2024年度の歴史おすすめアニメランキング 5

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早速見ていきましょう!

71.5 1 2024年度の歴史アニメランキング1位
チ。―地球の運動について―(TVアニメ動画)

2024年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (80)
540人が棚に入れました
第26回手塚治虫文化賞のマンガ大賞ほか、数々の賞を席巻。 若き天才作家魚豊(うおと)が世に放つ、地動説を証明することに自らの信念と命を懸けた者たちの物語 15世紀のヨーロッパ某国。飛び級で大学への進学を認められた神童・ラファウ。 彼は周囲の期待に応え、当時最も重要とされていた神学を専攻すると宣言。 が、以前から熱心に打ち込んでいる天文への情熱は捨てられずにいた。 ある日、彼はフベルトという謎めいた学者と出会う。 異端思想に基づく禁忌に触れたため拷問を受け、投獄されていたというフベルト。 彼が研究していたのは、宇宙に関する衝撃的な「ある仮説」だった――。
ネタバレ

アニメアンチ2号 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

【チ】☆彡の女神☆彡その大戦略と「卍闘争劇卍」

●畜生どものジョーカーゲーム

「地動説を研究していたことを認めますか?」
「その研究が{netabare}教会公認の学説と異なることを理解していましたか?」
この裁判の結果は、被告有罪(火刑処分?)であります。

ある意味アントニー司教は如何にも堕落の教会、拝金主義者の群れにいそうな感じのキャラ
であり彼の役回りは理解はできなくもないですが、チョンマゲ娘の口車に容易く
乗せられるのは少し詰めが甘いと言いますか、ちょろ過ぎではないでしょうか?

証拠資料を隠滅できたかどうかは定かではないですが、ラファウの裁判記録が
もしも残っていたら全部ひっくり返ってしまいます。

前代未聞の地動説研究におけるレッドカード一発退場事案なので教皇庁まで
裁判記録の報告がなされるのは必至ではないでしょうか?

仮に資料がなくとも教皇直属アッシュ審問官がノヴァク父さんと同行して、
地動説と異端思想に染まった人殺し集団を現認し、交戦してますので
教会に敵対する組織ということが明白な時点で全員異端となり
それと同行していたチョンマゲ娘もアッシュ審問官の拷問に掛り💀のはずで。

ノヴァク父さんは冷静さを完全に失っていますが、教皇直属アッシュ審問官
に告げ口したらチョンマゲは詰みであります。{/netabare}

詰めが甘いのは「ゲームプレイヤー」でしょうか?

●友愛結社のロケットパンチ

シュミット隊長率いる秘密のギルド騎士団員はやはり
{netabare}【テンプル騎士団】を表していたようであります。

【テンプル騎士団】により金融業の礎が築かれたなどと言われておりまして
この組織の後衛に当たる【フリーメイソン】の時代には近代的な銀行屋が
世界制覇を目指して悪だくみを企むこととなるのでございます。

ヨレンタ父さんの教会側と対立しますので当然【テンプル騎士団】は教会側には属さず
何の宗教騎士団なのかわかりにくいのですが、結論は【シオンの騎士団】であり
神殿再建を目指す騎士団ということになります。

今でいう【シオニスト】ということなのですが、本作ではシュミット隊長が
【太陽崇拝】の信徒だったことから、神殿再建主義者の正体がバレてしまうのであります。

ついでに言えばヨレンタさんの【土星信仰】もこれと一対の関係にあり、
太陽と土星を崇め奉る【バフォメット教団】の存在が示唆されるわけであります。

【テンプル騎士団】に資金提供していたのは誰かと言いますと
【ヴェネツィアの黒い貴族】でありまして、そういうことで「黒い肌」を持つ貴族と
本作の「褐色の肌」を持つチョンマゲ娘が繋がるわけであります。

娘の無駄に長い「チョンマゲ」は天体信仰のシンボル【オベリスク】を示すものであり
そこから「星の子」あるいは「星の種族」。
拝金主義者でコインマニアであるところから商人、そして奴隷商、海賊の民。

例の司教曰く「移動民族、流浪の民」すなわち【ドリフターズ】。

それは奴隷の下の更に下の奴隷の民、【カナン人】。
ヨレンタお嬢から受け継いだ頭巾が示すその色「ポエニ」の【フェニキア人】。

彼らが後の「世界金融」を牛耳ることになる闇の種族でありますが、
褐色の拝金主義者=チョンマゲ娘は印刷機で紙幣でも刷って
銀行屋にでもなる暗示でありましょうか?

「褐色の商人」と「教会の司教」が手を組むのは既定路線ですが、
「地球の運動について」という本の出版では大して儲からないでしょう。

紙幣を世界にばら撒き戦争ビジネスでがっつり儲けた種族が
そんな小っちゃい話で満足するわけがありません。

【テンプル騎士団】まで出しておいてスケールが小さい方向に進んで行っているようです。

手袋のサイズを間違えたお父さんに対して娘のロケットパンチが飛びましたが
何を表しているかと言えば、お父様の「行い」が間違いであることに対する叱責
というわけであります。

右手を飛ばしてまで自分の主義主張をねじ込んで来る秘密結社の構成員には
ただならぬ執念を感じます。

父という存在は頑固で独りよがりで時代遅れだとかそういうことの表明なのですが
「父」とはやはり「父なる神」を意味していまして、面倒だからこの辺で父なる神を
切り捨てようかと考えた【ローマカトリック教会】と切り捨て御免の切り裂きジャッカー
【イエズス会】が本格的に動き出すぞという暗示なのかもしれません。

そもそも【ローマカトリック教会】は天動説に拘っておらず、強いて言えば
天動説を信じているのはプロテスタントであります。

プロテスタントは基本拷問とかしませんし、ヨレンタ父さんの役割が謎過ぎます。

父の独断で拷問をやった?ということにしたのかもしれませんが
十字軍以降は特に教会の腐敗は惨く、個人の暴走とかでは済まない状況で
内にも外にも教会に対する不満がどんどん募り、宗教界改革に繋がるわけであります。

免罪符が示すように拝金主義者が教会を腐らせたのでありますが、何故か
拝金主義者の商人と野心家の司教がタッグを組み儲け話に夢中になるなら
教会、世の中は更に腐敗し目も当てられないことになるはずであります。

教会の人が皆善良であるわけがなく、むしろ逆で腐敗は必然であるはずのに{/netabare}
この流れだとやはり何かが噛み合ってないような気がします。


●父君の名は。

本作の伏線をきっちり回収してくるところなど含め物語展開は鮮やかであると言えます。

シュミット隊長に焦点が当たるような流れが続いていましたが、その背後には
{netabare}不気味なまでに冷静な眼差しでその動向を見つめる存在が描かれていました。

貧しい農村の出にも拘らず文字が読めるという特別な青年、その名は
フライ君であります。

25年前の少年がシュミット隊長だったという可能性もありましたが、まず
顔が父親にも叔父さんにも似ていませんし、隊長の性格が明るすぎて、父親を殺された
子どもには到底思えず、【チの女神】の祝福を受けるにもっとも相応しい人物というなら
火薬の調合を熟知している彼こそが妥当ということになるわけであります。

しかしながら、フライ君については一つ重大な矛盾が生じます。

彼は女神=【セントソフィア】の祝福を受けているのにも関わらず、信じている神が
父権を象徴する父なる唯一無二の絶対神だったようであります。

彼の父親は「父なる神」の敬虔なる信仰者でありましたが、改革派と呼ばれる勢力に属する
叔父さんに父親が殺されたという事情により、恨みもあってかより一層父親の信じた
「父なる神」に傾倒していくことになるわけであります。

シュミット隊長にもヨレンタお嬢にもある種の天体信仰の傾向が見受けられましたが
それは古代ギリシア人が天体を神と見なし信仰の対象としていたのと重なるところが
大いに認められるものであります。

【セントソフィア】=「知の女神」とは多神教を代表する女神でありますが、
【ソフィア】の祝福を受けたのにも拘らずフライ君はその女神を裏切ったということで
太陽信仰の信徒を代表するシュミット隊長により粛清されたという、そういう
思惑がある?描写であったような気がいたいします。

「キリスト教」には正統派だとか厳密な意味での改革派というのは存在しません。

【ローマカトリック教会】は自らを正統と主張するのでしょうが、それに対して抗議する
「プロテスタント」は【ローマカトリック教会】の教義を全否定するような立場であり、
話をわかりやすく言えばむしろ「正統」は「プロテスタント」ということになるでしょう。

しかし現状はカトリックもプロテスタントもカルバン主義者もエヴァンゲリオンも
皆が皆自らこそが正統であると主張するようにカオス状態にあると言うべきかもしれません。

正統派と改革派が絵に描いたように見事に対立して宗教戦争を展開したのはむしろ
「ユダヤ教」の方でありまして、こちらの方は圧倒的な力の差で、正統派が
改革派により粛清、虐殺されました。

「卍ナチスドイツ卍」のヒトラーがユダヤ人を迫害した話はあまりに有名ですが
ヒトラーには妙な噂話がありまして、それは「ヒトラー=ユダヤ人説」なるものであります。

ユダヤ人がユダヤ人を虐殺する?とかさっぱり意味がわからないと思われるかもしれませんが
朝鮮戦争やベトナム戦争で思想の対立により同じ民族同士で殺し合いが行われたように
宗教思想の対立が原因により同じ民族内で壮絶なる闘争が展開されることも十分
あり得る話と考えることができるでしょう。

今のユダヤ教徒主流派は改革派であるところの【シオニスト】勢力であります。
粛清された側の正統派は「父なる神」を信じていました。

それに対して改革派はどのような名の神を信じているのか?
大いに謎めいていると言わざるを得ません。

ちなみにプロテスタントは「父なる神」を信仰しているのに対して
カトリックは「聖母なる神」を信仰しています。
表向きは「母のマリア」が「聖母」ということになっていますが
よくよく調べてみると聖母の本当の名は【イシス】であり【アシュタルト】あり
多神教の女神がルーツでありました。

【イースター】という主にカトリックが行っている宗教行事は、
【イシター】、【イシュタル】の名が由来であります。

改革派に父が殺され、今度は改革派に通じている秘密結社により息子が殺されます。
これは明らかに宗教戦争を表していると捉えるべきでしょう。

そんな中で地動説は人を救い、世に平和をもたらすでしょうか?
むしろ宗教戦争の片棒を担ぎ、対立を悪化させているだけではないでしょうか。

「地球の運動について」という表題の本を出版したとして、それで
【シオニスト】が確信的に引き起こす武力闘争は止みますでしょうか?

地動説を世に広めるために命がけの信者がいたとして、それはごくごく少数の
マニアみたいな存在であり、それで世の中がひっくり返るなら未来の世界はもっと
平和でないとおかしいはずであります。

多くの犠牲を出しながらも地動説という仮説にできることが{/netabare}大してないことが
本作最大の弱みのように思えて仕方がありません。




ボンバーマンの{netabare}フライ{/netabare}君の回想は無いのでしょうか?

右だと思いましたが、やはり{netabare}右手{/netabare}でした。
「ロスト・シンボル」も右です。
https://youtu.be/lCqHytVmUww

もちろんそこには意味がありますが、本作ではどうでしょうか?





●ダークサタンパワーメイクボム!

真打登場の組織長がやはりと言いますか、いえ少しばかり{netabare}早すぎる感じで
自爆テロを敢行しフェードアウトしてしまいました。

41歳まであと2年のギャップは埋まりませんでした。
もしかしたら「【チ】の女神」降臨によるフィナーレは起こり得ませんでしょうか?

チョンマゲ娘が遺志を継ぎ13年後に革命を起こせばなんとか辻褄が合いそうですが、
そんなに巧くはいかないでしょうか?

率直な感想としては自爆テロには極左のマルクス主義者みたいな狂信性を感じます。
地動説に憑りつかれ過ぎて冷静さを欠いているようにしか見えません。

自分の信念をただべらべら喋り過ぎるだけの組織長では
世の中を変えるだけの力があるように思えませんでした。

まるで銀河英雄伝説の地球教徒みたいな残念感が溢れ出ています。

シュミット隊長の口ぶりをからすると隊長が25年前の少年なのでしょうか?
あまりに変わり過ぎているように見えましたが25年の歳月は長かったという
ことなのかもしれません。{/netabare}

「願い事」の星【金星】はオクジー君の{netabare}死亡フラグだったようですが
【土星】は組織長の死亡フラグだったのかもしれません。
【土星】は【死神の星】でありますので。{/netabare}

流れ星に願う人は{netabare}魂を持っていかれる{/netabare}という話は恐らく真実なのでしょう。


●ムーンプリズムパワーメイクアップ!

本作視聴者に対してセーラームーンネタをやるのは一見無謀なことのようにも思えますが
天体信仰、ではなく天体観測の肝はまさに{netabare}セーラームーンにあると言っても過言ではありません。

天体信仰と【呪術文化】のルーツはシュメール文明、【バビロン文明】にあります。

信仰と無関係に{/netabare}天体を必死に観測する種族などこの世に存在した試しがありません。

古代ギリシア人にしても天体は神でありまして、ルネサンスや近代合理主義のルーツである
ギリシア・ローマの思想は{netabare}宗教とべったりの価値観に基づいています。

古代の古典作品を見ると確かにもの凄く合理的な側面もあることは確かでありますが
彼ら古代人の宗教に対する異常なまでの情熱や狂気を帯びた熱狂の度合いは、現代人が見たら
ドン引きする位にある意味悍ましいものであると確信いたします。

オリンピックの元ネタであるオリンピアの祭典は全裸の男祭り大会であります。

特に古代ギリシアの秘儀はとてもとても人には見せられるものではなく、それが理由で
古代ギリシア人が野蛮人扱いされると近代合理主義の神話が崩れてしまいまして
古代ギリシア・ローマの科学は世界一!と宣伝した人の立場が悪くなってしまいます。

そういうことで宗教的秘儀【イニシエーション】は現代のタブーとなっています。

詳しいことは兎も角、古代人が願ったことは
「ムーンプリズムパワーメイクアップ!」なのであります。

月の女神に神の力を乞う、それが古代人の儀式でありました。
セーラー戦士の中でも特に強いのが【金星】と【土星】であります。

「太陽信仰」についてはチョンマゲ娘の回想シーンとシュミット隊長のくだりでかなり明確に
示されましたが、あれはシュメール、【バビロン】から続く伝統的宗教儀式を表しています。

それと同じようにヨレンタさんの語りのシーンでも【土星】に対してただならぬ情熱を
抱いていると見受けられるような描写が示されるわけであります。

30年の歳月の重さをわざわざ【土星】を「指さして」説明する意味はないように思います。

なぜわざわざチョンマゲ娘に【土星】の話を振るのかと言えばチョンマゲ娘の
「チョンマゲ」が【オベリスク】の役割を担っていたからであります。

更に言うと今回なぜか「剣」を持っていたヨレンタさんですが、柱のように長細い形状のものは
【オベリスク】を暗示するものとして表されます。

ローマカトリック教会の敷地にもある【オベリスク】でありますが天体信仰の人達にとっては
とてもとても重要なシンボルであるが故に神である天体の位置を指し示すために【オベリスク】は
必ずそこに設置すべきものとなるわけであります。

天体の下や天体を指す柱状のものは星の神話の物語においては必ず出てくるものであり
それこそが信仰であることを表しています。

拝金主義者の【流浪の民】をルーツにする褐色の娘が運命の星に導かれ
そして材料はほぼそろった感じです。

ヨレンタさん現在39歳であと2年のギャップも恐らく埋まると予測しています。
落としどころは「革命」{/netabare}以外に方法がないような流れ向かっているようです。

●オリオンを辿る真実

本作の物語について考えれば概ね評価に値する水準にあるように思います。

しかしながその一方で何とも言えない「偏り」みたいなものが開始早々から
横たわっているような妙な感じを覚えるのでありました。

最大の鬼門はあの異端審問官{netabare}のお父様でありまして、兎に角やりすぎなのであります。

父の虐待と言えば「竜とそばかすの姫」でも少しばかり強引な感じでねじ込まれておりましたが
今にして思えばその作品の歌姫の父親にしても、仮想世界の自警団しても、役立たずだったりとか
有害だったりだりとかで、早い話が描写の背景には父権、パターナリズムを否定する
意図があったようにも見えてくるのであります。

女性的なものや母性を否定するような世界観を敢えて露骨に描写し、そこで反動的パンクの衝動
を引き起こして逆方向に持っていくという振り子運動の展開をやってみせたのではないでしょうか。

本作においても義父を含め父は頻繁に登場しますが母親がどういうわけか登場しません。

父と母と子がいて初めて家族があるとも考えられますか、母という存在がいないことにより
家族関係や人間関係に偏りが出ていると、そういうことを意図した描写だったのではないかと
そのように考えることができます。

物語序盤で扱われた「オリオンの3つ星」は「天下三分の計」の如く世界の均衡を示唆する原理
あるいは(製作者にとっての)世界の真理?を表すものだったのかもしれません。

母がいない世界では、男の権威が行き過ぎたものになり、極端な体罰として表れ
それは世界を歪に歪ませるとそういうことを言いたかったのでは?と推測いたします。

しかしながら三位一体こそが真実であるという信念も行き過ぎれば宗教でありまして
教会が作り上げたとされる歪んだ世界秩序を打倒するにはそれを全否定する革命思想や
無神論的合理主義など極端な左翼思想で対峙するしかないというのも、同じ穴の狢と
言うべきではないでしょうか?

意図的に「母」を排除した物語展開を作り出し、いよいよ真打登場ということなのでしょうが、
堕落した権威を打破するジャンヌダルクにスポットライトが当たるのはいいとしても
「手」を血に汚し、「その手」で過ちを犯した父親にどのような裁きを与えるのか
こちらの問題においてこそ「チ」の女神を戴く本作の真価が問われるべきではないでしょうか?

キリスト教の最大のテーマとも言えるものとして
「隣人を愛し」「敵を愛せ」の精神、そして「悔い改め」があります。

古い人たちの罪を贖うにしても、地動説や近代合理主義では釣り合わないような気がします。
世俗の権威を否定してそしてジャンヌダルクはどこに着地するつもりなのでしょう?{/netabare}




●「灯火」と「ミッションアンタッ【チ】ャブル」

【デウス・エクス・マキナ】とはギリシア悲劇などで使用された演出手法であり
「機械仕掛けの神」を意味する言葉であります。

これはある意味究極の「ネタバレ」になりますが【デウス・エクス・マキナ】が降臨すると
{netabare}それまでの問題がすべて解決してしまうというご都合主義展開を作り出せる常套手段となり得、
とても便利な手法ということで様々な作品に多用され、故に物語がマンネリ化
してしまう元凶となることもしばしばあったのであります。

例えばオペラ座の「プリマドンナ」が絶体絶命のピンチの時に「救済者」が突然現れ
「予定調和」のように解決してしまうのが典型であります。

その発動条件は、聴衆が物語の演者に感情移入して救済を神に願うようになること
でありまして、作家は聴衆をマインドコントロールするよう細工を施すのであります。

本作においては【チ】の女神が「機械仕掛けの神」となり発動するという都合上
必然的に伏線として【灯火】が小道具として使用されるというわけであります。

そして【チ】の女神を暗示するもう一つの小道具は「本」でありますが、「本」は蔵書や
図書館に繋がることから、これにより【チ】の女神のアーカイブのアクセス権を得たことを
暗示でき、そういうことで「チ」の女神の祝福を得たことを示すことができるのであります。{/netabare}

「蝋燭の炎」と「本」は伏線として使用されたと解釈できます。

3人はこの伏線により三位一体の使徒として出会う運命にあったと言えるのです。

ヨレンタさんのお父様は教会に {netabare}恨みを抱いていましたので、復讐を果たすべく
反教会側の活動家になってもおかしくない状況でありましたから、お父様が組織長になった
という可能性も十分考えられたかもしれませんが、ヨレンタさんとの手袋の一件で
うっかり過ちを犯してしまったエピソードが取り上げられており、このエピソードにより
【チ】の女神に祝福されてないことが明らかになります。

お父様よりもむしろヨレンタさんに【チ】の資格があることが対比的に示されるわけであります。

手袋は比喩みたいなもので、お父様の過ちは「先見の明」(=【プロビデンスの目】)が無く
(ある意味感情的な判断で?)異端審問官としての仕事を続け、誤った判断に基づき
拷問の類を一方的に行い続けてきたことが示されています。

同じように「父や主人の過ち」を体罰や虐待により示したものとしては
「ヴィンランド・サガ2」に出てくる農園の主人の事例がありますが、激情して暴力をふるう
虐待をするというのは「創造主ヤハウェ」を揶揄しているというように解釈可能でありまして
そういう親父殿は時代遅れで未来では通用しないという意図が込められた
「悪意ある」比喩的表現であるという風に捉えることができます。

そうい都合で「父」は【チ】により導かれる物語のメインキャストにはなり得ず
父と娘の対比構造からわかるように、娘の方に主導権があるのだから必然的に
組織長の役に抜擢されるのは娘という結論になるわけであります。

年齢的には41歳くらいと28歳くらいというのが秘密結社に関わる構成員の設定に
丁度いいと判断されたようです。

アダム・ヴァイスハウプト(1748年生まれ)は1776年に28歳で秘密結社を創始し
1789年の41歳の時にフランス革命が開始されるということで、その年齢に設定を
合わせてきたのでありましょう。

ヨレンタお嬢様の捕囚は25年前の16歳の時?だったようであります。

そして、世界三大発明についても恐らくは構成員に対応する伏線的小道具
であったと考えることができるのかもしれません。

世界三大発明の「火薬」担当は例の男性で確定しています。
「羅針盤」も実は海洋民族が使うので誰に繋がるのか確定してます。
残りの「印刷技術」ですが、やはり一番似つかわしいのが【チ】の女神の代理人ではないでしょうか?

やはり組織長のヨレンタさんということになりそうです。

そういうわけで「太陽信仰」{/netabare}と所縁が深い海洋民族がどの種族なのか?
追求する必要があるということになります。



●「チ」の女神転生!?☆彡【デウス・エクス・マキナ】☆彡の動きについて

15話から16話そして17話への物語展開は鮮やかだと思います
しかしながら15話の最後の貧民たちの{netabare}ヘアスタイル{/netabare}にそして{netabare}刺青{/netabare}
みたいなのには流石に絶句しました。

フランシスコ・ザビエルの例のヘアスタイルですが、ある意味この作品のおかげで
あのヘアスタイルの意味に気が付くことができたのは感謝したいところでありますが、それでも
複数の{netabare} 貧民の頭の頂点を「ザビる」?{/netabare}ような展開はあまりに強引過ぎてはないでしょうか・・・

結局のところ{netabare}【グノーシス主義】を表明する都合{/netabare}あのヘアスタイルをこれでもかと
強引にねじ込んでくるのはやむを得ないということなのでしょう。

強引だが必然ということで意図は理解できるのでヘアスタイル分の減点はしないでおきます。

ヨレンタさんの手袋に{netabare}ついて少し考えてみましたが、手袋に思い当たるところはなく
恐らくは【赤い】頭巾との関係性で【紫色】{/netabare}に意味があったのではないかと推測いたします。

ヨレンタさんの人種ついての詳しいことは17話以降に明らかにしようと思います。

ヨレンタさんの服装が示すシンボルカラーは{netabare}「所属」を表しており、そこから
女神転生と【デウス・エクス・マキナ】発動の条件が揃ったという
伏線を示すシーンだったように思います。

ヨレンタのお父様は「ぴったりの手袋」をプレゼントするはずでした。

ある意味「ぴったりの手袋」なんですがサイズが違っていたという意味で{/netabare}
お父様は「過ちを犯した」のであります。

それに対してヨレンタお嬢は「父の過ち」を糾弾するようなことを言ってしまったので
お父様はぶち切れたのであります。

{netabare}この一連の流れは、ユダヤ教の唯一絶対の神であるところの人類の生みの親であるアドナイの神が
アダムとエヴァを優秀な子どもに育成できず、更にその子孫たちも罪を犯して
神を裁きを受けたという「ノアの大洪水」や同じように罪故に滅ぼされた
【ソドムとゴモラ】の事件を前提にしていまして、子どもたちにぶち切れて大量虐殺した人類の
お父様にあたる神を批判しているという、そいう意図がこめられたシーンであると推測されます。
要するに【グノーシス主義】はアドナイの神を徹底的に批判する傾向がありまして
「お父様」はダメなので「救いの女神」に希望を抱くというわけであります。

この回は【グノーシスの女神】が動き出す伏線として重要な回であると考えられます。
そうして回想シーンを交えながら16話、17話に繋がり、{/netabare}
【デウス・エクス・マキナ】が発動されるのだと予測されるのであります。

16話に登場する鎧の騎士団は教会絡みなので「十字軍」を連想しそうですが、
{netabare} 教会への【反抗】を意図する集団でありますから【テンプル騎士団】を暗示
しているのだと考えられます。

【テンプル騎士団】は【ソロモン神殿】に関係する組織でありまして【シオン長老】という
ユダヤ教の祭司がその背後にいるとか言われていますが、個人的にはユダヤ教徒とは
ほぼ関係がなく、それよりも【フリーメイソン】の前身が【テンプル騎士団】であったという説が
正解ではないかと考えています。

近年においては【フリーメイソン】に潜入した【イルミナティ】がフランス革命を起こした
などと言われておりまして、それを受けて謎の騎士団の隊長は
「すべての教会の教えを否定し」
「すべての宗教を廃絶する」と
世界革命計画を表明するわけですが、革命思想の出所は【イルミナティ】にあったのであります。

我々の教科書に載っている偉大なる近代の啓蒙思想家とは、【イルミナティ】の思想を
吹聴するよう仕込まれた御用学者であったわけです。

カルヴァン主義の予定説みたいなことを隊長は口にしていますが、とっても乱暴に言えば
それはキリスト教の異端に限りなく近い考え方で、近代合理主義とヒューマニズムの
流れに乗ってキリスト教がセクト化細分化してかなりカオスな状況に見舞われたことを示すもので、
ある意味結末は【イエズス会】の狙い通りになったと言えるのかもしれません。

そういう意味で革命は大成功したとも考えられます。

25年前の回想シーンの挿入そして互いにリンクさせる展開は巧いと思いました。
ただ個人的には今の年齢は27歳がいいように思い【イルミナティ】創設者の
【アダムヴァイスハウプト】の秘密結社元年の年齢を調べてみたら28歳でありました。
そうすると回想シーンは25年前ではなく20年前ではないか?と少し疑問を持ちましたが
兎に角3人{/netabare}の物語がリンクしまして詳しいこともいずれ明かされるのでしょう。

【チ】が示す【灯火の女神】を前提にしていますので{netabare}「松明」とか「蠟燭の炎」とかが
効果的に配置されていまして、聖書と松明(=【灯火】)を並べて自然主義者の団長の口から
聖書を否定させるような発言を言わせるシーンはなかなか計算高いと思いました。

「それじゃ知性のない【獣】と一緒だ」という真面目な信者と
「そもそも人は【獣】とさして変わらん」と返す秘密結社の隊長の対比構造も鮮やかです。

まさに【大淫婦バビロン】は【獣】に乗ってやってきますので。

25年前の少年は回想シーンについては繋ぎ方を見るに反抗を企てる騎士団に属する
あの時に本を机に隠した謎の青年であるような気がします。

17話のチョンマゲ娘に本を偶然といいますか運命的に託したのがあの回想シーンの
後の少年であるとした方が展開がきれいなるので恐らくは彼がチョンマゲ娘と
次のシーンで出会うのではないでしょうか?

そうして【グノーシスの女神】の化身ともリンクしてくるのでありましょう。

あの少年とチョンマゲ娘と…3人が教会と対立するという構図が出来上がるのではないでしょうか?

そういう意味で三銃士それぞれの「人種」を分析する必要があると考えますが、
少年の分析が一番難しく、チョンマゲ娘との関係性で推理する必要があるような気がいたします。{/netabare}

●【チ】に足がついてない人たち

本作は「妙なヘアスタイル」が印象的なとある宗教教団と近代合理主義に毒された
狂信的地動説信奉者の信念を掛けた熾烈な闘争劇のような様相を呈しているところもあるようで、
従いまして視聴に当たっては教会や自然科学思想に関する予備知識があった方が
いいのではないかという意見も一理あると言えるかもしれません。

しかしながら個人的には現実世界の人類史の出来事と「本作の教会」の仕掛けた
闘争劇展開を比べた時には、妙なズレを感じずにはいられませんでした。

一番気がかりなのは「あのヘアスタイル」ですが、{netabare}それは後回しにするとしても
キリスト教最大派閥であるローマカトリック教会にとっての最大の宿敵であり、
最大の脅威は(本物のクリスチャンであるところの)プロテスタントでありまして
プロテスタントをこの「チ」から一匹残らず駆逐しなければ、ローマカトリック教会は
滅亡する運命を待つだけでした。

(真の)プロテスタントは聖書の言葉は神の言葉と信じ、聖書の教えにないか、
教えに反するようなローマカトリック教会の悪行を次々告白、猛抗議するわけですから
世間体が悪くなるばかりか、実は似非クリスチャンだったという教会の本性がバレて
偽装工作が水泡に帰す定めにありました。

(本作の描写に反して)恐らく現実世界の「カトリック」は
聖書の言葉を引用することを避けるでしょう。
そもそも正しい解釈を知らないか、ローマカトリック教会の教えと聖書の言葉が
矛盾してしまうとカトリックの立ち位置が揺らぐからであります。

教皇と権威ある教会に対して聖書の解釈論争を果敢に挑むプロテスタントと正面からやり合うのは
どうにも分が悪いということで、策を弄して各種の工作により敵を弱体化させようと考案されました {/netabare}
史上最凶で最狂の秘密結社が【イエズス会】というわけであります。

敵対勢力を潰すことが彼らの目的であり、正義でありますから
手段は問わないわけであります。

{netabare}魔女狩り、革命、断頭台、すべての手段は目的により正当化されます。
それが彼らの信条というわけであります。

余談ですがオリンピックパリ大会の開会式で生首マリーアントワネットのパフォーマンスを
誇らしげに見せつけた一件も、個人的には彼らの犯行声明を明示する意思が
介在したように思えてなりません。{/netabare}

「教会権力 VS 近代合理主義」という対立軸を基点とした本作の物語展開というのが
根本的におかしいような気がします。

教義に関しても真理に関しても説得力がまるでない教会権力側に正義が無いのは見たままの通りですが
{netabare}そうだからそれに立ち向かう【占星術師】か何かの類の地動説信者が正義になるかというと
それはまた別の話と言いますか、地動説信者の価値基準をどう受け入れたら
いいのか困るところであります。

個人的には天動説だろうが地動説だろうが人は生きて行くものであり
仮に数学的証明が成り立ったとして、それは異世界転生先の魔法の書
みたいなもののように思えてなりません。

地動説信者に極端にサディスティックな拷問を加えることにより、あるいは
残酷な死を与えることにより、それで地動説の価値は上がるのでしょうか?{/netabare}

フラットアース理論信者も怪しいですが、本作を見ると地動説信者も胡散臭いと言いますか
根本的なところがズレているように見えてしまうのでございます。


●フラットアーサーの逆襲

数年前のことになりますが「you tube」にはフラットアース理論について解説する動画が
かなりの数出回っておりました。

{netabare}NASAが撮影したとされる宇宙の映像記録の数々がフェイクであり、捏造であるという話は
それなりに世に知られており、スタンブリーキューブリック監督もその手の映像加工に
関わった云々なんて言う噂もあるようです。

もしも本作を視聴して地動説が真実であるということを華麗に証明できるなり、フラットアース理論を完全に打ち負かすような論法を容易に見出せるならば、
今までの「人類の闘争史」とは何だったのだろうか?という感じで、沈みゆくこの島国で
お気楽極楽な平和ボケの日々を満喫できるのでありましょうが、一筋縄ではいかない
プロテスタントとローマカトリック教会のややこしい宗教闘争について何か
語ろうとする時にカオスの渦の中に巻き込まれて溺れてしまいそうになる一方で、その片や
個人的にはどれほどの意味があったのか記憶にない教科書に書いてあった地動説と
フラットアース理論とどちらの仮説が正しいのかと考え始めたならば、それは膨大なる
時間の無駄でしかないという結論に至るわけであります。

例えばローマカトリック教会に恨みがある人にしてみたら、本作に描かれる腐りきった
教会の悪逆非道ぶりとそれに抗う登場人物に対して感情移入がしやすいということも
あるのかもしれませんが、「魔女狩り」と称する大粛清劇即ち狂信的ホロコーストを
まるで本作に登場する異端審問官のように極めて熱心にある意味勤勉に遂行したのが
【イエズス会】であったというのがことの真相でありますから、
「チ」のタイトルが「血」を意味するのであるならば、尚更に焦点を絞って
【イエズス会】とはどういう【血族】のものなのかについて、あの「妙なヘアスタイル」も含めて
考えなければならなくなりまして、地動説に関わる「地」についても恐らくは{/netabare}
「ばいばい、アース」という作品が暗示する「古のアース」=「地」の{netabare}【血族】と
秘密結社【イエズス会】が{/netabare}見事繋がるのではないかという疑惑について
追及しないわけにはいかなくなるのであります。


●大淫婦バビロンに連なる【獣】

ローマカトリック教会とはローマ帝国の宗教的権力機関でありまして、そもそも
ローマ帝国はローマ人固有の宗教思想が故に被征服民たるユダヤ教徒やキリスト教徒を迫害し
一方的に弾圧してきたわけであります。

{netabare}ユダヤ教徒はローマ帝国の圧倒的な軍事力により完膚なきまでに叩き潰されねじ伏せられましたが
後のキリスト教徒が大増殖した時には弾圧しきれず、ローマ人が得意とする力のごり押し政策は
断念せずにはならなくなり、キリスト教を帝国の統治のために利用する方向に切り替えたのであります。

ローマ帝国はキリスト教を公認し、遂には国教と定めます。
しかしながら肝心の教義はローマ帝国の都合がいいように書き換え、
異教徒をうまく取り込めるようにと異教の神々や異教の習慣なども取り入れ{/netabare}
終いには教会はまるで【怪獣】のように膨大な力を持つ権力組織となったわけであります。

{netabare}ゲルマン人の大移動の時に帝国は分裂し、帝国の歴史は終わったかのようにも見えましたが
帝国からその権力と権威を引き継いだ?というか奪い取った{/netabare}ローマカトリック教会は
「不死身のモンスター」の如くしぶとく生き残ったのであります。

{netabare}旧約聖書に登場する四匹の【獣】は、
【バビロン】、「メドペルシャ」、「ギリシア」、「ローマ」を意味します。

世界帝国のルーツは【古代バビロン】にありますが「第四の【獣】」=「ローマ帝国」こそが
最も手強い「アンデッドモンスター」みたいな存在であり、その【獣】が今もなお
世界を支配していると言われています。

ローマは宿敵である【フェニキア】の将軍【ハンニバル】との闘争に勝ち
世界を統べる覇者となったように見えましたが、しかしながら状況は
「卍ひっくり返り卍」最終的にはローマ帝国あるいはローマカトリック教会は{/netabare}
【フェニキア人】に乗っ取られたなどという妙な結末が待っていたようであります。

その辺について簡潔にまとめているのが↓この動画であります。

河添恵子【秘密結社?「イエズス会」とは?」】
https://youtu.be/i21c4NYS5Yg


【フェニキア人】とはどのような人種、「血」族でしょうか?
{netabare}彼らは【バビロン文明】の後継者であり、従いまして「呪術文化」の種族であります。

【フリーメイソン】はハリーポッターでもお馴染みの「魔法学校」の元ネタでありまして
(ユダヤ神秘思想)【カバラ】研究機関であると言われたりもしますが、早い話が
【黒魔術】研究機関ということになります。{/netabare}

{netabare} 本作にも登場する【占星術】というもののルーツも【バビロン文明】や【シュメール文明】にあり
なので【フリーメイソン】においてもこの【占星術】を熱心に取り扱ったわけであります。{/netabare}

【占星術】と【数秘術】はセットで扱われるケースが多く、ピタゴラスの定理でお馴染みの
ピタゴラスも自身のオカルト教団で【フリーメイソン】と似たような
いかにも怪しい研究をやっていたようです。

{netabare}ルネサンスとは古典の復興を意味し、近代合理主義のルーツとなったのが古代ギリシアの思想であった
などと言われたりもしますが、偉大なる哲学者と名高いプラトンなども古代のオカルト宗教儀式を
行っていたのではないかという話もございます。

イタリアでルネサンス運動が起こり、その辺りで【イエズス会】が設立され、
ルネサンスの波に乗って【啓蒙思想】が世に広まるのですがその【啓蒙思想】を宣伝するため
役に立ったのが後の社交クラブ化した【フリーメイソン】であります。

「啓蒙思想」の説法を垂れる学者さん擬きを「啓蒙思想家」と教科書ではそのように書いていますが
「啓蒙(思想)」を英語で言うなら「エンライトンメント」=Enlightenmentで、
似たような言葉では「イルミネート」があります。
意味は【光で照らす】でありますので、【啓蒙思想家】や【啓蒙主義者】は
【光で照らされた】即ち【イルミナティ】ということになります。

[【イルミナティ】は、イエズス会の修道士であったインゴルシュタット大学
教授のアダム・ヴァイスハウプトが、1776年に創設した秘密結社である]
というのは有名な話ですが、イエズス会の修道士が作った秘密結社「【イルミナティ】が
【フリーメイソン】を乗っ取り【イルミナティ】の御用学者であるルソーなどの革命理論を
聴衆に吹聴し工作員を使ってフランス革命を仕掛けた云々、
歴史の真相はどうやらそういうことらしいです。{/netabare}

フランス革命の際に発明された「ギロチン」という大量殺戮装置を考案したのも恐らくは
本件の工作員関係者の仕事ということなると思いますが、
魔女狩り-弾圧-ホロコーストという一連の独特で妙な嗜好性みたいなものは
「彼ら」特有の「血」が由来であるように思えてなりません。

「拷問、【卍】十字架刑【卍】、火刑」などこういう類のものを好んで行う行動原理や思想のことを
敢えて一言で表すならばそれは【グノーシス主義】ということになるでしょう。

アメリカ合衆国にあの【女神像】を贈呈したのはフランスでありますが
{netabare}より厳密に言うならフランスの【メイソン】が米国の【メイソン】に
【女神像】=【アイドル】をプレゼントしたのであります。

ジャニーズにしろ女子アナにしろ多くのファン=信者から支持される存在は
「アイドル」でありまして、女神像崇拝の宗教思想が根源にあります。

女神には様々な名がありますが、自由の女神の名は何と言うのでしょうか?
女神が右手で掲げる【灯火】は【光】であり女神の【灯火の祝福】を受けたものは
【👁】が開けるのであります。これを【啓蒙】と表現するわけです。

【灯火】は「知」=【チ】=「知恵」を、そして【理性】を象徴的に示すものです。 {/netabare}

フランス革命の時に生まれた新たな宗教とは、【理性】の崇拝であります。

そして【グノーシス主義】とは【チ】=「知恵」の女神を崇め奉る宗教思想を表します。

{netabare}「聖【ソフィア】大聖堂」とは【チ】=「知」の女神を崇め奉るための施設でありまして
そういうわけで「【灯火】の女神の名」は【ソフィア】ということになります。

「哲学」は「フィロ【ソフィー】」であり、「フィロ【ソフィア】」であります。
「哲学」とは「【チ】を愛する」を意味し、その由来は【チ】の女神信仰にあるということになります。

【灯火】は「女神の【チ】の祝福」でありますが、人類で最初に
【チ】の祝福を受けたのは誰でしょうか?

最初の人類はアダムとエヴァであります。
そう【チ】と言えば、エデンの園で彼らが食べた【知恵の実】であります。
「知恵」は【灯火】であり【光の祝福】を受けたものは【👁】が開けるのであります。
エデンの園で【チ】を与えたものは【蛇】でありますが、ある時は【竜】となり
【稲妻】となるこの【蛇】は【サタン】であります。

【サタン】とはそもそも【堕落した天使】でありましたが【サタン】の首領は
かつての【光の天使】であり【知恵の天使】でもあるその名を【ルチフェル】と言います。
【ルチフェル】はラテン語で【明けの明星】を表します。

【アイドル】雑誌のタイトルが【明星】なのはただの偶然ではなく、
単純に信仰心の正しい表明なのでしょう。

【明けの明星】とは【金星】のことでありますが、【金星の女神】の名は【ヴィーナス】であります。
「金星の女神」の名には、「イナンナ、アシュタルト、フレイヤ」など様々ありますが
その【血】の系統をざっくり把握するならば(ノアの子)「ハム」の子孫が作り上げた
【バビロン文明】、シュメール文明に起因する「血族」・種族と共に
彼らが頼る神々もそういう文明に寄り添い共にある存在であったということになるでしょう。

ハムの子孫が生み出した【バビロン文明】とは別の文化や思想を持つ存在が
(ノアの子)セムの子孫=ユダヤ人でありまして、ユダヤ教の主神創造主ヤハウェが
ユダヤ人だけを特別視した理由は、都会育ちの文明人よりも素朴で田舎臭いユダヤ人の方が
誠実そうで約束(モーセの十戒)を守ってもらえそうな気がしたからなのかもしれません。

知恵の女神の祝福を受ける「血族」は「知識」があるので建築学や占星術や数秘術なども
熟知しており、従いまして経済的に大繁栄するので【バビロンの黄金都市】や
【バベルの塔】や「ピラミッド」みたいな立派な建物を造り大都会で豪華に暮らすのですが
片や田舎者のユダヤ人は素朴で質素な生活をおくるしかないということになります。

そんなわけでソロモン王の時代に豪華な神殿を造ることになった際には
【フェニキア人】の血を受けたヒラム・アビフというカリスマ建築士の指南を
受けるのでありました。

豪華なソロモン神殿は当時の無知なユダヤ人の技術水準では建設できなかった
のでしょう。

かつての(カインの子)エノクの子孫たちは
優秀といいますか仕事ができる「血統」でありましたが
(カインに殺された)アベルの弟セツの子孫はどちらかというと
仕事ができない感じで、最終的には「アース」の「全地」では
(カインの子)エノクの子孫が大繁栄をし、片やカインに殺されたアベルのように
誠実な羊飼いという生き方を選ぶものはほぼいなくなったわけであります。

知恵あるエノクの子孫たちは仕事ができるからこそ自信過剰になり、
自分こそが優秀だと経済競争あるいは富の争奪戦を行い、
万人に対する万人の闘争というべき終わりなきライアーゲームに明け暮れて、
ゲームの勝者となるためにありとあらゆる手段を尽くし、その結果
この世の「全地」が目をそむけたくなるような悪行で溢れかえり
その有り様を見るに見かねた創造主が、大洪水のグレートリセットボタンを押して
「全地」は水に溢れ「知恵ある血族」は大洪水で全滅したわけであります。 {/netabare}

これが「ばいばい、アース」の悲劇と言えるものなのかもしれません。

{netabare}生き残ったのはノアとその一族のみでありましたが、ノアの子ハムとその子孫の中に
【グノーシスの女神】の意思を受け継ぐ血族が誕生し、後にその復讐劇が
展開されるに至るのでありました。

(ハムの子)【カナン】は(ハムの父)ノアから呪いの言葉を受けます。

もの凄く端的に言えば大洪水にも拘らず生存を許されたノアとノアの子セムとヤペテとは
血統が違うというのが、(ハムの子)【カナン】でありまして、生存を許されない側の
血統ということになります。

創造主ヤハウェは【カナン】を救う気がないので【カナン】と「その子孫の血族たち」は
【グノーシスの女神】を頼り、そして以降2つに枝分かれした「血族の抗争劇」、
あるいは宗教戦争が長きにわたって繰り広げられるわけであります。

【カナン人】は正面対決ではユダヤ人に負け、海に逃れたカナン人の子孫【フェニキア人】も
ローマ帝国には戦争では惜敗を期したので、「知恵」を駆使した権謀術数や騙し討ちの類で
支配地域を拡大するようにしたのでありますが、これが結果的に大成功だったわけであります。

ノアの言葉を介して【カナン】に発動された呪いの言葉、預言によれば、
【カナン】はセムとヤペテの奴隷の更に下の奴隷になれでありましたが、いつの間にか
支配関係は「ひっくり返り」、(本物のセムの子孫である)ユダヤ人や(ヤペテの子孫である)
白人のプロテスタント系クリスチャンが【カナン】の子孫に搾取される奴隷になっているような
有様が展開されるのでした。

【グノーシス主義】とは「鏡に映った世界」を是とする思想でありますから、
世界の善と悪、右と左、光と闇がひっくり返った世界を願うのであります。
♂と♀の役割がひっくり返るという発想もその典型であります。

苦しんでいる人を救うために自己犠牲の精神を発揮し行いで示したのが
イエス・キリストでありますが、【グノーシス主義】を信じる者たちは
「その逆」を熱心にやり続けます。

天体の周期運動だとか【占星術】だとか数秘術的に美しいとかいう発想はオカルト宗教そのもので
海や山が美しいというごく普通の感覚とは余りにズレ過ぎていてそれを普通にゴリ押しされても
違和感しかありません。

まるで【カナン人】の恨みを晴らすだけのために描いているようにしか見えない極端に
サディスティックな拷問プレイにも見るに堪えないものを感じますが、【イエズス会】や
ローマカトリック教会を敵に回して命がけで何かを成し遂げようとする地動説信奉者の方も
狂信的なオカルティストにしか見えないのが厄介であると言えます。

実家には地球儀が置いてありますが、本作を見て改めて思ったのが地球儀というのは
サッカーボールの代わりにするぐらいしか使い道がなく、まるで役に立たない代物
というのが個人的見解であります。

【偶像崇拝】=アイドル崇拝が美しくないように、
地球儀崇拝も本質は同じように思えてきました。{/netabare}

もしも自分が異端審問官だとしたら地動説を妄信する人に対し
地球儀を飾ることの意味について問い詰めたいというのが本音であります。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 1

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

3話までで名作。原作既読で飽きる気がします。酷評する前に撤退。

 3話まで見て 

 動きが求められる内容でもないので、原作既読勢にはアニメで見る意味が希薄です。したがって飽きて酷評するのも違う気がするのでここでやめておきます。

 この3話までの部分をしっかりと見ればこの作品の大きな部分は味わったことになると思います。そして、この3話までならかなりの名作だと思います。

 知的好奇心と科学への情熱、知識を後世に残そうとする意志と引き継いだ人の責任。知識は過去からの蓄積である。人の本質は性善説でも性悪説でもなく、単に知りたいと言う欲求ですよね。その知りたいという気持ちはときに命よりも上になります。そしてすごいのが、自分が死ぬことで真実を知ることができなくても、自分が知識の蓄積と伝承に寄与することで、後世の人がきっと真実を解き明かしてくれるだろうという気持ちですよね。その「科学とは何か」「科学する心」を十分に見せてくれています。

 そして宗教弾圧。血の歴史ですよね。C教そのものではなくC教の教会組織がなぜ歪んだのか。C教のせいで1000年科学が遅れたという考えもあります。人の認知と真実の差ですよね。そして、権力構造と既得権益、保守的な精神。そういうところを描いています。

 そういうところを描くのに8巻かける必要があったのか。この1巻(3話)まで…あるいはもう1つ、時代が離れたところの1エピソード描くので十分というか、もっと焦点が絞れた作品になったのではないか。その疑問が付きまとう作品でした。


追記 地動説弾圧がフィクションであるというネット上の言説について。

 これはある意味では正しいです。本作の設定の1400年代つまり15世紀のコペルニクス以前には科学に対する宗教からの火刑にいたるような弾圧はほとんどなかったそうです。ただし、コペルニクスが自分の身の安全のために死の間際まで地動説を発表できなかったことは記憶しておく必要があります。つまり歴史つまり記録になっていない何かはあった可能性が示唆されます。

 それに、16世紀から17世紀には異端審問とか魔女狩りの猛威があったのは事実です。つまり拷問という手段は宗教的な動機から発展したのは本当の話です。そして、科学に対してだけではないですが、原理主義的なC教の一つがいろいろやったそうです。宗教の話なので固有名詞はだしませんけど。それが収まるのがニュートンの登場あたりです。実際に地動説で火あぶりになったジョルダーノ=ブルーノなどがいます。

 そして何より、宗教の影響によって科学が1000年から2000年遅れたという事実があります。今もなお科学を否定する強い宗教的な情熱を持った人は大勢います。それをカリカチュアライズしたものとして、本作は事実・史実ではないけど科学と宗教の関係において真実を含む、という点は忘れてはいけないでしょう。





以下 1、2話視聴時のレビューです。

「知」の探究と後世にどうやって伝わっていったかの話です。知性とは何かの話です。そしてそれは宗教による弾圧の「血」の話です。地球は宇宙の中心ではない。「地」動説を追い求める人々の歴史です。原作は怪作であり快作です。ただ、傑作、名作というには少々エンタメ性が不足していました。
 途中から面白くはないです。語弊があるかもしれませんが、同じような展開が続きます。毎週読む連載なら良かったかもしれません。

 アニメ1話と2話。拷問と宇宙の描写で引き込まれるでしょう。真実を追い求める人々の苦難に感動があるかもしれません。C教の暗い歴史を正面から描いたことは素晴らしいです。ただ、それがずっと続きます。

 エピソードにバリエーションはあります。知識の説明もあります。女性の問題も出てきます。ただ、天文の歴史とか宗教弾圧に興味があるか、あるいはリョナ趣味じゃないとおそらく見続けるのが苦痛になると思います。それは血なまぐさいということではなく飽きると思います。

 1巻を読んだときは衝撃でしたが、読み方の調整ができるコミックスでさえそうでした。私は最後を見届けたいし、コペルニクスがカタルシスになるのかなと思い読みましたが、まあ、結末は言わないとしても、とにかく8巻読むのはつらかったです。3巻以降は1週間ちかくかけて読んだと思います。

 で、本作を2話まで見ましたが、これで1巻が終わっていません。1巻読むのに15分~20分くらいだと思います。アニメで今40分使いました。ただでさえかったるい話です。それを考えると、私は2話で1巻を終わらせて、あとは駆け足でもいいと思います。全10話でもいいくらいでしょう。

 なので、見るとは思いますが、途中であきる懸念はあります。

 そうそう、アメリカ人の約半数は地球が丸いということに疑いを持っているという話があります。我々が思っている以上に信仰心がある国でもあります。放映するのかなあ?

投稿 : 2025/03/01
♥ : 10

さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

今期イチ

ネトフリでおすすめ一覧に出てくるなんのアニメなのかよーわからんタイトルで引いてんだろうけどわからなさすぎて放置してるランキング1位
見た目気になるんだけどなんの店かわからんから入れないのと同じ感じ
サブタイも小さすぎて見えてなかった
そんな人も多そうよね

こんな感じだから原作も知らず、ほんと見たいのないなーとなんとなく覗いてみるかって感じで視聴開始
ほんならまさかの地動説のチ
そこぉ!?アニメでそこぉ!?
14〜15世紀くらいの話しかな?
まだまだカトリックの影響が強い頃、ヨーロッパはこんな感じが“普通”だった。と言われればそうなのかもなって世界観
ザ宗教が支配してますみたいな
空=天界 天界は神の領域で数世紀前の常識をベースに書かれている聖書にとって地動説はあってならない。なぜなら聖書に書かれている内容が揺らぐ=キリスト教並び教会の信用が揺らぐ、つまり力の喪失と繋がるので偉いさんは火消しに躍起になる
けれども好奇心を基に真実に辿り着いた子らは止められないと。
それこそ人生を命をかけて心震わされた感動を追いかける強さに普段損得の天秤ばかり気にかけてる私の心は打たれた笑
主役が子供なのが尚更

命を燃やしているって形容がぴったりな生き方
憧れるんよなー

ここ最近で間違いなく1番面白い

投稿 : 2025/03/01
♥ : 4

65.2 2 2024年度の歴史アニメランキング2位
歴史に残る悪女になるぞ(TVアニメ動画)

2024年秋アニメ
★★★★☆ 3.2 (119)
331人が棚に入れました
ヒロインにありがちな“いい子ちゃん発言”が大嫌いだった私が転生したのは、大好きな乙女ゲームの悪役令嬢アリシア。 念願叶って転生したからには、歴史に残る世界一の悪女になってやる!そのためには強くて頭もよくないといけない! ——と努力しただけなのに、悪役令嬢として頑張れば頑張るほど周囲は予想外の反応で……。 はたしてアリシアは歴史に残る悪女になれるのか⁉
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

アリシアVSリズが活かしきれない展開にがっかりです。

 ひょっとしたら結果的に最後まで見るかもしれませんが、原作7巻まで読んで急にアニメへの興味を失いました。原作もアニメ同様決して質は高くないです。
 本作の特徴は、アリシアのキャラの動きが非常に面白い、そしてリズがどうなるのか。その2点です。それがどうなるかが気になって読みました。

 リズの魅了の件ですが、これが機能しなかったですね。唯一面白かったアリシアVSリズの構図が崩れてしまいました。これが本作原作に対して最大の興味を失った原因です。アニメ以降の部分でそこを期待したのですが、どちらかと言えばラブストーリー、逆ハーレムになってしまいました。詳しく原作の展開をここで書いてもしょうがないので言いませんが、現状ではリズを膨らませられていません。そこが気になって読んでいただけに、展開にがっかりしてしまいました。

 それとロアナ村まわりは、何かを描く素材も下ごしらえもできていた気がするんですけど、調理に失敗してしまった感じです。ウィルが使いきれてなかったですね。

 悪役令嬢なろう系は構造的に初期設定はどの作品も面白いんですよね。ですが、この悪役令嬢ものは女性原作が多いせいか、ラブストーリーがどうしてもメインになります。これがエンタメとしての完成度を下げます。そこを味付け程度に切り捨てられなければ、悪役令嬢ものはほぼ100%失速する構造と言っていいと本作を見て改めて思いました。

 という事でモチベーションが激減して断念です。


1話 MAHOとは知らず…即切りのレベルだけど…大博打であと1話?

{netabare}  MAHOですか。実はそれを知らずにキービジュアルが可愛いので見出したら、1話とは思えない作画レベル、テンプレの悪役令嬢。説明だけじゃんという感じで、どこにも期待できる要素がなく、秒で切るべきというレベルでした。

 うーん、即切り…と言いたいですけど図書館で「魔法が見つからない」のとEDの最期の黒い薔薇がちょっと気になりました。青と金の対比で金に対する黒ですから、ヒロインが金になる話ではない示唆ですよね。
 そこが「悪役令嬢レベル99」のような絶妙な面白さになればなあ…ほぼ9割以上の確率でつまらないと理性ではわかっていますが魔が差して少し期待しています。レビューを始めた以上は、もう1話か2話は見たい気もします。大博打ですけどね。{/netabare}


2話 漫画動画よりもアニメのレベルは低いですが、展開は気になります。

{netabare} 少なくともアニメを見ている感覚にはなりません。ユーチューブの漫画動画みたいです。いや作画が崩れる分それ以下かもしれません。ただ、です。話自体とヒロインのアリシアのやっていることは結構興味深い気がします。ということは「原作者様、お気の毒です」と言うしかないですね。

「悪女」の定義はよくわかりませんが、OPで何故、アリシアは隻眼になっているか。ロアナ村と目が見えない元貴族らしき人はどういう役割なのか。そう、目が見えないのが何かテーマなんでしょうか。 貴族と貧民の差をクローズアップしていますので、それが彼女の成長がどういう展開になるのか。

 そう、話が展開しているんですよね。話自体のレベルが高いかと言えば細かいところはダメダメですけど、話の展開は気になります。

 どうなんでしょうね…わかりません。アニメのレベルが低すぎて苦痛ですが、内容はあるかも。話というかアリシアがどうなるかには興味があります。{/netabare}


3話 設定の説明ばっかり。聖女は馬鹿にしか見ない。でもちょっと面白い。

{netabare} やっと前提条件が整った感じですね。魔力は危ないもので暴走する可能性がある。貴族独特のもの。年齢とともに使えるようになる。図書館で魔法の本棚が突然見えたの話もこの年齢によって魔法の何か条件が整ったからでしょう。あの貧困の村の元貴族様も魔法の事故があるようで。
 そして少年の信頼をいきなり勝ち得ましたが、もう少し深掘りできそうなのにキャラの使い方が持ったいない気もします。

 ライバルであろう聖女が登場しますが、彼女あるいは悪女たるヒロインの2人が危険な存在の可能性があるという設定は悪くないです。この2人の対立あるいは疑似的な仲間関係がおもしろそうなので、いきなり学園入学からスタートして2人のエピソードの中で過去が解き明かされるのでも良かったもします。

 それにしても…その聖女様のキャラ造形はなんとかならないんでしょうか。まあ、無垢な恐ろしさを演出したいのかもしれませんが、無垢すぎて痴呆にも見えます。それと貴族の男たち…オッサンはいいんですけど若い男が本当に誰が誰だかわかりません。

 ただ、相変わらず文句を言いながらも見ています。うーん。{/netabare}


4話 聖女の「理想論」対悪女の「現実論」かな?かなり面白くなってきました。

{netabare} 瀕死の少女を助ける場面でちょっと驚きました。まさか{netabare} 片足をぶった切る{/netabare}とは…治療魔法が万能でなく、できることが限られているということですね。
 これで、元貴族が「見えないけど見届けたい」と言うのと、なぜアリシアがOPで隻眼なのかもちょっと想像がつきました。これは今までにない厳しい展開です。そして、そこまでの覚悟があるヒロインはなかなかいません。まあ、想像どおりの展開ならですけど。

 また、悪女の意味もまだちょっと分かりませんが、聖女の理想論に対する現実論者としての悪女という見方はできます。ロアナ村がサブストーリーかと思っていましたが、メインストーリーになりそうですね。その点で言えばバラバラだった設定が収束して話になってきたような快感はありました。

 王が悪女サイドにつくのもなかなか面白い発想です。やはり作画も演出も褒められたものではないでですが、内容が面白いのは拾い物でした。

 原作が「なろう」にありました。600話近くありますが、1話50行くらいで合計30000行。面白ければ1日で読める分量ですのでちょっと読んでみるかもしれません。

 なろう系的な安易さも感じられますが、何かを考えて話を作っているなというちょっと読む価値がありそうな作品だと思います。{/netabare}


5話 粗削りで完成度は低いけど面白さと味があります。

{netabare} なろう小説を読みだしましたが、ちょっと文体が今時すぎて読みづらいので遅々として進んでおりません。その点ではアニメはわかりやすいと思います。正直、なろう原作と比較して制作会社ガチャに外れた…というほどレベルの差はない気もします。というか、結構アニメは上手く作っている気がします。

 この作品、なんていうんでしょう…細部の作りこみはちゃちなんですけど、全体の設定と話の流れは面白いんですよね。話の方向性もちゃんとあるし。そしてヒロインの独白が何とも言えない味があります。つまり、粗削りだけど見るべきものがある、という言い方が正しいでしょうか。

 原作者でも制作会社でもいいですけど、アニメ、小説…あるいはコミカライズ…なんでもいいですが、完成度の高い作品をどこかで提示できれば、かなりいいものができるのではないかと思います。
 正直「はめふら」はキャラ造形が段違いだっただけで、話の中身は数段進歩していると思います。{/netabare}


6話 聖女の気持ち悪さが主人公のいい子化のカリカチュアなら大したものです。

{netabare} いいですね。あえて聖女リズの性格造形の気味の悪さを意識しています。で、深読みするとこのリズって今のなろう系をはじめとした、マンガ、アニメ、ラノベのいい子ちゃん主人公のカリカチュアライズですよね。

 人の命を奪わない。信じれば解決する。非常に幼稚な正義論になっています。「ガンダムシード」とか「エウレカ」でもやってましたけど、(作品の出来不出来は別にして)短絡的な暴力否定でしか創作物として主人公のキャラ付けできないということです。
 最近感じている主人公の聖人、いい子化です。異世界転生もの全般、ラブコメ全般「ロシデレ」「負けヒロイン」などでも強く感じた部分です。

 今やっている「アオのハコ」も同様です。こちらは主人公ではなくヒロインですが、なぜあのヒロインって魅力に欠けるのかと言えば、やっぱり欠点がない聖女だからだと思います。はっきり言えばそこが本作同様に気持ち悪さに繋がっています。
 一方で「ダンダダン」を見ればモモが魅力的なのは欠点があるから長所が際立ちます。
 メタ的にそういう皮肉を込めてゲーム内部ということを意識してリズを描いたなら大したものだと思います。

 何度もいいますが、本作がいい出来のアニメだとは言いません。ただ、何か光るものがある作品だと思います。だからこのレベルの作画でも毎週見られます。{/netabare}


7話 やっぱり話は面白い。大きな枠組みがちゃんと感じられます。作画は…

{netabare} 衆議院選挙とかアメリカ大統領選挙とかあったので、ここに出ている貴族が少なくともノブレスオブリージュを自覚し、国を何とかしなければ…と憂いているさまを見ると何とも言えない気分になります。ただ貴族制はほぼ例外なく腐敗する宿命にあるので、権力というのは本当に難しいものです。

 という事が考えられる程度には話の構造がちゃんとしているんですよね。そしてやはり本作の聖女リズが現代的な日本人が望むヒロイン像の視点を変えたものだと思うと、そこも気持ち悪さもやっぱり描けています。

 それと障碍者がなかなか自然に描けています。キャラとして押しつけがましくないのがいいし、ちょっと訴えかけるものがあります。

 何度も言いますが、個々のエピソードは弱いですし、作画は紙芝居だしキャラの頭身はおかしいし、最悪です。しかし、大きな話の枠組みのレベルは高いなあと感心します。

 ひょっとしたら綺麗な絵でなめらかな作画は邪魔になる類の作品なのかもしれません。「なろう」掲載の小説をもっと読みやすい文章にしてくれたらなあ切に思います。{/netabare}


8話 アリシア最高です。ここまで強烈な印象になるとは…

{netabare} アリシア最高ですね。過去いろんなお気に入りキャラはいましたが、このキャラにはかなり惹かれました。OPで隻眼になっていたので多分そうだろうなと思う展開ですが、なんというかここまでとは…そのことについて悩むでもなく、あっさりした感じがかえって強烈な印象でした。この後、どういう展開かわかりませんが、8話までのアリシアの描写は本当に良いと思います。

 何となくですが、この原作者は身体障碍に何か思い入れがあるんでしょうか。隻脚のキャラもいますし。わずか8話の間にここまで肉体の欠損に着目しているのは本当に珍しいと思います。原作者の深層に障碍あるいは身体欠損の問題がある気がします。わからないですけどね。わからない分見ているこちらの胸に何かを残しました。

 大きな話の流れと、キャラは本当にいいですね。やっぱり原作を読んでみましょうかね。


追記 原作1巻読みました。「なろう」で読むより紙の文庫本が読みやすく一気読みでした。本作アニメのレベル90の課題を父親から言われるところまででしたね。

 結論から言って面白かったです。アニメで映像で見ている効果はあるかもしれません。この出来の悪そうに見えるアニメは結構忠実にアニメ化できています。つまり、テンポが尋常じゃないですね。1場面1場面の切り取り方が独特の時間感覚というか。ただ、15歳になったところなので、この後のペースはわかりません。

 やっぱりアリシアはいいですね。悪女の定義の勘違いが面白い云々というより、この娘の覚悟と一貫性がなかなか心地よいです。モノローグがあるようで感情が見えないのがちょっと描写不足感はありますけど、キャラにライドすると感情も感じられるようになります。
 キャラの深堀りはサブキャラについてはできていないですが、このペースは文庫本の形だとダラダラエピソードを入れられるより良かったです。たぶん、9話までに3,4巻くらいは読んでいると思います。

kindle unlimited加入で無料ですが、原作者にお金を回す意味で新刊を紙で買います。{/netabare}


9話 意図的ではないでしょうが、リズがキャラ論になっているのが面白い。

{netabare} 原作を5巻まで読みました。話の展開はネタバレになるので置いておきますが、キャラ萌えに関して言えば、やはり徹頭徹尾アリシアです。他のキャラはデュークからして、それほど自分を持っているキャラではありません。リズを除いてですが。

 ストーリーの出来もそれほどではありませんが、それでも大きな物語が感じられるのはアリシアのキャラの出来とリズの極端な描き方によるものでしょう。
 リズは良い意味で非常に気持ち悪く描けて、かつ悪人でないのが面白いキャラ造形です。原作者が意識しているかわかりませんが、女から見て気持ち悪いいい子を象徴しているのでしょうか。それが期せずして主役キャラのキャラ論になっている気がします。リズが今のポジションでいる内は面白いと思います。

 アニメの範囲は中途半端だと思いますが、結構楽しませてもらいました。独自性という意味では出色だったと思います。{/netabare}

投稿 : 2025/03/01
♥ : 6
ネタバレ

芝生まじりの丘 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

チープなろうだが優れた部分がある

なろう系の悪役令嬢ものと言われるジャンルの一つ。
なろう系的なチープさは強い。ご都合主義的であるし、ストーリーの基軸もテンプレートの域を出ない。政治についてなどの議論も子供じみている。主人公は「悪女」と言いながら結局いい人ぶっているし、性格の悪い愚か者を踏みつけにし、主人公を際立たせることで話が進む。なろう系の中でも決して質の高い作品ではない。

ただ、自分も悪役が映えるタイプのストーリーが好きなので「悪女をこそ目指そう」という主人公の考えには共感できる。ストーリーで主人公が求める「悪女」像は違和感を感じさせるけれど、「正しい悪女」を求める思いには一部首肯できる部分もある。悪の美とは、既存の枠組みに付き従い、おとなしくするのをよしとせず、束の間の賞賛を求めず、自分の考えを持ち自分の責任でもって行動をすることにあるのかもしれない。だから陳腐ではあるにせよ「人間が正義を求めながら悪を求める」というそうした矛盾もあながち間違いではなく人間の中に本当にあることだろう。

プラトンは、「清濁合わせ飲む」といったことや「悪に利がある」といった考えには反対であった。賢く合理的に良いものは「正義」であり、愚かで誤っていて悪いものが「悪」であり、2つは交わらないのだと言った。「悪」を多少許容することが賢い生き方なのだとか、利己的な悪を用いたものが成功するのだといった考えを否定した。その考えもわかる。本質的には他者を害し、自分の利を追求するような「悪」とは弱さであり、結局本人に利をもたらさないのだろう。だから人間は正義を求めるべきなのだ。ただ本質的な「善悪」の話ではなく、外面上の、世間上での「善悪」の話をするなら、「正義」と呼ばれるのは「世間で良しと思われる事柄を守る」ということであって、「既存の価値観における善」と異なるところに善を求めるものは「悪」とみなされてしまう。ゆえに「正義である」というのは「因襲的で進歩のない」ことや「自分の頭で考えない」ことと繋がりを持ち「悪である」とは新しい道徳観を探す冒険を厭わない姿勢を示すと言う側面を持つ。また「正義を重んじる」というのは反転すると自分の道徳観を盲信し、そこからずれたものを一切みとめない厳しいあり方であり、これも危うさがある。
「悪とみなされる」のは「本質的な悪を行う」からではなく「既存の社会に対して反対し、対立する」からなのである。既存の社会に反対し対立することが善を生み出すこともある。
簡単な例を挙げるなら「魔女狩り」は当時正義に基づいて行われたのであるが、その行いは今日の価値観からすれば悪であり、当時魔女狩りを反対するものは悪とされたかもしれないが彼らが現在には正しいと言われる。
悪が善であることもあることを人間は本能的に知っているから「正義」を尊ぶと同時に「悪の美」に対しても惹かれるのかもしれない。
若者が不良になりやすかったり反抗的であったりするのもまさしく「既存の価値観にとらわれず新しいことを求める」というこの性質ゆえなのだ。
そうした風に考えるならアリシアの理想の悪女像も理解できる。


アニメの話に戻る。この作品において優れていたのは{netabare}黒幕としての聖女であり、この点、悪役にこだわった作者の面目躍如だったかもしれない。
描き方にはかなり荒削りなところがあったが、「善であろう」と求めていた人間が意図せず反対に無自覚に堕落し、悪を振り撒いてしまうというこうした皮肉めいた展開は個人的にとても好ましかった。
なろう系のアニメは大抵全く脈絡なく展開し尻切れトンボに終わるのだがこの作品は終盤解決しキリ良く終わっているのでその点も良かった。
女性向けなろうジャンルのアニメはいくつか見たけどその中では一番良かったかもしれない。
{/netabare}

投稿 : 2025/03/01
♥ : 1

ヨッシャア! さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.3

看板に偽りしかない駄作

【物語】 1.0 / 5.0
 乙女ゲーに登場する悪役令嬢キャラに転生し、異世界で悪女として生きていくことを決意するところから始まる「悪女転生」系の女性向け作品。
 しかし蓋を開けてみると、悪女らしい行動は一切なく、主人公が「悪女ならこうするだろう」というズレた認識で善行や人助けを繰り返すだけ。
「悪女転生」系作品のテンプレ通り、対立する者として聖女が登場するが、聖女にまつわる話が冗長で、女から女へのいじめ描写など「これ、こんなに長々とやる必要があるか?」と疑問に思うレベル。
 ただでさえテンプレ通りというか、既視感を強く覚える「悪女転生」系作品なのに、加えて構成がド下手くそという致命的な内容となっており、この点に関しては評価するところが一切ない。
 また、転生前のパーソナリティが極めて希薄であり、「転生」という要素すらまともに扱いきれていないのは、もはや原作のレベルの低さを疑う他ない。「中学生が聞きかじった知識をフル動員してそれらを継ぎ接ぎし、なんとか形にした作品」と言われても納得できるレベルに感じた。

【作画】 1.5 / 5.0
 なろう系の中でもやや質が落ちる部類だろう。
 崩壊とまでは言わないが、評価には値しない。

【声優】 2.0 / 5.0
 悪女キャラが主人公なのだが、主演声優の声が「可愛らしすぎる」という点はミスキャストに感じた。
 ストーリーは幼少期から始まるので、それ込みでのキャスティングなのかもしれないが、後半成長して以降はもう少し大人びた演技をしてほしかった。

【音楽】 1.0 / 5.0
 印象に残らない。

【キャラ】 1.0 / 5.0
 物語の項でも述べたが、作品のコンセプトであるはずの「悪女としての言動・立ち振舞」が一般的な認識と極めてズレており、主人公の「言っていること」と「やっていること」の不一致があまりにも多すぎるため、全てが茶番・おままごことに見える。故に、キャラクターの中に芯のようなものは一切感じられず、もっと言えば俯瞰でものを見れない頭の悪い人物のように映る。
 こちらもアニメをそれなりに見てきたので、いわゆる「なろう・転生」系の作品にそこまで多くを求めはしないが、せめて掲げた看板の内容は守るべきだろう。
 それができないなら、ギャグテイストでもいいので主人公が理想と実情の差に葛藤したり、自分にツッコミを入れるなどして、理想との乖離に何かしら言及すべきであったと思う。



【総括】 6.5 / 25.0 (平均 1.3)
 全ての点において評価に値しない。
 特に個人的に気になったのは、やはり「いつになったら悪女らしい行動をするのか」という点であり、そのせいで物語やキャラクターには一層魅力を感じられなかった。
 聞いたところによると「悪女転生」系作品は数字を稼ぎやすいらしいので、その流れで生み出された粗製乱造の一つなのだろうと感じた。

・追記
 最終回まで見たが、評価は変わらず。
最後まで「歴史に残る悪女になる」を連呼するだけで、実情があまりにも伴っていない。くだらない。
 あと、不意打ちでキスをされるシーン、不意打ちされた側がしっかりキス顔になってるのは普通に演出としてミスなのでいい加減にしてほしかった。最後の見せ場くらいはしっかり作ってほしい。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 2

63.9 3 2024年度の歴史アニメランキング3位
星降る王国のニナ(TVアニメ動画)

2024年秋アニメ
★★★★☆ 3.2 (66)
181人が棚に入れました
フォルトナ国城下で孤児として暮らしていたニナは、星の神のごとき深き青――瑠璃色の瞳を持っていた。 事故で亡くなったフォルトナ国の王女アリシャと同じ色の瞳ゆえ、第二王子アズールに見出され、ニナは王女に成り代わることを求められる。 身代わりの星の巫女として、王女として、与えられた使命――それは三月のあと、大国ガルガダの第一王子セトに偽りの花嫁として嫁ぐこと。 運命に翻弄されながらも、誰かに必要とされることに喜びを感じるニナ。そのまっすぐな瞳が見ているものとは……。 愛する人を守る決意をしたとき、それぞれの運命が大きく動き始める!!
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

暗闇の中でも星を見つける瑠璃色の瞳

フォルトナ王国城下町で孤児として暮らす少女ニナが、
王子アズールに、事故死した王女の身代わりの姫として見出され王宮入り。
王子と関わり合う内に惹かれ合ったり、さらなる波乱万丈に巻き込まれていく。
同名少女コミック(未読)の連続アニメ化作品(全12話)


【物語 3.5点】
逆境の暗闇の中でも、へこたれないヒロインのような者にこそ、光は訪れる。
そんな女(ひと)にこそ、頑なだった王子の心も開かれる。
本作はこれまで少女コミック界隈などで何度も生産されてきたテーマの再提供。
安心感はあるが意外性は少なめ。

毎話、王道要素がテンポ良く展開される構成は小気味良い。
EDアニメーションで、めくる本のページが影絵になっていて、
話数を重ねる度、影絵が各話の象徴的なカットを描いた挿絵として着色され、
波乱に満ちたヒロインの足跡を振り返る仕掛けとなっていますが。
1クールでよくこれだけのイベント量を消化できたなと感心します。

が、ハイテンポの代償として、じっくりと心情描写する機会が損なわれた感も。
試練に恋にと葛藤するヒロインの心情は、視聴者が読み取る間もなく、
モノローグで語られあっさり答え合わせ。
もっと色々、本音を想像させてドキドキさせてよと思うこともしばしば。

よって、私は本作を一日の締めなど、極力、心身が消耗した、
考察ばかりしたくなる深夜アニメ脳すらも死んでいる状況を選んで視聴しました。
すると、直球テーマによる浄化効果も相まって、醜さぶちまける系の他の深夜アニメ視聴も含めた日々のストレスが緩和され、
なかなかの入眠効果が得られました。

異世界ファンタジー版の「世界名作劇場」、童話絵本でも眺めるような距離感で行けば、
スッと折り合えるかと思います。


【作画 3.5点】
アニメーション制作・シグナル・エムディ

デジタル作画制作の推進を目的にIGグループが設立して10年になる子会社。
星空のようなニナの瑠璃色の瞳など描き込んで来る部分もありますが、
基本的には限界突破する程の作画カロリーは費やさず、無難に完走しましたという印象。

ニナも、思ったことが口やモノローグだけでなく、すぐ顔に出るので、
分かりやすかったですが、読み解きがいがないと思ったりしたのも脚本同様。
ニナは、髪型も色々と変わりますし、ちびキャラ含めた掛け合いや顔芸も多彩だったので、
見ていて退屈はしませんでしたが。
あと鳥の方のニィナとか。

グロ方面では、{netabare} 会話即セトに斬られたニナ{/netabare} などソコソコの衝撃シーンこそありますが深夜アニメでは控えめなレベル。
ロマンス部分も乱暴や夜伽を示唆する展開などがあったりもしますが、
実際に描写されるのはアニメ化部分ではキスまで。
私は配信組でしたが、TV放送は刺激を求められる深夜アニメではなく、安全安心なEテレ夕方枠とかでも良かったのではとも感じます。

ただ、そのキスに“好き”が入ってるか否かなど、
キスの意味の使い分けについては大事に描写されていて好印象でした。


【キャラ 3.5点】
明快だが予想通り過ぎると思うことも。

序盤フォルトナ王国で一番ヤベェ奴は悪女オーラ全開な王妃様ではなく、
{netabare} 穏やかな表情の無能サイコパスの国王の方{/netabare} だったというのも、
すぐにピンと来ましたし。

唯一、一本取られたなと思ったのが、終盤、{netabare} ニナの侍女ヒカミ。
異国ガルガダまで付いて来て、何か仕掛けてくるまでは分かりやすく匂わされていましたが、
性別まで偽っていたとは。{/netabare}
ただ、これも、やられてみれば、よくあるサプライズなんですけどね。
私も終盤までには、このアニメは、深読みせず無心でストーリーに身を委ねようと決めて、折り合った頃だったのも一因かなと。
制作者の掌の上で気持ちよく踊らされることができました。


フォルトナ王国の第二王子・アズール。
{netabare} ニナとは王族の身代わりとして連れて来られた者同士でもある。{/netabare}

ガルガダ王国の第一王子・セト。
{netabare} 数々の敵国を滅ぼして来た無感情な殺戮マシーン。{/netabare}

ニナはやがて二人の王子と両国を股にかけた三角関係を構築していくことになりますが、
二人の王子がデレるポイントも分かりやすくてくすぐったかったですね。

因みにファンの間ではアズール派かセト派で盛り上がっているそうですが、
私は断然セト派ですね。
{netabare} 殺戮マシーンが姫との愛を通じて人間の心を獲得していく過程。{/netabare}
このパターン。私は何度提供されても美味しく頂ける好物ですので。


【声優 4.0点】
主演ニナ役の田中 美海さん。
デビュー作のアイドルグループ「Wake Up, Girls!」片山実波役を務めていた頃から妹ポジション。
その後も様々なタイプの妹、年下役として、WUGメンバーの中でも一番堅実にキャリアを重ねて来た方。

ニナはスラム暮らしの頃は少年の格好と言動で身を守っていたため、
素の口調は粗暴なボーイッシュ。
心情を網羅するモノローグには乙女心も滲み出て。
王国の公の場では姫を騙り上品な言葉遣いで堂々と。
多彩な年下属性が求められる役柄でしたが、
みにゃみには対応できるだけの引き出しが培われていました。


アズール王子役の梅原 裕一郎さんは落ち着いたイケボ。
セト王子役の内山 昂輝さんは気だるげ成分配合のイケボ。
ボイスドラマから続けての指名となった一線級のお二人を相手に、
田中 美海さんが掛け合いで堂々と渡り合う。

正直、私は少女マンガはあまり守備範囲ではないですし、
お話にはハマりきれない懸念もありましたが。
みにゃみの成長に目を細められればそれで良いと割り切ったのが視聴動機でしたし。
得る物は得られたという点では満足できるアニメ鑑賞ではありました。


【音楽 4.0点】
劇伴担当は田渕 夏海氏。
メインテーマとなる「瑠璃色の瞳」を始めピアノサウンドが牽引するピュアな曲風が中心。
癒やし目的で流しても効果ありそうな音源です。

主題歌はOPが坂本 真綾さんの「nina」
EDがムフルム王子役も務めた東山 奈央さんの「星の伝言」
ビブラートをあまり当てない純度の高い伸びやかな声優アーティストのボーカルが世界観にマッチ。
特に「星の伝言」は一日のEDとして聴いても綺麗に落ち着く逸品です。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 12

鬼戦車 t89 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

恋愛脳傾城玉藻の前二股吶喊好色一代スラム女

 最終話(12話)まで観ました。2025.01.03

 やべぇーアニメです。主人公のニナはタイトル通りのアバズレです。

 いくら何でも無理があります。スラムで生き延びてきた瞳が青いだけの小娘を拐ってちょっと教育して、敵対王国に死んだ姫の代わりに嫁として送り込む…。

 バレるバレない以前に最下層民なんて信用出来ないだろ…。アズールはアホなのかな?王昭君の悲劇があり得ないのと一緒で、格上の国に喧嘩売ってるのと変わりません。

 そして、ニナは超恋愛脳でアズールに惚れて、アズールもニナに惚れて何だかんだで任務を遂行しようとしますが、送られた国の王子のセトに惚れます。

 セトからも惚れられて…。もはや妖怪玉藻の前レベルの化け物です。身体も貧弱で教養も無い女に王子二人が簡単に落ちるか?なろうハーレム男主人公より説得力がありません。王子二人は女に免疫が無い童貞中坊なのか?

 そして、ニナは後先考えずに恋愛脳的吶喊行動を起こし、周囲を引っ掻き回します。何のために嫁に行ったのかな?アズールも未練タラタラで、コレでは最終的にトロイ戦争しか道無くね?イケメンを天秤にかけてるの?傾城の悪女だろコイツ…。

 結局アニメは良い所で中途半端に終わります。原作が完結しているのか不明ですが、アズールとセトが穴兄弟になって、ニナを媒介にした二国間同盟を締結するしか道が無い様な…。

 どちらにしても戦乱の未来しかありませんね…。ニナさんは歴史に残る悪女になれそうです。無自覚な分、某アリシアより悪辣ですね。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 2

tomledoru さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

きっと,話がこれから面白くなると思います。

ここまでの話は,隣の王国の友好の為に嫁ぐまでの話ですが,そこまでは大して面白くないので,評価も低いのだと思います。

しかしながら。中盤に入って。

隣の王国に。お妃候補として赴任して,隣の王国の冷酷で,傲慢な第一王子に,正々堂々と立ち向かっていく姿は本当に心が打たれるものがあります。

もともとの前提が。王女様の入れ替わりということもあって。下町育ちの。気性の強いところがありますが,ヒロインにはそういう,がんとした魅力があります。

最近流行りの背景で。中世ヨーロッパの国と国の存亡をかけた,駆け引きのような半ば道具として,ヒロインは描かれていますが。

人間そのものの気性や性格で。話しをだんだんと盛り上げて行ってるところは,絶対評価すべきだと思います。

いうなれば、これからもっと評価される作品になると信じています。

最近流行りの魔法ものや。ダンジョンもの。転生。魔王,戦いや冒険者といった良く言えば「スパイス」悪く言えば「小道具」を使わなくても。

充分面白いアニメーションが作れるという。最近の手本になる作品になると予感しています。

魔法物のアニメーションだったら?せめて「葬送のフリーレン」くらいの傑作を作ってもらいたいものです。

ヒューマンドラマのみのファンタジーアニメとしては,私は秀逸だと思っています。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 4

68.9 4 2024年度の歴史アニメランキング4位
T・Pぼん[タイムパトロールぼん](TVアニメ動画)

2024年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (25)
100人が棚に入れました
なにもかもが平凡な中学生の並平凡は、未来からやってきたT・P(タイムパトロール)隊員の少女リーム・ストリーム、不思議な生き物ブヨヨンと出会う。歴史に影響しない、不幸な死を迎えてしまった人間を救う活動をしているというT・P 隊員。任務を遂行する中でリームたちを見た人間の記憶は消されることになっているが、とあることから記憶が消えされなかった凡は、やむをえずタイムパトロールの見習い隊員として迎えられる。 リームとバディを組んで任務を遂行していくことになった凡は、時代も場所もひとっ飛びできるタイムボートをはじめとする未来の道具に大興奮。お調子者の凡だが任務を通じ、それぞれの時代で賢明に生きる人たちの人生に触れていくことになる。 『T・P ぼん』と一緒に、地球と人類の壮大な歴史を旅しよう!
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

時間ものSFマンガの名作の丁寧なアニメ化。素晴らしい作品でした。

第2クール

 ゆみ子の印象がコミックと結構違う気がします…いい方に。コミックから結構主体的でぼんを引っ張りまわすイメージがありましたが、どうしてもマスコット的なイメージでした。アニメの方がより主体的なのでキャラとしての役割を果たしている気がします。

 感情というか内面に人間味を感じます。もともとそういう描き方だったと思いますが、声優さんの演技がいいのでしょうか。ちょっと生意気だけど憎めない感じがコミックス版よりも好感がもてます。

 1クールのようなSFの名作というより、SFエンタメ化はしているのですが、ゆみ子はリームがあっさり解決方法にたどりつくのに対して、試行錯誤しているのが作品としての面白さにもつながっています。また、登場人物の事件後の救済の描写にまでストーリーがカバーしているのもエピソードとしての満足感が増している理由でしょう。その分、1クールのような間延び、引き延ばし感が薄まっています。話を見て素直に面白いのは2クールの方が面白い気がします。

 11話・12話はお世辞にもいい出来ではないですが、やっぱりリームとのその後は見たかった点においては良かったです。

 1クール合わせた総括としては、藤子F不二雄作品の連載作としては出色の出来で、SFマンガの名作だと思います。それを非常に丁寧にアニメ化しており、キャラはアップデートしていながら原作の良い雰囲気を残しています。タイムボートもかなりカッコ良く仕上がっています。作画もエフェクトも良かったです。

 感想としては、やはり1クールの最終話はSF発想はしびれるほど好きですしキャラはリーム派なのですが、2クール目でゆみ子編の面白さを再認識しました。
 ただ、私のノスタルジー補正、コミックの知識が非常に大きな要素です。子供のころからの座右の書ですので、アニメ作品としての評価がどれくらい高くなるのかは客観的には評価できません。



第2クール
 
第1話

{netabare} 現在第1話だけ見ました。さて、結構原作と設定を変えてきましたが、あまり大きな影響はないと思います。どちらかと言えばユミ子と組む2、3部の方が長いですが、ちょっと娯楽色が強くなります。一度綺麗に完結したSFの名作ですが、掲載雑誌変更の影響で最終回後に続けたせいでしょうか。
 圧倒的に私はリーム編が好きですが、だからと言ってユミ子編も普通以上に面白いです。

 作品のリストを見ると11話、12話が知らない話です。一応、幻の34話、35話を収録した小学館の新装版の3巻は持っている(1~5巻の2部までは旧コミック版)のですがこの話は知りません。一応作品リストで確認したので漏れはないはずなのですが…
 じゃあ、アニメオリジナルかというと、リームと再会する話がある、と聞いたことはあります。昔のTPボンのアニオリだったのか、藤子F氏は最期までこの作品の構想を持っていたそうでその関係なのかわかりませんが、その作品だとしたらうれしいですね。
 もし、本作のアニオリだとしても、リームとの再会はやっぱりほしいのでそれは受け入れます。作品の出来次第ですけど。

 第1クールと違って、SFとしての考察というより肩の力を抜いて楽しみたいです。{/netabare}


11話、12話を先に見ました。多分アニオリでしょう。ストーリーラインや機械のデザインに藤子F不二雄先生を感じないし(先生ぽくはありますけど)、SF的な構想が先生なら「歴史上で起きた何か」に解決を絡めてくると思います。また、シンプルな話にうなるようなテーマを放り込んでくるような感じでもないので。

{netabare} 結果的に歴史上の事件に絡めはしますが、それは結果論でしかありません。まあ、先生に寄せた工夫をしたのはわかります。が、そういうところがやはり藤子F不二雄先生の天才性を感じるところです。

 そして、その出来なんですけど、うーん、リームがまた出てきたのは嬉しいんですけど、そうじゃないんですよね。事件の原因・プロセス・結果…どこにも見るべきところがありません。リーム編の最終話のすばらしさが改めてわかります。

 で、正直話の出来には期待していませんでしたので、どちらかと言えば、3人が一緒に協力して何かを成し遂げてほしかったなあ。それでユミ子が独立するとか。それで美しく終われたのに。リームの設定も無理やりだし。

 正直この2話については、あっても無くてもいいような話でしたね。評価下げたい気もしますが、本作原作は私の幼少時代からの座右の書ですので、このままで。{/netabare}






第1クール 時間と歴史を哲学するSFジュブナイル。そしてリームが最高でした。

1話 アニメの出来は原作の雰囲気の再限度は高いです。が…話がちょっと薄まるのと令和に通用するか、ですね。

{netabare} ネトフリで12話一気に登録はうれしいのですが、じっくり見たいので少しずつにします。現状1話のみ見た状態です。

 昔少しだけアニメ化された旧作はあまり満足のゆくできではありませんでしたが、本作はいいですね。OPを見る限りCGのモデリングなんでしょうけどど、原作の雰囲気が上手に再現されていると思います。特にリーム、声優さんも含めいい出来だと思います。ちょっとプヨヨンの声がイメージとは違うし演技がうるさい気もしますが、ひょっとしたらもともと原作の想定ではこんな感じだったのかもしれません。
 多分2話でやると思いますが、リームは原作で2016年に生きていたはずなので、もう現実は追い抜いています。本作はどうなっているか楽しみです。

 で、これは原作も同じなのですが、1話のみリームの性格が悪すぎだろうとか、チェックカードとか持っていない前提で話が作られているので、シリーズ上の矛盾点はあります。そこは変えても良かったんじゃないの?という気がします。こういうところを直すのがアニメ制作者の腕の見せ所だと思います。

 不満点としては、24分アニメかあ…原作が1話30数ページくらいあるので、できなくはないでしょうが、やはりちょっと尺を足してますね。話が薄まている印象はあります。

 それと私はノスタルジー補正が非常に強く働いていますので、のめり込んでいますが、本作はそれほどメジャーではないですよね。令和の今のアニメとして原作通りで大丈夫か?という気がしなくはないです。{/netabare}


5話 抽象概念が発達し始める4年生くらいに見せたい創作物の教科書の1つだと思います。

{netabare} 5話まで見ました。それでいろいろ思い出しました。時間遡航により歴史を改変する、という発想はもちろんドラえもんで小学校低学年で知ったわけですが、多分4,5年生くらいだったころ本作に触れて、その奥行きに感動した記憶がよみがえりました。

 小学校4年と言えばそろそろ抽象概念とか死、性というものを意識しだすころだと思いますが、そういうものを形として見せてくれたのが本作でした。つまり本作は私のSFどころか小説や科学歴史に触れる原体験でありきっかけになっています。

 SFというのはなんて面白いんだろう、と思ったのが4話の記憶を消すことと写真が別とか、アケビの話と石ころの話で因果の積み重ねというのは知らないところで影響している、という部分です。

 と同時に歴史の裏に隠れた「無名の個人」に発想が行くようになりました。歴史であるジョセル王の階段ピラミッドとそれを作った職人という発想で、教科書に載っている出来事や建築物の裏で、たくさんの人が当時暮らしていたという事実を知り、それを絵で見せてくれてひどく感動したことを覚えています。

 気になっていた5話の拷問シーンは、結構再現度が高かったです。このシーン、少年の心にひどくショッキングな映像でしたが、一方でそういうことが人間の歴史の中で事実として行われていたことで人間の本質がきれいごとでないことを学びました。
 死、暴力、性などが心のざわめきになり、忌避する感情と暴力的、性的な衝動が自分の中にも人間の中にもあることを知りました。だからこそ制御することを考え始めたと思います。そういうことをこの作品から学んだことを思い出しました。

 で、本作ですけどネトフリで16歳+の指定なんですね。それはないだろうと思います。こういう作品から吸収できるのは10歳から12歳くらいでしょう。SF的発想、思考、感情、歴史観、倫理と道徳、人間の生死感や残酷さなどを学んでゆきます。藤子F氏の絵でマイルドで見やすくなっています。こういう優れたSFを子供は早いうちから触れるべきだと思います。

 そのおかげで私はこの後、小説とか歴史や物理に興味がでて、字だけの本を自主的に読むようになったと記憶しています。改めて本作のすばらしさを堪能しています。{/netabare}


6話 時間遡航の矛盾をどう解釈するかを子供のころ悩みました。

{netabare} 西遊記…大唐西域記ですね。この話はスケールが大きいので話自体が面白いのですが、幼い心に悩みました。

 ぼんは西遊記の話を劇でやろうとしていました。つまり、猿・豚の孫悟空と猪八戒は知っていました。それが過去に戻って助けるとき、フォゲッターを入れ忘れてその記憶が西遊記になった…という話です。

 1点目の悩み。玄奘三蔵の著書は「大唐西域記」であると作中で説明があります。で「西遊記」は作中では説明はないですが後年(1500年代?)の創作物と言われています。つまり、猿・豚・河童は1500年代の創作のはずなんですけど…というのが1点です。

 今回思ったのが、この点は実は1500年代の著作という説には強い批判があるので、実は玄奘か一行の誰かが裏でこの作品を書いていてそれがひそかに伝わっていた、というSF的なIFは考えられます。であれば著者はあの少年でしょうね。
 あるいは本作をジュブナイルとして大唐西域記=西遊記とあえて単純化して話を作っているのかもしれません。

 2点目の悩み。因果関係のもつれです。ぼんは初めから孫悟空を知っていました。つまり、既定の事実としてぼんが少年を助けに行くという命令を受ける前から、ぼんとリームは猿と豚のぬいぐるみを着て助けている過去があった、ということになります。

 この解釈をどう考えればいいのかを悩みました。これって、さらに言えばぼんが1話で消された場合、西遊記という物語がなかったことになるのではないか?ということです。これは子供心に非常に迷った記憶があります。運命論になってきますよね。
 ドラえもんの1話の話を適用すれば、2人が過去にさかのぼらなくても創作されていた、ととることもできますが、それじゃあつまらないです。

 ということはタイムパトロールの指令は過去のある時点において既定されているとも受け取れます。となると時間遡航による過去改変という心配って、どういう意味を持つのかにもかかわってきます。
 因果関係がループしてはいけない理屈もない、という発想に至れば解決できると思います。 {/netabare}

7話 生贄という立場。1度死ぬということ。その哲学的な意味。

{netabare} 7話のミノタウルスですが、これは生贄というものを考えさせられた作品です。日本昔話の人柱的なもの強烈なのは「キジも鳴かずば」ですが、それはもちろん知っていました。ただ、懲罰的なものではなく、名誉あるものとして送り込まれる生贄についてその2人の心情をクローズアップした本作は、自分の生死感に強く影響を与えました。
 同時に、時間を操作できたとしても、自分が1度死ぬということは哲学的にはどういう意味があるのかを考え始めた最初だった気がします。{/netabare}


9話 日用品のデザインをSF的に考えるという発想

{netabare} 9話「ドラえもん」の長編の何作目かの恐竜ものの原型ですね。子供のころは、この1匹の生物から人類が発生した…みたいな表現に違和感がありました。種としての進化はもっと大きなグループで起きるのだろう、ということですね。
 ただ、長じて「ミトコンドリアイブ仮説」の様に1人の人間がすべての人類の祖先になるんだ、ということを知って本作の意味が逆に深まった記憶があります。(ただし、これは誤解で「ミトコンドリアイブ」は遺伝子の中に共通する遺伝子が含まれている女性で一人の女性から進化したわけではない…ということも更に後で知りました。)

 それと、この作品は空中のテントにものすごく感動したのを覚えています。日用品をSF的な発想でデザインするとリアリティが増す、というのを初めて実感しました。また、こういうIFの中でデザインを真剣に考えることで豊かな発想になるんだな、と思いました。{/netabare}


11話 マラソンの史実からのストーリーの作り方が見事。

 マラソンの元がある、というのを知ったのは本作だと思います。ただ、それよりもこの作品で知って感心したのは、エウクレスとフィリッピデスの2つの説があるというのが本当だということです。

 そうだろうなとは思っていましたが、これを確認したのはネットで検索して始めてしったので、ウィキとかが発展しだして以降だったと思います。話の内容と史実をぴったりと合わせた見事さは、さすがとしか言いようがありません。


12話 時間の流れは人間の歴史という発想がSF的でした。

 タイムパトロールの別組織が未来にもある、という発想がびっくりしました。なるほどなあ、と思います。しびれます。ワクワクします。その設定を無理のないものにするのが、未来ほど時間の流れが速くなる、という現象ですね。

 これって、宇宙の歴史からすると加速するのが急すぎるのでは?って誰でも思うと思います。それにお互いが連絡を取り合えばいいじゃんと。

 この問題、ずっと小学生のころから引っ掛かっていて大学生くらいになるまで考えていたと思います。自分の中の答えだと、人間の認知によって時間の流れが決まるとすると、つまり人間の時間とはつまり歴史である。時の流れが加速するのは人間の発展のスピードと言えるのでは…とひどく自分で合点した記憶があります。

 人間の地球の歴史が断絶したことで時間の流れにも断絶があるのでしょう。そして、物語の区切りとしてこの作品を持ってくるうまさ。素晴らしと思います。


 全体としては、杉の木というモチーフが効いてましたね。800年の時間を眺め続けるという詩情がSFと歴史ロマンを融合させていました。1つ1つの話は時間旅行ものとしてSF的によく練られていて、多分中学生くらい向けながら考えさせられる視点がたくさん詰まっていました。私がSF好きになったのは、本作によってだと思います。

 また、歴史的な視点でも歴史に名前を残さない一般の人たちを意識することができたし、生死感や時間を哲学的に考えるきっかけになりました。並みで、平凡な主人公にすることの意味の深さが伝わってきます。
 
 正直、この後の後半はリーム編の面白さの半分くらいになります。本当に素晴らしいのはこのリーム編だと思います。その点でこの1期は本当に良かったと思います。はじめ、ちょっと冗長でテンポが悪いかとも思っていましたが、見慣れていくうちに気にならなくなりました。

 アニメの出来は藤子F不二夫氏の作風そのままに見事にアニメ化していると思います。作画も素晴らしかったし。なにより少年のころにあこがれたリームストリームというキャラの再現性が素晴らしく、感激しました。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 8
ネタバレ

lumy さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

英語学習用2【役立ち度★★★★☆】

【1クール視聴後】
原作未読です。

あんまり視聴継続中に投稿をしないのですが、
本作はあまりにもおもしろかったし、
これから2クール目が始まるので、宣伝を兼ねて投稿します。
(ネトフリでしか観れませんですが・・・。)

特に、英語学習用の英語吹替が最高です。
少し難しいですが、なんとなくの話の経過は分かります。
そして、分からなかったら、種﨑さんが演じる日本語版リームで
内容を確認すればいいのです。
(この日本語版リームがかわいい。かわいいけど、ここは頑張って
 英語版を聴きます。でも、英語版リームも、とてもよいです。)

ということで、観れる環境にある方は、7月からの2クール目の
視聴をおすすめします。


【2クール視聴後】
最高にクールなアニメでした。
藤子・F・不二雄先生は、やっぱり天才なんですね。
1980年にこんな作品を書き上げるなんて、
本当に天才としかいいようがありません。

作品の設定が抜群に良く、
ドラえもんとは違ったSFが楽しめました。
(少し、どころではない不思議と、歴史の勉強になります。)

また、キャラが良い。
リームは、かなり好印象なヒロインですね。
それを現代風にアレンジしつつ、
藤子先生のキャラデザインをしっかりと踏襲したボンズの仕事ぶりも
見事だと思います。
また、{netabare} 2クール目でヒロインチェンジするのがにくい。ゆみこもまた、かわいいヒロインです。 {/netabare}

日本語版の声優(ゲストも含めて)が豪勢なので
ぜひ日本語で聴きたいところですが、
最後まで頑張って英語で視聴しました。

でも、英語版の声優さんもすごい上手いと思います。
自分は、もはや英語版のキャストが一番しっくりきます。

誰か設定やキャラを活かしつつ、
新しい脚本を書いてくれないかな・・・。
ずっと続きを観ていたい、そんな作品でした。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 6

ヤマナ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

必見の面白さ、大人向けドラえもん。

初見評価
ドラえもんも彷彿とさせる作画のアニメ。
だけど、生と死をテーマにしておりグロ描写や重い内容も多く大人向け。
平凡な高校生が時空を超えて不遇な死を遂げた人々を救っていく。

ピラミッド作った人や魔女狩り三蔵法師や第二次世界大戦、生贄等々時代も場所も様々で各話事に完結しており見やすかった。
ペースも早く明るい雰囲気でありながらもメッセージ性もあり見ごたえがある。
残酷な歴史の数々その上に今の生活が成り立っているんだな、いや今も世界中で同じような残酷な事が繰り広げられているんだなと考えさせられる。

作画もなじみのある絵だけど劇場版のような迫力もあり、声優さんも違和感なく没入できた。
ずーっと、見てられるご長寿アニメにでもなってほしいくらい。

キャラクターも等身大の高校生で理不尽な歴史や、助けられない無力感など葛藤したり無邪気に喜んだりと感情豊かで共感できヒロインも可愛かった。


最後すこし寂しい終わり方だったけど次への布石として楽しみにしてる。
限定配信であまり話題になってないのがもったいない。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 1

61.3 5 2024年度の歴史アニメランキング5位
明治撃剣-1874-(TVアニメ動画)

2024年冬アニメ
★★★★☆ 3.1 (24)
73人が棚に入れました
明治の御代、西洋化の波が日本を飲み込み、侍は消え果てた……。時代の潮流に取り残された者たちの新たな戦いが今始まる。

Nick さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

西暦1874年の仮想の話

明治になってから6年後のお話。仮想キャラクターと偉人が混じった仮想日本歴史アニメです。主人公はそれなりに強かった元刀使い。

仮想か否かどうか日本人でもわかりづらい部分を物語にしているので諸刃の剣といった印象ですね。内容を鵜呑みにしてはいけません。
※まあアニメですからね・・・。

明治政府が不安定なまま発足し、美しく気高い武士魂が失われてしまうという危機感から発起したテロ事件というのが主な物語の流れ。

作画とか音楽とか普通だと思います。作画は全体的に暗いシーンが多いのでわかりにくいっていうのあるけど

声優はいい方だと思います。キャラに合っている感じです。

キャラは表と裏の顔がある人が多い。あと偉人にソースのついたプレートの上に堂々腕のせる表現使って大丈夫なの?っていうのもある。

近年なろう系が多いのでこの手のアニメをたまに見るには悪くはないと思いますよ。普通のアニメですけど。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 0

ごまちる さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

10話と短く残念

最初は作画も古くてつまらないかなと思ったけど、
観ているとだんだん面白くなってきた。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 0
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