2023年度の戦争おすすめアニメランキング 13

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2023年度の戦争成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月10日の時点で一番の2023年度の戦争おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

69.0 1 2023年度の戦争アニメランキング1位
NieR:Automata Ver1.1a[ニーアオートマタ](TVアニメ動画)

2023年冬アニメ
★★★★☆ 3.5 (169)
623人が棚に入れました
西暦5012年。 突如地球へと飛来してきた<エイリアン>と、彼らが生み出した<機械生命体>により、人類は絶滅の危機に陥った。 月へと逃げのびた僅かな人類は、地球奪還のため、<アンドロイド>の兵士を用いた反攻作戦を開始。 しかし無限に増殖し続ける<機械生命体>を前に、戦いは膠着状態に陥る。 人類は最終兵器として、新型のアンドロイド<ヨルハ>部隊を地球へ派遣。 新たに地球へと派遣された<2B>は先行調査員の<9S>と合流し、任務にあたるが、その最中で、数々の不可解な現象に遭遇し……。 これは人類のために戦い続ける、命なき<アンドロイド>の物語――。
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

人形たちの記憶

A-1 Pictures制作。

異星人が生み出した機械生命体により、
地球を侵略された人類は絶滅の危機に陥る。
月へと逃れた人類は新型アンドロイド、
ヨルハ部隊を地上へと派遣し反撃を開始する。

物語全体を俯瞰しなければならない。
{netabare}初回は大胆にも戦闘描写だけに終始し、
第二話は物語の根幹に触れるかのような、
哲学的な脚本であったように思う。{/netabare}

これは演者が揃えば面白くなりそうだ。

廃墟の街、とある機械は宝物を見つけた。
{netabare}機械たちに目覚める意識、認知、感情、記憶、
彼らはついに心を持つに至ったのか、
彼らにどこか悲哀を感じさせる演出である。{/netabare}

私には物語の顛末は悲劇的に思えるが、
その予感が当たらないことを願うばかり。

最終話視聴追記。
両陣営の衝突が迫力ある戦闘描写で描かれ、
{netabare}学習進化により意識を持つに至る機械生命体と、
命令に従順なアンドロイドとの対比が表現されている。
人が持つ心の神秘に魅せられた機械たちの、
やはり悲劇的な物語であるように思う。
行く末を案じるが、停戦の糸口は見つからない。{/netabare}

期待して次の物語を待ちたいと思います。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 33

ウェスタンガール さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

あんちのみ〜♪

マスター・オブ・パペッツ(人類会議)は、きっと『水銀燈』のファンなのだろう。
そして変態さんである。
何と言っても“目隠し”ゴーグルである。
背徳感以外の何物でない。
栗本慎一郎をご存知だろうか?
『パンツをはいたサル』である。
パンツは脱ぐためにある。
そう、目隠しを外した2Bさんに萌えるのだ。

ストーリーは、皆さんご指摘の通り。
何ともベタベタなエビの連続攻撃に辟易したものの、自らの汚れた心に鞭打ち、ロスト・パラダイス寸前で踏み止まることができた。
これぞ正にアンチノミー。
機械仕掛けの愛、その行先を見届けようと…。

そして怒涛の一挙放送である。
なかなか面白かったのである。
少しだけ、ガイナックスの呼び声が聞こえたような…。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 17

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

生と死を繰り返す螺旋に……我々は囚われ続けている

この作品の原作はゲームだったんですね。
完走してレビューを書くためにwikiをチラ見するまで全く気付きませんでした。

石川由依さんが出演されるということで視聴を楽しみにしていましたが、結果的にこの作品もコロナ禍の影響を大きく受けることとなりました。

元々は2023年の冬アニメとして放送が開始されましたが、コロナウィルスによって二度放送が延期されました。

コロナ禍じゃ遅延も仕方ありませんよね。
寧ろ、クオリティを落とさずに制作頂いたことには感謝の言葉しかありません。
流石、A-1 Picturesさんですね^^


西暦5012年。

突如地球へと飛来してきた<エイリアン>と、
彼らが生み出した<機械生命体>により、人類は絶滅の危機に陥った。

月へと逃げのびた僅かな人類は、地球奪還のため、
<アンドロイド>の兵士を用いた反攻作戦を開始。

しかし無限に増殖し続ける<機械生命体>を前に、戦いは膠着状態に陥る。
人類は最終兵器として、新型のアンドロイド<ヨルハ>部隊を地球へ派遣。

新たに地球へと派遣された<2B>は先行調査員の<9S>と合流し、
任務にあたるが、その最中で、数々の不可解な現象に遭遇し……。

これは人類のために戦い続ける、命なき<アンドロイド>の物語――。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

完走して振り返って思う事…
キャラデザの緻密さ、繊細さがヤバいくらい凄いんですけど…!

是非、公式サイトはご覧頂きたいと思います。
トップページでは見惚れるようなイラスト群を堪能することができますよ。

ゲームの方でも1920×1080Pの解像度でプレイできるようなので、作画にも気合が入っているのはビンビンに伝わってきます。
こういうキャラを大切にする作品は大好物です。

一方、物語の方はきっと未だ序盤…なのかもしれません。
人類が地球を奪還するためアンドロイドを地球に派遣しましたが、守るべき対象である人類をきっと私は未だ一度も見たことがありません。

圧倒的な数の暴力で迫り来る機械生命体 vs アンドロイドの構図で物語は展開されますが、石川由依さん演じるヨルハ二号B型に、目を奪われながらの視聴になってしまいました。

つい視線がヨルハ二号B型に誘導させられるかのように目で追ってしまうんです。
それだけヨルハ二号B型が魅力的だったからでしょうけれど…^^;

そして、最終話の放送後に第2クールの制作が発表されました。
今回の首謀者に関する物語は一応の完結を迎えたと思っていますが、人類は一向に出てきませんし、レジスタンス部隊のリーダーを務める女性型アンドロイドであるリリィの回想編で登場した二号についても伏線が回収されていません。
そう考えると、第2クールの制作は初めから決まっていたのかもしれませんね。
ゲームの方も売り上げがメッチャ好評らしいので、きっと資金も潤沢なんだと思います。

資金が潤沢だとそれだけプレイヤーにも還元されるのでしょうか…
私のプレイしているゲームは個人的には神ゲームだと思っているのですが、世間の評判はそれなりなので、ガチャとかメッチャ渋い感じがしてなりません。
ここが改善されたらもう少し課金しようという気にもなるんですけどね^^;
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、Aimerさんによる「escalate」
エンディングテーマは、amazarashiさんによる「アンチノミー」
どちらも冬アニメシーズンに繰り返し聞いた大好きな楽曲です。

1クール全12話の物語でした。
しっかり堪能させて頂きました。
第2期はいつ放送されるかは今後の発表を待つことになりますが、第1期同様、クオリティだけは落とさず放送されることを願っております。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 16

60.5 2 2023年度の戦争アニメランキング2位
ポーション頼みで生き延びます!(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★☆☆ 2.9 (106)
281人が棚に入れました
ある日突然、異世界に転生してしまった22歳のOL・長瀬 香。 転生先でバッチリ生き延びるために、神様的存在からカオルがゲットしたのは若返った肉体と…超チート級のポーション作成能力!? 異世界転生女子・カオル☆知恵とチートで…生き延びます!

レオン博士 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5

尺が足りないから巻きでいきます!

淡々と話が進むなろう系チートアニメですが、早送りでもしてるのコレ? 展開早すぎ
旅の先々で困っている人を助けていくのはいいですが、主人公の能力が万能すぎて、やることがないから気まぐれで人助けしているような印象
何でもやりたい放題だから自分が欲しいものは全部生成して、後は無償の診療所でも作って人助けしちゃえばいい話なんですよね・・・

主人公は女子ですが中身があまり女子っぽくない
悪役令嬢系とか、聖女の魔力は万能ですとか、本好きの下剋上などは異世界転生してやりたいこと、なりたい自分が女子だなーって思えるけど、この主人公は女子の皮をかぶったゲーム廃人?
転生時に神様を脅迫してこういうチート能力ください!!というメタ発言が斬新
その後もこれだけ図々しい主人公を贔屓する神々、なんで?

娘が死んだっていうのに家族の反応が一週間くらい旅行に行ってこいみたいなテンション、主人公が異世界の人達に息を吐くように適当な嘘をつく、などなど、この作品のキャラクターの感覚にちょっとついていけない
キャラの考え方も話の展開もなんかゲーム感覚
主人公が活躍しても成功の余韻とか全然なく、淡々とサクサク話が進んでいくのも好みわかれそう
中途半端なとこで終わってもいいから、もっとゆっくり時間かけたほうがいいんじゃないでしょうか?

投稿 : 2024/11/09
♥ : 14
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5

作品よりも次々とアニメ化される「FUNAマジック」に興味が沸いたw

【レビューNo.127】(初回登録:2024/6/9)
ラノベ(なろう発)原作で2023年作品。全12話。
前回FUNA作品の『ろうきん』をレビューしたので、その勢いで本作もレビュー
しておこうかと。

(ストーリー)
OLの長瀬香は帰宅途中で(神様的な)地球の管理者の調整失敗により死亡した。
その際異世界に転生を薦めれる。
そして異世界の管理者・セレスと交渉して(まあ脅しですがw)
・肉体の若返り
・思った通りの効果のある薬を、考えた通りの容器に入れて作る能力
・容量無限、時間経過無しのアイテムボックス
・この世界のあらゆる言語の会話、読み書きに不自由しない能力
・セレスと友達契約
をいった条件を付与させることに成功、彼女は”カオル”として異世界ライフ
をスタートさせるのだった。

(評 価)
・主人公は”小賢しさ”が鼻につく
 「性格の悪い主人公」がFUNA作品の持ち味っぽいのですが、『ろうきん』の
 場合だと「金貨を稼ぐ」が主題だったので
 ・性格の悪さ=”アコギな守銭奴キャラ”がピタリとハマる
 ・善意の行動もあるが、後でしっかり金貨で回収
 という感じで、このキャラ造形も上手く機能していた感があるのですが、本
 作の場合は
 ・転生時にあれやこれやと注文をつける”厚かましさ”はよしとして
 ・降りかかってくる火の粉に、”とんちめいた悪知恵”で対抗
  → 何かと”小賢しさ”が鼻につく
    (私の考えた「この凄い屁理屈ドヤ!」みたいなw)
 ・ヒールキャラの割にイミフに善行に走ったりと何かと中途半端
  (その場の思い付きでキャラを動かしているような)
 って感じですかね。
 FUNA作品お得意の
 ・「性格の悪い主人公」×「”ご都合主義”のサクサク展開」
 の組み合わせは悪くなく、頭を空にして観れるのですが、『ろうきん』は主
 人公ミツハが上手い具合に”ぶっ壊れてた”だけに、それと比べるとカオル
 は単に性格の悪い魅力に欠けるキャラという印象ですかね。

・チート能力は白けてしまった
 Q:「ポーション頼み」でどうやって生き抜くの?
 A:”ポーション=何でもあり薬品”やし”容器”もガバガバ設定やぞ!
 {netabare}(毒薬を相手の体内に生成したり、よく斬れる剣型の容器を出したりとか){/netabare}
 最初は「そうきたか」と斜め上の答えに少し感心しましたが、結果「制限な
 しの何でもアリ」になってしまったので、何をしても「ハイそうですか」と
 しかいいようがなくなったんだよなあ。
 その点『ろうきん』の特種能力「現実世界⇔異世界を自由に行き来できる」
 は(多少のオーバースペックはあったものの)ちょうどいい収まり具合で、
 他の見せ場ともバランスが取れていたように思いますね。
 本作だと特種能力がチート過ぎて、そこら辺がボケてしまったかなっと。
 何か原作者の
 「ドヤ、そうくるとは思わなかったやろ!」
 を見せつけられているだけなんじゃ・・・

・キャラデザは独特
 『ろうきん』のミツハも童顔キャラでしたが、カオルも転生時に若返りを
 希望したので少女キャラとなっています。
 しかしデフォルメが効いて、そこに(アイデンティティともいえる)目つき
 の悪さをプラスしたかなり独特のキャラデザですね。
 まあラノベ化の際イラストも描かれるので、そのイメージを崩せないという
 ものあるのでしょうが、
 「このキャラデザで性悪でブラックなことをするというシュールさ」
 といったギャップ狙いって感じなんですかね。
 個人的には『ろうきん』と比べると
 「『性格の悪い主人公』×『ガバガバなチート能力』」
 というアイデアだけで見切り発車した作品という印象なので、それを象徴し
 たかのようなキャラデザと捉えればアリですかね。
 最初は違和感アリアリでしたが
 「この作品にしてこのキャラデザあり」
 で、意外と馴染んだかなっとw

個人的には作品より
「次々とアニメ化される『FUNA先生の謎の力』」
の方が興味深かったですね。
前提条件として”一定数売れている”というのはあるんでしょうが
・この手の作品にそれなりの需要があるのが驚き
・FUNA先生には業界人を魅了する何かがあるのか?!
と、いろいろと考えさせられたなっと。
「FUNAマジック」恐るべし(笑)
「この方にしか書けないものを書いているから」といえば、そうなのかなあと
いう感じですね。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 14
ネタバレ

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

都合が良すぎるポーションw

原作未読 全12話

現世で神ような存在の失敗で死亡した女性が、「若返り」「思った通りの効果のある薬を、考えた通りの容器に入れて作る能力」「容量無限、時間経過無しのアイテムボックス」「この世界のあらゆる言語の会話、読み書きに不自由しない能力」を条件に転生して、転生先で活躍するお話です。

特に「思った通りの効果のある薬を、考えた通りの容器に入れて作る能力」は効果的で、観ているとこれでは何でもありでしたねw

この薬の効果のおかげで色々なことに巻き込まれます。

ただ、薬の効果が万能すぎたために都合が良すぎて引き込まれるお話ではなかったですね。

お話は切りのいいところで終わっています。そこまで印象に残らない作品でした。

OPはkatagiriさん、EDはharmoeさんが歌っています。

最後に、ポーションって怪我とかに効くものと思っていましたが、他にも色々と効くのですね。 {netabare}(まさか水虫に効くポーションを作るとは思いませんでしたw) {/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 13

76.3 3 2023年度の戦争アニメランキング3位
窓ぎわのトットちゃん(アニメ映画)

2023年12月8日
★★★★★ 4.2 (20)
66人が棚に入れました
好奇心旺盛でお話好きな小学1年生のトットちゃんは、落ち着きがないことを理由に小学校を退学になってしまった。そんなトットちゃんは、新しく通うことになった東京・自由が丘にあるトモエ学園の校長先生に、「君は、ほんとうは、いい子なんだよ。」と優しく語りかけられる。子どもの自主性を大切にする自由でユニークな校風のもと、トットちゃんはのびのびと成長し、たくさんの初めてを経験していく。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

本当に、いい子。いい映画。脱帽です。

戦前~戦中期。幼少の頃のトットちゃんこと、黒柳 徹子さんの体験を描いた同名の自伝的小説(未読)の劇場アニメ化作品。

【物語 5.0点】
戦争の時代が舞台だが、メインで描かれるのはトットちゃんの子供目線。
“聖戦”の大局よりも{netabare} 新しく来る電車の“校舎”{/netabare} や級友たちのことの方が大切だった童心が鮮やかに再現されます。

“困った子”として、どの小学校からも拒絶されたトットちゃんをも、
「君は、ほんとうは、いい子なんだよ」と自由な方針で受け入れたトモエ学園校長の教育者・小林先生の生き様。
小児麻痺(ポリオ)の同級生・泰明ちゃんとの交流。
などもプロットの柱となる。


構成は、前半、空想上の世界も含めたトットちゃんの奔放な言動で、
トモエ学園の春夏秋冬の子供たちの日常を取っ散らかしているだけのようにも見えて。
自伝だから体験を羅列しているだけかな?と油断させておいて、
散りばめられた要素は後半一つ残らず見事に回収される。
無駄なシーンは何一つない。練り上げられたシナリオに驚嘆させられます。


戦場について、直接描くシーンは少ないですが、
女児にママをお母様と呼び直させる戦時の同調圧力など、
軍靴に内心の自由が踏み荒らされる理不尽や、
取り締まる官憲に対して直接衝突を避けつつ、売り渡したくない魂をどう守るか。
この辺りの心の機微や矜持については繊細に描写されており、痛切です。

終わってみれば、戦争、障害、差別、教育と取り扱い困難な骨太なテーマをも消化して、鑑賞者の心に残してくる。
史上でも屈指の伏線芸術点の高さに私は5.0点満点付けざるを得ません。
{netabare} チンドン屋{/netabare} に始まり{netabare} チンドン屋{/netabare} で終わるw
暗いだけじゃない同時代の空気に感化されながら、心で読み解きたい名作です。


【作画 5.0点】
アニメーション制作・シンエイ動画

ハイレベルな作品公開が続いた本年アニメーション映画の中でも最高峰の作画。
最初、私は、簡素な人物デザインだな?と高をくくっていましたが、
冒頭トットちゃんが自身の頬をこするカットで、表情筋が豊富に詰まった見応えのあるアニメになると、
私も本気モードのスイッチが入りました。

トットちゃんら子供たちの躍動についても、ちょっと目を離すと車に惹かれそうになる。
『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』などのテレ朝アニメで、長年危なっかしいお子様の行動を取り扱って来た同スタジオならお手の物です。


戦前、戦中のくらしを再現する小物描写も、ガラスや鏡の傷みなどの面倒くさい部分も含めて手を抜かず再現。
氷で冷やす冷蔵庫、マッチで着火するコンロなど時代考証も上々で、
当時のくらしへの興味と共に、日常シーンが続いても鑑賞集中力が持続します。

戦前日本は電髪(パーマ)、洋服、喫茶店にキャラメルと、
実は欧米文化の流入が極致に達した時期でもあります。
それをいざ開戦となったら「ぜいたくは敵だ」などと俄に拒絶し弾圧する風潮。
背景美術やポスターによる、時代の滑稽さと恐ろしさの表現も良好で没入させられます。


何よりアニメーションであることの利点が最大化されるのが、
少女・トットちゃんの脳内で花開く空想ワールドの数々。
各空想シーンごとに、それぞれ作監を付けて表現する力の入れようで、
{netabare} 土砂降りの水たまりで、トットちゃんと泰明が、
歌うことを禁じられた曲のリズムをリトミックで鳴らした{/netabare} 珠玉の場面も映像化し、
長年、映画化の話を断り続けて来た原作者の高い要求に応える。

聖人ではない、ちゃんと喧嘩もできる障害者の取り扱い、
{netabare} 子供たちが真っ裸で遊ぶプールな{/netabare} ど、
“官憲”気取りのクレーマーに火を付けられるリスクを恐れずに描写した勇気も含めて、
本作の映画化がアニメで良かったとの感謝と共に、ここも5.0点付けさせて頂きます。


【キャラ 4.5点】
どの登場人物も戦前・戦中だから、外れ者だから障害者だからと、
変に偶像化されず人間として描かれており好印象。
ここでは特に小林先生についてだけ。


昔、讀賣新聞・終戦の日企画として、戦争当時の体験についてのアンケートが記載。
そこで私の目を引いたのが、教師への強い不信感。
戦前・戦中と軍国主義的な教育によって散々、戦意や国威発揚を煽って置きながら、
戦後一転、教科書を黒塗りにして反戦・平和を叫ぶ。
いい加減極まる大人たちへの怒りを引きずったコメントの数々を見て、
時代に流された信念なき教育の断層の根深さと、
そこへの反発から怪物の如き知識人、為政者の類が多数跋扈(ばっこ)して、
戦後社会をかき回したのもむべなるかなと凄く納得した記憶が。


だからこそ、本作にて、荒れ狂う時代においても自らの教育方針を曲げなかった、
トキワ学園の小林校長先生という信念の教育者の実在を多くの人々が共有することは意義深いことだと私は感じました。

小林先生は{netabare} トットちゃんが汲み取り便所に落とした財布を探して糞尿を掘り返す{/netabare} などの子どもたちの奇行も基本遮らないし、
どうしても叶えられない願いに対しても、{netabare} トットVS泰明の相撲を腕相撲{/netabare} に切り替える柔軟対応で童心を尊重する。
一方で、{netabare} 尾てい骨{/netabare} に関して生徒の子供心を傷つけてしまった大石先生の失策は厳しく叱責する。

温かさと厳しさのコントラストすら素敵な名教師でした。


【声優 4.0点】
主演・トットちゃん役には子役・大野りりあなさん。
台本は他の登場人物のセリフも含めて全て暗記する。
息遣いにも感情を込める。
出来すぎて心配になるくらい意識の高い演技で作品を牽引。

泰明ちゃん役の松野 晃士さんらクラスメイトのキャスト陣との良好な掛け合いも含めて、
本邦の子役の層の厚さを再認識。


小林先生役には役所 広司さんに八鍬監督自らがディレクション方針などを綴った手紙をしたためてオファー。
渋みのある落ち着いた演技で、仏の教育者に時折のぞく激情なども押さえる好演。


その他、俳優・タレント陣中心で固めた脇のキャストに関しては、
上記2人程ではない標準的な俳優のアフレコ。
良い面もあったけど最適ではない位の印象。

ただナレーションも務めた黒柳さん御自らに、
小栗 旬さんの声はパパと「声の雰囲気が似ている」とか言われたんじゃ、
降参するしかないんですよねw


【音楽 4.0点】
劇伴担当は野見 祐二氏。
基本BGMより雨音、蝉の声など四季のSEによる当時の空気感を重視した構成。
劇伴を挿入する際も、当時になかった楽器はアレンジしない方針で、
再現した時代の雰囲気を壊さないことを重視する。
が、ここぞの場面では、オーケストラの心情曲で盛り上げてくれます。

トットちゃんの父が日本屈指のバイオリニストということでクラシックの起用もあった本作。
{netabare} 自分のバイオリンでは軍歌は演奏したくないと、魂を売り渡さなかった明け方のパパの独奏。印象的でした。{/netabare}


ED主題歌は、あいみょん「あのね」
単体で聴くと変哲もない同歌手らしいラブバラード。
エピソードを踏まえた上だと、雨情の記憶など、相応の化学反応で余韻に浸れる。
まずまずのテーマ曲。


【余談】
原作は世界でもベストセラーになっていて、特に中国では1000万部と日本以上の発行部数を誇る人気ぶり。
最近『すずめの戸締まり』が中国公開の日本映画の興行収入記録を塗り替えましたが、
本映画にも相当な海外興収のポテンシャルがあるのではないか?と睨んでいます。
案外、海外市場での資金回収の算段が、細部までこだわるアニメーション、製作委員会への強気の予算出資を後押ししたのでは?と邪推してみたりw

投稿 : 2024/11/09
♥ : 15

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

今年度ベストバイだと思います

あまりにも有名な作品「窓ぎわのトットちゃん」。

その映像化を、長らく、本当に長らく、心待ちにしていました。

ましてや、アニメ化で鑑賞できる機会が得られるなんて、どんなに幸せでしょう。



テレビで拝見している黒柳さんの幼少期の物語。

黒柳さんご自身が、実写では難しいとおっしゃったとおり、アニメならではの表現性のクオリティーがとんでもないと感じました。

演出、構成、キャラデザ、美術、音楽などもそうでしょうが、スクリーン越しに伝わってくるのは、トットちゃんの持つイメージの豊かさ、自由さです。

それは、そのまま黒柳さんの目線であり、琴線なんだと受け止めました。



開戦を挟んだ世相の大きな変化。
生命の重さや、弱者が蔑ろにされる日常。
何より、トットちゃんの心の隙間に忍び込んでくる悪夢。

トモエ学園を中心にしたトットちゃんの暮らしぶりに触れながら、今日の黒柳さんの笑顔や言葉を形作っている、たくさんの夢・希望・祈りが、いたく胸に染み込んできました。

トットちゃんと一緒に、泣いたり笑ったりできた作品。
私は、もう少し彼女に近づきたくて、どうしても次作の映像化を恋しく思いました。

皆さまも、どうぞご覧になってみてください。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 12

メガマインド さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

黒柳徹子の自伝が上質なアニメーションに

トットちゃん(のちの黒柳徹子)は君は本当はいい子なんだよ!!

お茶の間で有名な黒柳徹子さんの自伝の映像化です。

90歳(すごい)を超える方で

監督は八鍬新之助

ドラえもんのび太の日本誕生、大魔境のリメイク、月面探査記やドラえもん作品に

携わること多い方

割と良作の部類に入るドラえもん作品を数多く手掛けています。

最近の映画は戦後や戦争中の日本社会を描く作品が多いなと感じました

最近だと

君たちはどう生きるか、ゴジラ-1.0、ゲゲゲの謎

この作品もしかり。

ずいぶん前だとこの世界の片隅にですね。





原作読んだことないのですが感想といたしましては素晴らしい作品でした。


舞台は第二次世界大戦中の日本

いまじゃ狭い教室の中で、決められた科目を勉強するのがあたりまえだけ

ど、

トモエ学園は自由に自分の好きな科目から勉強できる

学校教育についてかんがえさせられる。

差別もなく、身体障碍者にも手を差し伸べるトットちゃんのやさしさ。




平和な日常の中で徐々に見え隠れする戦争、貧困の描写は不穏極まりなかっ

たが子供から先生や大人まで悪い人は一人も出てこない

優しくも儚い。


子役二人の声優の演技が良い



お話だけでなくクレヨンで描いたかのようなアニメーションの表現にも注目

投稿 : 2024/11/09
♥ : 6

72.4 4 2023年度の戦争アニメランキング4位
Dr.STONE NEW WORLD(第3期)(TVアニメ動画)

2023年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (193)
716人が棚に入れました
全人類が、謎の現象により一瞬で石化して数千年――。超人的な頭脳を持つ、根っからの科学少年・千空が目覚めた。文明が滅んだ石の世界ストーンワールドを前に、千空は、科学の力で世界を取り戻すことを決意。新たな仲間を集め『科学王国』を作りあげる。しかし、そこへ霊長類最強の高校生・獅子王司率いる『武力帝国』が立ちはだかる。人類の浄化を目指し、強大な武力によって科学の発展を阻止しようとする司。科学vs武力の戦いは激闘の末、千空たち科学王国が優勢となり、両国は遂に和解する。仲間の謀反によってコールドスリープ状態になった司、そして、全人類を復活すべく、科学王国は石化光線の発生源、地球の裏側・新世界を目指す!世界に飛び出て石化の謎を解き明かす!石の世界ストーンワールド大航海時代がついに開幕する――

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

石器時代から現代文明まで、科学史200万年を駆け上がる! 前代未聞のクラフト冒険譚、ここに開幕!

この作品は未読ですが、TVアニメ第1期~第2期と、テレビスペシャルは視聴済です。

視聴を終えて振り返って思うこと…
千空みたいに科学の知識があって、無から有を生み出す才能があるのなら、こういう生活も面白いかも…と思いますが、現代社会に慣れ切った私たちに
それを強要するのはあまりに無謀…

毎週日曜日に「ポツンと〇軒家」というTV番組は放送されており、夕食を囲みながら視聴するのが何気に我が家の習慣になっています。

昔は、引退したらどこか山奥の静かなところで暮したい…こんな思いは微塵くらいならあったかもしれませんが、今ではそんな生活は100%無理だと身体が理解しています。

比較的利便性の良い駅からの徒歩圏で、ごちゃごちゃしておらず、治安も悪く無い場所などと言っては贅沢ですが、きっと年老いたらこの条件でも厳しいんだろうなぁ…なんて想像しています。

そんな輩が石器時代になんて住める訳がありません。
せいぜい野垂れ死ぬのが目に見えています。

ところが、千空はその時代を生き抜く術を持っているんです。
ホント心から尊敬してしまいます。

例えば、人類が再始動するきっかけとなった「硝酸」ですが、例え、今それを渡されても千空ほどちゃんとは使い切ることはできないでしょう。

wikiには、こう記載されていました。
「硝酸(しょうさん、英: nitric acid、独: Salpetersäure)は窒素のオキソ酸で、化学式 HNO3 で表される。代表的な強酸の1つで、様々な金属と反応して塩を形成する。
有機化合物のニトロ化に用いられる。」
恥ずかしながら、私に出来るのはこの様にネットでググることくらいだと思います^^;


全人類が、謎の現象により一瞬で石化して数千年――。
超人的な頭脳を持つ、根っからの科学少年・千空が目覚めた。

文明が滅んだ石の世界ストーンワールドを前に、
千空は、科学の力で世界を取り戻すことを決意。
新たな仲間を集め『科学王国』を作りあげる。

しかし、そこへ霊長類最強の高校生・獅子王司率いる
『武力帝国』が立ちはだかる。
科学vs武力の戦いは、千空たちが優勢となり和解するが、
司は仲間の裏切りによって深手を負ってしまう。

千空たちはコールドスリープした司を救うべく、
石化光線の発生源、地球の裏側・新世界を目指す!

神腕船長・龍水を仲間に迎え、大海原へと飛び出した千空たち。
科学船ペルセウスで向かう先は、百物語始まりの地――『宝島』だった!

千空は島に眠る宝を求め、
仲間と共に新たな冒険の地へと突き進む‼


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

龍水が仲間になり、行動の範囲が一気に広がりました。
気球を飛ばし、船を作って航海に出るんです。

少し前までは考えられませんでしたけどね~
でも思えば車や携帯電話を生み出しているのですから、時間の問題だったのかもしれません。
そして、今回の動力に欠かせない大切なエネルギー…
このエピソードも十分面白かったですが、私ならあの状態で見つけてもどうしようもありません。
やっぱり見つけた資源を最大限に活用するところが、この作品の醍醐味なんですよね。

そして、物語の世界観が広くなるとどうなるか…
そう、生きているのが自分たちだけじゃない可能性に否が応でもぶち当たることになります。
もっとも、自分たちだけという可能性もゼロではありませんが、それだと船を作って大海原に乗り出そうという発想にはそもそもなりません。

それに、相手がいる方が文明の発展がより加速すると思いますので…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、石崎ひゅーいさんによる「ワスレガタキ」
エンディングテーマは、OKAMOTO'Sさんによる「Where Do We Go?」

1クール全11話の物語でした。
既に第3期の後半クールが現在進行形で放送されています。
早く続きを見なければ…^^

投稿 : 2024/11/09
♥ : 13

ねるる さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

いまいち盛り上がりに欠けたアニメシリーズ第3期1クール目。今後に期待

原作未読。アニメシリーズ第1期、2期、龍水編視聴済み。
第3期1クール(11話)視聴後レビュー。

アニメシリーズ第3期目は、舞台を変え人類石化の真相へと更に迫っていく。

1期からずっと見続けてるけど、今期は大きく舞台を変えニューワールドへと飛び出したはずだけど、いまいち楽しめなかった。
なんなら3期への導入だった龍水編の方が面白かった。

新たな敵が今のところまだ謎が多すぎて魅力が低いのが一番の原因。話数の半分が敵の足元でコソコソ動くだけがメインで、今まで増やしてきた仲間たちの活躍が極端に少ないのも、盛り上がりにかけてたかな。

白夜役は藤原さんの死去に伴い変更になっていましたが、違和感は少なく変わらず偉大な父親でした。亡くなった藤原啓治さんにはただただ感謝と敬意を。

2クール目は10月から放送開始なので、今後どう盛り返していくか、どうキャラに魅力を出してくるか期待して待ちたいと思います。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 13
ネタバレ

なっぱ‪‪𖧷‪‪𓈒𓂂 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

中途半端ながらも一区切りはつけてある

原作漫画完読。1~2期+龍水編は鑑賞済。

いよいよ海へ進出ですね!

最終話#11を観終えて
「ここで終わり?」となりましたが
一旦空けての2クール目があると知って安心(*´˘`*)

一見、中途半端にも見えますが
1歩目の大きな課題であった{netabare}石化を解くための硝酸を
人工的に作り上げることに成功したところで{/netabare}
区切りが付いてるのでストレスは感じませんでした。
(漫画で先の展開を知ってるからというのもありますが)

個人的にこの3期以降の舞台はハラハラが止まらず、、
怖がりビビりな私にはここで程よい休憩タイムですw


{netabare}龍水とフランソワが新しくメンバーに加わり
さぁどうなっていくか!というところだったけど、
龍水たちはすぐさま石化し活躍の場なし!w

かと思えば予想外の2人、
スイカと銀狼タッグがラボ作戦で大活躍しましたね。

少しづつ臆病の殻を破っていく銀狼の姿と
普段から千空たちの言動をよく見ている事が分かる
スイカの観察力と思考力が素晴らしいです。{/netabare}

こうした上陸先での展開も見どころはありましたが
出発前に{netabare}カメラを作って写真撮影(しかもタイマー)した{/netabare}
みんなとのやり取りも素敵でしたね。

3期で出てき始めた島のキャラたちが全体的に
あまり好みじゃないのは漫画でもアニメでも変わらずw

物語評価は2クール目の内容に期待してとりあえず3.5!


真実に近づけば近づくほど謎は増えるばかり。
ほっこり日常も好きだけど、
こういう考える系の作品が私にはやっぱり1番(*´꒳`*)

投稿 : 2024/11/09
♥ : 11

64.6 5 2023年度の戦争アニメランキング5位
老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます(TVアニメ動画)

2023年冬アニメ
★★★★☆ 3.1 (207)
605人が棚に入れました
『⽼後に備えて異世界で8万枚の⾦貨を貯めます』の、原作は⽇本最⼤級の Web ⼩説投稿サイト「⼩説家になろう」で累計 1 億 2,000 万PV 超えした⼩説。18歳でありながら中学⽣に⾒られてしまう童顔⼩柄な少⼥・ミツハが両親と兄を事故で失い天涯孤独になるところから物語が始まる。 ショックによる⼤学受験失敗、両親の保険⾦を狙う輩、進学か就職か、家の維持費や⽣活費など数々の出費・・・これからの⽣活に悩んでいたミツハはある⽇、謎の存在から「こちらの世界」と「異世界」を“⾏き来”できる能⼒を与えられる︕ そこから彼⼥が思いついた将来設計とは、⼆つの世界で10 億+10 億の合計 20 億円<8 万枚の⾦貨>を貯めるというもの︕ そう、頼れる者のいない彼⼥の安泰な⽼後のために︕!
ネタバレ

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

便利なものはてきとーに使ってもなんとかなる

面白かったけど、かなり力技な感じが惜しい

便利なものをあまり考えもせず雑に頼ってなんとなく成功する感じで「成功」に説得力がなくて、もっとよく考えてから動けば「運よく成功」って印象にならないかな?

綿密な計画を立てて慎重に進めて成功するための道筋をしっかり示していれば面白くなりそうなのに、困ったらお手軽に便利な能力や便利グッズを利用するだけで、もったいない作品

ミツハの考え方や趣味があんまり女の子っぽくないのも残念、これならお兄ちゃんが主人公で良かったような

でも、ありきたりな異世界転生アニメと違うものをやろうとしたのはいいと思うし、ちゃんと最後まで楽しめました

【いろいろと適当で残念なところ】
{netabare}
・雑貨屋オープン初日に人が誰も来なかったのは何で? 
急に新しい店ができたら誰かしらくるんじゃないかな?

・ブティックの店長のキャラとかミツハとのやりとりもなんかテキトーで、あんな店長と仲良くしてるなら、なんでミツハはあんなファッションに無頓着なんでしょうか?
ミツハのお金儲けに必要だから作られたキャラって感じがすごくします

・最初にお店に来た3人とか、噂を聞いてやってきた伯爵家の皆さんにミツハは大サービスしてチャンスをつかもうとしました、それはいいと思うけど、絶対失敗できない重要なチャンスで、ミツハは「料理は得意なのよね♪」って自称してるなら、なんでレトルトに頼ったの?
いくら昔の人って言っても貴族だったらレトルトではごまかせないかもしれないのに・・・

・ミツハのプランって結構危うくて、貴族令嬢のプロデュースとかわざわざ失敗するリスクを増やしてるようなこと多かった
・現実世界で銃の訓練したり、傭兵雇ったりするのも微妙に思ったし、あんなにうまくいかないと思う

{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 25

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

何でもありの「なろう系」をもうひと山ふた山超えた感。

レビュータイトルの件ですが、まぁ、見始めた直後の所感となります。

曰く、例えばミステリに「ノックスの十戒」のように、鉄則というか広く知られた「らしい」定義があるとすれば、「なろう系」にも何となくそんなルールがあるという錯覚に陥っていた私のアタマを軽く小突かれた感じがした。

真剣に考えたことがないので、解りやすくまとめろと言われても難しいのだけれども・・・、

転生系だと、

・主人公が転生前のリアル現代で得た知識やスキルを異世界に持ち込み活躍する。

・主人公が転生時に神との邂逅ほか、特異な事情でスーパースキルを付与され俺TUEEE的大活躍。

・基本的に行ったっきりで、転生世界での活躍がメイン。

ってな、印象があったんだけど・・・。

それで、だからこそ「異世界おじさん」の様な戻ってきた系が変わり種として斬新な印象を受けるのでは?などと思っていたのですが、
この作品は、転生後の異世界と転生前のリアル現代を任意で行き来できるという・・・。

「なんでもアリの異世界系の枠をもう一枠とびこえてるんじゃね?」

という所感を現したのがレビュータイトルとなります。
さらに、グッズ、アイテム、人、物ありとあらゆるものを持ち込み可という・・・。

持ち込まれた側の文化や生活はガン無視、老後のための資金を稼ぐという超利己主義がエネルギーの源泉となっています。

客観視するとなかなかにひどいお話です。
いろいろな配慮や品性をぶっ飛ばしたようなお話です。
少々、お子様チックですかね。

なんてことを書いていたら、私の好きな「GATE」シリーズも任意で異世界とリアル社会を行き来できてたわ!という事実を思い出し「・・・」って感じですw。
ま、あちらは思想的にはだいぶ抑制を効かせ、文化ギャップの上位にいるものの品性も感じられましたかね、と下駄をはかせておきましょう。


さてと・・・、ちょっとイヤな事を書きましたが、実は割と楽しく観てしまいました。
いつもの私の文脈ですなぁwww。

ま、私は数々の低評価の「なろう系」を楽しく観てしまうというスキルを持つ男らしいので(一部の作品は除きます)。

う~わ、なんでもありやなぁ。
ベッタベタな展開やなぁ。
う~わ、無理やり決めゼリフで浪花節感だしとるなぁ・・・。

なーんて思いながら、テキトーな展開やベッタベタなカタルシスを楽しんでおりました。
所々に挟まれる「セリフ的パロディ」も楽しませていただきました。


多くのスキがあり、ガバがあり、品性も少しだけ足りず、ひっでーと思いながらも楽しめたのは、まぁ、解りやすかったからですかねぇ。
あまり、ストレスを感じることもなく、文化的俺TUEEEを堪能させていただきました。

んでもなぁ・・・、両方の世界で老後を暮らせるだけの資金をためたいって言うなら、リアル社会の方のお話もあってもよかったんじゃないかなぁ・・・。
まぁ、めんどくさい事になりそうだけれども、コメディ要素というかドタバタ要素のタネにできて、幅が広がりそうだけれども・・・、ま、構成が大変になっちゃうか。

この作品を名作だ!というつもりは毛頭ないのですが、悪くはなかったように思っています。


機会がありましたら、ご覧くださいませ。
ただし、ガバガバが許せない方、何でもアリが許容できない方には向いていない作品かとw。

以上ですw。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 22
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

ちょっと面白い。ポテンシャルは感じますが作品は中途半端でした。

1話「何をやりたいか」でなく働く前からFIRE狙い…寂しい時代です。

{netabare}  18歳であまりの夢の無さにちょっと涙がでます。働く前からFIRE狙いですか。異世界への妄想の設定と合わせてあまりの現実の辛さがダイレクトに反映しすぎでしょう。寂しくなりますね。

 利殖も考えないで10億円+10億円をためるって…税抜きで100歳まで年収1000万円以上という発想が、世間知らずというかなんというか…「何をやりたい」という夢ではなく、苦労しない隠遁が今の夢なんですね。わからなくはないけど…シビアすぎます。

 異世界ものとしては、今期題名に興味もって狙ってた作品です。内容は珍しく行き来できるんですね。ちょっとアニメの作画と演出が安っぽいのが心配ですけど、ストーリー…というよりブラコン娘のキャラに興味がでました。ただ、1話見た限りでは期待値は低めにしておいた方が良さそうですね。 {/netabare}


2話 あれ?かなり面白い…かも。ミツハの行動力が良いです。

{netabare} 設定にいろいろ無理はあります。民間軍事組織が武器調達とか金の裏換金とかやるとも思えませんが、ヒロインの行動力と交渉力で全部「有りだな」になります。

 老後に備えてFIRE狙い…ではあるんでしょうけど、いろいろ計算して異世界と現世の行き来能力と遺産を利用して、時間、金、労力を投資してるのが面白いです。というか、やっぱりキャラですね。まあ、魅力的なキャラをつくりましたね。EDはメチャメチャ可愛いし。

 怪力幼女もちょっと笑いました。あと近所のおばさんが心配しているところとか演出もいいですね。

 1話目ではFIREマインドがちょっと寂しかったですけど、想像以上に行動的で、スローライフやチート能力、商会でマヨネーズ売るだけじゃないので結構面白そうですね。
 
 製作委員会の「ろうきん」というセンスもいいので、期待枠に昇格です。{/netabare}


3話 うーん。微妙ですね。設定と全体のストーリー、ヒロインはいいんですけど。

{netabare}  いいような悪いような。まず、お兄ちゃん出すぎですね。ブラコン設定必要ありますか?必要ならいいんですけどキャラデザの関係で画面が見苦しいのかテンポが悪くなるのか。

 現代と行き来するのは斬新でいいんですけど、なんというか「本好きの下剋上」のイージーモードチート武器付きみたいな感じですよね。
 いや、決してそれが悪いわけじゃないんですけど…なんででしょう。エピソードはいいけど説得力が今一つなのとアニメ演出かなあ。
 どうやって儲けるか、異世界を生き抜くかが大切な部分なのでそこの表現が不十分なのかもしれません。他の設定はある程度でいいですが、この金と生存の部分は勢いでごまかさず丁寧にやらないから乗れないのかもしれません。

 2話は良いと思ったんですけど、領主の家に来てからかなあ。ちょっと言語化するのが難しくて自分でも何といえばいいかわからないですが、キャラとストーリーは良いのに微妙に出来が悪く感じてしまう。不思議なアニメです。{/netabare}

4話 ポテンシャルは感じるが、エンタメが弱すぎます。

{netabare}  ミツハはいいですけどね。特にOPとEDのミツハは本当に可愛いです。もう少しぶっ飛んでると思いましたが、比較的普通でしたね。
 いきなりシャワーとかドライヤーとか…なんでもありですねえ。風呂屋やったほうが儲かる気がしますけど。
 とんでもスキルもそうですけど、レトルトととか食わせたら塩分過剰でおいしいわけはないと思いますが、そこはいいでしょう。そこは言いにしても、普通?

 まあ、保留かなあ。もうちょっと丁寧に作ってくれれば銃とかシャワーとかポテンシャルはある気はするのでが、丁寧な設定、笑い、驚き、感心、ワクワク、エロ…そういうエンタメがかなり弱いです。
 もう少し話数が進んでぶっ飛んだ展開なら見るかもしれません。キャラが可愛いだけに残念です。一旦休みます。

 4話なので点数は入れます。 {/netabare}


10話 なんかちょっと面白くなってきました。

{netabare} 軽い感じでアニメが見たかったので、一旦切りましたが再視聴してみました。10話を見たら面白かったので、遡って見ました。ミツハの無双を見る分には結構面白くなってきました。

 ミツハが本格的に活躍するのが6話くらいからなので、それ以降がいいですね。設定がやっとここで落ち着いたからでしょうか。
 ミツハはキャラデザは可愛いし面白い娘なので、なかなか目新しいです。全体的に作画、美術が安っぽいのでもったいない気もしますが、話がゆるーい感じなので、あまり気になりません。

 脚本、構成、演出そして作画。悪くない設定・キャラ・展開なのでほんの少しずつレベルアップしてもらえれば、もうちょっと人気が出たのでは?と思います。

 OPのアニメは本当にいいですね。本編よりかなりいいです。画面のエフェクトでノイズっぽいのが入っている意図がわかりませんが、何かの伏線?まあ、考えすぎですか。 {/netabare}


最終話まで。ポテンシャルは感じますが作品は中途半端でした。

 行き来できる異世界もの、あるいは現代の技術が使える異世界ものの典型例ではあります。キャラの魅力と老後に備えるという方向性、軍事プロバイダを使って俺TUEEEにしなかったところが面白かったです。

 作品としては中盤の設定の説明が一段落してから、要するに王族と係わってからが面白くなり始めたかなあという感じでした。最後の4、5週は毎週ちょっと楽しみでした。

 評価的にはアニメ全体の要素、作画・キャラデザ・演出・ストーリー…ちょっとずつ水準に足りていなかったですね。組み合わせで考えると相乗効果でかろうじて及第点の作品にはなっていた感じ、という印象のアニメでした。

 キャラ造形や設定にポテンシャルは感じるんですけどやっとこれからと言うところで終わってます。設定の説明が面白いアニメではあるんでしょうけど、そこの出来が兄の登場とか1回登場した森の家族とかを切ってしまっているので、尺の使いかたがもったいなかったです。
 戦闘や緊迫感がある部分と店のパートとがなんとなくバラバラな印象もあります。

 それとストーリーの方向性が金儲けですから、よほど話を作り込まないと凡百の作品の展開になることが予想できます。マヨネーズかリバーシとかまあそう言った展開でしょう。戦闘が主体の「GATE」みたいにそっちを主流にするほうがまだ面白いかもしれません。

 ということで、まあまあ、と言う言葉がぴったりのミツハありきのアニメでした。ミツハの点でキャラだけ4にします。声優さんもキャラにあっていたので3.5にしました。





 









 

投稿 : 2024/11/09
♥ : 20

67.9 6 2023年度の戦争アニメランキング6位
ひきこまり吸血姫の悶々(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.4 (168)
599人が棚に入れました
ムルナイト帝国の名門貴族ガンデスブラッド家の令嬢、テラコマリ・ガンデスブラッド。 吸血鬼なのに血が飲めないコマリは、魔法が使えない、運動ができない、背が伸びないという三重苦に悩まされ、3年間の引きこもり生活を送っていた。 しかし、ある日親バカの父がとんでもない就職先を見つけてくる。その名も『七紅天大将軍』! それは本来帝国の猛者しかなれず、3ヶ月に一度のペースで他国に戦争を仕掛け勝利しなければならない超ハードな役職。さらに部下たちは元犯罪者ばかりで将軍に就任したコマリに対して下剋上を狙う気満々......。 絶対に断りたいけど、皇帝直々の任命なので辞めることすら許されない。 本当の実力がバレたら即破滅なこの状況......それでもコマリはハッタリと可愛さを武器に己の任務を遂行する!  「私がこれから為すことはな、単純極まりない覇業だ! すなわち、テラコマリ・ガンデスブラッドは――他の5カ国の大将軍を武力で全員ブチ殺し、ムルナイトの国威を全世界に喧伝してやるのだ!」 最強(!?)吸血姫による歴史に残る快進撃がここに始まる!
ネタバレ

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

てらこまりの魅力がすべてな作品

てらこまりがかわいいだけのごちゃごちゃしたアニメ
話は雑だけどてらこまりの可愛さがすべてをカバーしています
いいところはキャラデザと、OPいい曲だしEDもなかなか好き

全員がずっと戦争ごっこ、暗殺ごっこ、支配者ごっこして遊んでいるように見える、ギャグテイストならいいけど中途半端にシリアス感出してくるから、しょぼい印象だけが残ります、ギャグならギャグらしいノリでやってくれたほうが楽しみやすい
キャラとシナリオはギャグみたいなのに、時々場違いに重い話やグロい展開、嫌な敵の出現、ギャグとシリアスの間を行ったり来たりするので盛り上がりどころがわからないのと、敵がてらこまりに向ける悪意が後ろ向きでしょうもないし、シリアスシーンは白ける展開が多い、たぶんこれ、シリアス捨ててギャグだけでいけば面白くなりそう

個性的で目立つメンバーが多い七紅天が出てきて話面白くなるかなー?って思ったら{netabare} 使い捨てキャラで見せ場はほとんどなく、なにがしたいのかなー?って思ったら水着回にティータイム・・・なんの密談?と思ったらアホな計画
水着回だけでなく露出シーンもなにげに多くて、そんなことより主要キャラをもうちょっと好きになれるような描き方して欲しかった
{/netabare}
どうでもいいかもだけどオムライスに血のケチャップかけるのやめませんか?

投稿 : 2024/11/09
♥ : 20

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

雑というよりは大味な印象。

休日に某アベマなTVで一気をやっていたので視聴。

途中うとうとしてしまったが、2連発だったので、何とか補完の上、ひととおり観終わりました。

物語は設定がだいぶクセがある感じ。
死が死ではなく蘇生できる環境下で、さらに本当の死に至るケースがあるという・・・。
どこかの死に戻りのアニメの様な斬新なアイデアなどでない場合は、安易に死を復活できるものとして扱うアニメはあまり得意ではないので、少し違和感を持ちながらの視聴でした。

あと、戦争ばっかしているので殺伐とした感は少しありますねw。
全体的に、一昔前のソッチ系のゲームの様な雰囲気がります。
‛80~‛90年代くらいにこういった設定で、こういったキャラ絵のキャラを使って国盗りのシミレーションゲームなんかあったら当たったかもね。
というか、実際に少し叡智な方向を許容すればそういった作品はいっぱいありました。
何で知っているかって?そこは聞かないのがマナーってもんでしょうw。


と、言うくらいなので各キャラクタの絵、造形はそこそこテンプレにのっとってよく出来ていると思います。
野郎キャラや動物顔のキャラなんかはちょっとアレですが。


コメディ要素が結構含まれているので、一服の清涼剤的な部分もありますが、やはり全体的に大味感が強いです。
いろいろな要素要素でふり幅が大きく取ってあるのですが、その間が埋まっていなくってスッカスカに感じられる部分があります。
たいそうな役職や閣下、七紅天、神具などの厨二的なワードや設定が飛び交っている割には、それほど重きを置いているとも思えません。


キャラクタのわちゃわちゃ感はメンツがそろってくるとだいぶ出てくるので、そちらの方面で楽しみを見つけられれば、何とかなるかもしれません。
最終盤では、少し粋な感じというか、キャラクタ同士のつながりを感じさせる部分もあって、ちょっと、おっ!?とも思ったのですが、少し弱かった印象です。


私自身としては、キャラクタに気に入った面は多数あったのですが、なぜかしっくりこないなぁ、と思いながらの視聴でした。
もう少し角が取れて、まとまり感を感じられるようになるとだいぶ違うのではないかなぁ、との所感です。
この部分は、大きく私個人の感覚に依存するものでしょうけど。


なんか、本当に惜しかった方な印象でした。
見れない訳ではないんですけど・・・。
これって、続編とかありますかねぇ、正直微妙なのかもしれませんが、タレントがそろっているのと、主要キャラの容姿が頑張っているので、うまくやればワンチャンある気もするんですよねぇ。

もし・・・、もし次回があれば、それはそれで期待していてみたいとは思えました。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 15

みのるし さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

レベル高すぎでした。

こおゆうのんホント好きよねぇ(笑)。

もう設定がこれはその筋の人しか受け入れれんのだけどこれがものすごいニッチなものかといえば実はそうでもないとゆところにこのアニメの奥深さがあるのですな。

そもそも超強い精鋭部隊の大将が小学生みたいなちびっこ美少女でそれがまあとくに成長するでもなくだらだらと過ごしてゆくとゆうですね、そおゆう話なんすわ。

最近三重交通のバス運転手のイメージイラストが男に媚びた腰使いたらでフェミの皆さんが炎上しとりますが、もうそんなレベルではありません。

全般的に日常でこのようなことがあってはあきませんとゆうような話が延々と続きます。

とゆうことでボクにはまだこのハナシを楽しく見れるような次元には到底到達してませんで、修業が足りておりませんと言わざるを得ません。

とりあえずは勉強になりました。

ありがとうございました。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 5

67.6 7 2023年度の戦争アニメランキング7位
大雪海のカイナ(TVアニメ動画)

2023年冬アニメ
★★★★☆ 3.4 (167)
512人が棚に入れました
拡がり続ける「雪海」により、大地が消えかけた異世界――。 人々は巨木「軌道樹」の根元や頂から広がる「天膜」の上でかろうじて暮らしていた。 天膜の少年カイナと、地上の少女リリハが出会うとき、滅びかけた世界を変える物語が、始まる――。
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

日没の記録、冒険譚

弐瓶勉×ポリゴンピクチュアズ。

雪海が広がる世界にそびえ立つ軌道樹、
その上の天膜にある小さな村で、
人々はかろうじて暮らしている。

少年カイナは日々の糧を得ようと、
狩りの途中、雪海の王女リリハと出会う。

壮大な世界観、圧倒的に美しく楽しい。

{netabare}地表を覆う大雪原、滅びゆく生物たち、
過酷な環境下で生き抜く人々の希望とは、
弐瓶氏の描く物語はいつもこうである。{/netabare}

決死の覚悟で生き抜く人々への、
慈愛の物語であるなら応援すべきだ。

4話視聴追記。
古代の遺物と得体の知れない生態系、
壮大な冒険は決まって落下から始まる。
{netabare}軌道樹下の雪海では水を巡る争いが勃発している。
賢者を求める王女リリハ、相対するバルギアの戦姫、
カイナの旅路は世界の理に辿り着くのだろうか。{/netabare}

最終話視聴追記。
{netabare}古代兵器を操る提督の死によって、
水を巡る争いもひとまずは停戦を迎える。
カイナは賢者時代の遺物によりアトランドを救う。
ただ地図が指す大軌道樹への道は残されたままだ。
生命の源、水を求め、カイナの冒険は続くのだろう。{/netabare}

美麗な映像と世界観、今後も期待は尽きない。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 34
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ディストピアの未来を照らす妙にさわやかなボーイミーツガール

【物語 3.5点】
原作・弐瓶 勉氏による王道志向のオリジナルファンタジー。

<雪海(ゆきうみ)>に覆われた世界。
<天膜(てんまく)>に住むという賢者の伝説。
など世界観、設定には斬新さも見られる。

ですがプロット自体はディストピア下の不毛な争いに、古代文明の遺物が絡む典型。
展開も昭和のジブリ風でベタベタ。
奇抜と思ったのは{netabare} 女の子が上から降ってこないで下から浮上してきた{/netabare} ことくらい。
もっともこれも捻った設定から出てきたボーイミーツガールのバリエーションですが。

物語の都合で登場人物に嘘を付かせたくないという脚本方針。
そのため純朴な主人公少年や清廉なヒロインの性格など、キャラに脚本を合わせたそうで。

これにより例えば、そんな逃げ遅れた人々など、捨て置かないと間に合わない。
まるで往年のジャンプアニメの引き伸ばしみたいでシナリオのテンポが悪い。
こうしたシチュエーションも散見。

おまけにフジテレビお得意の続きは劇場版で!まで炸裂w

ところが、これだけ自分をイライラさせる要素があったのに、このボーイミーツガールは毎回、不思議と清々しく。
<軌道樹>に僅かにへばり付くように生き長らえている人類が、残された水を巡って戦争するディストピアで言うのも変ですが。
私は、この冬アニメの中で、観たらホッと安心できる作品として重宝しました。


【作画 4.5点】
ポリゴン・ピクチュアズ設立40周年記念作。

本作の雄大な雪海、巨大な虫、移動要塞国家パルギアなどCGが得意とする構造物の描写だけでなく、
CGが苦手な人物の表情描写にも果敢に挑んできた同スタジオ。

今回は無表情の使い方にも進歩を感じました。
CG技術が足りなくて表情が無くなっているわけではなく、
ちゃんとコンテの意志を反映した伏線も兼ねた無表情になっている。
CGアニメもここまで進化したのかと感慨を覚えました。

特にバルギアの女士官・アメロテ。
バルギア軍が他国を蹂躙し、周りが盛り上がる中でも意味深な無表情。
{netabare} 元々はバルギアに滅ぼされた国の被征服民で、実力主義の組織の中でのし上がって来た。
バルギアのやり方には思う所が多々あるが、抵抗の限界も悟っている。{/netabare}
という含みを示唆するのに十分な良い表情でした。


文明が後退し、文字が何らかの意味を示すことすら忘れられつつある世界。
こうなるともはや“看板じい”など限られた人間以外にとって、文字は刺繍や看板の模様に過ぎなくなる。
この弐瓶作品の文字もアート性がありました。
つい<東亜重工>の文字を探し出しては嬉しくなってしまいますw


【キャラ 4.0点】
<天膜>の少年カイナ。
老人ばかりになった天膜に生きる最後の子供。

<雪海>のヒロイン・リリハ。
大国バルギアに脅かされている小国アトランドの王女。
事態打開のため<天膜>に住むと伝わる<賢者>を訪ねた折、カイナと出会う。

二人の少年少女の純心が希望の光となる。

その対となる悪役がバルギア最高司令・ハンターギル。
ちょっと露骨なんじゃないか?ってくらい残虐な言動。
ただ必ずしも勧善懲悪ではなく、{netabare} 失われた文明の巨大兵器<建設者>{/netabare} の影響による狂気であることが明かされる。

この主人公サイドと悪役の両極。
どんな窮地でも人間らしい優しさを忘れないピュアな少年少女には協力も得られ道が開ける。
策を弄して、味方の{netabare} 船をも投擲する{/netabare} 犠牲まで強いる曇った近視眼で、コップの中の争いを繰り広げる大人は墓穴を掘る。
この一貫した哲学は、<樹皮削り>など高度な科学技術を誇りながら、滅び去った文明の教訓をも暗示するかのよう。

王道ファンタジーを志向するに辺り、どの点を押さえていくべきか?
キャラ対比を通じて整理できているという手応えはあり。
さわやかな余韻の一因になっているとも感じます。

この観点から再考すると、上述の主人公たちの寄り道の人助けも悪くはありません。


その他、<天膜>で長らく殺し合いをしていない村の老婆たちが、<雪海>のリリハの剣を見て長過ぎる包丁だと驚く。
リリハがこれは夢じゃない?と思って“耳”をつねる。
我々視聴者とは異なる文化、価値観を反映した所作を挟むキャラ演出も良いスパイスでした。


【声優 4.5点】
プレスコにて収録。
柔軟な調整が可能なCGの特性を活かし音声に合わせて作画することで、
声優のナチュラルなボイス素材の長所の最大化を目指す。

主人公カイナ役の細谷 佳正さん。
道中、カイナたちが主張する伝説の類を、対面したばかりの相手に即座に信じてもらわないと動かない展開があります。
でも、嘘も野心もありそうにない、ほそやんの気だるげピュアボイス。
この声色で淡々と語られると、宇宙人はいる!と主張されても信じてしまいそうですw
脚本上も大きな助力となった好演だったと思います。

ヒロインの王女リリハ。
この可憐で素敵な声は一体誰なのだろう?
時めいていたらCV.高橋 李依さんでした。
キャリアも中堅にさしかかり、りえりーは充実の一途ですね。
正統派ヒロインでもっと見たい声優さんです。


【音楽 4.0点】
劇伴担当に澤野 弘之氏もスタッフに名を連ねるが、提供したのはメインテーマ「KAINA」他、数曲。
あとは近年、澤野氏とタッグを組むことも多いKOHTA YAMAMOTO氏がシンセ成分を補強。
さらに馬瀬 みさき氏が、雪海の静寂や民族音楽風などをカバーする陣容。

澤野 弘之氏は私も好きですが、正直、ここ数年来、供給過多だなと感じてもいましてw
本作のように澤野節も用法、容量を守って活用していくことが、
限りある水資源同様、澤野氏を消費し尽くさない上でも肝要かと存じ上げます。

OP主題歌はヨルシカ「テレパス」
言葉にならない気持ちを言葉にしてくれる二人の会話が詩的な歌詞世界。
かつて文字で栄華を極めた文明が寄り添えなかった心を、
このボーイミーツガールならすくってくれるのではないか?
淡い希望を抱く静かな滑り出し。

ED主題歌はGReeeeN「ジュブナイル」
相変わらずの前向き歌詞と、さわやか高音男性ボーカルで、
“燦然なシリウス”を目指して突っ走る、ベタベタ青春ソング♪
どんなに展開が曇っても、結末が中途半端でもw
最後に手を繋いだカイナとリリハの笑顔を見れば今日も気分はスッキリ♪

投稿 : 2024/11/09
♥ : 28

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

劇場版へのプロローグ

オリジナルTVアニメですが、原作者としてクレジットされているのは漫画「シドニアの騎士」の作者として知られる二瓶勉先生ですね。

ざっくりいうと、まったく異なる環境で生まれ育った男女(カイナとリリハ)が出会うボーイ・ミーツ・ガール物のSFジュブナイル作品です。

とりあえず「水は希少」ということと「陸地はほとんどなく惑星表面の大部分は何らかの液体で出来た大雪海と呼ばれる物で覆われている」といった世界で、大雪海を航行する移動要塞国家であるバルギア帝国と、水の確保が可能な軌道樹の周りに定住する人間による小国アトランドとの間での水を巡る資源争奪戦争が繰り広げられます。

制作が「シドニアの騎士」のアニメ化でもタッグを組んだポリゴン・ピクチュアズということもあり、3DCGによる人物やメカの動きなどは両者でけっこう似た感じに仕上がっていると思います。

本作は「現代文明が滅んだ遠い未来の話」ということだとは思うのですが、作中に出てくる天膜、大雪海(おおゆきうみ)、軌道樹といったものの成り立ちはおろかそもそも舞台となっているのがいま我々が住んでいる地球なのかそれとも違う星なのかということ自体が、作中では明らかにされていません。

ただ巨大昆虫は出てくるので、生態系に現代との何らかの連続性は示唆されていますね。本筋とは直接関係ないけど何億年も前から生き延びている昆虫すごいぜ!

予定されている劇場版では、もしかしたらその辺りが明かされるかもしれません。知らんけど。このTVシリーズでは戦争は決着しますが、全体のストーリーとしてはプロローグという感じで劇場版が本編っぽいです。

放送中は間違いなく毎回楽しく観ていたんですけど、1クール観て得られる満足感という意味ではTVシリーズだとそんなには得られない気がします。

以下、余談:

1. 大雪海の成分は結局何なんだろう?
気密性が不十分そうな服で潜っていても人体に害はなさそうなんですが、蒸留して飲用できる物でもないらしい。謎…。

2. サウナの謎
作中で蒸し風呂が出てきてロウリュみたいなこともやってるんだけど、水は貴重なんじゃないの?
蒸気トラップ的な物で回収して環水を飲料水として利用するんだろうか…。

3. レーザートーチの謎
カイナが持ってる工具のエネルギー源は何なんだろう?

4. 文明の残滓(ざんし)
機関が付いてる船とかロケット兵器っぽい物とか、意外といろいろな物が残っているといえば残ってますね。まあ、このあたりは「未来少年コナン」とか「風の谷のナウシカ」とかでもそうかも…。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 23

64.1 8 2023年度の戦争アニメランキング8位
七つの魔剣が支配する(TVアニメ動画)

2023年夏アニメ
★★★★☆ 3.1 (143)
490人が棚に入れました
舞台は名門・キンバリー魔法学校。 ここでは卒業までに2割の生徒が、魔道の探究により再起不能や行方知れず、または発狂した末に死に至る。 いわゆる、“魔に呑まれる” という——。 その入学式、覚悟と共に学園の門をくぐる1人の少年・オリバー=ホーン。穏やかで理性的だが、その胸の奥底に秘めたる意志を感じさせる。そんな彼を中心に、様々な出身、背景を持つ少年・少女たちがこの学校に集い、魔法使いとなるべく切磋琢磨していくが、魔境と呼ばれるキンバリーの脅威が彼らに牙をむく。 仲間と出会い、様々な困難に立ち向かうオリバーを待ち受ける運命とは——

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

深淵を覗いただけで終わった感じ

アニメ1期だけだと微妙ですが、戦闘シーンの見せ方がいいし、世界観の作りこみはこだわりが感じられるのでこれから面白くなりそうな予感はする
今見るよりも、2期放送が決まったら放送前に視聴するのが良さそう

キャラクターや世界観の紹介で終わっちゃったみたいです、七つの魔剣や主人公の復讐の話などは次期以降に持ち越しみたいで、急に新キャラが乱入してきて主人公を蚊帳の外にして話が進行するなどまだまだ舞台に上がれてない感じもあり、ほとんどメインストーリーは進行してなさそう
世界観が大きすぎて片鱗しか見せてくれない歯がゆさと話が盛り上がる前に終わっちゃうシナリオという二つの欠点が原作未読者を遠ざけるには十分すぎる障害になっていると思います

魔に飲まれる設定ですが、元々この作品のキャラクターはみんな頭おかしくて、アニメの作りも描写不足がいろんなところに感じられるんですね、なので魔に飲まれたせいなのか、元々の性格なのか、アニメのデキが悪いのかよくわからないんです
特に序盤はキャラクターの想いや背景が語られないまま狂気じみた世界観紹介が進んでいくので、蚊帳の外にされたような居心地の悪さを感じるのが、ノベルだと気にならなくてもアニメとしてみると気になってしまうのかな?

投稿 : 2024/11/09
♥ : 20
ネタバレ

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

パッケージとして高いレベルにあると思う。

全く知らないタイトルでしたが、非常に高いレベルでまとまっている作品との評価です。
ライトノベル発で、数年前に「このライトノベルがすごい!」などで話題になったそうですね。
恥ずかしながらと言いましょうか、年齢相応と言いましょうかライトノベルを手に取ったり、読みふける事はとんと無くなって久しいのです。

ですので、あにこれの放送時期別ランキングを参考に視聴を決めた作品になります。
あと、「七つの魔剣」!!そそりますねェ。


率直に言うと、どこかで見たり聞いたりしたような設定、舞台装置はゴロゴロ出てきます。
これを突っ込みたくなるって言うのは人情だとは思いますが、この作品は、まぁまぁうまく取り込んでいた方ではないかと思います。

今の世の中で「あきらかなパクリ」レベルであれば叩かれても当然だと思いますが、いろいろとネタ的にも成熟していますし、ある程度は許容せざるを得ないと思いますって言うのが私の感想なのですが、ここら辺のさじ加減は、ちょっと難しいですかね。


個人的には、この手のジャンルが苦手な方は仕方が無いとは思うのですが、そうでなければ、観てみて欲しい作品だと思っています。
何と言うか、全体的に高いレベルでまとまっているとの評価です。
物語も、このクールでは全くと言って見えていないと言っても過言ではないでしょう。
視聴後の感想としては「大作感」というか「大きい物語感」はすごく感じます。

・世界で一番有名な魔法使いの映画が好きな方
  ⇒いけますw観てみて下さい。

・何が飛び出すかわからないでっかい穴が好きな人
  ⇒いけますwかすっている部分あります。

・いろいろな種族やジェンダーを越えた感じが好きな方
  ⇒いけますw一応、いろいろ考えている風に見えます。

・仲間が増えていく感じが好きな方
  ⇒いけますw現在、いろいろと人間関係作っているレベルです。カタルシス散らばってます。

・魔法学校での学生生活に興味がある方
  ⇒いけますwいまんとこそこが舞台です。学年を越えての交流、対立などいろいろあります。

・いかれた系のキャラが好きな方
  ⇒いますいます、学生で先輩なのにヤバいヤツ。何なら講師陣もイッてます。

・サムライマインドが好きな方
  ⇒いけ・・・るかなぁ・・・、ちょっとクセがあるけど慣れれば大丈夫。

・家柄とか、格とかにあがなう構図が好きな方
  ⇒ちりばめられてます。今後もあるかもしれません。

・○○劇、サスペンス要素、カタルシスを感じたい方
  ⇒ちりばめられてます。〇〇劇は一つ終わったところです。これからまだまだありそうです。

まだまだ、明らかになっていないことが多く、見えてこない点も多く、解らないことがたくさんありますし、知りたい事もたくさんあります。
・・・そういう意味では、少しだけ、説明が足りない感はあるかなぁ。
ですが、そこらへんの未消化な部分も含めて、今後の期待感を高めている作品ではないかと思っています。



一つ、主人公:オリバー=ホーンの{netabare} 復讐劇がメインストリーム {/netabare}だという事はあるエピソードではっきりしています。
しかしながら、その中で非常に多くの長短入り混じった、いろいろなキャラエピソードが展開されています。
そして、作品タイトルにある「七つの魔剣」についても、いくつかの情報が描き出されただけで、大きな進捗はありません。


作画についても、だいぶ力が入っていると言うか、カロリーを使った作品だとの印象です。
特段の破綻もないですし、カットもぐりんぐりん回りますし、雑さや手抜き感も感じませんでした。


声優さんも、いつもの私の評価ですw。
特に問題があるとは感じませんでしたし、視聴の障害になるような部分は見受けられませんでした。


音楽も力が入っていたとの印象です。
OPはそれ単体で聞いたら、どうかなぁ、どこにマッチするのかなぁって感じですが、作品のOPとしてはマッチしていると思います。
いい雰囲気作り出していたのではないかな、との所感です。
EDも同様です。
OPよりも個人としては、こちらの方が好きだったかもしれません。


さてと、だいぶ褒めてきたとは思いますが、今のところ、ここが弱点かも・・・、と思ったのがキャラでした。
念のため、最初に言っておきますと、これが問題や障害となって視聴感が悪くなったという事はありません。
充分、物語を堪能した上で、あえて言うとココかなぁと思ったと言うところです。

非常に多くのキャラが登場してくるのですが、ガッツリ立ったキャラがあまりいない・・・という感想です。
もちろん、学校生活が主という事で、登場人物はたくさんいますし、個性も描かれてはいるのですが、これがかなり抑制的で、昨今流行りのケモ耳入れとくかとか、ロリキャラ入れとくかとか、露出の多いキャラ入れとくか的なノリではない感じなのです。
私は、これが逆にこの作品の良い所と思って入るのですが、それでも、華が無いと言えばそうかもなぁとの思いがよぎりました。

まぁ、前述した箇条書き部分にある「サムライ」さんはキャラが立つっていうよりも、悪めだちに映って苦手な方もいるかもしれないなぁ、との印象を持っています。
という事で、まずは「キャラが少し弱い」。

そして、これらから引き続いて「登場キャラが多い」。
ストーリーを追ってみているうちは大丈夫だけれども、ちょっと間があくと混乱しますw(オジサン特有の脳みそ由来の可能性もあります)



実際、一番印象に残ったのは悪役と言うか、
ヤな奴で登場してきたのに、いい先輩やってんじゃんと思った「ヴェラ=ミリガン」でした。
ただ、この作品の持つ空気から考えると、この後どうなるかわかりませんけどね。



ま、ここら辺も、今後観ていけばどんどん変わるかもしれませんし、キャラが立ってくるかもしれません。
また、新しいキャラが登場してくることもあるでしょう。



それより、何よりも、この物語を最後まで見せてくれるスタミナがあるのかどうかが心配です。
このクオリティで今後がも作り続けるメドが立っているのでしょうか。
「私、気になります!!」

というか、見たいのでよろしくお願いをいたします!!。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 16

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

敵も味方も多い魔法学校

原作未読 全15話

魔法学校の入学式前にあることで出会った6人が、魔法学校での色々な体験しながら成長していく物語。

この魔法学校は先生も建物も在校生も裏があり、そして6人の中の主人公であるオリバーにもある秘密がありました。

何方かと言えばダークファンタジーという感じの作品です。

全員癖がある人たちばかりですねw

色々な事件を起こり解決していくお話がメインですが、その他に裏のお話もあります。

お話は、切りのいいところで終わっていますが、伏線も全然回収されていませんね。

序章という感じでしょうか。まだまだ謎の多い作品でした。

OPは夢見クジラ feat. みみずく&ふくろうさん、EDは夢見クジラ feat. つむぎしゃち(from キミのね)さんが歌っています。

最後に、タイトルある七つの魔剣というは凄く興味がありましたが、このお話では余り触れていなかったように感じました。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 12

56.5 9 2023年度の戦争アニメランキング9位
異世界召喚は二度目です(TVアニメ動画)

2023年春アニメ
★★★☆☆ 2.6 (128)
399人が棚に入れました
かつて異世界エクレールへと召喚され、戦乱を収めて平和をもらたしたセツ。 しかし戦いの後で元の世界へと転生、二度目の人生をやり直すことに。 そして高校生になったセツは再びエクレールへと召喚されてしまう。 エクレールでは五年が経過し、世界は再び戦乱の兆しを見せていた……

レオン博士 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.8

人生に二度目はありません

面白いところが見つけられませんでした
思いついた設定をとりあえず詰め込んだだけって感じ

仲間との出会いは2周目だから雪と相手で勝手に盛り上がってるから置いてけぼりになるし、あんまり意味のない設定多いし、掘り下げたほうがいいキャラクターを放置してどんどんキャラクター増やすし、会話のやりとりとか戦闘の展開とかがなんか雑というか、ちゃちゃっと終わらせて話を無理やり先に進めようとしている感じがして、1クールで完結しているから尺の関係でいろいろ削ったのかな?

召喚は雪と夕陽だけでいいような
クラスメイトなのにまったく絡みなくて、何のために出したの?
これって、クラスメイトみんなから「雪君、すごーい」って思われたいだけじゃないのかな?
仲がいい人他にいなさそうだし、この作品はクラスメイトとろくにコミュニケーションとらない人の承認欲求が形になったものなのかなって思うと、話がつまらないのも仕方ないかなって思いました

人生に二度目はありません、異世界召喚を夢見るよりも、今の自分を大事にしたほうがいいと思います

投稿 : 2024/11/09
♥ : 16

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.6

これは・・・キビシイです、まともに見れません。

これは合う合わないがあった可能性もあるのすが・・・。

まずもっての作品のベースとなる部分が弱く、物語はペラッペラ。
作画も最悪とは言わないまでも光るところがほぼ無い。
声優もしかり、声優さんが悪いのか、声優さんが光るだけのキャラを用意できていないのか・・・。


とにもかくにも、全てが、ペラペラな印象の上に、頼みの綱のキャラクタにも個人的に全く魅力を感じることができず・・・。


「途中で断念した」にしようかとも思ったのですが、何か・・・、何かないかと観たのですが、時間の無駄でした。


私としては、最初からふざけているような作品をボロカスに言ったこともあったかもしれませんが、ちゃんと作ったテイの作品で、ここまでひどいと思った事は無かったかもしれません。



しかし、一人ぐらい、かわいいとか、気に入ったとか、ここだけは好きと、とかいうキャラが出てきそうなものだけれども、残念だったなぁ。


酷評ご無礼します、って感じです。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 10

鬼戦車 t89 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

ガバガバ設定は気にするな!ってこと?

 12話(最終話)まで観ました。2023.06.25

 全てトウマが悪いって事で、戦争も終結して平和になりました。

 なんでトウマを倒すと戦争が終るのか?部下が四人しかいないような陰キャですよ?色々牛耳っていたような感じなのに、あんまりです。

 トウマの悪事も呪われてたからって事で解決しました。めでたしめでたし!

 クラスメイトも無事に帰還出来ました。それもスゲー簡単に…。無駄に異世界で命を危険にさらしただけでした。戦力的にも?でしたし…。

 セツさんがもっと早く帰してあげれば良かったのでは?説明が無いので今まで出来なかった理由が不明です。
 
 トウマは少なくても強制送還すべきでは?バトル中はガチで殺し合いしていたのに、赦して良いんでしょうか?また、闇落ちしない保証があるんでしょうか?
 
 夕陽は異世界に残るようです。全然活躍してないのに、ヒロインの座をゲットしていますが、他のヒロインはコレで良いんでしょうか?

 ワンクール観ても、説明不足でガタガタな物語でした。はっきり言って、駄作です。

 ただ、細かい設定なんか全く考えて無いなろうをアニメにするには仕方無いかなとも思います。

 偉大なるテンプレから逸脱した、危険ななろう作品のアニメ化はとても大変だったと思います。関係者の皆様、お疲れ様でした。

 それでも希望はあります。( T∀T)

………………………………………………………………………

 11話まで観ました。2023.06.19

酷いバトルシーンが続きます。トウマ配下のクソ雑魚四天王はやっぱり雑魚でした。

 この四天王、変な実験で虐待され、強化されて化物になってしまったために、世の中に居場所が無いんじゃあ〜とか言っていますが、他のキャラ達も戦闘能力の差以外に特徴など無いので、そのへんのやつらとの違いが良くわかりません。

 制作側に上手くバトルを盛り上げる演出能力が無いため、敵も味方もキャラクターとしての深みが無く、因縁のある相手もあっさり殺します。全員サイコパスなの?

 しかも、キャラが多すぎて画面上に描ききれておらず、リヴァイヤとかもどこかへ行ってしまっています。

 いつの間にか魔族と人間の戦争も有耶無耶になっています。おかしくない?さっきまで殺し合っていませんでした?

 トウマの部下はどちら陣営だったのかも曖昧になっています。そもそもセツも後から登場するため、戦争の最初から参加しているクラスメイトと女騎士達以外、トウマも含めて主要キャラがどちら陣営なのか不明確です。

 原作がそうなのか、アニメ制作の演出が狂っているのか、非常に物語の流れが悪いです。

 最終話、どんなクソ展開になるのかとても楽しみです。

………………………………………………………………………

 8話まで観ました。2023.06.02

 やっとボスキャラ登場!「梨花」さんや「たくすけ」さんが書かれているように、ヤバいサイコ野郎です。

 異種族は滅ぼすぞコラ!と、イキっていますが、部下が人外ばっかりだったような?

 転生チート主人公が異世界の体制側に加担する話、「賢者の孫」とかでもそうですが、敵が革命勢力だったりして主張に一理あったりすると、テンプレ頼みで世界観設定を真面目に考えていない、なろう系原作者の実力では、上手く処理出来ません。

 チート主人公が革命勢力を叩き潰す話では、鬱展開すぎるので、反体制派の敵対者はだいたい話の通じない魔物か、サイコパスな悪者に設定されがちです。

 所詮テンプレなので、魅力的な悪者にはなりません。残虐で、皆殺しだ!とか言うだけの悪ボスに誰がついていくのか…。

 どうせしょうもないことになるでしょうが、クソすぎて目が離せません。

………………………………………………………………………

 6話まで観ました。2023.05.16

 皆様のレビューにあるように、ある意味衝撃の6話でした。私、あまり作画を気にしない方ですが、かなりヤバくなっているのは分かります。

 顔見知りにそのへんで遭う展開は、一回目の出がらしを観ているような感じです。

 もっと、一回目の人脈を活かせば、効率良く立ち回れそうですが、なんか…主人公の思慮が浅いです。

 もう、挽回は不可能でしょうが後半に期待します…。

……………………………………………………………………… 

 4話まで観てのレビューです。2023.05.04

 主人公の昔の知り合いがそこら中にいる中で冒険します。せっかく二度目の人生プラス異世界なのに、意味があるのか不明です。

 1から異世界で人間関係を築いていくのに耐えられない、早く俺tueeeeeeeeee!を観たいせっかちさん向けなのかな?

 今の所、1から関係を築いていくよりも、キャラクターの情報が少ないため、主人公もあまり大活躍してない様な…。

 5話以降も旧知の人物を訪ねる旅を続けるようですが、全然俺tueeeee!ショートカットになっていません。

 普通に一回目から作った方が面白い様な気がします。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 6

63.4 10 2023年度の戦争アニメランキング10位
六道の悪女たち(TVアニメ動画)

2023年春アニメ
★★★★☆ 3.1 (88)
228人が棚に入れました
不良ばかりの亞森高校でいじめられながらも、平和な学園生活を渇望する六道桃助(ろくどうとうすけ)。ある日、死んだはずの祖父から謎の巻物が届き、六道は不思議な力を手に入れる。それは「“悪女”にだけ無条件でモテる」というとんでもない能力だった!! 次々にスケバンやギャル、番長など強烈なキャラクターの悪女達が、なぜか六道の前ではおとなしく、しおらしい乙女になってしまい最初は戸惑う六道だったが、悪女達がきっかけで起こる様々な喧嘩やトラブルに巻き込まれる中で、気弱ながらも秘めていた情熱と男らしさを徐々に開花させていき。 理想の穏やかな学園生活からは程遠いけれど、強烈な悪女や友人たちに囲まれ、情けなかった日々が一変していく、一風変わった学園バトル・ラブパニック、ここに開幕!!

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

えらい時間が経ってからのアニメ化な印象です。

というよりも、そもそも、アニメ化の対象になるとはw。

確か週刊少年チャンピオンに連載していた時には、一応、最初から最後まで読む作品リストには入っていた気がしています。
アニメ化は絶対無理ではないけれども、万人受けはしないだろうなぁと直感的に思っていた作品でした。
そうですねぇ・・・当時のアニメ化率の予想は22%と言ったところでしょうかw(当人比)。

ここに至ってアニメ化を果たしていたので視聴してみました。

物語はいじめられっ子の六道桃助が悪女に好かれるという能力(印)を得たことから始まる、ヤンキーコメディ?と言う訳でもなく、ジャンル的には何なんだろう?
個人的には、割と理解しやすくって流し読みよりは少ししっかりと呼んでいた気がしています。
少々、子供ちっくな方向にも振られているようなところもありましたが、この作品、非常に安っすいところでではあるのですが、友情とか、仲間的なポイント、意地をとおすポイントでツボを押さえた様なセリフやシチュエーションがあったので、そこが気に入っていたような気がしています。
雑いところやガバガバなところもありましたが、抑えるポイントはギリ押さえていたというところでしょうか。
これは、最終盤まで変わることは無かったはず。

作画については・・・。
これは、なかなか褒めづらいですよねぇ、実際問題として。
なんなら、80年代レベルと言っても差し支えないかもしれません。
これはキャラをはじめ全体的な作品のイメージなので、ヤンキーものの範疇で多少粗く作ったのか、そもそものクオリティなのかは不明です。

声優さんは・・・、あまり言う事は無かったかなぁ。
特別に違和感があったという事も無かったですし、意外と実力者が配置されていましたよねぇ。
向日葵乱奈の声については最少は「ん?」と思った事もあった様な気がしますが、乱奈については、作画の方が気になりましたね。


音楽は、個人的には特別刺さるという事はなかったです。
作品とのシンクロ率は少し低めだった印象です。

キャラは、作画、描き方が雑ですが、実は割と立ったキャラがそろっているとは思いました。
これは、しっかりと原作準拠で問題はなかったのですが、やっぱり作画が気になってしまいましたねぇ。
乱奈の服装もしっかりと準拠しているのですが、今の時代に観ると連載当時よりもいっそうキビシイ(こっぱずかしい)ものがありますね。

その他のキャラは、まぁ、全体的に古臭い描かれ方(技術的な意味で)だったように思いましたが、それなりでしたかねぇ。
私的には雷乃が少し印象に残りました。


物語的には、今後も面白い話や、乱奈について物悲しいと言うか、善悪についてはある意味絶望的なエピソードもあったりするので、続編シリーズがあってもいいとも思うのですが、所感としては厳しいのかもしれません。

もし・・・、もし、続きがあるとしたら、もう少しブラッシュアップした作品作りになっていればいいな、と思いました。



でもなぁ・・・スケバンスタイルのサブ主人公・・・受けねぇだろうなぁ・・・今からは。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 11

くまさん さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

学園生活を楽しみたい

私は、あまり楽しめなかったです。
桃助の成長を描いた作品?なのでしょうか。

陰陽の力により、悪女であればあるほど惚れられるという設定は
面白いとは思うが。

スケバンやら番長やらがいて、不良ものといえばよいのでしょうか?
うーん、深く感情移入できるキャラが見当たらず、
どこか他人事のような感じで見てました。

感想としては、いじめはよくないね、です。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 4

TimuTimu さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

どらえもんのような作品

『あらすじ』
不良学校に通う弱者高校生六道桃助が不良少女を惚れさせる能力を手に入れる。本作のヒロインであり、作中最強の不良少女の名を持つ向日葵乱奈も例外ではなく、六道桃助に魅了され、楽しい学園生活が続く筈が様々な因縁を持つ不良たちに絡まれることに・・・。

『かんそう』
第一印象はボーボボだった。特にピンクの髪型をした幼田 小百合を見るとどうしてもビュティにか思えなくなってしまう。
しかし、内容はキャラ・ストーリー共にひと昔前の友情漫画を彷彿とさせるものだった。
私が学生時代にこの内容を視聴してもあまりピンと来なかったかもしれないが、【平和】・【友和】・【絆】を題材としたこの作品はかなり心に来るものがある。
特に争いを望まない平和主義を貫く姿はドラえもんに登場するのび太のようだ。
故にこの内容に私は仲間の信頼関係の大切さを学ぶ作品だった。

地に足をつけて成長する姿や、物理的ではなく精神的な成長が描写されているこの作品は今の時代には珍しい内容だった。
なろう系のような屈強な戦士が人々を守る作品も面白いが、皆が特別な強さを兼ね備えられるわけではない。
そういった弱さを知った者に向けた優しいこの作品を皆さんにも見ていただきたいと思った。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 4

74.3 11 2023年度の戦争アニメランキング11位
金の国 水の国(アニメ映画)

2023年1月27日
★★★★☆ 3.9 (53)
190人が棚に入れました
100年断絶している2つの国。“金の国”の誰からも相手にされないおっとり王女サーラと“水の国”の家族思いの貧しい建築士ナランバヤル。敵国同士の身でありながら、国の思惑に巻き込まれ“偽りの夫婦”を演じることに。深刻な水不足によるサーラの未来を案じたナランバヤルは、戦争寸前の2つの国に国交を開かせようと決意する。お互いの想いを胸に秘めながら、真実を言い出せない不器用な2人の<やさしい嘘>は、国の未来を変えるのか―。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

数十年先も人生に示唆を与えてくれそうなジンワリ系

【あらすじ】
{netabare} 経済発展は目覚ましいが水資源等は乏しい“金の国”アルハミト。
自然豊かだが貧困に喘ぐ“水の国”バイカリ。
犬猫レベルの名目で戦争と国交断絶を繰り返してきた両国。
“金の国”のおっとり第93王女・サーラ。
“水の国”で持て余している設計技師・ナランバヤル。
二人が“偽りの夫婦”を演じることで両国関係が動き出す。{/netabare}

同名コミック(全1巻・未読)の劇場アニメ化作品(117分)

【物語 4.0点】
両国対立の理由が表面上は短絡的に見えて実は構造的。
そこから展開する物語も意外と長期視点。

よって本作は鮮やかな伏線回収等によるカタルシスでガツン!と来る感動系ではない。
温かい空気の中で、広い視野から家族観や文明観を語り、鑑賞者の人生観に引き出しを与える。
後になってジワジワと価値を噛みしめることができる良作。

恋愛や家族愛など様々な愛の形について。
{netabare} 理想の結婚相手について尋ねられ答える男性アニメ主人公{/netabare} とか中々いないかと。

文明や名声について。
{netabare} 今回の両国の開戦危機は、あと50年で水資源が枯渇し廃墟になってしまう“金の国”の中長期の課題が背景。
加えて“金の国”の開戦派の国王・ラスタバン3世には、“水の国”への弱腰外交で愚王の歴史評価を受けたラスタバン2世から継承した汚名を、戦勝で返上したいとの晩節の焦りがある。

さらにラスタバン3世は外交のため娘たちを砂漠の向こうの国々へ嫁がせた。
第一王女の反戦派・レオポルディーネとは内紛状態。
老父の寂しい親心を優しく包み込んだサーラ。おっとりしているけど凄い娘だと感心しました。{/netabare}

解決策もスケールが大きい。
{netabare} ナランバヤルが提唱した両国和平により水路を引き“金の国”へ水を供給する。
工期見積もりは50年なので即断が求められる。{/netabare}
今、現実世界に、これ程の国家大計を構想、実行できる傑物はいるのでしょうか?


総じて刺激的ではないが、深イイ話だったとの余韻が何時までも続きます。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・マッドハウス

“水の国”の風光明媚。“金の国”の荘厳美麗。
百聞より説得力のある一見を再現するだけの画力は十二分。

終盤、{netabare} かつて両国の親交を深めたラスタバン2世が腰抜け王ではなく、
平和をもたらし民から愛された名君だった。
肖像画の出来栄えがそれを物語っている。
と論述する{/netabare} 件がありますが、これも相応の画力があればこそのシーン。

“水の国”≒中国風。“金の国”≒中東風。
必然チベットやアラブ諸国等が主な参考資料に。
一方、意外な所では、“金の国”の栄華を象徴する“漕がなくても登れる川”の再現に、
富山県のパナマ運河式の「中島閘門(こうもん)」が参照されたこと。
これは思わぬ聖地。“金の国”は富山県にありますw


【キャラ 4.0点】
“水の国”の技師・ナランバヤルが開戦阻止のための盟友として接近した
“金の国”左大臣・サラディーン。
イケメン俳優から政界入り。反戦派の第一王女・レオポルディーネの愛人。
一見、お飾りのプレイボーイ大臣に見えますが、これが中々の曲者。
{netabare} 俳優として“金の国”で名を馳せる前は遊牧民。
水問題含めた“金の国”の隠された危機を、よくある定住国家の栄枯盛衰として、
良くも悪くもドライに捉えている。{/netabare}
世界観にいっそう深みを与える視点を持ったキーキャラクターでした。

こうした戦争阻止のシナリオは得てして勧善懲悪となりがち。
ですが本作は決して愚昧な開戦派を、賢明な反戦派が諭すだけの軽薄な人物相関ではありません。
一見、悪徳な祈祷師に思える“金の国”開戦派筆頭の右大臣・ピリパッパでさえも、
言動には国王を慕う故の理由がある。

複雑な人物像が絡み合うからこそ、ナランバヤル技師が暗殺含みの宮廷政治を綱渡りするのがスリリングですし、
野心と無縁なサーラ王女が彼の癒やしになり得るのです。


そんな伏魔殿を暗躍する正体不明の黒づくめ暗殺部隊・ライララが私のツボ。
キャストの沢城 みゆきさんいわく「1人だけ一筆書きで描けそう……!」
確かにこれなら私でも描けそうw
単純明快なデザインで忍ぶわ煙玉投げるわ。神出鬼没なライララさんオススメですw


【声優 3.5点】
主人公“水の国”ナランバヤル技師役の俳優・賀来 賢人さん。
飄々とした言い回しの中に強い意志を込める。
中々の難役でしたが、左大臣サラディーン役の神谷 浩史さんのアドバイスも良かったのか、まずまずの対応。

ヒロイン“金の国”サーラ王女役。こちらも、おっとりした中に芯もある声が求められる難役。
ナチュラルにフィットする声の選定は難航の末、俳優・浜辺 美波さんに落ち着く。
声はそれなりに合っていましたが、漫画的なリアクションを求められるシーンは正直苦しいかなと感じました。

ここは人工的でもボイスを作れる声優からキャスティングしても良かった気もします。
脇で戸田 恵子さんや、銀河 万丈さん、茶風林さんらベテラン勢が渋い演技を決めていたから余計に。
何なら、みゆきちがライララと王女を兼任しても良かったのですよw


アニメ『ラブライブ!』シリーズでアルパカ、ふくろうと多種多様な動物を全受けして来た動物声優・麦穂 あんなさん。
本作では両国の犬猫のじゃれ合いを一手に引き受け、架け橋となる貫禄を示す。


【音楽 4.0点】
担当はエバン・コール氏。
アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』シリーズ。
アニメ映画版『ジョゼと虎と魚たち』
NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』
そして本作と連続エンカウント中の私。
今回も中華VS中東への対応力も求められましたが、
多彩な世界観を表現してきた氏のオーケストラならお手の物。

今回は琴音さんをボーカルに迎えて劇中歌も提供。
PVでも使用された「Brand New World」辺りは疾走感もある良曲。
ですが、どの歌も2分弱程度の劇中歌サイズというのが勿体ないです。
今後は是非フルサイズの挿入歌まで作曲して頂き、ヘビロテしたいです。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 22
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

優しい気持ちになれた素敵な童話

アルハミドとヴァイカリという2つの国がありました。
1000年前につまらないことで争いが起こり、500年前に一度和解しようとするけどまたつまらないことで再び争いになり、いつしか2つの国の間には壁が作られてしまいました。
お互いの国は一番美しい娘と一番賢い男を相手の国の婿・嫁にするという500年前に結ばれた約束をもとに嫁と婿が贈られることになるけど・・で始まる物語。

原作は岩本ナオさんの漫画全1巻でこのマンガがすごいにも選ばれたみたいですが未読です。

絵は綺麗で、細かいところまでよく描かれていて好印象です。
中東っぽい文化の世界なところもいいですね。ヨーロッパ風な感じの作品が多いので。

おっとりして優しそうな感じだけど芯が強いサーラ王女と賢くて機転がきいて優しい建築士のナランバヤルの二人はお似合いだなぁって思いながら見てました。

サーラの姉のレオポルディーネに良い相手を選ぶにはどうしたら良いかと聞かれたナランバヤルの答えがすごくわかるなぁって。

きつそうに見えたレオポルディーネが{netabare}妹のサーラを気にかけていて、ナランバヤルが本当に賢い男でサーラにふさわしいか、わざと時計の部品を隠して試したり、自分の国をとても愛していて戦争に反対だったりといい人だったり、それから軽そうな感じの左大臣のサラディーンが意外としっかりしてたりと映画の短い時間ながらも人物に深みを感じるところもあったりして、{/netabare}そういうところも良かったです。

意外と好きだったのはレオポルディーネの配下のライララ。黒い布で顔を隠していて眼だけ出してるんだけど、ときおり見せる表情とか言葉でいい人なのが分かるし、なによりかっこいい!

ラスト。{netabare}それから10年後くらいの後日談があったのと、EDのスタッフロールの絵も含めてその後の様子が描かれていたのも満足でした。{/netabare}

感想も少ないみたいであまり知られていないみたいですけど、優しい感じの作品が見たい方におすすめします。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 19

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

"オトナを魅せる" 恋のお話。

このマンガがすごい! 2017 オンナ編 第1位(宝島社)。

以前から本屋さんに並んでいるのは知ってはいたんです。
なので、映像化されると耳にしてから、期待ばっかりが膨らんで、矢も楯もたまらず原作を読み耽りました。


読後の印象としては、「うーん、あんまり絵が動いていないなぁ。」という感じでした。
紙芝居といってはなんですが、アニメの「止め絵」的な表現を多用している感覚です。

これってアニメではセリフ重視でお話を進めていくときによく使う手法です。
なので、どんな演出で動きを仕上げていくのかが、わたし的ポイントになりました。


それから、描画がとても繊細で、すごく緻密な線で表現されているんです。
それって、風景全体が均質的に見えてしまって平べったい印象になってしまう弱点にもなるんですね。

ちょっと薄味というか、物足らないかなっていうか、そんなふうに思えるところもありました。
でも、そのぶんキャラクターの造形や所作に心を砕いてる様子がありありと窺えました。
心情の表現性にぐっと配点を寄せている感じです。

もとより共感性の高い作品なのは承知のところ。
だから、映像を早く観たくて仕方なかった、というのが本音です。
そそくさと封切初日に足を運んでしまいました。


~      ~      ~


まず驚いたのは、作画の動きも、風景の遠近も、色彩の豊かさも、全てが私の予想を超えて作り込まれてありました。
でも、もっともっとびっくりしたのは "声のアテ" だったんです。

主人公のナランバヤル役に賀来賢人さん、サーラ役に浜辺美波さん。
お二方の声が私のイメージをはるかに超えていて、それはもうとんでもなく良かったです。

実は、本を読みながら、いろんな声優・俳優さんの声を脳内アテレコしていたんですが、ドンピシャとはこのことか~とストンと腑に落ちました。

なので、漫画の魅力指数が瞬間的にポポーンと跳ね上がりました。
劇場での期待度数も開始数分でドドーンと膨れ上がりました。


~      ~      ~


物語の展開は、原作をきっちりと踏んでいますので安心して観ることができました。
意外だったのは、漫画のような止め絵がいくらもないのに、気持ちがどんどん温まっていくのです。

そのくせ声もいいものですから、主人公の心情を語れば抜群に響いてきますし、いっそう感情が解きほぐされ、やさしく揺さぶられます。

ほかのキャラクターの声も、皆さん十分にはまり役だったと思います。
大きな冒険はありませんが、大きな破綻もありませんでした。

なので、本当に安心して物語に没入できました。


~      ~     ~


"初見の方" へは、オフィシャルのイメージボードの通り、と申し上げておきます。

「国が、動いたー 2人だけの"小さな嘘"から。」

どんないきさつから?
どんなやりとりを?

それは "観てのお愉しみ" です。
私としては "大人の方にこそ観ていただきたい作品" って思います。

女性はもちろん、男性の皆さんのキモチも優しく包んでくれるといいかなって思っています。

だって・・・ボードの2人の笑顔。
ステキだと思いませんか?


~      ~      ~


さらりと書きましたが、色彩映像が本当に美しくて、いつまでも見惚れていたい、何回でも見初められたらと思いました。
(すでに2回、劇場に行ってしまっています・・・。)

特に、クライマックスシーンの色彩の豊かさが、ナランバヤルとサーラに愛らしい息吹を与え、揺るぎない国の未来図を楽し気に予感させています。

金の国 水の国

この物語があなたの心にどのような顛末を見せるのか、ぜひご鑑賞のあとでお確かめになってみてくださいね。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 17

65.9 12 2023年度の戦争アニメランキング12位
火狩りの王(TVアニメ動画)

2023年冬アニメ
★★★★☆ 3.4 (40)
165人が棚に入れました
人類最終戦争後の世界。 大地は炎魔が闊歩する黒い森におおわれ、人々は結界に守られた土地で細々と暮らしていた。 最終戦争前に開発・使用された人体発火病原体によって、この時代の人間は、傍で天然の火が燃焼すると、内側から発火して燃え上がってしまう。 この世界で人が安全に使用できる唯一の<火>は、森に棲む炎魔から採れる。 火を狩ることを生業とする火狩りたちの間で、あるうわさがささやかれていた。 「最終戦争前に打ち上げられ、永らく虚空を彷徨っていた人工の星、<揺るる火>が、帰ってくるー」と。 “千年彗星〈揺るる火〉を狩った火狩りは、<火狩りの王>と呼ばれるだろう” 紙漉きの村に生まれ、禁じられた森に入って炎魔に襲われたところを、火狩りに助けられた灯子。 首都に生まれ、母を工場毒で失い、幼い妹を抱えた煌四は“燠火の家”に身を寄せることを決意する。 灯子と煌四、二人の生き様が交差するとき、あらたな運命が動きだすー

ウェスタンガール さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

プロメテウスの火

ということで、ある意味使い古され、枯れたテーマではある。一見すれば、“未来少年コナン”や“もののけ姫”の系譜とも言える。
作画、演出的には、かつて一世を風靡した絵物語的なスパイスを加味した一枚絵と、榊原良子氏の印象的なナレーションが効果的に差し込まれたアニメ紙芝居、あるいは人形劇といった体裁が斬新だ。
しかし個人的には、モンティ・オウムの“RWBY”と同じような香りも感じられ、アナクロの極に振り切れていない所も好ましい。
また、“新世界より”と同じく、日本神話をモチーフにした世界観が上手く機能しおり、古い日本人的な気質を持った其々のキャラクターへの好感度の高さと相まって、すこぶる共感し易い作りとなっている。
もちろんそれは、ヒロインである“灯子”の境遇と性格が裏打ちする台詞回しの素晴らしさと、久野美咲さんの熱演によるところが大きいわけだが、バディである“狩り犬”たちの健気さ、犬種を生かしたギャップの描き分けが上手く、情に厚く一途な“狼犬”やツンデレな“チワワ”を始め、犬好きの心根をくすぐってくるところがニクい。
加えて、押井守の面目躍如、スチームパンクの世界を彩るギミックの数々にも注目だ。
先程少し触れたが、我々世代には少年サンデーの巻頭カラーページやプラモデルの箱絵でお馴染み、小松崎茂氏の世界を彷彿とさせる“回収車”のカッコ良さが際立つ。
そう、アルキメデス螺旋駆動で悪路を切り裂く重厚感溢れるデザインが堪らんのだ。

WOWOW印ながら、シーズン2が早くもアマプラで観られるという幸せ。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 9

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

それでも この世界に 触れたい

この作品の原作は未読です。
最初WOWOWのオリジナルアニメとして放送されるとの事でしたので、視聴できないと思っていたら程無く各種動画配信サービスにて順次配信開始されると知りホッとしました。


人と同じように、人体発火病原体によって天然の火を使うことができなくなった
神族が、忌むべき火を遠ざけておくために炎魔を造った――。

世界の真実を灯子と煌四が知るのと時を同じくして、神族の統治転覆を狙う〈蜘蛛〉たちが炎魔を
放ち、煌四が開発した強力な雷撃を落とす雷撃砲が工場に設置され、誘導用の雷瓶が各地に
埋められるなど、さまざまな思惑が首都に忍び寄っていた。

そして、遂に、最終戦争前に打ち上げられ、永らく虚空を彷徨っていた人工の星〈揺るる火〉が、
帰ってくる。

「千年彗星〈揺るる火〉を狩った火狩りは、〈火狩りの王〉と呼ばれるだろう」

首都すべての火狩りが千年彗星の帰還を知るなかで、煌四の父の形見でもある三日月鎌で
炎魔を狩った灯子。
神族を取りまとめる手揺姫(姫神)へ、願い文を届けようとする明楽。
父の狩り犬・かなたを送り届けてくれた恩人の灯子を、神族によって体を作り替えられた
妹・緋名子とともに守ろうとする煌四。

人々が必死に戦う中、神族は帰還した〈揺るる火〉を手揺姫の任を継ぐ者とするため、
ある娘を依巫にしようとしていた。

そして、灯子は、姫神たちの孤独と悲しみを知る。

千年彗星〈揺るる火〉を狩り、新たな世界の統治者〈火狩りの王〉となるのは誰なのか。

灯子と煌四。運命に導かれた二人が解き明かしていく世界の秘密、そして彼らが選ぶ未来は――。


公式HPのあらすじを引用させて頂きました。

押井守さんが構成と脚本を手掛けられたとの事で期待していた作品でした。
アニメーションの作画としては独特でしたが、この作風にはきっと合っていたのでしょう。
視聴を始めた直後は違和感がありましたが、それも序盤のみで気が付いたらすっかり馴染んでいました。

そう考えると、作画の良し悪しってとても評価が難しいと思います。
単純な良し悪しは主観が入りますし、ただ作画が良ければ全体のクオリティが底上げされるという訳でもありません。
いかに作品に寄り添っているかが大切なんですよね。

もちろん、好き嫌いはありますが、それで全てが包含できるほど作画って甘くないことを最近ようやく理解することが出来た様な気がします。
こればかりは精進が必要…ということでしょうか。

この作品は設定が物凄いです。
この時代に生きる人間は、傍で天然の火が燃えると一緒に燃えてしまうんです。
人類は火を使うようになり文明が出来て発展したきた種族です。
その人類発展の礎とも言うべき火が使えないと言うのは致命的な欠陥としか言い様がありません。
それでも人は生き残る術を見い出し、日々を一生懸命生きています。

だからなのでしょう…
厄払いとして若い女の子が嫁に出される世界…言ってみれば体の良い口減らしとも考えられます。
そして、嫁いだ以降嫁の顛末を知る人は誰もいないんだとか。
これが唯一無二の生き残る術だとするなら、是非生きながらえていて欲しいモノですが…
残念ながらこの真実を私は知ることができませんでした。
この後で描かれるのか…それともだいぶ展開が大きく変わってしまったので、そこに立ち戻ることはないのか…続きで是非確かめたいと思っています。

1クール全10話の物語でしたが、10話ではやはり尺が短いように感じました。
あちこちで説明が不足している点がある気がして仕方ありません。
また、同時に2つの世界線を描いているので、話がどうしても断片的に感じてしまいました。
まぁ、最終的に回収して貰えれば良いんですけどね。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、家入レオさんによる「嘘つき」
エンディングテーマは、坂本真綾さんによる「まだ遠くにいる」

くのちゃんと、坂本真綾さん…そして中盤以降では、はやみんの演技の光る作品でした。
続編は2024年冬アニメで放送されるとの事なので、放送まであと少しですね。
第2期放送前に視聴が終わってホッとしました。
続きの視聴も楽しみにしていますね。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 8

ガムンダ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

イミフだが観てられる 何でだろ

典型的ポストアポカリプス作品。
舞台は日本の様です。「新世界より」に程近いです。
時代が進んでいるだけでなく、種としての人間も変容している様です。

その設定がテンコ盛り過ぎてストーリーを追うのに苦労します。
正直一回観ただけではイミフですが、2周する程ではない。
でも1周目は意外と下手なアニメよりは楽しめる感じです。


同じイミフでも「ラストエグザイル」とか堪らんのですが、コレはなんか観てられます。
多分演出と画の効果かな。あと音楽がとても良い。
ホントに個人的で微妙な差なんですけどね。

中身についてはホントにイミフなんで特に申す事はありません(笑)
見事なまでに「新世界より」ぽい。原作がとかどっちが先かとか知りませんが。
私の中でコレ系は若い頃読んだ新井素子の「ラビリンス」シリーズのイメージが先です。

まだ未完結で2期に続く様です。
2期も観る予定です。

まあ要するに雰囲気の好ましい雰囲気アニメは好きなんですね。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 6

69.8 13 2023年度の戦争アニメランキング13位
アークナイツ【冬隠帰路/PERISH IN FROST】(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (40)
148人が棚に入れました
鉱石病——れは人々の体を徐々に結晶化させ、死に至らしめる不治の病。
製薬会社ロドス・アイランドはその治療法を研究し、病が引き起こすあらゆる問題を解決するための取り組みを行っている。
感染者救済を謳うテロ組織"レユニオン・ムーブメント"の暴動を食い止めるべく、
ロドスは炎国の都市である龍門と契約を交わし、活動を続けていた。
スカルシュレッダーとの戦いの後、アーミヤは、ミーシャを救えなかった事実を受け止めきれず、ひとり悲しみに暮れていた。
一方、龍門郊外に廃都市を発見したロドスは偵察隊を向かわせる。
そこで奇妙な現象が起きていることに気づくが——

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

戦争に正義はあるか?

戦争が中心のアニメの中ではかなりデキがいいのでオススメしたい作品の一つ

ゲーム未プレイなので話に入りづらいけどアニメのクオリティ高いし話も面白い
でもこの作品、ほとんど注目されてないのがもったいない・・・
複雑すぎてゲームやってないと話わかりづらいのと、ファンサービス回とかストーリーと関係ない掘り下げとかしないでひたすら戦っている硬派な作品だからかな?
戦争ということもあってキャラがかわいい割に全体的に暗いですが、雰囲気はよく出ています
1期ではあまり目立たなかったキャラが活躍していたので、より世界観に入り込めました

ストーリーもまだまだ続くようなので、3期に期待したいです

投稿 : 2024/11/09
♥ : 13
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

分断の理不尽に向き合う中国スマホゲー原作アニメ

※1期~2期を俯瞰したレビュー・感想。

【あらすじ】
様々な種族が共存する架空の惑星「テラ」

「源石」と呼ばれる鉱石は移動都市など文明の動力源ともなるが、
同時に「鉱石病」と呼ばれる不治の感染病ももたらす。

感染者を管理、迫害する政府組織。
感染者による理想世界の実現を掲げ暴動、ゲリラ活動を行う「レユニオン」
以上の鉱石病による人的、社会的な病巣除去を目的に軍事力を有して活動する企業「ロドス・アイランド製薬(ロドス)」

三陣営の抗争を軸にしたストーリーが展開される。
タワーディフェンス型の同名スマートフォン用ゲームアプリ(未プレイ)の連続アニメ化作品。


【物語 3.5点】
結論:1期の7話~8話までは我慢。


全体構成は1期が1~8話、2期9~16話の計16話。

物語の主体はロドスに置かれ、
一応の主人公もロドスの戦略指揮を担当し、プレイヤー視点を共有する「ドクター」に置かれる。

1期目は、記憶を喪失しているドクター視点で、
世界の基本設定のナビゲートも兼ねて、ロドスの活動に追随するシナリオ展開。
正直、中盤過ぎまでは、私はかなり退屈でした。

淡々と状況をなぞっていくだけと言いましょうか。
セリフも説明のための言葉が多い印象で。
ゲームの幕間イベントならこれでもOKなのでしょうし、
テキスト量が膨大だと言う原作を要約すると、説明調になってしまうのも致し方ないのでしょうが。
映像作品の脚本としては、ちょっと厳しいと感じました。

このまま1期目終了なら、私は2期目見ないつもりでしたが、
1期目のラスト7話~8話が、
(※核心的ネタバレ){netabare} 抗争の最中、ロゴスのリーダー・アーミヤが望まぬまま、保護するミーシャの弟でもあったレユニオンのスカルシュレッダーを殺害してしまい、ミーシャの恨みを買う{/netabare}
という感染者を巡る分断により、意図せず傷つけ合ってしまう。
不条理な社会状況と、理不尽な運命に葛藤する登場人物の痛切にメンタルを削られる、
中々の好シナリオを食らい、その勢いのまま2期目に突入し完走した感じ。


2期目では、より各陣営の組織リーダーの描写に重きを置いた群像劇に。
メインストーリーの軸が見えにくくなる副作用もある構成でしたが、
個人としては傷付けたくなくても、組織人としてはやらねばならないし、二枚舌だって使う。
各陣営のキャラたちの苦悩がより浮き彫りになって、訴えたいテーマがより伝わって来ました。

1期で土台となる設定・世界観の解説を一巡したこともあってか、
セリフにも軽口を叩く余裕が生まれて、
アニメ作品の脚本として及第点以上には達した印象。


本原作が中国でサービス開始したという2019年。
奇しくも、少し後の2019年末からコロナパンデミックがあり、
理不尽極まる、苛烈なゼロコロナ政策やそれに対する反発もあったりして。
私は、同国が抱える葛藤も想起しながらの視聴となりました。


【作画 4.0点】
原作ゲーム開発のYostarが設立した子会社・Yostar Picturesがアニメーション制作。

ビジュアルを眺めて、このディストピアには浸ってみたい。
と思ったのが私の視聴動機。
実際、その欲求を満たすだけの雰囲気は味わえました。

が、正直に言うと、私は、1期目までは凄くお金はかかっているのでしょうが、その割には退屈な映像。
良作画で4.0点というより、この映像ではまだ4.0点止まりと言うのが私の率直な評価でした。

シネスコサイズを活かした面白いアングルや構図がOP&EDアニメや序盤以外はあまり見受けられず。
1期中盤辺りは、大画面の中央に淡々とキャラを映すカットが続く印象で。
これなら通常サイズの方が描く面積減って楽なのでは?との邪念が生じたくらい(苦笑)

が、ここも一般人がメイン構成員であるレユニオンの暴動、ゲリラ鎮圧戦がメインだった1期目から、
“アーツ”を操るプロ同士の戦闘が本格展開される2期に入って、確実に良化。

戦闘ありきのバトルアニメではなく、物語の中で突き動かせれて戦う描写を追求する方針から、
バトルアニメーションも決してド派手エフェクトで魅せるタイプではないのですが。
レユニオン小隊長・フロストノヴァの凍結系アーツに関しては、
凍傷のダメージ描写など迫真の映像美で魅せてくれました。
寒さに耐えて{netabare} フロストリーフ{/netabare} は本当によく頑張りました。

この調子で進化していけば、制作決定している3期では、
4.5点以上に突き抜けた映像体験が望めるかもしれません。

ただシネスコサイズに合わせて、テロップ文字も豆粒化しているので、
そういう意味でも、スマホでの視聴はオススメできませんw


あとは、シリーズ通じて、どアップした瞳を通じた心情表現が、
繊細で怖かったです。


【キャラ 3.5点】
プレイヤー視点の主人公ドクターが、特に群像劇化した2期でますます空気になっていくのは仕方がないことですが。
にしても、戦略色が強いと言う原作ゲームのアニメ化で、
ドクターの軍略の妙を感じられるシーンが少ないのは寂しいです。
今後、喪失した記憶の回復と共に、本領が発揮されることを願います。

実質的な主人公と言えるのが、メインヒロインポジで、弱冠14歳のロゴスのリーダー・アーミヤでしょうか。
全員救済という理想は高潔ですが、清濁併せ呑むことも求められるリーダーとしては純潔すぎる。
彼女の両手の五指に、枷の如くはめられた指輪の真意。
ガラスの心の行方と共に、怖い物見たさが刺激されるヒロインです。

因みに広義のケモナー向けアニメとも言える本作。
ですが“ウサギちゃん”アーミヤのウサ耳にしても、
デフォルメは控え目で、かなりリアル寄りでグロテスクな獣の耳。

こんなディストピアじゃ、ケモ耳萌えしている余裕はないのかと思いきや、
2期に入って脚本に遊ぶ余裕が生まれたのか、
アーミヤもふもふカットも展開されていましたねw


2期で一時ロゴスと共闘した龍門(ろんめん)近衛局のチェン隊長。
チェンを始め、2期に入って敵同士で今度、一緒に飲みに行かないか?などのセリフも目立ちましたが、
ここも個人的にはむしろ腹を割って話してみたいくらいだが、組織の都合で戦わざるを得ない。
葛藤を好表現した良キャラでした。

それだけに、龍門の首魁・ウェイ(CV.山寺 宏一さん)による、
局員や協定相手を駒と割り切り理不尽な命令を下す、
冷徹な政治家ぶりが際立ちます。


総じて、詳細知りたければゲームプレイしてねという群像キャラ相関でしたが、
各々、それなりに視聴者の精神を削ってくるだけエピソードは有していたので、
私はこの痛み嫌いじゃありません。


【声優 4.0点】
原作のウリであると言う“豪華声優陣”がそのままキャスティング。

ロゴスリーダー・アーミヤ役の黒沢 ともよさんは、
低めの気だるげボイスも得意な声優さんですが、
本シリーズでは高めに柔和なボイスをコントロールして、
純粋な少女リーダーを表現。

一方でドーベルマン役の種﨑 敦美さんは、
静かで優しい高音ボイスも印象的な声優さんですが、
ここでは時にアーミヤの甘さも諌める低音スパルタボイスも披露。

キャストの新たな魅力も発見できる、まずまずの“豪華声優陣”


2期からのキャストでゾクゾクしたのがフロストノヴァ役の高垣 彩陽さん。
暴力的な凍結系アーツを発動する際の“挿入歌”も含めて寒々しかったです。


【音楽 4.0点】
劇伴担当は林 ゆうき氏。
十八番の力強いストリングスによるメインテーマで真価を示す一方、
SF要素も絡む中華風の世界観に合わせて、エレクトロ成分や、
二胡のアレンジも仕掛けるなど挑戦的なサウンドも。

心情曲用に静かなバラード系BGMもありましたが、
会話劇に集中させるシーンでは無音が選択されることも多々あり。
ここもぜいたくな使い方だなと。


OP主題歌はMYTH & ROID「ACHE in PULSE」
2期のサブタイ【冬隠帰路/PERISH IN FROST】。
凍えるようなフロストノヴァのアーツと、シナリオ展開には、
Kihowさんの気が遠くなるようなボーカルがよく馴染みます。

ED主題歌はReoNa「R.I.P.」
ディストピアの狂気を歌ったスウィング曲。
これはこれで良曲なのですが。

私は何と言っても1期で原作ゲームプレイヤーでもあるというReoNaさん自身が、
作詞にも参加したバラード「Alive」が、
過酷な世界でも抗うアーミヤたちの心情が滲み出た傑作でグッと来ます。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 7

ミュラー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

相変わらず難解だけど

1期に引き続きのアニメ。
相変わらず絶望的な状況は変わらず。
とにかく暗い。
ストーリーは複雑であり、それぞれの勢力がどう動いているのかを把握しないとなかなか付いていけない。
それでも場面場面のうごきやセリフ回しが素晴らしいし、演技も素晴らしい。
そして何と言ってもこのアニメは画面の印象が素晴らしい。
CG併用だとは思うが、それにしてもこの雰囲気はすごいものがある。
決して綺麗というわけではないのだが、雰囲気に合っているし、なんだか体が寒くなるような温度の低さを感じるんだよね。
パッと見でアークナイツと分かる独特の絵作り。
まだ続くようなので、続編を待ちます。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 4
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