爆発でコメディなおすすめアニメランキング 5

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの爆発でコメディな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年10月12日の時点で一番の爆発でコメディなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

80.5 1 爆発でコメディなアニメランキング1位
モブサイコ100(TVアニメ動画)

2016年夏アニメ
★★★★☆ 3.9 (928)
4678人が棚に入れました
自己表現がヘタな超能力少年・影山茂夫、通称・モブ。
普通の生き方にこだわり、超能力を封印しているモブだが、感情が昂り、その数値が100になったとき、彼の身に何かが起こる!
インチキ霊能力者、悪霊、謎の組織……モブを取り巻く様々な人に囲まれて、彼はいったい何を思い、何を選ぶのか?
WEBコミック界のカリスマ=ONE(「ワンパンマン」)の原作を、アニメーションスタジオの最高峰=ボンズがテレビアニメ化!
TOKYO MX他にてテレビアニメ放送中! 2つのONEによる期待値100%超の青春超能力アクション!


声優・キャラクター
伊藤節生、櫻井孝宏、大塚明夫、入野自由、松岡禎丞、細谷佳正、藤村歩、種﨑敦美、佐武宇綺
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

モブ君と霊幻さんの掛け合いが面白い、超能力アクション&心霊ギャグ

モブこと影山茂夫君と、その師匠であり、自称霊能力者、もとい詐欺師?の霊幻新隆(れいげんあらたかと読む)さんの師弟コンビが主役のアニメの様です。

1話冒頭から遺憾なく発揮される、モブ君による色彩豊かな花火の様な超能力表現が取り分け目を引きました。それにしてもお強い。殆ど無敵キャラですね(笑)。

純朴で静かなモブ君と、大口叩きでありながら常にテンパリ気味の霊幻さんの掛け合いは、古典的なギャグと言い切ってしまってもなんら語弊は無いと思われますが、絵柄の面白さも相まってかなり笑かされました。

奇抜なキャラデザなので、背景からキャラが浮いている様に見えてしまう場面もいくつかありましたが、ちらっとだけ心霊スポット探索でもしている様な気分にもなれましたので、この作品の持ち味として概ね受け止められました。(1話トンネル入り口付近の背景が特に。2話以降はキャラが背景に馴染んでました。)

それにしてもモブ君と霊幻さんの関係は謎です。自称霊能力者として、依頼があれば片っ端から危険な場所に足を運ぶであろう霊幻さんが、本物の霊感のあるモブ君と出会うという事も、無きしも有らずと思われますが、なぜに師弟関係? 今後の展開で明らかになるのかも知れません。

あとちょっと心配なのは、霊幻さんの嘘がいずれバレてしまうかも知れないと言う事。(1話から結構際どかったので、あるいはモブ君はもう知ってるかも)それでもモブ君なら涼しい顔で許してくれる気がします。そんなオーラをまとっておられる底知れぬお人です。

以下は各話の感想

~3話~
{netabare}
怪しげな宗教団体「(笑)=かっこわらい」とその教祖エクボ現る。正義感溢れる新聞部女子、米里イチさんも登場。そしてついにモブ君が100%に!?

(笑)の教義とは無理にでも笑い顔を作る事で、形から入って本当に笑える様になるというもの‥。悩みの原因を究明しないで表層だけ取り繕っても何も変わらない事は明白です。お仲間達に守られている間は笑っていられるかも知れませんが、独りぼっちになった時、付け焼刃の幻想はぽっきりと折れてしまう事でしょう。

ジョークの様な話ですが、こんな事を真面目に演説している政治活動家が現実にいたりします。もしかしたら新興宗教団体の中にもこんなのがあるかも知れません。似た感じのはいっぱいあります。何というか‥現実の方がヒド過ぎる‥。モブサイコ作中でもれいによっていんちきでした。

2話、3話と続いて、利己的な思惑があるにせよ、霊幻さんの言う事に説得力が加わってきており、モブ君の事を心から心配しているような節も見受けられました。前回のマッサージの腕前といい、かなりの勉強家の様ですし‥(笑)。これなら超能力が使えない事がモブ君にばれてしまったとしても変わらず師匠って言ってもらえる気がします。
{/netabare}
4話、5話
{netabare}
肉体改造部に入部し、新たな自分を見出そうとするモブ君ですが、塩中と黒酢中の不良同士のケンカに巻き込まれてしまいます。初登場となるモブ君以外の超能力者、花沢輝気(テル)も現れ、ギャグ色が大幅に減り(絵柄とかで笑える所あるけど‥)若干バトル物の様相を呈してきました。

初登場時では画で笑わせる印象の強かった肉体改造部の人たちですが、今回では部員思いの優しくも熱い面を爆発させます。もはや肉体改造というレベルじゃない? まるで暴風雨が吹き荒れた様に、瞬く間に不良たちを平らげてしまいました。

続くクライマックスのモブ君とテルの戦い。能力の優劣を付けんとモブ君に戦いを強要するテルに対して、超能力で人を傷つける事を自身に許さないモブ君は身を守る事にのみ徹します。窮地に立たされながらも、あくまでもテルに対して超能力を行使しないモブ君の姿に私は彼の本物の強さを見ました。相手の土俵には決して上がらず、あくまでも自分の信念を通すモブ君、何者にも屈しない確固たる個性があったのではないでしょうか? 超能力が無くともモブ君は空っぽの人間ではないのです。

競争社会の中で自身の価値を、他者との比較、上下、優劣と言った一方的な価値観でしか見出せずに苦しんでいる全ての人達に観てもらいたいお話と思いました。

より強い力を求む者、力が無ければ何かを守れない? その何かとは何でしょうか? 守っているのは本当は国とか家族とかじゃなくて、本能とか呼び習わされている生物の遺伝的特質、あるいは犬も食わぬ様な卑屈なプライドの塊とか何かではないでしょうか? 私はどちらかと言うと後者だと思います。バトル展開は好きではないですが、物語、キャラの台詞に魅力を見出せる良い回でした。(回想シーンの霊玄さんも‥)

前回から暗い影が差すモブ君の弟の律君の事も気になりますが、次回からはまた初期仕様に戻るとの事、このままバトルものにならないでほっと安堵。霊幻さんの出番が戻ってくる事に期待したいと思います。
{/netabare}
6~8話
{netabare}
前回の次回予告では初期仕様になるとの事でしたが、6、7、8話とかなり違っていました。ギャグ少な目で、あってもビジュアル面とか申し訳程度、霊玄さんの依頼引き受けパート(多分マッサージパートともいう)も取って付けた感じで、同じネタの使い回しもあり、私的にあまり楽しめず、ちょっと残念でした。

お話全体も暗さと暴力性を帯び始め、律君の迷走、不良同士の抗争、悪の組織の登場など、どちらかというとバトルものにありそうな展開が続きます。ゆる~い心霊ものとしての初回の雰囲気からどんどんと離れていってしまいました。

バトルといえば5話のテル回ですが、この時はまだ、モブ君の力の放棄とテルの孤独感が絡み合い感動的なドラマを作り出していましたが、8話はもう、不良漫画とかドラゴンボールみたいな完全なバトルものになってしまっていて、殴ったり蹴ったりの応酬が殆ど。不良を"ガキ"呼ばわりする大人も子供。大人の私にはただただ痛々しい印象が残るだけで、ドラマとしての魅力が全く感じられませんでした。モブ君の超能力で人を傷付けまいとする信念はどこに‥という疑問も‥。律君の為だから仕様が無い気もしますが‥。

8話終幕、モブ君とテルが同盟を結ぶ展開は良かったのですが、これもバトルものではお約束の展開‥‥。それにしてもテルのあの頭、面白いのは分かったから、もう初期仕様に戻しても良いのではなかろうか‥?

次回もバトルが続くようです。
{/netabare}
9話
{netabare}
律君救出のお話。ますますバトルものの様相を帯びてきている気がしてなりません。悪人の性格もみんな似たり寄ったり、暴力で脅して言う事を聞かせるタイプ‥。序盤はギャグとか会話劇が多めのアニメだったのに、一旦バトルものの色に染まってしまうと物語の描き方の安易さからそこから抜け出せないものなのでしょうか?

古くからあるジャンプ漫画のパターンそのままなので、あまりにも進歩が無いなぁと今回も残念な内容でした。
{/netabare}
10話
{netabare}
今回もまたバトル回。特徴的な画風を除けば、古典的なバトルものの展開を辿っている様にしか見えませんでした。戦いのけりが短時間でつくのは、見ていてストレスを感じなくて良いけれど、バトル前には期待させて、"あっさり敗北(もちろん敵が)"のパターンは前回から繰り返しでした。視聴者に爽快感を与えたい為なのか、無意味に敵の数が多い様な気がします。

終幕には長らく出番の無かった霊玄さんの姿が! まさか、ウソでしょ?

続けて視聴してみようと思います。
{/netabare}
11話
{netabare}
颯爽と現れた霊玄さん。自信あり気な態度とお得意の口車で「爪」の構成員たちを懐柔、大いなる張りぼてのカリスマをかざし、アジトの奥へと進みます。

「爪」幹部を目前にしても一歩も引かぬ姿勢、非超能力者でありながら、こすい大人の言動と姑息極まりない戦法で相手との力量の違いをものともせず善戦? 爪の超能力者達を"大人になれなかった子供"と断じ、モブ君を連れ帰ろうとする霊玄さん、堂々たる迫力がありました。6話から脈々と続く、幼稚なバトル過多のエピソード全てを布石と錯覚させる程のインパクトがある展開でした。

‥でも、いくらなんでもご都合過ぎる? 冷静に見たら古典的なギャグ描写満載の陳腐な展開と言わざるを得なかったのかも‥。まぁ、今回の主役は霊玄さんだし仕方ないのかも‥(笑)

そして後半パート、「爪」アジトから脱出を試みるモブ君と律君、テル、霊玄さんの4人。人を傷付ける罪をモブ君に負わせたくない霊玄さん、その決死な行動がモブ君の"何か"を再び目覚めさせてしまいます。

ギャグ、シリアス、存分に入り混じった、久々の充実のお話でした。
{/netabare}
12話
{netabare}
最後は結局モブ君が?と思っていたら意外や意外、今回も霊玄さんのターン!

モブの信頼を経て力を得た霊玄さんの無双振り、非常に痛快でした。「没収」と桜威の武器を奪ったり、「人と話す時はマスクを外しなさい」とばかりに遺志黒のガスマスクを引っぺがしたり、あらゆる超能力を無力化しつつ、最後は説教で止め。これが師匠の実力なのか!?

霊玄さんは自らを"庶民"と称し(ほんとは詐欺師だけど)その庶民の力に及ばない幹部達をも庶民と断定。圧倒的な力の差を持って説き伏せるやり方は強引この上ありませんが、結果的には彼らを無力化してしまいました。口車の上手さはやはり大人?もとい詐欺師? まぁ、それで言い負かされてしまうというのが「爪」という組織のへぼさとか薄っぺらさなのですが‥。

とは言っても、「爪」幹部達の持つそれぞれの個性とか力はやっぱり特別なものなので、そこら辺は認めてやって欲しかった気もします。力の強さがどうのとか、上下の話ではなくて‥。でもそれは彼らが後で冷静に見つめていくべき所なのでしょう。

ボスの遺志黒については自己愛の塊の様な人で、人を見下し認めず、その癖自分は認められたいという、力の上下でしか人を評価する事の出来ない、最も幼稚な思考の持ち主であったという印象を残しました。正体が‥‥であったという事も殊更その印象を際立たせています。人をサルと蔑む一方で、人から認められたいというのは矛盾する考えで、この遺志黒という人、実は自分がつまらない人間であると言う事を内心知っていて、それを認めたくないだけなのかも知れません。最後まで抵抗し続けた悪霊使いの人についても多分同じ様な思考の持ち主なのでしょう。

エピローグ、鬼瓦と生徒会長、律君の問題についてのお話があります。リコーダー事件を経て精神的に成長した鬼瓦の、"自業自得の部分もあった"と事件当時を振り返るさわやかな台詞と共に、かなり非道な事をした生徒会長と律君は快く許されました。人の罪を責めない態度、度量、立派でした。いいやつです。

最後の最後、オマケのツチノコ捜索はかな~り久し振りの日常ギャグ回。1話から先、特に成長していない移り気でイイ加減な霊玄さんと、大きく成長したものの、いつもと変わらぬ穏やかさをもつモブ君の姿が見られました。

ここで終わってしまってもいいかなと思える物語でしたが、バトルものというのは後に控える敵を常に用意しておくもの。まだまだお話は続く様です。

もし2期があったら、初回近くのお話とか上記のオマケみたいな日常パートとかギャグを大目にして欲しいけど、どうなるのでしょうか? 漫画未読なので分かりませんが期待したい所です。
{/netabare}

押切蓮介先生の漫画とかに見られる様な、※幽霊+ギャグという意外(むしろ今や定番?)な組み合わせに面白さを見出せる作品でしたが、途中からバトルものに? 初期仕様に戻って欲しいけど無理なのだろうなぁ‥。

最後まで観終えて。紆余曲折ありましたが、最後は初回の雰囲気に元通り。全編を通してみると、とても楽しい作品でした。

※:でろでろ、プピポーなど、面白おかしな妖怪、幽霊もの。幽霊ものじゃないけれど、押切蓮介先生は時代設定を90年代に据えたゲーム漫画「ハイスコアガール」の作者としても結構有名。諸事情で連載停止状態でしたが再開された様で良かったです。

※作画の過大評価は1話冒頭のモブ君のスゴ過ぎるESP描写によるものです。

投稿 : 2024/10/05
♥ : 27
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

再評価。能力と劣等感、生きづらさを描いた秀作。作画も印象以上にすごい。

22年5月に1回目のレビューを描きましたが「お兄ちゃんはおしまい」「チェンソーマン」の他、いろいろ現代の生きづらさを描いたアニメ等に触れて、本シリーズを本腰いれて見ようと再視聴中で1期を見終りました。23年12月に再評価です。

 本作の原作開始は2012年です。超能力の強さの兄へのコンプレックスによる弟の悩みが中心テーマになっています。その一方で主人公の兄の価値観がモテる、モテないの問題になっています。青春への憧れです。兄が身体性を求め身体を鍛え始めるのが面白いところでしょう。身に覚えがある人も多い行動ではないでしょうか。2009年の「ワンパンマン」よりも「強さだけ」の役に立たなささが深刻になっています。

 超能力=勉強と捉えるのが自然でしょうけど、その力でバトルしますので勉強だけだと狭い気はします。人を傷つけることは駄目だ、人に力を向けるなと言われてきたのに、社会・世間は皆人を傷つけ、力を人に向けて使っている矛盾を描いています。
 
 主人公は大人に騙され搾取されています。傍から見れば霊幻は悪い存在ですが、彼の居場所でもあります。そして、人を騙し搾取する資本主義の象徴でもありますが、彼によって救われる人がいるのは確かだし、一般常識的な大人でもあるような気がします。

 もう一つの視点としてエクボを置いたのが面白いところです。彼により能力の有無や強弱の解説が話にうまく溶け込んでいます。霊幻が資本主義の大人の常識なら、エクボは力あるものの論理です。

 笑顔を強要する宗教もまた「面白い人」がモテる、空気を読むなどの時代の気持ち悪さを象徴していました。

 そして怪しげな「能力開発セミナー」です。「能力さえあれば何とかなる」ということを皮肉っている様にも見えます。本当に能力がある人は開発セミナーなんていかない…これは塾と捉えてもいいですが、資格取得の予備校とかアニメ専門学校とか肩書と学歴、あるいは「学ぶことそのものに付加価値をつけている」社会にも見えてきます。その中低レベルの中で強い弱いと競っていても本当に実力ある人はそんなものに頼らない。

 そういう時代の問題を拾って、作品に仕立てた本作は面白いというより興味深いです。1回目のレビューは絵柄でその辺の読み取り方が中途半端だった気もします。

 ただ、2012年(アニメは16年)のこの頃は、まだ、彼の悩みは心の持ち方で何か救済があるような描き方でした。それが2019年の「おにまい」「チェンソー」の原作だと、女になるしかない、悪魔になるしかない状況になっています。
 そして今は「アンテッドアンラック」「はめつのおうこく」などもう滅びるしかないという状況なんでしょうか?


 アニメとしてもう1点着目したいのが作画です。本作キャラデザが原作に寄せているので、作画が良いように見えませんが、作画のいいアニメを求めて研究していたら本シリーズは外せなさそうです。2期・3期と良くなってゆきますが、1期の段階でもかなりのレベルだと思います。

 人を回り込む様に見せる・回転させる、表情・感情表現で顔だけでなく身体を動かす、構図が単純じゃない、背景が丁寧で独自性があります。そういったところが非常に丁寧に描かれています。

 オール4の評価にしていましが、ストーリーキャラは4.5。作画を5に変更します。続きものということで極端に高くはしませんが、初回の時は見る目がなかったと反省です。
 ただ、時代が10年で変わっています。劣等感や資本主義と大人の汚さ、社会における承認などは永遠のテーマではありますが、若干古い感じがし始めているのは事実でしょう。2期・3期でどう変化して行くのか楽しみです。





以下 一回目22年5月ののレビューです。



主人公の劣等感の話が、サブキャラ、ゲストキャラに視点がうつってゆく?

{netabare}  3期が来るそうで、そんなにすごいんだ、と思い視聴しました。1期を見たばかりで2期も見てないです。前半はかなり面白い、後半はまあまあでした。

 非常にわかりやすくコンプレックスの話なんでしょう。中2であることはまあお約束ですね。思春期の悩み、とくに自己肯定感とか女性からの目とかそういう部分を主人公を初めとした悩んでいる側の主観で描いている感じです。

 痛さをあまり感じないようにギャグ…というほど面白いギャグでもないですが、ギャグで相対化している感じといえばいいんでしょうか。笑うほど面白くないですが、マンガやアニメのキャラを茶化したような構造が、感情移入しないで客観視しているような視点で描く効果がある気がします。
 そのくせ、主人公の悩みにはライドできる感じなので新しい表現手法なのかもしれません。

 テーマ的には力がイコール生きやすさでもないし、モテる要素ではない。兄弟間のコンプレックス。大人の責任と力の使いかた、学校内での役割と実際の力…肉体と超能力みたいな感じで、描いていたと思います。

 それぞれのエピソードもどんなキャラのどんな劣等感や欲望の話なのかが明確でテーマの割には見やすく理解しやすい話で面白かったと思います。

 ただ、主人公の不自然なところって、新聞部の娘とか電波なんとか部の部長とか女の子が近くにいるのに、惚れないところがオタクじゃない感じですね。
 それだけでなく段々と不自然になってゆく気がします。彼のキャラの造形って劣等感と力のアンバランスに共感できて、初めはいいんですけど、爪の辺りですでに物語を語るためにどんどん歪んでいって、モブくんはどんどんキャラのためのキャラになっている気がします。

 つまり本作は出落ちとまで言わなくても、超能力で無敵な主人公が、モテナイコンプレックスや、やりがいとか中学生らしいバラ色な時間みたいな一般的な幸せがないと感じている、という設定が彼のアイデンティティの表現です。ここはすでに爪の話のところまでである程度描けてしまっていました。

 つまりワンパンマン的な方向性、つまりサブキャラ、ゲストキャラが今後は主人公を中心に騒ぐ構造の話にならざるを得ない、主人公が空気になってしまわないでしょうか。

 気になるのは、師匠の正体です。昔読んだSFで能力を持たないことが能力という存在がいましたけど、そんな感じ?あるいは禁書の上条?よくわかりません。完全に能力がない、それを口八丁で丸め込むというコミュ力でしょうか。


 総評は、テーマをうまくストーリーにしたてて、かなり面白かった前半の目新しさに比べ「爪」以降興味が減じて行きました。
 それは主人公から周辺のキャラに視点がうつっていったからで、現在のワンパンマンのつまらなさと同じ方向性なのでちょっと気になりました。

 原作は絵でアウトで読みもしませんでしたが、アニメではキャラデザ含めてかなり見やすいです。

 前半と設定だけなら90点以上つけられますが、後半の展開が60点、平均すると75点という感じでした。ですが、本作だけなら結構面白いアニメだったといえると思います。

 2期以降どうなるかですね。ゲストキャラ頼りにならなければいいんですけど。 {/netabare}

投稿 : 2024/10/05
♥ : 9

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

裏バンの白ティーポイズン

霊幻新隆の圧倒的胡散臭さと文句をそこまで言わずにいいように利用されている感ある茂夫。
茂夫がインチキに気付いているのかどうかはよく分からんが、とりあえず小学生の頃に気持ちが救われた恩返しも兼ねてお手伝い。
でも、嘘から出た実もあるってことで。

裏番長になっているのは草。ニックネームのセンスよ。
肉体改造に励むのも良いことです。

圧倒的な強さとモブな感じの組み合わせが面白くて続きが気になる作品。


OP
99 MOB CHOIR
ED
リフレインボーイ ALL OFF


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
自己表現がヘタな超能力少年・影山茂夫、通称・モブ。普通の生き方にこだわり、超能力を封印しているモブだが、感情が昂り、その数値が100になったとき、彼の身に何かが起こる!インチキ霊能力者、悪霊、謎の組織……モブを取り巻く様々な人に囲まれて、彼はいったい何を思い、何を選ぶのか?

1. 自称霊能力者・霊幻新隆~とモブ~
科学では解明できない怪奇現象と戦う「霊能力者」たち。「霊とか相談所」を営む霊幻新隆もまたそのひとり――を自称する、ニセ霊能力者。彼の頼みの綱は、相談所でアルバイトするスーパー地味な中学2年生・影山茂夫、通称「モブ」にほかならなかった……。モブ爆発まで――27%。

2. 青い春の疑問~脳感電波部登場~
部員不足が原因で、生徒会から廃部の通告を突きつけられた脳感電波部。そのメンバーである犬川が目をつけたのは、クラスメイトのモブだった。彼らの執拗な勧誘を一旦、保留するモブだが、そんなとき「霊とか相談所」に聖ハイソ女学園からの依頼が舞い込む。私物の紛失やポルターガイストなど、怪奇現象に悩んでいると話す依頼人たち。さっそく探索を開始したモブは、体育館に悪霊・匂い嗅ぎを追い込むが……。モブ爆発まで――42%。

3. 集いへの誘い~簡単に言うとモテたい~
肉体改造部に入部したはいいものの、川原をランニングしただけで倒れてしまうモブ。彼の願いは筋肉を鍛えて、憧れの幼なじみ・ツボミちゃんと仲良くなることだった……。思い悩むモブにある日、声をかけてきたのは奇妙なマスクをつけた女。彼女に誘われビルの一室を訪ねたモブの前に、満面の笑みを浮かべた男が現れる。彼こそは、笑顔の維持が幸せを維持する条件だと説く怪しい宗教団体「(笑)」の教祖・エクボ様だった。モブ爆発まで――20%。

4. 馬鹿オンリーイベント~同類~
宗教団体「(笑)」騒動のあと、モブはエクボなる悪霊につきまとわれるように。さらには、騒動でモブの力に感づいた新聞部の米里イチが、モブの周囲を嗅ぎまわり始める。そんなある日、肉体改造部をひとりの生徒が訪れる。その生徒とは、塩中で番長を張る鬼瓦天牙。彼は先日、黒酢中に乗り込み、その裏番長・花沢輝気、通称「テル」にコテンパンにされていた。なぜならテルもまた超能力の持ち主だったから……。モブ爆発まで――45%。

5. OCHIMUSHA~超能力と僕~
黒酢中の裏番長である「テル」こと花沢輝気にタイマン勝負を挑まれたモブ。まったく超能力を使おうとしないモブに対し、テルは苛立ちを募らせる。テルによって一瞬にして消し飛ばされるエクボ、破壊される校舎、乱れ飛ぶ包丁と沸き立つ黒雲……。圧倒的な力を振るうテルの姿を前に、モブはかつて、自分と弟の律の身に起きた悲劇を思い出す。「超能力を封印しよう」と思った、あの日のことを……。あとに残された悲しみは――100%。

6. 不調和~成るために~
テルとのタイマン対決もひと段落し、戻ってきた平穏な日常。相も変わらず霊幻は、インチキ降霊術で依頼人を騙くらかし、脳感電派部の暗田トメは、モブを引き連れて超能力者を探しに出掛ける……。そんなある日、モブの弟・律はある男に声をかけられる。男の名は密裏賢治。律を、すっかりモブと勘違いしている密裏は、彼を私設の超能力研究施設・覚醒ラボへと招待するのだった。そして、その施設内には超能力を持つ子供の姿が!?

7. 昂揚~喪失を手に入れた~
塩中の生徒会長・神室が主導する「非行生徒への声かけ運動」により、次々と駆逐される不良たち。一方、黒酢中の裏番・テルを蹴散らしたモブの噂は「白Tポイズン」なる呼び名とともに、ひとり歩きをし始める。我こそは「白Tポイズン」を倒さんと、集まってくる他校の番長たち……。さらには、秘められた超能力を覚醒させた律は、エクボから「兄を越えたいなら、俺と組め」とそそのかされ、自在に力を振るう万能感に酔いしれるが……。

8. 兄ペコ~破壊意思~
他校の番長たちを叩きのめし、万能感に酔いしれる律。そこに現れたのは、ほかでもない兄のモブだった。昔から律が超能力を欲しがっていたことを知り、力の覚醒に「おめでとう」と声をかけるモブ。しかし律は、そんな兄を撥ねつける。さらにそんな兄弟の姿を、遠くから見つめる謎の男・誇山。彼は圧倒的な強さで律の身柄を奪い、どこかへ連れ去ろうとするのだった。弟を救い出そうと、モブは自らの超能力を発動させるのだが……。

9. "爪"~第7支部~
謎の男・誇山によって拉致された律たち。彼らが連行された先は、人類を正しい未来へと導くため、世界征服を目論む秘密組織「爪」の第7支部だった。教育係により洗脳させられそうになるも、一瞬の隙をついて脱出する律たち。一方、モブとテルたちもまた、刺客として彼らの前に現れた「爪」の幹部・寺蛇を捕え、組織の秘密を聞き出す。律を助けるため、第7支部へ向かうモブたちだが、そこには「爪」の幹部たちが待ち構えていて!?

10. 巨悪のオーラ~黒幕~
律を助けるため「爪」の第7支部に潜入したモブとテル。一方の律もまた、脱出の手立てを探していた。行く手に待ち構えるのは、魔津尾、宮蛾輪、無飼、槌屋、嶽内、霧藤ら、「爪」の幹部たちと支部長・遺志黒。壮絶なバトルが繰り広げられるなか、テルは囚われの身となり、エクボも敵の術中に。さらにショウと名乗る不思議な少年が現れ、モブも敵と合い討ちになってしまう……。絶望的な状況下、ついに「爪」の黒幕が姿を見せる!?

11. 師匠~leader~
超能力が一切効かない、通称「封印部屋」に閉じ込められたモブと律、テル。そのとき彼らの前に、思いも寄らぬ人物が現れる。その人物とは、モブの師匠である自称・霊能力者、霊幻。なぜか「爪」のボスと勘違いされた霊幻は、いとも簡単に支部の中心部に足を踏み入れ、モブたちの救出に成功する。しかしそんな彼らの行動を、遺志黒が見逃すはずもない。支部から逃げ出そうとする一同の前に、「爪」の幹部たちが立ちふさがる。

12. モブと霊幻
「爪」の第7支部の幹部たち――桜威・邑機・魔津尾・遺志黒の圧倒的な力を前に、ついに追い詰められてしまうモブ。しかしそのとき、彼が下したのは意外な決断だった。モブはなんと、自分の持つすべてのエネルギーを、霊幻に丸投げしたのだ。モブのエネルギーを借り、さらには得意の口八丁で、霊幻は幹部と支部長の遺志黒をなぎ倒していく……。そうして、ようやく取り戻した平穏な日常。霊幻に電話で呼び出されたモブが向かった先とは……?

投稿 : 2024/10/05
♥ : 9

83.1 2 爆発でコメディなアニメランキング2位
この素晴らしい世界に祝福を!紅伝説(アニメ映画)

2019年8月30日
★★★★☆ 4.0 (498)
2346人が棚に入れました
交通事故(!?)によりあっけなく人生の幕を閉じるはずだったゲームを愛するひきこもり・佐藤和真(カズマ)は、ひょんなことから、女神・アクアを道ずれに異世界転生することに。「RPGゲームのような異世界で、憧れの冒険者生活エンジョイ!めざせ勇者!」と舞い上がったのも束の間、転生したカズマには厄介なことばかり降りかかる。トラブルメーカーの駄女神・アクア、中二病をこじらせた魔法使い・めぐみん、妄想ノンストップな女騎士・ダクネスという、能力だけは高いのにとんでもなく残念な3人とパーティを組むことになったり、借金で首が回らなくなったり、国家転覆罪の容疑で裁判にかけられたり、魔王軍の幹部を討伐したり、たまに死んだり……。そんなある日、駆け込んできた紅魔族の少女・ゆんゆんの爆弾発言にカズマたちは凍りつく。「私、カズマさんの子供が欲しい!」事情を聞けば、めぐみんとゆんゆんの生まれ故郷「紅魔の里」が、滅亡の危機に瀕しているという。里を救うために旅立ったゆんゆんを追いかけて、紅魔の里へ向かうカズマたちだが――!?カズマたちパーティを襲う最大の危機!平凡な冒険者カズマが過ごす、異世界ライフの未来はどっち!?

声優・キャラクター
福島潤、雨宮天、高橋李依、茅野愛衣、堀江由衣、豊崎愛生

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

異世界生活は、里帰りですら大冒険…!?

この作品の原作は未読ですが、TVアニメの第1期と第2期は視聴済です。

最近、アニ友から本作品の原作が完結したと聞きました。
その際、
「面白い作品なのに勿体無い…でも面白いからきっと第3期もあるよね~^^」
「そうだ、第3期の前に劇場版を視聴しないと…」
という話題で盛り上がり、現在に至っている訳ですが…

この作品の視聴後にwikiをチラ見して知ったのですが、アニメ第1期は原作の第1巻から第2巻、アニメ第2期は原作の第3巻から第4巻の内容が基になっているんだそうです。
一方、完結した原作の巻数は全17巻…
これって、原作のストックが貯まりまくっているじゃありませんか!

こんなにも原作のストックが残っているとは夢にも思いませんでした。
これは劇場版に続く続編を作ってもまだお釣りが来るのではないでしょうか!?
これまで角川10話枠だったので、今度もきっと10話枠なんでしょうし…


交通事故(!?)によりあっけなく人生の幕を閉じるはずだった
ゲームを愛するひきこもり・佐藤和真(カズマ)は、
ひょんなことから、女神・アクアを道ずれに異世界転生することに。

「RPGゲームのような異世界で、憧れの冒険者生活エンジョイ!めざせ勇者!」

と舞い上がったのも束の間、転生したカズマには厄介なことばかり降りかかる。

トラブルメーカーの駄女神・アクア、
中二病をこじらせた魔法使い・めぐみん、
妄想ノンストップな女騎士・ダクネスという、
能力だけは高いのにとんでもなく残念な3人とパーティを組むことになったり、
借金で首が回らなくなったり、国家転覆罪の容疑で裁判にかけられたり、
魔王軍の幹部を討伐したり、たまに死んだり……。

そんなある日、駆け込んできた紅魔族の少女・ゆんゆんの爆弾発言にカズマたちは凍りつく。

「私、カズマさんの子供が欲しい!」

事情を聞けば、めぐみんとゆんゆんの生まれ故郷「紅魔の里」が、
滅亡の危機に瀕しているという。
里を救うために旅立ったゆんゆんを追いかけて、紅魔の里へ向かうカズマたちだが――!?

カズマたちパーティを襲う最大の危機!
平凡な冒険者カズマが過ごす、異世界ライフの未来はどっち!?


公式HPのあらすじを引用させて頂きました。

そういえばカズマは引きニートという設定だったんですよね^^;
異世界に来てちっとも引き籠っていないので、すっかり忘れていました^^;

そう、今回の物語は「めぐみん」の故郷である紅魔族のお里が舞台となっています。
事の始まりは、あらすじにも書かれている「ゆんゆん」の爆弾発言…
この嫌疑は早々に晴らされるのですが、紅魔族のお里の凄いのと来たら…

めぐみんは、例の爆裂魔法を放つ際、決まって名乗りを上げるじゃありませんか。
今ではめぐみんのトレードマークになっているので違和感は感じませんが、紅魔族のお里は、めぐみんみたいな連中ばかりの集団だったんです。
単騎なら違和感ありませんが集団になると違和感しか感じなかったり…^^;

違和感といえば、みぐみんのご両親も相当でした…
めぐみんから父の名前が「ひょいざぶろー」と聞いていましたが、名前から連想するイメージと実物との間に天地程の隔たりがあるとは正直想定外でした。

それだけじゃありません。
カズマからとあるキーワードを聞いた瞬間から態度が一変するんです。
特に母親のゆいゆいの豹変っぷりは半端ありません。
しかもCVが能登さんだから雰囲気…というかキャラの放つオーラも凄いんです。

こうしてみると、本作品のメインヒロインはめぐみん一択だったようです。
もちろん、アクアやダクネスも登場しますが、めぐみんより存在は希薄でしたので。
物語の合間に時折見えるめぐみんの可愛らしさに、しっかり萌えが感じられる構成だったと思います。

そして、本作品でも魔王軍の幹部はしっかり登場します。
これまでも魔王軍幹部のキャラは独特でしたが、今回の幹部も特濃クラスなので、こちらも期待は裏切りませんでした。
しっかり期待した分だけ応えてくれる作品だったと思います。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

メインテーマは、Machicoさんの「1ミリ Symphony」
エンディングテーマは、アクア、めぐみん、ダクネスによる「マイ・ホーム・タウン」
エンディグのほんわかした感じの曲調はもうお約束ですね^^

上映時間90分の作品でした。
この作品ならではの優しさが感じられるラストの展開も言うこと無し!
やっぱりこのすばはこうじゃなくちゃ…

後は続編の制作発表を待つばかり…
思い切り期待していますよ~!

投稿 : 2024/10/05
♥ : 34

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

我が名はけみかけ!映画『このすば』の魅力を伝えし者!!一見してハーレムに見えども、決して煮えきれないヘタレに訪れたモテ期を語ろうぞ!!!

2016年冬期に第1期、2017年冬期に第2期がアニメ化された所謂“なろう系”異世界転生ラノベシリーズの初の劇場版
原作第5巻を題材にしつつテレビアニメと変わらぬスタッフが再集結
元請け制作はDEENからJ.C.STAFFに変更されました


事故死から異世界へ転生させられた引きこもりの少年カズマ
彼が転生先に特典として選んだのは、転生を司る水の女神アクアそのもの
神を旅の道連れにすることに成功したカズマだったが、実はこのアクアがとんでもないクセモノ
素行が悪く、口も悪いトラブルメーカーで、危機的状況をさらに悪化させるフラグを平気でバンバン立てる上でおまけに酒乱ときてる
能力が低いカズマは冒険を有利に進めるべくさらに仲間を集める
が、揃ったのは敵味方関係なく周囲をまるごと吹き飛ばす【爆裂魔法】しか使えない上に一発限りで行動不能に陥る女魔術師、めぐみん
打たれ強い強靭な肉体を持つが実はドMで敵に陵辱されることを妄想して全く剣が通らない女騎士、ダクネス
本来ならば魔王討伐の冒険を進める一行だが、実際は始まりの街に居座り続け、金儲けや私利私欲を満たす目先のクエストにしか興味が無い
稼いだ資産は毎夜豪遊しては散財、増えるのは借金ばかり
たまに生死を賭けた大きな戦いを制したかと思えば、国家転覆罪で裁判に掛けられる有様
そんな彼等がめぐみんの出身地である紅魔族の里へ、めぐみんを里帰りさせることからこの映画の物語は始まる…


今作冒頭の“マグロ漁船のクエスト”は金崎監督がコンテまで描き切ったのに尺の都合上お蔵入りになったそうですw
その苦渋の決断のおかげもあり、今作は非常にハイテンションなギャグがハイテンポに続くコメディ映画となっています
ギャグやコメディを映画化するのって難しいですよね
『プリズマファンタズマ』がボロクソにつまらなかったことからも良く解りますw
逆に『えいがのおそ松さん』は良く出来てた、あれもハイテンポでずっと笑ってられました


さて、『このすば』において一番大切な要素はシリーズ構成の上洲さんも仰ってますが【カズマ一行を恋仲にしてはイケナイ】ことです
一見してカズマは美女に囲まれたハーレムの真っ只中にいますが、実際のことろ彼女達は大方トラブルの原因か、もしくはトラブルを悪化させる要因となって世間的には厄介モノなんです
そんな彼女達とカズマがパーティーを組み続けるのは、単に【気の合う仲間だから】というところに尽きるでしょう
そこにガチの恋愛要素を絡めてしまうと“気の合う仲間と面白おかしく暮らすgdgd感”というモラトリアムを破壊してしまうわけです
歳を追うごとにわかりみが深まってくるのですが(笑)現実的には美女と付き合うのはメンドクサイw
気の合う仲間と戯れるのが、現代の現実的にはベストなのでは?という提案を剣と魔法の異世界ファンタジーに持ち込んでしまったのが『このすば』の魅力なのです


ところが今作冒頭、カズマにおもわぬ“モテ期”が到来します
モテてはイケナイ作品で、モテ期が発生するという矛盾がまず面白いのですがw実際には今作のクライマックスでカズマが最も惚れさせてしまい相思相愛の関係になる人物というのがとてもとても意外な人物
そのまさかのオチには度肝を抜かされ…いや、爆笑必至でしょうw


オチに選定されたキャラに僕が大好きな、とある大物声優が選ばれているのも仕掛けの1つ
彼女にしかこの役は出来ないんだ!という金崎監督の強いご指名だそうで、GJ!といわざるを得ません


あと今作の作画クオリティに関しては2019年公開の数多の映画でも“最高”と謳って問題無いと思う出来栄えです
とにかくテンションの高いお話である為、キャストの芝居もノリノリに盛り上がっていく
ですので、アフレコ後の芝居にリップシンクロするように作画リテイクを加えたそうで非常に手間と時間が掛かっています
崩すところ、動かすところ、纏めるところのバランスも完璧です


以前のテレビシリーズで描かれた細かなキャラ設定やサブキャラ達を覚えていると笑いどころはとても多くなるのですが、単純にボケとツッコミの応酬を剣と魔法の異世界ファンタジーでやる、っていうのが面白い作品ですので初見の方もこの機にチェックされることをオススメします

投稿 : 2024/10/05
♥ : 15
ネタバレ

はあつ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

このすば新喜劇

私が今まで観たアニメ映画の中で1番館内に笑い声が溢れてました。
それはひとえにテレビアニメ「このすば」ファンの期待に応えていた証拠。
ギャグの繰り出すテンポ、コメディの流れはほぼテレビ版を踏襲しており、キャラクターそれぞれの確立された芸風は笑いのツボをはずしません。
テレビ版でのキャラ達のボケとツッコミが肌に合った方なら満足できると思います。

《ストーリー》

ヒロインの1人「めぐみん」の故郷「紅魔の里」をメイン舞台に展開するドタバタコメディ。
脚本構成は、テレビ2期ラストエピソードの焼き直し({netabare}「アクアの聖地降臨」を「めぐみんの里帰り」に置き換え、奇矯な住民達との交流から魔王軍幹部とのバトルで締める{/netabare})で既視感はありますが、本作はキャラ達のコントを楽しむのが一番の目的なので問題なし。
お笑いギャグは下ネタが多かった印象ですが、キャラごとのお馴染みの個性はもれなく描かれお約束の笑いに抜かりなしです。
{netabare}自分は下ネタも好きなのでメスオークの欲情やシルビアの両性ネタも笑えましたが、寝てるロリっ娘にオイタをするか迷うとこは背徳感が邪魔をしました(が、周囲を回るレインボーカズマの絵面にはフキました^o^)。{/netabare}
全体を通せば、愛すべきポンコツパーティーの熱い絆と優しさも感じられ「このすば」ワールドを満喫できました。

《キャラ》

劇場版らしく豪華なテレビ版オールキャスト。
新キャラも交えて主人公カズマとのギャグの応酬が繰り広げられます。
今作のお当番ヒロインめぐみんを筆頭に紅魔族の女子キャラ達に萌える楽しみもあり♪
個人的にはアクアのポンコツぶりが一番好きなので、エロ萌えに頼らないおバカな笑いがもっと観たかったかな・・

《声優さん》

皆さんノリノリの演技。
カズマ役の福島潤さんはキャリア20年のベテラン声優。アドリブも交えたハイテンションな演技で若い女性声優さん達を引っ張られており、このすばの立役者と言っていいのでは。
今回、その福島さんと一番絡んだのがめぐみん役の高橋李依さん。
動画やラジオでも福島さんと和気あいあいの掛け合いをされてますが、2年前にお二人のラジオ番組内で、今回のこのすば続編制作を知った時の高橋さんのガチ泣きにはこちらももらい泣きしそうに~
当時、自分がメインヒロインを演じる事になるとも知らず感涙されたりえりーのこのすば愛!本作で存分に表現されてました。
「エクスプロ~ジョン!!」

あと本作で、能登麻美子さんがこのすばに初参加されたのが私にとっては嬉しいサプライズでした!(演じたキャラはけっこうブラック・・{netabare}めぐみんが若くして家を出たのも頷けます^^;{/netabare})

《作画》

制作会社が変更されてますがテレビ版準拠と言ったところ。
キャラ画などで狙ったのかと思えるほどの崩れた作画は無いですが劇場版と思えるほど質の高さも感じません。
それでもめぐみんの放つ魔法の爆裂エフェクトは効果音と合わせて凝ってました。
テレビ版から感じてますが、カラフルな星粒の煌めきを織り混ぜてるのは可愛いめぐみんにピッタリですね。

《音楽》

エンドロールでパーティー女子3人によるキャラソンとMachicoさんの曲が2曲続けて流れるんですが、これは勿体ない~
盛り上がるMachicoさんの曲はテレビ版時のようにオープニングかラストバトルのバックで聴きたかったです。

《最後に》

本作は後日、自宅で1人ニヤニヤ(ゲラゲラ)鑑賞するのも良いですが、お笑い芸人の生演劇のようにファンのみんなで盛り上がるライブ感を楽しむなら、ぜひ劇場へ足をお運びください~(映画の入場特典の短編小説も面白いです^^)

投稿 : 2024/10/05
♥ : 25

67.4 3 爆発でコメディなアニメランキング3位
スペース☆ダンディ(TVアニメ動画)

2014年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (604)
2672人が棚に入れました
スペース☆ダンディは、宇宙のダンディである。そして彼は、宇宙人ハンターである。見たこともない新しい宇宙人を発見して、新種の宇宙人と認められると報奨金がもらえるのだ。それは、早い者勝ちがルール。宇宙を旅して、誰よりも早く、誰も見たことのない宇宙人を見つけるのが使命。ダンディは、ポンコツロボのQT、途中で拾ったボンクラベテルギウス星人のミャウとともに、未知の星や異星人と出会う。宇宙の果てへの冒険。見たこともない宇宙人の発見。それが宇宙人ハンターの醍醐味なのだ!

声優・キャラクター
諏訪部順一、佐武宇綺、吉野裕行、石塚運昇、畠山航輔、銀河万丈、ゆりん、桑島法子、矢島正明、一城みゆ希、大川透、大木民夫、大塚明夫、小川真司、梶裕貴、金田朋子、クリス・ペプラー、小山力也、島本須美、竹達彩奈、龍田直樹、永井一郎、能登麻美子、花澤香菜、潘恵子、平野綾、宝亀克寿、麦人、山口勝平、山路和弘
ネタバレ

タナボソ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

13話は不朽の名作なので絶対観てほしい by渡辺信一郎総監督じゃんよ

『カウボーイビバップ』『サムライチャンプルー』『坂道のアポロン』
等で知られる渡辺信一郎が総監督を務めるオリジナルアニメ。

新種の宇宙人を求めて宇宙をさすらう宇宙人ハンター、ダンディらの活躍を
クールかつスタイリッシュに描く。
…などと言うことはまるでなく、宇宙船アロハオエ号のクルーは
「~じゃんよ」が口癖でお姉ちゃん目当てにレストランチェーンの
ブービーズに足繁く通い詰めるダンディ、
見るからに旧式で時によってはダンディもあっさり見捨てるお掃除ロボットQT、
常に携帯端末を手放さず「~なう」ツイートが習慣のゆとった猫似のペテルギウス星人ミャウ、
から成るトリオで、実にバカ・ボンクラ・ポンコツなBBP。
各話完結のギャグ、コメディ化したカウボーイビバップすね。

ギャグ・コメディと言っても、ボケとツッコミで思わず爆笑なやり取りを積み上げるとかではなく、
どうやってこんな話思いついたの?な印象のシュールと言うか
実にヘンテコなエピソ-ドやオチだらけで、
ポカーンと呆気に取られることが多いです。
画面も実によく動いてですね、作画が実に無駄に力が入りまくっていて、
珍しいモノ見たさ気分を満たしまくってくれてます。
スタッフを並べたてて説明しようと思ったんですが、
私のようなにわか者にもすぐピンと来たのはビバップ関連以外だと
7話絵コンテの谷口悟朗だけでした(´・ω・`)コードギアスの監督、或いは\ファンタジスタッドーr

せめて音楽ならとメンツを眺めてみたものの、半分も判らない…。
とりあえず、ビバップの時点でシャカゾンビの楽曲を起用してたくらいだし、
川辺ヒロシ、笹沼位吉、ZEN-LA-ROCK、TUCKER辺りは至極当然として、SHOGUNのメンバーて…。
と思ってWiki見てみたらエヴァおよびヱヴァ劇伴の演奏に参加してるそうな。
SHOGUNも再結成して活動中なんですと。
探偵物語本編はまともに観たことないけどサントラは聴いたことあるのです。
http://www.jvcmusic.co.jp/flyingdog/spacedandy/artist/index.html

偽ハワイアンから80sガチエレクトロまで実に多彩な音楽、単体でも楽しめますよねー
とサントラをネットレンタル店のお気に入りに突っ込んでおいたのですが、
何とあろうことかタワレコの店舗特典が未収録曲を収録したカセットテ-プであることが判明。
磁気だぜ磁気ぃ。

タワレコオンラインでは既に特典終了で(´・ω・`)ショボーンになったものの、
リアル店舗ではまだ受付中でした∩^ω^∩
1枚\3000もするCD予約して購入なんて初めてですわw
だって例えばブルーノートの名盤が\6~700とかですよ? ホント国内盤ておかしいよなあ。
つか今公式観に行ったら新宿タワレコでイベて…。俺の吉祥寺参加券配布対象外w
http://space-dandy.com/blog/?p=441

まあ未収録曲入りカセットなんてほぼほぼ趣味だし無意味すよね。
ミックステ-プならよかったのに。ぜひクボタタケシで。
タイトルはSpace Classicsでキマリ!じゃんよ。


OP曲好き度:4/5(岡村靖幸 / ビバナミダ)
ED曲好き度:4/5(やくしまるえつこ / X次元へようこそ)

(2014/03/22初up / 10話まで視聴)


▼サントラリリース記念3/28新宿タワレコのインストアイベント行ってきました(14/03/30追記)

・出演は渡辺総監督、Mountain Mocha Kilimanjaroの
 ボブサン(G)とタイガーさん(Dr)で司会はflying DOGの方。
・モカキリは最初にオファーしたアーティスト。友達の友達を通じてオファー。
・どファンキーな、泥臭く、品が良すぎないぶっとい感じ、
 でベ-スライン足元を固めるイメージでの起用。
・モカキリメンバーはオーストラリアツアー中に1話を視聴。
 アイキャッチなどでかかったりして大いにテンションが上がったとのこと。
・サントラは当初カセットのみで発売しようとしていた。
・BDの特典はフロッピーディスクにしようとしていた。
・レーザーディスクに以下略
・flying DOGやバンダイに泣いて頼まれ断念。結果タワレコ特典カセットで妥協の流れに。

・欧米などではよくあるモンティパイソンのような
 音楽がカッコイイコメディを意識したアニメとして制作。
・わんこじゃんよの回は脚本の信本さんから「この冷蔵庫何か解ってるわよね」とだけ電話があった。
・あの時の冷蔵庫は15年後あそこに辿り着いた。15年がかりのオチ。
・スパイクとジェットは著作権大人の都合により出演の予定はなし。ビバップはサンライズ。
・13話は不朽の名作。絶対観てほしい。
・始めは怒られないようにおとなしく創っているが、後半になると好き放題に。
 よって2クール目はもっとぶっ飛んでる。
・2クール目は音楽度もさらにUP。歌ったり、踊ったりの回やロックンロールな回など。
・音楽制作アーティストもさらに増。歌ものも増え、ハスキーな声の衝撃的な人も参加。
・OST2も当然出ます。


てな塩梅でした。
初めて渡辺監督のお話伺ったのですが、話上手いなーと。
モカキリの二人は割と控えめだったのもあり、
渡辺監督が司会に促されるでもなく、会話引っ張ってました。
会場が一番盛り上がったのは冷蔵庫のくだり。みんなビバップ好きだよね。やっぱ。俺もじゃんよ。
カセットの話での「え?マジかよ」的じわじわ笑いがくる空気も印象的でした。
↑冗談も多いけどOSTをカセットで、はflying DOGの方の発言で、マジらしいw
という訳で楽しいイベントでした。

ただ、せっかく渡辺監督が「先週モカキリの新譜が先週リリースされて」、
とキラーパス出してんのに応えられてないタワレコ新宿お前はダメだw
J-POP、クラブミュージックどっちのマのコーナーにも在庫なかったし、
入り口付近の売り場でOSTの隣の3枚あったのを見つけたのみ。
聴いたことなかったので試聴機に入れといて欲しかったですわ。

あ、でも、3/25発行のタワレコのフリー誌bounce#365はぜひ。渡辺監督のインタビュー掲載。
OPNと金澤某さんによる再発関連以外はまるで解らん人ばかり挙げておられたので、
音楽探す楽しみが増えて嬉しいっす。


サントラは、明らかに00年代以降なディスコダブもあるけど、思った以上に80年代。
84年以前の機材で、とのオファーを真に受けて作成した人もいそうな
こういうのあったな~的ガチの80's空気感の曲もけっこう多いすね。

私的印象に残った楽曲は、
ナレなしでアバンが聴ける#1 Star Future. / ☆Taku Takahashi、
サーフィン回の80年代山下達郎な#7 星屑のパイプライン / ジャンク フジヤマ、
レース回でインストが使われた80'Sエレクトロ
#13 SPACE FUN CLUB / ZEN-LA-ROCK feat. ロボ宙、
は久々に脱線3のラップ聴いたな…、吉本所属だったような?とか、
moonかUFOかLOLかの植物星回、トボケた味わいながらカッコイイパーカッションに
明後日な調子っぱずれ気味のピアノやトビの上物な#12 アクションマン / 笹沼位吉 は
00年代以降的だけど一筋縄では行かない音楽性でCDで聴くと低音が利いてなおさらディープ。
KenKenの楽曲は#1以降も使われ、つかコレが一番キャッチーでファンキーなんじゃ?な
#19 朝は来るから すぐ明けるから に、
ラーメン回で地味にギターがイッちゃってた#10 コネクト、
そして岡村ちゃんOPとやくしまるえつこEDのTVサイズ、
とキリがなく、実にてんこ盛りなことに。

特典のカセットには☆Taku Takahashi、川辺ヒロシ、Latin Quarter、モカキリの4曲。総計10分未満。
どちらもラーメン回で流れてたのんびりハワイアンがカセット収録Takuの方で、
テンポ速めモンドちっくなハワイアンの方がTUCKERによる本編#3 HOT WINDで…
て言うかうちのPCのHDDがイカれてダビングしたデータぶっ飛んじゃいまして。
カセットの方は録り直さないとな、よくわからんことにm(_ _)m

最終回楽しみだなあ、ともっと早く書きたかったのに(´・ω・`)
PC歴2年の付け焼き刃でHDD換装、やらかしちまいました。

つか公式見に行ったら最終回にデトロイトハウスのRick Wadeとかw
サブタイトルでジュピタージャズだった時の比じゃないんすけど(ノ∀`)
数時間後の1クール目最終回ほんと楽しみ。じゃんよ?


▼13話(14/04/11追記)
QT「宇宙は無駄で溢れています。
   その中でも特に無駄なのは、生き物の愛だの恋だのといった感情です。」
―そしてこれは、掃除機がコーヒ-を飲みたくなるまでに必要な、23日間の物語である。

アバンからQTのモノローグ。ラテアートを眺めるボロボロ姿のQTにナレーション。
13話は1シリーズ目最終話にしてQTが主人公のエピソード。
『掃除機だって恋するじゃんよ』

{netabare}解り合えるけど解り合えない、いや解ってるんだけど安易に解ったような顔をしない
この感じ、カウボーイビバップ6話、悪魔を憐れむ歌のラストを思い出しました。
こぼれ落ちたブルースハープを拾い上げて息を吹き込むも音は出ない。
「解るかよ」独りごちるスパイクが空にブルースハープを放るアレ。
描かれる話のテイストはまるで違えど、通底するものは同じなのかなと。
しかもこの話はQTの恋愛話だけにより切ない…
しかし、それだけに終わらず、ゲル博士の茶番に起因する超展開ギャグも盛り込みつつ{/netabare}
QTはかわいらしく、動的シーンはよく動き、と。

音楽がいつも通り良いのは言わずもがなですが、さらに印象的でした。
Aパートのwhy don't you come with me ? キスしてみたいのに ってボコーダー(ではない)曲は
LUVRAW / ANATATO 。OST1にも収録。
Bパート、メイカーさん探すシーンはLUVRAW & BTB / lick tonight。此方はOST1未収録。
そう、ボコーダーじゃないんですよ! トーキングモジュレーター。
電子的に声をエフェクトするんじゃなくて、シンセ等の出音を物理的にチューブから出力、
そのチューブを咥えて口腔内で共鳴させる。その音がアレです。
メロウでレイドバックなサイドに特化した和製ZAPP。
こんな人等がいたとは…。アンテナ畳みすぎな自分に(´・ω・`)。

一番印象的だったQTが立ち向かうシーンのあの曲は「本気の感動曲を」
とのオファーに応えたクラムボンのミトによる曲。こちらもOST1未収録。
https://twitter.com/space_dandy/status/450285042959269888

Rick Wade作と思しき曲は
「これはただのパーティーじゃない。革命のためのダンスなんだ」(CV:大塚明夫)
でかかっていたテクノとディープハウスらしく、TVで聴く限り至ってふつー笑。
目立つべき音楽じゃないからこれはこれでいいのか。


それと音楽に関するナベシン監督とKenkenの対談↓
http://natalie.mu/music/pp/spacedandy
Kenkenが金子マリの御子息と知って吃驚。色々繋がってたなあ


【参考】ZAPP
Roger Troutman / I Want to Be Your Man
http://www.youtube.com/watch?v=c1xf_RWhwso
ずっとZAPP名義の曲と思い込んでました(;^ω^)

【参考】P-FUNK
ハイライトは40分辺りのSwing Down Sweet Chariot。
からMothership Comin'!の絶唱に応えてバカキター(゚∀゚)ーは45分頃。
http://www.youtube.com/watch?v=CiTh8BQ4oVU
対談中のおむつの意味も解ります。


作品の好き度5/7

投稿 : 2024/10/05
♥ : 7
ネタバレ

キャポックちゃん さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

最高に贅沢な“お遊び”

【総合評価:☆☆☆☆】
 最高に贅沢な“お遊び”。キャビアの茶漬けかフォアグラ炒飯のような味わいだ。
 渡辺信一郎は、神山健治らと並ぶ日本アニメ界屈指の逸材だが、これまで才能を発揮する場に恵まれたとは言い難い。『カウボーイビバップ』(1998)の不完全な放送、『サムライ・チャンプルー』(2004)の放送中断とその後8年に及ぶ活動休止など、さまざまな苦汁をなめさせられてきた。おそらく、自身のそうした体験を踏まえて、他のクリエーターに場を提供する目的で企画されたのが、この『スペース☆ダンディ』なのだろう。渡辺は「総監督」という曖昧な肩書き加わっているが、企画全体のゼネラルマネージャー的な役割だったと推察される。
 昨今のテレビアニメ業界は、ビジネス主導という軛のせいで、型にはまった安全パイの企画が横行しており、クリエーターの創造性が生かされていない。マンガやラノベを原作に、人気キャラに“あんなことやこんなこと”をさせてファンに媚びを売る作品が目立つ。『スペース☆ダンディ』は、その風潮とは真逆の方向を目指し、決して“萌える”ことのできないキャラを起用したオリジナルアニメとなった。
 主人公のダンディは、かつて粋がっていたヤンキーの成れの果てとでも言うおうか、信じがたいほどダサいオッサン。さしもの私も、第1話でドン引きしてしまった。珍しい宇宙人を捕獲して賞金をもらう宇宙人ハンターという設定だが、科学的な正確さは全く考慮されていない。 {netabare}科学ファンには有名な「宇宙ひも」が頭から生えた●ンモウだったり(第14話)、誰も訪れない辺境の惑星でエイリアンがラーメンの屋台を出していたりする(第2話;亡くなる少し前の永井一郎が店長の声を当てた)。 {/netabare}若かりし日にダンディが何をしていたかも、はっきりと決められていない。これだけ枠が緩いので、参加したクリエーターが自由に創作することが可能となった。
 『スペース☆ダンディ』でポイントとなるのは、(1)音楽へのこだわり、(2)真剣なパロディ、(3)逸材の起用--の3点である。

(1)音楽へのこだわり
 「音楽マニア」を自称する渡辺は、人一倍、音楽へのこだわりを持つ。デビュー作の『マクロスプラス』で、選曲に関して総監督の河森正治や音楽担当の菅野よう子と意見が衝突したこともあって、最近では、選曲からエディットまで自分でするという(「世界的評価を受けるアニメ監督・渡辺信一郎は、なぜ音楽プロデューサーとしても活動するのか?」|週プレNEWS 2018年02月16日)。音楽関係者との人脈もあり、『ミチコとハッチン』(監督:山本沙代)や『マインド・ゲーム』(監督:湯浅政明)には、音楽プロデューサーとして参加した。
 『スペース☆ダンディ』では、こうした人脈を生かして、あまりアニメに関わってこなかったミュージシャンを中心にオファーしたという。その結果、アニメのために結成された「スペース☆ダンディバンド」は、岡村靖幸(OP)、やくしまるえつこ(ED)、向井秀徳、川辺ヒロシらが名を連ねる豪華メンバーとなった。
 音楽が重要な役割を果たしたのが、第17話「転校生はダンディじゃんよ」(ミュージカル回)、第20話「ロックンロール★ダンディじゃんよ」(バンド回)、第22話「同じバカなら踊らにゃ損じゃんよ」(ダンス回)など。
{netabare} 私が特に好きなのが第20話で、外見に憧れてバンドを結成したダンディたちが、1曲しかない持ち歌をライブでひたすら歌いまくるというバカバカしいエピソードなのだが、向井秀徳が作詞・作曲・編曲した「かんちがいロンリーナイト」が凄い。 素人バンドの曲らしく旋律は単調なのに、ギターの音色が強烈で、最初のフレーズから一気に引き込まれる。
 第17話におけるミュージカルシーンのクォリティもハンパない。音楽は、梅林太郎&ハヤシベトモノリ、向井秀徳、芳野藤丸、☆Taku Takahashi、葛城ユキらが担当。踊りに関しては、まず、プロの振付師に演出家のイメージを伝えて踊ってもらい、その映像をもとに絵コンテを起こす。さらに、できた絵コンテを振付師に見せて、再び踊らせる。キャラの衣装が決まれば、それに似た衣装を着けて踊ってもらう。こうして、踊りの撮影を何度も繰り返しながら、それを作画にフィードバックして質を高めていったという(「「スペース☆ダンディ」伝説のミュージカル回がどうやって生まれたのかをダンディ役の諏訪部順一さん&南Pが熱弁」|Gigazine 2015年10月11日)。 {/netabare}

(2)真剣なパロディ
 多くのエピソードは、日本では珍しい優れたパロディとなっている。
 パロディを劣化したモノマネだと誤解する人が少なくないが、何とも嘆かわしい。パロディとは、元ネタの設定を踏襲しながら、内在的なパワーを別の方向に転換することにより、新たな芸術的価値を生み出すものである。 {netabare}例えば、第4話「死んでも死にきれない時もあるじゃんよ」では、ゾンビ映画のルーティンをそのまま使いつつ、ロメロ作品のように襲われる人間の視点に立って恐怖を煽るのではなく、ゾンビ自身の日常に目を向けることにより、見事なコメディに仕立て直してみせた。 {/netabare}
 ちなみに、パワーを方向転換するパロディと異なり、同じ方向に深化させたものがオマージュ、方向転換も深化もないのがパクリである。
{netabare} 第13話「掃除機だって恋するじゃんよ」は純愛ものの、第23話「恋人たちはトレンディじゃんよ」はトレンディドラマのパロディだが、第5話「旅は道連れ宇宙は情けじゃんよ」は、パロディと言うより、『ペーパームーン』の素敵なオマージュである。 {/netabare}

(3)逸材の起用 
 『スペース☆ダンディ』には、活動の機会が充分に与えられていない逸材を起用したエピソードがいくつかある。特に、湯浅政明、押山清高、名倉靖博の回は必見。

○第16話「急がば回るのがオレじゃんよ」(脚本・絵コンテ・演出・作画監督・原画・美術デザイン・ゲスト宇宙人デザイン:湯浅政明)
 湯浅は、劇場用アニメ『マインド・ゲーム』、テレビアニメ『四畳半神話大系』『ピンポン THE ANIMATION』などにより、ファンの間では天才的アニメーターとして有名だったが、個性が強すぎて商業作品には向かないタイプ。『スペース☆ダンディ』の担当回は、アクの強い個性がそのまま発揮されることで、逆にシュールで爆発的な傑作となった。
{netabare} 何と言っても、全く展開の読めないストーリーがすさまじい。終盤、最も悲劇的にして陰惨な事態が、一瞬にして爆笑ギャグに転じた瞬間、肉体が崩壊するような脱力感に襲われた。 {/netabare}
 幸いにして湯浅は、このあと『夜明け告げるルーのうた』『夜は短し歩けよ乙女』という2本の劇場用アニメを制作でき、アヌシーやオタワの国際アニメ映画祭で受賞して世界的に知られるようになった。

○第18話「ビッグフィッシュはでっかいじゃんよ」(脚本・美術設定・ゲストキャラデザイン・絵コンテ・演出・作画監督・原画・動画:押山清高)
 原画や作画監督として『電脳コイル』など数多くのアニメに関わってきた押山が、その才能をはじめて集約的に発揮できた作品である。 {netabare}老人が単独で大魚を捕まえようとする内容で『老人と海』を思い出させるが、主人公が最後まで孤独だったヘミングウェイの小説とは異なり、大勢の若者が老人に協力するクライマックスは、見ていて高揚させられる。
 注目すべきは、独特のセンスで描かれた背景。海の大波を線描で表す技法は、琳派を連想させる抽象性の高い表現で、実に力強い(これを粗略な作画と感じないだけの感受性を、アニメを見るすべての人が備えておいてほしい)。突然現れる巨大な青い月や、どこまでも天空に上っていこうとする巨大魚ムーナギの姿は、心を鷲掴みにされるような迫力がある。 {/netabare}
 押山は、この2年後にテレビアニメ『フリップフラッパーズ』で監督デビューを果たすが、残念ながら、物語が難解すぎて才能に見合う人気は獲得できなかった。

○第21話「悲しみのない世界じゃんよ」(脚本:渡辺信一郎、絵コンテ・演出・美術設定・ゲストキャラデザイン:名倉靖博)
 名倉は、原画・作画監督としていくつかのアニメに参加してきたものの、キャリアの長さに比して作品の数は必ずしも多くない。しかし、彼の名は、OVA『天使のたまご』(1985、原案・脚本・監督:押井守)を通じて、コアなアニメファンの間で絶対的とも言える尊敬を勝ち得ている。押井守の脚本と天野喜孝のキャラクターデザインという、常人には手が出せないほど硬質な素材を使い、イマジネーションを掻き立てる壮大な美の世界を作り上げたのである。
{netabare} 第21話での名倉は、渡辺の少し陰鬱な脚本から、想像力の極致とも言える夢幻的な光景を紡ぎ出した。その完成度は、テレビアニメの限界を完全に突き破っており、人的リソースに限りがある中でどうやって制作できたのか、謎ですらある(この1話があるだけで、作画の評価を星一つ分上乗せした)。ダンディは髪型も変わり、他のエピソードとは別人と言って良い。彼を生と死の狭間に誘う不思議な少女は、『天使のたまご』に登場する少女と同じ匂いだ。 {/netabare}
 単にシリーズ中の出色エピソードというだけでなく、テレビアニメ史上に残る偉大な傑作である。

投稿 : 2024/10/05
♥ : 6
ネタバレ

青陽 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

BBPが巡る宇宙の旅

1話は自分的に???でしたが、整合性なんてダンディの世界ではどうでもいいんだとわかって純粋に楽しむことにしました。みんな大好きカウボーイビバップでも投げっぱなしの全滅エンドとかあったしね。

でも、3話までは自分の感性とは違っててコレどうだろうか?と思いました。
しかし4話でツボにハマり、それ以降もけっこう好きな話が多かったです。
1話完結式だと次がどんな話か気になってつい見続けてしまいます。

作画も面白かったですね、回によって雰囲気がぜんぜん違っていて。そういう点でも楽しみでした。


【お気に入り回】タイトルとしては11話の「お前をネバー思い出せないじゃんよ」が1番気に入りました。ストーリーとしては5、10、13話は誰もが気に入るはず!
{netabare}


4話 ゾンビパニックからの日常ゾンビもの
バイオハザードのような展開から最終的に宇宙平和に繋がるとは予想できませんでした。
ヘリの操縦士がゾンビだったとこやゾンビの感情表現の豊かさ、ナレーションまでゾンビになったのには笑いまじだあああああアアアアアあああああ
家電やロボまでゾンビになるのは笑いつつも13話を観てなんとなく納得しました。


5話 ハートフルロードムービー
視聴者が馬鹿でお気楽なダンディに慣れてきたころ、スタッフは王道的人情話をぶっこんできました!正にスペース☆ダンディの名に相応しいダンディなダンディが見れました。カッコいいじゃんよ!
この回だけならスパイクにも負けてないんじゃないかな。
そして、何よりロードムービー色が強くて好きでした。銀河鉄道に乗り宇宙を二人旅、徐々に深まる2人の絆。流れる音楽も秀逸でした。

9話 不思議な植物の世界
酒に酔ってしまったダンボが見た夢のような、ふわふわして不思議な世界観が印象的でした。最初に観たときはイマイチよくわからなかったけど、それでも最後のシーンでは泣きそうになってしまいました。どうしようもない、無常感、切なさ…若干蟲師のような雰囲気を感じました。ゲスト声優は人外のキャラに定評のある金朋さん。

10話 親父かっけー
5話に並ぶ人情話。今回はミャウにスポットが当たっていました。
ミャウの故郷の惑星でループに巻き込まれるも、バカでボンクラでポンコツな3人は気づかない。ループをナレーションに教えてもらう主人公なんて前代未聞です!笑
Yahoo知恵袋に質問するくだりは面白かった!宇宙中の謎や疑問が集まっているんだろうなあ。
けっきょくループを解いたのは主人公たちでなく、親父さんの技術によるものでした。代々受け継ぐ工場、職人気質な親父さんがかっこいい。何に使われるかよくわからない部品を作り、仕事終わりにスナックで一杯ひっかける…そんなどこにでも居そうな親父なのにね。
そんな親父さんの後を継ぐべきか、星に残ろうかと迷うミャウを宇宙へと後押ししてくれる親父さんが粋でした。けっきょくミャウ達の日常はループしてるかのように変わりばえしないものですが(ー ー;)

12話 ばかもん!あいつがビーマ♪ビーマイベベ♫
予告が予告になってない話でしたが、あれはカメレオン星人の仕業だったんですね!
吉川晃司のファンだったとは、さすがダンディ!ダンディな趣味してるじゃんよ。
何にでも化けられるカメレオン星人でも吉川さんの歌声は真似できないんだな。
古典的だけど単純でわかりやすいコントのようなやり取りに笑いながらも、最後のほうのやり取りは少し哲学的でした。ドイツ軍の鏡に向かって話しかけさせる実験の話を思い出しました。お前は誰だ、俺は誰だ?俺は俺か…?考えだすと夜眠れなくなりそう。ゲル博士は自我が崩壊しそうでしたが、ダンディは馬鹿なのでマジメに考えませんでした。人間考えすぎず、時にはバカになるのも大切なんだなと思いました。

13話 A.I ポンコツロボは恋と珈琲のほろ苦さを知る
今回はキューティが主役の回でした。一旦の最終話にふさわしい素晴らしい面白い回だったと思います!挿入歌もBGMもすごいかっこよかった!!!
ロボットが珈琲を飲みたくなるまでに必要な23日間。DAYSの表示がお洒落で、日々の触れ合いによる心の変化もわかりやすく良かったです。キューティがコーヒーメーカーさんと出会い、気になって段々心惹かれてく様子は可愛らしかったです。ただ、特別な感情を持った家電はゴミ処理場〈楽園〉に追放されてしまう。横にいたレジスターも一緒に棄てられてしまった、という時点で私は悲恋を悟ってしまいました。きっと代金を取らなかったのは彼も恋の病で壊れてしまったか、または彼女と一緒にいるため故意にやったのでしょう。
見返してみると、コーヒーメーカーさんが壊れる前にレジスターさんの方を見つめていたのもわかりました…。
キューティは彼女を追いかけて楽園に向かい、そこでコーヒーメーカーさんの想いを知ってしまう。それでも好きな人を悲しませないため、好きな人の好きな人を救うべく奮闘するキューティは漢でした!無駄を省き、常に効率的にあるロボットが抱いた恋心、その感情はきっと宇宙一プラトニックなものでしょう。

それと平野綾の声を久しぶりに聞いたけど、やっぱりいい声してますね。大塚明夫さんの声も渋くてかっこよすぎでした。
{/netabare}

夏からのシーズン2も楽しみに待ってます!

投稿 : 2024/10/05
♥ : 8

66.8 4 爆発でコメディなアニメランキング4位
へヴィーオブジェクト(TVアニメ動画)

2015年秋アニメ
★★★★☆ 3.5 (637)
3722人が棚に入れました
結局、戦争はなくならなかった。地球という惑星の隅々まで開発の手が及び、一部の権力者達が月面に別荘を建てるような時代になっても、人と人の心の隙間までは埋まらなかった。ただ変化はあった。くだらない殺し合いに夢中になる彼らにも、変化はあった。泥臭い兵隊達の運用は時代遅れとなり、各国の地球の支配権の奪い合いは、『クリーンな戦争』で決まる。そんな世界の、戦争の代名詞。それは――。

声優・キャラクター
花江夏樹、石川界人、鈴木絵理、伊藤静

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.2

世界と世界観

【2015/11/15 追記】


超兵器によって戦争の概念が一変し、パッチワーク状に戦場が拡散して日常と戦争が混淆し、地球を覆い尽くした世界。

現代的な問題意識を強く想起させる設定と、超兵器にそっけない普通名詞を与えるネーミングが洗練されたSFセンスを感じさせる。

にもかかわらず、視聴後にこうまで粗雑感しか残らないのは何故だろう。


超兵器ヘビィ―オブジェクト(HO)が歩兵によって撃破される描写に矛盾を感じる視聴者が多いようだが、この点についてだけは擁護する余地がある。

缶切りが発明されたのは、缶詰が生まれてから数十年後だった。
いつ発明されてもおかしくなかった非常に単純な道具だが、誰かがこれを思いつくまで数十年の間、缶詰は開封が厄介で運用を限られる包装だというのが社会通念であったわけだ。
似たような例は、ほかにもいくつもある事だろう。

最大限に好意的に解釈すれば、歩兵によるHOへの攻撃は、「ありえない」というのが社会通念であり、これに備える必要など思いつくことができなかったゆえに防ぐことが不可能であったとみることはできる。
鑿と金槌を持ち出さなければ開封できなかった缶詰が、誰も思いつかなかった簡便な缶切りで容易に開封されるように。
主人公たちの窮鼠猫を噛むHOへの直接破壊工作は、結果的に戦術思想のコペルニクス的転換となったのだ、と解釈すれば一応は活劇上の飛躍の範囲内とはみなせるだろう。
「あり得ない」という社会通念の描写が作品上に明瞭な形では見られない、という弱点に目をつぶれば。

粗雑感を生み出すものは、もう少し深い階層にある。


次々と異なる環境で行われる戦争の描写は、あたかもシューティング・ゲームの「ステージ」のようだ。
まさしくゲームのように、さまざまな「ステージ」でボスキャラ=HOをどう倒すかが興味の焦点なのだろうが、ステージを支えるはずの世界の描写はそっけない。

バラエティ豊かな戦場を呼び出す世界の設定は、このレビューの冒頭のような文章を読み上げるナレーションがあるだけで、それ以上の描写はそれっきり無い。
それこそ、ゲームの取扱説明書に「これは、こういう世界という設定です」と一文があるだけでステージ上でのゲームにはまるで関係しないように、「ステージ」の描写がスタートしたらもうそれ以上は用がないと言わんばかりだ。

そのような描写と楽しみ方はあるだろうが、混乱させるのは、この「世界」がどのような意味を持つものであると把握されているのかという、いわゆる「世界観」が半端に導入されてくる部分にある。

主人公の主観的なセリフによって語られる「世界」の「見え方」は、ステージ外の描写がないため、そのまま作品の「世界観」として視聴者に提示される。曰く、

「戦争は、実質的にエリート=HOパイロットだけが担っている」
「エリートに戦争を押し付けることで、人は戦争について考える事を止めている/止めることができる」
「戦場以外の地域では、戦争は無いもののように生活することが可能」

そして主人公が「平和ボケ」を自覚し「現実」とやらに目覚めた後は、ジャーナリストに対して
「平和なところから見世物のように戦争を見物している」
とくる。

混乱の元は、このような世界観は、「国家のような輪郭鮮明な交戦主体が、軍隊のような暴力装置を一元的に独占して管理し、前線と後方を明確に分割して、戦時と平時を意思的にコントロールして行われる戦争」を前提としてしか生み出されないもので、設定されている本作の「世界」=作品内的な「事実」と完全に矛盾している事だ。

超兵器が世界中に分散、配置されて戦闘を行っている「世界」で、国家の領域である国境=ボーダー・ラインが安定的なものでありうるだろうか。
戦闘が恒常的に行われて日常化しているならば、「戦時」と「平時」、「前線」と「後方」の境界=ボーダーも無効化され、戦争と日常世界を区別するという概念を失った異様な「世界」とならざるを得ない。必然的に、「兵士」と「非戦闘員」のボーダーも無意味化するはずだ。

どうしても、この異様な「世界」を、特定の存在に戦闘行為を疎外して、平和ボケした感性を維持できるという「世界観」で把握できる条件が思いつかない。

多様な「ステージ」と、この良く分らない「世界」を媒介するものとして軍の「上層部」が持ち出されてくるのだが、こちらの描写も「世界」と「世界観」の分裂に引き裂かれている。
「現場」から離れた密室で、背広や正装に身を固めた中高年の男たちが、データ処理をするように「人間」を動かす作戦立案をする「上層部」の描写は、陰謀論に目覚めた中学生がイメージする「えらい人」そのままで、はっきりとステロタイプの陰謀家だ。

が、陰謀家が戦争に干渉出来るのは、「戦時」「平時」や「前線」「後方」といったボーダー・ラインを陰謀で動かす/動揺させる事で人や状況を操作するからで、これが陰謀家の力を生み出す根拠でもある。
確かに「世界観」には適合しているのだが、本作のボーダーレスの「世界」では、陰謀家が操作すべきボーダー自体が存在せず、状況をコントロールできる要素が見当たらない。
まして、主人公が開発した「戦術思想のコペルニクス的転換」は、まさしく缶切りのごとく、いったん開発されればマネや改良が誰にでも可能なものだ。
貧困で少数の交戦主体でも大規模軍隊と交戦可能にする戦術革命は、全世界が戦闘状況の中、参戦する交戦主体を爆発的に増やすに違いない、戦争を泥沼状態の一層の混沌に導くパンドラの箱で、力の源泉を絶たれる「陰謀家」の息の根を止めるものだろう。
が、「陰謀家」=「上層部」は何らの危機感も対策もなく、例の「世界観」に安住しきっているかのようだ。

どうも製作者は「世界観」とは設定を並べることだと誤解しているか、設定を並べた「世界」に自動的に適合した「世界観」が生じると勘違いしているように感じられる。

世界観を提示する必要がないシューティング・ゲームであれば、「ステージ」と取扱説明書内の一文に過ぎない「世界」を創るだけで済むだろう。

が、映像作品として観る視聴者の側では、ゲーム制作の方法論で鑑賞するのは無理があるようだ。

この先「世界」の様子が緻密に描かれることがあるのだとしても、「世界観」との矛盾が解消されるわけではありえない以上、視聴を続けていても粗雑感が打ち消されることはないだろう。


【追記】

第7話に、真実の報道の為と称して戦闘行為を行う「ジャーナリスト」が登場し、「隠された真実」(「軍隊」によって隠されていた「真実」)を知らされて悔恨の涙を流す茶番が描かれる。


かつて、紛争地で死んでゆく子供を撮影した報道写真が議論を呼んだことがあった。
シャッターを切る前に子供を助けるべきではなかったのか、と。

救いの手を差し伸べたいという人間的感情と、ジャーナリストの職業倫理に引き裂かれながらシャッターを切ったカメラマンの深い苦悩に比べ、この「ジャーナリスト」の屈託のないデクノボウぶりは何なのだろう。

この、キャラの人格造形の破綻は、製作者の未熟や偏向ではなく、「世界」と「世界観」の破綻がそのまま反映されざるを得ないという必然を示している。

投稿 : 2024/10/05
♥ : 7

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

オブジェクトで雌雄を決するクリーンな戦争時代における「変化の兆し・・・」

この作品の原作は未読ですが、著者が「とある魔術の禁書目録」と知って視聴を楽しみにしていた作品です。それに早々に2クール作品と決まったのも期待に拍車を掛けてくれました。

物語の舞台は近未来・・・この近未来では戦争のスタイルが従前から大きく変化しており、これまでの武器では一切歯が立たない「オブジェクト」と呼ばれる超大型兵器が用いられるようになっていました。
オブジェクトの保有台数との性能差が国力に等しいことから、無駄な流血は避けてオブジェクト同士が戦う「クリーンな戦争」に大きく舵が切られていました。

そんな中、正統王国のオブジェクトのパイロットであるミリンダに出会った、オブジェクトの設計士を目指す留学生のクウェンサーと貴族出のヘイヴィアは、第37機動整備大隊に配属され・・・物語が動いていきます。

あちこちが色々と痺れる作品です・・・^^
まず、留学生のクウェンサーと貴族出のヘイヴィアは共に17歳の若さ・・・
その二人はあらゆる兵器の頂点に君臨しているオブジェクトに生身で向かっていくんです。
向かっていく前から戦力差が尋常じゃないのは誰が見ても明白・・・

核爆発にも耐えうる装甲・・・実弾やビームなど大小100門以上砲門を有する直径50m以上の球状のボディが時速500km/hのスピードで動き回るんです。
どんなに足掻いても人間が太刀打ちできる相手ではありません。

でもここからがこの作品の真骨頂・・・「オブジェクトは所詮人間が作り上げた兵器・・・突破口は必ずある」
クウェンサーの類まれなる設計思想とヘイヴィアの行動力が交錯した次の瞬間・・・オブジェクトが想像を絶する姿に早変わりするんです・・・
小柄な選手がリーチも1発の重さも桁違いの相手をやっつけると気分が爽快ですが、オブジェクトとの戦いはその究極といっても過言では無いと思います。

そしてオブジェクトも海上特化型や下位安定式プラズマ砲を搭載するなど性能も様々・・・
勿論弱点や切り口だってそれぞれ異なってくるのですが、クウェンサーが閃き、ブツブツ文句を言いながらヘイヴィアが強力する・・・これが定番となっていましたが、二人の活躍は目を見張るモノばかりです。

少しだけ冷静に考えると、弱冠17歳の若者・・・しかも一人は軍人でも無い只の留学生・・・
そんな二人に大切な作戦を任せる軍は先見の明があるのか・・・或いは何も考えていないのか・・・
まぁ、見ていて熱くなれるし面白いのでどっちでも構いませんけれど・・・^^

「オブジェクト vs 生身の人間」・・・構図としては確かに面白いですが、2クール分ずっと同じ調子だと中だるみしてしまいそうですが・・・この作品では中だるみという概念すら吹っ飛ばしてしまいそうな綺麗な華が用意されています^^

ミリンダ=ブランティーニ・・・正統王国軍のオブジェクト「ベイビーマグナム」のパイロットとしてエリート街道を進んできた線が細く繊細で儚げな14歳の少女・・・見ていると思わず手を差し伸べたくなるような雰囲気の持ち主です。
「エリート」聞こえは良いですが実態は散々です・・・
・該当者の人権を侵害しても文句を言わず国家の思惑通りに従う人格であること。
・個人の思惑を抑え国家の各オブジェクトに合わせて自分の身体・脳を調整される。
クウェンサーは物語の中でこんな事を言っていました・・・
「オブジェクトが現代の戦争の象徴なら、エリートはその歪みの象徴だ・・・戦争の帰趨を背負わされる・・・たった独り・・・オブジェクトの外郭の厚さの分だけ人との間に壁を作ってる・・・お姫様はいつも独りぼっちだった・・・そして今もあの分厚い壁の中にたった独りだ・・・たった独りで皆んなを守るために戦い続けている・・・」

そんな彼女が普通の14歳としての立ち振る舞いを見せてくれる時があるのですが、これまで彼女が歩んできた軌跡を思うと、涙が出そうになります。
好意を抱いて・・・不機嫌になって・・・時には嫉妬もする彼女は、貰ったプレゼントをとても大切にして喜びや嬉しさを前面に出せる彼女・・・一挙手一投足が可愛らしくて仕方ありません(//∇//)

それでは素直にお姫様推しでこの作品を視聴していたか・・・と問われると答えに困ります。
性格上、一人のキャラを推しながら作品を堪能したいのですが、最近そうさせてくれない作品が増えたような気がするのは気のせいでしょうか^^;?

もう一人の気になる存在は、正統王国の女性将校であるフローレイティア=カピストラーノです。
第一印象は銀髪紫眼でタイトスカートが似合う爆乳のスーパーウルトラハイパーミラクル美人さん・・・(//∇//)
しかもタイトスカートには際どいスリット・・・実在したら目のやり場に困りそうですし、あの足で踏んで貰いたい・・・そんな欲求が脳裏を横切ったのも私の初体験でした(//∇//)
でも・・・彼女の最大の魅力は自分の運命に必死に抗っているところです・・・
中には彼女を道具程度にしか見ていなかった貴族がいましたが、そんな言動を彼女に吐き捨てた登場人物には正直イラッとしました。
本人の事は何も考えない・・・頭にあるのは保身と家の存続の事だけ・・・
フローレイティアが戦場に身を置きたくなる理由が良く分かります^^
だからこそ、クウェンサーとヘイヴィアとは同じ戦火をくぐり抜けた仲間同士として本音で接する事ができる・・・ある意味心の安らぎの場だったのではないでしょうか^^?
これはお互いの利害も一致しているので問題は無いと思います・・・でもお姫様が嫉妬しなければ、ですけれど^^;

それと、この物語のキーパーソンとして「おほほのひと(CV:金元寿子さん)」と「ワイディーネ(CV:新井里美さん)」は外せません。
エンディングのテロップを見て「おほほ」と見た時には思わず吹いてしまいましたが、エリートとして魅力的なキャラだったと思います。

オープニングテーマは、「One More Chance!!」「Never Gave Up」
どちらもALL OFFさんが歌っています。
エンディングテーマは、鹿乃さんの「ディアブレイブ」と井口裕香さんの「変わらない強さ」
重低音の効いたオープニングは格好良いと思い、カラオケでチャレンジしてみましたが、思った以上にキーが高く苦戦しました^^;

2クール全24話の作品で、思い切り堪能させて貰いました。
続きを示唆する終わり方でしたが、原作のストックはあるのでしょうか^^?
この作品・・・続きがあったら絶対見るのに・・・^^

投稿 : 2024/10/05
♥ : 21
ネタバレ

かしろん さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.4

設定を考えるのが好きなんだろうなぁ・・・

【3話まで見て を追加】
ここでリタイアです。

【1話見て 冒頭5分の設定ドヤ顔感】
{netabare}その世界、その世界観に入り込めるかどうか、が重要な1話。
そんな1話の冒頭5分が苦痛だった。
なんか、ドヤ顔を至近距離に寄せて迫られる感じ。

 俺、すげぇ設定考えついちゃったんだよね!
 君たち。設定とか、適当だと五月蝿いっしょ。
 だ、か、ら。
 考えちゃいましたー! 
 どうどう?こんな技術考証。
 どうどう?こんな装甲設定。
 すげぇっしょ。
 すげぇっしょっ!
 こんなん出来たら。
 そりゃ~世界の覇権図も変わるよね~!!
 だよね?だよね?
 俺ってこんな設定とか考えついちゃうんだよね~!
 これなら、煩型の人々も文句出ないっしょ?
 こんな設定の世界の物語、楽しんで下さいよーっ!!

みたく。
分かりました。
分かりましたよ、設定に拘りがあるのはね。
でも。
こんな独りよがり極まりない、暑苦しさしかないオナニーショー見せられても困るって。
冒頭からこんな暑っ苦しいもん見せて
「この世界観に引きずり込んでやるー!」
とかやられたらたまらんって。
「マクー空間に引きずりこめー!」
じゃ視聴者は厳しいって。
拒否反応示しちゃうって。

ガールズアンドパンツァーで、物語の冒頭から
「戦車道とはっ!」 
とかやらんでしょ。
作品見せ場となる戦車戦のサワリを冒頭で見せて、作品世界に対して、観客が自ら進んで行けるようにしてるわけじゃん。
引きこまれていくわけじゃん。
引きずり込むわけじゃないじゃん。

本作ならさぁ、締めでやった巨大ボールが撃ちぬかれるシーン。
アレを最初にやる。
で、時間を巻き戻して、長官とか整備ババァとの話の中で、世界観を示していきゃいいじゃん。
オブジェクトの設定は、主人公がエンジニア志望なんだから、その中でやれるじゃん。
「あれ?オブジェクト無敵みたいな話してるけど、冒頭でぶち抜かれてるぞ?」
みたく視聴者に思わせて興味を引こうよ。
原作本がどうなってるのか知らないけど、
もうちょい、本を読み解いて、
もうちょい、視聴者に魅せてほしい。


各話タイトルに”ガリバーを縛る”とかあるから、巨大ボールをぶち抜いたロボを歩兵でどうにか、みたいな話になるんだろう。
どういう風にロボ対人を描くのか楽しみだ。
ま、さ、か。
 戦闘がオブジェクト対オブジェクトで決まる世の中になっちゃってるから、
 極端に振ったトンガッた機体だから、
 オブジェクトに対人能力がありません
みたいな、陳腐でくだらない設定じゃないよね?
設定に拘りがある作品なんだよね。冒頭にやるくらいだもんね。
思わず唸ってしまう設定や戦術に期待したい。{/netabare}

【3話まで見て 鎌池らしさ】
{netabare}キリもいいし、ここまでで十分かな、という感じでリタイアです。

原作鎌池和馬らしさに溢れてますね。

バディものにしてるけど、上条さんの自問自答芸を2人に分けてるだけ。
それだと何だからと、付け加えたのが、どっかで聞いたことがある安っぽいテンプレ戦場台詞。

科学的なゴチャゴチャした解説。
電気の能力=直接電撃ビリビリではなく、それを応用したレールガンとか砂鉄攻撃とか、
ちょっとひと癖置いてみましたよ設定、みたいな。

「オブジェクトが絶対なんていうその幻想をぶち殺す!」
「(また戦場送りなんて)不幸だーっ!」
という展開。

らしい、と言えばそうなんだけど、ちょっと、これを今後も楽しめってのは苦しい。


あと、想像と違ったんだよね。
1話感想の最後でも書いたけど、
”絶対無敵巨大ロボvs人”だと思ってたから、
「”アルドノア・ゼロ+進撃の巨人”みたくなるのかなぁ、」
と思ってたのだ。
  手持ちの限られた武器で、
  敵オブジェクトの弱点を探って、
  トラップをそこらに仕掛けまくって、
  暴れ狂うオブジェクトにワイヤーで取り付いて、
みたいな。
ある種、荒唐無稽な方向を。

で、提示されたのが
「巨人だって眠るはずだろ?
 生態を観察して、寝床を探して、寝込みを襲おう!」
え、あ、あぁ・・・
そっちに行くのね。
いや、まぁ、現実的だよね。そっちのほうがね。
それに、「ロボvs人」の直接対決は無理だよね。
「整備・警備兵vs人」だよね、やっぱ。
でもね、ドキドキもワクワクもないんだよね。
科学考証で現実的なところを提示してるからって、そんな現実的な解決法にせんでも。

かと思えば、ラストのオブジェクト大爆発に巻き込まれても死なない非現実。
ちょっと前に、天津での大爆発、って現実を見ちゃってるわけじゃん。
ネットに色んな写真とかがアップされてたわけじゃん。
大爆発の恐怖とか惨状を実際に知ってるわけじゃん。
散々、現実的にやっておいて、
 ラストの爆発絡みだけ荒唐無稽なご都合主義、
ってそりゃないわ、と。


なんか、世界観に入り込めなかったなぁ・・・
そういや、禁書2期も合わなかったなぁ。
鎌池和馬原作作品と相性悪いのかなぁ、俺。
レールガン1期は面白かったけどなぁ・・・{/netabare}

作画、声優、音楽は未評価。
物語はドヤ顔設定、キャラは安っぽさに対してです。

投稿 : 2024/10/05
♥ : 7

64.1 5 爆発でコメディなアニメランキング5位
ダメプリ ANIME CARAVAN(TVアニメ動画)

2018年冬アニメ
★★★★☆ 3.3 (60)
256人が棚に入れました
弱小国家「イナコ」の姫であるアニは、武力国家「ミリドニア」と宗教国家「セレンファーレン」との和平条約のため、調印式の会場であるセレンファーレンを訪れていた。
式の会場に通されたアニが出会ったのは、女の子と見間違うくらい可憐な、セレンファーレンの皇太子リュゼ。物腰穏やかな彼だが、話してみるとなんだかちぐはぐな会話に。
戸惑いを隠せないアニを、今度は爆発音がおそう。
轟音を立てて吹き飛んだ扉から現れたのは、さらにおかしな王子たちで…!?

声優・キャラクター
矢作紗友里、石川界人、梅原裕一郎、斉藤壮馬、木村良平、前野智昭、武内駿輔、竹本英史、齋藤彩夏
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

アニ姫の可愛さとストーリーでとても楽しめた

2018年冬アニメ。全12話。
原作は乙女系アプリゲーム。未プレイです。
途中から後追いで見たんですが、アイキャッチと次回予告がギャグ全開で毎週楽しみでしたw


普段見ないジャンルですが基本ギャグで楽しいお話が多く、明るい雰囲気で楽しかったです。ダメ王子達の成長物語として見ても面白いのが良いですね。中盤は一話完結回が多めでしたが、序盤・終盤にストーリーがあるのもとても見やすかったです。
乙女系ではありますが、アニ姫の可愛さと王子達のダメっぷりの面白さで男女関係なく楽しめると思います。

声優さんは合っていましたし演技力も申し分なく、特にナレク役の石川界人さんはギャグとシリアスのギャップが良かったです。私があまり見たことのないタイプの配役が多くてその点でも楽しませてもらいました。
音楽はシンプルでレトロなゲーム音楽のようで、コミカルな雰囲気に合っていました。DAIGOさんが歌うOPが結構好き。EDは男性メインキャラ2人~3人で歌うキャラクターソングなのですが、慣れなくて正直笑ってしまった…ゴメンナサイw
作画・演出はアクションシーンをなかなか頑張っていて楽しく観られました。


{netabare}
アニ姫とグリまるがとても可愛かった!
アニが常識人でツッコミ役で親近感湧きますし、王子達に好かれる理由も納得のしっかり者なので応援したくなりました。完全に逆ハーレムなのに全く誰にもなびかない朴念仁ぶりw

王子達も個性的で憎めないキャラクターで、ダメ王子同士の人間関係の掘り下げもあったりで恋愛要素以外でも見所があり和みました。ナレクの成長、リュゼとメアの兄弟仲の良さ、ヴィーノの面倒見の良さ、テオの周りの人への献身など、良い人達なんだなと思う描写が多かったですね。
王族と国民の交流の描写がギャグでしたが少なくなく、自国への思いもそれぞれに描かれたのも良かったと思います。

まさか終盤でイナコの危機になるとは思わなかったなあ。他の王子達もですが、誰よりナレクが格好良い。そう思えたということは、この作品大成功なんですよね。
アニとダメ王子たちとのこれまで築いてきた関係が活きていたこと、王子達の成長がしっかり描かれていたことがとても良かったと思います。最序盤からキナ臭い展開に発展する伏線もありましたし。
2期があると嬉しいかも。クロムとリオットはどう関わるんでしょうね。{/netabare}


どのキャラにも愛着が湧き、ストーリーも最後まで面白かったです。
乙女ゲー原作としては広い年齢・性別の人が楽しめる作品だと思います。(2018.4.2)



【乙女系についてちょっと思ったこと】
今まで幾つか乙女系は見てるのですけど、ダメプリの良さが最近改めて感じられたので。お暇ならどうぞ。
{netabare}
まず乙女系を見てて感じる問題点について少し。

まずヒロインが八方美人な印象になりやすいこと。
恋愛シミュレーション原作だとアニメで固定したカップリングを推すわけには行かないので当然なんですけど、誰にでも好かれるキャラというのは個性付けがしにくく、魅力に乏しくなりがち。ハーレムものなどの男性向けでも言えますけど、誰にも優しく愛されるというのは、煮え切らなくて八方美人にも見えてしまう。女性キャラでも男性キャラでも個人的には印象良くないです。
二つ目は特定の人間関係を深く掘り下げるのは難しいこと。
ヒロインが男性キャラクター全員と等しくフラグを立てるとなると、逆にどれも淡白になり、私は感情移入先が無くて嵌まり込めません。これもギャルゲー原作のアニメにも共通の問題点ですけど…。
三つ目はゲーム原作のアニメ全般に言えることですが、どうしても詰め込み気味になったり説明不足になること。
(あとは個人的な好みですけど、イケメンばっかりで個性付けがお約束な作品は魅力的には感じません。女性向けの綺麗なキャラデザがそもそも好きじゃなくて…)


ダメプリはどうかというと、視聴した人には説明不要だと思うんですがほぼクリアしてるんですよ。
アニ姫は働き者・しっかり者・ツッコミ役でしっかり個性付けされていて、ダメ王子たちも欠点と美点がはっきりしています。
ストーリーもギャグを強化したオリジナルが多かったようで、尺配分は自由度が高かったように感じます。
キャラクターの掘り下げについては、アニとだけでなくダメ王子同士の関係の変化で、深さではなく広がりを持たせています。これは良い方法だと思うので他の乙女系作品でもやって欲しい。
キャラデザについては、アニメ版は繊細な原作絵よりも線が少なくはっきりした雰囲気になってます。私はアニメの絵柄結構好き。アニとグリまるがすごく可愛い。もちろん原作も可愛いんですけどw

…という感じでした。
今後乙女系を見る機会は…あるかどうかわかりませんがw
気になる作品があれば偏見持たずにまた挑戦してみようかと思っています。{/netabare}(2018.6.28)

投稿 : 2024/10/05
♥ : 8

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

ダメな王子ほど…クセになる!!

この作品の原作はゲームだそうですが未プレイです。

視聴のきっかけは、主人公のアニを演じる声優さんが矢作紗友里さんだったから…
矢作さんといえば、「To LOVEる -とらぶる-」の西園寺春奈、「バクマン。」の見吉香耶…いえ、高木香耶や、「生徒会役員共」の萩村スズ…最近では「冴えカノ」の氷堂美智留を演じられていますが、私にとってどれも思い入れのある作品ばかりです。

だからこの作品のジャケットを見た際、女子向け逆ハーレム系の作品であると薄々気付いていましたが、結局視聴意欲の方が勝ってしまい視聴に至った…というのが本当のところです。

この物語の主人公は、アニ・イナコ…小国ではありますがイナコ国の第一王女です。
イナコは緑豊かな土地柄であることと、「王族が一番働くべき」という国家のポリシーから、アニは小さい頃から畑仕事を手伝うなど、積極的に国民との接点を大切にするお姫様なんです。

だから国民からとても慕われていて…アニはそんなイナコの国を大切に思っています。
そう…アニの言動だけ見ていると、恐らく欠点らしい欠点は無い作品なのではないか…そう思えるほど、愛嬌のある女の子でした。

でもこの作品は逆ハーレム系…
つまり、主人公の周りに群がる男性陣が存在する訳ですが、そちらが所謂ダメダメ系…
もともと「ダメ」な王子という設定なので、タイトル詐欺とは思いません。
むしろ、逆ハーレムの王道と言っても過言ではない展開だったと思います。

そう…今回主人公に群がるのは王子様や貴族の方々なのですが、皆さん必ず一癖持っているんです。
そしてその癖は…正直男性には中々受け入れがたい要素が多分に含まれていたような気がします。

自分の事を「俺様」呼ばわりする究極のナルシスト王子…
女の子はみんなお花ちゃん…所かまわず女の子を口説きまわる公爵…
「超」が付くほど美少年なおかっぱ頭の定石は…「困ったときは笑顔」
「魔法の国の王女キュアラン」のパペットを持ち歩く引きこもりオタク…
いつもアニの傍にいる騎士が男性陣の中で唯一マトモな存在…

なまじ身分と気位が高い皆さまが、己の悪癖を全開でひけらかしてくるので、この作品のテンションに慣れるには少し時間を要したような…
序盤は何度矢作さんに救って貰ったことか…

ダメダメ王子が終始そのままだったら、視聴を断念していたかもしれません。
「己を知る」ことが如何に大切か…
そんな雰囲気が作品から感じられるようになってからは普通に視聴することができました。
私たちも一緒だと思います。
己を知り、短所を補い長所を伸ばす…
その研鑽の積み重ねこそが人としての成長していく鍵だと思います。

これまでは思考も視点も自分本位で内側にしか向いていなかった…
誰も何も言わないし…それで良いとばかり思っていた。
でも、違った考えを持つ人が集い、行動を共にすることで見えてくるものがきっとあると思うんです。
大切なのはそれに気付くかどうか…

気付きって、ほんの些細なことなんだと思います。
でも気付きの「有る」と「無し」では雲泥の差が出る筈です。
だって、気付けないと動けないことって沢山ありますから…

気付きまでのアプローチと切り口は人それぞれ…
その中からどんな選択肢を得ることができるのか…
奇跡でも起こらない限り全て己の力量次第です。
勉強していない問題が解けないのと同じように、自分の想定を遥かに超える出来事は起こりませんから…

そして王子たちの気付きは…?
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

1クール12話の物語でした。
完走して振り返ってみると、決して悪い作品だったという印象は残りませんでした。
人間的にまだまだ成長が見込める男性陣の皆さん…
これからも頑張って欲しいと思います。
個人的には誰が本懐を遂げる事ができるかが気になっているのですが、ここから先はゲームで…ってことなんでしょうかね^^;?

投稿 : 2024/10/05
♥ : 8
ネタバレ

じぇりー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

「ダメ×○○」←○には何が入るでしょう?

原作ゲームをプレイ(ヴィーノ、ナレクのLOVE ENDまで)したことがあるため、視聴してみることに。
それぞれに異なる「ダメ」な個性を持つ4人の王子たちと、田舎の小国の王女であるヒロインとの交流を描く。

全てのキャラのエピソードのエンディングまでプレイした訳ではないので、どこまで原作を反映している内容なのかは断言できないものの、恐らく冒頭のみであると思われる。
ほぼほぼオリジナルスートーリー(多分)。特に中盤は、ストーリーらしいストーリーが展開されることなく、ファンサービスに重きをおいた内容となっている。
そもそも原作もギャグテイストの強い作品なので、恐らく恋愛要素は控えめだろうなと思ってはいたが、それはその通りだった。

まず良い点を挙げるとすれば、ヒロインのキャラと声優さん。
乙女ゲーム・あるいは逆ハーレムものには珍しい「ツッコミ担当」で、唯一の常識人であるヒロイン・アニの再現度はかなり高いと感じた。
そんなアニの声を担当された矢作紗友里さんは、「ヒロイン」というよりも、割とどんな役でもこなすバイプレーヤー的なイメージがあったが、第一声を聞いた瞬間「あ、アニっぽいわ~」と思った。
明朗快活で、飾り気がなく、行動力もあるアニにはピッタリの声だし、何よりツッコミのテンポやトーンが丁度良い。
ここにいかにもな「正統派」「清純派」なヒロイン声の声優さんを起用していたら、私にとっての逆ハーレムアニメ評価基準の柱の一つである「ヒロインのキャラ」の★は減っていたであろう。

ゲームと同じBGMを使用している点も、プレイ経験者的には嬉しかったり。

さて、ここからは不満点を。
ストーリーだが、ほぼ破綻している。序盤はゲームの内容に沿って設定紹介も兼ねたエピソードになることは良いとしよう。
前述の中盤の「ファンサービス」エピソードは、本当にサービス中心の内容({netabare}裸、幼児化{/netabare}など)なので正直言って中身は殆どない。
ラスト3話で、いきなり締めに向かって舵を切った感があり、無理矢理エンディングに持って行ったな、という印象。

次に作画。安定しない。
序盤とラストは綺麗だったけど、他のエピソードは褒められた出来ではない。
作画のクォリティー抜きにしてもアニメ版の絵には少々がっかりした。一番のお気に入りのヴィーノがさほどイケメンに見えない(泣)

最後に声優(男性)。というか恐らく脚本・演出。
特にナレクが終始五月蠅い。ゲームの音声ありのパートではそう感じることはなかったのだが、アニメで王子たちが集まると、どうしてもナレクが悪目立ちしている感がある。

以上の理由からこのような★評価になった。
珍しく原作を知っている作品のアニメ版が期待外れだと、残念で仕方がない。

ダメ×アニには、なって欲しくなかった…

投稿 : 2024/10/05
♥ : 3
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