社会人で続編なアニメ映画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の社会人で続編な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月07日の時点で一番の社会人で続編なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

76.7 1 社会人で続編なアニメランキング1位
映画 ゆるキャン△(アニメ映画)

2022年7月1日
★★★★☆ 4.0 (227)
864人が棚に入れました
高校時代、キャンプを通じて関係を育んでいった、なでしこ、リン、千明、あおい、斉藤。時を経てそれぞれの道を歩んだ5人が、とあるきっかけでキャンプ場を作ることに。 『ゆるキャン△』が演出する、自然の美しさや美味しい食事、焚火を眺めるようなゆったりと流れる時間――。 「美味しいご飯を食べたり、きれいな風景を眺めたり、温泉にゆっくり浸かったりして……明日もまた頑張ろう」 そんな気持ちになれるひと時の体験。2022年の夏は、映画館で野外活動しよう。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

受け継いでいきたい優しさの連鎖がここにある

【物語 4.0点】
『へやキャン△』、『ゆるキャン△』2期、映画『ゆるキャン△』。
2018年冬・1期終了後に立ち上がった足掛け四年に亘る3本制作企画の総決算。

大人になった社会人・なでしこたち野クルメンバーが、{netabare}年末戦士サンタクレンジャーから週末戦士作業着レンジャー{/netabare}に進化して、キャンプ場作りに挑むというオリジナルストーリーがメインだが、
決して、1期、2期の人気の余勢を駆った蛇足ではない。
じっくりと煮込まれた設定、脚本、シリーズを横断する伏線芸が提供される。


子供の頃、大人になったら何でも出来ると思っていた。
だが大人になったら案外出来ないことも多かった。
それでも大人になっても楽しいと思うことを皆と一緒にやって行こう。

官民含めた組織を越え始まったキャンプ場プロジェクトに対して、
周りの大人たちが優しく、さり気なく見守るのも暖かい構図。
しがらみの中にあっても、皆、本当はワクワクしたかったんだとの性善説に包まれる癒しの120分。

鑑賞後は凝り固まった心身が、心の芯から解きほぐされるのを実感しました。
整体やマッサージ店に高額なサービス料払うくらいだったら、
本作に鑑賞料金払って身も心も軽くなりましょう♪(←強引な勧誘w)


【作画 4.0点】
アニメーション制作は1期以来のC-Station。

2期では比較的温存していた?富士山も今回は冒頭から押して来ます。
未だかつて、これほどまでに、配給会社がロゴ富士山の松竹で良かったと思った瞬間があったでしょうかw

{netabare}カニだの鮭{/netabare}だの今回も飯テロは即死級の威力。
腹ペコで鑑賞するのは危険なので、何かつまめるフードは用意しておきましょう。

東京、名古屋、横浜と、なでしこたちの活動圏拡大に伴い背景も(聖地巡礼地もw)大増量。
その描き込みに労をいとわず、彼女たちの成長を好表現。
広がった大人の世界を、志摩リンが祖父から受け継いだ大排気量のバイクで駆け回る描写も感慨深いです。


【キャラ 4.5点】
東京・昭島市のアウトドア用品店「フォレストオウル」店員となった各務原なでしこを見守る店長・小牧。
刹那的にノルマを達成する営業ではなく、長期的にアウトドアファン層拡大に寄与する、
なでしこのある種の甘さをも容認するステキな女性。
なでしこに、この仕事本当に向いているわと評価しますが、あなたも相当に向いています。

{netabare}女子高生3人にランプにお試しで火を付けたりしてアドバイスするなでしこの接客に、
なでしこが「カリブー」に何度も眺めに来たランタンをお買い上げするまで見守った店員の姿が重なります。{/netabare}
TVアニメ版で客として優しくおもてなしされたなでしこが、
今度はキャンプの楽しさを広める店員となる優しさの連鎖が温まります。


名古屋の「しゃちほこ出版」編集部員として苦闘する志摩リンを見守る先輩アフロ社員・刈谷。
{netabare}部下が伸び盛りと見て、裏でフォローする心情を上司・白川に吐露する件。
それを受けて白川がお前のほうが大変だったとイジり返す。{/netabare}
先輩が後輩を育み会社の将来を繋ぐ。
氷河期に断絶した当たり前の育成精神がこの会社では連綿と続いています。
こんな暖かい社風なら、ブラックに呑まれて消えていったアイツも凍えずに済んだのかな……。
そう考えたら目頭が熱くなるものがありました。


大垣千明、犬山あおい、斉藤恵那と他の野クルメンバーも成人。
映画では恩師の“グビ姉”鳥羽に続いて{netabare}千明{/netabare}が酔いどれ2号として覚醒w
早速、{netabare}酔った勢いで名古屋から遠征し、タクシー料金メーター9万オーバーの{/netabare}武勇伝を打ち立てるw
ですが、これがプロジェクトの始まり。“飲みニケーション”も悪くはありません。


【声優 4.5点】
実はメインキャスト陣が成人した野クルを演じるのは1期12話の妄想シーンに続いて2回目。
因みに、キャラ設定等も、その妄想シーンから組み立てられており類似点多数。
イメージトレーニングも万全で、キャラを崩さずに成長を演じる好対応。

ナレーションは引き続き大塚 明夫さんで盤石の安心感。
最後、{netabare}兼任する志摩リンの祖父役として発した「いいキャンプ場だ」{/netabare}との一言に報われます。

犬山あおい役の豊崎 愛生さんは映画でも、まつぼっくりさんで\コンニチワ/などと暗躍している模様。
終盤、{netabare}帰って来た原付ビーノで\マカセロ/{/netabare}と男気?を見せたボイスも決まってました。


【音楽 4.0点】
劇伴もお馴染みの立山 秋航氏がオフィスシーンでもブレずに
笛とパイプのケルト風も散りばめる癒し系を継続しつつ新曲を量産。
今回は組曲「松ぼっくり」を編成し、キャンプ場完成までの道程を管弦楽も交えて生き生きと演出。

主題歌もお馴染みのお二人。
OPは亜咲花さんの「Sun Is Coming Up」
淡々と重ねた日々がちゃんと明日につながっていると励ます社会人応援ソング。

EDは佐々木恵梨さんの「ミモザ」
ふと立ち止まって振り返って変わった物、変わらない物を静かに確認するバラード。


【余談】
歴史文化財の保存と活用についても考えさせられた映画でもありました。
{netabare}特に、縄文、弥生の遺構辺りは、教科書に載るレベルの重文級であっても集客は厳しい。
実際、立派に整備された箱物に閑古鳥が鳴いている遺跡が当たり前になっている感があります。
土器発掘体験だけじゃ家族連れは中々やって来ないかと。
少子高齢化でインフラの維持すら難しくなっていく今後の日本にて、
遺跡の価値を損なわない程度のエンタメ化は検討に値すると感じました。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 34
ネタバレ

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

楽しい時間はいつでもそこに

【感想】
少し長めですが見に行って良かった!

※詳細は下のほうに書いたけど作中に出た本沢温泉、冬に行くとたぶん危険なので聖地巡礼は夏に行ってください!

本編が毎日楽しくて仕方ない夢いっぱいの日々だったのに対して、本作は社会に出たなでしこ達のリアリティのある暮らしを見ることで現実を突きつけられて、全体的にもの悲しさを感じる映画でしたけど、離れ離れになっても仲の良い5人が見れて満足です!

本編の底抜けに楽しい雰囲気のほうが好きだけど、これはこれでアリかなあ

{netabare}
それでも程よくいい感じに大人になっていて、現実は甘くないってところと、トントン拍子にうまくいくところのバランスが良くって、現実的すぎて夢のない話にならなくて良かった!
でも、たぶん25歳前後くらいなので、誰にも彼氏や旦那さんいなさそうなのはちょっと夢見すぎかなー、リンちゃんのアフロ先輩との関係が気になります!

私は本編の感想を「最高のアニメだけど楽しい時間は必ず終わるという気がして視聴後に寂しくなる」と書きました、この映画では楽しい高校生活の夢から覚めた後の現実を見せられて寂しい気持ちになったけど、なでしこ達から「楽しい時間はいつか終わっちゃうけど、終わっちゃうならまた次の楽しい時間を作ればいい」ってメッセージをもらった気がして、前向きな話で良かった
{/netabare}
【本沢温泉の聖地巡礼は気を付けてください】{netabare}
私は山育ちなのでわかるのですが
映画では雪がつもっていましたけど、あの標高なので酷いときはマイナス10度~20度くらいになると思います、山は天気が変わりやすく、晴れていても急に雪が降りだして歩けなくなることもあります、軽装備で雪山を1時間以上も歩くのはとても危険なのでマネしてはいけません、聖地巡礼の時には冬はやめたほうがいいです!

なでしこは「誰も来ないから大丈夫だよー」って言ってたけど、この温泉は有料なので近くの小屋に人がいるし、女の子が見張りもなしで入るのはやめといたほうがいいかなー、出た後すぐに服着てもすごく寒いしかなりハードなことしてますね
男女別の内湯もあるので女の子が聖地巡礼するならそちらにどぞ!

うちの実家の近くにも秘湯と呼ばれる混浴の露天風呂があって、湯浴み着で入れます、地元の人は気にせず裸で入る人が多いですけどね
雪景色の露天風呂は最高で、小さいころは冬でも入ってたけど、お風呂から上がった後の寒さが尋常じゃないのでオススメはしません、きっとリンとなでしこもあまりの寒さに震えたでしょうね

{/netabare}
【ちくわ危機】{netabare}
タヌキだから良かったけど、日本アルプスあたりの山々はイノシシだけじゃなくクマも出るので危険!
ちくわが無事でよかったー
{/netabare}
【大人になったなでしこ達】{netabare}
なでしこ達仲良し5人組は大人になってもずっと一緒なのかなーって思ったら、みんな離れ離れに暮らしていて、ちくわは「もうおじいちゃんだから・・・」って言われてて涙出ちゃった
本編で「わたしたちの友情は永遠だー」って言わんばかりのみんなでわいわい賑やか楽しい日常だったのに、現実を思い知らされた感じ
あれだけ仲良くても大人になったら年に数回集まれるのがささやかな幸せなのかなーって思うと悲しくなるけど、みんな素敵な大人になっていたのは良かった
特に千明ちゃんは髪型変えてますます美人に!
{/netabare}
【名古屋について】{netabare}
名古屋駅前やジュンク堂の再現が凄かった!
りんちゃん一宮市民になったのね、一宮市は何度か行ったことあるのでなんか親近感♪
名古屋の職場まで電車で通ってるみたいだけど、一宮から名古屋は電車で片道30分くらいなので十分通えるのよね {/netabare}

【キャンプ場づくり】{netabare}
地元にいる2人はともかく他の3人は東京やら名古屋から山梨まで通って作業手伝うのはちょっとムリがあるかなー
土器が出てきてキャンプ場やめて土器ミュージアム?に変わったけど、たぶん田舎に土器ミュージアムなんてすぐ人集まらなくなるからキャンプ場併設案なかったらそのうち廃業になりそうね
{/netabare}
【作画】{netabare}
本編がアニメ的な穢れのないキレイさで、映画版はリアリティのある美しさで建物や自然の絵が美術的でキレイだったー
私は本編の塗りのほうが好きだけど、これはこれで良い!!
{/netabare}
【声優】{netabare}
本編より大人になったので、声優の演技も大人に寄せていて、ちゃんと大人の声に聞こえるのが凄い!
本編の元気な声が聴けないのはちょっと寂しいですが、声優さんの演技ってすごいなあ {/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 32

テナ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

楽しむ側であり楽しませる側である

人気作品の劇場版。
物語は卒業してバラバラになっていたリン達が3年ぶり再開してキャンプ場を作り開店させるってのが劇場版になります。

まず、皆が社会人になっていて全員根本的には変わらないけど、それでも少し大人になって落ち着きがあったり、学生の頃は何でも出来るってイメージの大人にいざ自分がなった時にイメージ以上に出来ない事や大人になっても周りに助けらたりしている事に気付くリンとナデシコの成長も描かれてました。
キャンプの知識だけではなくそうした成長を入れてくる点も凄くよかったと思います。

リンの成長だと。
自分が知らない所で実は先輩が頑張ってくれて応援してくれてた事に気づいたと言う成長

私も学生の頃は学校がだるいしテストが面倒だしで、大人になれば働いてお金が貰えて自由に出来るって思ってました。
学校に行ってもお金は貰えないけど、会社に行けばお金な貰える、同じ学校と会社、同じ拘束時間ならお金貰える方がって……

でも、実際、自分が卒業すると自由に使えるお金は増えたけど、何でも出来る訳じゃないし周りの人にも助けて貰うことも多くて、あと子供の方が自由って意味ではお金なくても何でも出来た気もします。
世間体的な意味でもw
そういう意味では、リンの気持ちも解るかな。

成長出来るから立場が変わるから解る事もありますね。

なでしこの成長は凄く素敵でした。
キャンプを楽しむ学生時代のなでしこはリンにキャンプの楽しさを教えてもらいひたすらキャンプをしていました。

しかし、大人のなでしこは、キャンプ店で働き始めて、冬キャンしようとする家族がキャンプ回数も少ないしストーブは高いかや諦めようとした時に、値段の手頃なのを勧めておいて結果自分の店ではなく、お隣の店の商品を紹介したり、キャンプに興味がある学生さんにキャンプを好きになるきっかけを与えてあげたりしました。

その根本にあるものは、キャンプを楽しんで欲しい、楽しさを知って欲しい、ってのが根本で、楽しむだけだった彼女は今は大人になり自分が楽しむのは勿論、誰かに楽しさをススメてあげる側になるくらいに成長したんだなぁ〜ってw


後、キャンプ場の作り方を作中で紹介していたのが面白かったですw
あれは真似出来ないけど学びでしたw
後、草苅り鎌の使い方!初めて知りましたw

小学校の頃にグループワケされて、草苅り鎌渡されたけど上手く切れなくて邪魔だから使わなかったんですよねww
あの頃の私に教えてあげたいw

キャンプ場作り楽しそうですね。
仲のいい友達と楽しく自分が好きな場所を作り、誰かに好きになって貰える場所を作る楽しさが伝わってきました。

私も昔、子供達だけで集まって秘密基地を作っていた日々がありました。
何かを皆で作るって楽しいんですよね。

そんな、キャンプ場作りの最中に土器が発見されてキャンプ場作りが中断!
縄文土器らしいのですが、その場所をキャンプ場ではなく土器などを展示する施設を作ろうと言う話が出てキャンプ場製作が打ち切りに……

これは諦めるしかありません……覆すのは無理かもしれない……
全員、ショックだったと思う。
3年ぶりに皆が集まり楽しく作っていたのに、ここまで来たら完成させたかったはず。

でも、彼女達は反対するのではなく賛成して貰える方法で!
企画が通るのがアッサリ過ぎではある気がしましたが、まぁよかったですw

多分、私が覆そうとしたらキャンプ場を全面に押し出す事しか思いつかないで、その方向で交渉に入ると思いますが、リン達が選んだキャンプ場×土器がウィン・ウィンの関係に持っていくのが素晴らしかったですね。
否定するのではなく肯定する。
肯定して貰える様に持っていく。
素敵ですね。

キャンプ場が開店してもトラブルが起きました。
痛恨のミスですw
それでも彼女達は上手くフォローしていくし彼女達の対応は満点でしたねw


ゆるキャンは沢山の人から愛される作品です。
しかし、私は最初は劇場版と言っても何をするんだろ?と思っていました。

でも、いざ見に行くと時間もしっかり取ってるし、その中で何かを作り上げる意味や楽しさであったり成長であったりキャンプ場の知識であったりキャンプ飯の作り方であったり沢山のメッセージを詰め込んでいると感じました。

作中に出たサーモンスープ美味しそうでしたね(*^^*)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 20

80.3 2 社会人で続編なアニメランキング2位
劇場版「SHIROBAKO」(アニメ映画)

2020年2月29日
★★★★☆ 4.0 (352)
1685人が棚に入れました
いつかアニメーション作品を一緒につくろうと、ひょうたん屋のドーナツで誓いを立てた上山高校アニメーション同好会の5人。卒業後、5人はそれぞれアニメーション制作に携わる。宮森あおいは「えくそだすっ!」「第三飛行少女隊」の制作を経て、少しずつ夢へ近づき、「自分が本当にやりたいこと」を考え始めていた。一方、日々の仕事に葛藤を抱きながら過ごしていたあおいは、新企画の劇場用アニメーションを任され、「今の会社の状況で劇場用アニメーション制作を進められるのか?」と不安を感じる。はたして、劇場版アニメーションの納品は間に合うのか――!?

声優・キャラクター
木村珠莉、佳村はるか、千菅春香、髙野麻美、大和田仁美、佐倉綾音、山岡ゆり、葉山いくみ、米澤円、井澤詩織、田丸篤志、松風雅也、中原麻衣、吉野裕行、小林裕介、檜山修之、こぶしのぶゆき
ネタバレ

フリ-クス さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

成長したあおい達の姿に感激。ただし、製作視点だとホビロン。

テレビシリーズで人気を博した『SHIROBAKO』の劇場版であります。
放映終了から五年も経っていたわけで、
ファンにとっては『待ちに待った』一作ではなかろうかと。


公開日は2020年二月末日。
世間がコロナコロナと右往左往している時期(緊急事態宣言は4月7日)で、
タイミング的には苦しい状況というか、
すべり込みセ-フと言えなくもないけどアウトと言えなくもない、
実に微妙な時期でのお披露目となりました。

それもあってか興行収入は4億400万円と、
深夜アニメの継続作品としては「まあまあ」レベルで落ち着くことに。
まあ、受け皿の狭い作品ですからこんなものかと言えなくもなく。
(ちなみに『大ヒット扱い』してもらえるのは興収10億円からです)


内容的にはテレビシリーズの正統的続編で、
時系列としては、前作から四年後ということになります。
テレビ版を見てない方は丸ごとおいてけぼり。潔い。

主人公の宮森あおいは制作ラインプロデューサーに出世。
前社長のミスで落ちぶれに落ちぶれてしまった武蔵野アニメーションを、
ムチャぶりされた劇場版の制作で立て直す、みたいなお話です。


テレビ同様、制作現場の熱い『こだわり』は健在ですが、
あおいが出世しちゃったことに伴って、
モノづくり以前のスタッフ集めや、『制作』ではなく『製作』的な場面が増加。
また、チュ-トリアル的な色合いが薄まって、
たくましくなった業界女子たちのドラマ要素が前面に出てきています。

  その分「あるある50%」だったテレビ版と比べると、
  こっちは「あるある25%」みたいな感じになっています。
  うわ、マ〇ルさん出てんじゃん、とか、
  狭い業界ネタは随所にありますが、そんなもん、まず伝わんないと思われ。


結論から言ってしまうと、僕の個人的な満足度はBランクです。

ストーリーで『製作』マタ-が増えた関係上、
  いやいや、おかしいだろそれ
と思わずつっこみたくなるような不自然展開が気になって、
お話に没頭できなかった次第です。
業界ものとしてリアルさに欠けるって言うか……まあそれは後述します。

  ただ、それは僕がたまたま狭い範囲の仕事を体験していたからに過ぎず、
  世間的には「あんた何さま?」的意見ではないかと。

制作とか製作とか難しいことはどっちでもいい、
前作が大好きで、登場人物が進化して頑張っている姿を見たいんだ、
そういう方限定なら、Aランクでも問題ないかと思います。
{netabare}
 テレビ版でまだまだひよっこだった旧上山高校アニメ同好会の五人は、
 みんなそれぞれに逞しくなって登場。
 その若手プロフェッショナルとしての仕事ぶりだけでも一見の価値があります。

 それだけでなく劇場版制作が決まってから、
 かつて『三女』を作った仲間たちが
 一人、また一人と現場に帰ってくるところは見ごたえ充分。
 てか単純にうれしい。

 そして、そのスタッフかき集めに奔走するあおいが、
 めちゃくちゃ逞しく、かつ、めったにいないほど有能になってます。

 テレビ版では新人制作進行だった佐藤・安藤も強キャラに進化、
 僕が大好きなベテラン制作進行の矢野エリカも安定のしたたかさ。
 しかし、いつまで入院してるんだ矢野のお父さん。


作画も役者さんのお芝居も、さすが劇場版というか、高レベルで安定。
モノづくりに対する真剣姿勢も充分に共感できますし、
オ-ディションや劇伴打ち合わせのシ-ンなんかは相当にリアルな出来かと。

ミュージカル仕立てとか殴り込み演出とかは、
はっちゃけ過ぎというか、
そういうので尺とらずにもっと制作現場見せてよと思わなくもないけど、
  エンタメとしてのメリハリが……もごもご
とか返されたら「まあいいですけど」と言えなくもない、こともない?
{/netabare}

そういうわけで、
前作をふつうに楽しめたら方なら延長線で、しかもけっこう新鮮に楽しめる、
ファンサービスとして優良な一本に仕上がっております。

ただ、尺の関係かチュ-トリアル要素がほとんどないため、
なにをやっているのかチンプンカンプンな方もけっこうおられるのでは。
  これ、どういう立場の会社の人なの?
  いきなり出てきたこの人、なにをする人なの?
みたいな感じですね。逆に、全部わかる人ってかなりすごい的な。

お仕事アニメっでそれってどうなのよと思わなくもないですが、
前作ファン限定のサービス作品と考えれば、
まあ仕方ないなと思えたり、そりゃ興収五億いかないわと思えたり。


いずれにいたしましても、
前作が好きかそうでもないかが明確な分水嶺になる作品でありまして、
未視聴の方、まずはテレビ版をご覧になっておくんなまし。


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ここからは僕ごときの浅薄な経験と知識による、
本作品で「はあ?」とか思わされた部分のご紹介になります。

正直、自分でも「僕って何さまよ?」とか思いますし、
ふつうにアニメを見る段にはまず必要のないムダ知識の「ひらけかし」ですから、
興味のない方は、無理してご覧になること全然ありません。

ふん、まあ読んでやらんこともない、という寛大なお方のみ、
ネタバレを開いてやってくださいまし。
{netabare}

その一 武蔵野アニメーションが傾いた理由が『ありえない』

 発注したメ-カ-側で企画が通っておらず制作中止、という話ですが、
 八話まで作画インした状態でそれはありえないんです。
 というのも、そのタイミングならテレビ放映枠が『確定』していますし、
 放映枠をおさえるのは制作会社の仕事じゃないからです。

   じゃあ、どこがテレビ局に話を持ち込んだのか、
   放映間際に企画をぽしゃらせて穴埋めをどうするのか、
   そんなの制作会社に責任押しつけて逃げ切れる話じゃないわけで。
  
 そもそも製作委員会、つまり出資体制が確定しないと、
 制作予算どころかOP・EDの楽曲すら決められないんです。
 もちろんエンドロールにクレジットもできません。
 八話制作インということは最低でも二話まで完パケになってるわけで、
 どうやって作ったんだという話です。

   1970~80年代、テレビ局又は一社が制作費丸抱えの時代はともかく、
   ほぼ100%が製作委員会形式になった2010年代においてこれはないです。
   現実的に作れないんだもの。


 さらに、オリジナル作品だから他の出資者と組み直そうというのが、
 キャラ原案者が降りた会社の紹介だから道義・権利上できないって……
 正直、意味がわかりません。

   道義的には、話をぽしゃらせた会社が他を紹介するのが筋の案件です 。
   そこまでの誠意は示さないとしても、
   キャラ原案を流用することを妨害する理由はありません。
   だって自社商品に関係のない、オリジナル作品なんですから。

   もちろん、そのキャラ原案は『作品のために』描かれています。
   作品のために書いたキャラ原案をその作品で使うのだから、
   権利上の問題が発生する余地がありません。


 というわけで、もっと深いウラ設定があるのなら話は別ですが、
 作品から得られる情報で判断する限り、
 ムサアニが負債丸抱えで作品をオクラ入りさせる理由が『ない』んです。 

 ムサアニが傾いてないと本作のストーリー自体が成り立たないわけで、
 そこはやっぱり、もうちょっと丁寧に描いて欲しかったな、と。
 たとえ泥臭くなったとしても、
 そこをきちんと描かないと作品全体が『ウソ』になってしまいますから。


その二 『げ~ぺ~う~』がねじ込んでくる根拠がない

 武蔵野アニメーションは、あくまでも製作委員会の『下請け』です。
 万が一『げ~ぺ~う~』に対し製作委員会がドジを踏んでいたとしても、
 善意の第三者であるムサアニには一切関係ありません。

 そして、同じく制作の下請けだった『げ~ぺ~う~』には、
 保護されるべき著作物は、PVの映像と音声しか存在していません。
 🄫はタイトル名ではなく『映像の著作物』であるPVにかかっています。

 おまけに、契約書には契約解除条項が明記されていて、
 制作の実態・進捗が見事なほどそれに該当しちゃっています。
 また、その進捗なら制作費もほとんどかかってないわけで。

  つまり、この件は
   ① 相手方に金銭的な負担・損害がほとんど発生していない。
   ② 自分のものだと主張する『権利』の実態がない。
   ③ 契約解除に異議申立をすることができない。
  という、ほったらかしといても問題ないレベルのちゃちな難癖なんです。

 制作サイドがおたおたするのはわからなくもないですが、
 権利処理のプロであるべき製作がそんなんじゃ『あかん』わけです。
 このぐらい、電話一本でカタつけろよ、と。

   確かに、わけわからん難癖をつけてくる輩がいる業界ではあります。
   僕もそういうの一度受けたことがありますが、
   弁護士に回すことなく電話でさくっとカタつけました。
   そのぐらいふつうにできなくて、なんのための『製作』ですか。

 相手方に乗り込むのも、あおいが行くのは職制上おかしいですしね。

 そもそも、こんな話を制作サイドの耳に届けることがナンセンス。
 制作が心置きなくはっちゃけられるよう、
 こういう問題を陰でつぶして回るのが製作の仕事なわけです。

 ということで、申し訳ないけれどここのくだりは、
 討ち入りという『プロットありき』のちゃち演出としか思えなかったです。
 こういう対応をする人が現実に『いない』とは申せませんが、
 それは、言葉を飾らず言えば、その方のレベルが低いだけのことで、
 わざわざ映画にするような話ではないと愚考いたします。


その三 『第三飛行少女隊めでゅーさ』をどうやって放映したのか

 序盤に、ムサアニがテレビ版後編で制作した『第三飛行少女隊』の続編、
 他社が元請けになった『第三飛行少女隊めでゅーさ』が映されます。

 前作が持っていたシリアスさやドラマ性は皆無、
 ふつうに腰が抜けるようなエロ萌え作品に変貌を遂げておりまして、
 いかにムサアニが真摯なモノづくりをしていたかを逆説表現しているわけですが……

   これ、どうやって原作者承認とおしたの?

 原作者の野亀武蔵って、作品に『こだわり』を持つキャラ設定でしたよね。
 それも、ただこだわりが強いだけでなく
 前作『セーラー服とF3』でぐちゃぐちゃ改変されたトラウマがあるという話で。

 だからこそテレビ版『SHIROBAKO』で、みんな悩まされたわけであります。

 ところがこっちは、似ても似つかぬ、きゃぴきゃぴ萌えエロ系。
 こんなの、原作者が承認しないのはもちろんだけど、
 その原作を売りたい版元が許可するわけないじゃないですか。

 まあ、売れるか売れないかわからないド新人の作品や、
 版元やアニメ制作側に何も言えない気弱な作家センセイならあるかもです。

 だけどテレビ版の流れで考えたら、
 作家も作品も版元からかなり大事にされている状態なわけでして、
 限界まで崩しても『ふもっふ』ぐらいなのではあるまいかと。

 これが通るんならテレビ版の熱いやり取りが『ウソ』になってしまいます。
 いくら演出の一環とはいっても、
 前作との整合性がとれない権利処理ってのは、僕的にはホビロンです。
{/netabare}

そういうところを加味すると、
僕的なおすすめ度はどうしてもBランクになっちゃいます。
製作面でのリアリティが乏しすぎますから。

  ただまあ、昭和は確かにこんな感じだったらしいです。
  マジですか、というずさんな話や、
  大損こかされた話、笑うに笑えない話もいくつか耳にしています。

  だけどその反省があって、いまの権利処理体系があるわけです。
  制作を『いま』のリアルに寄せた映画を作るのであれば、
  もう少し製作にも現実味を持たせた作品にしてくださいな、と。

  2010年代でこれっていうのは、ほとんど時代錯誤の領域です。

まあ、万年人材不足の業界ゆえ、
こういうのが絶対に『ない』とは言い切れないんですけどね。
でも「あるある」なんて言ったら製作の人怒るんじゃないかなあ。

みんなゼニカネにはけっこう慎重ですよ、余裕がないだけに。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 26

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

いやフィクションだから絵空事には違いないんだけど・・・あと今一番気になっているのは「みゃーい」いらなくない?ってことで・・・←みゃーいはいらなくない!って話

2014年秋期~2015年冬期にかけて2クールに渡って放送された、あの“アニメを制作するアニメ”の『SHIROBAKO』が劇場アニメになって帰ってきた!
正直登場人物多くて前作のあらすじとか説明するのダルいんですけど(爆)これだけは言わせて欲しい!
『SHIROBAKO』の登場人物ってアニメ制作に携わる人々の最少人数しか描かれてないんですよ!
つまり1人たりとも欠けてはいけない人達しか描かれてないんです
だから登場人物多過ぎ・・・と退かずに真摯にこの作品のキャラ達と向き合って欲しいんですよ、僕は!


ムサニこと武蔵野アニメーションが制作した『第三少女飛行隊』の完結から3年4ヶ月後
とある事件がキッカケで下請け制作会社に逆戻りしてしまったムサニ
宮森あおいはムサニのラインプロデューサーに
安原絵麻はフリーランスの作画監督に
坂木しずかはローカルテレビのアニメ関連番組のリポーターに
藤堂美沙はスタジオカナブンのメインアニメーター格に
今井みどりは新人脚本家に、それぞれなっていた
成長しているようで、停滞してもいるよう・・・どこか惰性で日々を過ごしてしまっている面々だった
ところがある日、宮森は元ナベPこと渡辺から新しい仕事の話を持ちかけられる
「今のムサニで劇場をやるとしたら、どうする?」
背水の陣に立たされたムサニに舞い込んだ、あまりにも大きな劇場用アニメ映画制作の依頼
苦悩する宮森、ロロとミムジーの問いかけに、彼女は大きな決断をするのだった・・・


さて、僕は本当に『SHIROBAKO』という作品が好きでして、何故か?と問われれば【アニメが好きなのと同じくらいアニメを作ってる人達が好きだから!】です
アニメの制作者と、アニメを制作することに、最大限の愛を捧げたアニメが『SHIROBAKO』だからなんです
しかしそれと同時に、『SHIROBAKO』は僕が思うところの“理想のアニメ制作現場”とは違う、ともテレビシリーズの頃から思っていました
基本的に『SHIROBAKO』って制作進行やプロデューサーである宮森の目線で描かれるわけです
つまり現実の制作会社で言うところの、P.A.WORKSの堀川社長、或いは今回の劇場版で言えば相馬P、彼等が思い描く理想像というのが色濃く反映されている作品と言えます


じゃあけみかけが言う“理想のアニメ制作現場”ってどんなんだよ?wと思われたことでしょう
それはずばり、クリエイター目線で理想的な環境、です
これについては長くなってだいぶ『SHIROBAKO』から脱線してしまうので、また別の機会に語りたいと思いますが、奇しくもこの劇場版『SHIROBAKO』と並行して今期には『映像研』というテレビアニメが放送してるのが面白いですよね
ずばり、クリエイター目線で描かれているのが『映像研』なので、両者を比較していただくのが手っ取り早いので強くオススメします


ところで、『SHIROBAKO』には無駄な登場人物など一切登場しないと前述しましたが、今作で追加された新キャラ、みゃーいこと宮井楓
ぶっちゃけキャラ表が公開されてから実際に本編を観た後に至るまで、「正直コイツいらなくね?」って疑問がずっと頭の中を巡っていたんですよ、僕は
そんなこんなでずっとレビュを書けずに今日までいたんですが、3回ほど映画をリピートしてやっと分かりましたわ
『SHIROBAKO』は堀川社長、つまりラインプロデューサー目線だって前述しましたよね?
ラインプロデューサーって仕事は、クリエイターと製作委員会に挟まれるいわば中間管理職のような立場でして、残念ながら味方になってくれる同じ立場の人に乏しいんです
そこは今作の宮森も同じで、人を使う側の立場に立ったはいいが自分を助けてくれる人はいない・・・という一見して順風満帆でも実は天涯孤独の様な立場として描かれてるんです


で、そこでみゃーいの登場です
彼女はメーカープロデューサーのアシスタントで宮森と同性で同世代?としてより宮森に近い立場で接してくる
単純に気の合うビジネスパートナー、の様でもありますが、実はこの関係、凄く大事で“制作者”と“製作者”の隔たりを無くすためには彼女達の様な親密な友好関係が必要なんです
これ、堀川社長に対するインフィニットのナガッチョこと永谷さんの立場を体現したキャラってことなんですよ


知らん人の為に解説すると、インフィニットは「こーゆーアニメ作りませんか?これ原作にしてアニメ作りませんか?この人スタッフに連れてきたらどうですか?製作委員会はウチが集めますよ!」ってアニメ制作をプロデュースする会社です
アニメは作らない、でもこのインフィニットが無ければ世に出なかったアニメの数は無数
特にP.A.WORKSとは切っても切れない縁と言っても過言では無いでしょう


実際のところ、劇中でみゃーい自身が何か作品を生み出すキッカケを作ったり、孤軍奮闘する活躍を観せるワケではありません
でも宮森1人では到底辿り着けなかったであろう作品完成への道筋には、確かにみゃーいという人間の力が必要だったわけです
自分1人では無理だけど、誰かが助けてくれれば無理難題でも乗り越えられる
これが堀川社長が思うところの“アニメ制作の理想像”ってわけです


まあ肝心のナガッチョ自身の容姿は【げ~ぺ~う~の社長役のモデルにされてしまっているんですけどねwww】(爆オチ


ところで「明日に向かってえくそだす(逃亡)」から始まった『SHIROBAKO』が「明日に向かってヨーソロー(出発)」で終わるのって、エモくないですか?

投稿 : 2024/11/02
♥ : 18
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.3

職業ものとして破綻、カタルシス無し、5人もヒロインも描けず。

 TV版で描かれなかった5人組の成長物語かなあ、と思って2022年6月の今見てみました。

 これは厳しいなあ。前半は武蔵野アニメーションがどれだけ悲惨かの説明でした。中盤がスタッフ集め。とにかく10カ月でアニメを作るという緊迫感がまったくありません。同窓会を見せつけられている感じです。それが目的の劇場版でもあるんでしょう。ファン向けの作品としては成立している可能性はあります。

 そして、私が勝手に思っていた5人のアニメ同好会のカタルシスを期待したんですけど…これどうなんでしょう?まあ、TV版からいってこの設定は邪魔でしかなかったわけですけど…

 大人の世界の仕事として、10カ月でアニメを作れる戦略がありません。むかしのアニメの一部を活かせるという理由もなくはないですけど、これが無いのでまったく映画として機能しません。宮森はどうやって10カ月で?そして個々の奮闘もまったく描かれないし。

{netabare} そもそも10カ月ですら通常の2年に対して無茶なスケジュールだと散々言っておいて、3週間前にできて作り直しって…
 これ出来が一番よかったTV版の前期の全否定ですよね?みんなで力を合わせれば2年を10カ月にできるよ!という風にしか見えません。

 大人が全然描けてないです。TVシリーズは実在の人物を取材したんだと思いますが、だから面白みもありましたが、今回はそういうものがないので、リアリティ云々ではなく、職業ものとして完全に破たんしています。

 契約で1回目の納期でもめたときに取るべき対処を後回しにして、ドラマを作ってますけど悪い奴をギャフンと言わせる以上のものがないです。そもそも契約不履行ですのであの時すぐに損害賠償の裁判を起こすレベルの話です。本来、監督一人で出かけて門前払いとか…法務と弁護士と相談して内容証明ですよね?普通は。
 で、それを放置して2回目もめるって…前回のTV打ち切りの反省が全然いかせて無いですね。あの優秀な総務の女性は何をやっていたのでしょう?

 それと、ミュージカルとか心象風景とか、内容に厚みがあれば活かせるんでしょうけど。そう。ヒロインの宮森に全然感情移入できないんですよね。彼女が何に苦労しているかまったく不明です。
 気合いで作る、気合いで人集める。ガッツポーズして私がんばります?

 作画の遠藤さんの奥さんとのくだり、要りますか?他に描くべきところないでしょうか。5人組の話が無いのに?
 脚本の悩みの部分は?キャッチボールして解決?

 で、完成した劇中劇があのレベル?こんなすごいのを作ったのか、という感動がまったく持てないレベルです。少なくとも本編よりも映像が良くないと駄目でしょう。
 あのキャラデザ、作画、エフェクトのアニメを実際に劇場公開して話題作になると考えたんでしょうか。ここがすごければまだカタルシスになるんでしょうけど。

 で、最後は5人組のショットで終わる?うーん、うーん、うーん…他にも欠点は上げられますが、まあ、もういいです。 {/netabare}


まとめます。

 契約不履行で話を作っているがリアリティがない。1回なら業界あるあるなのかもしれませんが、制作中止で社長やめていて、で、また文書にしないで他社ともめて…さらに、そこでもう1度放置してって…監督はトラウマになるレベルだったんですよね?
 人集めがメインで、それぞれにミニエピソードをくっつけているけど、細かすぎてどうでもいい。
 5人組どうなった?この話が幹に見えて全然幹になっていないので視点がブレブレ。
 ヒロインは何をがんばっているの?ヒロインが10カ月で完成させる作戦は?この作戦のプロセスがストーリーの幹になって、カタルシスになるのが映画だと思うんですけど。
 劇中劇の出来がひどすぎる。

 と、言ったところです。
 
 一応名作ということらしいので、どこかにいいところはあるのかもしれませんが、私は拾えませんでした。ファンはうれしいかもしれないし、同時代性で盛り上がりから外れているせいかもしれません。

 そもそもアニメ映画制作の話をアニメ映画でやる以上、それなりの覚悟も矜持ももって世に送り出すべきでしょう。本作の話だとなんだ、そんな温い世界の話なの?そんな適当にアニメって作ってるんだ…ということになってしまいます。
 テーマ性、エンタメ性、センスオブワンダー、職業ものとしてのウンチク。どれをとってもほぼ0点です。評価点は2.5点ですが、作画でかろうじて3点/100点というところ。ゴスロリ作画の人がいたので加点して9点/100点かなあ。

 ポンポさんとか映像研とか見た後だと余計に…

投稿 : 2024/11/02
♥ : 15
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