独裁者でSFなおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの独裁者でSFな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月22日の時点で一番の独裁者でSFなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

77.9 1 独裁者でSFなアニメランキング1位
LAST EXILE ラストエグザイル(TVアニメ動画)

2003年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (1030)
5960人が棚に入れました
『アナトレー』と『デュシス』の2国が戦争を行い、それを超技術組織『ギルド』が調停することで成り立っている世界プレステール。
アナトレーに住むクラウスとラヴィは自分たちの父親が残した「ヴァンシップ」と呼ばれる小型飛行艇を駆使し、空の運び屋を営みながら父親たちが超えることの出来なかったグランドストリームと呼ばれる大きな嵐をいつか越えることを夢見ていた。
そんなある日、前線で戦う空中戦艦に家族からの手紙を届ける仕事を引き受けたことから、世界を揺るがす戦いに巻き込まれて行く…。

声優・キャラクター
浅野まゆみ、斎藤千和、白木杏奈、森川智之、山崎和佳奈、喜多村英梨、桑谷夏子、野田順子、半場友恵、三木眞一郎
ネタバレ

ひげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

快楽天の絵にだまされたおまえ!

残念、これはガチンコスチームパンクだ!(それは当時の私も)

スチームパンクが大好きな私めからすると、世界、メカ設定、キャラクターと個人的にはパーフェクツ。
OPは名曲、キャラ、メカデザイナーさん大好きです。
ヤバくなる(会社的に・・)前のゴンゾ作品。脂がのっていているとはまさにこのこと。
『良いゴンゾ』といえばカレイドスターもいいけどこっち派。
音楽もCG、作画もいい。当時は大いに話題になった。
ヴァンシップの空戦もやばい。
ただあまりにキャラとかが∀ガンダムっぽいってんでツッコミもはいりーの。観ればわかるが、まさにラピュタでターンエー。
前田さんって人、両方参加してるんだね。そりゃなるわ。


この作品が傑作と呼ばれず、マニア向けなのはその作風からだけではない。
CGをつかった華麗な作画が売りの本作品、当時のゴンゾ。
しかし中盤からウリであるヴァンシップのシーンがが少なくなりはじめ・・でもおもしろいんですよ?
それで浮かせた金とスタッフを結集したであろう後半から最終回で力尽きてしまい大ゴケw
作画以前にスタッフ間での意思疎通が不十分というか・・。
話、人物、各種設定が複雑なのがいけないんだろうけど。
幹事が仕切れなくなっちゃって各話担当部署がてんやわんやっていうのかな。
加えて、それくらいむずかしい内容なのにシナリオが最終回で突然ブーストオン!!
初見はなにがおこったのかさっぱりわからない。
監督達がどこぞの雑誌で他のことがいそがしくなったととかなんとか・・人員、予算的なサムシングも・・。
作品がいろいろ破綻を起こします。
完全なマラソンでのペース配分ミスです。
ゴンゾさんなにしてんすかww
すごく悔しいからケツだけリメイクしてください。
手直しすれば2クールモノじゃぁ相当の傑作になる。
要は、ここまで書いてきたこと以外は相当いいんです。人をえらぶだろうけど。いまだに歯がゆいというか・・。
だからファムよりは遥かにマシというか土俵が違うかね。
このちょっと転んだ感じがこの作品のチャームポイントということにしとく。

{netabare}
最終回はよく観なおせばなんとなく分かるのですが、こう・・タメがないので胸にくるものがない。
ドラマになってないのよ。
このお話の結果お前らはなにを手に入れたんだ?なにをこれからするんだ?と。
そりゃグランドストリーム突破、エグザイル、支配からの開放なんだろうけど。
その結果が抽象的にしか描かれず。
あーおもしろかったっていうカタルシスがねえの。
ファムの販促とおぼしき、作監のムラオ氏の漫画を読むとはっきりとわかるのですが。。
あのプロローグまで最終回で描くべきだった。
ここの住人さまにお勧めされて読んだんですが、
そうだよ!これだよ!って叫びたかった。

マクロスの最終回。メガロードが旅立つ話、ぱくってしまえばよかったのに・・。
てかたぶんそうしたかったし、そもそも、そういう内容の最終回だったのかもしれません。それにしては断片的すぎる。
解説ではあの麦畑は母星帰還後のシーンと語られている。
でもあとからスタッフが説明したってなんも意味ない。
とにかく実質、視聴者に結末の判断をぶんなげるという手段を使ってしまった。そういう作品じゃないのに。

そしてなにしてたんだ主人公wまさにパズーです。
龍の巣入ってそのあとは。なんもねえ。
漫画で自虐してたのがなんとも笑えるが悲しいw

ここから導きだされる結論は、ネガな部分は当時から製作側もわかっていたんだけど、お金とかの問題で思い通り作れなかった・・・だからあんな終盤、主人公の扱いにせざるをえなかったと。。。それをどうにかするのがプロなんですが、なんとか見れるモノにしてたんですね・・。文句言ってゴメンよぉ・・。
{/netabare}


余談ですが、一部の人間でしょうが、この作品の最強兵器といえば、タチアナ様です。まさに至高のツンデレ。
デレ要素が1割もなかったよな。ツンしかないかもしれん。
続編ではあんなにオトナになっちゃいましてデレ成分が増量でしたが、全盛期の本作ではちょとレズっぽい髪型、あんまりいやらしく見えない不思議なパッツンスーツから垣間見る発展途上のカラダがそそられるんです。

そんなタチアナ様の愛機、BOX買わないと手に入らないシロモノだったのですが・・ファムのおかげでプラモ?化決定
10年越しの愛が実る。
ファムのべスパも出してほしいぬ。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 21

せもぽぬめ(^^* さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

もっと磨けばより輝いたのにって印象です(-ω☆)キラリ

■「LAST EXILE」ってこんなアニメなんです(*^0゚)☆彡
アニメ制作会社のGONZOの10周年記念作品として2003年にオリジナルアニメーション「LAST EXIL」が放送されてたのです♪
さすが記念作品だけに、作品に込められた熱い思いを感じる出来栄えになってましたね♪
壮大な世界観で展開される物語なので、簡単なあらすじだけでも掴んでから視聴した方が楽しめるような気がします(o^∇^o)ノ… もっと見る
 
なので、簡単なあらすじをちょっとだけ紹介なのです。 \_(*゚▽゚) チャントリカイシテクダサイネ♪
 
かつて人類が地球から安住の地を求め降り立った地「プレステール」。( ̄ー『+』)安住の惑星発見!!
「プレステール」にはグランストリームといわれる巨大なサイクロンが「プレステール」の地を真っ二つにしていたのです∑( ̄ロ ̄|||)なんと!?
2つに分けられた地には「アナトレー」と「デュシス」って国が発展していて、平和に!?暮らしていたのです。
その2国を禁欲精神で古くから統制管理している存在があったのですけど、それが合議制国家の「ギルド」なのです。 パチッ☆-(^ー'*)bナルホド
 
ある時「デュシス」という国では、"気象制御装置"が壊れてしまった為に寒冷化が進み、グランストリームで分けられた反対の国の「アナトレー」に移民すべく侵攻しはじめたのです。
一方、「プレステール」を管理する立場の「ギルド」でも不穏な動きが・・・
合議制国家から独裁国家となっていたのですね!(゚ロ゚;)エェッ!?
 
またそんな時代に『ヴァンシップ』という小型飛行艇で運び屋をしていた主人公のクラウスとラヴィは、亡き父親達が超えられなかったグランストリーム越えを夢見て努力する日々を過ごしていたのですけど、この激動の歴史の波に飲み込まれようとしていたのです・・・∑(゚ロ゚〃)
 
 
■総評
本作品の魅力はなんと言っても壮大な世界観だと思ってるのですけど、その世界観を支えているのがスチームパンクと詳細な設定が魅力となっているんじゃないかなぁって思うのです。
スチームパンクといえば『蒸気』を動力源としてるので、巨大な蒸気機関や石炭の時代で感じる「扱い辛さ」などレトロな雰囲気を連想させてくれるのと、極限まで蒸気技術を発展させた近未来的な発想や要素が融合した作風が魅力ですよね♪
私が観た作品の中での代表作は「スチームボーイ」って印象だったのですけど、それよりも前に本作品が制作されていたことに改めて驚かされました♪
 
また作中では、通信手段として真鍮管やライトの点滅によるモールス信号を使っている描写があるのですけど、レトロな雰囲気を壊さないようにしている配慮が随所で見られるで、制作会社GONZOの意気込みを感じられて好印象でした(*^o^*)
また、『クラウディア溶液』という燃料を高温高圧で循環させて浮力と推力を得ている発想がうまく生かされているなぁとも思いました!
ヴァンシップがクラウディア溶液不足で動かなかった時に循環パイプを切断して少量の燃料でも、循環させられるようにして動かした場面では、まさに感心させられましたよ(゚∇^d) グッ!!
 
そんな世界観を放送当時では最高ランクと思えるほどの映像美とBGMの選曲のセンスの良さが更に盛り上げていましたね(*゚▽゚)ノ
 
キャラも個性的でそれぞれの心情変化がうまく表現出来ているので、キャラの特徴を把握するのには時間は掛からないです。
ただし、ストーリー的に2クールという枠は短かった印象ですね(/□≦、)
特に物語の後半は視聴者に連想させるような区切り方でちょっとでも頭の中で整理出来ないとと理解不能に陥る危険性があったような気がします(^▽^;)
個人的にもっと掘り下げて欲しかった関係・・・
・エラクレア家(デルフィーネ)・バシアヌス家(マリウス)・ダゴベール家(レシウス)・ハミルトン家(アルヴィス)
・マウリス⇔ユーリス⇔ソフィア
・ヴィンセント⇔ソフィア⇔アレックス
・モラン⇔ドューニャ
ストーリーを構成する上でも結構重要な関係でもあると思ってるのですけど・・・
作中ではかなりあっさりと触れられただけで、ヾ(゚0゚*)ノアレアレー?って感じですw
 
観終わった率直な感想は、かっこ良い作品って印象です♪
物語はちょっと物足りなさを感じるのですけど、3クールもしくは4クールで構成していればもう少し違った印象になったかも知れませんね♪
 
 
■MUSIC#
OP曲『Cloud Age Symphony』
 【作詞・作曲・編曲】沖野俊太郎【歌】OKINO,SHUNTARO
 沖野俊太郎の疾走感溢れるテクノサウンドと抑揚を利かせたゆるりとした歌い方が見事に融合してますね♪
 とってもハイセンスでアニメの世界観を壊すことのない名曲だと思います(゚ー゚☆キラッ

ED曲『Over The Sky』
 【作詞・作曲・編曲】黒石ひとみ【歌】Hitomi
 優しく包み込むようなウィスパーボイスが特徴で、エスニックかつ神秘的な雰囲気の黒石ひとみさん!
 コードギアスでもお馴染みですよね♪
 とっても良い余韻に浸らせてくれる優雅で独特なリズムが心に響くナンバーです♪
 
挿入歌『Prayer for Love』10・17話   
 【作詞・作曲・編曲】黒石ひとみ【歌】Hitomi
 ハープの音色が神秘的で優しく子守唄を聴いているようなナンバーです♪
 
挿入歌『Rays of hope』21話
 【作詞・作曲・編曲】黒石ひとみ【歌】Hitomi
 エスニックな雰囲気で力強いナンバーです♪

挿入歌『skywriting』14話 『I can see a heart』16話
 【作詞】Damian Broomhead【作曲・編曲 】沖野俊太郎【歌】OKINO,SHUNTARO
 ビートルズやビーチボーイズといった1960年~70年代のミュージックシーンを彷彿させるナンバーです♪
  

2011.11.13・第一の手記
2011.11.20・第二の手記(追記:■MUSIC#)

投稿 : 2024/12/21
♥ : 64

たま。 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

惜しいっ!!

バトルもありますが、物語としてはラスト、世界について少しわかる世界系のお話だと思います。
美しい絵(村田蓮爾のキャラクターデザイン:私は好き)、素晴らしいCG、音楽、引き込まれる世界観で独特の雰囲気の世界を描いていると思います。
12話の戦艦バトルは必見。ちょっと鳥肌がたったのを記憶してます。
さすがはGONZO、10周年記念アニメ。ほぼ文句なし。ただ個人的には・・・ラストが・・・。きれいにまとまっているのだけども、引っ張った割にはややあっけない収束。もう少し盛り上がっていれば間違いなくアニメ史上に残る傑作となっていたでしょう。まぁまとまっただけでももちろん良作であることには変わりないのですが。個人的には物凄く惜しい作品。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 24

69.7 2 独裁者でSFなアニメランキング2位
サカサマのパテマ(アニメ映画)

2013年11月9日
★★★★☆ 3.8 (663)
3145人が棚に入れました
どこまでも、どこまでも坑道が続く地下世界。狭く暗い空間であっても、人々は防護服を身にまとい、慎ましくも明るく楽しい日々を送っている。地下集落のお姫様であるパテマは、まだ見ぬ世界の先に想いを馳せて、今日も坑道を探検する。お気に入りの場所は、集落の「掟」で立ち入りが禁止されている『危険区域』。これまでに見たこともない広大な空間には、幻想的な光景が広がる。世話役のジィに怒られながらも、好奇心は抑えられない。いつものように『危険区域』に向かったパテマは、そこで、予期せぬ出来事に遭遇する。何が『危険』であるのか、誰も彼女に教えてはくれなかったから。隠された“秘密”に触れる時、物語は動き出す――

声優・キャラクター
藤井ゆきよ、岡本信彦、大畑伸太郎、ふくまつ進紗、加藤将之、安元洋貴、内田真礼、土師孝也

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

王道にして未だかつて誰も観たことの無いボーイミーツガール&ディストピアSF超大作!

正直全く想像力が追いつかなかった;
今年、色々と驚かせてくれる仕掛けを持った映画はいくつもあったんです
ところが今作は冒頭からラストシーンに至るまで全てが衝撃的過ぎてしばらく頭ポカーンになってしまいました;
凄すぎる、スタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』
或いはクリストファー・ノーランの『インセプション』を初めて観た時に近い
「感動」ではなく「ショック」










薄暗く狭い地下世界で探究心を抑えきれず駆け回るお姫様、パテマ
自由の無い地上の管理社会で人々が禁忌とする空を飛ぶことに憧れる少年、エイジ
ある日の探検中に地下道の奥底、果てしない暗闇へと落下してしまったパテマ
辿り着いた先はエイジのいる地上だったのだが彼女は空に吸い込まれるように浮き上がって空に向かって「落ちる」と言う
そうそれはつまり、「エイジとエイジのいる世界」「パテマとパテマのいる世界」それぞれの重力の向かう方向が上下真逆だということを意味していた
地上では地に足を付けることが出来ず、「空に落ちる」ことを恐怖するパテマを庇ってやることにするエイジだったが、やがてサカサマ人の秘密を探ろうとする地上の君主によって二人は引き裂かれてしまう・・・









上下サカサマの少女との出会いから始まる物語、ということで劇中では度々に視点が上下逆転します
見慣れたはずの景色が上下逆転するだけで異化効果をもたらすとは、これぞアイデアの勝利


さらに地に足の着かない不安感、恐怖感
いつも身近にある空に吸い込まれていくという未体験の感覚
これらの設定の斬新さ、新鮮な画面構成


そして、手を離せば空に吸い込まれてしまうという相手を必至に抱きかかえ続ける、心をくすぐる様な密着した距離感が魅せるときめき、ドキドキ感


最後の最後まで目が離せない、息も吐かせぬスペクタクルな展開のストーリー


特に素晴らしいのがこの少しややこしい世界観をgdgdと説明するシークエンスがほとんど無いことにあると思う
これは繰り返し視聴に耐えうるモノなんだと、そう実感する瞬間ですね


ぱるたんのレビューにも書いてあるけど、宮崎駿にいま最も近いのは細田守でも新海誠でもなく、吉浦康裕なんだろうかと思う今日この頃
ちなみにファンタジーってよかディストピアSFですね、これ


個人的に一つだけ気に入らないところは音楽が大島ミチルってことで正直五月蝿いことでしょうか(爆
まあそれを逆手に取った演出もあったりで実に楽しませてくれます(本編を観た方はすぐに気付くと思いますw)


アニメが好きで、冒険が好きなら、この大作をスルーすることはできないはず

投稿 : 2024/12/21
♥ : 38

ninin さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

どちらがサカサマなんだろう

約99分

地下に住む人々と地上に住む人々がいる世界、地下に住んでいるヒロインのパテマは地上に憧れて、禁を犯して地上に行きました。そこで出会った少年 エイジとこの世界の謎に迫るファンタジー作品です。

いつも観ている世界が逆になっているってどんな感じがよく分かるお話です。空がこんなに怖いと思ったのは初めてですね〜

タイトルにも書いたようにどちらの世界がサカサマになっているのか錯覚する場面がたくさんあってグルグルしますねw

ドキドキハラハラするシーンがたくさんあります。観ているとあっと言う間にですね〜 ちょっとジブリ作品を思い出すような作品です。

目が離せないほど面白かったです。是非、サカサマの世界を観てくださいね。オススメです^^

最後に、パテマとエイジが徐々にお互いの信頼度がアップしていくところが素敵でした。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 56
ネタバレ

ヲリノコトリ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

「物質に働く重力の向きが2種類ある」傑作SF

【あらすじ】
 「咎人は空に落ちる」。重力が反転した人々は地下に隠れ住んだ。そして月日は流れ、何も知らない少年と少女が出会う。その果てに待ち受ける真実も知らず……。

【成分表】
笑い★☆☆☆☆ ゆる★☆☆☆☆
恋愛★★★☆☆ 熱血★★☆☆☆
頭脳★★★★☆ 感動★★☆☆☆

【ジャンル】
SF、恋愛

【こういう人におすすめ】
SF好きな人。しっかり考えながら見るタイプの人。

【あにこれ評価(おおよそ)】
68.3点。いまいち。

【個人的評価】
舐めてたけど予想を超えてきた。スタジオ六花の可能性を感じた良作。

【他なんか書きたかったこと】
 地中に重力が逆向きの人々が住んでいて、ひょんなことから重力が逆の少年と少女が出会う。なんと少女は手を繋いでいないと空に落ちて行ってしまうのだ!そして始まる『天空の城ラピュタ』的な二人の冒険劇……。
 分かる。言いたいことは分かりますよ。一つのアイデアでゴリ押しする感じのありがちなストーリーに思えますよね。要するにご都合いちゃいちゃアニメじゃんハイハイご苦労さんって思ってるでしょう?
 少なくとも私はレンタル屋でパッケージを見たときにはそう思いました。
{netabare}
 でもこれ実はすごいですよ!「物質に働く重力の向きが2種類ある世界」というSFとして見ると、物理学的に全然間違ったところが無いです!
 そして、隠された謎も面白い!最後まで明言されない謎なので、ながら見するとストーリー構成の妙に取り残されますよ!

 むしろ頭を使ってアニメを見るタイプの人、緻密なストーリー構成が好きな人にこそおすすめしたいアニメ映画です。「重力が逆向きの二人のボーイミーツガール」というアイデアだけでも十分アニメ映画は作れたでしょうが、そこからさらに一歩テーマを突き詰めた良作SFです。
 映像的にも天地反転のカメラワークが面白くて「おー」ってなります。

↓以下、「一度みたけど何がすごかったん?まあラストあんま意味わかんなかったけど」という人だけ開いてください。これから観る人は絶対開けちゃダメ! 
{netabare}
 物語の始まりでは女の子サイドは地底人。男の子サイドは地上人として登場します。地上の都市の名前は「あいが」。この時点ではなんのことか分かりませんが、ちょっとスルーできない雰囲気を持つ都市名です。

 で、ボーイミーツガール。ここはまあ楽しんでください。
 でもこのあたりでの「都市の外のタブー」地域があとで効いてきます。

 で、女の子捕獲→救出。ここもまあ楽しんでください。
 しかしここで、「あいが」サイドが地底人に対してなんか無駄に敵対心があることが読み取れます。「罪人」という言葉も無駄に出てきます。これは単にジブリの悪役のマネしたいわけじゃなく、ちゃんと裏設定があるのです。”遥か昔”は、地底と地上で交流があったことも示唆されています。

 で、二人で空に落ちる!
 この展開、結構面白くないですか?本来は女の子のほうが軽かったので下向きの力の方が強くて地面にいたのですが、この時は女の子が足かせをしていたのでその重さの分だけ上向きの力が勝って空に落ちてしまったのです。なんか物理かじってるとこういうの楽しいです(笑)
 そして空へ浮いて浮いて行き着いた先が、都市!?
 ここまでちゃんと見てた人は大パニックになります。これはむかし空に飛んで行った人たちの都市なのか?いやいや、そうなると空の上にもう一つ地平があることになります。まさか地球をぐるっと囲むようにもう一つの地面の膜が作ってあるのか?
 NOです。
 最後までみると分かりますが、ここには人は住んでません。これは「気象発生+照明装置」です。……はい?って思いました?さあ先に行きましょう!
 
 ここでちょっといい話挿入。でもこれ、都市から気を逸らせるための罠です。にくいことしますね(笑)

 そして地下→ラスト。地下の一番底が抜けて、空が!
 わかりましたね。
 つまり地底人は男の子サイドのほうだったのです。女の子サイドは地下に住むだけの地上人。地底に「あいが」という巨大な空間があり、そのさらに最下層に無人の都市(に見える気象装置)があったのです。
 「あいが」=「さかさまのガイア(大地)」だったんですね。ま、これはチープっちゃチープですがさらっと面白いことしやがる。
 女の子サイドは「サカサマ事件」を起こした実験に関与していた人たちの末裔で地下都市アイガを監視する役目。男の子サイドは地下に追いやられたサカサマ人。アイガの人が地底人を恨んでいるのは当然ですね。しかしお互い長い年月の末、そのことを知るものがいなくなったようです。
 アイガの外のタブー地域はつまり、空間の終わり。つまり地下空間の壁がある場所なのです。
{/netabare}

↓「SFとして面白いこと!ちょっと間違ってること!」これも観てない人は開けちゃダメ!
{netabare} ・まず、アイガの男性陣は結構パテマを軽々片手で持ってますが、これはちょっと握力強すぎ。女の子が片手で懸垂してるのと同じ力が必要です。

・最初に二人で大ジャンプして追手をかわそうとしたシーン。あれはジャンプの瞬間にパテマ側も男の子を押すようにして二人の腕が曲がらないようにしないと成功しません。全体的にこいつら筋肉質だなあ。

・二人がアイガの塔から空に落ちるシーン。ちょっと初速が速すぎますね。もうちょっと風船くらいの速度で行かないと、無人の都市にぶち当たってヒキガエルですよ!

・しかし、無人の都市にぶち当たって死ぬことがない。これは空気抵抗で説明できます。二人の重力の差がごくわずかであればすぐに空気抵抗によって加速しなくなるので、「ゆっくり着地」はあり得ます。まあそうなるとゆっくり離陸するはずですけどね(笑)

・親が昔作った重力反転気球みたいなやつ。動力0で浮遊できる!ちょっとリスキーだけど魅力的な乗り物です!重りの落とし方ミスったら宇宙の果てですね。

・最後本当の地面が抜けた時、アイガ側におちる破片と、本当の空に落ちる破片の2種類がありましたね。芸が細かい!

・これ言ったらSFってジャンルはオシマイですが、地下につくられた空間デカすぎですね。地平線で見えなくなるところまで、認識できないほど地下深く掘られています。
{/netabare}

 さかさまな二人から子供生まれたらどうなるの?とか、ご飯食べたら浮くの?みたいな面白い考察をするレビューがありました。まさしく!そこらへん面白いです!分子レベル、量子レベルで重力が反転していると考えるのが自然なので、理論上「どっちの分子でできているか」によってどっち向きか決まると思います。
 ということはサカサマ人は地上の食べ物を食べ続けて正しい重力方向の炭素を摂り続けたら、地上で暮らせるようになるかも!反転する瞬間が怖いですが。あと、反転するまでは、排泄したう○こが上にすっ飛んで行きますね。
 ……やめとくかこの作戦は。
 あ、炭素など取らずとも数日正しい重力方向の「水」を飲めば重力反転は可能ですね!熱中症とかになって脱水症状がでたら宇宙まで飛んでいくかもですが。
 「生まれてきた子供」はほぼ母体の炭素から構成されるはずなので、パテマ側の重力になること間違いなしです。

↓私発案!正しい重力の戻し方!
{netabare}
1、地下の一室に閉じこもり、天井に磔にします
2、この状態で水だけを正しい重力方向のものと代えて、数日過ごします。その間、おしっこは浮くかもしれません。
3、何日かすると重力が反転します。
4、次にご飯も正しい重力のものに代えて数か月過ごします。この時期には頃合いを見て地上に出ることも可能です。
5、完成!もうサカサマ人じゃないよ!サイヤ人だよ!(髪の毛は逆立ちます)
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 40

63.9 3 独裁者でSFなアニメランキング3位
DTエイトロン(TVアニメ動画)

1998年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (23)
141人が棚に入れました
2187年、強い紫外線が降り注ぎ荒廃した地上。ドーム都市データニアでは、子供達が感情を制御され巨大建造物「パイル」での作業に従事させられていた。そのうちの一人、主人公の少年シュウは海への憧れから脱走し、アンドロイド「エイトロン」をあやつる少年たちと出会う。彼らは、データニアの子供たちを解放しようとするレジスタンス、「リターナー」だった。シュウは彼らととも、にユートピアといわれるもうひとつのドーム都市「アモーロート」を探して旅発つ。一方、シュウ達が高い環境適応能力を持つ「DT(データトランスフォーム)保有者」である事を知ったデータニアは、捕獲のための部隊を送り出す。

声優・キャラクター
保志総一朗、夏樹リオ、矢島晶子、諏訪部順一、川澄綾子、山口勝平、神奈延年、辻谷耕史、遊佐浩二
ネタバレ

lZQnV50529 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

雰囲気を味わうアニメ

これを、SFの面白さを追求という観点から見たらつまらないでしょうね。これは完璧に雰囲気を味わうアニメ。たとえば、第15話のラブソング。 {netabare} 輸送手段を失って歩いて移動していた一行が、風力発電を見つけ、人が住んでいる村を見つけますが、この村は、世界の人々が歌を歌う習慣がなくなったので、歌を皆で歌って世界に歌を流している村だったというお話です。人々が練習のために歌う歌をBGMにして、お話が進んでいくところはさすがだと思いました。 {/netabare}
深夜放送時間帯で、ちょっと仕事に疲れてぱっとテレビをつけたらとてもよかったという感じのお話が多かったと思います。OPの歌はとても好きな歌詞で、お話の展開とも符合しています。幸せな時代に生まれたことを感謝して生きていきたい。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 3
ページの先頭へ