shino さんの感想・評価
3.8
夏の思い出
コミックスウェーブが描く美麗な風景と、
3つの短編が織りなす珠玉の青春アンソロジー。
自分と世界との関係を知ることは難しい。
世界は絶えず動いている。
何かにずれを感じて立ち止まろうものなら、
もう流れにはついていけない。
僕たちは自分の居場所さえわからないのだ。
初恋の終わりはあっけないもので、
何も言葉を持たず何も出来ずに終わる。
彼は冷たい街が無表情にさせるという。
心の何かが損なわれてしまったのだろうか。
変わらないものと変わっていくものがある。
ここでは陽だまりの朝食であり、
初めて芽生えた淡い恋心の思い出だ。
急速に色褪せていく記憶の中で、
背中にそっと手を置いてくれる優しいもの。
確かに変わらないものがある。
それは季節を巡り、時を越えて、
僕たちの背中を後押ししてくれるのだろう。
希望を持ち歩いていくしかないのだ。
人生とはそういうことだろう。