悲哀で戦闘なTVアニメ動画ランキング 2

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ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年02月08日の時点で一番の悲哀で戦闘なTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

66.8 1 悲哀で戦闘なアニメランキング1位
キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦(TVアニメ動画)

2020年秋アニメ
★★★★☆ 3.2 (295)
1038人が棚に入れました
科学技術が高度に発達した機械仕掛けの理想郷「帝国」。超常の力を駆使し、“魔女の国"と恐れられる「ネビュリス皇庁」。百年にわたる戦争を続けてきた両国には、二人の英雄がいた。最年少にして帝国の最高戦力となったイスカ。ネビュリス皇庁の王女にして“氷禍の魔女"の異名を持つアリスリーゼ。戦場でめぐり逢った二人は、命を賭して戦う宿敵となった。国を、家族を、仲間を守るため、決して譲れない矜持と矜持をぶつけ合う。しかし、激闘の中で互いの素顔に触れた二人は、その生き方に、その理想に惹かれてしまう。ともに歩むことはできず、残酷な運命に翻弄されるとわかっていても。……そんな二人を嘲笑うかのように、世界の緊張はなおも高まり、大国の謀略が交錯しようとしていた。分断された世界、それでも少年と少女は想いを募らせていく―― 。

声優・キャラクター
小林裕介、雨宮天、石原夏織、白城なお、土岐隼一、花守ゆみり、和氣あず未、久川綾、笠間淳
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

「あるいは」という接続詞は合っているのだろうか?

[文量→中盛り・内容→雑談系]

【総括】
ジャンルはファンタジー。バトル。

ラノベらしいラノベっていう作風。科学サイドと魔法サイドに分かれた、少年と少女。2人の特出した力が、やがて世界を革新していく! みたいな。もう大体、どんなアニメか分かったでしょうか?(笑)

レビューでは、このアニメを観ていて、言葉遣いの点で気になったことをいくつか。半分、文法の話です(笑)

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
レビュータイトルの件ですが、結論としては、「『あるいは』で合っている」が、「分かりにくい(誤解を招く)」というところですね。

「あるいは」は、「選択の接続詞」。つまり、「最後の戦場」か「世界が始まる聖戦」の一方だけが解であるということ。

私は、このアニメで言いたかったのは、「君と僕でこの戦争を終わらせよう」「そして、2人で新たな世界を作っていこう」ということなんじゃないかと思っていました。

だから、このアニメの中身的には、「さらに」とか「そして」という、「添加の接続詞」の方が適切な気がしていました。つまり、

『キミと僕の最後の戦場、そして世界が始まる聖戦』

「最後の戦場」であり「世界が始まる聖戦」でもあるという感じ。これの方がぴったりじゃないかと。

ところが、最終話にして自らの初歩的な勘違いに気付いて愕然。

アリス「私は、あなたと共闘したいんじゃなくて、決着をつけたいの!(的な発言)」

、、、「え? この二人(イスカとアリス)って、今まで対立していたつもりだったんだ、、、。」

つまり、私は、「君と僕の最後の戦場」を「君と僕(とが一緒に戦に戦う)の(が)最後」だと思っていたけど、「君と僕と(が争う)の(が)最後」だと、作者は描いていたことに気付いたんです。

つまり、格助詞「と」の用法として、「並立(海と空が青い)」「対象(佐藤さんと言い争う)」「異同(彼と私は違う人間だ)」「引用(元気ですかと手紙に書いてある)」などがありますが、私は、「並立」の「と」だと思っていましたが、「対象」の「と」だったわけですね、作者的には。

であれば、「君と僕は最後に争うのか」あるいは(それとも)「世界を始める聖戦を共に始めるのか」という選択の接続詞としての「あるいは」が成り立つので、一応筋は通ります。

では、なぜ私がこのような勘違いをしたのかというと、

「え? お前ら(イスカとアリス)戦う気ないやん。ベタ惚れやん。絶対に最後は協力するやん。新世界の王と王妃になるやん。ラブコメやん。」

と、最初から思っていたから。勘違いしていた私が悪いのですが、だったら、「イスカとアリスがガチで殺し合う未来の可能性も提示しといてほしいわ~。いけずやな~」と思ってしまう(苦笑)

そんな不信感からか、文学部的にどうも細かいことが気になった。例えば、10話であったアリス達の会話。

「単調で眠くなっちゃう、刺激が欲しいわ」
「刺激という名のスリルなら、先日、十二分に味わっていたじゃありませんか」

って会話、変じゃない? 正しくは、

「スリルという名の刺激なら、先日、十二分に味わっていたじゃありませんか」

だと思うけど。こういうとこ、文章扱うプロとして、どうなの?(原作者かアニメの脚本家かはわかりませんが)

まあ、そんなの別にどっちだっていいんだけど、小説
原作だけに言葉遣いが気になってしまって。アニメの内容に集中できませんでした。

中身としては、「いかにもラノベ」って感じで、懐かしさを感じた。安っぽいし痛い、使い古された台詞や展開のオンパレードだけど、そこまでの不快さはない。7話なんかそうだけど、ラブコメがそこそこ楽しいのと、最近こういう作品が少なくなってきたからかな。

とりあえず、銃がある世界で、剣で最強になるなら、弾丸より速く動けないとね~、最低でも(ちなみに、レーザーを視認して避けるのは物理的に不可能だそうです。レーザー、つまり光を視認している、目に届いているということは、同時に、眼球がレーザーで焼かれている瞬間だから)。

2期あったら、一応観るかなという感じです。学園ラブコメになっても良いですけどね、正直(笑)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
科学VS魔術の構造? THE ラノベって感じだな。

2話目 ☆3
めっちゃいちゃついてるな(笑)

3話目 ☆


4話目 ☆3
敵も味方もキャラが増えてきたね。どちらも一枚岩ではない。

5話目 ☆3
裏切り。なんかバトルが色々? ヴォルテックス、落ちても転移するだけ?

6話目 ☆3
ミスマス隊長の魔女化か。

7話目 ☆4
幸せな捕虜生活(笑)  アリスのぽんこつっぷりが(笑)

8話目 ☆3
サリンジャーね。なぜ、銃をもっているのに、突撃?(笑) オーレルガンとか、ネーミングがいちいち(笑)

9話目 ☆3
ポップじゃん(笑) なんだよ、公認のライバルて(笑)

10話目 ☆2
すげぇ細かいけど、「単調で眠くなっちゃう、刺激が欲しいわ」「刺激という名のスリルなら、先日、十二分に味わっていたじゃありませんか」って会話、変じゃない? 正しくは、「スリルという名の刺激なら、先日、十二分に味わっていたじゃありませんか」だと思うけど。こういうとこ、文章扱うプロとして、どうなの? 

11話目 ☆


12話目 ☆3
え? この二人対決したかったの?(笑)
{/netabare}

投稿 : 2025/02/08
♥ : 25

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ロミジュリ? ……と思ったけど、意外と面白かった(主にコント・コメディ的な意味で)。本当はストーリーも面白いのかもしれません?

対立するに陣営の男女によるラブストーリーと思われます。
特筆すべきことが見当たらないです。

…と冒頭数話を観てそういう感想を持ったのですが、最終話まで付き合って観てみるとそんなに悪くなかったです。

特にポンコツ王女のアリス(アリスリーゼ・ルゥ・ネビュリス9世)とドジっ子隊長のミスミス・クラス、そしてツンデレメイドのリン(燐・ヴィスポーズ)の三名の女性陣の頑張りが、この話を結構観られるものにしてくれたと思います。

対してイスカはこの三人を動かすきっかけとしてはとても良く機能していたと思いますが、個人的な意見としてはキャラクターの魅力は薄かったと思います。

ストーリー的には、帝国とネビュリス皇庁との長期に渡る対立には始祖様絡みの一般には知られていない因縁がありそうだとか、璃洒・イン・エンパイアさんが見た目以上に只者ではなさそうとか、皇帝陛下があからさまに怪しいとか、皇庁側の女王選定にまつわるあれこれとかいろいろ面白くなりそうなところでブチ切られた感じがするのでそこには不満感が残ってしまいました。

もうちょっと先を見せてくれたらもう少し高い評価を付けられたかもしれないのですが、残念です。


ところでわりとどうでも良いところで引っかかったのですが、アリスの姉妹はみな「△△・××・ネビュリス9世」と名乗っています。ネビュリス皇庁での「○世」の使い方は、我々が一般的に知る「同一王朝で同名の一族が出たら、それが何人目かによって○世と名乗る」というそれとは違って始祖様からの世代を表すものなのでしょうか?

投稿 : 2025/02/08
♥ : 23
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

ヒロインが恋愛小学生なのに、ラブコメとして成立していない謎展開

原作未読。

【とりあえず褒める】
序盤の説明的なセリフが多いのは、この際、目を瞑るべきでしょう。
世界観をセリフで説明しちゃうのは、ラノベにはありがちですからね。

バトルかと思いきやラブコメ的な展開?
うん、これもイイでしょう。
コメディ要素が極端に弱いので、ラブコメとしては少々違和感がありますけど・・・。
物語の序盤はこの展開が見どころですからね。
ここが最重要ポイントというか・・・(笑)。

【帝国軍の隊長が?】
帝国軍の隊長が小学生なのが意味不明。
禁書目録の小萌先生でも意識しているのか?
ただ、だとすればあまりにもお粗末・・・。
禁書目録の小萌先生は優秀な教師。
こっちの隊長は落第スレスレ、優秀とは程遠い。
小萌先生は、実は黄泉川より年上とか、ヘビースモーカーとか、見かけとのギャップが物凄い。
こっちの隊長のギャップは隠れ巨乳くらい。
いやいや、これだけでは笑えんわ・・・。

【もはや呆れるしかない・・・。第5話】
第5話。
{netabare}主人公のイスカと使徒聖のネームレス以外、帝国軍は子供の学芸会レベル。
ネビュリス皇庁も一部を除いて無能揃いのようだ。

”いとも簡単に”捕まる帝国軍の隊長。
イスカは”いとも簡単に”皇庁の陣地に潜入。
同じ頃、イスカを探すため、アリスは”いとも簡単に”帝国軍の陣地へ・・・。
いやいや、戦闘中にお互いの陣地がザルって・・・(笑)。{/netabare}

【痛々しいヒロイン】
アリス・・・。
終始一貫、徹頭徹尾、ずっと痛々しかったですね。
彼女がラブコメパートの「コメ」担当なんでしょうけど、1mmも笑えない・・・。
ひたすら痛々しいだけで、興が削がれる。

彼女の軽率な言動が、次々と問題を大きくしていく展開が続くので、見ていてイライラする。

戦闘力も微妙なんですよね。
第1話ではイスカと互角っぽかったけど、それ以降は、イスカと比べてかなり見劣りする。
いや、これでは駄目でしょう?
物語の根幹が崩れっちゃっている。
少なくとも、アリスとイスカは互角じゃないと・・・。

第9話。
{netabare}アリス、まさかの傍観って・・・。
サリンジャーを、イスカとアリスの合わせ技で抹殺するくらいじゃないと・・・。
結局、サリンジャーを逃がしちゃってるし・・・。
{/netabare}

【そして、物語は一気に畳まれる】
第12話。
突如、覚醒したかのように強さを発揮する音音とジン。
ここまで、存在空気だったイスカの仲間たちが、最終話で突如覚醒とか(笑)。

アリス。
{netabare}対サリンジャー戦では傍観していたのに、最終話は共闘するのね。
理由は?
妹を攫われたから?
側近メイドの燐が傷つけられたくらいでは、戦う理由にならないの?{/netabare}

まさかの打ち切りなのか?ってくらい一気に物語は畳まれます。
風呂敷を広げるだけ広げておいて、謎は謎のまま。
最終話。
さらに謎が追加されるという、謎展開。

まさか!!!!!!!
こんなレベルの作品で第2期とか劇場版とか考えているとか?
いやいや、まさかまさか・・・・・・・・・。
さすがにそれはありえない・・・・(笑)

投稿 : 2025/02/08
♥ : 22

64.4 2 悲哀で戦闘なアニメランキング2位
BEM(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 3.3 (126)
406人が棚に入れました
湾港都市「リブラシティ」。政治・経済・文化の中心であり、街の“富"が結集した「アッパータウン」と、汚職や犯罪に溢れ、人々がお互いを疑い合わざるを得ない「アウドサイド」、その両エリアを分かつ巨大な運河と、一本の「橋」。これらにより構成される、まさに人間の“差別意識"が顕在化した様な街である。そんな「アッパー」から「アウドサイド」に赴任してきた、若き女性刑事・ソニアは、数々の事件を追う中で、人間を守るために戦う、醜い姿の3人と出会う。彼らは一体何者なのか・・・?妖怪人間3人は、それぞれの思いを抱えながら、正体を隠し生きていた。人間に仇為す悪を倒すことで、人間になろうとする「ベム」、人間に憧れ、人間と同じ学校に通い、人間を理解することで、人間になることを目指す「ベラ」、人間や世間に達観し、冷めた様子でゲームの世界に没頭する「ベロ」。彼らはいくつもの事件や、人間たちとの触れ合いの中で、傷つき、悩む。人間のために戦っても、その醜い姿から、決して人間に受け入れられることはない…。そんな3人を探す1人の存在がいる。リブラシティを裏で牛耳る「見えざる議会」を操り、ベムたちを確保しようとする彼女の目的は果たして?

声優・キャラクター
小西克幸、M・A・O、小野賢章、内田真礼、乃村健次、西山宏太朗、斉藤壮馬、諏訪部順一、小野大輔、坂本真綾
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

ねえ本気で早く人間になりたいん?

往年の名作リメイク

『妖怪人間ベム』といえば?


 ベム・ベラ・ベロの三人組
 
 早く人間になりた~い


民放のアニメ特番などで繰り返される表層部分。知ってるはこれくらい。
前作(前々作)を知らないため、ベラがかわいくなってると言われてもピンとこない私です。


政治・経済の中心地“アッパーサイド”と貧民街“アウトサイド”に二分化された“リブラシティ”という街が舞台。頻発する怪事件の裏ではなにかしらが暗躍。
アッパーサイドでポカしちゃった若手の女性刑事ソニアがアウトサイドに左遷されてーの赴任日から物語が始まる、という導入です。

主役の三人。普段は見た目人間の仮の姿で行動し、敵やピンチに遭遇した時だけ見た目醜悪な本当の姿に変身して闘う模様。

この三人がいつか人間になるべく、善行を重ね人間を助けて、でも真の姿を見せちゃうと忌み嫌われて、というジレンマがもの悲しく見えるお話でした。
「早く人間になりた~い」理由も深いものがあります。


で、この『BEM』です。

タイトルをアルファベットに替えるとやりたい放題できるんでしょうか。
その昔、『GOEMON』という石川五右衛門である必要あるんかいな?な戦国物のフリしたSF映画がありました。そちらとの既視感がハンパありません。

オサレ感の演出に余念がなく、「既成概念を跡形もなく破壊する」という公式サイト(『GOEMON』のほうね)の紹介文よろしく好き放題やった結果、原形留めてますかね?的ななにか。

OPは椎名林檎。ED降谷建志が楽曲を提供し両曲ともオサレです。劇伴もジャジーで大人ムード。
物語も実際のところ第一話、第二話は良かったのです。そして巡り巡って終わってみたら尻すぼみという帰着。

前作を知っていればその比較でどうぞどうぞ。
知らなくても作品が伝えたかろうテーマは悪くないです。


■良かったところ1

序盤です。

{netabare}・ソニアとジョエルの刑事コンビ(第一話)
正義を貫きたいソニアと土地(アウトサイド)に順応し上手く立ちまわってるジョエルとの対比が良い。
デンゼル・ワシントンの『トレーニングデイ』を彷彿させる関係性が妖怪人間とどう絡むか期待してました。{/netabare}

{netabare}・なんか人間のほうが悪くね?(第二話/第三話)
第一話ベム/第二話ベラ/第三話ベロ回でした。そこで展開されたのは「人間は悪いやつ」。こんな奴らを助ける意味があるのか?の葛藤とお付き合いせねばなりません。
正邪不透明なモザイク展開は望むところでした。{/netabare}


■良かったところ2

人間になる確実な方法がわからないこと

答えのない道を探すのはやる気の維持も覚束ないものです。事実ベロは及び腰だったりするのがリアル。

{netabare}「人間を信じないと人間になれない」
第一話でベラが呟いた一言がちょっぴり切ないのでした。{/netabare}


後付けで旧作の設定も調べてみて、やはり深みがありそうな気配は感じるのです。
外形を留めてないと述べましたが知る由もないのであくまで想像です。

作中ではその深みみたいなものの説明が不足しておりますが、別のものを作る意図があるのであればそれはそれでけっこう。
別個のものとして、そして先入観なく視聴した結果、物語としても訴えてくるものが少なかったかな~という全体の印象でした。
理由は大小いくつかあれど一点だけ。


■極めて悪かったところ

 悪役担当に魅力がありません

容姿は異形ながら心持ちはむしろ下手な人間より高尚だったり綺麗だったりなベムら妖怪人間三人です。
私怨や公憤なんでもいいのですが、主役三人と敵対するキャラに説得力がないと彼ら三人の輝きも限定されてしまいます。

本作で感じたのは、三人を迫害したい描写だけがほしいという雑さでした。

{netabare}CASE 1 ダリル・ブライソン(学生)

父親殺しの事実誤認だけ見ても知的冷静さとは無縁。単なる厨病激発ボーイにしか見えないこともそれに拍車をかけます。
そんな彼がいつの間にか黒幕組織の中枢に収まっていく過程は失笑を禁じえなかったです。
些末な人物がたいそれたことをしてるように映り、ひいては黒幕組織も矮小化した団体に感じました。

ベロも嫌疑をかけられた時に粘って疑いを晴らせよと思いつつもそれだって、ダリルが利発なキャラ設定だったら不問にできたことでしょう。{/netabare}


{netabare}CASE 2 ヘルムート・フェルト(刑事)

・彼自身が妖怪人間を敵視する理由が不明。説明がありません。
・世論操作を謀る時に「妖怪人間をどげんかせんといかん。なぜなら・・・」の“なぜなら以下”に相当する部分の台詞が意味不明。
・ベムの公開裁判(茶番)も失笑レベルの法廷劇。「じゃあ君はキスできるか?」それ大真面目に言われると腹筋がもちませぬ。

狡猾で敏腕な刑事ぶりを描きたかったんでしょうし、こちらもそれを期待してましたが、役不足もいいところでした。{/netabare}


{netabare}CASE 3 Dr.リサイクル(白衣)

結局、こやつが編み出した改造人間が起こした殺人事件への落とし前をつけてない上に、警察は協力を仰ぐとかわけわかんないです。
マッドサイエンティスト設定にも狂気を感じることすらなし。強いて上げるなら「ヒッヒッヒッ」といったそれっぽいセリフぐらいかしら。残念です。{/netabare}


{netabare}CASE 4 ベガ

といえばストⅡなのだが脱線するのでやめときます。
まだマシなレベルです。ベムたちに執着する理由もわかりやすい。ただしいかんせん手下の駒不足でラスボス感が薄くなっちゃったのがもったいなかったですね。{/netabare}


これはB級コレクターさん向け作品です。



視聴時期:2019年7月~9月 リアタイ視聴

-------


2019.10.16 初稿
2020.04.14 タイトル修正/修正

投稿 : 2025/02/08
♥ : 41
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

エレファントマン

妖怪人間ベム誕生50周年プロジェクト。

<<ナレーション>>
それはいつ生まれたのか誰も知らない。
醜い身体の中には正義の血が隠されている。

子供の娯楽であるはずのアニメでは、
初代「妖怪人間ベム」は特異点であろう。
秘匿された神秘性の恐怖と克服を描き、
異質で怪奇で奇妙で、
それは世代が違うものにも正しく伝わる。
オープニングはアニメ史に残る衝撃であった。

いつか「人」になれる日を夢見て、
事件を解決し、人知れず町を去る。
異形がゆえに人に恐れられ迫害を受ける。
それは正義とは何か、生命とは何かを問う、
世代を超えて語り継がれる主題なのでしょう。

椎名林檎へのオファーは良い選択でしょう。
村田蓮爾のキャラデザインはどうも苦手である。
オールドファンはベラをどう見るのでしょうか。

9話視聴追記。
人を救うことで人になれる。
根拠もない、ただ彼らが信じる道である。
物語の裏が見え始めていますが、
やはり設定や演出に困惑することも多い。

最終話視聴追記。
現代的な妖怪物語の帰結としては、
{netabare}落ち着くべき所に落ち着きましたが、
全体的に主題に対する、訴求が弱い。
もっと「生」の欲求に足掻いて欲しい。{/netabare}
ちびっ子ハラジーはお気に入りです。

私としては残念な結果に終わりました。

投稿 : 2025/02/08
♥ : 38
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

9話は良かったけど、全体としては中途半端な所も〈最終話まで視聴・追記あり〉

2019年夏アニメ。
「妖怪人間ベム(1968年版)」の最新のリメイク作品。
これまでに製作されたどのリメイクともずらした要素を入れてきた印象。


【1968年版(初代)、2006年版、実写ドラマ版について】
何かの参考になるかな?と思うので、簡単にまとめてみます。
このシリーズには「人間とは何か」という命題は常についてまわります。ベム達が人間になる方法を見つけることもあるけど……。
気になる作品があれば是非見て欲しい。作品の狙いに共感できるとどれも面白いものですよ。
{netabare}
・1968年版(初代)
壮年の大男、苛烈な性格のグラマーな女、浅黒い肌の子どもの3人組。出生不明。指は皆3本。
子ども向けなので主人公は天真爛漫なベロ。

3人の妖怪人間は妖怪や怪異から人間を守り戦い、最後にはその街を去るというのが基本フォーマット。
「正しい行いをすれば人間になれる」と考え行動しますが、その理由は語られません。人間たちには時に迫害を受けたり、彼らと心が通じたりしますが、正体を知られると恐れられるため一カ所に滞在しません。

国籍や時代は意図的にわからなくしてあるそう。
一話完結で子ども向けですが、古い作品なので胸の痛くなるような話も。妖怪や怪異は人間の敵であり、人の手により闇に葬られたりもする。差別がテーマの一つだと思う人もいるようですね。
ホラー演出もこだわっています。
ラストはバッド寄りのビターエンド。リメイクされてほんとに良かった。


・2006年版
3人の姿はほぼ同じですが少し優しい印象になり、指が5本に。
これも出生不明…だけどもしかしたら?という描写があります。

子ども向けなので主人公はベロ。子ども達とは仲良くなれるけど大人には不審がられ、出没する妖怪を倒したりしてもなかなか報われない。
天真爛漫なベロを丁寧に描き、ベロがベムとベラを精神的に支えることも少なくありませんでした。
「正しい心を持ち続ければいつか人間になれる」という言葉は昔3人を助けてくれた恩人の言葉とされていて、これは独自の要素。
舞台は日本の架空の港町で、高級住宅街と治安の悪い所があり社会の縮図のような感じ。

後半からメインストーリーを展開し、前半の一話完結回の描写を拾っていくのが見物。初代に比べ人間の美醜もかなり強調され、妖怪も人間も善人悪人両方描かれます。
最終盤では胸を抉る話が続きますが、最終回はビター寄りのハッピーエンド。


・実写ドラマ版
若い男性、若い女性、子どもの姿の三人組。
大人向け寄りで、主人公はベム。この実写版はキャスティングが見事で、特に悩める青年のようなベムは意外だけどテーマに合致していて納得させられました。

舞台は日本のある街で、そこに住む人達と交流し、正体が知られると街を去っていきます。数十年ぶりに偶然再会した老人と不老不死のベム達とのエピソードが好き。

この作品でベム達が戦うのは妖怪ではなく、別の存在。人間の持つ「正義の心」と「悪の心」を丁寧に描き、全編通して胸を抉ってきます。
そしてこの作品では独自の設定として妖怪人間の出生の真実が描かれ、物語の核心となりました。
ラストは爽やかなビターエンド。
その後作られた映画版も良い作品でした。
{/netabare}


【今作】
{netabare}
ベムのイメージはそんなに変わらないけど、ベラは女子高校生になり、ベロがやさぐれました。ベロが天真爛漫じゃなくなったのが私は一番驚いたw

物語の舞台(街)も固定され、新キャラクターもかなり多い。敵妖怪もなかなか奇抜といいますか…(汗)妖怪というより人造怪人なのでホラーにならない。
だから結構古参ファンを振り落とす要素が多いかも。

何をしたいのかは、設定の変更などからある程度理解しているつもりではあります。
ただコンテ・演出で画的に伏線を張るのがちょっと苦手っぽい?話数を跨いでの伏線はもう少し印象強くしておかないと全体像が見え難くなるから、世界観の渋さもあって結構致命的。ドラマパートの演出は好きなんだけどホラー的な魅力は少ないしなあ…。
私は結構好きになれそうなだけに色々もったいない。{/netabare}

【9話視聴時点での感想】
{netabare}
舞台となるリブラシティのアッパーサイド・アウトサイドですが、どちらに住む人間も結構ろくでもない…
アウトサイドはスラム化しているし、アッパーサイドは都合の悪い存在をアウトサイドに押し込めてしまう。しかも人間を辞めて生き生きしている敵もベムたちも、人間にとっては怪物扱いなのは同じ。
そしてこの街の在り方に一石を投じるのがソニア、カーヴァー、ギャビンだったわけですね。

第9話は、ギャビンは良い人すぎてかえって胡散臭い人物として演出されていて、ベロの友達も視聴者の想いを代弁します。そして肝心のベムも差し出されたギャビンの手を取れなかった。ベムには最後まで信じるべきかどうか葛藤があったということなのでしょう。
けれどもベムたちはギャビンを守りきれず、信じるに値する人間であったことがその死によって証明されます。

リブラシティで疑問も持たず暮らしている人々にとって、アウトサイド出身でありながらアッパーで成功し、しかも清濁併せ呑める理想家なんてにわかには信じられないと思うんですよね。
アッパーで普通に安全に暮らしてる人にとっては、理解できない・信じられない存在という意味ではギャビンのような人間も妖怪とあまり変わらないのかも。

で、人間て何?という問題は「妖怪人間ベム」の作品群では必ず何かしら答えを示してくるけど、さらに今作は人間として生きるってどういうこと?という問い掛けに繋がってくるんじゃないかって気がしてます。
少なくとも見た目とか体のつくりは答えにならないですよね。だからこそ、ほぼ完全に人間に擬態できているのにも関わらず、ベムたちは人間になることを切望する。
寿命があるからこそ人間は懸命に生きるというのは、その問いに対して大きなヒントになりそう。

「見えざる議会」はリブラシティの在り方に波紋を投じる存在を許さない。もしかしたら他にも目的があるのかもしれませんが、彼らとベムたちが対立していくのは明白。しかも不確定要素となりうるキャラクターが結構いるので最後まで注目したいと思います。{/netabare}

最後に、ソニアの潔癖さと愚直さが超可愛い!と言っておきますw(2019.9.27)


【最終話まで視聴したので追記】
作品が作品なのでラストはこうなりますわな。


【良かった点】
{netabare}
ベム・ベラ・ベロの関係がとても良かったです。周りの人間たちとの関係も好きでした。
ベガはキャラクターもデザインも素晴らしいラスボスだったと思います。もっと描写して欲しかったなあ。

「人間とは何か」ということを「生きる上での行為」と捉えたのは今作の独自性だと思います。
人間は寿命があるからこそ、次世代を残すからこそ懸命に生きる。人間の行為を模倣すること、すべてを経験することがベガにとっては人間になること。大切な人達と共に普通にひっそりと生きることがベムの考える人間の生き方。二人の対比はきちんと出来ていて、孤独で超然としたベガの存在は良かったと思います。
ベガがダリルを後継者にし、ハラジーを引き取ったのは育児の代替行為なのかもしれませんが、二人の幸福な未来を望んでいるわけではないため、最後までベガは孤独でした。

最終話は人間同士・妖怪人間同士が対決し、それぞれの問題とその先の希望をあぶりだす構成なのかなと思いました。
ベム達は人間を信じてリブラシティを去ったのだと思うし、ダリルがリブラシティを良くしていく可能性があるというラストだと思う。
アッパーサイドとアウトサイドを繋ぐ橋は分断の象徴であり、これまでの間違った関わり方の象徴でもあったのだと思います。最終話で橋は落ち、人間の手でアッパーとアウトの断絶を埋める新しい方法を模索していかなくてはならない。

ダリルがベロを信じ尊敬していたカーヴァー議員の意志を継ぐことが出来れば、リブラシティの今後は変わるでしょう。ただ、まだ幼いダリルにとって議会内の人間も味方とは言えないし、リブラシティの在り方に関しては困難な終わり方のような気もします。カーヴァーやギャビンと交流があったソニアと、ダリルが出会っていれば希望が持てるラストと言えたかもしれません。
{/netabare}

【気になった点】
全体的に中途半端な要素が多かった気がします。
{netabare}
人間キャラが物語の本筋に深く関与しないのは良くないと思う。
人間の心の美しさと醜さをバランス良く描いてくれたら、ベムが人間になりたい心理に寄り添えたと思います。いっそ、人間を辞めたヴィランの過去を掘り下げて人間の醜さを、ベム達の周りの人間を掘り下げて人間の美しさを描くとかした方がわかりやすかったかも?

1クールにしてはキャラクター数が多く、持て余してしまった印象はありました。
ソニアをもっと能動的に動かしても良かったと思います。ウッズさんはソニアに足りない部分を補う立ち位置だと思うけど、活躍が少なかった気もするし。
シルクハットの人物が死体を回収する役なのかな?と思っていたけど何してたんだろうね。
全体的に色々と勿体なかったなあと思います。
{/netabare}

【雑感】
そういえばお約束の{netabare}人間に火をかけられるシーン{/netabare}が今作はなかったですね。
京アニの一件に配慮したから(4話も2週遅らせましたし)だと思いますが、少し珍しい一作になったかも。
{netabare}
……あまり言いたくはないけど、2006年版も実写ドラマ版も狙いがはっきりしていたし、ターゲット層を明確化した作品作りが出来ていましたよ。
特に2006年版はあまり評価されていませんが私はとても好きです。監督の原田浩さんは「地下幻燈劇画 少女椿」を作った方で、一度作品を観てみたいなあと思うのですが自主製作なのでなかなか…。
{/netabare}
(2019.12.8)

投稿 : 2025/02/08
♥ : 23
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