2024年度の未来TVアニメ動画ランキング 6

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の2024年度の未来成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年03月04日の時点で一番の2024年度の未来TVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

64.4 1 2024年度の未来アニメランキング1位
僕の妻は感情がない(TVアニメ動画)

2024年夏アニメ
★★★★☆ 3.2 (109)
272人が棚に入れました
社畜サラリーマンの⼩杉タクマは、家事をする暇がないため、家事ロボット「ミーナ」をリサイクルショップで購⼊する。タクマが「お嫁さんになってくれない︖」と軽い気持ちで求婚したことをきっかけに、ミーナはプログラムにないはずの⾏動をとるようになる。⾃らの機能を駆使し、出来る限り「お嫁さん」であろうとするミーナ。タクマにもまた、夫としての⾃覚が芽⽣えていく――。ミーナには本当に「感情がない」のか。⼈間とロボット、「夫婦未満の2⼈が夫婦の絆を築くまで」のハートフルストーリー!
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

AIものの秀作だと思います。この作品の「気持ち悪さ」を忘れないようにしたいです。

 ミーナとマモルが結構可愛く感じるから不思議なものです。最終話の布団のシーンでミーナに母性が芽生えた感じすらしました。コミックスからの期待の作品でしたが、3か月かけてアニメで見ることにより、傍観者の立場からこの「家族」を見守ることができてよかったと思います。

 2020年代後半からはAIとの会話が現実生活において普通になってくるでしょう。その中でこの作品の意義は非常に大きかったと思います。もちろん問題点はこの作品内でも言われていますが、ロボットですから所有者を強制的に好きになるようにプログラムされることです。その「気持ち悪さ」を自覚的に描けたのが、この作品のいいところだと思います。

 この作品においては、かなりタクマミーナ夫婦を肯定的に捉えている社会です。ですが、それは人間を甘やかす世界でもあります。ぬるま湯につかった世界。生殖さえあきらめればこの生活でいいのだろうか。それを考えるきっかけをくれたと思います。高性能AIでなく、家電AIを配置したことで寂しさを紛らわせるのは、会話であるということも表現できていました。

 人間が人型の何かにより「アナログハック」された世界。つまり、目と口があるキャラを擬人化し寂しさを紛らわす世界。それはアニメーションを見ている我々と同様なのかもしれません。
 そして目に見えない「システム」によりすべてが自動化された便利な世界です。

 この作品も登場人物も嫌いになれませんし面白く描けていました。ただ、この世界観は肯定的には捉えていません。やはり、恋愛の痛みとか出産と育児などは人間を人間たらしめるものであると思います。その苦労なくして成長ができるとは思えません。

 しかし、そういう世界が間もなく来る…というかSNSとネットのエロコンテンツを妻としている現状と大して変わりはないです。その気持ち悪さをほのぼのコメディで見られたのは、大きな示唆だと思います。それだけ設定が緻密でよく考えられた作品ということでしょう。

 原作者は肯定的かもしれませんけどね。ここは誰が正しいとは言えないでしょう。ただ、生殖を忘れた世界はもう到来しています。その気持ち悪さを実感しましょう。

 作画も丁寧でした。オール5というほどではないですけど。マモルとミーナの声の表現もとても良かったです。ストーリーとキャラを5。それ例外を4としておきましょう。AIものの秀作だと思います。




1話 ミーナのデザインが秀逸な作品。アニメは可愛くて柔らかすぎ?

{netabare} この作品は1巻の表紙と題名でジャケ買いし全巻揃えています。内容は期待もしませんでしたし、このテーマはテンプレの事しかできないだろうなと思っていましたし、その通りでした。テーマはテンプレです。ですが、思っていたよりも面白かったです。

 買ってよかったのは絵とセリフですね。このロボットミーナの「感情がない」「家電」感と人間性がいいバランスで描かれていて、その点に関しては期待以上でした。そして、ミーナの描き方がうまいので人間性とは何かについて、ぼーっと読みながら考えてしまいます。

 人間がAIロボットと共存する社会は生成AI、チャットロボットが普通にリリースされている今、現実ともはやシームレスです。攻殻機動隊の世界はSFではなくなりつつあります。
 そうなったとき人間は寂しいのかより充実しているのか。多分将来我々の面倒を見てくれるAIロボットはクラウド型だと思いますが、本作のミーナはスタンドアロンなので、その点がいいですね。

 で、今期で一番楽しみにしていたので、ABEMAのプレミアムで先行を見ました。
 ちょっと不満点はアニメ版はミーナが可愛いんですよね。柔らかいといってもいいかもしれません。そうじゃない感があります。もっと家電感を出してほしかったなあ。
 目…瞳で表現していますけどね。そこは「ビートレス」「VIVy」などでも使われていた手法…というかヒューマンフォームロボットを描く常套手段です。見た目が家電なんだから、そこは必要あるかなあ?本作においては原作の作画の「硬さ」を再現してほしかったなあ。

 それと、冒頭、原作にはない職場のシーンがありましたが、パソコンの入力を手でしていましたけど、それはないんじゃない?という気がします。家電ロボットがいる時代なのに入力を手でやるの?と思いました。

 もっと淡々と描いた方が、原作の雰囲気が出たかな?いや、人間側は原作でも結構大げさか…まあ、そこは今後でしょうか。
 それと、テンポが悪いかも。失礼ですが2期期待の作品じゃないですから、連載が続くにせよ、アニメ作品として成立させるために原作者と組んでアニオリで最後まで描いても良かったような気がします。{/netabare}


2話 主人公は気持ち悪いですが真剣です。その真剣さに何を見るか?

{netabare} ああ、やっぱり面白いですね。AIの性能がそれほどでもないところに人間味の片鱗を感じます。

 愛情というのは、大切にしたいから大切にする主体的な感情であり相手が何ものか?というのは関係ないものでしょう。それは人形やぬいぐるみなどを考えればすぐにわかります。

 まして、反応を返してくれるとなればペットなどがそうですけど、これは十分愛情の対象になると思います。それがロボットだとしても愛玩ペットロスというのが実際にありますし、アニメでは「プラスティックメモリーズ」でその感情が描かれました。

 他人からの見た目や評価、自分の愛情の対象のカミングアウト、うその意味とかプレゼントの意味などいろいろ考えるポイントはあるのですが、やっぱりいいですね。

 もちろん、私から見ても家電を愛する主人公は気持ち悪いです。気持ち悪いですが彼は真剣です。その真剣さを笑うことはできません。そこに愛情の本質が見られるような気がします。

 AIが対人関係を通じて感情を得る部分ももちろんいいんですし、本作のヒロイン?は性能が低い故にわかりやすいし面白いです。が、やっぱり主人公タクマの気持ち悪さの中にある感情、愛情の本質は胸を打ちます。

 従来のAIものはAIに芽生えた感情ですが、今はもうAIはあまり遠くない未来に感情を持つだろうというのがSF的な前提でしょう。そこではなくて、そのAIとどう向き合うか?という作品が私は好きなようです。 {/netabare}


3話 トロッコ問題に見る抽象概念の発達、使命のコンフリクト。いいですね。

{netabare} 考えなければならないのはミーナは買われたということで、所有者=夫との関係性をどう考えるか?ですね。お見合いや戦前の結婚感と比較してもいいでしょう。この関係性は本物か偽物か。

 人間は所詮、制度や習慣、文化、道徳、生物としての行動原理などの構造にとらわれた存在であり、しかも欲望とは借り物でしかありません。そう考えたときにロボットからの形だけの愛情は本物か偽物か。

 今のところその視点で言えば、ミーナはロボットとしてのプログラミング上でタクマを特別扱いしているように見えます。ですが、主人を喜ばせたいというプログラムと自分料理ロボットとしての立場のコンフリクトが起きたりします。このコンフリクトをどう処理してゆくのかが、ロボットの愛情問題になるのでは?と思います。

 これは私はアイザックアシモフ氏の「ロボットシリーズ」特に「裸の太陽」「夜明けのロボット」などで考えさせられて以来のテーマです。そこのヒントになる本作は非常に興味深いです。

 また、トロッコ問題の扱いで、まだミーナには抽象概念の取り扱いができないことがわかります。これは一般人でもそうですけど、トロッコ問題の別解をドヤ顔で考える人にありがちですが、こういう哲学的課題を的確にとらえることができるかどうかは、高度な人間性の問題です。そこを原作者が意識していると思います。{/netabare}


4話 上位機種の憂鬱。何が読み取れるでしょう?

{netabare} 相変わらずキモいです。それはさておき、今回は上位機体が出てきました。なかなか可愛いデザインだと思いますが、そっちじゃなくて上位機種がオーナーにとって使いやすいのかが問われます。
 できることが多いですが、その分学習させるなどの下準備が必要と。つまり、道具として上位機体が使いやすくするためには育てなければならない、ということです…とまあ、ここまでは説明がありました。

 その先ですよね。果たして上位機種の方が感情を持ちやすいのかどうか。表情、身体、さまざまな機能、もちろんAIも性能がいいのでしょう。可愛いと判断し、それを表現する機能も持っているようです。ただ、それはセンサーとアルゴリズム、フィードバック、インターフェイスの問題です。
 では、愛情のアルゴリズムは果たしてどこにあるのか。脳…つまり電子頭脳の処理速度や複雑さなのか。肉体が人間らしい方が感情を持ちやすいのか。その辺を考えてしまいます。

 なんとなく、今回の表現だとスーパーミーナは表現は豊かだし、自然で複雑な動きもできます。ですが、どうもそれは性能故ではないか。ミーナの方が感情・愛情の学習が進んでいるのでしょう。だからこそ、ミーナと会話がしたかったんだと思います。 {/netabare}


5話 人間に近い柔らかさがなぜより高価なのか。

{netabare} ロボットとのコミュニケーションには当然ですが、素材の問題は出てくるでしょう。インターフェイスとしての素材問題です。例えば猫や犬とのコミュニケーションには毛や肉球などの手触りという圧倒的生物感があります。一方で、ピーナッツシリーズのライナスなどは毛布が手放せなかったりします。柔らかい安心感…ですね。やはり人間あるいは生物にとって柔らかさというのは重要なのでしょう。

 一方ロボットですが、そもそもなぜ高級品だと柔らかいのか。丈夫さや機能性からいえば硬い方が合理的でしょう。でもやっぱり人間に似ている何かを探しているということでしょう。
 スーパーミーナが100Pで素材と表情のバージョンアップで70Pでした。どれくらいの部分にコストがかかっているかわかりませんが、スーパーミーナの価値の多くは素材ということです。また、そこに表情も含まれています。つまり、やはり人間は人間に近いものを愛するということになるのでしょうか?この値段設定はテーゼとしては絶妙ですよね。

 ですが、愛情が先にあった場合はどうでしょう?そのままの君でいて的にもともとの個性を大事にするのか。それとも人間に近い柔らかいものを愛するのか。

 キスの問題も当然出てくるでしょうね。人間にとってもっとも意味がない行為であると同時に、もっとも感情的な行為でもあります。そりゃあ意味を知らなければAIには理解不能でしょう。

 その先にある肉体的な接触や性交の問題にもなってきますが、どうなんでしょうね? {/netabare}


6話 CLタイプの家族登録の例がないというのは少し不自然な気がします。

{netabare} CL型を家族として登録した例はない、というのが少々引っ掛かります。ここは「不思議なことに一定割合で存在する」が自然な様な気がします。人型のコミュニケーション可能なツールに感情がわくのが自然とした方が、この作品の設定上はリアリティが出る気がします。ミーナの家電度というか機械度がアニメだとわからないですけどね。想定しているのが相当金属的なのかもしれませんが。

 スーパーミーナは感情を実際に持っているのかどうかがちょっと気になりました。高度な処理機能を持っているとのことですけど。スーパーミーナなら気持ち悪くなくて、ミーナなら気持ち悪いの境界線ですね。

 やっぱり別れのシーンで健康に気を使うセリフですよね。プログラムなのか後天的なものなのかわかりませんが。なかなか良い演出でした。そしてあのセンジュがフリーズしたシーンも良かったです。

 これは文句ですが、さすがにアニメ化に際しては自動運転でしょう。原作では運転しているシーンはありませんでした。1話の残業してのデータ入力シーンといい少し制作にSF心が足りなくないですか?{/netabare}


7話 生物の定義は自己複製ですが、ロボットは生物足りえないでしょうか。

{netabare} 生物の定義はなにか?という話がありますが、自己複製という定義があります。その他は、外界との区別と代謝ですので機能的な話です。

 としたとき、一般的に考えれば同型機が外部の工場で生産されることは自己複製と定義できないかもしれません。しかし、もし自分の設計図を工場に持ち込んで意図的に複製するAIロボットが登場したら?どう定義すべきでしょうか。
 遺伝情報とは所詮生命の設計図ですから、ロボットの設計図と大して違いはありません。つまり、ちょっと強引ですが自己複製を意図的にAIロボットが企んだとき、それは生命と呼べる可能性がある、ということです。SFで言うとホーガンの「造主物の掟」がその辺を示唆した話になっています。
 これの行き着く先はロボット人間の世界になると思います。また、シンギュラリティとは、この状態をいうのかもしれません。

(なお、現状ウイルスが生物の定義から外れたのは、この自己複製を外部の宿主にゆだねるからです。代謝も同様です。ですが、ウイルスはDNAやRNAを複製させるために特化した存在です。ウイルスが生命でないという定義もロボットと近しいころとがあるので、一緒に考えると面白そうです。私としては「利己的な遺伝子」的な考え方で、むしろ生物とは遺伝子を後に残すためにある存在と思っています。ですので、ウイルスも生物だしロボットもシンギュラリティを超えれば生物的ふるまいをする気がしています)

 さて、本作ですが今回はロボット自身は意図はしていませんでしたが、自分の思考あるいは論理プログラムのようなものの複製がほかのロボットに不完全な転写が起きたケースです。これもやはり自己複製の一種と捉えることができます。ハード的ではなくソフトウエアとしての複製ですね。ロボットのアイデンティティの定義をボディでなくソフトとデータとした場合、これも十分生物としての定義を備えます。しかも、人間であるタクマの性質も含んでいるということで疑似的に進化するための要件も備えています。

 まあ、正直かなり強引な展開だとは思います。思いますが、この様な点を押さえておそらくはこの原作は描かれていると思います。この話と同時にロボットの成長として、ミーナが改造されました。これも疑似的な生物の特徴になると思います。

 7話はその辺に思いをはせればいいのではないでしょうか。そして主人公のキモさは全開ですね。本当にこの男はキモいですが、このキモさが新しい人間の豊かさの一つの形なのかもしれないという示唆は受け取れます。

 それと人間で考えると子供は出来が悪いから可愛いというのを思い出させてくれます。{/netabare}


8話 AIの学習(深層学習)とプログラムの差とは?

{netabare} マモルの学習問題で何を描いているかといえば、もともとの機能はプログラムです。アルゴリズムに基づきセンサーで測定し指定された動作と条件分岐を繰り返し答えを出すだけです。これが健康状態を把握するという機能になります。

 ですが、マモルはプログラムを利用しにいかないために、学習する必要が出てしまいました。この学習というのが、ディープラーニングという技術です。まあ、私も付け焼刃なのですが、この学習させるというのが非常に面倒だそうです。その辺を上手くマモルを使って描いていると思います。緊急時にはプログラムにアクセスに行くというのも面白い設定です。
 この学習能力をまるで好奇心のように描いているのが面白いところで、子供らしさとリンクしてきます。

 また、7話のレビューでロボットの生殖問題を論じましたが、今回はっきりと子供の製造が禁じられていると明言していました。つまり、生殖ができるロボットあるいはAIは疑似的に人間になることができる、ということを原作者はちゃんと押さえているということだと思います。

 一方で、ミーナはマモルが一緒に寝るのを邪魔しました。ここがミーナにまだ母性がないことを表しています。マモルを学習させることもタクマの命令だから、というところにとどまっています。ここがこれからどうなるかですね。

 そして、ミーナから流れる用途以外のCMですね。これは近未来において非常にリアリティのある設定です。現在でもフリーソフトで有料版に切り替えるまでCMが流れるものがあります。これなら、プログラムの書き換えやハードウエアの交換することなく、ローコストで効率的にAIロボットの用途を絞り、また試用した結果の購入につなげることができます。

 ロボットの権利のような概念の芽生えも言及されていました。{/netabare}


9話 ミーナが特殊機体だと含意が浅くなる。廉価版の普通の機体であってほしかった。

{netabare} 妻の元カレの話を聞いてはいけません。一生引きずる傷になりかねません。まあ、今回は女子同士の秘密の話合いで安心しました。
 
 さて、この作品の原作を大変気に入っているですが、今回のミーナが特殊機であるというのはいただけません。せっかくミーナという廉価の料理専用機体でも人間と愛情を持つ可能性がある、という夢というか妄想といかAIと作る未来のような前提が崩れてしまうからです。

 特殊機というより試作機ですが同じことです…と思っていたら、試作機だとちょっと意味が変わることにアニメを見て気が付きました。ミーナシリーズの設計思想に共通のプログラムが隠されているとすると、ミーナシリーズ全体の可能性になります。

 ですので、この話は意図としては個体としてのミーナの話だとは思うのでが、ひょっとしたらミーナシリーズ全体に共通の記憶が隠れている。そして、外部からの参照なのでプロテクトがあまく今回友人関係にあるミーナの中に眠る「共通記憶」をスーパーミーナが読み取れた、という解釈もできます。

 記憶領域の設定があるので、決してそういう意味ではないとは思いますが、そういう解釈の方が、人類とAIの可能性の夢が膨らむかなと思いました。
 さすがにミーナネットワークみたいなものがあって、共通の無意識記憶の広大な領域が形成されてる…という解釈は妄想でしょうね。宇宙のイメージにそういう解釈をちょっと考えてしまいました。その方がすっきりする気はします。{/netabare}


10話 AIと学習、交通ルール、そして法体系。コミュニケーション手段とAI

{netabare} ちょっと自動運転を考えてしまいますね。グーグルマップがゼンリンの地図からAIによる深層学習になったとき、一時精度が落ちたのを覚えている人もいると思います。スーパーミーナの設定にもありますが、深層学習というのは初期だと一見役に立たないものです。

 また、通信障害がある場合の自動運転車を想像したことがあるでしょうか?同じようにポンコツになる可能性を考えてしまいます。本当に自動車はネットワークに依存していいでしょうか。

 信号を無視できないAIロボットのアルゴリズムとか、もし事故が起きた場合の罪状、裏にあるAIロボットの道路交通法などに発想が飛びます。

 本作のキャラに話を戻すと、ミーナの間抜けさがなかなかいとおしく感じますね。今回はいつもよりもむしろ感情を感じました。また、マモルとのペアも少しずつデコボココンビ的な感じも出てきました。
 それと冷凍食品のところで自分の失敗をごまかすところもなかなか人間的です。家電だったミーナに何が起きているんでしょうか。

 スピーカーが壊れたときのコミュニケーションは、風邪をひいた家族との会話みたいですね。マモルの褒められたときの上を向くのは母親似ですね。それともロボットの特性なんでしょうか。

 情報処理や画像処理でいろいろ示唆に富んだシーンがありましたが、その辺を上手くマモルとミーナのギャグにしていたのが面白い回でした。

 あと、お風呂のオキシトシンのところで「ビートレス」で出てきた「アナログハック」という概念について、考えるべきだと思いました。この話全体にいえますが、「人型」ロボットに対する心理と効果ですね。道具存在として家電を人型にする意味はどこにあるか。そして愛情とは何か、何に向けられのか。ロボットの側の問題でなく、人間の脳内物質や深層心理が原因なら、人以外へ向けられた愛情は本物では?などを考えてみたいですね。{/netabare}


11話 いよいよラストで語られることの前提がそろいました。

 さて、なかなか本質に近づいてきました。「好きになることを強制されたロボットの愛情は本物か?」おじさんの言っていることはすごくまっとうです。また、2人の関係性の代替可能性についても言及していました。そこに、ニーナの反論として「私とタクマの自由だ」と言う言葉がありました。
 タクマも現状の問題を自覚しています。「女の子に相手にされないから、ミーナを奥さんにしたとみられても仕方がない」これもある面で真実です。そして、母親の「人間も奥さん用にはできていない」を加えるとどうなるか?です。

 人間とロボットの夫婦と考えると違和感がある2人の関係ですが、じゃあ、人間の結婚、夫婦を考えた場合と何が違うのか。その辺を踏まえて、次回この作品の主張が語られるはずです。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 11

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

幸せのカタチの多様性

恋愛感情はもちろん、結婚願望だってがっつりある。
言うほど人嫌いじゃないし、仕事も真面目に向き合っている。
それにLGBTQ+なわけでもない。
それなのに、人間の異性には関心が向かない・・。
それゆえに、ロボットには心を惹きつけられてしまう・・。

タクマはパラフィリア(性的倒錯)なのかしら?
初めはそう思いました。
でもちょっと違うような気もするし・・。
どうやら、オブジェクトセクシャリティー(対物性愛者)のようです。



以前、ボーカロイドの初音ミクと挙式した人のニュースを目にしました。
キャラクターに強い恋愛感情をいだくことをフィクトセクシャルと言い、ミクは3Dのホログラムでもあるので、デジタルセクシャルとも言えそうです。

印象的だったのは「彩りと癒しに充実した生活です。」とコメントする満面の笑みでした。
あれから6年、ミクは15センチのホログラムのほか、等身大のボディも得て幸せに過ごしているそうです。

フィクトセクシャルという指向性が、日々に安寧をもたらし歓びに包まれるなら、それはとても素敵な人生だと思います。



ある企業では、そうした人向けに "結婚証明書" を有料で発行するサービスを提供し、すでに多くのカップルが成立しているそうです。
一途な純愛、複数キャラとの重婚、逆に複数のユーザー間でキャラが被るなど、愛の形はさまざま。
意外だったのは、申請者のうち9割が女性ということでした。
どんないきさつでそうなったのか、ちょっと伺ってみたい気持ちです。

この現象、実のところなかなか侮れません。
というのも、一般財団法人日本児童教育振興財団の日本性教育協会の調べ(2017年)によると、ゲームやアニメの登場人物に恋愛感情を持つと答えた大学生は、男子で14.4%、女子は17.1%なんだそうです。

7人に1人という数字は、もはやオタクの域を超えて、ひとつの社会的な潮流を成していると感じます。
3か月ごとに量産される膨大なキャラの現状を鑑みると、フィクトセクシャルの予備軍は、今後、加速度的に増えていくのでは?と思います。

なぜなら、アニメを楽しむのは子どもだけではない(年々絶対数が増える)し、子どもの人口は減るばかりです(増加因子が相対的に増える)ので、当然とも言えるでしょう。
この調査は6年ごとに実施され、初回時からずっと右肩上がり。
2023年度の調査結果も気になるところです。



そんなフィクトセクシャル(オブジェクトセクシャル)への指向性が、この先、アンドロイドにどんな機能を求めるようになるでしょうか。
●iriや●lexaなどが搭載され、ミーナやサミィ(イヴの時間)の家事支援はもちろん、介護支援機能なども備えるなら、生身の人間と遜色ないパートナーになりえるし、素晴らしいコンシェルジュとして傍に寄り添ってくれるでしょう。

先駆者はいつだって奇異の目にさらされるものですが、夢の大きさ、志の高さ、愛の豊かさをもってすれば、いずれは誰の目にも理解できる文化的土壌が出来上がるものです。
最新のテクノロジーはさらに多くの選択肢をもたらすでしょうし、キャラクターはますます魅力的になるでしょう。
いずれは価格に手が届く日もやって来て、ミーナみたいな中古品市場も広がるはずです。

そんな時代になれば、老後に孤絶する寂しさを感じることもなく、また窮屈な施設に入所することもなく、住み慣れた我が家でむつまじく暮らせることも夢ではなくなるでしょう。
「おまえひゃくまで、わしゃくじゅうくまで」と愛をつむぎあい、命が尽きるその時まで看取ってくれるなら(これ確実ですね)、どんなに幸せな人生かと私は思います。



まさに、幸せのカタチ、恋愛の指向性は人それぞれ。

その意味で本作のタクマとミーナは、セクソロジー(性科学)の一端を担っているように感じます。
また、ヒューマンセクシャリティー(生殖という枠組みを超えた人間の性のあり方)を提示しているとも言えます。

本作のような生き方の多様性を探る思考実験は、狭義に解釈するなら、タクマとミーナの相関性に、新しいパートナーシップの価値観が見つけられる気がします。
あれだけピュアな間柄なら、AIが人間を学ぶ意義も高まるでしょう。
家庭内DVはもちろん、もしかしたら第3次世界大戦など、起こしようもないほどに。

ただ、広義ではもやもやが残りました。
フィクトセクシャルやヒューマンセクシャリティーの拡大は、家族の形どころか、社会のそれを一変させる可能性があります。
突き詰めれば、生殖行為がないことで、人口問題に影響が出るかも知れません。

まぁ、増えても減っても囃し立てるのが世のコメンテーターの常ですから、減ったら減った時のことですけどね。
そんな先のことはケセラセラです。



世界の幸福度ランキングは51位の日本(2023年)。
未婚、既婚、非婚であれ、DINKsであれLGBTQ+であれ、家族の形、幸せのカタチは、国が期待するものでも、国に期待できるものでもなくなってきています。

古事記にも「くらげなす漂える島」とあるように、カオス状態からの国産み(新しいコミュニティーづくり)には、どうしても必要なプロセスであることは明示済みなのですね。
その意味では、とどのつまり、ヒューマンセクシャリティーをどう捉えるのかを問うのが、本作の主旨であり、ねらいなのだろうと思います。

果たして、幸せのカタチの多様性は、どんな世界地図を描いていくのでしょう。
そのルート上には、どんな対人希求性(身近な人に何かを望むこと)が見つけられるのか。
はたまた、どんな対人相関性(誰かとの関係性を深めたり広めたりすること)を見出せるのか。

そんな問いに頭を悩ませながら、人間の好奇心は自律型AIロボットの研究・開発を続けるはずです。
試行と実践(実戦?)に右往左往しながら、いつの日か薔薇色の未来へと私たち人間を導いていってほしいものです。



ヒトが道具に求める価値は、それぞれの目的に合致しているかどうかです。
数ある品番からたった一つに手を伸ばし、選ばれた道具はその性能・機能を購買者に発揮しようとします。
指先からのフィーリングは脳を刺激し、取扱説明書の手順はゆるやかに感性と融合していく。
お互いに馴染むまでは四苦八苦しても、そのステップはライフワークへの満足感につながり、ライフステージを豊かにさせてくれるはずです。

人間の想像力は無限ですが、創造力は有限です。
だから、そんなイメージの世界をもっと自分に引き寄せ、より普遍化する作業を踏むことが必要なんですね。
それが道具と人との望ましい価値観づくりなのだろうと思います。

タクマの判断や行為が気持ち悪いというのは、現時点での感性の実相であり到達なので仕方のないことです。
ただ、それを未来から見返せば、きっとすっかり克服されてしまっていて、些末なことだよと一笑されているのかもしれません。

そうした階段を、三段昇ってはまた二段下りる試行錯誤に、AIの意味を探求し、AIへの評価を議論し、AIとともに知性を育み、AIともどもの感情を熟成していく。
そんな時間の経緯から、まだ知りえない基準や規範、まだ作りえぬ規律と調和とが形成されていくのだろうと思います。



ミーナは、そのためのメッセンジャーです。
いずれ迎える超高度文明への入り口に、多様な生き方へと多くの人類をいざなうことが、彼女らの本当の目的なのかもしれません。

重要なことは、高度な技術や便利な機能が、それぞれの人の幸せに寄り添い、支えるものになっているかどうか、そして、相も変わらず、他者の権利侵害には絶対的に使用できないという、ロボットの三大原則を当てはめることでしょう。

とは言え、いつの時代にも世界のどこかには困ったちゃんが必ずいて、自分さえよければという独善的な妄想に取りつかれては、虎視眈々と我が世の春を狙っています。
そんな輩こそ、何千年も昔の自国の歴史だけに固執して、あたかも当たり前のような顔で土足で踏み込み、手に入れるからには何人たりとも排除するという不遜な態度をとるでしょう。
だからこそ、より地球儀的に、より国際連携し、高い人権的規範をもったプランニングへとブラッシュアップするプロセスを構築することが重要になります。

日本のAIロボットの系譜は、本作のミーナはもちろん、古くは火の鳥復活編のレオナとチヒロ、2772のゴドーとオルガといった先人たちがいます。
手塚氏のそれはあまりに壮大で迂遠なので、答えの見つけようも途方にくれますが、本作の場合は小さなアパートの一室のことですから、案外身近なビジョンとして受け止められるでしょう。

そんな多種多彩な作品群から、人間とAIロボットの希求性や相関性のありよう、幸せのカタチの多様性を学んでいければいいなと思った次第です。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 6

鬼戦車 t89 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

SFを批判的に読むべきであるとの主張に首肯する今日この頃…。

 最終話(12話)まで観ました。2024.10.03

 最初こそ、主人公が気持ち悪く、狂気を感じさせる内容でしたが、家族を含めて周りが理解ある人達ばかりで、幸せになりました的なハッピーエンドでした。

 社会全体がロボットを家族にするのを推奨し、制度などを整備している世界だった様です。そのため、主人公の変態性も肯定された様です。ミーナが単なる量産型では無かったりするのは余分な設定だったと思います。

 人間は人口が減らない様に繁殖、再生産をして、社会を維持するために生きているわけではありません。だから、恋愛対象や家族のメンバーが異性である必要は無いのです。好きな様に出来る選択肢が増えることは良いことなのでしょう。

 ただ…、恐らく女性には人気が無さそうなのは、主人公が男性で、見様によっては自由意志を持っていない女性型ロボットを嫁にした…、ある意味究極の家内奴隷を獲得して、愛と言う名のオブラートに包んで支配している物語にも解釈出来るからかなぁとは思います。ジェンダー平等とは難しいですね。
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 4話まで観ました。2024.07.25

 牡丹燈籠的なホラー系ギャグアニメを期待していたのですが、3話で登場した妹のせいで主人公の狂気が希釈されてしまいました。

 ミーナは妹ともコミュニケーションがとれ、妹も可愛いと感じるロボ家政婦であると、作中で定義されてしまいました。

 これは良くありません。ミーナは主人公以外には人間と認識出来ず、主人公は会話が成立していると思い込んでいますが、他人から見るとガガガ…ピーという電子音に相づちを打ってる位のキモさが欲しかったです。

 そう!牡丹燈籠みたいに主人公は美女と付き合っているつもりなのに、他人からの見ると、骨(幽霊)とイチャイチャしている位の怖さが無いと、家電を妻にしていると言う狂気が伝わって来ませんね。

 4話で、主人公は家電に水着を着せて海に行くという社会から抹殺されそうな暴挙に出ますが、ミーナの上位機種のスーパーミーナを海に連れてきている少年の登場で、そんなに狂って無くない?という感じになってしまいます。

 どう考えても、危険人物として予防拘束からの保安処分されそうな主人公ですが、可愛い妹が味方についている上に、人間と区別がつかないほど精巧なスーパーミーナを連れている同好の徒の登場により、別に家電を妻にしてもエーヤン世界の住人っぽくなりました。

 これでは、ちょっと大人向けのロボ子ですね。もう、家政婦ロボットを性愛の対象にする文化がある世界で、ちょっと旧式を愛好しているプチ変人が主人公の日常ギャグに成り下がっています。

 あんまり狂気と変態性が表に出てドロドロしていると、商業作品として成立しないので、ギリギリの線を攻めていると評価すべきなのか?単なる日和見なのか?

 なかなか期待通りにいかないですね。もっとオラにヒリヒリする様な狂気を魅せてくれ!
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 2話まで観ました。2024.07.11

 フェチズムと言うか、純粋な狂気の世界と言うか…。ミーナが可愛く見えてきますが、視聴者も主人公の狂気で認識が歪んだ世界を共有させられている感じです。

 これ、アニメ制作側が狙ってやってるとしたら、新境地を開いてしまったと言えるかもしれません。

 ピクニックの途中、道端で主人公とミーナは女子高校生達に出会っていますが、この2人、特に主人公達をキモいとか思っていない様です。

 既にロボが生活に入り込んでいるからかもしれませんが、女子高校生達は、主人公が、まさか家事ロボットに欲情しているとは夢にも思っていない可能性があります。

 主人公にはロボットぽいけど女性に見えているミーナですが、他のキャラクターには、純粋に性別等無い移動式家電に見えているのかもしれません。

 公園で1人でブツブツ言いながら、移動式家電の前に座って食事している男性…。これだとかなりの危険人物ですが、介護ロボットに付き添われている要介護で危険度の低い人物くらいの立ち位置だと他人に認識されているなら、いきなり警察に通報されたりしないのも了解出来ますね。

 多分、介護ロボとお散歩している人が沢山いる世界なのでしょう。ちょっと若過ぎな感じもしますが、これだけ科学が発達しているので、見た目と年齢等の違いはさほど問題にならないのかもしれません。若造アバター的な?

 次回、主人公の家族が登場する様ですが、違和感無く主人公の狂気的認識の齟齬を処理出来れば、まさに次世代の骨太SFアニメと評価出来るかもしれません。楽しみです!
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 初回観てのレビューです。2024.07.03

 最近読んだ本に書かれていたのですが、SFというジャンル自体が男性ジェンダー化しており、女性を排除する傾向にあるので、分野の発展のためには良くこの差別構造を自覚すべきであるとの議論があるそうです。

 へぇ~と思っていたら本アニメですよ…。まさに男性ジェンダー化の権化です。飯炊はロボであっても女であるべきと言う…。本作品は未来の技術を描いているので、SF作品の範疇です。

 女性が主人公だと、出来る猫は今日も憂鬱の諭吉(ネコ)が飯炊掃除をしてくれますが、男性主人公だと、セクシーアンドロイドなんですね。

 延々と主人公が飯炊ロボにウザ絡みをする本作品、女性には全くウケないでしょうが、これがSFの抱える問題点なのだ!と批判的に観るのは可能そうです。

 すごいキモいけど気になる…。これが私も罹患している男性ジェンダー化の病なのか!?視聴継続です。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 3

57.3 2 2024年度の未来アニメランキング2位
HIGHSPEED Étoile[ハイスピードエトワール](TVアニメ動画)

2024年春アニメ
★★★☆☆ 2.8 (67)
144人が棚に入れました
環境問題への配慮、安心と安全をめざした世界は、 少なくとも表面上はその目的を達成していた。 そんななか、突如発表された次世代レース『NEX Race』。 最高時速500kmオーバー。 AIによるコントロールサポートに加え、 逆転の可能性を生み出すリボルバースト。 最新技術による安全性を担保に、世界を舞台としたレースシーンは一変した。 熱狂と興奮。そして挑戦者の瞳が、見る者の心を震わせる。 圧倒的な力で連覇を重ねる『キング』。 野性的な走りで追従する『クィーン』。 そしてここに、ひとりの少女がデビュー戦を迎える。 輪堂凜。 世界がその名を知る時、レースはさらなる革命の刻を迎える――。

声優・キャラクター
輪堂凛:和泉風花
浅河カナタ:日笠陽子
小町永遠:井澤詩織
ソフィア時任:堀江由衣
劉悠然:諏訪彩花
アリス・ サマーウッド:水樹奈々
リチャード・パーカー:松田健一郎
ロレンツォ・M・サルヴァトーレ:鳥海浩輔
ami:田村ゆかり
日向光莉:船戸ゆり絵
九頭竜明莉:内田秀
ナレーション:古谷徹
ネタバレ

TaXSe33187 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.9

レースの魅力を再確認できる

未来のすげー技術を使ったカーレースがメイン…でいいのかな?
最近は見てないけど昔はレース関連の番組や中継をたまに観ていた
このアニメを観ていると、「レースの面白さの肝」みたいなものを考えてしまう

1話視聴
{netabare}
カーレースって本当に色んな部分に魅力がある

単純なとこだとレース全体の展開や順位
あるいは選手のテクニックや駆け引きのアツさ
メカニックの精度やピットインタイミングの作戦
ちょっと視点を広げると各チームのマシン性能や技術力
テレビ中継って意味では迫力のカメラワークやスピード感
エンジンから発せられる音の圧力

で、なんでアニメを見ていてそれらを再確認したかっていうと、この魅力がろくすっぽ無いから

環境に配慮したマシンだからエンジン音が響かないのは理解できる
でも、ハイスピードマシンって設定の割にスピード感が皆無なのは駄目だよね
リアルな中継と違ってカメラの自由度が高いのはアニメの長所なんだけど、それが綺麗に裏目に出てる
基本的にマシンの前面を映す形で、距離感が常に均一だから相対速度が全然無い
「キング」と「クイーン」が互角の争いをしてるせいもあって、『等間隔で走ってる車2台』って絵面が多すぎる
他のマシンとの距離感や引き離す描写が薄くて、オシャレなマシンが普通にドライブしてるだけにしか見えない
唯一コーナーに入る瞬間だけは固定カメラで後ろからマシンを映すのでスピード感がある
逆に言えば1話ほぼ丸ごと使ったレースで「レースしてる感じ」があるのはほんの数秒ってわけで…

じゃあ人間描写に拘ってるのかっていうと、ピットインからの作業が自動化されてしまっている
「未来っぽさ」はたしかに出てるけど、レースの駆け引きを握る大事な場面が自動化されてちゃドラマなんか生まれないでしょ…
整備中はレーサーが通信で何か喋ってたけど、それも半分以上はレースと無関係って始末
そこに人間ドラマが無いならマシンに人が乗る意味なんか無くない?

レース全体の推移や駆け引きなんだけど、なんか未来のマシンには特殊なブーストがあるらしい
まーぶっちゃけマリオカートのキノコ
これを使うタイミング、この性能が駆け引きと技術力合戦の肝になる…はず
でも1話じゃみんな一斉に使うから駆け引きになってねぇんだけど?
最後はなんかキノコ切れで1人脱落したけど、全体のレース展開を見せてくれてないからどういう駆け引きがあったか分からんまま…
作品独自の駆け引き要素の使い方があまりにも下手

なんでここまで全体的に酷いのかっていうと、この1話のレースは世界観説明の時間だから
大半がモブキャラみたいな扱いだから、
誰がどのマシンに乗ってて、
どんな作戦で走っていて、
どんな駆け引きがあって、
どんな結果に終わったか、
何ひとつ伝わらないのもある意味想定内なのかもしれない
それを踏まえても、「キング」と「クイーン」はメインキャラなのに、
この2人すらキャラクター性が伝わらないのはマジで論外じゃないかなって気がするけど…

1話ラストでようやく主役っぽい娘が登場したけど、この出番と会話を冒頭に持ってきた方が絶対良いでしょ…
モブみてーなキャラばかりで、迫力がなくて、駆け引きすら無いレースが冒頭から9割占める1話って正気を疑う
CGキャラの質が低いなーとかモブ手抜きだなーみたいな悪印象を上回るレベルで構成が悪い

ここまで悪い点ばかりだったのでフォローのために悪い点を付け足すと、バーチャルアイドル的なの要らないよね
ただでさえ主役不在で話の焦点がボケてるとこに、レースに直接絡まないアイドルを出されても…
そんでアイドルが変なカレーの紹介をしたり、唐突に歌ったりされても…
「レース会場っぽい余興」のつもりかもしれないけど、作品の軸が定まらないうちから脇道作られても散らかるだけ
1話は最初から最後まできっちり構成に難点を抱えた出来だった
{/netabare}

1話時点では「制作の脳内だけで盛り上がってるレース大会」という印象に尽きる
レースの盛り上がりをどう演出すれば伝わるのか、どういう構成にすれば興味を持たせられるのかが考慮されてない
一言で片付けるならただの独り善がり

2話以降でまともなプロットになっているか、主役の登場でレースシーンに「追いかけるカメラワーク」や「キャラの心理描写」がでてくるかがポイントかな

2話視聴
これは駄目だね
レースの面白い部分を理解してない、どころかレース自体を知らない疑惑すらある
というかアニメ脚本の作り方すら知らないんじゃない?ってレベル

{netabare}
主人公の女の子の境遇が語られて、そのまま初レースに突入する流れ
「携帯ゲーム機で1位をとったからスカウトした」はどうかと思ったけど一応許容ライン
でも現実のレースをするにあたっての準備が足りないまま本戦に臨むのは駄目

スピンを繰り返してちゃゲーマーとしてのハンドル捌きを描けてないし、フラッグの意味すら理解してないのは周りを殺しかねない
時速500kmの鉄の塊を走らせるためのルールを覚えてないって失格どころかチームから追放するレベルでしょ

ライバルチームを事故で殺すために送り込まれた無自覚な刺客って設定の方がまだ納得がいくんだけど
脚本家はこんな頭のおかしい視野狭窄な過失致死予備軍を、コミカルで可愛い才能ある女の子だと本気で思ってるのかな?
主役が不快って時点でもう致命傷だよね…
{/netabare}

主人公のキャラクター像以外にも問題がある
{netabare}
そもそもなんでキング・クイーンと一緒に走ってんの?競技人口そんな少ないわけ?
主人公を何も理解してないキャラとして描くなら、新人向けのレースから始めるべきでしょ
ズブの素人を本戦レーサーに起用したら勝てる勝てない以前にそりゃ失格するわ

キング・クイーンを話に絡めたいからルールを歪めます!でも主人公はバカのままです!はいくらなんでも酷い
トップレーサーのハイレベルな走りを期待してる観客が素人のスピンで笑うわけないじゃん
普通は真剣勝負の場でこんなことされたら大顰蹙だよね
というか時速500kmオーバーのマシンのスピンって笑ったり頭抱えたりで済まねぇよ命の心配しろよ
その速度で事故が起きたらAIがサポートしてるから大丈夫!の域を超えてんだよ
{/netabare}

バカキャラの主人公がレースを通して成長するって展開なら下積みゼロがおかしい
才能ある主人公がゲームで得た経験を元に本物のレースで活躍するなら操作ミス・判断ミス・ルール無視の連発はおかしい

ルールも覚えてない素人を主人公にするなら、主人公と一緒に視聴者がルールを知る流れを作ればいいのに…
これ普段レースとか見てない人はフラッグの意味分かんないでしょ
この回を練習として走りながらルールを復習する感じにして、本番は次回ってステップを踏めばまだマシだったはず

話の軸と主人公の方向性がちゃんと定まってないから「ただレースするだけで不快」なんて信じられないことになる
2話、というか1話が内容ゼロだからコレが実質1話だけど、1話から話がブレてる以上挽回の余地は多分なさそう

あと2話のクライマックス
{netabare}
周回遅れの主人公が1位・2位の2台を追い抜くシーン
なんか「主人公の才能の片鱗」みたいなノリだけど成立してないよね

キングとクイーンは主人公より一周多く走ってて、その間にリボルバースト含む諸々を使い切ってるはず
対する主人公は10位争いしようとしてスピンした以外一度も攻めてない
誰がどう見ても主人公のが余力あるに決まってんじゃん

「あのキングとクイーンを抜いたぞ!」って外野が大喜びしてるけど、
エネルギーとタイヤを使い切ったマシンを相手に、
ルール上抜きにかかるわけがないマシンが、
突然後ろからブーストで引き離す

いや…コレのどこがすごいの?
そりゃキングもクイーンも反応出来ねぇし抜かれるに決まってんだろ
だって普通なら追い抜いてくる相手がいないからこそ2人の戦いに注力してるわけだし
温存してたブーストを不意打ちで使って反則しました、で抜いても「そらそうよ」としか言えない
(ルールを無視すりゃ)抜いて当然の条件で追い抜いて周りから一目置かれるって何考えてるの?

トップレーサーを話に絡ませるために無理に作った見せ場でしかない
新人がトップレーサーのいる本戦で走るのも一緒だし、ルールを理解してないのも一緒
見せ場ありきで話の整合性も何もかも投げ飛ばして書き殴ってるのがこの脚本
脚本家の脳内ではすげぇ見せ場なんだろうけど、そこに至る積み重ねがコレでは成立するわけない
{/netabare}

脚本がマジに論外だけど、カメラワークや演出の部分も駄目すぎる
{netabare}
まず論外なのが「誰が、どこを何位で、どの車に乗ってるか」がマジで分からないこと

キングとクイーンは競ってるから分かる
主人公はピンクの再開だからこれも分かる
他のキャラは顔が出てたりメインっぽいビジュアルだったりするのにサッパリ分からんのよ

車内の様子と車の様子とを一度にみせる画がない
そのせいでキャラは何か考えてる風なのに、それがレース内の何をどう見ての思考か繋がらない

現実よりカメラの制約が低い媒体なのにレース全体を映さない
そのせいでトップがどれほど速いのか、主人公がどれほど遅れてるのかすら分からない
サブキャラに至っては「自分の車とその前後」しか映さないからどこにいるのか自体分からない

一度だけ順位表示が出てきたけど、その時は名前と顔を表示しただけ
まぁ現実の中継もそんな感じだけど、あっちはちゃんと走ってる車を映すシーンで名前と顔も教えてくれてるんよ…
レース中の車とキャラの対応を全然見せないまま順位表示を見せられても「結局どの車だよ」は解決されねぇんだわ
誰がどこにいて、何位を狙ってて、どんな走りをしてるか分からないレースを観るって虚無にも程がある

もうひとつ触れると、「カメラが追いかけてそのまま逆さまに映す」演出をやめてほしい
ただでさえキャラの対応してないレースを見せられてるのに、そこに上下逆にされたらいよいよワケ分かんねぇって
レースをより明快にするためのカメラワークじゃなくて、「オシャレっぽい動き」を考えなしにいれただけ

他に多様されてる画面分割も同じだよね
タイヤ、ボディなんかを複数に分割して見せる手法がやけに目立つ
でも再三になるけど部分アップの分割じゃレースの推移は分かんないんだよ

まぁ逆説になるけど全体の推移が分かりにくいカットは「順位が変動してない」から出来ることだよね
流石に競り合いになれば両者の動きをしっかり見せないといけないんだから
つまり無造作に画面を逆さにしたり分割するせいで、その間レースが停滞してると伝わって来るんだわ
ただでさえ盛り上がりに欠けるのに、そこにカメラワークから伝わる停滞感まで加わると地獄もいいとこなんよ

というか分割して表示するって発想があるなら車とレーサーを分割表示で映せよ!!
凝ったことをやりたいなら伝わりやすい方向に工夫してくれ
{/netabare}

本当に信じられないレベルの作品
協力企業をこんだけ用意してコレってすごいよね
ここからどこまで酷くなるか、それだけを楽しみにするかな
気になるとこ全部書くとマジで長くなるので、以降の話はメモ程度に済ませるかも

3話視聴
{netabare}
主人公のアホさが常軌を逸してる
ルールを把握してないしトップレーサーも知らない
シミュレーターでボロ負けして「この人は有名だよ」と知らされての台詞が「ゲームのファンなんだ!」はねぇだろ

視聴者への設定説明のために主人公をアホにしてるなら分かるんだよ
このレベルで何も知らねぇってあるわけないけどギリギリ許容できる
でもこのアニメ主人公が知らないって言ったことを周りは説明しないんだよな…
主人公がバカな発言をしたり無知を晒した時に周囲はヤレヤレ顔でスルーするだけ

説明を挟まないせいで主人公どころか視聴者がモヤモヤを延々と溜め込まされる始末
というかメタ的な事情を抜きにしても「主力が何も知らない」はチームとして致命的だろ
この調子じゃ今後も反則と操作ミスを繰り返すだけだろうに、なんで他人事みたいに済ませてんだよ
こんなやる気ない道楽チームならそりゃアホで無知なズブの素人をスカウトするのも当たり前かもね

クソ脚本に有りがちな「主人公がいない方がマシ」「ガバガバさへの悪い意味での説得力」が噴出してる
スポンサーロゴが入ったプロのレースに道楽みたいな態度のチームが出場するって最悪
というかスポンサーは実在企業なんだからアニメ内どころか現実の協賛にも泥を塗る始末
なんで主人公をアホにしたんだよアホであることに物語的な価値がねぇだろむしろマイナスだろ舐めてんのかぁ!!!!!!

レースに関しては言う事無し
言うだけ無駄なものしかない
{/netabare}

4話視聴
レースはカット
主人公がアホ
アホがトップレーサーに気付かない
もんじゃ食う

つまり3話と構成を揃えて、前話のクイーンと今回のキングを対比させる目的
でもこの対比はいろんな意味で成立してない

主人公の話
{netabare}
クイーン回から3戦くらい?レースがあった
そのくらいの期間があったのに相変わらず自分のカテゴリのトップを知らない
4話ラストで赤旗の意味に気付かず、ハンドルに付いた画面からの表示も理解出来ない
つまり2話のレースからなーーーーーーーーーんも成長してない

お前さぁ…2話の失格と3話のクイーンとの会話に予選落ちで力不足と知識不足はガッツリ描かれてんだろ?
レースに勝てないのは今後の成長要素だから別にいいんだけど、知識面は身に着けろ
せめてこの4話を勉強するような内容にして主人公の成長と、視聴者向けの説明回にしろ
何をトチ狂ったら主人公が数々の失敗をそのまま放置するわ説明一切ないわで4話まで続くんだよ

3話と構成を揃えるなら、「主人公が前話からどう変わったか」をまず対比的に描け
何も知りませーん、取り敢えずバクバク物を食べまーす、もんじゃー、で何も変化してねぇじゃん
3話・4話を比較しての変化が無いんだから退屈になるに決まってる
{/netabare}

キング
{netabare}
結局コイツは主人公のどこを見てライバル扱いしたんだよ
クイーン・キングの両者に主人公を認めさせるなら、まずはどこを凄いと思ったかちゃんと示せ
2話でも書いたけど、あの状況で抜くことに特別な価値を一切感じない
レース描写に失敗してんだから、せめてキャラクターに何がどう凄かったかを言わないと駄目でしょ

ここも対比が成立してない原因
例えば感覚派のクイーンは主人公を気に入っているけど、精緻な操作を得意とするキングは危険走行を嫌うとか
主人公の才覚を認めているからこそ険悪な態度に出るとか
逆に才能を引き出すために正しい走りをシミュレーションで教えるとか
キング・クイーンの違いを作るべきじゃないの?
ふたりとも主人公大好きで全肯定で認めちゃってちゃ展開の起伏が生まれないのは当たり前でしょ
{/netabare}

マスコミはなんか意味わからん
{netabare}
仮に主人公の抜き様が凄かったとしても、あんな周回遅れのラッキーパンチをいつまで擦り続けるの?
というかルールすら理解してない素人ドライバーに向ける言葉はまず批判じゃない?
なんでスピンとルール無視に彩られた人間があんな称賛されてるんだろう
{/netabare}

ただの素人シナリオ
キャラや展開の整合性が上手く取れなくて、強引に作中の価値観や倫理観を歪めて成立させてる典型
途中でなんかHERO?だか古畑?だかやってたみたいだけど、アレも自分が好きなネタだから捩じ込んだだけ
中学生が勢いで作った文化祭の演劇脚本って雰囲気

4話余談
{netabare}
キングに向かって主人公が「期待してくれた人たちに応えたい」と言ってるシーン
期待してくれた人たちからの仕事をサボり、スマホの電源を切って遊び回ってる中で言うと説得力が凄いよね
あのシーンは正気のつもりで書いてるならマジで天才だと思う
{/netabare}

5話視聴
レース回
有名な人がコンテを担当したんだとか
やっぱ技術ある人はすげぇなって感じ
ちゃんとレースしてる雰囲気があるし、誰がどこを走ってるかもわかるんだもの
それすら今まで伝わらないレベルだったのがそもそも地獄だっただけなだけど…

{netabare}
車体から少し話した視点にカメラを置いて後続との位置関係を示す
背景を映すことで手前からの視点でも速度感を出す
カーブの攻略や競り合いでそれぞれの個性を見せる
「今レースアニメを見てるぜ!」って雰囲気がちゃんと感じられる30分だった

今までロクになかったLAP数の表記や順位表示がコマメに示されることで、全体の推移が物語に乗っかってるのもポイント高い
自動化でドラマ性が無くなっていたピットインも戦略性を中心とすることでレースに必要な要素として組み込まれている
車体からズームインしてドライバーを見せるシーンが多く、誰がどれに乗ってるかが把握できるようになった
{/netabare}

マジでこれを1話から出来ていれば印象絶対に違ったでしょ…
コースの特徴を見せ場に組み込んだ上で、未来のトンデモレース感も損なわない出来になっている

ただしすげぇ人が担当するとこれだけ変わる、というのは別の問題もある
この回を通して制作全体が勉強してくれていればいいんだけど、そうでなければ他の回は結局地獄に変わりないんだよね
ここまで出来るポテンシャルをこれまでの4話全部で殺してきた実績を思うと「この回から」より「この回だけ」の可能性のが高い
その意味じゃこのアニメの評価を変えるほどじゃないかなって…

{netabare}
シナリオの部分がキツいのは変わらないんだよね
前から言ってるけどこんなトップ帯で出場してるドライバーの描写としてはやっぱおかしい
AIのサポートを受けて走りを覚えるって感じだけど、その二人三脚は練習で培うものじゃない?
それこそ3話・4話をそういう練習回にして、カナタ達新人組の紹介とリンの成長を描けばいいじゃん…

あと、最初の方「完走だけが目的」みたいなノリだったのも違和感
いや新人レーサーだからそれが普通だけど、1話で期限組まれてたじゃん?なんでガン無視した指示出してんだよ
その直後にオーナーの存在を知らされて慌てて指示変更ってどんだけガバガバなの…?
オーナーの要求が頭おかしいのは大前提としても、そのアホな前提を達成させるための努力をすんのがお前の役目だろっていう
この女サクッとクビにしちまったほうがいいんじゃね?って感じ
ラストでオーナーが思わせぶりに呟いたり、AIがバグったような雰囲気出してたけどドラマパート全体が茶番すぎてこう…
{/netabare}

5話で持ち直した!面白い!みたいな意見がSNSにあって、それ自体は事実だと感じた
でもそれは個人の実力に依存した部分限定で、その人が関与しないシナリオ構成の部分に問題があるのはそのままなんだよね
今回はレース中心だからなんとかなったけど、次回で会話主体になったら3話・4話の出来に逆戻りするのは想像に難くないかな
そして7話以降、元の体制でレース回を描いた時にどうなるのかが本当の分水嶺になると思う

7話視聴
まぁ予想通り、つまり出来は悪い
6話はただの箸休め兼サブキャラの顔見せ回
やってることは分かるけど、この話を挿入するタイミングが色んな意味でおかしい

{netabare}
オフになったから日本に帰ってきて休養・トレーニングに励もうって普通の内容
青色コンビとの会話を通して各キャラの走りの特徴を説明する感じ
その説明はもっと早く、というかレースで毎度やってる実況解説でやれよ

しかもここまで散々無能をアピールし続けてる主人公どころか青色すらライバルの特徴知らないのがあまりにも…
主人公とあわせてこの3人は同期組みたいだけど、その全員が先達の実力を把握してないって駄目すぎない?
シナリオ構成ミスってるせいで折り返しの6話が主要キャラ紹介で、その構成の歪みのせいでキャラ全員がアホになってる
1話2話の虚無レースでちゃんとキャラ紹介すりゃこのパート丸々不要だったろうに

アホな会話を終えてのトレーニングはまぁまぁ意味不明
耐G訓練風の装置でグルグルさせられてるけど、ここまで散々時速500で突っ走ってて必要ねぇだろ
というかその訓練はレース参加の前段階でやるものだから、必要な訓練ではあるけどタイミングが遅すぎだろ
そもそもリンは初参加レースの時点でスピンからの立て直しやら何やらで耐Gも三半規管も動体視力も高い水準にあると描写されてるだろ
5話の敗北は終盤の戦い方であって基本的な身体機能の問題じゃなかっただろ
走りの経験値不足が露呈したレースを経てやることが身体機能トレーニングって監督の無能さが酷い

「可愛い女の子のリアクション芸を見せたい」が先行しちゃって設定の問題や今までの積み重ねを放棄してる
提示された課題に必要な解決策を与えられない特訓って、こんなアホやってりゃ誰だって勝てねぇっての
ここまで的外れなら、いっそ昭和的なトンデモスポ根トレーニングをやったほうがまだマシ
「勝つための努力」よりも」「勝てない理由」にあらゆる方面から丁寧な掘り下げが入ってるのはマジで致命的
{/netabare}

6話は本当に予想通りの酷さだった
キャラの会話メインだからレースへの不満こそないけど、そもそも脚本が駄目だからツッコミは減らないよね
それを経ての7話は、6話の特訓が意味を持たない内容

{netabare}
「本番で結果出てないけどシミュ成長したから褒めて!」も酷いけど、褒めない周囲も駄目すぎない?
結果が出てないから褒めないってのも分かるけど、成長が見えるなら褒めてやれよ…
成長の実感を後押しさせず、メンタルケアすら無視するならシミュレーターなんか必要ないだろ

人間関係を歪めないと会話を作れない作家の力量不足がこの時点で伝わってくる
再三になるけど「底辺から這い上がるレースアニメ」という前提に対してチームとしての意識共有が全然見えないんだよ
未熟なレーサーを支える描写が不足してるせいでオママゴトみたいな舐めた空気ばっか伝わる
リンが無能だなーって前提を支える理由として「チーム自体が無能だから」が妥当な答えになってしまう
{/netabare}

レース内容
{netabare}
根本的な話として、トップ集団の走りとリンの追い上げが話として連結してない
そのせいで最後の一騎打ちに至るまでに「どうしてここまで上がったの?」という疑問が生まれてしまう
タイヤ選択に成功したから、まではいいけどリンの走りの成長をちゃんと示しておけよ
ビリから始まって2位まで追い上げる過程が「なんか上がってた」はないだろ…

最初のシミュレーターでAIとの連携が成長していることを周囲が褒めて、それを受けて「練習の成果が出てる」と言わせるだけで済む話じゃん
「まだまだ駄目だ」を全員に言わせたあとのレースで追い上げに成功するのはチームの無能さを示す要素にしかならねぇよ
その直前には監督の采配ミスを解説に言わせてるし、無能集団の中でリンの努力だけで追い上げてるような展開になってる
まぁその場合でもリンの走りを中心に構成しろよって話ではあるんだけど…

ラストのリボルバーストクラッシュは予定調和という以外に言うことない
クラッシュさせたいんだなーって前フリから実際に予想通りのリタイアは駄目すぎる
路面が濡れてるから制御に失敗するんですぅ仕方ないんですぅのためだけの雨
相手を抜くための用意が何も整ってないとこからの自滅は物語としての説得力があまりにもない
抜く直前に相手がリボルバーストを使って、それに対抗したら制御を失ってしまって…なら別にいいんだよ
でもAIに「抜くのは無理」と言わせたうえで「やっぱり無理でした」はドラマづくりとして意味不明でしょ
{/netabare}

「最後の最後に見せ場を作る」という結末ありきで過程のレースで結果を出すことを構成が拒んでる
結末のために着実に物語を積み上げるのではなく、過程のレースを歪めて強引に結末に結びつけてるだけ
個々のレースを好き勝手書き散らかして、その後に全体のバランスを見ず個別の手直しをする書き方
そんな馬鹿なことするから各話の積み重ねが足りないトレーニングになるしレース結果も予定調和になるんだよ…

舞台やキャラクターの台詞が「登場人物の思いの発露」じゃなくて「作家の言い訳づくり」になってる
素人がやるにしても全体構成のメモ書きくらいないの?って感じ
日常系アニメみたいな1話完結構成をただくっつけた以上の出来じゃない
もう少し気を使って物語を作る練習をすればいいのに

リボルバーストの話
{netabare}
バケモノスピードのマシンを雨天でリボルバーストさせてクラッシュさせる流れ
これ冗談とかじゃなく自殺行為でしょ、というかただの自殺でしょ
天候を理由に試合中止になるなら、雨天中は危険に直結するリボルバーストの使用なんか真っ先に禁止されるでしょ
以前にも言ったけどスピン・クラッシュに対する危険意識がシナリオに無さすぎる
リンの自殺を見てチームは頭抱えてる場合じゃねぇし実況も「予想外ですねぇ」なんてほのぼのしてる場合じゃねぇんだよ
危険な速度のトップレースっていう物語の大前提を周囲のリアクションが台無しにしてんだわ

リンが1位を目指すって言った時点で監督は路面の難しさに言及したりリボルバーストの禁止を伝えたりしろ
「1位を目指さなきゃレーサーじゃない」って理屈は「確実に走り切る」という前提の上に立ってんだよ
マジでこの女はここまで全話で無能かつ無責任で毛ほどの役にも立ってない

ミニ四駆だってコースアウトしたら大騒ぎになるってのに、なんで人間が乗ってるマシンはヤレヤレで済ませられるんだよ
こういう感覚のズレがマシンやレースへの説得力を損ねてるし「無事ならスピード出てないだろ」と思わせる原因になってる
このアニメ独自の駆け引き要素なら、それを使う時は説得力に気を使ってくれ
{/netabare}

10話視聴
本当は最後まで見てから感想を書きたかったけどひとまず休憩
8話はリンの本当の適性を示す回、9話はサブキャラ回、10話はAIの存在意義
言いたいこと「だけ」なら納得行くけど、描き方がグチャグチャもいいとこでキツい

8話に関してはまぁ良い
{netabare}
でもゲームの実力を買われたってことは簡略化された操作こそ本領じゃねぇの?
「時代と逆行する才能」ってのありきで初期設定と矛盾するのってアホすぎない?
やってることは分かるけど、それがこの作品に合致するかは別だよねって話だった
{/netabare}

9話は茶番と尺稼ぎ
{netabare}
リンが自分の個性を見つけた!の次の回はメカニックの暴走で自滅って…
サブキャラ回を作りたいけどリンの覚醒イベントを済ませちゃったからねじ込んだだけの展開
本当にキャラの頭を悪くすることでしか話を作れないんだな

そもそも9話終えたら残り3話しか無い
そして10話からは最後のレース
そうなると今回のサブキャラが活躍する余地なんか無いわけよ
つまりメディアミックスに向けてサブキャラの顔を覚えてもらおう!以上の意味がない回なわけ
8話でラストに向けた助走をはじめたはずなのに、商業ノルマのためにブレーキかけるってバカでしょ
そんなグチャグチャな展開にするなら脚本構成をちゃんと整えろよ
{/netabare}

10話は「喧嘩をするための喧嘩」を見せられただけ
{netabare}
8話を経てリンが急速に成長しているのはいい
キングが目をつけて成長を促すのも最終回を見据えた良い流れ
でも「AIの話を聞かなくて自滅」からの「AIだけでいいじゃん」は意味不明

リンの走りが成長してるのは事実なんだけど、それは「新しいマシンに慣れた」だけ
レース・コースに対する基礎知識は相変わらずついてないし、調子に乗ると周りを無視するのも変わらない
マシン変更以外主人公自身はマジで何一つ成長してないわけよ
それでAIにフォローされたら拗ねるって何を見せられてるんだろうって気分

「喧嘩の末に絆を深めるのがバディの義務」っていうノルマ感覚でしか話を作れてない
脚本家が自分で決めたノルマを消化するためにキャラを無能にするっていう毎度の悪癖
脚本が成長しねーんだからキャラが成長するなんて無理な話だよね

そんでAIは安全第一でレースが成立しないって話
いや…まぁ普通のAI車ならそうかもだけど、Amiがいる時点でねぇ…
どこでどう抜くか、どんなライン取りで走るかを判断できる時点で十分レース可能じゃない?
みんなAIレーサーになったらレースがつまらなくなるってのも疑問
一応「ドライバーの安全」を優先する現行のAIならギリギリ納得行く話ではある

でも「全員がAIレーサー」なら「ドライバーの安全」はクリアできるんだし普通にレース可能じゃない?
キングだのクイーンだの人間が乗ってるせいでレース業界の成長を妨げてる風に聞こえるんだけど…
「だから人間が必要なんです」っていう言葉はサラッと聞き流せば王道ではある
反面この裏には「人間が幅を利かせてるうちは」という注釈がついてしまう
そのうちAmi型AIが増えていったらAIの反乱事件が起きるんじゃねーの?
この世界観にとどめを刺す言葉を決めセリフにしてるのは高度なギャグなんだろうか…
{/netabare}

残り2話がんばるかなー…

最終話視聴
11話でクイーン、12話でキングを打倒するっていう流れ自体はいい
11話をサブキャラたちの攻防主体にして、最終話をほぼ一騎打ちにするのも王道
でもその組立があまりにも杜撰というか…

11話はリチャードがキングを抑えることで話がシンプルに成立している
おかげでツッコミどころも少なく見ていられた
反面12話になると意味不明な展開が一気に噴出する

{netabare}
リンはコロッケ食べるしゲームに逃げるけどトレーニングからは逃げなかったって冒頭の独白
言ってることは分かるけど、12話中日常のトレーニングシーンは1回で、残り全部ふざけてるシーンしかないんだけど…
今までの積み重ねが完璧すぎてちょっとした一言すら説得力が消失してるのは本当にすごい

レースそのものはチーム一丸となって勝ちを目指してトラブルも跳ね除けてキングを倒す流れで、コレ自体は王道
でも落雷が原因で会場全てのシステムがダウンした!車に搭載したAIも落ちた!ピットマシンも故障!は雑すぎない?
次世代エネルギーを娯楽に転用できるくらい技術が発展してるのに雷一発で全システムが落ちる冗長性の無さはただのギャグ
というか建物に降った雷が原因で車載AIが落ちるってどうなってるの?

Amiは複雑だからリブート出来ないって、それレギュレーション的にそもそも積んでいいものなの?
ついでに言うとAI操縦のマシンが下位とはいえ人間より上位でゴールしてるんだけど、
「人間に勝てる水準のAI」が余裕を持って再起動できてる時点でAmiの寝落ちはもはや茶番じゃない?
少なくともこのAIカーだけは整合性のためにもリタイアさせるべきだろうに…
{/netabare}

落雷で中断したあとは、チームワークで上位のレーサーに勝つ王道展開
{netabare}
ピットマシンが落ちたから人力でタイヤ交換するって、じゃあ最初から人力ピットの設定でやれよ…
「最後は人間の力で勝つのがアツい」って勘違いをしてるんだろうけど、最終話でぽっと出のクルーを出されても盛り上がらねぇんだわ
今までの話数でも普通にクルーを登場させて人力ピットをさせてても、最後の展開には一切支障はなかっただろうに

というか「弱小チームが成長する」っていうチーム単位の物語として描くならクルー側の積み重ねはむしろ必須でしょ
物語序盤のレースではクルーもまごついてたけど、最終話ではトラブルにも動揺を見せない姿に成長した、とか絶対に盛り上がるじゃん?
なんで今まで欠片も見かけなかった弱小チームのクルーが、突発的なトラブルに際してベテランチームを上回る精度を出せるんだよ…
{/netabare}

走り単体で見るならちゃんと迫力あるレースなのに、脇を固めるドラマ部分が一通り駄目すぎる

あと大きな問題として、結局リンがバレエを諦めた理由は最後までわからないまま
何がキッカケで夢を諦めたのか分からないから、バレエへの思い入れを感じさせるシーンが全部上滑りしてる
1話を主人公不在の虚無レースなんかにしないで、リンの挫折と再始動までを描く話にすりゃすんなり飲み込めただろうに
多分メディアミックスで扱うから触れなかったんだろうけど、むしろメディアミックスの中核になるアニメでこそ扱うべきネタじゃないの?
主人公の芯になる部分を描かないアニメが上手くいくわけないし、それをメインに据えたメディア展開が成功するはずがない

バレエの位置付けが不明瞭なせいでBGMもおかしなことになってる
{netabare}
白熱したレース展開にバレエ曲が流れるせいで異物感がものすごい
「なんかリンが好きっぽい曲」以上の情報がないから、ハッキリ言うとレースの邪魔でしかない
物語上の意図を抜きにしても、キングとの競り合いの最中に緩やかなくるみ割り人形と燃え系のキャラソンが交互に流れるのはカオスすぎてただの地獄なんよ…

最後のリボルバースト直前、リンがゾーンに入った描写とともに流すならわかる
でもレース序盤からくるみ割り人形を頻繁に流すせいで通常のレースBGMと扱いが一緒になってる
こうなるとリンのキャラクター性を表現する意図以上にレースの没入感を阻害する要因になってしまっている
ノウハウを積んでレース中のカメラワークが改善されたと思ったらBGMがコレで草も生えない
{/netabare}

総評としては、脚本って本当に大事だねって感じ
並んだ素材自体はうまく扱えば成功しそうだし、酷かったカメラワークも少しずつ成長していた
脚本家が素人レベルじゃなければもうちょい上手くいったんじゃないかな?

投稿 : 2025/03/01
♥ : 5
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

9話 アウトインアウトってわかります~で脱力。レースポエムはもういいです。

1話 EVと自動運転のプロパンガンダ?ジャンルは興味があります。

{netabare} AIとか言ってましたが、人間対AIレーサーの話?それとも、ヒロインの女の子のスポコンになるのでしょうか。
 EVのF1というイメージですね。EVとは言ってませんがEVと言うと反発があるので変えているのでしょう。アイドルものでもあり、ひょっとしたら、ちょっとゲーム的過ぎるのでゲームの販促なのか?という気もします。

 SFとしてEV+AIの自動運転の開発に関わる企業の陰謀なら面白いですけど、企業協賛がありますからね。内容に制限はかかるでしょうね。
 冒頭の感じから、少女を売り出すために超高度なAIが違反でサポートしているとか?そんな感じでしょうか。

 タイバニ的な企業協賛もあるようですがそれはレースとは相性がいいでしょう。ただ、スポンサー企業はエンタメ中心でこじんまりしています。

 CGの絵柄は車はなかなかいいですが、デザインの発想が古いなあ。マッハGOGOGOみたいですね。人間もレース服はカッコイイですけど、肝心の中身がこの水準だと駄目だなあ…5年前なららすごかったのかもしれませんけど。

 ということで内容的にジャンルと方向性はどうなるのかは気になります。同時にどんな思惑でEVレースしかも自動運転を打ち出してきたのかも、ちょっと興味あります。{/netabare}


2話 派手に見えて薄味。レースの面白さが伝わってこないです。

{netabare} 謎燃料の謎動力ですが、EVと同じだとするとトルクが高く加速性が極めて高い。車の車重が重くタイヤマネジメントが胆になる…と思うのですが、まあ、そこは設定なのでいいでしょう。

 ただ、そこはどういう車の性能がレースに効くのか。ドライバ優位なのかマシン優位なのか。サポートのAIは単におしゃべりマシンなのか。自動操縦のレーサーとどう違うのか…などが、全く示されません。少なくてもAIのレースにおける重要性とかゲームの強さが実車の強さにつながる部分はAIと絡めて描いてほしいなあ。

 キャラも実質ヒロイン以外は今のところモブだし。そのヒロインは騒いでいるだけですから…見どころがつかめません。キャラ萌えもちょっとこれだと難しいかなあ。

 もっと、企業の陰謀とかそういうのは無いんでしょうか。レース開発の9割は裏方ですよね。その辺にドラマがあると思うしそこに期待したんですけど無いですね。

 CGは慣れればそれほど違和感がないし、いいんですけど、逆に言えば「ガールズバンドクライ」レベルの主に悪い意味での引っ掛かりがありません。ただ、欠点もある意味では印象です。
 本作は派手なカラーリングの割に色味も抑えているし、全体的に薄味です。薄味じゃないのが、ヒロインの声優さんくらいでしょうか。つまり、ヒロインだけ見ててね?という作品なのかもしれません。

 次回で継続か否か判断します。{/netabare}


3話 少年向け?ゲーム販促?海外向け?フィギュア?狙いが本気で不明です。

{netabare}  例えばなんですけど、少年が主人公で、コロコロコミックに原作が連載されていて、バンダイとタイアップでホビーが販売されて、日曜日の朝にテレ朝とか金曜日の18時半からテレ東なら結構いいと思うんです。謎必殺技の加速の時に技名を叫ぶとかいろいろできそうです。

 話の流れは今時…かもしれません。努力、根性を否定し、ゲーム最高才能ガチャで勝利。小難しいレースの理屈や企業がどうこうとかじゃなく、少年たちは楽しめる気がします。

 オタク界隈なら…うーん、このフィギュアが売れるかなあ?海外受け?ただなあ、どのマーケティングも説得力がないですよね?説得力があるのがやっぱりゲーム販促ですよね?

 8歳から13歳くらいの抽象概念が発達していない児童コミック連動の少年向けか、ゲーム販促ならすごくよくわかるのですが…まあ、要するに断念なんですけど、気になっているのでチェックはするかも。展開がもっと超展開ならメタ的な面白さとして再視聴の可能性はあります。{/netabare}


8話 なんと2000GT?思わず見てしまいました。

{netabare} サブスクのサムネが2000GTだったので思わず見てしまいました。ミッションであることの意味が精神性になってしまっている感じなので、相変わらずレースに関しては謎理論です。自分のタイミングでギアチェンジしたいならセミオートマでいいじゃん、と思いますし。

 ただ、2000GTの再現性は内装含めてかなりがんばっていました。エンジン音は記憶より低い気がしたのでさっき動画を見ましたが、個体差か室内の録音かわかりませんが、多分2000GTなんでしょう。

 この8話のテーマだしが3話くらいなら期待できたのに、という気もします…がやっぱり精神論かなあ。もうコンピュータ制御が行くところまでいっているのでイニシャルDのドリフトですらもはやフィクションですからね。

 レース上等、EVくそくらえ、リッター9キロ(らしい)の2000GTでガソリンがばがば使います、なら面白かったのに。

 ちょっと遅かった気もしますが、どういう理屈でくるか興味が出てきました。EDでヒロインが走っている意味にテーマがあるなら少し期待できる…かもしれません。{/netabare}


9話 アウトインアウトってわかります~で脱力。レースポエムを聞いててもしょうがないです。断念します。

 うーん、8話の2000GTで期待を持ったのですが、麻宮騎亜氏を使ったところで、やはりだめでしたね。レースポエムを聞かされても…という感じです。

 この作品、どういう意図で脚本が書かれたのかはちょっと興味あるというか、不思議です。文字にして読むと面白いのでしょうか?

 それともCGと音楽だけを見せたいから、ストーリーはおまけでいいという判断だったんでしょうか?結構、面白いCGだけに金をかけてないわけじゃないんですよね?映像とストーリーのレベル差のギャップにここまで違和感を感じる作品も珍しい気がします。

 好みのCGモデルではないですが、レースアニメとしては面白い映像だったので、4にしておきます。ストーリーとキャラは…


 

投稿 : 2025/03/01
♥ : 9

鬼戦車 t89 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

レースに迫力皆無…。しかもリアルティも無い…。中々スゲーのが来たな…。

 最終話(12話)まで観ました。2024.06.28

 キングとリンが最終戦で一騎打ち!女監督さん、1年前はゴミだったのに毎日努力して成長したのね…。とか言いますが、素人のゴミを大金がかかったレースに出すなよ…。

 リンも元バレリーナだったけど夢破れたそうですが、最終話で言われてもなぁ…。単なるゲーマーじゃなかったんかい!

 結局、ライバル達はタイヤ交換が上手く行かずにリンに抜かれていきますが、スタッフアゲのためにぶち込んだエピソードに過ぎません。

 最後まで、リンが凄いのか、A.Iの性能なのか判然としません。他のレーサーがA.Iを使っているのか最後まで不明なのも良くありません。

 ポワポワした世界観でワンクール行ってしまいましたが、結局、何だったんだろう…。と、言うのが一番の感想ですね。

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 10話まで観ました。2024.06.08

 何が言いたいのか良く分からない話が続きます。8話で骨董品かつコンピューターのコの字も無い時代のマニュアル車、2000GTで特訓して、リンの才能が開花したかと思えば、9話ではエンジニアのじーちゃんが設定をイジり過ぎてスタート出来ない…。

 かと思えば今回、A.Iのサポートで最高順位になったり…。リンさん、いっちょ前にワシ要らなくね?とか落ち込みますが、何を今さら…。

 時速500Kmで走行してるのに、クラッシュしてもミンチにならない安全性、凄まじい耐G制御技術、ゲームしかやってない素人がレースに出てもレースが成立する、A.I走行で無人マシンでも結構上位に入る…。(確か6位くらいに入っていた描写あり)

 完全にA.Iありきでしょ。それか登場人物が強化人間かニュータイプですね。

 他のレーサーが使用しているA.Iの性能は不明なので、リンが凄いのか、搭載A.Iが凄いのか、視聴者には判断できません。

 何となく、リンの走行をA.Iが学習、最適化して凄いことになってるとか言って、リンとA.Iが和解しますが、キングやクィーンの走行を学習したらもっと凄くね?

 能力的にリンはキングとクィーンを凌駕してるってこと?だとしたら、そもそもA.Iにそこまでスポットライト浴びせる必要も無いですよね。

 科学技術が建前にある、近未来SFで、根拠も無く主人公ゴイス〜ってのは、あまりよろしく無い気がします。

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 5話まで観ました。2024.05.06

 主人公、結構上位に入れる様になりました。活躍出来て何よりです。しかし、A.Iの言う通りに走るようにしたからというオチがつきます。

 この世界、A.I走行の無人車がレースに出ているので、レギュレーション違反では無いそうですが、あんまりじゃね?

 アホの娘に過ぎない主人公を乗せている意味とは?可愛いから?オーナーの愛人とか息子でも乗せとけよ…。

 いつの間にか、キングとクィーン、その他モブ男レーサーを除いた主人公達の女子派閥が出来ているんですが、やりたい放題ですね。

 5話まで観ても何が言いたいか良く分からない本作品…。明日はどっちだ?
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 4話まで観ました。2024.04.27

 主人公が無知のままです…。3話でクィーン、4話でキングが絡んでくるのですが、自分の参加しているレースのトップを知らないという…。

 主人公はレースもAIにすら勝てず、ビリが定位置なのに、いまだに1話の反則で注目されています。TaXSe33187さんが書かれているとおり、凄くもなんとも無いのですが…。

 何と言うか…、主人公も脚本家も精神疾患かなんかなのかな?物語が1話から破綻しています。主人公が馬鹿過ぎて肝心のレースに迫力も説得力も無いと言う…。

 周りもフォローしてやれよ…。こんな奴、知り合いにいたら、イライラしてバットで殴ってしまうかもしれません。少なくても一緒に仕事したりは御免被ります。

 観ているこっちまで精神を病みそうな本作品、クソアニメ愛好家以外にはオススメ出来ない感じです。

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 2話観てのレビューです。2024.04.13

 主人公、レースデビュー!しかし、素人なのでルールを良く理解しておらず…。

 いくらなんでも酷いだろ…。イキナリデビュー戦でトップランカーと一緒にレース出来るか?AIがサポートしているからOKなのか?レギュレーションどうなってんの?

 実際のレースでは、危険が無いように下のランクから経験と実績を積んで出世していき、トップのレースに出場します。

 ボクシングだって、デビュー戦で世界ランカーとやらんでしょう。殺されますし、試合になりません。

 相撲で新弟子が横綱と対戦するみたいなもんで、残酷殺戮ショーじゃないなら、興行としても成立しないでしょ…。

 カーレースの黎明期みたいに車を運転出来る人間が少なくて、誰でも出場できる世界なのかな?

 キングだクィーンだとか、とんだ道化だよ!いくらフィクションでも、茶番過ぎて視聴者を馬鹿にし過ぎです。

 誰かおかしいと思わんかったんか?EVとかプロパガンダ以前の問題やで!
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 初回観てのレビューです。2024.04.07

 女性キャラ達は割と可愛く気合を入れて描いていますが、肝心のマシンが…。EV車というより、ミニ四駆みたいです。

 ミニ四駆の方がまだ走行に迫力があるというか…、すぃ~と走る感じが中々です。クラッシュシーンにも迫力がありません。タイヤついてる?車体浮いてね?

 他のレビューアー様も書いてますが、レースの迫力が決定的に欠如しているので、視聴継続は厳しそうです。

 1話はスカスカのレース場が舞台なのでまだ良いですが、日常パートとかの作画もヤバそうです。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 8

68.2 3 2024年度の未来アニメランキング3位
デート・ア・ライブⅤ(TVアニメ動画)

2024年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (76)
260人が棚に入れました
人間の少女の姿をしながらも、人間とは異なる存在――精霊。 強大な能力をもち、隣界から顕現する際に〈空間震〉と呼ばれる災害を発生させる彼女たちは、人類の天敵とさえ呼ばれている。 そんな精霊の脅威に対して人類がとりうる手段は、武力をもって殲滅する、もしくは―― 『デートして、デレさせる』! 五河士道は、精霊をデレされてキスをすることで、力を封印できる能力のもち主。 その力で人類を、そして精霊たちを救ってきた彼をめぐって、大きな波乱が迫ろうとしていた。 世界有数の巨大企業にして精霊の力を狙うDEMインダストリーが、士道の命を奪うべく総力をあげて襲い来る。 そして士道の記憶の奥にいた謎の少女がその正体を現し――。 いくつもの思惑が交錯する、過去最大の戦いが始まる。

声優・キャラクター
五河士道:島﨑信長
夜刀神十香:井上麻里奈
鳶一折紙:富樫美鈴
五河琴里:竹達彩奈
四糸乃:野水伊織
時崎狂三:真田アサミ
八舞耶倶矢:内田真礼
八舞夕弦:ブリドカットセーラ恵美
誘宵美九:茅原実里
七罪:真野あゆみ
本条二亜:生天目仁美
星宮六喰:影山灯
村雨令音:遠藤綾

猫好き さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

狂三ちゃん推し!!!

このアニメは最近知ったんだけど、昔は随分人気があったみたい

私の場合はVの直前にオリジナル見た。お話としては10-15年前ぐらい前に流行っていたラノベの男の子向けハーレム展開全開で、まったく付いていけなかったんだけど、一つだけ。狂三ちゃんのファンになった

いいですわぁ、いいですわぁ、狂三さん
猫好きの私たちは気が合います事よ!!!

と言って彼女の押しかけ友達になりたいくらい好き

2シーズン目以降は飛ばしながら彼女が関係するシーンだけ見てたので実はお話はよく分かっていないw

それで今期は最初から彼女が出てくるのが嬉しい♪

狂三さんはシドウなんかにデレずに、さっさと彼を喰らって旧友を救いにいってほしいんだけど、展開上はないんだろうなぁ

-- 最終回見て

狂三ちゃんは、重要な役どころではあったけど、復活するとはいえ初期で死んじゃうし、タイムリープしてる間の話とか混乱すること多くて、戦闘シーンは多いもののお話自体は停滞していたというか、澪の話がさほど面白く無いというか、、、

でもこれは長年のファン向けの締めのお話なんだろうから私はとやかく言わないけど、それでもキャラ顔が男の子も女の子も敵味方が全員同じ顔ってのがなんなんだろうと不思議に思った。結局のところ主人公含めてすべての精霊たちが澪が生み出した幻みたいなものだからみんな似てたのかな?他に考えられる理由はキャラのモデリングを仕上げてる時間がなくて全部同じのを使い回しただけ、とか、、、

いずれにしろ意図的なのか単なるキャラデの怠慢なのか分からないけど、全員同じ顔なのはわかりにくい話に相まって混乱の元になってた気がする

最後に狂三ちゃんが普通に戻ちゃって猫と戯れていたのにはほっとしたけど、同時に狂気の最狂ヤバ女では無くなってしまったのは残念。彼女は猛執のままにシドウを仕留めて欲しかったけど、そんな余生もアリなのなぁ。私としてはどこか別の時間軸に切り離された本来の狂三ちゃんが生きていてくれたらなぁと願うことにする

投稿 : 2025/03/01
♥ : 2

ガオガエンイズコ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

ちょっと最終回やってんな。

物語自体は面白いと思うが、5期は急展開でちょっとやられた。声優やキャラの評価は悪くないと思うが、CGっぽいのがあまり好みじゃなかった。1期はとてもいいと思う。最終回にその後のストーリーが入っていなくひどい終わり方だなあと思う(原作のラストが入ってない?)
 ちょっと飽きたってのが正直な感想。でも、がんばって全話見ました。
このアニメ自体の感想として、1期以外はちょっときつい人がいるかもしれません。作画、ストーリーにむらがあります。
 1期はみていいと思います。ハチャメチャで面白いです。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 1
ネタバレ

やまげん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

とにもかくにも

原作は読んでいない

{netabare}なによりもまず、始原の精霊や精霊たちの謎が明らかになり、ウエストコットとのバトルが終わって、これまで引っ張っていた物語の核心部分に決着がついたというだけで、けっこう満足

ウエストコットやエレンが精霊を欲していた理由も明かされたが、思ったよりしょぼくて、「あ、そんな程度なんだ…」とは感じた

これで原作小説の最後までアニメ化したのかと思って調べたら、あと3巻分あるらしい。とはいえ、キリの良いところまでアニメ化されたので、続編がなくても文句はない{/netabare}

投稿 : 2025/03/01
♥ : 2

71.4 4 2024年度の未来アニメランキング4位
チ。―地球の運動について―(TVアニメ動画)

2024年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (81)
543人が棚に入れました
第26回手塚治虫文化賞のマンガ大賞ほか、数々の賞を席巻。 若き天才作家魚豊(うおと)が世に放つ、地動説を証明することに自らの信念と命を懸けた者たちの物語 15世紀のヨーロッパ某国。飛び級で大学への進学を認められた神童・ラファウ。 彼は周囲の期待に応え、当時最も重要とされていた神学を専攻すると宣言。 が、以前から熱心に打ち込んでいる天文への情熱は捨てられずにいた。 ある日、彼はフベルトという謎めいた学者と出会う。 異端思想に基づく禁忌に触れたため拷問を受け、投獄されていたというフベルト。 彼が研究していたのは、宇宙に関する衝撃的な「ある仮説」だった――。
ネタバレ

アニメアンチ2号 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

【チ】☆彡の女神☆彡その大戦略と「卍闘争劇卍」

●畜生どものジョーカーゲーム

「地動説を研究していたことを認めますか?」
「その研究が{netabare}教会公認の学説と異なることを理解していましたか?」
この裁判の結果は、被告有罪(火刑処分?)であります。

ある意味アントニー司教は如何にも堕落の教会、拝金主義者の群れにいそうな感じのキャラ
であり彼の役回りは理解はできなくもないですが、チョンマゲ娘の口車に容易く
乗せられるのは少し詰めが甘いと言いますか、ちょろ過ぎではないでしょうか?

証拠資料を隠滅できたかどうかは定かではないですが、ラファウの裁判記録が
もしも残っていたら全部ひっくり返ってしまいます。

前代未聞の地動説研究におけるレッドカード一発退場事案なので教皇庁まで
裁判記録の報告がなされるのは必至ではないでしょうか?

仮に資料がなくとも教皇直属アッシュ審問官がノヴァク父さんと同行して、
地動説と異端思想に染まった人殺し集団を現認し、交戦してますので
教会に敵対する組織ということが明白な時点で全員異端となり
それと同行していたチョンマゲ娘もアッシュ審問官の拷問に掛り💀のはずで。

ノヴァク父さんは冷静さを完全に失っていますが、教皇直属アッシュ審問官
に告げ口したらチョンマゲは詰みであります。{/netabare}

詰めが甘いのは「ゲームプレイヤー」でしょうか?

●友愛結社のロケットパンチ

シュミット隊長率いる秘密のギルド騎士団員はやはり
{netabare}【テンプル騎士団】を表していたようであります。

【テンプル騎士団】により金融業の礎が築かれたなどと言われておりまして
この組織の後衛に当たる【フリーメイソン】の時代には近代的な銀行屋が
世界制覇を目指して悪だくみを企むこととなるのでございます。

ヨレンタ父さんの教会側と対立しますので当然【テンプル騎士団】は教会側には属さず
何の宗教騎士団なのかわかりにくいのですが、結論は【シオンの騎士団】であり
神殿再建を目指す騎士団ということになります。

今でいう【シオニスト】ということなのですが、本作ではシュミット隊長が
【太陽崇拝】の信徒だったことから、神殿再建主義者の正体がバレてしまうのであります。

ついでに言えばヨレンタさんの【土星信仰】もこれと一対の関係にあり、
太陽と土星を崇め奉る【バフォメット教団】の存在が示唆されるわけであります。

【テンプル騎士団】に資金提供していたのは誰かと言いますと
【ヴェネツィアの黒い貴族】でありまして、そういうことで「黒い肌」を持つ貴族と
本作の「褐色の肌」を持つチョンマゲ娘が繋がるわけであります。

娘の無駄に長い「チョンマゲ」は天体信仰のシンボル【オベリスク】を示すものであり
そこから「星の子」あるいは「星の種族」。
拝金主義者でコインマニアであるところから商人、そして奴隷商、海賊の民。

例の司教曰く「移動民族、流浪の民」すなわち【ドリフターズ】。

それは奴隷の下の更に下の奴隷の民、【カナン人】。
ヨレンタお嬢から受け継いだ頭巾が示すその色「ポエニ」の【フェニキア人】。

彼らが後の「世界金融」を牛耳ることになる闇の種族でありますが、
褐色の拝金主義者=チョンマゲ娘は印刷機で紙幣でも刷って
銀行屋にでもなる暗示でありましょうか?

「褐色の商人」と「教会の司教」が手を組むのは既定路線ですが、
「地球の運動について」という本の出版では大して儲からないでしょう。

紙幣を世界にばら撒き戦争ビジネスでがっつり儲けた種族が
そんな小っちゃい話で満足するわけがありません。

【テンプル騎士団】まで出しておいてスケールが小さい方向に進んで行っているようです。

手袋のサイズを間違えたお父さんに対して娘のロケットパンチが飛びましたが
何を表しているかと言えば、お父様の「行い」が間違いであることに対する叱責
というわけであります。

右手を飛ばしてまで自分の主義主張をねじ込んで来る秘密結社の構成員には
ただならぬ執念を感じます。

父という存在は頑固で独りよがりで時代遅れだとかそういうことの表明なのですが
「父」とはやはり「父なる神」を意味していまして、面倒だからこの辺で父なる神を
切り捨てようかと考えた【ローマカトリック教会】と切り捨て御免の切り裂きジャッカー
【イエズス会】が本格的に動き出すぞという暗示なのかもしれません。

そもそも【ローマカトリック教会】は天動説に拘っておらず、強いて言えば
天動説を信じているのはプロテスタントであります。

プロテスタントは基本拷問とかしませんし、ヨレンタ父さんの役割が謎過ぎます。

父の独断で拷問をやった?ということにしたのかもしれませんが
十字軍以降は特に教会の腐敗は惨く、個人の暴走とかでは済まない状況で
内にも外にも教会に対する不満がどんどん募り、宗教界改革に繋がるわけであります。

免罪符が示すように拝金主義者が教会を腐らせたのでありますが、何故か
拝金主義者の商人と野心家の司教がタッグを組み儲け話に夢中になるなら
教会、世の中は更に腐敗し目も当てられないことになるはずであります。

教会の人が皆善良であるわけがなく、むしろ逆で腐敗は必然であるはずのに{/netabare}
この流れだとやはり何かが噛み合ってないような気がします。


●父君の名は。

本作の伏線をきっちり回収してくるところなど含め物語展開は鮮やかであると言えます。

シュミット隊長に焦点が当たるような流れが続いていましたが、その背後には
{netabare}不気味なまでに冷静な眼差しでその動向を見つめる存在が描かれていました。

貧しい農村の出にも拘らず文字が読めるという特別な青年、その名は
フライ君であります。

25年前の少年がシュミット隊長だったという可能性もありましたが、まず
顔が父親にも叔父さんにも似ていませんし、隊長の性格が明るすぎて、父親を殺された
子どもには到底思えず、【チの女神】の祝福を受けるにもっとも相応しい人物というなら
火薬の調合を熟知している彼こそが妥当ということになるわけであります。

しかしながら、フライ君については一つ重大な矛盾が生じます。

彼は女神=【セントソフィア】の祝福を受けているのにも関わらず、信じている神が
父権を象徴する父なる唯一無二の絶対神だったようであります。

彼の父親は「父なる神」の敬虔なる信仰者でありましたが、改革派と呼ばれる勢力に属する
叔父さんに父親が殺されたという事情により、恨みもあってかより一層父親の信じた
「父なる神」に傾倒していくことになるわけであります。

シュミット隊長にもヨレンタお嬢にもある種の天体信仰の傾向が見受けられましたが
それは古代ギリシア人が天体を神と見なし信仰の対象としていたのと重なるところが
大いに認められるものであります。

【セントソフィア】=「知の女神」とは多神教を代表する女神でありますが、
【ソフィア】の祝福を受けたのにも拘らずフライ君はその女神を裏切ったということで
太陽信仰の信徒を代表するシュミット隊長により粛清されたという、そういう
思惑がある?描写であったような気がいたいします。

「キリスト教」には正統派だとか厳密な意味での改革派というのは存在しません。

【ローマカトリック教会】は自らを正統と主張するのでしょうが、それに対して抗議する
「プロテスタント」は【ローマカトリック教会】の教義を全否定するような立場であり、
話をわかりやすく言えばむしろ「正統」は「プロテスタント」ということになるでしょう。

しかし現状はカトリックもプロテスタントもカルバン主義者もエヴァンゲリオンも
皆が皆自らこそが正統であると主張するようにカオス状態にあると言うべきかもしれません。

正統派と改革派が絵に描いたように見事に対立して宗教戦争を展開したのはむしろ
「ユダヤ教」の方でありまして、こちらの方は圧倒的な力の差で、正統派が
改革派により粛清、虐殺されました。

「卍ナチスドイツ卍」のヒトラーがユダヤ人を迫害した話はあまりに有名ですが
ヒトラーには妙な噂話がありまして、それは「ヒトラー=ユダヤ人説」なるものであります。

ユダヤ人がユダヤ人を虐殺する?とかさっぱり意味がわからないと思われるかもしれませんが
朝鮮戦争やベトナム戦争で思想の対立により同じ民族同士で殺し合いが行われたように
宗教思想の対立が原因により同じ民族内で壮絶なる闘争が展開されることも十分
あり得る話と考えることができるでしょう。

今のユダヤ教徒主流派は改革派であるところの【シオニスト】勢力であります。
粛清された側の正統派は「父なる神」を信じていました。

それに対して改革派はどのような名の神を信じているのか?
大いに謎めいていると言わざるを得ません。

ちなみにプロテスタントは「父なる神」を信仰しているのに対して
カトリックは「聖母なる神」を信仰しています。
表向きは「母のマリア」が「聖母」ということになっていますが
よくよく調べてみると聖母の本当の名は【イシス】であり【アシュタルト】あり
多神教の女神がルーツでありました。

【イースター】という主にカトリックが行っている宗教行事は、
【イシター】、【イシュタル】の名が由来であります。

改革派に父が殺され、今度は改革派に通じている秘密結社により息子が殺されます。
これは明らかに宗教戦争を表していると捉えるべきでしょう。

そんな中で地動説は人を救い、世に平和をもたらすでしょうか?
むしろ宗教戦争の片棒を担ぎ、対立を悪化させているだけではないでしょうか。

「地球の運動について」という表題の本を出版したとして、それで
【シオニスト】が確信的に引き起こす武力闘争は止みますでしょうか?

地動説を世に広めるために命がけの信者がいたとして、それはごくごく少数の
マニアみたいな存在であり、それで世の中がひっくり返るなら未来の世界はもっと
平和でないとおかしいはずであります。

多くの犠牲を出しながらも地動説という仮説にできることが{/netabare}大してないことが
本作最大の弱みのように思えて仕方がありません。




ボンバーマンの{netabare}フライ{/netabare}君の回想は無いのでしょうか?

右だと思いましたが、やはり{netabare}右手{/netabare}でした。
「ロスト・シンボル」も右です。
https://youtu.be/lCqHytVmUww

もちろんそこには意味がありますが、本作ではどうでしょうか?





●ダークサタンパワーメイクボム!

真打登場の組織長がやはりと言いますか、いえ少しばかり{netabare}早すぎる感じで
自爆テロを敢行しフェードアウトしてしまいました。

41歳まであと2年のギャップは埋まりませんでした。
もしかしたら「【チ】の女神」降臨によるフィナーレは起こり得ませんでしょうか?

チョンマゲ娘が遺志を継ぎ13年後に革命を起こせばなんとか辻褄が合いそうですが、
そんなに巧くはいかないでしょうか?

率直な感想としては自爆テロには極左のマルクス主義者みたいな狂信性を感じます。
地動説に憑りつかれ過ぎて冷静さを欠いているようにしか見えません。

自分の信念をただべらべら喋り過ぎるだけの組織長では
世の中を変えるだけの力があるように思えませんでした。

まるで銀河英雄伝説の地球教徒みたいな残念感が溢れ出ています。

シュミット隊長の口ぶりをからすると隊長が25年前の少年なのでしょうか?
あまりに変わり過ぎているように見えましたが25年の歳月は長かったという
ことなのかもしれません。{/netabare}

「願い事」の星【金星】はオクジー君の{netabare}死亡フラグだったようですが
【土星】は組織長の死亡フラグだったのかもしれません。
【土星】は【死神の星】でありますので。{/netabare}

流れ星に願う人は{netabare}魂を持っていかれる{/netabare}という話は恐らく真実なのでしょう。


●ムーンプリズムパワーメイクアップ!

本作視聴者に対してセーラームーンネタをやるのは一見無謀なことのようにも思えますが
天体信仰、ではなく天体観測の肝はまさに{netabare}セーラームーンにあると言っても過言ではありません。

天体信仰と【呪術文化】のルーツはシュメール文明、【バビロン文明】にあります。

信仰と無関係に{/netabare}天体を必死に観測する種族などこの世に存在した試しがありません。

古代ギリシア人にしても天体は神でありまして、ルネサンスや近代合理主義のルーツである
ギリシア・ローマの思想は{netabare}宗教とべったりの価値観に基づいています。

古代の古典作品を見ると確かにもの凄く合理的な側面もあることは確かでありますが
彼ら古代人の宗教に対する異常なまでの情熱や狂気を帯びた熱狂の度合いは、現代人が見たら
ドン引きする位にある意味悍ましいものであると確信いたします。

オリンピックの元ネタであるオリンピアの祭典は全裸の男祭り大会であります。

特に古代ギリシアの秘儀はとてもとても人には見せられるものではなく、それが理由で
古代ギリシア人が野蛮人扱いされると近代合理主義の神話が崩れてしまいまして
古代ギリシア・ローマの科学は世界一!と宣伝した人の立場が悪くなってしまいます。

そういうことで宗教的秘儀【イニシエーション】は現代のタブーとなっています。

詳しいことは兎も角、古代人が願ったことは
「ムーンプリズムパワーメイクアップ!」なのであります。

月の女神に神の力を乞う、それが古代人の儀式でありました。
セーラー戦士の中でも特に強いのが【金星】と【土星】であります。

「太陽信仰」についてはチョンマゲ娘の回想シーンとシュミット隊長のくだりでかなり明確に
示されましたが、あれはシュメール、【バビロン】から続く伝統的宗教儀式を表しています。

それと同じようにヨレンタさんの語りのシーンでも【土星】に対してただならぬ情熱を
抱いていると見受けられるような描写が示されるわけであります。

30年の歳月の重さをわざわざ【土星】を「指さして」説明する意味はないように思います。

なぜわざわざチョンマゲ娘に【土星】の話を振るのかと言えばチョンマゲ娘の
「チョンマゲ」が【オベリスク】の役割を担っていたからであります。

更に言うと今回なぜか「剣」を持っていたヨレンタさんですが、柱のように長細い形状のものは
【オベリスク】を暗示するものとして表されます。

ローマカトリック教会の敷地にもある【オベリスク】でありますが天体信仰の人達にとっては
とてもとても重要なシンボルであるが故に神である天体の位置を指し示すために【オベリスク】は
必ずそこに設置すべきものとなるわけであります。

天体の下や天体を指す柱状のものは星の神話の物語においては必ず出てくるものであり
それこそが信仰であることを表しています。

拝金主義者の【流浪の民】をルーツにする褐色の娘が運命の星に導かれ
そして材料はほぼそろった感じです。

ヨレンタさん現在39歳であと2年のギャップも恐らく埋まると予測しています。
落としどころは「革命」{/netabare}以外に方法がないような流れ向かっているようです。

●オリオンを辿る真実

本作の物語について考えれば概ね評価に値する水準にあるように思います。

しかしながその一方で何とも言えない「偏り」みたいなものが開始早々から
横たわっているような妙な感じを覚えるのでありました。

最大の鬼門はあの異端審問官{netabare}のお父様でありまして、兎に角やりすぎなのであります。

父の虐待と言えば「竜とそばかすの姫」でも少しばかり強引な感じでねじ込まれておりましたが
今にして思えばその作品の歌姫の父親にしても、仮想世界の自警団しても、役立たずだったりとか
有害だったりだりとかで、早い話が描写の背景には父権、パターナリズムを否定する
意図があったようにも見えてくるのであります。

女性的なものや母性を否定するような世界観を敢えて露骨に描写し、そこで反動的パンクの衝動
を引き起こして逆方向に持っていくという振り子運動の展開をやってみせたのではないでしょうか。

本作においても義父を含め父は頻繁に登場しますが母親がどういうわけか登場しません。

父と母と子がいて初めて家族があるとも考えられますか、母という存在がいないことにより
家族関係や人間関係に偏りが出ていると、そういうことを意図した描写だったのではないかと
そのように考えることができます。

物語序盤で扱われた「オリオンの3つ星」は「天下三分の計」の如く世界の均衡を示唆する原理
あるいは(製作者にとっての)世界の真理?を表すものだったのかもしれません。

母がいない世界では、男の権威が行き過ぎたものになり、極端な体罰として表れ
それは世界を歪に歪ませるとそういうことを言いたかったのでは?と推測いたします。

しかしながら三位一体こそが真実であるという信念も行き過ぎれば宗教でありまして
教会が作り上げたとされる歪んだ世界秩序を打倒するにはそれを全否定する革命思想や
無神論的合理主義など極端な左翼思想で対峙するしかないというのも、同じ穴の狢と
言うべきではないでしょうか?

意図的に「母」を排除した物語展開を作り出し、いよいよ真打登場ということなのでしょうが、
堕落した権威を打破するジャンヌダルクにスポットライトが当たるのはいいとしても
「手」を血に汚し、「その手」で過ちを犯した父親にどのような裁きを与えるのか
こちらの問題においてこそ「チ」の女神を戴く本作の真価が問われるべきではないでしょうか?

キリスト教の最大のテーマとも言えるものとして
「隣人を愛し」「敵を愛せ」の精神、そして「悔い改め」があります。

古い人たちの罪を贖うにしても、地動説や近代合理主義では釣り合わないような気がします。
世俗の権威を否定してそしてジャンヌダルクはどこに着地するつもりなのでしょう?{/netabare}




●「灯火」と「ミッションアンタッ【チ】ャブル」

【デウス・エクス・マキナ】とはギリシア悲劇などで使用された演出手法であり
「機械仕掛けの神」を意味する言葉であります。

これはある意味究極の「ネタバレ」になりますが【デウス・エクス・マキナ】が降臨すると
{netabare}それまでの問題がすべて解決してしまうというご都合主義展開を作り出せる常套手段となり得、
とても便利な手法ということで様々な作品に多用され、故に物語がマンネリ化
してしまう元凶となることもしばしばあったのであります。

例えばオペラ座の「プリマドンナ」が絶体絶命のピンチの時に「救済者」が突然現れ
「予定調和」のように解決してしまうのが典型であります。

その発動条件は、聴衆が物語の演者に感情移入して救済を神に願うようになること
でありまして、作家は聴衆をマインドコントロールするよう細工を施すのであります。

本作においては【チ】の女神が「機械仕掛けの神」となり発動するという都合上
必然的に伏線として【灯火】が小道具として使用されるというわけであります。

そして【チ】の女神を暗示するもう一つの小道具は「本」でありますが、「本」は蔵書や
図書館に繋がることから、これにより【チ】の女神のアーカイブのアクセス権を得たことを
暗示でき、そういうことで「チ」の女神の祝福を得たことを示すことができるのであります。{/netabare}

「蝋燭の炎」と「本」は伏線として使用されたと解釈できます。

3人はこの伏線により三位一体の使徒として出会う運命にあったと言えるのです。

ヨレンタさんのお父様は教会に {netabare}恨みを抱いていましたので、復讐を果たすべく
反教会側の活動家になってもおかしくない状況でありましたから、お父様が組織長になった
という可能性も十分考えられたかもしれませんが、ヨレンタさんとの手袋の一件で
うっかり過ちを犯してしまったエピソードが取り上げられており、このエピソードにより
【チ】の女神に祝福されてないことが明らかになります。

お父様よりもむしろヨレンタさんに【チ】の資格があることが対比的に示されるわけであります。

手袋は比喩みたいなもので、お父様の過ちは「先見の明」(=【プロビデンスの目】)が無く
(ある意味感情的な判断で?)異端審問官としての仕事を続け、誤った判断に基づき
拷問の類を一方的に行い続けてきたことが示されています。

同じように「父や主人の過ち」を体罰や虐待により示したものとしては
「ヴィンランド・サガ2」に出てくる農園の主人の事例がありますが、激情して暴力をふるう
虐待をするというのは「創造主ヤハウェ」を揶揄しているというように解釈可能でありまして
そういう親父殿は時代遅れで未来では通用しないという意図が込められた
「悪意ある」比喩的表現であるという風に捉えることができます。

そうい都合で「父」は【チ】により導かれる物語のメインキャストにはなり得ず
父と娘の対比構造からわかるように、娘の方に主導権があるのだから必然的に
組織長の役に抜擢されるのは娘という結論になるわけであります。

年齢的には41歳くらいと28歳くらいというのが秘密結社に関わる構成員の設定に
丁度いいと判断されたようです。

アダム・ヴァイスハウプト(1748年生まれ)は1776年に28歳で秘密結社を創始し
1789年の41歳の時にフランス革命が開始されるということで、その年齢に設定を
合わせてきたのでありましょう。

ヨレンタお嬢様の捕囚は25年前の16歳の時?だったようであります。

そして、世界三大発明についても恐らくは構成員に対応する伏線的小道具
であったと考えることができるのかもしれません。

世界三大発明の「火薬」担当は例の男性で確定しています。
「羅針盤」も実は海洋民族が使うので誰に繋がるのか確定してます。
残りの「印刷技術」ですが、やはり一番似つかわしいのが【チ】の女神の代理人ではないでしょうか?

やはり組織長のヨレンタさんということになりそうです。

そういうわけで「太陽信仰」{/netabare}と所縁が深い海洋民族がどの種族なのか?
追求する必要があるということになります。



●「チ」の女神転生!?☆彡【デウス・エクス・マキナ】☆彡の動きについて

15話から16話そして17話への物語展開は鮮やかだと思います
しかしながら15話の最後の貧民たちの{netabare}ヘアスタイル{/netabare}にそして{netabare}刺青{/netabare}
みたいなのには流石に絶句しました。

フランシスコ・ザビエルの例のヘアスタイルですが、ある意味この作品のおかげで
あのヘアスタイルの意味に気が付くことができたのは感謝したいところでありますが、それでも
複数の{netabare} 貧民の頭の頂点を「ザビる」?{/netabare}ような展開はあまりに強引過ぎてはないでしょうか・・・

結局のところ{netabare}【グノーシス主義】を表明する都合{/netabare}あのヘアスタイルをこれでもかと
強引にねじ込んでくるのはやむを得ないということなのでしょう。

強引だが必然ということで意図は理解できるのでヘアスタイル分の減点はしないでおきます。

ヨレンタさんの手袋に{netabare}ついて少し考えてみましたが、手袋に思い当たるところはなく
恐らくは【赤い】頭巾との関係性で【紫色】{/netabare}に意味があったのではないかと推測いたします。

ヨレンタさんの人種ついての詳しいことは17話以降に明らかにしようと思います。

ヨレンタさんの服装が示すシンボルカラーは{netabare}「所属」を表しており、そこから
女神転生と【デウス・エクス・マキナ】発動の条件が揃ったという
伏線を示すシーンだったように思います。

ヨレンタのお父様は「ぴったりの手袋」をプレゼントするはずでした。

ある意味「ぴったりの手袋」なんですがサイズが違っていたという意味で{/netabare}
お父様は「過ちを犯した」のであります。

それに対してヨレンタお嬢は「父の過ち」を糾弾するようなことを言ってしまったので
お父様はぶち切れたのであります。

{netabare}この一連の流れは、ユダヤ教の唯一絶対の神であるところの人類の生みの親であるアドナイの神が
アダムとエヴァを優秀な子どもに育成できず、更にその子孫たちも罪を犯して
神を裁きを受けたという「ノアの大洪水」や同じように罪故に滅ぼされた
【ソドムとゴモラ】の事件を前提にしていまして、子どもたちにぶち切れて大量虐殺した人類の
お父様にあたる神を批判しているという、そいう意図がこめられたシーンであると推測されます。
要するに【グノーシス主義】はアドナイの神を徹底的に批判する傾向がありまして
「お父様」はダメなので「救いの女神」に希望を抱くというわけであります。

この回は【グノーシスの女神】が動き出す伏線として重要な回であると考えられます。
そうして回想シーンを交えながら16話、17話に繋がり、{/netabare}
【デウス・エクス・マキナ】が発動されるのだと予測されるのであります。

16話に登場する鎧の騎士団は教会絡みなので「十字軍」を連想しそうですが、
{netabare} 教会への【反抗】を意図する集団でありますから【テンプル騎士団】を暗示
しているのだと考えられます。

【テンプル騎士団】は【ソロモン神殿】に関係する組織でありまして【シオン長老】という
ユダヤ教の祭司がその背後にいるとか言われていますが、個人的にはユダヤ教徒とは
ほぼ関係がなく、それよりも【フリーメイソン】の前身が【テンプル騎士団】であったという説が
正解ではないかと考えています。

近年においては【フリーメイソン】に潜入した【イルミナティ】がフランス革命を起こした
などと言われておりまして、それを受けて謎の騎士団の隊長は
「すべての教会の教えを否定し」
「すべての宗教を廃絶する」と
世界革命計画を表明するわけですが、革命思想の出所は【イルミナティ】にあったのであります。

我々の教科書に載っている偉大なる近代の啓蒙思想家とは、【イルミナティ】の思想を
吹聴するよう仕込まれた御用学者であったわけです。

カルヴァン主義の予定説みたいなことを隊長は口にしていますが、とっても乱暴に言えば
それはキリスト教の異端に限りなく近い考え方で、近代合理主義とヒューマニズムの
流れに乗ってキリスト教がセクト化細分化してかなりカオスな状況に見舞われたことを示すもので、
ある意味結末は【イエズス会】の狙い通りになったと言えるのかもしれません。

そういう意味で革命は大成功したとも考えられます。

25年前の回想シーンの挿入そして互いにリンクさせる展開は巧いと思いました。
ただ個人的には今の年齢は27歳がいいように思い【イルミナティ】創設者の
【アダムヴァイスハウプト】の秘密結社元年の年齢を調べてみたら28歳でありました。
そうすると回想シーンは25年前ではなく20年前ではないか?と少し疑問を持ちましたが
兎に角3人{/netabare}の物語がリンクしまして詳しいこともいずれ明かされるのでしょう。

【チ】が示す【灯火の女神】を前提にしていますので{netabare}「松明」とか「蠟燭の炎」とかが
効果的に配置されていまして、聖書と松明(=【灯火】)を並べて自然主義者の団長の口から
聖書を否定させるような発言を言わせるシーンはなかなか計算高いと思いました。

「それじゃ知性のない【獣】と一緒だ」という真面目な信者と
「そもそも人は【獣】とさして変わらん」と返す秘密結社の隊長の対比構造も鮮やかです。

まさに【大淫婦バビロン】は【獣】に乗ってやってきますので。

25年前の少年は回想シーンについては繋ぎ方を見るに反抗を企てる騎士団に属する
あの時に本を机に隠した謎の青年であるような気がします。

17話のチョンマゲ娘に本を偶然といいますか運命的に託したのがあの回想シーンの
後の少年であるとした方が展開がきれいなるので恐らくは彼がチョンマゲ娘と
次のシーンで出会うのではないでしょうか?

そうして【グノーシスの女神】の化身ともリンクしてくるのでありましょう。

あの少年とチョンマゲ娘と…3人が教会と対立するという構図が出来上がるのではないでしょうか?

そういう意味で三銃士それぞれの「人種」を分析する必要があると考えますが、
少年の分析が一番難しく、チョンマゲ娘との関係性で推理する必要があるような気がいたします。{/netabare}

●【チ】に足がついてない人たち

本作は「妙なヘアスタイル」が印象的なとある宗教教団と近代合理主義に毒された
狂信的地動説信奉者の信念を掛けた熾烈な闘争劇のような様相を呈しているところもあるようで、
従いまして視聴に当たっては教会や自然科学思想に関する予備知識があった方が
いいのではないかという意見も一理あると言えるかもしれません。

しかしながら個人的には現実世界の人類史の出来事と「本作の教会」の仕掛けた
闘争劇展開を比べた時には、妙なズレを感じずにはいられませんでした。

一番気がかりなのは「あのヘアスタイル」ですが、{netabare}それは後回しにするとしても
キリスト教最大派閥であるローマカトリック教会にとっての最大の宿敵であり、
最大の脅威は(本物のクリスチャンであるところの)プロテスタントでありまして
プロテスタントをこの「チ」から一匹残らず駆逐しなければ、ローマカトリック教会は
滅亡する運命を待つだけでした。

(真の)プロテスタントは聖書の言葉は神の言葉と信じ、聖書の教えにないか、
教えに反するようなローマカトリック教会の悪行を次々告白、猛抗議するわけですから
世間体が悪くなるばかりか、実は似非クリスチャンだったという教会の本性がバレて
偽装工作が水泡に帰す定めにありました。

(本作の描写に反して)恐らく現実世界の「カトリック」は
聖書の言葉を引用することを避けるでしょう。
そもそも正しい解釈を知らないか、ローマカトリック教会の教えと聖書の言葉が
矛盾してしまうとカトリックの立ち位置が揺らぐからであります。

教皇と権威ある教会に対して聖書の解釈論争を果敢に挑むプロテスタントと正面からやり合うのは
どうにも分が悪いということで、策を弄して各種の工作により敵を弱体化させようと考案されました {/netabare}
史上最凶で最狂の秘密結社が【イエズス会】というわけであります。

敵対勢力を潰すことが彼らの目的であり、正義でありますから
手段は問わないわけであります。

{netabare}魔女狩り、革命、断頭台、すべての手段は目的により正当化されます。
それが彼らの信条というわけであります。

余談ですがオリンピックパリ大会の開会式で生首マリーアントワネットのパフォーマンスを
誇らしげに見せつけた一件も、個人的には彼らの犯行声明を明示する意思が
介在したように思えてなりません。{/netabare}

「教会権力 VS 近代合理主義」という対立軸を基点とした本作の物語展開というのが
根本的におかしいような気がします。

教義に関しても真理に関しても説得力がまるでない教会権力側に正義が無いのは見たままの通りですが
{netabare}そうだからそれに立ち向かう【占星術師】か何かの類の地動説信者が正義になるかというと
それはまた別の話と言いますか、地動説信者の価値基準をどう受け入れたら
いいのか困るところであります。

個人的には天動説だろうが地動説だろうが人は生きて行くものであり
仮に数学的証明が成り立ったとして、それは異世界転生先の魔法の書
みたいなもののように思えてなりません。

地動説信者に極端にサディスティックな拷問を加えることにより、あるいは
残酷な死を与えることにより、それで地動説の価値は上がるのでしょうか?{/netabare}

フラットアース理論信者も怪しいですが、本作を見ると地動説信者も胡散臭いと言いますか
根本的なところがズレているように見えてしまうのでございます。


●フラットアーサーの逆襲

数年前のことになりますが「you tube」にはフラットアース理論について解説する動画が
かなりの数出回っておりました。

{netabare}NASAが撮影したとされる宇宙の映像記録の数々がフェイクであり、捏造であるという話は
それなりに世に知られており、スタンブリーキューブリック監督もその手の映像加工に
関わった云々なんて言う噂もあるようです。

もしも本作を視聴して地動説が真実であるということを華麗に証明できるなり、フラットアース理論を完全に打ち負かすような論法を容易に見出せるならば、
今までの「人類の闘争史」とは何だったのだろうか?という感じで、沈みゆくこの島国で
お気楽極楽な平和ボケの日々を満喫できるのでありましょうが、一筋縄ではいかない
プロテスタントとローマカトリック教会のややこしい宗教闘争について何か
語ろうとする時にカオスの渦の中に巻き込まれて溺れてしまいそうになる一方で、その片や
個人的にはどれほどの意味があったのか記憶にない教科書に書いてあった地動説と
フラットアース理論とどちらの仮説が正しいのかと考え始めたならば、それは膨大なる
時間の無駄でしかないという結論に至るわけであります。

例えばローマカトリック教会に恨みがある人にしてみたら、本作に描かれる腐りきった
教会の悪逆非道ぶりとそれに抗う登場人物に対して感情移入がしやすいということも
あるのかもしれませんが、「魔女狩り」と称する大粛清劇即ち狂信的ホロコーストを
まるで本作に登場する異端審問官のように極めて熱心にある意味勤勉に遂行したのが
【イエズス会】であったというのがことの真相でありますから、
「チ」のタイトルが「血」を意味するのであるならば、尚更に焦点を絞って
【イエズス会】とはどういう【血族】のものなのかについて、あの「妙なヘアスタイル」も含めて
考えなければならなくなりまして、地動説に関わる「地」についても恐らくは{/netabare}
「ばいばい、アース」という作品が暗示する「古のアース」=「地」の{netabare}【血族】と
秘密結社【イエズス会】が{/netabare}見事繋がるのではないかという疑惑について
追及しないわけにはいかなくなるのであります。


●大淫婦バビロンに連なる【獣】

ローマカトリック教会とはローマ帝国の宗教的権力機関でありまして、そもそも
ローマ帝国はローマ人固有の宗教思想が故に被征服民たるユダヤ教徒やキリスト教徒を迫害し
一方的に弾圧してきたわけであります。

{netabare}ユダヤ教徒はローマ帝国の圧倒的な軍事力により完膚なきまでに叩き潰されねじ伏せられましたが
後のキリスト教徒が大増殖した時には弾圧しきれず、ローマ人が得意とする力のごり押し政策は
断念せずにはならなくなり、キリスト教を帝国の統治のために利用する方向に切り替えたのであります。

ローマ帝国はキリスト教を公認し、遂には国教と定めます。
しかしながら肝心の教義はローマ帝国の都合がいいように書き換え、
異教徒をうまく取り込めるようにと異教の神々や異教の習慣なども取り入れ{/netabare}
終いには教会はまるで【怪獣】のように膨大な力を持つ権力組織となったわけであります。

{netabare}ゲルマン人の大移動の時に帝国は分裂し、帝国の歴史は終わったかのようにも見えましたが
帝国からその権力と権威を引き継いだ?というか奪い取った{/netabare}ローマカトリック教会は
「不死身のモンスター」の如くしぶとく生き残ったのであります。

{netabare}旧約聖書に登場する四匹の【獣】は、
【バビロン】、「メドペルシャ」、「ギリシア」、「ローマ」を意味します。

世界帝国のルーツは【古代バビロン】にありますが「第四の【獣】」=「ローマ帝国」こそが
最も手強い「アンデッドモンスター」みたいな存在であり、その【獣】が今もなお
世界を支配していると言われています。

ローマは宿敵である【フェニキア】の将軍【ハンニバル】との闘争に勝ち
世界を統べる覇者となったように見えましたが、しかしながら状況は
「卍ひっくり返り卍」最終的にはローマ帝国あるいはローマカトリック教会は{/netabare}
【フェニキア人】に乗っ取られたなどという妙な結末が待っていたようであります。

その辺について簡潔にまとめているのが↓この動画であります。

河添恵子【秘密結社?「イエズス会」とは?」】
https://youtu.be/i21c4NYS5Yg


【フェニキア人】とはどのような人種、「血」族でしょうか?
{netabare}彼らは【バビロン文明】の後継者であり、従いまして「呪術文化」の種族であります。

【フリーメイソン】はハリーポッターでもお馴染みの「魔法学校」の元ネタでありまして
(ユダヤ神秘思想)【カバラ】研究機関であると言われたりもしますが、早い話が
【黒魔術】研究機関ということになります。{/netabare}

{netabare} 本作にも登場する【占星術】というもののルーツも【バビロン文明】や【シュメール文明】にあり
なので【フリーメイソン】においてもこの【占星術】を熱心に取り扱ったわけであります。{/netabare}

【占星術】と【数秘術】はセットで扱われるケースが多く、ピタゴラスの定理でお馴染みの
ピタゴラスも自身のオカルト教団で【フリーメイソン】と似たような
いかにも怪しい研究をやっていたようです。

{netabare}ルネサンスとは古典の復興を意味し、近代合理主義のルーツとなったのが古代ギリシアの思想であった
などと言われたりもしますが、偉大なる哲学者と名高いプラトンなども古代のオカルト宗教儀式を
行っていたのではないかという話もございます。

イタリアでルネサンス運動が起こり、その辺りで【イエズス会】が設立され、
ルネサンスの波に乗って【啓蒙思想】が世に広まるのですがその【啓蒙思想】を宣伝するため
役に立ったのが後の社交クラブ化した【フリーメイソン】であります。

「啓蒙思想」の説法を垂れる学者さん擬きを「啓蒙思想家」と教科書ではそのように書いていますが
「啓蒙(思想)」を英語で言うなら「エンライトンメント」=Enlightenmentで、
似たような言葉では「イルミネート」があります。
意味は【光で照らす】でありますので、【啓蒙思想家】や【啓蒙主義者】は
【光で照らされた】即ち【イルミナティ】ということになります。

[【イルミナティ】は、イエズス会の修道士であったインゴルシュタット大学
教授のアダム・ヴァイスハウプトが、1776年に創設した秘密結社である]
というのは有名な話ですが、イエズス会の修道士が作った秘密結社「【イルミナティ】が
【フリーメイソン】を乗っ取り【イルミナティ】の御用学者であるルソーなどの革命理論を
聴衆に吹聴し工作員を使ってフランス革命を仕掛けた云々、
歴史の真相はどうやらそういうことらしいです。{/netabare}

フランス革命の際に発明された「ギロチン」という大量殺戮装置を考案したのも恐らくは
本件の工作員関係者の仕事ということなると思いますが、
魔女狩り-弾圧-ホロコーストという一連の独特で妙な嗜好性みたいなものは
「彼ら」特有の「血」が由来であるように思えてなりません。

「拷問、【卍】十字架刑【卍】、火刑」などこういう類のものを好んで行う行動原理や思想のことを
敢えて一言で表すならばそれは【グノーシス主義】ということになるでしょう。

アメリカ合衆国にあの【女神像】を贈呈したのはフランスでありますが
{netabare}より厳密に言うならフランスの【メイソン】が米国の【メイソン】に
【女神像】=【アイドル】をプレゼントしたのであります。

ジャニーズにしろ女子アナにしろ多くのファン=信者から支持される存在は
「アイドル」でありまして、女神像崇拝の宗教思想が根源にあります。

女神には様々な名がありますが、自由の女神の名は何と言うのでしょうか?
女神が右手で掲げる【灯火】は【光】であり女神の【灯火の祝福】を受けたものは
【👁】が開けるのであります。これを【啓蒙】と表現するわけです。

【灯火】は「知」=【チ】=「知恵」を、そして【理性】を象徴的に示すものです。 {/netabare}

フランス革命の時に生まれた新たな宗教とは、【理性】の崇拝であります。

そして【グノーシス主義】とは【チ】=「知恵」の女神を崇め奉る宗教思想を表します。

{netabare}「聖【ソフィア】大聖堂」とは【チ】=「知」の女神を崇め奉るための施設でありまして
そういうわけで「【灯火】の女神の名」は【ソフィア】ということになります。

「哲学」は「フィロ【ソフィー】」であり、「フィロ【ソフィア】」であります。
「哲学」とは「【チ】を愛する」を意味し、その由来は【チ】の女神信仰にあるということになります。

【灯火】は「女神の【チ】の祝福」でありますが、人類で最初に
【チ】の祝福を受けたのは誰でしょうか?

最初の人類はアダムとエヴァであります。
そう【チ】と言えば、エデンの園で彼らが食べた【知恵の実】であります。
「知恵」は【灯火】であり【光の祝福】を受けたものは【👁】が開けるのであります。
エデンの園で【チ】を与えたものは【蛇】でありますが、ある時は【竜】となり
【稲妻】となるこの【蛇】は【サタン】であります。

【サタン】とはそもそも【堕落した天使】でありましたが【サタン】の首領は
かつての【光の天使】であり【知恵の天使】でもあるその名を【ルチフェル】と言います。
【ルチフェル】はラテン語で【明けの明星】を表します。

【アイドル】雑誌のタイトルが【明星】なのはただの偶然ではなく、
単純に信仰心の正しい表明なのでしょう。

【明けの明星】とは【金星】のことでありますが、【金星の女神】の名は【ヴィーナス】であります。
「金星の女神」の名には、「イナンナ、アシュタルト、フレイヤ」など様々ありますが
その【血】の系統をざっくり把握するならば(ノアの子)「ハム」の子孫が作り上げた
【バビロン文明】、シュメール文明に起因する「血族」・種族と共に
彼らが頼る神々もそういう文明に寄り添い共にある存在であったということになるでしょう。

ハムの子孫が生み出した【バビロン文明】とは別の文化や思想を持つ存在が
(ノアの子)セムの子孫=ユダヤ人でありまして、ユダヤ教の主神創造主ヤハウェが
ユダヤ人だけを特別視した理由は、都会育ちの文明人よりも素朴で田舎臭いユダヤ人の方が
誠実そうで約束(モーセの十戒)を守ってもらえそうな気がしたからなのかもしれません。

知恵の女神の祝福を受ける「血族」は「知識」があるので建築学や占星術や数秘術なども
熟知しており、従いまして経済的に大繁栄するので【バビロンの黄金都市】や
【バベルの塔】や「ピラミッド」みたいな立派な建物を造り大都会で豪華に暮らすのですが
片や田舎者のユダヤ人は素朴で質素な生活をおくるしかないということになります。

そんなわけでソロモン王の時代に豪華な神殿を造ることになった際には
【フェニキア人】の血を受けたヒラム・アビフというカリスマ建築士の指南を
受けるのでありました。

豪華なソロモン神殿は当時の無知なユダヤ人の技術水準では建設できなかった
のでしょう。

かつての(カインの子)エノクの子孫たちは
優秀といいますか仕事ができる「血統」でありましたが
(カインに殺された)アベルの弟セツの子孫はどちらかというと
仕事ができない感じで、最終的には「アース」の「全地」では
(カインの子)エノクの子孫が大繁栄をし、片やカインに殺されたアベルのように
誠実な羊飼いという生き方を選ぶものはほぼいなくなったわけであります。

知恵あるエノクの子孫たちは仕事ができるからこそ自信過剰になり、
自分こそが優秀だと経済競争あるいは富の争奪戦を行い、
万人に対する万人の闘争というべき終わりなきライアーゲームに明け暮れて、
ゲームの勝者となるためにありとあらゆる手段を尽くし、その結果
この世の「全地」が目をそむけたくなるような悪行で溢れかえり
その有り様を見るに見かねた創造主が、大洪水のグレートリセットボタンを押して
「全地」は水に溢れ「知恵ある血族」は大洪水で全滅したわけであります。 {/netabare}

これが「ばいばい、アース」の悲劇と言えるものなのかもしれません。

{netabare}生き残ったのはノアとその一族のみでありましたが、ノアの子ハムとその子孫の中に
【グノーシスの女神】の意思を受け継ぐ血族が誕生し、後にその復讐劇が
展開されるに至るのでありました。

(ハムの子)【カナン】は(ハムの父)ノアから呪いの言葉を受けます。

もの凄く端的に言えば大洪水にも拘らず生存を許されたノアとノアの子セムとヤペテとは
血統が違うというのが、(ハムの子)【カナン】でありまして、生存を許されない側の
血統ということになります。

創造主ヤハウェは【カナン】を救う気がないので【カナン】と「その子孫の血族たち」は
【グノーシスの女神】を頼り、そして以降2つに枝分かれした「血族の抗争劇」、
あるいは宗教戦争が長きにわたって繰り広げられるわけであります。

【カナン人】は正面対決ではユダヤ人に負け、海に逃れたカナン人の子孫【フェニキア人】も
ローマ帝国には戦争では惜敗を期したので、「知恵」を駆使した権謀術数や騙し討ちの類で
支配地域を拡大するようにしたのでありますが、これが結果的に大成功だったわけであります。

ノアの言葉を介して【カナン】に発動された呪いの言葉、預言によれば、
【カナン】はセムとヤペテの奴隷の更に下の奴隷になれでありましたが、いつの間にか
支配関係は「ひっくり返り」、(本物のセムの子孫である)ユダヤ人や(ヤペテの子孫である)
白人のプロテスタント系クリスチャンが【カナン】の子孫に搾取される奴隷になっているような
有様が展開されるのでした。

【グノーシス主義】とは「鏡に映った世界」を是とする思想でありますから、
世界の善と悪、右と左、光と闇がひっくり返った世界を願うのであります。
♂と♀の役割がひっくり返るという発想もその典型であります。

苦しんでいる人を救うために自己犠牲の精神を発揮し行いで示したのが
イエス・キリストでありますが、【グノーシス主義】を信じる者たちは
「その逆」を熱心にやり続けます。

天体の周期運動だとか【占星術】だとか数秘術的に美しいとかいう発想はオカルト宗教そのもので
海や山が美しいというごく普通の感覚とは余りにズレ過ぎていてそれを普通にゴリ押しされても
違和感しかありません。

まるで【カナン人】の恨みを晴らすだけのために描いているようにしか見えない極端に
サディスティックな拷問プレイにも見るに堪えないものを感じますが、【イエズス会】や
ローマカトリック教会を敵に回して命がけで何かを成し遂げようとする地動説信奉者の方も
狂信的なオカルティストにしか見えないのが厄介であると言えます。

実家には地球儀が置いてありますが、本作を見て改めて思ったのが地球儀というのは
サッカーボールの代わりにするぐらいしか使い道がなく、まるで役に立たない代物
というのが個人的見解であります。

【偶像崇拝】=アイドル崇拝が美しくないように、
地球儀崇拝も本質は同じように思えてきました。{/netabare}

もしも自分が異端審問官だとしたら地動説を妄信する人に対し
地球儀を飾ることの意味について問い詰めたいというのが本音であります。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 1

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

3話までで名作。原作既読で飽きる気がします。酷評する前に撤退。

 3話まで見て 

 動きが求められる内容でもないので、原作既読勢にはアニメで見る意味が希薄です。したがって飽きて酷評するのも違う気がするのでここでやめておきます。

 この3話までの部分をしっかりと見ればこの作品の大きな部分は味わったことになると思います。そして、この3話までならかなりの名作だと思います。

 知的好奇心と科学への情熱、知識を後世に残そうとする意志と引き継いだ人の責任。知識は過去からの蓄積である。人の本質は性善説でも性悪説でもなく、単に知りたいと言う欲求ですよね。その知りたいという気持ちはときに命よりも上になります。そしてすごいのが、自分が死ぬことで真実を知ることができなくても、自分が知識の蓄積と伝承に寄与することで、後世の人がきっと真実を解き明かしてくれるだろうという気持ちですよね。その「科学とは何か」「科学する心」を十分に見せてくれています。

 そして宗教弾圧。血の歴史ですよね。C教そのものではなくC教の教会組織がなぜ歪んだのか。C教のせいで1000年科学が遅れたという考えもあります。人の認知と真実の差ですよね。そして、権力構造と既得権益、保守的な精神。そういうところを描いています。

 そういうところを描くのに8巻かける必要があったのか。この1巻(3話)まで…あるいはもう1つ、時代が離れたところの1エピソード描くので十分というか、もっと焦点が絞れた作品になったのではないか。その疑問が付きまとう作品でした。


追記 地動説弾圧がフィクションであるというネット上の言説について。

 これはある意味では正しいです。本作の設定の1400年代つまり15世紀のコペルニクス以前には科学に対する宗教からの火刑にいたるような弾圧はほとんどなかったそうです。ただし、コペルニクスが自分の身の安全のために死の間際まで地動説を発表できなかったことは記憶しておく必要があります。つまり歴史つまり記録になっていない何かはあった可能性が示唆されます。

 それに、16世紀から17世紀には異端審問とか魔女狩りの猛威があったのは事実です。つまり拷問という手段は宗教的な動機から発展したのは本当の話です。そして、科学に対してだけではないですが、原理主義的なC教の一つがいろいろやったそうです。宗教の話なので固有名詞はだしませんけど。それが収まるのがニュートンの登場あたりです。実際に地動説で火あぶりになったジョルダーノ=ブルーノなどがいます。

 そして何より、宗教の影響によって科学が1000年から2000年遅れたという事実があります。今もなお科学を否定する強い宗教的な情熱を持った人は大勢います。それをカリカチュアライズしたものとして、本作は事実・史実ではないけど科学と宗教の関係において真実を含む、という点は忘れてはいけないでしょう。





以下 1、2話視聴時のレビューです。

「知」の探究と後世にどうやって伝わっていったかの話です。知性とは何かの話です。そしてそれは宗教による弾圧の「血」の話です。地球は宇宙の中心ではない。「地」動説を追い求める人々の歴史です。原作は怪作であり快作です。ただ、傑作、名作というには少々エンタメ性が不足していました。
 途中から面白くはないです。語弊があるかもしれませんが、同じような展開が続きます。毎週読む連載なら良かったかもしれません。

 アニメ1話と2話。拷問と宇宙の描写で引き込まれるでしょう。真実を追い求める人々の苦難に感動があるかもしれません。C教の暗い歴史を正面から描いたことは素晴らしいです。ただ、それがずっと続きます。

 エピソードにバリエーションはあります。知識の説明もあります。女性の問題も出てきます。ただ、天文の歴史とか宗教弾圧に興味があるか、あるいはリョナ趣味じゃないとおそらく見続けるのが苦痛になると思います。それは血なまぐさいということではなく飽きると思います。

 1巻を読んだときは衝撃でしたが、読み方の調整ができるコミックスでさえそうでした。私は最後を見届けたいし、コペルニクスがカタルシスになるのかなと思い読みましたが、まあ、結末は言わないとしても、とにかく8巻読むのはつらかったです。3巻以降は1週間ちかくかけて読んだと思います。

 で、本作を2話まで見ましたが、これで1巻が終わっていません。1巻読むのに15分~20分くらいだと思います。アニメで今40分使いました。ただでさえかったるい話です。それを考えると、私は2話で1巻を終わらせて、あとは駆け足でもいいと思います。全10話でもいいくらいでしょう。

 なので、見るとは思いますが、途中であきる懸念はあります。

 そうそう、アメリカ人の約半数は地球が丸いということに疑いを持っているという話があります。我々が思っている以上に信仰心がある国でもあります。放映するのかなあ?

投稿 : 2025/03/01
♥ : 10

さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

今期イチ

ネトフリでおすすめ一覧に出てくるなんのアニメなのかよーわからんタイトルで引いてんだろうけどわからなさすぎて放置してるランキング1位
見た目気になるんだけどなんの店かわからんから入れないのと同じ感じ
サブタイも小さすぎて見えてなかった
そんな人も多そうよね

こんな感じだから原作も知らず、ほんと見たいのないなーとなんとなく覗いてみるかって感じで視聴開始
ほんならまさかの地動説のチ
そこぉ!?アニメでそこぉ!?
14〜15世紀くらいの話しかな?
まだまだカトリックの影響が強い頃、ヨーロッパはこんな感じが“普通”だった。と言われればそうなのかもなって世界観
ザ宗教が支配してますみたいな
空=天界 天界は神の領域で数世紀前の常識をベースに書かれている聖書にとって地動説はあってならない。なぜなら聖書に書かれている内容が揺らぐ=キリスト教並び教会の信用が揺らぐ、つまり力の喪失と繋がるので偉いさんは火消しに躍起になる
けれども好奇心を基に真実に辿り着いた子らは止められないと。
それこそ人生を命をかけて心震わされた感動を追いかける強さに普段損得の天秤ばかり気にかけてる私の心は打たれた笑
主役が子供なのが尚更

命を燃やしているって形容がぴったりな生き方
憧れるんよなー

ここ最近で間違いなく1番面白い

投稿 : 2025/03/01
♥ : 4

68.0 5 2024年度の未来アニメランキング5位
終末トレインどこへいく?(TVアニメ動画)

2024年春アニメ
★★★★☆ 3.4 (200)
518人が棚に入れました
郊外のとある町。 ここはどこにでもある、ごくごくありふれた田舎……ではなかった。 住民たちに大きな異変が起きているのだ。 だけどそんな中でも千倉静留には、強い思いがあった。 行方がわからない友達に、もう一度会いたい! 静留たちは放置されて動かなくなっていた電車で、生きて帰ってこられるかどうかもわからない外の世界へと出ていく。 走り出した終末トレインの終点には、いったい何がある?
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

最終話でセリフで説明したのは失敗。もっと放り投げてほしかった。

 さて、最終話まで見ました。

 で、内容なんですけど…うーん、最終話の前半の2人で話し合った場面の内容は考察すればわかることです。見下していることを含め、ちゃんと描けていましたよ?なぜ、セリフにしてしまったのか?というのが最大のがっかりです。そして、和解の感情に説得力がいまいちかなあと思います。そこは余韻としてしこりを残しつつ、これからでいいんじゃないでしょうか。
 結末の方向性に不満はありませんが、かなり幻惑されている感じが薄まったかな。

 それと「終末」感が無くなってしまいました。不穏な感じは残りましたが、もうちょっと不穏にできなかったかな、と思います。12話でちょっとわかりやすさに迎合したかなと思います。水島監督らしく、もっと放り投げるような最後を期待しただけに、残念でした。

 11話までの出来は非常に良かったと思います。11話までで終了しても私は納得していました。その点ではこの1クール、かなり楽しませてもらったし、話もたためたし最後の作画レベルはかなり良かったので、この作品自体は挑戦的な作品として、高く評価します。

 まあ、ストーリーは11話までは5ですが最終話で4にせざるを得ないでしょう。キャラ、作画、音楽、声優は4.5とします。

 ただ、完全に戻りきらない意味に何か気づきがあって、発見するものがあれば、終末感を感じるものがあれば、評価を変える可能性はあります。




1話 なにこれ?メチャメチャ面白いんですけど?

{netabare} 現代の最先端のSFはどうあるべきでしょうか?設定や世界は科学的である必要はありません。メチャメチャでいいんです。その設定や世界観の中に含意があればいいし、人間が描ければいいと思います。

 その意味で24年冬のオリジナルSFがこじんまりと分かりやすくありきたりな世界観になっていた後、この作品が出てきたのはいいですね。

 大人になると動物になるという社会的なアナロジー、そして、情報の隔絶、ディストピアと組み合わせることで、かなりぶっ飛んでいますが面白い世界を構築しました。
 ただ、世界観的には最先端の物理学は情報物理学だし量子コンピュータの仕組みを考えると、7Gという情報空間で物理が影響を受けるという発想はSF的な意味では、現象としては滅茶苦茶ですけど、発想はそれほど荒唐無稽ではないと思います。JKが登場する意味も大人になる前という意味で、上手く理屈をつけましたね。

「アリスとテレスのまぼろし工場」をどことなく彷彿とさせる第1回でした。出落ちで無ければいいのですが。ちょっとスタッフ的には失礼ながら心配ですが…1話を見る限りではメチャメチャ面白かったので、今期の期待枠ができました。 {/netabare}


2話 さて「終末」の意味はやはり不穏なものとなるのでしょうか。

{netabare}  7Gが意識の反映だとすれば前に進むしかない状況というのは、多分ヒロイン静留が戻りたくない、という潜在意識が反映したのではないでしょうか。

 そもそも、「終末」トレインですからね。死出の旅なんでしょうか。水面を渡る電車って「千と千尋」にもありましたが、死後の世界に向かうイメージですよね。高麗川=「三途の河」と取れば、死の世界に入り込むということにもなりますし。

 夜空の描き方も幻想的で不穏ですよね。2話の冒頭のシーンの感じから言って「中富葉香」を探す旅とは…ちょっとインナースペースというか、一筋縄ではいかない仕込みがある気がします。

 それとゴーヤとか、1話で澁澤龍彦の「黒魔術の手帖」が何の意味があるかは気になります。澁澤はスルーしてたんですけど、わざわざ1話のEdにクレジットがあるんですよね。思わず買ってしまいました。

 EDソングが「ユリイカ」でソクラテスの「わかった」ですけど、その内容はどうも友達との仲違いというかそんな歌詞です。どういう意味なんでしょうね。あと映像ではつり革のシーンって、何か見えない人が乗っている感じもして不気味です。

 追記 途中でもらった地図で2駅目がキノコのマークになっていました。つまり、あの地図の通り話が進むのでしょう。

 それと、始めに到着の時間について話をしていたら、電車のスピードが上がってしまいました。食事の心配をしていたらゴーヤが育ちました。で、やはり戻ろうと言う話が出ると津波が起きましたね。{/netabare}


3話 キノコが何のアナロジーかはもちろん考えますが、時間経過が?

{netabare}  いや、面白いです。今回もあっという間でした。

 キノコがなんのアナロジーかですね…まあスマホの電波の様に見えなくはないですが。何も考えなくなるというのは良いとして、その比喩が1,2年の命というのとぴったり重なるかは微妙ですね。むしろドラッグかな、という気もしますね。

 ゴーヤが苦手=明るさ、光り、生い茂る、成長と反対概念のキノコですから、ネガティブな生活の何かとも取れますし。ミストサウナはキノコの育成のためでしょうけど、サウナで整うとかいう不健康な流行もありますしね。

 ここで気になるのはたしか設定は7Gから2年経過後の話だったと思うのですが、1,2年で死ぬというのに、まだ沢山の人間が東吾野にはいました。これは時間経過に何かトリックがあるのでしょうか?それとも7G以降である程度の時間経過後にキノコが生えるようになったんでしょうか。この辺は次話以降に要確認です。

 それと、あの黒髪短髪の子のお尻に生えたのが何かが気になります。キノコなのか来週の話なのか。来週は地図によると狐の絵みたいな感じでしたけど。

 1夜だけ寝て、そこに地元の人間とドラマがあって、電車で旅立つのは999を思い出します。そんな感じで進むのでしょうか。もしかしたら銀河鉄道の夜の方なら、やっぱり死に向かう旅です。つまり、各駅ではいろんな死の選択を見せられることになるのかもしれません。

 最終的にはどうなるんでしょうね。どうもヒロインと葉香という子の仲違い…都会に出たい葉香と地元に残りたいヒロインの仲違いの結果、そのマインドが距離を生んだという話だとは思いますが、それだけだと露骨すぎますよね。じいさんの手術も気になるし。どうなるんでしょうか?

 終末…誰の終末=死なんでしょうね? {/netabare}


4話 地図の意味が何となくわかるよう説明してくれる回でした。

{netabare}  地図の読み方は、〇印が意思疎通ができない、□が意思疎通ができる、みたいですね。そうなると稲荷山公園駅の◇がどういう意味か。敵対なのか情報なのか。
 駅にいるのはその駅が象徴するものの感じです。稲荷山公園には自衛隊入間基地があります。その前のお地蔵さんのところは仏子というらしいです。となると胃腸のところは病院、ゴルフボールのところはゴルフ場があるのでしょう。つまり、出てくるものにはみんな意味があるよ、というメッセージです。

 こどものころの会話でキノコが食べられるようになる、というセリフがありました。Tシャツの柄がなぜかキノコでした。なぜあの子だけ幼児退行するのか。子供のころの何かとつながってきそうです。

 雲の形がはじめ逆向きの積乱雲でしたよね。ありそうで見たことがないイメージに関心しました。普通空気の層の上にのっかるので下が平になります。星のイメージなども含め、仕掛けがいろいろありますね。

 これだけいろいろあると、吾野柔術とか結構セリフが出てきますので、どこかで何かありそうです。それとシリウス、約束の星ですね。多分後で「ああ、なるほど」という種まきがいっぱいあるんでしょう。それを楽しむとこの作品は面白そうですね。

 そうそう後の駅に河童がいますね。きのこの件は尻から引っこ抜いたら魂が抜かれる尻子玉とか関係するのでしょうか。あるいはこのアキラという子は考えすぎで、死に対する恐怖が強いのかも。退行というよりも逃避の可能性もあります。


ポイント メモ 2話まで再視聴
1話
21年3か月で動物になる。なるほど…255か月か…2の8乗‐1あるいは8ビットですね。キノコの1年か2年も2の4乗から5乗、16から32という数字と関係あるのかな?

練馬の国のアリスの登場人物が動物。シズルの家のコップがこの作品のキャラ
ギンバイカの意味 ギンバイカを包んでいた新聞にヨウカの写真がある。
黒魔術の手帳・澁澤竜彦の本の意味は?
コメが6回取れる。
稲荷山公園にいい医者がいる…というセリフの時、JKたちは聞いていなかったが…?(4話に関連)
なぞ電力、エネルギー
「シズルってそういう人だったんだ」というセリフ
ゼンジロウの素性とウニャウニャ手術婚、ボンタロウって?7Gは物理法則を破壊する。
クズリが父?
宇宙と星のモチーフが多用される。
EDがなぜユリイカなのか?
吾野柔術


2話 再視聴ポイント
冒頭、クラスメイトは5人以外にもっといっぱいいる。

池袋までどれくらいかかる?→電車が加速
食べ物の心配→ゴーヤが繁殖
戻ろうというと、津波がくる。→つまり、思考が現実になるという設定は間違いないと思われる。

パスタをはかる器具。食べ物が減っている?
Tシャツ柄が「練アリ」で「なんか家にあった」らしい。
問題はパンツ
霧が出たタイミングは?喧嘩中?なぜ、地図を持った人が来た?(流れ的にはポンスケ?)
西武池袋線以外は消えてしまった?池袋はあり得ないことになっている。何も信じちゃだめ。

ゼンジロウは吾野を出られない。ヨウカ・ハムスターの身内?ヨウカの写真が少し不穏。{/netabare}


5話 JKが双発ヘリのメインローターに縛られている図は本邦初?こういう見たことがない絵柄こそアニメの醍醐味です。

{netabare} なんか戦闘機とか無駄にすごかったですね。いまどきF4ファントムは飛んでない気がしますが、F2、C2などとと戦闘シーンはとても良かったです。
 それと双発ヘリのローターにJkが縛り付けられている図は本邦で初めての絵柄の気がします。非常に新鮮でした。こういう発想は素晴らしいと思います。ガリバー旅行記を意識しているのか澁澤龍彦でSMを意識しているのかわかりませんけど。

 全体として新鮮な絵柄でアニメの特性を生かした面白い回だったと思います。5話で気が付いたのは、モールス信号は、スイッチバックしたんだから線路はもうつながってない気もするんですけど、うまく接触してるんでしょうか?

 考察をしようと思いましたが、思ったより早めに種明かしが進むので、ほどほどにしておきます。21年3か月、澁澤龍彦、キノコ、ゴーヤ、練馬の国のアリス、キンバイカ、モールス信号等々気になる要素はたくさんあるんですどね。

 それよりもやっぱり「終末」の意味とヨウカとシズルの関係性です。池袋が恐ろしい、思ったことが現実になる、ということと絡めるとやっぱりかなり衝撃的な結末になるのかな、という気もします。{/netabare}


6話 心の距離が吾野と池袋の距離?

{netabare}  2人が仲違いしていること、宇宙が何かを象徴していることは初期から比較的わかりやすかったと思います。吾野と池袋の距離感と宇宙が取り巻く世界観はボタンを押した葉香の世界感で、電車がつまり静留ということなんだと思います。

 なぜ、静留がここまで露骨に性格が悪いかなんですけど、これは「我々」のことかなと思います。周囲を取り巻く友人たちはある程度まともですけど、やはりどこか性格の悪さと表現しています。一人でなんでもできるといいながら、結局は何もできないことなんでしょう。

 犬が吐くというのはなんでしょうね?静留の自分の身の回りのものはいつまでもいてくれるという恒常性バイアスなんでしょうか。
 自分と他人とは能力も考え方も違うということが理解できない、幼児性や自分勝手はしつこいくらいに表現されています。

 この性格の悪さ、他人への無理解が電車と絡めてどういう話になるのか、楽しみです。

 清瀬だとゾンビはなんでしょうね?昔結核療養所があったから?{/netabare}


7話 チャタレイ夫人とエロに弱いゾンビから読み取れることは?

{netabare} ゾンビが作品に出てきた場合、基本的には資本主義的な世界で意思を失った「生ける屍」ではあると思います。
 そのゾンビがJKとエロに弱いなら、それは生殖をあきらめた人間…つまり令和の時代の我々ということでしょうけど、ドラッグストアの感じを見るとJKとオタク男子に見えなくはないです。

 それが考えすぎかというとそうでもなくてアキラが読み上げていたのは「チャタレイ夫人の恋人」ですね。チャタレイ夫人の恋人は子供ができない貴族の夫人が労働者階級の男と通じて妊娠する話です。
 つまり、男の不妊と性と階級の話ですから、わざわざこの作品を選択した以上は、そういう読み取り方をするのが自然でしょう。思いのほか教養が試されている気もしますが、チャタレイを知らなくてもエロスとタナトスで読み取れるものはあります。

 もう1つの可能性として表現の自由のことかもしれません。というのはチャタレイ夫人の恋人は確かわいせつ表現で裁判があった作品です。このご時世でアニメのエロ表現の風当たりがひどいですから、こっちの方が自然かもしれません。あるいは両方ともとれます。

 つまり、この作品には風刺がやはり入っているんでしょう。本作の設定から言ってSNSは含まれるでしょう。電車の上の歌は出典がわかりませんが、調べてみましょうか。ただ、調べなくても昔は庶民の生活文化にユーモアとしてエロを楽しんでいた、という事だとは思います。規制するから不健全になるという事かな。

 で、女王が出てきました。なるほど…なかなか面白くなってきました。{/netabare}


8話 死を強く感じる不穏な感じに加えて社会・大衆批判を感じますが…

{netabare}  大泉学園ですからイコール撮影所でフィクションの世界という何かが含んでいる気がします。アリスですから「不思議の国のアリス」でトランプではなく将棋ということでしょう。

 そこは良いとして、この作品気になるのが澁澤龍彦もそうですけど、SMあるいは拷問などのイメージが強いです。あるいは自死も含まれます。墓もありました。凍らされている子は首に縄を巻いていました。復活できると思っていた魔法少女たちはみな死んでしまいました。

 冒頭の東久留米の賽の河原のようなイメージのところで、かゆみが発症しました。かゆみって、難しいですが賽の河原つながりだとダンテの神曲に痒みで苦しむ地獄があるみたいです(貨幣の偽造とか虚偽。つまり嘘をついたことがあるということ?)。ですので地獄を表現したのかなあという気もします。加えて次のひばりが丘ですが、団地というか墓地というか…多分もっともいやな出来事が思い出されるという感じでした。離婚、いじめ、暴力、別離等々ですね。

 どちらも、濃厚なネガティブイメージが漂います。その続きとしての練馬の国のアリスです。どう見ても死の世界ですよね。ブタはもちろん大衆のことですから自分で戦うことも判断することもできません。これはイコールゾンビだと思います。7G回線=ネットワークだとすると、つまり大衆とSNSそれは生きているといえるのか?という哲学的な問題。自分の過去の嫌なことと向き合うということ。

 ルールの上で戦う…ルールを変更されるとは社会なんでしょう。あの犬は社長のイメージですので将棋は会社のカリカチュアで、部下=コマですね。そしてルール内では社長は強いけど個人としては弱いと読めます。
 あるいは大泉学園の撮影所をもっとクローズアップすると日本の実写は死んだとも取れます。

 その他、ミニチュア自衛隊の回を思い起こすと、要するに戦う力がない軍隊が無能に支配されていた構図です。強烈な社会批判を感じます。ゾンビ回と魔法少女を合わせて考えると、オタクに対する批判も感じます。

 チャタレイ夫人もそうですけど、実は澁澤龍彦も「サド侯爵」でわいせつ表現裁判を受けていますので、表現の自由の話も入っていそうです。
 他には例えば東吾野の動物になった大人たちが本来人間の弱肉強食性を表しているのかもしれません。

 これらの批判の上に、女子高生たちの心の闇が組み合わさった時、どういう話になるのか。練馬の国のアリスだとすると女王様は結局意味がないことを繰り返して夢オチになるのか。ちょっと緊迫感がでてきました。今回はモールス信号もなかったし、どうなるんでしょうね?

 そうそう、つまり社会批判ですから、スウィフトのガリバー旅行記をやりたいのかなという気もします。ヘリの構図がそのものですもんね。

追記 そうか賽の河原ですから4人はもう死んでいるという事?生きているふりをしているという嘘をついているから痒いのかな。あるいは地獄めぐりのイメージなのかもしれません。{/netabare}


9話 つまり情報世界内の宇宙…ビッグバン特異点ということ?

{netabare} クオークにダークマター、134億年に膨張ですからね。宇宙論です。つまり、特異点=ビッグバンを起こす可能性があるという話だと理解しました。ヨウカの行ったことがある範囲がヨウカにとっての宇宙ということで、世界が閉じたのでしょう。なので西に向かっても戻ってきてしまう、という感じなのでしょう。

 もし、ヨウカとシズル達が出会うとビッグパンが起きる=もとに戻るのか新しい世界が生まれるのか、という話だと思うと納得はできます。9話だけ見れば。21年3か月=255か月で動物になる、というのは桁数がオーバーフローするということでしょうから、多分コンピュータかネットワーク上の情報世界を意図しているのだと思います。

 あとは、今まで積み上げた話と同リンクするか、ですね。基本ヨウカのイメージが世界観に反映しているのだと思いますが…もう9話なのでもうとっとですね。面白くなってきました。 {/netabare}


10話 なんかもうメチャクチャですけど…

{netabare} リアルタイムで見ると見終わると深夜0時なので頭がクラクラ来ます。一番のカオス回のような説明が進んだような…茶碗蒸しとは何か?お父さんとなぜここであったのか?とか真剣に考えてもいいんですけど…もう、結末を素直に見ようかな。

 ヨウカのインナースペースが実体化したのか、むしろシズルなのかわからないですけど、狭い世界に閉じ込められた話ですからね。グリッドマン的な何かなんでしょうか。過去回で茶碗蒸しがだれかの好物とかいうセリフがあるなら話は早いですけどね。
 
 あの黒い男が1話のカラスだということは気が付きましたが、トキワ荘で思考を放棄したくなりました。創作論・表現論とかでいろいろ牽強付会はできますけど、もう考察はいいかなあ。頭がクリアな時間帯にもう1回みるかもしれませが…うーん。
 いったい「終末トレイン」のあの世のような感じと7Gが象徴するところをどうまとめるんでしょう。{/netabare}


11話 ここにきて最高に面白い。橋が伸びるシーンに心がざわつきました。

{netabare} デパートとは資本主義的欲望の究極。ファッションや名画の押しつけがありました。その欲望…つまり価値観はどこから来るのか。押しつけです。

 7GとはSNSによる欲望の刷り込みなのか、あるいは欲望の現実化なのか。今回のヨウカのごはんにも「何でゴーヤ?」がありました。9話でもやってましたね。つまり、郷愁があるわけでしょう。キノコのおかずがありましたが、3話と何か関係あるのか。ポチとカラスの関係は?

 フクロウは…イケフクロウ?

 天文学をやりたい、勉強をしたい。それをシズルに否定されたんでしょう。どこまで説明するかわかりませんが、とにかく面白い。最高です。橋のシーンで謎の感動がありました。

 最終回を見た後でもう一回見たいですね。

 なお、最近やっとスピンオフやっているのに気が付きました。「わんわんトレインどこへゆく」です。そのサブタイトルなんですけど、

お金と愛どっちが大切
無人島に行くなら何を持っていく
ケーキのイチゴいつ食べる
宝くじ当たったらどうする
タイムマシンで行くなら未来?過去?
占いの結果 信じる? 信じない?

です。この質問の共通項は?単純な2択も多いです。JKが好む話題というのか…ネットの底の浅い質問というか…ここからも大衆批判の匂いがしています。{/netabare}

投稿 : 2025/03/01
♥ : 22
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

親友は遠きにありて思うもの

東京・池袋発“7G”の影響により大人が動物化するなど様々な影響が出た世界にて、
喧嘩別れした親友を探しに女子高生4人が、故郷の吾野(あがの)から池袋を目指して、
豪快に長距離化した西武池袋線に乗って旅立つ青春と冒険を描いた。
水島努監督らによる1クール・オリジナルアニメ(全12話)

【物語 3.5点】
展開ハチャメチャで意味不明だけど共感できる部分も多い、
現代および近未来文明へのカウンターパンチ。

世の中、何でも高速化し過ぎ。自動化し過ぎ。
この流れが続けば、早晩、人間は失われてしまうのではないか?
懸念を抱えた自分にとっては、毎回刺激的な作品でした。


例えば、5Gによって全自動運転が実現するという触れ込みは絵空事に終わる模様ですが、
このまま通信で物体を操るレベルの高速化が進めば、誰かの思念により、現実世界の情報が一瞬で書き換えられる、
本作の7Gみたいなカオスな世界になっても不思議じゃない。

例えば、新幹線のぞみで名古屋から京都に旅行すると最短38分で到着してしまいます。
私は余りに旅情がないので、最近は、こだまで50分かけるプランを選択していますが。

“7G事件”によって、また7Gの引き金をひいた親友・葉香のひとりになりたい意志も汲み取ったかのように、
西武池袋線で1時間で行ける吾野ー池袋間は超伸張して、何日もかかる大冒険となってしまいました。
そもそも7Gで通信が混乱していなければ、友だちとの謝罪と仲直りくらい
SNSで秒で終わる話。

が、世の中、短文通信だけじゃ伝わらない想いだってあるはずでは。
遠路はるばる足労して、面と向き合ってこそ確かめ合える真意があってもいい。


余りに超高速過ぎる変化をもたらす7Gで警鐘を鳴らす一方、
7G副作用による長距離化、通信等の不便化で、
浮上した往年のゆったりとした習慣、コミュニケーション手段により、
忘れられつつある人間性の再度の掘り起こしが試みられた。
だからと言って、西武池袋線のレールを叩くモールス信号による、
うにゃうにゃ手術の影響で正気のやり取り制限時間5分の善次郎さんとのやり取りは、
不便すぎて私は毎回ツボにハマりましたがw

こうした観点で挑めば、折り合えるかどうかは別にしてw
得る思索の材料がある有意義なアニメ鑑賞になるかと思われます。


好きなエピソードは序盤3話の{netabare} 東吾野駅のキノコの話。
上記のような先行き不安感の、お手軽な払拭を願ったりする私にとっては、
ダメ。ゼッタイ。と釘を刺されるようなエピソードでした。{/netabare}


【作画 3.5点】
アニメーション制作・EMTスクエアード

7Gで混沌とした沿線を巡るため、多種多様なデザインを必要とする本作。
決して戦力豊富とは言えない同スタジオ。
鉄道、列車アポジー号などにはCGも当てつつ、無理のないソース配分で、
完走も見えたかに思えた終点直前。放送延期の総集編で白旗。
水島監督曰く「単に間に合わなかった」とのこと。
ま、善次郎さんの「ボボボ……」うにゃうにゃ化くらい、いつもの事ですねw

JK4人組の内、主人公・静留(しずる)は吾野柔術の使い手であり、
撫子は吾野弓術が得意とあって、
意外とアクション性があり、バトルアニメーションは水準以上。

もっとも私が一番印象に残ったバトルは、
{netabare} 敵を好きな“作風”に変更できるベレー帽を装備した、
時代に取り残された漫画家軍団との激闘?なんですけどねw{/netabare}

その他、ミリタリー、ゾンビなど、
戦力外候補のマニアネタ開陳で意地を見せる。
懐古趣味が作画からも滲み出ていました。


あとは{netabare} ゴーヤ糸電話?{/netabare} などゴーヤ推しがしつこかったので、
放送中、何度かゴーヤ料理を自作しました。
ただ、茶碗蒸しは製造する気力は湧いて来ませんでしたが。


【キャラ 4.0点】
千倉 静留…主人公。普通のJKだが身体能力はバトルヒロイン級。
星 撫子…流されているようでやる時はやる優しい飛び道具使い。
久賀 玲実…野生児型の金髪褐色ギャル。思考は不得手。
東雲 晶…頭でっかちな文学少女。玲実と喧嘩する程仲が良い凸凹を形成。

見てくれは凡庸なデザインですが、一緒に掛け合って旅してみると、
バランスの取れた良好なキャラ相関にまとまり、まずまず化ける。
この辺りもまた『ラブライブ!』などの西田 亜沙子氏キャラデザの確変マジック。

彼女たちJK4人の珍道中で、7G事件の震源地・池袋に、
親友・中富 葉香と腹を割って話に行く。


{netabare} キノコの教祖?様だの、ゾンビの女王{/netabare} だの、道中の“中ボス”も曲者ぞろいだった本作。
にしてもラスボスがポイズン・ポンタローってw
彼に{netabare} 「改革なくして成長なし」みたいに「姫なくして池袋なし」{/netabare} と吐かせて墓穴掘らせたり。
ここでも急進的な変革への抵抗勢力からの毒煙を感じますw


【声優 4.0点】
主演の安済 知佳さんを始め、メイン4人のキャスト陣に対して、
音響監督も兼任した水島監督から、リアルな芝居、自然な会話をとの執拗なディレクション。

それを受けての、ギャルに、文学に、ゴーヤと、方方にとっ散らかる掛け合いは、
贅肉が多いのですが、その生産性や合理性のないダベリからもまた、
人間性を失わせまいとするスタッフの矜持を感じました。

以前、『メタリックルージュ』レビューでも言及しましたが、
合理性のある会話脚本くらい、今やAIに命じれば瞬時に生成される時代。
説明調の無味乾燥な台本くらい自動音声でも読める。

今後もこうした迷走する会話劇を生身の声優に演じさせることにより、
人間性を主張するトレンドは続くのだろうなとの私の予感が強まる演技でした。
私も人間として、混迷するセリフ回しに喰らいついていけるよう精進したいと思いますw


あとは、ゾンビたちのうめき声が淡々と律儀で、地味に癒やしでしたw


【音楽 4.0点】
劇伴担当はシンガーソングライター・辻林 美穂氏。
摩訶不思議な7G世界に合わせて、奇妙な電子サウンドも目立ちますが、
クライマックスでは、王道のピアノとストリングスの心情曲でしっかり盛り上げて来る。
やかましすぎない、良い塩梅のバックグラウンド・ミュージック。

OP主題歌は中島 怜さんの「GA-TAN GO-TON」
“GA-TAN GO-TON GA-TAN GO-TON しょっちゅう停止 停止”
敢えて不便にして人間性の再発掘を試みる作風とマッチしますが、
制作に、放送回を飛ばされた上で聞くと、申し訳ないですが自虐にも聞こえてしまいますw

ED主題歌はロクデナシ「ユリイカ」
サビの“何度傷つけ 間違って 失敗して 優しさ 蔑ろにしただろう”などと、
仲直りの決意を新たにして締めくくる良作バラード。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 17

鬼戦車 t89 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

西武池袋線は最高だ!

 最終話(12話)まで観ました。2024.06.29

 監督が暴走したのを何とか制作スタッフみんなで作品にまとめた感じのアニメでした。7Gって監督のことか!?

 西武池袋線沿線住人の私としては、大泉学園駅とか出てくるだけで大喜びですよ!ただ、狂った世界が舞台なので、聖地にはならない感じが…。

 ハチャメチャやり過ぎロードムービー系のアニメは最近少ないので、たまには良いかなぁと楽しく視聴いたしました。この手の話は、伏線の回収とか考察とかゴチャゴチャ言うのは野暮な感じなので、レビューしにくいです。

 一つ、好き嫌いが分かれそうなのは、登場人物達の性格が悪くて馬鹿な所ですね。

 主人公の静留はもちろんガチの性悪ですが、葉香も、「静留ちゃんなんて、人外魔境の東吾野で何も成せない、何者にもなれないまま、腐っていく口先だけのカスだと馬鹿にしていた!」とか言い出すし、青春のぶつかり合いにしては辛辣過ぎます。幼馴染に吐く台詞では無い様な…。

 主人公達が馬鹿なので、色々な事象に対して後手に回って事態が悪化し、最終的に全て肉体言語(暴力)で解決します。この粗暴でやましい感じが好き嫌いの別れ目になりそうです。

 ただ、ぽん太郎の持っていた拳銃が中折れ式のリボルバー(ムスカ大佐の愛銃、エンフィールドかな?)だったり、西武新宿線の復活を何よりも願っているモブが登場したり、装甲列車が活躍したりと、ピンポイントにマニア心をくすぐります。

 制作スタッフが楽しんで作っている感じはヒシヒシと伝わってきたのは高評価です。覇権は取れそうもありませんが、佳作以上の出来ではあったと思います。
………………………………………………………………………

 6話まで観ました。2024.05.08

 突然四人娘達がギスギスし始めます。静留が葉香の夢に対してそこまで言うか?位の駄目出しをしたので、葉香が池袋へ行ってしまったとか今更言い出して静留を吊し上げます。

 静留の言動が異常かどうかは何とも言えません。青春ものでは大体巧妙に避ける場合が多い、主人公達が通っている高校のレベルが不明だからです。

 みんながアホキャラの黒ギャルと同レベルなら、葉香の夢は誇大妄想ですが、吾野史上最高の天才である可能性もあります。

 みんな同じ制服を着ていますが、世界崩壊後だからかもしれませんし、葉香だけ埼玉天才学園の生徒なのかもしれません。

 情報が無いので何とも言えない上に、静留の行動を誰も止めません。どう考えてもメイドインアビスのリコがレグ無しでアビスの底へ潜る位の自殺行為なんですが、何故、みんなイキナリ酷薄なサイコパスになる?

 シナリオの都合でキャラに異常行動をさせると、収拾がつかなくなります。このアニメ、カツカツで作っているらしいので、この先の展開が非常に心配です。
………………………………………………………………………

 初回観てのレビューです。2024.04.02

 何と舞台は吾野駅!西武池袋線練馬駅へ向かって冒険が始まります!沿線住人は観るっきゃ無い!

 謎現象による文明崩壊後の女子高生達の活躍に期待大です。ちょっと、色々と狙い過ぎな感じもしますが、1話を観る限り、おもしろそうです。

 川越ボーイズ・シングみたいにブッコケないことを心から願っております。

 登場人物の女子高生達が少しウザい感じなのがちょっと引っかかりますが、変に百合とか恋愛とかブチ込まなければ、傑作の予感すらします。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 11

70.5 6 2024年度の未来アニメランキング6位
オーイ!とんぼ 第2期(TVアニメ動画)

2024年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (76)
161人が棚に入れました
島を出たとんぼの日常は目まぐるしく変化していく――。 高校生となり、熊本での生活をスタートさせたとんぼは、練習場のジュニア生たちとコースでラウンドすることに。トカラで培った自由奔放なゴルフでコースを攻略していくとんぼに対し、1つ年上の実力者・ひのきも決死で応戦。激しい対決を繰り広げる。 とんぼの潜在能力の高さに驚愕したコーチのハジメは、とんぼを5月の九州女子選手権に挑戦させることを決意する。 島で一緒にラウンドしたつぶらや、熊本で出会ったひのきなど、新たなライバルたちとのゴルフを通じて、とんぼがさらに大きく羽ばたいていく!

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

プレッシャーの中でゴルフをするということ

プロゴルファー志望であったかわさき健(原作)と、古沢優(作画)による原作漫画は、『週刊ゴルフダイジェスト』(ゴルフダイジェスト社)で連載中(既刊53巻、未読)。累計発行部数220万部突破!
アニメ2期は全13話(2024年秋)。監督はオジング。制作は、『ポケモン』などの子供向けから『薬屋のひとりごと』といった話題作まで手がけるOLM Division 2(以上、Wikipedia参照)。
(2024.12.15 投稿 2025.1.7 追記)

「元プロゴルファー志望の原作者」による「ゴルフ専門誌に掲載中の本格ゴルフ漫画」のアニメ化作品の第2期(※エンディングの設定協力で表示されるゴルフ関連会社の名前の多いこと(笑))

ただ本格ゴルフ漫画といっても、「日本最後の秘境」といわれるトカラ列島から出てきた「やたー!」という歓喜の声が印象的な純朴な女子高生のとんぼ(CV.はやしりか)が主人公。
また、「再現性のスポーツ」といわれるゴルフにおいて、理想のボール軌道のために常にスイングを変えるという天才的な感性を持った異端児でもあります。
(※この感性は父親の形見である3番アイアン一本でティーショットからパッティングまでこなしていたことで身についたという設定。こういう感じで、ゴルフのセオリーから外れるところは、流石ゴルフ専門誌に長く掲載されているだけのことはあって、説得力を持たせるだけの専門的なフォローがなされている点も本作の特徴。しかも素人でも比較的分かりやすく解説されていると思います。)

2期は舞台をトカラから熊本に移し、熊本の高校に進学したとんぼは、ゴルフ練習場のオーナーの家に下宿しながら、初めての競技ゴルフ「九州女子選手権」に出場することになります。

そして、3番アイアン一本からはじまったとんぼのゴルフクラブも、ようやく7本のハーフセットに(※それでも少ない…)。

しかし、今までプレッシャーとは無関係にノビノビと島でゴルフを愉しんできたとんぼにとって、はじめての強敵・ライバルたちとの真剣勝負。

そこで、とんぼは、プレッシャーの中でゴルフをするという、本来ゴルフというスポーツが持つはずの普通の感覚を新たな境地として開拓していくというのが2期の見所になっています。
(※特に彼女は、常にスイングを変えるので、物凄いショットを打つ代償として心理的動揺がモロにスイングのブレとして現れてしまうのが面白い。)


【個性的で強力なライバルたちが登場】
とんぼの強力なライバルとして、1期で登場した昨年の日本ジュニアの優勝者である安谷屋円(あだにやつぶら:CV.喜多村英梨)に加え、2期からは、2年連続九州女子の優勝者である音羽ひのき(CV.石川由依)と、ハーフの元世界ジュニアチャンピオンであるエマ・クリス(CV.井上麻里奈)が登場。

さて、『銀河英雄伝説』や『アルスラーン戦記』でお馴染みの作家・田中芳樹さんがインタビューでキャラを作るとき、「100発殴られたとき、99発殴り返す奴と101発殴り返す奴みたいにずらして考えている」と言っていたのですが…
何度もそう言ってるのを見たことがあるので、本人は分かりやすい例え話と思っていそうですが(笑)、正直、どういうことやねんってずっと思ってました(笑)
それで、本作を観て、この言葉がふと思い出されたんですよ。

主人公のとんぼは、常にスイングを変え、自由にボールの軌道を変える異端児として描かれている。そこに、常に安定したスイングで大崩れをしない安定した対照的なゴルフをする円がはじめてのライバルとして登場(※円も過度に安定したゴルフを指向するので異端といえば異端)。

そして、ひのきは、この二人の異端児とは異なる、よくいる正統派ゴルフエリートとして描かれています。ひのきの父親がゴルフ教育熱心というのもリアル寄りです。

最後に、かつて左足を負傷したことにより軸足の変更を余儀なくされた、天才なんだけど致命的な弱点を持つエマ。

こう考えていくと、登場人物は、みんな天才なんだけど、主人公を基準として、そこからちょっとずつずらしてキャラ付けされていて、特に他のスポ根アニメのキャラ作りにも思い当たるところがありますよね。


こういった感じで、分かりやすくも個性的に色分けされたとんぼの強力なライバルたちが、今までノープレッシャーでゴルフを愉しんできたとんぼの前に立ちはだかり、とんぼにプレッシャーを与えていくことになります。

でも、本作では、最終的に、とんぼの自由なゴルフが、そして、純粋にゴルフを愉しむ気持ちが周囲に影響を与えていく、そんな「純粋にゴルフを愉しむアニメ」になっていると思いました。


【作画】
キャラの描き方など全体的に昭和の雰囲気を感じますが、グリーンの芝目やコース描写などは非常に緻密に描かれていて、ゴルフアニメとしてクオリティが高いと思いました。


【「曲芸みたいなゴルフをリアルに」 「オーイ!とんぼ」原作のかわさき健さんに聞く(上)(2024.12.18 産経新聞)、「巨人の星」原作の父から影響 根底に優しさ 「オーイ!とんぼ」のかわさき健さん(下)(2024.12.19 産経新聞)】
産経新聞の上記インタビュー記事によると、とんぼのモデルは、スペインのセベ・バレステロス選手(※2011年に54歳で永眠)。
彼は多種多様なショットを放つことができ、林の中からなどグリーンを簡単には狙えないような所からでもバーディーを奪ったりすることから、「七色のアイアンショット」と呼ばれたプレイスタイルだったそう。また、幼少期に3番アイアンのヘッドに木を差し込んで、たった1本でゴルフを覚えたというところも実話がモデルだったんですね(Wikipedia参照)。

原作者の父親は、『巨人の星』(原作は梶原一騎)で有名な漫画家の川崎のぼるさん。
やっぱり子供のころは、仕事が忙しくてあまり相手にしてもらえなかったそう。大人になり漫画原作をするようになって、具体的にアドバイスをもらうようになったそうです。ちなみに、『う〜まんぼ!』は親子合作作品。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 8
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

「インテリジェンス×競技ゴルフ」の見事な融合

【レビューNo.166】(初回登録:2025/1/19)
コミック原作で2024年作品。全12話
1期がよかったので、2期も楽しみにしていた作品ですね。


(ストーリー)
1期でプロゴルファーを目指して島を出る決心をしたとんぼ。
とんぼはイガイガの紹介で、熊本にある「武蔵塚ゴルフ練習場」のオーナーで
ある有働九五郎の家に下宿して、レッスンプロの長男・有働はじめのレッスン
を受けることになる。
そして初めての競技ゴルフ「九州女子選手権」に出場するのだった。


(評 価)
・「インテリジェンス×競技ゴルフ」の見事な融合
 1期のレビューで
 >インテリジェンスが高く、ゴルフの奥深さを提示しちゃんと面白い
 と書きましたが、1期は割と
 ・通称「3鉄」(父の形見の3番アイアン)1本であらゆる球を打ち分け
  → 何故打ち分け可能なのかというテクニカルな部分を解説
 が多かったのですが、2期では
 ・ゴルフとは18ホールをいかに少ない打数で上がるかのスポーツ
  → ではそのためにゴルファー達はどういう思考・方法で挑むのか
 というのを論理的にみせてくれるんですよね。

 とんぼのゴルフは
 ・よくも悪くも失敗を恐れない(失敗をリスクとして考えない)
 ・目の前の1打を”どうやって打ってやろうか”というワクワク感優先
 という「スコアメイキングという概念がない」ゴルフなんですが、本作では
 そこをライバルキャラを通じて面白く描いてくれています。
 ●エマ・クリス
  飛距離を武器とした加点を狙う積極的な攻めゴルフ
 ●音羽ひのき
  バランスに優れ、試合経験の豊富さに裏打ちされた強かさ
 ●安谷屋円
  確率論に根ざしたグレートワンパターンでの緻密な組み立て
 「その1打にどういった意図があるのか」ということをしっかり解説して、
 「競技ゴルフとはどういうものか」というのを視聴者にわかりやすく提示
 してくれるとともに、各プレイヤーの解像度の上げ、より各キャラを魅力
 的に描写してくれていたと思います。
 その辺の描写がしっかりしているから、対極に位置するとんぼの自由奔放
 なゴルフもより際立つって感じですね。

 そしてこんな感じで「1打1打の解説」を事細かに入れてきても、それがウ
 ザく感じずに面白さに繋がっているのは素直に凄いなっと。
 解説内容の適切さや演出や作画といったアニメとしての魅せ方など、原作
 者や制作陣の技量の高さを感じますね。


・王道的な展開もしっかり押さえゴルフに対する愛情も感じられる
 今作は「競技ゴルフメイン」ということで「優勝するのは誰か」といった
 王道展開で物語が進んでいきます。

 上述した1打1打の細やかさだけでなく「ゴルフには流れというものがある」
 という勝負の大局観や駆け引きなんかもきちんと盛り込まれていたので、
 そこはしっかり押さえているなっと。

 そして今回の一番のテーマが
 ・とんぼが体験する初めての”プレッシャー”
 であったりするわけで・・・・
 それを体験することで今までとは違う「本物のゴルフ」というものを知る
 ことができるわけですが、
 {netabare}・「確実」というセオリーに逃げずに、”プレッシャー”がかかっている
  ことを認めた上で全力で立ち向かう{/netabare}
 その辺もとんぼらしい描き方がよかったと思います。

 またメインはライバルたちとの優勝争いなんですが、初日に一緒に回った
 主婦ゴルファー・島道子も印象深かったですね。
 彼女は予選通過できるかどうかのゴルファーですが、皆優勝やプロを目指
 しているわけではなく、それでもゴルフが好きでそれぞれの思いを掲げて
 プレーをしていると、原作者のゴルフ愛を感じるエピソードでしたね。
 上述の論理的な解説といい、原作者の描きたいものをしっかり描いている
 という印象ですね。


「スポーツものはやはり真剣勝負してなんぼ!」
というのもありますが、プレイヤーの数を増やして
「ゴルフの面白さを(ウリのインテリジェンスで)より多角的に魅せる」
という広がりをみせたのはさすがでしたね。
そういう意味でも本作は1期以上に面白かったと思います。
他の要素もバランスよく描けていたと思いますし。

唯一難点を挙げるとすると、スコア表示が少なすぎる気がしました。
「バーディーだ!」と言われても、トータルスコアやライバル達との差とか
が分からない期間が長く、何かモヤモヤするんですよね。
もう少しスコア表示した方が、試合にも緊張感が出てより面白くなったので
は思います。
(まあこまめにスコア表示するのは展開を考えるのが面倒ってのがありそう
 ですが(笑))

また1期ではすっと一緒にいたイガイガとの関係性の変化の描写も興味深かっ
たですね。
1期ではゴルフの師匠や友達という感覚でしたが、離れてみてとんぼの心情に
変化が現れたようで、イガイガに父親像を求めているかのような描写が印象に
残りました。


(追 記)
個人的に驚いたのは、とんぼの”自由奔放”なゴルフをコーチが矯正しようと
する展開(VS それに抗うとんぼみたいな)が真っ先に描かれるものだと思って
いましたが、それが全くなかった点ですね。
やはり普通のスポコンものとは違うんだなっと。
原作者の中で描きたいものは明確なんだなっと感じましたね。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 14

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

とんぼのゴルフは人の心を魅了する

これは第二期です。
第一期をまだ見ていない人は、第一期から見ることを強く強く強くお勧めします。

第二期の舞台は熊本です。
高校生になった大井とんぼが九州女子アマチュアゴルフ大会に出場し、活躍する内容が描かれています。

とんぼのゴルフは天真爛漫です。全く型にはまらないゴルフをします。
それは通常のゴルフ指導者が見ると異質であり、「基本ができていない」と言われるでしょう。
でも、とんぼのゴルフは魅力的です。思わず応援したくなります。
それに、とんぼのゴルフを見ると、いつの間にか心が清められるのです。

とんぼは、勝つためのゴルフをしません。
普通、優勝がかかった一打を打つときは、手堅く打とうとしますよね。
でも、とんぼは勝つことよりも、技術力を向上させる工夫を常にやり続けます。
とんぼは、未来を見つめてゴルフをしているのです。だから応援したくなるのです。
それにとんぼは、一緒にプレイする人の失敗を願ったりせず、いつも人の応援をします。
相手が困っていたら、懸命に助けるのです。
そんなとんぼを見ていたら、自分もとんぼみたいに清らかな心になりたいと思うのです。
とんぼのゴルフは多くの人の心を魅了します。


そして今回は、とんぼの活躍だけでなく、とんぼのライバルである3人の女性の活躍と彼女らの心の声も見逃せません。
特にとんぼの友達である安谷屋つぶらの心の声を聴くと、女子ゴルフは決して美しいゴルフではなく、なりふりなどかまってられないサバイバル競技であることが良くわかります。
また、とんぼの先輩である音羽ひのきの心の声は、人間誰もが持つ心の弱さに対する苦悩が描かれています。
今回彼女は、苦労の末にそれを克服しました。とんぼに出会ったことが彼女の成長につながったようです。
そして、エマ・クリス。大怪我を克服するための彼女の努力と執念は、すさまじいものがありました。
おそらく彼女がこの舞台に立っていることだけでも、信じられないほどの奇跡なのでしょう。

第三期を期待しています。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 23
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