昭和で戦争なおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの昭和で戦争な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月14日の時点で一番の昭和で戦争なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

82.9 1 昭和で戦争なアニメランキング1位
この世界の片隅に(アニメ映画)

2016年11月12日
★★★★★ 4.2 (699)
3099人が棚に入れました
18歳のすずさんに、突然縁談がもちあがる。
良いも悪いも決められないまま話は進み、1944(昭和19)年2月、すずさんは呉へとお嫁にやって来る。呉はそのころ日本海軍の一大拠点で、軍港の街として栄え、世界最大の戦艦と謳われた「大和」も呉を母港としていた。
見知らぬ土地で、海軍勤務の文官・北條周作の妻となったすずさんの日々が始まった。

夫の両親は優しく、義姉の径子は厳しく、その娘の晴美はおっとりしてかわいらしい。隣保班の知多さん、刈谷さん、堂本さんも個性的だ。
配給物資がだんだん減っていく中でも、すずさんは工夫を凝らして食卓をにぎわせ、衣服を作り直し、時には好きな絵を描き、毎日のくらしを積み重ねていく。

ある時、道に迷い遊郭に迷い込んだすずさんは、遊女のリンと出会う。
またある時は、重巡洋艦「青葉」の水兵となった小学校の同級生・水原哲が現れ、すずさんも夫の周作も複雑な想いを抱える。

1945(昭和20)年3月。呉は、空を埋め尽くすほどの数の艦載機による空襲にさらされ、すずさんが大切にしていたものが失われていく。それでも毎日は続く。
そして、昭和20年の夏がやってくる――。

声優・キャラクター
のん、細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞、小野大輔、潘めぐみ、牛山茂、新谷真弓、澁谷天外
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

戦時下でも蝉は鳴く

浦野家の長女として生まれ育ったすず。
明るくて純真な心を持つ少女。
特技は絵を描くこと。
昭和19年2月、すず18歳。
少女に縁談の話が訪れる。
相手は呉に住む北條家の長男周作。
海軍の軍港として栄える呉の街での生活が始まる。

こうの史代原作、片渕須直監督作品。
当時の街並みを再現した素朴で美しい情景。
戦時下の日常を生きる人々を描く傑作アニメ。

そこにあるのは規則正しいささやかな暮らし。
戦争という非日常の中にあっても、
すずは工夫をして食事を作り、洗濯し、
衣服を直し、日々をたくましく優しく生きている。
しかし戦局は悪化の一途を辿り、
物資の配給は減り、空襲の回数は増えていく。
そして昭和20年、運命の夏を迎える。
広島に新型爆弾が投下された。

{netabare}焼け野原と化した広島の街並み。
敗戦の玉音放送を聴き胸が詰まるすず。
張りつめていたこれまでが飛び去っていく。
泣き崩れるすずの胸中に想いを馳せる。
みんなが笑って暮らせますように。
この映画を不滅のものとした名場面がここに。{/netabare}

戦争ものは総じて苦手なのですが、
ここには前向きなメッセージがあります。
すずが暮らした70年前の広島でも、
夏にはスイカを食べ、蝉は鳴くのですね。
そんな当たり前に過ごす日々に感謝をして、
懸命に生きた彼女にまた会いたいと思います。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 99
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

微笑ましい日常を多く描くことで戦争の悲惨さを表現した名作

原作未読。

【はじめに】
「太平洋戦争を題材にした作品(映画・ドラマも含めて)の中で、これだけふり幅の効いている作品を見たことが無い」
これが私の第一印象でした。
作画や主人公・すずの人柄など、ノスタルジックでほのぼのとした日常の中に、悲惨な戦争がある・・・。

この作品の素晴らしさは、微笑ましい日常を多く描くことで、戦争の悲惨さを表現している所だと思います。
そして、絶望的な状況の中でも、前を向いて健気に生き抜いている人々(特に女性)の姿が、とても印象的でした。

太平洋戦争を題材にした作品の多くは、戦争の悲惨さを過剰に描いたり、(例えば特攻隊のような)兵士を英雄視して描かれる作品が多い中で、かなり異色な作品だったと思います。

『太平洋戦争を題材にした作品は苦手』という方にも安心してお勧めできる、傑作です。

【物語】
物語のほとんどが主人公・すずの目線で描かれている所が面白いと思った。
働き者でおっとり、少し内向的だけど明るい・・・。
そんなすずの目線で描かれていることこそが、この作品の一番の魅力だと思う。

【作画】
キャラデザを含めて、柔らかく、ノスタルジックな印象。
物語の印象とぴったりマッチしていて、とても良いと思った。

印象的だったのは{netabare}大好きな姪・晴美と大事な右手を失うきっかけとなった{/netabare}、あの空襲の場面。
まるで、水彩画を描くかのように表現されている。
幼いころから絵を描くのが得意だった、すずならではの見事な表現だと思う。
そして、「まるで現実の事とは思えない」すずの心情を上手く表していると思う。

【声優】
主人公・すず役ののん(能年玲奈)さんは、すずの役柄とぴったりだったと思う。
素朴な語り口が、この作品の魅力を最大限に引き出している。

【最後に】
書き出したらきりがないほど印象的な名シーンの多い作品だったと思います。
その内、いくつかを書き出しておきます。

~笑った~
{netabare}憲兵に間諜(スパイ)と疑われたくだりは声を出して笑ってしまった。

妊娠の兆候?➝朝食は2人分➝病院へ➝昼食は1人分。妊娠は気のせいだったんですね。(笑){/netabare}

~切なかった~
{netabare}右手を失ったすずのもとを訪ねた、妹・すみが別れ際に言った一言。
「広島に帰っておいでぇや。ひどい空襲も無いし・・・」
この後の歴史を知る者なら、誰もが切ない思いをするに違いない、地味ながら心に響く名セリフ。

玉音放送の後、人目を避け、泣き崩れた義姉・径子とすず。
誰もが勝利を信じ、色々な事を耐えて、我慢してきて、その結果・・・。
こういう所がとてもリアルで良かった。{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 94
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

右手を失った人に「運が良い人」とあなたは言えますか?

この物語は、戦争という理不尽な状況の中でも、たくましく生きていく人たちを描いています。

主人公のすずは、のんびり屋でおおらかな性格です。
そして絵を描くのが趣味な女の人です。

すずのおっとりした性格や作画の柔らかさもあり、最初はなごやかな雰囲気で物語がすすみます。
でも、この時代は戦争中です。

不覚なことに、映画の途中まで、私はそのことをすっかり忘れていました。
しかし、{netabare}
不発弾の爆発ですずの右手がなくなり、一緒に歩いていた女の子も亡くなったとき
「ああ、この時代は、兵隊でなくとも、空襲でいつ死ぬかも知れないんだ。命の保障など全く無い時代なんだ」
と、改めて気づかされました。

そこから先は、悲惨な内容ばかりです。

右手を失くして大好きな絵を描くことができなくなったすずに、
「右手を失っただけで済んだので運が良かったね」と、おばさんが言うシーンがあります。
もちろん私だったら、すずにそんなことを言えません。
でも、
実際に第二次世界大戦で命を亡くした人が沢山います。
日本人だけで、約300万人です。 
その中には、栄養失調で亡くなった人や満足な治療ができずに亡くなられた方もいます。
戦争さえ無ければ、栄養失調になることもなく、治療もちゃんと受けることができたはずですので、
やはり、それらの人々も戦争の犠牲者だと思います。

だから右手を失ったすずに「運が良かったね」と言ったおばさんは、悪気など全くないのです。 {/netabare}

この物語の最後に、すずが、母親を亡くした子供をひきとるシーンがありましたが、
あのシーンが無ければ、暗く辛い内容ばかりで映画が終わってしまうところでした。
あれで私の心が救われました。

私たちは、自分たちや子供たち、孫たち、その先のまだ見ぬ人たちのためにも、戦争のない平和な世の中を大切にすべきだと思います。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 90

77.1 2 昭和で戦争なアニメランキング2位
ジョーカー・ゲーム(TVアニメ動画)

2016年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (989)
5032人が棚に入れました
世界大戦の火種がくすぶる昭和初期を舞台に、帝国陸軍の“スパイマスター”結城中佐によって設立されたスパイ養成部門「D機関」の活躍が描かれている。

声優・キャラクター
堀内賢雄、下野紘、木村良平、細谷佳正、森川智之、梶裕貴、福山潤、中井和哉、櫻井孝宏、津田健次郎、関智一

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

ラストのセリフに痺れる

昭和初期の東京、横浜、
そして上海、倫敦で繰り広げられる、
歴史の闇に埋もれたスパイミステリー。

帝国陸軍内に創設されたD機関の暗躍。
歴史の舵取りはどこが握るのか!?
心の拠り所さえ、裏切り捨て去る、
それがスパイなのである。

スタイリッシュな映像美で魅せる、
美術や背景を見てるだけでも痺れる。
淫靡で雑多な上海や当時の伊勢丹、
ダットサン(初期の車)が最高ですね。
物語は結城中佐を軸に語られるオムニバス形式。
お勧めは「魔都」「ダブルジョーカー」です。

世界大戦の火種がくすぶる、
あの時代に興味のある方にぜひお勧め。
テーマや設定が重過ぎるように感じますが、
キャラも良く、音楽もセリフも粋な物語です。
各国の諜報機関も雰囲気持っていますね。
原作の評判も良いのでは試してみては。

最終話「XX」、
最後の結城中佐のセリフに痺れる。
見事な幕引である。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 63

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

趣の異なった『主人公最強系』?

原作未読。

ジャンルはスパイ&ミステリー系かな?
日本が世界大戦に参戦する直前頃、結城中佐の発案で作られたD機関と呼ばれるスパイ養成学校の8人の訓練生たちが活躍する話。

今まであまり見なかったジャンルなので、楽しさ半分、好奇心半分くらいで視聴開始。

まず、作画の綺麗さにビックリ。

OP、ED曲とも作品のイメージにぴったり。

登場人物の姿形に特徴が少ないため、誰が誰だか見分けにくいけど、表情が豊かな部分は高評価。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 59
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

映像もストーリーもよく練られたスパイもの<原作読了、追記あり>

本作は繊細な描写が魅力で小説や洋画(特に古い名作)のような印象の、スパイを主人公としたミステリー作品。
何回も視聴して想像や考察をしながらじっくり楽しむのが吉です。

アニメよりも実写向きと感じるような作りですし、エピソードごと時系列を入れ替えていたり、メインキャラクターを意図して見分けがつきにくくデザインしているなど、アニメとしては尖ったところもあります。

エンターテイメント的なアニメを好む人や、キャラクターの掘り下げを望む人には向かないかもしれませんが、シリアスなアニメや他の媒体の作品も好む人には逆に入りやすいのではないでしょうか。

【ビジュアル面】
キャラクター原案は三輪士郎さんで、キャラクターデザインの矢萩利幸さんがアニメの方向性に合わせてより地味なイメージに落とし込んでいます。
ことD機関のスパイ8名は全員目立たないモブ顔を設定するという方法を取りました。アニメキャラクターは一目で見分けがつくべき、という考え方からすれば思い切っていますが、機関員8名はスパイとして目立たず活動する作品なのでこれで正解だったと思います。

作画は安定感と美しさでリアリティを追求している点が最大の特長。動きもデフォルメが少なめ、色彩も暗めなので若干泥臭いイメージにもなっていて、そういう部分が好きですね。
安定した作画でキャラクターの仕草や表情が細かく、緊張感やリアルな雰囲気が途切れなかったことが一番素晴らしい点だと思います。

背景もやはりリアルで美しく、地に足の着いた映像作りがされていて、世界観をよく表現していました。


【キャラクターと声優】 {netabare}
大御所がいっぱいでしたw演技に関しては本当に素晴らしかったの一言です。

結城中佐はほんの僅かに人間味を見せることが実は少なくなく、長いスパイ活動を経てもその人間性を捨て去っていない点がかえって恐ろしいと同時に素晴らしいキャラクター。
堀内賢雄さんは感情を見せない語り口、時折見せるかすかな人間性、変装時の演じ分けなど最初から最後まで、本当に素晴らしかったです。個人的に賢雄さんはシリアスキャラがすごく好きなので嬉しかったです。

ゲストキャラクターではヴォルフ大佐と、その声を当てた銀河万丈さんがとても印象深いです。若い頃との演じ分けも好きですし、判断力に優れた面、冷徹な印象や威圧感、結城中佐に対する一種の執着などその人間性がとても感じられました。
{/netabare}


【ストーリー面】 {netabare}
オムニバス形式 で各話独立した物語として展開、八人の機関員にそれぞれスポットが当たる構成です。
あえて時系列を入れ替え最初(1,2話)と最後(12話)にキャラクターの人間性を描くタイプのエピソードを配置。3話がいきなり荒唐無稽なストーリーなのは気になるものの、話数が進むほど視聴者を引き込む作りになっており、おかげで右肩上がりに面白くなったと感じました。

そして最終話がいつも通りに始まりいつも通りに終わる、というのが実に本作らしい。そういう終わり方になるだろうとは思っていましたし、私自身それを期待していました。
スパイたちの人生にも活動にも終わりはなく、視聴者はそのいくつかの出来事を覗き見しただけと思っていましたし、時系列の入れ替えのおかげでそれが自然だと感じられました。

ラストの結城中佐の台詞は第1話最初の台詞と同じで、これが格好良かった!全体のまとまりも感じられて良かったです。
佐久間さんに対しては「これまでの考え方を捨てろ」、小田切さんに対しては「ここでの経験を忘れるな」という意味もありそうですね。
原作からは改変されているそうですが、スタッフが最後までアニメとしてより良い作品を作ろうとしたと思えて、なんとも粋で、正直燃えました。そういうアニメじゃないけどこれw
{/netabare}

【本作の2つの柱】 {netabare}
本作を1クールで展開する上での柱だと私が感じたのは「スパイの生き様」「虚構」の2つです。しかもその2つの要素は密接にリンクして、綺麗に全12話で起承転結にまとめられていました。

まず1、2話で佐久間が初めて機関員(スパイ)の「虚構」を認識します。佐久間は視聴者目線に立つ存在でもあります。
そして機関員は優秀なスパイで、その存在は「虚構」であり、影となって状況をコントロールするという、その仕事ぶりでスパイを語るという構造なのですね。
3話~7話で機関員たちが主役でないのは当然のことです。スパイの生き様は色々ですが、諜報戦から降りざるを得なくなった者だけが「虚構」を捨て去り(あるいは剥がされ)、初めて物語の主役になるわけです。
そういう意味では、軍人であることを捨て去れない風機関の人間はそもそも諜報戦に参加することすらできませんでした。

結城中佐は上に立つ人間ですし身体的ハンデが特徴になるので影にはなれませんが、逆に掴まれている情報を餌に「虚構」を構築することで状況をコントロールし、アーロンを引退に追い込んでいます。結城中佐の過去話かとおもいきや、10話の主役はアーロンさんなんですよね。
11話は三好が真木という「虚構」を被ったまま人生に幕を下ろす物語でもあり、同時に結城中佐の「虚構」が危うく崩れかける物語でもありました。ニアミスしたのがヴォルフ大佐だったら、一切偽装していない結城中佐は実体をつかまれていたでしょう。
そして、最終話では自己を捨てきれない小田切を描くことで、相対的に視聴者に機関員の「虚構」を再認識させているのです。(キャストの役名が「飛崎弘行(小田切)」になってることに今になって気がつきました。細かい!)

もともと虚構であるアニメーションでは、いかにリアリティを持たせるかが大切です。
本作は映像からはリアリティを追求しているように感じますが、実際は「虚構」を描く作品でした。本作中でキャラクターの語る偽情報すら映像が付いていたのは、視聴者を引っ掛けるフェイクだったのでしょう。原作ファンを引っ掛ける改変もあったようで、そう言われると原作がさらに気になりますw

実写ドラマでも面白いかも知れないと最初は思いましたが、人の手でゼロから創り上げられる虚構(アニメ)だからこそ、本作は魅力的なのかも。
{/netabare}


【雑感】 {netabare}
感情移入が出来ないとのめり込めない私が全話面白く見られたのは、一見淡白に見えても、ストーリー(ミステリー)の中に人情噺のような側面を必ず入れていたからだと思います。
ストーリーを引っ張るのは機関員ですが、他のキャラクターはきちんと人物描写されていて、仕草や表情も見逃せなくて毎回画面に釘付けになってました。

それから自分としては意外だったのが、三好の死がめっちゃショックだったこと。
原作ファンの方の書き込みを目にする機会があって、視聴前から知っていたのにズシンと来ました…普通なら嫌いなタイプのキャラクターなのに…
なんというか三好が、というより「人間の死」というもののあっけなさ、迷いも後悔も心の中に一切無いスパイの死に様が重かったですね。ドラマチックな演出が一切ないからこそ辛かったです…

考える頭脳があるのに日本軍人として生きると決意している佐久間、スパイとして秘密を保って死んだ三好、暗い時代に孤独と苦難の道を歩む機関員たち、それとはまた違う厳しい道を選択した小田切、誰にも見せない苦悩を抱えているであろう結城中佐。
キャラに感情移入するアニメじゃないのに私が嵌ったのは、彼らに想像の余地を残してくれているからです。
本作で何を見て何を考えるかは視聴者に委ねられています。そこがとても好きですね。
{/netabare}

本当にスタッフに恵まれた作品でした。
本作を見ているとわからないことも沢山ありましたが、本作の公式サイトには時系列表やコラム等があり、理解の助けになりました。かなり内容が充実していて頭が下がります。

振り返ると無駄な話はひとつもなかったと思いますし、繰り返し視聴するのが楽しい作品です。
こういう新作が定期的に出てくれると個人的にはとても嬉しいですね。(2016,6,27)


本日原作を読了しました。
キャリアのある作家さんだけあって読みやすく情報量も多く、描く要素も一貫していてとても面白かったです。時系列は原作もばらばらで、アニメだけではなかったんですねw
アニメ版が気に入った方には是非読んでみて欲しいです。

原作のひとつの特徴として、小説というビジュアルのない媒体だからこそ出来る登場人物の「無名性」があります。{netabare}登場するスパイ達は偽名しか付けられていませんし、スパイが主役となる物語は最後にその人物の"スパイとしての死"が示唆されることが殆どです。{/netabare}
アニメ版に私が感じた「虚構」は原作から引き継がれた重要な要素だったのですね。

アニメーションではビジュアルが絶対に必要ですから、やり方を間違えると本作の魅力を大きく損なう難しい要素だったんだなと読んでみて思いました。機関員のキャラクターデザインはとても良いバランスだったと思います。

物語としても、キャラクター数や情報量を減らしながらも物語の筋はきちんと通り、そのために原作を分解・再構築することを恐れないよく練られた作品でした。

動画配信サイトが再放送など行ってくれていることもあり、良い評価を受けているようで一ファンとしてとても嬉しく思います。
(2016.7.8追記)

投稿 : 2024/11/09
♥ : 51

64.4 3 昭和で戦争なアニメランキング3位
はだしのゲン(アニメ映画)

1983年7月21日
★★★★☆ 3.4 (32)
175人が棚に入れました
世代を超えて読み継がれる、中沢啓治の反戦漫画の劇場アニメ化。1945年4月の広島。国民学校(戦時中の小学校)2年生の中岡ゲンは、父親の大吉が戦争を批判したことから非国民の子といわれていた。だが苦渋の生活に耐える一家の前で8月6日、広島にピカ(原子爆弾)が投下。ゲンは父、姉、弟を一瞬のうちに失った。このショックで早産した母・君江と、生まれた赤ん坊の妹・友子の面倒を見ながら、他の被災者とともに必死に生きるゲン。彼は死んだ弟・進次にそっくりな戦災孤児・近藤隆太を家族に加え、そして原爆のため全身に大火傷を負った画学生の青年・吉田政二の看病をしながら戦後の世を生きていくが。制作はマッドハウス。監督は真先守。原作・脚本ではゲンの2人の兄が登場しているが、完成した本作のアニメ版では整理された。また原作では政二青年は死亡するが本作では最後まで生存するなど、いくつかの改訂が図られている。なおゲン役のCV・宮崎一哉はオーディションで選ばれた、広島県出身の当時小学生だったが、この作品で好評を博し、以降、本格的にボイスアクターの道を歩むことになった。

野菜炒め帝国950円 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

1度は見ようぜ

戦争もの。
80分くらい。
そういう時期なんで。
お姉さんが意外と可愛い。
泣ける。

かなり有名な作品なんで、レビューもさぞ多いんだろうと思ってたらまさかの7件。
7・・・阪神の和田監督じゃないんだから、この数字は少し寂しい。
意外と言えば意外だったが、テーマがテーマだけに今までみたいに好き勝手書くわけにもいかず正直難しい。言葉も慎重に選んで書く必要がある気がする。こういうところもレビューの少なさに影響してるんだろうか。

知らない人のほうが少ないだろうけど舞台は第二次世界大戦後期の広島。
原爆投下後も逞しく生きていく主人公の姿を描くお話。

原作本が割りと小学生とかにも広く読まれていた(今は知らん)から、このアニメもおそらく下は小学生からと幅広い層に向けて作られたものだろうと思うが、特に原爆投下のシーンでは、そこまでやるんだってなくらい力を入れて作られてるように感じる。
このシーンだけ抜き出した動画とか見れるけどどうせなら全部見ましょう。
これはお子様が見てもガクブルもので恐怖しか残らんだろう。勿論それも狙いの1つなんだろうが。

ある程度大人になって見てみると恐怖より怒りのが勝ってくる。
原爆投下からの一連の展開を見ると、くたばれアメリカ人と思うし、てめーらは比較的安全なとこにいて勝てもしない戦争をグダグダ引き伸ばしたボケ共にも腹が立ってくる。
言葉が悪いのは百も承知だが、見てる時はそう思ってしまう。
日頃チワワのように温厚と噂される自分ですらこう感じるのだ。
多分、大勢の人が怒りまたは悲しいという感情を抱くのではないだろうか。


戦争もので思い出すのは、ほたるの墓だがこちらも短いながらも良作。
ストーリーも80分ちょいの中によくぞここまで詰め込めたなと思うくらい濃い目の内容。
只、ガキの頃見るよりもある程度大人になってからこそ見るべき作品だと個人的には思う。

でもま、機会があるならこっちより原作本のが明らかにいいから出来たらそっちで。
いやこっち先に見て興味沸いたら原作本でもいいかもしれない。
どっちにせよお勧め。














    

投稿 : 2024/11/09
♥ : 32

keylove さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

素晴らしいとは言わないけど、きっと日本人が忘れてはいけない問題

思う出しレビューになりますが、ある意味では大切な作品だと思いますので、書いておきます。


舞台は1945年、終戦間近の広島市。ゲンの父で下駄の絵付け職人大吉は、反戦思想の持ち主。こうしたことから、中岡家の家族は町内会長の鮫島や近所から「非国民」扱いされ、様々な嫌がらせを受けた。

以上wikiからの引用です。


現代のアニメを観てる人からすれば(自分もですけど)これはつまらない作品かもしれません。
でも、この問題定義というか、テーマはすごいと思います。

まさに終戦間近の広島。
つまり誰もが知っている原爆投下直前のお話です。

これは週間少年ジャンプで1972年に掲載されたらしいですが、アニメとか映画とかいう次元を超えていますね。

火垂るの墓もそうだけど、これは日本の歴史。
そして、世界の歴史ですよね。

たしか、文部科学省推薦だった気がするのですが、うなずけますね。


世界で原子爆弾(核爆弾)を投下されたのは日本だけです。
それは今の時代でも塗り替えられることなく、唯一の被爆国です。

そのことを忘れている、もしくは気にしない日本人が多数いる時代だからこそ、こういう作品と言うのは受け継がれるべきだと思います。
これが泣けるからだとか、描写がリアルだからとかそういうのじゃなくて、あくまできちんとした歴史を認識しておくという意味で必要だと思います。
戦争のことを否定したりするのは、こういう場にはふさわしくないと思いますが、このアニメ作品を観れば、そういう気持ちが湧くのはたしかです。
こんなに悲惨なことがつい数十年前に現実に日本で起きたということを、本当にリアルに描いている作品です。

ただ単にグロだとか作画が古いとか声優さんやキャラなど、今のアニメ作品と比べることなく、日本人として、心に刻むためにも、観ておいて損はないと思います。

ですので、ストーリーには高得点をつけました。
これはノンフィクションとも言えますから。

興味がある人はぜひ観てください。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 17

ろき夫 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

これはぜひ観ていただきたい作品です。

はだしのゲンとは
原作者自身の原爆の被爆体験を元にした作品で、これはそのアニメ映画です。
小学生の時、平和教育の時間に御覧になられた方もいるのではないのでしょうか?

最近、YouTubeでこの作品のとあるワンシーンをたまたま見つけまして。
それは丁度、広島の町に原爆が投下されるシーンでした。

凄まじい轟音と閃光。
あらゆる生命が失われたその瞬間が生々しく、途方もない恐ろしさをもって表現されます。
幾重にも重なった荒い線で描かれた絵。その中に、この作品に携わった方たちの感情をひしひしと感じ溢れる涙を抑え切れませんでした。

でも、こんな言葉なんかじゃ伝えられない。そんな焼けつくような映像でした。


これがきっかけではだしのゲンを視聴することにしました。
この作品には1と2があるのですが、1は原爆投下前後のエピソード。
2は戦後、少し成長したゲンのエピソードです。
両作品、話が続いているので一気に観たほうが良いかと思います。
ゲンやその仲間たち、彼らを見守る大人。必死に生きる彼らの姿は私にとって生涯忘れえぬ程の感動を与えてくれました。

小学校の頃図書館で読んだ原作とは全く違う印象を受けました。
この作品に込められているのは説教くさいメッセージなんかじゃ決してない。人間である彼らの生き様なんです。


現在、平和教育のためにこのアニメを児童に鑑賞させることはほとんど無いそうです。
表現の過激さが原因ということもありますが、時代考証に多少誤りがあるそうで。
致し方ないですが、実に残念なことだと思います。


またこの作品は当時の時代背景・人間の様子を考察するきっかけを私に与えてくれました。
あれから、関連する本をいろいろ読むようになりました。

最近読んだモノでおすすめなのが
『原爆投下は予告されていた 国民を見殺しにした帝国陸海軍の「犯罪」』(著:古川愛哲)
という著書です。
原子爆弾投下時の政府の対応と福島原発事故時の政府の対応にみられる共通性について言及しています。

タイトルからも分かるように、この著者の観点には政府批判への極端な偏りが見られるので
内容を鵜呑みにするのも危険ですが、的を射た部分もありとても考えさせる内容に違いは無いです。

原爆と原発。日本人はどうやら原子力と腐れ縁なようです。

ついこの間まで、原発についてそんな真剣に考えたことなんてありませんでした。
自分が考えてもどうしようもない問題だとスルーしていたので。
でも、はだしのゲンや数々の著書に触れて、少しずつ考えるようになりました。
やっぱり政府の役人たちだけに丸投げしていい問題でもないですよね。
私と同じようにあまり原発に対して意識したことのない方には是非触れて頂きたいです。


■最後に

はだしのゲンという作品をきっかけに
こういう風にまだ自分が変わっていけることを嬉しく思いました。
この出会いを大切にしたいです。

読んでいただきありがとうございます。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 13
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