教会で戦争なTVアニメ動画ランキング 7

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の教会で戦争な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月06日の時点で一番の教会で戦争なTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

65.6 1 教会で戦争なアニメランキング1位
07-GHOST[セブンゴースト](TVアニメ動画)

2009年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (346)
2086人が棚に入れました
ラグス戦争終結から十数年後、バルスブルグ帝国の第1区で軍に入隊するためエリート生として過ごしていたテイトは、ある日、失われた記憶の一部を取り戻し、自分がラグス国王の息子であることを思い出す。
記憶を取り戻したテイトは軍を脱走し、第7区のバルスブルグ教会の司教たちに助けられた。しかし、彼の運命はすでに動き始めていた。

斎 美織 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

是非原作を!

アニメ07-GOHST全25話完結です。
キャラクター作画声優さん申し分ないです。
物語もあれはあれでいいのですが
原作を知っている者からすると
アニメはまだまだ物語の始まりで
これからがたのしいところです!
是非是非アニメの続き見ていただきたいです。

原作完結いたしましたが
私的には最初のわくわくから考えると
うーん…と思ってしまう部分もある終わり方でしたが
やはり原作は読んでほしいです。

内容キャラなどから見て
女性向けなアニメだと思います。
ほんのり腐向けなので苦手な人は注意!

内容はダーク?ファンタジーです。
主人公は過去の記憶を持たない少年なのですが
ひょんなことからその記憶を思いだし
幼い自らの前で父を仲間を殺した人物を思い出します。
その人物への復讐を果たそうと行動を起こすが失敗。
以降主人公は追われる身となってしまいます。
そんな主人公を拾ったのは教会の神父たち。
けれど彼らには秘密が有って…
そんな彼らと過ごすうち主人公は過去に起きた世界の危機
それを起こしたフェアローレンという死神、
其れを封じた7人の死神(07-GHOST)を知り
深く関わっていくことになります。

謎も多く次の展開、最後はどんな風に…?と
常にわくわく期待できる内容でした!
ギャグ部分は面白くシリアス部分は感動できて
何より愛情友情に泣かされます。
見て損はないかと!

アニメでも十分感動できますが
原作ではさらに踏み込んで感動できます!
アニメ原作共に泣きました←

余談ですが私の推しメンは
コナツ=ウォーレンです!
声優さんが岸尾さんなのもイメージぴったりですし!
何より容姿性格共に可愛い!
ヒュウガとの絡みは微笑ましいです(笑)
ドラマCDではぶっ飛んだ部分も明かされ
もうホントに可愛いです←

主人公テイトくんの斎賀さんボイスも
素敵に似合っていましたし
フラウの俺様何様諏訪部様具合も
とてもイメージに合っていました!
アヤナミ様の速水さんボイス!!!!!
協会側も帝国軍側も
みんな豪華すぎる声優陣を持て余すことなく
イメージとぴったりで素敵でした。
クロユリ様の声優さんが
私的に少し残念ですが
あれはあれで可愛いかも知れないです。

そして何より私は
アニメでもっとも感謝したのは
ランセのかなりのイケメン度です(笑)
あの特徴的な髪形をあそこまでイケメンに…!

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10

柚稀 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

俺は、失ってばかりだった…けれど…。

全25話。
キャラ、イケメンわんさか(*゚▽゚)ノ   
描かれる、熱い友情☆
シスターに死神☆司教、カストル様!(ナイスメガネ☆)ラブラドールくん(可愛い♪)
そんでバトル、またバトル!!
これは、きっとおもしろい!!((o(>▽<)o))

…………………………!?!?!?Σ(゚д゚;)

ってあれ??www
こ、こんなはずでは…(´・ω・`)が25話観た感想。。。。。


スクラー(戦闘用奴隷という意味らしい)から、
軍隊へと入隊したテイトには生まれながらに課せられたおっきな運命があって、
紐解かれる記憶と復讐の思い、
そして親友であるミカゲの想い、を胸に戦う。
のですが…

…ですが。
前半というかはじめの数話の展開は、テンポよく、
いい感じにバタバタとしていて、観ていて気分良かったのだけれど、
それ以降のスロー、超スローな展開にはちょっと残念。。。。。

いつ攻め込んでくるんだ?どうなんだ?
と結構楽しみにしていた、テイトを追う軍側、アヤナミが率いる敵さん部隊の登場も少なめで、
5,6人いる敵さん達の名前もいまいち覚えられずw

能力もそれぞれ、使用する武器もそれぞれ、なので、
敵さん達の戦闘シーンも期待していたのですが、
思ったほど、さほど描かれることはなく。

僕の期待とは裏腹に物語は進んでいきましたとさwwwww

そんで25話終了後、気付いたのは…
これは今後の物語へ続く、プロローグにしか過ぎない。
ということでしたwww

…まだ、あるんすか?
あんたけスローだったんだから、何とか25話に収まらなかったのですか…??

モヤモヤとした問いかけだけが残りました(〃゚д゚;A

ただ、声フェチとしての目線wでいいましたら、
イケメンキャラ揃いだけに“いい声”がたくさんしました(*´∇`*)

福山潤・浪川大輔・入野自由・諏訪部順一・宮田幸季・岸尾だいすけ・朴璐美・斎賀みつきなどなど♪

特にテイトの声、斎賀みつきさんは“カナリヤ”という曲を聴いてから、男性ばりにかっこよすぎる歌声に惚れましたd(>_・ )グッ!ww

投稿 : 2024/11/02
♥ : 16

nani-kore さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

あまりのマンネリ展開に、ちょうど真ん中あたりで断念;

15話目で断念;
だって、あんまりマンネリ過ぎて。。。

出だしはすごく良くって、ワクワクしたのになぁ~3
主人公、テイト・クラインが教会に逃げ込んでからは、もう、超マンネリ展開でつま~んない;;

あまりのマンネリさに疲れ切って、14話目で一休さん。
数週間後、久しぶりに観たら、こりゃもうダメだ~3
ストーリー設定がムダに凝っているから、ついてけないのである。
最初はちょっと影のある、クールな美少年だったテイトも、どんどん惰弱でセンシティブなBL少年と化しているし。。戦争奴隷だった暗い過去はどうなったんだよ??

あともう少しで観終わるから、がんばろーと思ったけど、アニメ大国ニッポンでは、インド映画に勝るほど様々なアニメが量産されているし、過去の良作だって山ほど埋もれているのである。
そんな宝の山をあきらめて、こんなつまらない超マンネリBL指定アニメ(だから観たケド)を、我慢して観続けるなんて、バカバカし過ぎるではないか。。

んなワケで、ちょうど折り返し地点で残念だが、断念;
導入部分では本当にワクワクさせられたし、ストーリー設定も凝っている作品なので、中盤の耐えがたいマンネリ感がムカムカするほど残念だ。
。。どーにかならなかったのか?どーにもならなかったのか??

画はキレイだし、イケメンもいっぱい。
それだけあれば十分な方は、ぜひお試しあれ。。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11

76.4 2 教会で戦争なアニメランキング2位
ソ・ラ・ノ・ヲ・ト(TVアニメ動画)

2010年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (1225)
6732人が棚に入れました
『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』はA-1 Pictures制作のYVアニメ。月刊コミック電撃大王にて連載も予定。略称は「ソラヲト」。テレビ東京とアニプレックスが展開するオリジナルアニメプロジェクト「アニメノチカラ」の第1弾作品。

空深カナタは廃墟で女性兵士と対面する。彼女はトランペットを手にしていた。喇叭手に興味を抱き、軍に入隊すればトランペットが吹けると勘違いしていたカナタは軍に入隊することを決心し、セーズの街の駐留部隊である第1121小隊に配属される。彼女が水かけ祭りの日にセーズで騒動に巻き込まれる所から物語は始まる。

声優・キャラクター
金元寿子、小林ゆう、喜多村英梨、悠木碧、遠藤綾、福圓美里、石塚運昇、八十川真由野
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

大変面白かった

本作はテレビ東京とアニプレックスが展開するオリジナルアニメプロジェクト「アニメノチカラ」第一弾としてA-1 Picturesにより製作された。
監督は神戸守、脚本は吉野弘幸。
その作画が「けいおん!」に類似していることから物議を呼び、その後も他作との類似点を挙げられ非難されたが、本作は視聴後は、他作品の模倣という次元以上に素晴らしい物語と世界観により構築された作品という印象を強く感じるものだった。
単なる日常系軍事アニメとしても十分に楽しめ、その複雑な世界観を考察する作品背景の考察も楽しめる。このように二方面から作品を楽しむことが出来るのは非常に喜ばしい。
例えるなら「となりのトトロ」を純粋に楽しむ一方で、都市伝説としての側面を探求することも楽しむといった面白さが本作には内在している。作品世界は「風の谷のナウシカ」に似ていると感じた。

あらすじ

{netabare}
空深カナタは廃墟で女性兵士と対面する。彼女はトランペットを手にしていた。
喇叭手に興味を抱き、軍に入隊すればトランペットが吹けると勘違いしていたカナタは
軍に入隊することを決心し、セーズの街の駐留部隊である第1121小隊に配属される。
彼女が水かけ祭りの日にセーズで騒動に巻き込まれる所から物語は始まる。
{/netabare}

考察
{netabare}
本作の内容

主人公の音楽への憧れ
過去の戦争及び関連する神話
現在の戦争及び登場人物達の苦悩

本作の狙い

戦争で荒廃し疲弊した世界で力強く逞しく生きる少女達の生の輝きを描く

・ビューグルというラッパについて
ビューグルは信号ラッパとして概ね20世紀初頭まで世界の軍隊で「突撃」・「進め」・「撃ち方始め」・「撃ち方止め」等、戦闘指揮の号音を担っていた。しかし、常に指揮官の直ぐ脇に居て目立つ存在であった為、敵の的になり戦闘教義や無線通信の進化に伴い戦場での使用は廃れた。しかし「起床」・「国旗掲揚」・「朝礼」・「食事」・「国旗降納」・「消灯」といった日常生活(日課号音)などで現在も使用されている。作中ではカナタが「起床」を毎朝練習していた。

・OPのイコンについて
イコンとは聖人・天使・聖書における重要な例え話、教会史上の出来事を混ぜた絵のことである。作中では女性の裸体・妊婦・性交など赤裸々で官能的、甘美で妖艶なエロスと同時に強烈な死の香りが感じられる作品を多く手掛けた画家グスタフ・クリムト(1862-1918)の作品を使用してる。

・Amazing Graceについて
Amazing Grace(和訳例:素晴らしい恩寵)はジョン・ニュートの作詞による賛美歌である。
この曲は黒人奴隷貿易に関わったことに対する深い悔恨と、それに関わらず赦しを与えた神の愛に対する感謝が込められているといわれている。
作中では「音は響く、そして繋がる」というコンセプトの下、イリア皇女により感化されたカナタを中心に描かれている。
アーイシャが演奏したことにより戦争で敵対し、言葉が通じず、宗教観が異なる者同士でも共通の音色により人と人が繋がるというテーマを見出すことが出来る。アーイシャもこの場面でカナタとノエルと打ち解けることが出来た。終盤の会戦を回避したカナタによる演奏もまた然りである。

・タケミカヅチについて
作中に出てくるオーバーテクノロジーを駆使した戦車「タケミカヅチ」の語源は神武東征で熊野で手こずっていた神武天皇に、剣を授け助けたタケミカヅチ(建御雷/武甕槌)である。
文明滅亡の戦いの際、日本軍が用いた兵器だろう。

・作品世界について
作中の街、セーズのモデルとなったのは世界遺産であるスペインの城壁都市クェンカである。時告げ砦と橋のモデルはクェンカのサン・バブロ修道院とアラルコン要塞である。
セーズでは人種は様々、文字はフランス、町並みはスペイン、軍服はドイツ、通貨は日本、文化はカオスという状態だったが、時告げ砦が日本の学校跡であることから土地は日本であることが分かる。セーズは国家としてはヘルベチアに属するので、ヘルベチアの公用語がフランス語で軍が採用している軍服がドイツ様、通貨が日本円なのだろう。教会はキリスト教が大元であるが信仰の対象が八百万の神々であることから土着の神道と融合してしまったのだろう。ローマは公用語はドイツ語でキリスト教はそのままのようである。
カナタの故郷(無論ヘルベチア国内)は生活様式が日本文化に近いらしいので町並みや料理などの文化は土地により異なるものだと推定される。得られる結論は荒廃後の日本に世界各国から人々が移り住み定住し、民族毎に様々な文化圏を構築しており、国家規模の公用物に対しても世界各国の文化が混ざっているものと思われる。日本語はイデア文字と呼ばれ高度な知識(ロストテクノロジー)に繋がる為か、教会が独占しているらしい(人名については使用が見られる)。

・旧時代の戦争について
「炎の乙女」の伝説に登場し、一話でカナタが谷底でみた天使との戦争により世界は滅びた
とする考えは十中八九当たっているだろう(7話の日本兵の話からも)。
また日本が接収されていることについて13話でユーラシアがノーマンズランド(No man’s land 不毛の地)になっていることからも、世界各国の領土は荒廃し、日本に殺到したことが伺える。教会がイデア文字(日本語)を独占し、「炎の乙女伝説」を歪曲(ローマでの伝説の方が史実に近いらしい)していることからも、教会が歴史を隠蔽している疑いもある。
天使の化石に羽の骨が有ったことと、ローマでの「炎の乙女伝説」から、天使は黙示録の一環として世界滅亡を目論む組織により遣わされた、或いはどこかの組織の生物兵器の暴走と考えられる。日本兵の遺言の年号から十分にありうる話である。
歴史の流れの私的見解
①黙示録の天使が世界中に現れ暴走
②天使との大戦で国土が荒廃し難民が安全圏へと非難
③日本軍も天使に対抗すべく多脚戦車「タケミカヅチ」を量産
④学校(時告げ砦)で戦術訓練を受けていた女子挺身隊の少女達により傷ついた天使を谷底で匿う
⑤天使から少女達に金の角笛が渡される
⑥街の人々(この時はまだ日本人集落)により天使は首を落とされ、少女達は焼死
⑦天使の軍勢が街に襲来するも、生き残った少女が最期の力を振り絞って金の角笛を吹き、天使達は退散
⑧日本軍の勇猛果敢な戦闘により天使を退治するも国土は焦土と化し、中央政府も機能停止、海洋生物始め多くの生物が絶滅
⑥さらに世界各国から難民が押し寄せ、各地に自治都市を形成・拡大
⑦「炎の乙女伝説」のあった街はスペイン人の生活圏となり「セーズ」の街を形成
⑧セーズはヘルベチアに属し、公用語が仏語、通貨が日本円などに統一される
 旧時代を元にした文明が再興
⑨ヘルベチアと正統ローマ帝国との戦争が勃発し、タケミカヅチを模倣した戦車も実践配備される。
 フィリシアはビネンランド戦線で乗っていた戦車アラクネーが被弾して大破、負傷
 ノエルはホプキンスに利用され生物兵器(見えない死神)の開発プラントを復元してしまう。
⑩ヘルベチアのイリア皇女が正統ローマ帝国に輿入れする旨の和平協定交渉が進むが、イリア皇女が溺死。
⑪イリア皇女の死去で休戦が破棄され再戦が始まろうとしていたが、イリア皇女の異母妹であるリオの輿入れにより和平協定が成立。

・おまけ
①7話の日本兵の遺言
{netabare}
涼子へ 和馬へ
すまない 父さんは負□□
おまえたちを守れなかった
この最後の時におまえたちと
居られないことがとても哀しく
つらい
もしこの世に神がいるのなら
おまえたちに安らかな
最期が訪れたことを願う

    二九七三(←恐らく皇暦なので西暦2313年)
     □□浩市
{/netabare}
②11話のドイツ語訳
{netabare}
・ノエルがアーイシャを見たときのフラッシュバック場面
アーイシャ「ヘルベチアの魔女・・・」
・翌朝、アーイシャがノエルに襲い掛かる場面
アーイシャ「ヘルベチアの兵士だ」(ノエルを見て彼女の持っているハサミに手を伸ばす)
ノエル「これ、どうするの?」
(アーイシャ、折れた体温計をノエルの喉元に突きつける)
アーイシャ「ここは何処だ?私はヘルベチアの人質になったのか?」
ノエル「ローマ語、分からない」
アーイシャ「お前達、私を人質にとったんだな」
(ノエル、アーイシャの胸を揉んで撃退)
・クレハが調書をとる場面
アーイシャ「ローマ帝国陸上戦力、第一機甲師団、第十三戦車大隊B中隊軍曹、アーイシャ・アドラ。認識番号1031021」
クレハ「貴方は何で此処に来たの?」
アーイシャ「ローマ帝国陸軍、軍曹、アーイシャ・アドラ」
クレハ「任務の内容は?」
アーイシャ「認識番号1031021」(舌を出す)
クレハ「いい度胸ね~」
〔フィリシアの言葉攻め前後〕
カナタ「アーイシャちゃん時告げ砦へようこそ」
アーイシャ「ときつげとりで?」
カナタ「そう、時告げ砦」
アイーシャ「それじゃあ私、本当にたどり着いたのね」
アーイシャ「おばあちゃんっ」(アーイシャ泣き出す)
・カナタとノエルがフーフーして食べさせる場面
カナタ「食べた」
ノエル「美味し?」
アーイシャ「逃げるには力がいる。だから今は食べる」
カナタ「きっと『美味しい』って言ってるんだよ」
〔食事後〕
アーイシャ「ねぇ、貴方達、『天使の化石』を見たことがある?」
カナタ「えんげる?」
アーイシャ「そうだった。貴方達には何も通じなかったよね」
ノエル「ローマ語、勉強すればよかった」
・カナタがトランペットを聴かせる場面
カナタ「お粗末さまでした」
アーイシャ「素敵な音ね。まさかこれほどのトランペットに出会えるなんて思わなかったわ」
カナタ、アーイシャにトランペットを差し出す
アーイシャ「いいの?」
カナタ「うん。リオ先輩も許してくれると思うから」
アーイシャ、アメイジング・グレイス演奏
アーイシャ「素晴らしいトランペットだわ。これほどの物に出会えるなんて」
カナタ「ねぇ、今の曲。凄い。これってものすごく素敵だよ」
ノエル、アーイシャにマフラーを貸す
アーイシャ「ありがとう」
カナタ「だんけ?」
アーイシャ「うん、そう。『ダンケ(ありがとう)』よ」
カナタ「『だんけ』ってなんだろ?」
ユミナ「『ありがとう』って意味です」
・ユミナが通訳を始める場面
※ユミナの(独)はローマ語(ドイツ語)の意 無印はヘルベチア語(日本語)
ユミナ「(独)私はユミナ。ヘルベチア正教会に仕える者です。貴方に八百万の幸を」
アーイシャ「異教徒め。神は一人しか存在しない。その挨拶は神への冒涜だ」
カナタ「何て言ってるの?」
ユミナ「軽い挨拶です。」
クレハ「そんなものはいいから、早く訊いて」
ユミナ「(独)貴方は何故ここに来たのですか?」
アーイシャ「・・・・・・」
ユミナ「(独)貴方がここで話してくれないと、ここにいる全員に、大変な迷惑がかかってしまうの」
ユミナ「(独)もし、貴方が少しでも恩を感じているなら、私達に本当のことを話してください」
アーイシャ、ノエルとカナタを順に見る
アーイシャ「任務については言えない。私はこの街にあるという『天使の化石』を見たかったんだ」
ユミナ「この方は、『天使の化石』をご覧になる為だと」
フィリシア「天使の化石?」
クレハ「って何よ」
アーイシャ「私の祖母はこの要塞、この見張りの砦に居た」
ユミナ「私の祖母は時告げ砦の兵士だった」
アーイシャ「彼女は東部の前線で捕虜になり、私の祖父に出会ったの」
ユミナ「彼女は東部戦線で捕虜になり、祖父と出会った」
アーイシャ「私が子供の頃、よくそのことを話してくれたわ」
ユミナ「私は彼女の話を聞いて育った」
アーイシャ「私はそれをどうしても一度見たかったんだ」
アーイシャ「私の祖母が見たという天使を」
アーイシャ「遠い昔に世界に審判を下したという黙示録の天使を」
ユミナ「それは間違った教えです。世界を滅ぼしたのは悪魔です」
以下割愛
・旧校舎に隠れている場面
ユミナ「そう言えば、まだ名前を訊いていなかったって」
アーイシャ、手を伸ばしノエルに握手を求める
ユミナ「ノエル」(ノエルに向かって)
ユミナ「(独)彼女の名はノエル」(アーイシャに向かって)
アーイシャ「ノエル?ノエル・カンナギ?」
ユミナ「(独)はい」
アーイシャ「『見えない死神』は貴方が?」(ノエルに向かって)
ユミナ「はっ?『見えない死神』って」
ノエル発狂
{/netabare}
③「炎の乙女」の伝説
{netabare}
ヘルベチア版

ずっと昔、世界が今みたいになるずっと前のこと
この街の谷底に羽のはえた悪魔が棲みつきました
悪魔は炎を吐き大地を揺らし人々を苦しめました
そしてついに砦に住んでいた乙女たちをさらい
地下の迷宮に閉じ込めますけれど娘たちはあきらめず
天主さまから授かった金の角笛で呼び合い迷宮を脱出すると
巨大な蜘蛛のちからを借りて悪魔を倒しその首を討ち取ります
するとその首は激しく炎を吹き上げますこのままでは上にある街は全て燃えてしまう
娘たちは吹き出る炎をおさえるために順番に悪魔の首を抱き続けました
燃えさかる悪魔の首と娘たちに村人たちは毎日水をかけ火は一年経ってようやく消えました
以来村を救った娘たちの霊を慰めるため水かけ祭りを始めたのです

ローマ版

ずっと昔、世界が今みたいになる前のこと
世界に罰を与えるために神様が遣わされた天使は
傷つき西の果ての街で翼を休めていました
そんな天使を助けたのは果ての街の砦に住んでいた乙女達でした
自分達を滅ぼすはずの者、けれど傷ついたその姿を哀れに思った乙女達は
巨大な蜘蛛の力を借りて天使を谷の底に匿います
乙女達は溢れ出る血を抑える為に順番に天使の首を抱き続けました
そして天使はそのお礼に乙女に金の角笛を授けます
けれどやがて街の人々は天使の存在に気付き谷底に火を放ちます
乙女達は炎に巻かれ天使は首を落とされて息絶えてしまいました
そんな時ついに天使の軍勢が現れ街の空を覆いつくします
けれどどうしたことでしょう、突然高らかなソラノヲトが響くと
天使達が去って行きます、人々の命を救ったのは
最後の乙女が自分の命と引き換えに鳴らした金の角笛の音だったのでした
{/netabare}


OPから分かるように本作には強烈な死への閃光が見え隠れしている。グスタフ・クリムトのイコンの原画を見れば分かるが、髑髏を交えた印象的な作品だ。また2話に登場した5体の幽霊や、7話の日本兵、作品全体の世界観などもそうである。少女達の穏やかな日常も最前線(とは言っても機能していないが)で行われており、少女達も戦争を体験していることからも伺える。
作品に込められたメッセージを読み解くのもオツなものだ。
{/netabare}

感想

世界観は素晴らしい出来であるが登場人物の心情についてもっと深く表現出来ていれば、評価はもっと高くなっただろう。また登場人物の過去の描写にも時間を割いて欲しかった。終盤が急展開過ぎたのが非常に残念。日常パートは和んだ気持ちで見れたので良かったと思う。kalafinaの曲も良かった。

総評

本作を日常系萌えアニメとして視聴するならば物足りなさから不満が生ずるだろう。
軍事・音楽・日常系・セカイ系と要素があり過ぎて、全てを網羅することが出来なかったが、
そこは視聴者に考察の余地を与えたということで御の字である。過度な説明不足は不満しか生まないが、作品中に散りばめた伏線から考察することは私のような考察マニアには至福である。
本作の世界観に関してはテレビ未放映の13話が大きく絡んでくる。これをテレビで放映しなかったのは残念極まりない。DVD/Blue-rayにはテレビ未放映の7.5話と13話が収録されている。
世界観以外の伏線はほぼ回収され、物語も日常パートが多すぎ感が否めないものの、完成度は高い。中盤まで(伏線は張りつつ)日常全開だったが、終盤に掛けてシリアス展開に傾倒していく。もう少し早くシリアス展開を始めて欲しかったが。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 23

半兵衛♪ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

【ネタバレ有】『最後の最高の「アメイジング・グレイス」―。本当の意味で“もっと評価されるべき”作品―!!』

 
 テレビ東京とアニプレックスが展開するオリジナルアニメプロジェクト「アニメノチカラ」の第一弾作品であり、「A-1 Pictures」が制作を担当している―。

 この「アニメノチカラ」というプロジェクト…、名前だけ聞けば聞こえは良いが、特別な魅力は特に無い―。だがしかし、本作のタグの一番最初に“もっと評価されるべき”が来ている事も、この作品の評価の一つとして理解してもらいたい―。

 (この作品は一言で言えば―)、本営直通高度緊急非常事態用指令伝達回線保守確認任務(注:中国語では無い…)と、軍法違反の酒造りしかしない軍人少女達による、最高の「アメイジング・グレイス」を聞くための作品である―(未視聴の人には意味不明だろうが、視聴済みの人には分かるだろう…)。



 (最初に釘を刺しておきたいが…)、本作の評価のうち、“作画”は本サイトの評価(☆3.9)ほど良くはない―。(おそらくは)キャラデザと戦闘シーンのCGでこの評価(の高さ)にしているのだろうが―、登場キャラ達が横を向く時に、顎(あご)のラインが崩壊していて丁寧さを感じない―。
 CGも使われているのは一部であり、それだけで高評価にするほど、高いレベルの(必要な)シーンは存在しない―。

 一方で、“物語”の評価は過小評価されており―、(これまたおそらく)、終盤を除いたほとんどの回が、盛り上がりに欠ける日常ものだったために低評価(☆3.6)にしているのだろうが―、「最終回によってその作品全体が色映えする―」という作品が存在し、この作品もそれである―。

 (なので、各話で観れば退屈な回もあったかもしれないが…)、一話一話で観るべきアニメと全体で観るべきアニメがあり―、この作品は後者だという事を理解してもらいたい―。


 (それともう一つ…)、本作は「灰羽連盟」とその骨格が似ていて―、キャラの性格や関係性…、新しい環境に慣れようと努力する主人公…、小さな町のとある集団が舞台…など、(作品の根幹が似ているため)、挙げればきりが無い―。

 ただし、作品の“色”が決定的に違っていて―、前者を(その名の通り)“灰色”とするならば、本作は
“青”だと言えるだろう―(陰欝な空気感は本作には無い…)。なので、似ていると感じるのは自由だが、決してパクリだなどとは思わないでもらいたい―(ただし、リオはレキである…)。



 (では早速、物語の内容を観ていくが―)、本作は中世ヨーロッパを思わせる石造りの町が舞台であり、町やそこに住む人々との何気ないやり取りに、どこかホッコリさせられる…そんな日常を描いた“癒し系アニメ”である―。

 癒される理由は他にもあり―、いかにも「A-1 Pictures」らしい“可愛いキャラデザ”のキャラ達と―、どこか“抜けた性格”の主人公・カナタ―。愛らしいほどに真っ直ぐで純粋なカナタには、見ているだけで和まされてしまう―。

 そのカナタが兵士として、この町にある第1121小隊に配属され―、他の4名の隊員たちと、9割フワフワ…1割厳しく…日々を過ごしていく内に、色々な事を学んで行く…というお話―。

 ただし、それはあくまで“序章”であり―、それをこの作品の全てだと勘違いした人達が、退屈な作品だと決めつけた結果が“あの評価”という訳だ―。



 本作を観る上で気に留めておかなくてはならないのがそのテーマであり―、“戦争”と“音楽”という二つのテーマが、本作を計る鍵となる―。

 (和気あいあいとした平和な日常のせいで忘れがちになるが…)、この作品は“戦時中の世界”を描いており、作中に登場する多くのキャラが、戦争で大切な人を亡くしている―。だからこそ平和な今を懸命に生き、同時に、(兵士でありながら)“戦争の無い世界”を夢見ている―。

 そんな人々をつなぐ役割が、本作ではトランペット…“音楽”であり―、カナタやリオ…、イリアやアーイシャ…、果てには戦争中のヘルベチアとローマの軍隊までをも、この音楽の力で心を動かしてしまう―。


 (その音楽だが―)、作中何度も登場するのが「アメイジング・グレイス」であり―、この作品の“象徴”とも言える挿入歌である―。(もちろん以前から何度も聞いた事はあるが…)、この曲は本当に…本当に…良い曲で―、作中この曲が流れた時には、その度に時が止まったように思考が停止し、聞き入ってしまう自分がいた―。

 本作では“トランペット”による演奏が主であり―、“曲の背景にあるキャラとストーリー”の相乗効果によって、最終回のあのシーンが―、今までで最高の「アメイジング・グレイス」に感じた…というのは、(自分にとっては)決して大げさな表現ではなかっただろう―。



 途中までは確かに、特別視するほどの作品だとは思っておらず―、正直、あれほど“最高の最終回”になるとは想像もしていなかった…。

 皆が覚悟を決め、戦争を止めるために、戦場のど真ん中に行ったあの場面…。停戦命令を聞いても止まらなかった両軍を止めたのが、カナタが奏でた「アメイジング・グレイス」であった―。

 あの瞬間…、あのトランペットの音色であの曲を聞いた時…、一瞬で涙が溢れてくるのを感じ、曲が終わってしばらく経っても止まる事は無かった…。曲を聞いただけで、考える事を止め、スッと心に染み渡る…そんな事は普通は有り得なくても、有り得るような気がしてしまう…。

 「アメイジング・グレイス」は今までも色々な作品で取り上げられ、その都度、その曲の良さを痛感してきた―。けれども、本作の…しかもあの場面での演奏は―、“あの瞬間を描くため”だけに用意された今までであり、これまでで最高の「アメイジング・グレイス」だったと思う―。



 この作品は、10人中7人が「つまらない」と言い、残り3人が「面白かった」と言う(タイプの)作品だろう―。

 基本的に“万人受けする”作品は―、それほどちゃんと観ていなくても伝わるような“衝撃的な展開”や―、一度受け止めて考えなくてはならないような…“深いメッセージ性が無い”作品…という点が共通している―。

 一方で、しっかりと観て考えて…、時には逆に有りのままに受け止めて感動する…、そんな作品は、自分たち“視聴者にも”準備が必要で―、長くアニメを観てきた人達なら、自然と出来る“その姿勢”が必要なアニメ…というのが確かに存在する―。

 それはある種、芸術に近く―、誰が見ても上手いと感じる絵もあれば…、見慣れた人や特別な感性を持った人にしか伝わらない絵も存在する―。


 これは決して「誰もが口をそろえて面白いと言う作品には、深みやメッセージ性が無い…」と言っているのでは無い―。

 そうではなく、(その逆を見て欲しいのであって…)、誰もが口をそろえて面白いと言うような作品“ではない”作品の中にも―、その人が年を取ったり、多くを経験したりすれば面白いと感じる作品も存在し、つまらないと言う人が多いからと言って、その作品が本当につまらない訳ではない―。

 面白いかそうでないかは、時として“多数決の結果とは異なる”という事を言いたいのである―。



 本作はどうだろうか…。

 中盤までは確かに、どこかほんわかしていて…いわゆる“日常アニメ”と言うのが相応しい、“癒し系アニメ”だったと言えるだろう―。

 けれどもこれは“対比”であり―、戦時中を舞台に、戦争で多くの、家族や…友達や…仲間を無くした彼女たちが、今を生きるため支え合い、笑って過ごせるその“日常”がいかに大切な一時であるか…、そう思える“普段の日々”を(自分たち視聴者に対しても)描いたからこそ―、再び戦争が始まりかけた(ストーリーとしての)終盤に…戦争を止めたあのシーンに…、余計に感動するのではないだろうか―。



 もしも物語の評価を、「全体のうち何話が面白く面白くないか…(の割合)」で考えるのであれば、この作品は大したことはないだろう―。

 けれども、日常の平和を描き…、最後に(日常と対比した)命のやり取りを描く事で―、話数としては、
9:1くらいの割合であっても、物語の厚みや深みのほとんどが、この“最後に”込められている―。

 正直、序盤は平均レベルの作品だなと感じていた…。けれども観ている内に、この作品とキャラ達のことが好きになり―、最後の“締め”は、他の名作たちと比べても何ら遜色ない“最高のエンディング”だったと言えるだろう―。



 この作品のような…あまり期待していなかった作品が、終わってみたら大好きになっている…、そんな事は、確かにある事だが滅多にない―。

 「アニメノチカラ」に込められた“メッセージ”が、これ(まで書いてきた事)だったのかは分からない…。けれども、自分は今までこう考えて多くの作品に出会い、多くの感動をもらって来た―。

 だとするなら、この作品に感じた感情も、自分にとっては重要であり―、決してつまらないなどとは思わない…、また一つ、新たな“良作”に出会えた…と、心から言える作品であった―。



 最後に―、ノエルの夢が可愛過ぎます―(笑)。


  (終)


 

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

割と日常系

軍とかなんとかだけども、中身は日常系でほのぼのとした話が多い。OP映像は結構神話的な感じするんだけど、あんまりそんなでもない。そこそこ面白いし、安定感はある。とは言っても戦後で、平和とは言えない状況下なのだが。そして、ラッパやタケミカヅチと呼ばれる多脚洗車が鍵を握っているかな?そう言えば所々、重い話をぶつけてきたような。{netabare}敵国の女性兵士を保護して匿う話とか。過去のトラウマ話とか{/netabare}
考えてみると日常系の中に戦争にまつわる出来事が大量に紛れている。

ドジっ娘でラッパをふくのが下手な空深彼方を主人公として教官?みたいになってる和宮梨旺、ツインテールのツンデレ墨埜谷暮羽、天才少女の寒凪乃絵留、小隊長フィリシア・ハイデマン、他にも尼僧ユミナたちと話を繰り広げる。

最後のほうが急展開とは言っても、じわじわとそういった流れにはなっていたかな。{netabare}開戦間近になってしまうが、敵国である正統ローマ帝国皇帝の婚約者となったリオからの、ローマとの講和がなされ、カナタはこの信号を開戦直前の戦線まで届けて一件落着。{/netabare}

OP
光の旋律 歌 Kalafina 神話的な感じをより強めている曲に自分は感じた。
ED
Girls, Be Ambitious. 歌 戸松遥 元気溢れる曲。メインキャラクターたちが仲良くしている映像が印象的。

以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
1. 響ク音・払暁ノ街
幼い頃、打ち捨てられた廃墟で迷子になったカナタは、ひとりの女性兵士に助けられました。その女性兵士の手には、金色に輝くトランペットが。「軍人さんになれば、トランペットが吹けるんだ!」ちょっとした勘違いをしたまま、カナタは喇叭手に憧れ、軍への入隊を決意します。新米兵士カナタが配属されたのは、セーズという街にある小さな駐留部隊・第1121小隊。着任当日、セーズは「水かけ祭り」の真っ最中で――。

2. 初陣・椅子ノ話
第1121小隊駐屯地・通称「時告げ砦」で始まったカナタの新しい生活。時告げ砦でカナタを迎えてくれたのは、優しい隊長フィリシア、先輩喇叭手リオ、無口なノエル、最年少隊員のクレハ。どこかのんびりとした雰囲気の隊生活に、カナタもさっそく馴染んでいきます。そんなカナタにさっそく与えられた任務。それはなんと――!

3. 隊ノ一日・梨旺走ル
雲一つない払暁の空に鳴り響く、下手くそな起床ラッパ――。喇叭手としてはまだまだだけれど、隊での生活にもすっかり慣れたカナタは毎日元気いっぱいに、楽しそうに過ごしていました。けれどある日のこと、カナタは熱を出して倒れてしまい……。

4. 梅雨ノ空・玻璃ノ虹
今日のカナタの任務は、街へ出て物資を調達してくること。カナタは渡された購入品リストを持って、ノエルの運転するジープに乗り込みます。見るものすべてが新鮮なカナタの疑問に、きちんと正しく答えてくれるノエル。だけれどそんなノエルにも、なかなか解けない問題はあって――。

5. 山踏ミ・世界ノ果テ
初夏、クラウスの手で時告げ砦に届けられた複数の手紙。手紙の差出人を見て喜ぶカナタと、嬉しそうなノエル。忌々しげに悪態を吐くリオと、そんな皆を少し寂しそうに眺めるクレハ。第1121小隊の隊員達は、それぞれに違った反応を見せます。そしてフィリシアの元に届いた一通の手紙。そう、その手紙がカナタ達の運命を左右する、すべての始まりだったのです

6. 彼方ノ休日・髪結イ
セーズにやってきてから初めての休暇に、カナタは張り切って街に出ました。偶然にもその日は、街の中央広場で市が開かれる日。初任給を手にあちこち見て回っていたカナタは、教会の修道女・ユミナと出会い、孤児院から抜け出した女の子・ミシオの捜索に巻き込まれていきます。しかしそんなカナタとは別に、時告げ砦では別の事態が進行していて――。

7. 蝉時雨・精霊流シ
蝉の声が響く夏のある日。どこか元気のないフィリシアを、カナタたちは心配そうに見ていました。フィリシアの脳裏に浮かぶのは、かつての戦場での光景。戦火のなか生き残り、瓦礫の山と化した街をさまようフィリシアに、兵士の亡霊は問いかけます。「こんな世界で生き延びることに、意味はあるのかい…?」一方、セーズでは灯籠を流し死者の魂を慰める“フィエスタ・デュ・ルミエール”の日が近づいていました。

8. 電話番・緊急事態ヲ宣言ス
その時、カナタは椅子に座り、じっと堪えつづけていました。割れたビン、濡れた洗濯物。荒れた食堂の様子は、カナタに反省と後悔の気持ちだけを植えつけます。あの時ああしていれば、この時我慢していたら――。涙目のカナタの前には、未だ鳴らない一台の黒電話。空深カナタ二等兵。彼女は今、本営直通高度緊急非常事態用指令伝達回線保守確認任務中だったのです。

9. 台風一過・虚像ト実像
クレハの憧れの人・クラウス。彼はかつて「砂漠の狼」と呼ばれた伝説的な戦車乗りだったそうです。台風で立ち往生し、砦に留まることになったクラウスとの会話に胸を弾ませるクレハでしたが、そこに飛び込んできたのは、教会の孤児・セイヤが行方不明になったという知らせでした。大荒れの天気のなかセイヤを捜すために立ち上がった小隊メンバーたち。はたして、無事セイヤを見つけ出すことができるのでしょうか……。

10. 旅立チ・初雪ノ頃
軍事年鑑のあるページを開き、どこか塞ぎ込んだ様子のリオは、ずっと悩み続けていました。自分のすべきこと、自分にできることとは一体なんなのか……。そんなリオを心配するカナタでしたが、うまく言葉を伝えられません。それぞれがもどかしい気持ちを抱きながら過ごす冬の始めに出会った、一人の老婆。彼女の生き様は、リオに大きな影響を与えることになるのです――。

11. 来訪者・燃ユル雪原
砦に届いたのは、東部国境の敵軍が移動を開始したという不穏な噂。カナタたちは不安に揺れながら、それでも明るく日々を過ごしていました。そんなある日、カナタとクレハは雪原で傷ついた一人の少女を見つけます。しかしその少女の正体は、敵国ローマの兵士だったのです――!

12. 蒼穹ニ響ケ
敵国の兵士を匿ったことで、反逆の罪に問われたカナタたち。しかしそれでもカナタたちは、自分たちが正しいと信じる道へと進みます。両軍が睨みあい、開戦間近の緊張した空気が漂う国境付近。開戦を阻止するため、小隊メンバーが取った行動とは――!

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11

70.5 3 教会で戦争なアニメランキング3位
純潔のマリア(TVアニメ動画)

2015年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (866)
4492人が棚に入れました
百年戦争の時代に生きる最強の魔女マリア。戦が嫌いで、強力な魔力で戦場を蹂躙してきた彼女は、実は処女。恋はしたいけどその先はちょっと怖いお年頃。でも女夢魔アルテミスと男夢魔プリアポスをひきつれ大暴れしすぎたせいで“天上の教会”に目をつけられ、大天使ミカエルに裁定を下された。人前で魔法を使わぬこと、そして、純潔が失われたとき、その魔力も失うこと。お目付け役の美少女天使エゼキエルも加わって、マリアの制約つきの大活躍は続く!

声優・キャラクター
金元寿子、日笠陽子、小松未可子、花澤香菜、小野賢章、加隈亜衣、一城みゆ希、小野友樹、島田敏、小島幸子、三宅健太、櫻井孝宏、花江夏樹、能登麻美子、井上喜久子
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

神は情緒的な博愛・平和主義には寛容だが、ガチの設計主義は許されなかった模様

※AKIRAをつい更新してしまったので、こっちも更新しておこう(長文注意)。

私は、アニメという表現媒体は、その原作となることがある小説・漫画、あるいは類似した表現媒体である実写映画・ドラマなどと同じく、

(1) 人の感情推移を巧みに表現できる点にその最大の長所があると思っていて、
(2) 逆にいうと「正義」とか「平和」とか「真理」といった抽象的な概念の論理的表現には殆ど向いていないと思っています。

そして、こうした (2)抽象的概念は、より妥当な答えを求めようとすれば、論理的な図表や数式等を援用しつつ、分析的および総合的に考察する必要があると思うのですが、
上記のように、(1)感情的・情緒的な表現に強みがあるアニメ・実写ドラマや、小説・漫画といった媒体で、こうした概念を表わそうとする場合、
 <1> 視聴者の側がそうした媒体の特徴を自覚していない限り、
 <2> 制作者の側が意図した通りの、どちらかというと感情論レベルの(=論理的というよりは感情的・情緒的な)結論が、一方的に視聴者の側に押し込まれてしまう、という結果になりがちだ、
・・・と考えています。
→表現媒体のプロパガンダ的利用の危険・・・昔から「プロレタリア文学」とか「反戦映画」とか、その逆の「戦意高揚」目的の映像作品とか、過度に扇情的に特定の問題を訴える「ヤラセ番組」とか、その例は色々ありますね。

そうした意味で、本作は事前情報からは、「平和」(その裏返しとして「戦争」)とか「正義」といった、(2)抽象的概念の是非を扱うタイプの作品に見えたので、余り自分の好んで見たい作品には思えず、放送時は視聴を敬遠していたのですが、本サイト等での評判が良かったこともあり、ひとつの経験として全話視聴してみて、できる限り「哲学的」に(つまり真面目に論理的に)その感想をまとめてみることにしました。
→その結果として、聞きなれない専門用語が多い、アニメの感想としては余り適切ではない読み難いガチガチの考察レビューになってしまうことを予めお詫びしておきます。

※そう前口上を述べつつ、実は私は、自分のニックネームを「ピピンの寄進(西暦756年)」から採っているくらいの重度の西洋史マニアなので、本作のような史実を交えた中世ファンタジーは、十分以上に愉しめてしまいました。
※本アニメ公式サイトの「なぜなに中世事情」(第9~最終話)も何気に非常に充実していましたし。
http://www.junketsu-maria.tv/special/nazenani.php


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

================ 純潔のマリア (2015年1-3月) ==============
{netabare}
第1話 完全なる乙女  ☆
第2話 世界に対す ★
第3話 武器ではなく信仰で ☆
第4話 死を思え ★
第5話 勇気を、分別を、 ★
第6話 薔薇の下で ★
第7話 戦争は戦争を食う ★★
第8話 人は、人にとって狼 ★
第9話 一つまみの塩を ★★ アニメで設計主義だと!?
第10話 我憎み、我愛す ★
第11話 愛を望むなら愛せ ☆
第12話 愛は、全てに勝つ ☆ 設計主義は誅滅される!!{/netabare}
----------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)2、★(良回)6、☆(並回)4、×(疑問回)0 ※個人評価 ☆ 3.9

OP 「Philosophy of Dear World」
ED 「ailes」


◆視聴直後のナマの感想
{netabare}
・上記の通り、全12話中、★付き(高評価)が8回で、うち★★(優秀回)が2回と、視聴前に期待していなかっただけに予想外に濃い楽しみ方が出来ました。
・特に、第4話(メメント・モーリ=死を思え)から第10話まで、7話連続で★付き(高評価)という、続きがとても気になる展開で、第9話後半の魔女マリアと修道院長ベルナールとの教理・哲学問答には、完全に予想外の驚きを覚えました(※後述)。
・但し、そうした第10話までの盛り上がりを受けてのラスト2話は、些(いささ)か拍子抜けしてしまう安直な結び方となってしまったように感じました。
・もし本作が、専ら魔女マリアと従者ジョセフの恋心の進展を描く通常の恋愛アニメならば、本作のようなハッピーエンドでも自分としてはそこそこ満足していたと思いますが、本作の重点テーマはそこ(恋愛感情の推移を描くこと)にあるのではない(※後述)と思うので、残念ながら本作の全体評価は、3.9と自分としては少し低めの点数に留めることにしました。{/netabare}


◆本作最大の注目点(第9話)

《ベルナール(B)とマリア(M)の牢獄での会話》
{netabare}
M 「何度もいってるでしょ。私は目の前で人が苦しむのが嫌なの」
B 「貴方は神を恐れないのですか?貴方が忌み嫌っていることは神が定めた摂理かも知れないのですよ。」
M 「摂理?人が酷い目にあって死ぬのが?じゃ教えて。神はなんでそんなこと決めたの?」
B 「天の父の御心を理解するなど傲慢です。精霊の言葉に耳を傾け、善良な行いをするしかありません。」
M 「戦場で今にも死にそうな人にそれが言える?」
B 「戦場の死にどんな意味があるか、それは分かりません。しかし、神の愛は普遍です。良き信仰を持てば戦死した者の罪も許されるでしょう。」
M 「何よそれ?どこにでもいるくせに言葉しかくれない神なんて、いないのと同じだわ。」

B 「ふむ?いないのと同じ?神が?」
B 「同じ・・・同じ・・・同じ?普遍はないことと同じ?いや、形相的にそもそも存在しない?」

M 「あんただって結局、教えがどうのって、分かりもしない言葉を人に話してるだけじゃない。本当に神が出てきたら、何もかも一発で片付くのに。」
M 「黙ったままの神を頼るより、地上は私たちで廻したほうが、ずっとマシだわ。」

B 「神の導きのない世界を考える?神を疑う?あり得ない。」
B 「サン・トマ(聖トマス=トマス・アクィナス)は神の存在証明を、いや、オッカムのギョーム(ウィリアム・オッカム)は人間の理性は神を証明できないと。不合理であるからこその信仰なのか?しかしアリストテレスは肯定しつつ否定することはできないと。だとしたら・・・だとしたら・・・」
B 「いや待て。普遍を前提とするのがそもそも間違いだとでもいうのか?」
B 「神を疑い、疑い尽くした後で残ったものが本当の信仰になる。神が残らなかったらどうなる?いや、それは分からない。人が人の世で生きる。普遍をないものとする?エッセ・エスト・デウス(Esse est Deus 存在すなわち神である)。あ、いや、私の認識こそが、存在とでもいうのか?」
B 「認識と存在は神によって、いや、私によって。」
B 「神なき世界を生きると仮定すれば、全て自由意志によって自分を救わなければならなくなる。」
B 「ふぁ?そうなのだ。ペラギウスの教えのように神を崇めつつも自由意志によって自分を救う。より良き繁栄と幸福、魂の安寧を求め、神は我らの認識によって存在する。そうなれば世界は神から人へ。信仰と人の調和へ。」

M 「あんた何言ってんの?全然分からない。この世界で私たちが生きていくために必要なことは。」
B 「必要なことは?」
M 「まず一人で立ち上がることよ。」

B「これは良いクォドリベット(掛け合わせの自由会話)。とても興味深い討議でした。有難う、マリア。」
{/netabare}

《上記会話の含意》
{netabare}
※この会話は、中世から近世初期へと続く西欧思想の流れを簡潔に要領良くまとめています。
※普遍は実在するのか、それとも単に個物が存在するだけ(普遍は名目)なのか、は中世最大の思想的論争=普遍論争で、オッカムは名目論の側の中心人物。
※同じく、①存在論(ontology、神は実在するのか)、②認識論(epistemology、神は実在するとしても我々はそれをどう認識できるのか)、は中世哲学・神学の2大テーマ。
※ベルナールが驚きをもって迎え入れた、神中心の世界観から人間中心の世界観への転換を示す思想的潮流を「フマニスム(人文主義、人間中心主義、いわゆるヒューマニズム)」と呼びます。
※この人間中心主義は、「人間が(神の恩寵によってではなく)、自らの理性を働かせることによって、世界の一切を理解し、設計・構築していく」という発想を生み出します。
(rationalism すなわち、「理性主義」とか「合理主義」と訳される考え方ですが、"世界の一切を設計・構築していく"という発想に注目して、20世紀の自由主義思想家・経済学者F.A.ハイエクはこの考え方を「設計主義的合理主義(constructivist rationalism)」と呼びました→これを更に短縮して「設計主義」と呼ぶことがあります(上記))
※また、こうした人間中心の世界を築き上げる第一歩として、「まず一人で立ち上がること」すなわち「個人主義」の萌芽が示唆されます。{/netabare}


◆本作で示される結末ないし結論

通常の作品ならば、私の場合、意識的に作中人物の何人かに焦点を当てて、その心情を推し量る形の「感情考察」型レビューを書くことが多いのですが、本作の場合は、登場キャラの心情推移ではなく、上記のように「抽象的概念の論理的是非」がテーマとなっている(ように私には思われた)ので、ズバリ、本作で示される結末だけを書くことにします。すなわち、

{netabare}<1> 感情的・情緒的な「博愛主義・非戦主義」を信念とし、地上でそれを実現しようとした魔女マリアは、神の怒りによって最終的にはその魔力を失うものの、(もはや魔力という強制力を失った)一個人マリアとしてその信念を堅持し追求し続けることを許される。

<2> 一方、地上の教会の組織力をもって、理詰めの「設計主義的合理主義」(略して「設計主義」)を追求しようとした修道院長ベルナールは、神の怒りに触れて誅滅されてしまう(聖書伝承にある悪徳の街ソドムとゴモラの“塩の柱”にされてしまう)。{/netabare}

ここで問題は、この結末が妥当かどうか、です。
結果から先に言うと、私はこの結末は意外と妥当だと思いました。

"意外と"というのは、私の事前の予想では、例えばマハトマ・ガンジーの唱えたようなガチガチの「非暴力反戦主義」みたいな考え方が視聴者の側にゴリ押しされるような結末だったら、何だかとても嫌だな・・・という感覚があったからです。
でも幸いなことに、本作の結末はそういうことにはならず、そういう点で、堅実で良質な造りになっていると評価できるのではないかと思いました(私とは全然別の感想を持つ方も何人もいらっしゃると思いますが)。


◆では、何故その結末が妥当なのか?

本作の結末を妥当だと「思った」だけなら、それは単なる私の「感情」に過ぎず、例えば「本作の結末は妥当ではない」と思う他の人の別の「感情」とせいぜい「同等である」としか主張できないでしょう。
だから、ここで、私が自分の思いの妥当性を主張するためには、何よりも、本作の結末を「論理的に見て妥当である」と説明することが必要となります。

<1> まずマリアの結末から ~ 個々人の価値観は多様であることが保障されねばならない《価値多元主義》
{netabare}
・物語の最初の方で、別の魔女がマリアに言っていますが、マリアの《博愛主義・非戦主義》は単なる彼女の価値観に過ぎず、それが絶対に正しい(正義である)という保証はどこにもありません。
・マリア自身も、「なぜそんなに戦を止めようとするのか?」と尋ねられると、せいぜい「私が戦が嫌いだから。嫌いなものを見たくないから」(=要するに単なる感情論)としか答えることが出来ませんでした。
・しかし魔女マリアには、そうした自分の一方的な価値観を強制的に英仏両軍に押しつける強力な魔力がありました。
・そして、その強制力は天上の教会の怒りに触れる事になり、結局マリアは(経緯はどうであれ)その魔力を失うことになるのですが、それでも彼女自身の《博愛主義・非戦主義》という信念そのものは最後まで揺るぎませんでした。
・魔力を失い普通の人間となったマリアは、自己の実力の及ぶ範囲で、今後もその大切な信念を貫いて生きていくことでしょう。
・このように、個々人が自らの価値観を他者から侵されずに貫いていける場の在り方を《価値多元主義》といいます。{/netabare}

<2> 次にベルナールの結末から ~ 組織が一見理詰めであり"唯一絶対"と思われる設計主義に盲進することは許されない《設計主義の否定》
{netabare}
・一方、修道院長ベルナールは、第9話後半でのマリアとの会話を契機として、神の介入のない世界を自らの理性と意思によって設計し構築していく、というアイデア(すなわち《設計主義》という思想)を獲得し、修道院という強力な組織を使ってそれを実行に移そうと画策します。
・しかし、天上の教会の使者・大天使ミカエルは、ベルナールの考えを許さず、彼を誅滅してしまいます。
(マリアが魔力を失うことと引換えに、一個人として自らの信念を貫くことを保障されたのとは好対照)
・ここで現実の西欧近世~近代の歴史を考察すると、近世に生まれた rationalism すなわち、「理性主義」「合理主義」ないし「設計主義」は、最終的には 18世紀末のフランス革命を生み出し、さらに20世紀に入ってロシア革命を生み出してしまいます(※両革命とも、それまでの国家・社会を完全にリセットして、人間の頭で考えた新たな国家なり社会なりを設計・構築しようとしました)
・すなわち、両革命は、それぞれ「ジャコバン党」(フランス革命)ないし「ボリシェヴィキ党」(ロシア革命)という一党派が自らの考える"唯一絶対"の国家・社会の設計図を暴力的に推し進めようとして、未曾有の大惨事をもたらしてしまう、という結末に終わっています。
・本作に示された修道院長ベルナールの到達したアイデアは、人類に様々な進歩をもたらしたのかも知れませんが、それを極限まで押し進めようとすると、現実の歴史にあったような悲劇に到達してしまうことが経験的に明らかなので、やはり《(教条的でガチの)設計主義は断固否定されるべきである》という結論が妥当となると考えます。
※因みに、前記のF.A.ハイエクや科学哲学者K.R.ポパー、政治哲学者H.アーレント等によって、論理的にもガチの設計主義の結末が惨事に至るカラクリが詳細に分析されています。
・そして、組織的で教条的な《設計主義の否定》というこの結論は、個々人の自由な価値観の保障という<1>の《価値多元主義》という結論と表裏一体の関係になります。{/netabare}

・・・

以上で、本作で示された <1> および <2> の結末(ないし結論)が、論理的にもまずまず妥当と考えられることを、不完全ながらも一応示すことが出来たと考えます。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 56
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

想像してたよりもずっと良かった!

 あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 凝った演出とかはあまりなかったように思えるのですが、テーマ的には結構面白かったです。
 2015年の冬アニメらしいのですが、全然タイトルに聞き覚えがありませんでした。ややマイナーだったんですかね? まぁ私の情報収集力はお察しレベルなので一概には言えないんですけど、あまり評価が伸びていないところを見るとそんな気がしました。

 「排斥されるべき魔女であるマリアが、神聖視されている処女だった」というところに端を発する物語なんですけど、これについて「下ネタが・・・」という意見もあるようですね。個人的にはこの程度でどうこう言うタイプでもないので、ほとんど気になりませんでした。戦争や宗教を隠れ蓑にした個人の価値観のぶつかり合いこそがこの作品の魅力であって、中でも主人公マリアが社会性を獲得する話、というのが本質なんだと思います。


世界観:{netabare}
 この作品は中世のヨーロッパ、具体的には百年戦争時のフランスを舞台としています。ただ、世界観として大事なのは百年戦争そのものではなくて、当時の宗教事情です。

 百年戦争は14世紀半ばから15世紀半ばに起こりましたが、この前に行われたのがキリスト教による十字軍の遠征です。11世紀末から13世紀始め(広義には15世紀半ば)までです。当初の十字軍はイスラム教から聖地エルサレムを奪還することを目指していましたが、次第にその目的が変容していきます。遠征先が北ヨーロッパや北アフリカにまで拡大していく。この結果としてキリスト教圏が拡大していくわけですが、その裏側では異教徒の弾圧が行われていました。

 というのが前提となるところですね。
 「純潔のマリア」には、ヴァルキリーやケルヌンノスが登場しています。ヴァルキリーは北欧神話の、ケルヌンノスはケルト神話の出身です。いずれの神話もキリスト教化される以前にあった土着の宗教がベースとなっています。作品内でヴァルキリーやケルヌンノスがややおざなりに扱われているのは、衰退しつつある側の存在だからですね。また、これらと同様に弾圧の対象となっていたのが魔女です。

 手元にある書籍には、魔女のルーツは二つあると書いてありました。一つ目は「賢い女」と言われていた人々で、彼女らは薬草の知識を持ち、産婆役であり、生まれた子供の運命を予言していたそうです。二つ目は「社会のアウトサイダーに属する女性たち」で、隣人に疎んじられ、森などの人里離れたところに追いやられていた人々をいうそうです。
 この作品では、前者をエドウィナが、後者をマリアが中心となって担っていたんだと思います。

 なお、当時のキリスト教が他の宗教に対して排斥的だったのは事実ですが、土着の宗教的価値観の全てが根絶されてしまったわけではありません。現在でも残るハロウィンの習慣は、もともとはケルト人が行っていた収穫祭ですからね。
{/netabare}

ジョセフ:{netabare}
 マリアの相手役であるジョセフ、これは「Joseph」のことですね。言語によってはジョゼフやヨーゼフと読むこともあります。ミカエル(Michael)がマイケル・ミシェル・ミハエルになったりするのと同じです。こういう多言語に登場する名称というのは、そのほとんどが聖書に登場する人物が語源になっています。
 で、「Joseph」の引用元というのは新約聖書に登場するヨセフという人物です。ヨセフは聖母マリアの婚約者であった人物で、聖母マリアの受胎告知後に婚姻関係を結びました。イエス(キリスト)の養父と呼ばれる人物です。

 マリアとジョセフ、そしてエゼキエルを交えたエンディングでの展開は、新約聖書におけるマリア・ヨセフ・イエスのエピソードにかけているんだと思われます。
 マリアとジョセフの関係がどう進展するのかは、二人の名前で公式にネタバレされていた、ということですね。
{/netabare}

ミカエル:{netabare}
 作中のミカエルが言う「人間」と私たちが一般に使う「人間」は、おそらく違うものだと思われます。
 キリスト教では、唯一の神様がいて、その神様が自分に模して作ったのが人間だとされています。キリスト(三位一体における神)を信じるものが神の民・クリスチャンであって、それ以外を異教徒と見ています。つまり、ミカエルの言う「人間」というのはキリスト教徒を言うのであって、それ以外を人間とは見ていないように思われます。

 これを察することが出来るのが、ミカエルがマリアから魔女の力を奪う際に言う「慈悲」という言葉です。マリアの意思を無視して魔女の力を奪うことは、現代の価値観からすれば慈悲などは感じられません。ですが、ミカエルにとっては、魔女の力の喪失は異教徒の否定、すなわち、キリスト教徒への改宗に通ずるわけですから、魔女という非人間から人間への昇格を認める極めて慈悲深い行為である、ということなのでしょう。
 このあたりの表現も含めて、時代や宗教への考証はかなり力を入れていたんだと感じました。

 なお、ミカエルに触れたベルナールが変わってしまったものは「塩」ですね。神に反したものが塩の柱にされるという話が旧約聖書に出てきます。ソドムとゴモラの話です。
{/netabare}

雑記:{netabare}
 この作品を見るに当たって、宗教的な基礎知識が必要なのか?というと、特段必須ではないと思います。知っていればより楽しめるのは間違いありませんが、中心的なテーマはもっとシンプルなものです。
 「厭世的であり、また社会からも隔離されてしまった一人の人物が、人とのつながりの大切さに気づき、社会とのかかわりを回復する」というマリア個人の物語として抑えるべきだと思います。戦争や宗教というのは、自分の価値観が絶対だと信じているマリアが、多様な価値観に触れるための単なる手段に過ぎなかったのだと思います。

 で、終盤の物語の収束の仕方がやや急で、そこが不満点に挙がるかもしれないので、少しだけ補足をしておきます。
 この作品て、戦争や宗教の話がたくさん出てきますが、「戦争もの」や「宗教もの」にまでは足を踏み込んでいないんですよね。「戦争もの」として必要な「戦争が起こった理由」「双方の言い分」「戦争終結への道筋」みたいなものは何一つ描かれませんし、「宗教もの」の常である「理想的な宗教」と「現実的な宗教」の対比もありません。あくまでもマリア個人が「戦争や宗教に対してどう思っているのか」に対して、「それとは違う考え方を持っている人々がいる」というところまでしか描かれていないんです。
 「戦争もの」や「宗教もの」としての決着を期待すると、マリア個人の話に収束するエンディングでのまとめ方には、やや違和感が残ってしまうんだと思います。

 アニメ版視聴後にマンガ版も簡単に読んでみたのですが、マンガ版がほぼマリアにだけ注目していたのに比較して、アニメ版はマリアの対比先も用意していた、というのが一番の違いですかね。ですが、上述の通り、アニメ版も「戦争もの」や「宗教もの」にまで踏み込んではいませんから、「主観進行のマンガ版よりはやや客観に寄ったのがアニメ版」という整理で良いと思います。マンガ版とアニメ版の関係は、「ミクロとマクロ」ではなくて、「ミクロと、ミクロよりはややマクロ」くらいだってことですね。どちらを好きになるのかは嗜好の問題だとは思いますが、私としてはアニメ版の方がより楽しめました。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8
ネタバレ

ゆう。 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

戦いの嫌いな魔女と人の心理を描いた話。

戦争絶えぬ中世・百年戦争中のフランス[注 1]。戦を嫌う処女で聖母の名をもつ魔女・マリアが夜な夜な戦場にサキュバスを遣わし、戦争をかき乱す。

戦争が嫌いなマリアが繰り広げるファンタジー物。

1話感想
{netabare}
魔女達は可愛く描かれているのだがその魔女が戦争で人が死ぬ中笑っているのが気になる、見た目がエグイ魔女ならわかるのだが見た目が見た目だけに変な気分。

宗教のことについて触れすぎていて海外での反応などは大丈夫か?

見た目とは裏腹に魔法の使い方は意外とリアルな感じかな(まぁ魔法がどんなのかわからないけど個人的に)と思った。
{/netabare}

2話感想
{netabare}
2話目でだいぶ面白くなってきた気がする、1話目で下ネタが多いなと感じたが話しの内容などを理解してくるとなるほどと思う部分もある。

途中人間のいざこざに割って入ってあまりにも目立ちすぎたマリア達を止めに入った大天使ミカエルだが正直どちらが天使かわからない、しかし筋が通ってるのはミカエルなのかな。

2話目でこれだけ面白くなってくるとこれからも楽しみです。
{/netabare}

3話感想
{netabare}
マリアは、ミカエルに制裁として処女を失ったと時に、魔女としての能力を失い人間になるという罰をうける。

見張りに天使エゼキエルを付けられるがマリアはミカエルにずっと見張られていないと言うことを知ると普通に魔法をつかっちゃってましたね、監視を付けられているが意味あるのかな?

修道士側の話もこれで終わりと言う雰囲気ではないし気になりますね。
{/netabare}

4話感想
{netabare}
マリアが戦争を止めることにより傭兵達の収入はなくなり近くの村から強奪を行うことや、黒死病で村人が死んでいくなどの話だったがこんな状態になっても神は何故何もしないのか?普通の人なら疑問に思う話です。

黒死病の時もマリアは村を救おうとしていましたが村は魔女を恐れマリアを受け入れようとしていませんでした。

何故己の命を捨てるような真似をしてまで神を信じようとするのか、本当の正義とはどちらなのか考えさせられる話です。
{/netabare}

5話感想
{netabare}
今回はマリアの出番は少なめだったけどやはりあの修道士は策士でしたね。
マリアのことを利用するだけして捨て駒にするというもの。

修道士にとって神も実に都合のいいものに思えます。

ガルファの決闘の時は止めに入るのかと思っていたけど「止めちゃいけない戦いはあるのか?」と考えていた。

決闘はガルファの勝利で終わったがマリアに何か心境の変化などがあったのかな?
{/netabare}

6話感想
{netabare}
ジョセフが今度の戦いだけは止めないでほしいとマリアにお願いしてきたがその理由は今度の戦いさえ無事終われば当分戦は無くなるとの事だった。

マリアは悩みながらも戦いを止めないでいたが目の前の戦と今後の戦を天秤にかけて考えるのはマリアも難しそうでしたね。

エゼキエルがアンからのお願いをマリアに伝えたことにより結局戦を止めに行ったがエゼキエルがいつもとは違う何かを言おうとしていました、多分ミカエルに何か言われたんでしょう。

人間界でマリア達と生活していくうちにエゼキエルの心境も少しずつ変わっていってるようでマリアの事を少し理解し始めて今回は本気で心配しているのかな?
{/netabare}

7話感想
{netabare}
ミカエルの槍であったエゼキエルはどうしてもマリアを貫くことは出来なかったようです、やはり一緒に暮らしていくうちに感情の変化があったのでしょう。

ミカエルは槍であるお前に感情は必要ないみたいなことを言っていたけれど言うこと言うことが大天使とは思えない。

エゼキエルと一命を取り留めたマリアが対面した時マリアは何事もなかったのように話エゼキエルを許しました。
正直どちらが天使なのかわからない。

マリアが戦を止めたことによりアンの父親が帰ることが出来たがおばあさんはどうしたのか?
{/netabare}

8話感想
{netabare}
ガルファは教会からマリアを襲う(レイプ)ように言われたのか?

アンのおばあさんは病気になっていたようだがベルナールは全てをマリアのせいに、マリアがおばあさんに渡していた薬も毒だと言って村人を混乱させていた。

一時期はマリアを利用しようとしていたが無理だとわかれば捨てる様な行為、どこが神につかえる者なのか?

マリアは異端の存在、混乱を招くと言われしばらく家でおとなしくしてるように言われたが果たしてこのままじっとしていられるのだろうか?今度は向こうから仕掛けてきそうな気もしますね。
{/netabare}

9話感想
{netabare}
ガルファがマリアから処女を奪い魔法を使えなくしようとしたがそこまでする必要もなくなぜかマリアは魔法が使えなくなった。

マリアが魔法を使えなくなったことをいいことに教会はマリアを捕まえやりたい放題、マリアを完全に悪者扱い、正直人は信用ならないと思わせる回でした。
やはり純粋なのは子供のうちなんだなと。

ビブがマリアを助けに行こうとした時にミカエルが邪魔をするがビブが言ってたように神の操り人形状態だね。

マリアに色々言われたベルナールが何かに気づいたような感じだったけど狂ってるようにも見えるからどうなるのやら。
{/netabare}

10話感想
{netabare}
神は愛を知らない、愛を作ったのは人だから・・・

印象的なセリフでした。

確かにミカエルの表情など愛以前に感情自体が色々欠けているような感じがします。

おばあさんはやはり友達を裏切ってしまったと悔やんでいましたね、周りからの圧力もあってのあの決断だったのでしょう。

マリアはジルベールの独断で火炙りの刑に、ベルナールは明らかに様子がおかしい何があったのか?

引きこもりだったエドウィナが助けに入ったことでマリアは助かりましたが何も知らないジョセフが危険な目に、次回何が怒るのか。
{/netabare}

11話感想
{netabare}
今まで以上にジョセフとマリアが性別反対に見えてしまう回だった。

ジョセフ女々しすぎ、いくら魔女でも仮にも魔力を失った女性であるマリアが男性のジョセフを助けに来てジョセフは主人の命令ばかりきいてる状態って。

マリアの方が男らしいよね。

口論してる中どこかでマリアをまだ魔女として見ていたことに気づいていた。

そしてその口論でマリアは自然とプロポーズをしちゃってた。

二人は婚約することになりマリアは魔力を戻し盛大に魔法を使って戦いを止めるがミカエルに呼ばれることに、マリアは嬉しそうにジョセフを彼氏と紹介してたけどどうなるのかな?

今回もベルナールが出てきましたが、ベルナールの言葉を聴いてると一番怖いのは人間だなと思ってしまう。
{/netabare}

12話感想
{netabare}
前回の続き。

ミカエルがマリアに罰を与えようとするが魔女が集結しミカエルを止めようと立ち向かう。

それを見たミカエルは人のマリアに対する反応を聞き裁定を下すことに。

結果マリアは許してもらえることに。

エゼキエルはミカエルに反抗したことにより天に仕えることはできなくなったが人の子として生きよと言われる、そして選んだ母親がマリア。

マリアは人と一緒に生きていくことを選び村人にも無事受け入れてもらったようです。

最後は昔話のような形で終わりました。

ミカエルが笑うシーンがありましたが自分で何か思うことがあったのかな?

色々考えさせられることも多く見ていて面白い内容の作品でした。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9

75.9 4 教会で戦争なアニメランキング4位
ゼロから始める魔法の書(TVアニメ動画)

2017年春アニメ
★★★★☆ 3.4 (712)
3713人が棚に入れました
魔女がいて“魔術”が普及している世界。その中でも、世界がまだ魔法という技術を知らなかった時代――。世界を滅ぼす可能性を秘めた魔法書“ゼロの書”を探して旅をする魔女・ゼロと、その護衛役として同行する人間になることを夢見る半獣半人の傭兵との交流が描かれていく。

声優・キャラクター
花守ゆみり、小山剛志、大地葉、加藤将之、子安武人

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

職業人という選択

たくましい獣頭の戦士が少女を護衛し、旅をする。
ネコ科の獣頭が絶筆した大河SF小説を思わせるが、二番煎じでも模倣でもないのは明らかなので、まあいいいだろう。

世界の秘密にまつわる冒険譚は、ヒロインの造形がライトノベル的な定型要素の集合に見えるのと同様に、定番的なものに見えるのだが、意外に抵抗なく視聴できるのは、主人公のモフモフの傭兵が、傭兵という「職業人」であるからの様だ。


ライトノベルでは、主人公は「学生」であることが多かったように見受けられる。
或いは「成長途上」にある若者だが、要するに社会的に「まだ何者でもない」という意味では、大きく「学生」とくくっていいだろう。

超現実的な異能力世界観や、ファンタジー的魔法世界観であっても「○○養成学校」のように半ば無理矢理に「学生」を設定しようとするのは、読者層をにらんだマーケティングか作者の信念かは分らないが、いずれにせよ、世界の根本に迫る物語に(社会の成員である大人を差し置いて)「何者でもない」学生を中心的に関わらせるために大きなハードルを抱え込むことになる。

「それが『世界』の意思だからだあ!」という一言で十分な説明になっていると了解する読者/視聴者が多ければ問題はないが、大抵は二重三重の屁理屈で、「学生」が「世界の命運」を左右するさまを社会が傍観することを理屈付けなくてはならなくなる。
「学生」の「承認欲求」の満足と「世界の存亡」を重ねる為には、お手軽な近道は考えにくい。

矛盾なく必然として見せられる表現力や構想力が伴っていればいいのだが、全ての作者/製作者がそのような手腕を持つとは期待できそうもない。
結果、「世界」か「主人公」、あるいはその両方共が「嘘くさく」なって、視聴者を物語から遠ざけてしまうことになり易い。

例えば、「戦士」が主人公であれば「世界」の帰趨を決める闘いの「物語」はスムーズに語れるのに、まだ何者でもない「士官候補生」にすることによって「もっともらしさ」の構築というハードルをわざわざ高くした挙句に、自ら足をとられてしまう。


本作を比較的楽に視聴出来るのは、主人公を「傭兵」にすることによって、「物語」にかかる負荷が低くなっているからだろう。
社会経験を持ち、社会的に承認されたスキルやキャリアを持つことを手形という「公的文書」で証明される「職業人」の主人公は、「世界」に余分な設定を要求することなく、「物語」にかかわっていく事が可能だ。

負荷の少ない事が、本作の「世界」に安定感を生じさせている。
カメラの周囲3kmの外側は書割が途切れた何もない空白であるかのような有りがちな人工感を感じさせることなく、映っていない画面の外側にも「世界」は広がっているのだと自然に感じさせる。
とりあえず「世界」に拒絶感を感じさせられることなく、「物語」を見つめることが可能だ。


意外に年齢が若そうな主人公は、十分に「若者」らしいドラマを演じることが出来るだろう。
若い視聴者の感情移入の為には、特に「学生」が必須であるとは思えない。若い「職業人」は十分に「主人公」を務められそうだ。

物語世界内で、ひとかどの自立した職業人である主人公は、ストレートに物語世界の中心に関わり、視聴にあたってストレスや違和感はない。

が、ビジュアルが追い付いていない印象があり、少し残念だ。

原作については知らないのだが、物語を追うと、どうやらヒロインの魔女は、非常に「美し」く、内面的には(バランスは多少欠いているものの)「成熟した大人の女」であるらしい。
が、ラノベ的な定型要素をマンガ化したようなビジュアル・デザインが、「美しい」「大人の女」であると直観的に把握させにくくしている。

マンガ家の若木民樹は、現代の創作物では「ブス」は背景の「モブ」であってすら存在できない/登場させられない、と指摘していたが、そうした或る種フラットなビジュアル構成が、ヒロインの「美しさ」を突出したものとして表現できない一因であるかもしれない。

ここを乗り越えて、ヒロインが「美しい」「成熟した女性」と了解できるようになれば、会話やストーリーの流れに入り込んで物語を追うことが出来るようになる。
この了解が無いと、ヒロインと主人公の関係が、陰影のない上滑りしたものに感じられてしまうだろう。
が、いったん了解が成立すれば、両者の関係が、幼い「ラブコメ」ではなく、成人の「ロマンス」であるのだとわかる。

「世界」を変える冒険が「契約」に従った仕事であるとすれば、物語は平板だ。
しかし二人の関係が重ねられることで、「物語」はロマンチックな彩りを持った冒険譚として現れてくるだろう。

書いていて些か気恥しいが、これも「若い」職業人を主人公にした成果と言うものか。

中途半端なラブコメがストーリーを邪魔しているように見えたとしたなら、一度「成熟した美女」と「自立した職業人」のロマンスだと頭をリセットして視聴してみるのもいいかもしれない。

余り出来のよくない「ラブコメ」が不自然な抑圧性を感じさせるのは、恋愛に「寸止め」を掛ける物語の作為が権力性を帯びるせいだ。
「学生」が主人公の物語に頻出するようにみえるのは、「学校」の権力的な制度性と照応するからだと思える。

ラストの主人公とヒロインの会話は、二人がラブコメ制度の「コマ」ではなく、「ロマンス」を生きる恋愛ゲームのプレイヤーであることを示しているようだ。

本作の物語が、ラブコメの制度性を離れてロマンチックな冒険へ向かう自由さを獲得しているのは、やはり「学校」を離れた「職業人」の主人公を設定したことによる効果なのだろう。

だが、こうした観方も、ヒロインが「美貌の大人」であるという了解があってのことだ。
繰り返しになるが、ビジュアル表現で直観させられないのは大きな弱点だろう。

物語の途中で、登場人物のセリフで「ヒロインは美貌である」と説明されても映像作品としては無理がある。
そういわれてしまえば1話から、これが「美しさ」を表した描写のつもりだったのか、と思い当たる表現が幾つか思い当りはするのだが。

キャラ絵がかわいらしいというだけでは、作品世界内で「美しい」と了解されている、という表現にはならないだろう。


冒険譚はストーリーだけ抜き出すと、しばしば類型的で平板だ。
語り口やディテールの味付けで、面白さや魅力が生まれる。

ロマンスを絡めた味付けは十分に魅力的で、「世界」やキャラクターの設定とも良くかみ合ってしっかりと構築されて見えるのに、ビジュアル表現の弱さで説得力が減殺されてしまっているのが残念だ。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

世間知らずな魔女と獣の傭兵の魔導書ファンタジー

この作品の原作は未読ですが、公式HPを見ると「第20回電撃小説大賞≪大賞≫受賞作」と記載されているので、きっと読み応えのある作品なのだと思います。

私がこの作品の視聴に至ったのは、あんハピ♪の花小泉杏、灼熱の卓球娘の旋風こより、まほいくのねむりんを演じた花守ゆみりさんの名前を見かけたから…
花守さんがこれまで演じてこられたキャラを見ると、大概ほわんとした感じが多いので、この作品のヒロインであるゼロもそんな感じなのかと思っていましたが…蓋を開けたら全然違っていましたね。

この物語の主人公は獣落ちした傭兵で。名前はあるのでしょうけれど結局TVアニメ版では謎のままでした。
これにも理由があるのですが、その理由は本編の中で明らかになります。

そしてヒロインは自らの一人称を「我輩」というゼロ…
彼女は魔女で直視するのもはばかられるほどのぜっせの美女なんだとか…
そして傭兵はゼロと一緒に旅をする事になるのですが、実はそれは異様な組み合わせだったんです。

この物語の世界における獣落ちは「汚れた存在」に位置付けられていて人間から忌み嫌われている上、獣落ちの首や血は魔術の格好の材料なので、獣落ちはいつも命の危険と隣り合わせで生きているんです。

そんな獣落ちが魔女と一緒に旅をするという事は、いつ殺されてもおかしくない状況を自ら作り出していることにほかなりません。
だから獣落ちと魔女の組み合わせは異様なのです。

ですが、傭兵とゼロの組み合わせ…深い部分は本編でご確認いただければと思いますが、決してその様な関係などではありませんでした。
いえ、むしろ真逆といっても過言では無かったほどです。

ずっと独りぼっちだったゼロが、旅のパートナーとして最初に選んだのが傭兵…
白地に黒の縞模様の入った虎の姿の傭兵は、剣の腕が抜群で残忍な所業が噂になるほど…
そんな傭兵もゼロには身体が大きくモフモフで温かく寒さを凌ぐにはもってこいの存在だったのです。

もちろん、直ぐにこんな関係になれる訳ではありませんでした。
そりゃそうです…だって傭兵にしてみたら自分の命がかかっているのですから…
だからどんなに優しくても時間を積み重ねても、これまで虐げられ命を狙われ続けた時間が長いので身体に刷り込まれた「従来の当たり前」はそう易々と消え去ってはくれません。

トラウマ…きっと誰もが持っているであろう過去の記憶による縛り…言うのは簡単なんですけれど、実際には相当やっかいなモノだと思います。
だって自分の意志とは無関係に突然体が硬直したり、咄嗟に回避しようとどんなに頭で分かっていても身体が勝手に動いてしまったり…心が折れるのを防ぐために勝手に自分に言い訳したり…
本当に自分ではどうしようもないこと…
これが自分の命がかかっているなら尚更です。

ゼロも…自分が魔女じゃなかったらこんなに思いを傭兵にさせる事はないのに…
ゼロの振る舞いは常に気丈…だから普段の彼女からは微塵も感じませんが、そうして自分を責めた事だってきっと一度や二度では無いはずです。
ずっとそんな感じの女の子じゃないと思っていました。
ゼロの涙を見るまでは…ですけれど。
そう…思っている以上にゼロは繊細で優しい女の子だったんです。

傭兵はゼロを護衛しています。
有事の際には彼の腕っぷしが必ずゼロを守ってくれるから…
それじゃゼロは傭兵をどうしているの…?
この答は是非本編でご確認頂ければと思います。
優しさの形ってホントいろいろあるんだなぁ…
これが彼女の決意なんだ…
まさかの展開が待っていてくれています。

オープニングテーマは、たぴみるさんの「発見者はワタシ」
エンディングテーマは、Chimaさんの「はじまりのしるし」

1クール全12話の物語でした。
終盤の展開が少々足早だったのが唯一残念に感じた事です。
原作のストックが無くなったのかと勝手に思っていましたが、既刊は9巻でアニメ化されたのは1巻部分のみなんだそうです。
原作のストックはたくさんあるのに…
設定含めて面白い作品だと思います。
この作品が販促目的だけでなく、アニメで完走してくれる事を期待しています。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 23
ネタバレ

kororin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

獣人戦士とロリ魔女・・・いい組合せと思って期待したんだけどなぁ。

昨年、話題沸騰&炎上した「Re:ゼロから始める異世界生活」と同じ制作はWHITE FOX。
アバンで西洋の寓話風の挿絵が印象的。
魔女と人(王国)との諍いが絶えない中世風の世界。「獣堕ち」と呼ばれる人から生まれた(もしくは何らかの理由でなった)半人半獣の人間がいる世界(教会の教えでは前世の業のせいだと言われているが、実は・・・)。

巨漢で白虎の獣堕ちの男。粗暴に見えても実は心優しい『傭兵』と幼女の風体ながら、素振りから見てそれなりの年を重ねてそうな俗世に疎い泥闇の魔女『ゼロ』(お互い真名を明かしてないのでこの呼び名)。
プラス半人前の魔女の男の子・アルバス{netabare}(実は女の子らしい){/netabare}が互いの目的の為、世界を滅ぼしかねない魔導書「ゼロの書」を探して旅するロードムービー。

昨今のコテコテに盛り付けられたファンタジー(奇抜なキャラに奇抜な衣装・大層な得物や武具に武器・空飛ぶ奇抜な乗物・多種すぎるモンスター等)から最低限ネタを切り落とし、その分生活感のある設定を抑えている印象があって良いと思います。
{netabare}
この世界では[魔術]と[魔法]の区別化されており、
・魔術:精神修行と呪文の詠唱、魔法陣による魔族(悪魔)召喚により能力行使、そして重要なのが対価(生贄)を悪魔に支払わなければならないという事。その中で「獣堕ち」の「首」は大層な魔術の対価になり高値で取引されることが多く、ならず者達がこぞって獣堕ち狩りをするから『傭兵』にとっては迷惑なはなしである。
・魔法:対価無しに呪文の詠唱のみで行使できる。それを記述されてるのが「ゼロの書」らしいです(極端すぎる例えだと相手に「死ね」と「言う」だけで死んでしまうといったところか?)。
この設定が生かされるか?流されるか?ちょっと気になるところです。

あと個人的には『傭兵』がチョットお気に入り。
生まれながらに半人半獣。当然幼少時はイジメや嘲笑を受けて身の不幸を嘆いてヤサグレそうなものですが、人格者の両親に育てられたおかげで凶悪凶暴にならずに済みました。しかし住んでいた村に「獣堕ち」の首を狙う盗賊が現れ村人に被害が。『傭兵(当時既に大人を上回る体躯で13歳らしい)』は納屋に匿われていましたが、外では母と村人が『傭兵』差し出す差し出さないので口論。『傭兵』は単身盗賊の野営地に乗り込み盗賊たちを皆殺しに。その後は村に(迷惑がかかると思ってか)戻らずに渡りの傭兵稼業として転々と旅をしているようです。大男=オッサンという偏見のあるせいでアルバスにオッサン呼ばわりされるとスゴク怒ってたように年齢は20歳前後ぐらいと結構若そうです。なんせ『ゼロ』の色挑発や裸体に赤面するほどウブウブですから。顔の表情も人間ぽく豊かに表現してますが、これは好みが別れそうな感じ。自炊料理も結構得意そうです。EDでは仕込み中に材料全部『ゼロ』に食べられてますが。腕っぷしや身体能力もなかなかのもの。大剣を軽々と扱い、崖から顔面着地(笑)でも無事でいるというタフさ。人からは嫌われていることを自覚しているがゆえに、か弱い者には手を差し伸べる優しさが好感です。{/netabare}

「ゼロの書」探索の旅で人間の姿に戻すことを条件に『ゼロ』の護衛を渋々引き受けた『傭兵』。これからどう展開するか期待抑えめで注目してます。

【視聴終了】
なんか「十三番」が出てきてから面白味が失速してきたような感じがしました。あと本作に限らず今期、他の「ラノベ原作物」は総じて世界観のデザインが力量不足気味に思えます。メインキャスト以外『[ファンタジーだからこんなもんでいいだろう]テンプレート』にハマった、背景・建築・小道具類・モブ・サブキャストなどなど・・・ひねりが無くてちょっと残念(ウェニアス王の、貧相で風格の無い事といったら!)。デザイン担当が居なかったのか?未熟だったのか?あまり気にしなかったのか?とにかく(個人的には)気になってました。

部分的に見てみると「結構イイ所」もあるんですが、全体的に見ると「何か」が足りなくて面白味が出せてなく残念に思えました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21

68.6 5 教会で戦争なアニメランキング5位
グランクレスト戦記(TVアニメ動画)

2018年冬アニメ
★★★★☆ 3.3 (348)
1520人が棚に入れました
「わたしは騎士テオの聖印と契約し、永遠の忠誠を誓います」
孤高の魔法師シルーカと、放浪の騎士テオ。ふたりが交わした主従の誓いは、混沌と戦乱の大陸に変革の風をもたらすのか混沌がすべてを支配する大陸、アトラタン。
人々は混沌により生じる災害に怯え、それを鎮める力“聖印”を持つ者、〈君主(くんしゅ)〉に守られ生きてきた。だが、いつしか君主たちは「人々の守護」という理念を捨て、互いの聖印と領土を奪い合う戦乱へと突入していく。

その中、理念なき君主たちを軽蔑する孤高の魔法師シルーカと、故郷を圧政から解放するべく修練の旅を続ける放浪の騎士テオは出会う。
テオの理想に触れたシルーカの強引な策略により、主従の契約を交わすことになった二人は、戦乱の巻き起こる大陸に、変革をもたらしていく。

秩序の結晶である<皇帝聖印(グランクレスト)>を巡り繰り広げられる一大戦記ファンタジー、開幕!

声優・キャラクター
熊谷健太郎、鬼頭明里、中村悠一、上田麗奈、日野聡、松岡禎丞、高森奈津美、茅野愛衣、櫻井孝宏、羽多野渉、井口祐一、鈴木みのり、中島愛
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.1

なろう以上のゲーム脳

5話までの感想{netabare}
原作未読。
ファイアーエムブレムのRTA見せられてる気分。
物凄くダイジェスト風で溜めとか一切ない。
似たような世界観でダイジェスト風というとチェインクロニクルが思い浮かぶけど、あれだってあくまで前半の主人公に(アニメが始まる以前に)助けられて恩義のある連中が協力するって流れで、顔出し程度のキャラ続出でも初対面ぽさ・唐突さは緩和しようという雰囲気はあった。
一方の今作ではひたすら唐突、いつの間にか仲間になっていつの間にか親しくなって。
各ユニットの関係性が肝になると思うのだけど、掘り下げ無しに次の展開次の展開と進んでしまってどうにもパっとしない。
とはいえ現段階は下地作りで、ある程度まで話が進んだら展開ゆっくりになるんじゃないの?とは思ってます。
そうじゃないと2クールもたないんじゃ?
D&Dでいえばとっととエキスパートやコンパニオンやりたいんでベーシックはカッ飛ばす、みたいな。
けどその調子のまんま進んだらあっという間にマスター飛び越してイモータルになっちゃうというか。
この予想は当たるかのう?ナイツ&マジックでは思い切りハズしてしまいましたが…。

現状放送された内容から分かる世界観の解釈…の確認。
混沌っていうモンスターが存在する世界(もしくはモンスターの引き起こす災害自体も混沌と呼ぶ)。
混沌を倒してポイント獲得して、そのポイントが一定を超えると聖印が宿る?
一定以上聖印のランクを上げると君主となって玉座に就く資格を得られる?
聖印は血筋など関係なく、それこそ農民でも高い志をもって混沌を倒せさえすればポイント貰える?
それでいて「魔法師」は、そのクラスを選んでしまったら領主には絶対に成れない?どんなに強かろうが賢かろうが混沌ポイント貯めてようが。
また、混沌を呼び出す魔法もあるみたいで、それで呼び出してポイント無限稼ぎってのは出来ないのか?(T&Tではそれはできないって明確に書かれてたのを思い出した)
もしくはある程度ランクが上がると獲得ポイントが減衰する?
でもって聖印ポイントは人間同士で授受が可能、敵の領主倒して奪い取ることが可能。
(ある程度までランク上がったらPKでしかポイント貯まらなくなる?)

気になるのは魔法師は領主になれないの?ってことと、領主にならずに混沌退治だけし続けてポイントがトンでもないことになってる人とか居ないの?って点。
魔法師は絶対に君主に傅(かしず)かなければならないってのがようワカラン。
ヒロインが自分で統治すりゃええじゃんって思ってしまって…それでは領民が納得しない価値観(宗教観?)が根付いた世界なのかなーってことで無理やり納得させてるけど。
せめてロードと契約したら強力な魔法が使えるとかあればいいのに。
ポイントって言葉を使ったけど、それは有限なのか無限なのか。
ファイアーエムブレムでは一応ロードは王家の血筋っていう歴史的保証のある身分だったけど(例外はあるかもしれない)、こっちでは聖印さえ立派ならそれで良いっぽい。
人と交わらずに聖印育成だけに邁進してる人も居そうな気がするんだがのう、「流れの混沌ハンター、その強さは国王を超える」とかさ。


──と、そんなことを4話終わった段階で下書き書いてました。
なんか長ったらしいのでもうちょっとどうにかならんかと推敲してる間に5話が放送してしまいまして。

で、5話、予想通り展開ペースゆっくりになった?
まだ安心できないけど、それまで(4話まで)よりはずっと見やすくなりました。
また、疑問に思ってたのも幾つか明かされました。
魔法師にも聖印ポイント貯めてその恩恵を我が物にする勢力はあるらしい。
それが通称黒魔法師ってやつで、ヒロインはそれはやらないと誓いを立てた勢力に属してるってことらしい。
また、聖印ポイントも有限っぽい。
正確には一定以上ポイントを集めるとランクが「皇帝」になって、もしそれが完成すれば世界は平和になって他の聖印パワーは消えて無くなるんだって。
これなら無限にポイント貯める前に「皇帝」になってしまうし、現状その境地に至った者は居ないってことからレベルキャップはかなり高い所に設定されてるっぽい。
また、「皇帝」完成で聖印パワーを失ってしまうのはイヤ、って思ってる勢力もあるらしい、と。
あ、それと↑では書かなかったけど、1話で出たデーモンロードその後どうなったの?ってのも気になってたんだけど、どうやら数年暴れた後消滅(衰退)してったらしい。
あくまで文献でそう書かれてるってだけの表現だったのでこれはウラがあるかも?

ふう、ここまで来てやーっと世界観が漠然ながら見えてきた感じ。
なるべく早くここまで進めたいってことで4話までがあんな急ぎ足だったってことだろうか?{/netabare}

6話感想{netabare}
あら、てっきり5話みたいに小規模な事件を順次解決してくクエストクリア方式になるのかと思ったら、また戦記モノに戻っちゃった?
タイトルに「戦記」が付いてるんだしそれで間違いでは無いんだろうけど…なんかそれ系はあんまり面白く感じないというか。
もうずっと地図映して説明だけしてた方が良いんじゃね?と思ってしまったり。
ヴィラールが契約する魔法士が女性限定なうえ25歳になったら解雇してる理由は、「幼少の頃母から虐待を受けてて、けど実は迫害受けないためのブラフだったのかも知れない、と思うようにしてる」ってことだったのダー!
とか言われましても別にそれが何か?って感じで…だったら「なんでこの人女ばっかり雇ってすぐに解雇してまうん?」って視聴者に思わせる「溜め」はもっと必要だったし(ってかそれが理由で事件が起きるくらいのことは…)、そのネタバラシも回想シーン流そうよ。
幼少時代を絵で見せるでもなく言葉だけで説明して、絵の方は“神撃のバハムート”に大きく劣るダンスシーンで尺割きまくり。
…分かるけどさぁ。
別にバハムート意識してないし、幼少時代は新たにそれ用のデザイン起こしたり声優当てたりする手間も無かったんでしょう。
原作知らんけど、原作(小説?)からアニメへのメディア変換に物凄く手間取ってる印象。

一方で↑で疑問に思ってた答えの一つ?らしきものが明かされました。
ミルザーが「配下や領民の生活なんて知ったことか、聖印ポイント貯めて皇帝にすりゃあいいんだよ(結果的にはそう振舞った方が味方に被害も出ない)」ってタイプな模様。
将来主人公と敵対するかより強大な敵を前に共闘するか、どっちになるかは知らんけど、やっぱ人間対人間ではなく混沌絡みの話に展開して欲しいトコロ、折角そういう設定なんだし。{/netabare}

9話までの感想{netabare}
やっと…やっと来たああああ!
混沌の兵器利用(でいいんだよね?瘴気操ったのは)。
ああコレだ、これを待ってた。
さもなくば皇帝聖印否定派vs完成目指す派にしろよと。
折角混沌っつー設定あるのにそれが物語に全然絡んでこなくて結構イライラしてたんだなぁ、と9話終わって気付きました。
もうね、絡んでこなかったらトータルイクリプスの二の舞じゃないか、とね。
連合も協和も最終目標は天下統一して「皇帝聖印を完成させる」なので、目的が同じ奴同士のにらみ合いが続いてもなんだかなぁってしかならなかったんよねぇ。
つか、皇帝聖印目指すのも混沌災害を無くすことが理由なハズで、そのために混沌災害を起こすという矛盾(作品が矛盾してるんじゃなくてキャラが矛盾抱えてるって話ね)、良いんじゃな~い?
原発反対を唱えながら原爆落とすようなモンよね。
更には一方的に科学力…じゃないな、魔法技術?が発展してて「敵は混沌兵器を使えない」ってのとは違う。
序盤シルーカがデオの経験値稼ぎ用にケルベロスだったっけ?を召喚したように「やろうと思えば出来る」。
単にやっちゃうと後が大変だってことで紳士協定的に使わずにいたと思うんだけど、その禁を破ってしまったら…混沌兵器使いまくりの報復合戦の始まりか?
大陸汚染されまくりーの、混沌の時代の始まり~、とかだと自分はウキウキしちゃいます。

ってかね、もしかして…今出てるキャラ達の子供が主役になる、みたいな展開になる可能性ってあったりする?
テオとシルーカが愛を確かめ合ったり、マリーネがミルザーに抱かれたり、なんかそん時出来た子供が親の宿願を果たす~みたいなことになってしまいそうな予感が。
そもそもの話、1話の結婚が破談に終わったのは式場に「デーモンロードを召喚する時限爆弾」が仕掛けられたからだと思うんだ。
偶然運が悪く~ではなく、何者かが仕掛けた。
普通に考えれば皇帝聖印完成を快く思わない勢力によるもので、それは恐らくドラキュラや黒魔女で、それは恐らく歳をとらない。
混沌兵器使いまくりの泥沼でテオもシルーカも死んで、その子供は生涯独身になりそうなヴィラールの養子の立場になって~、とか…なーんかね、子供世代に舞台が飛んでも大丈夫な下準備をしてるみたいな予感。
今居るキャラの名前覚えるだけでも大変で、そうなったらちょっとついてくのキツいかも。
ってかね、ミルザーは、もしヴィラールに覇道の才覚アリと認めたらケツ掘る予定だったの?
流れ的にそんな感じが…。{/netabare}

10話感想{netabare}
9話でやっと話が動き始めたと思って期待してた10話…。
あっれー?
「グラクレ、グラクレが見たいよぉ!正確にはマリーネをミルザーに寝取られたヤサ男の顔が見たい、アビャアア」
だったのに、アレクシスなんて存在してなかったかのような話運びで…「アレクシスが知ったらどう思うかしら?」みたいなこと言ってたやーん!
“引き”をやっておきながらそのアンサーはもっと後にお預け?
混沌の兵器利用(非人道兵器の使用)に対する周囲の反応もなんか冷静っていうか、無かったかのような扱い。
それでいてまた全然思い入れの無い新キャラ投入で、もうなんだかもう。
映画スリーハンドレッドで補ってくださいって言わんばかりの合戦シーンもなぁ。
描くの大変だってのは分かるが、ポっと出のキャラが善戦空しく敗退とか言われましても、ねぇ。
ちゃ、ちゃんとこっちが期待してること回収してくれるよね?後回しにするにも引きに対する繋ぎが全然無くてちと不安になってきた。{/netabare}

12話までの感想{netabare}
まず総集編についての感想だけど…これ、答え合わせだな?
それまで頑なに地図を見せずにいたのが、ここぞとばかりに地図を映す。
本編はワザと分かりづらく作って「これってこういうことなんじゃないか・ああいうことなんじゃないか」と思わせて、総集編で正解かどうか明かすって作り…なんじゃないかなぁ、と。
けどそういったパズルのピースはめてく系の作品なら“剣王朝”がこの先数年はトップに君臨し続けると思うぞ。
また、これはあくまで好意的解釈、普通に考えたら「最初からやれ(地図映せ)」だし、「どこまで描写すれば視聴者は理解できるか」の実験──人を試すようなことをしてるみたいで心証は良くない。
なによりゴチャゴチャとキャラ出ても即退場、後の物語には影響しませんっていう不必要な情報も本編は多くてもはや覚える気も無いというか…。
正直それ以前の話は見る必要ありません、総集編から見始めるのが楽で良いかと。

でもって本編12話。
瘴気を兵器利用したことについては誰も咎めないのね、なんか「そんなことあったっけ?」な扱いでガッカリ。
ってかマリーネとアレクシスの結婚の時に邪魔が入ったのは「皇帝聖印完成を嫌うモノの手によるもの」だと…最近知った!?
そいつらを炙り出すために皇帝聖印完成を進めるってことらしいのだけど……ちょ、調査したん?
調査しても分かりませんでしたとか、配下に裏切り者が潜んでて誰も信用できないとか、そういうエピソード必要じゃない?この内容だと。
更に不思議なのが「連合のトップ誰にすんべ」って話をまた始めて、テオがどうのラシックがどうのと揉めてたワケですが…

聖印のデカい方が偉い

でいいんじゃないの?
以前も書いたけど血筋や家系は全然関係なく──それでどうして封建的な世界になるのか謎だけど──聖印さえ持ってりゃ領主になれる世界なんでしょ?と。
だったら牙の鋭い…もとい聖印のデカいやつが勝つ、でいいじゃん。
折角マリーネ軍が引いてくれたってのに武勲を上げるために戦線拡大するとな?劣勢側が。
う~ん、う~ん…{/netabare}

16話までの感想{netabare}
…。
これ、作者真面目に書く気無い状態だったのかな?
裸踊りは別にいい、そっちじゃない。

なんだあの通信機は{/netabare}

17話感想{netabare}
携帯電話のある世界で狼煙(のろし)かぁ。
まぁそれはいい、携帯使えるのは魔法師だけなので、ミルザーの侵攻を友軍に広く知らせるってことでアリだろう。
が、次はラシックの援軍としてセルジュが駆け付ける。
どっちの陣営も魔法師従えてて、前もって連絡できるハズなのに直接対面するまでトップが「状況を把握してなかった」扱い。
うん、まぁ、うん…通信傍受恐れたのかな、アドレス交換してなかったのかな。
もはや戦記モノとしてはどうでもいい内容で、それでいながら勝ったー負けたーやってるのでダルくて仕方ない(劇場王の息子とかどーでもよくね?)。
一騎討ちにしても、有利な側(一騎打ちなんかしなくても勝てる側)を、そうせざるをえない状況に引きずり落とすといった前準備、御膳立てって言った方が良いかな、それも無くて全くワクワクしない。
民衆と領主との関係とは何ぞ?ってテーマであるならミルザーは民衆からハリネズミにされるのが相応しいと思うのだが…妙に英雄たらしめる殺し方(一応親父を殺したのと同じ殺され方だったかな)をしてしまって、これもう~ん…。

と、文句を言いつつまだ見続けてるのは気になる部分がありまして。
以前「皇帝聖印完成を快く思わない勢力」には教会も一枚噛んでるっぽい描写(黒魔女の処刑を急いだ)があり、そこから賜った「特殊な金属」でもってテオは一騎打ちに勝てました。
なんたる皮肉!ってのをスタッフは描きたかったのかなぁ?
教会側はテオの計算外の働きにうろたえる・尻尾出すって展開に…なってくれんかのう?{/netabare}

21話までの感想・かなり批判的なので注意{netabare}
なんだこれヒッデーなおい。
「原作がそうである」ってのは別にいい、何巻まで続けられるか分からない状態(いつ最終回になるか分からない状態)で作ってるってのも勘案して、先の展開あれこれ考える暇もなく執筆したってこともあるだろう。
けど、予め全何話って決まってる・いつ最終回を迎えるか決まってるアニメでこれってどうなん?

まずは20話、アレクシスが呆気なくマリーネを赦して、マリーネもそれをアッサリ受け入れてポカーン。
何話だったか、進退窮まって自殺した魔法師居たよね?同じ事させろよと。
そうなって然るべき展開なので、マリーネに醜態を曝してでも生き続けさせたいのならその理由として…腹さするぐらいしようよ。
「私のお中にはミルザーの子が…(=この子に罪は無い、この子のためにまだ死ねない)」くらいやろうよ、なんのための9話だ?
「もう後には戻れない」って決意を見せる描写じゃなかったのか?
アレクシスにも生っちょろかった過去の自分を後悔させろよ、お前が立ち上がるのが遅かったせいで何人も死んだんやで。
こんな簡単に決着付くなら何話も引っ張らないで欲しい。
ってかはよ民衆(混沌兵器の被害者)に刺し殺させよう、なんのためのあのシーンだったんだ?

そして極めつけの21話。
魔法師がタクトで通信できるってのがドッチラケだったのだけど、「(折ることで)これから通損ができなくなるのは痛手だ」とか…。
だったらもっと前から通信を使うことで難局を乗り越える展開・描写入れとこうよ。
折って使えなくなるという展開のために思い付きで通信設定入れた感がプンプンしてつれぇ。
しかもタクトに細工が仕掛けられてるとの通信を傍受したのがシルーカだけってなんだそれ?
会議開いてシルーカの口から他の魔法師に改めて説明するって、シナリオ的に二度手間じゃん。
(見落としあったかなぁと21話をもう一回見たけど、序盤の通信はシルーカ個人相手ではなく「この通信を聞いてる全ての魔法師に告げる」としっかり言ってる)
会議の奴らも初めて聞く情報・タクトを失うという痛手を伴うのに、シルーカ一人だけの証言をアッサリ信じるし…。
実はシルーカ個人に宛てたニセ情報だったりして?(シルーカからの情報なら他の魔法師も信じるだろうという作戦)
ってかテオも黒魔女捕縛の褒章で教会から賜った(ミルザー戦で役立った)装備を疑ったほうがよくないか?

そしてアイシェラによるテオ暗殺未遂の件。
教会の特務機関“パンドラ”の指令には逆らえない様にギアス…いわば“爆弾の仕掛けられた首輪”が付いてる状態。
…。
それが解除できたのはいいとして、テオの周囲にはアイシェラの他にもスパイが居るかも?ってのは真っ先に疑おうよ。
一応テオ・シルーカの暗殺を阻んだ直後、次のターゲット候補(教団のトップになりかねない)のプリシラを案じたのは評価するけどさぁ。
また、他の君主にも同様にスパイが潜んでるのは明白で、「お前らの中にもパンドラの手の者が潜んでるかも知れんぞ」って何故知らせない?
えっ、そのためのタクト折り?だったらもっと前から通信は密にやってるシーンを(ry
アイシェラを助けたからってのんびりしてないでさ、急いで伝令飛ばせって。
腹心に裏切り者が潜んでるかも知れないって、一刻を争う情報ちゃうんかい。
それとアイシェラ以外にも本当は君主に従いたいのだけど爆弾に逆らえなくて渋々やったって人も居るんじゃね?
解除方法があることを知ってたら救えた命もあったんじゃないのか?
ってかマリーネもさも知った顔で、犠牲者大量に出た後で「こうなることは予想できた」って…バカかな?
寝首かかれないように注意するってだけでも被害かなり抑えられたんちゃう?
こうなることを恐れて和平路線に背いたハズで、更に最も恐れたのはその中にアレクシスを巻き込むことだったハズで…けど実際にはアレクシスはピンピンしてるじゃん。
せめてテオの働きでそれ(スパイの工作)を阻止したって展開でなければおかしいハズで…だったらやっぱりアイシェラ捕縛からの対策の通達とかやらないとおかしくて…ああもう、なんだこれ。

教会の反君主派が蜂起ってのもアホアホだけど(水面下で暗躍るす存在ちゃうんかと、こんな簡単に尻尾出すならマリーネの苦労も意味が無いものになった)、皇帝聖印完成すると混沌が消えるってのは事実でいいのか?
そうすることで君主をコントロールしやすくするようにパンドラが流したデマって可能性も視野に入れて観てたんだけど…。
これまでのダイジェストでありながらダラダラやってた糞クラダン戦記モドキはパンドラによる手引きってことに繋げてくれないと「序盤のクソ戦記はなんだったんだ」ってことになってしまいかねない。
ちゃんと意味があったものになる展開は今後あるのだろうか。
ぶっちゃけ今までの戦記シーンで、パンドラによって操作されてるような描写ってあったか?
下手したら3勢力の件もマリーネ懐柔で「もうお終い」な可能性が見えてきてなんかイヤな予感。
連合・同盟・条約、それとは別に教会(君主派・反君主派)・教団と、妙に勢力を出す割には料理し切れてない気が。

どうなんだ?次回以降そこら辺フォローしてくれる話をやってくれんかのう。
マリーネの赦免といい、期待薄だけど…。

ところでこの作品で唐突にエルシャダイのパロって、今まで見続けてた人的にはどうなん?{/netabare}

最終回までの感想、酷評注意{netabare}
バカにされてるような気分。
パンドラ(教会)が何故混沌を維持しようとしてたかの理由が「混沌無くなって科学が発展・または恐らく混沌によって秘匿されてる前史文明の発掘が成されると人類は滅びの道へ進むから」でした。
…。
だったら最初からそう提示すりゃいいじゃん、教会の教義にすりゃいいじゃん、Gレコのスコード教みたいに。
こんな使い古されたネタ、80年代まらまだしも今の時代に後半まで伏せて、明かされた瞬間「な、なんだってー」と驚くとでも思ったのか?
そうであるなら混沌に覆われてる未踏の地を強引に突き進んでみたらミサイルが転がってましたとか傾いた自由の女神がありましたとか、伏線張れよと、けもフレ見習えよと。
または敵側がそういったオーバーテクノロジー使ってくるでも良かったんじゃ?
それの恐怖心・危険性に対して実感が沸かない(他人事)からテオは無責任な選択ができた、とさえ思えてしまう。
無理やり〆るためについさっき思いつきました感が半端ない。
原作の小説はまぁいいとして、アニメ化する際もうちょっと考えろよと。
また、明かされた上で「それでも混沌の時代は人々が苦しんでてダメだ」と思わせるだけの描写もありゃしない。
自分的には「混沌の時代はダメだ」と思えるようでは全くなかった。
ずっと退屈な人間同士の合戦ばっか描いてるんだもの、あの世界の人々の暮らしに混沌がどう影を落としてるのか全然描かれてないんだもの。
ネコ男爵みたく話の通じる存在も居るワケで、じゃあ使役なり契約なりして産業の発展に寄与してるのもあるんじゃないの?と思ってしまう(出された情報からの類推、「直接描かれてないのでそんなことは無い」って理屈は糞喰らえ)。
結局混沌にしろ何にしろ、その力をどう使うか人間側の問題なだけであって(テオの故郷だって領主が悪かっただけだし)混沌そのものが悪だとはどうにも思えない。
川の氾濫が迷惑だとダムでせき止めたら下流域は痩せた大地になってしまいましたって逸話が頭を過る。
要は混沌もテクノロジーの一種にしか思えず、それが気に入らないから消してしまえってのは…ねぇ?

というか、だ。
どんなテクノロジーだろうが平和利用ではなく兵器利用するのがケシカランって視点(テーマ)で見たら、混沌を兵器利用したマリーネは大罪人でして。
むしろそれまでの作中世界は兵器利用しない紳士的な民族の集まりで、そいつらだったら科学が発展しても平和が維持できそう。
マリーネみたいなヤツが滅亡をもたらすんじゃん。
混沌を悪用するのが悪いって話なら、科学を悪用する奴も現れるだけで何も解決にはなってない。
見せしめとしてマリーネを火あぶりにするかせめて戒めを公布するか国教の教義に入れるかすりゃいいのに、それができる皇帝テオはサクっとスルーして譲位だってさ。{/netabare}

総評{netabare}
ゲーム設定を考えただけで先の展開は何も考えずに行き当たりばったりで作っただけの作品。
あくまで“なろう”に多いJRPGの世界であって異国情緒など無く真っ当な意味でのファンタジーではない。
いっそのこと「ゲームの中の世界」としてくれた方が済々する内容。
同時期に放送してた2クールモノの糞作品には“バジリスク~桜花ほにゃらら~”があるけど、あっちはパチ素材がメインで作品自体はどんなにつまらなくてもスタッフの懐は痛まないという、文句言ってもしょうがない作り(イヤな話だけど)だったのに対し、こっちは…どうなんだ?
売れなきゃ困るって姿勢じゃないのん?
怒りを覚えるだけ諦めるよりマシなのかなぁ?
未来神話ジャーヴァスのプレイ動画(解説無し)を見るのといい勝負。
クライマックスから逆算して以前の回を思い返し「あの回って何だったんだ?」と考えて腹立たしい気持ちになりたい人にオススメ。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 12
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

「大講堂の惨劇」から「大講堂の奇跡」へ至る物語〈原作&コミカライズ読了・追記あり〉

2018年冬アニメ。全24話。
小説原作。原作は現在2巻まで読みました。
異世界ファンタジー軍記もので、群像劇の様相が強い作品となっています。

かなり詰め込み気味ですが私はなかなか楽しめました。
不満点は世界観の説明と世界地図の提示が遅かったり足りなかったりで、全体像を掴みにくい所。

{netabare}
作画は長丁場で大変そうでしたが、戦闘シーンを優先する姿勢を一貫していたことが良かったです。たまに作画がフリーダムになるのがひそかな楽しみでしたw
合戦シーンはかなり力が入っていたと思いますし、海戦も船のCGは浮いていると感じるところもありましたがなかなか迫力があったと思います。
キャラクターデザインは良く出来ていて絵柄もかなり気に入っているのですが、思い切ってもっとシンプルにしても良かったかも…。これでも結構簡略化されてはいますけど。
原作のデザインはとても素敵ですが、アクションの多いアニメにするには装飾も多く繊細すぎましたね。

キャストは全体的に合っていて好きでした。
テオの熊谷健太郎さん、穏やかさと意思の強さが良く出ていてとても良かったと思います。
ラシックの日野聡さんとモレーノの松岡禎丞さんもキャラとシンクロしててかなり好き。

音楽は全体的には良かったと思います。
OPEDはどれもなかなか良かったと思います。ふたつ目のOPが曲もアニメーションも一番好きですね。編集なんだけど、群像劇の印象が強いので特に作品に合っていたと思います。
BGMはキャッチーで格好いいのですが、ずっと流し続けるシーンが多くて気になりました。

キャラクターは、テオの良い意味で癖のない主人公像とシルーカのちょろい可愛さが気に入ってます。二人が主人公と思うとより楽しめますね。テオの人間性の背景と、シルーカがテオと契約した理由をもっとはっきり提示する必要はあったと思いますが。

心理描写はかなり淡白で流石に勿体なかったです。序盤のテオとシルーカにはもう少し丁寧な描写をして欲しかったな、と。それ以外だと中心人物であるはずのアレクシスの描写はかなりもの足りない。
また人外側のラスボスであるディミトリエは5話に登場したのみで情報が少なすぎて、最終戦が乗り切れないと感じました。人外キャラクターの描写が少なすぎます。
なので序盤は味気ないかも。まあ原作がもともと淡々とした描写をしていますし、アニメもはっきり言って尺不足でした。

ただ、そのあたりを越えればあとは設定と描写の積み重ねが上手く作用して面白く観られます。私は戦記ものは好きですし序盤の地固めが必要なタイプの作品なのはわかっていたので、そのあたり割り切って視聴してはいました。

世界中の多くの君主が混沌の時代を終わらせることを考えず、魔法士協会はそれを存続させるために動く中で、テオやシルーカが秩序の時代を目指し奮闘する様は見応えがありました。
また為政者や英雄が平和な世界を実現するために犠牲になる物語ではなく、テオにもマリーネにも一人の人間としての幸福が訪れる結末も好感が持てました。テオとシルーカのいちゃいちゃを頻繁に見せつけるのはニヤニヤしましたがwそういう結末になりますよっていう制作側からの方向性の提示でもあったと思います。

それぞれの君主の掲げる道、キャラクター達の信念…原作の言葉を借りれば流儀(スタイル)…もしっかり読み取れ、その点で群像劇・軍記ものとしての必要条件も満たしていたと思います。
テオの故郷でのエピソードの為政者の諦観、テオとミルザーの信念である王道・覇道の対比、初対面でシビアなやり取りのあったマリーネとミルザーのその後の絶妙な距離感などが、私には印象に残っています。

自分の器の大きさを理解した上で自身を託すに足る君主を探していたラシックとミルザーは、もっとがっつり対比させても面白かったかな、とちょっと思いました。原作はどうなってるかわからないけど。
主人公のライバルに当たるキャラクターがこの立ち位置なのが何とも面白い作品でしたね。物語の本筋が最初から決まっていたのがよくわかります。{/netabare}

全体的にはなかなかのお気に入りとなりました。
また骨太な戦記ものが見られると嬉しいです。(2018.7.11)


【原作について】
全10巻読了しました。
原作は簡潔な文章で読みやすく、展開が早いので内容も濃く、心理描写も最低限。なぜアニメ本編内に世界地図の掲示が無かったんですかね…。原作にも公式サイトにもちゃんとあるのに。
ちなみに原作ではエロは必要最小限で一文とかで終わってるので、どうか誤解なさいませんよう…w

{netabare}
全てアニメ化しようとしたら、4クールでもまず足りないと思います。
アニメ版では本筋に関わらないキャラクターを結構な人数削除し、大陸の外の島国や小大陸のエピソードはシスティナ以外は削られています。勿体ないけどこうする他なかっただろうと思います。
ちなみにアニメでも好きだったけど原作でさらに好きになったのは、テオと、ロッシーニ家の次男坊ジュゼル。


・原作と比較して気になった所・
削られた部分の内容については、台詞や絵作りでフォローしようとする努力がかなり見られます。ですが、キャラクターの人物像をきちんと理解させるためには採用した方が良かったのでは?という台詞が結構多いです。

テオの印象も少し変わりました。個人的にアニメで気になっていた(悪い意味ではなく)のが、ミルザーにどれだけ煽られてもブレなかったこと、父の仇であるロッシーニ家の従属を受け入れたこと。
テオの信念は、故郷でのある苦い経験から来ており、原作ではちょっとした会話でそれが明かされています。その台詞はどうしても採用してほしかった。

ミルザーは印象が良くなった所も悪くなった所もありました。一番の不満はやはり第9話Bパートのマリーネとのシーン。
二人の行動理念がわかる会話があるのに削られてしまっています。魔法師協会への疑いはここでも出ていますし、その後のシーンよりもずっと大切だったと思う。

プリシラの出番も、聖印協会の内情の描写と共にだいぶ減ってしまっていて勿体ないですね。それでも回復役としての見せ場は原作より増えていますから、分かっていてもどうしようもなかったのかな。

原作では秘密組織パンドラの名前は第2巻(アニメでは第5話の「常闇の森」)で初出。アニメでは後半になってやっと出てきたような…。
魔法師協会の抱える秘密組織がパンドラであること、聖印協会は半ば魔法師協会の傀儡になっていることは説明しておく必要があったと思います。


・原作を読んだ上で良かった所・
原作を読んでアニメの評価も若干上がった感じ。全体の演出(戦闘シーン、ドラマパート)はかなり好みでした。
原作カラーイラストを上手くふくらませ、マリーネの心理を一貫して演出したのも見ていて楽しかったですね。
軍記ものとしては大河ドラマの演出などを参考にすればもっと良かったかも。

また、原作の内容をただカットするだけにせず、最低限の補足を入れる努力が見られたことも好印象。むしろわかりやすくなったと感じたシーンもいくつかあります。

具体的に一つ挙げるなら、第7話でテオがラドヴァンを説得するシーン。
ラドヴァンの裏事情をあえてカットして、テオとラドヴァンの人間性を強調し、二人のやり取りを短縮しながらもわかりやすくしています。さらに、天候の変化と太陽光の演出、街の住人に取り囲まれていたテオがラドヴァンと上座下座を交代して君主として受け入れられたと印象付ける演出。Aパート前半のみの短いシーンにも関わらず、非常に凝ったシーンだと思います。
このテオの無血開城は第6話のミルザーの城落としとの対比でもあります。原作では同じ巻で描かれるエピソードですが、アニメでは話数をまたぐため、6話ラストのミルザーの台詞で繋がりを強調しているのも当然工夫の一つです。

システィナ編は原作もアニメもかなり力が入っていて、アニメでも短縮してはいるものの、レベッカの行動には良改変も。

アレクシスの契約魔法師であったホスティオにも興味深い変更点がありました。
アニメでは皇帝軍から去る時にアレクシスから労いの言葉をかけられ、その後サイクロプスの封印解除の際に再登場しています。これ、原作とはだいぶ役回りが違っているのですが、魔法師協会の傲慢さと無慈悲さを描いているという点は共通かなと。

後半に行くほど脚本がこなれて、納得のできる改変が多くなっていった印象でした。

原作では登場しなかった脇役も、映像作品の強みを活かして出来る限り画面に映していました。サトゥルス師が終盤でもいてくれて嬉しかったw

アニメ未登場キャラクターも色々なシーンで見られます。原作を読みつつそういうカットを見つけるのがとても楽しかった。愛のあるアニメ化だったと思います。{/netabare}


【原作と各コミカライズについて】
原作小説とコミカライズ2作品の作風について簡単に。ネタバレはありませんので、興味があればどうぞ。
ゲームはPS4、スマホゲーともに未プレイです。
{netabare}

・「グランクレスト戦記」原作小説(全10巻) 水野良/著 深遊/イラスト 富士見ファンタジア文庫 KADOKAWA刊

平易な文体で読みやすく展開も早く、心理描写も簡潔ですがキャラものとしてもなかなか優秀。決して難解ではありませんし全10巻サクサク読めます。アニメで全体の流れが大体わかっていればさらに理解しやすいですし、削られてしまったキャラクターも非常に魅力的です。
戦局、政治、世界観もしっかり描写され、軍記ものが好きなら読む価値あり。もちろん地図は毎巻掲載されていますw
原作を読んだ上でなら、アクション重視・演出上々のアニメ版を補助的な作品として楽しむことも出来るかと思います。
テオの本来の器の大きさが知りたいなら、やはりこれ。シルーカの目線で語られることが多いので、シルーカ好きの人も楽しめます。


・「グランクレスト戦記どろっぷあうと」(全1巻)深遊/作画 水野良/原作 ドラゴンコミックスエイジ KADOKAWA刊

原作イラスト担当の深遊作画のギャグ&ほのぼの4コマ。時系列は原作2巻と3巻の間(アニメ5話と6話の間)で、テオが常闇の森の領主代行(アルトゥーク伯の城代)をしていた時期を描いています。表情豊かで動きのある可愛らしい絵柄が魅力的で、かつキャラクターの掴み方もとても上手。
メインキャラが気に入ったからほのぼのが見たいという人には特におススメ。…なのですがアニメ未登場キャラクターもたまに出るので、ネタバレになりそうな所も少しあるかな。


・「グランクレスト戦記」(現在4巻まで)四葉真/作画 水野良/原作 ヤングアニマルコミックス 白泉社刊

かなりの後追いなので現在刊行されている4巻でも、まだ原作1巻が終わっていません;が、先の展開に支障の無い範囲でキャラクターの背景を補完。政治的・軍事的な内容も丁寧に解説してくれていて、一番今風でわかりやすくなっています。ただ、その分進みが遅くて最後まで連載されるかどうか…。
作画は丁寧でコマ割りや表現もなかなか。4巻までで戦闘シーンが随分こなれてきていて、この先も楽しめそうです。
テオの年齢が3歳ほど引き下げられた印象があり、素朴な印象が強くなっています。かつシルーカのツンとデレが大幅に増強されてるw


シルーカが好きならどれを読んでも楽しめます。
個人的にはやっぱり原作小説が一番読んで欲しいですが、漫画版も担当漫画家に恵まれていて読んで損はないと思います。それぞれ違う魅力がありました。{/netabare}(2018.7.30)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 27
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

(アニメ)グランクレストのことは嫌いになっても、水野良先生のことは嫌いにならないで下さい!(笑)

[文量→中盛り・内容→雑談系]

【総括】
はじめに言っておきますが、贔屓しますよ(笑)

古くさい戦記モノ、、、だか、俺が好きにならず、誰が好きになる! という、謎の使命感(笑)

好きなんですよね~。英雄譚とか、戦記モノとか。漫画、アニメ、ラノベ、全てのジャンルに共通して、自分の一番好きなジャンルです。

なかでも、水野良先生(ロードス島戦記)は、自分の中では別格なんです。神様なんです。だから、これは信者のレビューと思い、読み流してもらえれば、ありがたいですwww

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
大好きな水野良先生の新作、どうせなら一気見で楽しもうと思い、録画をためておいたら、断片的に聞こえてくるのは悪評ばかり。

「だったら、自分が愛さなくて、誰が愛すのだ!」という無駄な使命感と反骨精神から、「好きになろう!」と決めてから視聴を始めた、初めての作品。当然、悪い部分には目をつぶり、良いところを極力見つけようという視聴態度にw

まず大前提として、水野先生にはそもそも、戦略とか戦術とか、綿密に練って執筆する力(適性、ヤル気?)は無いですよ、ロードス島戦記の頃から(笑)
(ああ、私が悪口を言えるのは、好きな相手にだけですw) 例えば、ドラゴンボールを観て、戦術や戦略に文句をつける人がいるかといえば、いないと思います。それと一緒です(笑)

え? 鳥山明大先生を引き合いに出すな? いや、(あくまで私の中では)水野先生の方がやや上ですから(笑) 同格は、井上雄彦先生くらいのもんですw

あと、水野先生は恋愛描くの下手だし、ラブコメはもっと下手ですよ(笑) 上手いのは、「武骨な純愛」です。パーン×ディードもそうだったし、オルソンとか(涙)

ロードスもそうですが、水野先生はキャラモノの作家なんですよ。ストーリーは王道でも、キャラに魅力があって、心が熱くなる展開があれば、それでOK! 整合性とか、知ったこっちゃありませんw

え? お前(剣道部)がこれまで書いてきたレビューと違う?

いや、惚れた者の弱味ですよw 基本的に、ハナから全肯定ですから(笑)

じゃあ、なんで☆5じゃないのかと言われれば、それはやはり、1000以上アニメを観てきた上での矜持というか。「覇穹 封神演義」を思わせるテンポの早さ。感情移入する前に死んでいくキャラクター。熱くなる前に収束する戦。これは、アニメスタッフの問題であり、水野先生のせいではないので、ダメ出しします(でも、水野先生がシリーズ構成やってるから、擁護しきれない)w

まあ、なにはともあれ、2クールでキッチリ完結させて、ハッピーエンド。視聴後は爽やかになれるはず。昨今、完結する戦記モノは珍しい!

先文明と同じ失敗をさせないために、混沌(灰色)の時代を維持しようとする影の勢力ってのは、ロードスと全く同じで、ファンならニヤリ。

ベストバトルは、ラシック隊vsサイクロプス戦。ちゃんとサブキャラ活躍し、連携したし。グラック、格好よかったな♪ 終盤に何人か味気なく死んでしまいましたが、原作なら多分丁寧に描かれているはずです。水野さんは、キャラを使い捨てにする作家じゃないし。ただ、アニメ尺であれば、味方ならヴィラールとプリシラ以外は死ななくてもなんとかなったっぽいので、せっかく、水野さんが制作に絡んでいるなら、(アニメでは意味をもたせきれない死なら)思いきって原作改変するのもアリだったとは思います。

まあ、批判される理由は、観ていて分かりました(苦笑) でも、私は楽しめたから良いんです♪ アニメなんて所詮、嗜好品ですから♪

こういう王道のファンタジー、一期に1つはほしいけど、イマイチ人気ないんだよな~。
{/netabare}

【余談~ どうせ水野作品でアニメ化するなら ~】
{netabare}
私は「ロードス島伝説」を推薦しますね。

「ロードス島伝説」は、「ロードス島戦記」の30年前を描く、いわゆるエピソード0の作品。全5巻でキッチリ完結していて、グランクレスト戦記(は10巻だから)の半分だから、2クールかければ、かなり原作を丁寧にアニメ化できたはずです。

派手な戦もあるし、男性女性まんべんなく良キャラがいて、キャラ数も極端に多くはなく、敵も分かりやすいので、「グランクレスト」よりも、アニメに向いていると思います。

また、「ロードス島戦記」を知らずとも楽しめる作品になっているため、初心者も入りやすい。勿論、ここからロードスの世界に、そして、フォーセリアの世界に誘うにしても、良い作品だと思います。

ここで、水野先生が「キャラもの」の作家だという一例を。

この「伝説」は、「戦記」に出てくる「六英雄」といわれる人達が、どのように英雄になったか(若き日)を描くために、企画が始まりました。この「六英雄」は、「戦記」の中でも屈指の人気を誇るキャラ達であり、その強さは対等に描かれているため、誰を主人公にすることも出来ませんでした。そこで水野先生は、「ナシェル」という主人公を生み出し、彼の視点から六英雄の活躍を語らせようとしました。ナシェルは語り手であっても脇役。あくまで六英雄が主役の物語、、、だったはずなのに、作品を書き進めるなかで、このナシェルが大暴れ大成長。最終的には、完全に六英雄を食う成長を見せ、結果、「伝説(外伝)」は、「戦記(本編)」に一切登場しない、ナシェルの物語となったのです(笑)

水野先生は、超遅筆の作家で、「キャラが動かないとストーリーを作れない」と公言しています。また、「キャラが動き出したなら、自分が想定していた物語が変わることを厭わない」作家でもあります。水野先生は、自らの生み出したキャラを大切にしていて、彼らに命を吹き込み、彼らの動いた結果を物語としてまとめています。だから、良いキャラを生み出せた時の水野作品は凄いんですよ。この「ロードス島伝説」は、それが一番分かりやすい作品だと思っています(てゆうか、ハリウッドに実写化もしてほしい)。

「グランクレスト戦記」ですが、正直、微妙でした。でも、原作読んでないんで、原作ならもっと丁寧に描いていると、私は信じています。

まあとにかく、アニメ制作会社の皆様、もし、拙者の拙いレビューを見てくださっているなら、(メッチャ古い作品ですが、あのドラマ性は色褪せないの で)是非次は、「ロードス島伝説」を最低2クールでアニメ化してくだせぇ。お願げぇしますだm(._.)m
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
大きなストーリー、小さなストーリー。女性主導の展開に、志だけは高く、性質的には草食系の主人公。ある意味、現代的なのかな?

2話目
神輿になれる主人公、ね。多分、かなり駆け足なんだろうけど、こうやって仲間が増えていく過程は凄く好きです。

3話目
ん? そっち? 分かった上で傀儡にしてたんじゃないの? 多分これ、原作を省きすぎだよね。よく知らんキャラもいるし。色んなシーンを、もっとゆっくりしっかり観たいな。なんなら、ここまでで1クール使っても良いからさ。

4話目
いや~、暴速テンポだな。そりゃ批判もされるわ。つか、水野先生、昔から恋愛描くの下手なんだから、無理しない(笑) (水野先生か描くのが素晴らしく上手いのは、無骨な純愛ですよ♪ パーンとディードもそうだけど、オルソンとかね、涙)

5話目
勢力拡大。ゆっくり観たいな~。

6話目
テオがパーンで、ディラークがカシューみたいなイメージなのかな? いや、だから、水野先生はラブコメ下手なんだってw テオが、王を目指すか。だから、知らんキャラが(汗)

7話目
一転突破の戦力と、無血開城か。綺麗事過ぎる感はあるが。まあ、住民にとっては、連合やら同盟より、領主だろうしね。

8話目
ちゃんと惚れる過程を描くのはイイね! こういう会議では、綺麗事(大義名分)というのは強いよね。

9話目
基本的に、戦力増強は、早送り(苦笑) こういう展開、やっぱり、下手(笑) 貧者の核兵器だね。非人道的ではあるな。う~む、姫の覚悟か。

10話目
ミルザーは今のところ好きくないな。だったら、お前自身が剣1本で大陸を統べる野心をもてよと。いや、シェーンコップかよ(笑)

11話目
うーむ。やはり、知らんキャラが(汗) 好色伯、今のところ一番良いキャラなんだけどな。ザンネン。

11.5話
まあ、分かりやすい総集編だったかな。

12話目
死してなお、何を成すか。なかなか面白い展開。

13話目
住民の蜂起。今みたいにネットがない時代なら煽動は難しいわな。

14話目
トリシラのチート感といったら。戦い方もゴリ押しだし。でも、許す(笑) かなり甘いけどな。

15話目
認めちゃうんだw ミルザーを雑魚っぽくするのは良いけど、それやっちゃうと、同時にヴィラールの価値が下がるんだよな。

16話目
基本的に、内政の失敗が戦の敗北に繋がるという構造が続いているね。まあ、全裸で士気が上がるかはさておき、士気の高揚は大事だよね。

17話目
一騎討ちで勝つ、ね。大分強くなってきたな。敵を倒すとレベルアップというのが、分かりやすい。ゲーム化狙い?

18話目
戦力が集まっていく感じ、好きだな~。キャラを使い捨てにしないのは、水野先生らしい。ついに、アレクシスが立ったか。動機はさておき、胸熱だな~♪

19話目
集団戦闘は、軍記モノの華。もう少し、格キャラの紋章の効果を説明しても良かったかも。

20話目
良い感じにまとまったな。クサカッタけど(笑) まあ、トップの3人がツーカーだから、茶番と言えば茶番なんだよね、この大戦。

21話目
通信と魔法の消滅は痛いな。大戦と一転し、人間ドラマに。

22話目
ロードスにもあったな、聖戦。ファリスの大神官しか使えない大魔法。説得するのは、相手のボスではなく、信者達。プリシラがいるのが計算外だったとはいえ、信者を同席させたのは失策だったよな。命をかけて、は分かるけど、やっぱりプリシラは死ななくても良かったかなと。多分、このシーン、(プリシラを丁寧に描いたであろう)原作なら、かなりのクライマックスなんだろうな。

23話目
プリシラの死によって、一皮剥けたテオ。短いけど、大事なシーン。ラシック隊vsサイクロプス戦、良かったな。ちゃんとサブキャラ活躍し、連携したし。グラック、格好よかったな♪ 組体操(笑) なるほど、プリシラから「預かった」聖杯が、テオの無茶を止める役割もあるんだね。

24話目
聖杯、強ぇな。まあ、アンデットみたいなもんだし、効果は抜群だな。先の文明の同じ失敗をしないための、混沌。灰色の世界の維持。このへん、ロードスと同じだね。新国家を支えるのが、血筋でもシステムでもなく、理念というのはイイね。ダブル結婚式♪ なるほど、猫ちゃんも浄化されるか。そして、地元に戻る。ハッピーエンドだな~。墓参りも忘れない。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 28

61.1 6 教会で戦争なアニメランキング6位
トリニティ・ブラッド(TVアニメ動画)

2005年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (98)
760人が棚に入れました
世界すべてを巻き込み核兵器、細菌兵器などが飛び交った大災厄(アルマゲドン)の後、人類の文明はほぼ破壊され、人類の生存圏はヨーロッパ周辺にまで狭められ、文化・生活水準は中世まで後退した。更に追い討ちを掛けるように現れた吸血鬼(ヴァンパイア)との戦いに人類は教皇庁を中心として辛うじて勝利した。しかし、彼らを完全に滅ぼした訳ではなく、ヴァンパイア達は真人類帝国を築き小競り合いを続けていた。そして長い時の後、教皇庁と帝国の境、イシュトヴァーンに一人の巡回神父が降り立った時、時流は再び流れ出した。人類の遥か未来を描く遠未来黙示録。

声優・キャラクター
東地宏樹、能登麻美子、中井和哉、本田貴子、大川透、生天目仁美、松岡由貴

柚稀 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

我願う…汝、異なる者たちを繋ぐ“星”とならんことを…

-これは遠い未来の話だけど、僕達以上の文明の進化はみられない。

-ただ僕がいる世界と違うのは、人類と(どこからやって来たのかは知らないけど)吸血鬼が同じ地球上、
それもなんでか知らんがヨーロッパ付近でなにやらいがみ合っている、ということ…

-そしてさらには“吸血鬼の血を吸う吸血鬼”の存在。

-種族間の争いの果てとは…?


吸血鬼たちは自分たちを【メトセラ】と呼ぶ。
どう間違っても“ヴァンパイア”とは言わない。差別的意味合いになるそう。
ちなみにヴァンパイア退治でお馴染みのニンニクとか十字架は彼らを退治する道具とはならないので注意w
日光は苦手のようだけど…

そんな吸血鬼たちは人類を【テラン】と呼ぶ(やはり差別的意味を含む)

そして吸血鬼の血を吸う吸血鬼は【クルースニク】と呼ばれ、今作の主人公【アベル・ナイトロード】はここに属する

人類と吸血鬼はそれぞれ独自の国家を築いており、
【アベル・ナイトロード】は表向きは“神父”だが、【教皇庁:人類側】の派遣執行官として国家間の裏のお仕事をしている。

そして、普段はちょっとお間抜けさんでお人よしな彼ですが、秘めた力【クルースニク】の状態になると、
恐ろしや…恐ろしや…(`・д´・;)

そんな彼が神父として各地を巡回する任務についていて、出会ったのが今作のヒロイン、シスターの【エステル・ブランシェ】

そして見た目によらず、なかなか強情で、気の強いしっかり者エステル嬢に心奪われたのが、【真人類帝国:ヴァンパイア側】の伯爵さま、【イオン・フォルトゥナ】
伯爵さまといってもパッと見はなんとも可愛い少年。

柚稀はこのイオン×エステルの恋模様が気になっちゃったのですがwイオンが可愛すぎる(*゚∀゚)=3ハァハァ
もう、血が欲しいのなら思う存分吸ってくれ、の領域ww
種族を超えた恋は成就するのか!?┣¨キ(*´ェ`*)┣¨キ

ただ、ヴァンパイアは人類よりも遥かに長生き・・・・・
彼は老いるまでにウン百年かかるから、いつまで経ってもピチピチなのに、
自分だけシワッシワのおばあちゃんになるなんて・・・、
乙女としては耐えられないわ!ギャァ────(艸Д<ll)────ァァ!!

・・・と、どーでもいいであろう心配をしてしまったのでしたww

まだまだ続きがありそうな本作-。
しかしながら、作者がもうこの世にはいないそうで、
続きはあの世に逝ってから直接教えてもらうしかなさそうです…。
てか、あの世で会えるでしょうか??(`・д´・;)
執筆していてくれるのを願って-。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8

color さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ヴァンパイアこわ~い

それより神父とシスターの方がよっぽど怖い
ヴァンパイア真っ二つですもん(´∀`*)ウフフ

人間とヴァンパイアのスプラッターバトルもありますが政治的駆け引きもみどころ
仲間を裏切るなんて朝飯前だぜ(`・ω・´)キリッ

世界を壊滅させたアルマゲドンの後
人類はヨーロッパでしか生きれなくなったらしく
なぜか文化も中世まで後退するというおいしい設定(笑)

雰囲気重視の世界観でそれはまぁいいんですけど、
重要なのは教皇庁と帝国の対立という構図
これはあからさまに、教皇庁(人間)=キリスト教 帝国(ヴァンパイア)=イスラム教
ヴァンパイアといっても外見は人間と同じで
吸血も絶対しないと生きれないってわけじゃない
そういう相手との対立なので冷静にみれば「なんで争ってるの?」という皮肉とも取れます

どちらの組織にもお互いの共存を望む穏健派と
自分たち以外の種族を殲滅させようとする強硬派があって
内部での権力抗争に辟易してる面も描かれます

そんなふたつの組織が数百年ひっきりなしに小競り合いをしていたところに
第三勢力が現れて戦局に変化が起き
それは教皇庁側の神父アベルの秘密とリンクし
世界の未来に影響を与える戦いへと変化していきます

いい材料が揃ってるわりに、各エピソードはそれほど戦略的なはなしがなくてちょっと残念
しかも困ったらけっこう単純にバトルしちゃいます(笑)
神の御心のままに殺しまくりなので
宗教観とかを深く考察するのはご法度です(ノ∀`*)ンフフ♪

帝国から教皇庁に来た勅使イオン(ヴァンパイア)が
本作のヒロイン、シスター・エステル(人間)に恋するはなしがすごくよかった
イオンが可愛すぎて困る(*´Д`)ハァハァ
だが男だ。
美少年!
だが男だ。
一瞬百合展開かと思ったわ~(・∀・)ニヤニヤ
べ、別に期待してなんかないんだからね!

脱線?してないよ(ヾノ・∀・`)ナイナイ

オープニングはBUCK-TICKの「ドレス(BLOODY TRINITY MIX)」
最初のつかみはバッチリです
この曲が気にいれば本編も好きになる素質ありだと思います

ちょっと暗い雰囲気でちょっと政治のはなしがあってちょっとグロいヴァンパイアものです
ちょっと中途半端なところもあるけど良い掘り出し物でした♪

投稿 : 2024/11/02
♥ : 12

りんのす さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

中嶋敦子

原作は作者が亡くなってしまったので未完。
とても素敵な作品なので吉田直さんの書かれる最後が読みたかった…。

放送当時、中嶋敦子さんの絵が大好きで、原作もすきだったので迷わず視聴。

GONZO制作なのでメカの表現はさすがだったし、細部までこだわった美麗な絵だった。ただキャラの顔が回(作画担当)によってかなり変化してしまうのは残念な点。

原作を読んでいる身としてはアニメオリジナルストーリー、登場しないはずのキャラクターの登場や続投にはやはり違和感を覚えてしまった。
特にラストは仕方ないなという気持ちもあるがやはり納得できない未完ならではの残念な終わり方だった。

ラストへの展開も話数が圧倒的に足りていないのか、消化不順で見る側を置いていっている。原作者追悼の意も込めて制作されたアニメではあるが、原作未読者は見るなと言わんばかりの展開だったと言わざる終えない。

それ以外は素敵な作品だと思う。
絵が綺麗なこともさることながら、私がこの作品で一番評価しているのは音楽。OPは苦手だが、他、ED,BGMは大好きでOSTを聴くだけで盛り上がるし感動する。この作品のOSTは数あるOSTの中でも私の中では1、2を争う大好きな音楽がつまっている。

題材や、絵、声優、その他が苦手で見たくない人にはOSTだけでも聞いて欲しい。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 4

66.6 7 教会で戦争なアニメランキング7位
白鯨伝説(TVアニメ動画)

1997年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (40)
195人が棚に入れました
『白鯨伝説』(はくげいでんせつ)はNHK衛星第2テレビジョンで放映された番組「衛星アニメ劇場」内で1997-1999年にかけて放送されたTVアニメシリーズ。ハーマン・メルヴィルの小説「白鯨」をモチーフに、監督の出崎統が長年温めていたアイディアから制作したSFアニメである。出崎統・杉野昭夫の共著「アニメーション制作技法~『4701白鯨』を創る~」誌上の題材「4701白鯨」が原案となっている。

rurube さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

衝撃的名作。

宇宙に人類が進出し数多くの宇宙船が行き来していた時代から数十年、宇宙バブルは終わり宇宙には廃棄された宇宙船が残された‥。
エイハブ船長のエイハブカンパニーは廃棄された宇宙船から物資を集めブラックマーケットに流す仕事を縄張りとしていた。彼らは鯨獲り(宇宙船が鯨に似ているから)と言われどんな商品も調達する命知らずの集まりだった。そんな折、エイハブに一人の少年ラッキーが仕事を求めやってくる、しかし彼には大きな秘密があった。厳しい試練に耐えエイハブカンパニーの一員になったラッキーに最初の仕事が入る。その仕事の途中一体のアンドロイドを発見、アンドロイドは政府に管理され一般人が所有する事は禁止されていた。そしてアンドロイドのデュウとの出会いはこれか巻き込まれる大きな事象のはじまりに過ぎなかった。
ラッキーの秘密とは彼の母性である資源惑星が役割を終え、新兵器の実験星に選ばれたのを阻止する事だった。その新兵器の名前は『白鯨』 白い巨大な鯨のような宇宙船であり一度起動すれば星一つを消滅させるエネルギーを放出する。ラッキーの兄は反政府運動をしており今回この計画の中止を求め宇宙一の鯨獲りであるエイハブに協力を求める為にラッキーをエイハブのもとに行かせたのであった。
ラッキーから話を聞き少なからず『白鯨』と因縁があったエイハブは協力する事を容認、ラッキーの母性である惑星モアドに急ぐ。しかし物語が進むにつれある真実が明かされるアンドロイドのデュウは宇宙船 『白鯨』 に何かあった時の代わりとなる起爆装置だったのだ‥。
大きな事象巻き込まれるエイハブカンパニーは何処に行き着くのか‥。

この話、映像も物語りも情熱も詰まっているが悲しくも金が無かった。もともと36話を予定していたが金銭的な問題や制作元が倒産してしまい紆余曲折して24話。話が途中で飛ぶのと制作が追いつかず歌の挿入などで尺を誤魔化していたらしい。観ればその部分は分る。権利も他の会社に譲った問題なのかDVDも手に入らないし視聴が困難で最後まで観れていない。
けれどこの作品に対する監督の熱意には感服せざるおえない。けして奇を狙った訳ではない独特の作画・重厚なストーリー・そしてエイハブ船長の魅力。この作品に掛けた思いが伝わる作品だった。

エイハブ船長の魅力について少し記述したい。
ラッキーの母星である惑星モアドでラッキーの兄 シロー・トキサダ(元ネタは天草四朗)との会話
「俺が神様に頭を下げたのは孤児院の教会で牧師様からココナッツチョコレートそせしめる時だけだった。水を挿すわけじゃねーけどよ‥言いていことは言わせてもらいたい。」
「どうぞ」
「なにかい?この戦は神頼みかい。それでこっちは皆心が清らかで神様に許されて清く正しいお人びとが自由の為にって言うやつなのかい?断っておくが俺たちは、いや少なくとも俺は清くも正しくもねーぜ。」
仲間と言い合いして
「清く正しい戦争なんてねーってことよ。分ってんのかなラッキーの兄さん?どんな理由にせよお互い勝ちに行くには相手をぶっ壊したり殺したりしなきゃなんねーんだ。」
「分っています。」
「分ってねー!分ってたら神様に力を借りたいなんて言えねーはずだ!相手を殺すために力を貸してくれる神様なんぞは本物じゃねー。いいかい神様なんてのは自分が散々好きな事やって最後にすんませんでしたってせいぜい許しを願っておしめーよ。そんなもんよ!」
近づくエイハブ
「俺が何が言いてえか分るかい?危険なんだよ神様とかなんとかを戦争に持ち込むのはよー。命がよ安くなっちまうんだ、神様のためだとか言ってぽんぽん命捨てちゃう奴が必ず出てくるんだ!そういうのだけはよ俺は我慢ならねーんだ。そういう戦争をよ俺は何度も見て来た人間はさ生きてて何ぼだぜ。勝利の為に死ぬ奴より負けても生きてる奴の方が俺は偉いと思っている。もしもあんたの性で誰かが安っぽく死んだら俺はその瞬間にこの星とおさらばするぜ。」
「分りました。」
「分っちゃねーと思うがよ‥まーそういう事だ。」
「でも‥それはきっと貴方が強い心の持ち主だから、力の無いもの弱いものが戦いに望むには何かの力が必要です。」
「馬鹿やろう‥弱い奴ってのが何処にいるんだよ 生きてるって事はな強いって事よ!! どうもな駄目だあんたとは馬が合はねー、ラッキーとは合上手くやれんのによー。」 15話より

多分この台詞が描きたくてこの作品を作ったと感じる。この台詞には監督の人生・台詞の美しさを損なわない洒脱・音の美しさ全てがそろっている。アニメ史に残る名言。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 12

になち さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

大好き

小さい頃に見た名作。
キャラ、音楽、世界観、すべてが好きでした。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 0
ページの先頭へ