Witch さんの感想・評価
2.7
(最終)【失敗作の典型例-3】原作とアニメの方向性の不一致 冬月さんだけが「奇跡の産物」
【レビューNo.43】((最終レビュー)初回登録:2023/3/22)
コミック原作の2023年作品。全12話
後半幾分持ち直したものの、前半の失点が大きすぎて・・・
(ストーリー)
妖狐や不死鳥等の末裔が共存している世界。主人公氷室君も雪女の末裔。
そんな氷室君とその同僚のクールな女子・冬月さんによるラブコメ。
(評 価)
・原作とアニメの方向性の不一致
・他のレビュアーさんも触れておられますが、一番の要因はこれですかね。
・不器用者同士のもどかしい恋愛模様
・ラブコメを学園モノでなく大人でやりたい
・色を出すために、妖の末裔設定を加えたい・・・etc
といろいろアイデアを出したのはわかるが、物語の全体像としてどんな作品にしたいのかが練り
上げられていないというのが致命的。
ただ事前に設定したアイデアをつまんで、その場の思い付きでエピソードを作っているって感じ
なので、こちらからすると「何がやりたいの?」ってチグハグ感が拭えないんだよね。
・ところが原作はWebコミックなので1巻を読んでみたのだが、これはよかったなという印象。
上述手法はWebコミックだから成り立つ手法。思いついたアイデアをどんどんショートストーリ
ーしてぶち込み、そこからクリーンヒットが何本か出れば作品として成立みたいな。
・正直これならショート枠で、原作に忠実にショートストーリーをテンポよく畳みかけるコメディ
主軸の作品にした方が活きたように思えますね。
これを中途半端に(物語性のある)ラブストーリー仕立てにしようとして失敗した感じですね。
(このアイデアだけで練り込みせず、それっぽい原作を中途半端に繋いだだけみたいな・・・
で、原作の持ち味もぶち壊したと。
恐らく30分枠という大風呂敷を広げてしまったので、この方向性でって話になったのでは?)
・最初に決まったのは冬月さん?
・個人的な推察であるが、最初に決まったのは冬月さんというキャラなのかなあと。彼女だけは
「不器用」という骨太な設定がしっかりしていて「感情を上手く表に出せない」「人のために
一生懸命だけどどこかズレてる」「恋愛という感情を上手く整理できない」等それらがきちん
と言動に反映されているからすごく共感できるんですよね。
それと対照的に主人公氷室君は・・・彼の魅力はなんなの?
・「社会人設定」→学生と違う「大人」を描けているか?(単に目先を変えただけ?)
・「関西弁や雪女の末裔設定」→魅力ある個性に繋がっているか?(単なるギャグの引き出し?)
・「冬月さんのために何かしたい」というセリフの薄っぺら感
って感じで、「ただ恋愛に奥手なじれったい奴」という感情しか生まれてこないんだよね。
・ただこれも「原作とアニメの方向性の不一致」なのかなあっと。
確信は持てないがこの原作の主役は冬月さんで、冬月さんの不器用で無自覚なボケを氷室君の
愛ある氷属性ギャグで受け止めるみたいな?(氷室君は相方ポジ)ならいろいろと納得かな。
(原作をざっと読んだ感じでは、氷室君をラブストーリーの主人公にするには・・・)
「冬月さんの冬月さんによる冬月さんのためのアニメ」→「冬月さんだけが『奇跡の産物』」
アニメの方はこれ以外の何モノでもなかったですね。
結局この作品の何が琴線に触れたからアニメ化しようと思い至ったのか・・・
アニメを見る限り、話題作だから飛びついて「作品愛」もなくただ「アニメ化だけを目的」とした
ようにしか見えなかったですね。
正直原作もかなり酷いのでは?と誤解していたのですが、他の方のレビューを読んだら原作に触れ
ていたので確認してみたら・・・って感じで、そのレビュアーさんには感謝ですね。
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(2023/1/25現在)
【4話視聴】冬月さんの冬月さんによる冬月さんのためのアニメ
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