入杵(イリキ) さんの感想・評価
3.6
近年の作品の中では秀逸
本作は天国へのカウントダウン以来2回目の黒の組織がメインで登場する映画で、新一と蘭との恋愛や、少年探偵団の活動は抑えられ、コナンと黒の組織の対決に主軸がおかれている。
近年の蛇足塗れで内容の無い作品と比較すると非常に出来が良いが、まだこだま監督時代のクオリティには至らない。
しかし、興行収入は35億円と歴代1位で、第33回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞等、実績を残した。
また、神谷明が演じる毛利小五郎は本作が最後。
本作の著名人によるゲストはDAIGOが出演。前作に比較して重要な役だった。
以降の「ネタバレ」はWikiから引っ張ってきたあらすじです。
読みたい人は読んでください。核心には触れていません。
{netabare}
東京・神奈川・静岡・長野で計6人が殺害される事件が起こった。どの現場にもアルファベットが刻まれた麻雀牌が残されていたことから、同一犯もしくは同一組織による広域連続殺人事件と認定される。警視庁で各県警の刑事を集めて合同捜査会議が開かれ、特別顧問として小五郎も参加する事になった。事件は麻雀牌の意味、6人目の犠牲者が残した言葉「七夕、きょう」の意味、被害者の共通点、犯人が被害者の所持品を1つずつ持ち去った理由と多くの謎を残していた。
会議終了後、コナンは山村警部から、「七つの子」に聞こえるプッシュ音(黒の組織のボスのメールアドレス)でメールを打っていた刑事がいたことを聞く。コナンは血相を変えてその刑事の後を追うが、問題の刑事はジンの車「ポルシェ356A」に乗って去ってしまう。
七夕前日の7月6日、米花町に現れた容疑者の1人がコナンの機転により逮捕された。その現場にはベルモットも変装して来ていた。コナンはそれを見抜き、ベルモットに組織が今回の殺人事件を追う理由を追求する。実は、広域連続殺人の被害者の中に一般人を装った組織の工作員がおり、犯人に持ち去られた所持品の中に工作員のリストが収められたメモリーカードが入っていた。組織は、警察より早く犯人を押さえてそのメモリーカードを取り戻すため、事件の捜査員の中に組織の一員「アイリッシュ」を潜入させていた。
一方、捜査員の中に潜入したアイリッシュは刑事達の話の中に出てきた江戸川コナンを工藤新一ではと疑う。そしてコナンと新一が通う学校から二人の指紋がついたものを盗み出し、警視庁のコンピュータでそれを照合し確信を得る。翌日、コナンは自分の指紋がついたものが帝丹高校と帝丹小学校から盗まれたことを知り、危機感を強める。
そして、ついに7人目の被害者が出てしまった。コナンは平次の力を借りて捜査を進め、被害者の共通点を見つけ出すが、警察と黒ずくめの男達も、コナンの後を追う形で真相に迫る。そして、犯人が東都タワーでもう1人殺すつもりでいることが判明する。
コナン、警察、連続殺人犯、組織の四つ巴のデスゲームが東都タワーで繰り広げられる。
{/netabare}
本作はいままでの映画と違い、原作乃至アニメを予め視聴していないと理解が非常に困難である。
よって、ファンとしては作品の深いところまで関わってくる点が評価できた。(逆に原作への影響はどうなのだろうか)
しかし、期待が大変高かった為に予想以下の展開に半ば失望したことも事実である。序盤のコナン無双も相変わらず無理が・・・。あともう少し細部に拘ってくれれば。{netabare}東都タワーの爆撃とか三面記事飾る事を黒の組織がしてしまうのは・・・ ファンサービスだろうか{/netabare}
総評としては近年稀に見る良作。だからこそもう少し頑張って欲しかった。見知った刑事の中に黒の組織のメンバーがいるというスリル・緊張感、昨今カットされがちな推理もふんだんに盛り込まれコナンの活躍が堪能出来る。
主題歌の倉木麻衣の「PUZZE」は最高。
天国へのカウントダウンと同じくらい面白くして欲しかった。