東京でライバルなアニメ映画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の東京でライバルな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月05日の時点で一番の東京でライバルなアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

61.6 1 東京でライバルなアニメランキング1位
Wake Up, Girls!続・劇場版 青春の影(アニメ映画)

2015年9月25日
★★★★☆ 3.6 (84)
332人が棚に入れました
七人目のメンバーとして元「I-1club」のセンター・島田真夢を加えた「Wake Up, Girls!」は、時にメンバー同士でぶつかり合いながら絆を深め、地元仙台での地道な活動を通して少しずつファンを増やし、ついにはアイドル界の登竜門イベント「アイドルの祭典」に東北代表として出場するまでになった。リーダー・七瀬佳乃の負傷というアクシデントを乗り越え、大会を終えた彼女たちを待っていたのは、メジャーレーベル・bvexからのメジャーデビューの誘いだった。「Wake Up, Girls!」のメンバーたちは、ヒットメーカー・早坂相が手がけた楽曲「7 Girls War」を引っさげて上京すると、アイドル文化の中心・東京での新たな挑戦と練習の日々をスタートさせる。一方、アイドル界の頂点である「I-1club」にも新たな動きが起こっていた。最新シングルがミリオン(100万枚)割れしたことを重く見たゼネラルマネージャー・白木は、「I-1club」に世代抗争という新たな嵐を呼びこむのだった。

声優・キャラクター
吉岡茉祐、永野愛理、田中美海、青山吉能、山下七海、奥野香耶、高木美佑

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

「真摯であること、正直であること、一生懸命であること。」

この作品の前日譚となる劇場版「Wake Up, Girls! 七人のアイドル」とTVアニメ版第1期は視聴済です。
時系列的にはTVアニメ版第1期の後にこの作品を視聴すべきだったのですが、劇場版の存在が頭からすっぽり抜け落ちてしまっていたため、この後の「Wake Up, Girls! 新章」を先に視聴してしまっています。

そういえば、新章では監督の交代劇があったんでしたっけ…
監督以外にもスタッフさんも大幅に入れ替わったんですよね。
それに、「Wake Up, Girls!」は声優ユニットとしての活動が終了していたんでしたっけ…
WUGのポータルを見る限り、完全に活動を休止している訳ではなさそうですけれど…

少し旬の時期を逃した気はしますが、気を取り直して視聴することにしました。


七人目のメンバーとして元「I-1club」のセンター・島田真夢を加えた「Wake Up,Girls!」は、
時にメンバー同士でぶつかり合いながら絆を深め、地元仙台での地道な活動を通して少しずつファンを増やし、
ついにはアイドル界の登竜門イベント「アイドルの祭典」に東北代表として出場するまでになった。

リーダー・七瀬佳乃の負傷というアクシデントを乗り越え、
大会を終えた彼女たちを待っていたのは、メジャーレーベル・bvexからのメジャーデビューの誘いだった。
「Wake Up,Girls!」のメンバーたちは、ヒットメーカー・早坂相が手がけた楽曲「7 Girls War」を引っさげて上京すると、
アイドル文化の中心・東京での新たな挑戦と練習の日々をスタートさせる。

一方、アイドル界の頂点である「I-1club」にも新たな動きが起こっていた。
最新シングルがミリオン(100万枚)割れしたことを重く見たゼネラルマネージャー・白木は、
「I-1club」に世代抗争という新たな嵐を呼び込むのだった。


公式HPのSTORYを引用させて頂きました。

TVアニメ版第1期を視聴したのは今から6年半目なので、やっぱり時間が空くと内容を忘れちゃっていましたが、視聴しているうちに色々思い出してきました^^;

これまでずっと地元仙台を中心に活動していた時から既にメジャーデビュー済とばかり思っていました。
ということは、これまでの活動は全てインディーズだったということ…?

でも、この作品を視聴して地方と東京の温度差を痛烈に感じた気がしました。
WUGは仙台えはそこそこ知られたアイドルでしたが、東京では最初こそ早坂相が手がけた楽曲「7 Girls War」のおかげで注目を集めましたが、順風満帆だったのはデビューシングルが功を奏している期間だけ…

手札がより良いに越したことが無いのは当然ですが、切るカードそのものやタイミングを誤っただけで、命取りになる可能性が多分に孕んでいるという崖っぷちの世界…
チャレンジする機会だって万人に与えられている訳じゃない、極めて狭い門を潜らなきゃいけないのに、これにギャンブル要素が加えられるなんて…と思いましたが、それだけ需要と供給のバランスが悪い世界なのでしょう…
「自分の代わりはいくらでも居る」という世界なのですから…自然と生存競争が厳しさを増すのも当然です。

そんな闘技場の中に、田舎生まれの純朴な少女が放り込まれたらどうなるか…
多くを考えなくても自ずと答えは見えてくると思います。

ですが、彼女たちにだって与えられている権利があります。
それは「抗うこと」です。
東京の風は確かに彼女たちには厳しかった…
だけど負けっぱなしじゃ仙台に帰れないという彼女たちの気概に、これからの希望の光を感じました。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

主題歌は、Wake Up, Girls!さんの「少女交響曲」

上映時間54分の作品でした。
段々面白くなってきました。
引き続き、「Wake Up, Girls! Beyond the Bottom」を視聴したいと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

分けなくてもよかった

前半と後半で分けちゃうもんだから、作品もすぐに見終わっちゃう。新たな試練を課されているWUGが気にはなる。この作品自体は前半で本題には突入していないので、面白いとは言えない。滑走段階。

以下は備忘録
{netabare}
電話を受けた数日後、Wake Up,Girls!のメンバーと丹下と松田は東京のbvex本社の会議室。bvexのA&Rを担当しているカルロス鴨田がおり、アイドルの祭典のWake Up,Girls!の姿を見て気に入ったと話す。その場で契約の意思をグリーンリーヴス側に伝えるとともに、自己紹介をしあった。晴れてbvex所属となったメンバー達は専門のダンスレッスンで各クラスに振り分けられることになったが、真夢がトップのSクラスの一方で藍里はジュニアしかいないCクラスに振り分けられるなど、メンバー間のレベルの差を思い知らされることになった。他のメンバーもそれぞれ思いを抱いていたが、藍里も含め全員レベルアップを誓いあった。

I-1clubは数回連続で続いていた100万枚の売上達成記録が最新曲でついに途切れてしまい、動揺。社員に檄を飛ばす白木だが、白木自身も後ろ盾から釘を刺され世代交代を促されていた。そして新曲を2つのチームに分け、それぞれ志保と鈴木萌歌をセンターに据え売上対決をし、勝った方をI-1clubのセンターに据えるという施策を打つことになる。

Wake Up,Girls!はしばらくしてメジャーデビュー曲「7 Girls War」を正式に発売することが決まり、レコーディングの収録やプロモーションビデオ撮影、発売イベントなど目まぐるしく活動するが、早坂はその東京での活動を快く思っておらず、レコーディングに立ち会ったものの今のWake Up,Girls!の現況に対する感想をつぶやく以外は何も話さずその場を後にした。いよいよ発売を迎えCDセールスの成績は上々ですぐにメジャーデビュー2ndシングルの発売が決定し、キー局のレギュラー番組も決定する。

一方、番組が決まったことで東京と仙台と往復することが増え不都合も増えていった。なんとか仙台と東京との仕事を両立することを試みるも、世話になっていた仙台の番組プロデューサーからのアドバイスもあり、Wake Up,Girls!は拠点を仙台から東京に移し、仙台で携わっていた番組から降板することになる。

カルロスは1stシングルの好調さから、次のシングル案を持ち早坂に制作を依頼するが断られる。代わりにカルロスがWake Up,Girls!に提示した曲は「素顔でKISS ME」という今までの路線と違う曲で、加えて衣装も時代が合わない。違和感を感じながらも活動するWake Up,Girls!だったが、案の定2ndシングルの売上は低迷し、bvexの大規模音楽イベントでは、Wake Up,Girls!の出番がもはや観客の休憩時間。目標未達のため活動予算が削られることに。そこで原点に立ち返り手売りを敢行するWake Up,Girls!たち、一方松田は一縷の望みを賭けて早坂になぜ曲を作らなかったのか問いかけた。その言葉を受けてテレビを見ると、本意でない言動を強いられながらテレビ番組に出演するWake Up,Girls!たちの姿に、早坂は苦虫を噛み潰した表情となった。ある日の公園で2人の観客から無人となったところでもWake Up,Girls!の7人は相変わらずゲリラライブをしていたが、そこに早坂が現れる。早坂から新曲「少女交響曲」の提供と引き換えにレギュレーションが変更された今年の「アイドルの祭典」に参加することを提案され、それを受けたメンバーたちの士気は一挙に上がり夜の公園で早速「少女交響曲」の練習をするのだった。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

休まない!愚痴らない!考えない!いつも感謝!

アニメキャラとリアルアイドルのハイパーリンク、虚実混濁の物語『Wake Up,Girls!』の続編


時系列も含めて現実とリンクしているので今作の舞台は2015年1月から始まります
前作にあたるテレビシリーズのラストで「アイドルの祭典」東北代表にまで上り詰めた“WUG!”の7人
そのステージを観ていた大手レコード会社、bvex(ビーベックス)エンターティメントから遂にメジャーデビューをすることが決まった
記念すべき1stシングルは早坂が手掛けた「7 Girls War」
まずまずの結果を残すことが出来たがその勢いは長くは続かなかった・・・
東京の壁の厚みに打ちのめされる7人
多忙のために地元、仙台の仕事も降板を余儀なくされる
一方の国民的アイドルユニット、I-1 clubでもセンター争奪戦が繰り広げられる
WUG!ちゃん達の明日はどっちだ!?


ローカルアイドルとしての頂点を極めつつも、やはり厚い東京の壁
思い起こせばWUG!ちゃん達はどん底からのスタートでしたが、東京ではまたも叩きのめされてしまう
なんでこう日本って国は東京がすべての基準なんですかねぇ、上京しないと何も始まらないっていう;この風潮がたまらなく嫌いだ・・・


徐々にWUGらしさを失っていく7人
そんな彼女たちを支え続ける社長、松田マネージャー、大田さんをはじめとするワグナー
それに応え、ヘコたれずひたむきに頑張る姿をトコトン泥臭く描く、これぞ『WUG!』ですよね


佳乃が心機一転、ショートカットになっていたり
奈々美が大人っぽく温厚になっていたり
キャラも少しずつ成長が感じられますが何よりキャストがみんな成長したことには、それこそ松田や大田さんと同じような気持ちになります
特に大田さん、ファンの側の心情を描いてるアイドルアニメは『WUG!』だけ
彼の存在が今作を単なるフィクションからモキュメンタリー風の作品へと変貌させています
てか、言いたいことはだいたい大田さんが作中で述べてくれてる(笑)
ホント、よくここまで頑張って来れたね・・・って


作画もめちゃくちゃ丁寧で、芝居に仕草に表情に実波の入浴シーンに(笑)
そしてやっぱり最後まで引っ張り続けるライブシーン
新キャラのカルロス鴨田は一瞬宮野真守かと思ったら島崎信長かー!?w
コイツ面白かったですw


これだけ濃厚な内容をわずか55分に詰めれる、流石ヤマカン!
『青春の影』って『武者の者』かよ!また黒澤明かよ!w
なんでこう最近の映画ってのは実写、アニメ問わず間延びしたものばっかりなんだ!
尺が!尺が!って二言目に言う人は是非にこの映画を観てほしいですね
ああ、もう完璧すぎてどうしようもないの!
深夜アニメの映画化としてここまで完璧なものは他に無いんじゃないでしょうかね!?
後編も楽しみですb

投稿 : 2024/11/02
♥ : 15

67.8 2 東京でライバルなアニメランキング2位
バブル(アニメ映画)

2022年5月13日
★★★★☆ 3.6 (82)
279人が棚に入れました
世界に降り注いだ泡〈バブル〉で、重力が壊れた東京。
ライフラインが断たれた東京は家族を失った一部の若者たちの遊び場となり、ビルからビルに駆け回るパルクールのチームバトルの戦場となっていた。
ある日、危険なプレイスタイルで注目を集めていたエースのヒビキは無軌道なプレイで重力が歪む海へ落下してしまった。
そこに突如現れた、不思議な力を持つ少女ウタがヒビキの命を救った。そして、2人にだけ特別な音が聞こえた・・・。
なぜ、ウタはヒビキの前に現れたのか。2人の出会いは、世界を変える真実へとつながる。
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

人魚になった長門有希。素直に見るとかなり面白いです。

 23年9月 3回目の視聴をしました。人魚姫のオリジナルをちょっと調べたところ、王子を殺せば人魚に戻れる、という設定があるようですね。そう考えると、ラストシーンの説明はわかるような気がします。

 そして、世界に降り注いだ泡は反文明的なものの象徴、そして、聞こえすぎる主人公の「聞こえすぎる」とは、おそらく本質が分かるということか、人の気持ちがわかるということでしょう。
 ウタの歌が聞こえたはボーイミーツガールの構造ですが、ポイントはなぜウタにアイデンティティが生じるとそこが特異点のようになるかです。

 メタ的にみれば、世界でいち早く「バブル崩壊」が起きて失われた30年=時が止まったのが東京ですから、そのレイヤーでみれば分かりやすいアナロジーです。
 が、文明の終わりをウタが守ったととると、宇宙意思が地球を滅ぼそうとしたけど、ウタとヒビキが出会うことで地球を守った…でも、いずれは滅びるけど、今はもう少し時間を貰ったととも取れます。

 ただ、そういう考察は一回忘れて、長門有希(「涼宮ハルヒの憂鬱」のキャラ)=情報統合思念体の対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェースが、人魚=ウタであると、素直にとるのが自然な鑑賞の仕方かなあとも思います。1回目は綾波レイとの類似性を考えましたが、設定とキャラ的には長門有希です。

 滅びと再生のサイクルという大上段の設定があるし、泡沫(うたかた)という言葉の通り、命など宇宙から見れば微々たるものですが、それでも恋愛はしようよ、ということ。いつかどんな形かわかりませんけど、ウタとヒビキはどこかで再会するでしょうという、ある意味ハッピーエンドの人魚姫とも言えます。

 そしてこうやってとらえると、東京が再生してもおかしくないでしょう。文明など所詮は泡沫です。

 あまりテーマにこだわりすぎて「宇宙人魚姫」という恋愛物語を忘れてしまうとこの本作をとっつきにくく、つまらないものと捉えてしまいまそうです。せっかく人魚姫を強調しているのだから、素直にそう見るとかなり面白い映画だと思います。
 もちろん含意としていろんな考察はできますし、その方面から見るのも正しいとは思います。2回、3回見ても十分深さがあると思います。

 評価は22年5月で4.0でしたが、4.3に。ストーリーを3.5から4.5に。キャラは4.0から4.5に。作画・声優・音楽は評価変えず。
 


 以下 1回目のレビューです。

 泡と渦は破壊と再生。未来の人魚姫は綾波レイ?

 ネトフリにやられて悔しいですが、迷いに迷って再び会員に…うーん。まあ、先に結論をいうと悪評が多かったですが私はかなり面白かったです。ですので、良しとしましょう。ということで1回目視聴しながらの感想です。

 新海誠との類似性の指摘もありますが、どちらかといえば、本作の映像的な見どころは構図の取り方だと思います。そして映画的な意味においてはまったく似ているように見えませんでした。

以下ちょっと項目ごとに整理してみました。

{netabare}ディストピアもの
東京ですから過去例は沢山あります。こういうSFの場合、舞台設定なのかテーマ性があるのかが問題です。

 小松左京の首都消失やラーゼフォン、アキラなどの類似に見えます。が、私はどちらかと言えば本作は飛ぶこと…重力からの解放、エアギアとの類似性を強く感じました。空を飛ぶ夢というのは不安の表れまたは解放への憧れです。

泡と渦
 バブル…泡がなにを象徴するのか。ぱっと見では経済の崩壊=日本の自信が砕け散ったバブル崩壊=東京が廃墟とかさなります。

 渦が象徴するものは破壊と再生…フィボナッチ数を意識していますので、自然に含まれた法則ということでしょうか。ですが、本作はちょっと禍々しい意味に使ってましたね。銀河=渦は滅びと再生。一番初めに見せていた銀河の集合はボイド構造=「泡」構造という超銀河団、宇宙の大規模構造の世界観ですから泡と渦=宇宙。つまり滅びと再生という意図はわかります。

人魚姫
 出会いの時の「人魚」のセリフと泡を重ねると、人魚姫の結末。つまり風の妖精になるということでしょうね。溺れるところを助けられたし、しゃべらないですし、触ると泡がでる。歌は人魚ではないですが、ローレライを想起します。これは冒頭の20分くらいで読み取れます。と思ったら、普通に人魚姫を本で出しましたね。
 人魚姫=異文明との第1種接近遭遇…コンタクトとかメッセージなだと。知識を得る、しゃべれる…ではなかったですね。そこにフォーカスはあたりませんでした。宇宙意思だと長門有希ですけどね。後述しますが綾波レイとの類似性を感じましたが、心情的な部分では長門有希も入ってたかなあ。

 もう1つ。腕を失ったウタが、抱き合っているヒビキとマコトをうらやましそうに歌が見ていましたね。嫌な予感しかしません。

 つまり、泡と渦という対立構造と人魚姫で、ウタは宇宙の意思ということなんだと思います。


パルクール
 パルクールは立体的な動きですから、肉体回帰と重力からの解放…3次元=リアルの象徴なのかもしれません。
 ちょっと背景のビルですが、アキバ的な萌え映像が廃墟に描かれていましたね。これもちょっとエヴァの結論であるオタクからの脱却を言っていたのかもしれません。
 

 なお、人魚姫の本を出したり、パルクールのルールの説明や親がいないという事をセリフでしゃべってました。これはやらなくても普通にわかります。つまり余計な説明であって、視聴者を信頼していない、という気がします。映画のレベルを上げたいと思うならここは説明しないほうが良かったですね。


エヴァとの類似性
 ジョウロの水やりはスイカになればエヴァの加治さんですねえ。そういえばヒロインの青髪=人ならざるものはエヴァを想起します。重力異常の映像などシンエヴァの影響が感じられます。第2次降泡?(コウホウ)現象。東京の水没。
 なんといっても最後綾波レイは自然とのふれあい、人間の生活を知ってそして消えて行きました。(ニワトリ追いかけてましたね。農業のシーンと重なります。)
 ウタが象徴するものは非常にシンエヴァの綾波に近い気がしました。

{/netabare}

雑感
 本作の廃墟は映画の流れで言うとどうでしょう。
「君の名は。」のように東日本大震災を象徴しているのではないと思います。環境破壊の「天気の子」はあるかもしれません。でも私はどちらかといえばシンエヴァ…3次元への回帰。つまり恋をせよということ。そして文明と経済という価値からの脱却だとおもいます。

 音に過敏ということは人と違うということ。生きづらい世の中をバブルが救ってくれた。静かな東京つまり文明からの脱却で居場所が出来た。道具を持ったアンダーテイカーに勝つということは肉体への回帰ということ。ボーイミーツガール…コミュニケーションで心が芽生える。

 アンダーテイカー=墓堀りですね。既存の価値観にうずもれて行く。機械に頼る。経済重視。勝つための手段を択ばない。動画に投稿すアピールする。未来がないということ。現代的な価値観の否定ですね。

自主性重視。大切なもののために命をかける。

 草食化とポリコレで恋愛が出来なくなった。触れる事が出来ない男女。アナユキではないですね。肉体で触れ合えない。純粋な恋ですけど悲劇でもあります。シザーハンズとか死神坊ちゃんと黒メイド的かなあ。

 そして、自信を失った日本は経済や文明という既存の勝ちから離れることで居場所ができる。

 まあ、ちょっとBL的な演出が余計かなあという気もします。

 新海誠が「君の名は。」で、2011年の東日本大震災でいままでの世界系的な物語や別れによる涙を否定しました。「天気の子」で東京の終わりと「青春の衝動」を描きました。
 ここにシンエヴァ的な2次元からの卒業=3次元へ。

 本作は東京が終わった後の新しい価値観はなにか?経済と文明ではなく肉体と自然への回帰。そして女の子を迎えに行け…というふうに理解しました。

結末
{netabare}  人魚姫である以上結末は必然でしょう。風の妖精=自然と溶け込んだということだと思います。いつかまた会おうは、ヒビキが宇宙になるときなんでしょうね。
 ちょっと我慢してましたけど、最後のウタのカップでうるっと来てしまいました。うーん。最後並走していたあの泡がウタっぽい演出でしたけどあれはちょっと余計だったかなあ。{/netabare}


 作画はもちろんこのレベルの映画ですからほぼいう事はありません。演出はViVyぽかったですね。


 欠点としては、ストーリー内の時間の幅が短くて、ちょっと壮大感がなかったですね。あとウタへの感情移入できるエピソードがせめてもう1個あればなあ…。

 いろんな映画のオマージュは沢山ありますが、それは現代においては仕方がないです。けど、少なくとも新海誠の下手な模倣ではないと思います。ストーリーは面白いし、テーマ性もアップデートしていると思います。

 映画見ながらレビューしたので、ネトフリ会員中にもう1回見ると思います。




で、追記です。2回目…とはいっても気になった部分を重点に。

{netabare}  テーマ性は1回目のレビューの通り。整理すると、東京の喪失=失われた日本の30年。経済、文明で日本は廃墟に。
 虚業である動画配信や2次元コンテンツがはびこる。個人のメシや必需品=経済に支配されてその戦いに明け暮れる。
 東京タワー=昔の日本、東京の象徴の破壊から始まる

 破壊と再生=渦と泡…宇宙の理が入った感じですね。

 パルクール=3次元=自由。価値観からの解放。2次元からの脱却自然回帰。というか何か新しいものを見つけようぜ。

 ただ、工事現場を描いていました。そしてエンディングで日常に溶け込むウタ。うーん。未来の東京はまた逆戻り?それとも新しい東京を作るということ?あの画面は意味が分かりづらかったですね。


 2回目みて思ったのが、東京タワーで怒りに触れた…というよりウタとの出会いな感じなんでしょうか。あのあたりが言葉足らずですね。ウタ=歌とヒビキ=聞くことができる、と言う名前からいって2人はあそこで出会っと見るのが映画的文法の気がします。

 ただ、そこは宇宙のなんらかの存在であるウタがなぜヒビキのところに来たかが説明不足です。
 ここに意味性があるかどうか。未来の人魚姫=綾波プラス長門が消えてなくなる部分。2次元からの解放ではあると思うんですけど、それだけか。なぜ東京なのか。東京が世界で最も歪んだからか。

 最大の欠点はやはりウタが描けてない。ウタとヒビキの心を通わせるエピソードが弱いです。冗長な部分があるのでカットすれば時間をそんなに変えないで、エピソード作りができたはず。

 この2つ。ウタとヒビキに関して設定的な出会いの理由と、ストーリーの骨格としてのラブストーリーが弱かったと思います。

 ということでちょっと評価は下げておきます。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 19
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

【コメント辛目】若者の無茶を危険だと止めずに見守るのが大人の役割

劇場版公開前に武田 綾乃氏(『響け!ユーフォニアム』原作小説など)のノベライズで物語を押さえた上でのドルシネ鑑賞。

【物語 3.5点】
アニメーションの力を信じる余り、説明を削ぎ落とし過ぎて、鑑賞者が落下(フォール)する恐れ。

プロデューサー・川村 元気氏が荒木 哲郎監督作を一般層にも認知させたいと立ち上げた企画。
「降泡現象」により重力崩壊&水没した東京を舞台に、
近年のアクション映画で定番となったパルクールを、
より過激に競技化した「バトルクール」を軸に鑑賞体験をアトラクション化し、万人受けを狙う。

その上に現代版『人魚姫』を展開するが、
脚本・虚淵 玄氏によるSF設定の根幹も、主人公&ヒロインが恋に落ちる過程も、
言葉にせずにアニメーションで伝えようとするため、
一般受けを目指しながら、結局、何気ないカットから考察するマニア層じゃないと喰らい付けないミスマッチ感。

例えば泡(バブル)の正体についても……(※核心的ネタバレ)
{netabare}バブルは歌のネットワークで繋がったシャボン玉型の地球外生命体。
泡群体全体で一つの意志を共有した生命を形成。
宇宙を漂い、進化し過ぎた文明、生態系を発見しては浄化(リセット)し、宇宙の均衡を保つ。
調整者の役割を感情を有さず淡々と担う。
泡一つ一つは生物の細胞のような物で本来自我はなかったが、
その中の一つの泡が東京タワーにて泡群体の歌を捉えた少年・ヒビキを意識し自我と感情が芽生えヒロイン化(後にウタと呼称)。
ヒビキにいなくなって欲しくないウタは、泡群体の「お姉さま」たちに浄化の執行を猶予してもらう。
が、ウタ自身も、自我と感情いう“エラー”を生じたガン細胞みたいな物で、抹消の運命にある。
が、ラスト、{netabare}ウタは泡群体に自らの意志の優先を認めさせ、ヒビキと人類を残す判断を泡群体全体の意志に書き換える。(赤泡→青泡。バブルと人類の共存){/netabare}{/netabare}
などと小説版では詳述されますが、劇場版では映像での示唆が大半。

【作画 4.5点】
アニメーション制作・WIT STUDIO

浮遊する瓦礫や列車を飛び回り、時に足場が崩れたり、
泡(バブル)に至っては、踏んでみるまでどの方向に重力が働くか、弾けるか分からないスリル。
さらに水面に落ちたら生きて帰れない渦潮「蟻地獄」。
そこをパルクールでとなると高度なカメラワークが必須。
が、ここはWITも勝手知ったる立体機動。
自主練でスキルを積み上げたヒビキ、猫を彷彿とさせる野生児・ウタとスタイルを描き分けつつ、
東京のビル群をかいくぐる「バトルクール」映像はスクリーンで体感する価値あり。

ヒビキ&ウタが一言も交わさなくとも、共にパルクールで汗を流す内に、
恋に落ちていくアクション動画も、アンテナを張った人には感知できる。


泡(バブル)、球体、細胞、目玉焼き、星々、泡宇宙。

渦、巻き貝、ヒマワリ、ブラックホール、銀河系。

相似形による考察材料の明示はできているので、
誘導に従い思索すれば、方向性は間違えないとは思います。

【キャラ 3.0点】
水没した東京に不法滞在し「バトルクール」に興じる若者たち。
それは外の世界での生き辛さ故。

が、その若者たちの生き辛さに具体性が乏しく共感度がイマイチ。
唯一、主人公ヒビキについては、{netabare}街の喧騒が耐え難い程の聴覚異常からの母との離別{/netabare}と回顧されるが、
生き辛さというより、先天性疾患からくる特殊例という誤解が生じやすいキャラ設定。
注意深く見ればラスト……{netabare}復興工事により東京に喧騒が戻る中、ヘッドフォンを外したヒビキ{/netabare}から、
ヘッドフォンも外部の音を遮断するというより、
周囲とのコミュニケーションを絶つためのツールだったと察知はできますが……。

若者たちの乱心を「バトルクール」の競技ルール整備を通じて発散させたのが
元カリスマ・パルクール競技者のシン。
レビュータイトルは若者の無謀を見守るシンの語りから。
マコトさんとの会話シーンは小説版だとさらに深いのですが、
劇場版では最低限のやり取りに削減。う~む……w

【声優 3.5点】
メインは俳優タレント陣。

脇は宮野 真守さん、梶 裕貴さん、畠中 祐さん、千本木 彩花さん。
荒木監督作品の主役声優同窓会の様相。


ヒビキ役の俳優・志尊 淳さん。
自己表現が苦手だけど、詰まった心情が滲み出る声色を最大限活かそうと、
クライマックスの収録にて、実際に{netabare}床に散らばった泡を集める{/netabare}動作を入れながらアフレコするなど、
俳優としてのチャンネルから演技力を引き出そうと苦心。

ウタ役のシンガーソングライター・りりあ。さん
演者とEDも含む歌い手の一致。
さらに声優初挑戦の彼女が演技を体得していく過程と、
野生児から言葉を覚えていくウタちゃんの生態とのリンクを狙った思い切った抜擢。

その他、マコト役の広瀬 アリスさんも大人の味を出そうと奮闘してはいましたが……。

正直、例えば主演・畠中さん、ヒロイン・千本木さんの『カバネリ』夫妻じゃダメなんでしょうか?
との私的欲求を払拭するまでは至らず……。
千本木さんのウサギ役の少年ボイスが明快で、マスコット感が良好だったので尚更そう感じました。

【音楽 4.0点】
劇伴担当・澤野 弘之氏。
相似形を並べる作画同様、シンプルに4音で構成された学校のチャイムから発想したという
泡(バブル)のハミングをメインフレーズとして各楽曲、楽器に割り振り一貫性をフォロー。
長尺パルクールでは、適宜、楽器パートを抜いたり付加したりしながらメロディを繋ぎ、没入感を持続。

劇場版OP主題歌はEveがUta(りりあ。さん)をゲストボーカルに迎えた「Bubble」
トランスをアレンジした疾走感溢れるメロディの中に物語の核心を捉えた歌詞を乗せる。
動画配信中のAMVの作品要約が優秀なのも相変わらず。

ED主題歌はりりあ。さんの{netabare}「じゃあね、またね。」{/netabare}
本編完走してから曲名知って欲しい気もするので敢えて伏せておきます。


【感想】
鑑賞中、大人たちが若者の無茶に向き合う関係性を見ていて、
日本の都市における子供の遊び場、公園の少なさを嘆くニュースを思い出しました。
泡(バブル)は最後、{netabare}異端児を新たな自我として許容し新生しました。{/netabare}
共同体に冒険する異分子が発生した時、受け入れて新陳代謝できねば社会はやがて壊死する。
破壊と再生の物語から、そう問われているようにも感じました。


【余談】
本作もまたコロナ禍により難航した企画。
緊急事態宣言で東京の街中から人が消えたのも、東京五輪の感染対策にバブル方式が採用されたのも本作の企画後。
ついでにEveが『呪術』OPで一発当てたのも本作タイアップ決定後だったそうで。
現実の数奇を感じるエピソードです。

それよりも私は、アニメーションによる伝達能力の過信、相似形多用による迷宮入りのリスクなど、
川村 元気氏が新房 昭之監督作品を一般層に紹介し損ねた印象の『打ち上げ花火~』のデジャブが(苦笑)
私も小説版先に読んでなければ危なかったと思いますw

投稿 : 2024/11/02
♥ : 23
ネタバレ

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

泡沫の夢

東京が泡に沈んだ話

もちろん楽しみにしてました。と、いっても作画も主題歌も声優も監督も見てなかったのですが、なにより劇伴が澤野弘之さん!!!!!!!!(強調)
普段全くと言っていいほどヨウツベを使わなく、今現在私が登録しているのは「澤野弘之」「ガンダムチャンネル」「プラバン」の3つです。それくらい好きな澤野弘之さんが劇伴を担当される、ということで「よっしゃじゃあ見てやろーじゃないか」
結論から言いますが、「澤野弘之さんの必要あった?」もちろん澤野弘之さんだからこその効果も十二分ありましたが、正直キルラキルやプロメアの様なド迫力なバトルもなく、UCや進撃の巨人の様な壮大な場面もなく、澤野さんでないといけない!みたいなのは感じ取れませんでした。

まあ劇伴だけで作品を語っちゃいけないですから、これからは内容にも触れます
正直そこまで好きじゃない。別に嫌いでもないですが、神かカスか問われれば迷わずカスの方を選択するくらいには面白くなかった。
主人公の成長物語ともとれるし、パルクールアニメともとれるし、社会的構図を模している(後述)ともとれるし、人格的要素(後後述)ともとれるため、多角度から見れる作品、といえなくも無いがそれのせいで内容がひっじょうに薄い。意図的に普遍を作ったのでしょうが、個人的には刺さらず、表現方法としては褒められるものかもしれませんが、物語的な面白さで言うなら下。
ピカソの「女」の表現の面白さは理解してもだからといってあんな高額な理由が分からない(個人談)のと同じ感じです。最近の絵師の構図とか何も無いただのイラストの方が価値があると思う(個人談)のと同じですね

そこまでお勧め出来ませんので暇な方は澤野さんの名前だけ覚えて見てください

{netabare}
謎の泡により物理法則がめちゃくちゃになった東京にて命懸けのパルクールで賭けをする主人公は少女(ウタ)に命を救われる。なんやかんやで人として成長した主人公はウタが泡現象の元凶故にの中心地へ行ったと聞き、ウタを取り戻し、泡現象を終わらせる。同時に元凶であるウタも消失したが主人公は今もパルクールをしている

あんだけやっといて結局「少年が世界を巻き込んで成長をした」という何とも新海な作品。いや新海誠は全く関係ないんですけどね。

(個人的に)非常に薄い(と感じた)内容ですが、考察がしやすい作品だったかな、という印象。上手く言葉に出来なかったのですが、nyaroさんのレビューが非常にわかりやすく言語化してくださっているため、是非ご覧ください
https://www.anikore.jp/review/2238363/
{/netabare}

澤野弘之さんと作画を見に行きました

投稿 : 2024/11/02
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