悪魔で週刊少年サンデーなTVアニメ動画ランキング 3

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の悪魔で週刊少年サンデーな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月15日の時点で一番の悪魔で週刊少年サンデーなTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

88.3 1 悪魔で週刊少年サンデーなアニメランキング1位
葬送のフリーレン(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★★ 4.2 (609)
1961人が棚に入れました
勇者ヒンメルたちと共に、10年に及ぶ冒険の末に魔王を打ち倒し、世界に平和をもたらした魔法使いフリーレン。 千年以上生きるエルフである彼女は、ヒンメルたちと再会の約束をし、独り旅に出る。それから50年後、フリーレンはヒンメルのもとを訪ねるが、50年前と変わらぬ彼女に対し、ヒンメルは老い、人生は残りわずかだった。 その後、死を迎えたヒンメルを目の当たりにし、これまで“人を知る”ことをしてこなかった自分を痛感し、それを悔いるフリーレンは、“人を知るため”の旅に出る。 その旅路には、さまざまな人との出会い、さまざまな出来事が待っていた―。
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

世界の見え方

マッドハウス制作。

魔王を倒した勇者一行のその後、
冒険の終わりから始まるファンタジー。

長寿のエルフである魔法使いフリーレンは、
仲間の死をきっかけに人の心をより知ろうと、
勇者との冒険の痕跡を辿る旅に出る。

人の寿命はエルフに比べあまりにも短い、
それゆえに人は思い出を美しいものと大切にする。
それはフリーレンにもあるはずのものだが、
共に冒険に於いて経験したものの価値が、
人とエルフではやはり違うのである。

時間の経過がもたらすものが、
きっと物語の鍵になるのでしょう。

主要キャラが落ち着いた声と演技で、
この主題なら良く世界観に合っています。

最終話視聴追記。
最後まで見せ場があり集中力が途切れない、
数多の演出が冒険を魅力的なものにさせている。
魔法はイメージの世界であり多種多様である、
微笑ましい日常と迫力ある戦闘時の対比が楽しい。

{netabare}人の時代、魔術の時代を生き、
やがて来る長い人生の終わりに、
フリーレンはどう人生を振り返るのでしょう。
生き方が変われば世界の見え方も変わる、
在りし日の思い出が尊いものでありますように。{/netabare}

ところでフェルンはフリーレンに、
勝るとも劣らない優れたキャラクターだと思う。

最後まで面白くて、とても楽しめました。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 56
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

魔法使いフリーレンの人を知ろうとする旅路(2期制作決定!!)

[2024.9.28追記]
やったー!!ついに2期制作決定したみたいです♪
https://www.youtube.com/watch?v=DknvOzqQCTo

たぶん2期も2クールだと思うから(黄金郷編やるし)、実際の配信は2年後とかになるかもだけど、とにかく嬉しいし、とても楽しみです!!

[2024.3.24見終わって]
ほんとうに、本当に素晴らしい作品でした!!
小説やコミックなどの原作からアニメ化をするに当たって、作品の雰囲気、キャラのイメージなどを損なわずに作品化するということは、当たり前と思われるかもですけど、尺の関係などもあって制作者の方々にとってはとても大変なお仕事なんだと思います。
そんな中、この作品はある意味作品を超えたような演出・表現がちりばめられていて、制作者の原作への深い解釈・理解があることが伺えました。
例えば第27話。リヒターが店先でフェルンたちとばったり合うシーン。
あのアニオリシーンを入れることで、その後のフェルンとゼーリエのシーンがさらに味わい深くなっています。最終話の、フリーレンが老婆が果物をこぼすのを見てるシーンも改変されてましたけど、さらに良くなっていました。
原作の最新話は127話ですが、アニメはちょうど60話まで。
ストックは充分だし人気も出たので2期はほぼ確定かもですけど、この素晴らしいクォリティを同じスタッフを維持して制作・・となるとなかなか大変で、時間がかかっても良いのでまた素晴らしいアニメを私たちに魅せていただけることを楽しみにしたいです。

[初回感想]
魔王を倒し平和をもたらした勇者一行。
パーティの魔法使いフリーレンは勇者ヒンメルの死をきっかけに、人を知ろうとする旅路が始まる。。

原作は少年サンデー連載中のコミックで、11巻まで発刊。
原作は読んでて、とても好きな作品です。
普通は魔王を倒してめでたし、で終わるところをこの物語はその後のエピローグを描いています。
人とエルフの寿命の違いによる感覚の違いを壮大なスケールで描かれる世界観も面白いし、いい意味で淡々とした雰囲気とドライなフリーレンをはじめとしたキャラの魅力も感じる作品でした。

第1話が2時間スペシャルだったのもびっくりです。(厳密には4話までをつなげたみたいです)
制作側の力の入れようが伝わってくるし、かなり期待しながら視聴しました。

作画良いです!
雰囲気もすごくいい!
良く書き込まれてるしよく動いてるし、音楽も雰囲気にあってて◎です♬
キャラの声もあってると思いました。
ドライなフリーレンも、優しそうなヒンメルも、茶目っ気のあるハイターも、渋いアイゼンも、原作のイメージのままでした。

原作ではセリフがない細かいコマが結構あって、それが作品の味にもなってたんだけど、アニメではその雰囲気をどう表現するんだろうと思ってたら・・すごい、作品の雰囲気そのまんまの再現してていい意味でびっくりでした。

作中のセリフも味があっていいんですよね。

これは今期アニメではかなり期待できそうで、とても楽しみです♡

アニメは連続2クール全28話ということで、原作最新巻まで行きそうかなと思ってたけど、8話で原作2巻のペースだとどうやら7巻あたりで終わりそう。でも1級試験編楽しみです♪

以下、印象に残った話の感想です。

6話「村の英雄」
{netabare}必要なものは覚悟だけ。必死に積み上げてきたものは裏切らない。
フェルンの言葉だけど、これって私たちの普段の仕事とかにも言えることだなぁって。
覚悟ってのは大げさかもだけど、仕事に対する気持ちとか心構えって大事なのは同じなのかなって。
ジャンボパフェのシュタルクとマスターのやりとりが好きです♪
ギャグにしようと過剰な演出とかしなくて、会話と音楽などの雰囲気だけでクスっと笑えたり。こういう演出好き。
会話の間もいい。フェルンとシュタルクのやりとりも好き。{/netabare}

9話「断頭台のアウラ」
{netabare}すごい!
これ原作超えてると思う。
漫画だと止め絵の連続を読んでる読者が脳内補完しているわけだけど、それ以上の演出・動きが素晴らしいです。
「ヒンメルはもういないじゃない」
魔族と人族が決して分かり合えないことがわかる、原作でも印象に残るアウラのセリフでした。
「戦士は最後まで立ってたやつが勝つんだ」
アイゼン相変わらず渋いし、震えながらも決める時は決めるシュタルクもかっこいい。
フェルンも天才の片鱗見せましたね。
次回はゼーリエ初登場になるのかな?どんな声なのかちょっと楽しみです。{/netabare}

11話「北側諸国の冬」
{netabare}前回感想で、次回ゼーリエ初登場とか書きましたけど、勘違いしててまだ先みたいですね。
9話みたいなアクションシーンすごいのもいいですけど、今回みたいに止め絵を効果的に使ったりするところも緩急あって良い演出だと思います。
自分の"偉業"を覚えてくれている人が誰もいないから、女神さまに褒めてもらうんだと話すクラフト。
でもフリーレンは昔同じようなやりとりでハイターに褒めてもらったから大丈夫と返すんです。
フリーレンの中でハイターもヒンメルも生き続けている・・
私が葬送のフレーレンという作品が好きなところはこういうところなんですよね。
自分の偉業を語らず、静かに別れていくクラフトの描写も味わいを感じます。
あと、何かとジャンボパフェが回想に出てくるシュタルクが可笑しいw{/netabare}

17話「じゃあ元気で」
{netabare}今回から第2クールに入ってOPがヨルシカに変わりましたね。
シュタルクとフェルンのやりとりが自然で微笑ましくて好き。
12話で雪の中倒れたフリーレンを抱きかかえようとするシュタルクを嫌がって自分がおんぶするフェルンとか。
些細なことで喧嘩する二人。その原因も仲直りの感じも見ててあるあるーって思ったw
ザインのもう付き合っちゃえよ!!に笑った。。でもいいお兄ちゃんキャラだなザインって。
あっさりしたお別れだったけど、また再会もあるような気がします。
ED変わらないといいなって思ってたけど、そのままで良かった。絵もだけど歌も2番に変わっててこちらもなかなか良いです🎵
次回からいよいよ一級魔法試験編がはじまります。原作読んでたときも好きな話だったのでとても楽しみです!!{/netabare}

18話「一級魔法使い選抜試験」
{netabare}この話から一気に登場キャラが増えるんですけど、魅力的なキャラが多いので動いてるところと声優さんがどんな演技をしてくれるのかとても楽しみです♡
すごい魔法使いの証だった「聖杖の証」を知っている人がほとんどいなくなってしまった時代。
「でもフリーレンがすごい魔法使いだったことは僕たちが知っている・・」
ヒンメルからの言葉に「でもすぐ死んじゃうじゃん」と返したフリーレンだけど、同じ言葉をフェルンから言われて「そうだね」と頭を撫でながら返したところにフリーレンの気持ちの変化がわかる、いいシーンでした。
ラヴィーネとカンネがいつも喧嘩してるのに、息がぴったりあった魔法の連携ができている、その意味もフリーレンは学んでいくんでしょうね。{/netabare}

21話「魔法の世界」
{netabare}ゼーリエ登場!!
声は思ってたより低い感じでしたけど、聞いてくうちに慣れるんでしょうね。
今回も原作に沿った展開ではあるけど、バトルシーンや結界を破るシーンなどなど、アニメならではの演出がとても良くて、デンケンの殴り合いじゃぁぁぁ!!の名シーンもとても良かったです。
私も原作でデンケンのこのシーン読んで、彼が好きになりました。。
次回は2次試験前のつかの間の日常回ですけど、各キャラの交流シーンが良いので楽しみです♪{/netabare}

22話「次からは敵同士」
{netabare}個人的には今回みたいな何気ない日常回の良さがこの作品の醍醐味だと思ってます。
それぞれの登場人物の人柄などが垣間見えたり、キャラ同士のやりとりが面白かったり。。
第一次試験のパーティーって一時的なものではあったけど、そこから生まれた関係がいいですね。
カンネやラヴィーネたちと部屋で女子トークしてるときのフリーレンの嬉しそうな表情がベストショットでした。{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 50
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

平和な時代の魔法使い

魔王討伐を成し遂げた勇者パーティー。
1000年生きるエルフの魔法使いフリーレンが、
自分より寿命の短い仲間たちの老い先などと寄り添う中で、
人を知ろうとして来なかったことを悔恨し、
心を知る旅を続ける同名連載コミック(未読)の2クール連続アニメ化作品。


【物語 5.0点】
表層は取り残された長命種の心情や短命種との価値観の相違、
忘却にさらされる勇者の冒険譚の悲哀の再生産など。
ですが、またそのネタか?と踏み込んでみると勇者の魔王討伐をも丸呑みするスケール感、
幾重にも練られた歴史、世界観設定から提供される思索の種に唸らされる逸品でした。


例えば魔法設定一つ取っても奥行きが異次元レベル。
三話で描かれた人間の魔法発展スピードの凄まじさ。
{netabare} “人を殺す魔法”ゾルトラークで人間たちに暴虐の限りを尽くした魔族クヴァールが、
80年後復活したらゾルトラークは“一般攻撃魔法”として陳腐化、対策済みで、通用せず。
(それでも誇り高く散華するクヴァールも見事でしたが){/netabare}

かと思えば近年の人間魔法界は自然物を利用した物理攻撃による防御突破などがトレンドの野戦特化。
活用物に乏しい閉鎖空間である、古の迷宮探索には不向き。
ここは古い魔法を知る冒険者フリーレン様の出番さ。
(そしてミミックに頭から突っ込むw)

魔法発展も絶対的な物ではなく、時代に合わせて何かに特化すれば何かが欠ける相対的な物。
魔法以外の要素も一つひとつが多面的で、
消化し終えたと思ったエピソードでも、
後になって新たな側面を想起させられる。

フリーレンが人の心を知る旅路の中で、ヒンメルたちとの思い出を再解釈する回想描写の如く、
あの時のセリフはそういうことだったのか?と視聴者も溢れ出す感情が止まらなくなるシナリオの豊潤さに圧倒されます。


ヘンテコな魔法ばかり収集するフリーレンさん。
{netabare} 服が透ける{/netabare} しょーもない魔法だのw
最初はただの酔狂だと笑って見ていましたがw
終盤では、魔法は夢のある楽しい物と満喫するフリーレン及びフランメと、
魔法は闘争と野心の道具として高みを目指すゼーリエとの対立軸が鮮明に。

この魔法はどうあるべきかという論点は、
魔王とは何者だったのか?魔王討伐を成す物とは?とのテーマとも密接にリンク。

魔法で最強を目指し闘争を求める限り魔王との戦いは終わらない。
むしろ闘争を求める心理の象徴こそが魔王なのか?
フリーレンみたいに魔法をくだらないことに浪費し、平和な時代を体現してこそ魔王の時代は終わりを迎える。
{netabare} 花畑を出す魔法こそがフリーレンとヒンメルの旅路の本当の始まりという{/netabare} 件には感動しました。
根を詰めすぎずに冒険をエンジョイするヒンメル勇者一行だけが魔王を倒せた理由。
今後の深堀りが楽しみです。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・マッドハウス

例えば{netabare} フェルンVSリュグナー&シュタルクVSリーニエ戦{/netabare} や、
{netabare} フリーレン&フェルンVSフリーレン複製体バトル{/netabare} などでは、
ド派手な魔法エフェクトだけでなく、背景にも作画を入れ、
回り込んでキャラを捉えるカメラワークも縦横無尽。
ファンタジーバトルアニメとして上々の映像を提供。

一方で案外、私の印象に残ったのは、背景美術の青空。
一面真っ青の空にポツンと人物を配する簡素な画面構成。
細密な雲の描写だの、光源処理だのをゴチャゴチャと施されるよりも、
シンプルな方がむしろ悠久の時の中の登場人物という趣を感じられ、
人の心を知りたいというフリーレンの決意も心に染みてくるから不思議です。

作画カロリーリッチな力押しだけでなく、
抜くところは抜いて逆に効果的な演出を仕掛ける。
こうした芸当をやらせたら、このスタジオは本当に上手いです。

フリーレン、フェルンの師弟コンビの人物作画もまた普段は無表情。
だからこそフリーレンが本気の一端を見せた時の強面にゾクゾクさせられますし、
フェルンのむくれ面に振り回されるフリーレンやシュタルクがいたたまれなくなりますw


【キャラ 5.0点】
1000年以上の歴史の中に各種族を位置付ける。
その強固な土台の上に骨太なキャラクターを形作る。
丹念なキャラ設定構築から来る諸要素に唸らされます。

エルフは長命種故に繁殖に興味が生じず、他者への関心自体も薄い。
フリーレンが300年ぶりの同じエルフとの遭遇だった{netabare} クラフトさん{/netabare} とか。
緩やかに減少、衰亡傾向にある。

魔族は言葉を用いるがあくまでを誑(たぶら)かす手段に過ぎない。
グラナト領の人々の気持ちも汲んでいるように見えるリュグナーたちにしても、
そこに心はなく、冷徹に人間を狩るのみ。

これらの種族に囲まれて来た人間は長らく弱小だったが、
彼らは想像力と好奇心が旺盛で、他人同士の関わりも深く、
恐ろしく早く増殖し、変化し、発展する。

想像したものが魔法になると言うのであれば、
多様で大人数な人間こそが、最も多彩な魔法を操るようになる。
後半の一級魔法使い試験編の人間たちは個性的で、
やがて来ると言う人間の時代を示唆していました。

切れると思った物は大体何でも切っちゃうユーベルとか、
仲良く喧嘩して、カンネに絞め技決めてる?ラヴィーネとかw
濃いキャラが色々いましたが、私は宮廷魔法使いのデンケンさんかなと。
歳を重ねても尚、{netabare} 殴り合ってでも{/netabare} 手に入れたい執念。
私も痛いのは嫌ですがwスピリッツだけは見習いたいものです。


【声優 4.5点】
フリーレン役の種崎 敦美さん。フェルン役の市ノ瀬 加那さん。
作画同様、比較的淡々としたボイスの中に心情を込める繊細な演技。
{netabare} 夜中にジュース飲んでました{/netabare} などと、おふくろさんみたいなフェルンに弁解するシュタルク役の小林 千晃さんのリアクション芸も引き立ちますw

かつての勇者たち。ヒンメル役の岡本 信彦さんらが率いる一行は、
数十年後の老いや死も包括する好対応。
特に僧侶ハイター役の東地 宏樹さん。
冒険中の生臭坊主から、老いてフェルンを温かく育てる好好爺への変貌。
酒に溺れていた破戒僧が、それを言うのかと突っ込みつつw
人間を味わうことができる好演でした。


【音楽 5.0点】
劇伴担当はエバン・コール氏。
初回3話一挙SP~4話まではフィルムスコアリングで制作。
ケルト風アレンジも交えたオーケストラでファンタジー世界の旅情を表現しつつ、
心情曲から戦闘曲「Zoltraak」まで70曲超を量産。

特に「Journey of a Lifetime~Frieren Main Theme」は
喜怒哀楽を内包した構成で、
聴く者にも、人の心を知った時の高揚感が伝わり、自然とこみ上げて来る。
氏のキャリアの中でも傑出した名曲ではないでしょうか。


OP主題歌は前期がYOASOBI「勇者」、後期がヨルシカ「晴る」
ED主題歌はmilet「Anytime Anywhere」が前後期でアレンジと1番と2番を入れ替えながら2クール完走。

錚々たるアーティスト名からもフラアニ枠を成功させたいという日テレの意気込みが伝わって来ますが、
名前だけじゃなく、作品を捉えた歌詞世界が嬉しい好タイアップ。
特にOP「勇者」で問いかけられた涙の意味を、
ED「Anytime Anywhere」の解答で噛みしめて聴くのが私は好きです。

エバン・コール氏はmiletにED「Anytime Anywhere」の編曲、
特殊ED&挿入歌「bliss」の作曲も提供。
同じマッドハウスとのタッグとなった劇場アニメ版『金の国 水の国』での劇伴ソング挑戦から、
一層の進化で魅せる。



【初回2時間SP感想】早くも心に残る上質な勇者後ファンタジー

{netabare}
魔王討伐を成し遂げた勇者パーティー。
1000年生きるエルフの魔法使いフリーレンが、
自分より寿命の短い仲間たちの老い先などと寄り添う中で、
人を知ろうとして来なかったことを悔恨し、
心を知る旅を続ける同名連載コミック(未読)の2クール連続アニメ化作品。


例えば戦後の帰還兵がどうのといったシナリオは、
傷痕の描写等を通じて豊潤な心情劇が得られる個人的に好きな部類のはず。

ですが魔王を倒した後に勇者がどうの、魔王倒すの飽きたからどうの。
こうした筋書きに関しては、私も目の付け所が悪いのか、近年こうした企画が安易に乱立している感を抱いていまして。
作者、スタッフには申し訳ないですが、王道ファンタジーを描くパワーがないからって、魔王討伐から逃げてませんか?
そういうのもういいから普通に魔王倒しに行って下さい。
って感じで、一周回って『ダイの大冒険(2020)』をお気に入り棚に放り込む位こじらせてましてw

よって今の私にとって勇者たちのその後を描くアニメは観るのもハードルが高いですし、
求める水準も傑作王道勇者物に匹敵するだけの価値を欲する苛烈な物になります。
本原作コミックも興味はありつつも食指は伸ばしてきませんでした。


そんな天邪鬼な私が視聴に引きずり込まれた理由は三点。

一点目。本作放送に関して日本テレビが超本気だということ。
23時台にアニメ枠「FRIDAY ANIME NIGHT」(フラアニ)を新設し、
初回はフラアニ前の同社の金看板「金曜ロードショー」にて2時間SPで放送するという破格の待遇。

背景には最近、日本国が二周回遅れでようやく取り組んでいる、世界市場に向けたコンテンツ輸出。
近頃は、経済団体幹部などもジャパン・コンテンツで20兆円産業をなどとぶち上げている。

その流れの中で旧来の放送広告料収入がメインの視聴率ビジネスが頭打ちになっている日本テレビが、
「コンテンツ中心主義」のビジョンを掲げ、イベント、海外展開などの放送外収入も見込んで挑む象徴となるのが本作(※1)

かつて視聴率ビジネスの権化だったあの日テレがコンテンツの価値を語るなど、
“生臭坊主”ハイターが酒をやめるぐらい考えられなかった事態。
それ以上に一放送局がここまで押してくる作品は是非一見してみたいと、
私が重たい腰を上げるのに十二分。


二点目。興味を持ってみると、キャスト、特に主人公フリーレン役の種崎 敦美さんに目が行きまして。
種崎さんと言えば上記『ダイ大』で奇しくも勇者ダイを熱演。
『ダイ大』は、勇者ダイが、冒険の中で短い人生の中で輝きを放つ人間の力を知る。
数千年生きるが故に、余興と称して人間を見下し、弄ぶ大魔王に対して、
激闘を通じてダイが人間の価値を思い知らせていくお話でもありました。

こうした役柄などもこなして来た種崎さんが、今度は逆に1000年生きるエルフとして人の心を知る様をどう演じて来るのだろう。
最高に唆(そそ)るキャスティングでしたし、初回観てみて、1000年ズボラなフリーレンさんの生態も含めてw
経験値を積んだ種崎さんの引き出しが遺憾なく引き出されていたと好感しました。


三点目。音楽がエバン・コール氏だということ。
初回SPはフィルムスコアリングで制作。
バグパイプ、ティン・ホイッスルなどケルト音楽の楽器をアレンジして、
ファンタジー世界の風情も醸しつつ、心情に合わせて量産した劇伴は70曲超。

金曜ロードショーとエバン・コール氏と言えば、昨年、TVアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』総集編と劇場版を2週連続で放送した件も思い出されます。
視聴率面では惨敗に終わったあの企画は、当時は酔狂だとも感じましたが、
今にして思えば、視聴率よりネット、SNS上の同時アニメ視聴祭りで賑わいを創出できるTV局の可能性を再発見する、
これも視聴率ビジネス依存脱却の伏線だったのかなと。

初回では、特殊EDとなったmilet「Anytime Anywhere」の編曲も行った同氏。
本作は、エバン・コール氏の作品シンクロ率が一段と高まる重要作になる期待があります。


以上を踏まえて、初回、私は敢えて金ローを録画して視聴しました。

{netabare} 「人生ってのは衰えてからのほうが案外長いもんさ」{/netabare} などのセリフが私の心の傷に染み渡るw
初回から既に、エルフとそれ以外の仲間らとの寿命の長さ、価値観の相違を生かした、
人生の深い掘り起こしによる収穫が大豊作。
終盤には1000年前のフリーレンと{netabare} 大魔法使いフランメとの師弟関係{/netabare} から旅の大目標が明示。

決してパワーがないから安直に魔王倒した後の残り滓を描くのではない。
むしろ過去と未来にまたがる壮大な視点から、勇者伝説を丸ごと内包していくスケール感の片鱗を見せる。
捻くれた私の高いハードルを乗り越えて、歴代の私の心に残るアニメの上位に食い込みそうな抜群の手応え。

初回2時間SPという挑戦も没入感を高める意味では有効でした。
しかし金ローも昔は、何が何でもCM見せて広告料収入を獲得しようと、スポンサーの方ばかり向いて、
数字取れそうな定番人気映画を雑にカットして、クライマックスは数分置きにぶつ切りしてマシンガンCMw
不完全燃焼の視聴者が多数発生するためか、週末はTSUTAYAの棚から金ロー放送作のレンタルビデオが消えるといった残念な流れがありましたが。
今回はCM飛ばさず見ても、それほど集中力が阻害されない淀みのない編集で、時代は変わったんだな~と感じ入りました。
コンテンツ中心主義。小難しいビジネスの話はさておき、テレビと視聴者との関係改善の面では良い流れなのではと思いました。


【参考文献】※1 @DIME「「葬送のフリーレン」が金曜ロードショーで異例の初回2時間スペシャル!新アニメ枠で世界に挑む日テレの新コンテンツ戦略」{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 49

64.3 2 悪魔で週刊少年サンデーなアニメランキング2位
ノケモノたちの夜(TVアニメ動画)

2023年冬アニメ
★★★★☆ 3.2 (110)
296人が棚に入れました
傍にいる悪魔が、救い。
傍にある少女が、暇潰し。
19世紀末、大英帝国の片隅での2人の出会いが
居場所を求め彷徨う物語を紡ぎ出す。
孤独を分かつ者たちに囁く
悪魔と少女の常夜奇譚。
ネタバレ

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

悪魔たちの命がけの暇つぶし

原作未読 全13話

悪魔がいる世界で19世紀ロンドンが舞台。両親が死に、兄が行方不明のヒロインであるウィステリアが、教会に拾われ物乞いをしながら教会の屋根裏部屋で過ごしていました。物乞いをしているときに悪魔であるマルバスと出会い、その夜から、マルバスが屋根裏部屋を訪問し、色々なお話をウィステリア聞かせ、そのお話が生きがいとなって過ごしていました。ある日あるきっかけで、あるものを対価にマルバスと契約して世界中を旅することになります。その旅途中で出会った人々や悪魔たちとのお話です。

悪魔は不老不死でなので常に暇なのでしょうねw

ただ今回の暇つぶしは結構命がけが多いお話が多かったです。(不老不死だから死なないということはないようですね)

色々と突っ込みを入れたくなる要素が強かったですねw

まずはウィステリア
{netabare}
何故対価として視力を差し出したのでしょうか~ これでは世界を回っても情報量が制限されるので、他の対価でも良いのではないかと思いました。
{/netabare}
帝国直轄の悪魔退治の剣十字騎士団
{netabare}
団長が不老不死で不死身というのも悪魔の感じがしていますねwまた、悪魔と契約しているのも意に反するような気がします。
{/netabare}
そして終盤の展開
{netabare}
人々を殺戮して混乱させたルーサーとダンタリオンの思いが最後まで理解できませんでした。しかもルーサーは最後記憶もなく生きながらえているとは、なんとも都合の良いことでしょうね。
{/netabare}
切りが良いところで終わっていますが、終盤の展開はちょっと納得できない終わり方でした。

OPは竹達彩奈さん、EDはHakubiさんが歌っています。

最後に、声優陣は何気に豪華でしたね。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 10

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

あなたとの出会いが世界を変えた。

この作品の原作は未読です。
週刊少年サンデーで連載していた作品で2021年に全8巻全76話で原作は完結しているようです。

最近、週刊サンデーの作品が結構アニメ化されていますね。
現在放送されている「葬送のフリーレン」をはじめ、「よふかしのうた」「トニカクカワイイ/FLY ME TO THE MOON」「古見さんは、コミュ症です。」「魔王城でおやすみ」など…
毎期アニメを沢山視聴されている方なら、視聴されている作品ばかりだと思います。


傍にいる悪魔が、救い。

傍にある少女が、暇潰し。

19世紀末、大英帝国の片隅での2人の出会いが
居場所を求め彷徨う物語を紡ぎ出す。

孤独を分かつ者たちに囁く
悪魔と少女の常夜奇譚(ダ-クナイトストーリー)。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

ざっくりあらすじを記載すると、あやち演じる主人公のウィステリアが、マルナバスという不老不死の悪魔に視力を対価に契約し、一緒に色々なものを見る旅に出る物語です。

この作品において契約と対価って意外と重要でした。
私たちだったら、仲間に手を貸す際にいちいち対価なんて要求しませんよね。
仕事の同僚との関係だって一緒です。

ところが、悪魔には対価と引き換えにしなければならないルールが存在し、これを破ると、最悪自身の崩壊に繋がりかねないんです。

だからといって、年端のいかない少女が視力を差し出すなんて、これからの楽しみを一切奪われたと言っても過言では無い所業だと思います。
もっと、髪の毛とか爪とか、よく対価として用いられるのがあるじゃないですか…
どうしてそういうモノにすれば良かったのにと心底思います。

ウィステリアはこれから成長して大人になるにつれ、もっと綺麗になると思います。
化粧して、素敵な服で自分を着飾って、これからもし恋をしたらもっともっと魅力的になるかもしれない。
そういう自身の変化を自分で確認できないのって、寂しすぎると思いませんか。

それでもウィステリアは、そんなの素振りは微塵も見せませんけどね。
あやちは、「優しくて、真っ直ぐで、一生懸命な性格の女の子」と言っていますが、正にその通りだと思います。

そんな悪魔と契約しているのは、ウィステリアとマルバスだけではありません。
代々悪魔が見えるというブラックベル家の令嬢であるダイアナもマルバスと同格の大悪魔であるナベリウスと契約しています。

ウィステリアとダイアナは元から悪魔が見えていたようですが、普通は契約して初めて見えるようになるんだとか…

1クールの作品ですが、物語はしっかり構成されていたと思います。
基本的にウィステリアとマルバスは、特定の目的を持たずに旅をしているのですが、その旅先で騒動に巻き込まれる感じ…

一番の物語は、ブラックベル家に代々託された仕事に纏わること…
ダイアナは貴族として家の誇りを必死に守ってきました。

例え家族を失って心が折れそうになっても、誇りを守るために毅然と立ち向かうんです。
この作品に登場するヒロインは、大切なモノを守るために必死で、どんなに窮地に立たされたとしても決して自分の危険を顧みないんです。

不老不死の大悪魔が人間と契約したのだって、ほんの暇つぶしや気まぐれだったのかもしれません。
事実、最初はどちらもそんな感じだったと思います。
悪魔にとっては小指の指先程度の時間しか一緒に過ごしていないのかもしれませんが、そんな矜持を持つ契約者の事を割と気に入ってるんですよね。

だから契約者を守るし、契約者に万一の事でもあったら激高するんです。
大悪魔ともなると、怒るとメッチャ怖いですよ~
軽く街の一つや二つは吹っ飛んでしまうくらいですので…
でも、これって契約者の事を想っていることの、まんま裏返しですよね。

だから、契約者と大悪魔の関係がどんどん魅力を増していくんです。
旅は苦しいことの連続ですが、それはウィステリアが自分から望んで足を向けたから…
契約者にもしもの事があっても、本来なら大悪魔には助ける義理は無いのですが、この作品に登場する大悪魔は、もしかすると人間以上に情が深いのかもしれません。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、あやちによる「明日のカタチ」
エンディングテーマは、Hakubiさんによる「Rewrite」

1クール全13話の物語でした。
想像以上に面白い作品でした。
視聴が遅れている作品の中には、この作品の様に「リアタイで見ておけば良かった」と後悔する作品が沢山あるんだろうな…
しっかり堪能させて頂きました。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 10

ミュラー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

良作アニメ

1話が最高だったかな。期待したんですけど。

悪魔対人間という構図のように見えて実は違う。
人と人(悪魔かもしれないが)の絆を描く。絆の強さを再認識させる物語。
しかし主人公である人間側が、底辺でなんとか暮らしているような層なので、
見ていて非常にしんどいというか・・。
少しの感動はあるんだけどね。
良作だとは思うが、悪魔と仲良くするってどうなの?
自分達の欲望さえ求めていればいいのか、と思ってしまう。
戦闘シーンはちょっと残念な気がするが、
それ以外は良かったのでは。特に音楽は素晴らしかった。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 5

77.4 3 悪魔で週刊少年サンデーなアニメランキング3位
魔王城でおやすみ(TVアニメ動画)

2020年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (429)
1732人が棚に入れました
かつて、人と魔が交わり、共に存在した時代。魔王は人間の姫をさらい、自らの城に幽閉した──。囚われのスヤリス姫は、檻の中でつぶやく。「…寝る以外…することがない」牢をこっそり抜け出して、よりよい安眠を求め魔王城を…探索!?自由気ままな人質姫が魔物たちを巻き込んで好き勝手!! 新感覚、睡眠ファンタジーコメディ!

声優・キャラクター
水瀬いのり、松岡禎丞、石川界人、小林親弘、下野紘、小山力也、高橋伸也、山根雅史、相馬康一、大原さやか、黒田崇矢、大塚剛央、大橋彩香、諏訪部順一、佐倉綾音

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

魔王城地下牢の宿屋化計画

魔王にさらわれたスヤリス姫が、魔王城の牢屋に幽閉されますが、あまりの睡眠環境の悪さをどうにかしようと立ち上がり、魔王城内をうろついて快適な睡眠を追求していく癒し系ギャグアニメ
魔王城の牢屋はどう考えても快適なわけないので、面白いテーマだなーって思いました
魔王軍って言っても全然悪者感がない気の優しい人達なのでシリアスな場面なんてありません、安心して見られるいいアニメですねー!

私は結構好きな作品です。
スヤリス姫はもちろん、魔王、悪魔神官が好きです
まだまだ原作ストックはありますし、2期制作の可能性もありますね。
でびあくまは本当に可愛い。一匹欲しい

投稿 : 2024/11/09
♥ : 51
ネタバレ

えりりん908 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

今期、貴重なギャグアニメ枠(笑)

何故か10月クールは、ギャグ作品が少なかったです。
たしかに「神様になった日」の前半はギャグ全開で、これはこれで困ったものなんですけど…"(-""-)"


で、この作品。

一言で言えば「ファンタジー風味のよく考えるとちょっとグロい日常系ギャグアニメ!」全然一言にまとまっていません(*^▽^*)


人類に対する脅迫の一環で、魔王軍が、人類にとって大事な大事なお姫様=スヤリス姫を誘拐!!
ところがこのスヤリス姫様、メンタルが異常にタフな上に、
人質として捕らえられた、魔王城がけっこう理想的な居場所!

この魔王城での生活環境をもっと理想的に改良することで、
思う存分、安眠を得ようと奮闘する、
スヤリス姫の日常を、細かいエピソードでつないで行くのですが、
最初観た時は、このままの展開力の無さでワンクール、もつの?って思ってたんですけど、
もってしまうんですねえwwww

エピソードはそれぞれ、
安眠のためのアイテム入手や工夫がメインの「クエスト」なんだけど、
それ以外の「クエスト」も挟まれていて見飽きないし、
人質だとはいっても、
魔王城においては、傷つけちゃいけない貴重な存在だから大切に扱われているし、
スヤリス姫の自分勝手な行動を魔王軍の誰一人として止められないし、
スヤリス姫は万一っていうか何度も死んでも、
ちゃんと魔法で生き返らせてもらえるし。

爆笑って感じとは違うけど、夜中にニマニマしながら、
魔王城の魔物たちがアタフタしているのを、眺めている感じです。
最初の頃は、魔王様に露見しないように、魔王軍の幹部たちが苦心してたのに、
いつの間にか、魔王様自身が、スヤリス姫に翻弄されてしまっててww
特殊な環境でも日常系ギャグアニメがちゃんと描かれていて、楽しく観続けられました。


それと、
スヤリス姫って、
実は人間界では、仕事漬けな上に、王族にふさわしい言動を強制されていて、
たぶん日々の、多忙な上に格式ばった生活にうんざりしていたんですよね。

たまに出てくる王妃様のお説教の回想シーンとか、
実はとってもかわいそうなんです。

それと、1回、魔王様に宿題を課されて仕事モードになったとき、
すごいスピードで書類の処理をしてしまうの、
面白かったけど、
だからこその、人質となった現状とのの落差の大きさ。

なるほど、もうお姫様稼業は嫌なんだ、死ぬほど眠りたいんだ~っ、
もう人間界に復帰なんてしないで、ぐうたら人生をまっとうしたいんだ~
って、すごく納得できてしまいましたww


・・・おまけ。
{netabare}最後の2話は、いっぺんにおまとめ放送w
スヤ姫、影武者を仕立ててみたら、ポンコツ過ぎたのに、
ちゃんと自分で、人間の世界から救出しちゃうんだw
それで、わざわざ人間界にちょっと戻って手に入れた毛糸のパンツ、
デビちゃんたちに履かせて、気持ちよく安眠(*^▽^*)
ホントに魔王城が、居心地よくて好きなの、よ~くわかりました!
人間世界の世知辛さや煩わしさ、本当に嫌なんだね~って、
なんか最後まで一貫していて、わがまま素敵な姫様でした!!{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 48

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

「このネタでどこまで行けるか」と思ったけど、終わってみれば素晴らしい安定感でした。

大変よくできました。

RPG的なファンタジー世界で、人間の王国の姫が攫われて魔王軍の人質になるという辺りはゲームでありがちな設定なわけですが、そこでフォーカスされるのが救出や魔王軍との戦いを目的としている勇者パーティー側のメンバーではなくて、人質の姫であったりまたその姫を捕えている魔王を始めとする魔物たちであったりというのは、本作のセールスポイントであると言えましょう。

そして人質であるスヤリス姫が魔王城で求めるのがひたすら「如何に気持ちよく眠れるか」という一点であり、それだけのネタなのにこれだけ面白いお話をアニメで1クール分、いや原作はもっとあるんでしょうけど続けられるというのがとても凄いですね。

そして姫は目的の快眠のためならば魔王城の破壊や窃盗は言うに及ばず魔物を惨殺してしまうにもかかわらず、リザレクション(蘇生)の魔法が使える「あくましゅうどうし」の存在によって作中での死がとても軽いものになってしまい、コロコロとキャラクターが死んでしまうしすぐ生き返るという点が本作をギャグ作品たらしめています。

そして姫以外にも魔王城内の魔物たちのビジュアルが「でびあくま」をはじめとても可愛らしく、観ていて幸せな気分になれそうな良作であると言えます。でも姫と魔物たちの間に築かれる関係については、いろいろと考えさせられるところもあってその意味でも名作じゃないでしょうか。

観ていて本作に不快感を持つ人は少なそうで、とてもお勧めできます。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 36
ページの先頭へ