戦闘機で変形なアニメ映画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の戦闘機で変形な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月04日の時点で一番の戦闘機で変形なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

79.8 1 戦闘機で変形なアニメランキング1位
超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか(アニメ映画)

1984年7月21日
★★★★☆ 4.0 (462)
2100人が棚に入れました
50万周期にわたり大宇宙で抗争を続ける巨人族の二大勢力、男のゼントラーディ軍と女のメルトランディ軍。西暦2009年、その戦火は地球にも及び、ゼントラーディ軍の奇襲をうけた地球統合軍の巨大宇宙戦艦SDF-1マクロスは、脱出時の動力不調から太陽系外周部へ飛び出すこととなる。追撃をうけながら地球への自力帰還をめざす航海の5か月目、土星の衛星タイタン宙域から物語は始まる。地球を離れる際避難した5万8千人の民間人は、広大な艦内に市街地を建設し生活を営んでいた。バルキリー隊パイロット一条輝はアイドル歌手リン・ミンメイや、上官早瀬未沙と近しい関係になっていく。そんなありふれた日常風景が、接触した巨人族たちの規律に思わぬ混乱を招くことになる。

声優・キャラクター
飯島真理、長谷有洋、土井美加、羽佐間道夫、小原乃梨子、神谷明
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

マクロスシリーズ一括評価

ちょうど今、dアニメストアで、3月末までの限定ながら、本作および『劇場版マクロスF』(前・後編の2本)『劇場版マクロス7』の劇場版作品4本が配信されているので、マクロスシリーズ未視聴の方はチャンスです。
(※なお、TVシリーズ『超時空要塞マクロス』『マクロス7』『マクロスF』『マクロスΔ』は期間限定なしで配信中)


◆マクロスシリーズ一覧&評価 ※全10シリーズ18作品
(※作中にある架空の西暦年代の順です。制作順ではありません)

★が多いほど個人的に高評価した作品(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた作品
×は脚本に余り納得できなかった疑問作
●は未視聴
※人名は監督、(総)は総監督、SDはシリーズディレクター、SCはシリーズ構成

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 【1】 マクロス ゼロ (西暦2008年の世界) ※冒頭で1999年7月の災厄が語られる
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№1 《OVA》 「マクロス ゼロ」 (河森正治/全5話/2002-04) ★ 4.0

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 【2】 超時空要塞マクロス (西暦2009-10年の世界)
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№2 《テレビ》 「超時空要塞マクロス」 (石黒昇(SD)・松崎健一(SC)/全36話/1982–83) ★ 4.3
№3 《劇改作》 「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」 (石黒昇・河森正治/1984) ☆ 3.7

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 【3】 超時空要塞マクロス Flash Back 2012 (西暦2012年の世界)
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●№4 《OVA》 「超時空要塞マクロス Flash Back 2012」 (河森正治/1987) ※30分

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 【4】 マクロスプラス (西暦2040年の世界)
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№5 《OVA》 「マクロスプラス」 (河森正治(総)・渡辺信一郎/全4話/1994-95年) ☆ 3.8
№6 《劇改作》 「マクロスプラス MOVIE EDITION」 (河森正治(総)・渡辺信一郎/1995年) ※115分 ★ 4.1

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 【5】 マクロス7 (西暦2045-46年の世界)
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№7 《テレビ》 「マクロス7」 (河森正治(原作)・アミノテツロー/全52話/1994-95年) ☆ 3.7
№8 《劇新作》 「マクロス7 銀河がオレを呼んでいる!」 (アミノテツロー/1995年) ※33分 ☆ 3.7

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 【6】 マクロス ダイナマイト7 (西暦2047年の世界)
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№9 《OVA》 「マクロス ダイナマイト7」 (アミノテツロー/全4話/1997年) ☆ 3.5

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 【7】 マクロスF (西暦2059年の世界)
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№10 《テレビ》 「マクロスF」 (河森正治(総)・菊地康仁/全25話/2008年) ★ 4.3
№11 《劇改作》 「マクロスF 虚空歌姫〜イツワリノウタヒメ〜」 (河森正治/2009年) ★★ 4.5
№12 《劇改作》 「マクロスF 恋離飛翼〜サヨナラノツバサ〜」 (河森正治/2011年) ★★ 4.7
●№13 《劇改作》 「マクロスFB7 オレノウタヲキケ!」 (アミノテツロ/2012年)

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 【8】 マクロスΔ (西暦2067年の世界)
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№14 《テレビ》 「マクロスΔ」 (河森正治(総)・安田賢司/全26話/2016年) ★ 4.0
●№15 《劇改作》 「劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ」 (河森正治/2018年)

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 【9】 超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN- (西暦2090年代の世界)
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№16 《OVA》 「超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-」 (八谷賢一/全6話/1992年) ☆ 3.5

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 【10】 その他 
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№17 《OVA》 「娘クリ Nyan×2 Music Clip」 (/2010年) ★ 4.0 ※『マクロスF』劇場版の映像を流用した音楽劇
●№18 《OVA》 「マクロス超時空ゼミナール!!」 (/2012年)


以上

(TVシリーズ+短編OVA) 5+36+4+52+4+25+26+6=158話
(劇場版) 7本 (愛おぼ/マクプラME/マク7銀呼/マクFB7/マクF虚空/マクF恋離/マクΔ激ワル)
(特殊OVA) 3本 (Flash Back 2012/娘クリ/超時空ゼミ)


◆総評

上記のように、TVシリーズを放送した後に、それをベースとする劇場版アナザー・ストーリーを公開するのが恒例になっています。

・・・で、私の個人的な感想ですが、

(1) 『超時空要塞マクロス』(初代マクロス)に関して

本サイトでは、何故か劇場版の評価が非常に高く、TVシリーズの評価が低めですが、TVシリーズをちゃんと見ていないと劇場版もさほど楽しめないし、マクロスシリーズ全体のコンセプトを誤解してしまう怖れがあると思うので(※私がそうだったので・・・)やはりTVシリーズの方を先に視聴する方が良いと思います。
逆にいうと、劇場版を見てまずまず楽しめた人には、TVシリーズの方も必ず見て欲しい作品です(※劇場版は作画・音楽が良く“楽しめる”作品だけど、TVシリーズは作画の酷さやシナリオのグダグダさという欠点を凌駕する“予想外に大きな感動”のある作品と思うので→マクロスシリーズが現代まで続いている人気の源泉はここ)

(2) 『マクロス7』に関して

私が最初に視聴したマクロスですが、こっちも初代マクロス(TVシリーズ)の方を最後までしっかり見ていないと作品コンセプトが確り理解できないし、作品をいまいち楽しめないと思います。
※ヒロイン(ミレーヌ)の両親が初代マクロスのあの{netabare}子づくりカップル{/netabare}だと知ってビックリ!だったので。
シナリオ自体は、初代マクロスを視聴済みという前提で、前半はまずまず面白いと思います(※個人評価 ★ 4.1 くらい)。
ただし後半は、展開が冗長になりシナリオも焦点が定まらなくなる印象で、全体評価は ☆ 3.7 とマクロスシリーズの中では低めとなりました。

(3) 『マクロスプラス』に関して

全4話と短く作画良好&シナリオもコンパクトに纏まっているので、ここからマクロスを見始める、という手はあると思います。
但し、マクロスシリーズ全体からみると、他作品との関連は薄く、無視しても問題ない作品かも。

(4) 『マクロスゼロ』に関して

初代マクロスの前日譚なので「ゼロ」という作品名なのでしょう。
その初代で活躍するエースパイロット(ロイ・フォッカー少佐)の雄姿が存分に楽しめる作品でもあるので、彼のファンは必見です。
そして、『マクロスF』に引き継がれる伏線も多い作品。

(5) 『マクロスF』に関して

新規ファン開拓を主眼としエンタメ性が大幅に強化されているので、ここからマクロスシリーズを見始めても十分楽しめると思いますが、『超時空要塞マクロス』のTVシリーズを確り見終えたあとに再視聴すると、本作が初代マクロスを巧みに本家取りしていることが分かってきて、楽しみが更に増すと思います。
因みに、『マクロスゼロ』の方も先に視聴しておけば、そちらのエピソードとの関連も発見できて更に楽しめます。
更にいえば、『マクロスF』に関しては、TVシリーズよりも劇場版の完成度の方が圧倒的に高いので、初代と違って劇場版から先に視聴するのもアリだと思います。

(6) 『マクロスΔ』に関して

現在劇場版が公開中の最新シリーズですが、私はTVシリーズしか見ていないので評価は保留します。

(7) 『超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-』に関して

初代マクロス制作10周年を記念して制作されたOVAということですが、河森正治氏その他の初代マクロスの主要スタッフが制作にあまり関わっておらず、マクロスシリーズの中では完全に浮いた作品となっています(シナリオ&設定も他作品とは整合性が取れていない完全なパラレルワールドもの)。
内容は可もなく不可もなく、といったところか。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 26
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

ミンメイファンが増えました

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 初見でした。2時間くらいのSFロボットもの。テレビシリーズは未視聴です。
 作画に関しては圧巻の一言。音楽も満足しました。視線の送り方などの表現もとても良かったです。


ゼントラーディとメルトランディ:{netabare}
 男のゼントラーディと女のメルトランディと人類が相互に戦争状態にある、という三つ巴がストーリーの骨子にあります。この異種族であるゼントランディとメルトランディの描き方は面白いなと思いました。
 ゼントランディの戦艦は、自然的で曲線的。
 メルトランディの戦艦は、機械的で直線的。
 一般的なイメージとしては、自然的・曲線的なものが女性で、機械的・直線的なものが男性だと思うのですが、イメージが逆転されています。女性的な戦艦を持つ男のゼントラーディと、男性的な戦艦を持つ女のメルトランディという構造です。

 両種族とも異性を必要としなくなった人類で、相手の種族と敵対しているわけですが、本能的な部分では相手種族を排斥していないのかもしれません。戦艦の中にいることを踏まえれば、異性の特性の庇護下にいるとも言えますし、戦艦として運用していることを踏まえれば、異性の特性を内在化しているとも言えます。

 このような戦艦が描かれることで、<ゼントラーディVSメルトランディVS人類>の戦いは、<男女VS男女VS男女>の均衡された状態になりました。これでは決着つかなくない?と思っていたら、やはり決着は別のところにありました。
 結局、この戦いは、どれかの種族に勝者が生まれたわけではなく、<文化推奨派VS文化否定派>の戦いに展開され、終止符となりました。文化の勝利です。
{/netabare}

ミンメイとミサ①:{netabare}
 今度はヒカルを巡る三角関係に関して。
 象徴として最初に起こったのはヒカルとミンメイは結婚式で、次がヒカルとミサは新婚生活、ということでヒカルがどちらになびくのかはなかなか見えませんでした。結果論から言うと、ミサしかなかったのだと思います。

 新婚生活の前のシーンで、ヒカルの家族が既に他界していることが明らかになります。家族のいないヒカルを「お帰りなさい」と迎えてくれたのがミサであり、ヒカルもこれを「ただいま」と受け入れたことが、ヒカルがミサになびくきっかけとなっていたのだと思われます。

 ミサがヒカルに思いを寄せ始めたのは、新婚生活の前のシーンでしょう。風邪をひいたミサがヒカルに弱音を吐きますが、ヒカルの境遇に触れ反省し、グロイ魚を食べるシーンがあります。これはおそらくプライドを捨てたという描写でしょうから、上官と部下という関係性から離れ、単なる男と女という関係にシフトしたのだと思われます。恋愛のスタートラインが描かれていたのでしょう。

 新婚生活自体はおままごとだったのですが、おままごとではない重要な描写があります。直後にあるミサが制服のジッパーを上げるシーンです。
 ミサはいつも立ち姿がシャンとしています。制服もキチンと着ています。どれくらいキチンとしているかというと、風邪をひいて寝込んでも着崩さないくらいキチンとしています。そんなミサがジッパーを上げるというのは、洋服を着る行為以外ないと思われます。ジッパー上げはヒカルと一緒に外に出てくるタイミングで行われますから、その前は洋服を脱いでいた、つまり、ヒカルとミサの間に肉体関係があったと捉えて良いでしょう(というか、意味がないのにジッパーを上げるシーンを描く理由がないですからね)。

 ヒカルとミサの関係が強固になっていることが分かるシーンがもうひとつあります。修羅場のシーンです。
 このシーンでは、ミサはノックをせずにヒカルの部屋に入ってきています。これは付き合い始めの恋人関係ではありえないでしょうから、通い妻とか同棲に近い感覚で過ごしてきていたのだと思われます。
{/netabare}

ミンメイとミサ②:{netabare}
 ミンメイが帰還してからも、ヒカルがミサに思いを固定できたのは、肉体関係があったからだと思います。
 もちろん現実的には肉体関係があっても他の女性になびく可能性はあるのですが、それはこの作品的には「絶対にありえない」と言い切れます(…たぶん)。
 肉体関係というと少しスケールが小さいですし生々しいので、「子孫を残すこと」とイメージしてください。

 この作品は、ゼントラーディと人類の対比が主題です。そして、人類が引き継いできた文化や愛が、両者の争いを終結させるという構造を持っています。しかし、文化とは何かとか、愛とは何かとかについては一切語られません。ここを語らない代わりに多くの時間を使って説明されているのがゼントラーディとは何か、ということです。

 ゼントラーディは、「子孫を残せず、戦争をする種族」です。これの対比先である人類が「子孫を残し、文化を持つ種族」というのはすぐに分かることです。そして、この背後にあるのが「愛」です。

 ミサとヒカルの肉体関係を示唆した以上、物語の構造上、人類を表現する際の「子孫を残すこと」というポジションは充足されています。物語を完成させるために足りていないのは、「文化を持つ」側です。
 ミンメイはアイドルというキャラクターです。初めから「文化」の側のキャラクターだったわけですから、私たち視聴者の感情はともかくとして、恋のライバルが登場してしまうと分が悪いと言わざるを得ません。
 つまり、「子孫を残し、文化を持つ種族」である人類を描くためには、ミンメイをヒカルとの恋愛が成就する「子孫を残す」側としてミサと重複させるわけにはいかず、愛の歌を歌う「文化を持つ」側でなければならなかった、ということです。

 仮に、ミサとヒカルの肉体関係が描かれていなければ、ミンメイにも可能性はあるのですが、そうなるとミンメイ自体が「子孫を残す」側であり、かつ、「文化を持つ」側でもあるわけですから、人類の全てを体現したキャラクターになってしまいます。人類の女神さま状態になりますから、象徴化が過ぎると思います。

 この作品のふたりのヒロインは、「愛」を「子孫を残す」側に特化させたミサと、「文化を残す」側に特化させたミンメイという役割を担っていたのだと考えられます。ふたり合わせて人類を描いていたのでしょう。ゼントラーディと対比をする上で、人類が持つ機能を「子孫」と「文化」に分けてしまったために、ふたりのヒロインはそれぞれの機能を体現するしかなかった、ということなのだと思われます。
 つまり、物語の作りから言えば、ヒカルが選ぶのはミサしかなかった、ということです。
{/netabare}


 マックスのサイドストーリーはもっと見たかったかな。尺が全然足りてないけど。
 2時間のミュージックビデオなんて聞いてましたけど、音楽だけの作品ではなかったと思います。文化とか愛とかっていうのが何かっていうのを描いて欲しかったというのはありますが、それを差し引いても、相当面白かったです。ロジックはしっかりありますしね。
 まぁ文化や愛が何なのかが語れなかったというのは、裏側を書くから表側は自分で考えてね、という構造になっている以上、仕方のないことかもしれませんけどね。ゼントラーディという異種族を使うことで、人間について考える、という作品でした。

対象年齢等:
 やや男性向けですかね。ミンメイの歌を好きになれれば性別は関係なさそうですけど。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

オタクアニメの金字塔であり、日本のアニメのオタク臭の原因。

24年6月。夏はなぜか劇場用作品がみたくなるので再レビューをしています。

 1984年は「風の谷のナウシカ」も公開されています。日本の劇場用アニメの特異点でしょうね。「ナウシカ」が大人も楽しめるアニメの起点だとすると、本作はオタクによるオタクのためのアニメの始まりでしょう。

 ヤマト、ガンダムに洗脳された世代が本気で作った、オタクアニメの起点ともいえる作品です。実写を見て育った人が作った作品でもマンガの映像化でもなく、アニメにあこがれてアニメをしゃぶりつくした人がアニメを作ったという感じの作品です。それゆえ、オタクの心にがっつりと食い込みます。
 
 その美しい作画は誰でも理解できると思います。色合いも良く、非常に贅沢な作りとなっています。のちのエヴァでも感じられますが、その設定はオタクのこだわりで作りこまれています。自分の好きなものを好きなように動かすという気持ちが画面からあふれています。

 1988年「トップをねらえ」1995年の「エヴァンゲリオン」など、設定内容作画などが高度化しつつ、海外SF的な素養とアニメ文化ロリ文化が融合して進化してゆく日本独特の萌えSFオタクアニメは、本作以前にはなかったものです。
 ガンダムがありましたがオタク度が足りません。むしろ実写・リアルへのあこがれで、厨二度が足りません。松本零士系(ヤマト除く)、スーパーロボット系、スポコン系などありますが、どれもオタク系とはいいがたいものです。

 かろうじて「クラッシャージョー」があり、その作画を見ると本作につながるものが見えますが、それほどメジャーにはなりませんでした。ですので、オタクの本格的な再生産はこの作品からスタートと言えると思います。
(私は内容としては評価していませんが、ビューティフルドリーマーもこの年ですね。映像とオタクマインドという意味では同作品もなかなかです…いや、オタクというよりメタマインド…つまり楽屋ノリというべきでしょうか)

 1980年代後半からのアニメ映画の興隆は「ナウシカ」より本作の影響が大きかったのかなと思います。「ナウシカ」はジブリ映画にしか寄与せず、また、ナウシカフォロワーはどうもクオリティが落ちるものが多い気がします。
 逆にマクロスシリーズはあまり発展しませんでした。ロボットアニメという意味では圧倒的に「ガンダム」でしょうね。マクロスは狭い界隈になってしまいました。ヴァルキリー・三角関係・アイドルという要素が明確なのに、これを上手に使った作品が少ないです。

 しかし劇場用アニメ…オタクアニメとしての本作の存在感はすさまじく、オタク文化の中では燦然と輝く金字塔です。
 なぜ金字塔になりえたかといえば、上のオタクマインドに加え、やはりリンミンメイ・飯島真理さんと作画技術なのでしょう。

 日本のアイドル声優の始祖と言えると思います。それ以前にもアニメソングの優れた歌手はいましたが、キャラ=アイドルですね。しかも、声優さん=歌手として音楽番組で歌うというのはあり得なかったと思います。そして音楽性も良く特に「愛おぼえてますか」は今でも歌い継がれています。
(なお、クリーミーマミはいましたが、これも声優さんが全面に出てこずあくまでキャラが歌っていました)
 何より美樹本晴彦氏デザインのミンメイの可愛いこと。オタク絵ではあるんですけど、萌え絵ではないですね。

 作画は、いろんなところで言われているので割愛しますが、航空機の動かし方や色の深みはやはり今見ても素晴らしいです。

 それと、歌とカルチャーを結び付けたテーマのような何かがこれまたいい具合に厨二感を増していました。

 ということで、1970年代までのオタク文化を享受した世代が、クリエータに回った結果、オタクが煮詰まってオタクアニメが再生産されるきっかけになったアニメだと思います。マインド的には庵野監督がこのマインドの正当な伝承者かな?いずれにせよ今の日本的オタクアニメの一つのルーツでしょう。



 
以下 21年5月のレビュー

伝説級のSFアニメにして、アイドルアニメの原点

 マクロスFを見たので、というか、シリーズで最もリスペクトされている曲が「愛・おぼえていますか」なので本作見ました。なんと1984年の作品です。

 ミンメイが登場する「マクロス」は幸運にも映画版から入りました。TV版からだと挫折していた可能性が高いです。作画が古すぎて。乱れていますし。

 冒頭、いきなり戦闘シーンから入るわけですが、これがカッコイイんです。SFだと作画が簡単なせいか、レーザーやビームが多用されますが、ミサイルです。嫌というほど。
 {netabare}遠方から煙の糸を引いて、相手に襲い掛かるミサイル。それをレーダー画面で確認しながら接敵し、ミサイルの爆発と同時に会敵、戦闘シーンに入ります。
 そして、戦闘の裏で行われるミンメイのコンサート。観客は盛り上げっています。ですが、戦闘はマクロス艦内に及び、ミンメイが危機に…。ボーイミーツガールの後、2人はひかれあうが…。もちろん伝統の3角関係になります。{/netabare}

 SFとしての舞台設定は、銀河史的な要素、人類起原的なものをベースにしていますが、しっかりロボット戦争アニメです。

 説明が不十分で、マクロスって何?なんで、戦ってんの?登場人物のバックボーンは?という感じで始まりますが、ほとんど、見てるうちに気にならなくなります。説明がある部分もありますし。TVシリーズの総集編ではない、1つのストーリーとしてしっかり完結しています。

 アニメーションの作画もちょっと信じられません。「これ、手書きなんだぜ」とドヤ顔?でなぜか自慢するレビュアーさんがいますが、なるほどわかります。この辺り、BSアニメ夜話でやったのを見たことがあるし、違法かもしれませんが、ようつべで見られる…かもしれませんので、詳しくはそちらで(今はみつかりません)。


 何といっても、この作品、アニメ史的にいえば、アイドルアニメの原点といえると思います。リン・ミンメイ。声優飯島真理。
 劇中で、いくつか曲が流れますが「愛・おぼえていますか」は、別格として、シンデレラ、天使の絵具というやけにレベルが高い2曲があるのですが、これは飯島真理さんの作詞作曲です。WIKIなどで確認すると当時音大生か何かで、普通に歌手だったみたいですね。デビューアルバム、聞いたことありますが、素晴らし出来栄えで、YMOの坂本龍一がプロデュースしていました。

 とにかく、歌が人類を救うというテーマに恥じない、素晴らしい歌手を起用して壮大な物語を作ったものです。確かに、伝説級のアニメですね。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 18

71.8 2 戦闘機で変形なアニメランキング2位
マクロスプラス MOVIE EDITION(アニメ映画)

1995年10月7日
★★★★☆ 4.0 (206)
1108人が棚に入れました
2040年、人類の移民惑星エデンにあるニューエドワース基地では、統合宇宙軍の次期主力可変戦闘機の採用コンペティション「スーパー・ノヴァ計画」が行われていた。競合メーカー2社のテストパイロットは、かつて親友同士であったイサム・ダイソンとガルド・ゴア・ボーマン。幼馴染の二人は、7年前のある事件をきっかけに袂を分かっていた。そして二人は、偶然にも幼なじみの音楽プロデューサー、ミュン・ファン・ローンと再会し、彼女を巡る三角関係でも火花を散らす。しかしミュンは、絶大な人気を誇る人工知能のヴァーチャル・アイドル、「シャロン・アップル」の秘密に深く関わっていた。

声優・キャラクター
山崎たくみ、石塚運昇、深見梨加、内海賢二、速水奨、林原めぐみ、西村朋紘、銀河万丈、兵藤まこ

Dkn さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

セル画リミテッド・アニメーションの頂

正直ストーリーで言うと初代のほうが好きなので・・


_(⌒(_・-・)▄︻┻┳═一゜三°。三三゜。(*゚Д゚)・:∴


・・

・・・

素晴らしい映画でしたねっ!

1995年制作。 OVAを再編集し、ストーリー変更なども行われている劇場作品。

時代が経っても色褪せないのがスゴイ。それどころか、セルでの表現はもう無理だと言われていますから
益々価値が上がっているような気さえします。作ろうとしても実際クリエイターはいるでしょうけど
メリットが無いですし、なにより機材がないでしょうね・・悲しいなぁ;

イサムやガルド達が繰り広げる、バルキリーでのドッグファイトは、未だに語り継がれるほど、
日本のアニメーションの歴史において外せないものとなっています。

2人の男の、プライドをかけた戦いが熱く、そして少し切ないです・・。

河森監督作品の中でも、一番ストレートな題材かつ、時間も短いのでオススメです。
(けど・・マクロスシリーズ見たこと無いって方なら、フロンティアかデルタから入ったほうがいいかな?

ヴァーチャルアイドルであるシャロン・アップルの表現が絶妙で、いつか時代が追いついて、
あんな歌姫が現れないかと日々夢想しています(笑)歴代マクロスの歌姫でも断トツに好きです。

主題歌や劇伴も素晴らしくて、主に菅野よう子が担当しています。
その中でも菅野が唯一担当していない、元電気グルーヴのCMJKが作曲した「INFORMATION HIGH」は、
劇中での曲の中毒性を表してる意味でも完成度が高いですね。映像も含め、もうシャロンの虜です・・。


あ~ シャロン様ぁ・・・ゴーストでシャロン様のお胸に突っ込みた・・


_(⌒(_・-・)▄︻┻┳═一゜三°。三三゜。(*゚Д゚)・:∴

投稿 : 2024/11/02
♥ : 13

アトランティス さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

歌と言うよりは……

1995年、約25年前のマクロス作品で、
テレビ画面の規格が今よりもまだ小さかった頃の作品です。

アニメの勉強をしている友人の勧めで視聴しました。

OVA(4話)とMOVIE EDITIONの2つがあるらしいですが基本軸は同じなのであえて違いは書きません。内容は比較的最近のマクロスFやΔとは違い「歌で星を救う」というよりは「キャラの過去の清算」を主にしているのかなという感じです。

歌姫は今回は人間ではなく、バーチャルアイドルである「シャロン・アップル」
妖艶で怜美な雰囲気は他のマクロスシリーズにない個性があって、僕は今のアイドル性を前面に押し出しているΔとかの方が好きですが、好きな方は好きそうな世界観だなと思いました。

およそ25年前のマクロスですが、戦闘機の動きや宙を舞うミサイルの作画はCGが多くなった現代にも負けず見応えがあります。また、言葉で表現がしづらいのですが、歌姫のバーチャル映像が船の前に巨大に映るシーン(伝わりますか?笑)は、マクロスFのシェリル、マクロスΔの美雲にしっかり受け継がれていて、ちょっと歴史も感じましたね。

感想としては、今まで自分が見てきたマクロス(F,Δ)とは異色のマクロスだなと感じました。マクロスというとどうしても「歌」のイメージが一番にあったので、それを持たずに人間ドラマの方に重きを置いているのは意外でした。

あと、ちょっと終始暗い感じだったところが思っていたマクロスと違った印象を持った原因かもしれません。
キャラ的にも成熟した大人が多かったですし。

FやΔが好きな方が見たらどう感じるのか知りたいなと思いました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9

ガムンダ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

音楽と飛行機でごはん3杯 

2時間くらいの映画だったでしょうか。

観た当時はアニメに興味がありませんでした。
たまたまテレビで見かけてその音楽にひきつけられ、友達にその話をしたらソフトをみせてくれたように記憶しています。確かLDでした。
サントラも貸してくれました。

菅野よう子さんを知った作品でした。
新居昭乃さんも歌ってます。
音楽監修は溝口肇さん(世界の車窓からでお馴染み)。
兎に角音楽だけで引き込まれます。

ただ今となってはちょっと古い感じはします。
何しろ菅野氏は超売れっこなので、本人やフォロワーによる菅野的なものが溢れていますから。


それから「飛行機もの」としても秀逸です。
物語の背景として新型機の開発という設定があります。
当時アメリカで行われていた実際の戦闘機の競争試作を参考に丁寧に描写されてますし、「物語世界の新技術とは」と言うSF的な想像も掻き立てられます。
物語終盤の宇宙から高度を下げていく映像などは何度も巻き戻して観てしまいました。
本格飛行機ものとして「紅の豚」「風立ちぬ」に比肩すると言っても良いくらいです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7
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