昭和でマッドハウスなおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの昭和でマッドハウスな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月21日の時点で一番の昭和でマッドハウスなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

61.3 1 昭和でマッドハウスなアニメランキング1位
青い文学シリーズ(TVアニメ動画)

2009年秋アニメ
★★★★☆ 3.5 (159)
903人が棚に入れました
 本作は、太宰治の「人間失格」と「走れメロス」、坂口安吾の「桜の森の満開の下」、夏目漱石の「こゝろ」、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」、「地獄変」の6作品からなる全12話のTVアニメ。ただし物語や設定は大幅に変更・脚色されており、必ずしも原作小説に忠実な内容ではない。
 企画の発端は、2007年6月に集英社文庫の「夏の一冊 ナツイチフェア」企画として週刊少年ジャンプで連載する漫画家が、名作の表紙を新たに描きおろしたこと、さらに太宰治生誕100周年という節目の年であるということから始まった。それぞれ、「人間失格」と「こゝろ」を『DEATH NOTE』や『ヒカルの碁』の小畑健、「桜の森の満開の下」「蜘蛛の糸」「地獄変」を『BLEACH』の久保帯人、「走れメロス」を『テニスの王子様』の許斐剛がカバーイラストを担当。アニメ化にあたり、カバーイラストを担当した漫画家がキャラクター原案を担当し、それぞれの作品は、オムニバス形式で放送された。
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

文豪の名作×人気漫画作家によるオムニバスコラボ

文豪の名作×人気漫画作家によるコラボを
全12話のオムニバスにしたアニメ作品。
しかしながら、原作を忠実にアニメ化したわけではなく、
作品によってはかなり勝手な解釈による脚色や書き換えもある。
でも、「走れメロス」など、作品によってはそれがすごく良かったりもして、
独自の切り込み方での脚色も悪くないものだなと思った。
また、こういうオムニバスは好きな作品から観ていけるのも良いよね。

■1話~4話 『人間失格』(太宰治)

キャラクター原案=小畑 健(「DEATH NOTE」、「バクマン。」)
脚本=鈴木 智
美術監督=清水友幸

表題作だけあって、この物語だけ4話使っていた。
個人的に好きな昭和一ケタの時代背景と
東京の銀座を中心にした街並みが、アニメで観れたのは嬉しかった。

幼少の頃から、自分という人間にもがき苦しみ続けた主人公の
波乱に満ちた半生と、行き場のない生き地獄を味わいながら堕落し
狂っていく姿は、小畑氏の得意とするダークで繊細な人物描写が
すごくマッチしていたと思う。

また、主人公の父親が発する「人間失格」についての言葉、
主人公が苦悩の末ふともらす「生まれてきてすみません」という台詞、
タバコ屋の娘の「世間なんてひとりひとりの集まりじゃないですか」
という台詞は、自分の中のある想いに、特に強く心に響いた。


■5話~6話 『桜の森の満開の下』(坂口安吾)

キャラクター原案=久保帯人(「BLEACH」)
脚本=飯塚 健
美術監督=一色美緒

いきなりコミカルな山賊のお出ましで、わぁ~これはまた。。と。
原作から僕がイメージしていた世界とはかけ離れすぎていて、
唖然としてしまった。それに、大柄で筋肉質な主人公の雰囲気に、
堺雅人氏のか細い声はまったく合っていなかった。
背景からくる不気味さと狂気が伝わる美しさだけはあるものの、
途中の変なギャグで台無しになってるとしか思えなかった。
桜がとても美しく妖しげに描かれていただけに、残念。


■7話~8話 『こころ』(夏目漱石)

キャラクター原案=小畑 健(「DEATH NOTE」「バクマン。」)
脚本=阿部美佳
美術監督=上原伸一

前編を冬編、後編を夏編として、2通りの解釈による設定と展開で
見せたのが秀逸。 原作をどう受け取るかという問題そのものを
物語に組み込んだのは、すごく面白いなと思った。

登場人物は、先生、Kという男、お嬢さん、未亡人の4人だけ。
Kが自殺をするまでの出来事を、冬編でのお嬢さんは奥ゆかしく、
夏編でのお嬢さんは積極的でしたたかな女性という設定のもと、
物語の中の大まかな台詞は同じなのに、ニュアンスの違う言い方にして
まるで正反対の展開になってしまうところが、興味深かった。


■9話~10話『走れメロス』(太宰治)

キャラクター原案=許斐剛(「新テニスの王子様」)
脚本=川嶋澄乃
美術監督=金子英俊

物語が始まってまず、自分の大好きなアニメ作品の『魍魎の匣』と
まったく同じ演出と音楽と語り口だったことに感動してしまった。
なるほど、スタッフが同じだったので納得。

縁側に舞い込む桜の花びら、やわらかな光に包まれた部屋、
穏やかで懐かしいピアノのメロディー、美しすぎる万年筆やインク瓶。
それだけでも個人的にはしっかり鷲づかみにされたのだが、
原作の『走れメロス』を劇中劇としてうまく取り入れて再現しつつ、
原作のテーマとなっている約束と友情と信頼を、
このアニメの主人公である作家とかつての親友との甘くて苦い過去に
うまく重ね合わせてあって、それがまた僕の甘くて苦い記憶と
ぴったり一致してしまったものだから、
つきあげる胸の苦しみで、どうにも切なくなってしまった。

川嶋さんの練られた脚本に、胸をこじ開けられて参ったw
心の奥底に仕舞い込んでいたはずのものが一気にあふれ、
「うわぁ~~やられたな・・」と、しばし身動きできなかった。

待つほうがつらいのか、待たせるほうがつらいのか。
{netabare}
「待つことも待たせることも必要なくなってしまうことが一番つらい」
と主人公の独白に、自分も深く共感。
{/netabare}

ただし、どの作品にも言えることだけれど、観る人によっては
まったく違う解釈や感じ方があって当然なわけで、
自分が感動した、良い作品と思ったからといって、
感じる部分は人それぞれだし、逆に受け付けない人もいるとは思う。

でも・・・ほんとうに、この中の『走れメロス』は、
このオムニバスの中でひときわ美しく、味わい深い作品だった。


■11話   『蜘蛛の糸』(芥川龍之介)

キャラクター原案=久保帯人(「BLEACH」)
脚本=小林雄次
美術監督=金子英俊

全体通して原色を使い、特に赤と緑と青が強烈な印象を残す。
サイケデリックで不気味な地獄の様子や、悪の限りを尽くした主人公の
殺戮シーンは、なかなか迫力があった。
それだけのことをしておきながら、子どもに刺された後の彼が、
目の前にいる蜘蛛を殺さなかったのはなぜか。
それがやがて、地獄での蜘蛛の糸に繋がるわけなのだが、
蜘蛛にささやかな情をかけたあの心理描写には、
もう少し丁寧さが欲しかったなと思った。
しかし・・・悪人は地獄に堕ちても悪人というこの物語、
なかなかシュール。


■12話   『地獄変』(芥川龍之介)

キャラクター原案:久保帯人(「BLEACH」)
脚本=小林雄次/いしづかあつこ
美術監督=金子英俊

「蜘蛛の糸」から物語は続いており、
こちらでは国王の悪人ぶりが描かれる。
地位と名声を得ながらも、愚かな人間はどこまでも愚かで。
そしてその国王に目をかけられている絵師の、「地獄を描きたい」
という欲望が強烈で悲惨な犠牲を生み出すにも関わらず、
絵師はどこまでも絵師で・・・
なんとも、最終話にして一番後味の悪いエンディングだった。

それでも、アジアンチックな雰囲気を独特の色彩で描いた背景は
強い個性が感じられて、なかなか良かった。

投稿 : 2024/12/14
♥ : 31

ねここ時計 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

文学が身近に

このアニメ作品、皆さんの評価が低いのですが私はすきです。

日本の代表する文学をアニメ化。

冒頭で語っているのですが、
「若い世代にとっては昔の話、上の世代にとっては昔読まされた話」
・・確かに!

図書館や図書室でいかにも難しそうな書籍たちが並び、その中にこのアニメで表現された作品たちは置いてあります。

人間失格、こゝろ、桜の森の満開の下、蜘蛛の糸、走れメロス

本を開くと、印刷部が古く滲み、茶色くなったページ。まるで読む気にもならない。

けれど、本の中の人たちは特別難しい人間ではなくて、私たちと同じで
青さや愚かさ、悲しみや喜び、時には焦り、怒り、涙。 動く心、衝動。
とても人らしい感情をもった主人公たちが描かれています。
小さな、汲み取らないような感情を丁寧に表現するさまは惹きつけられます。


アニメ化にあたり、それぞれのキャラクター原案が、週刊少年ジャンプの有名な漫画家たちということで
観やすく、文学との距離をとても近いものにしてくれたのだなぁと感じました。

想像していたのと少し違ったり、制作した方たちの原作とは違う解釈があったりしたのですが、
今の人たちに、受け入れてもらいやすいように表現して
もう一度読み返そう!と思ったり、ちょっと読んでみようかな?と思ったりして
本を手にとってもらえたら・・ということなのかな。

鬱々とした雰囲気や堕ちてゆく様、狂気ギリギリの心理描写など、見所満載でした。

投稿 : 2024/12/14
♥ : 26

ソーカー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

名作も真っ青?

各エピソードとも作画も演出もまるで違うので、各々別物として見る必要があります。

「人間失格」
原作既読。ほとんど覚えてないので純粋に楽しめたと言えば楽しめました。
しかし自分のイメージしていた主人公像とちょっと違っていた気がします。
共感出来る部分が結構あったと思うんですが、このアニメの主人公はあまりそういう部分がなかった。
しかし、綺麗に纏めていてぐっとくる内容だったので、アニメとしての出来は非常に良かった。
いずれ読み返したいと思わせる面白さだったので、全然アリだと思います。

「桜の森の満開の下」
原作は読んだこと無ければ粗筋すら知らないが・・・これは唖然とした。
打って変わってコメディタッチで描かれてるわけですが、
時代劇なのに英語喋ったりミュージカルしたり意図がよく分からない。
内容は至極残酷なものなので、そのギャップが悪趣味にしか映らなかったです。
オチの意味もよく分からなかったですが、原作がどんなもんか知りたくはなりますね。

「こころ」
原作既読。Kが自殺に至るまでを過程を2つの解釈で描いた作品。
前編は先生の視点、後編はKの視点で展開されている。
先生からの視点の回は、Kの容姿・性格・心理描写全て酷すぎる出来に映ったのですが、
原作にはないKからの視点の回を見てみると、Kの心理描写はまだまともになりました。
ただ、全ての登場人物が原作と乖離しすぎているので、解釈として成立しているとは思えないです。
作品の要であるKの自殺理由を扱うのであれば、Kの人物像だけは守るべきだと思うんですが・・・
「こころ」を真っ二つにしているような酷い出来だと思いますw

「走れメロス」
原作既読。これは鮮明に覚えています。
アニメ「魍魎の匣」のスタッフということで、さすがという出来。
走れメロスの劇と小説家をリンクさせるというやり方はありがちではありますが
原作を巧く活かしてるという面では一番良い印象を受けました。
ただ本当に小説を執筆する様や汽笛の音まで「魍魎の匣」とかぶり過ぎて笑ってしまったw

「蜘蛛の糸」「地獄変」
「蜘蛛の糸」は既読。「地獄変」は未読。アニメでは同じ世界観で続きものとなっています。
カンダタの生前の描写から始まるのですが・・・とにかく色彩鮮やかな作画が美しかったなと。
地獄の禍々しさとか炎に包まれるところは素晴らしかったと思います。
「地獄変」はよく知らないので、内容についてはなんとも言い難いですが。

原作を結構改変してるので、この辺をどう受け取るかですよね。
良いと思えた作品と悪いと思えてしまった作品の差は結構激しかったです。
原作を読み返そうという気にはさせられたので、そういう意味では良かったのかな。
ただこのアニメを見る時は原作とは違うということを念頭に置かないとひどく痛い目に合う。
繊細な人物描写を、割合とざっくり描写してしまっているのは残念ではあるけど
アニメとして表現するのであれば、ある程度は仕方ないことではあるんでしょうね。

投稿 : 2024/12/14
♥ : 22

62.6 2 昭和でマッドハウスなアニメランキング2位
マイマイ新子と千年の魔法(アニメ映画)

2009年11月21日
★★★★☆ 3.6 (136)
391人が棚に入れました
小学3年生の新子は、山口県の片田舎に住む普通の女の子。友だちや家族に囲まれ、この町にあった平安時代の地方の国の都「国衙」について空想することが好きだった。そんなある日、東京から貴伊子という生徒が転校してくる。貴伊子が気になった新子は、次第に親しくなっていくが……。

声優・キャラクター
福田麻由子、水沢奈子、森迫永依、本上まなみ

ルル さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

「マイマイ新子」→「この世界の片隅に」の流れでOK。

原作未読で視聴。


『空想好きな主人公の少女「新子(しんこ)」が、1000年前の歴史に思いを馳せながら、同級生や上級生達との遊びを通して出会いや別れ、そしてどうする事も出来ない厳しい現実を経験して共に成長していく』という93分の物語。 物語の舞台は昭和30年代の山口県防府市(ほうふし)。


この作品の監督・脚本は、「この世界の片隅に」という名作を世に送り出した「片渕須直」さんです。ちなみに、この作品は2009年に発表され、「この世界の片隅に」が2016年です。


この作品を観終えた後で、「どんなストーリーだった?」と聞かれてもハッキリとは答えられません。作品終盤までとくに大きなイベントなようなものはありません。簡単に言えば、昭和30年代の山口県に住む子供達の日常を描いた作品と言えばよいかと思います。日常系ですね。

作品の7割は、新子と友達とが野山や麦畑を駆け回って遊んでいるシーンでした。ハイキングしている気分になれますよ。遊びも昔の子供の遊びなので、ノスタルジックな気分を味わえると思います。 トトロ好きなら楽しめる。と言えば、作品の雰囲気を分かってもらえるのではないかと思います。


東京から転校生してきた親友の「喜伊子」を通して、都会っ子と田舎の子供との対比がありました。都会っ子はオシャレで、田舎の子供はボロを着て、都会っ子は靴を履き、田舎の子供は草履を履き・・といった具合にです。なかなか面白い見せ方でした。意識して観てみて下さいね。


新子が空想して1000年前の平安時代を想像する場面がよく挿入されるのですが、ちょっと説明不足で分かりづらいかと思います。ので、「新子が空想してるんだなぁー」ぐらいでいいと思いますよ。


時々、方言や訛りが凄くてセリフが聞き取れない事がありますが、そこはノリ一発で乗り越えましょう。大丈夫、同じ日本語じゃないですか。それにしても方言や訛りはいいですよね?聴いていると癒されますよ。ちなみに、オラもぉよぉ~、田舎さぁ育じぃだもんでぇ~ 訛りさぁ酷いんだぁけんどぉもよぉ~ だどもぉ、こんなオラっちぃでぇさえ~ 都会さぁ行ぐぅと・・・「私は地方出身ですが、都会では方言など死んでも話しませんよ、死んでもね」と標準語になります。何なんでしょうねこの現象って。

投稿 : 2024/12/14
♥ : 34
ネタバレ

ポロム さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

童心に返る

私が子供の頃って、どんな感じだったっけ?と
見終わってから少し考えてしまった。

公園の遊具さえ遊園地に見えたり
想像力と好奇心で普通の世界さえキラキラ輝いて見えた。
大人になることは子供の頃の自分を忘れることだって
誰かが言っていた気がする。それを誰が言っていたのかさえ忘れてしまった。

<マイマイ新子と千年の魔法>
アニマックスで放送していたので録画してみました。
タイトルさえ聞いたことがなくてマイナーなのかな?と思えば
調べてみると、無名なまま上映公開が始まって口コミで広まったらしい。
スタジオジブリ『魔女の宅急便』のスタッフと
『サマーウォーズ』のマッドハウスがコラボしたらしくその名残がある。
両者が好きな方にはオススメかもしれない。

山口県防府市が舞台で草が生い茂って自然豊かな
のどかな田舎風景と想像上の平安時代がリンクする世界観が良い感じ。
淡々とした中にノスタルジーな子供時代の輝きだけでなくて
苦い思い出や関係する綺麗なだけではない大人達が物語を静かに引き立ててくれている。

感想 ネタバレあり{netabare}
普通に観ているだけだとわかりづらいですが、
(実際私も前半はよくわからなくて後半は見入った。
時々出てくる平安時代が現実とリンクしていて
中には幼い清少納言も関係していたりします。)
金魚が死んでしまうシーンやひづる先生のこと、
たつよしの警察官のお父さんなど、苦しいエピソードもあります。
ウイスキー入りのチョコレートボンボンを食べるシーンは思わず共感してしまいます。

特にラストシーンの新子が引っ越すのはあまりにも切なくて
映画が終わらないで欲しい・・もっと観たいとさえ思いました。
都会っ子のキイコが新子と過ごす内に心を開いていって
最後には引越し旅立つ新子を見送るたくましい子になっていて
その姿に思わずグッときました。 {/netabare}

芥川賞作家・高樹のぶ子先生が、
自身の少女時代をモデルに描いた自伝的小説を原作としているので
リアルな温かみを感じます。
前髪が逆立っている新子のマイマイ(つむじ?)が
時々アンテナのように何かをキャッチし、想像力が膨らみカンが鋭くなるのを見て、
私も朝、寝起きの時など寝癖が酷いと前髪が鶏のトサカのように逆立つので
もしかしたら、それもマイマイかな?と思うとワクワクします。

投稿 : 2024/12/14
♥ : 32

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

マジでゲスな言い方を許していただけるのなら『ALWAYS 三丁目の夕日』+『耳をすませば』or『今敏監督作品』≒『おもひでぽろぽろ』

昭和30年代の山口県防府を舞台に、芥川賞作家の髙樹のぶ子が自らの子供時代をモデルにした自伝的小説が原作


当時の防府は1000年前の平安時代の遺跡が出土することが話題となっていたため、主人公の新子は平安時代の人々がこの地でどんな生活をしていたのか?
そんな空想に耽る日々を過ごしていた


新子の通う小学校にやってくる東京からの転校生、貴伊子や男子生徒達のリーダー格、タツヨシらとの忙しない子供時代が語られます


ひょんなことから揺らいだり、また元通りに結ばれたりする友情の話だったり
大人の都合に振り回され、子供だけでは如何ともし難い状況に立たされる無力感の話だったり
いくつものジュブナイルストーリーに時折“新子の空想の平安時代”がオーバーラップしつつ美しい映像で紡がれていきます
作画面はホント凄い


この作品が持ってる価値の半分はコレが2009年制作だってことでしょう
現代においてこんな作品が生まれるってのがなんとも希有なことです
セル時代のジブリ作品を髣髴とさせる温かみと懐かしさを感じる映像が、かつてジブリ作品にも関った片淵須直監督を中心としたスタッフの技術力で見事に作り出されていることに感銘
良い意味で既視感のある映像とお話


既にこのことをご指摘のレビューも多数見受けられるようですが、昭和30年代のノスタルジーにすんなり浸れる方に一番オススメ


正直にお話自体はそれほど後味の良いものではありませんw
良くも悪くも気恥ずかしくなるような話や、エグい内容のクライマックスがリアリティをかきたてる


『おもひでぽろぽろ』のように“あえて今、過去を振り返っているんだ”という自覚的な演出は特別ないです
完全に昭和30年代へのタイムトリップ状態
ノスタルジー以外に昭和への【浪漫】みたいのを求めてご覧になるのであれば『コクリコ坂から』の方が全然良い作品ですよ(キリッ


興味深いのがこの作品、公開当時は興行的にあまりにも振るわなかったため、片渕須直監督が「このままだとDVD化も難しいかも・・・」と苦言を発する状態にまで追い込まれたものの、「この作品を子供と見たい!」というお母さん層を中心とした口コミで一気に火が付いて、公開劇場を増やそうと署名活動まで起こる騒ぎになり、結果的に1年以上のロングラン公開となった逸話があること



こんなにもアニメファン、一般層の両面から愛された映画も昨今珍しいです
逆に子供と一緒に見ることを強要するのはちょっと微妙な気がしますがw
先述の映像面や村井秀清さんの軽快な音楽とか、何気見所もイッパイなんで「ハッピーエンドじゃなきゃやーよー」ってお方以外は率直にオススメします
いやまあwハッピーの定義なんて知りませんけどねwww

投稿 : 2024/12/14
♥ : 28

64.0 3 昭和でマッドハウスなアニメランキング3位
キャシャーン Sins(TVアニメ動画)

2008年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (66)
384人が棚に入れました
荒廃した世界にて、長い眠りから目覚めたキャシャーン。目覚める前の記憶を失っていた彼は、何故か襲い掛かってくる敵と戦いながら自らの記憶を取り戻さんとする。荒野をさすらうキャシャーンは、やがて様々なロボットや人間と出会い、自身の背負った“罪”を知ることになるのだった……。

声優・キャラクター
古谷徹、宮原永海、皆口裕子、チョー、矢島晶子、森川智之、小山茉美、内海賢二

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

雰囲気だけで御飯3杯はイケる?!傑出したダークな世界観

【レビューNo.100】(初回登録:2023/12/24)
オリジナルアニメで2008年作品。全24話。
「レビュー100本記念」はこれでいきたいなと。
他のレビュアーさんとやりとりして、昭和のアニメ「ガッチャマン」や「キャ
シャーン」を知らない世代に軽くショックを受けたので。
(冷静に考えるとウチの娘たちも絶対知らんわwww)
なので、その辺りのアニメも取り上げてみようと。
とはいえ、今更昭和の作品そのものを取り上げるものいかがなものかと思い、
平成にカムバックしていた本作を紹介しようと。

(ストーリー)
長い眠りから目覚めるも、それ以前の記憶を失っていたキャシャーン。
しかしその間にロボットを含む全世界は「滅び」が進む荒廃した世界へと変わ
ってしまっていた。
「キャシャーンを食らうと永遠の命が手に入る」
そんな噂に群がり、キャシャーンに襲い掛かってくる「滅び」に冒されたロボ
ット達。そして
「お前が犯した『罪』を思い出すまで許さない!!」
と、キャシャーンに付きまとう女ロボットのリューズ。
荒野をさすらうキャシャーンは、襲い掛かってくる敵と戦いながら自らの記憶
を取り戻さんとする。やがて様々なロボットや人間と出会い、自身の背負った
「罪」 を知ることになるのだった。
※ロボットの「滅び」
 → 体中に錆が発生し、部品交換も適わず朽ち果てていく現象。
   (それまで不死身に存在だったロボットに訪れた「死」という概念)

(評 価)
・昭和の名作を大人向けに見事にブラッシュアップ
 ・「キャシャーン」は昭和アニメで、ブライキング・ボス率いる「アンドロ
  軍団」に立ち向かうべく、東博士の息子の鉄也が「新造人間キャシャーン」 
  となり、人類を守るために戦う子供向けのヒーローもので、私も子供の頃
  お世話になった作品です。
 ・その「キャシャーン」から、主要キャラや終末期という世界観を引き継ぎ
  ながらも、単純な「懲悪もの」から「死生観」や「罪」といった哲学的な
  要素を取り入れ、大人向けにストーリーを一新したものが本作になります。
 ・主要キャラも前作から下記のように変更。
  ・キャシャーン
   悪を倒すヒーロー
   → 記憶を失った放浪者。唯一「滅び」から逃れた「不死身」の存在
  ・ルナ
   キャシャーンの相棒(ヒロイン的存在)
   → 他者に「生」と「死」を与える力を持つ存在
  ・ライキング・ボス
   アンドロイド軍団を率いる悪玉ボス
   → 狂言回し的な存在。(「滅び」のきっかけを作った張本人ではある)
  あと前作のような変身機能はないですが、ロボット犬フレンダーも引き続
  き登場するのは嬉しいですね。

・誉め言葉としての「雰囲気アニメ」
 元々キャシャーンは前作から、
 「終末感漂う荒廃した世界で繰り広げられるシリアスなストーリー展開」
 というダークさが漂う作品ではあるのですが(一応子供向けだったので強く
 は押し出してはいないですが)、本作では上述に加え
 ・「滅び」という「死」の概念が蔓延した鬱々とした空気感
  またそれから逃れられないという閉塞感やぺシニズム
 ・キャシャーンが犯したとされる「罪」という十字架の重さ
 ・大人向けの辛口な演出
 ということで、重厚でダークな世界観がホントたまらない!!
 そしてすべてを明確に語らず、ミステリアスな余韻が残る演出も相まって、
 本作が纏う「傑出した雰囲気」を創り出してるって感じですね。
 この雰囲気を味わうだけでも、本作を視聴する価値はあると思います。 

・秀逸なメカデザインと戦闘シーン
 前作から引き継いだ戦闘用量産型ロボットに加え、ならず者(?)のロボッ
 トのメカデザインはどこかレトロ感がありホントに秀逸です。
 また戦闘シーンでキャシャーンに破壊される際の部品が飛び散る作画や金属
 音など、メカ好きには堪らない描写も多いです。
 それにキャシャーンと同タイプで同等の戦闘能力を有するライバルキャラも
 登場しますが、この辺りの戦闘シーンスピード感や迫力があり熱の籠ったも
 のに仕上がっています。
 人間タイプのロボットも登場しますが、幼女のリンゴ以外はどこかにロボッ
 トと分かるデザインがなされており、それでいて人間らしい感情のセリフを
 吐き出したりとギャップも上手く作用しています。

・「生」と「死」を扱った割と重い作品
 前作が「懲悪的ロボットバトルモノ」ということもあり、そういう描写が多
 いですが、本作の本質は「滅び」というロボットに訪れた「死」の概念がも
 たらす、各ロボットの「死生観」にあります。
 ・「死」から逃れるためあがく者
 ・「死」受け入れる者、そしてそれにより気付きを得た者
  → 「他者と限りある時間を過ごすのが愛おしい」と感じる恋愛感情っぽ
     いもの
  → 「死があってこそ生がある」という生きている実感etc…
 しかし一度は死を受け入れたものの、キャシャーンという「蜘蛛の糸」が目
 の前に現れた時その者は・・・といった結構エグイ描写もあり「生」と「死」
 というテーマに対し、ロボット達は様々な答えをみせてくれます。
 そしてそれと対比しての「不死身」の存在となったキャシャーンの苦悩。
 
 またテーマから少しそれますが「ロボット軍団」を率いて一時頂点に立って
 いたライキング・ボスが目指した世界とは・・・
 哲学的な要素を含む面白い作品に仕上がっていると思います。

昭和の「ヒーローもの」だった子供向けだった作品を、「大人だからこそ楽し
める」作品にブラッシュアップしてきたタツノコプロの手腕は賞賛に値すると
思います。それに何といっても傑出したダークな世界観!!
それをしっかり24話で魅せてくれるという・・・
もう15年位前の作品となりますが、今なお十分楽しめる作品だと思います。

あとOP「青い花/カラーボトル」はかなりの名曲です。
(私の記憶が確かなら多分最後に買ったCDになるかな)

投稿 : 2024/12/14
♥ : 10

鉄のあくま さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

私がアニメにハマるきっかけとなった作品!

実写映画の「CASSHERN」のファンだった私は、この作品で初めてアニメを1話から最終話まで完走しました。
今思えば、これがきっかけでアニメを観るようになっていました。

基本的に「もうダメだ」ってくらい退廃的な世界の中で、主人公キャシャーンが小さな"生きようとする力"と出会っていき、自分の為すべきことを模索していく物語。

原作のキャシャーンを知っている人からすると「なんでキャシャーンを名乗る必要があったのか」というくらい独自の世界観・ストーリーになっていて、リメイク版とは決して言い切れない感じなんですが、原作アニメから実写映画、そして今作に受け継がれる作風で、シリアスかつシンプルで強いメッセージ性のある作品に仕上がっていると思います。

今観かえしてみると、特別なにかに優れていた作品とは思いませんが、なぜか人を引き寄せる"覇気"があります。
これは観れば感じて頂けるはずです。

観ている方が少ないようですが、序盤だけ観ても面白いと思うので、時間があれば是非とも。
おすすめです!

投稿 : 2024/12/14
♥ : 4

ワタアメ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

良いじゃん!きゃしゃーん

うーん・・・そうっバトルが派手でいいんすよ。キャシャーン見た事無かったんで見ようと思い結局全部見ましたが、まあやってやった感はありますよね。でも私はリメイクするよりかは、こういう方は良いと思いますけどね。まあ注目度は低めだったかもしれませんね
とにかく私は毎週何故か楽しみに見た事は事実なんです

投稿 : 2024/12/14
♥ : 3
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