けみかけ さんの感想・評価
3.9
ルフィにぶつけるに相応しいビックな敵役には観惚れたけどハッキリと『ワンピース』に洋画パロは不要だとわかりました・・・
『ワンピース』の劇場版13作目(中編や3DCG作品を含みます)
尾田栄一郎の制作総指揮の下、新世界篇の完全オリジナルエピソードとして描かれる120分
監督はテレビシリーズ四代目ディレクターの宮元宏彰
脚本はフジテレビ系ドラマの黒岩勉
キャラデザは『ONE PEACE FILM』シリーズ3作全てと『ハピネスチャージプリキュア』の佐藤雅将
音楽は林ゆうき
宮元は劇場版初監督、黒岩はアニメ初執筆という珍しいタッグによる劇場版です
4DX、及びMX4Dでの上映も一部でありましたが今回は通常上映で観ました
世界政府公認(というより黙認)の島ほどの大きさもある超巨大カジノ船、「グラン・テゾーロ」にやってきた麦わら海賊団
名のある彼らは歓迎され、船の中の様々なアトラクションで楽しむ
彼らが派手に立ち回った代償と、賞金首であることも既知の上、支配者ギルド・テゾーロは麦わら海賊団を屈服させようと自ら手を下す
当然、タダではやられまいとするルフィ達だったが、グラン・テゾーロに入った時点で彼らはテゾーロの「ゴルゴルの実」の能力に勝てはしなかった
テゾーロに立ち向かったゾロは身体を金に変えられて人質となってしまい、ルフィ達は撤退を余儀なくされた
船の中の人間達は常に監視され、巨額の借金で首が回らず、永遠に続くテゾーロへの返済の為に全く自由が許されぬ圧政に苦しんでいた
ルフィ達はナミの昔の泥棒仲間で、浅からぬ因縁を持つカリーナの協力を得ながら逆転のチャンスを掴むべくテゾーロのアジトに潜入する・・・
ならず者VSカジノの支配者・・・これ完全に『オーシャンズ11』ですよね
この他にも『チキチキマシン』だか『キャノンボール』だか『デスレース』だかっぽいものが・・・レースのシークエンスは世界観描写としては尺長すぎる、全然メインじゃないのに;
(言われて気付きましたがこのレースシークエンスは完全に4Dの為の仕掛けだった様です;4Dで観た方が良さそうですね・・・)
それとルフィとフランキーのアジト潜入&罠からの脱出は『ミッション:インポッシブル』ですね
監視されてるって説明されてる世界で、ド派手に大立ち回りはどう考えてもオカシイ
ハッキリ言ってオマージュとしてはどれも中途半端であんま面白くなかったです・・・;
それに『ワンピース』ファンは別に洋画パロディとか求めてないと思います
サブキャラも多過ぎ
テゾーロの幹部、テゾーロに支配される市井の人々、ルフィ達と利害が一致して協力してくれるテゾーロに騙された者達・・・
さらにそれとは別にCP-0や革命軍も暗躍する・・・
折角の劇場版なので詰め込みたいしファンへのサービスも忘れたくない、って建前なのはわかるけど全くといって消化仕切れてないです
レイズマックスさんが革命軍の兵士だ、っていう設定パンフ読んではじめて知ったわ
劇中ではそんな描写無いのにね
テゾーロに騙された麦わら海賊団が、テゾーロを一泡吹かす
という終盤の展開は全然頭脳戦でもなんでもなく、最後は力推しじゃねぇかよ
ラストは熱いバトルで締めるってのだけは変わらずやるんですから、変にズル賢いとこ見せました!ってのは本当にいらなかったです
もうハッキリと今回の劇場版の脚本は“最悪”だったのではないのでしょうか?
逆に評価したいのはテゾーロというボスキャラ
もはや麦わら海賊団と対等に渡り合う敵役といえば、七武海とか四皇とかそーゆークラスになっちゃうわけです
前作のゼットがそーゆーキャラでしたよね
けど全くのオリジナルキャラでありつつギア3のルフィとすら互角に渡り合えるテゾーロの実力
そして、彼の若かりし頃がうっすらとルフィと重なることでテゾーロにもルフィのような野心があったことを匂わせる描写
このテゾーロの過去はホント一瞬しかないので変な洋画パロディとか、多すぎるサブキャラの心情とかやるぐらいなら、もっとじっくりやるべきだったと感じましたね
ともかくテゾーロの圧倒的な強さは本作最大の魅力だと言えます
それとテゾーロとカリーナが序盤で魅せる歌と踊りのショウ(レビュウ)は作画とCGが調和していてクオリティ高い
たぶんCGガイドかロトスコですかね
あと本作では通常では考えられないほどのゲスト声優が出演しています
前述の通り、サブキャラが多すぎるのが原因ですが、配役に関しては案外悪くない
山路和弘、浜田岳、菜々緒、ケンドーコバヤシ、北大路欣也、竹中直人、古田新太、コロッケ、三村マサカズ、オカリナ、ナダル、三宅アナ、小栗旬、あとnon-noとかSeventeenとか出身のモデル女優が4人と成田凌
よくもまあここまで集めましたね
でも各々の演技はとても素晴らしいものに仕上がっていたと思います
た
だ
ひ
と
り
満島ひかりを除いては、ですけどね
満島ひかりは物語の鍵を握る重要人物、カリーナ役でセリフも多い
ナミの旧友ってことで絡みも多い
ですがこいつの芝居はとても褒められたものでは無かったです;
他の方々が良かっただけにカリーナだけ浮くわ浮くわw
声が出てないどころか真面目な芝居を求められるところで声が笑ってるし、笑いの芝居の部分で声が笑ってない
正直オイラにはフォローが出来るレベルの芝居ではありませんでした;
良い部分が目立ったにも関わらず、お話にしても声優にしても駄目な部分は徹底的に駄目な映画でした
120分という長尺使ってコレなのですから無駄尺だったと言わざるを得ません
ああ、GRIM SPANKYのカッコイイ主題歌はラストを爽やかに締め括ったので観終えた後の気分は案外悪く無かったですけどねw