残酷で戦いなアニメ映画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の残酷で戦いな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月04日の時点で一番の残酷で戦いなアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

67.2 1 残酷で戦いなアニメランキング1位
マルドゥック・スクランブル 圧縮(アニメ映画)

2010年11月6日
★★★★☆ 3.8 (337)
1809人が棚に入れました
 『天地明察』で2010年本屋大賞に輝いた人気作家・冲方丁の出世作にして2003年日本SF大賞受賞の傑作サイバーパンク小説『マルドゥック・スクランブル』を、原作者自らの脚本でアニメ化する全3部作の映画プロジェクト、その第1弾。特殊な証人保護プログラムによって死の淵から甦った一人の少女娼婦が、不思議なネズミの捜査官と協力し、自分を亡き者にしようとした男の犯罪を暴くべく戦いを挑む姿を描く。声の出演は、ヒロインのバロット役に林原めぐみ、その相棒ウフコックに八嶋智人。マルドゥック市で生きる未成年娼婦、ルーン=バロット。働いていた店が摘発され、行き場を失った彼女は、カジノ経営をする資産家、シェルに拾われる。しかしその後シェルの非情な計画によって、彼女は車ごと爆破されてしまう。業火の中から辛うじて助け出されたバロット。彼女は、マルドゥック市の事件担当官ドクターとウフコックによって、特殊な強化繊維で再構成された人工皮膚を移植され一命を取り留める。これにより特別な能力も手に入れたバロットは、シェルの犯罪を追っていたドクターとウフコックの捜査に協力していくのだが…。

声優・キャラクター
林原めぐみ、八嶋智人、東地宏樹、中井和哉、磯部勉、田中正彦、若本規夫、かないみか、三宅健太、脇知弘
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

底辺少女が金のネズミと共に、生きる目的を獲得する再生のストーリー

 原作は文庫本の新・旧版・単行本すべて読んでいます。大今良時さんのコミック版も読んでいます。円盤も購入済み。日本のSFで3本の指に入るくらい好きな作品です。

 配信版確認しましたが、アダルトなシーンが全カットでしたね。これではヒロイン、ルーンバロットのどん底からの再生物語が描けるわけがないです。できればノーカット版であるいは原作を読んだ方がいいと思います。


「圧縮」のあらすじの説明です。まあ、高校の技術等で習うと思いますが、「圧縮」「燃焼」「排気」はエンジンの4ストロークのサイクルになります。つまり第1部の事ですね。

 サイバーパンク的な都市が舞台ですが、イメージとしてはソドムでしょう。「バットマン」のゴッサムシティのような爛熟退廃した都市です。
 この都市では、スクランブル09という非合法な肉体改造に関する戦争テクノロジーが、有用性を示す限りにおいて認められます。

 さて、ヒロインは12歳の時から父親に常習的に犯されていて、兄が父に発砲し刑務所へ。ヒロインも手をかけていますが、兄がすべて引き受けたのでしょう。
 ヒロインは少女売春婦・少女ポルノのスターでもあります。警察のガサ入れで留置されていたところを、シェルというカジノの大幹部に愛人として拾われます。

 ヒロインはシェルの秘密を知ろうといして、殺されかけます。そこを救ったのが、ドクターとウフコックという金色のネズミです。ヒロインはスクランブル09の技術で死にかけていたところを何とか救われます。

 治療中のバロットの潜在意識に生存の選択をさせた上で、バロットのスクランブル09使用の根拠とするため、バロットの生存をかけた裁判が始まります。生命保全プログラムです。

 バロットは生きたいという潜在意識と裏腹に、自分を否定しています。この葛藤が前向きに生きる気持ちの阻害要因になっている感じです。この過程でウフコックはバロットに生きるための教育をして行きます。

{netabare} 信頼を結べたかに見えた2人ですが、バロットは想像を超える強大な力を手に入れ、自分の力に酔いしれてしまいます。そして、少女は自分が男たちに犯され続けた過去への復讐を、戦いに重ねてしまい男たちへの攻撃を楽しんでしまいます。
 その結果、パートナーであるウフコックを道具として濫用してしまい、危うく壊しかけてしまいます。{/netabare}


テーマ性です。

 少女が主人公なのはなぜか?それは都市において「もっとも弱いもの」だからでしょう(もちろんその方が見栄えがいいのももあるでしょうけど)。性的に消費され続け、自らそういう生き方を選択した結果、生きる理由を失い、愛情とは何かが分からなくなってゆきます。

 少女の性的な虐待と売春の描写はそれが生きるための手段です。バロットの他人に知られたくないという気持ちからそれを恥じていることが分かります。自分の過去の否定=自分の存在の否定になって、自分の存在が分からなくなっている感じです。ピッタリしたタイトな服を好むのは孤独感などの不安な精神状態を表しています。

 結果、生きたい・死にたいのアンビバレントな精神状態に陥ってしまいます。そして少女は生きる目的として、他人の愛情を欲します。ですが、本来的な愛情が理解できていません。だから父親の虐待を愛情として受け入れたし、シェルにすがったし、ウフコックに依存します。

 そこまでグロテスクにする必要があるか?という残酷描写もありますが、底知れない都市の欲望と残虐性のアナロジーになっています。ヒロインの生存の根拠ための戦いです。

 ヒロインは声を失っています。これは自分の本音を語ることができないアナロジーだと思います。ウフコックを使って話せるようになるという含意が読み取れます。

 作品全体は「狂った都市」つまり現代の東京・日本・資本主義的な欲望の中の狂気と、どん底を見た=聖性を得た少女の戦いということでしょう。つまり、過去ではなくどうやって前に進むのかという話です。
 
 また、戦争が生み出した、技術の非人間性も表しています。

 いくらでも語ることがある作品ですが、これくらいにしておきます。


 アニメ作品としてですが、ヒロインのデザインも声優も素晴らしいです。特にヒロインの身体が非常に華奢で壊れそうに描かれているのがいいです。それが「壊れそうな」少女を表現しています。

 EDのアベマリアですが、故本田美奈子さんの歌声がいいですが、本作の象徴するのは、ヒロインが、マグダラのマリアのように…娼婦という穢れの中で聖性を帯びる存在だということです。バロットの象徴として非常に良く作品と合っていました。


 恐らくは欠点は、この重厚な物語に対してちょっと説明不足なこと。アニメとして楽しむ分には上で書いた事は読み取れますが、サブスク等で1度しか見ていなければ、アニメとしては理解が追い付かない可能性もあるでしょう。

 予算または技術的な関係か作画が物足りないこと(高水準ですが、今の最新技術と比べるとちょっと見劣りする)。

 ということで点数は4.6ですが、主観では230点/100点くらいです。あまりに好きすぎて冷静になれません。


 以前2021/05/03に書いたレビューを全面的に更改しています。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2

Jacks さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

本能に目覚めろ

その女性はある理由を探し求めて生きていた。利用され騙されながらも。裏社会は常に彼女を含む罪なき人々を支配する。
麻薬密売、娼婦、カジノ。そして科学技術。その上、様々な殺し屋達が蔓延している。苦痛で満たされているのだ。
罪悪感と罪の意識は等しい概念。時々戦士達はそれらに悩まされながら悪と闘う。その光景は表裏一体だ。ただ樹木という名の材料として燃え上がるだけ。
人々が彼らの心理を読み解くのは疑いようもない事。その答えは簡単だ。暗号化された人類だから。他に何がある?
そしてまた、一つの新世界が誕生する。未来を担うあの女性は躍進していく。真の悪との闘いの幕開けだ。彼女の名は...ルーン=バロット。

マルドゥック・スクランブル三部作は独特なサイバーパンクアニメ映画です。圧縮(The First Compression)は文字通り第一章。つまり導入部を意味します。
主人公は上記の通りルーン=バロットです。彼女は多くの敵に翻弄されながらも、立ち向かっていきます。これが基本的なストーリーの流れです。
設定とキャラがとても精密で、話に大きく関わります。この三部作は比較的大人向けです。本作に限れば無数の性的描写と血まみれバイオレンスがありますから。続編では緩和されています。
同時に、本作は人間の価値観について色々と考えさせられる部分もあります。バロットの存在理由は?なぜ人類は進化し続ける?良い意味で疑問が尽きません。
一見、本作は説明台詞のおかげで難解ですが、実は違います。伏線とメタファーの塊なのです。原作者である冲方丁さんは話の組み立て方を理解しています。SFの知識が豊富ですから。
特筆すべき点は銃の重要性ですね。本作の中ではただの凶器ではありません。本作での銃は命の必然性を表しています。殺るか殺られるかではなく、問うか問われるかです。
それを念頭に置けば、ますます本作を楽しめるでしょう。銃は確かに人を殺します。しかし、それ以上に命の大切さに該当します。この三部作はありきたりな作風ではないのです。

世界観と作画が素敵です。僕はこの頃のGoHandsの手腕を既に認めています。かなり印象的です。美しいとも言えますね。
キャラに関してはすごく良いと思います。バロットがセクシーすぎです。ウフコックとドクター・イースターも良い味出しています。
シェル・セプティノスの一つ一つの台詞が意味深ですね。ディムズデイル・ボイルドの哲学も興味をそそります。
戦闘シーンはとてもカッコいいです。エフェクトも派手で、スプラッターです。バロットとウフコックがナイスコンビネーション。
声優陣の演技も洋画の吹き替えみたいで素晴らしいです。特にバロット役の林原めぐみさんは見事。バロットのあらゆる感情表現を巧みに演じ分けています。さすがですね。

本作は序章のため、ストーリーは未完結です。なので、続編を観る必要があります。肝心の続編ですが、個人的に面白さが少し半減しています。それでも十分見応えがあります。
燃焼(The Second Combustion)は心理戦が主なテーマで、排気(The Third Exhaust)は黒幕との決着が描かれています。それまで辛抱が必要ですね。

正直に言うと、本作だけに限れば目新しさはそこまでありません。ですが、もう一度言うように面白いです。この三部作がテレビシリーズかOVAだったらどうなっていたのでしょう?
僕個人の意見としては映画化で良かったと思います。それぞれ良さがありますからね。本作が気に入れば、続編も好きになるはずです。
ちなみに僕は3年前に全三部作を観ました。久々に近未来的要素を体感できました。この作品に出逢えて本当に良かったです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 1

minisaku さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

面白いけど圧倒的に尺が足りてない。 全部見終わった感想です。

特殊な科学技術によって死の淵から甦った娼婦の少女が、不思議なネズミの
捜査官と共に、自分を亡き者にしようとした男の犯罪を追うってお話。

『圧縮』『燃焼』『排気』の全三部作で構成されている物語です。


まず最初に、この作品は全体的に暗めで内容的に重い部分も多いですし、
残虐な殺人行為や性的虐待など、暴力的でエログロな描写なども
結構あるので苦手な人は注意が必要です。



では、注意書きもしたのでココから感想w


かなり見るヒトを選ぶだろうなって作品ですが、なかなか面白かったです。

作品の持つ独特な世界観や雰囲気、綺麗な映像、スピード感あるアクションなど、
惹かれる要素の多い作品でしたが、この作品の一番はやっぱり映像ですね!!

立ち並ぶビルや光を帯びた道路など近未来の街並、楽園での草木や水などの自然風景、
色鮮やかなカジノでの背景などなど、映像だけでも十分引き込まれる位の魅力が
ありました。 特に「楽園」での光と水の描写はすごくキレイ!!

それに、この作品の見所の一つだと思う 戦闘でのアクションシーンなども
とても綺麗で良かったです!!


ただ、かなり自分好みの作品ではあったのですが、ストーリー自体が
面白かったかと言えば、それはまた別の話で...


大筋のストーリーは良いのだけど、展開が速くて元々わかりづらい内容な上に、
描写不足、説明不足が加わって更にわかりにくなってます。
やはり世界観や設定、バロットやボイルドの能力、心理描写などの
説明不足は大きいですね。

それに、人物描写はもっと欲しかった... 一番描かれていたバロットにしても、
それでも足りないって思うし、せっかく魅力的なキャラがいるんだから
もっと掘り下げあっても良かったと思う。
まぁバロットの心情、不安定さや心の弱さなどを、言葉だけじゃなくて
目線の動きや仕草などでも表現してるのは上手いと思うんだけど、
やっぱり足りてない...

あと、ラストは少しあっさりしすぎだったかな... それに加えて最終決戦のBGMが...
BGMがヒドかった。 なんで最後だけ... それ以外は良かったのに...


そんな感じで、ストーリー自体に対しては 物足りなさを結構感じますね。
原因は確実に尺の問題なんだろうけど...


でもまぁ、一部では華麗なアクション、二部では楽園での映像美、三部ではカジノでの
緊張感ある心理戦など、それぞれ見所もあって良かったと思うので、
一概によくなかったとも言えないんですよねw

そう、悪くは無いんですよね、なんとも惜しい作品なんです!!


自分としては、残念だった部分を含んでも、差し引きで「見て良かった」って思えますが、
好みがかなり出ると思うので、人にはあまりオススメは出来ないかな。

ただ、この映画って原作読んだ後に見ると かなり面白いんじゃないかなって
思ったりします。 自分はすごく原作読んで見たくなりましたしねw

というか、おそらく読むと思いますww

投稿 : 2024/11/02
♥ : 29

80.9 2 残酷で戦いなアニメランキング2位
劇場版 呪術廻戦 0(アニメ映画)

2021年12月24日
★★★★★ 4.1 (343)
1426人が棚に入れました
『呪術廻戦』原点 愛と呪いの物語-。

集英社「週刊少年ジャンプ」で連載中の、芥見下々による漫画作品「呪術廻戦」。2018年3月から連載が開始され、人間の負の感情から生まれる呪いと、それを呪術で祓う呪術師との闘いを描き、既刊16巻にしてシリーズ累計発行部数は驚異の5000万部を突破。2020年10月から2021年3月までは毎日放送・TBS系列にてテレビアニメが放送され、深夜アニメ枠ながら、高視聴率を獲得。定額制動画配信サービス全体の視聴者数週間ランキングでも約2カ月に渡って1位を記録し続けるなど、一大ムーブメントを巻き起こした。(GEMランキングクラブ調べ/2021年1月23日~3月20日の毎週土曜に過去1週間の視聴作品を調査)

そして、2021年12月24日。『呪術廻戦』は映画となって新たなステージを迎える。劇場版で描かれるのは、既刊単行本の中でも人気のストーリーの一つである『呪術廻戦』の前日譚、「呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校」。通称“0巻”。

『劇場版 呪術廻戦 0』―これは、呪術廻戦の原点の物語であり、“愛と呪いの物語”。
ネタバレ

テナ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

失礼だな 純愛だよ

今回、見るか止めるか悩んだ作品
少年ジャンプで鬼滅に続き人気作品の呪術廻戦ですね。
1度は誰もがタイトルくらい聞いた事がある有名作

実はこの作品、アニメ放送では正直な話、面白いとは個人的に思えない作品でした。
じゃ、ダメな作品か?と言えば、そうでもなく普通過ぎるかな?と。

Q「じゃ、何故見ようかな?と思った?」

A「話題性があり、今回はアニメ版とは違う0のエピソードだから」

↑です!

実は、私は心が荒んでいるのか……大抵ハマる作品って最初は否定から入ってるのが多いんですよね。
自分のイメージを超えるからこそ素敵な作品に感じハマる事が出来るのだと思っていますが、素敵な作品を素敵だと見抜ける純粋な心が欲しいですね。

さて、何故、私がこんな前置きをしているのか、実はここまで、劇場版を見る前夜に書いています。

理由として、人気作品と言えど、アニメが合わなったとか、興味はあるけど見ていないなどの私と同じ考えを持っている方にが見た場合は、劇場版0はどうした印象になるかを書き記したいと考えたからです。

アニメも流し見しかしていない。
主人公の名前すら覚えてない、そんな人間が見たら、どんなレビューになるのか……どう映るのか、話題性だけで見に行っても面白いのか……書いていきたいと思います。


では、ストーリーですが、結論から言いますと「面白かった」です。
呪術廻戦0(以下、劇場版0と表記)はまず、初心でも見えます。
本編を知らない人、キャラを知らない人も安心して見られます。

主人公の乙骨憂太の周りの人間は自己紹介が簡単にされるのでキャラ名を知らなくても直ぐに馴染めます。
後半に京都高校のアニメでは手を叩いて瞬間移動してた人がいる高校のメンバーのいる学校の人達が居ますが、こちらは余り気にならなかったです。
名前を知らなくても劇場版0までなら付いていけます。

次に、迫力ですが、迫力なら他のアクションの方が上の作品が沢山あります。
迫力もこれ単体映画なら充分かもしれませんが、アクションアニメが好きな人には物足りなく感じるかもしれません。
しかし、この作品のアクションにはスピード感があり目を楽しませてくれます。

主人公の乙骨憂太の声優さんがエヴァのシンジ君と同じかな?
シンジ君といい乙骨憂太といいキャラの性格にあった良い声優さんのチョイスがセンスをあって、よく考えて選ばれて、よく考えて演じてるなぁ〜って制作側の頑張りが1番見てとれは配役でした。

乙骨憂太が教室で凹んでる姿やセリフがシンジ君を思い出されました(*꒪꒫꒪)
乙骨憂太のセリフの「死んじゃダメだ、死んじゃダメだ、死んじゃダメだ」が
シンジ君の「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ」を思い出すw

さて、ストーリーも軽く追います。

{netabare} 乙骨憂太とリカちゃん。
2人は幼い頃に結婚の約束をします。
子供の頃の約束……これがあんな呪いになるんだ……可愛いく大人になると少し恥ずかしいそんな思い出でが、こうねじ曲がったのかと思うと少し悲しく感じましたが、ラストの呪いの本当の意味を知って、そっかそうだったんだって思いました。

リカちゃんを呪いから解放して事実を知った乙骨憂太は涙します。
でも、リカちゃんは「生きていた頃より、ずっと一緒に居られた6年が幸せだったよ」と言葉にします。

多分、彼女は入院生活が長かったみたいだから、呪いでも好きな人の傍で一緒に居られる時間が大切で嬉しかったんでしょうね。 {/netabare}

確かに、乙骨憂太の言う通りなんでしょうけど、それも悪い事ばかりでは無かった。
犠牲も沢山あって沢山の人も傷付けられ命を落とした。
それでも、乙骨憂太がしてきた事で幸せを感じたり出会って良かったって思える人達だって沢山居たんだと思いました。
リカちゃんとの別れは少しうるっと来ました。

実は、呪術廻戦本編だと私は余り好きなキャラが見つけられませんでしたが、劇場版0を見て、乙骨憂太が結構好きになれました。

理由としては、私はあまりウジウジしたキャラは好きにはなれないのですが、乙骨憂太に関しては普段は自分に自信が無さそうにしているのに、友達を侮辱されたり、友達のピンチを見たら雰囲気をガラリと変えて、しっかり発言や行動が出来る姿がカッコイイと思ったからです。

後は……友達をリスペクトしてる所かな?
彼は常に誰かの強さや凄さを素直に認めているって点も素敵ですね。
後、乙骨憂太は戦いの中で凄まじい速度で成長して行く。
その理由の一つがそこにある気がしました。

何にでも、戦いの中で成長する人間ってのは凄いのですが、乙骨憂太はそのタイプの人間ですね。
最後の戦いはカッコイイですね。


最後にリカちゃん……
{netabare} 化け物になっても心は化け物になって居なかったのかもしれません。

リカちゃんは子供の頃に死んでいるから化け物になっても、その子供特有の正義感や無邪気感が物語に反映されていて……

乙骨憂太が虐められた時は虐めっ子を殺してる感覚はなくて、止めてるだけで力加減が解らない子供だから結果あんな事になったり。

学校の化け物を倒す時も、「リカ!綺麗なの好き」って化け物を屠るシーンも遊んでて綺麗?な物が出るからドンドンしちゃう止まらない子供の遊び心が反映されてる気がしました。
グロいけど(*꒪꒫꒪)

後は、マキにヤキモチを妬いたのも子供ならではなのかな?
大人でも好きな人の事になるとヤキモチ妬いたりする。
子供であるリカちゃんは、乙骨憂太とマキが打ち解けていくのを見て、自分を見て貰えなくなるって恐怖を感じたのかもしれませんね。
自分の姿は化け物なのに相手は普通の女の子で美人さんだし、乙骨憂太は怖がっていりして、化け物になった、リカちゃんに優しく微笑んでくれた事はない。
ただただ羨ましかった。
コイツさえ居なければって……

だから、「お前ばかりずるい」って一言で……
でも、このシーンは1番彼女を人間らしく見えて、本当に乙骨憂太が好きなんだって感じました。
リカちゃんからすれば、殺ろうと思えば直ぐに殺れた。
でも、掴み取って涙を流して暴言を履いて躊躇してした。

彼女は乙骨憂太が大好きだ、大好きな人の友達であり仲間である。
マキが乙骨憂太を認めてくれたのを知ってる。
乙骨憂太が友達を大切にしてるのも知ってる。
だから、彼女を傷つける事は乙骨憂太を傷つける事になる。
だから、躊躇ったのかな?って。


でも、乙骨憂太に怒られたら泣いて嫌わないでって子供らしさの凄くある怪異?でした。

前半は、乙骨憂太がリカちゃんに振りまされてる感がありましたが、後半は乙骨憂太がリカちゃんを制御している感じがしました。{/netabare}

と、言う訳で劇場版0はアニメや原作を見てない私でも普通に楽しめたと思います。
私の様に本編や原作知らない人でも全然見える作品だと思います。

原作では乙骨憂太は出るのかな?出るならきかいが在れば原作にも触れてもいいかもしれない。
そんな気がした作品でした。

余談ですが、私がiPhoneで使用してるキーボード着せ替えアプリで、乙骨憂太と打つと予測変換に「失礼だな 純愛だよ」って名言が変換リストに出てきますww

投稿 : 2024/11/02
♥ : 16
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

未だに消化しきれない特級濃度の前日譚

原作コミック『呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校』は未読。

2021年末公開後まもなく劇場鑑賞済。

原作シリーズ未見状態で鑑賞するとスッキリしない感じがあって、
長らくレビュー書きあぐねていました。

乙骨の“純愛”は本作だけでもある程度理解はできるのですが、
対峙する夏油(げとう)の“大義”については映画だけだと、
非術者を“猿”と見下す典型的な人類見下し型イカれボスキャラという表層しかすくえなくて。

それでいて夏油の大義形成の経緯を示唆するカットもあったりするので、
こりゃ夏油の真意を知るまではレビュー書けないなとサボりを正当化して約1年半w

TVアニメ2期「懐玉・玉折」にて正義漢だった夏油が最悪の呪詛師に転落していくいきさつを共有できたので、
2期が閑話に入っている合間を縫って本作を配信で再視聴しました。


【物語 4.0点】
節目節目で振り返る価値のある濃厚な前日譚。

1回目鑑賞時は、TVアニメ1期にて頻出した、呪いこそ人間らしいとの作品の主張を補強する視点で。
{netabare} 「愛ほど歪んだ呪いはない」{/netabare} との五条悟先生の持論も噛み締めた上で。

2回目鑑賞時は、非術師の人類鏖殺(おうさつ)を正当化する夏油一味の視点も交えた上で。
悟ならやれるのに何故やらない?との夏油の苛立ちも考慮した上で。

角度を変えたら違った味わいが滲み出て来る。
骨太の世界観に支えられたシナリオには噛み応えがあります。


2度の鑑賞を経ても尚、整理し切れないのが五条悟と呪術協会との関係とその真意について。

悟が協会の“おじいちゃんたち”の何に苛立っているのかは、
{netabare} 「若人から青春を取り上げるなんて許されていないんだよ。何人たりともね。」{/netabare}
との発言からもある程度推察できます。
人類が呪いを生み出すからと言って、禁忌を増やし過ぎたら人間性の否定ですからね。

ただ悟や協会が人類と呪いの管理について、どの辺りを落とし所にしているのか?論点は未だおぼろげ。
TVアニメでの虎杖悠仁の取り扱い方針の違いから、悟の方が呪いや人類の活動に関してある程度寛容なのだろうか?とは思いますが。

これは悟の真意を知った段階、或いは最後、{netabare} 悟が夏油に囁いたセリフが明らかになった{/netabare} 時点で3回目観ないとw
ただ色々なテーマを持って繰り返し挑むだけの価値のあるストーリーだとは思うので、
私は再々見の機会を楽しみにしております。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・MAPPA

相変わらず真っ正直にキャラを直線的に動かさない。
一つとしてパターン化された感じがしない複雑な動線で構築されたバトルアニメーションには傑出したエンタメ性が宿ります。
私のお気に入りは駒のようにクルクルと回りながら呪霊を切り刻む禪院真希のアクション。

近年、作画とCGの融合をビジョンとして掲げる同スタジオ。
1期で全て作画だった呪霊ですが、劇場版ではサソリと魚群はCGにしました。
というのは見ていればCGだよなと分かります。
が、呪術高専でのバトルシーンなどの背景にもCGが。
などというのは言われないと分かりません。

制作現場では、このカットは作画で行くか?CGで行くか?
判断が付かない場合は両方のパターンでパイロット映像作って比較検討したりしたそうで。
そういう意味でも本作は、当時の作画とCGがせめぎ合う最前線だったのだと思います。


そんな作画とCGの“つなぎ目”をスムーズにする上でも注目したい制作集団がsankaku。
本シリーズでも“帳(とばり)”が下りる映像などでお馴染みの同グループ。
3Dモデリングとアニメーションの架け橋として活躍するsankakuの名前。
スタッフ欄で発見する度に、遅れ気味な日本アニメのデジタル化の進展を確認して、嬉しくなるクレジットの一つです。


【キャラ 4.0点】
主人公少年・乙骨優太。
気弱な少年だが、行動を共にする“特級過呪怨霊”折本里香の力により特級として呪術高専へ。
「生きる力」への渇望で一皮むけて行く乙骨の姿は、
「正しい死」を求めて呪術師になった本編主人公・虎杖(いたどり)悠仁とは志向性が対称的。
その生を求める乙骨の力こそが{netabare} 死んだ里香を呪った源泉。{/netabare}
生と呪いは表裏一体。本作の掲げるテーマは誠に悩ましくて中毒性があります。

禪院真希、狗巻棘、パンダ。
乙骨と同級の1年生つまりTVアニメ1期の2年生の先輩たちが格好良いのも高ポイント。
彼らの心情を理解すると1期「京都姉妹校交流会編」がまた観たくなります。


2期「懐玉・玉折」視聴前後で、ガラリと印象が変わるのが“百鬼夜行”を引き起こした夏油らの呪詛師グループ。
夏油が体術もイケる口というのも初見時は、手強いラスボスを演出する平凡なスパイスといった印象でしたが、
2期視聴後に再見すると{netabare} フィジカルお化けの伏黒に惨敗した{/netabare} 教訓も踏まえてメッチャ鍛錬したんだろうな?と妙な感慨を覚えます。

夏油配下の枷(はさ)場奈々子&美々子姉妹にしても、
気に食わないオヤジは狩って吊るす!けしからんギャルといった第一印象でしたが、
事情を知った上だと、{netabare} 術師に無理解な人間たちに迫害されていたあの幼い双子が、{/netabare}
よくぞここまで立派な呪詛師に育ったと、ちょっとだけ感動しちゃう不思議w


【声優 4.5点】
主人公・乙骨優太役には緒方 恵美さんを指名。
2021年は『シン・エヴァ』の碇シンジ役に続き、興行収入“100億の女”連発となった緒方さん。
自己否定感に苛まれる少年の鬱屈と、それが自己肯定感に転化した時の世界を揺るがす程の爆発的なエネルギー。
キャリアの中でこうした表現を積み重ねてきた方の主演はまさに適任でした。

そのCV.緒方さんと、呪いに成り果ててまで愛を語らう相手となった折本里香役には、
花澤香菜さんを選出。
定評のある可愛らしい少女ボイスから、禍々しい呪い溺愛ボイスまでカバーする流石の芸域の広さ。
クライマックスの{netabare} 乙骨の「いっしょに逝こう」に対する{/netabare} 狂喜の叫び声の演技には周りのキャスト、スタッフ陣も震撼したのだとか。
実際、何度聞いてもネジが飛んでいて凄まじいですw


天才・五条悟を足止めするアフリカンな呪詛師・ミゲル役には天才・山寺 宏一さんを起用。
時間稼ぎにしては豪華過ぎるバトルシーンをベテランの妙技が支える“百鬼夜行MVP”
ミゲルさん噛ませ犬で終わるかと思いきや、まだ先があるみたいなので、キャスト共々再会を楽しみにしています。


【音楽 4.0点】
劇伴は堤 博明氏、照井 順政氏、桶狭間 ありさ氏。1期の三者共作体制が継続。
OPの「Greatest Strength」では英語詞バラードも交え劇場版のスケール感を盛り上げる。


ED主題歌はKing Gnu。
「逆夢」はジックリと愛を語るバラード。
「一途」は狂おしい想いを叫ぶアップテンポナンバー。
いずれも上記の{netabare} 「愛ほど歪んだ呪いはない」{/netabare} との持論など毒も織り込んだ上々のタイアップ。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 28

takato さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

作画は良くても溜めがないのでは上がらない。こんなんで愛を語らいでか!。

 鬼滅ほどじゃないがヒット中の新作を見てまいりました。結論を言うと、TVアニメと同じ良さと悪さががある。つまりTVアニメが好きな人なら大きな不満はないでしょうが、そうじゃない人には物足りないでしょう。


 バトルシーンの作画が良いのは、もう言い尽くされてることなので今更言いません。ただ、本作は背景美術のレベルが高い!。特に高専周りの場面は、密度とスッキリとしたセンスが調和していて見事。ユーフォーほど深海のような暗闇に対する耽溺や、京アニのような光に対する過剰なほどの拘りとも違う味わいがあります。


 正直言いいますとバトルに読み合いも何もないし、積み上げたもんが一気に爆発する感覚がないからせっかくの作画もイマイチ上がらないのだが。


 ただ、問題のはキャラとストーリーという肝心の部分は弱いということ。本作は連載前の短期読み切りだから仕方ない面もあるが、そこはブラッシュアップが必要だったろう。


 シンジ君丸出しな乙骨君はシンジ君ほど病んでないし、溜がないからリカちゃんを使いこなせるようになる瞬間も、仲間との絆が結ばれたカタルシスも無し。予告でやってた「お前なんで呪術高専に来たんだよ!」なシーン、終盤のクライマックスくらい重要な場面かと思ったが早々だから重さがない。そもそも乙骨君の苦しみの過程も、リカちゃんとの愛の過程も描かれてないからなんで悩んでんの?って感じ。


 そもそもリカちゃんの存在があまりに抽象的というか、断片的な思い出ばっかだから実は乙骨のイマジナリーフレンドなんじゃ?くらいに思ってしまった。自分の過失で死なせてしまった違う女の子を核にした自己防衛のために作りあげた孤独な乙骨の哀しみの産物くらいやって欲しかった。なんでリカちゃんがあんな力があるのか?の説明もジャンプお得意のアレでギャグ気味に言われても苦笑ですわ。


 敵役の魅力不足とか、短い尺で説明的なエピソードが多いとか、相変わらず修行や努力を魅力的に描けてないとか他にも問題があったけど、根本は呪術廻戦だけじゃなく他のヒット作品にも見られる弱点に行き着くように思えた。即ち全ての基本である筆力という単純な能力の不足である。


 なんとなく王道とされるようなシチュエーションや設定を持ってきたり、過去のヒット作のエッセンスというか風味を軽く持ってきても、その面白さを支えていたキャラの魅力を効率的に描きこむという基本ができてなきゃ全てが弱くなる。やたら過去回想で重めのエピソード入れときゃ、キャラを描き込めるだろってのはナンセンス。やたら安易にトラウマが云々な作劇連発は辞めたほうがいい。


 出落ち的に派手で奇抜な魅了あるビジュアルと設定を持ってきても、掘り下げていくと常識的な良い人ってくらしか出てこないのはキャラクターを創造するという行為に対する愛と能力が未熟と言わざるをえない。人間ってもっと複雑なもんよ。


 ヒットしてようがなかろうが、そこを抑えてる人は過去の作品から要素を持ってきてようがなんだろうが面白い作品を作れる。面白い作品に必要な条件というのを考えていくと、色々あるけど最終的にはそこに行き着くように思える。シンプルでも太い線のキャラを描き込めるかどうか。なんとなくの雰囲気やジャンルで価値が決まるわけじゃない。

投稿 : 2024/11/02
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