昭和でミステリーなおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの昭和でミステリーな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月12日の時点で一番の昭和でミステリーなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

77.1 1 昭和でミステリーなアニメランキング1位
ジョーカー・ゲーム(TVアニメ動画)

2016年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (989)
5031人が棚に入れました
世界大戦の火種がくすぶる昭和初期を舞台に、帝国陸軍の“スパイマスター”結城中佐によって設立されたスパイ養成部門「D機関」の活躍が描かれている。

声優・キャラクター
堀内賢雄、下野紘、木村良平、細谷佳正、森川智之、梶裕貴、福山潤、中井和哉、櫻井孝宏、津田健次郎、関智一

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

ラストのセリフに痺れる

昭和初期の東京、横浜、
そして上海、倫敦で繰り広げられる、
歴史の闇に埋もれたスパイミステリー。

帝国陸軍内に創設されたD機関の暗躍。
歴史の舵取りはどこが握るのか!?
心の拠り所さえ、裏切り捨て去る、
それがスパイなのである。

スタイリッシュな映像美で魅せる、
美術や背景を見てるだけでも痺れる。
淫靡で雑多な上海や当時の伊勢丹、
ダットサン(初期の車)が最高ですね。
物語は結城中佐を軸に語られるオムニバス形式。
お勧めは「魔都」「ダブルジョーカー」です。

世界大戦の火種がくすぶる、
あの時代に興味のある方にぜひお勧め。
テーマや設定が重過ぎるように感じますが、
キャラも良く、音楽もセリフも粋な物語です。
各国の諜報機関も雰囲気持っていますね。
原作の評判も良いのでは試してみては。

最終話「XX」、
最後の結城中佐のセリフに痺れる。
見事な幕引である。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 63

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

趣の異なった『主人公最強系』?

原作未読。

ジャンルはスパイ&ミステリー系かな?
日本が世界大戦に参戦する直前頃、結城中佐の発案で作られたD機関と呼ばれるスパイ養成学校の8人の訓練生たちが活躍する話。

今まであまり見なかったジャンルなので、楽しさ半分、好奇心半分くらいで視聴開始。

まず、作画の綺麗さにビックリ。

OP、ED曲とも作品のイメージにぴったり。

登場人物の姿形に特徴が少ないため、誰が誰だか見分けにくいけど、表情が豊かな部分は高評価。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 59
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

映像もストーリーもよく練られたスパイもの<原作読了、追記あり>

本作は繊細な描写が魅力で小説や洋画(特に古い名作)のような印象の、スパイを主人公としたミステリー作品。
何回も視聴して想像や考察をしながらじっくり楽しむのが吉です。

アニメよりも実写向きと感じるような作りですし、エピソードごと時系列を入れ替えていたり、メインキャラクターを意図して見分けがつきにくくデザインしているなど、アニメとしては尖ったところもあります。

エンターテイメント的なアニメを好む人や、キャラクターの掘り下げを望む人には向かないかもしれませんが、シリアスなアニメや他の媒体の作品も好む人には逆に入りやすいのではないでしょうか。

【ビジュアル面】
キャラクター原案は三輪士郎さんで、キャラクターデザインの矢萩利幸さんがアニメの方向性に合わせてより地味なイメージに落とし込んでいます。
ことD機関のスパイ8名は全員目立たないモブ顔を設定するという方法を取りました。アニメキャラクターは一目で見分けがつくべき、という考え方からすれば思い切っていますが、機関員8名はスパイとして目立たず活動する作品なのでこれで正解だったと思います。

作画は安定感と美しさでリアリティを追求している点が最大の特長。動きもデフォルメが少なめ、色彩も暗めなので若干泥臭いイメージにもなっていて、そういう部分が好きですね。
安定した作画でキャラクターの仕草や表情が細かく、緊張感やリアルな雰囲気が途切れなかったことが一番素晴らしい点だと思います。

背景もやはりリアルで美しく、地に足の着いた映像作りがされていて、世界観をよく表現していました。


【キャラクターと声優】 {netabare}
大御所がいっぱいでしたw演技に関しては本当に素晴らしかったの一言です。

結城中佐はほんの僅かに人間味を見せることが実は少なくなく、長いスパイ活動を経てもその人間性を捨て去っていない点がかえって恐ろしいと同時に素晴らしいキャラクター。
堀内賢雄さんは感情を見せない語り口、時折見せるかすかな人間性、変装時の演じ分けなど最初から最後まで、本当に素晴らしかったです。個人的に賢雄さんはシリアスキャラがすごく好きなので嬉しかったです。

ゲストキャラクターではヴォルフ大佐と、その声を当てた銀河万丈さんがとても印象深いです。若い頃との演じ分けも好きですし、判断力に優れた面、冷徹な印象や威圧感、結城中佐に対する一種の執着などその人間性がとても感じられました。
{/netabare}


【ストーリー面】 {netabare}
オムニバス形式 で各話独立した物語として展開、八人の機関員にそれぞれスポットが当たる構成です。
あえて時系列を入れ替え最初(1,2話)と最後(12話)にキャラクターの人間性を描くタイプのエピソードを配置。3話がいきなり荒唐無稽なストーリーなのは気になるものの、話数が進むほど視聴者を引き込む作りになっており、おかげで右肩上がりに面白くなったと感じました。

そして最終話がいつも通りに始まりいつも通りに終わる、というのが実に本作らしい。そういう終わり方になるだろうとは思っていましたし、私自身それを期待していました。
スパイたちの人生にも活動にも終わりはなく、視聴者はそのいくつかの出来事を覗き見しただけと思っていましたし、時系列の入れ替えのおかげでそれが自然だと感じられました。

ラストの結城中佐の台詞は第1話最初の台詞と同じで、これが格好良かった!全体のまとまりも感じられて良かったです。
佐久間さんに対しては「これまでの考え方を捨てろ」、小田切さんに対しては「ここでの経験を忘れるな」という意味もありそうですね。
原作からは改変されているそうですが、スタッフが最後までアニメとしてより良い作品を作ろうとしたと思えて、なんとも粋で、正直燃えました。そういうアニメじゃないけどこれw
{/netabare}

【本作の2つの柱】 {netabare}
本作を1クールで展開する上での柱だと私が感じたのは「スパイの生き様」「虚構」の2つです。しかもその2つの要素は密接にリンクして、綺麗に全12話で起承転結にまとめられていました。

まず1、2話で佐久間が初めて機関員(スパイ)の「虚構」を認識します。佐久間は視聴者目線に立つ存在でもあります。
そして機関員は優秀なスパイで、その存在は「虚構」であり、影となって状況をコントロールするという、その仕事ぶりでスパイを語るという構造なのですね。
3話~7話で機関員たちが主役でないのは当然のことです。スパイの生き様は色々ですが、諜報戦から降りざるを得なくなった者だけが「虚構」を捨て去り(あるいは剥がされ)、初めて物語の主役になるわけです。
そういう意味では、軍人であることを捨て去れない風機関の人間はそもそも諜報戦に参加することすらできませんでした。

結城中佐は上に立つ人間ですし身体的ハンデが特徴になるので影にはなれませんが、逆に掴まれている情報を餌に「虚構」を構築することで状況をコントロールし、アーロンを引退に追い込んでいます。結城中佐の過去話かとおもいきや、10話の主役はアーロンさんなんですよね。
11話は三好が真木という「虚構」を被ったまま人生に幕を下ろす物語でもあり、同時に結城中佐の「虚構」が危うく崩れかける物語でもありました。ニアミスしたのがヴォルフ大佐だったら、一切偽装していない結城中佐は実体をつかまれていたでしょう。
そして、最終話では自己を捨てきれない小田切を描くことで、相対的に視聴者に機関員の「虚構」を再認識させているのです。(キャストの役名が「飛崎弘行(小田切)」になってることに今になって気がつきました。細かい!)

もともと虚構であるアニメーションでは、いかにリアリティを持たせるかが大切です。
本作は映像からはリアリティを追求しているように感じますが、実際は「虚構」を描く作品でした。本作中でキャラクターの語る偽情報すら映像が付いていたのは、視聴者を引っ掛けるフェイクだったのでしょう。原作ファンを引っ掛ける改変もあったようで、そう言われると原作がさらに気になりますw

実写ドラマでも面白いかも知れないと最初は思いましたが、人の手でゼロから創り上げられる虚構(アニメ)だからこそ、本作は魅力的なのかも。
{/netabare}


【雑感】 {netabare}
感情移入が出来ないとのめり込めない私が全話面白く見られたのは、一見淡白に見えても、ストーリー(ミステリー)の中に人情噺のような側面を必ず入れていたからだと思います。
ストーリーを引っ張るのは機関員ですが、他のキャラクターはきちんと人物描写されていて、仕草や表情も見逃せなくて毎回画面に釘付けになってました。

それから自分としては意外だったのが、三好の死がめっちゃショックだったこと。
原作ファンの方の書き込みを目にする機会があって、視聴前から知っていたのにズシンと来ました…普通なら嫌いなタイプのキャラクターなのに…
なんというか三好が、というより「人間の死」というもののあっけなさ、迷いも後悔も心の中に一切無いスパイの死に様が重かったですね。ドラマチックな演出が一切ないからこそ辛かったです…

考える頭脳があるのに日本軍人として生きると決意している佐久間、スパイとして秘密を保って死んだ三好、暗い時代に孤独と苦難の道を歩む機関員たち、それとはまた違う厳しい道を選択した小田切、誰にも見せない苦悩を抱えているであろう結城中佐。
キャラに感情移入するアニメじゃないのに私が嵌ったのは、彼らに想像の余地を残してくれているからです。
本作で何を見て何を考えるかは視聴者に委ねられています。そこがとても好きですね。
{/netabare}

本当にスタッフに恵まれた作品でした。
本作を見ているとわからないことも沢山ありましたが、本作の公式サイトには時系列表やコラム等があり、理解の助けになりました。かなり内容が充実していて頭が下がります。

振り返ると無駄な話はひとつもなかったと思いますし、繰り返し視聴するのが楽しい作品です。
こういう新作が定期的に出てくれると個人的にはとても嬉しいですね。(2016,6,27)


本日原作を読了しました。
キャリアのある作家さんだけあって読みやすく情報量も多く、描く要素も一貫していてとても面白かったです。時系列は原作もばらばらで、アニメだけではなかったんですねw
アニメ版が気に入った方には是非読んでみて欲しいです。

原作のひとつの特徴として、小説というビジュアルのない媒体だからこそ出来る登場人物の「無名性」があります。{netabare}登場するスパイ達は偽名しか付けられていませんし、スパイが主役となる物語は最後にその人物の"スパイとしての死"が示唆されることが殆どです。{/netabare}
アニメ版に私が感じた「虚構」は原作から引き継がれた重要な要素だったのですね。

アニメーションではビジュアルが絶対に必要ですから、やり方を間違えると本作の魅力を大きく損なう難しい要素だったんだなと読んでみて思いました。機関員のキャラクターデザインはとても良いバランスだったと思います。

物語としても、キャラクター数や情報量を減らしながらも物語の筋はきちんと通り、そのために原作を分解・再構築することを恐れないよく練られた作品でした。

動画配信サイトが再放送など行ってくれていることもあり、良い評価を受けているようで一ファンとしてとても嬉しく思います。
(2016.7.8追記)

投稿 : 2024/11/09
♥ : 51

計測不能 2 昭和でミステリーなアニメランキング2位
鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎(アニメ映画)

★★★★★ 4.1 (59)
127人が棚に入れました
詳細不明

声優・キャラクター
沢城みゆき、野沢雅子
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

全ての日本人に心の貧困という核心を突き付ける地獄の前日譚(プリクエル)

原作未読。TVアニメもまともに観たのは第3シリーズ(1985-1988)くらい。
最近のシリーズも6期で猫娘が随分と萌えキャラ化したなw以外は予備知識もほぼありませんでした。
ですが近年の『ゲゲゲ』の好評は聞き及んでいて興味はあったので、
入り込みやすくハズレがない前日譚である本作から、
30年ぶりにイマドキの『鬼太郎』をかじってみることに。


【物語 4.5点】
表層は昭和30年代。怪しげな因習が残る閉鎖された村・哭倉(なぐら)村にて、
地元を取り仕切る名家の相続絡みで起こる連続猟奇殺人事件という『八ツ墓村』型サスペンスのプロット。

が、そこで炙り出される人間の愚かさは、陰鬱とした田舎特有の物ではなく、
鬼太郎誕生に隠された、人間と妖怪にまつわる、えげつなさ過ぎる人の業の暴露と共に、
村境を越え、時代を越え、古今の日本全体に、
愛を捨ててまで欲望を追求する人間の狂気という重たいテーマを突き付ける。

(※核心的ネタバレ){netabare} 幽霊族の血液{/netabare} から生成する血液製剤“M”はかつて日清・日露でも使用され不死身の兵隊たちが日本を勝利に導き、
戦後の今また“企業戦士”に投与し日本復活を目論んでいるという件。

バブル景気の頃、24時間働けますか?とドリンク剤投与して過重労働でナンバーワンを目指すも幻に終わった、
あの徒労感を想起させるようで苦笑しました。

怖いと言うより核心を突く痛恨の一撃を受け呆然とする感じ。


原作者の故・水木 しげる氏は大戦中、南方戦線で左腕を失った帰還兵。
その原体験から、物質ばかり豊かになっても心が貧しいままでは人間は幸せになれない。
と作品内外で終世発信されて来たお方。

主人公視点を、東京・血液銀行社員で南方戦線帰りの水木に置き、
哭倉村に鑑賞者をナビゲートする役割を担わせる辺りにもリスペクトを感じました。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・東映アニメーション

赤にカラーを絞って村の猟奇を表現したり、
時にはモノクロを基調に強調したい人や物をカラーにする演出を仕掛けるなど、
見応えがある絵作りで狂気に呑まれた村を好表現。
龍賀製薬社長・克典の金歯の強調にも成金趣味の末路を示すようで、こだわりを感じましたし。
何より鬼太郎の両親がデートで召し上がっていたメロンクリームソーダが美味しそうでした。

昭和30年代・白黒映画作品のエッセンスを意識したということもあってか、
喫煙率が高めなのも特徴的。
出世による生き残りの野心を抱く社畜・水木が、社長の葉巻にむせ返るカットには、
人の心を捨てて上へ行っても破滅するだけとの皮肉がこもっているようで印象的。
葉巻をカットする道具などプロップデザインのレベルから力が入っていました。

かつての小児喘息患者の私から見たら序盤、
ろくに分煙もされていない昭和の列車内で、
呼吸器疾患と思しき少女が咳き込んでいるにも関わらず、
煙草をふかす乗客たちの描写も示唆的でした。
ここも思いやりを忘れて高度成長へと猛進する日本の行く末を暗示しているかのよう。

昭和30年代を意識して制作してはいるが、決してノスタルジーには陶酔せず、突き放すべきは突き放す。
このバランス感覚が全世代の鑑賞に耐え得る作品を実現させていると感じました。

デザインの土台から意図があり、それでいてバトルシーンも、場合によっては線を大胆に崩す描画からスピード感が伝わり見応えがある。
総じて本年でも上位に入るリッチな作画でしたが、グロも容赦なくガードは必須。
と言うより、これでPG12指定で済ました映倫は冒頭10分しかチェックしていないのでは?との疑念を抱いてしまいますw


【キャラ 4.5点】
人間側の主人公・水木。
戦場で味わった人間への絶望から他者を打算でしか見れなくなってしまった哀れなサラリーマン。
本作は、“見えるように”なってしまった妖怪から、死相があると指摘されるほど終わってる水木が、
愛の価値を認識する物語でもあり、その筋書きが鬱展開が続く中でも一筋の光明となる。

「愛をとりもどせ!!since1956」
私がレビュタイに考えていたもう一つの痛いタイトルですw

水木の価値観を投影する合わせ鏡として重宝したのが、
村を束ねる龍賀家の娘・沙代。
閉塞した村から東京への憧れを抱き、水木に想いを寄せる。
水木が目的のため、乙女の純心を無下にしたり、思い直して拾い直してみたり。
愛を巡る主人公の心の揺れ動きを拡張する良ヒロインでした。

水木に愛に関する問答等をもたらすのが、妖怪側の主人公・鬼太郎の父(後の目玉おやじ)
要所で主人公心理の現在地を確認し合うチェックポイントがあり、
心の機微を捉えやすくて助かりました。

軽快なフットワークで展開を動かす役割を果たしたのが少年時代のねずみ男。
鬼太郎父の代から、付かず離れずの腐れ縁w


【声優 4.5点】
龍賀家のキャストには亡き当主・時貞役の白鳥 哲さん以下、
脂の乗り切った声優たちが固める盤石の布陣で、
愛蔵渦巻く伏魔殿ぶりを確立し、主人公らの前に立ちはだかる。

紗代役の種崎 敦美さん。
この秋アニメでも無双している種崎さんですが、
幅広い役柄に対応できる能力を本作でも遺憾なく発揮。

掛け合いでは水木役の木内 秀信さんと鬼太郎の父役の関 俊彦さんの墓場での酒飲み話が味でした。
人生走るのに疲れた時なんかに晩酌しつつ思い出して噛み締めたいと思います。

鬼太郎の母役には現・鬼太郎役の沢城 みゆきさん。
ここも愛の継承を印象付けられる粋なキャスティングです。


【音楽 4.5点】
劇伴担当・川井 憲次氏。
SF・ロボット作品での勇壮なコーラスによる戦闘曲が持ち味で、
本作のバトルBGMでも威力を発揮します。
一方で、伝奇・サスペンスでの川井氏のサウンドにも捨て難い魅力があります。
尺八の音色をアレンジした和風BGMが鑑賞者を魔境・哭倉村へナビゲートしてくれます。

そしてあらゆるジャンルで川井氏の音楽が心の琴線に触れるのは、
人情に寄り添ったピアノとストリングスの心情曲。
その意味でも本作の川井氏は上々でした。

EDも安直に宣伝用の歌手を起用したりせず、
往年のTVアニメ版・EDテーマ「カランコロンの歌」の川井氏によるインストverで締めくくったのも、
突きつけられたテーマを咀嚼して余韻に浸れる好判断でした。


【感想】
人の好みはそれぞれなので、これは観るべきとかあまり言いたくない私ですが、
本作は全ての日本人が観るべき作品だとの感想がまず浮かんで来ました。
鬼太郎なんて今更……と避けて通るのはもったいないです。

受け止める覚悟のある方には是非オススメしたい良作映画です。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 24

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

まるでヒューマンドラマのように感動します

この映画は、今日時点でおよそ3ヶ月間も上映しているようです。
何故、こんなに長い期間、上映されるのでしょうか?
おそらく、この映画で多くの人たちが感動したからだと思います。涙を流した方も沢山いたのではないでしょうか。
そして映画を見た人が、その感動を友達や家族に語り、来館者が少しずつ増えたからだと思います。

私は東京に来て数十年たちますが、映画終了の際に場内で多くの拍手が鳴るのを初めて聞きました。
かくいう私も、物語終盤には涙で頬を濡らしていたのです。

これは妖怪アニメというよりもヒューマンアニメ(?)といったほうが良いのかもしれません。
鬼太郎の父が涼やかで心地良い。それに彼の信念が素晴らしい。
たとえ自分がどうなろうと、妻やまだ見ぬ子を守るその姿に感動しました。
それとは対照的に、人間の欲深さや残酷さには、いたたまれない気持ちになってしまいます。

この物語の主人公は二人です。一人は水木という帝国血液銀行に勤めるサラリーマン、そしてもう一人が鬼太郎の父。
そしてこの物語の年代は昭和31年。
水木と鬼太郎の父が、外界から隔離された哭倉村(なぐらむら)で発生する事件に巻き込まれる形で物語は進行します。

そしてこの物語に欠かすことができない女性がヒロインの沙代(さよ)。
彼女は、いつも村から出たいと願っています。
私は、最初彼女を、どこにでもいるような『都会に憧れる田舎の少女』のように感じたのですが…
彼女が村から逃げ出したい本当の理由を知ったときは、心をナイフで突き刺されたようにショックでした。
彼女が今までどんな思いで生きてきたのか…。想像するだけで涙が出そうです。
そして人間は妖怪よりも醜い心を持った生き物だと、改めて感じました。

そんな醜い心を持った人間が世の中を動かしている(少なくともロシアを動かしている)世の中ですが、子供たちが希望の持てる世界にしていくのが、親の務めであり大人の務めなのでしょうね。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 21
ネタバレ

ninin さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

鬼太郎が誕生するまでの出来事

104分 Amazonプライムで視聴

タイトルの通り鬼太郎が誕生するまでの物語。冒頭に鬼太郎が出てきますが、主に鬼太郎の父と水木という人間が活躍します。

ミステリーホラーという感じですね。

ある目的のために訪れた水木、そして鬼太郎の父は行方不明なった鬼太郎の母親を探して訪れた村が舞台となります。

横溝正史の金田一耕助シリーズのような田舎の禍々しいお話が連続します。

酷く理不尽なことが多いですね。

見た目が怖くて酷い妖怪より、人間の心が如何に醜く酷い面があるのかとことん描いています。

テレビ版の鬼太郎より、大人向けでそして残酷なシーンも多いので、苦手な方は気をつけてください。

EDやEDの終わった後まで気が抜けませんので、最後まで観てくださいね。

最後に、鬼太郎は {netabare}幽霊族の生き残りなのですね。(幽霊族というのがよく分かりませんがw) {/netabare}目玉のおやじが野沢雅子さんというのは初めて知りましたw

投稿 : 2024/11/09
♥ : 16

61.0 3 昭和でミステリーなアニメランキング3位
閃光のナイトレイド(TVアニメ動画)

2010年春アニメ
★★★★☆ 3.4 (249)
1410人が棚に入れました
上海の日本陸軍の中に存在した桜井機関は、特殊能力を持つため表舞台で活躍する事はなく、数々の事件の裏で糸を引いている。同じ頃に陸軍の一部隊が消息を絶つ。しかしそれは世界を震撼させる事件へのプロローグにすぎなかった。

声優・キャラクター
吉野裕行、浪川大輔、生田善子、星野貴紀
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

「人は自分の立つ場所と生きる時代からしか世界が見えない」

戦前の日本に創設された架空の超能力機関が、“魔都”上海など、歴史の裏で暗躍する……。
如何にも歴史のifをネタに、軽いノリで魅せる、歴史エンターテイメントを想起させる、ぶっ飛んだ設定ですが(苦笑)

本作には、ふざけたノリはほとんどありません。
それどころか満洲事変前夜から日中戦争にかけての中国大陸を中心に、
相当な勉強を積んだ成果を感じさせ、歴史の重みを感じられる力作に仕上がっています。

とかくこの辺りの歴史に関しては、様々なナショナリズム、イデオロギーが絡まり実像から遠ざかる。
フィクション、ノンフィクション、作家、研究者を問わず、
歴史の威を借りて、現代人たる自らの主義主張を押し通したい輩が多い。
未来から一方的に、過去の人間を貶めたり、美化したりする、残念極まりない作品が跡を絶たちません。

対して本作は、終始、歴史に対する敬意があって好感が持てます。
起こったこと、犯した過ちに対して、あーしたらどうか、こーしたらどうかなど、後からなら何とでも言える。
それでも何か言いたいのなら、相応の心構えが必要。

本作のメインストーリーは破滅の予言に直面した戦前の人間たちによる葛藤を軸に展開しますが、
歴史に対する謙虚さ故に、超能力絡みのトンデモ設定から打ち出された言動にも、私は耳を傾けることができました。

レビュータイトルに掲げた某話予告で流れたこのナレーションに、
歴史のifというある種の“禁じ手”をプロットに使用するスタッフたちが持つ丁重な歴史観が滲み出ています。
こうした姿勢は歴史をネタに何かを訴えるのなら最低限持っておいて欲しいなと私は思うのです。


ただ、このアニメ、“魔都”上海というネタからして、相当マニアックなコースを突いています。
その上、歴史に対して謙虚過ぎる故に、超能力設定が史実に遠慮し過ぎているのが玉にきず(苦笑)
例えば{netabare} ナチスドイツは1937年頃まで国民党に武器輸出、供与などの協力をしていた。{/netabare}
などというネタをねじ込まれて、脳汁が出てしまう私のような一部歴史マニアを除いては、
1クールでは情報を処理し切れないこともあり、
超能力エンタメ作品としては物足りなさを感じると思います。


さらに歴史にある角度からの倫理観を持ち過ぎる人にとっては、
例えば核心部分をネタバレすると、{netabare} 原爆投下を予言する未来ビジョンを巡って……。
日本人だけに被爆体験をさせるだけでは、核抑止力神話は不十分。
よって、国際都市・上海に先駆けて原爆を落とし、多民族に核の恐怖を共有させることで、
二次大戦を前に、核抑止力による世界平和を確固たる物にする。{/netabare}
と言う黒幕による極論具現化の試みなどは、不謹慎な暴論に映るかもしれません。


そんなこんなでカチッ!とハマるゾーンが大変狭い作品ではありますが、
日中英露四カ国語対応のアフレコと葉加瀬太郎氏のメインテーマ等により、
重厚な世界観を消化仕切ろうという、スタッフ・キャストの努力が感じられる意欲作。

自分にとってはもっと評価されて欲しい……。というより評価できる数少ない方に巡り会って欲しい。
そう思うことができる稀少な歴史アニメです。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 21

lumy さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

攻めてますね。

ソラノヲトに続くアニメノチカラ第2弾作品です。
ソラノヲトが個人的に好評価だったのと、
サムネがかっこよかったので視聴を開始しました。

このアニメノチカラ枠は、結構攻めてくるというか、
作風自体に商売っ気を感じず、クリエイター達が
こんな作品を作りたかったから作ってみた!という
のが前面に出ている気がします。
それを商業的に成功させたのがノイタミナだと思って
いるのですが、アニメノチカラはそんなの知らねー!
って感じですねw

そんな企画意図を本作も忠実に再現しており、
題材からしてかなりアンタッチャブルなものを
選んでいます。
しかし、最後に出てくる注意書きにもありますが、
政治的な歴史解釈を試みるものではなく、
あくまでも史実を基にしたフィクションであり、
そのためにあえて超能力設定を付与しているのだと
感じました。

アニメである必要はなかったかもしれない作品ですが、
(どちらかと言うと、小説向きの内容です)
だからこそ他のアニメにはない魅力がありました。
どんな方にオススメしたい作品かと聞かれれば、
作品のキャラクター性が薄い作品をあえて観たい方に
オススメですw

投稿 : 2024/11/09
♥ : 15
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

イケメンと美女って、スパイに不向きだよね(笑)

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
いわゆるスパイアクションだが、登場人物が異能という点が個性かな。

渋めのスパイアクションではなく、オシャレな方のスパイアクションです。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
個人的には、ジョーカーゲームみたいな渋めの作風が好きなんだけどね、スパイアクションは。エンタメ系は、ルパンを超えるのが厳しいと思ってるし。

作画、というより時代背景や小道具なんかが良い感じ。戦国時代や江戸時代、明治とかはよくアニメになるけど、大正~昭和というのは、結構レアなのかな? とか思いました。

印象に残ったのは、敵役の高千穂勲。自分の異常さを受け入れながら、自分の歪んだ美学を貫いているところは好きだった。敵役は、ああでないと。

残念な点としては、エンタメにもシリアスにも振りきれなかった、中途半端な点かな。本作の設定なら、どシリアスでも良かったと思う。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 11
ページの先頭へ