
脚本も演出も巧みで的確、なかなか味わいのあるエピソードに仕上がっています。作品全体がパワフルで熱血なので、かえってインパクトがあるんですよね。
そして後半では破瑠覇が初めて顔見せしバトルとなり、これまた菊池さんの作画と監督の演出が素晴らしい!一粒で二度おいしい回でした。


美術デザインも秀逸で、不透明水彩風でとても綺麗です。
自然の風景も好きですが、特に終盤に出てくる天岩戸の千本鳥居が好きですね。

ロボットバトルはとにかく格闘・近接戦闘に特化し、プロレス的な動きが多いです。
送り込まれてくるハニワ幻神はバリエーション豊富で、ジーグ側も色んなタイプの換装パーツで撃退しますが、それぞれ魅せ方が上手で、特撮や昔ながらのロボットものが好きな人は馴染んだ感覚で楽しめるかと。
各パーツ装備のジーグは、デザイン画で見るとカッコ悪いのに動くとやたら格好良かったりして、手描きアニメの強みも堪能できるんじゃないでしょうか。
永井豪先生の作風を色濃く受け継ぎながらも、デザインやアイディア、演出で新しい時代性にも比較的対応していると思います。{/netabare}


全体としては、ストーリーやキャラクター、人間関係に嫌な印象がほとんど無く、スタッフの「王道ロボットものを貫こう」という作品作りは成功しています。
脚本、演出、作画は基本的には標準以上の出来だったと言って良いかと思います。

詰めの甘い部分はいくつかありますが、とにかく楽しめる作品です。スカッとしたロボットものが見たい人におすすめですね。
(2015.7.16)

投稿 : 2025/01/04
♥ : 7

大重 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

17年前のアニメですか。熱いノリのロボットアニメ

えーと、当時はアニメを見ていなかったころで存在を知らなかったアニメは再放送をしていたら見るようにしています。
とりあえず舞台が2025年で来年じゃん、となったのは面白かったですね。

内容は昭和のノリのロボットアニメで、まあそれに突っ込むのも野暮。
この濃さ、熱さ、ノリ。まあ良いんじゃないでしょうか。

とはいえ本気で熱くなって楽しめるかと言うと… どうなんでしょう。


とりあえず元は鋼鉄ジーグというのが1975年にあって、それから50年経って復活、という内容なのですね。
ちょうど50年目を迎えるにあたってBDとか何かでるので再放送しているとかでしょうか。
そういうこともありますね。

こういうノリは悪くは無いですし、観たいとは思えました。
とはいえ本当に見るかは… 現代はアニメの本数多すぎですからね。

今のアニメを厳選して見ているのに、過去のアニメまで見られるかどうか。
まあ当面録画は続けて見ます。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 1

かみな~☆ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

鋼鉄ジーグの後編

司馬宙が邪魔大王国の妃魅禍を封印してから数十年か後のお話。
銅鐸との出会い方や修行をして強くなるという王道展開がありますがこの作品の見所はそこではありません。

前作(?)の主人公である司馬宙とミッチーの数十年ぶり再開シーンは今まで見てきたなかアニメで一番印象的かつ号泣させられました。演出に力が入っていて一見の価値ありだと思います。

夢の二大ジーグの共闘や男のロマン溢れる合体技、さらには・・・。
後半はテンポよく戦闘が進み、鋼鉄ジーグでは消化しきれなかった話をうまいこと片付けてくれます。

鋼鉄ジーグを見ていない方でも十分楽しめる内容ですし、時代や年齢を超えた愛というのが(たぶん)テーマですの愛とはなんたるかを知るためにも見て欲しいです。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 2
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