日常系で恋愛なアニメ映画ランキング 3

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の日常系で恋愛な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月10日の時点で一番の日常系で恋愛なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

83.0 1 日常系で恋愛なアニメランキング1位
たまこラブストーリー(アニメ映画)

2014年4月26日
★★★★★ 4.1 (1245)
6614人が棚に入れました
少女は、知らなかった。

将来、当たり前のように家業をついて、ずっとこの場所で
このままでいられるんじゃないかって、無意識のうちに感じていた。
そうであればいいと、願っていた。

けれど、幼なじみも友達も、少しずつ変わって行く。
少しずつ大人になっていく。
家族がいて、商店街の人たちがいて、変わらないものと変わっていくもの。

高校3年生の春。
そんなことを思い始めた少女は恋をする。

北白川たまこは、知らなかった。
それは、「宇宙の入り口」に立ったような感覚。

そして少女は、一歩を踏み出す。

たまこ、むけました。

声優・キャラクター
洲崎綾、田丸篤志、金子有希、長妻樹里、山下百合恵、日高里菜、藤原啓治、日笠陽子、西村知道、立木文彦、ゆきのさつき、小野大輔、辻谷耕史、津久井教生、岩男潤子、渡辺久美子、家中宏、成田剣、川原慶久、山下大輝、野坂尚也
ネタバレ

mio♡美桜 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

想いを伝える細い糸…

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企画・原作・アニメーション制作 - 京都アニメーション
監督 - 山田尚子
脚本 - 吉田玲子
キャラクターデザイン・総作画監督 - 堀口悠紀子
絵コンテ - 山田尚子
演出 - 山田尚子、小川太一、河浪栄作、山村卓也
作画監督 - 堀口悠紀子、丸木宣明、引山佳代
美術監督 - 田峰育子
色彩設計 - 竹田明代
撮影監督 - 山本倫
設定 - 秋竹斉一
音響監督 - 鶴岡陽太
音楽 - 片岡知子、マニュアル・オブ・エラーズ
音楽プロデューサー - 中村伸一、山口優
編集 - 重村建吾
製作 - うさぎ山商店街
公開 - 2014年4月26日
上映時間 - 83分

(以上Wikipediaより引用)

。.:*・゚♡★♡゚・*:.。 。.:*・゚♡★♡゚・*:.。 。.:*・゚♡★♡゚・*:.。 。.:*・゚


〜Tamako Love Story〜
「たまこラブストーリー」

もうタイトルから想像するだけで、心がキュンとなる
くらいの響きです。

前作「たまこまーけっと」をご存知の方ならあの純真無垢
なたまちゃんにラブがついちゃう。
なんだか嬉しいような寂しいような…
相手は誰?
と思いつつも思い浮かぶのは1人だけ…

1人の少女が恋する事への驚きと葛藤、そして喜びを
感じながら、1人の女性へと成長していく一歩手前の
過程を描いた、とても優しい愛おしさと切なさが感じ
られる作品でした。
そして思春期ならではの性への関心や友情が繊細な心情描写と
ともに優しいタッチで描かれています。

掛け値なしの純愛物語。
京都アニメーションが贈る83分間。
青春の輝きをどうぞ感じて下さい。


【mio's café】
視聴済みの方限定ですよぉ♪
美味しいお餅ありますΩ~ 

{netabare}
作品冒頭から登場する1つの林檎。

もち蔵が何気にコロコロしてて、最後にカウンターから
ぽろりと落ちる林檎。

何だか意味深な物語の始まり方でしたね。

今回は、お喋りなMr.鳥さん「デラちゃん」の登場は
ほとんど無く(最後の方でワンカットだけ、
あっ!デラちゃん!って思ったら消えちゃった…)、
たまこともち蔵を中心にお話が進みます。

そしてたまこともち蔵の恋のお話に絡めて、周りの人々も
成長していくお話しでもあったと思います。

物語序盤の方から、かんなちゃんの登場も多くて
相変わらずのシュールさに、ここは私的に嬉しい演出
でした。
いつの間にかバトン部員に「部長」って呼ばれているし…
実際部長では無いんですが、凄いですね、あの説得力。

「お餅だけを丸めて青春を終える気ですか、
たまちゃん‼」

「お餅は一生丸められますが、我々バトン部の青春は
今だけなんですよーー!たまちゃん‼」

やっぱりかんなちゃん、謎のカリスマ性あります。

みどりちゃんはいつも通り、たまこが大切な存在。
少しだけもち蔵に意地悪な事を言ったりするけれど、
私的には大事なたまこにもち蔵がどれだ本気でたまこの
事を好きなのか、あるいは自分から見て相応しい存在
なのか、彼女なりに試しているようにも見えました。
ただ、邪魔するだけでは無くて。

私はかんなちゃんとみどりちゃん、この2人の存在が
たまこラブストーリーでの大きなキーマンの1つ
だったとも思います。
そして物語の終盤ではこの2人にも大きな変化と絆が
生まれます。

そんなこんなで、お話しは進みますがやっぱり私的にも
最大の関心事は、

「もち蔵、いつ告るん?」

ていう事でした。興味津々。
でも、ドキドキ…

中々踏ん切りのつかないもち蔵。
うなされる様な毎日。寝ても覚めても

たまこ…たまこ…たまこ…

流石にたまこまーけっとよりも好きのグレードが
ワンランクアップしてますね。

わかるよ!もち蔵の気持ち。ましてや幼馴染み。
いつもの生活の中にたまこが普通にいるんだもん。
どうしたらいいのか分からなくなるよね。

そんなもち蔵にみどりちゃんがちょいアシスト。
ここもちょっと、みどりちゃん的にはもち蔵を
試している感じみたいだったけど、結果的にもち蔵に
告白するきっかけを与えた形になりました。

夕暮れの河原にたたずむたまこともち蔵。

作画的にもとても素敵なシーンです。
黄昏時の空にキラキラ輝く水面。
背景の美しさはもちろんですけど、やっぱり
堀口悠紀子さんデザインの横顔は大好きです。

幼い頃2人でよく遊んだ飛び石の上でたまこが
おもちを大好きな理由を語ります。

「あのさ、おもちってさ、ちっこいのに色んな人を
幸せに するんだよね。」

「柔らかくてさ、白くって、優しくって、
いい匂いがしてさぁ、あったかいんだもんなぁ。」

たまこにとっておもちはお母さんのイメージだったん
です。だから大好きで大好きでたまらないんです。
商店街と同じでかけがえの無いものなんですね。

川に落ちそうになるたまこの手首を握りしめるもち蔵。
たまこに東京の大学に行くと告げます。
たまこの潤んだ瞳の横顔、凄いです、いいですね。

そして、

「俺、たまこが好きだ!
めちゃくちゃ好きだ!だから…」

言っちゃた…

もち蔵には早く告白して欲しかったけれど、
実際、この一線を越えた言葉を聞いたら私まで
何かが壊れた、何か大きな物を失った様な気が
しちゃいました。

「ドーン!」って感じ?

「かたじけねぇ…かたじけねぇ…」

たまこのこのセリフ。私までビックリです。
そこまで、動揺するとは思ってなかったので…

でもいつもたまこの生活の中にいたもち蔵。
普通に家族の様に思っていたもち蔵。
そんなもち蔵からの「好きだ。」の言葉。
しかも、「めちゃくちゃ好きだ。」なんだもん。
たまこには今までの世界が見えなくなるのも
当然だったかもしれません。

「あっし、先に失礼するでござんす。」

これは重症ですね。

それからというものは、たまこまでもち蔵を意識して
しまう毎日。
お家のお手伝いも、バトンの練習もままならない毎日。

ここで、このお話のキーワードの1つは「キャッチ」
って言葉なんだなぁって思いました。

かんなちゃんがバトンをキャッチ出来ないたまこに言った

「磁石入りグローブを作るのです。バトンにも磁石を
くっ付ける。あら不思議、引き付け合うS極とN極。」

「どうしようもなく引き付け合うのです。」

多分、かんなちゃん的には深い意味は無かったと
思うんですけど(いや、彼女の事ならあり得るのかな?)
その話を聞いていた、たまことみどりちゃんの
(特にみどりちゃん)の表情が凄く意味深でした。

そして度々、出てきます林檎。
林檎と言えばニュートンの万有引力の法則。
引き付け合うんですね。どうしようもなく。

ここで私がちょっと思い出したお話がアダムとイブの
食べた禁断の果実「林檎」でした。
(あれは林檎では無かったと言う説もありますが、
ここは一応、林檎ということで。)

かなりうろ覚えなのですが、蛇にそそのかされて
林檎を食べてしまったアダムとイブが楽園を追放され、
それまで無かった恥じらいという感情を覚えて、
イチヂクの葉っぱでそれぞれの性器を隠してしまう
というお話しです。

そしてアダムの食べた林檎は喉仏に、イブの食べた林檎
は乳房になったと。

成長期、男性は喉仏がふくらみ、女性は乳房がふくらみ
ます。そして恥じらいを覚えます。

このお話の序盤でもたまこが急にお尻やおっぱい
のおもちを作ると言い出して、みどりやかんなのお尻を
触ったり、うさ湯でボインの女性と自分の胸を見比べて
もの哀しげな顔になったりしています。
そしてもち蔵に対しても恥じらいを見せる様になりました。

この辺り、たまこには無縁だと思われていた女性としての
性的な成長過程も柔らかいニュアンスで表現してるの
かなぁとも思ったりしました。

だから1つの林檎が登場する事で色んな事が想像出来ます。

英語のことわざで
「You are the apple of my eye」
という言葉があります。

日本語で言えば「目の中に入れても痛くないくらい
可愛い」という言葉に該当するのかな。

もち蔵にとってたまこは色んな意味で林檎だったの
かもしれません。
だからお話の冒頭で林檎をコロコロしてたのかなぁって。

そしてもう1つ私が感じたのは、たまこともち蔵の
ラブストーリーを通して周りのみんなも一緒に
成長した事でした。

中でも終盤のかんなちゃんとみどりちゃんのやりとりには
心を打たれました。

嘘をついてまでたまこをもち蔵の元へ送り出した
みどりちゃん。
1人残った教室にやって来ましたかんなちゃん。

このあとの2人の会話がとても素敵でした。

かんな「策士ですな。でも、そういうの好きですよ。」

「今ちょっといい顔してますよ。」

みどり「サンキュっ!かんなっ!」

かんな「ねぇみどちゃん。私も高いとこ登って
みますかね。」

もう、何とも言えないくらい2人の間の言葉以上の物が
伝わってきて、つい涙が出ました。

大好きなたまこの幸せを願って送り出したみどりちゃん。
1歩成長しました。
そんなみどりちゃんを見て、自分も前に進むもうと思った
かんなちゃん。
木に登った時のかんなちゃんの顔がとても素敵でした。
登った時の景色、今まで見たこと無い景色だったのかも
しれません。

この作品を見て私が感じたのは人を好きになるという
事は当たり前かもしれないけれど、とても切ない事
なんだって事。
好きになる方も、好きになられる方も。

何処かに私が置き忘れてきた思い出かもしれません。

そして「ちはやふる」を見て出会った私の好きな
一つの和歌が思い出されました。

しのぶれど 色に出でにけり わが恋(こひ)は
     ものや思ふと 人の問ふまで

歌意:
私の恋心は誰にも知られない様にと心に決めて
耐え忍んできたのに、とうとうこらえきれず
顔に出てしまっているみたいです。
何か物思いでもあるのですかと人が尋ねてくるほどに。

という隠せば隠すほど表情に表れてしまう悩ましい恋心
を表現した歌です。

たまこともち蔵を見ていたら、凄くこの歌が心に
染みてきました。

最後の駅のホームでのシーンはもうなんと言ったら
いいのか分からないくらい、純愛の美しさが表現
された演出だったと思います。

今まで何度もキャッチ出来なかった糸電話。
その糸電話を見事キャッチしてからの、

「もち蔵、大好き!どうぞ!」

たまこらしい最後の言葉でした。

このあと、私にはたまこの

「やっと…やっとね…キャッチ出来たよ。
糸電話ともち蔵の気持ち‼︎」

という言葉も聞こえた様な気がしました。
いえ、確実に聞こえました。

それにしても、もち蔵泣き過ぎ…
でも、そういうもち蔵、私も好きです。
嬉しすぎるもんね!私まで…涙出ちゃうよ…

子供が大人になっていくのは嬉しいけれど寂しい気も
します。
それは作品を通して、豆大さんや吾平さん夫妻から
凄く感じました。
お互いの両親はわかっていたけれど、黙って見守って
くれてました。
でも、みんな色んな事があって今、ここにいるんです。
これから、たまこともち蔵も色んな経験をしていきます。

これから先の2人を見てみたい気もするけれど、

それは、やぶ蛇でしょうか…

〜Tamako Love Story〜
「たまこラブストーリー」

本当に出会えて良かった作品でした。
2人の幸せを祈って…



【主要登場人物・出演者】

北白川たまこ - (CV:洲崎綾)
大路もち蔵 - (CV:田丸篤志)
常盤みどり - (CV:金子有希)
牧野かんな - (CV:長妻樹里)
朝霧史織 - (CV:山下百合恵)


【主題歌】

主題歌「プリンシプル」
作詞 - 愛鈴 ⁄ 作曲 - 藤本功一 ⁄ 編曲 - 谷口尚久
歌 - 洲崎綾

オープニング曲「KOI NO UTA」
作詞 - 北白川豆大 ⁄ 作曲 - ダイナマイトビーンズ
歌 - 北白川豆大

エンディング曲「こいのうた」
作詞 - 北白川豆大 ⁄ 作曲 - ダイナマイトビーンズ
歌 - 北白川たまこ


【劇中曲】

「恋の歌」
作詞 - 北白川豆大 / 作曲・歌 - ダイナマイトビーンズ
「Excerpts from "The Return Of The Drowing
Witch"(Part1 - Part9)」
作曲・編曲・演奏 - Hogweed

「qum Daiwtiigyam」
作詞 - Gunung Bangep / 作曲 - Ro ga-nang / 歌 Daniels

「豆大さんへ」
作詞・作曲・歌 - ひなこ

「上を向いて歩こう」
作曲 - 中村八大 / 編曲 - 片岡知子
{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 96
ネタバレ

Yulily さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

たまこの大人の女性への一歩、恋です。

青春ラブストーリーです。

たまこまーけっとの続編となる劇場作品です。たまこまーけっとは
小さな心の揺れを描いたお話でしたが、たまこラブストーリーは
たまこともち蔵の「恋」を描いています。


たまこともち蔵は幼なじみ。

幼なじみって何も考えず、自然にありのままの自分を見せられる最初の人
なのかなと思います。そしてその関係を絶対に壊したくない尊い存在です


特別な想いを伝えてしまえば、今までの関係も壊れてしまうのではと
恐れる気持ちは当然でしょう痛いほどですね


近くて遠い、幼なじみの恋ですね...

{netabare}

たまこに片想いのもち蔵。空回りし続けてきた想い

けれど伝えなければ、進まなければきっとずっと近所の仲良しの幼なじみの
ままです。恋に気づいた時から、そんな風にはいられないのです。

好きな気持ちを伝えなければ後悔しか残らないと

胸が苦しいほど想う、伝えたい、好き!という気持ちが心から溢れ出す


~もち蔵の告白シーン~

夕焼けに照らされ、川に西日が反射して金色に輝く。川の飛び石で
もち蔵とたまこが、ふたりになるシーン

もち蔵の「俺、たまこが好きだ!」もち蔵の想いに胸が熱くなりました。
たまこは、その気持ちを知り、もち蔵をはじめて意識した瞬間でしたね。


きちんと受け止められないたまこ。変わってしまったことだけは
理解出来ていましたね。
でも皆、悩んで踏み出すんだよ、一歩を踏み出す勇気を教えてくれた人が
幼さなじみのもち蔵だなんて、幸せだよね!


映画のテーマである大人になることを示唆するレコード屋のマスター

「若さとは急ぐこと スプーン一杯の砂糖が溶けるのも待てないくらい
後悔の苦さは何かをした証 一つ一つ味わいになる」


マスターの言葉、経験談からでしょう深いですね。一つ一つの言葉に
重みがありました。


もち蔵が気持ちを伝え、変わった日常。その変化をもたらしたもち蔵に
マスターは後悔も大事なことであると伝えてくれました。

自分から動かないと、変化は訪れません。そのために後悔をすることも
人生においては仕方のないことです。そうして大人になるのですから...


ラストシーン、糸電話。たまこがもち蔵に告げる一言
糸電話で気持ちが伝わりました。

変化にとまどっていた、たまこの自らの行動でした
キャッチコピーの「たまこ むけました」ですね。

{/netabare}

私自身の初恋を思い出しました。

この作品のふたりを観ていたら、過ぎ去った少し遠い日のピュアな気持ちを
思い出しましたね。

初恋は中学1年生です。1つ上の先輩。初めての彼氏でもあります。
告白のワンシーンって鮮明に心に残っているんですよね。
夕方、帰り道、公園の前、自転車、彼の顔、当時流行っていた曲

初恋。まだ何も知らない故、純真で眩しい、時々切なかったり
あの時だけの気持ちを思い返して優しい気持ちになれました。

ここのサイトに参加してからレビューを読ませてもらい参考にした
おかげで素敵な作品との出会いが沢山あります。
私は更に貪欲に思うのです!心揺さぶられる素敵な作品に出会いたい!
感動で心を満たしたいと!

たまこラブストーリー素敵な作品をありがとうございました!

投稿 : 2024/11/09
♥ : 74
ネタバレ

ポロム さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

ずっと観たかった。やっと観れた・・!焦れったくて初恋を思い出すようなストーリー

Amazonビデオで幸運にも見つけて視聴しました。

たまこまーけっと観てからスグ映画を観たかったのですが、
公開当時私の近くの地域では上映していなかったので半ば諦めモードでした。
アニメを観てからだいぶ時間が経ってしまったので殆ど頭から内容が抜けてましたが・・
{netabare}OPが第9話で判明したダイナマイトビーンズの「恋の歌」だったことが思い出すキッカケとなり、鳥肌。{/netabare}

アニメ本編ではデラちゃんが居たからコメディ色強くて賑やかだったのが
居ないとこんなに変わるものなんだなと実感。
恋愛色が強くなり、キャラ一人一人が苦手を克服したり成長が見られました。

{netabare}
幼馴染の二人の観てるこっちが気恥ずかしくなるような
焦れったいようなもどかしさに内心ハラハラしました。
たまこのおじいちゃんが救急車に運ばれてたまこが涙目の時に迷わずさっとフォローに入れるもち蔵は格好良いですね。
そして作中でたまこが商店街の皆や周りからどれだけ愛されているのかがよくわかりました。

そして、前作から何気に気になっていたのが、みどりちゃん。
今回彼女は凄く良い仕事していました。
私のちょっとした考えですが、
みどりちゃんはたまこに対して友情の気持ちと
友情以上の気持ち、両方持っていると思うんですよね。

だから大好きなたまこをもち蔵に取られたくなくて
幸せになって欲しい気持ちもあるけれど、嫉妬したり悩んだと思います。
前作の2年生の臨海学校でもち蔵がたまこに告白しようとしていた時に邪魔したりとか、
思わず表情に出ちゃったりしたと思います。

最後に鎌をかけてたまこに「もち蔵が転校しちゃう!」と行って
たまこを行かせた彼女を見ると、相当思い切ったことをしたなと思う反面、
その後スッキリしたようなみどりちゃんの顔を見て安心しました。

新幹線のホームでたまこが告白の返事と気持ちを伝えるところで終わりましたが
これで・・もち蔵も安心して東京に行けそうですね。
その後も2人が、けして離れないように結ばれることを切実に願います。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 70

68.8 2 日常系で恋愛なアニメランキング2位
どうにかなる日々(アニメ映画)

2020年10月23日
★★★★☆ 3.5 (43)
204人が棚に入れました
誰かを想う日常は、ときに甘くて、ときに痛い。そんな、なるようにしかならない日々も、きっと、いつか。青春群像劇の名手・志村貴子(「放浪息子」「青い花」)による、様々な恋模様を淡く繊細に描いたオムニバス漫画「どうにかなる日々」を、詩的な映像・音楽演出に定評のある佐藤卓哉監督(「あさがおと加瀬さん。」)がアニメ化。元恋人の結婚式、男子校の先生と生徒、心と身体の変化を迎える思春期の幼馴染。誰が相手でも、どんな形でも、全ての恋と生き方には同等の価値がある。そして、不器用に誰かを想った日々は、きっといつか愛しい思い出になる。そんな“誰かの恋"を優しく見守り、温かく描くオムニバスショートストーリー集。

声優・キャラクター
花澤香菜、小松未可子、櫻井孝宏、山下誠一郎、木戸衣吹、石原夏織、ファイルーズあい、早見沙織、島﨑信長、田村睦心、天﨑滉平、白石涼子

takato さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

一品料理というよりお香々。謎のキャスト対談つき。

 短編集の映画化で60分ほどしかない作品なので、一品料理としたボリュームとかは全然ないです。志村貴子さんらしく劇的な事とか、捻った展開とかもなく淡々とした内容で、いわゆる日常系というより英語で言うところのスライスオブライフ、人生を一部切り取った感じのサッパリしたもんです。


 しかし、志村貴子さんの作品の味である、世間の表舞台には絶対上がらないような、物凄く劇的でも世間ウケもしなそうな愛を描いた作品という点では一貫している。


 一話15分くらいの作品が4本という構成なので、色んなことはとてもやってられないので風景とキャラたちが織りなす雰囲気の味わいを楽しむ感じで、同時に同性愛やセックスについても大袈裟なことではなくサラッと描くところにらしさがある。


 本作の一番の謎だったのが、冒頭にキャスト対談が付いている点。そんなDVDの特典みたいなの付けるにしてもケツに付けたほうが良かったような…。


 正直一品で満足できるような濃さはないですけど、上品なお香々を料理の間に食べたような清々しさがあって良し!。あくまで小品なので、みんなにとは言いませんが志村貴子さんファンの方にはオススメです。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 23
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

丹念な描写で風変わりな想いを日常に息づかせるオムニバス映画

単純な男女間とは限らない、ちょっぴり変わった人間関係やキモチを描いた
同名ショートストーリー集コミック(未読)の映画化作品。

【物語 3.5点】
構成はオムニバス形式。

{netabare}大人女性×大人女性(共通の"彼女”あり)

男性教師×男子高校生

小学生男子×小学生女子+AV出演歴がある男子の従姉
→中学生男子×中学生女子に成長した二人のその後

の三本立て(或いは三本目を二本と捉えれば実質四本立て){/netabare}

題材自体は禁断だが、刺激的な要素を強調するより、
日常の何気ないやり取りに多くの尺を割くことで、
そこにある関係や想いが鑑賞者と同一地平線上にあると伝え、
緩やかに共感を醸し出していく構成。

PG12指定要因はセクシャル表現であると思われるが、
そこも非日常感より普通の社会生活との連続性を重視し、
奇異に衆目を集めるより、繊細な心情に着目させる。


【作画 4.0点】
アニメーション制作・ライデンフィルム京都スタジオ

佐藤 卓哉監督がジブリ出身の演出担当・有冨 興二氏と目指したのは、
高畑 勲監督の『おもひでぽろぽろ』

ややイラスト風味の背景美術、キャラデザ&人物作画共に、
温かいタッチの色彩で主張しすぎず、自然体の生活空間を彩る。

想いがフンワリと盛り上がるシーンでは、
背景もさらにほんのりと淡く、幻想的にホワイトアウトしたりして、
心情描写を下支え。


終始、浸りたくなる心地良い空間でした。


【キャラ 4.0点】
どの登場人物も、映画的な決め台詞より凡庸な日常会話をこぼし、
我々と同じ日常世界に確固たる存在感をゆる~く示す。

例えば、この部屋散らかってるなーとか、今の声でっけーなーとか、
華やかな映画の中のヒーローは気にも留めない瑣末事だけど、
鑑賞者は心の中で思ってしまいがちなしょーもない感想を、
登場人物が先回りして言ってしまう痒い所に手が届く感w


私の推し?は{netabare}小学生→中学生男子のしんちゃん。
従姉のAVという妙な角度からエロを受容してしまい、
変容していく幼馴染みとの関係に困惑してしまう心の動揺が、
不器用なパンツ手洗い(笑)に滲み出た共感度の高い思春期少年でしたw{/netabare}


あとは某生徒の影響で、
首筋の綺麗さを観察するフェチズムが目覚めつつありますw


【声優 4.0点】
一週目・花澤 香菜さん×小松 未可子さん
二週目・櫻井 孝宏さん×山下 誠一郎さん
三週目・木戸 衣吹さん×石原 夏織さん×ファイルーズあいさん

本編前にキャスト対談が上映されるのが貴重な本作(私は一週目を鑑賞)

ナチュラルな演技に注力する方針表明は、
日常重視の作品世界没入の一助にもなる好企画で、
鑑賞者との齟齬を防ぐためにも、秘かに広まって欲しいと思いました。


ただ、如何に日常がメインと言えども、
上記のキャストのあんな性癖やこんな気恥ずかしいセリフには、
やはり、そそられる物がありますw
{netabare}みかこしが「はい。バンザーイ♪」と、ざーさんを脱がしに絡んでいく痴態。
ゆる~くてプレミアムですw{/netabare}


【音楽 4.0点】
冒頭。街の環境音と人々の会話が交錯して始まり、
同様に雑踏の音で終わる本作の音響。
これから語る人間関係を何としても日常に固着させるとの
意志を強く感じる音響方針。

劇伴担当はクリープハイプ。
人気バンドの起用となれば、バンドを前面に押し出して、
シーンMV化で集客を!……とプロデュースしがちな昨今ですが、
クリープパイプの尾崎 世界観氏は上記の繊細な日常空間の演出方針を汲んで、
切れ端みたいな短尺の素材作成も厭わない献身ぶりで、
あくまでもバックグラウンドで作品を好アシスト。

ミュージシャンとして語りたいことは、
ED主題歌のクリープパイプ「モノマネ」だけで語る。

この姿勢。私はとても好きです。


【感想】
前年、劇場鑑賞した同じ佐藤 卓哉監督のOVA作品『フラグタイム』の次作
ということ以外は、ほぼ情報をシャットアウトし、
鑑賞前、原作が志村 貴子氏で、『マンガ・エロティックス・エフ』連載コミック
であることすら知らないまま、無謀にも劇場に突撃した私w

マニアックなエロスの提供に、みかちゃんの如く、
固まってしまった場面もありましたがw
想いを大切にする優しい日常空間という救済措置により?
無事、生還することができました。


『フラグタイム』原作は7年前のコミック。
本作の原作に至っては実に15年前のコミックの再発掘。

性的マイノリティがまだセンセーショナルだった頃に
世間一般から色物と敬遠された作品群の中には、
繊細な心情描写が光る、今の時代なら一般にも冷静に受け止めてもらえる。
そんな好素材がまだまだ埋まっているのかもしれません。

佐藤監督が次にどんな金鉱脈を掘り当てるのか。
今後も成果発表に注目して行きたいと思いました♪


尚、冒頭10分がYouTubeで公開されているので、
私みたいに固まりたくない方は、
作品空間との相性を確認してから挑むのも良いかもしれません。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 13
ネタバレ

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

匠の演出

楽天的なアニメタイトル。
ちょっと惹かれる。
実際そうなんだよね。
未来が見えなくてもなんとかなっちゃう。

淡々と日常を描く短編三編。
どれもこれも、屈折してるけどね。
でも、それも一つの愛の形では。
視聴後は得も言われぬほどの満足感。

感情って描くのが難しい。
それを穏やかなカットで表現って。
それも皆まで言わずに。
お見事。

豪華な声優陣の演技はさすが。
引き込まれてしまう。
最後に一言。
{netabare}早見さんの使い方が贅沢。{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 12

75.2 3 日常系で恋愛なアニメランキング3位
きみの色(アニメ映画)

2024年8月30日
★★★★★ 4.1 (31)
101人が棚に入れました
高校生のトツ子は、人が「色」で見える。
嬉しい色、楽しい色、穏やかな色。
そして、自分の好きな色。

そんなトツ子は、同じ学校に通っていた美しい色を放つ少女・きみと、
街の片隅にある古書店で出会った
音楽好きの少年・ルイとバンドを組むことに。

学校に行かなくなってしまったことを、家族に打ち明けられていないきみ。
母親に医者になることを期待され、隠れて音楽活動をしているルイ。
トツ子をはじめ、それぞれが誰にも言えない悩みを抱えていた。

バンドの練習場所は離島の古教会。
音楽で心を通わせていく三人のあいだに、友情とほのかな恋のような感情が生まれ始める。 周りに合わせ過ぎたり、ひとりで傷ついたり、自分を偽ったり― やがて訪れる学園祭、そして初めてのライブ。 会場に集まった観客の前で見せた三人の「色」とは。

かんぱり さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

何かに出会うこと

日暮トツ子はミッションスクールに通う女子校生。他人を色で見ることができる彼女は、素敵な色たちと出会う。
脚本 吉田玲子、音楽 牛尾憲輔、監督 山田尚子
聲の形やリズと青い鳥がお気に入りな私はこれも見に行きたくて、公開初日に時間がとれたので見に行ってきました。


生きていれば、いろんな何かに出会います。
そしてそれは、私の中に大小さまざまな波紋を起こしてくれます。

ましてや思春期の頃に出会うものなんて、ココロに台風並みの波風を起こしてくれることだってあります。

「バンド、やってみませんか?」

それぞれが悩みを抱えていて、そこから飛び出して何かをしたいって気持ちは漠然とあって。

楽器なんてロクに弾いたこともない。
でもこの人たちと何かやってみたい。

もし私が高校生であの古書店にいてそんな風に声をかけられたらやりたい!って言ってたと思います。。
そんなアオハルな気持ちに懐かしさと羨ましさを感じながら、彼女たちのコンサートを見ていました。

トツコもあきもルイも、素敵な人や音楽と出会って、とても大切で忘れられないものを得られたのでしょう。

それから終盤にあきがルイに向かって叫んだ言葉は自分へ向けたものでもあったように感じました。


色使いはカラフルで、リズと青い鳥の、童話パートの絵を思い出しました。
音は結構大きくて、臨場感はすごくあったんですけど、私的にはちょっと大きすぎでした。

余談ですけど、赤、緑、青って光の三原色で、これらの色を組み合わせるとどんな色も出せるんですよね。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 20
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

大人が意外と分かってくれる温かいバンド作品

ミッション系スクールなどを舞台に、
バンド活動を始めた女子2人、男子1人の葛藤と青春などを描いた、
山田尚子監督のオリジナル劇場アニメ(100分)

【物語 4.0点】
近年の山田監督作品としては優しい世界。

教会系ならではの厳格な校則などで圧迫された若者の鬱屈が、
音楽として噴出して、鑑賞者のハートを突き刺してくる作品なのだろうか?
山田監督ならではの、痛切で叫びたくなるような心情、青春表現等を警戒して、
私はガチガチにガードを固めて挑みましたが、
今回はストレスを除いていくという監督方針で紡がれた本作は、
案外、穏やかで、鑑賞直後は、正直、拍子抜け感すらありましたw


盟友、脚本・吉田 玲子氏とのタッグ作でもありますが、
主人公の一人・日暮トツ子のゆるふわなキャラクターの躍動などを見ていると、
『リズと青い鳥』『平家物語』よりはむしろアニメ『けいおん!』くらいのムードで、
肩に力を抜いて楽しむスタンスで行ったほうが上手く折り合えるのかもしれません。

が、穏やかな中にも、祖母に{netabare} 退学{/netabare} を秘密にしている作永きみだったり、
家業の医者を継ぐという期待に反するように陰で音楽をやってる影平ルイだったり、
大切な人に嘘を付いているという後ろめたさなど、青春アニメとしてちゃんと痛みは取り扱われています。

ただ、多くのささくれだったバンドアニメとは異なるのが、
登場する大人たちの多くが、少年少女が悩んで音楽に走ってしまう気持ちを理解している所。
大人として社会のルールなど筋を通さねばならない建前は取り繕いつつも、
子供の葛藤を罰で押し潰さないよう配慮する。
青少年が呼吸できる余白がこの青春映画にはまだあるので救われます。
特にシスター日吉子の規則破りに対する采配は、迷える子羊たる少女たちの気持ちを汲んでいて絶妙でした。

クライマックスは主役3人のライブシーン。
ここも分かってくれない大人にトゲを刺して思い知らせてやろうという痛快さよりも、
大人だけど、君たちの気持ちは若い頃心当たりがあるから分かりますよという温かい積み重ねの上に歓待される、多幸感が胸を打つ感じ。

ライブ後、{netabare} トツ子が花畑で踊るシーンが印象的ですが、
私はそれ以上に、生徒にバレないように淡々と退場した後に、
踊り始めるシスター日吉子にホッコリさせられます。
(※核心的ネタバレ){netabare} 元ロックバンドGod Almightyメンバーとして、ライブ中ノリノリになるのずっと我慢してたんだなとw{/netabare} {/netabare}


【作画 4.5点】
アニメーション制作・サイエンスSARU

周囲の人間を“色”として認識できるトツ子。
憧れの作永キミの色は青など。でも自分の“色”はまだ分からない。
他人には中々理解してもらえないトツ子から見る世界を、
色を知覚する人体の原理から解きほぐして、
鑑賞者の“ピント調節”をしてくる冒頭映像から、表現に意欲的な作画・背景。

色彩設計の小針 裕子氏。
過去作では、個人的に特に『GREAT PRETENDER』のカラフルな背景、建物の色使いが好み。
本作でもキミのブルーに合わせて、背景を海の青などで合わせてくるなど、
色彩にも統一感がありました。

トツ子の色は何色か?が一つの焦点ですが、
映像見ていれば、あぁやっぱりその色だよねと納得できます。


ライブシーンは手描き重視。
私はどちらかというとライブはCG派ですが、
クールなテクノサウンドで敢えて、奏者の汗が滴る繊細な手描き表現などを見せられると、
まだまだ手描きで表現できるライブの醍醐味はあるぞと唸らされます。


トツ子に作詞のインスピレーションを与えた授業での太陽系の自転・公転運動の資料映像。
座標が固定された太陽の周りを惑星が公転するイメージ映像ではなく、
銀河系の周りを約2億5000万年かけて公転する太陽に追随するように絡んでいく惑星というリアリティ重視の方の映像を私は久しぶりに見ました。
{netabare} 猛進する太陽が、青のキミからトツ子の顔面に投じられたドッジボールとリンクしたトツ子の妄想には吹き出してしまいましたがw{/netabare}


【キャラ 4.0点】
日暮トツ子。ミッションスクールの寄宿生。楽器ド素人なのに憧れの作永きみと親密になりたい欲求から3人でバンドにやろうと言い出す。他人が色として見える共感覚だけじゃない不思議ちゃん。乗り物酔いに弱い。バレエ経験者。

作永きみ。聖歌隊メンバーとして他の生徒からも慕われるも、期待される自分を捨てるようにギターに惹かれていく。{netabare} その末に退学。{/netabare}

影平ルイ。離島の医師の息子。シンセなどの中古楽器をかき集めて、密かに音楽に没頭している。

以上の3人がメインキャラのバンドメンバー。
トツ子からきみへの想いは、ある種の百合含み。
きみとルイの間には恋愛の波動もあり、トライアングルの波乱も予感させますが、
この3人の関係性は恋愛と一言で片付けられない物があり、
私は今も的確な答えを導き出せていません。


【声優 4.0点】
トツ子役の鈴川 紗由さん。きみ役の髙石 あかりさん。ルイ役の木戸 大聖さん。
メインキャストは約1600人の中から若手俳優陣をオーディション選出。
鈴川さんにはアニメ声優願望があり、髙石さんには舞台経験しかも2.5次元舞台でキャラ声での歌唱経験もある。

トツ子はゆるふわ属性のキャラ声での対応が求められ、
きみには歌唱に加えラスト{netabare} 「頑張ってっ~!」{/netabare} の絶叫シーンもありましたが、
3人とも声でキャラを作り、声を張ることができていたと思います。

指名よりはオーディション。舞台など声に力を込められるだけの素地があること。
良好な俳優キャストの条件は揃っている布陣だとは感じました。


が、私はそれでもアニメ声優の経験豊富な方がメインやったらどう良化しただろう?との欲は捨てきれませんでした。
トツ子のルームメイト“森の三姉妹”というモブキャラポジに、
『平家物語』主演の悠木 碧さん、『けいおん!』紬(つむぎ)役の寿 美菜子さん。
山田監督作の出演経験者も配されていただけに、
例えば、この実力者2人がメインだったらとか邪念が入ってしまいます。


【音楽 4.0点】
劇伴担当はこちらも山田監督とは腐れ縁の牛尾 憲輔氏。
シンプルなピアノとストリングスのミニマル・ミュージックでキャラの青春の掛け合いを下支えするお馴染みの仕事ぶり。

一方で、テクノ志向なバンド・しろねこ堂の楽曲群では、
牛尾サウンドのもう一つの特色であるシンセ和音が際立ちます。
さらには、最古の電子楽器テルミンまで登場し、楽曲にアレンジ。
(アンテナに手をかざしてプオォ~ンなどとSFチックなサウンドを発生させるやつ。マニアック過ぎますw)

教会で鳴らすには突飛な曲風でしたが、
シスター日吉子に言わせれば、感情や気持ちが表れていれば、
しろねこ堂のサウンドもまた聖歌なのです。

「水金地火木土天アーメン」
山田監督自らが発したワードから構想されたというこのライブ曲。
私も思わず踊り出したくなる謎の中毒性がありますw


ED主題歌はMr.Childrenが「in the pocket」で、
2009年の劇場版『ONE PIECE~』以来のアニソン提供。
歌詞世界も、牛尾氏参加のアレンジも、まずまず作品に寄せて来てはいましたし、ミスチルは好きなバンドではありますし、
従来の山田作品ファンとは違う層への訴求力もあるのでしょうが……。

私はエンドロール後に{netabare} 「水金地火木土天アーメン」のダンス映像入れる{/netabare} くらいだったら、
最初からEDも、しろねこ堂で良かったのではないか?
とこれまた邪念が入ってしまいました。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 17
ネタバレ

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

キャラの印象が・・。

・・・薄い・・・?

鑑賞直後に、作品から感じとったイメージです。

でも、それこそが、本作に強みを与えている "一番の理由" と読み取っています。



きみの色。

表向きは、作中のキャラを語るだろうテーマですが、裏返せば、作品を鑑賞する人にむけて射影されていると感じました。

山田監督が描こうとする「きみ」は、鑑賞する「わたし」の想い、「あなた」の気持ちに、なにかのハレーションを起こすような気がします。

そう思うと、キャラが薄いのにも納得できます。

「あなた」自身を、3人の主人公に投影し、そのポジションに立つためのシナリオなのですから。



観ていて感じたのは、ストレスが全くないということでした。

そのあたりは「登場するキャラに、いい人しかいない。」とも言えるのかもしれませんが、私はそれは大事なことのように思います。

今、私たちの社会は混とんとしていて、学校の集団にせよ、進路に向かうにせよ、自分の身の置き所が、とにかく不安定な世の中です。

そんな時代にあって、本当に大事なことは、自分の土台作りなんじゃないかなって思うのです。

本作では、3人のメンバーが、バンドを組み、演奏をするなかで、自分の存在意義だったり、社会との距離感だったりを、お互いに問いかけ、答えを見つけ出そうとするストーリーになっています。

だから、彼らが見つけた何かを、見つけようとした何かを感じ取ることができるなら、それはテーマに触れたことになるんじゃないかなって思います。



お話としては、3人の色がそれぞれに提示されます。

最後に束の間、{netabare} 3人目の色が演出されますが、{/netabare} そのとたん、私はみるみる心がぬくもり、胸に沁みこむものがありました。

思いどおりにできなかった過去も、平凡に流されている毎日であっても、自分が自分らしくあっていいと思える感覚は、思いがけなく尊いものだと思います。

本作が問いかけている「きみの色」は、視聴者自身の色、あなたらしい色のこと。

その色は、年齢とか境遇とかには関係なく、今の自分の深いところに問い返すことのできるものなんだろうと思いました。



小ぶりな作品と言えば、確かにそうなのかもと思います。
でも、私はこうも思います。

山椒は小粒でピリリとからい、と。
真っ白なパレットとキャンバスは、自分の手の中にある、と。

たとえ、世間から埋没し、目立たなくいたとしても、自分の可能性だけは誰にはばかることはない、と。

きみの色は・・・、わたしの色は・・・。

あなたの色に、やわらかなエールを送ってくれる、ステキな作品だったと思います。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 13
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