指名手配で兄弟なTVアニメ動画ランキング 3

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の指名手配で兄弟な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月08日の時点で一番の指名手配で兄弟なTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

87.6 1 指名手配で兄弟なアニメランキング1位
オッドタクシー(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (661)
2216人が棚に入れました
平凡な毎日を送るタクシー運転手・小戸川。身寄りはなく、他人とあまり関わらない、少し偏屈で無口な変わり者。趣味は寝る前に聞く落語と仕事中に聞くラジオ。一応、友人と呼べるのはかかりつけでもある医者の剛力と、高校からの同級生、柿花ぐらい。彼が運ぶのは、どこかクセのある客ばかり。バズりたくてしょうがない大学生・樺沢、何かを隠す看護師・白川、いまいち売れない芸人コンビ・ホモサピエンス、街のゴロツキ・ドブ、売出し中のアイドル・ミステリーキッス…何でも無いはずの人々の会話は、やがて失踪した1人の少女へと繋がっていく。

声優・キャラクター
花江夏樹、飯田里穂、木村良平、山口勝平、三森すずこ、小泉萌香、村上まなつ、昴生、亜生、ユースケ、津田篤宏、たかし、村上知子、高井佳佑、フェニックス、浜田賢二、酒井広大、斉藤壮馬、古川慎、堀井茶渡、黒田崇矢、汐宮あまね、神楽千歌、METEOR
ネタバレ

TAKARU1996 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

We Are The (Odd) World

「羊の皮を被った狼」という言葉があります。
物事は見かけによらない事を唱えた慣用句で、古くは『新約聖書』のマタイ7章15節を起源と据えた、由緒正しき文言だそうです。
この遥か昔の厳しき時代から、人間は全ての事象を容易に分かった振りする行為程、愚かな事はないと伝えてきました。おばあちゃんをも超越させた昔昔の知恵袋。最早開闢の始祖レベルの処世術です。


当時、その事実を初めて知った僕は何だか妙に感心したのを憶えています。
へえ、そんな古くから大切な事を伝えていたんだなあ。騙されない為に、傷つかない為に、殺されない為に。狼の食餌から逃れられるよう心しておけ。
先人達もずっと同じ事を大事に大事に伝えてきたんだ。大切な教えってヤツは色褪せないんだなあって、のほほんぼんやりと考えていました。
でもね、物心ついてから思ったんですよ。感心している場合じゃねえぞって。他人事みたいにそ知らぬ振りしてんじゃねえぞって。その時確かに強く感じたんです。


『オッドタクシー』とは有体に申せば、そんな危機感による「想起」を僕等に植えつけてくるアニメと言えます。
『アクダマドライブ』程ではないにしても、テレビ東京以外ではAmazon Prime Videoでしか無料配信されていなかった(U-Nextでは有料配信)ので、初めてその名前を聞く人も多いんじゃないでしょうか。
『オッドタクシー』が凄まじいのは第1話を観て頂けると充分分かると思うんですが、恐らく観た方の誰もが口を揃えてこう語るでしょう。

本作は、此元和津也氏による「脚本」が兎角素晴らしい。

登場人物達が綴るセンスの塊会話劇に加えて「練馬区女子高生失踪事件」と言うサスペンス要素を取り入れ、先の展開を期待させる雰囲気構築が実に上手いです。
そして何より群像劇、会話劇、推理劇。どこへ着目してもお釣りの来る深みが齎されます。絶妙に上手くキャラが絡んでくる矢先、新しい関係を一部描写でチラッと人知れず提示してきます。掛け合いを聞いているだけでここまで面白可笑しく進行していくリアリスティックなアニメはあまり観た事がありません(映画やドラマなら結構あるんですがね)
特に「会話劇」が紡ぐ面白さってのは、アニメで初めて拝見出来たような気がするんです。聞いていて違和感のない、アニメだなあと良い意味で思わない台詞の数々、会話の節節。無駄にハイテンションだったり、話し合いに違和感を覚えたり、実際こんなヤツいねえだろと思わせてきたりするモノはどこにも居ません。皆が僕等の住む世界に人知れず居そうな。姿形が動物ってだけの、実に人間らしい奴ばかりが多く登場してくるんですね。
そしてその中でも際立っているのが「キレのある台詞」です。此元和津也氏が綴るキャラクターの口調は、その動物達が生きているように感じさせる程、人物を見事に上手く立たせています。
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「俺は質問されると選択肢が5つ位出てきて、その中からどれがベストか、そして誰も傷つけてないかを考えるから時間がかかるんだ。あんたは思いついた事を何も考えずにぱっと応えるから早いだろうけど」
「早速傷つけたじゃん」

「気持ちわりい。スタバで原稿って言う謎のクリエイターアピールも余計だし、面白い現場を見たのみならずそれをこんな端的に伝えちゃう私、マジセンスの塊っしょ!っていう隠しきれない自惚れ感も気持ちわりい」
「物凄い嫌悪感露わにするじゃん……」


『オッドタクシー』1話 小戸川・樺沢
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例を挙げるなら、第1話の小戸川と樺沢の会話……ファーストインプレッションが重要な物語において、捻くれたキャラクター性に溢れる主人公の魅力が存分に発揮されており、掛け合いの中で「この主人公は絶対好きになれるヤツだ」と、数分で確信出来ました。


しかしそもそもにして、名作を冠するに余りあるトップスタートだったと、今でも強く感じるんです。
不思議な悪夢を見て飛び起きたタクシードライバー、小戸川の描写から幕を開け、偶々つけたラジオではホモ・サピエンスってお笑い芸人がラジオで不満を綴る中、様々なキャラがしれっと登場。そして流れるミステリーキッスの『超常恋現象』と言う第1話冒頭の場面から、僕は既に惹き込まれていたと言えます。「このアニメ、本気で来てるな」と強く感じてから、小戸川と剛力の「ブルース・スプリングスティーン」が突入してきて、見事に笑ってしまったので、視聴継続を確定しました。
そして、そんなキャラ達が紡ぐやり取りの中で、1つの大きな軸となっているのが冒頭で語られる「練馬女子高生失踪事件」です。繋がりを推理する想像の面白みを与え、キャラクターそれぞれの行動原理も考えさせる奥深い構図と成っています。Youtubeにて投稿されたオーディオドラマも証拠に据えて、樺沢のTwitterなんかも見たりして、女子高生の行方と犯人を突き止めようと考察していく過程が堪らなく面白かった次第。リアルタイムで放送を追えた事に深く感謝したいなあと、深く思えた時間でした(因みにアニメ内だけでも証拠は揃っているので考察可能なり)


要するにこの『オッドタクシー』と言うアニメは、そういった「魅せ方」と言うのを心得ている製作陣のセンスの良さを、非常に色濃く感じるんですね。
特に脚本家もしくは物語を書く人に、特に観て欲しいアニメと言えます。気になっていた主要の伏線を全て回収する手際の良さは然る事ながら、その中に展開の盛り上がりを据えて丁寧な帰着、その後凄まじい引き際を見せつけて、先の行方を是が非でも観たくなる着地構成は、多くの方が参考にして欲しい名展開と化しました。
「会話劇」だけならただの色物コメディとなっていたかもしれない所に、物語性の基盤となる「群像推理劇」をもう1つの基軸に据えて。会話だけで面白くさせながら展開を進めていく脚本を、魅力溢れる動物が紡いで。キャッチーな魅力に溢れた演出や音楽で引っ張っていく、油断も隙もない作品です。
決して可愛い動物達が紡ぐ子供向けアニメなんかじゃない。令和を象徴する傑作アニメと全13話観終えた直後に確信出来た、大傑作のプロフェッショナルアニメでした。



最後まで観て思った事
{netabare}
そしてそう思ったからこそ、観ていく内にド嵌りしていく中で分かっていく1つの事実が恐ろしいんです。『オッドタクシー』が伝えてきたメッセージの恐ろしさに、視聴後の僕等は心底恐怖します。
可愛い動物達の会話劇で上手くコーティングされていますが、本作が紡いでいるのは「徹底的なリアリズム」です。
やっている事が兎角えげつない。本当に怖すぎる。これがアニマルチックに脚色されていなかったら、気持ち悪すぎて直視出来ない部分も多々あります。
描かれた自然主義の厳しさと、臭い物に蓋をした上で徹底的に隠蔽された煌びやかな理想。その圧倒的なギャップの落差に寒気がして「そうか、これが勧善懲悪では終わらない『現実』の奏でる怖ろしさなんだ」と、僕は甚く戦慄したんですよ。


だからこそね、僕等はね。『オッドタクシー』を観て「羊の皮を被った狼」ってヤツを心に留めておかなければいけないんです。騙されない為に、傷つかない為に、そして食べられない為に。それは寧ろコミュニケーションツールが発達しすぎた現代だからこそ、身に沁みておく必要があるんじゃないかと思うんです。
不条理な世界の隠蔽は未だ全てが解明された訳じゃなく、そこかしこにSNSでも掴めない「闇」が隠されています。いたいけな存在を狩り尽くしてしまう狼は、もしかすると貴方のすぐ近くにいるかもしれない。赤頭巾ちゃん気をつけて!と忠告しても遅い世界が、僕等の佇む世界かもしれない。
人間誰しも何かしら、多くのものを抱えている。
だから相手をわかった気になる事程、怖いものはないかもしれない。そいつが放つ行動が、もしかすると自分の運命すらも一変させてしまう、世に放ってはいけない類の産物と化すかもしれない。
最後まで狼たっぷりの世界。彼が「どちらまで?」と尋ねて向かう先は、果たして地獄か天国か?
行先不明。奇妙なタクシーが未だ動き続ける道の先に、僅かでも幸運が舞い降りてくる『理想』を思わざるを得ない。それが視聴後、僕が至った喪失感そのものなのでした。
{/netabare}



だからこれは「羊の皮を被った狼」
『オッドタクシー』を簡単に纏めるとするなら、これはそんな物語。文字通り、一生忘れられない物語です。
「何このアニメ、知らない」って思った迷い人の貴方、今からでも遅くありません、即刻観ましょう。孤独な街の片隅で車を走らせるタクシードライバー小戸川と、彼を取り巻く動物共の会話劇サスペンスに酔いしれましょう。
誰もが心に空虚感の中で交わされるやり取り、退屈凌ぎの群像劇も作中に彩を添えて、つまらん現実を刺激的に楽しませてくれました。練馬区女子高生失踪事件の犯人は誰か。考えながらオーディオドラマと合わせて視聴してみると、更に面白い事確実でしょう。
間違いなく、今期どころか今年のアニメを代表する作品です。多くの人に観て欲しいなあと感じた全話終了後の喪失感でした。



そしてどうか視聴の際は、覚悟を抱いてお臨み下さいますように。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 13
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

しっかりと交錯した人間関係から事件が起こる一級品のミステリー

人間社会の”ジャンクション”であるタクシーと運転手。
そこを起点に世間の闇や、起因する事件を暴きつつ巻き込まれて行く、
ミステリー要素を盛り込んだ1クールのオリジナル群像劇。


【物語 5.0点】
事件は社会を映す鏡である。
よくニュースのコメンテーターが不可解な事件の解説でお茶を濁す時のセリフ。
が、本作の事件は本当に社会を映し出すような説得力がある。


社会にひしめく他者と折り合い、
呼吸するために吐き出したどーでもよい掛け合いに込められた皮肉など、
ホントあるわwと共感してしまうセリフ回し。
これを接着剤に構築した人間関係に惹きつけられるハイセンスな脚本。

事件の法的責任は確かに犯人にある。
だが無関係に思われる市民が支持したお笑いやアイドルのトレンドとか、
スマホゲームとか出会い系とか。
時代が孕んだ空気が巡り巡って事件発生の土壌を形成する様に何度も首肯させられる。

たった1人の狂人のみで事件が完結するはずはないが、
時代は悪を一手に引き受けるヒールという単純な勧善懲悪ストーリーを渇望する。
本作はネット動画やSNSを通じて、スケープゴートを求める集団心理や、
それを焚きつけるSNSの承認欲求依存までも事件の背景に組み込んで来る。

時代を映しとる。その解像度の高さに目を見張る。


【作画 4.0点】
アニメーション制作はP.I.C.S.とOLMの共同。

細密でリアル志向のシナリオとは対照的に、背景、作画はデフォルメ重視。
混線しがちなミステリー人物相関図を把握するには、
記号として有用なアニマル顔のキャラデザは鉄板。
例え人名把握が追いつかなくても、性格含めてスルスル入って来ます。
ホントこれで皆なんで人探すのが苦手なのか不思議ですw

これは密度を抑えた背景から整理しやすい日時や場所、
デザイン簡略化された小物から発見しやすいキーアイテムも同様。

それでいて表情描写は心情を深く反映し、
アニマル顔が単純な記号に留まらないことを証明。
最終話のキャラ描き分けについては、私は驚きよりも、
内面から人物描写していたんだなと確認できた納得と喜びが上回りました。

一方、CGで構築されたタクシーはチェイスシーン含めて凡庸。
但しクライマックス{netabare}満月の中に舞うタクシー{/netabare}は中々のインパクトw


【キャラ 4.5点】
主人公のタクシー運転手・小戸川。
デ・ニーロの『タクシードライバー』ほどやさぐれてはいないが、
偏屈で他人と関わりを持ちたくない人物。
が、社会に出ていれば、ましてタクシーなどという交差路にいれば、
何気ない言動が事件に関わったりするし、
思いがけず、誰かを不幸にしたり、幸福にしたいあの人を想ったりもする。
小戸川自体にも謎が多く、その興味も視聴動機となる。


緻密な人間関係の描写から、
これは一人ひとり掘り下げたら相当深い人間心理を見せてくれるのではないか?
その手応えは「田中革命」、ある人物の半生深堀りで確信に変わる。
この一撃があったことで、ますます人物の掛け合いに実在感が増す好循環。
事件のアリバイやトリックよりも、そのキャラの動機や真意を知りたい。
振り返れば、この時すでに、タガは外れていたんだと思うw


【声優 4.5点】
揃いも揃って特徴的。
主人公・小戸川役の花江 夏樹さんの屈折を含んだおっさんボイスなど、
中毒性が高い声が飛び交う。

想定以上の作品好評を受け、YouTube公式にアップされた幕間ボイスドラマ。
そこで声を聞いただけで、セイウチやらイノシシやらの顔が浮かんで来るのはお見事w

キャストは基本声優陣だが、
漫才コンビの「ホモサピエンス」役には実際にM-1に挑んだお笑いコンビ・ダイアンを起用するなど、
適宜、本物の声にこだわる。

その流れで変化球だったのはラッパー・METEOR(メテオ)の参加。
軽快に韻を踏み、自己を押し通す危険なヤマアラシ・ヤノ役を熱演。


【音楽 4.0点】
劇伴はPUNPEE氏らHIP HOPシーンのアーティストが担当。
普段は会話劇を邪魔にならないフレーズの繰り返しで下支えする、
ミニマル・ミュージックに徹する。
が、ヤノが韻を踏んだり、アルパカがカポエイラを披露するシーンでは前に出てノッテくるw

OP主題歌もPUNPEE氏が澤部 渡氏のソロプロフェクト・スカートとコラボして制作した「ODD TAXY」
HIP HOPにアコースティックギターやサックスも絡んだ、猥雑な夜の街を思わせる、混沌とした構成に、
哀愁漂うハイトーン男性ボーカル。
OPアニメのチョークのかすれ字の如きテロップと合わせて何とも言えない渋味を醸し出す。

ED主題歌は作中で地下アイドル「ミステリーキッス」センターも演じた三森 すずこさんの「シュガーレス・キッス」
みもりんも、どうやって歌い分けているのか不思議なくらい多彩なボーカルを発する声優アーティストですが、
本作ではポップなナンバーに合わせて“甘い嘘はいらないわ”などと萌える高音の虚像を飛ばして視聴者を幻惑。


【感想】
今春4月1日に公開予定の劇場版『オッドタクシー・イン・ザ・ウッズ』
鑑賞者は何を目撃させられるのか?
この濃厚な人間描写ならTVアニメ版を別角度で描いても、
その上で新展開を続けても、例え、大嘘を見せられても面白そう。

今年のエイプリルフールは楽しくなりそうです♪

投稿 : 2024/11/02
♥ : 44
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

アメリカ的な種の混沌

アニメーション制作:P.I.C.S.、OLM Team Yoshioka、
監督:木下麦、脚本:此元和津也、
キャラクターデザイン:木下麦、中山裕美
音楽:PUNPEE、VaVa、OMSB

絵の雰囲気、話の流れなど、
観るまでのハードルが高い作品かもしれない。
しかし、観始めると良質なシナリオと
連続する謎によって視聴者をグイグイ引っ張る。

登場人物たちが全員動物というのが、
普通のミステリーが得意でない人にも、
新鮮な気持ちにさせてくれる。
まさに私がそうだった。
正直、私はミステリー作品に完全に飽きているので、
そもそも、ほぼ興味が持てないし、
よほど良質なものでないと、
余計な思考ばかりが頭を巡って作品を楽しめなくなってしまう。
しかし、この作品の場合、動物のキャラクターが
そういうミステリー作品鑑賞時の弊害を
ある程度、無効化してくれるのだった。

この作品に興味を持ったことのひとつが、
アメリカの犯罪小説に影響を受けていると
想像できることだった。
日本の昔の犯罪小説やハードボイルドものだと
横溝正史や江戸川乱歩、京極夏彦たちに加え、
大藪晴彦や西村寿行、森村誠一、大沢在昌あたりが挙げられるが、
その影響は皆無に思える。
ところが、ハメットやチャンドラー、ロスマクなどの
アメリカのハードボイルド作品の雰囲気は感じられる。
それは主人公が内省的で気難しいところと、
多種多様な動物たちの絡み合い方に、
アメリカの小説っぽい雰囲気があるからだ。

登場人物がバラエティに富んでいるのも
アメリカっぽい。主人公はタクシー運転手で、
そのほかに看護師、医者、ヤクザ、ヤクザのボス、
悪徳警官、アイドルグループ、そのマネージャー、
キャバクラの店員、お笑い芸人、目立ちたい大学生、
頭の狂った犯罪者などなど。

これだけ多くのキャラについて
それぞれきちんと背景を見せながら、
物語に絡ませて、理由も描いていくのは、
いかにもアメリカの犯罪小説によくある展開といえる。

そのキャラのなかでも面白いのは「ドブ」という存在。
ヤクザの幹部であるゲラダヒヒという動物なのだが、
彼の生き方がとても興味深いし、この「ドブ」という名前が
いかにも社会の底辺をよく表している。

「ドブ」は、昔は街のなかにいくつもあった。
整備されていない下水溝のことで、
ゴミや汚水がいつも垂れ流されていたのだ。
社会の位置づけとしては肥溜めに近い。
最近は全国的にインフラが整備されたため、
「ドブ」は見なくなったのだが、
そんな名前のヤクザの幹部が重要な役割を果たす。
しかも、彼はヤクザとして、男として矜持を
持っているような部分が見え隠れする。

アメリカのブルースの巨星に「マディー・ウォーターズ」と
いう人物がいる。アメリカ音楽が好きなら
ほとんどの人が知っているほどの有名人だが、
彼の芸名を直訳すると「泥水」だったことをふと思い出した。
ボトルネックギターと体の奥底から響いてくるような
太く独特なヴォーカルが一度聴いたら忘れられないほどの
強烈なインパクトを残す。
昔よく使われていた音楽における「アーシー」という言葉は、
まさにマディのためにあるように思える。

私の勝手な想像では、
この作品はアメリカ的な要素に彩られている。
主人公が太っていて、理屈を話すときには
説得力があるのだが、いざ行動すると、
あまり役に立たないのも
アメリカハードボイルド小説の主人公像だったりする。

何だか関係のないことばかり書いてきた気もするが、
この作品は、そういう混沌を広げてみせながら、
緻密な伏線を張り巡らせて、それを1本の線に
上手くまとめていく面白さがある。
常にいくつかの謎が横たわり、想像力を刺激してくれる。
登場人物たちの過去を丁寧に掬い上げ、
ストーリーに組み込んでいく手法も優れている。
おそらく多くの人々がシナリオの展開の妙に
引き込まれていくだろう。

{netabare}この作品のそういう良さが上手く表現されているのが、
ラストの車の飛んでいくシーンだ。
誰もが心に何かを抱え、それぞれが細い糸でつながっている。
そんななか、小戸川が軽々と空を飛ぶ。
関係者は皆、近い場所にいて、その瞬間に直面する。
関係があるようでないような人々が、ある一瞬につながる。
これこそが世界の奇跡のひとつ。
美しい出来事といえるのだろう。
私がこの作品でいちばん気に入っているシーンだ。{/netabare}

人種の坩堝を表現しているような作風だけに、
反面、キャラへの描き方が浅く感じられるのがマイナス点。
ミステリーとしては捻りが足りないし、
そこのキャラの心情表現も描写不足を感じた。
特にドブとの決着については、
私が気に入っていたキャラということもあるが、
あまりにも簡単にまとめようとしているように
見えてしまった。

とは言え、多くの人々を魅了した作品であったことは事実。
4月には事件の裏側と続編を描いた映画
『オッドタクシーイン・ザ・ウッズ』が公開予定。
ローカル局とネット配信だけだった作品だが、
それだけ話題になったのは間違いない。

混沌の先に広がっている景色に着目したい。
(2022年2月5日初投稿)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 50

64.7 2 指名手配で兄弟なアニメランキング2位
光と水のダフネ(TVアニメ動画)

2004年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (114)
535人が棚に入れました
『光と水のダフネ』(ひかりとみずのダフネ)はアニメ、漫画、インターネットラジオからなるメディアミックス作品。
【ストーリー】海上都市で中心的な役割を担う海洋庁の入庁試験に失敗した天涯孤独の主人公・水樹マイアは、合格後の入寮を見通して家も引き払っていたため、住む場所も失い途方に暮れて街を彷徨っていた。
そんな折、マイアは逃走中の犯罪者に人質とされてしまい、それを追っていた何でも屋・ネレイス社の本城レナに犯人ごとショックガンで撃たれてしまう。ネレイス社の事務所で正気に返ったマイアは、今度は犯人の仲間をおびき寄せるための餌としてレナに使われてしまい、このことから結局そのままネレイス社カムチャッカ支店の住み込み社員として働くことになる。
この支店にはレナの他にも変わり者の女性社員が多く、マイアは彼女達に振り回される生活を送ることになる。

とってなむ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

タイトル詐欺(良い意味で)

舞台が海上都市ということで、世界観は素敵でした
作品名からして、及び1話観終わって私はてっきりSFアニメかと思いました
そして美しい作品なのかと思ってました

しかし、回を進めていくうちにギャグアニメと化していきました
はい、面白かったです
SF要素ももちろんありますが。


登場人物たちが個性強すぎというかぶっ飛んでるので
観てて退屈しませんでした
何でも屋であるネレイス社のメンツは色々な意味で凄かったです
(強すぎたり自己中すぎたり馬鹿すぎたり)
内気な主人公マイアも途中からネレイス社に所属するのですが、
このマイアとその仲間たちのトークが笑えました
トークになってない気もしましたけど


ストーリーとしては、このネレイス社が様々な依頼を
マイアを中心に解決していくものです
マイアが一生懸命仕事をこなそうと頑張る姿は応援してあげたくなりました

ただ、壮大な物語も同時に進行しており、
最終回での伏線回収、良かったと思います
終わりかたも満足です


OP「明日のBlue wing」 歌ー小枝
ED1「あなたと言う時間」 歌ーCooRie
ED2「あなたと言う時間」 歌ー中原麻衣

OPもEDも素敵でした
ただ、中原さんが嫌いなわけではないですが
(むしろ声優としては好き)、
EDはずっとCooRieのままが個人的にはよかったです



外れの回もあり、全部が全部面白かったとは言い難いですが、
総合してみれば十分楽しめる内容でした

ギャグにシリアスに、バランスが良かったと思います
適度(でもない)にネタを挟んでくるので、
妙に真剣にならずに済みました
といっても、物語性は意外としっかりしており、
様々な謎が解明される終盤は特に面白かったです


余談ですが、ネレイス社の戦闘服おかしくないですかw
最初観たとき吹きそうになりました
途中から慣れてる自分が恐ろしい。。
あれもギャグの一種なのか、この謎は未だに解明されておりませぬ

投稿 : 2024/11/02
♥ : 33

CC さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

絆創膏(バンソウコウ)

 「明日のBlue wing」という爽やかなopから始まる本作ですが、opのラストで謎の空中浮遊があります。劇中に、そんなシーンがまったくないのでチョット面白かったですw
 本作の作画評価はあまりよくないですが、私としては良く描かれていたと思います。おそらくキャラクターデザインが不評と思われます。そのキャラクターデザインなのですが、中々のパンチ力を持っています。まつ毛とか…まつ毛とか…まつ毛とか・・・。
 初見では敬遠しがちなデザインです。キャラクター繋がりでいうと、メインとなる5人のキャラクターの服装がすんゴいです。誰が見ても、人として街を歩いてはいけない格好なのですが、誰にもツッコまれず…話題にすらならない状態です。なので、私から「そんな格好で恥ずかしくないの!?」とツッコませて頂きますw 「絆創膏じゃないから恥ずかしくないもん♡」なんて返されたらお手上げですけどw

 本作の内容はギャグという成分が含まれてますが、そんなことはありません。未来の海上都市で活躍する女性達を描くSFのストーリーが軸としてあるので、コメディ色はありますが、ギャグアニメとは言えないですね。ドタバタ喜劇のような感じです。
一話完結型・ドタバタ喜劇(全24話)

 一話完結の中に起承転結がしっかりと表現されているので、見やすい作品でした。一話完結に良くある…どっかでみたようなジナリオが数話ありますが、キャラクターがデザインを含め、濃いので中々楽しめます。逆に言うと、ありがちなシナリオが多いので、人によっては退屈に思えてしまうかもしれませんね。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11

なすB さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

思いの外面白かった。コメディベースに最後はホロリ

1-2話は主人公のマイアが受難過ぎて大分かわいそうになります。
成績優秀なのに海洋庁の入試に不採用で一気に住む所も失って職もなく
しかも犯罪者に人質にされちゃうし。

中盤までにネレイスという
主人公が無理矢理入社することになる組織のメンバーが続々と増えていきます。
このネレイスのメンバー全員濃いです。
支店長以外全員女性ですが、なぜか全員やたらと露出の高い衣装を着ています。
この衣装デザインだけは最後まで全く理解出来ませんでした。

この頃にはかわいそうだったマイアも段々と活躍できるようになってきて
周りのメンバーと騒がしくも楽しい日常を送ります。
そして、マイアの秘密が明らかになります。

中盤以降はコメディベースではありつつ
段々と物語の伏線回収が始まります。
ここから徐々にマイアの秘密がどういう意味をなすかが重要になってきます。

物語終盤、これまでの伏線を一気回収とばかりに
かなりスピーディに物語が進行します。
特に、マイアの本当の秘密が明らかになってからは
これまでのコメディ色が嘘のようなしんみりじんわり来る展開です。

そして最終話、これでもかというくらい全て詰め込みましたね。
でもそれなりに綺麗に収まっていると思いました。

敵味方全て無駄キャラもなく、
終止みんなそれぞれの役割で活躍して
話としても綺麗にまとまったいい話だったと思います。

まぁ序盤のダレ感が否めない点と
謎のエロ衣装で評価を下げているかとは思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 4

65.7 3 指名手配で兄弟なアニメランキング3位
TRIGUN STAMPEDE[トライガンスタンピード](TVアニメ動画)

2023年冬アニメ
★★★★☆ 3.4 (98)
318人が棚に入れました
砂嵐吹き荒れる大地。 そこは地球よりはるか遠く、5つの月が輝く、灼熱の星・ノーマンズランド。 人類の生き残りは、あらゆる物質をゼロから生み出す生態動力炉“プラント”を頼りに異形の生物蠢く不毛の地で、血肉を削り暮らしていた。 その過酷な世界に一人、 懸賞金600万$$を懸けられた、“関われば必ず災厄に見舞われる” 人間台風(ヒューマノイドタイフーン)と呼ばれるトラブルメーカーがいた。 名を、“ヴァッシュ・ザ・スタンピード”という#### ──。 新人記者のメリル・ストライフは、飲んだくれのベテラン記者・ロベルト・デニーロと共に人間台風という一大スクープを求め、1人の深紅のコートに包まれたガンマンにたどり着くが、出会ったのは「決して人を殺さない」、誰よりもお人よしの風来坊だった!? 無頼の葬儀屋ニコラス・D・ウルフウッドを道連れに、悪に染まったヴァッシュの双子の兄ミリオンズ・ナイヴズを追う旅が始まる。 立ちはだかる無数の刺客たちと、ナイヴズの恐るべき計画とは。 全ての謎が明らかになる時、世界を賭けた戦いが始まる!
ネタバレ

アニメアンチの憂鬱 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

乱闘プランと台風男

●カオス【ゲート】は開かれる

因縁の兄弟対決である最終決戦は、{netabare}一言でいえばカオスでした。

イデア論的多重世界に二コラ・テスラの脳内を組み合わせたらこうなります的なのが
最終回の映像表現だったようにも思えます。

主人公とナイヴズの双子は、「便利屋斎藤さん」のラスボスである双子の悪魔同様に
「2本の柱」=「ゲート」を表します。
双子の悪魔が白と黒のローブを纏っていたように本作でも白と黒の対比が示されています。

白い翼は「天使」、黒い翼は「悪魔」を表しますが
そもそも「天使」と「悪魔」は同族なので、一対の関係であると言えます。

天使と悪魔の最終決戦は【ハルマゲドン】を表現しているということであります。

兄のナイヴスは有能で好戦的、一方弟の主人公は心優しく平和的ということで
男性と女性の対比関係を示しています。

これは「ニーアオートマタ」の兄妹「アダムとイヴ」と同じでありますが、
この関係性からナイが意図したものが見えてくるわけであります。

それは「インディペンデンツ」という新たな生命体を生み出すということを意味しますが
より具体的に言えば妊娠と出産を成し遂げるということになります。

弟のバッシュに【ゲート】という「穴」が現れるのは、彼が女性担当であり
その穴から男役担当のナイが入って、生命の源たる中核にアクセスするという表現は
まさに妊娠を表現しているわけであります。

前回「ハルマゲドン」と「ソドムとゴモラ」について言及しましたが
このような男同士での性的行為を【ソドミー】と呼ぶという話に見事繋がるわけです。

【ソドミー】ついでに言いますと「お兄ちゃんはおしまい」=「【鬼】舞い」兄妹も
肉体的性別上はどちらも女性であります。

正月には兄妹で神社に初詣に出かけますが、神社とは女性の人体を再現しておりまして
要するに「賽銭箱」に「お金」を入れて「※願い事」をするわけであります。

鳥居は【ゲート】でもありますが、股を表し、参道は産道、お宮は子宮
であると言われています。

鈴を鳴らし賽銭を投入するわけですが、鈴も性的なものを表しているとのことです。

「お金」は「種」でありますから、「種」を投入して「※願い」が叶うという流れであります。

「【鬼】舞い」兄妹で神社に参拝するというのは、【ソドミー】を暗示していると解釈
できますが、同性の兄妹で妊娠擬制を表現するという意味では本作と同じ
であると考えられるわけであります。

ナイの企てたインディペンデンツ誕生計画は阻まれ、高次元の生命エネルギーは
【ゲート】ごと主人公に封じ込められます。

すべては主人公が持つ「キューブ状の立方体」の中に封じ込められますが、
これは【ブラックボックス】というものであります。

【ブラックボックス】は「正解するカド」や「ニーアオートマタ」にも出て参りますが
それが示すのは【✡】=【土星】であり、【✡】由来の【錬金術】と密接な関係を示します。

本作は一見すると「SFもの」のように見えますが、特に最終話でカオスな映像表現が
目立つのは【錬金術】の発想が背景にあるからでありまして、【ユグドラシル】という
【生命の樹】の表現が強調されるのもこの【錬金術】と深い繋がりがあるからであります。

高次元にある【プラント】の本質、正体とは【天使】であります。
と言うことで、ゲートを介して高次元の干渉を受けた兄弟は「羽」が生えます。
「羽」は【天使】を表すシンボルなので当然映像表現で強調されます。

白い天使と黒い天使の最終決戦即ちハルマゲドンの背景には高い塔が聳え立っています。
これは【バベルの塔】でもありますが、先の尖った建造物は【オベリスク】
を表しているということになります。

「2本の柱」=【ボアズ】(男性原理)と【ヤキン】(女性原理)の融合により生まれる
「3本目の柱」それが【オベリスク】であると解釈できるわけであります。

下衆な話になりますが融合により誕生するのは「息子」なので
【オベリスク】は「男根」を表しているとも言えたりします。ということで
【オベリスク】とは性的意味合いが強いシンボルということになるのかと思います。

ハルマゲドンを制するのはどちらでしょう?
その鍵を握るのはメリルであったように思われます。

タワーを背景に戦う兄弟を「望遠鏡」で見ながらメリルはこう呟きます。
「やっぱりバッシュさん、エネルギーを宇宙に放出するつもりです」と
彼女が覗き込む「望遠鏡」には「レンズ」が「3つ」付いています。
これは「3つ目」の表現でありますから【プロメテウスの目】を示していることになります。

【プロビデンスの目】=【プロメテウスの目】なので「先見の明」
未来予知を意味しているわけであります。

「先見の明」を持つメリルは女性であり、バッシュを導いたレムも女性、
そしてバッシュも女性原理(【ヤキン】)側の立ち位置でありますから
【ハルマゲドン】を制し【New World Order】を作り出すのも【ヤキン】の側
ということになるのかもしれません。
ちなみに最後に(声だけの出番で)登場した謎の責任者らしき特務中佐も女性でありました。

女性原理による反抗、これは「ソドムとゴモラ」を滅ぼし「大洪水」で人類を壊滅させた
男神に対する皮肉であり【反逆】の意志を意味しているわけであります。

最終決戦の舞台、その背後に聳えるタワーにはまるで太極旗のような模様
「69」が記されております。

これは「【鬼】舞い」で示された「♂♀」「♠♡」のシンボルと
同じ意味合いがあるのだと考えられます。

「♂♀」=「♠♡」=「69」=「↑↓」=「上なる如く、下もまた然り」
これは【錬金術】に関する言葉でもありますが、それとは別の言い方をすると
【グノーシス主義】を表すものと言うことができます。

【グノーシス主義】をわかりやすく説明すると「逆転」の発想であり
ドラえもんの小道具「あべこんべ」がまさにその思想を表していると言えるかと思います。

「あべこんべ」で刺すと「男が女」になり、「光が闇」になり、「善が悪」になる。
この【グノーシス主義】の思想を理解すると様々な作品の謎表現が理解できますので
是非とも参考にしていただきたく思います。

兄弟による最終決戦のハルマゲドン、一見して勝ったのは【ヤキン】側の主人公ですが
最後【ブラックボックス】内のエネルギーが暴発し、「タワー」に重なるようにして
光の閃光が走り「大きな柱」を形成いたます。

強大な「【光】の柱」は街に大損害を齎しますが、その見返りに新たな可能性を生み出します。
(「光」は【金星】の【光の天使】を暗示します)

多次元世界の潜在的可能性が現実世界に現れたということで、要するに
次元シフトが起こりましたということになるのかと思います。

恐らくは「ディメンションW」のオカルト展開の再燃を表すのだと思いますが
「光の柱」によって示されたのは「3本目の柱」でありますから
「息子」が誕生したということになるのではないないかと思います。

ということで、次元シフト後のお話が続編として作られるの{/netabare}ではないかと
予想されるわけでございます。

●【NWO】ソドムのレベンジャーの合言葉

スチームパンクというジャンルにおいて存在というものを考えるとかなりの高確率で
カオスに陥りますので注意が必要であります。

プラントの本質は{netabare}別次元の高次元にあるというある種の多重次元論的な理屈は、
「ディメンションW」にも通じるところありますが、当作品で示されたコイルを媒介にした
エネルギー論は早い話がオカルト全開の思考回路に塗れておりました。

コイルの発明でお馴染みの「二コラ・テスラ」自体がオカルト脳でありまして、しかも
天才という権威を授かった「エジソン」の思考レベルを軽く凌駕していますので、真の天才
「二コラ・テスラ」の思考は凡人には全く理解できないということになるのかもしれません。

本作で示された存在論とは何かと言えば、「プラトン」の「イデア論」みたいなものである
ということになるかと思います。

人間が住まう現実の現象界とは別に「イデア」の世界があるということで、「イデアの世界」
こそが存在の本質(の世界)であるということであります。

人間のイデア(本質)とは要するに「霊魂」ということになりまして、それ故オカルト脳
ということにもなりますが、後にイデア論には他のエッセンスも加えられ
ローマカトリック教会とイエズス会に見事受け継がれます。

非常に興味深いのが、教会に受け継がれた思想だからキリスト教的な思想なのかと言えば
そもそも出所が「プラトン」の思想という時点でズレており、むしろキリスト教の異端思想
として扱われているというのが実態であります。

そしてこの異端思想にかんするワードはアニメファンならどこかで聞いたことあるのには
とても皮肉なものを感じますが、詳しい話は長くなるので別の機会に譲ります。

プラントをインディペンデンツに再創造する計画が実施され、主人公は磔になります。
どう見てもこれは「十字架刑」でありますから、ローマ帝国の趣味そのままと言えます。
そして何だか木の根っこや枝みたいなのが次々とわらわら湧いてきて主人公がいる
「タワー」全体を覆い尽くします。

もちろんこれもお約束の【世界樹】(【ユグドラシル】)を表現しています。

ついでに言いますと木の枝に括りつけられた主人公の姿とそっくりのオブジェが
ローマカトリック教会には飾られています。これが中々に悪趣味なオブジェです。

本質がイデアの世界にあるならば現実世界のプラントは抜け殻であるという考え方は
「不滅のあなたへ」でも確認できます。「肉体滅んでも霊魂は不滅」という考え方
これを覚えておきますと他の作品解釈にも役立つので参考にしてください。

主人公の兄貴分「ナイ」=NAIにはAIと兄(ANI)というアナグラムが隠されていますが
彼はこのような言葉を表明します。

「火の矢を落として町を消し」
「洪水によって大地を浄化させる」
「アルメギドの戦いの日だ」

醜悪なる罪故に滅んだ「ソドムとゴモラ」と同じくその罪故に人類が滅んだ「ノアの大洪水」
そして全く同じ理由で審判が下されるメギドの丘の戦い即ち「ハルマゲドン」それぞれと
彼の言葉は対応していますが、ローマカトリック教会が異端思想に染まっている点を踏まえて
考えてみると実は、ナイブズの言ってることはある種の皮肉ということになります。

「創造主」にかつてにやれた仕打ちの仕返しをやってやるという犯行声明であり
【反逆】の意思表示あると解釈できるわけであります。

「ソドミー」という言葉がありますが、要するに同性愛的変態行為を意味し
由来はそのまんまの「ソドム」であります。

「ソドムの民」と同じように「ソドミー」大好きなのはジャニーズK社長であり、
LGBT絶対擁護の「グローバルエリート」さんたちもみんな大好き「ソドミー」だったりします。

「ソドムとゴモラ」の復讐を是が非でも果たしたいという特殊な思想を持った方々が
この広い世界にはおりまして、そういう人たちが何を願っているのかをナイブズは
代弁しているのかもしれません。

「我らインディペンデンツがこの世界に新たなる秩序をもたらす」

新たなる秩序とは【New World Order】であります。
【グレートリセット】を経て{/netabare}我々は【新世界へ】赴くという話でございます。


●関西人「黄金都市」に立つ

「黄金都市」ジュライ、そのあり様は、{netabare}【大淫婦バビロン】そのものであります。
「ソドムとゴモラ」そして【黄金都市バビロン】、欲にまみれた拝金主義者が集う都市。
【大淫婦バビロン】とは、欲深き人間の本性が表れた快楽「都市」の有り様、
それを象徴的に表現する言葉であります。

サイコパスやその他のサイバーパンク作品で描かれる都市の景観と全く同じように
「その黄金都市」にもお約束のように高い塔、即ち【バベルの塔】が聳え立っています。

それはある意味「大聖堂」と呼べるものなのかもしれません。
人類を超越した究極生命体ミリオンズ・ナイブズは階上の大広間でパイプオルガン?
のようなものを奏でています。

ここで注目すべきは大広間の床にはお約束の【世界樹】=【ユグドラシル】が描かれている
ことでありますが、更にやばいことにはその周囲を【6】体の像で囲っているところです。

サークルに6つの頂点、中心には【ユグドラシル】ですから、
円と【六芒星】=【✡】で「魔法陣」が完成し、【ユグドラシル】は知恵を表すので
【プロビデンスの目】と同じ意味合いになります。

そして【6】体の像は「プラントの屍」ですから、木乃伊を大聖堂内に飾る等の悪趣味性は
ローマカトリック教会の大聖堂その状況と酷似しており、とても不気味なものを感じます。

念動力で釘のようなものを飛ばす実験体の女の子はよく見たら【オッドアイ】ですが、
これも「魔眼」の表現であり、【プロビデンスの目】が元ネタあります。
そしてこの実験体の女の子は性格が悪い感じですが、恐らくは【大淫婦バビロン】を
象徴しているのではないかと考えられるわけであります。

実は【魔法陣】や【錬金術】などすべては【古代バビロン】が由来とも言えるわけであり
裏設定のシンボリックリンクな描写の元ネタをそれとなく仄めかしているのであります。

主人公を案内することでようやく関西人は任務を達成したようですが
黄金都市を振り返り、人情熱い{/netabare}関西人はそこで何を思うでしょうか?

●SDGsの暗示

「プラント」の秘密が徐々に明らかになって行きます。

{netabare}謎の生命体「プラント」、注目すべきはそのデザイン、形であります。
これこそが本作がスチームパンクというジャンルに属するという根拠であります。

他にもシンボルは登場します。
「プラント」は植物を育み、プラント船の中に庭園を再現しますが、
この庭園は【エデン】を表しているので「プラント」は【禁断のテクノロジー】
の類ということになり、故に「プラント」の正体も自ずと確定するわけであります。

そしてまた別のシンボルとして主人公の左手に【ゲート】が発現いたします。
【ゲート】は「2本の柱」から成り立ちますがそれは【2柱の神】を表すものであります。

主人公とナイという双子のような関係性は「2本の柱」の左右対称性(シンメトリー)
を暗示しているように思えます。

「2本の柱」を融合して出来上がったのが【3本目の柱】であります。
【3本目の柱】は槍や長剣など先の尖ったもので表現されることがありますので「ナイブズ」
という名前にも、もしかしたらそういう意味合いが込められていたということなかもしれません。

【ゲート】が開くのは、宜しくないことが起こる暗示でありますから今後の展開に注意が必要となるのかもしれません。{/netabare}


このまま順調に進むならば次回あたりに上方修正しようかと考えております。

●銀河鉄道超特急

旧作が各駅停車だとすると本作は超特急のスピードで独自路線を突っ走っているようにも思います。

{netabare}原作も旧作も詳しいことは知りませんが、本作オリジナルのこの展開は
かなりぶっ飛んでると言えるでしょう。

「プラント」の真相と主人公の回想シーンをリンクさせる手法はお見事であります。
名前の通り植物を意識したようなフォルムでありますが、関西人のくだりであったように
このプラントもある種の人工生命体のようであります。

「インディペンデンツ」というまるで人間そのものような生命体の存在意義とは何でしょう?

持続不可能な人間にとって代わる新人類を示唆するものなのかもしれませんが{/netabare}
真相は、さて?

●【灯火】と死人(しにびと)と

例え運命的再会だとしても{netabare}尺の都合で話はサクサク進むのかと思いましたが
意外にも関西人と弟分との決着は持ち越しとなってしまったようであります。

関西人と弟分との思い出、二人の絆を象徴する「ライターの炎」は【灯火】であります。
【灯火】は女神と「※願い」を暗示し、「※願い」の代償は必ず請求されます。

なので【灯火】は「左目」に映し出されます。

「肉体の死」により「贖いの儀式」は完遂されたかのように思われましたが
スチーム船の暴走というアクシデントがもたらす悲劇的結末の回避は別勘定という話でありますから、新たな代償を支払わなければならないということになるでしょう。

結局のところ関西人は「※願い事」詐欺にでも嵌められたか、「呪い」にでも掛ったかの如く
例え「※願い事」が叶えられても救済はなされないというドツボに嵌ります。

「人の命を天秤にかけた」男の罪深さは、背負った十字架の重みによって示されるように
悲劇的な結末を呼び寄せてしまうでしょう。

兄と弟と、生きる者と死に逝く者と、
寄り添って生きることができるか?{/netabare}
それを問われているのかもしれません。


●【鐘】は天下の回し者

どうやら本作は地味に演出がもの凄く洗練された作品ということが判明いたしました。
ヒロイン担当メリル特派員の{netabare} 「目」にクローズアップした表現法がなかなかに巧で、
非常に印象的であります。

車を運転しながらバックミラー越しに映し出される彼女の「目」がとても饒舌にそして
とても表情豊かに感情を表現しており、このお見事な映像表現には
ただただ唸るしかありません。

車内で回る扇風機の映像描写も何気に凄く、軽く驚愕するレベルであります。
回転してる扇風機を一時停止するとちゃんと羽が4枚あるというのは芸が細かいと言えます。

個人的には旧作は独特の軽いノリが苦手で興味が抱けませんでしたが、
本作のシリアスな雰囲気や巧みな描写表現などには好感が持て
現段階ではかなり良好な印象を抱くまでに至りました。

主人公と関西人の気まずい車中の雰囲気の中でメリル特派員が不意に発した台詞
「おやつの取り合いでもしました?」というジョークもなかなか興味深いものがあります。

その「おやつの取り合い」?あるいは、自分の信じる正義を掛けた言い争いがスチーム船上で
勃発し、主人公と関西人双方一歩も譲らず、「命」の意義についての両者の綱引き合戦は、
まさに「おやつの取り合い」みたいな状況になるというオチであります。

船上ではためく「フラッグ」は戦争のシンボルでありますが、風向き変わって旗は反転
そしてシーツが「幕」のように風に舞い、「おやつの取り合い」から突然の襲撃による {/netabare}
新たなバトルが「開幕」するという一連の演出には粋なものを感じてしまいます。

そしてお約束の裏設定的表現や「数字」遊びも当たり前のように熟してくるわけであります。

関西人の回想シーンでは宗教的色彩 {netabare} が強い孤児院の様子が描写されます。

修道院などに【鐘】=【ベル】があるのはよくある風景ですが、そこに
【8】つの光輪と中心に「目」のような模様が刻まれていることが重要です。

【八芒星】が示す【光の天使】と【プロビデンスの目】そして【ベル】という
三位一体攻撃は珍しいパターンでありますが、ある種の「宗教思想」を表しているという
意味では、この三位一体には矛盾はないように思えます。

孤児院の回想で関西人はライターで煙草のような葉っぱに火をつけますが、
このシーンでは【灯火】が強調されています。

【灯火】の表現はチェンソーマンの狐先輩でも行われていたものでありますが
「最果てのパラディン」の「【灯火】の神」にも相通じるものであり、
「自由の女神」が右手に掲げる「松明」に相当する表現であります。

また【灯火】とは「聖火ランナー」の【聖火】と同じ意味合いのあるものであります。

【灯火】は【女神】と【8】を暗示し、【8】は【5】と【13】に繋がる数字であります。

なので合格者の関西人を迎えに来た教団の男たちは【5】人であり
見送る孤児院の子どもたちと世話役の職員を合わせた人数は【13】人
そして合格した関西人は独りで【8】の十字架を背負わされ教団送りとなる
というようにして数字は示されます。

【8】と【5】と【13】はいづれも【金星】に由来する数字であります。

場面は教団に移り変わり、そして関西人を表すコードが表示されます。

「被験体HL1-06」
「薬剤適性S+」

もしかしたら数字遊びが仕込まれているかもしれませんので数字解釈してみます。
アルファベット表の順番に合わせ数字変換します。
「H」=8
「L」=12
「S」=19

HL1-06=「8」「12」「1」「-06」
S+=「19+」
まず「+」と「-」が付いている数字を計算してみます。
19+(-06)=13
次に12+1=13と計算すると
8、13、13という数字が出ましたが8、5、13の並びではないので同じ数を足してみます。
13+13=26→2+6=8
「H」=8と同じ数字の8の答えが出ます。

「8」「8」=88
左右対称の数字ですが他に似たようなのが無かったか考えてみると
メリルの上着の両腕部分そして襟元には「6」のロゴがあるのが見つかります。
上着に記された「6」は全部で4つ=24→2+4=6
数字を循環させるパターンの数字遊びです。

ちなみに「6」を反転させた「9」でも同じようなことになります。
9×4=36→3+6=9

「88」は2人の人間の「※願い」を意味しているのでしょうか?
だとしたらそれは孤児院の安泰ということでありましょうか?

【8】は「※願い事」を暗示する数字ですが【灯火】も同じ意味になるようです。
孤児院での2人がライターに着火するのシーンはそういう意味合いがあったようにも見えます。

主人公他4名が車に乗り合わせる冒頭のシーンではヒロイン=メリルの目がクローズアップ
されましたが、実験室のシーンでは被験体である関西人の「左目」に焦点が当たります。

眼帯キャラや魔眼持ちのキャラなどアニメでは腐る程繰り返される
「片目」強調の描写は【プロビデンスの目】を暗示しているものであります。

オペを受ける被験体の関西人、その左目には孤児院の子どもたちの残像が映し出されます。
その人数は【8】人であります。

【8】の数字が示す子どもたち、それが彼の「希望」であり、「※願い」であるのでしょう。

「女神」のような容貌を持つ「美しい天使」は「※願い」を叶えてくれるのであります。
但しその代償はとても高くつきます。

「※願い事」の代償を払うため関西人は自らを【生贄】に捧げます。
これが古より伝わる「女神信仰」であり、美しい「光の天使」の信仰を表すものです。

【八芒星】の【イナンナスター】その「十字架」が刻まれた【ベル】を戴く町の孤児院は
「約束のネバーランド」の「グレイス=フィールドハウス」に相当します。
ハウスは「人間牧場」でありますが、本作中の各種「シンボル」は孤児院の本質を意味づけます。

【ベル】と「【生贄】の人間牧場」が何故につながるのかというのも
「裏設定」の分析により明らかになることでありまして、裏設定というのは
全作品に共通する特殊な概念でありますから、「美しい天使の教団」の本質も
裏設定の解釈により解明できるのでございます。

蒸気機関を原動力とするスチーム船が示すものは本作がスチームパンク作品に属するという
事実でありまして、従いまして同じくスチームパンク作品に属する「影実」と
似たような要素を持つということになります。

「影実」でも謎の教団が登場し、エルフ族を用いた人体実験を行っておりました。
本作では「トランスヒューマニズム」に基づく人体実験が実施されていますが
「トランスヒューマニズム」の技術が実現すれば亜人種でも、性転換でも、
ゴースト・イン・ザ・シェルでも、 {/netabare}何でも好きなものに転身できるのあります。



●残酷な「転身」のテーゼ

『【方舟】の墜落によって 罪深い私たちは この地に降り立った』
{netabare}『祈りなさい』
『神は私たちに「救いの【天使】」を 御遣いになられた』
『【天使】を讃え【天使】を敬い【天使】の【目】となりなさい』
『神の祝福のあらんことを』{/netabare}

冒頭のシーンにて「新興宗教」の宗教放送 {netabare}が流れます。
いかにも?という感じで壁面に描かれているものは【目】、
そして【光輪】であります。

アニメなどよく出てくるこの「【一つ目】小僧」の表現は
【プロビデンスの目】=【プロメテウスの目】と呼ばれるもので
宗教的バックボーンが極めて濃厚な「シンボル」であります。

【光輪】は【天体】の輝き、【光】を表したもので
【8】つのトンガリ(=光輪)ならば【八芒星】を暗示し
それは【金星】を示すものであります。

【8】が示す【救いの天使】とは、ラテン語で【明けの明星】を意味する
(光の天使)【ルシフェル】を表現しているということになるでしょう。

この「新興宗教」の正体とは即ち【ルシファー信仰】ということになります。

現実に存在する「新興宗教」の【ルシファー信仰】によれば
【エデンの園】で「アダムとエバ」に【禁断の果実】を与え、
人類に文明開化をもたらした大いなる存在が【光の天使】であるということらしいです。

【禁断の果実】とは【禁断の知識】であり、【禁断のテクノロジー】を
意味するものでもあります。

そして【プロビデンスの目】とは【土星】に由来するものでありますが
【土星】とは【✡】即ち【六芒星】で表現されるものでございます。

【✡】は【6】つの頂点と内部に【6】角形と【6】つの三角形で
構成されていますので、これを【666】という風に表現したりもします。

【土星】には【ロード・オブ・ザ・リング】という異名がありますが
【リング】は「魔法」あるいは【錬金術】を暗示するものであります。

【土星】は【錬金術】と所縁が深いわけですから、
【666】は【錬金術】、即ち【禁断のテクノロジー】を暗示している
という風に解釈できるわけであります。

少年は「天使の【目】」に祈り、「※願い」ます。
【エデンの園】で「アダムとエバ」がそうしたように…

そして【光の天使】は少年に≪救済≫をもたらします。
「アダムとエバ」と同様、その【果実】を与えることにより…

【トランスヒューマニズム】は人間と機械の融合を実現し
人間を別の存在に【進化】させることを目指す思想であります。

【禁断の果実】が象徴する「このテクノロジー」により
人類が「不死」となる日もそう遠くないことでありましょう。

少年がかぶる帽子には【☆】が記されています。
【☆】は【5芒星】であり、これも【金星】を示すものであります。

【金星】そして【光の天使】は「※願い」を叶えてくれます。

「※願い」には代償が必要というのは【錬金術】が示す「等価交換の原則」でありますから
「※願い」の代償として少年は【生贄】に捧げられます。
【生贄】は≪救済≫をもたらします。それが(【エデン】の)「契約」です。

【死】即ち「肉体の死」は≪救済≫を導き、そして
新たな「身」を授かった新たな人類は【未来】に辿り着くのであります。
これが神=【光の天使】による【祝福】ということでございます。

【トランスヒューマニズム】は人類に≪救済≫をもたらす手段であります。

人間の細胞を人為的に変化させるという「細胞治療」の手法も近年熱心に研究されております。

この「細胞治療」の手法は抗がん剤や(世界でお馴染みの)最新の例のワクチンにも応用される
あらゆる病を治し不死の人間を誕生させる可能性を秘めた先端テクノロジーであります。

望めば「※願い」は叶います。{/netabare}但し、相応の「代償」を覚悟する必要があります。


●無視できない未来の動向
{netabare}【ダボス会議】のグローバルエリート様が言うことには、将来食糧難が来るから
庶民は虫でも食っておけという話でございます。

「大雪海のカイナ」でも昆虫食は貴重なたんぱく源という扱いでありまして
今後の傾向として昆虫食ブーム的演出のための?その手の描写がますます
増えるものと予想されます。{/netabare}

●大乱闘クラッシュブラザーズ
{netabare}ガンアクションよりも兄弟の確執だったりすれ違いめいたものが一つの見どころに
なるように思い、それに期待していましたが、実際その通りの展開になったのは満足しています。

その一方で予想以上にシリアスな方向に舵を切りましたようでありまして
それ自体は悪くないようにも思います。

しかしながら少々残酷過ぎる表現が予想外に多いのは、評価に迷うところでありまして
人によってはやり過ぎに感じたり、やや重すぎると捉えるようなこともあるのかもしれません。

軽すぎるのも微妙ですが、かと言って重すぎるがいいのかと言えばさじ加減が
難しいところであるのかもしれません。{/netabare}



旧作トライガンのリメイク作品?でありましょうか。

旧作には興味がなく完全スルーでしたが、
本作には何気に魅力を感じ、お試し感覚で視聴開始してみました。

作画は綺麗であり、ガンアクションでは見栄えがするシーンもある一方で
確かにCG独特のキャラの動作に抵抗を感じる人も相応にいるのかもしれません。

SF寄りの作品なのかと思いましたが、「プラント」という謎テクノロジーの存在には
やはりスチームパンク的な匂いを感じます。

ストーリーは、主人公が平和主義者であることを含め面白くなりそうな予感を感じます。
初回の印象からすると、不確定な要素がまだ多いとしか言えません。

取り敢えず期待は持てそうな気はいたします。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 6

ちょま さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

こんなのTVシリーズじゃない!ただの劇場版アニメよ!

こんなトンデモクオリティーのアニメを30分枠で毎週放送すんなや!あとに続く作品がプレッシャーやろがい!てくらいに完成度の高いアニメ。いやマジですごすぎて「劇場版アニメを12話で再編したんか?」ってレベルである。

原作既読・旧アニメ未視聴。荒れ果てた惑星を舞台に、行く先々で甚大な被害をもたらすという大物賞金首:バッシュを主人公に、彼の過去を追いながらその悲しい宿命に迫っていく。原作そのまま、というわけではなく原作をもとに再構成された、というべき作品だ。

とにかく作画、というか3DCGが素晴らしい!とりあえず1話だけでいいから見てほしい!
出てくるキャラはモブも含めてほぼ全員が3DCGモデル。おそらく街並みもそうだし爆発や砂埃のエフェクトもそう。こ〜んななにもかも3DCGでありながら、作画デザインは日本らしいアニメ調のまま!ディズニーやらピクサーやらの誇張しまくったキャラデザじゃない…きっちりジャパニメーションしているのである!かと言ってジャパニメーション一辺倒ではなく、ちょこちょこはさまるキャラの大げさな身振り手振りはディズニーアニメそのもの。こういう派手な動きってオーバーすぎて「子供っぽすぎる」か「しらけちゃう」ものなんだけど、コミカルとシリアスできっちり動きが分けられている!子供っぽくもないししらけもしない!
ここのバランスがすごい上手くて、派手な動きをすれば自然と「ふふっ」とコミカルさを味わえるし、リアルに近い動きになれば「ゴクリ」とシリアスさを感じ取れてしまう。もはやこれは日本アニメと海外3DCGアニメの融合…間違いなく次世代アニメの完成形の一つ!到達しやがったよこのアニメ!

そして各デザインも素晴らしい!原作はだいぶ昔の漫画なのでそのまま絵に起こしても絶対に古臭い。それをうまく令和ナイズドしていてくっそおしゃれ!キャラの性格もシリアス面をより強調してそれぞれの内面をより深く描いている!なんなら原作にはいないキャラがいるし、原作にいたキャラがいないなど大胆に改変が加えられている。でもトライガンという作品の本質をきっちり捉えているので全然変じゃない!むしろリスペクトの塊なのだ!3DCGもこの原作を令和に復活させる上では間違いなく最適解!

と、こんな原作愛あふれる素晴らしい画面に惹かれて見入ると、映し出されるのは悲しみを背負いすぎた主人公バッシュの物語だ…辛い過去を持ち、ときには迫害され、賞金稼ぎに追われることも多々あるも、決して人を憎まないし傷つけない。どんな悪人でも救おうとあがく。でもそれは厳しい環境のこの星では理想もいいとこ、悲しい結末を迎えるたびにまた一つ悲しみを背負っていく…とにかく見ていていたたまれない!何なんだよお前!もっと自分を愛せよ!
周りがどれだけ励ましたり現実をつきつけたりしても、なんかもう諦めきってる節があってある意味頑固なのだ。ずっと悲劇のヒロインしているので、気に入らない人はマジで気に入らないだろう。てか主人公がこれだから、周りのキャラの良くも悪くも真っ直ぐなところが相対的に魅力に見えるんだよね。メリル可愛いよメリル!
しかしこの優しすぎる性格はある意味覚悟の表れ…「そこまで言うなら頑張れ…!」ってなっちまうよ!

ストーリーは基本的に【身に降りかかる火の粉を払っていくうちに過去の宿命が自分を襲ってくる】というもの。バッシュ自ら何かに立ち向かうことは少ない。受け身なストーリーだけど、徐々にいろんな秘密が明らかになっていくので「え、これこの先どーなるの?」と見ていて続きが気になるつくりだ。テンポ自体はゆったりめなんだけど、展開は遅くないので退屈はしないし、設定がかなり大規模で新しい情報が毎話出てくるからどんどん世界観が広がっていく!それらを丁寧に演出してくれるし各シーンを盛り上げてくれる音楽も素晴らしい!まぁ丁寧すぎて1話単位で見ると物語があまり進まないんだけども…でも戦闘シーンも迫力満点だしほんと何もかもが劇場版クオリティーだよ!

特にやはり最終話よ!各演出よ!原作読んでる身からしたら「あ〜〜!あ〜〜!」よ!今まで「ああ、たしかに原作こうだったねぇ」くらいなのが最終話で「うわぁぁああ〜!」よ!もぉ〜俺は今スタッフの手のひらの上で踊らされてるよぉおおお!

と自分は大絶賛。いや〜マジで良かった。原作そこまで好きなわけじゃないけど、このアニメのおかげで面白さを再認識できた。感謝感謝である。
唯一、欠点というか各用語についての説明があまりないのでそこだけはちょっと注意。この世界のキャラにとって「別にその用語は知ってて当たり前」なので、視聴側にはある意味聞き流す力が必要かもしれない。

明らかに「続く」エンドだが一つ大きな区切りを迎えており、これで完結!でも十分納得な出来。原作通りならまだ続くので次クールがめっちゃ楽しみである。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2
ネタバレ

CiRk さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

旧作を知らない身としては良かった

{netabare}
リメイクモノの宿命か旧作ファンにここでも結構叩かれてるけど、新規勢としては楽しめた。

最近では珍しく、重めの世界観、鬱展開の多さに引き込まれたかな。
人間のために命を懸けて奔走するのに、結局人間たちから冷たい目で見られることになる理不尽な話だけど...w
ただ、シリアスな世界観に反して、ヴァッシュは自分たちに危害を加えようとした悪人まで助けようとするなどかなりのお人好し。
人に甘く接する理由に関しては特に掘り下げもないので正直、ヴァッシュよりはナイヴスの方が考えが自然で共感できた。
自分たちが危機に瀕しているから、その元凶の人間を始末しようというのは極めて無難な発想で、本来の目的と行動原理の部分だけを見ればそれほどの悪人とは思えなかったかな。
ザジに関してもそう。
プラント視点で見れば余程人間の方が悪だろうし、そこら変はちょっともやる。
まあ、敵側の動機にもちゃんと共感できる作品は良作ってことで。
味方キャラでも、甘々なヴァッシュを是正しようとするウルフウッドとかの方が好感持てたかな。自由奔放な感じも好き。
結局最後は何も現状が変わらないままのエンド。
ナイヴスも多分死んでなさそうな気がする。
続きは劇場版パターンだけど、全体的に面白かったし文句はない。

CGの出来は良い。
ただ、海外アニメを意識したようなオーバーリアクション、過剰な表情変化は肌に合わない。慣れるまではかなりきつかった。
戦闘シーンなどになると、エフェクトが派手で映像映えしてて良いんだけど...。
特にパニッシャーはかっこよかった。

OPとEDも雰囲気があって良かったと思います。

私的評価:74点
私的ベスト回:3話

↓1話毎メモ
{netabare}
1話 ☆4
見ましたわをそう簡単に信じるなw
この海外アニメを意識してそう雰囲気かなりきつい。
また銃抜いてて草。アクションシーンはいいんだがなぁ。

2話 ☆7
海外アニメ感キツイ。もっと銃バンバン撃つ硬派系かと思ってたわ。
結局死ぬのかよ。

3話 ☆10
海外アニメ意識しすぎ。
キチガイ爆弾魔なららしく巻き添え上等で死ねよw
捕まったらどうせ殺されるんだから。血の量多すぎて草。
結局悪人は殺される運命。胸糞回だな。
これCGじゃなかったら良いんだろうな。

4話 ☆8
こいつらは着いてくるのね。廃車確定。
どちらかと言うとあの子供が怪しい。強い(確信)

5話 ☆9
既存の発電法も息してるんだ。砂漠が赤くない頃か。
この子供は過去の時間軸なのね。ニコラス正論だわ。

6話 ☆8
今更になってびびってんのかロベルトw ニコラスの親戚か。
本当にニコラスもロロと同じような存在か。草。グロい。
どうやって逃げてきたんや結局。
結局こいつもヴァッシュと同じ考えになるの?

7話
とっとと殺せ。結局死ぬんかい。過去の教訓から学ぶ。
初めて何かを守れた。☆8

8話 ☆8
露骨なフラグ。このプラント母なん。プラント調整係か。鬱展開。

9話 ☆8
ナイヴスってknivesかよ。ブラドさん生きてたのか。
全滅するかと思ったけど。やっぱり現実世界と同じ世界か。
環境問題か。地球の前科あるしナイヴス悪くなくねこれ?

10話 ☆9
何に対する耐性を得たんだ? ナイヴスたちも人間の正統進化なのかな。
普通に動き出すんかw ガバガバエイム。
こいつは死にそうな感じはしてた。死ぬまでぶれなかったなこいつ。

11話 ☆8
ナイの方が特殊な力持ってるのか。まあ黒幕はこいつだわな。

12話 ☆7
案外あっさりと立ち直る。落ちながら戦ってる。殺していいぞ。
死んだの? 昔みたいなデザインになったな。
結局何も解決してない気がするw

曲評価(好み)
OP「TOMBI」7.5
ED「星のクズα」☆9
12話ED「聖者の行進」☆6
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 1
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