Witch さんの感想・評価
3.9
シンプルで熱い展開!! →これは「異世界版『キン肉マン』」
【レビューNo.146】(初回登録:2024/10/13)
ラノベ原作(なろう発)で2024年作品。全12話。
とりあえず「オッサン」というキーワードに惹かれたのでw
(ストーリー)
英雄譚「ヤマト伝説」に憧れる少年リックは、極めて確率の低い「固有スキル
の因子」を保有しているものの、それが発動することがなかった。
そして気がつけば30歳になっており、冒険者ギルドの受付に就いたものの冒険
者への夢を捨てきれないまま、鬱屈した日々を送っていたのだった。
そんな中、リックは「S級」の資格を持つ冒険者リーネットと出会う。
リックは彼女から魔力量を育てないまま20歳を超えたことを理由に、今から
冒険者を目指しても無理だと断言されてしまう。
それでリックも一旦は諦めがついたものの、ある事件が起こり・・・
そこで冒険者の資質があると認められたリックは、リーネットから彼女が所属
する大陸最強の冒険者パーティー「オリハルコン・フィスト」に勧誘される。
そして2年間、地獄の修行を耐え抜いたリックは冒険者になるためにE級冒険者
試験に挑むだった。
(評 価)
・シンプルで熱い展開!! →これは「異世界版『キン肉マン』」
出だしはいつものなろう展開ですね。
E級冒険者試験でいろいろと常識外れの結果を叩き出すも、無自覚で
「また俺なんかやっちゃいました?!」
的なノリで。
しかも同行しているリーネットは始めからリックに好意的だし。
しかしリックが他のなろう主人公と違うのは、始めからチート能力をを付与
されたのではなく、2年間めっちゃ努力してその域に達してるところなんで
すね。
・冒険者を目指すリックはかなり出遅れていたため、「オリハルコン・フィ
スト」のメンバーから死ぬほど鍛えられた
(というか、実際修行で死んで蘇生魔法で生き返るを何度も繰り返してい
るんだけどねw)
・ただ修行で鍛えられ驚くほどレベルアップしているものの、周りが超人だ
らけなのでその強さを自覚する機会がなかった
→ 試験最中にようやく「俺ってもしかしてめっちゃ強くね?!」と認識
・リーネットの件についても回想で彼女との出会いから始まり、ある事件を
きっかけに彼女が好意を寄せる過程も丁寧に描かれている
そんな感じなので、いつもの「ご都合主義満載のなろう系作品」というより
は「『努力・友情・勝利』のジャンプ作品」に近い感覚ですね。
ちょうど同時期に『キン肉マン』をやっていましたが、ストーリーはシンプ
ルだがバトルを通じての熱い展開など、同作品に通ずるものがあるという印
象ですね。
・アンジェリカがいい味を出していた
そこそこコメディ色の強い作品ですね。
メインになっているのは上述の通り
「また俺なんかやっちゃいました?!」
→”その強さや感覚のズレから生まれる”無自覚系ギャグみたいな。
しかし途中からリックが自分の強さを自覚しちゃうんですよね。
で、次の仕掛けがアンジェリカによるツッコミです。
途中からレギュラーメンバー化すると
「『オリハルコン・フィスト』の”常識”は、一般人の”非常識”」
ということで、切れ味鋭くどんどんツッコミまくるという。
個人的に序盤の無自覚系ギャグはイマイチかなって感じていたのですが、
アンジェリカの登場から「”ボケ”と”受け”」のキャッチボールでリズム
が生まれ流れかよくなったという印象ですね。
そしてアンジェリカ自身も
{netabare}・はじめは貴族の鼻もちならない”お嬢さまキャラ”だったが
・E級冒険者の試験官だった兄のラスターがリックに一蹴されるのをみて改心、
後にリックに弟子入り
・実は名門貴族だったが没落していたため、望まぬ婚約等実は苦労人だった
こと、そんな運命に抗うために懸命に生きていることが明かされる
・リックとの交流を経て彼に惹かれていく様やリーネットとリックとの関係
にヤキモキといった乙女な一面も
・そして自身の運命を変えるため臨んだ「拳王トーナメント」で強敵ギース
に打ちのめされるも最後まで熱いバトルをみせ、リックの魂に火をつける{/netabare}
という感じで、どんどん魅力的に描かれていくんですよね。
冗長気味だった後半もそれなりに楽しめたのは、彼女の功績が大きいと思い
ます。
ストーリー的には「異世界版『キン肉マン』」という感じで、死ぬほど努力し
たリックが
・”オッサン”や”努力”を馬鹿にする連中を返り討ち
・「E級冒険者試験」や「拳王トーナメント」での熱いバトル展開
{netabare}そして最後はブロストンとの師弟対決{/netabare}
他のレビュアーさんも書かれていますが、昭和臭がプンプンする作品ではあり
ますね。
そういう意味では、文字通り”オッサン”には刺さりやすい要素がちりばめら
ている反面、「価値観の異なる”Z世代”とかにウケるのか?!」という疑問
は残るところ。
本作も最終目標は
「『ヤマト伝説」に出てくる怪物『カイザー・アルサピエト」の討伐」
らしいのですが、その辺はあまり話が進んでいないのかなっと。
ある意味”アンチ・ご都合主義のサクサクなろう展開”的な作品ではあるので、
ここに面白さを見出だせるかどうか感じでしょうか。
個人的には「理屈はいらねえ”拳で語り合う”」シンプルで熱い展開とアンジェ
リカのキャラが後半際立ってきたので、まずます楽しめた作品でしたね。
OP『荒野に咲けよ冒険者たち/串田アキラ』
・まさかの串田アキラさんとか。
この辺りも「異世界版『キン肉マン』」って感じなんだよなw
(狙った感がスゴイんですよね)