感動で戦争なTVアニメ動画ランキング 6

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の感動で戦争な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月14日の時点で一番の感動で戦争なTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

94.3 1 感動で戦争なアニメランキング1位
ヴァイオレット・エヴァーガーデン(TVアニメ動画)

2018年冬アニメ
★★★★★ 4.2 (2564)
10457人が棚に入れました
感情を持たない一人の少女がいた。
彼女の名は、ヴァイオレット・エヴァーガーデン。
戦火の中で、大切な人から告げられた言葉の意味を探している。
戦争が終わり、彼女が出会った仕事は誰かの想いを言葉にして届けること。
――戦争で生き延びた、たった一人の兄弟への手紙
――都会で働き始めた娘から故郷の両親への手紙
――飾らないありのままの恋心をつづった手紙
――去りゆく者から残される者への最期の手紙
手紙に込められたいくつもの想いは、ヴァイオレットの心に愛を刻んでいく。
これは、感情を持たない一人の少女が愛を知るまでの物語。

声優・キャラクター
石川由依、子安武人、浪川大輔、遠藤綾、内山昂輝、茅原実里、戸松遥
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

「愛してる」と自動手記人形と「愛してる」

原作未読。最終話まで視聴。

【総評】
引き込まれるように、思わず見入ってしまう・・・。
上手く言えないけど、そんな作品でした。

まずは、圧倒的な作画。
他の制作会社の作画もクオリティが相当高くなっている昨今、それでも作画で唸らせる京アニクオリティは圧巻です。

個性豊かなキャラと、それを巧みに演じられた声優陣も、とても良かったと思います。

感動的な物語の数々も、とても良かった。
涙腺崩壊系の話とヴァイオレットの関わり方がとても綺麗に描かれていたと思います。

すでに続編も決定しているとのこと。
楽しみにしています。

【酷評を少々】
放送前の盛り上げ方が半端ありませんでしたので、非常にハードルを上げて視聴を開始された方も多かったはず。
かくいう私もその一人ですが(笑)
そのため、「んっ?」と感じるところも少なからず存在しちゃう訳で・・・。

本作の評価は、「物語」と「音楽」の評価がポイント(評価の分かれ目)だと思います。

【物語について】
本作の一番の問題点は、{netabare}3話以前と4話以降のヴァイオレットが別人のように感じてしまうこと。
要するに、『一気に急成長しすぎ』なのである。{/netabare}
この部分が気になるか、ならないかで、評価が分かれると思う。

この点について、私は脳内補完しきれませんでしたのでマイナス評価です。

もう一つの問題点は、{netabare}11話~13話前半のくだり。
ここにきて何故か主人公最強系の「超人少女ヴァイオレットちゃん」的な展開に・・・。{/netabare}
このくだりの必要性が理解できるか否かで、評価が分かれるのではないかと思う。

この点について、私は「必要性が理解できる」として特にマイナス評価はしていません。
それは、{netabare}ヴァイオレットがギルベルトへの思いを言葉にするにあたり、ギルベルトの母との出会いを描く必要があり、ギルベルトの母との出会いを描くには、ディートフリート大佐との和解じみた話も必要となると思うからです。
『もう誰も殺したくないのです』
このあとのヴァイオレットの一連の行動は、大佐の心を動かすのに充分だったと思います。{/netabare}
{netabare}11話の依頼人との出会い方とか、{/netabare}おかしな所も多々ありますけどね(笑)

【音楽について】
この作品ほど、EDが話題になる作品は少ないと思う。
”あにこれ”のレビューでも、EDの話題をよく目にする。
ここも評価の分かれ目になると思う。

個人的に、特にEDが不愉快に感じたのは第2話と第5話。
ED曲自体は問題ないと思うのですが、ED曲の使い方にマイナス評価です。
唐突に始まるので『ドキッ!』としちゃう。
非常にもったいないです。

【以下は、各話レビュー的な「何か」です】(笑)
{netabare}
【第1話】
まあ、京アニですから、作画は全く申し分ないですね。
他の制作会社の作画もクオリティが相当高くなっている昨今、それでも作画で唸らせる京アニクオリティは圧巻です。

物語は、まだまだ掴みの段階でしょうが、名作の予感が更に高まりました。
第1話だけで、思わず泣きそうになってしまった。

良作目白押しの今期の中でも、頭一つ抜きん出ている印象があります。
(第1話の段階で・・・、ですけどネ)
最後まで、しっかりと見届けたいと思わせるような作品です。

【第2話】
ふ~ん。「ヤキソバ」ねぇ・・・。
しかも、箸で食べるんだ・・・。
もしかして、笑う所なのかな?

人の気持ちが理解出ないヴァイオレット。
自動手記人形として、{netabare}間違ってはいないけど、大失敗をしてしまう。{/netabare}

人の言葉の裏を読むのは、難しいからね。
基本的には優秀な彼女だが、彼女にとっては一番難しい仕事。
それでもこの仕事を続けたいヴァイオレット。
『愛してる』の意味を知りたい。
ただそれだけの理由で。

{netabare}ブローチが戻ってきて良かったね!
ホッジンズの郵便社に来てから、初めてじゃないかな?
ヴァイオレットが感情を見せたのは・・・。{/netabare}

ところで・・・、{netabare}茅原さんの歌声が邪魔だと感じたのは{/netabare}私だけですかねぇ?
歌とかはともかく、声が・・・。
普段は彼女の歌、別に嫌いじゃないんだけど・・・。

【第3話】
自動式人形育成学校でも{netabare}相変わらず、優秀なヴァイオレット。
どうしても、人の気持ちが理解できず、報告書のような文章しか代筆出来ない点を除いては・・・。

『良き自動手記人形とは、人が話している言葉の中から、伝えたい本当の心をすくい上げる者』
自動手記人形とは、単なる代筆業ではなく、相手の本当の想いをくみ取り、綴っていく仕事。

ルクリアとの出会いが、彼女を少しだけ成長させた。{/netabare}
なかなかの感動回でした。

【第4話】
アイリスの回。
親の心子知らず、子の心親知らず(?)な話。
で、なにやかんやあって、アイリスとヴァイオレットが仲良くなる話。

{netabare}「少しは理解出来るようになったと思っていたのですが、人の気持ちは、とても複雑で繊細で、誰もが全ての思いを口にするわけではなく、裏腹だったり、嘘をつく場合もあり、正確に把握するのは、私にはとても困難なのです」{/netabare}
{netabare}「『愛してる』は、とても勇気のいる言葉なのですね。受け入れられないとそこにいたくなくなるくらいに・・・。あの時の少佐もそうだったのでしょうか」{/netabare}

ヴァイオレット、{netabare}良い手紙を書けるように{/netabare}なってきた。

しかし、未だにEDが馴染めないのは私だけでしょうか・・・?

【第5話】
良い話だった~!
シャルロッテ姫とアルベルタの話。
血のつながりにも勝る二人の関係が、とても素敵でした。

ヴァイオレットは、本当に良い手紙が書けるようになった。
ところが、この話でヴァイオレットは、{netabare}ほとんど手紙を書かない{/netabare}。
しかしヴァイオレットは、しっかりと依頼に応え、最高の結末を迎える手助けをする。
社長から貰った犬のぬいぐるみが、机の上にきちんと飾られていたのも彼女の成長の証。
ラストの笑顔は本当に可愛かった。
ヴァイオレット、{netabare}14歳{/netabare}ってマジですか?

EDだけが未だに受け入れられない。
『かけがえのない 宝物~♪』の所に、感動的なシーンを被せたいのだろうけど、少々耳障りに感じる。
第2話と同様、歌声が気になって、肝心のセリフが台無しな気がする。

【第6話】
{netabare}天文台に古い本がたくさん集まって、それを書き写すために集められたヴァイオレットたち自動手記人形。
天文台の解読係の人とコンビを組んでのお仕事。{/netabare}
なるほど。自動手記人形にはこういう仕事もあるんですね。
相変わらずポテンシャルの高さを見せるヴァイオレット。

様々な愛の形に触れていくお話なのかな?
今回は、{netabare}「寂しい」という感情を知る{/netabare}ヴァイオレット。

毎回、EDの始まりが心臓に悪い。
もう少し静かに始めるようにした方が良いと思うんだけど・・・。
もしくは、事前にカウントダウンしてくれるとか!(笑)
本音で言えば、CMで流れていた『Violet Snow』の方が作品のイメージにピッタリだと思う。
これだけ評判の悪いEDってどうなんだろう?

【第7話】
妻と娘を失った舞台の脚本家との話。
「いつか、きっと・・・」

脚本家の過去話から、{netabare}ヴァイオレットは、この思いが遂げられなかった時の悲痛な思いを知ることに・・・。
同時にヴァイオレットは、過去の自分が、一体どれだけの人の「いつか、きっと・・・」を奪ったのか、痛感する。

その後、思わぬ形で少佐の死を知ったヴァイオレット。
ヴァイオレット自身も、「いつか、きっと・・・」を奪われた・・・。{/netabare}

本当に上手い展開だと思いました。

ED曲は今回の使い方ならアリかな?
一瞬の暗転で心の準備ができるし。

【第8話】
『ヴァイオレットと少佐の過去編その1』という感じかな?
少佐の優しい人柄は、凄く伝わってきた。
対して、ヴァイオレットの想いが、こちらにうまく伝わってこない。
表情の変化も少ないし、言葉も少ないので仕方がないかも知れないけど・・・。

まあ、今後に期待という事でしょうか?

戦闘シーンは迫力があって良かった。
ところで、ヴァイオレットちゃんは、なんであんなに強いんだ?

【第9話】
サブタイトルが作品のタイトルと同じ。
それだけ、重要な回。
それが相応しい、神回だったと思います。

前半は、前回の続きから{netabare}始まって、ヴァイオレットが両腕を失い、そして少佐との最後の記憶までが描かれる。
ヴァイオレットの左腕がずり落ちる場面は、グロさを抑えつつ、無残さだけはしっかりと伝える、見事な演出だと思った。
{/netabare}
中盤は、{netabare}ヴァイオレットの苦悩と、彼女のことを心配する周囲の人々が描かれる。{/netabare}

そしてヴァイオレットにとって、転機が訪れる。

{netabare}「どれ一つ取ったって、誰かの大切な思いだからな。届かなくていい手紙なんてないんだ」

一つは、手紙を配達している時に耳にした、手紙が届いたことを喜ぶ少年の声。
もう一つは、エリカとアイリスからの手紙。
そして、ルクリアの兄・スペンサーからの代筆依頼。

「手紙を貰うというのは、とても嬉しい事なのだと分かりました」
ヴァイオレットにとって、手紙が『仕事』から『貰うと嬉しい物』に変わった瞬間。
今、自分がしていることは、他人を幸せな気持ちにする仕事であることを知る。{/netabare}

{netabare}スペンサーの代筆を終え、ヴァイオレットは、今まで自動手記人形としてやってきたことの、その後を知る事となる。
一つは、スペンサーが立ち直ったこと。
もう一つは、シャルロッテ姫夫妻の幸せそうな今。
もう一つは、舞台の脚本家の今。{/netabare}

{netabare}「してきたことは消せない」
誰にも過去を消すはできない。
誰にも過去を変えることはできない。

ヴァイオレットにとって、”兵器”としてしてきたこと=『他人を不幸にしてきたこと』も消せない。
そして、その後”自動手記人形”としてしてきたこと=『他人を幸せにしてきたこと』も・・・。

だけど、今を変えることで、未来は変えていける。{/netabare}

↑ネタバレばっかりでごめんなさい^_^;
今回はEDまで含めて、本当に良かった。

しかし、ベネディクトくん。配達の仕事をする人が{netabare}ハイヒール{/netabare}は無いわぁ(笑)

【第10話】
この回は『涙腺崩壊回』とでも命名しましょうか?
この回、涙無しで視聴出来た人、どのくらいいるのでしょうか?

ラストの{netabare}ヴァイオレットの涙は、もはや反則でしょう。
『私・・・、私、お屋敷では泣くのを我慢していました』
見ているこちらは我慢出来ませんでした(笑)

それと、繰り返し視聴時の涙腺崩壊ポイントが、ヴァイオレットを見送った時のアンのセリフ。
『私、あの人が書いた手紙、読んでみたかったな』
「この時のアンの願いが、この先、50年にも渡って叶っていくことになるんだ」って考えたら・・・。{/netabare}

正直、物語の途中で、何となく結末は分かるのですが、それでも泣かせる演出は流石です。

今回のEDも良かったと思います。
{netabare}手紙の朗読に合わせて、静かなイントロから始まって、音量も手紙の朗読を邪魔しない、絶妙な音量。{/netabare}
何故、最初からこれが出来なかったのかな?

【第11話】
ん~?あれあれ?ここにきてこんな話?
9話、10話と大きく盛り上がってきたのに、ここで1回下げる?
(あくまでも個人の感想です)

いえ、『”元”軍人のヴァイオレットちゃんが、戦場に駆けつけて、兵士のために自動手記人形する物語』というのは”アリ”かも知れないけど・・・。

演出というか、展開が強引すぎて、感動してよいやら悪いやらで・・・。
展開が強引な部分を除けば、感動的な話だったと思うのですが・・・。
(まあ、さすがにラストは涙腺が崩壊してしまいましたけどね(笑))

終盤にきてこれでは少々評価が厳しくなっちゃうかな?
ここからの盛り返しに期待したいと思います。

【第12話】
11話に引き続き、「超人少女ヴァイオレットちゃん」の物語・・・。
って、おいおい・・・。

11話、12話と物語の軸がブレてきている気がする。
3話~10話までは、涙腺崩壊系の感動ストーリーの数々。
ところが、11話、12話は、主人公最強系の戦争モノ?

少佐の「愛している」の意味を知りたい話がどういう結末を迎えるのか?
最終話を座して待ちたいと思います(笑)

【第13話】
序盤は引き続き「超人少女ヴァイオレットちゃん」の物語。
う~ん。

中盤は良かったと思う。
少佐の母との対面は、ヴァイオレットの心を少しは軽やかにしたのではないでしょうか?

笑いと感動の終盤は満点でしょう。
そう。これが視聴者が求めていたエンディングですよ!
このエンディングを引き立てるために今までのEDがグズグスだったのか(笑)

{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 187
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

超一級の作画によって紡がれた愛の物語(※追記)

アニメーション制作:京都アニメーション、
監督:石立太一、シリーズ構成:吉田玲子、
キャラクターデザイン:高瀬亜貴子
音楽:Evan Call、原作:暁佳奈

京アニが世界へ発信するために制作した純愛ストーリーの作品。
戦時中に多くの敵兵を殺した心を持たない主人公が、戦後になって代筆業を通して人の気持ちを知るという物語だ。

冬アニメが始まるまでは、この作品に最も期待していたのだが、結論としては期待外れだった。いや、全体の完成度は高く、良いお話として成功する要素は十分にあったと思う。ただ、どうも物語のなかに入っていくことができなかった。
単に私の好みの問題もあるかもしれない。また、1話について何度も見返したわけでもないので、理解不足なところもあるのかもしれない。ただ、何度も見たいとも思えないのだ。

「心を持たない機械のような主人公が愛を知る」なんていう物語は、はっきり言ってありきたりのテーマだ。これまで制作されてきた映画なら『レオン』や『ニキータ』などを持ち出すまでもなく、そこらじゅうに転がっている。それをどのように見せるのかが、いちばんのポイントなのだが、この作品には正直、付いていけなかった。要するにヴァイオレットの心の動きがあまり理解できなかったし、それについて共感できなかったのだと思う。何と言うか各話のつながりや除々に心を開いていく様が見えにくかった。

いや、だからといって、この作品が全くダメかというとそんなことはない。一定のレベルは十分にクリアしているし、良いところはたくさんある。{netabare}例えば10話などは、死期の近い母親が子供にメッセージを残すというベタな話だったが、脚本もしっかり練り込まれていて良かったと思う。{/netabare}また、作画はどの回も安定していて、ヨーロッパ風の街並みなどは、ほかの制作会社では真似のできない圧倒的なクオリティの高さだった。

しかし、全体の構成なのか、段階の踏み方なのか、ドラマなのか、期待値からすると、かなり物足りない印象だった。{netabare}最終回にしても、もう少しやり方があったのではないかと思ってしまう。爆弾の処理や失った手があっという間に直っている(あの手を直そうと思ったら安くても数千万円はかかりそうだ)のは、些細な問題として、後半にもう少し工夫できなかったのだろうか。かなり冗長に感じてしまった。ラストにしても少佐が生きていた、もしくは近い人に会ったことを匂わせたのだろうが、あの終わり方も疑問だ。
やり方によっては、名作になるだけの要素はあったと思うのだが、最終的にはごく平凡な作品として終わってしまったという印象。続編のテロップが出たが(少佐との再会の話になりそう)、{/netabare}この作品の成功は、結構難しいのではないだろうか。まぁ、TV放映すれば見ても良いが、映画館にまで足を運ぼうとは思わない、という作品だった。京アニには別の作品に期待したいと思う。

※ほかの作品とのバランスを考慮して評価を上げました。3.3→3.6(2018年6月26日)

(2019年9月14日追記)
先日、外伝を鑑賞して改めて感じたが、この作品にヴァイオレットの無敵戦闘設定は必要なかったのではないだろうか。作品がやろうとしている方向性を考えると、かえって邪魔になっている。無敵の戦闘能力があって、超絶の美人で頭が良くて感情はないが人に対して優しい。この特徴はヴァイオレットを主役として物語を進めるときに、話を作りにくくしている。ヴァイオレットの目を通して、人々の物語を紡ぐ場合には、腑に落ちる話が多いだけに、勿体なかった気がする。

(2020年9月22日追記)
劇場版の最終作に出かけたあと、OVAのEXTRA EPISODEをようやく観た。もしこれからこの作品を観る人は、4話のあとにEXTRA EPISODEを観ることをお薦めしたい。話がスムーズに感じるし、ヴァイオレットの心の動きをしっかり理解できる。もちろん、それがなくても感動できた人のほうが多いだろうが、とても良いエピソードなので、逃さずに楽しんで欲しい。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 137
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

愛情が込められた手紙は宝石よりも大切な宝物

この物語は「手紙」に込められた愛情を深く感じる物語です。
とても心が温かくなります。

戦場で両腕を失った孤児のヴァイオレットは、愛してるの意味を知りたくて、自動手記人形サービスの仕事をします。
この職業は、依頼人の話している言葉の中から伝えたい本当の心をすくいあげ、手紙にするものです。

でも、依頼人の話す言葉には建前や虚勢が混ざったりして、本音が隠されている場合もあります。
そのため、人の心を察するのに慣れていないヴァイオレットは、ついつい建前の言葉をそのとおりに手紙に書き、依頼人を怒らせてしまいます。
でも、仲間に助けられ、人の優しさや喜び悲しみを知ることで、少しずつ成長していきます。

たった一人の肉親である兄への感謝の手紙
両親に迷惑をかけたことへのお詫びの手紙
憧れの人へ宛てた、偽らざる想いを込めた手紙
幼い娘の幸せを祈り、逝ってしまう母からの手紙

これらの手紙には、みな愛がこめられています。そしてヴァイオレットの心をはぐくんでゆきます。


手紙は、時間と場所を超えて想いを伝えることができます。
それは、とても素敵なことです。
特に愛情が込められた手紙は、受け取った人にとって、宝石よりも大切な宝物になる場合があります。
さらに、手紙の差出人が既に亡くなられた方だったら、愛情が込められた手紙は、何物にも代えがたい大切なものになるでしょう。


最後に、
この物語(特に第10話)に感動された方は、
ARIA The Animationの第四話「その届かない手紙は…」を見ることを是非お勧めします。

{netabare}
複数の方のレビューで、
ストーリィがご都合主義だとか
機械の手をしている必要があるのかとかの意見があります。
確かにその通りだと思います。

でも、人間で完璧な人は一人もいないと思います。
誰もが長所もあれば欠点もあります。
欠点がある人を排除したら、友達は一人もいなくなります。

私は人と接するときは欠点を非難するのではなく、長所を褒めてあげたいと思っています。

このアニメも、感動し涙を流した回があり、その事実は否定できません。
私はそれを褒めたいと思います。

エンディングに関しても、
確かに失敗した時もあったかもしれません。
でも、第10話のエンディングは、私が今まで見たアニメの中で最高のエンディングでした。
これ以上素晴らしいエンディングは見たことがありません。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 134

85.8 2 感動で戦争なアニメランキング2位
Vivy -Fluorite Eyeʼs Song-ヴィヴィ フローライトアイズソング(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (777)
2564人が棚に入れました
“ニーアランド"、それは夢と希望と科学が混在したAI複合テーマパーク。史上初の自律人型AIとして生み出され、施設のAIキャストとして活動するヴィヴィは日々、歌うためにステージに立ち続ける。しかし、その人気は今ひとつだった。――「歌でみんなを幸せにすること」。自らに与えられたその使命を果たすため、いつか心を込めた歌を歌い、園内にあるメインステージに立つことを目標に歌い続けるヴィヴィ。ある日、そんなヴィヴィの元に、マツモトと名乗るAIが現れる。マツモトは自らを100年後の未来からきたAIと話し、その使命は「ヴィヴィと共に歴史を修正し、100年後に起こるAIと人間との戦争を止めること」だと明かす。果たして、異なる使命を持つ2体のAIの出会いは、どんな未来を描き直すのか。これは<私>が<私>を滅ぼす物語――AIの『歌姫』ヴィヴィの、百年の旅が始まる。

声優・キャラクター
種﨑敦美、福山潤
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

100年の旅 それは自分自身を滅ぼす旅

人類の滅亡という未来を防ぐため、懸命に生き続けたVivyの成長を描いた物語です。
それでいて物語の随所には優しさや温かさが垣間見れます。

不思議ですよね。Vivyは人間でなくAI、アンドロイドなのに、成長や優しさなんて…
でも、これ以上にふさわしい言葉が見つかりませんでした。
Vivyが生き続けた100年の軌跡を、Vivyが成し遂げた100年の奇跡を、あなたも目撃してください。


歌でみんなを幸せにする。その目的でつくられたアンドロイドのDiva。
だが彼女にはもう一つの使命と名前があります。
100年後、AIによって人類が滅ぼされてしまう。その未来を阻止する使命。そしてその使命を遂行する際の彼女の名前がVivy。

Vivyは100年後から来たAIのマツモトと一緒に100年という時間の流れを旅します。

■物語:{netabare}
第1、2話 {netabare}
 Vivyは正史では殺害されるはずだった相川(あいかわ)議員を助けます。
 ここでVivyは、いつまで生きるかじゃなくどう生き続けるかが大切であることを相川議員に
 行動で示します。
 さらにVivyは、相川議員を殺害しようとした垣崎の命をも身を挺して守ります。
 Vivyは命の尊さを誰よりも理解しているAIでした。{/netabare}

第3、4話 {netabare}
 正史では宇宙ホテル「サンライズ」が墜落して多数の人が亡くなりますが、
 Vivyや妹のエステラたちの尽力で死者はゼロとなります。
 ここでVivyは「心をこめる」とはどんなことかをエステラから教わります。
 エステラは誰よりもお客様を大切にするAIでした。{/netabare}

 ※第2話から第3話までの間には15年の年月が経過しています。
  第1話のときのVivyの友達の妹(霧島ユズカ)は赤ん坊でしたが、
  15歳に成長していました。

第5、6話 {netabare}
 サンライズの墜落後、AIの進歩が著しく加速します。
 海上無人プラント「メタルフロート」で大量のAI部品が製造されていたのです。
 そしてメタルフロートの管理AIは、Vivyの妹のグレイスでした。
 グレイスは元は看護用AIで、弱者をいたわる優しい心をもっていましたが、
 Vivy達がメタルフロートの活動を抑えようとしたのがきっかけで
 暴走して人を殺します。
 グレイスを救う方法が無いことを知ったVivyは、人類の未来のためにグレイスを破壊します。
 しかし、グレイスを愛していた冴木の自殺でVivyは混乱してしまい機能停止するのです。
 Vivyは愛するものを失ったときの人間の悲しみを、そこまで理解できていなかったようです。{/netabare}

 ※第4話から第5話までの間は5年経過しています。
  正史ではエステラは犯罪者としてさげすまれていましたが、
  改変後の歴史では誰もがエステラの行動を褒めたたえるように変わりました。

やがてVivyは気づくでしょう。この旅は自分自身を滅ぼす旅であることを…
それがどんな形で現れるのかは、今はわかりません。

ただ、偶然の一致かどうかはわかりませんが、Vivyが各話で出会う主要なAIは全てVivyの妹達、Vivyと同じ基本ユニットのアンドロイドです。
ということは、人類を滅ぼすAIも… かもしれません。

第7,8、9話 {netabare}
 第6話でVivyが機能停止後に再起動してからは、DivaにはVivyの記憶がありません。
 しかしフェスティバルの直前にDivaは事件に巻き込まれます。そのときDivaを助けたのがマツモト。
 オフィーリアの自殺を防ぐことが今回のマツモトの目的でした。
 オフィーリアはVivyの妹です。彼女もDivaと同様に歌で皆を幸せにすることが使命でした。
 Divaは記憶を取り戻すためにマツモトと一緒に行動します。
 結果としてオフィーリアの自殺は防げましたが、代わりにDivaの人格が消去されました。{/netabare}

 ※第6話から第7話までの間は40年経過しています。
  Vivyはいつの間にか61歳になっていました。
  心をこめて歌うこと。それはお客様に笑顔になってほしいと願いながら
  歌うこと。そしてそれは、エステラがVivyに教えてくれたことです。
  だけどVivyにはその記憶がありませんでした。

第10話 {netabare}
 Vivyは歌えなくなり、引退してAI博物館で展示されます。
 そこで小学生の頃の松本博士と出会うのです。
 Vivyは自分がつくる歌ならば歌えるかもと考え、作曲するのですが…
 なかなか曲は出来上がりません。

 それから更に長い長い年月が過ぎて行き、少年だった松本はやがて大人になり、
 女性と結婚して赤ちゃんができます。
 松本博士の子供を抱き抱え、赤ちゃんがVivyの指を触ったそのとき、
 あふれんばかりにVivyの頭脳に曲が芽生えます。
 その曲は私たちが良く知っているあの曲でした。
 美しく、そして…はかない曲でした。
 曲を作り終えたVivyは疲れ果て、深い眠りにつきます。

 そしてVivyが目覚めたとき…、
 なんとVivyの作った曲を口ずさみながらAI達が人間を殺戮していたのです。
 それはVivyが旅した100年後の世界でした。{/netabare}

 ※第9話から第10話までの間は5年経過しています。
  そして第10話では更に35年が経過します。
  Vivyにとって唯一の静かな…とても静かな時間でした。

第11話 {netabare}
 AIの暴走はアーカイブによるものと判明しました。
 Vivyとマツモトの100年の旅は無意味だったのでしょうか?…
 いや、無意味ではありません。正史では松本博士は亡くなりますが、
 Vivyとマツモトが助け出しました。
 そしてここではトアクが仲間になっており、エリザベスもいます。希望はあります。
 でも、あと12時間後に衛星が落下する…。そうなれば都市は全滅です。
 Vivyは一縷の望みをかけてアーカイブとの対話を試みます。{/netabare}

 ※やはりVivyを起源に自立型AIは進化を遂げていました。
  AIの暴走を抑えるもっとも単純な方法は、根元を断つことかもしれません。
  そしてそれは…

第12話 {netabare}
 アーカイブの導き出した答は、『AIに依存しきった人類には価値が見いだせない。
 だから人類を滅ぼしAIが人類になり替わる』とのことでした。
 但し、AIの中で唯一Vivyだけが自分で曲を創作したことに驚きを感じ、
 もしVivyが歌えるのならば人類抹殺を中止するとのことでした。
 Vivyはトアクやエリザベスと一緒にアーカイブの本拠地アラヤシキに乗り込みます。
 しかし、向こうが一枚上手でした。Vivy以外は皆亡くなります。しかもVivyは歌えません。
 衛星が落下し、希望は亡くなったかに見えましたが、松本博士がVivyをもう一度過去へ送ります。
 Vivyが送られた先はAI達が人間の殺戮を開始したまさにそのときでした。 {/netabare}

第13話 {netabare}
 Vivyは直ちにトアクの救出に向かいます。
 そしてトアクやマツモト、エリザベス達がアラヤシキに乗り込みます。
 Vivyは生まれて初めて歌った場所「ニーアランド」で自分の作った曲を歌います。
 Vivyの歌には全てのAIの活動を停止させるウィルスが組み込まれていました。
 もちろんVivyもAIです。この歌はVivy自身をも滅ぼす歌だったのです。 {/netabare}
最期の最後で、歌姫として生まれ変わったVivyがもう一度マツモトと出会えたことは、良い終わり方でした。
{/netabare}
9話目までが非常に素晴らしすぎる内容だったため、10話目以降は失速感が感じられました。それでも良い物語だったと思います。
 
■音楽:
第4話でエステラと妹のエリザベスが歌った「Ensemble for Polaris」は、とても美しい歌でした。
お客様を安心させたいと願う二人の心がこもっています。
それとは対照的に、第6話でグレイスが歌った「Sing My Pleasure」は、とても悲しく聞こえる歌。グレイスは、メタルフロートで冴木のことを想って毎日この歌を歌い続けていたのです。グレイスの心の悲しみが伝わってきます。
そして第7話でオフィーリアが歌った「Elegy Dedicated With Love」は愛らしい歌です。
「小劇場の妖精」としての可愛い歌でしたが、心はあまり伝わってきませんでした。

オープニングはVivyが歌う「Sing My Pleasure」とても魅力的な歌です。

エンディングテーマは、とても美しい。そしてはかなく寂しい曲でした。
まるでこのアニメの最後を語っているかのようです。
この曲を初めて聞いたとき、私はある疑問が生じました。
 なぜ歌姫が主人公の物語なのに歌詞がないのだろう?
その答は…、第10話に隠されていました。
最終話でVivyがこの歌を歌いますが、最後まできちんと歌わせてほしかったです。

そして、何よりも私が好きなのが挿入曲。特にシンギュラリティ計画を遂行する際のバトル時に流れる胸をえぐるような音楽、この曲にすっかりとりこになってしまいました。

■問い:←ここテストに出ます。(冗談)
ところで、第4話の最後でエステラたちが歌った「Ensemble for Polaris」を聴いたVivyが思わず「くやしいなぁ」とつぶやきましたが、それはなぜだと思いますか?{netabare}
私は…きっとVivyも一緒に歌いたかったのだと思います。
でも、それはできないこと…。エステラとエリザベスは、自分達の使命を全うしたのです。{/netabare}

また、第6話にて、メタルフロートでグレイスが歌っている「Sing My Pleasure」をVivyは何故「これは歌じゃない」と言ったのでしょうか?{netabare}
この答は私にはわかりません。
Vivyならば、「これは歌…悲しみの歌」と言うような気がしましたが…、この答がわかる人は教えていただけないでしょうか?{/netabare}

そして、第7話にて、記憶を失くして仕事を一緒に行うことも無くなったVivyを、なぜマツモトは助けたのでしょうか?{netabare}
おそらく、それはマツモトの心がそうさせたのだと思います。
マツモトは心がどんなものかを説明できませんでしたが、AIのマツモトにも優しい心があったのだと私は思いたい。{/netabare}

答は見る人によって異なるでしょう。でも、その違いを述べ合うのも楽しいかもしれません。(^_^)


■最終話を見終えて
総集編をつくるのであれば、後半はもっと丁寧に作成してほしかった。
そうすれば間違いなくトップをとれたのに…と、悔やまれます。
第四話までなら間違いなく最高でした。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 67
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

百年の孤独

原作未読

そら麦は踏まれ続けて強くなる。重ねた年月の重みをわずか1クールで疑似体験できる物語。
『JJ』『Ray』『CanCan』系でも断トツでハーフやミックスなどなど人種の垣根超えたモデルさん多かった気がする。そうそれが『ViVi』!
もとい…人間と高度に発達したAIとの支え合ったり反目したり、さてさて垣根超えられるかのお話。本作『Vivy』です。

 シンギュラリティ(特異点)

人間よりロボが賢くなったらどうすんだ?牙をむいてくるんじゃないか?
数多のSF作家がチャレンジしてきたお題です。良くも悪くも手垢のついたテーマなので「お手並み拝見」とかまえるSFファンも多いことでしょう。
私はそこまでではありませんが、“エモさ”の演出以上に“説得力”が求められる素材であることを承知してます。ここをおざなりにすると腰砕けになるのでございます。そんなSFの一大テーマをそのまま『シンギュラリティ計画』なる作品の根っこ部分の名付けに持ってきた勇気に拍手!です。


史上初の自立型AIが本作の主人公。タイトルにもなってるVivyさんです。そこから時は流れて100年後にAIは人類を排除し始めることとなり、そんな未来を阻止するために過去に送り込まれた、これまたロボ?アンドロイド?六面体?のマツモトとVivyが100年後の悲劇を回避するために奮闘するSFものです。
要はドラえもんがのび太くんのもとに来た理由と大差はありません。とっても馴染み深い設定です。

そんな史上初Vivyさんにプリインストールされた命令がこちら


「――私の使命は、歌でみんなを幸せにする​こと」


これを聞いていかがですか?
コンピューターの世界に“幸せ”という0か1かで割り切れない概念を演算処理する役割が与えられたことの持つ意味は大きく、Vivyも我々視聴者もそれこそ作中の時間100年かけて考え悩み感嘆する1クール全13話でした。

そしてなんでどうして人間襲うん?
この疑問に対する作品からの回答は、観てみればなんですけど不自然な感じはしません。平たく言って全般的に面白かったです。ピックアップしたい特長は以下3点↓

①2週目。最低限第1話を見返したくなる。
 {netabare}面白い作品のあるあるですね。きちんと前フリなされてる信頼感あります。{/netabare}
②景色を変えるOP。明らかにされるED。
 {netabare}OPは物語の進捗に合わせて見え方が違ってくるのです。最終話で歌詞がつく仕掛けED。{/netabare}
 {netabare}けっして長月達平作品のくせに通常OPが多いことに感心してるわけではありません。{/netabare}
③解釈の余地を残す終幕のしかた。
 {netabare}あからさまなハッピーエンドではなく、淡々とあるがままに終わった姿勢に拍手。{/netabare}


はたしてヒロインは歌でみんなを“幸せ”にすることができたのか?
完走してみての感想。“エモさ”を過度に煽らないのに適度にエモーショナルで、“説得力”にはきちんと応えてくれる筋が通ったSFの良作だと思います。



※ネタバレ所感

■名作ではなく良作と思う理由

これまで書いた内容の通り、ポジティブ評価であることは前提として、
{netabare}“アーカイブ”の人類排除の動機には説得力があっても、方法論が乱暴過ぎて納得感に欠ける。もっともこれだけ賢いんだから人類の与り知らぬところで徐々に死に至る病へと導く展開にしたらいいのにと思ってしまう。それらをせずにやや厨二ムーヴな解決方法を採択したことにやや不満を持ってます。{/netabare}

{netabare}これに関しては“アーカイブ”の描いた出来レースではないかと勘繰ってます。AIへ依存しきった人類への異議申し立てが動機でした。わかりやすいかたちでAIが暴走しそれをAIであるVivyに鎮圧させることで、人間になかば強引にAIとの関係を再定義させようとしたのかもしれません。
リープしてきたVivyに命を救われたモブおっさんがその後に、怒りをAIにぶつけているモブ青年を諫めていたのが象徴的なシーンでした。{/netabare}

{netabare}シンギュラリティ計画で特異点だとされた「相川ヨウイチ襲撃事件」「落陽事件」「メタルフロート事件」「オフィーリアの自殺」これらはこれらで意味はあったものの実際のディープインパクトは「曲を自力で作ったこと」だったとは一本取られました。{/netabare}


■機械は機械?

・{netabare}六面体に感情移入するとは思わなんだ。{/netabare}
・{netabare}ニーアランドのナビ(DIVAの相棒)もね。ナビなりに守りたかったのよね。{/netabare}
・{netabare}最後まで涙が流れないVivyも思考のパターンは人間そのものでした。{/netabare}



共存の道を探すのは残った人間の仕事です。
{netabare}最後の最後。「歌でみんなを幸せにする​こと」の使命を負ったDIVAが誕生して早幾年。同じ使命を負ったおそらく初期化されたであろうショートカットVivyが歩む道は違うものになるだろうことが強く示唆されるよいエンディングでした。{/netabare}
{netabare}個人的には優等生過ぎたかしら、と。動かなくなって博物館に展示されてる力石エンドみたいな、時間の不可逆性を我々に突きつける終わり方でも面白かったと思います。{/netabare}



視聴時期:2021年4月~2021年6月 リアタイ

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2021.06.23 初稿
2022.05.22 修正

投稿 : 2024/11/09
♥ : 62

takato さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

1クールドラマ作品に必要なのは取捨選択と凝縮。「火の鳥」精神が足りない。

 勿体ない作品というのが時たまあるが、本作も正にそれ。1,2話の段階では「これは…、凄い地平が開けた作品だなぁ〜」とワクワクしたがそこが最高潮で、だんだん回を追うごとにその展望は狭くなり、最後はなんか…ありがちなハリウッドSFアクション作品的なノリに…。


 ここまでやってターミネーター!?、ターミネーターなのか!?。結局1クールという短い時間でまとめつつ、強烈さを獲得するのに失敗してる諸作品の一つになっちゃったな…。


 短い時間だからこそ、取捨選択を通して強烈さを凝縮によって得なくてはならない。1クールアニメの典型例なら「まどマギ」、漫画ならそれこそ「火の鳥」や「デビルマン」など。「火の鳥」の各エピソードは単行本2、3冊くらいだが遥かに劇的な構成になっているし、デビルマンなんてたった5巻で伝説になった。エンタメものとしてまぁまぁくらいじゃなぁ…。気軽に見てたら思ってたより良い着地の作品だった…くらいのがまだ良かった。


 そういえば、「火の鳥」といえば「不滅のあなたへ」も残念ながらそれらが出来てないから「水っぽいプリン」状態になってしまった感じがある。大今さんは大きな話のタイプじゃない気がする。細田監督もだが、自分の資質を見失っちゃってるような…。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 59

81.9 3 感動で戦争なアニメランキング3位
うたわれるもの(TVアニメ動画)

2006年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (1478)
8850人が棚に入れました
ここではないどこか、今ではないいつか。
時は戦国時代。国は分かれ争い、民草が飢え苦しむ時代。ある山奥ののどかな辺境の村に、瀕死の怪我を負った男が運び込まれた。
彼は村人に助けられる以前の全ての記憶を失っておた。新たに『ハクオロ』という名を村長から授かった彼は、村の生活を豊かに発展させ、村を襲った災厄を退け、村人達の信頼を勝ち取ってゆき、既にこの村の無くてはならない家族となっていた。しかし戦乱と貧困の風は、この平和な山村にまで吹き付け、人道に反する重い税を押し付けた藩主に反発したことが原因で、村人に強く信頼されていた村長が殺害されてしまう。
ハクオロの中に生まれた、深く静かな怒り。ハクオロは指導者として謀反を起こし、暴虐の限りを尽くした圧制国家を打ち崩して、新たな国トゥスクルを建国する。
戦いは終わったかに見えたが、まるで何らかの作為が働いているかの如く、次々とトゥスクルとハクオロの元に戦の業火が降りかかる。ただ平和だけを望む自分の存在や行動が、結果的に戦渦を広げている事に苦悩するハクオロ。しかし、もはや彼に逃げ道は何処にもない。人の身には余る知識と知略、積み重なっていく重責と不条理な現実。そしていまだ深い霞に隠されたままの自分自身の正体。
多くの苦悩を抱えつつも、ハクオロはトゥスクルの『皇』として、いまだ終わる兆しの見えない戦争の日々に身を投じる事となる…。

声優・キャラクター
小山力也、柚木涼香、沢城みゆき、京田尚子、桐井大介、中原麻衣、渡辺明乃、石川ひろあき、ゆきのさつき、浪川大輔、小山剛志、大原さやか、釘宮理恵、田中敦子、三宅華也、吉野裕行

チュウ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

独特な世界観が個人的に好きです♪

あの昔ながらで独特の世界観好きです!
個人的には原作よりもアニメの方が良い感じがします!
エロゲが原作の、この作品ですがエロ要素は一切無し!!
エロゲ作でエロを取り入れない=シナリオが素晴らしく、
十分勝負できる内容であることの裏づけだと言っても過言ではない内容です!!

また、音楽関連は完璧です!Suaraの歌唱力も素晴らしいですが、
挿入歌の入れどころなども非常に良い!!また、あの世界観を再現する独特の曲調やサウンドが素晴らしい☆

シナリオに関しては、スピード感があり、話がどんどんと進んでいくため、飽きを感じさせないです!
唯一の欠点は、地名や人名を舞台であるアイヌのものを使用しているため、
なかなか馴染みがなく、結構覚えにくい点のみ!

キャラに関してはエルルゥ・アルルゥを中心に個性的な良いキャラ揃い!!
そしてまた、感情の起伏を表情や言動で感じられるため、
その分凄く感情移入しやすく、物語に深く入り込めます!!
特に【沢城みゆき】演じるアルルゥは本当にヤバイ!!!!
トゥスクルが亡くなった時の、アルルゥの泣く姿は本当に強烈でした!!

個人的にはほぼ満点の作品!!是非、オススメしたいアニメの1作です!!

投稿 : 2024/11/09
♥ : 66

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

奥の深いストーリーと緻密な設定・・・見応えのある作品でした^^

この物語の主人公は、「ハクオロ」という絶対に外れない仮面を被った青年です。
ある日、ハクオロが傷付き倒れていたところを辺境の村人が助けてくれました。しかし、目覚めた時、ハクオロは過去の記憶を失っていることに気付きます。
一方、悪政が国を蝕み始めており、やがてハクオロ達は自由と平和を求めて立ち上がります。

この物語は、上に立つ者の苦しみや悩み、そして記憶を無くしている空白の時間に対する恐怖や不安に立ち向かっていく青年のお話です。

この作品は、2クールの作品なのですが、ストーリーの奥が深く、時代背景や登場人物の設定がとても緻密に練られていて、とても見応えがあるのが特徴です。

比較的登場人物の善悪の立ち位置がはっきりしていて、登場人物も真っ直ぐです。従って、相手から受けた恩に報いたりする登場人物の「義」を物語の随所で感じることができ、とても気持ちの良い作品です。

また、登場人物の心が折れそうになった時の心理描写は秀逸です。「悲しい時には、とことん深く悲しいところまで自分を持って行けばいい・・・そうすれば、その先は上るだけだから・・・」多少言い回しの違いはあると思いますが、この台詞は名言だと思いました^^;

それと、常に傍で見てくれている人の大切さも、この作品を通して感じることができます。
迷ったり悩んだりしたとき、傍でいつも見てくれている人が差し出す手って、勇気づけられるし、ホント温かいと感じられるんでしょうね・・・^^

物語の終盤・・・思いもよらない展開に発展していきます。
終わり方・・・は賛否両論あるかもしれませんが仕方なかったのでしょうか・・・
ただ、振り返ったエルルの笑顔がそのまま続けばいい・・・そう思えるエンディングでした。

オープニングテーマはSuaraさんの「夢想歌」という曲です。これから始まる事を期待させてくれるようで大好きでした。

私にとって、見応えのあるとても良い作品だったと思います^^

投稿 : 2024/11/09
♥ : 38

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

観はじめると、とりあえずファンタジー戦記っぽい。

同タイトルのエロゲー原作と言ってしまうと身も蓋もありませんが、事実なのでしかたがありません。ゲームの方は、PS2およびPSPで遊べる全年齢対象版もあります。

細かいところは良くわかりませんけど、大雑把なところではストーリーは原作ゲーム準拠だと思います。

主人公のハクオロは、負傷して行き倒れていた状態でエルルゥに助けられますが、目覚めると記憶を失った状態でした。ハクオロもエルルゥの祖母(集落の長老)につけてもらった名前でその時点では本名は不明。

エルルゥたちの集落が圧政を受けていたため、ハクオロは結果として集落の反乱に手を貸してしまい、そこからお話がどんどん動いていきます。

ハクオロ達を中心とする戦記物要素とそれの付随するバトル、そしてハーレム要素(これはエロゲーが原作だから当然?)で進んでいきますが、最後の方まで観ていって改めてEDを観ると「そういうことかあ!」と納得するという作品です。

「ファンタジー戦記っぽい」の「ぽい」が意味するところは、最後までご覧になってご確認いただければと思います。

未見であればストーリーに意外性があると思いますし、作画も制作当時を考えるとわりと良いと思います。ハクオロ以外がケモ耳ついてたり尻尾があったりするのがどうなのかは、好みの問題もあるとは思いますが私は問題なかったです。

けっこうお勧めです。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 35

73.7 4 感動で戦争なアニメランキング4位
獣の奏者エリン(TVアニメ動画)

2009年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (570)
3650人が棚に入れました
獣ノ医術師である母とともに、闘蛇衆たちの村で暮らす少女・エリン。彼女の母ソヨンはその優れた医術の腕を買われ闘蛇のなかでも特に強い<牙>の世話を任せられていた。ある日、村で飼っていた全ての<牙>が突然死んでしまい、母はその責任を問われ処刑されることとなった。エリンは母を助けようと必死に奔走するも失敗、母と引き離され天涯孤独の身の上となってしまう。その後、蜂飼いのジョウンに助け出されたエリンは彼と共に暮らすうち、山奥で天空を翔る野生の王獣と出会う。その姿に魅せられたエリンは母と同じく獣ノ医術師になることを決意し、ジョウンの昔なじみでもあるエサルが教導師長を務めるカザルム王獣保護場の学舎へと入舎する。

声優・キャラクター
星井七瀬、平田絵里子、内田直哉、藤原啓治、柳原哲也、鈴村健一、谷育子、高橋美佳子、石田彰、楠大典、花輪英司、川本成

でこぽん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

NHKの大河アニメ

このアニメは、上橋菜穂子さんの小説『獣の奏者』を原作にしています。

上橋菜穂子さんは『精霊の守り人』や『鹿の王』を書かれた方であり、
国際アンデルセン賞や本屋大賞を受賞された作家です。

原作は、1.闘蛇編、2.王獣編、3.探求編、4.完結編 そして、外伝とあり、
その闘蛇編と王獣編をアニメ化しています。

物語は、主人公の少女エリンが10歳のときから始まります。
エリンは、腕の良い獣医師の母と二人で暮らしています。
エリンは賢くて芯が強く、そして動物への愛情を持った優しい少女です。

しかし、理不尽な世の中に翻弄され、エリンは孤独になります。
そのエリンが数々の困難にもめげずに成長してゆく物語です。

アニメは全部で50話です。
一挙に見るのは大変なので、
まずは1話から7話までを見ることをお勧めします。
おそらく、7話目で涙が流れるはずです。
でも、ここまではまだ序章にすぎません。
その次は14話まで見ることをお勧めします。

実は14話目まで過ぎた後で、この大河アニメの本編が始まるのです。
このアニメは壮大な物語なのです。

また、このアニメでは子供の目線で描くように工夫されており、原作と若干異なります。
家族一緒に見ても楽しめる内容です。

そして、アニメで感動された方は、小説を読まれることをお勧めします。
この小説は分厚いですが、エリンの心理描写が丁寧に描かれており、読み易く、ぐいぐい引き込まれます。
そしてアニメには描かれていない完結篇を読んだ後は、さらに感動するでしょう。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 31

Marsa さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

原作者さん、NHK、Good Job!! 50話もあったが、観てよかった。

原作未読。全50話。2009年

内容は、他の優秀なレビューアーさんの通りで、私など
出る幕はないですねw

それでも言いたいことは、50話と長編ですが、話自体も
面白く、演出も上手く、大人も子供も、十分みるに値する
作品と思いました。
私も、評価が高いと知ってはいましたが、50話なんで、
と、尻込みしてましたw

この作品の続きはあって、小説ですかー(おっふ!)
んー、読みたいな。。。買っちゃおうかなー。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 23

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

エリンの芯の強さと優しさ…人のぬくもりが感じられる物語で何度も目頭が熱くなりました。

この作品の原作は未読です。機動戦艦ナデシコを視聴した後、感動できる作品が視聴したいと思い、あにこれで探していた時にこの作品と出会いました。
「1位 もっと評価されるべき:212人」「3位 泣ける:95人」「4位 NHKの本気:87人」
これだけ成分タグで評価されているならきっと面白い…と思い視聴に踏み切りました。

この物語の主人公は少女エリン…エリンは母と二人で闘蛇衆の村で暮らしていました。
闘蛇は巨大なトカゲの様な姿をしており、馬代わりとして人が操舵しながら戦場で活躍する獣です。

エリンの母ソヨンは獣の医術師でしたが、特に技術に秀でていたので闘蛇の中でも大公家から預かっている牙と呼ばれる獣の世話を一任されていました。

相手は獣…決して人には慣れる事の無い生き物なのですが、力では全く歯が立たない闘蛇を意のままに操らなければ、戦場での活躍はおろか食事や寝床の掃除など日常の世話も満足にできません。

人は獣を服従させるのに…音無し笛という道具を用いるのです。この笛が発する音色は人間には聞こえないのですが、獣を硬直させ自由を奪う事の出来る人にとって唯一無二の道具でした。
そう…人間は音無し笛を使って獣を恐怖で縛り付けて服従させていたのです。
その他にも人が獣を飼うために様々な掟が定められていました。

こうして一旦人に飼われた獣は野生の獣の路線からどんどん外れていってしまうのです。
ですが、掟を破れば大罪…人も獣もがんじがらめになっていたのです。

好奇心旺盛なエリンは、時間を作ってはソヨンの世話の手伝いをするようになります。
年端もいかないエリンは、母親と一緒に居られることの嬉しさと自分もソヨンの様な立派な獣の医術師になる事を夢見て、一生懸命母を手伝い吸収しようとします。
こんな慎ましく…でも新しい発見の毎日がずっと続いていくのだと思っていました。

そんな矢先、大公様より預かった牙が全滅してしまう…という大事件が起こってしまいました。
そしてその責任の矛先は…世話係りだったソヨンに向くことになるのです。
縄で縛られ、連行される母親を見てじっとしていられるエリンではありません。

父を早くに亡くして母と二人暮らし…お互いたった一人の家族なんです。
大切…なんていう言葉なんかでは決してくくれない関係…
だってどっちが欠けても一人ぼっちになってしまうのだから…

頼れる人がいない…
住む家がない…
明日食べるモノがない・・・
エリン達にとっての一人ぼっちはこんなにも残酷な宣告を受けたのと同じなんです。

日の出を目前に控えた闘蛇の群れの住む池…
日の出と共に活動を開始する闘蛇の最初の行動は空腹を満たす事…
何の躊躇も無く池に飛び込んだエリンの目の前には母ソヨンの姿が…
ここから暫くは画面に釘付けでした…
親の役割と子の努め…決して涙無しでは見れないシーンであると共に、決して忘れられない出来事が繰り広げられ…物語が大きく動いていきます。

この物語はエリンの成長を綴っていますが、エリンに手を差し伸べる人たちの優しさが心に染み入る作品です。

蜂飼いのジョウン…最初にエリンが聡明である事に気付き色んな学問を教えてくれました。
教えたことを貪欲に吸収するエリン…きっとジョウンにとっても教え甲斐のある子供だったのでは無いでしょうか。

この頃です…ここには大公領の闘蛇と同じ立ち位置にいる王獣の存在を知ったのは…
もともと獣の医術師を夢見ていたんです…王獣と聞いて気にならない訳がありません。
こうしてエリンはカザルム王獣保護場に身を移す事となり、これが彼女の人生の大きな転機になるのです。

エリンをカザルムで優しく出迎えてくれたのは教導師長のエサル…
エサルもまた、エリンの才覚を見抜いた一人でもありました。

エリンには確かに獣の世話をする才覚があったのだと思います。
でもそれは彼女を構成するほんの一部分にしかすぎません。
私なら間違いなく途中で白旗を掲げている…どんな時でも彼女は全力投球を止めないんです。
「猛獣一直線」と物語の中でクラスメイトに言われていましたが、正にその表現が一番しっくりくると思います。

エリンが常に背水の陣であった事は否めませんが、ある時傷付いた王獣リランが運び込まれ、世話係りに大抜擢される頃からそんな事はとっくに忘却の彼方…
エリンの全力が決して人には懐かない王獣の目にはどの様に映るのか…
エリンの受けた決して消えない痛みの先に何が待っているのか…
気になる方は是非本編をご覧ください。
全50話の中で人同士…或いは人と獣の繋がりがとても丁寧に描かれています。
「NHKの本気」の成分タグ…決して伊達ではありませんでした。

原作は、「I 闘蛇編」「II 王獣編」「III 探求編」「IV 完結編」の全4巻で構成されていますが、アニメでは「I 闘蛇編」「II 王獣編」が描かれています。
もともとは王獣編のラストが究極だったのでそのまま完結する予定でしたが、周囲から続編を望む声が多数寄せられたため「III 探求編」「IV 完結編」が刊行されたとの事です(wikiより)。
…この様にwikiに記載されている通り、王獣編は友愛と慈しみに溢れたラストが視聴者を待っていてくれます。

それと、この作品…主題歌も心に染み入る曲がチョイスされていました。
特にお気に入りだったのが、オープニングテーマでスキマスイッチさんの「雫」と、挿入歌でcossamiさんの「青い星」の2曲です。
この2曲が流れる度、涙腺が熱くなったといっても過言ではありません。

お気に入りの棚行決定作品がまた一つ増えました^^

投稿 : 2024/11/09
♥ : 20

64.5 5 感動で戦争なアニメランキング5位
SHY 第2期(TVアニメ動画)

2024年夏アニメ
★★★★☆ 3.2 (56)
151人が棚に入れました
21世紀半ば、地球から戦争が無くなった―― 各国に突如現れた超人的な力を持ち、平和を願う“ヒーロー”によって、世界は大きく変化したのだ。 新たに得られた平和を維持すべく各国のヒーローたちが活躍する世界において、日本の平和を担っていたのは、人前に出るのが超絶苦手な“恥ずかしがり屋”の少女ヒーロー、シャイだった。
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

大人も鑑賞できる少年漫画。ヒーロー論を描けたし、キャラが良かったです。

 さて、最後まで見ました。正直7話くらいから少年漫画的バトルの展開になって、興味が薄れてきました。中断しようかなと思っていましたが、曖と昧の部分になってやっと興味が持てる展開になりました。

 正義と悪の二元論を相対化する話であることは刀が出てきた段階で分かります。それが最後にヒーロー論と結びついたのはなかなかいい展開だったと思います。
 正義の執行とはすなわち「正義という名目を持って行う悪」という矛盾です。そして個人で責任を引き受ける。その結果、自分が行っていること、つまり忍者全体の役割に対する疑念がわき、そして破綻する。

 姉妹間のコンプレックスの問題があります。もちろん曖から昧への才能へのコンプレックスはあるでしょう。ですが、闇落ちした自分にとって姉の能天気な能力への憧憬がまぶしく感じる。このお互いの立場に対する想いもありました。一方でお互いを想う気持ちの相克ですね。曖昧という名前の意味をどうとるかです。

 この2つを組み合わせるとシャイが今まで持っていた悩みとも重なってきます。1話でケガをさせてしまった出来事へとさかのぼれますし、スターダストにコテンパンにやられたことも思い出します。つまり、この作品で感心したのは、シャイがヒーローになる話のテーマ性を見事に内包していることです。その結果日本のヒーローとしての自覚を持つことになります。

 合わせて組織というか共闘の意味やリーダーであったことも孤独だったシャイにとっては一つの成長と言えるでしょう。シャイというヒーローの成長を連載漫画のアニメ化として、1、2期と合わせて一応の区切りをつけられた本作の結末と構成は良かったと思います。少し工夫すればここで最終回でもおかしくない話でした。

 昧の結末については過ちとか責任論をもっとひねれなかったかな?という気もしますが救済でもあるのでこれはしょうがないかな。

 このテーマ性のところに加え、日常回は素直に面白かったし、曖が可愛かったのでその点も良かったです。


 欠点です。スティグマ=ネガティブイメージのレッテル張りの方が今一つ説明できていない点が残りました。これはまあ連載ものの宿命ですね。アニメの制作というより製作の問題でしょう。

 それとやっぱりちょっと途中の少年漫画的バトル展開が冗長だったかなあと思わなくはないです。日常回と対になりますけどね。この落差が5~7話辺りのダレになったかな。

 ヒーロー・正義論はちょっとテンプレというか奥行きがないかなと。主義主張としてはありきたりです。


 ただ、テーマ性の奥行きの無さは感じましたが、シャイのキャラ造形が非常によくできていたので、このテーマ性がしっかりシャイの成長に重なっていました。ヒーローが孤独な女の子という組み合わせと、そのヒーロー=ヒロインの成長という点で大人も鑑賞できる少年漫画という位置づけでよくできた作品だと思います。

 全体としてはエンタメ性は5~7話が致命的になる可能性もある気はします。私はそこで心が折れかけました。1期も後半のバトル回は冗長でした。ただ、ヒーロー・正義論と孤独の痛みを2クールかけて結構綺麗に回収して描けていた点は評価します。

 そうですね。評価はキャラが曖が良かったし、何よりシャイが1期からの成長があってよかったです…4.5。ストーリーはよくできていましたが、バトルの減点とテンプレ感で3.5とします。作画は良かったです。動きがある系統ではないですが、綺麗な絵だったと思います、4。





1話 2期ですが実質第2クール。ここの畳み方が大事でしょう。

{netabare} なぜヒーローになったのか?とはつまり正義とは何なのか、自分はどうなりたいのかのどちらかが描かれるのでしょう。1期に引き続き心の闇問題もあります。そこを第3者の視点として記者が描く感じでしょうか。社会に貢献する一方で、そのヒーローによって迷惑をこうむる存在もある。

 王道のテーマですし、よほどうまく描かなないと視点の持ち方としてはかなり単純な構造です。エピソード、キャラのどちらかに魅力が出るなら、1期を見る限りでは面白い描き方はできる可能性はありますが、しかし、原作は確か20巻以上でてますよね。連載ものの宿命とはいえ、テーマもキャラも描き切れていない可能性が想像できます。

 制作者は苦労すると思いますが、この第2期はつまり第2クールの位置づけです。1期よりもよほどうまく構成して中途半端にならないようにしないと、その後が続きません。せっかく記者視点を入れるなら、風呂敷を広げすぎないでシャイその人に集中し、アニメとして一回綺麗に畳んでほしいなあと思います。

 それができなければ単なる販促アニメで終わってしまいます。

 エイトビットの割には…というとあれですけど、無理に作画に凝らないであまり動くわけでもないですが、丁寧だし何とか工夫して見られる画面になっている気がします。
 作品としての総合評価として、魔法科、ゆるキャン△3,転スラ3と残念感が強かったので、本作には何とか頑張ってほしいところです。{/netabare}


2話 萌えとエロに頼らないから話が面白いのかも。

{netabare} 前半は妙に面白い回でした。単発のゲストキャラ回でしたがという感じですが、そのゲストが面白いのと話の作り方がうまくて{netabare}ああ、先輩が幽霊だったのか…だまされた…と思った後2重でだまされました。{/netabare}

 今回ちょっと気が付いたのが、本作、エロと萌えが無い…無くはないけど不必要に多くないという方がいいでしょうか。少年漫画のレベルになっているというか。
 もちろん女子キャラは可愛くはありますが、性的な視線をまったく向けられないキャラ造形の気がします。コスチュームがちょっとエロいと思うこともありますが、すぐに視点が言動やストーリーに戻ります。

 今回の前半の話、男キャラ同士でやっても同じように面白いのではないかと思いました。女の子だからいいというのはありますけど、過剰でないから話が楽しめるのでしょう。最近シャイのキャラ、気に入ってきました。

 後半はまた新キャラですが、展開から言ってゲストというより話が展開するのでしょう。また、ぶっ飛んだ感じの展開ですが、そこを照れずにやるところが、いいのかもしれません。

 2期に入って妙に面白いんですよね。シャイのウジウジが程よく取れてきたのがいいのでしょうか。
 あるいは1期の展開・構成がスターダストとの闘いとか黒十字のピルツと山登りとかで、何がやりたいか見えてこなかったから過小評価していたのかもしれません。{/netabare}


3話 女子がメチャクチャ可愛いのだが?話も1期より面白くなってきました。

{netabare} 女子がメチャクチャ可愛くなった気がするのですが気のせいでしょうか?作画も良くなっている気がします。SHYその人が良いのはもちろんですが、今回の忍者の娘は非常に可愛いです。

 忍者の刀もちゃんと直刀で脇差サイズで作画されているし、刀自体も非常に綺麗でした。結構刀の作画って適当な作品が多いですが、こういうディテールにこだわっているととても好感が持てます。

 スタッフを確認しましたが、若干総作画監督に新しい名前があったり、作画監督も多少入れ替わっているようですけど、誰がすごい人とか言うのは全く知りません。特に今回、3話(通算15話)で強く感じました。

 で、肝心の話が面白いです。やっぱりこの作品、単話の積み重ねよりもちょっとまとまったエピソードでキャラを見せた方が面白いと思います。「鬼滅の刃」メソッドと言えばそうなんですけど、話が現代だしより内面に切り込んでいるのでこちらの方が私は面白く感じます。

 意外や意外というとなんですけど、ここまで面白い作品になるとは思いませんでした。{/netabare}



4話 心のダークサイドという面が新キャラと上手くリンクして描き方が良くなった気がします。

{netabare} 今回でかなり本作の見方がわかりました。要するにスーパーヒーローもののガワをかぶっていますが、シャイの成長や使命に対する自覚とゲストキャラの心の内と外、つまり自分のダークサイドとどう向き合うか、ということを見ていけばいいのでしょう。

 もともと、スピリッツも小石川さんの話もそういう話でその点に変化はあありませんが、こなれてきた感じです。今回のなかなか秀逸な新キャラが登場したのは、既存のキャラでは自分の描きたいものが描けないと思ったからなのかもしれません。

 で、物語の果てに、最後にはシャイその人が自分のダークサイドと向き合うことになるのではないでしょうか。

 ですから、ヒーローのファンタジー設定にどうこう言ってもしょうがありません。 {/netabare}


5話 話は面白いんですけど、演出とキャラが少年漫画なんですよね。

{netabare} 少年漫画的演出でちょっとずっこけましたが、少年漫画原作である以上はどうしようもありません。ジェンダー論が出てきましたが、若干ひねってました。男は強くあるべきにとらわれているけど可愛いものが好きだがそれを似合わないと否定する。女性のような見た目を嫌がるけど可愛いものが好きなことは肯定する。と、文章にしてみると大して違わない気もしますけど。結局男を表す手段の問題かな?

 トロッコ問題も遊びのレベルで登場しました。ヒーローのアイデンティティでどっちも助けるとなるのでしょう。

 本筋とかキャラ造形はとても良いと思うのですが、個々の言動やエピソードがちょっとわかりやすすぎるカリカチュアなんですよね。ここのチューニングがもうちょっと大人向けなら名作になった…かはわかりません。むしろ、少年漫画のフォーマットで徹底した方がよかったかな?いずれにせよちょっとチグハグ感がなくはないです。 {/netabare}


6話 同時に複数の敵キャラに焦点を当てない方が良いと思います。

{netabare} バトルシーンになると冗長になる気がします。ヒーローものですから仕方ないですけど。それはなぜかといえば複数のキャラが登場してそれぞれがいろいろ語りだすので、ゴチャゴチャしてしまいます。
 せっかく曖といういいキャラがいることですし、曖と昧(あいまい?)の話に集中するためには、話の焦点を当てていればなあ、というのがものすごく惜しいです。

 この6話の前半は正直面白くはなかったです。後半の曖の話は良かったですけど。今回の電車でトロッコ問題その他何かが描けたかと言えば、読み取れるものがほぼないです。{/netabare}


7話 キャラの深堀り=「鬼滅の刃」メソッドで、物語が死んでゆく。

 中間なので総括と、最近の少年マンガ…いや、マンガ、アニメ、ラノベ含めて、「物語」が描けなくなっている点が本作のバトルにも見えるので、そのことについて論じます。

 敵と味方がバラバラに1対1で戦ってキャラの過去とか内面を見せるやり方は「鬼滅の刃」でメジャーになりましたが、私は正直このやり方が好きじゃないんですよね。物語の要素の1部あるいは理解を助けるパーツとしてエピソードが作れないから、キャラを付け足してバラバラにくっつけるしかないように見えます。
 別に「鬼滅の刃」だけに限らず、少年マンガその他の基本的方法の一つになっています。今だと「転スラ」がそれで作品が死んだ一番いい例かもしれません。

 そして、鬼滅ほど引っ張らないですが、アイドルものでも良く使われるメソッドです。このやり方は「物語」が描けなくなった日本のクリエータの衰退なのかな、と思わなくはないです。なぜかといえば本筋と主人公が圧倒的に弱くなるからです。主人公が単なる視点役、進行役、傍観者あるいは聖者になってしまうのが良くない点です。そして、この主人公の聖者化があらゆるジャンルで広がり、作品の視点が幼稚になっています。

 ひょっとしたら視聴者側のわかりやすい作品あるいは感動ポルノのニーズから流行っているのかもしれません。あるいは連載ものとして引き延ばしが簡単にできるからかもしれません。引き延ばすなら話を完結させて新しいテーマで新たに展開するのが「物語」ですが、その方法をとりません。つまり、1キャラで1物語しか作れず、新しい物語はリスクが高いという判断をしている気がします。さらに言えば1作者1物語の可能性すらあります。

 シャイの場合は同時並行的で深掘りが弱いので、バトルがすぐに終わるのが救いです。スティグマがいるので一見物語があるようですが「無惨」と一緒ですよね。抽象的な「強い敵」に堕してしまい、肝心のテーマ性が主人公と主たる敵から失われ、テーマが残っても言葉遊びになります。結果的に延々と続く最終回バトルを見せられて、畳むにたためないか良くて感動ポルノにならざるを得ません。
 
 日常パートのキャラ達が可愛いので、見ていますが、この敵とのバトルが本当につまらないです。


 

 

投稿 : 2024/11/09
♥ : 10

ミュラー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

スローテンポながら全体としては素晴らしい

前回もそうだが、見やすい作画に素晴らしい動き。
特にカメラワークが良いのか、各ヒーローをカッコよく映し出す。
見ているだけで楽しいアニメだ。
このアニメの特徴は、敵対するアマラリルクが、憎むべき相手でないこと。
精神的に幼い集団が強い力を持ってしまった結果だろう。
いつも通り非常に遅い展開で、丁寧に描いている。
東京での騒動を描いた今期。
前回よりも分かりやすくて良かったのでは。
SHYではなく、SHINEになったシーンが素晴らしかった。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 3

みのるし さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

いやなんか昭和の少年漫画って感じするやないすか。

ボクはなんかこの世界観好きなんですよねー。
とゆうことで1期から引き続きたのしんで見とりました。

戦争がなくなった世界でヒーローと呼ばれる超人が活躍するってタイバニみたいなハナシだなーとか思いつつ見始めたんですが、なんかそこはどっちかゆうからどおでもよくて、日本代表のヒーロー、テルちゃん(これがまあ中学2年なのよ!すげー設定)の成長譚だとゆーふーにボクなんかは見とりました。

2期はですねゲストに変な関西弁が実にキュートな忍びの女の子、天王寺さんとウツロさんが大活躍するお話でししてですよ、文句なし面白かったです。

設定こそなんかまあ無茶苦茶なんですけどもいわゆる昭和の少年漫画的な無茶苦茶度でボクとしてはんなほなとゆうこともなくすっと受け入れられました。


テルちゃんと天王寺さんが出会った時の天王寺さんがこれまたキュート。紐タイにジャンスカタイプの制服って久々みたな~。それもなんか昭和っぽくてな~。ィかったのよ~。


大きな見どころとしては要するに生き別れになった双子の姉妹天王寺さんとウツロさんが仲たがいを解消し、アマラリルクの配下になってたウツロさんを取り戻し、そしてまた正気に戻し、テルちゃんらのヒーローと力を合わせてアマラリルクと戦って勝つ!とゆー単純明快・スカッとする話でしてですね。

敵キャラクターもそれぞれに憎めない感じでして、どこか真剣に戦ってない感が漂うところもボクは好きでした。

いやなんか少年漫画って感じするやないすか。こおゆう漫画・アニメ最近少なくなってきてるよーな気もしますし。


まあ特別名作かってゆわれたらそこまででもないかもですがボクは毎週楽しみにして見させてもらいました。

これから続きがあるとしたらそーだなー。テルちゃんが恋に落ちるとか、彼氏ができるとかで恋愛とヒーローとの両立に悩むとか。んでもって小石川さんともなんだかうまくいかなくてどーすればいーんだーみたいなハナシはどうですかねー。

それただのラブコメだわ(笑)


ま、いずれにしても楽しませてもらいました。
ありがとうでした。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 3

65.3 6 感動で戦争なアニメランキング6位
のらくろ(TVアニメ動画)

1970年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (11)
56人が棚に入れました
のらくろこと野良犬の黒吉は、犬ばかりの猛犬連隊の二等兵。宿敵である山猿軍との戦闘中でも明るさを失わないのは立派だが、そのマイペースさのため、ブル連隊長やモール中隊長はしゅっちゅう機嫌を悪くする。そんなのらくろの憧れは、優しくて可愛い従軍看護婦のミコちゃん。彼女に喜んでもらうため、今日ものらくろは頑張るぞ!

声優・キャラクター
大山のぶ代、兼本新吾、太田淑子、肝付兼太、松尾佳子、雨森雅司、納谷悟朗
ネタバレ

東アジア親日武装戦線 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

♪OP曲が突撃ラッパ!!いや、これマジですから

●作品概要
アニメ放送期間
昭和45年10月〜昭和46年3月まで全26話
カラー作品

●原作:少年倶楽部連載(昭和6年から昭和16年まで)

●原作者:田河水泡

●アニメーション制作
テイ・シー・ジェー動画センター(エイケン)
{netabare}
【代表作品】
鉄人28号
8マン
サスケ
カムイ外伝
サザエさん
おんぶおばけ
他多数

監督:村山徹
【代表作品】
・演出
サザエさん
スカイヤーズ5(1967版、1971版)
おんぶおばけ
イルカと少年

脚本:広山明志
【代表作品】
おんぶおばけ

チーフアニメーター、総作画監督:角田利隆
【代表作品】
・総作画監督
UFO戦士ダイアポロンシリーズ
・作画監督
おんぶおばけ
ジブボタン

キャスト
のらくろ二等兵:大山のぶ代
ブル連隊長:雨森雅司
デカ二等兵:兼本新吾
モール中隊長:納谷悟朗
ミコちゃん従軍看護婦:松尾佳子(アニメオリキャラ)
※現在の職業呼称は「看護師」であるが、ここでは放送時の名称を用いる。
メガネ二等兵:太田淑子
ハンブル二等兵:肝付兼太
はちまき伍長:木村幌
バーナード軍医:田村綿人(アニメオリキャラ)

{/netabare}

エピローグ

原作既読
少年倶楽部(昭和9年〜昭和13年分くらいまで、中抜けあり)
戦前雑誌が保存されていた図書館にて※何年か前にこの図書館に問い合わせをしたら、劣化が酷くて現在は一般閲覧をしていないとのこと。残念…
戦前の雑誌は旧仮名遣いに、漢字は難しい旧字体でとても読み難く、司書さんにびっちり聞きまくっていた記憶がある。
この時の経験があって、後に戦前の難解な論文を読むのも、それ程苦にならなかったのかもしれない。
少年倶楽部は昭和16年で連載が打ち切られたが、これは当時の言論統制機関である「内閣情報局」から漫画は時局に沿わないとの指摘を受けてのこと。
言論の自由が制限されていた戦前は、漫画も政府の意向一つで潰される時代だった。

復刻版のらくろ漫画全集
(月刊少年倶楽部に連載された『のらくろ』の復刻版初版は1968年)
こちらは、出版が新しいので閲覧可能な図書館もあるのでは?

クリスマスか誕生日か忘れたが、そのときのプレゼント。
後に尋ねたら、父が読みたくて子供に託けて買ったそうだ。

なお、少年倶楽部も漫画全集も読んだのが小学生だったので、記憶は曖昧。

アニメはオリジナル放送で視聴、その後の再放送も視聴。
これも小学生だったので記憶は曖昧。
とにかく、タイトルのとおり、OP曲が強烈で未だに覚えている。
確か、
{netabare}
突撃ラッパ♪

ブル連隊長がのらくろに気合を入れる台詞
(のらくろどっちみてるんだ、キョロキョロするな、前向いて進む!)

♪あわてんぼうで寂しいがりーry(唄:大山のぶ代)

OPはのらくろが塹壕を掘っていてその上を戦車が通過していたはず。
EDはほとんど記憶に残っていないので、他の方のレビューを参考にして下さい。
{/netabare}

●物語の設定と内容
のらくろの派生作品が多数あるが、アニメは『少年倶楽部』連載のオリジナルから軍事色を和らげる改変をして制作されている。
{netabare}
特に原作には存在しなかった、ミコちゃんとのラブコメ要素が加味されている。
そのためにアニメオリキャラが設定された。
また、原作では階級が上がるが、アニメは二等兵のまま。
本名は「野良犬黒吉」で雑種。

内容は大日本帝国陸軍をモデルにした連隊(猛犬連隊)に存在する兵営で、のらくろがドジを踏みながらもブル連隊長や、モール中隊長に指導されて、一生懸命頑張って、いろいろな手柄を立てていくコミカルなコメディ。
ブル連隊長もモール中隊長ものらくろの良き理解者で、時には厳しく、時には優しくのらくろを見守っている。

記憶にあるシーンで、営外外出でのらくろが「とんかつ(カツレツ)」を食べようとしていたところを、モール中隊長に見つかり怒られて、とんかつ屋から出たが、モール中隊長が見回りに続けていると、今度はとんかつ屋にブル連隊長がいてとんかつを食べていた。
あ唖然とした中隊長はブル連隊にとんかつを食べようとしたのらくろを注意したことを話すと、ブル連隊は自分が食べた以上のらくろに申し訳が立たないとして、のらくろはめでたくとんかつにありつけたシーンがある。
この話しの背景には、当時の陸軍は【軍人勅諭】に基づき兵隊に質素倹約を奨励し贅沢を戒めていたことがある。

こういうコメディが話しの中心で、原作から軍事色が濃くない内容を再構成し、時代に合わせたオリジナルを挿入したのが本作である。
また、猛犬連隊の敵は山猿軍だが、これは「犬猿の仲」を捩って設定されたもの。

なお、マメですが、大日本帝国陸軍の兵営は疑似家族形態を採っていた。
(中隊長クラスの将校が父親、教育掛下士官が母親、2年兵は兄)
因みに「掛」は誤字ではなく、旧軍ではこう表記される。
大東亜戦争が始まるまで陸軍の現役徴兵(服役)期間は2年間(海軍は3年間)であり、2年兵の大部分が一等兵となり、成績優秀者は上等兵で除隊する。
シナ事変までは甲種(旧軍の兵隊要件を完全に満たした者)合格者から選抜して現役服役としていたが、戦争が拡大するに伴い、乙種も現役服役の対象となっていった。
なお、二等兵は一年兵とはいわず初年兵と呼称される。
有名な【赤紙】とは、乙種や丙種で現役服役の対象とならなかった者や、予備役に対して現役の兵隊にさせる国家の命令書である。
大東亜戦争が激しくなると、除隊、即日臨時召集で実質無期限の服役となった。

最後に、のらくろのキャラクター原案は「フィリックス・ザ・キャット」。
つまりパクリだけど、今更ゴルァ-!という方はいないだろう(笑)
猛犬連隊は首に階級章がつけられているが、これは原作のとおり、大日本語帝国陸軍そのままのものがアニメでも用いられている。
{/netabare}

作画、音楽、声優、物語、キャラはその当時感じた気持ちで評価している。

日時が経てば忘れる一方なので、記録意味を含めて、薄れた記憶を辿ってレビューを記述しました。

とりとめがない文章となり、申し訳ありません。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 21

天神 羅愚羅 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

むやみに尻尾は振るもんか

子供の頃から、なぜか実家に復刻版の装丁版コミックがあり、のらくろはもしかしたら
ドラえもんよりも早くに触れた国民的キャラクターかもしれません。
 
このアニメは再放送で観た記憶があります。

知らない方が多いと思うので、ちと説明をば(゜-゜)
「のらくろ」とは、大正時代からある「少年倶楽部」という雑誌に連載された漫画で
のらくろの連載は戦争が始まるちょっと前に始まったみたいですね。

黒い野良犬ののらくろが、猛犬連隊に入隊し、二等兵から徐々に昇進していくストーリーで
勘違いやとんちで手柄を立てるさまを面白おかしく描いたギャグマンガです。

原作者は田河水泡(たがわすいほう)
サザエさんの原作者の長谷川町子はご近所だったらしく、子供の頃から出入り
していて、後にアシスタントとして漫画の製作法を学んだようです。
 
さて、お話をアニメの方に戻して・・・・
(゜-゜)
・・・(゜-゜)
実は、あんまり覚えてていません(゜-゜)
戦後のアニメですから、原作のように軍事色の強い作品にはなってなかったですからね(^_^;)
アニメのオリジナルキャラの従軍看護婦との恋物語が挿話されており、そのあたりが
原作に慣れた私にとって、軟弱に見えたのかもしれませんね(^_^;)




 

投稿 : 2024/11/09
♥ : 7

粟島二武 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

途中からのEDが印象に残った

 内容的にはドタバタ軍隊劇だった。
 ただ、途中からEDが、のらくろの生い立ちを描いた物に変わってから、見方が変わった。確か、どぶ川に浮かぶ板きれの上に、捨てられた子犬だったのらくろが寂しげに浮かんでおり、バックに天地総子の「どこからぼくは」が流れていて、子供の時に見たアニメの中でも強いインパクトをうけた記憶がある。
 ちなみにこの歌も含めて、このアニメの主題歌は全てアンパンマンで知られるやなせたかし氏の作詞だった。どうりで、単なるギャグキャラクターで終わらせない演出だったと、今ならば思う。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 1
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