Witch さんの感想・評価
3.4
このよさこい部には問題がある! →よさこいをしっかり描いていれば・・・
【レビューNo.82】(初回登録:2023/9/17)
コミック原作で2014作品。全12話。
元々YOUTUBEでオススメアニメとして紹介されていたのと、夏のレビュアーさん
の集まりの中でもオススメということで視聴。
きらら系作品のようですね。
(ストーリー)
全てが平凡なことにコンプレックスを抱いていた中学2年生の女の子、関谷なる。
ある月夜、神社で和服を着て踊る金髪の少女との出会いを果たす。逃げる彼女に
「私も連れてって、妖精さんっ!!」
追いかけながら思わず叫ぶなる。すると彼女は
「私といっしょに踊ってくれますか?」
翌日登校すると、「昨日の妖精」は留学生として再会を果たすことに。
彼女の名は、ハナ・N・フォンテーンスタンド。
以前来日したときに見た、皆で一体感を持って踊るよさこいに憧れ、自分もやり
たいと思っていたのだった。早速メンバーに勧誘されることになったなる。
人前で踊るのに抵抗があったなるだが、部員勧誘を手伝っているうちに
「私もみんなのように輝きたい」
と思うようになり、一緒に踊ることを決意。
そしてなるの親友・笹目ヤヤや幼馴染で先輩の西御門多美らに声をかけ、部員を
集めていく。
夏の「花彩よさこい祭」を目指した「よさこい部」の挑戦が今始まる。
(評 価)
・OP/EDが神がかっている
他のレビュアーさんも皆触れていますが、OP/EDがホント神がかっています。
特にOP「花ハ踊レヤいろはにほ」がとにかく凄い!
詳しいことは他の方が解説されているので割愛しますが、「ここでそうくるか」
というような転調具合とかが普通じゃなくホントヤバイ。
本作では、この曲はなる達がよさこいを踊る時に使う、自作のオリジナル曲扱い
にもなっています。
・タイトル「ハナヤマタ」の由来
タイトルは、ヒロイン5人の名前の頭文字を並べ替えたアナグラムだそうです。
●(ハ)ハナ・N・フォンテーンスタンド。(中学2年生)
アメリカからの留学生。前向きで積極的な性格で自分がやりたいことに正直。
母親は離婚してアメリカで仕事をしている。(日本では父親と2人暮らし)
●(ナ)関谷なる(中学2年生)
自分のことを「何の取り柄もない極めて普通な女の子」だと思い込んでおり、
また気弱な性格から長らく踏み出す勇気を持てず、行動に移せせずにいた。
●(ヤ)笹目ヤヤ(中学2年生)
なるとは小学校来の親友であり才色兼備で、なるの憧れの存在。
でも「ツンデレ」っぽいキャラで、なる達には強く当たってしまうことも。
自身もバンドを組んでいて、オーディションを目指している。
●(マ)常盤真智(中学3年生)
生徒会会長で面目な性格で正義感が強く、厳しい態度で接することが多い。
(最初はハチャメチャなハナ達の活動に対立していた)
姉(よさこい部顧問)との確執を抱えている。
●(タ)西御門多美(中学3年生)
生徒会副会長で温厚な性格であり、容姿端麗・頭脳明晰。なるとは幼馴染。
(彼女もなるの憧れの存在)
ファザコンで厳格な家柄ということもあり、西御門の家に相応しい娘として
父に認められるよう父の意向に沿って、バレエ・ピアノ・茶道・華道など多
くの習い事をこなしている。
・中学生の青春群像劇としては悪くないが・・・
・特になるについては
「おとぎ話のヒロインのように、誰かがここから連れ出してくれる」
という受け身体質から
「自分が本当にやりたいことと正面から向き合う」
という能動的に変わり、失敗しながらもそれを糧に成長していく姿がしっか
り描かれています。
・それに加え、他のメンバーの掘り下げもしっかりしていくので、「中学生の
青春群像劇」としては見応えがあると思います。
でもそれに尺をかけすぎというか、{netabare}ヤヤが入部するのが5話の終わり
(それに6話でバンドの解散騒動があり、7話でもまだグダグダ引っ張るw)
真智に至っては10話の頭からようやく部員として始動という、{/netabare}「よさこい部」
としての活動のテンポがかなり悪いです。
・しかも
{netabare}・夏の「花彩よさこい祭」前に出場したイベントで曲を入れたCDを忘れた!
・「花彩よさこい祭」の申し込み忘れてた!しかも期限切れてる!!
・以下特大ネタバレ
{netabare}最後の「花彩よさこい祭」前にハナの家族が和解して帰国するとかwww{/netabare}{/netabare}
メンバーの掘り下げも相まって、ともかくアクシデントや家庭事情頼みで話
を盛り上げようというのが多すぎで、終始バタバタしてる印象が強く、落ち
着いて視聴できないって感じなんですよね。
「この美術部には問題がある!」違ったw「このよさこい部には問題がある!」
って位にお前ら何やってんだよっとw
・肝心のよさこいの魅力がほとんど伝わらない
・第1話のハナとなるの幻想的な出会いから、2話のなるが初めて「鳴子」を鳴
らすシーンまでは本当に素晴らしく期待大でしたが、そこから部員集めのテ
ンポの悪さから始まり、よさこいとしての見せ場が少なすぎる!!
{netabare}・しかもメインの夏の「花彩よさこい祭」も、ハナの帰国騒動で興を削がれた
上に、作画の手間を省きたいのか、5人のそろい踏みもほんの少しだとか…
いや作中一番力を入れなきゃいけないところでこれでは、なんのためにこの
作品をここまで視聴してきたのかって感じですね。
(ここはフルでしっかりみせて欲しかった・・・){/netabare}
同じ「きらら系」でも「けいおん」が女子高生の緩い日常とバンドのかっこよさ
の両輪をしっかり描いて超人気作になったのに対し、本作は
・中学生の青春群像劇を少しシリアスに描きすぎた(尺も取り過ぎ)。
・キャラデザとか秀逸なのに、もう少し緩さがあってもよかったのでは?!
・肝心のよさこいにもっと尺と作画を費やせよ!!(作画自体の質はいい)
という、個人的にはちょっと残念な結果に終わったかなという印象ですね。
いろいろとポテンシャルは高いと思うので、もっとよさこいを面白く魅せること
に注力していれば・・・
(物語としてよさこいである必要性がかなり薄かったかなっと)
まあ原作者が描きたかったものは、そういう方向性じゃなかったのかも。
(私が期待してたものとは、方向性が合わなかったのかな)
OPは本当に素晴らしいので、そこは本当に一度観て欲しいなっと思います。