格闘技でライバルなおすすめアニメランキング 5

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの格闘技でライバルな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月04日の時点で一番の格闘技でライバルなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

77.2 1 格闘技でライバルなアニメランキング1位
はじめの一歩(TVアニメ動画)

2000年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (516)
2644人が棚に入れました
『はじめの一歩』(はじめのいっぽ)は森川ジョージの少年漫画作品。1989年から週刊少年マガジンで連載。
【ストーリー】母子家庭のいじめられっこであり、釣り船屋を親子で支えている少年・幕之内一歩が、後の世界チャンピオン鷹村守と出会いボクシングに開眼、鷹村と同じ鴨川ジムに入門して日本を代表する人気一流ボクサーとなっていく過程を、周囲の者たちとの交流、ライバルたちとの戦いを通じて描いてゆく。

声優・キャラクター
喜安浩平、小山力也、関智一、内海賢二、中嶋聡彦、高木渉、藤原啓治、阪口大助、小林沙苗、寺内よりえ、小野健一、神奈延年、立木文彦、小林正寛、松野太紀、辻谷耕史、田中正彦、平田広明、梁田清之、森川智之、相沢まさき、小野坂昌也、山寺宏一

DEIMOS さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

ボクシング漫画の「新」王道。

マガジンに超長期連載中の人気漫画のアニメ化。リアルタイム放送は放送圏外に住んでいたため、見れず。その後、見よう見ようと思いつつも、3期まで全120話以上という長さが、新規参入を阻んでいた。今回、一念発起して3日で3期まで全話一気視聴。

アニメ製作を担当したのは、日テレ、vap、マッドハウス、スタジオライブという安定の布陣。同ラインが担当したハンターハンター日テレ版やRAINBOWなどを見てもわかる通り、全編通して品質が安定。しっかりとボクシングの見どころである「動き」をハイレベルに表現。

声優面で特筆すべきは、鷹村を担当した小山力也。時系列からいって、彼が俳優(仮面ライダーRXの霞のジョー等)から声優に転向したきっかけとなる作品といっても過言でない。この作品があったからこそ、現代のアニメ界になくてはならない大物声優が誕生した。

そして、この作品に唯一無二の魅力を与えているのが、この「鷹村」の存在。主人公「幕内一歩」が、小柄で真面目な好青年、というのは漫画を読んでいなくても知っている人は多いだろうが、実は、鷹村こそが、この漫画のキーマンであり、漫画界の最優秀助演男優賞ともいえる存在。

この作品以前のボクシング漫画のスタンダードといえば「あしたのジョー」であり、「孤高」や「社会に対する反骨精神」の象徴として社会現象ともなった。同じマガジン誌において、本作は、差別化の方法として、「いじめられっ子の努力家」を主人公として据え、「先輩・後輩(ジムの仲間)との絆」という要素を加えた。もちろん、「ライバルとの激闘」や「滅びの美学」という従来のボクシング漫画の構成要素はそのままに。この新要素の中心にいるのが、「鷹村」なのだ。一歩がボクシングを始める動機も、試合中の解説者も、ギャグのオチ担当も、すべては鷹村。彼の世界戦に最も長い尺を使うのも頷ける。

さて、第1期は、一歩が日本チャンピオンになるまで。序盤はストーリーのテンポが良い。基本的には、新技の特訓→試合→相手のサブストーリー挿入→勝利→休養(ギャグ多め)→次の対戦相手が決定→新技の特訓、、、、の繰り返し。まさに少年漫画の王道。マガジンらしく、程よく可愛い女の子も出てくる。

第1期は、全75話でコミック20−30巻程度?をカバー。ちなみに、既刊110巻以上で未だ一歩は世界チャンピオンになっていない。つまり、日本チャンピオン以降(アニメ第2期以降)は極端にストーリーのペースがダウン。従って、ストーリーの長さに尻込みして手をつけていない人は、一旦、第1期のアニメだけ見れば良い。それで、一つの完結した話になっているから。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 0

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

良い原作の良いアニメ化という偉業。しっかりした努力がある少年漫画。

面白い原作を良い感じにアニメ化すれば素晴らしい作品になる。一見、誰でも思い付くこんな事だが、達成するのは実に難しい。近年だと、「銀魂」、「この世界の片隅に」、「声の形」くらいと言いたい。


素晴らしい原作があるなら、取捨選択は必要だが基本的な物語の要素は既に揃っているわけだ。故にアニメ化でプラスされる要素、声優さんと映像のマッチングが重要になる。本作では映像に関しては老舗のマッドハウスだけあって、長い作品ながら要所は見事に抑えた最高のボクシング表現になっているのは請け合いである。


さらに、本作では声優のマッチングが素晴らしい。


一歩を演じる喜安さんの自信がないが真っ直ぐな王道主人公っぷりは勿論、脇のキャラも声優さんがピッタリでより生きたキャラになっている。一歩の魅力は、強力なライバルだけじゃなく脇のキャラの豊かさにも現れている。


先輩の青木と木村は、イケメンでも強力な選手でもないが実に良い味を出しているキャラだ。映画の世界でもそうだが、主役だけじゃなく脇役で良い仕事する人がいないくてはならない。凡人であるが故の、くすぶってる人間だからこその味わいというのもまた良いものだ。


個人的には、ボクサーですらないけど梅沢君のエピソードで涙させられた辺りで、この作品はほんまに凄い…と痺れた。ライバルキャラ達のハマリ具合も良くて、いつもはギャグなキャラが多い小野坂さんと千道の相性は特にバッチシ。


しかし、なにより最高なのは鷹村を演じる力也ちゃんだろう。本作で間違いなく最強のキャラであり、一歩をボクシングの道に導いてくれたヒーロー、それでいて普段は破天荒で下品でどうしようもないという、普段は駄目だけど本当は格好いいキャラの典型といって良い人物である。


 力也さんは割と豪快型のキャラもやられる方だが、ご自身の持っている真面目さが声に出てる感じでそこまで完全にハマっているとは思えないことが多かった。器用な方だけで最高にハマるキャラを引けないタイプの声優さんかなぁ〜と思っていたが、鷹村との相性は最高のそれといって良かろう。


 特に原作でも頂点かもしれないホーク戦での燃え上がり方は素晴らし過ぎる!。ホークが明夫さんなのはちょっと違うかなぁ〜とは思ったけど、それもまたよし!。ホーク戦を見るなら海外のリアクション動画を上げている、うずまきカーン氏の動画が凄い!。ゴツいオッサンな方なのだが、こんなにアニメに入り込んで熱狂している人は初めて見たわ!と爆笑しつつ一緒に熱くなれます。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 18

ストライク さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

アツイ ボクシング あにめ

原作 漫画 既読 

全76話 


週間少年マガジン 連載中
103巻(2013年5月現在)

簡単に説明すると
いじめられっ子だった高校生 幕之内一歩が、プロボクサー鷹村守に助けられ、それを期にボクシングを始め成長していくストーリー。


昔、一度見ているんですが、殆ど忘れてるし、秋から3期が始まるので、復習の意味でもう一度視聴。

一歩は、元々実家の釣り船屋を手伝いしているので、足腰丈夫な体です。
そのおかげで強力なパンチが武器。
とはいえ、初めたばかりの素人だから弱いのは当たり前。

一歩の性格は、真面目でお人よしの努力家です。

そのせいもあって、感情移入し易かったです。

ボクシングジムの会長の教えを守り、毎日凄い練習をこなしていきます。

試合する度に、どんどん強く成長していきます。

プロテストや、〇〇の決勝戦、タイトル戦等、
毎試合 アツく、感動の涙でした。
q(T▽Tq)

昔のボクシングアニメ「あしたのジョー」とは、また違った魅力のある作品です。

ちょうどお盆休みだったので、観始めたら止まりませんでした。

男なら胸が熱くなります。

女性には響き辛いかもですが、

スポコン、サクセスストーリー系が好きな人には、超おすすめです!
(=´ω`)ノシ 



余談ですが・・・

リアルで、一歩のようなドが付くくらい真面目で腰の低いプロボクサーっているのかな~?
内藤大助さんも、真面目で腰低いけど、ちょっと違うし・・・
何にしても、一歩は好きなキャラでした。 (*´ー`)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 51

66.8 2 格闘技でライバルなアニメランキング2位
アイシールド21-EYESHIELD21(TVアニメ動画)

2005年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (384)
2242人が棚に入れました
私立泥門(でいもん)高等学校に通う気弱な高校生、小早川瀬那は入学早々ひょんな事から泥門高校アメフト部「泥門デビルバッツ」に主務として入ることになった。
その帰り道、彼をパシリにしていた不良たちに絡まれ、逃れるために泥門駅まで爆走して駆け込み乗車をした。それを目撃したアメフト部主将ヒル魔に翌日強制的に選手にされ、唯一の取り柄である俊足で選手登録名「アイシールド21」として試合に参加することになる。
多くの強豪と戦いアイシールド21として瀬那自身も成長していくことで、全国大会決勝(クリスマスボウル)出場を仲間達と共に目指していく。
ネタバレ

シェリー さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

好きなものを語る。

ちょうど小学4年生のときからジャンプを読みはじめました。コロコロコミックより大人なものを読みたかったのでしょうか。
1人で寝るようになったのもそのときだったような気がします。それはもうすごく離れたかったw
その頃のジャンプの看板は終わってしまったものもありますが、今とそんなに変わらなかった気がします。
初めて読んだとき、ワンピやボーボボは知っていたけど、他の作品はまったく知らず、とにかく新しいものに触れた感触だけは残っています。
それと3つだけ覚えているのがあります。後にドハマりするBLEACHは海燕の過去編が気持ち悪くて最初は、
とても読む気になれなかったことと、いちご100%がエロかったことw、そしてアイシールド21に一発でハマったことです。

僕が初めて読んだ号では、アイシールド21はちょうどムサシを探していた話の終わりでした。
「57th down 全て遠い日の花火だと」いまでもガラスに映ったムサシの姿を描いた扉絵をはっきりと思い出せます。
この回のどこに惹かれたのかなは自分でもわからないけれど、でもこの話を読んだときにビビッとくるものがあってそこから春の訪れとともに始まる雪崩のように一気にハマりました。


『アイシールド21』はアメリカンフットボールを扱った話です。
2年のクォーターバック(投手)のヒル魔に、ラインの栗田の2人しかいなかった部活が、
主人公のランニングバック(走者)の小早川セナを皮切りにどんどん人数を増やしていく。
しかし、彼らの高校「泥門高校」の部活は3年の夏まで。
彼らが目指すクリスマスボウル(全国大会決勝戦)への挑戦権は、今年が最後のチャンスなのです。
そんな急造チーム「泥門デビルバッツ」が、アメリカンドリームの精神を胸に、強敵チームを地道に倒していくお話です。

人気少年漫画の宿命なのか(すべてではないけどね)、やはりこの作品も最後に進むに連れてだんだんとつまらなくなっていくものの、1~7巻まではなによりも面白い!
駆け抜けるような展開に、挫折があり、成長がある。ヒル魔を起点とした笑いの部分も最高です。
話のタネにこのキャラを使おうといったところがなく、絶えず歩を進めていく、時間と共に描かれる彼らの描写は自然で、とても素直に感じます。
変に作られた話はなく、彼らの意志が剥き出しのままに肌にビシビシときます。
漫画の絵は未熟なんだけれども(けっこう線も曲がっていたりする)、僕は断然こっちの方が好きです。
この作品は、稲垣理一郎さんが話を考え、村田雄介さんが絵を描いています。
7年も連載されていたので、当然なんだけど絵はだんだんと上手くなっていきます。
線がシャープに、どんどん「綺麗に」洗練化されていきます。
それはそれでいいんだけど、個人的にはマンガ原稿用紙に直接描いたような跡が見える方が結構好みだったりします。
ほんと直線とかうにょうにょなんだけど好きだなーって思います。

しかし、話がだんだんと進んでいくとともに、天才たちが多くなり、あとは必殺技の応酬です。
そして言葉の論理通りに試合が運んでしまっている。
前までに描かれていた話と比べると、試合は1人の選手にフォーカスし過ぎて全体の流れは死んでしまっているし、
点数は話の筋の調整として入れらていきます。試合中も見せ場がないせいか、攻撃の合間に敵チームとしゃべりまくりです。
んー、これではちょっと、と思ってしまう。
それにキャラクターの登場したての頃の良さはどんどん削られていきます。
試合に勝ったあいつの反応は?このときあいつはどう思った?というのがだんだんと描かれなくなっていきます。
そのスペースは他チームの天才たちに取られてしまいます。淋しいですよね。
これをしょうがないと片づけてしまうのであれば、何も言うことはありません。そういうことです。
でも僕が読み始めたのは、そのちょうどこの漫画の転機である58話の1話前です。
僕はこの回からはっきりと漫画の色を変えてきたなと思います。話の作りから絵から構図から何から何まで。
だから不思議だなあって思います。

{netabare}

目に見えて分かるのはエイリアンズ戦のブリッツ。
セナが経験的にホーマーの腕を潰しにいくことに気づき、実践することを描いているけれど、
これはヒル魔が一言教えればそれで済むのではないかと思うのです。こんなことで1話を使うなんてらしくないな、と最近読み返して思いました。

{/netabare}

この漫画の好きなところは、試合で天才たちに一矢報いるところです。
絶対強者である敵になんとかして勝ってやろうというところが面白い。
ヒル魔が奇策を練り、それぞれの努力で培った体と技術で試練をくぐり抜ける様は何度読んでも勇ましい。
鳥肌が手から腕へと駆け上がり、全身へと広がっていき、鼓動もドクドクと早く打つ音が聞こえるくらい興奮します。
ほんとに面白いし、好きです。

でも一番好きなところはと訊かれると、あまり共感はないのかもしれないし、とても小さなことですが、
どんなに強い選手でも自惚れず、ちゃんと先輩に敬意を払うことができるところです。
というかむしろ考えるまでもなく当然だというそれに読んでいてじーんときます。
それはポセイドン戦。
体格の大きい一年生が主戦力のチーム「ポセイドン」では、上級生が少しばかり隅に追いやられているようなイメージがあります。
活躍するのは一年生ばかりで、上級生はトーナメントの最初に出場して負けそうになって交代していきました。
その試合はもちろんポセイドンの一年生が圧勝。
泥門との試合のラストのタイムアウトで、小判鮫先輩が「俺らとかすっかり役立たずで……」と言います。
読んでいるこちらとしても、初めはそりゃあそうだよなあとか思うのだけけれど、それに2人はぽかんとした顔をして返す。
「小判鮫先輩とかが役立たずなんて、俺だって水町だって全員一度も思ったこと無いっすよ。」
ここは本当に素晴らしいなあって思います。僕も運動なんて全然できないから小判鮫に共感するし、
いくらアメフトの部活とはいえ、実力のあるなしで判断をしない彼らのそういうところには感動しました。
最終巻の末尾に描いてあるキャラクター紹介でも、新しく泥門にはいっていきた子(名前忘れた)の紹介文に、
「十文字らの実力をすぐに追い越すが、先輩たちへの尊敬だけは忘れなかった。」と書いてあったと思います。
これを見たときにポセイドン戦のこのシーンも思い出したし、ちゃんと大事にしているんだなと感心しました。
こういうのってなかなか簡単に描けることではないなと思うのです。
ちなみに我王のあれはファッションです。あれはむちゃくちゃですw


と、批判を交えながらいろいろと書いてきましたが、とにかく大好きです。
小学校4年から中学の途中までは、僕のダークヒーローはずっとヒル魔でした。
とにかくかっこよかったし、憧れていた。 ほんとになれるものならヒル魔になりたかったw
まあそんな思い出のある少年漫画です。興味が湧いたらぜひ。

{netabare}

一番好きな試合は、神龍寺戦。

好きなシーンは、盤戸戦の後、セナが疲れ果てて鈴奈に倒れ込んで、鈴奈が一言「セナ、背伸びた?」
このシーンと、この台詞はドキッとしました。こんな台詞出ないよね。
もうひとつは、関東大会の王城戦の後、初詣で大田原と高見さんに会ったとき、去り際に、
「ばっはっは!お前らへのリベンジマッチは、来世か」「もう一度君らと、一緒のフィールドで戦いたかったよ…」
この一言は僕はずしっときました。二度と繰り返されることのない高校のアメフト部。
そこで生涯一度きりの、最高のライバルと、最高のチームに巡り逢え、戦うことのできた喜び。
「来世か」なんて大田原の台詞も、馬鹿にできない。本当にそう思っているから。そうすることができたらいいのにと心の底から思っているから。
王城戦で言った大田原のあの言葉、「本当は、泥門とクリスマスボウルで戦いたかった。」
なんてバカなことをいうんでしょうね。泣かせてくれます。


{/netabare}


あでゅー。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

◎TARGET さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

どんなに絶望的な状況でも最後まで絶対にあきらめない男たち

❏総評

原作者は「稲垣理一郎(原案)、村田雄介(作画)」。

ネタバレしない程度にあらすじ

部員2人で部活動すらままならない弱小の泥門高校アメフト部
「泥門デビルバッツ」が、主将のヒル魔(蛭魔)があらゆる手段を使って
仲間を集めながら共に成長し、ライバル校の猛者達と切磋琢磨
しながら、クリスマスボウル(※)出場を夢みて努力奮闘するという、
スポコンアニメの王道とも言える作品。

(※クリスマスボウルとは高校野球で言う甲子園決勝戦のこと。)


作者も公言しているが「リアル40%、ファンタジー60%」の作品なので
いわゆる少年漫画向けの一般的なスポコン漫画同様、演出は
かなりオーバーではある。反面、アメリカン・フットボールを全く
知らない人が見てもわかりやすく、アメフトがいかに面白いスポーツか
視聴者に感じさせるよう色々工夫されているように感じた。


❏アメフトアニメとしての見所

アメフトは他の一般的な球技と異なり、ポジションそれぞれに求められる仕事が
かなり限られているので、ジェネラリストだけでではなく「○○しかできないけど
他はからきしダメ」といったスペシャリストの活躍が許される唯一のスポーツ
と言っても過言ではない。

だから主将のヒル魔は、

小さい頃からいじめられっ子で不良にパシられてきた「逃げ足」だけが取り柄の
主人公のセナをスカウトしたり、野球部で2軍にも入れないが「ボールのキャッチ」
だけは誰にも負けないモン太をスカウトしたりして、他のスポーツでは活躍が難しく
埋もれてしまうような凡人達の個性、「アメフトの世界では光り輝く個性」を見極め、
スペシャリストの集団を作っていく。

しかし当然、1つだけできるより2つも3つももしくは何でもできる選手の方が
選手としては使いやすいのも確かである、しかしそのようなプレーヤーは
皆アメフトの名門高校でプレイしており、泥門高校には居ない。だからヒル魔は
そんな個性的なメンバーを自らの頭脳をフル活用して、効果的な場面で
効果的に使っていくことで本来勝てないような格上の相手にも勝つための
活路を見出してゆく。

アメフトは体力だけの戦いではなく、将棋のようにプレイヤーを駒として
どのようにプレイさせるかで戦局が変わっていく頭脳スポーツなのである。

これらの選手スカウティングから選手へのコーチング、さらに選手本人の
がんばりによる成長までの過程と、ヒル魔の試合中、試合前の頭脳戦/心理戦が
このアメフトアニメの最大の見所である。


❏原作>アニメ

途中、原作の連載に追いついてしまった際のオリジナルストーリーは
盛り下がるものの、原作に沿った方のストーリーラインは原作と遜色ない
レベルですごく面白くできている。

オリジナルストーリーは「ながら見」「1.5倍速」で見ればOK。

アニメの方はストーリーライン上かなり盛り上がってる所で
打ち切りになってしまったので、その後の話は原作で必ず読もう。
というか、読まずにはいられないはず。

主役の1人「ヒル魔」の声優がロンブー敦なのだが、かなりのハマリ役だった。
賛否両論あるが、個人的にはかなりキャラにマッチしていたと思う。
彼はプロの声優ではないので、最初ちょっと下手っぴーだったが、
徐々に良くなっていき途中からは声優として違和感を感じなくなっていった。

あとチアリーダーの「瀧鈴音」役の声優さんが素敵だったので、調べてみたら
なんと「しょこたん」だったw 全然気付かなかった…


❏蛭魔妖一という男

当作品の表の主人公を「小早川瀬那」とすれば
裏の主人公は「蛭魔妖一」である。

「小早川瀬那」はこのチームが勝つためのキーマンの一人であることは事実だが、
選手層も薄く、初心者ばかりのチームを勝利に導いていく大役を担っているのは
圧倒的にヒル魔の方なのである。

上にも記載した通りアメフトは同じプレイヤーで戦っても、戦術次第で強くもなれば
弱くもなる要素がとても強いスポーツなので、心理戦、頭脳戦を介して戦況に応じて
戦術を臨機応変に組み立てられるヒル魔こそが最大のキーマンなのである。

週間少年ジャンプの作品なので、セナが主人公だが、
青年誌向けの連載だったら、ヒル魔を主人公にする設定でもいいぐらいである。

大人(特に社会人)が見る場合は、ヒル魔の勝利への執念と行動力、
どんなに絶望的な状況でも心折れずに最後まで勝利までの道筋を
冷静に考え続ける姿勢に考えさせられる場面もあるのではないだろうか。


❏最後に

最後まで絶対にあきらめない熱い心
狡猾な心理戦、頭脳戦

色々な要素が楽しめるスポコンアニメの良作!

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3

mi-i さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

見てて熱くなるあにめ

ジャンプの漫画!!っていう感じ。
友情・努力・勝利の過程がはっきりしている王道のスポーツアニメ。

パシリでよわっちい主人公がアメフトを通して自分を見つけていくという定番のストーリーに、キャラの立ったメンバーが絡んで面白い。アメフトのルールはさっぱりわかりませんが、見てて熱くなるアニメです。

アメフトというスポーツの特性上、1チームの登場キャラクターが敵味方合わせてかなり多い。
多いのにそれぞれのキャラ個性がしっかりと立っていて良いです!スポーツといえどもアメフト。格闘技の雰囲気も強く、人間には無理だろっていう必殺技とか、絶対高校生じゃないだろコイツ的な好敵手が出てきたりと、むちゃくちゃなアニメですが見ていると次第にハマっていきます。

ただ、アニメの画面に使い回しの所や、ストーリーも繰り返しでまたこのパターンか。。。っていうところが多かったことが少し残念でした。
声優陣は、ロンブーの淳や中川翔子さんが参加していて、違和感はそれほど感じないものの、ちょっと物足りない感じがありましたが、総合して見て損はないスポーツアニメ好きにはおすすめできるアニメです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3

67.6 3 格闘技でライバルなアニメランキング3位
ViVid Strike!(TVアニメ動画)

2016年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (242)
1281人が棚に入れました
孤児院で暮らす少女、フーカとリンネは、貧しい暮らしの中でも明るい未来を夢見て暮らしていた。
しかし数年後、リンネと離別して孤児院を出たフーカは苦しい生活の中で荒んだ暮らしを送っていた。
そんなある日、不良との喧嘩で負傷したフーカを救った少女がいた。
少女の名はアインハルト・ストラトス。挌闘競技選手である彼女との出会いが、フーカの運命を変えてゆく。

声優・キャラクター
水瀬いのり、小倉唯、水橋かおり、能登麻美子、上坂すみれ、喜多村英梨、福圓美里、伊藤かな恵、斎藤千和、佐倉綾音、阿澄佳奈
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

K-1 WORLD GP in ミッドチルダ

放送前、本作が『魔法少女リリカルなのは』の冠を外して
『Vivid Strike!』を名乗った時、
私は正直うまく行くのか半信半疑でした。

タイトルからして、魔法にも、なのはさんにも頼らない!
と豪語しているようなもの。
ですが、結局、貫けずにシリーズの遺産にすがり、
中途半端な萌えアニメでお茶を濁すのではないか?
そんな不安が捨てきれませんでした。

少しだけ期待してみようと思い始めたのは序盤。
ジムのサンドバックを殴る、
少女たちの本気(マジ)な打撃音を聞いた時でした。

当初は面白くなるか分からないけれど、
打撃音が気になるから見てしまう。
その内に容赦ない過去の描写などが入って来て、
引き込まれていった感じ。

よって音楽4点はBGMというより、
主に打撃音とあとは主題歌に対する評価です。


競技内容も終盤になれば砲撃手とか召喚士とかが乱入して来るかも?
と高をくくっていましたが、
むしろ終盤になるにつれ"総合格闘技”ルールすらも削ぎ落され、
より純度の高い"立ち技系格闘技”から、
さらにガチの殴り合いへと先鋭化。


ハマっていくうち、段々、私の中で、往年のK-1ワールドグランプリ全盛期の熱気が、
当時のプリンスのテーマ曲と共にフラッシュバックして来ましたw

特に {netabare}ヴィヴィオVSリンネ戦。
内容もさることながら、短期間にトーナメント戦を行う過密日程により、
試合後、勝者でも負傷したらトーナメントの先に進めず、
既に負けていた選手がリザーブとして次に補欠出場する。
大会主催者や視聴者が思い描いた決勝カードがなかなか実現しないw
そんな所までK-1っぽいのが個人的にツボでした(苦笑){/netabare}


なのはさんについても、
{netabare} 一部、エリート公務員との僻み?が言及されるだけで出番なし。{/netabare}
無事"親離れ”できたようです。


演出、構成面では回想の多用が特徴的でした。

近年、表現界には回想の濫用をくどいとする風潮があるそうで、
小説賞等でも応募作が回想しだすとウンザリされる流れがあるのだとか……。

本作はそんな空気もなんのその。
例えば、{netabare} ほぼ一話丸々回想する。殴り合いの最中も振り返りまくる。
挙げ句、決着は次回に持ち越しw{/netabare}
などコッテコテな回想多用アニメ。

過去の『なのは』シリーズでもしばしば過去が掘り起こされましたが、
それでもTVシリーズでは、盛り込みすぎたら胃もたれするかな?
と思った過去話、サブキャラエピソードはドラマCDやスピンオフ漫画等に回して、
バトルシーンに注力してバランスを取りにいったものでした。

本作の場合は、むしろ時に、多少、試合内容を省略してでも、
サブキャラまでもが、身の上話等を語り始める脂身の多さ。

私も終盤、流石にちょっとしつこいかも?と思ったこともありました。
ただ、本作の場合はそれ以上に、熱さや懐かしさも蘇って来ました。
思えば昭和のアニメでは、必殺技一発放つまでに、
各自回想で一話消費とか当たり前でしたw

この決着の前に語り尽くしたいことが山ほどあるんだ!
本気で拳をぶつけ合って、初めて打ち明けたくなる過去がある!想いがある!

細かい演出を斜に見る冷めたハートに、
熱い闘魂を強制注入された感じ。


本作は『なのは』を名乗りませんでしたが、
シリーズ原作の都築さんにも熱さが戻って来たことも確認でき、
来年夏の劇場版『なのは』3rdに向けて、予熱十分。

私はいつでも着火OKです♪

【四話感想】改めて本作の監督は西村純二さんです……。

長いので折りたたみw
{netabare}基本的にもう途中で各話感想を書く予定はありませんでしたが、
四話でなかなか壮絶ないじめ回、女の修羅場に殴られたので、
勢いでここで一筆。

元々『なのは』シリーズは絶望や不幸、馬鹿げた野心など、
美少女バトル物でありながら、人間の負の側面も容赦なく描いて来ました。
それらもみんな叩き壊す、或いは砲撃する勢いでぶつかり合った先に、感動があるコンテンツでした。

ただ、最近、原作者の都築さんに
長年、少女たちが傷付く様を描き続けた心の勤続疲労が見え隠れ……。

『DOG DAYS』で脳が蕩けるくらい凄い、
萌えキャラたちのほんわかバトルを催してみたり、

『なのは』スピンオフの『なのはINNOCENT』展開時には、
本作でまで、なのはたちが傷付くことはないだろうとの主旨の方針を語られてみたり……。

あぁ、昔のように全力全開で傷付いて、それを乗り越える筋書きを
都築さんが量産するのはしんどくなっているのかな?と私は憂慮していました。

本作でも最初、都築さんが『true tears』などの西村純二監督と組んだ時、
理由が分かりませんでしたが、四話の描写を見て、意図が見えてきた気がします。

西村監督は痛み、特に肉体的な痛み以上に、
精神攻撃による心の傷、喪失のダメージを表現して来たアニメ監督でもあります。

彼と一緒にもう一度、痛みと真正面から向き合ってみよう。
何かそんな都築さんの決意のようなものが見えた、
心身の色々な部分が痛むしんどい回でした。


これは終盤にかけて、涙腺をガードする必要もある作品なのかもしれません……。{/netabare}


【一話感想】西村純二監督×『なのは』シリーズの世界観

やはり、長いので折りたたみw
{netabare}
かつてはルール無用、リスク度外視、全力全開の砲撃をぶっ放し、
願いや友情をかけて激しくぶつかり合った
初期の『魔法少女リリカルなのは』シリーズ。

三期『StrikerS』にて、なのはさんとは違う物語を志向する中で、
秩序ある組織や管理社会を形成するルールの中で、術者の健康にも配慮しつつ、
その熱さをどう継承するか葛藤。

四期『ViVid』では、さらにルール運用が厳格な
スポーツ、格闘技大会の中で、魂の継承を試行。

そして、ついに“魔法少女”も“リリカル”の冠も消滅した本作では、
競技色をさらに強化していく模様。

ストーリーは{netabare} 喧嘩に明け暮れる、孤児の貧困少女。
(何故か広島弁wどうやって次元を越えてこの第一管理世界に伝播したのでしょうw)
彼女が競技格闘技のジムに拾われ、拳により、失われた友情などを取り戻しに行く……。
というボクシング物の王道プロットに『なのは』スピリッツの世代間継承を託す……。 {/netabare}

ある意味、拳で語り合って来た『なのは』シリーズの流れで言えばあり得る展開。
けど個人的に意外性があってソワソワするのが、
シリーズ通じて脚本を手がけてきた都築真紀さんが、
本作監督を託したのが西村純二さんだということ。

西村監督と言えば私の中では監督自身が脚本も手がけた
『true tears』や『グラスリップ』等のイメージが強く、
過去に格闘要素のあるアニメ監督も数多く務めているとは言え、
このシリーズの監督でどんな仕事をするのか、ちょっと想像が付きません。

但し、脚本・都築さんがキャラ同士のハートを衝突させた時、
監督・西村さんが修羅場を激化させることはあり得そうですが……。

初回から早速、後々起爆させると思しき伏線爆薬をせっせと仕掛けて、
激しい殴り合いの予感を漂わせています。

そんなはみ出しそうな女と女の魂のどつきあいを、
整った競技ルールとリングの中でどこまで弾けさせられるのか。

脚本力と監督力が問われ続けている、
ある種のジレンマを抱えたこのシリーズの行方を、
西村監督×都築さんの新コンビがどう導くのか。

……まさか、鶏は出て来ないとは思いますがw
この世界に拳で取り戻せる仁義はあるのか。
拳を握って見守りたいと思います♪{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 30
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

残された時間を燃焼しろ! そこにお前の命の輝きがあるんだ! ……今から、お前を殴る!!

「魔法少女リリカルなのは」シリーズの外伝?みたいなことかな? シリーズを観てないので、よくわからないです(汗)

[2016秋 個人内ランキング 9位]

《以下ネタバレ》

【各話感想】
{netabare}
第1話
なかなかシビアな冒頭。格闘技系のスポ根もの? やたらとオッドアイの人物多いけど、何の意味もなくオッドアイのキャラを出すアニメはあんまり好きくないな。ヴィヴィオの「アクセルスマッシュダブル」は、「はじめの一歩」「ヴォルグ・ザンギエフ」の「ホワイトファング」にしか見えないw

第2話
絵柄があれだけど、微エロには少し萌えたw 腹とかw フーカの1日を淡々と紹介しつつ、各キャラクターに触れていく感じはなかなか良かった。

第3話
リンネのトレーニングシーンは、しっかりと筋肉を見せたいって感じでしたね。第2話の寝ているフーカの腹の描写もそうだけど、制作にはなんらかの特殊なフェチを感じる(笑)

第4話
リンネ過去編。たまたま、「いじめ~いけにえの教室~」を観てレビューを書いた直後の視聴で、不思議とリンクした。ラストのリンネの暴行リベンジで胸がスッとしてしまった私は、いけない人間なのだろうか?

第5話
大分バイオレンスな回でした。魔法少女の要素、必要ですか?

第6話
ミウラに、分かりやすい死亡(負け)フラグがぁ……。バトルシーンの手抜きがヤバイ(笑)

第7話
アインハルトの1回戦、鳩尾への肘打ちからの延髄蹴りとか、リンネよりエグいんじゃ(苦笑) フリッカージャブって、やっぱり「はじめの一歩」に似ている気が(笑)

第8話
今井VS板垣 戦を観ているようだな。二人ともスマッシュ撃ってたな。ヴィヴィオのスイッチスタイルも、ランディー・ボーイ・ジュニアがやってたな。カウンター狙わず、判定勝ち狙えばヴィヴィオは普通に勝てたんじゃ? でもここでヴィヴィオを勝たせるとか、良い展開ですね!

第9話
やはりここでリンネを負けさせるとは、凡百の格闘アニメとは違いますね。もしかしたらリンネは、「格闘技を辞めるために、格闘技を続けていた」のかな? やたら熱血展開だ(笑)

第10話
殴り合いながらの過去を回想。どこの熱血バトルやねん(笑) 熱く、熱く、熱く!

第11話
意識が無くなりかけ、トレーナーの言葉とミットの位置だけが見えるって、やっぱり「はじめの一歩」じゃんw 怪我と才能の無さを努力と理論でカバーしてきたジルが、才能のあるリンネと出会い、新たな夢をみる。「あなたの強靭な体に、私の技術と理論の全てが乗って、あなたの全身の筋肉が完璧に連動した一撃を討てたのなら、その打撃に耐えられる人間なんていません。きっと神様だって倒せます。」という言葉は、胸熱だった。神様=運命、なんだと思う。私もたまに道場で子供の指導をするので、どうしてもジルに感情移入してしまうw 才能ある若者との出会いは、それだけで幸せだよね。

第12話
殴り合って、仲よくなった後の平和な世界。百合百合してたw 太腿のアップとか、やっぱり制作の妙なフェチを感じるw キャラとか知らない人も出てきてるし、前作(シリーズ)ファンへのサービスも兼ねてるのかな? 決勝は、観たい気もするけど、ここまできたらもう蛇足ですよね。コーチ二人の会話とか、深いこと言ってた。
{/netabare}

【視聴終了】
{netabare}
愛は奇跡を信じる力よ~♪ 孤独が心~閉じ込めても~♪

……ハッ! 仲良くして頂いている(と思ってる)天地人さんのレビューの入りに似ている(しかも平成生まれの方には伝わらない)w

絵柄と違い、ガチのバトルアニメでした。実はリリカルなのはシリーズは観たことがなく、これが初の視聴ですw 結論としては、かなり面白かったです。ストーリーにも重厚さがあり、意表をつく展開もあり、熱さもあり、悲しさもあり。

個人的には第4話が印象に残っています。人としてどうかとは思いますが、正直に言って、スカッとしてしまいました(汗)

4話以降は、ナカジマジムの面々とリンネを中心した話が多く、サブキャラもよく掘り下げられていると感じました。

一方、フーカは途中から空気になっていましたが、リンネとのラストバトルで面目躍如。この作品の主人公であることを証明してくれました。リンネの目の、心の曇りを晴らすために殴り合う姿は胸熱。ところどころ完璧に「はじめの一歩」だったのはまあ、ご愛敬ということでw

ただ私は、リンネとジルのコンビに一番心を奪われました。才能という壁に夢を阻まれたジルと、才能溢れるリンネとの出会い。ジルの「私の理論とあなたの才能が合えば、神様も倒せる」という言葉、じ~んときました。この場合、神様=運命(人生)、だと思います。ジルは自分の不甲斐ない格闘技人生を、リンネは大好きな祖父の死とその後に起こしていまった事件を、それぞれが呪っています。そんな自分の人生を吹き飛ばすような、強烈なアッパー。第4話以上に胸がスッキリしました。

リンネは強くなりたかったのではない。強くなったと思いたかっただけ。だから、形(ベルト)を欲した、というのは納得の出来る心情です。

リンネはこれまで誰とも試合をしてなかったのですね。だから、勝っても冷たい目をしていました。それは、リンネの戦う相手は常に弱い自分自身、弱い自分自身が起こしてしまった過去の出来事だから。そういう、いつまでも過去に立ち止まっている姿、誰のことも見ていないリンネを、フーカは許せませんでした。だから殴ったのです。涙を流しながら。ジャジャジャン、愛は奇跡を信じる力よ~♪(って、もう良いってw)

そんなリンネが、フーカとの殴り合いを通し、過去を払拭し、自分がどれだけ格闘技が好きなのかを自覚し、最後は青空の中で二人揃って倒れるシーンは、正に名シーン。フーカに勝てなかったからもうベルトには手は届かないのだけど、そんなのどうでも良いんですよね。リンネは自分が本当に欲しかったものを手に入れられたのだから。

最終回は、本当に色んなことに結末をつける、温かいものになっていました。ちょい役のキャラにもちゃんと後日談を用意しているとか、芸が細かい。

リリルカなのはシリーズ(というより外伝的な扱い?)は本作が初めての視聴でしたが、予想以上に楽しめました! 時間ができたら、一作目から全部観てみたいと思えました♪
{/netabare}

【総括】
絵柄とは違う、ガチの格闘アニメ。格闘技を観る、というより、そこに至るまでの経緯や、バトル中の心情の変化を楽しむアニメか。シリーズ未視聴だが、ここから入っても充分に楽しめた。他の作品も観たくなった♪

投稿 : 2024/11/02
♥ : 31

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

フーカとリンネの投入で物語の熱さには拍車が掛かりましたけれど…

この作品は、私の中でどうにも異端の存在でした。
まずこの作品を視聴するには、「魔法少女リリカルなのはシリーズ」の第4期にあたる「魔法少女リリカルなのはViVid」を視聴しないと話についていけないと思います。

それでは「魔法少女リリカルなのはViVid」だけ視聴しておけば問題無いか…と問われると、答えは「No」…なぜなら4期に登場する人物を知るには3期の「魔法少女リリカルなのはStrikerS」を見ないと人となりが分かりません…こんな風に辿って行くと、つまりは1期から視聴するのが一番登場人物を理解できる事になる訳ですが正にその通りだと思います。

でもこれまで4期までを視聴してきた方には堪らない作品だと思います。
それは、今でこそ友達と一緒にストライクアーツに打ち込んでいるヴィヴィオが、どれだけ壮絶な日々を積み重ねてきたのか…幼いゆえに何も知らずただ翻弄され、激痛に歪むヴィヴィオを全身全霊で救い出した高町なのは…
ヴィヴィオの成長は、なのはママとフェイトママがこれまで積み上げてきた歴史そのもの…
だから主人公が高町なのはからヴィヴィオに移ってもそれほど違和感は感じませんでした。

でも主人公がなのはでもヴィヴィオでも無いとなると話は別です。
いくらシリーズの冠名を外したとしても、そこに脈々と流れるのは4期まで続いたなのはシリーズの血潮なんですよね…
もう少し前作までの繋がりを大切にして欲しかった…というのが本音です。

それともう一つ…放送の構成も違和感がありました。
この作品は4期から1年後という設定ですが、率直に疑問に思ったのは何故「魔法少女リリカルなのはViVid」の続編を先に放送しなかったのか…という事です。
確か4期はインターミドルの大会途中…ヴィヴィオとミウラの対戦前に終幕しましたが、この作品ではミウラはナマジマジムに移籍していますし…
この戦いの結果が素直に気になるところです。

それに4期のインターミドル大会で本作品に登場した選手も、この作品に多く登場するのですが誰が誰やら…というより、4期でハッキリ記憶に残らなったキャラも何の説明も無いまま外野スタンドで普通に応援しているですよね…
残念ながら負けてしまった選手は仕方ありませんが、少なくても勝った選手…というより、インターミドルを描いた後にこの作品を見る方が、色々とスンナリ頭に入ると思うんです。

少しこの作品を批判めいたレビューをしてしまいましたけれど…
実は秋アニメの中で放送が待ち遠しい作品の3本の指に入るくらい大好きな作品でした。
シリーズの冠名が無いとか、そんなのは全然関係無いくらい激アツな展開に何度痺れたことか…
これがいのすけと小倉さん効果と思うと「流石」の一言に尽きます。

いのすけ演じるフーカと小倉さん演じるリンネは幼い日を孤児院で共に暮らしました。
しばらくするとリンネはとある良家に貰われる事となり、二人は別々の道を歩く事になる訳ですが、どちらも順風満帆な人生が遅れた訳ではありませんでした。
そんな二人がストライクアーツで再び接点を持つようになり物語が動いていきます。

ジムで喧嘩の腕っぷしには自信のあったフーカの相手をしたのは、ヴィヴィオを初めとする「おちびちゃん4人衆」でした。
ここでフーカは出鼻を完全に挫かれ基礎の大切さを身を通して知る事となります。
フーカが強くなりたいのは、人が変わったように冷たい目をする様になったリンネを元に戻したいから…
でもその時リンネは、冷徹で残忍なまでの攻撃により快進撃を続けU15ワールドランク1位という手の届かない場所まで登りつめていたんです。

そんな中、満を持してウィンターカップが始まった訳ですが、こんなにも心が大きく揺さぶられる展開を目の当たりにするとは正直思っていませんでした。

リンネが最初に戦ったのは、抜剣と呼ばれる足技の使い手であるミウラでしたが、この戦いの結末には、次を視聴するのが本気で苦しくなる位に心が痛みました…

だってこの戦いの勝者の次の相手はヴィヴィオでしたから…
だから怖かったですけど、ヴィヴィオとの全力全開の一戦に臨んだ訳ですが、こんなに心が震えて号泣する展開が待っていてくれていたとは予想だにしませんでした。
多分、この回だけでも10回以上は視聴したと思います。

そして物語は本当の決着に駒を進めていきます…
物語の終わり方としてはこのシリーズ特有の良い終わり方…これはある程度予想していましたが、そこに至るまでの熱さは半端無かったと思います。
気になる方は是非本編でご確認下さい。

オープニングテーマは、小倉唯さんの「Future Strike」
エンディングテーマは、いのすけの「Starry Wish」
どちらも作品にマッチした最高の曲だったと思います。
特に好きなのは物語の余韻を感じさせてくれるエンディングの入りの部分…
もちろん、どちらもカラオケで挑戦済で、間違いなく今期のアニソンBEST10に入る曲です。

1クール12話の作品でした。他にも例えばアギトとリインの姿恰好とか気になるところはたくさんあるのですが、それを差し引いても余りあるほど魅力ある作品だったと思います。
これで4期の続編が無くなったら悲しいですけれど…
次があるならシリーズの冠名を背負って貰えることを期待しています。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 28

69.4 4 格闘技でライバルなアニメランキング4位
メガロボクス(TVアニメ動画)

2018年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (264)
865人が棚に入れました
『あしたのジョー』を原案としたオリジナルストーリー。八百長試合に身を沈めるボクサーが、運命に抗うために、自分の全てをかけてリングで闘う姿を描きます。

声優・キャラクター
細谷佳正、斎藤志郎、安元洋貴、森なな子、村瀬迪与、木下浩之
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

素晴らしいの一言〈ギアについて思ったこと追記〉

2018年春アニメ。
「あしたのジョー」連載開始50周年企画。
「あしたのジョー」を原案とし、世界観を変えたオマージュ作品。原作未読、本作以外のアニメは未視聴です。


第3話まで見た印象としては、物語は王道でキャラクター描写も素晴らしく、世界観もわかりやすく味わい深い。テーマも最初の段階から見えています。
BGMもよく合っていますし、使い所もしっかり選んでいます。
{netabare}
サブタイトルに毎回「死」という単語が入っていたり、イカサマをするたびバイクで崖から飛び降りるジャンクドッグの行動が「命か誇りか」という葛藤であったり…洒落ているけどなかなか狂気じみてもいますね。
メガロニア出場の目的はジョーは誇りのため、贋作は命のため。ジョーに引っ張られて本気出しつつある贋作さんステキですわw
藤巻さんが市民IDを用意してくれたの、結構意外でした。ユーリ乱入で儲けが少なくなっても「ご祝儀」で済ませたあたり、メガロボクスが本当に好きなのか、あるいはジョーのメガロニア出場に賭ける「賭け金」のつもりなのか…だったら洒落てるなあ。これからの3ヶ月間ジョーと贋作は分の悪い賭けに勝ち続けなければなりませんしね。…賭ケグルイの自分のレビュー読み直してこの作品は賭けという要素も重いのかも、と思い始めた。

作画・演出、音楽、声優さんの演技など安定してクオリティも高いです。コンテ・演出に作画負担を軽減する努力が見られますし、このまま崩れず行くかも…。多少崩れたとしてもこれだけ演出が良ければ問題は無いですし。
強弱を付けた線の味わいもタイガーマスクWと比べれば今風に仕上がっているけど、やっぱりなんだか懐かしくて。背景も水彩やポスターカラーで描いていたセル画時代のイメージに近く、レトロな世界観としてバランスを取っていてとても見やすいです。
キャラクターの動きにも作画のこだわりを感じます。ジョーのアウトローで気だるげな雰囲気と根の優しさや誇り高さ、贋作さんの情けなさとトレーナーとしての実力、ユーリの底の見えない強さと鬱屈、子ども達のちょっとスレた可愛らしさ、ゆき子さんの刺のある美しさ…キャラクター描写にも個性が良く出ており、生きた人間だと感じられます。

ギアが今後どう扱われていくのかも気になる所。
「そんなオンボロギア、付ける意味ねえんじゃねえのか?ガラクタのワンちゃんよ」「裸じゃ出来ねえだろ、メガロボクスはよ」のやり取りはルール上付けるもので、「あんなガラクタひとつで駆け引きしちまうんだ、こんなところで燻ぶってなけりゃ…」という胴元の台詞からジャンクドッグのギアがお飾り同然であることがわかる。とはいえギアがあることには作品として意味があると思うのですよね。

NakamuraEmiさんのED好きですね。歌声が力強く、反骨精神剥き出しの歌詞も作風にぴったり。ネオンサインの動物たちはもしかしてメガロニアに今後登場する選手のイメージなのかな?ユーリの最初の対戦相手はスパイダーですし。熱いのに余韻も残るのがとても好きです。{/netabare}
(2018.4.24)


第4話「LET'S DANCE WITH DEATH」 {netabare}
印象としては2話までの賭け試合との差異を描くことで「本物」に踏み込んだことを示す回かな。

ジョーはボクサーとしてはこれまで「まがいもの」で、実力で勝利を勝ち取る本当のボクシングをしたのは今回が初めてなのかもしれません。そして地下では八百長を強いてきた贋作とも、ジョーはやっと本当の意味でボクサーとセコンドとなった。
贋作自身もトレーナーとしての辣腕ぶりを(プロデュースという名のハッタリ含め)ジョーを勝たせるために振るうことになります。戦略・戦術を考えるのは贋作の役割ですが、ジョーがリングに上がればもう任せることしか出来ないという点も賭け試合の時とは対照的で、しかも自分の運命を託してさえいる。
サチオはギアが無ければ見せ場がないかと思えばとんでもない。一番大切な役回りでしたね。ジョーの腕にぶら下がってる写真可愛かったw

「今日の敵はそいつじゃない!お前自身だ!」という鮫島のセコンドが言った言葉が、ジョーにも掛かってる脚本も上手い。ジョーが今勝たないといけないのは自分自身の恐怖心で、感情に振り回される鮫島と感情をコントロールするジョーの対比が良かったです。
良い試合をすれば観客も称賛し味方になる、というのも純粋なスポーツの良い面ですし、とても良い回だったと思います。

今回の作画、ジョーも贋作もサチオも表情が繊細でしたね。特にジョーの表情の変化を見て思ったよりも若く、弱さもあるんだなあと。
今回ジョーに対して優しい表情をした場面で、贋作さんがジョーをどう思っているのかやっとはっきりした気がします。サチオに対してジョーが優しいので、なおさら三人がファミリーみたいに見えてきて嬉しい。

非認可地区の様子も少しわかって良かった。虻八さん再登場してほしいなあ。
ジョーと贋作の関係がしっかり構築されたところで贋作の過去がわかりそうな感じですかね。
次回も楽しみです。 {/netabare}(2018.4.30)


第5話「THE MAN FROM DEATH」
第6話「UNTIL THE LAST DOG DIES」 {netabare}
贋作と、ジョーの兄弟子ともいえるアラガキの過去と現在を描いた前後編。
「とどまるか、抗うか—あしたを、選べ」という本作のキャッチコピーが改めて思い起こされるエピソードでした。

贋作とアラガキにとって「明日のために」という言葉はメガロボクスのためのもの。繰り返される「前に5、後ろに5」という言葉はメガロボクスを続ける(とどまる)こと、「前に進む」「前に出るんだ」という言葉は自身の未来のために別の道に踏み出すことであったと思います。
贋作がジョーを棄権させようとしたのは「明日のため」とは言えず、ミヤギさんがアラガキの自由にさせたのはアラガキが「前に進むため」だったのも上手く対比しています。
最後の「俺もお前(ジョー)を信じる」というアラガキの言葉が、ジョーと贋作にメガロニアの夢を託したのだと思えてとても良かったです。

アラガキの引退の理由、その描き方が素晴らしかったです。
現役を続行するか引退するかを決められるのは本人だけですが、未練なく辞められる選手ってそうはいないと思います。
引退を考えるアラガキにとっての一番の心残りは、贋作との約束や二人三脚でやってきたメガロボクスだったのでしょう。実際、戦争のトラウマから自殺しようとしたアラガキを救ったのもその想いでした。
ギアレスジョーのトレーナーが贋作であると知った時、時間は戻らないし贋作との師弟関係を復元することはもうないと悟ったから、最初は引退を受け入れようとしていたのだと思います。
でも再会した贋作は無神経にもアラガキに「昔と何も変わらない」と言ってしまった。彼の顔の大きな傷を見れば、これまでいかに辛酸を舐めてきたかは容易に想像できたはずです。そして、それがアラガキの心を揺さぶってしまった。
アラガキが最初に壊すと言ったのは確かにジョーだったと思いますが、最終的に壊したのは贋作から学んだことを捨て去れなかった自分自身でした。リングの上でアラガキが相対していたのは、贋作の教えを忠実に守っていた過去の自分でもあったのかもしれません。
ですが試合が進むにつれ、ジョーとアラガキのスタイルの違いが明確になっていきます。ただただ目の前の相手に勝つことだけを考えるようになり、最終的にアラガキは大きな未練を振り切る。贋作とアラガキを吹っ切らせたのは、勝ちたいと強く思うジョーの粘りだったと思います。
アラガキとジョーが笑い合うシーン、格好良かったです。

あ、あと個人的にはミヤギさんが格好良すぎてヤバイw
再登場はない、よなあ…;;

今回の試合描写は尺が長く、コンテ・演出にアニメ的な外連味はあまり無かったですね。その分じりじりした試合展開が状況の推移とキャラクター心理の変化をよく捉えていて、私はとても好きでした。蝶が前編では死の象徴として、後編では復活のイメージで演出されていたのも良かったです。
この前後編は同じスタッフさんが絵コンテを切っていますし、物語をコンテ・演出と作画にしっかり反映出来ていたと思います。 {/netabare}(2018.5.14)

※6話について追記{netabare}
公式ツイッターで、試合中のジョーの怪我について言及がありました。試合経過に合わせて怪我の進行もきちんと設定画を作って作画していたようです。
ウワーって思いましたw{/netabare}(2018.5.21)


第7話「THE ROAD TO DEATH」{netabare}
今回は、あしたに進むために現在を戦いながらも過去から逃れられない人たちを描いた回、という印象を受けました。

ジョーに期待する非認可地区と認可地区での評価の乖離が描かれ、メガロボクストップ層に食い込むことの難しさが露呈。白都の確執に巻き込まれ過去をネタに脅迫されたジョーですが、過去を消すことは出来ない以上、何とかするしかないね。贋作さんはもしかしたら予測していたかもしれませんが。
ジョー(ジャンクドッグ)が非認可地区で賭け試合を行っていたことは、少なくともゆき子さんとユーリは承知の上。逆に言うと、ゆき子さんはそれを公表してジョーを追い落とす気は今まで無かったのかな?あるいは最後の切り札として取っておいたのか。

今回はゆき子さんもまた様々なものと戦っていることが解ってきました。社長の座を狙う兄、会社の役員たち、先代の存在の大きさ…過去のしがらみとも言えるかな。ユーリにはメガロニアは私たちの夢と言い、一体型ギアの性能を売り込むことも目的もだろうし、そこに何か熱い想いもありそうです。ユーリを誇らしく見るゆき子さん綺麗!
兄の樹生もまた奪われたものを取り戻すために戦っていますが、ボクサーとしては一歩引いた冷静な人物です。盤外戦術とは良い意味で憎たらしい。

ジョーのトイレシーン最初はちょっと驚いたけど、公式ツイッターで「血尿出して頑張ってます」とあったので調べてみました。
ボクシングで試合中に脇腹にパンチを受けると肝臓が傷付くことがあり、尿に血が混じることがあるみたいです…軽症なら数日で治るそう。ちなみに内臓への衝撃は目などへの衝撃に比べれば大きなトラブルになることは少ないとか。程度によるでしょうけど。
ていうかプロボクサーの年間試合数って多くても6試合(正確には24ラウンドくらい)とかなんだそうです。ノックアウトされれば安全のために二ヶ月以上の試合禁止となる場合もあるようですし、アニメとはいえ三ヶ月で5試合とかジョーはどんだけ無茶やってるのさ…
今回贋作さんに殴られて寝ちゃった所を見ると、流石にダメージは残っていたのでしょうね。このアニメ、アウトローな描写もやりすぎないのが好き。演出意図が理解できるって良いですね。

そして豚汁売ったり危ない特等席見つけたり、今回も子どもたちが可愛いw
次回が楽しみです。{/netabare}(2018.5.21)


第8話「DEADLINE OF THE DREAM」
第9話「A DEAD FLOWER SHALL NEVER BLOOM」{netabare}
3話に渡り繰り広げられた白都の後継者争いとメガロニア出場者争いに決着がつきました。
第9話の絵コンテが川越淳さんでびっくりしちゃったw(バイオレンスなダイナミック作品と子ども向けの映画アンパンマンを交互に手掛けるだけあって、幅広いコンテ・演出のできる方で個人的に好き)
それにしても毎回コンテ・演出が違うスタッフさんなのに全体に共通した演出が見られるのは、やっぱり監督さんの采配でしょうか?虻八さん、アラガキやミヤギさん、胴元、藪沼さんもちゃんと登場しているし、キャラクターも大切にしていて好きだなあ。

今回の樹生の描き方とても良かったです。
樹生が証明したいことは、リングの外と中で二つありました。
リング外では、白都の後継者として自分がふさわしいということ。強すぎる執着心や視野の狭さは問題ですが、樹生の情熱と努力は本物でした。
ただ自意識が強すぎて人の上に立つには向かない性格ですし、まがいものは本物にはなれないという考えでは角が立ちすぎるでしょう。
それからリングの上での様子を見ていて、樹生の本質はボクサーというより研究者だと感じました。自動制御を最後まで解除しなかったのが彼の誇りだったと思う。
試合終了後の「体が勝手に動いただけさ。あんたもそうだろ」というジョーの言葉に、樹生は複雑な表情をしたのみで何も答えませんでした。最後のパンチがどちらの意思だったにせよ、樹生とエースは一心同体にはなれなかったのでしょう。リングの上で樹生が証明したかったのは、ボクサーと人工知能がひとつとなり最強となることだったと思うんです。
だからその夢にけじめをつけ、ギアを残して身一つで去ったのだろうと思います。
いやはや、嫌味と格好良さが絶妙なお兄様でしたねw

樹生とゆき子との最大の違いは、他者との関係の作り方です。他人を信頼できるか、信じられない人間であっても折り合いをつけ采配を取れるか、他人によって自分の思う結果にならなかったとしてもリスクを負う度量があるか。
ゆき子とユーリの間には上下関係はあるものの信頼があります。ユーリは彼女の迷いを傲慢だと指摘でき、ゆき子もそれを素直に受け入れるだけの器がある。まあユーリにとっては窮屈でもあるでしょうから、今後何か変化はあるかもしれませんが。
ゆき子が贋作の提案を拒否していながらジョーの再試合の希望を受け入れたのは、どこかユーリに感化されているようにも思いました。

あと、ジョーの名前が皆に受け入れられているのが嬉しいですね。本人ももうジョーは自分の名前だと思っていますし。
で、そこからまた藤巻さん登場で落とす…3話の回想で「メガロニアまで行ってくれりゃあこっちは何の問題も無いさ」って言ってたね、そういえば…
脚本家の掌の上で転がされつつ次回を待ちますw{/netabare}(2018.6.4)


第10話「THE DIE IS CAST」
第11話「A DEADMARCH」{netabare}
登場選手のPVはそれらしいけどちょっとフフッてなりましたwジョーのPVが簡素なのは、ジョーは撮影になんて付き合ってくれないからかも…w

藤巻は贋作の本質はサソリだから自分を裏切ったりは出来ないと高をくくっていたようですけど、その考えは最初から間違っていたと思います。しかも11話アバンで藤巻自身も「3ラウンドでバロウズがジョーをノックアウト」にベットしている。やっぱりこの人外道ですよ。
ただ自分の考えの甘さを自覚したから、贋作が自分から残った目を差し出したことで手打ちにしたということですよね。状況をコントロールしているつもりで実はできていなかったから、苛立ちと自嘲で「笑わせてくれる」という言葉が出た。理由は解らないけど、藤巻は贋作が「本物」になることに強い抵抗感や苛立ちを抱えていたようでしたね。

贋作はアラガキとの一件もありましたし、教え子の未来を奪うようなことはもう出来なかったでしょう。ハッタリではジョーとサチオを守れない。ゆき子さんも今度ばかりは贋作の本気を感じていたのではないでしょうか。
贋作さんは自分の本質にそぐわない生き方に対する鬱屈からお酒に逃げていたのかなあ、と思わなくもないですね。

10話のジョーとユーリのシーン好きですね。ジョー自身が「本物」になれそうな所まで来ているせいかお互い認め合っていて和やかで、ジョーの精神的な成長を感じる場面でもありました。(…そして犬がめっちゃ可愛いwジョーって子どもだけじゃなく動物も好きなの?本当に優しいキャラクターだなあ。)
二人はなぜ戦うのか…ジョーは自分のため、ユーリはゆき子への恩義のためと答えたけど、二人ともそれだけとは言えない。11話ではお互いに相手の言葉に影響を受けていることが察せられます。
特にジョーは贋作を殺させないために八百長を受け入れていたから、ユーリの言葉では立ち上がれなかった。ジョーを立ち上がらせられるのは贋作さんだけでした。
ギアの演出も良かったですね。ギアを付けた自分は「ジャンクドッグ」であって「ジョー」ではない。「ジャンクドッグ」は既に自分の名前ではなく、サチオの言うように「ギアレスジョーはイカサマなんかやらない」という強い主張でした。
10話で虻八さんの台詞が聴けて良かった!優しい激励でしたね。やっぱり良い人だ。

そういえば「そこに立ってるものに触れ」っておまじない、教えたのは贋作さんかな?11話内ではジョーもサチオも贋作も壁に触るシーンがありますから。
ジョーは1話で八百長に臨む前にエントランスの壁を、8話で樹生に嵌められた後(贋作がゆき子さんに再試合を要請していた時)船の壁を触っています。本当に細かい。

もうクライマックスに突入していて、色々考えてしまって感想が纏まりません…;
とにかくジョーが何のしがらみも無く全力で試合できる状況になって良かった…ラスト2話、しっかり楽しみたいと思います。{/netabare}(2018.6.18)


第12話「LEAP OVER THE EDGE OF DEATH」 {netabare}
白都の契約相手は参謀総長だから軍関係なんですよね?白都のギアを普及させることが社会貢献になるとゆき子さんが考えているのはわかるんですが、ちょっと引っかかるかも…。自衛隊のような組織なら別でしょうけど、後一話でそこらへんを入れる尺は無い気がする。

それはともかく、ユーリとゆき子さんの関係がよく解る回でしたね。二人とも一途だなあ。
アラガキやミヤギさん、樹生の再登場もすごく嬉しい!皆和やかで心が洗われました。
特にお兄様!樹生本人の活躍ぶりも見事だったけど、ゆき子さんが弱音や本音を言えるのって確かにお兄様しかいないよなあ…。今回の様子からは多少距離はあるけど普通の兄妹にしか見えない。お兄様の過去話が気になってくるじゃないですかw

ゆき子さんと贋作さんの対比も良かったです。
結局、初めて出会った時からゆき子さんも贋作さんも相棒に心底惚れ込んでいたわけですね。二人はあらゆる点で正反対でありながら、その一点に関しては同じでした。

誰もが本気で戦う中で何かを失い、何かを勝ち取ります。その中で、誰かから何かを奪い、あるいは与えることもあります。
ゆき子はかつてユーリの自由を奪い、生きる意味を与えました。そして今、ユーリを失う代わりにメガロニア主催者としての誇りを獲得し、本物のボクサーたちに最高の舞台を与える。
贋作はかつてジャンクドッグの誇りを奪い、生きる術(メガロボクス)を与えました。そして今、ジョーを「本物」に育て上げ、視力を失う代わりにジョーの誇りと将来を守り通した。
ゆき子も贋作もリングには上がらずとも戦い続け、誇りと呼べるものを手にしたのではないかと思います。


メガロニアとは何なのか、どんな意味を持つ大会なのか、今回描かれたと思います。
「メガロニアのリングでなければ意味が無いんです」というユーリの台詞はゆき子とジョーを繋ぐ言葉でもありました。

1話でジャンクドッグはゆき子とユーリに「何がメガロニアだ。あんなもんただの殴り合いじゃねえか」と言って二人の逆鱗に触れている。ですが、荒んだ地下リングしか知らなかったジャンクドッグはメガロニアのために命懸けの試合をいくつもこなし、今やジョーという名前を手に入れた「本物」です。支払ってきた代償、乗り越えた艱難が大きいからこそ、メガロニアでユーリと戦えることがジョーの誇りとなっている。

ゆき子も今回「どうしてここまでする必要があるの?たかが殴り合いのために」と言っています。ゆき子はずっとギアを重要視していましたし、ボクサーではない彼女がギアの無いメガロボクスに命を懸ける理由がわからないのは仕方がないと思います。
苦しむユーリにゆき子は「もう一度ギアを付けて気高いあなたに戻るのです」と言いましたが、初めて出会った時からゆき子はユーリの気高さを感じています。
オーナーとしてはユーリが勝つことが悲願でしたが、ユーリが自分の元を離れ開催者として中立の立場になった今、ジョーとユーリのどちらが勝ったとしてもメガロニアは彼女の誇りになり得る。
そして今、ユーリというボクサーに対する敬意から、ジョーの戦いをも認めるに至ったのですね。

ジョーの「良いのかよ。倒しちまうぜ、チャンピオンを」という言葉に対してゆき子は少し笑いましたが、何を思ったのかはわかりません。ただゆき子が試合を楽しみにしているのは間違いないのではないでしょうか。

そして次回は最終回。終わってしまうのですね…;;
ジョーは連戦でダメージが蓄積しているし、ユーリもギアを外したばかりの酷い状態だし、二人とも傷だらけで戦うことになるのがちょっと心配。二人とも無事に試合を終えられることを祈ります。 {/netabare}(2018.6.25)


・ユーリの犬について・
「わんこ可愛いよわんこ」って言いたくて…
いえ嘘ですw
{netabare}
気づいてる人も多いだろうけど、犬は一個のキャラクターというよりもユーリの内面を表現するためのギミックである、という話。

11話のラストシーンで明確になったと思いますけど、それ以前から犬の名前が呼ばれないのは気になっていました。登場当初の樹生を激しく威嚇したのも、主人であるユーリを良く思っていない人物だからというのもあるし、ユーリ自身が多分樹生を嫌い…というか、根本的にそりが合わない人物であったから。12話では威嚇しなくなっていて、和解の演出として明確な意図が感じられますね。
それに犬が撫でられるシーン一度も無いんですよ、確か。ユーリ自身が樹生を威嚇する犬を宥めたくらい。ゆき子さんやジョーにも撫でられていないのは、飼いならされた家犬という印象を持たせたくなかったからかな、と。今回ユーリが手術後に酷く苦しんでいても、犬は微動だにしていません。キャラクターとしての犬なら主人の苦しむ姿に取り乱す方が自然ですよね。ユーリの決意と本質は何も変わっていないという安心感がありました。
ユーリの王者の風格を損なわず感情をしっかり見せる心憎い演出ですし、キャラクターを理解する上で大きな手掛かりとなっているので注目していました。

…わんこ可愛いよわんこ(*´∀`){/netabare}(2018.6.25)


第13話「BORN TO DIE」{netabare}
意外と予想したことが外れたね。ゆき子さんが試合を見なかったのは意外。
あと犬は今回一気にキャラクターって感じになりましたね。作中で初めて撫でたのは樹生だった…可愛かったwユーリがギアを外して自由になったから、本心を他の存在に仮託する必要は無くなったのだろうと思います。

最初にあえて不満を言っておくと、試合のシーンはもっとがっつり見たかったです。ずいぶん前からドラマ性を重視していることはわかっていたけれど。
耐えに耐えてチャンスを掴むのがジョーのスタイルなのはずっと変わっていませんから、これまでの印象と近い試合になるだろうということも理解しています。それでもOP無しでもう1分半長く見たかった。演出的にOPを入れることを優先したのかもしれません。


でもそれ以外は本当に素晴らしかったです。
因果関係がしっかりしたハッピーエンドが何よりも嬉しいし、人間ドラマとしては非常に好み。試合描写もアニメ的な外連味は少なく地味でしたが、ドラマとよく噛み合っていて素晴らしかったです。
水滴の演出、OPの演出、キャラクターの瞳に何かが映り込む演出を最終話まで入れていて、本当に集大成でした。贋作さんのサングラスに映り込むジョーの姿にはぐっと来ました。

今回一番印象に残ったのはユーリとゆき子の関係と、番外地ジムの後日談。

前回ユーリとゆき子はそれぞれに一人で戦う道を選びました。
それでもユーリにはリングに上がれば誰かと何かしら関係性がある。4話からずっと描かれてきた観客の応援と熱狂も、ボクサーへの敬意を印象付けるものでした。
ゆき子は決勝戦を観戦することはせず、軍へプレゼンテーションに向かいます。彼女は兄ともユーリとも決別し、自身の夢のために一人で戦い続けることを選びました。兵器ではなく人間の身体機能としてのギアにこだわるということは、軍事関係者との契約もひとつの過程に過ぎないのでしょう。
それでも、一年後の様子からはメガロニアもゆき子にとっては大切な大会であること、たまに番外地ジムに顔を出していることがわかります。

後日談で良いなと思ったのは、皆の関係に壁が無いこと。認可地区も非認可地区も関係ない集まりになってますね。子ども達は元気いっぱいだし、関わった人たち全員登場してるし、ただの仲介役だよって言ってた藪沼さんまで来てますし。
ジョーは人を育てる方に行くのか…。意外だったけど納得もしました。1話を観返すと、いかにジャンクドッグが周囲から断絶された存在かわかります。そこから脱却した今、ジョーが一人っきりで生きる子どもを放っておけないのはとても納得する。もともと子ども好きなのはわかっていましたからね。

ユーリもジョーも試合で完全燃焼し引退、この戦いの中で得たものを次世代へ伝えていく。とても良いラストだったと思います。{/netabare}
(2018.7.2)


【BDBOX1について】 {netabare}
もともと加工を加えたり拡大縮小したりして荒い線にしている作品なので、鉛筆線みたいな細かなニュアンスが鮮明に見られます。でもBDで見て一番驚いたのは画質よりも音声。録画したものとは音質がすごく違う。効果音や音楽の素晴らしさがよく解ります。
作品内容に関する特典が充実しているのも良かった。

森山洋監督はメイキングのインタビューでこの作品を「ジョーの人生で一番輝いた三ヶ月間」と語っています。その言葉を聞いて、他の競技だけど同じような例(おそらくその選手が現役時代において最も輝いた半年間)をリアルで見たことを思い出しました。
私が本作にハマったのは必然でしたねw

・BDBOX1特典新作ショートアニメ“BEFORE THE ROUND ONE”・
イラスト(止め絵)に音声を乗せたピクチャードラマという感じです。
贋作さんが名無しの青年(後のジョー)を拾ってから、あのオンボロギアと「ジャンクドッグ」というリングネームを手に入れるまでの物語。
…短いのであらすじ書いただけで思いっきりネタバレになっちゃうけどw
いやはや、「ジャンクドッグ」が「ジョー」になってくれて良かった…これは後から出した方が良いタイプの前日譚だなって思いました。 {/netabare}
(2018.8.2)

【BDBOX2について】{netabare}
キャラクターデザインと美術のお話。やっぱり監督の采配がしっかりしていたようです。特典冊子に第9話の脚本と絵コンテが載っていて見比べるのが楽しいです。やっぱり9話はキー回ですね。

オーコメは樹生の話が多かったです。
「あしたのジョー」にはなく「メガロボクス」にはある要素。私はそれらをある意味全て背負ったのが樹生であったと思っています。
彼には元となるキャラクターが存在しませんし、試行錯誤する中で作られたのだそうです。本作を本作たらしめているのが樹生だと個人的には思っているので、声優さんにもスタッフにも愛されているのが嬉しかったり。
9話は「ギアレスジョーが完成する話」という発言も聞けました。樹生は白都の名前を捨て、ジャンクドッグはジョーの名前を自分のものにするストーリーでもあったんですね。最初の予定では9話のラストが樹生というキャラクターのクランクアップだったようです。
ユーリ役の安元さんからは樹生が自分を生きたからこそその姿を見てユーリもギアを脱げた、というような言葉も。

・BDBOX2特典新作ショートアニメ“AFTER THE ROUND FINAL”・
車椅子で昔所属していたジムを訪れ、かつて自分を拾ってくれた恩人と過去を語り合うユーリ。師弟関係についてはジョーと正反対で、和やかで良いお話。
ビジュアルイメージが明確で音楽・音響に力を入れてきたこの作品はピクチャードラマがとても良く似合いますね。{/netabare}
(2020.2.16)

【ギアについて】
これは人間ドラマのためのギミックであることは間違いないので、それで納得できない人は一定数いるとは思います。あにこれのレビューではwaon.nさんが鋭い指摘をされていますね。
私も何回か見て整理した内容を個人的に記しておきます。
{netabare}
重要なのは、ジョーの目的が勝敗ではなく「ユーリと最高の試合をしたい」ということ。その点から、ギアは純粋なスポーツに帰っていくドラマを描くギミックなのではないかなと。
純粋なスポーツというのは、この作品では「対等な条件下で最高の試合をし、それを観客が納得して受け入れ歓迎すること」ではなかったかと思っています。

ジャンクドッグが臨む地下の賭け試合では、観客は自分の金が絡むので当然下衆な見世物になる。そこに選手の尊厳や観客の賞賛は生まれる余地はありません。
メガロニアではショー的演出があった所を見ると、当然スポンサーがいて、興行の側面もある。ゆき子の一体型ギアを売り込む目的もユーリにとって足枷でした。ゆき子と樹生のギアへの考え方の違いが描かれたのも重要で、ギアの有無だけでなくコンセプトの違いもまた選手の身体能力に影響します。

しかし、ユーリがジョーと対等に戦うためにギアを外してオーナーとの契約も解消したことで、二人ともギアもスポンサーも失い公平な勝負になるわけです。
身一つで戦い勝ちたいという選手の情熱と、素晴らしい試合に熱狂する観客が、メガロニアを最高の舞台にする。勝敗を決するのは肉体と精神と技術だけ、全てのしがらみを越えたスポーツの理想の姿ではないでしょうか。

私はギアの在り方についてはそれで納得しています。
{/netabare}
2期はギアがどう描かれるのかも含めて楽しみですね。1期ももっと色んな人が見てくれたら嬉しいな。
(2021.4.18)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 42
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

アニメからリアル、リアルからアニメへ

『あしたのジョー』連載開始50周年記念と銘打って企画された作品。
今なお語り継がれる、ボクシング漫画の傑作を原案とした
近未来ギアを使用したボクシングを描いている。

アニメーション製作:トムス・エンタテインメント3×Cube、
監督・コンセプトデザイン:森山洋、キャラクターデザイン:清水洋、
原作:高森朝雄、ちばてつや

橋の下のボクシングジム、隻眼の老いぼれ、
市民IDを持たない貧しい人々が暮らす未認可地区。
原作を彷彿とさせる世界観。
地下闘技場で非合法の賭け試合を行うことで
生計を立てている男がいる。
彼のリングネームはジャンクドッグだ。
最下層の男たちが夢見る栄光の世界。
摩天楼がそびえる大都会のスポーツとして
多くの人々の脚光を浴びるメガロボクスと呼ばれる
大イベントが開催されている。
君臨するのが白都コンツェルンの
お抱えボクサー、勇利だった。

ジャンクドッグ、そしてジョーの
リングネームを持つことになるのが原作での矢吹丈、
勇利が力石徹の役どころとなる。
また、南部贋作が丹下段平、
白都ゆき子が力石とジョーとの間で揺れる白木葉子、
サチオがジョーを応援する子供たちの代表として
それぞれキャスティングされている。

原作の形を借りただけのオリジナルアニメーションとして
考えると、それなりにまとめているとは思う。
しかし、作品としては上っ面だけという印象は拭えない。
それは登場人物たちの切迫感や哀しみを
画面から感じ取ることができないからだろう。

{netabare} ジョーと勇利が戦うラストは最初から分かっているわけだから、
そこに至るまでにどのように展開させるのかが重要なのだが、
甚だ盛り上がりに欠けている。 {/netabare}
その理由のひとつは、おそらくジョーと勇利の過去が
ほとんど語られることがないからだ。
13話で原作のポイントを抑えないといけない制約があったため、
そこまでやっている時間はなかったのかもしれないが、
いちばん大切な部分が抜け落ちてしまっている。
ジョーや勇利の戦う理由が視聴者にほとんど伝わってこないのは
致命的な失敗といえる点で、それがなければ物語に深みを
感じさせることができないし、面白さを生むのは難しい。
どこかの物語を削ってでも、主人公たちを深掘りするべきだったが、
それができていないため、最初から最後まで平坦な物語で終わってしまった。

この話でやらなければならなかったのは、
ジョーと勇利、白都ゆき子、南部贋作という
4人の登場人物のそれぞれの想いと行動、関係性だったと思う。
ここがしっかり構築されていれば、もう少し感じ方が違ったのだが、
白都ゆき子と南部贋作が物語に関係しているようで、
大して関わっていないようにも見える。
そして、ジョーと勇利の関係性も心に入ってこなかった。
だから、あまりにも平凡な作品になってしまったのだ。

作画面ではよく頑張っていたと思う。
動きも悪くなかったし、崩れることもなかったように感じた。
粗い作画のラインは、昭和の時代を感じさせる。
声優陣も細野佳正、安元洋貴を中心に安定した布陣だった。
ラップを中心とした音楽面も悪くはなかったが、
やはり肝心の物語が進む方向を誤っている。

ギアを使用することが、原作との最大の違いだった。
しかし、その部分が全く活かしきれず、
この物語に何ももたらしていないことも
大きな欠点のひとつだろう。
ただ、『あしたのジョー』にふれたことのない人が
この作品をきっかけに目にしてくれたら、
それは価値のあることかもしれない。

私が『あしたのジョー』を知ったのはアニメが最初で、
そこから夢中になって原作の漫画を読み耽ったのは、
いまでもよく覚えている。
(本屋に通いつめ、立ち読みで20巻全巻を読破した。
かなり後になってだが、全巻購入して
豪華版も揃えたので許してもらいたい)
私はこの作品に出会ったことがきっかけでボクシングファンになった。
『あしたのジョー』は、漫画史に残る名作だが、
ここからリアルのボクシングに興味を持った人は、
男性ならかなり多いのではないだろうか。

かつて日本では国内選手の試合以外は
ほとんどテレビ放映されることはなかったが、
土曜日の昼にアメリカのボクシングを
不定期に放映していることを知り、楽しみに観るようになった。
当時、日本のボクシングは、フライ級やバンタム級くらいしか
強い選手がいなかったが、アメリカのミドル級の試合を見て、
私は「本物」のボクシングに魅了されてしまった。
スピード、威力、技術面のどれをとっても、
それまで自分が観ていたものとは違うスポーツといえるほど
別次元の世界がそこにはあった。

当時夢中になったのは、ミドル級で絶大な人気を博していた
トーマス・ハーンズという選手だった。
彼のフリッカー・ジャブ(当時はそんな呼び方も知らない)の
速さと威力には目を奪われた。
左腕をL字型に下ろして
左右に揺らしながら打つデトロイトスタイル。
ジャブが当たっただけで倒れてしまいそうなのだ。
後に『はじめの一歩』の間柴了の登場によって、
再度当時のことを思い出すわけだが、速さと威力を兼ね備えた
このクラスの試合の緊張感ときたら、堪らないものがあった。
ふたりの男たちの交錯する瞬間を見ていると、
手のひらから、じんわりと汗が滲んだ。
シュガーレイ・レナードやトーマス・ハーンズ、
ロベルト・デュランにマービン・ハグラーを加えた
4人のウェルター、ミドル級の戦いを観たことで、
私は完全にボクシングの虜になってしまったのだ。
その後、WOWOWの『エキサイト・マッチ』によって、
世界のボクシングが身近になり、
たくさんの名試合を観ることができるようになった。

そんななか、私はやはりもうひとつのボクシング漫画の傑作
『はじめの一歩』も毎週楽しみにしていた。
そこで、最も高揚させてくれたのが、
鷹村の世界初挑戦の相手であるブライアン・ホークだった。
普通に読んでいると、こんなヤツはいるわけないと思ってしまう。
しかし、ボクシングファンなら誰でもすぐに分かってしまう。
こいつのモデルは、明らかにナジーム・ハメドだろうと。
私は長年ボクシングを観てきたが、本当の意味で驚かされたのは、
トーマス・ハーンズ、マイク・タイソン、
フロイド・メイウェザー、ナジーム・ハメド、
ワシル・ロマチェンコ(現役)の5人だ。
(凄い選手はまだまだ数多いるのだが、
ボクシングの常識を覆したという意味では、
この5人ではないかと密かに思っている)
そのなかのひとりであるハメドの自由なボクシングは、
奇抜な登場シーンとともに多くのボクシングファンの
脳裏に刻まれることになった。
近接でスウェーバックしながら、あり得ない角度からアッパーを出すなど、
どんな態勢でも攻撃する変幻自在なスタイルがハメドの魅力だった。
そんな選手がブライアン・ホークとして登場すると、
さすが森川ジョージ、分かってるな(なぜか上から目線)となって、
より、ボクシングも漫画も楽しめたものだった。

私はスポーツ漫画やアニメが大好物なのだが、
やはり現実のスポーツの魅力を上手く表現しながら、
架空の世界に落とし込んでくれる作品に惹かれる。
自分の想像の世界を広げ、新たな楽しみを感じさせてくれる。

アニメからリアル、そしてリアルからアニメへ。
さまざまなジャンルの未知のことを提供してくれるから
私はアニメを観ることがやめられない。

※エンドクレジットに協力ということで
ピューマ渡久地の名前があったのも懐かしかった。
辰吉丈一郎、鬼塚勝也とともに平成の三羽烏と呼ばれ、
低迷気味だったボクシング界を活性化させた功労者のひとりだ。
ヤンキーで喧嘩早く、傷害事件を起こして
タイトルを剥奪されるなど問題の多かった選手でもある。
彼と同じフライ級で当時、日本の最強とされていた
勇利アルバチャコフ(本名はユーリ・ヤコヴレヴィチ・アルバチャコフ)と
いうアジア系でロシア出身の選手がいたのだが、
今回の勇利とつながりがあったのかどうかは不明だ。
調べてみると、渡久地は現在、記憶障害の病気を患っており、
離婚した元嫁の聡美さんがジムの会長を務めているという。
(2018年8月27日初投稿)

スポーツアニメに対する視点(2020年7月3日追記)

結局、どこまでこだわるかという問題になるが、
個人的には、スポーツアニメの作り手は、
そのスポーツのこと、もしくはスポーツ全体のことを
ある程度は、理解してもらいたい。
ボクシングのSF作品を作るのに、本当のボクシングを
取材する必要はないかもしれないが、やはりどういうスポーツか
ということくらいは知っておくべきだろう。
いくらSFでも全くリアリティを欠いてしまうと、
少なくとも私は興ざめしてしまう。

例えば、メガロボクスは上半身にギアをつけて試合をする。
それ自体はSFスポーツアニメとして、とても面白い発想だ。
しかし、この作品ではボクシングだけでなく、
スポーツそのものに対する理解力が圧倒的に不足している。
つまり、上半身にギアをつけたら、
強いパンチが打てると思ってしまっているのだ。
いくら強力なギアを上半身に装着しても、それに見合った
強靭な下半身がなければ、強いパンチなど打てるはずがない。
上半身に振り回されて、バランスが崩れてパンチは弱くなる。
そういうことを少しでも知っていれば、
下半身を補助する設定を何か考えておくはずだ。
例えば『はじめの一歩』を読んでいれば、
ロードワークが繰り返し、執拗に描かれていることに
気づくはずなのだ。どうしてこんなに走らないといけないのかと。
私はこの作品において、リアル要素を微塵も考慮していないように
見えることが大きな不満点のひとつ。
最終的にはギアを外して試合をするので、
そんなことを言ってもあまり意味がないのだが。
スポーツが題材であるなら、視聴者が気づかないような部分にも、
作り手は少しでも考慮して欲しいと願う。
それが作品に深みを与えるのではないだろうか。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 58

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

実存のゆくえ

【誤記修正】

50周年を迎えた『あしたのジョー』のアニメ化。

原作を再消化し現代によみがえらせたアニメ化だが、感想の前に、少し原作を振り返っておきたい。


原作の『あしたのジョー』については、マンガ批評家の夏目房之助による分析と批評が最も説得力がある。

梶原一騎と ちばてつや というまったく異なる巨大な才能同士が互いに一歩も引かずにぶつかり合った結果、『あしたのジョー』というマンガは、両者の得意とするいずれの領域とも全く異なる、第三の地点へと、作品の像が結ばれることになった。

ぶつかり合う個性が、梶原的な「右翼結社のユートピア」とも、ちば的な「貧民共同体の楽園」とも異なる場所へ作品を押し出したのだが、『あしたのジョー』は「世界に投げ出され、単独で世界と対峙する」青年の実存という、両者のいずれの個性からもかけ離れた物語として奇跡的な像が結ばれたということだろう。

終幕へ進むに従い、登場人物が次第にジョーから離れ、段平すらも存在感をなくしてジョーが孤独化していく印象は、まさに「唯一無二の私が全世界と対峙する」青年の実存が純化してゆく必然だ。

孤独に世界と敵対する青年の実存は、観念の吸引をも必然化する。
生命の危険を無視するようにボクシングへのめり込む展開は、スポ根の「克己心」の表現ではなく、世界の具体性から逸脱して「観念」に憑依されていく現れだ。
終幕にやや唐突に登場する「真っ白な灰になりたい」というセリフは、もはや「チャンピオンになる」といったスポ根的努力への「報酬」という実体性が無意味化して、破滅も辞さず「果てまでゆく」、生命を燃焼させたいという「観念」の呪縛に囚われきったことを示している。

そうして「果てまでゆく」観念に導かれるまま、最終戦では、すべての登場人物は単なる傍観者と化して「試合」の特権的な場から排除され、単独で世界と対峙する「青年」は、真っ白に燃え尽きて実存を生き切るラストを迎える。

20世紀的な青年の実存と観念の必然を描いた原作マンガが、あの時代に熱狂されたのも当然だろうか。


本作において、メガロボクス参戦に先立ってまずIDを偽造しなければならなかった主人公は、IDカード=アイデンティティ・カードを持たない=アイデンティティのない、世界の中に存在の基盤を持たない人物として登場する。
すなわち、「世界」の中に裸のままで単身投げ出されている、一人で全世界と対峙するものとして。

だが、明らかに空疎であるはずの自らの実存を埋める「観念」にしては、しゃにむに「戦い」を求める描写には「呪縛力」が希薄だ。
むしろ、世界と対峙する自覚すらない、空虚の人格化にすら見える。

虚空のかなたの「果てまでゆく」観念の呪縛を感じさせるのは、ライバルのチャンピオン、ユーリのほうだ。
すべての実績も、約束された栄光もスポンサーもパトロンも捨てて主人公との試合に挑むチャンピオンは、他者に誇示する栄光としての「勝利」ではなく、「観念」としての勝利、強さという「観念」に憑かれているのだと示されている。

現代において、「観念」の呪縛を説得的に描き出すには、まずチャンピオンという「勝者」が、持てるものを投げ捨てる描写が必要であったのかもしれない。
何も持たない「野良犬」が、実存の空虚を「観念」で埋めることは、現代では必ずしも必然ではないのだろうか。

しかし、ユーリの「観念」の呪縛を生み出すものは、「野良犬」である、アイデンティティを持たない空虚な主人公との試合だ。

何も持たずに「単独で世界と対峙」して「観念」に憑かれる『矢吹丈』を現代によみがえらせるために、矢吹丈は、主人公とユーリの二人に分離したのだといえるだろう。

そうした意味では、最終戦の結果は、もはや重要ではない。
矢吹丈の分身である両者がグラブを交えた時点で、「矢吹丈」は「一人」に統合され、「真っ白な灰」=観念の浄化はすでに成就しているともいえる。

ラストシーンの、見方によっては拍子抜けする穏やかな描写は、観念の浄化の向こうの現代的な表現なのだろう。
ようするに、その後のことは「どうでもいい」
原作マンガのラストシーンの後に何を付け加えても蛇足であるように、意味のある描写は何をもってきても蛇足なのだから。

それでも敢えてラストシーンが存在するのは、プリズムを通過した光が分光するように、「矢吹丈」が現代という装置を通過して主人公とユーリへと分化した、現代的な偏差のためかもしれない。


こうした本作の感想は、しかし、本作が『あしたのジョー』のアニメ化である、という了解があって生まれたものだ。
それゆえ、冒頭では長々しく原作マンガについて記述した。

別に作品の宣伝文句まで作品の一部として組み込まれているとは思わないが、気に止めてしまった以上、感想は影響を受けてしまう。

この情報がなく、単体で本作を視聴したならば、主人公の動機も試合でのランクアップも、ともすれば単なる上昇志向と承認欲求に駆動されるルサンチマンのように見えかねない。
最終戦を前にしたユーリの振る舞いも、「男の美学」とか「戦士の矜持」のような類型性に陥ってしまうだろう。

そうなれば、主人公の造形が動機が薄っぺらで、チャンピオンの行動が理不尽なご都合主義に受け取られかねない。

それはそれで、異世界もののような、主人公がシンプルな動機で勝利を収め続け、周囲の人間と分かり合って受け入れられるラノベ的感性のアニメ作品として観ることもできるだろう。


しかし、「原作」が心に引っかかってしまった以上、「観念」の「果てまで」行って再び人の輪に回帰してくる展開は、現代で視聴者の「承認」を得るためには、「果て」で燃え尽きる結末はあきらめざるを得なかったのだな、と思わずにいられない。

観念に憑かれることが必然であった20世紀青年の「実存」と、現代の青年の「実存」のありようが変わってしまっている現れのようにも感じられた。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8

59.4 5 格闘技でライバルなアニメランキング5位
THE GOD OF HIGH SCHOOL ゴッド・オブ・ハイスクール(TVアニメ動画)

2020年夏アニメ
★★★☆☆ 2.9 (88)
224人が棚に入れました
全国の高校生が集う異種格闘大会「ゴッド・オブ・ハイスクール」。幼い頃、祖父・テジンと離れ一人暮らしてきた主人公のジン・モリは、その地区予選会場へ向かう途中、ひったくり犯を追うことになり、そこで同じく予選に参加するハン・デイとユ・ミラと出会う。賭けるのは己のプライド!信じるモノは己の拳!望む願いはなんでも叶う!それが神の力!アリーナに集結した各地の猛者たちとの生き残りを賭けたバトルロイヤルがはじまる――

声優・キャラクター
橘龍丸、熊谷健太郎、大橋彩香、浪川大輔、杉田智和、甲斐田ゆき、田野アサミ、浜田賢二、小林親弘、関智一
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

滲み出る国民性、またそれを分かって見る分には…

1話感想{netabare}
うわぁい、“神之塔”の外伝かと思った。
というか“神之塔”の方の感想で書き忘れてたことがあったのを思い出した、そしてそれはこっちで抱いた「疑問」と同じ。
あっちでは第一試験で400人居た選別者を200人まで減らす(まで殺し合いをする)ってことをやったのだが、結局それ、出場者を選ぶヘドンが最初から200人に抑えときゃ良かっただけじゃん、節穴かよ、というツッコミ。
こっちは一応観客の居る見世物ってことではあるけど…敗退者に対して「なんでこんなヤツ選んだん?」と思う結果が待ってそうな予感が…。
というか最強の高校生って何だろう?

しっかし主人公の瞳が“うる星”の水乃小路だったり、ヒロイン?が眼鏡外すと「3」になったり、もはや古典ネタだと思うのだがこれが今韓国では流行ってるのだろうか。
引ったくりを追いかけてのドタバタも古典っぽいよなぁ、ジャキーチェーンの映画であったような無かったような。
確か韓流ドラマが流行った頃も「懐かしい懐かしい」言われてた気がするが、アニメもそういう路線なのかね?

あそうだ、冒頭の「大統領候補がスキャンダルを抱えている」ってのは爆笑した。{/netabare}

5話までの感想{netabare}
あれ?
ジンモリはさながらJOJOのスタンドの矢で貫かれたが如く仙桃食ったことで秘めた力に目覚めたって話だと思ったら、5話では目覚めてないハズのハンデイと互角の戦闘をやってて「?」。
スタンドはどうした?仙桃食ったのは何だったんだ?ハンデイも密かに桃食ってた?
そもそもお前らいつからそんなに親しくなったの?大会の中継(特にハンデイの出場)は一般人には知られてないの?結婚すると大会出場を辞退しないといけない理由もよく分からない。
と、そんな感じで5分前の設定も覚えてないような作りなのは中韓アニメのお約束。

1話感想で爆笑したと書いたが、政治家のスキャンダルやそれを隠蔽してるってネタは中国アニメでは描けないんじゃない?
ということでそんな感じの攻めた作りを期待してるのだが、今のところいつも通りの中韓アニメって感じ。{/netabare}

7話までの感想{netabare}
大会を運営してる組織があって、そのライバル組織にノックスといものがあるらしい。
大会はノックスに対抗できる人材を探すのが目的って感じなのかな?
で、ついにノックスがちょっかいかけ始めてきただか何だか、とりあえずレフリー殺されちゃったよー、と。

スタンドの理屈は神だか英霊だかを降臨?憑依?させることらしい。
なんか“悪偶”っぽいなーと思ってたら「老子」が出てきて更にそれっぽくなった。
ってか老子出るのか、いつものって感じだなぁ。
日本産だったら多分そのポジションはロリババァになるんじゃないかな?なんてことを思ったり。

──って感じで6話までボケーっと見てたのだけど、7話…ナニコレ?
韓国には定時制高校が無いのかな?とかそんなチャチなモンじゃない、おかしい。
いやでもひょっとしたら意図的……………………なのかなぁ?

試合会場で当たり前の様にスタンドを使ってバトル、え、観客には見えるの?驚かないの?
世間でスタンドの存在は当たり前のことだと認知されてるのだとしたら、これまでと色々矛盾が…。
スタンドが認知されてるのなら、そんな大会に出場できるハンデイにそもそも不良は絡まないでしょー。
ってか1話のバカンス島を襲ったのは誰の仕業かすぐバレるんじゃない?

また同じ頃、大会のオフィスでもスタンドバトルが繰り広げられ、こっちは出来はともかく設定としては違和感は無い。
人知れずこういう戦いをしてる連中が居るって体なので。
まぁだからこそ、なおさら、大会会場の戦闘の奇妙さが引き立つことになっていて、ワザとなのかなぁとさえ穿って見てしまう。
また、財閥の息子がスタンド攻撃されて、グチャグチャの肉塊になっててもおかしくないような演出をしておいて実は軽傷で、見てるこっちが混乱する、これもワザと?

えっとねぇ、思い出してきたぞ?“一人之下”のラテンタイショウ、あれも一般人には秘匿してるハズの異人の力を使っての大会で、だけどちゃんと観客は異人のみ・中継も異人にしか見れないって設定じゃなかったっけ?
同じようなことをしようとして重要な設定がスポンと抜けてる?
抜けてるといえば仙桃食ったのは何だったん?他の連中はもうとっくに食い終わってたってこと?ハンマーを練成してたあのドカチンも??

前の感想で「5分前の設定も覚えてない」と書いたけど、冗談じゃなくて本気でそういう性質なの?
あんまり右だ左だ嫌韓だ考えたくないのにどうしても思っちゃいますよ。
補償は済ませたと言ってるのに、そのことをスポーンと無かったことにして金の無心してくるアレみたいだと。


スタンドの扱いとは別にキャラの態度もいい加減不愉快さが限界に近いかも。
6話終盤のジンモリの態度は、日本産だったら「不安でしょうがないのを誤魔化すためにカラ元気をしている」って場合の演出じゃね?
いわゆる躁鬱の躁状態、その後「大丈夫、落ち着いて」と制止されるレベルのものだと思うのだけどそうじゃなかったらしい。
そして7話、同じくジンモリは手を抜いて負けたクセに反省の色も無く茶化すだけ、しまいにはユミラの試合を「信用してるから」って理由でマジメに応援しない。
やるべきことが他にあって、どっちかを優先しなきゃならないって時に「信用してるから」で片方をおざなりにするのなら分かるが、そんなものは無かったように見える。
…。
病気かな?もしくはハイになるクスリをキメてるみたい。
今後の展開への前振りだったら良いのだけど期待できそうには…。

でもってそんな7話の脚本は金田一明でした、ああ、“爆丸”でよく見る人だ。
爆丸での仕事っぷりはどうだったかなぁ~、犬飼や伊藤からは一歩劣るって印象だけど、ここまでヘンテコではなかった気が。
この作品の原作知らないけど、大会とオフィスのバトルを同時進行させたのがアニオリだとしたら、作ってる人もこの作品嫌いなんだなってむしろホっとできるのだが…。{/netabare}

8話感想{netabare}
なんだこれ。
前回肉塊になってそうな描写しといてピンピンしてた御曹司が反撃しようとしたら返り討ちに会ってメイドと共にどうなる?ってところで「引き」だったハズなのに、今回結局勝敗は決まってたってことらしく物凄く肩透かし。
「どうせ一週間前の内容なんて誰も覚えてないだろ」と言わんばかりの視聴者を舐め腐った態度に感じるが…韓国だとこれがデフォなんだろう、きっと。
そしてジンモリは審判員に呼び出されて祖父ジンテジン絡みの事件(※)の話を聞かされてから素っ気無い態度になって、ハンデイとユミラが心配して云々。
いや単に躁鬱の鬱モードに入っただけだよ、心配するなら前回やっとけよと思わざるを得ない。
ついでにジンテジンを恩人と仰ぐパクイルピョが接近してきてどうこう、いやそこはもっと前から意味あり気に出てたペクスンチョルとかにしようよ。

と、文句ばかり書いてしまったけど今回1箇所だけ褒める?ところを発見。
※印のシンデジン絡みの事件だけど、カンウォンドで爆発があって報道では北方からの攻撃扱いということで処理されたらしい。
それで世間は納得するんだw
これは韓国ならではだねー、日本が舞台だったら出来ないネタかと(戦中の不発弾とか?)。
1話の大統領候補のスキャンダルとか、いい意味で韓国らしいネタがたまーに出るのがニクい、切りたいんだけどなかなか切れないじゃないか。{/netabare}

総評{netabare}
<良かった点>
・1話冒頭、次期大統領候補なる者がスキャンダルを抱えてて、それをネタにゆすりをかけようとしたジャーナリスト?を“謎の力”で口封じしてしまう
→私はこれを見て「おっ?」と思って視聴継続を決めたのだけど、大統領絡みには何か隠し事があるってのはいかにも向こうさんらしい。
というかこういうネタやって良いんだ、ほほう。

・政府が秘匿したい事件が起きた時、世間には「北の工作によるもの」と発表して事実を隠蔽
→これは素晴らしい、舞台が日本だったら出来ないネタかと。
けどこんなネタやっちゃって大丈夫なん?

・主人公の祖父は昔、北の工作部隊を蹴散らしたスゲー奴だと説明
→えっそれ良いんだ。
どこまで北を挑発するような内容を書いて良いのか不明だけど、これが許されるってのは素直に驚き。
…けどちょっと待った、まさか原作(原本)では北じゃなくて日本になってるってことは…無いよね?(確認する気力ナシ)

・ソウル壊滅
→出来るんだ!
もしこれが中国産だったら同じこと出来るかな?
香港壊滅ならイケそうな気がするけど、紫禁城爆破とか多分無理だよね。
まぁそれ言ったら日本も…国会議事堂焼くのは平気だけど、多分皇居がどうこうなるのは難しいか。

表現規制って視点で見ると結構攻めたネタがあって、中国産とは違うなぁというのは強く感じた。
が、何かおかしい。
何がおかしいんだろう?と明確なモノが出てこなくてモヤモヤしてたのだけど、時間を置いてやっと分かったかも?
ということで以下悪かった点、ディスりまくりなので注意。

<悪かった点>{netabare}
全体的にそうなのだけど、分かり易い一例としてこんなエピソードがあります。

『行方不明中の主人公の祖父がなにかヤバいことに係わってるらしく、ゴッドオブハイスクールという高校生格闘大会を運営する委員会がその情報を何か掴んでるらしい。
祖父がどうなってるのか知りたい主人公に対し、委員会は「知ってしまったら引き返せないヤバい世界の話なので今のお前には話せない。お前が強ければ言ってもいいのだが…そうだなぁ、ゴッドオブハイスクールで優勝したら教えてあげよう」と伝える。
が、大会最中、委員会と敵対してる組織の活動によってソウル市内がしっちゃかめっちゃかに。
そこで委員会トップは宣言する「ゴッドオブハイスクールは中止する」』

…。
ん~、ちょっと待って?
おいそれと中止しちゃうのは…確かに大会真っ最中で優勝が確定したワケではないし、ホントに開催継続するのが困難だったのかも知れないけど、それでも頭のどこかで「約束破ることになって悪いなぁ」と思うモンじゃない?
作中そういう素振りが、一切無い。
国産だったらそこは「ヤツとの約束を守るために意地でも大会を続行するぞ」と頑張るトコロだと思うのだが…結果的に無理だったとしてもさ。
そもそも約束したと思ってない?

他の例としては、幼い頃主人公の祖父に世話になり「ウチの孫(つまりは主人公)のことをよろしく頼む」と言われた九尾の生まれ変わりが甲斐甲斐しく面倒を見るのだけど、それは報われない。
一応最後ドラゴンボールのナメック星での願いよろしく全て丸く収まったけど、大会中身を挺して師事したことは何も生かされなかったような?あくまでマイナスがゼロになっただけ。
まるで「一度隷属したら末代まで傅(かしず)くべし・奉仕すべし」といわんばかり…考えすぎ?

これらは分かり易い例として挙げただけで、こんな感じが全体から滲み出てる。
「一度交わした約束は守るべき」ではなく「約束は都合の良い様に発動するもので、むしろ破ることこそ美徳」みたいな。
よくよく考えると、これは“ゴッドオブハイスクール”の前にやってた“神之塔”も含まれるのだけど──
『創作物で提示した設定(=視聴者との約束といってもいいだろう)は「よっぽどのことが無い限り」ホイホイとひっくり返してはいけない』と思うのだけど、どうにも韓国産はこれが曖昧みたい。
人が自由に空飛べようが水中で呼吸できようが動物が喋ろうが、それがその作品内の設定であるなら受け入れられるけど、それが簡単にひっくり返されると「え、なんで?」となる。
逆説的に、最初にどんなに詳細に設定を語ろうが、その後簡単にひっくり返せる程度のモノは頭に入らないし、所詮どうとでもひっくり返せる程度の設定しか語られてない。
これは“神之塔”の方がより顕著だったけど「5分前に自分が言ったことを覚えてないみたい」って感覚に陥る。
聞いてもない設定が突然飛び出すのもそう。
物語の後半はいわゆる超展開の連続になるのだけど、果たして「前に言った設定を反故にしてるだけ」なのを超展開と称して許容できるかというと…ちょっと疑問。

ただこれは悪いってことではなくて…。
例えとして出して良いのかワカランけど、インド映画見てちっとも面白く感じなくて、けどそれがインドでは大人気って言われたら「へー」ってだけで何も悪くは言わないでしょう。
せいぜい「インド人ってダンス好きなんだなぁ」と思う程度で。
同様に、これが韓国の国民性なのねーと思うだけ、海外作品を見る視点で考えたらまぁこんなもんなんじゃない?と。
むしろよ~く国民性が出てると思う、嫌韓だなんだと考えずにアニメは見たいトコロだけど、嫌韓の人ほどこれは面白く感じるのではなかろうか?

非常によくそこら辺が描けてる例としては──
普通に観客も居る一般の格闘大会の試合で、試合終了直後負けた側が負け惜しみを吐いたら、勝った側が「お前ナマイキだ」と“試合が終わった直後の会場の舞台上で”敗者を再起不能にボコるシーンがあったり。
えっ審判止めないの?観客からブーイング来ないの?と不思議だったのだけど、韓国じゃこれが普通と言われたらナルホドと納得。

そもそも格闘大会ゴッドブハイスクールの出場権利自体が無茶苦茶。
いい歳した中卒ドカチンでも改めて高校に入れば出場権は認められるらしい、年齢制限ではなくあくまで高校に在籍が重要みたい。
日本の感覚では何言ってるのか分からないけど、韓国じゃこれが普通と言われたらナルホドと納得。{/netabare}

<総評>
あくまで海外の作品としてカルチャーギャップを楽しむ目線で見るのが良い。
日本のアニメだと思って見るとヘンテコだらけで面食らうと思う。
特に「設定(約束)はその時の都合に合わせて出したり引っ込めたりできる」という価値観を念頭に置いておかないと意味が分からなくなる。
逆に言えばよくここまで独自性?を出した作品を作れたなぁ、とも、方向性は置いといて。
パクりまくった要素をぐちゃぐちゃかき混ぜて「最後に味の調整をしてないもの」をハイどうぞと雑に出されただけな気もするけど、そういうのを好む国民性なのだろう。
良い悪いの話じゃなくてね…皮肉や嫌味に聞こえたならすいません。
同期やってた中国アニメ“異常生物見聞録”と見比べると、表現規制がなんかおかしい中国製、倫理観がなんかおかしい韓国製と、結構分かり易く特徴が別れててそれはそれで楽しめた…のかな?{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

全世界同時開催の超アクションアニメ「ゴッド・オブ・ハイスクール」開催!!

この作品の原作は未読ですが、原作は韓国発の漫画のようです。

公式HPのTOPページに、「Crunchyroll ORIGINALS」と記載されています。
「Crunchyroll」は日本のアニメ・ドラマ・漫画などのコンテンツを提供する配信サービス、およびそれを運営するアメリカの企業だそうです。
wikiをググってみると「クランチロールオリジナル作品」として、「虚構推理」や「神之塔 -Tower of God-」の作品名が掲載されているのですが、例えば「虚構推理」の公式サイトを見ても、どこにも「クランチロール」という記載が無いんですよね。
「Crunchyroll」と作品との関わり合いが正直良く分かりませんでした。


自称最強の高校生「ジン・モリ」。
彼の人生は、最強の高校生を決める大会、
「ゴッドオブハイスクール」に招待されることで一変する。

優勝すればどんな願いも叶えられるという…
それぞれの願いを胸に出場する強敵手たち。

闘いの果てに待ち受けるものとは?
ハンパない高校生たちのハチャメチャバトル開幕!!


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

公式HPのINTRODUCTIONに記載されている「ハチャメチャバトル」が、この作品の的を得た表現だと思います。
物語は…ハッキリ言って良く分かりません。
序盤から高校生離れした技の応酬が繰り広げられたと思ったら、今度は何か異能の力の様なモノが次々と現れて、挙句の果てには空が割れるは、地面から人ならざる者がうじゃうじゃ出てくるわと、正に超展開のてんこ盛りという感じなんです。

何でも突っ込めば良いという訳ではないと思うんですけど…
作品の在り方に違いを感じたのは、きっと私だけじゃないと思います。

物語はそんな感じなのですが、アニメーション制作はMAPPAさんなんです。
キレッキレのアクションシーンがこれでもか、と言わんばかりに視界に飛び込んでくるんです。
このアクションシーンが半端なく爽快だったのも、ラストまで完走できた大きな要因だと思っています。

キャラデザで気になったのは1点だけ…
どうして皆さん鼻が赤いんでしょう…^^;?
他の部分は至って普通…でも何故か鼻だけ赤いんです。
もしかすると、他の作品のキャラとの差別化を図るため…!?
う~ん、これだけはどうしても理解できませんでした。

1クール全13話の物語でした。
アクション好きの方なら面白い要素を見出せるかもしれません。
個人的には主人公と行動を共にしている「ユ・ミラ」のCVである大橋彩香さんの演技と、途中からは意味不明になりましたがキレッキレのバトルが堪能できたので、結果オーライという感じでしょうか…。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

超次元中国漫画

序盤 ええ

中盤 おお

終盤 おお?

この話は中国最強の高校生を決める大会の話
ジャンルはバトル・高校生・中国漫画原作
タイトルからして中国マンガっぽそうですもんね。

内容ですが、典型的な中国漫画の構成でした(ド偏見)。世界背景やキャラ設定はしっかりとしてるのに、物語が作り込まれていないという…
序盤のキャラ設定や世界背景説明は丁寧なものでした。とてもわかりやすく、初見でもしっかり情報が伝わってきました。展開は或るにはありましたが、ほぼ説明みたいなものですからほぼ無いみたいなものです。
中盤は展開メインなのですが、中国漫画あるある(?)の超次元バトルが炸裂し少々ついていけない感が出ます。正直本作を完全に理解したいわけではなかったので真摯に本作を見ていたわけでは無いのですが、その判断はあながち間違っていなかったような気がします。基本的に主人公補正でなんとかなっている展開が多いのであまり期待はせずに。
終盤は超次元サッカーの円堂くんも驚きの超次元バトルです。さすがに宇宙とは戦っていませんが、それでもだいぶぶっ飛んだ展開には変わりありません。物理法則ガン無視のバトル炸裂で盛り上がれることには盛り上がれるのかな?よくわからないけど。

良い点を上げるとしたら、戦闘の臨場感です。サブキャラに対する尺は短いのでモブキャラ同然なのですが、主役級のキャラの説明や背景は丁寧に作られており、バトルの臨場感や思いがちゃんと伝わってきます。非常に偏見なのですが、中国漫画ってよく魂同士の勝負が多いですよね。ガンダムファイトでも始める気なのでしょうか。

個人的にはシンさんが好きです。かなり好きです。何者でしょう。

監督は朴性厚さん。
シリーズ構成は吉村清子さん。ヴァンガードやGAROなどのシリーズ構成をされた方ですね
キャラデザは秋田学さん。カケグルイのキャラデザをされた方ですね
劇伴は桶狭間ありささん。
アニメ制作はMAPPAさん。BANANA FISHやゾンさがなどを制作したところですね

作画は良かったです。戦闘シーン中心のアニメでその戦闘シーンの大半が迫力のある作画でした。
opはKSUKEさんの「Contradiction feat. Tyler Carter」
edはCIXさんの「WIN」
声優さんは良かったです。豪華でしたし、キャラによく合っていたと思います。

総合評価 内容はアレ。暇なら

投稿 : 2024/11/02
♥ : 1
ページの先頭へ